(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】植物の葉面におけるナノ材料の生物学的有効性を向上させる方法
(51)【国際特許分類】
A01G 7/06 20060101AFI20241031BHJP
C05D 9/00 20060101ALI20241031BHJP
A01G 7/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
A01G7/06 A
C05D9/00
A01G7/00 604Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575832
(86)(22)【出願日】2023-07-19
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 CN2023108090
(87)【国際公開番号】W WO2024078082
(87)【国際公開日】2024-04-18
(31)【優先権主張番号】202211248348.3
(32)【優先日】2022-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514262886
【氏名又は名称】江南大学
【氏名又は名称原語表記】JIANGNAN UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】No. 1800 Lihu Avenue, Bin Hu District, Wuxi, Jiangsu, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】王震宇
(72)【発明者】
【氏名】王伝洗
(72)【発明者】
【氏名】曹雪松
(72)【発明者】
【氏名】楽楽
【テーマコード(参考)】
2B022
4H061
【Fターム(参考)】
2B022AA01
2B022EA01
2B022EA10
2B022EB06
4H061AA01
4H061CC11
4H061EE01
4H061EE25
4H061EE27
4H061HH23
4H061JJ02
4H061KK02
4H061LL15
(57)【要約】
本発明は、植物の葉面におけるナノ材料の生物学的有効性を向上させる方法を開示し、肥料技術分野に属する。本発明による植物の葉面におけるナノ材料の生物学的有効性を改善する方法は、NanoSiとCDsを調製し、得られたNanoSiをエタノールに溶解させてから、カーボンドットCDsを添加し、溶液が揮発するまで、溶液をゆっくり撹拌することで、固体ナノ複合材料Nano-CDsを取得することを含む。本発明で得られたNanoSi-CDsの付着能力はCDsに対して50.6%~79.8%向上し、耐雨能力は1cm向上し、葉面にNanoSi-CDsを噴霧した後、トウモロコシの光合成はCDsに対して110%~140%向上し、バイオマス量は2~4倍であり、作用の有効期間は10日以上延長する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の葉面におけるナノ材料の生物学的有効性を改善する方法であって、
アンモニア水、脱イオン水、エタノール、ホルムアルデヒド溶液とレゾルシノールを混合し、均一に撹拌した後、オルトケイ酸テトラエチルを添加し、撹拌して混合物を取得してから、混合物にホルムアルデヒドとレゾルシノールを添加し続け、撹拌して反応させ、終了後、遠心分離、固体収集、洗浄、乾燥、焼成により、NanoSiを取得するステップ(1)と、
得られたNanoSiをエタノールに溶解させてから、カーボンドットCDsを添加し、溶液が揮発するまで、溶液をゆっくり撹拌することで、固体ナノ複合材料Nano-CDsを取得するステップ(2)と、を含み、
ステップ(1)における前記混合物において、脱イオン水に対するオルトケイ酸テトラエチルの体積分率は6%であり、
ステップ(1)において、混合物にホルムアルデヒドとレゾルシノールを添加し続ける過程で、レゾルシノールの添加量は混合物におけるレゾルシノールの2倍の量であり、ホルムアルデヒドの添加量は混合物におけるホルムアルデヒドの2倍の量であり、
ステップ(2)において、NanoSiに対するエタノールの使用量は450mL/100mgであり、
ステップ(2)において、NanoSiとカーボンドットCDsとの質量比は1:1であり、
ステップ(2)において、ゆっくり撹拌する回転速度は150rpmであることを特徴とする、植物の葉面におけるナノ材料の生物学的有効性を改善する方法。
【請求項2】
植物の葉面において高い生物学的有効性を有するナノ複合材料の調製方法であって、
アンモニア水、脱イオン水、エタノール、ホルムアルデヒド溶液とレゾルシノールを混合し、均一に撹拌した後、オルトケイ酸テトラエチルを添加し、撹拌して混合物を取得してから、混合物にホルムアルデヒドとレゾルシノールを添加し続け、撹拌して反応させ、終了後、遠心分離、固体収集、洗浄、乾燥、焼成により、NanoSiを取得するステップ(1)と、
得られたNanoSiをエタノールに溶解させてから、カーボンドットCDsを添加し、溶液が揮発するまで、溶液をゆっくり撹拌することで、固体ナノ複合材料Nano-CDsを取得するステップ(2)と、を含み、
ステップ(1)における前記混合物において、脱イオン水に対するオルトケイ酸テトラエチルの体積分率は6%であり、
ステップ(1)において、混合物にホルムアルデヒドとレゾルシノールを添加し続ける過程で、レゾルシノールの添加量は混合物におけるレゾルシノールの2倍の量であり、ホルムアルデヒドの添加量は混合物におけるホルムアルデヒドの2倍の量であり、
ステップ(2)において、NanoSiに対するエタノールの使用量は450mL/100mgであり、
ステップ(2)において、NanoSiとカーボンドットCDsとの質量比は1:1であり、
ステップ(2)において、ゆっくり撹拌する回転速度は150rpmであることを特徴とする、植物の葉面において高い生物学的有効性を有するナノ複合材料の調製方法。
【請求項3】
植物の葉面におけるナノ材料の生物学的有効性を改善する方法であって、
アンモニア水、脱イオン水、エタノール、ホルムアルデヒド溶液とレゾルシノールを混合し、均一に撹拌した後、オルトケイ酸テトラエチルを添加し、撹拌して混合物を取得してから、混合物にホルムアルデヒドとレゾルシノールを添加し続け、撹拌して反応させ、終了後、遠心分離、固体収集、洗浄、乾燥、焼成により、NanoSiを取得するステップ(1)と、
得られたNanoSiをエタノールに溶解させてから、カーボンドットCDsを添加し、溶液が揮発するまで、溶液をゆっくり撹拌することで、固体ナノ複合材料Nano-CDsを取得するステップ(2)と、を含むことを特徴とする、植物の葉面におけるナノ材料の生物学的有効性を改善する方法。
【請求項4】
植物の葉面において高い生物学的有効性を有するナノ複合材料の調製方法であって、
アンモニア水、脱イオン水、エタノール、ホルムアルデヒド溶液とレゾルシノールを混合し、均一に撹拌した後、オルトケイ酸テトラエチルを添加し、撹拌して混合物を取得してから、混合物にホルムアルデヒドとレゾルシノールを添加し続け、撹拌して反応させ、終了後、遠心分離、固体収集、洗浄、乾燥、焼成により、NanoSiを取得するステップ(1)と、
得られたNanoSiをエタノールに溶解させてから、カーボンドットCDsを添加し、溶液が揮発するまで、溶液をゆっくり撹拌することで、固体ナノ複合材料Nano-CDsを取得するステップ(2)と、を含むことを特徴とする、植物の葉面において高い生物学的有効性を有するナノ複合材料の調製方法。
【請求項5】
ステップ(1)における前記混合物において、脱イオン水に対するオルトケイ酸テトラエチルの体積分率は6%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(1)において、混合物にホルムアルデヒドとレゾルシノールを添加し続ける過程で、レゾルシノールの添加量は混合物におけるレゾルシノールの2倍の量であり、ホルムアルデヒドの添加量は混合物におけるホルムアルデヒドの2倍の量であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(2)において、NanoSiに対するエタノールの使用量は450mL/100mgであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(2)において、NanoSiとカーボンドットCDsとの質量比は1:1であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(2)において、ゆっくり撹拌する回転速度は150rpmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の方法により取得された植物の葉面において高い生物学的有効性を有するナノ複合材料。
【請求項11】
請求項3又は4に記載の方法により取得された植物の葉面において高い生物学的有効性を有するナノ複合材料。
【請求項12】
請求項1に記載の方法の農業生産量を向上させるための応用。
【請求項13】
請求項10に記載のナノ複合材料の農業生産量を向上させるための応用。
【請求項14】
請求項11に記載のナノ複合材料の農業生産量を向上させるための応用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、具体的に、植物の葉面におけるナノ材料の生物学的有効性を向上させる方法に関し、肥料技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
現在、食糧の需要量が顕著に増大しているが、作物の理想的な生産量が実現できないと共に、一般的には、深刻な環境問題が引き起こされている。近年は、農業におけるナノ材料の応用が更に普及し、ここで、ナノ材料の環境負荷がより小さいため、それ自体の特性から、粒径が小さく、活性がより強く、生物学的有効性がより高いことにより、ナノ農薬と肥料の利用効率は従来の農肥に対して10%~30%向上し、更に高い利用効率は、材料の散布の仕方により決定され、一般的には、葉面に噴霧することは、根に散布することより、効率が10%~40%程度高くなる。そのため、上記材料の生物学的有効性の観点から、農業生産量の危機を解決するための信頼できるアイデアを提供することができる。しかし、葉面に材料を噴霧すると、材料が転落するかもしれないため、葉面における材料の捕集率を更に向上させることで、材料の生物学的有効性を更に向上させることができる。
【発明の概要】
【0003】
以上の技術的課題と応用目的に鑑み、本発明の目的は、ナノ材料の生物学的有効性を向上させて改善することである。
【0004】
本発明の技術的解決手段は、
植物の葉面におけるナノ材料の生物学的有効性を改善する方法を提供し、
アンモニア水、脱イオン水、エタノール、ホルムアルデヒド溶液とレゾルシノールを混合し、均一に撹拌した後、オルトケイ酸テトラエチルを添加し、撹拌して混合物を取得してから、混合物にホルムアルデヒドとレゾルシノールを添加し続け、撹拌して反応させ、終了後、遠心分離、固体収集、洗浄、乾燥、焼成により、NanoSiを取得するステップ(1)と、
得られたNanoSiをエタノールに溶解させてから、カーボンドットCDsを添加し、溶液が揮発するまで、溶液をゆっくり撹拌することで、固体ナノ複合材料Nano-CDsを取得するステップ(2)と、を含む。
【0005】
植物の葉面において高い生物学的有効性を有するナノ複合材料の調製方法を提供し、
アンモニア水、脱イオン水、エタノール、ホルムアルデヒド溶液とレゾルシノールを混合し、均一に撹拌した後、オルトケイ酸テトラエチルを添加し、撹拌して混合物を取得してから、混合物にホルムアルデヒドとレゾルシノールを添加し続け、撹拌して反応させ、終了後、遠心分離、固体収集、洗浄、乾燥、焼成により、NanoSiを取得するステップ(1)と、
得られたNanoSiをエタノールに溶解させてから、カーボンドットCDsを添加し、溶液が揮発するまで、溶液をゆっくり撹拌することで、固体ナノ複合材料Nano-CDsを取得するステップ(2)と、を含む。
【0006】
本発明の一実施形態において、ステップ(1)における前記混合物において、アンモニア水の濃度は28wt%である。
【0007】
本発明の一実施形態において、ステップ(1)における前記混合物において、アンモニア水、脱イオン水、エタノールの体積比は3:10:70である。
【0008】
本発明の一実施形態において、ステップ(1)における前記混合物において、ホルムアルデヒド溶液は37wt%の水溶液である。
【0009】
本発明の一実施形態において、ステップ(1)における前記混合物において、ホルムアルデヒド溶液と脱イオン水との質量比は(0.25~0.3):10である。
【0010】
本発明の一実施形態において、ステップ(1)における前記混合物において、レゾルシノールの脱イオン水に対する添加量は0.2g/10mLである。
【0011】
本発明の一実施形態において、ステップ(1)における前記混合物において、脱イオン水に対するオルトケイ酸テトラエチルの体積分率は6%である。
【0012】
本発明の一実施形態において、ステップ(1)において、混合物にホルムアルデヒドとレゾルシノールを添加し続ける過程で、レゾルシノールの添加量は混合物におけるレゾルシノールの2倍の量である。
【0013】
本発明の一実施形態において、ステップ(1)において、混合物にホルムアルデヒドとレゾルシノールを添加し続ける過程で、ホルムアルデヒドの添加量は混合物におけるホルムアルデヒドの2倍の量である。
【0014】
本発明の一実施形態において、ステップ(1)において、焼成は、550℃で5時間連続的に焼成することがある。
【0015】
本発明の一実施形態において、ステップ(1)は、
アンモニア水(28wt%、3mL)、脱イオン水(10mL)とエタノール(AR、95%、70mL)を、ホルムアルデヒド溶液(37wt%、0.28g)とレゾルシノール(0.2g)で構成される溶液に添加し、室温で、500rpmの速度で混合物を6時間磁気撹拌してから、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS、AR、>98%、0.6mL)を添加して30分撹拌した後、レゾルシノール(0.4g)とホルムアルデヒド溶液(37wt%、0.56g)を添加し、混合溶液を2時間撹拌することにより、4000rpmの速度で固体を10分遠心分離し、エタノールで洗浄し、50℃で乾燥させることと、最後に、得られた固体を550℃(加熱速度は2℃/分である)で5時間連続的に焼成してNanoSiを取得することと、を具体的に含む。
【0016】
本発明の一実施形態において、ステップ(2)において、カーボンドットCDsはクエン酸とエチレンジアミンから水熱法により合成して取得される。
【0017】
本発明の一実施形態において、クエン酸とエチレンジアミンの使用量条件は(1~2)g:(300~350)μLである。
【0018】
本発明の一実施形態において、水熱法の条件は200℃で12時間反応することである。
【0019】
本発明の一実施形態において、ステップ(2)において、NanoSiに対するエタノールの使用量は450mL/100mgである。
【0020】
本発明の一実施形態において、ステップ(2)において、NanoSiとカーボンドットCDsとの質量比は1:1である。
【0021】
本発明の一実施形態において、ステップ(2)において、ゆっくり撹拌する回転速度は150rpmである。
【0022】
本発明は、上記方法に基づいて植物の葉面において高い生物学的有効性を有するナノ複合材料を更に調製する。
【0023】
本発明は、上記方法又は上記ナノ複合材料の農業生産量を向上させるための応用を更に提供する。
【0024】
本発明は、以下の有益な技術的効果を有する。
【0025】
本発明は、NanoSi-CDsの付着能力はCDsに対して50.6%~79.8%向上し、耐雨能力は1cm向上する。
【0026】
本発明は、葉面にNanoSi-CDsを噴霧した後、トウモロコシの光合成はCDsに対して110%~140%向上し、バイオマス量は2~4倍であり、作用の有効期間は10日以上(徐放性能)延長する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】(A)はNanoSiのTEM写真であり、(B)はCDsのTEM写真であり、(C)はNanoSi-CDsのTEM写真であり、(D)はCDsがNanoSiに負荷された結晶格子のTEM写真であり、(E)はCDsとNanoSi-CDsのPLスペクトルであり、(F)(G)(H)はそれぞれCDs、NanoSi及びNanoSi-CDsのUV-vis、FTIRとXPSクロマトグラフィーである。
【
図2】(A)と(B)はそれぞれCDsとNanoSi-CDsの葉面の成長角が0°である時の接触角であり、(C)と(D)はそれぞれCDsとNanoSi-CDsの葉面の成長角が30°である時の接触角である。
【
図3】降雨による葉面肥料CDs、NanoSi及びNanoSi-CDsを洗い流す作用を示す。Aは人工模擬降雨装置であり、Bは2.5cmの降水量による第20日の効果の写真であり、C、DとEはそれぞれ比較例で、NanoSi、CDsとNanoSi-CDsにより処理することで0.5cm、1.5cmと2.5cmの降水量で実験した後の正味光合成速度、電子伝達速度とクロロフィルの含有量である。
【
図4】(A)は左から右へそれぞれ材料を噴霧した後の第1日、第10日と第20日の効果の写真であり、(B)~(H)は、正味光合成速度、クロロフィルA、クロロフィルB、電子伝達速度、光システム2(PSII)活性関連遺伝子、光システム1(PSI)活性関連遺伝子と光合成通路図などの光合成パラメータである。
【
図5】比較例1で得られた複合材料のTEM写真である。
【
図6】比較例2で得られた複合材料のTEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、具体的な実施例と併せて、本発明を更に説明する。
【0029】
以下、提供される実施例は本発明の特許請求の範囲を限定するものではなく、記述のステップはその実行順序を制限するものではない。当業者は、従来の公知の常識に合わせて本発明に対して行われる簡単に実現できる改善も、本発明が請求する特許請求の範囲に含まれるべきである。
【0030】
実施例1:ナノ材料(CDsとNanoSi)及びその複合体(NanoSi-CDs)の調製
(1)アンモニア水(28wt%、3mL)、脱イオン水(10mL)とエタノール(AR、95%、70mL)を、ホルムアルデヒド(37wt%、0.28g)とレゾルシノール(0.2g)で構成される溶液に添加する。室温で、500rpmの速度で混合物を6時間磁気撹拌してから、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS、AR、>98%、0.6mL)を添加して30分撹拌する。その後、レゾルシノール(0.4g)とホルムアルデヒド(37wt%、0.56g)を添加し、混合溶液を2時間撹拌する。その後、4000rpmの速度で固体を10分遠心分離し、エタノールで洗浄し、50℃で乾燥させる。最後に、得られた固体を550℃(加熱速度は2℃/分である)で5時間連続的に焼成してNanoSiを取得する。
【0031】
(2)クエン酸(1.05g)とエチレンジアミン(335μL)から水熱法(200℃と12h)によりCDsを合成する。
【0032】
(3)100mgのNanoSiを450mLのエタノールに溶解させ、6h超音波処理し、その後、100mgのCDsを添加する。最後に、60℃で、150rpmの回転速度で、溶液が揮発するまで溶液をゆっくり撹拌することで、固体ナノNano-CDs複合材料を取得する。
【0033】
透過型電子顕微鏡(TEM)を利用してCDs、NanoSi及びNanoSi-CDsの形態及び寸法を示し、結果によれば、NanoSiは球状を呈し、表面は大量の毛状体の物質を有し、直径は250.6±30.5nmであり、毛状体の長さは30.5±6.8nm(
図1A)である。CDs粒径は2.55±0.23nm(
図1B)であり、NanoSiにはカーボンドットの結晶格子(
図1D)を発見し、CDsはNanoSiに成功に負荷されたことが証明されている。
図1Eは、蛍光スペクトルにより再びNanoSiにはカーボンドット蛍光があることが証明されている。CDs、NanoSi及びNanoSi-CDsのUV-vis、FITRとXPSスペクトル(
図1F~H)によりCDsはNanoSiに負荷されたことが更に証明されている。(
図1F~H)。
【0034】
実施例2:NanoSiの付着性能測定
接触角計を用いてトウモロコシの葉面の成長角の0°と30°において、CDsとNanoSi-CDsのそれぞれ1μL、3μLと5μLにおける接触角を測定する(
図2)。結果によれば、NanoSi-CDsのトウモロコシの葉面における接触角がCDsより遥かに小さく、接触角が小さいほど、材料の親水性がより高くなり、すなわち、転落しにくく、葉面における材料の付着能力が向上することが証明されている。表1は、接触角計により測定される付着作用を示し、負荷後のNanoSi-CDsはCDsに比べて更に高い付着能力を有し、すなわち、NanoSi-CDsの付着能力はCDsに対して50.6%~79.8%向上することが更に証明される。
【0035】
表1 葉の表面におけるCDsとNanoSi-CDsの付着作用
実施例3:雨密性実験
雨水がNanoSi-CDsを洗い流す作用を模擬するために人工雨水を設計し、3μmol Mg(NO
3)
2、7μmol MgCl
2、15μmol CaCl
2、6μmol NH
4Cl、10μmol Na
2SO
4、62μmol NaClと8μmol KClを超純水に溶解させる。噴霧瓶法(
図3A)を用いて降雨の過程を模擬する。人工雨水は噴霧瓶に注入され、「雨水」は、トリガーポンプ付きの噴霧装置が取り付けられるボトルにより前側から噴霧され、ボトルの地上高は0.5メートルであり、トウモロコシの葉面との距離は約0.3メートルである。噴霧瓶は、100回噴霧する毎に、約0.5センチメートルの降水量に相当する80ミリリットルの人工雨水を散布することができるように調整される。0.5、1.5、及び2.5cmの降水量でNanoSi-CDsの洗い流す効果を測定する。各サンプルで10回繰り返す。降雨試験後、トウモロコシ作物の各指標を測定する。結果によれば、CDsは1.5cmの降水量でトウモロコシの光合成に対してほぼ効果がなく、CDsはこの降水量でほぼ全てが雨水により地面に洗い流されてしまうことが証明され、NanoSi-CDsは2.5cmの降水量で依然として高い光合成促進効果を保持し、本実験では、NanoSiが、葉面におけるCDsの付着能力を向上させることが更に証明された。
【0036】
実施例4:材料の生物学的有効性を向上した生物学的効果
発芽して均一に成長したトウモロコシの早苗を選択し、1.5kgの土壌を有する鉢植(各鉢植に2株がある)に搬送される。各株の植物に5mLのCDs、NanoSiとNanoSi-CDs分散液(濃度はいずれも10mg・L-1である)を散布し、対照群は超純水(CK)である。その後、連続7日で材料を散布した後、第1日、第5日、第10日、第15日、及び第20日にトウモロコシの葉面を収集して光合成パラメータを測定した。
【0037】
結果によれば、葉面にNanoSi-CDsを噴霧した後、トウモロコシの光合成はCDsに対して110%~140%向上し、バイオマス量は2~4倍であり、作用の有効期間は10日以上延長した。
【0038】
比較例1:
実施例1を参照し、ステップ(3)においてエタノールの使用量をそれぞれ300mL、600mL(すなわち、NanoSi)に変換し、他は変更せず、対応する複合材料を取得する。
【0039】
対応する複合材料の形状を特性評価したところ、取得した対応する複合材料のいずれの表面においても、カーボンドットの結晶格子が発見されなかった。当該方法で有効なカーボンドットの負荷を実現することができなかったことが明らかである。
【0040】
比較例2:
実施例1を参照し、ステップ(3)において回転速度を150rpmからそれぞれ100rpm、300rpmに変換し、他は変更せず、対応する複合材料を取得する。
【0041】
対応する複合材料の形状を特性評価したところ、取得した対応する複合材料のいずれの表面においても、カーボンドットの結晶格子が発見されなかった。当該方法で有効なカーボンドットの負荷を実現することができなかったことが明らかである。
【国際調査報告】