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  • 特表-高塔電子装置の防雷保護装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】高塔電子装置の防雷保護装置
(51)【国際特許分類】
   H05F 3/02 20060101AFI20241031BHJP
   H02G 13/00 20060101ALI20241031BHJP
   H02H 9/04 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H05F3/02 P
H02G13/00
H02H9/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501845
(86)(22)【出願日】2023-09-15
(85)【翻訳文提出日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 CN2023119015
(87)【国際公開番号】W WO2024067156
(87)【国際公開日】2024-04-04
(31)【優先権主張番号】202211201114.3
(32)【優先日】2022-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524015577
【氏名又は名称】張 健
【氏名又は名称原語表記】ZHANG Jian
【住所又は居所原語表記】Room 601, Unit 3, Building 1, West Lake Mansion, Xihu District, Hangzhou, Zhejiang,310012, CHINA
(71)【出願人】
【識別番号】524015588
【氏名又は名称】張 華
【氏名又は名称原語表記】ZHANG Hua
【住所又は居所原語表記】Room 601, Unit 3, Building 1, West Lake Mansion, Xihu District, Hangzhou, Zhejiang,310012, CHINA
(71)【出願人】
【識別番号】524015599
【氏名又は名称】張 京倫
【氏名又は名称原語表記】ZHANG Jinglun
【住所又は居所原語表記】Room 601, Unit 3, Building 1, West Lake Mansion, Xihu District, Hangzhou, Zhejiang,310012, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】張 健
【テーマコード(参考)】
5G013
5G067
【Fターム(参考)】
5G013AA01
5G013BA02
5G067AA11
5G067DA02
5G067DA32
5G067EA10
(57)【要約】
本発明は、高塔電子装置の防雷保護装置に関する。雷電荷絶縁バリアと、対地絶縁避雷器と、雷インパルスエネルギー消費吸収装置と、二層導体同軸ケーブルとを含む。雷電荷絶縁バリアは、高塔頂部に取り付けられる。対地絶縁避雷器は、金属導体であり、上記雷電荷絶縁バリアの頂部に設けられ、且つ塔体と絶縁する。雷インパルスエネルギー消費吸収装置は、コンデンサ極板、極性誘電体及び絶縁タンク容器を含み、上記絶縁タンク容器内の両側にコンデンサ極板が対称に取り付けられ、上記誘電体が絶縁タンク容器に充填され、誘電体における誘電材料分極効果の緩和特徴によって高周波パルス効果を生成し、さらに誘電体において双極子分極損失を生成して雷電界エネルギーを消費する。二層導体同軸ケーブルは、上記対地絶縁避雷器と雷インパルスエネルギー消費吸収装置に接続され、対地絶縁避雷器における雷を雷インパルスエネルギー消費吸収装置に誘導し、上記雷インパルスエネルギー消費吸収装置の他端は接地端に接続される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高塔電子装置の防雷保護装置であって、
雷電荷絶縁バリアと、対地絶縁避雷器と、雷インパルスエネルギー消費吸収装置と、二層導体同軸ケーブルと、を含み、
前記雷電荷絶縁バリアは、高電圧に耐える絶縁材料で構成され、高塔頂部に取り付けられ、
前記対地絶縁避雷器は、金属導体であり、前記雷電荷絶縁バリアの頂部に設けられ、且つ塔体と絶縁し、
前記雷インパルスエネルギー消費吸収装置は、コンデンサ極板、極性誘電体及び絶縁タンク容器を含み、前記絶縁タンク容器内の両側にコンデンサ極板が対称に取り付けられ、前記誘電体が絶縁タンク容器に充填され、誘電体における誘電材料分極効果の緩和特徴によって高周波パルス効果を生成し、さらに誘電体において双極子分極損失を生成して雷電界エネルギーを消費し、
前記二層導体同軸ケーブルは、前記対地絶縁避雷器と雷インパルスエネルギー消費吸収装置に接続され、対地絶縁避雷器における雷を雷インパルスエネルギー消費吸収装置に誘導し、前記雷インパルスエネルギー消費吸収装置の他端は接地端に接続される、ことを特徴とする高塔電子装置の防雷保護装置。
【請求項2】
前記二層導体同軸ケーブルは内から外まで、内コア層導体、中間絶縁層、外コア層導体及び外層絶縁層という四層に分けられ、前記内部コア層導体の一端は対地絶縁避雷器の一端に接続され、他端は雷インパルスエネルギー消費吸収装置の一端に接続され、前記外コア層導体は接地端に接続される、ことを特徴とする請求項1に記載の高塔電子装置の防雷保護装置。
【請求項3】
【請求項4】
【請求項5】
前記液相体は水、塩水、炭酸プロピレンの一種又は二種以上の組み合わせである、ことを特徴とする請求項4に記載の高塔電子装置の防雷保護装置。
【請求項6】
前記固相粒子はチタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸銅カルシウムの一種又は二種以上を混合してなり、
或いは前記固相粒子は、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸銅カルシウムのいずれか一種又は二種以上と、粘土、カオリン、石膏のうちの一種又は二種以上と、を混合してなる、ことを特徴とする請求項4に記載の高塔電子装置の防雷保護装置。
【請求項7】
前記固相粒子と液相体との体積分率比は1:1~1:15である、ことを特徴とする請求項4に記載の高塔電子装置の防雷保護装置。
【請求項8】
前記固相粒子はさらに、強磁性特性を有する材料を含み、磁性材料付きの誘電体は雷電場エネルギーを吸収することにより磁界エネルギーに変換し、且つ磁性流体の膨張又は圧力変化により電気エネルギーの吸収過程を実現する、ことを特徴とする請求項4に記載の高塔電子装置の防雷保護装置。
【請求項9】
前記強磁性特徴を備える材料は、フェライト粉末、四酸化三鉄粉末、酒石酸カリウムナトリウム、リン酸二水素カリウムのうちの一種又は二種以上を混合してなる、ことを特徴とする請求項8に記載の高塔電子装置の防雷保護装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は防雷及び高電圧工事技術分野に関し、特に雷電エネルギー吸収消費式避雷針システム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
雷は大気の短時間での強い放電の自然現象であり、世界的には、一日当たり平均800万回程度の雷が発生し、各雷はマイクロ秒レベルの瞬間に、5.5×10J/Ω程度のエネルギーを放出する。雷は人間が依存する自然資源及び人間が創造した物質文明に対して巨大な脅威を構成し、例えば、森林火災は50%以上が雷によって誘発される。人々が居住する建物はしばしば落雷破壊される。電力、交通、石油化学などの産業施設は、落雷によって災害事故がしばしば発生する。
【0003】
約二百年以上にわたり、フランクリンが発明した避雷針を用いて落雷を防止している。 避雷針の役割は雷雲の電界歪みを引き起こし、雷を自身に導き、被保護物を落雷から守ることである。避雷針は雷を効果的に吸引することができるが、その保護効果は満足できず、一方、高すぎる誘導電圧の危害が特に大きく、避雷針に落雷する時、激しい電磁振動のため、その周辺に強力な誘導電磁界を有し、それは強電及び弱電装置の損傷を引き起こすことがあり得る。他方、避雷針が特に反撃電圧を形成しやすく、それは可燃性、爆発性物質及び弱電装置を保護することができず、可燃性、爆発性物質が避雷針近傍に誘導された火花に接触する時、爆発を十分に引き起こし、巨大な損失を引き起こすためである。
【0004】
スイッチ型電荷増幅器プラズマ避雷システムであって、特許番号がCN03103706.2であり、プラズマ技術を使用するが、その原理は一つの高圧電源を配置して発生したプラズマ異方性電荷と雷を中和する原理である。
【0005】
自己エネルギー消費型線路総合防雷装置であって、特許番号は201810747456.2であり、該特許設計はインダクタンス線とコンデンサで構成される消費回路において、現在の高圧コンデンサの製造技術に基づき、100kV/0.1uFのコンデンサを選択して計算すれば、雷の電圧値が1億ボルト~10億ボルトに達するため、コンデンサを破壊しないようにするには、100kVのコンデンサを数千台直列接続する必要がある。実際の防雷工事において、このような莫大な費用は耐えられず、これによりコンデンサを用いて雷を消費することは実際現場で実施できない。
【0006】
液体電気効果(electrohydraulic effect)及びパスカル原理に基づく消弧防雷方法であって、特許番号は202110909447.0であり、該発明は絶縁油を液体電気効果として雷電エネルギーを吸収する方法を提供し、電界が電極中間の絶縁媒体に放電する時、高圧電界が絶縁油を破壊して破壊通路を形成し、油ガス化、炭化及び圧力膨張が発生し、エネルギー放出の過程を行う。その欠点は以下のとおりである:落雷が初めて絶縁油を破壊した後に後続の絶縁油の絶縁性能の低下を引き起こして耐用年数に影響を与える。
【0007】
従来の避雷針システムにおける技術に存在する問題は以下のとおりである:
避雷針は雷誘引作用を有し、雷電が避雷器(lightning arrester)に吸引された後、強力な雷電流が針に沿って大地に流入する過程において、強力な電磁パルスを生成するが、効果的なエネルギー吸収過程を実現できない。
雷電が針に吸引されると、数千アンペアの高周波電流が避雷針及びその接地引下線並びに接地装置を通過し、エネルギー吸収がない避雷針とリード線の電圧が高いため、針と被保護物との間の距離が安全距離より小さい場合、針及び引下線から被保護物へ反撃過電圧が発生し、保護されるコンピュータ及び通信機器を損傷する。純鉄材料を高周波電流通路とすることは電気的高インピーダンス閉塞障害を引き起こし、それにより過電圧危害をより発生しやすい。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は従来技術に存在する不足を克服することであり、元の高塔、鉄塔又は避雷針の頂端に高周波雷インパルスを通過させることができる低周波インピーダンス通路を設置することにより、雷インパルスを高圧同軸ケーブル線から雷インパルスエネルギー消費吸収装置に導いて吸収消費プロセスを行う。
【0009】
このため、本発明の上記目的は以下の技術的解決手段によって実現される:
高塔電子装置の防雷保護装置であって、高塔(すなわちフランクリン式避雷針)の頂部に取り付けられた耐高電圧の絶縁材料で構成された雷電荷絶縁バリア、及び上記雷電荷絶縁バリアの頂部に設けられた金属対地絶縁避雷器を含む。対地絶縁避雷器は雷電荷絶縁バリアによって塔体と絶縁する。上記対地絶縁避雷器は二重導体同軸ケーブル線を介して近地上に取り付けられた雷インパルスエネルギー消費吸収装置に接続される。上記雷インパルスエネルギー消費吸収装置の他端は接地端に接続される。雷インパルスエネルギー消費吸収装置は、コンデンサ極板、極性誘電体及び絶縁タンク容器を含む。上記絶縁タンク容器内の両側にコンデンサ極板が対称に取り付けられ、上記誘電体が絶縁タンク容器に充填され、誘電体における誘電材料分極効果の緩和特徴によって高周波パルス効果を生成し、さらに誘電体において双極子分極損失を生成して雷電界エネルギーを消費する。雷電荷絶縁バリアは耐高圧の碍子又はスリーブ式高圧碍子であり、碍子材料はセラミック碍子又はシリコーンゴム複合碍子体であり、耐圧レベルは100kVより大きい。対地絶縁避雷器は金属導体ロッドであり、鉄ロッド、ステンレス鋼ロッド、銅ロッド、アルミニウムロッド等の中実又は空芯導電体であってもよく、雷電荷絶縁バリアの上端に取り付けられ、地上電位Gと絶縁状態を呈する。二層導体同軸ケーブルは汎用導線に比べ、低周波インピーダンスと無誘導型の特徴を有し、その二層導体間は容量特性を呈する。
【0010】
好ましくは、上記二層導体同軸ケーブルは内から外まで、内コア層導体、中間絶縁層、外コア層導体及び外層絶縁層という四層に分けられる。上記内部コア層導体の一端は対地絶縁避雷器の一端に接続され、他端は雷インパルスエネルギー消費吸収装置の一端に接続される。上記外コア層導体は接地端に接続される。内コア層導体材料は銅コア又はアルミニウムコアである。雷は高圧であるため、中間絶縁層の材料は高圧50~100kVレベルに耐えるポリエチレン又は架橋ポリエチレンである必要があり、外コア層導体材料は銅であり、外層絶縁層材料はプラスチック被覆材料である。
【0011】
【0012】
【0013】
好ましくは、上記液相体は水、塩水、炭酸プロピレンの一種又は二種以上の組み合わせである。
【0014】
好ましくは、上記固相粒子はチタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸銅カルシウムの一種又は二種以上を混合してなる。或いは上記固相粒子はチタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸銅カルシウムのいずれか一種又は二種以上と、粘土、カオリン、石膏のうちの一種又は二種以上とを混合してなる。チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸銅カルシウムはいずれも強誘電性化合物材料であり、高誘電率を有し、十分な誘電率を保証する上で、粘土、カオリン、石膏のうちの一種又は二種以上を混合することによってコストを低減することができる。
【0015】
好ましくは、上記固相粒子と液相体との体積分率比は1:1~1:15である。
【0016】
好ましくは、上記固相粒子はさらに強磁性特性を有する材料を含み、磁性材料付きの誘電体は雷電場エネルギーを吸収することにより磁界エネルギーに変換し且つ磁性流体の膨張又は圧力変化により電気エネルギーの吸収過程を実現する。
【0017】
好ましくは、上記強磁性特徴を備える材料はフェライト粉末、四酸化三鉄粉末、酒石酸カリウムナトリウム、リン酸二水素カリウムのうちの一種又は二種以上を混合してなる。
【0018】
本発明は元の高塔、鉄塔又は避雷針の頂端に一つの対地絶縁避雷器を設置し、且つ二層導体同軸ケーブルで構築された低周波インピーダンス通路により、雷インパルスを雷インパルスエネルギー消費吸収装置に導く。このような無誘導型(容量性特性のみ)の避雷針避雷装置を採用し、雷電の電磁パルスが避雷針と大地コンデンサで構成されるR-L-C高周波共振による近傍の電子通信機器への大きな破壊を防止するとともに、雷インパルスエネルギー消費吸収装置の極性誘電体における誘電材料分極効果の緩和特性によって高周波パルス効果を発生し、さらに極性誘電体において双極子分極損失の現象を発生して雷電界エネルギーを消費し、この過程は雷エネルギーを効果的に吸収し、それにより避雷針底部における雷残圧の電位と雷電流値を低減して、通常の5kA~50kAから数百アンペアの電流レベルに降下させ、塔体付近の電子電気機器の安全を保護する。誘電体分極が雷インパルスエネルギーを吸収する原理を採用し、液相媒体はコロナ放電の物理的形態であるため、誘電体はこのとき雷高電圧によって破壊されず、絶縁性能が保護され、破壊された後の遊離媒体の影響を受けず、複数回繰り返して使用できる動作方式であり、耐用年数が長く、防雷消費能力が長年にわたって変わらない特徴を有し、製品の経済性及び耐久性を向上させる。本発明は雷インパルスエネルギー消費吸収装置のみに吸収の容量要求があり、接地の抵抗値(中国語の国家規定要求<5-10Ω)に要求がなく、それにより鉄塔地下の接地網の投資コストを低減させる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明のシステム装置の構造概略図である;
図2図2は、本発明における雷インパルスのエネルギー消費吸収装置の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下本発明の実施例における図面を参照し、本発明の実施例における技術的解決手段を明瞭、完全に説明し、明らかに、説明された実施例は単に本発明の一部の実施例であり、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づき、当業者は創造的な労働をしない前提で得られた全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0021】
本装置の設計目的は、接地網が雷電エネルギーを吸収して消費する過程に依存せず、対地絶縁の避雷器を設置し、地上電荷が直接空中電荷と短絡して大電流を形成する行為を回避することができ、設計された容量性特性の避雷針避雷装置は雷インパルスエネルギー消費吸収装置を加えて雷の高周波発振を効果的に回避して95%以上の雷インパルスエネルギー値を吸収することができる。
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
雷波形エネルギーは主に1kHz周波数帯域幅内に集中し、そのエネルギー蓄積は既にパルス波形の総エネルギーの70%以上に達し、雷波形の90%のエネルギー帯域幅は1~30kHzである。
【0026】
【0027】
このため、R-L-C高周波共振を防止するために無誘導型の避雷針避雷装置を設計することにより、容量特性の防雷避雷装置は雷の高周波発振を効果的に回避することができる。
【0028】
【0029】
2、極性誘電体における放電とTrichelパルスのメカニズム過程分析である。
極性分子からなる極性誘電体の放電では、負コロナ放電の初期段階からカー効果によるTrichelパルス放電が発生する。負極性とは液体又は気体分子又は原子が電子に対して強い親和性を有し、コロナ電極(一般的に小さい曲率半径を有する電極を指す)に印加された電圧が開始電圧を超え、コロナ電極表面近傍の電界がイオン化の閾値電界を超え、さらに分極開始の過程を生成する。Trichelパルスとクラスタ放電の高周波パルスは類似性を有し、この類似性はTrichelパルスがちょうど発生段階にある時に最も顕著に現れる。このときの電流パルスは急峻なフロンティアを示し、同時に複数の異なるピークが出現し、Trichelパルス周波数は、f=10KHz~250KHzの間である。
【0030】
3、磁性粒子を添加する極性誘電体の雷電エネルギー変換過程である。
1)磁気粘性流体(magnetorheological fluid)は磁場で磁化しやすい固体微粒子が液相に分散して形成された懸濁液であり、微粒子の透磁率μが基液と異なるため、外部電界Eの作用で微粒子が励起される。磁気粘性流体の分極は、磁気双極子モデルで近似することもできる。双極子間の力が十分に強ければ、微粒子は鎖状に凝集し、さらに柱状又は他の構造を形成し、固液分離が起こる可能性がある。この構造変化は、懸濁液の粘性の大きな変化をもたらし、その変化過程は、エネルギーの吸収及び損失過程を含む。この過程は、瞬時(ミリ秒単位で)に行うことができ、可逆的であり、良好な反復性を有する。
【0031】
【0032】
3)磁性液体の磁化強度Mが外部磁界強度Hに比例する場合である。
磁性液体中でB、H、Mの3つのベクトルが平行であるとすると、
B=μ(H+M)=μH
したがって、
μM=(μ-μ)H
一般に磁化強度Mと透磁率μの関数関係は下記の通りである:
M=M(T,V,H),μ=μ(T,V,H)
磁性液体の磁化強度Mが外部磁界強度Hに比例する線形磁化過程では、透磁率μは比容積vのみに依存し、磁界強度Hとは無関係である。
【0033】
【0034】
雷電エネルギーの関連技術パラメータ値である。
【0035】
本発明の装置の具体的な実施例は以下のとおりである:
図1に示すように、具体的な実施において、高塔8電子装置の防雷保護装置であって、高塔8(すなわちフランクリン式避雷針)の頂部に取り付けられた耐高電圧の絶縁材料で構成された雷電荷絶縁バリア1、及び上記雷電荷絶縁バリア1の頂部に設けられた金属対地絶縁避雷器2を含む。対地絶縁避雷器2は雷電荷絶縁バリア1によって塔体と絶縁する。上記対地絶縁避雷器2は二重導体同軸ケーブル線3を介して近地上に取り付けられた雷インパルスエネルギー消費吸収装置4に接続される。雷インパルスエネルギー消費吸収装置4の他端は接地端に接続される。
【0036】
図2に示すように、雷インパルスエネルギー消費吸収装置4は、2枚対向して取り付けられたコンデンサ極板42、極性分子からなる極性誘電体43溶液及び絶縁タンク容器44を含む。上記絶縁タンク容器44内の両側にコンデンサ極板42が対称に取り付けられ、上記極性誘電体43溶液が絶縁タンク容器44に充填され、極性誘電体43溶液は絶縁タンク容器44に満たされる。コンデンサ極板42は完全に液相媒体極性誘電体43溶液に浸漬され、コンデンサ極板42の両端はそれぞれリード線41を介して雷入口端又は避雷針上端と接地端に接続される。或いは雷インパルスエネルギー消費吸収装置4は酸化亜鉛避雷器と直列接続された後、上、下両端は保護された電気機器の帯電端及び接地端に接続される。雷が消費吸収装置を通過した後、その内部の極性誘電体43溶液における誘電体材料の分極効果の緩和特徴によってTrichel高周波パルス効果を生成し、さらに極性誘電体43溶液において双極子分極損失の現象を発生して雷電界エネルギーを消費し、このように落雷放電の衝撃電流値を大幅に低減することができ、すなわち通常の20kA~50kA放電電流から数百アンペアの電流レベルに降下させ、且つ鉄塔本体の残圧値を顕著に低下させる。誘電体分極が雷インパルスエネルギーを吸収する原理を採用し、液相媒体はコロナ放電の物理的形態であるため、誘電体はこのとき雷高電圧によって破壊されず、絶縁性能が保護され、破壊された後の遊離媒体の影響を受けず、複数回繰り返して使用できる動作方式は、耐用年数が長く、防雷消費能力が長年にわたって変わらない特徴を有し、製品の経済性及び耐久性を向上させる。
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
雷電荷絶縁バリア1は耐高圧の碍子又はスリーブ式高圧碍子であり、碍子材料はセラミック碍子又はシリコーンゴム複合碍子体であり、耐圧レベルは100kVより大きい。対地絶縁避雷器2は金属導体ロッドであり、鉄ロッド、ステンレス鋼ロッド、銅ロッド、アルミニウムロッド等の中実又は空芯導電体であってもよく、雷電荷絶縁バリア1の上端に取り付けられ、地上電位Gと絶縁状態を成す。二層導体同軸ケーブル3は汎用導線に比べ、低周波インピーダンスと無誘導型の特徴を有し、その二層導体間は容量特性を呈する。このような無誘導型(容量性特性のみ)の避雷針避雷装置を採用し、雷電磁パルスが避雷針と大地コンデンサで構成されるR-L-C高周波共振による近傍の電子通信機器への大きな破壊を防止するとともに、雷インパルスエネルギー消費吸収装置4の極性誘電体43における誘電材料分極効果の緩和特性によって液相体中に高周波パルス効果を発生し、さらに極性誘電体43において双極子分極損失の現象を発生して雷電界エネルギーを消費し、この過程で雷エネルギーを効果的に吸収し、それにより避雷針底部における雷残圧の電位と雷電流値を低減して、通常の5kA~50kAから数百アンペアの電流レベルに降下させ、塔体付近の電子電気機器の安全を保護する。
【0044】
【0045】
二層導体同軸ケーブルは内から外まで、内コア層導体31、中間絶縁層32、外コア層導体33及び外層絶縁層34という四層に分けられる。内部コア層導体31の一端は対地絶縁避雷器2の一端に接続され、他端は雷インパルスエネルギー消費吸収装置4の一端に接続される。外コア層導体33は接地端に接続される。内コア層導体31の材料は銅コア又はアルミニウムコアである。雷は高圧であるため、中間絶縁層32の材料は高圧50~100kVレベルに耐えるポリエチレン又は架橋ポリエチレンである必要があり、外コア層導体33の材料は銅であり、外層絶縁層34の材料はプラスチック被覆材料である。二重導体同軸ケーブルの取り付け長さは30メートルより大きいことが要求され、その内コア層導体31と外コア層導体33との間の容量効果C>20nFにさせる。同軸ケーブルは低周波インピーダンス特徴を有し、高耐圧の低周波インピーダンス同軸ケーブルを導波路として、サイドフラッシュを引き起こさず、すなわち雷波進行波における残留電圧振幅を低減することができる。計画的な余剰吸収方法を行うとともに、雷電磁パルスが避雷針と大地コンデンサとで構成されるR-L-C高周波共振により近傍の電子通信機器に大きな破壊を与えることを防止する。
【0046】
一実施例では、固相粒子は、強磁性特性を有する材料をさらに含む。材料は強磁性特徴付きのフェライト粉末、四酸化三鉄粉末、強磁性強誘電体特徴を有する酒石酸カリウムナトリウム、リン酸二水素カリウムのうちの一種又は二種以上を混合してなる。同時に上記材料のうちの一種又は多種を、黄鉄鉱特性を含む粘土又は強磁性カオリン粒子粉末のうちの一種又は多種と混合することもできる。磁性を有する極性誘電体は雷電界エネルギーを吸収することによってさらに磁場エネルギーに変換し、且つ磁性流体膨張によって電気エネルギーの変換過程を実現する。
【0047】
【0048】
【0049】
当業者にとって、本発明は上記例示的な実施例の詳細に限定されないことは明らかであり、且つ本発明の精神又は基本的な特徴から逸脱しない場合、他の具体的な形態で本発明を実現することができる。したがって、いずれの点においても、実施例は例示的なものであって、非限定的なものと見なすべきであり、本発明の範囲は上記説明ではなく添付の特許請求の範囲によって定義され、したがって特許請求の範囲の同等要件の意味及び範囲内にある全ての変更を本発明に包含することを意図する。請求項におけるいかなる参照符号も、請求項を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0050】
また、理解すべきものとして、本明細書は実施形態に基づいて説明するが、各実施形態は一つの独立した技術的解決手段のみを含むものではなく、明細書のこのような記載方式は単に明確にするためであり、当業者は明細書を全体とすべきであり、各実施例における技術的解決手段は適宜組み合わせることができ、当業者に理解される他の実施形態を形成することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 雷電荷絶縁バリア、2 対地絶縁避雷器、3 二層導体同軸ケーブル、31 内コア層導体、32 中間絶縁層、33 外コア層導体、34 外層絶縁層、4 雷インパルスエネルギー消費吸収装置、41 リード線、42 コンデンサ極板、43 極性誘電体、44 絶縁タンク容器、5 絶縁プラットフォーム、6 絶縁フープ、7 塔上電子装置、8 高塔
図1
図2
【国際調査報告】