(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】光学積層体およびその製造方法と、それを含むスマートウィンドウ、それを適用した自動車および建物用建具
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1343 20060101AFI20241031BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20241031BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20241031BHJP
E06B 9/24 20060101ALI20241031BHJP
B60J 1/00 20060101ALI20241031BHJP
B60J 3/04 20060101ALI20241031BHJP
B32B 7/022 20190101ALI20241031BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20241031BHJP
G02F 1/1339 20060101ALI20241031BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
G02F1/1343
G02B5/30
G02F1/13 505
E06B9/24 C
B60J1/00 H
B60J3/04
B32B7/022
G02F1/1335 510
G02F1/1339 500
G02F1/1333
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507947
(86)(22)【出願日】2022-09-20
(85)【翻訳文提出日】2024-02-07
(86)【国際出願番号】 KR2022014003
(87)【国際公開番号】W WO2023048445
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】10-2021-0127369
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ヒョン-ソン
【テーマコード(参考)】
2H088
2H092
2H149
2H189
2H291
4F100
【Fターム(参考)】
2H088EA34
2H088FA02
2H088HA02
2H088HA03
2H088JA05
2H088JA10
2H092HA03
2H092NA25
2H092NA27
2H092PA02
2H092PA03
2H092PA11
2H092QA07
2H092QA10
2H092RA10
2H149AA23
2H149AB15
2H149BA02
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2H149FA02X
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2H149FA05X
2H149FA05Z
2H189DA04
2H189DA07
2H189EA03Y
2H189EA04Y
2H189FA47
2H189FA52
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2H189JA08
2H189JA10
2H291FA22X
2H291FA22Z
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2H291FB02
2H291FB05
2H291FC07
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2H291GA05
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2H291HA06
2H291HA09
2H291HA11
2H291LA11
2H291LA31
2H291MA20
2H291PA42
2H291PA44
4F100AJ04
4F100AJ04A
4F100AJ04E
4F100AK01
4F100AK01B
4F100AK01D
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4F100JN10
4F100JN10A
4F100JN10E
(57)【要約】
本発明は、第1偏光板と、前記第1偏光板の一面上に形成される第1透明導電層と、前記第1偏光板と対向する第2偏光板と、前記第2偏光板の一面上に形成され、前記第1透明導電層と対向する第2透明導電層と、前記第1透明導電層および第2透明導電層の間に備えられる液晶層と、を含み、前記第1透明導電層および第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、前記第1偏光板および第2偏光板のいずれか一つの偏光板と直接接触して形成され、前記第1透明導電層および第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、伝導性高分子を含み、前記第1透明導電層および第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、1%超過10%以下の引張ひずみで、下記の式1によって算出されたクラック密度値の少なくとも一つの値が、0ないし0.05である、透過率可変光学積層体およびその製造方法と、それを含むスマートウィンドウ、それを適用した自動車および建物用建具に関するものである。
[式1]
ρ(ε)=l(ε)/A
(前記式1において、前記εは、引張ひずみ(%)であり、前記Aは、観測領域の面積(mm2)であり、前記ρ(ε)は、引張ひずみεで算出された透明導電層のクラック密度値であり、前記l(ε)は、引張ひずみεで測定された観測領域Aでの透明導電層のクラック面積(mm2)を意味する。)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1偏光板と、
前記第1偏光板の一面上に形成される第1透明導電層と、
前記第1偏光板と対向する第2偏光板と、
前記第2偏光板の一面上に形成され、前記第1透明導電層と対向する第2透明導電層と、
前記第1透明導電層および第2透明導電層の間に備えられる液晶層と、を含み、
前記第1透明導電層および第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、前記第1偏光板および第2偏光板のいずれか一つの偏光板と直接接触して形成され、
前記第1透明導電層および第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、伝導性高分子を含み、
前記第1透明導電層および第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、1%超過10%以下の引張ひずみで、下記の式1によって算出されたクラック密度値の少なくとも一つの値が、0ないし0.05である、透過率可変光学積層体。
[式1]
ρ(ε)=l(ε)/A
(前記式1において、前記εは、引張ひずみ(%)であり、前記Aは、観測領域の面積(mm
2)であり、前記ρ(ε)は、引張ひずみεで算出された透明導電層のクラック密度値であり、前記l(ε)は、引張ひずみεで測定された観測領域Aでの透明導電層のクラック面積(mm
2)を意味する。)
【請求項2】
前記第1透明導電層および第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、εが2%であるとき、前記式1によって算出されたクラック密度値が0である、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項3】
前記第1透明導電層および前記第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、1%以上10%以下の引張ひずみで、下記の式2によって算出された面抵抗増加率の少なくとも一つの増加率が15%以下である、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
[式2]
δ(ε)=[{R.S(ε)/R.S(0)}-1]*100
(前記式2において、前記δ(ε)は、引張ひずみεで算出された透明導電層の面抵抗増加率(%)であり、前記R.S(ε)は、引張ひずみεで測定された透明導電層の面抵抗値(Ω/□)であり、前記R.S(0)は、引張ひずみが0%である初期状態で測定された透明導電層の面抵抗値(Ω/□)であり、前記εは、式1と同一の意味を示す。)
【請求項4】
前記第1透明導電層および第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、εが1%であるとき、前記式2によって算出された面抵抗増加率が15%以下である、請求項3に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項5】
前記伝導性高分子は、ポリチオフェン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリアニリン、ポリアセンチレン、ポリジアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリフェニレンスルファイド、ポリチエニレンビニレン、ポリチオフェンビニレン、ポリフルオレン、ポリピロール、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリスチレンスルホネート、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):カンファスルホン酸、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):トルエンスルホン酸、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリアニリン:ポリスチレンスルホネート、ポリアニリン:カンファスルホン酸、ポリピロール:ポリスチレンスルホネート、ポリピロール:カンファスルホン酸、ポリピロール:トルエンスルホン酸、ポリピロール:ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリチオフェン:ポリスチレンスルホネート、ポリチオフェン:カンファスルホン酸、ポリチオフェン:トルエンスルホン酸、およびチオフェン:ドデシルベンゼンスルホン酸からなる群より選択される1種以上を含む、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項6】
前記第1透明導電層および第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、前記第1偏光板および第2偏光板のいずれか一つの偏光板との間に別途の基材を含まずに、直接接触して形成される、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項7】
前記第1透明導電層および第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、前記第1偏光板および第2偏光板のいずれか一つの偏光板との間に易接着層を含み、直接接触して形成される、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項8】
前記第1偏光板および第2偏光板の少なくとも一つの偏光板は、保護層、位相差調節層および屈折率調節層からなる群より選択される1種以上の機能層を含む、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項9】
前記第1偏光板および前記第2偏光板は、30μmないし200μmの厚さを有する、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項10】
前記液晶層は、ボールスペーサー(Ball spacer)およびコラムスペーサー(Column spacer)からなる群より選択される1種以上を含む、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項11】
前記ボールスペーサー(Ball spacer)は、直径が1μmないし10μmである、請求項10に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項12】
前記ボールスペーサー(Ball spacer)の液晶層内での占有面積は、液晶層面積の0.01%ないし10%である、請求項10に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項13】
前記透過率可変光学積層体は、配向膜、粘接着層、紫外線吸収層およびハードコーティング層からなる群より選択される1種以上をさらに含む、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項14】
請求項1ないし請求項13のいずれか一項に記載の透過率可変光学積層体の製造方法。
【請求項15】
請求項1ないし請求項13のいずれか一項に記載の透過率可変光学積層体を含む、スマートウィンドウ。
【請求項16】
請求項15に記載のスマートウィンドウを、前面窓、後面窓、側面窓、サンループ窓、および内部仕切りの少なくとも一つ以上に適用した、自動車。
【請求項17】
請求項15に記載のスマートウィンドウを含む、建物用建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透過率可変光学積層体およびその製造方法と、それを含むスマートウィンドウ、それを適用した自動車および建物用建具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に車両などの移動手段のガラス窓に外光遮断コーティングを施す場合が多い。しかし、従来の移動手段のガラス窓は透過率が固定されており、外光遮断コーティングも透過率が固定されている。したがって、このような従来の移動手段のウィンドウは全透過率が固定されていて、事故を誘発することがある。例えば、全体的な透過率が低く設定されていたら、周辺に光量が十分な昼間には問題がない。しかし、周辺に光量が十分ではない夜間などの場合には、運転者などが移動手段の周辺をきちんと確認する際に困難性があるという問題点があった。または全体的な透過率が高く設定されていたら、周辺に光量が十分な昼間には運転者などの眩しさを引き起こすことがあるという問題点があった。これにより、電圧が印加されると光の透過性を変化させることができる透過率可変光学積層体が開発された。
【0003】
前記透過率可変光学積層体は、電圧の印加によって液晶を駆動させて透過率を可変させることによって駆動されるが、現在までに開発された透過率可変光学積層体は、液晶駆動のための導電層を別途の基材上に形成した後、これを偏光板などの他の素子と結合して製作される。
【0004】
例えば、日本国特開第2018-010035号公報も、所定の厚さを有するポリカーボネート(PC)基板などに形成された透明電極層を含む透過率可変光学積層体を開示している。
【0005】
しかし、このように導電層を形成するために別途の基材を含む場合、製作工程が複雑になることによって製造費用が上昇し、積層体の厚さが厚くなり、位相差が発生することにより透過率が変化するという問題がある。
【0006】
また、前記透明電極層に主に用いられる電極物質であるITO(Indium Tin Oxide)は無機酸化物であって、小さい外部応力変化にもクラック(crack)が発生し易く、面抵抗が増加して、多様な形態の光学積層体製作に不利がある。
【0007】
したがって、導電層を形成するための別途の基材を含まないことで、製作工程を簡素化し、厚さを減少させることができ、外部応力変化にもクラック(crack)が発生し易くなく、面抵抗変化が少ない、透過率可変光学積層体に対する開発が必要な実情がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、伝導性高分子物質を含有する導電層を含むことによって、外部応力変化による導電層のクラック発生を防止することができる透過率可変光学積層体を提供することを発明の目的とする。
【0009】
また、本発明は、伝導性高分子物質を含有する導電層を含むことによって、外部応力変化による導電層の面抵抗増加率を減少させることができる透過率可変光学積層体を提供することを発明の目的とする。
【0010】
また、本発明は、導電層の形成のための別途の基材を含まないことで、製作工程が簡素化した透過率可変光学積層体を提供することを発明の目的とする。
【0011】
また、本発明は、導電層の形成のための別途の基材を含まないことで、厚さが顕著に減少した透過率可変光学積層体を提供することを発明の目的とする。
【0012】
また、本発明は、導電層の形成のための別途の基材を含まないことで、透光モードでの透過率が向上した透過率可変光学積層体を提供することを発明の目的とする。
【0013】
また、本発明は、前記透過率可変光学積層体を含むスマートウィンドウおよびそれを適用した自動車または建物用建具を提供することを発明の目的とする。
【0014】
しかし、本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていないまた他の課題は、下記の記載から通常の技術者に明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、第1偏光板と、前記第1偏光板の一面上に形成される第1透明導電層と、前記第1偏光板と対向する第2偏光板と、前記第2偏光板の一面上に形成され、前記第1透明導電層と対向する第2透明導電層と、前記第1透明導電層および第2透明導電層の間に備えられる液晶層と、を含み、前記第1透明導電層および第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、前記第1偏光板および第2偏光板のいずれか一つの偏光板と直接接触して形成され、前記第1透明導電層および第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、伝導性高分子を含み、前記第1透明導電層および第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、1%超過10%以下の引張ひずみで、下記の式1によって算出されたクラック密度値の少なくとも一つの値が、0ないし0.05である、透過率可変光学積層体に関するものである。
[式1]
ρ(ε)=l(ε)/A
(前記式1において、前記εは、引張ひずみ(%)であり、前記Aは、観測領域の面積(mm2)であり、前記ρ(ε)は、引張ひずみεで算出された透明導電層のクラック密度値であり、前記l(ε)は、引張ひずみεで測定された観測領域Aでの透明導電層のクラック面積(mm2)を意味する。)
【0016】
本発明は、その第1観点において、前記第1透明導電層および第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、εが2%であるとき、前記式1によって算出されたクラック密度値が0のものであってもよい。
【0017】
本発明は、その第2観点において、前記第1透明導電層および前記第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、1%以上10%以下の引張ひずみで、下記の式2によって算出された面抵抗増加率の少なくとも一つの増加率が15%以下のものであってもよい。
[式2]
δ(ε)=[{R.S(ε)/R.S(0)}-1]*100
(前記式2において、前記δ(ε)は、引張ひずみεで算出された透明導電層の面抵抗増加率(%)であり、前記R.S(ε)は、引張ひずみεで測定された透明導電層の面抵抗値(Ω/□)であり、前記R.S(0)は、引張ひずみが0%である初期状態で測定された透明導電層の面抵抗値(Ω/□)であり、前記εは、式1と同一の意味を示す。)
【0018】
本発明は、その第3観点において、前記第1透明導電層および第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、εが1%であるとき、前記式2によって算出された面抵抗増加率が15%以下のものであってもよい。
【0019】
本発明は、その第4観点において、前記伝導性高分子は、ポリチオフェン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリアニリン、ポリアセンチレン、ポリジアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリフェニレンスルファイド、ポリチエニレンビニレン、ポリチオフェンビニレン、ポリフルオレン、ポリピロール、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリスチレンスルホネート、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):カンファスルホン酸、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):トルエンスルホン酸、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリアニリン:ポリスチレンスルホネート、ポリアニリン:カンファスルホン酸、ポリピロール:ポリスチレンスルホネート、ポリピロール:カンファスルホン酸、ポリピロール:トルエンスルホン酸、ポリピロール:ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリチオフェン:ポリスチレンスルホネート、ポリチオフェン:カンファスルホン酸、ポリチオフェン:トルエンスルホン酸、およびチオフェン:ドデシルベンゼンスルホン酸からなる群より選択される1種以上を含むものであってもよい。
【0020】
本発明は、その第5観点において、前記第1透明導電層および第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、前記第1偏光板および第2偏光板のいずれか一つの偏光板との間に別途の基材を含まずに、直接接触して形成されるものであってもよい。
【0021】
本発明は、その第6観点において、前記第1透明導電層および第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、前記第1偏光板および第2偏光板のいずれか一つの偏光板との間に易接着層を含み、直接接触して形成されるものであってもよい。
【0022】
本発明は、その第7観点において、前記第1偏光板および第2偏光板の少なくとも一つの偏光板は、保護層、位相差調節層および屈折率調節層からなる群より選択される1種以上の機能層を含むものであってもよい。
【0023】
本発明は、その第8観点において、前記第1偏光板および前記第2偏光板は、30μmないし200μmの厚さを有するものであってもよい。
【0024】
本発明は、その第9観点において、前記液晶層は、ボールスペーサー(Ball spacer)およびコラムスペーサー(Column spacer)からなる群より選択される1種以上を含むものであってもよい。
【0025】
本発明は、その第10観点において、前記ボールスペーサー(Ball spacer)は、直径が1μmないし10μmのものであってもよい。
【0026】
本発明は、その第11観点において、前記ボールスペーサー(Ball spacer)の液晶層内での占有面積は、液晶層面積の0.01%ないし10%のものであってもよい。
【0027】
本発明は、その第12観点において、前記透過率可変光学積層体は、配向膜、粘接着層、紫外線吸収層およびハードコーティング層からなる群より選択される1種以上をさらに含むものであってもよい。
【0028】
また、本発明は、前記透過率可変光学積層体の製造方法に関するものである。
【0029】
また、本発明は、前記透過率可変光学積層体を含む、スマートウィンドウに関するものである。
【0030】
また、本発明は、前記スマートウィンドウを、前面窓、後面窓、側面窓、サンループ窓、および内部仕切りの少なくとも一つ以上に適用した、自動車に関するものである。
【0031】
また、本発明は、前記スマートウィンドウを含む、建物用建具に関するものである。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る透過率可変光学積層体によると、導電層が伝導性高分子物質を含み、外部応力変化によるクラック発生を防止することによって、従来の光学積層体に対して、多様な形態に対する駆動安全性を向上させることができる。
【0033】
また、本発明に係る透過率可変光学積層体によると、導電層が伝導性高分子物質を含み、外部応力変化による面抵抗増加率を減少させることによって、従来の光学積層体に対して、多様な形態に対する駆動安全性を向上させることができる。
【0034】
また、本発明に係る透過率可変光学積層体によると、従来の光学積層体の形成のために基材上に導電層を形成し、これを他の部材と貼合するなどの工程を省略することができ、従来の光学積層体に対して製作工程を簡素化することができる。
【0035】
また、本発明に係る透過率可変光学積層体によると、偏光板の一面上に直接導電層が形成され、導電層の形成のための別途の基材を含まないことで、従来の光学積層体に対して厚さを顕著に減少させることができる。
【0036】
また、本発明に係る透過率可変光学積層体によると、偏光板の一面上に直接導電層が形成され、導電層の形成のための別途の基材を含まないことで、従来の光学積層体に対して透光モードでの透過率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例に係る透過率可変光学積層体の積層構造を示した図である。
【
図2】
図2は、本発明の一または複数の実施例に係る偏光板の積層構造を示した図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施例に係る透明導電層のクラック面積を測定する方法を示した図である。
【
図4】
図4は、本発明の他の実施例に係る透過率可変光学積層体の積層構造を示した図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施例と比較例による電極積層部材に対して、それぞれの引張ひずみで、光学顕微鏡(Optical Microscope;OM)を用いて撮影された観測領域での透明導電層イメージを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、伝導性高分子を含有する透明導電層を少なくても一つ以上含む透過率可変光学積層体に関するものであって、詳しくは、偏光板の一面上に液晶駆動のための透明導電層を直接形成することによって、導電層の形成のための別途の基材を含まないため、積層体の厚さが減少され、透光モードでの透過率が向上し、前記透明導電層が伝導性高分子を含むことによって、外部応力変化によるクラック発生を防止し、面抵抗増加率を減少させることができる、透過率可変光学積層体に関するものである。
【0039】
より詳しくは、第1偏光板と、前記第1偏光板の一面上に形成される第1透明導電層と、前記第1偏光板と対向する第2偏光板と、前記第2偏光板の一面上に形成され、前記第1透明導電層と対向する第2透明導電層と、前記第1透明導電層および第2透明導電層の間に備えられる液晶層と、を含み、前記第1透明導電層および第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、前記第1偏光板および第2偏光板のいずれか一つの偏光板と直接接触して形成され、前記第1透明導電層および第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、伝導性高分子を含み、前記第1透明導電層および第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層は、1%超過10%以下の引張ひずみで、下記の式1によって算出されたクラック密度値の少なくとも一つの値が、0ないし0.05である、透過率可変光学積層体に関するものである。
[式1]
ρ(ε)=l(ε)/A
(前記式1において、前記εは、引張ひずみ(%)であり、前記Aは、観測領域の面積(mm2)であり、前記ρ(ε)は、引張ひずみεで算出された透明導電層のクラック密度値であり、前記l(ε)は、引張ひずみεで測定された観測領域Aでの透明導電層のクラック面積(mm2)を意味する。)
【0040】
本発明の透過率可変光学積層体は、電圧の印加によって光の透過性を変化させることができる技術分野に特に適しており、例えば、スマートウィンドウ(smart window)に用いることができる。
【0041】
スマートウィンドウ(smart window)とは、電気信号の印加によって光の透過性を変化させて通過される光または熱の量を制御する光学構造物を意味することができるが、これに限定されるものではない。すなわち、スマートウィンドウ(smart window)は、電圧によって透明、不透明または半透明の状態に変化できるように備えられ、透過度可変ガラス、調光ガラスまたはスマートガラス(smart glass)などを含む概念である。
【0042】
スマートウィンドウ(smart window)は、車両および建築物の内部空間の区画用またはプライバシー保護用仕切りに活用されるか、建築物の開口部に配置された採光窓に活用されてもよく、高速道路表示板、掲示板、点数板、時計または広告スクリーンに活用されてもよく、自動車、バス、航空機、船舶または汽車の窓(windows)またはサンルーフのような運送手段のガラスを代替して活用可能である。
【0043】
本発明の透過率可変光学積層体も、前述の様々な技術分野のスマートウィンドウ(smart window)に活用可能であるが、導電層が偏光板に直接形成されることによって、導電層の形成のための別途の基材を含まないため、厚さが薄く屈曲特性に有利で、車両用または建物用スマートウィンドウ(smart window)に特に適合して用いることができる。一または複数の実施形態において、本発明の透過率可変光学積層体が適用されたスマートウィンドウ(smart window)は、自動車の前面窓、後面窓、側面窓およびサンルーフ窓、または建物用建具などに用いることができ、外光遮断用途以外にも、内部仕切りなどのように自動車または建物などの内部空間区画用またはプライバシー保護用にも用いることができる。
【0044】
以下、図面を参考にして、本発明の実施形態をより具体的に説明することにする。ただし、本明細書に添付される以下の図面は、本発明の好ましい実施形態を例示するものであって、前述の発明の内容とともに本発明の技術思想をより理解させる役目を果たすものであるので、本発明は、これらの図面に記載された事項にのみ限定して解釈されてはならない。
【0045】
本明細書で使用される用語は、実施例を説明するためのものであって、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数形は文句で特に言及しない限り、複数形も含む。例えば、本明細書で使用される「偏光板」は、第1偏光板および第2偏光板の少なくとも一つの偏光板を意味するものであってもよく、「透明導電層」は、第1透明導電層および第2透明導電層の少なくとも一つの透明導電層を意味するものであってもよい。
【0046】
本明細書で使用される「含む(comprises)」および/または、「含む(comprising)」は言及された構成要素、ステップ、動作および/または素子以外の一つ以上の他の構成要素、ステップ、動作および/または素子の存在または追加を排除しない意味で使用される。明細書全体にかけて同一の参照符号は同一の構成要素を指す。
【0047】
空間的に相対的な用語である「下」、「底面」、「下部」、「上」、「上面」、「上部」などは、図面に示されているように、一つの素子または構成要素と他の素子または構成要素との相関関係を容易に記述するために使用することができる。空間的に相対的な用語は、図面に示されている方向に加えて、使用時または動作時の素子の互いに異なる方向を含む用語として理解されるべきである。例えば、図面に示されている素子を覆す場合、他の素子の「下」または「下部」と記述された素子は、他の素子の「上」に置かれることもある。したがって、例示的な用語である「下」は下と上の方向をいずれも含むことができる。素子は他の方向にも配向することができ、これにより空間的に相対的な用語は配向に応じて解釈することができる。
【0048】
本明細書内で使用された、「平面方向」は、偏光板および/または透明導電層に対して垂直する方向、すなわちユーザの視認側から眺める方向として解釈することができる。
【0049】
図1は、本発明の一実施例に係る透過率可変光学積層体の積層構造を示した図であり、
図2は、本発明の一または複数の実施例に係る偏光板の積層構造を示した図であり、
図3は、本発明の一実施例に係る透明導電層のクラック面積を測定する方法を示した図であり、
図4は、本発明の他の実施例に係る透過率可変光学積層体の積層構造を示した図である。
【0050】
図1を参照すると、本発明の一実施例に係る透過率可変光学積層体は、第1偏光板100-1、第2偏光板100-2、第1透明導電層200-1、第2透明導電層200-2および液晶層300を含むものであってもよい。
【0051】
図2を参照すると、前記偏光板100は、偏光子110を含み、前記偏光子110の一面または両面上に、保護層120、位相差調節層130および屈折率調節層140などのような機能層をさらに含むものであってもよい。例えば、偏光板100は、偏光子110および前記偏光子110の一面または両面上に積層された保護層120を含むもの(
図2aおよび
図2b参照)であってもよく、偏光子110、前記偏光子110の一面上に積層された保護層120および前記偏光子110の前記一面に対向する他面上に積層された位相差調節層130を含むもの(
図2c参照)であってもよく、偏光子110、前記偏光子の一面上に積層された保護層120および前記偏光子110の前記一面に対向する他面上に順次積層された位相差調節層130および屈折率調節層140を含むもの(
図2d参照)であってもよく、偏光子110、前記偏光子の一面上に積層された保護層120および前記偏光子110の前記一面に対向する他面上に順次積層された保護層120および位相差調節層130を含むもの(
図2e参照)であってもよい。
【0052】
前記偏光子110は、従来のまたは以後に開発される偏光子を用いてもよく、例えば、延伸型偏光子またはコーティング型偏光子などを用いてもよい。
【0053】
一実施例において、前記延伸型偏光子は、延伸したポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol;PVA)系樹脂を含んでもよい。前記ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol;PVA)系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をけん化して得られたポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他に、酢酸ビニルとこれと共重合可能な他の単量体との共重合体などが挙げられる。前記他の単量体としては、不飽和カルボン酸系、不飽和スルホン酸系、オレフィン系、ビニルエーテル系、アンモニウム基を有するアクリアミド系単量体などであってもよい。またポリビニルアルコール(PVA)系樹脂は変性されたものを含み、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールであってもよい。
【0054】
一実施例において、前記コーティング型偏光子は、液晶コーティング用組成物によって形成されてもよく、このとき、前記液晶コーティング用組成物は、反応性液晶化合物および異色性染料などを含んでもよい。
【0055】
前記反応性液晶化合物は、例えば、メソゲン(mesogen)骨格などを含み、さらに重合性官能基を一つ以上含む化合物を意味する。このような反応性液晶化合物は、所謂RM(Reactive Mesogen)という名称で様々に公知されている。前記反応性液晶化合物は、光または熱によって重合され、液晶配列を維持しながら高分子ネットワークが形成された硬化膜を構成することができる。
【0056】
前記反応性液晶化合物は、単官能性または多官能性反応性液晶化合物であってもよい。前記単官能性反応性液晶化合物は、重合性官能基を1個有する化合物であり、多官能性反応性液晶化合物は、重合性官能基を2個以上含む化合物を意味する。
【0057】
前記異色性染料は、液晶コーティング用組成物に含まれ、偏光特性を付与する成分であって、分子の長軸方向における吸光度と短軸方向における吸光度が異なる性質を有する。前記異色性染料は、従来のまたは以後に開発される異色性染料を用いてもよく、例えば、アゾ染料(azo dyes)、アントラキノン染料(anthraquinone dyes)、ペリレン染料(perylene dyes)、メロシアニン染料(merocyanine dyes)、アゾメチン染料(azomethine dyes)、フタルロペリレン染料(phthaloperylene dyes)、インディゴ染料(indigo dyes)、ジオキサジン染料(dioxazine dyes)、ポリチオフェン染料(polythiophene dyes)およびフェノキサジン染料(phenoxazine dyes)からなる群より選択される1種以上を含むものであってもよい。
【0058】
前記液晶コーティング用組成物は、前記反応性液晶化合物および前記異色性染料を溶解可能な溶剤をさらに含んでもよく、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、メチルエチルケトン(MEK)、キシレン(xylene)およびクロロホルム(chloroform)などが用いられてもよい。また、前記液晶コーティング用組成物は、コーティング膜の偏光特性を阻害しない範囲内で、レーベリング剤、重合開始剤などをさらに含んでもよい。
【0059】
前記保護層120は、後工程および外部環境から偏光子110の偏光特性を保存するためのものであって、保護フィルムなどの形態で具現することができる。
【0060】
前記保護層120は、
図2aおよび
図2bに示されているように、偏光子110の一面または両面上に直接接触して形成されてもよいが、これに限定されるものではない。例えば、前記保護層は、一つ以上の保護層が連続的に積層された複層構造として用いられてもよく、他の機能層と直接接触して形成されるものであってもよい。
【0061】
一または複数の実施例において、前記保護層120は、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)、ポリエチレンイソフタレート(polyethylene isophthalate;PEI)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate;PEN)、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate;PBT)、ジアセチルセルロース(diacetyl cellulose)、トリアセチルセルロース(triacetyl cellulose;TAC)、ポリカーボネート(polycarbonate;PC)、ポリエチレン(polyethylene;PE)、ポリプロピレン(polypropylene;PP)、ポリメチルアクリレート(polymethyl acrylate;PMA)、ポリメチルメタクリレート(polymethyl methacrylate;PMMA)、ポリエチルアクリレート(polyethyl acrylate;PEA)、ポリエチルメタクリレート(polyethyl methacrylate;PEMA)および環状オレフィン系ポリマー(cyclic olefin polymer;COP)からなる群より選択される1種以上を含むものであってもよい。
【0062】
前記位相差調節層130は、光学積層体の光学特性を補完するためのものであって、位相差フィルムなどの形態で具現されてもよく、従来のまたは以後に開発される位相差フィルムなどを用いてもよい。例えば、光の位相を遅延させるための四分の一波長板(1/4波長板)または半波長板(1/2波長板)などを用いてもよく、これらを単独でまたは組み合わせて用いてもよい。
【0063】
前記位相差調節層130は、
図2cおよび
図2dに示されているように、偏光子110の一面上に直接接触して形成されてもよいが、これに限定されるものではない。例えば、
図2eに示されているように、前記位相差調節層130が保護層120の一面上に形成され、偏光子110、保護層120および位相差調節層130が順次積層されるものであってもよい。
【0064】
前記位相差調節層130は、延伸によって光学異方性を付与することができる高分子フィルムを適切な方式で延伸した高分子延伸フィルムまたは液晶重合フィルムを用いてもよい。
【0065】
一実施例において、前記高分子延伸フィルムは、ポリエチレン(polyethylene;PE)またはポリプロピレン(polypropylene;PP)などのポリオレフィン、ポリノルボルネン(polynorbornene)などの環状オレフィンポリマー(COP:cyclo olefin polymer)、ポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride;PVC)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile;PAN)、ポリスルホン(polysulfone;PSU)、アクリル樹脂(acryl resin)、ポリカーボネート(polycarbonate;PC)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)などのポリエステル、ポリアクリレート(polyacrylate)、ポリビニルアルコール(polyvinyl acholol;PVA)またはトリアセチルセルロース(triacetyl cellulose;TAC)などのセルロースエステル系ポリマーや、前記ポリマーを形成する単量体の中で2種以上の単量体の共重合体などを含む高分子層を用いてもよい。
【0066】
前記高分子延伸フィルムを得る方法は、特に制限されず、例えば、前記高分子材料をフィルム状に成形した後、延伸することにより得られる。前記フィルム状への成形方法は特に制限されるものではなく、射出成形、シート成形、ブロー成形、射出ブロー成形、インフレーション成形、押出成形、発泡成形、キャスト成形などの公知の方法でフィルムに成形することが可能であり、圧空成形、真空成形などの二次加工成形法を用いてもよい。その中でも、押出成形、キャスト成形が好ましく用いられる。このとき、例えば、Tダイ、円形ダイなどが取り付けられた押出機などを用いて未延伸フィルムを押出成形することができる。押出成形により成形品を得る場合には、予め各種の樹脂成分、添加剤などを溶融混練した材料を用いることもできれば、押出成形時に溶融混練を経て成形することもできる。また、各種の樹脂成分に共通する溶媒、例えば、クロロホルム、二塩化メチレンなどの溶媒を用いて各種の樹脂成分を溶解した後、キャスト乾燥固化することにより、未延伸フィルムをキャスト成形してもよい。
【0067】
前記高分子延伸フィルムは、前記成形されたフィルムを機械的流れ方向(MD;Mechanical Direction、縦方向または長手方向)に一軸延伸、機械的流れ方向の横の方向(TD;Transverse Direction、横方向または幅方向)に一軸延伸してもよく、またロール延伸とテンター延伸の順次二軸延伸法、テンター延伸による同時二軸延伸法、チューブラー延伸による二軸延伸法などにより延伸することによって、二軸延伸フィルムを製造してもよい。
【0068】
前記液晶重合フィルムは、反応性液晶化合物を重合された状態で含むことができる。前記反応性液晶化合物は、前述したコーティング型偏光子の反応性液晶化合物に関する内容を同様に適用することができる。
【0069】
一または複数の実施例において、前記位相差調節層130の厚さは、高分子延伸フィルムの場合には、10ないし100μmであってもよく、液晶重合フィルムの場合には、0.1ないし5μmであってもよい。
【0070】
前記屈折率調節層140は、前記透明導電層200による光学積層体の屈折率差を補償するために備えられるものであり、屈折率差を減少させることによって、視認特性などを改善させるための役目を果たすものであってもよい。また、前記屈折率調節層140は、前記透明導電層200に起因する色相を補正するために備えられるものであってもよい。一方、前記透明導電層がパターンを有する場合には、前記屈折率調節層140を通じて前記パターンが形成されているパターン領域とパターンが形成されていない非パターン領域の間の透過率差を補償することができる。
【0071】
具体的に、前記透明導電層200は、これと屈折率が異なる他の部材(例えば、偏光子110など)に隣接して積層され、隣接する他層との屈折率差によって光透過率の差が誘発されることがあり、特に透明導電層にパターンが形成された場合、パターン領域と非パターン領域とを区分できるように視認される問題点が発生し得る。したがって、前記屈折率調節層140を含むことにより屈折率を補償するようにし、光学積層体の光透過率の差を減少できるようにして、特に透明導電層にパターンが形成された場合には、パターン領域および非パターン領域が区分され視認されないようにする。
【0072】
一実施例において、前記屈折率調節層140の屈折率は、隣接する他の部材の材料によって適切に選択されてもよいが、1.4ないし2.6であることが好ましく、より好ましくは、1.4ないし2.4であってもよい。この場合、前記偏光子110などの他の部材と透明導電層200の間の急激な屈折率差による光損失を防止することができる。
【0073】
前記屈折率調節層140は、偏光子110などの他の部材と透明導電層200の間の急激な屈折率差を防止することができるものであれば特に制限されず、従来のまたは以後に開発される屈折率調節層の形成に用いられる化合物を用いてもよく、例えば、重合性イソシアヌレート化合物を含む屈折率調節層形成組成物から形成されるものであってもよい。
【0074】
一実施例において、前記偏光板100は、前述した機能層以外にも偏光子の特性を補助または強化するための他の機能層をさらに含んでもよく、例えば、機械的耐久性をより向上させるために、オーバーコート層などをさらに含むものであってもよい。
【0075】
一または複数の実施例において、前記偏光板100は、30ないし200μmの厚さを有するものであってもよく、好ましくは、30ないし170μmであってもよく、より好ましくは、50ないし150μmのものであってもよい。この場合、前記偏光板100は、光学特性を維持しながらも薄い厚さの光学積層体の製造が可能である。
【0076】
前記透明導電層200は、液晶層300の駆動のために備えられるものであり、前記偏光板100と直接接触して形成されるものであってもよい。例えば、
図1に示されているように、第1透明導電層200-1および第2透明導電層200-2は、それぞれ第1偏光板100-1および第2偏光板100-2に直接接触して形成されるものであってもよい。
【0077】
従来のスマートウィンドウ(smart window)などの製造に用いられる光学積層体は、液晶駆動のための導電層を基材の一面上に形成し、前記基材の他面を偏光板と貼合することによって製造された。しかし、本発明に係る透過率可変光学積層体は、導電層の形成のための別途の基材を含まずに、偏光板の一面上に導電層を直接形成することによって、積層体の厚さを減少させると共に、透光モードでの透過率および屈曲特性を向上させることを特徴とする。
【0078】
一実施例において、前記透明導電層200は、前記偏光板100の一面上に直接蒸着して形成されるものであってもよい。このとき、前記透明導電層200は、偏光板100との接着力の向上のために、偏光板100の一面上にコロナ処理またはプラズマ処理などの前処理を施した後、前記偏光板100の前処理を施した面と直接接触して形成されるものであってもよい。前記前処理は、コロナ処理またはプラズマ処理に限定されるものではなく、本発明の目的を損なわない範囲内で、従来のまたは以後に開発される前処理工程を用いてもよい。
【0079】
他の実施例において、前記透明導電層200は、偏光板100との接着力の向上のために、偏光板100の一面上に備えられた易接着層(図示せず)を挟んで、偏光板100と直接接触して形成されるものであってもよい。
【0080】
前記透明導電層200は、可視光に対する透過率が50%以上のものであってもよく、好ましくは、伝導性高分子を含むものであってもよい。この場合、透明導電層に外部応力による変形が加えられても、透明導電層にクラック(crack)が発生することを防止することができ、ひいては、面抵抗が過度に増加することを防止することができる。
【0081】
一実施例において、前記透明導電層200は、伝導性高分子を含み、1μm以下の厚さを有するものであってもよく、好ましくは、10nmないし500nmであってもよく、より好ましくは、30nmないし200nmであってもよい。この場合、前記透明導電層200は、所定の透過率を確保しながらも、外部応力による特性変化が大きくなく、薄い厚さの光学積層体の製造が可能である。
【0082】
一実施例において、前記透明導電層200は、伝導性高分子を含み、1%超過10%以下の引張ひずみで、下記の式1によって算出されたクラック密度値の少なくとも一つの値が、0ないし0.05のものであってもよく、好ましくは、0ないし0.03のものであってもよく、より好ましくは、0ないし0.01のものであってもよい。
[式1]
ρ(ε)=l(ε)/A
前記式1において、前記εは、引張ひずみ(%)であり、前記Aは、観測領域の面積(mm2)であり、前記ρ(ε)は、引張ひずみεで算出された透明導電層のクラック密度値であり、前記l(ε)は、引張ひずみεで測定された観測領域Aでの透明導電層のクラック面積(mm2)を意味する。
【0083】
具体的に、
図3を参照すると、前記Aは、引張ひずみによる透明導電層のクラック密度値を算出するために、ユーザが任意に指定した観測領域1000の面積を意味するものであってもよく、前記l(ε)は、光学顕微鏡(Optical Microscope;OM)または走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)を用いて撮影された観測領域1000での透明導電層のイメージ(左)を、Image J(NIH/LOCI開発)などのイメージ処理プログラムを用いて、陰影イメージ(右)に変換した後、前記陰影イメージ(右)での黒色部分の面積(
図3の場合、30.36%)を意味するものであってもよい。
【0084】
したがって、前記式1によって算出されたクラック密度値は、0に近いほど透明導電層にクラックが発生しないことを意味し、1に近いほど透明導電層の全面にクラックが発生したことを意味するものと解釈することができる。
【0085】
すなわち、透明導電層200が、1%超過10%以下の引張ひずみで、前記式1によって算出されたクラック密度値の少なくとも一つの値が前記範囲を満足する場合、外部応力変化によるクラック発生を防止できるものであるので、外部応力変化に対しても安定的な駆動が可能であるという面でメリットがある。
【0086】
他の実施例において、前記透明導電層200は、伝導性高分子を含み、1%以上10%以下の引張ひずみで、下記の式2によって算出された面抵抗増加率の少なくとも一つの増加率が15%以下のものであってもよく、好ましくは、0%ないし14%であってもよい。
[式2]
δ(ε)=[{R.S(ε)/R.S(0)}-1]*100
(前記式2において、前記δ(ε)は、引張ひずみεで算出された透明導電層の面抵抗増加率(%)であり、前記R.S(ε)は、引張ひずみεで測定された透明導電層の面抵抗値(Ω/□)であり、前記R.S(0)は、引張ひずみが0%である初期状態で測定された透明導電層の面抵抗値(Ω/□)であり、前記εは、式1と同一の意味を示す。)
【0087】
透明導電層200が、1%以上10%以下の引張ひずみで、前記式2によって算出された面抵抗増加率の少なくとも一つの増加率が前記範囲を満足する場合、外部応力変化によって面抵抗が過多に増加することを防止できるものであるので、外部応力変化に対しても安定的な駆動が可能であるという面でメリットがある。
【0088】
前記伝導性高分子は、従来のまたは以後に開発される伝導性高分子物質を用いてもよく、例えば、ポリチオフェン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリアニリン、ポリアセンチレン、ポリジアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリフェニレンスルファイド、ポリチエニレンビニレン、ポリチオフェンビニレン、ポリフルオレン、ポリピロール、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリスチレンスルホネート、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):カンファスルホン酸、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):トルエンスルホン酸、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリアニリン:ポリスチレンスルホネート、ポリアニリン:カンファスルホン酸、ポリピロール:ポリスチレンスルホネート、ポリピロール:カンファスルホン酸、ポリピロール:トルエンスルホン酸、ポリピロール:ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリチオフェン:ポリスチレンスルホネート、ポリチオフェン:カンファスルホン酸、ポリチオフェン:トルエンスルホン酸、およびチオフェン:ドデシルベンゼンスルホン酸からなる群より選択される1種以上を含むものであってもよく、好ましくは、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)であってもよい。
【0089】
一実施例において、本発明の透過率可変光学積層体は、導電性高分子を含む透明導電層に加えて、透明導電性酸化物、金属、炭素系物質、導電性インクおよびナノワイヤからなる群から選択される1種以上を含む透明導電層をさらに含むものであってもよく、これらを組み合わせて2層以上の構造で形成されてもよい。
【0090】
一または複数の実施形態において、前記透明導電性酸化物は、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、インジウム亜鉛スズ酸化物(IZTO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、ガリウム亜鉛酸化物(GZO)、フロリンスズ酸化物(FTO)および亜鉛酸化物(ZnO)などからなる群より選択される1種以上を含んでもよい。また、前記金属は、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)およびこれらの少なくとも一つを含有する合金などからなる群より選択される1種以上を含むものであってもよく、例えば、銀-パラジウム-銅(APC)合金または銅-カルシウム(CuCa)合金を含んでもよい。前記炭素系物質は、カーボンナノチューブ(CNT)およびグラフェン(graphene)などからなる群より選択される1種以上を含むものであってもよく、前記導電性インクは、金属パウダーと硬化性高分子バインダーとが混合されたインクであってもよく、ナノワイヤは、例えばシルバーナノワイヤ(AgNW)であってもよい。
【0091】
前記透明導電層200は、当該分野における通常的に用いられる方法によって形成されてもよく、例えば、スピンコート法、ローラーコート法、バーコート法、ディップコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、ニーダーコート法などのコート工程;スクリーン印刷法、スプレー印刷法、インクジェット印刷法、凸板印刷法、凹板印刷法、平板印刷法などの印刷工程;CVD(chemical vapor deposition)、PVD(physical vapor deposition)、PECVD(plasma enhanced chemical vapor deposition)などの蒸着工程などの方法のうち、適切な工程を選択して形成されてもよい。
【0092】
前記液晶層300は、電界によって一または複数の方向から入射される光の透過度を調節することによって、前記光学積層体の駆動モードを変更することができる。
【0093】
前記液晶層300は、液晶化合物を含むものであってもよく、例えば、光制御領域で第1偏光板100-1および第2偏光板100-2の間に備えられるシーラント層(図示せず)およびスペーサー(図示せず)によって提供される空間内に位置してもよい。
【0094】
前記液晶化合物は、電界によって駆動されるものであって、光の透過率を制御できるものであれば特に制限されず、従来のまたは以後に開発される液晶化合物を用いてもよく、例えば、前述したコーティング型偏光子の反応性液晶化合物に関する内容を同様に適用することができる。
【0095】
前記液晶層300の液晶挙動方式は、特に制限されるものではなく、例えば、TN(Twisted nematic)モード、STN(Super twisted nematic)モード、VA(Vertic alalignment)モードなどが用いられてもよい。
【0096】
前記シーラントは、ベース樹脂として硬化性樹脂を含んでもよい。前記ベース樹脂としては、当業界でシーラントに用いられるものとして公知の紫外線硬化性樹脂または熱硬化性樹脂を用いてもよい。前記紫外線硬化性樹脂は、紫外線硬化性単量体の重合体であってもよい。前記熱硬化性樹脂は、熱硬化性単量体の重合体であってもよい。
【0097】
前記シーラントのベース樹脂としては、例えば、アクリレート系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、フェノール系樹脂または、前記樹脂の混合物を用いてもよい。一実施例において、前記ベース樹脂は、アクリレート系樹脂であってもよく、前記アクリレート系樹脂は、アクリル単量体の重合体であってもよい。前記アクリル単量体は、例えば、多官能性アクリレートであってもよい。他の実施例において、前記シーラントは、ベース樹脂に単量体成分をさらに含んでもよい。前記単量体成分は、例えば、単官能性アクリレートであってもよい。本明細書で単官能性アクリレートは、アクリル基を1個有する化合物を意味することができ、多官能性アクリレートは、アクリル基を2個以上有する化合物を意味することができる。前記硬化性樹脂は、紫外線の照射および/または加熱によって硬化されてもよい。前記紫外線の照射条件または加熱条件は、本出願の目的を損なわない範囲内で適切に行われてもよい。前記シーラントは、必要に応じて、開始剤、例えば、光開始剤または熱開始剤をさらに含んでもよい。
【0098】
前記シーラントは、当該分野における通常的に用いられる方法によって形成されてもよく、例えば、ノズルを備えるディスペンサーを用いて、シーラントを前記液晶層の外郭(すなわち、非活性領域)にドローイングして形成されてもよい。
【0099】
前記スペーサーは、ボールスペーサー(Ball spacer)およびコラムスペーサー(Column spacer)の少なくとも一つ以上のスペーサーを含んでもよく、特にボールスペーサー(Ball spacer)であることが好ましい。前記ボールスペーサー(Ball spacer)は、一つ以上であってもよく、直径が1ないし10μmであることが好ましい。また、平面方向からみたとき、前記ボールスペーサー(Ball spacer)が液晶層300に占める面積は、ユーザの視認性および透光モードでの透過率の向上の面で、液晶層300の面積に対して0.01ないし10%であることが好ましい。
【0100】
一実施例において、前記液晶層300は、必要に応じて配向膜400をさらに含むもの(
図4参照)であってもよく、例えば、液晶化合物を含む液晶層300の両面上に形成されるものであってもよい。
【0101】
前記配向膜400は、液晶化合物に配向性を付加するためのものであれば特に制限されない。例えば、前記配向膜400は、配向性高分子、光重合開始剤および溶剤を含む配向膜コーティング組成物を塗布および硬化することによって製作されてもよい。前記配向性高分子は、特に限定されないが、ポリアクリレート系樹脂、ポリアミック酸樹脂、ポリイミド系樹脂、シンナーメート基を含む高分子などを用いてもよく、従来のまたは以後に開発される配向性を示すことができる高分子を用いてもよい。
【0102】
本発明の透過率可変光学積層体は、本発明の目的を損なわない範囲内で他の部材をさらに含むものであってもよく、例えば、粘接着層500をさらに含むもの(
図4b参照)であってもよく、紫外線吸収層、ハードコーティング層などをさらに含むものであってもよい。
【0103】
前記粘接着層500は、接着剤または粘着剤を用いて形成されてもよく、光学積層体の取り扱い時に、剥離、気泡などが発生しないように適切な粘接着力を有すると共に、透明性および熱安定性を有することが好ましい。
【0104】
前記接着剤は、従来のまたは以後に開発される接着剤を用いてもよく、例えば、光硬化性接着剤を用いてもよい。
【0105】
前記光硬化性接着剤は、紫外線(Ultraviolet、UV)、電子線(Electron Beam、EB)など活性エネルギー線を受け、架橋および硬化されて強い接着力を示すものであり、反応性オリゴマー、反応性モノマー、光重合開始剤などで構成されてもよい。
【0106】
前記反応性オリゴマーは、接着剤の特性を決める重要な成分であり、光重合反応によって高分子結合を形成して硬化被膜を形成する。使用可能な反応性オリゴマーは、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアクリル系樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられる。
【0107】
前記反応性モノマーは、前述の反応性オリゴマーの架橋剤、希釈剤としての役目を果たし、接着特性に影響を及ぼす。使用可能な反応性モノマーは、単官能性モノマー、多官能性モノマー、エポキシ系モノマー、ビニルエーテル類、環状エーテル類などが挙げられる。
【0108】
前記光重合開始剤は、光エネルギーを吸収してラジカル或いはカチオンを生成させて光重合を開始する役目を果たすものであり、光重合樹脂によって適切なものを選択して用いてもよい。
【0109】
前記粘着剤は、従来または以後に開発される粘着剤を用いてもよく、一または複数の実施形態において、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤などを用いてもよい。前記粘着剤は、粘着力と粘弾性を有するものであれば特に制限されないが、入手容易性などの面で、好ましくは、アクリル系粘着剤であってもよく、例えば、(メタ)アクリレート共重合体、架橋剤および溶剤などを含むものであってもよい。
【0110】
前記架橋剤は、従来または以後に開発される架橋剤を用いてもよく、例えば、ポリイソシアネート化合物、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアルデヒド類、メチロールポリマーなどを含むものであってもよく、好ましくは、ポリイソシアネート化合物を含むものであってもよい。
【0111】
前記溶剤は、樹脂組成物分野で用いられる通常の溶媒を含んでもよく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールメトキシアルコールなどのアルコール系化合物;メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトンなどのケトン系化合物;メチルアセテート、エチルアセテート、ブチルアセテート、プロピレングリコールメトキシアセテートなどのアセテート系化合物;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブなどのセロソルブ系化合物;ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系化合物などの溶媒が用いられてもよい。これらは単独或いは2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
【0112】
前記粘接着層500の厚さは、粘接着剤の役目を果たす樹脂の種類、粘接着強度、粘接着剤が用いられる環境などに応じて適切に決められてもよい。一実施例において、前記粘接着剤層は、十分な粘接着力を確保し、光学積層体の厚さを最小化するために、0.01μm~50μmであってもよく、好ましくは、0.05μm~20μm、さらに好ましくは、0.1μm~10μmの厚さを有するものであってもよい。
【0113】
前記紫外線吸収層は、紫外線による光学積層体の劣化を防止するためのものであれば特に制限されず、例えば、サリチル酸系紫外線吸収剤(フェニルサリシレート、p-tert-ブチルサリシレートなど)、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノンなど)、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-(3’’,4’’,5’’,6’’-テトラヒドロフタルイミドメチル)-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2-メチレンビス(4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール)、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-(2-オクチルオキシカルボニルエチル)-フェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-(1-メチル-1-フェニルエチル)-5’-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(直鎖および側鎖ドデシル)-4-メチルフェノール、オクチル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェニル]プロピオネートと2-エチルヘキシル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェニル]プロピオネートの混合物など)、シアノアクリレート系紫外線吸収剤(2’-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、エチル-2-シアノ-3-(3’,4’-メチレンジオキシフェニル)-アクリレートなど)、トリアジン系紫外線吸収剤などを用いてもよく、透明性が高く、偏光板や透過率可変層の劣化を防止する効果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やトリアジン系紫外線吸収剤が好ましく、分光吸収スペクトラムがより適切なベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましい。前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、ビス(Bis)化したものであってもよく、例えば、6,6’-メチレンビス(2-(2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)-4-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェノール)、6,6’-メチレンビス(2-(2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)-4-(2-ヒドロキシエチル)フェノール)などであってもよい。
【0114】
前記ハードコーティング層は、外部の物理的、化学的衝撃から偏光板、透過率可変層などの部材を保護するためのものであれば特に制限されず、従来のまたは以後に開発されるハードコーティング層が用いられてもよい。
【0115】
一実施例において、前記ハードコーティング層は、他の部材上にハードコーティング層形成用組成物を塗布した後、光または熱によって硬化させ形成されてもよい。前記ハードコーティング層形成用組成物は特に制限されず、例えば、光硬化性化合物および光開始剤を含んでもよい。
【0116】
前記光硬化性化合物および光開始剤は、当該分野で一般的に用いられるものを制限なく用いてもよく、例えば、前記光硬化性化合物は、光重合成モノマー、光重合成オリゴマーなどであってもよく、例えば、単官能および/または多官能(メタ)アクリレートが挙げられ、光開始剤は、オキシムエステル系などが挙げられる。
【0117】
本発明は、前記透過率可変光学積層体に加えて、それを含むスマートウィンドウを含む。また、本発明は、前記スマートウィンドウを、前面窓、後面窓、側面窓、サンループ窓、および内部仕切りの少なくとも一つ以上に適用した自動車および前記スマートウィンドウを含む建物用建具を含む。
【実施例】
【0118】
以下、具体的に本発明の実施例を記載する。しかし、本発明は、以下で開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現されてもよく、ただ本実施例は、本発明の開示を完全にし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであって、本発明は、請求項の範疇によって定義されるだけである。
【0119】
実施例および比較例:電極積層部材の製作
実施例
ポリビニルアルコール系偏光子(12μm)の両面に接着剤によって、それぞれトリアセチルセルロースフィルム(25μm TAC、Konica製)とシクロオレフィンフィルム(23μm COP、Zeon製)とを接合して偏光板を製作した。
【0120】
以後、前記偏光板のシクロオレフィンフィルム面にPEDOT組成物を塗布して90℃で5~10分ほど乾燥し、厚さ100nmの透明導電層を形成することによって、偏光板の一面上に伝導性高分子に形成された透明導電層を含む、実施例の電極積層部材を製作した。
【0121】
前記PEDOT組成物は、塗液1および塗液2を1:1割合で混合して製造した。前記塗液1は、塗液の総重量に対して、Ethenyl benzenesulfonic acid homopolymer compound with 2,3-dihydrothieno[3,4-b]-1、4-dioxin homopolymer(water based)60ないし65重量%、エチルアルコール15ないし20重量%および脱イオン水20ないし25重量%の混合物を用い、前記塗液2は、塗液の総重量に対して、ポリエステル樹脂(固形粉25%、water based)0.5ないし1.0重量%、エチルアルコール65ないし75重量%および脱イオン水20ないし25重量%の混合物を用いた。
【0122】
比較例
ポリビニルアルコール系偏光子(12μm)の両面に接着剤によって、それぞれトリアセチルセルロースフィルム(25μm TAC、Konica製)とシクロオレフィンフィルム(23μm COP、Zeon製)とを接合して偏光板を製作した。
【0123】
以後、前記偏光板のシクロオレフィンフィルム面にITOをスパッタリングして、厚さ100nmの透明導電層を形成することによって、偏光板の一面上にITOで形成された透明導電層を含む比較例の電極積層部材を製作した。
【0124】
実験例:クラック密度および面抵抗増加率の評価
前記実施例および比較例の電極積層部材に対して、トランスバース方向(Transverse direction;TD)の引張ひずみ0%、1%、2%、3%、5%、6%および10%それぞれに対して、光学顕微鏡(Optical Microscope;OM)を用いて撮影された観測領域での透明導電層のイメージを
図5に示し、式1および2によるクラック密度および面抵抗増加率を算出し、その結果を下記の表1にそれぞれ示した。
【0125】
【0126】
前記表1および
図5を参照すると、伝導性高分子で形成された透明導電層を含む実施例の電極積層部材は、0%超過10%以下の引張ひずみに対するクラック密度値が0(zero)であり、1%以上10%以下の引張ひずみに対する面抵抗増加率が11.26%ないし13.91%であることが分かる。
【0127】
一方、ITOで形成された透明導電層を含む比較例の電極積層部材は、1%超過以上10%以下の引張ひずみに対するクラック密度値が0.09ないし0.72であり、1%以上10%以下の引張ひずみに対する面抵抗増加率が106.92%ないし3,769,131%であることが分かる。
【0128】
すなわち、1%超過10%以下の引張ひずみで、比較例の電極積層部材は、クラック密度値が0.05を超過するクラックが発生するのに対し、実施例の電極積層部材は、クラック密度値が0とクラックが全然発生せず、実施例の電極積層部材がクラック発生防止の効果に優れていることが分かる。
【0129】
また、1%以上10%以下の引張ひずみで、比較例の電極積層部材は、面抵抗が2倍以上増加するのに対し、実施例の電極積層部材は、面抵抗が15%以内の範囲で増加しており、実施例の電極積層部材が面抵抗増加率の減少の効果に優れていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明に係る透過率可変光学積層体によると、導電層が伝導性高分子物質を含み、外部応力変化によるクラック発生を防止することによって、従来の光学積層体に対して、多様な形態に対する駆動安全性を向上させることができる。
【国際調査報告】