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特表2024-541168電池容量の推定方法、装置及びコンピュータ記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】電池容量の推定方法、装置及びコンピュータ記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/387 20190101AFI20241031BHJP
   G01R 31/392 20190101ALI20241031BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241031BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
G01R31/387
G01R31/392
H02J7/00 X
H02J7/00 Y
H02J7/10 C
H02J7/00 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510620
(86)(22)【出願日】2022-09-14
(85)【翻訳文提出日】2024-05-20
(86)【国際出願番号】 CN2022118754
(87)【国際公開番号】W WO2023093225
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】202111422355.6
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BYD Company Limited
【住所又は居所原語表記】No. 3009, BYD Road, Pingshan, Shenzhen, Guangdong 518118, P. R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】舒▲時▼▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】▲馮▼天宇
(72)【発明者】
【氏名】▲でん▼林旺
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
【Fターム(参考)】
2G216BA21
2G216BA62
2G216BA63
2G216CA01
5G503BB02
5G503CA02
5G503CA08
5G503CA17
5G503CB08
5G503DA07
5G503EA05
5G503EA08
5G503GD03
5G503GD06
(57)【要約】
電池容量の推定方法、装置及びコンピュータ記憶媒体を開示する。該方法は、電池の充電過程において、電池の電圧-容量曲線をリアルタイムに取得するステップ(S110)と、電圧-容量曲線を差分して、電圧差分-容量曲線を取得するステップ(S120)と、電圧差分-容量曲線に基づいて電圧-容量曲線から電圧変曲点を決定するステップと、予め校正された電圧変曲点に対応する基準容量値を取得するステップ(S170)と、電池を電圧変曲点から満充電状態まで充電するのに要した充電電気量を取得するステップ(S180)と、基準容量値と充電電気量との和に基づいて電池の実容量を取得するステップ(S190)と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池の充電過程において、前記電池の電圧-容量曲線をリアルタイムに取得するステップ(S110)と、
前記電圧-容量曲線を差分して、電圧差分-容量曲線を取得するステップ(S120)と、
前記電圧差分-容量曲線から複数のピークを識別するステップ(S130)と、
各ピークとその左側の隣接するボトムとの間の第1高さ及び第1幅と、各ピークとその右側の隣接するボトムとの間の第2高さ及び第2幅とを計算するステップ(S140)と、
前記第1高さ、前記第1幅、前記第2高さ、及び前記第2幅に基づいて判定指標を計算するステップ(S150)であって、p=2(h1+w1)/(h1・w1)+2(h2+w2)/(h2・w2)であり、pは判定指標を表し、h1は第1高さを表し、w1は第1幅を表し、h2は第2高さを表し、w2は第2幅を表す、ステップ(S150)と、
判定指標が最小となるピークに基づいて、前記電圧-容量曲線における電圧変曲点を決定するステップ(S160)と、
予め校正された電圧-容量曲線における電圧変曲点に対応する基準容量値を取得するステップ(S170)と、
前記電池が満充電状態に達した後、前記電池を前記電圧変曲点から満充電状態まで充電するのに要した充電電気量を取得するステップ(S180)と、
前記基準容量値と前記充電電気量との和に基づいて、前記電池の実容量を取得するステップ(S190)と、を含む、電池容量の推定方法。
【請求項2】
前記電圧-容量曲線を差分する前に、前記電圧-容量曲線を平滑化及びフィルタリングするステップをさらに含む、請求項1に記載の電池容量の推定方法。
【請求項3】
前記基準容量値は、前記電池電気量を完全に放電した後に、定電流で満充電状態まで充電し、定電流充電過程における前記電池の電圧-容量曲線を記録し、かつ定電流充電過程における前記電池の電圧-容量曲線に基づいて前記基準容量値を校正するという方式によって校正される、請求項1~2のいずれか一項に記載の電池容量の推定方法。
【請求項4】
前記電池を前記電圧変曲点から満充電状態まで充電するのに要した充電電気量を取得するステップは、
前記電池を前記電圧変曲点から満充電状態まで充電するのに要した充電時間を記録するステップと、
前記充電時間及び充電電流に基づいて前記充電電気量を計算するステップと、を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の電池容量の推定方法。
【請求項5】
前記実容量及び予め校正された前記電池の初期容量に基づいて前記電池の健康状態を推定するステップをさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の電池容量の推定方法。
【請求項6】
前記電池は、リン酸鉄リチウム電池である、請求項1~5のいずれか一項に記載の電池容量の推定方法。
【請求項7】
前記電池の初期容量は、電池電気量を完全に放電した後に定電流で満充電状態まで充電し、電池の初期容量を記録することによって決定される、請求項5に記載の電池容量の推定方法。
【請求項8】
前記実容量及び予め校正された前記電池の初期容量に基づいて前記電池の健康状態を推定するステップは、SOH=Q/Qnew*100%を含み、ここで、前記実容量はQで表され、前記初期容量はQnewで表され、前記電池の健康状態はSOHで表される、請求項5~7のいずれか一項に記載の電池容量の推定方法。
【請求項9】
メモリ(410)と、プロセッサ(420)とを含み、前記メモリ(410)には、前記プロセッサ(420)によって実行されるコンピュータプログラムが記憶され、前記コンピュータプログラムは、前記プロセッサ(420)によって実行されると、
電池の充電過程において、前記電池の電圧-容量曲線をリアルタイムに取得するステップと、
前記電圧-容量曲線を差分して、電圧差分-容量曲線を取得するステップと、
前記電圧差分-容量曲線から複数のピークを識別するステップと、
各ピークとその左側の隣接するボトムとの間の第1高さ及び第1幅と、各ピークとその右側の隣接するボトムとの間の第2高さ及び第2幅とを計算するステップと、
前記第1高さ、前記第1幅、前記第2高さ、及び前記第2幅に基づいて判定指標を計算するステップであって、p=2(h1+w1)/(h1・w1)+2(h2+w2)/(h2・w2)であり、pは判定指標を表し、h1は第1高さを表し、w1は第1幅を表し、h2は第2高さを表し、w2は第2幅を表すステップと、
判定指標が最小となるピークに基づいて、前記電圧-容量曲線における電圧変曲点を決定するステップと、
予め校正された電圧-容量曲線における電圧変曲点に対応する基準容量値を取得するステップと、
前記電池が満充電状態に達した後、前記電池を前記電圧変曲点から満充電状態まで充電するのに要した充電電気量を取得するステップと、
前記基準容量値と前記充電電気量との和に基づいて前記電池の実容量を取得するステップと、を実行する、電池容量の推定装置(400)。
【請求項10】
前記電圧-容量曲線を差分する前に、前記コンピュータプログラムは、前記電圧-容量曲線を平滑化及びフィルタリングするステップをさらに実行する、請求項9に記載の電池容量の推定装置(400)。
【請求項11】
前記基準容量値は、前記電池電気量を完全に放電した後に、定電流で満充電状態まで充電し、定電流充電過程における前記電池の電圧-容量曲線を記録し、かつ定電流充電過程における前記電池の電圧-容量曲線に基づいて前記基準容量値を校正するという方式によって校正される、請求項9~10のいずれか一項に記載の電池容量の推定装置(400)。
【請求項12】
前記電池を前記電圧変曲点から満充電状態まで充電するのに要した充電電気量を取得するステップは、
前記電池を前記電圧変曲点から満充電状態まで充電するのに要した充電時間を記録するステップと、
前記充電時間及び充電電流に基づいて前記充電電気量を計算するステップと、を含む、請求項9~11のいずれか一項に記載の電池容量の推定装置(400)。
【請求項13】
前記コンピュータプログラムは、前記実容量及び予め校正された前記電池の初期容量に基づいて前記電池の健康状態を推定するステップをさらに実行する、請求項9~12のいずれか一項に記載の電池容量の推定装置(400)。
【請求項14】
前記電池は、リン酸鉄リチウム電池である、請求項9~13のいずれか一項に記載の電池容量の推定装置(400)。
【請求項15】
コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムは、実行されると、
電池の充電過程において、前記電池の電圧-容量曲線をリアルタイムに取得するステップと、
前記電圧-容量曲線を差分して、電圧差分-容量曲線を取得するステップと、
前記電圧差分-容量曲線から複数のピークを識別するステップと、
各ピークとその左側の隣接するボトムとの間の第1高さ及び第1幅と、各ピークとその右側の隣接するボトムとの間の第2高さ及び第2幅とを計算するステップと、
前記第1高さ、前記第1幅、前記第2高さ、及び前記第2幅に基づいて判定指標を計算するステップであって、p=2(h1+w1)/(h1・w1)+2(h2+w2)/(h2・w2)であり、pは判定指標を表し、h1は第1高さを表し、w1は第1幅を表し、h2は第2高さを表し、w2は第2幅を表すステップと、
判定指標が最小となるピークに基づいて、前記電圧-容量曲線における電圧変曲点を決定するステップと、
予め校正された電圧-容量曲線における電圧変曲点に対応する基準容量値を取得するステップと、
前記電池が満充電状態に達した後、前記電池を前記電圧変曲点から満充電状態まで充電するのに要した充電電気量を取得するステップと、
前記基準容量値と前記充電電気量との和に基づいて前記電池の実容量を取得するステップと、を実現する、コンピュータ記憶媒体。
【請求項16】
前記電圧-容量曲線を差分する前に、前記コンピュータプログラムは、前記電圧-容量曲線を平滑化及びフィルタリングするステップをさらに実現する、請求項15に記載のコンピュータ記憶媒体。
【請求項17】
前記基準容量値は、前記電池電気量を完全に放電した後に定電流で満充電状態まで充電し、定電流の充電過程における前記電池の電圧-容量曲線を記録し、かつ定電流の充電過程における前記電池の電圧-容量曲線に基づいて前記基準容量値を校正するという方式によって校正される、請求項15~16のいずれか一項に記載のコンピュータ記憶媒体。
【請求項18】
前記電池を前記電圧変曲点から満充電状態まで充電するのに要した充電電気量を取得するステップは、
前記電池を前記電圧変曲点から満充電状態まで充電するのに要した充電時間を記録するステップと、
前記充電時間及び充電電流に基づいて前記充電電気量を計算するステップと、を含む、請求項15~17のいずれか一項に記載のコンピュータ記憶媒体。
【請求項19】
前記コンピュータプログラムは、前記実容量及び予め校正された前記電池の初期容量に基づいて前記電池の健康状態を推定するステップをさらに実現する、請求項15~18のいずれか一項に記載のコンピュータ記憶媒体。
【請求項20】
前記電池は、リン酸鉄リチウム電池である、請求項15~19のいずれか一項に記載のコンピュータ記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年11月26日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202111422355.6で、出願名称が「電池容量の推定方法、装置及びコンピュータ記憶媒体」である中国特許出願の優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
本願は、電池処理の技術分野に関し、特に、電池容量の推定方法、装置及びコンピュータ記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
電気自動車、電動飛行機及び電気タンカーのような新しい再生可能エネルギーの解決手段に対する人々の強いニーズは、リチウムイオン電池の急速な発展につながる。上記システムに適用される電池は、より高い電力需要とエネルギー需要、及びより大きい温度変化というより厳しい動作条件に直面し、これらの条件は、いずれも電池の劣化を加速させる。したがって、電池の健康状態(State Of Health、SOH)を追跡し、その耐用年数を終了する時期を決定する必要がある。SOHは、通常、所定の時間における電池の実容量とその初期容量との比として定義される。
【0004】
現在、電池容量を計算する場合、主に電池に対して満充電又は満放電を行うことで、充電段階又は放電段階の総電気量を計算し、或いは、一定の電池充電状態(State of Charge、SOC)区間で充放電を行い、充電電気量又は放電電気量及び対応するSOC区間に基づいて総電池容量を計算する。該方法による推定精度は、SOCの精度に完全に依存し、SOC推定誤差が大きい場合に電池容量の推定精度に影響を与える。特にリン酸鉄リチウム電池にとって、SOCの誤差の累積は電池容量の精度に影響を与えるが、電池容量の誤差は逆にSOCの精度に影響を与え、交差影響を形成し、最終的に電池容量の推定を完全に失効させる。
【0005】
実験室とベンチマーキングする方法を使用する場合、2つの欠陥がある。第1に、実験室の測定に非常に手間がかかり、コストが高く、全ての動作条件での測定を網羅的に行うことができない。第2に、実際の使用過程において実験室のデータとベンチマーキングすることが教条主義になり、真の電池の実容量を推定することができない。
【発明の概要】
【0006】
「発明の概要」には一連の簡略化した形式の概念が導入されており、これらは、「発明を実施するための形態」でさらに詳細に説明される。本願の「発明の概要」は、特許請求された技術手段の重要な特徴と必要な技術的特徴を限定しようとすることを意味せず、さらに、特許請求された技術手段の保護範囲を決定しようとすることを意味しない。
【0007】
上記技術的課題を解決するために、本願の実施例の第1態様に係る電池容量の推定方法は、電池の充電過程において、前記電池の電圧-容量曲線をリアルタイムに取得するステップと、前記電圧-容量曲線を差分して、電圧差分-容量曲線を取得するステップと、前記電圧差分-容量曲線から複数のピークを識別するステップと、各ピークとその左側の隣接するボトムとの間の第1高さ及び第1幅と、各ピークとその右側の隣接するボトムとの間の第2高さ及び第2幅とを計算するステップと、前記第1高さ、前記第1幅、前記第2高さ、及び前記第2幅に基づいて判定指標を計算するステップであって、p=2(h1+w1)/(h1・w1)+2(h2+w2)/(h2・w2)であり、pは判定指標を表し、h1は第1高さを表し、w1は第1幅を表し、h2は第2高さを表し、w2は第2幅を表す、ステップと、判定指標が最小となるピークに基づいて、前記電圧-容量曲線における電圧変曲点を決定するステップと、予め校正された電圧-容量曲線における電圧変曲点に対応する基準容量値を取得するステップと、前記電池が満充電状態に達すると、前記電池を前記電圧変曲点から満充電状態まで充電するのに要した充電電気量を取得するステップと、前記基準容量値と前記充電電気量との和に基づいて前記電池の実容量を取得するステップと、を含む。
【0008】
本願は、電池の充電過程における電圧-容量曲線上の電圧変曲点に基づいて電池容量を推定することにより、電池容量の推定精度を向上させることができ、電池を完全に放電する必要がなく、ユーザの使用習慣に適合する。
【0009】
一実施例では、前記電圧-容量曲線を差分する前に、前記電圧-容量曲線を平滑化及びフィルタリングするステップをさらに含む。
【0010】
一実施例では、前記基準容量値は、前記電池電気量を完全に放電した後に定電流で満充電状態まで充電し、定電流充電過程における前記電池の基準電圧-容量曲線を記録し、かつ定電流充電過程における電圧-容量曲線に基づいて前記基準容量値を校正するという方式によって校正される。
【0011】
一実施例において、前記電池を前記電圧変曲点から満充電状態まで充電するのに要した充電電気量を取得するステップは、前記電池を前記電圧変曲点から満充電状態まで充電するのに要した充電時間を記録するステップと、前記充電時間及び充電電流に基づいて前記充電電気量を計算するステップと、を含む。
【0012】
一実施例では、前記方法は、前記実容量及び予め校正された前記電池の初期容量に基づいて前記電池の健康状態を推定するステップをさらに含む。
【0013】
一実施例では、前記電池は、リン酸鉄リチウム電池である。
【0014】
一実施例では、電池の初期容量は、電池電気量を完全に放電した後に定電流で満充電状態まで充電し、電池の初期容量を記録することによって決定される。
【0015】
一実施例では、実容量及び予め校正された電池の初期容量に基づいて電池の健康状態を推定するステップは、SOH=Q/Qnew*100%を含み、ここで、実容量はQで表され、初期容量はQnewで表され、電池の健康状態はSOHで表される。
【0016】
本願の実施例の第2態様に係る電池容量の推定装置は、メモリと、プロセッサとを含み、前記メモリには、前記プロセッサによって実行されるコンピュータプログラムが記憶され、前記コンピュータプログラムは、前記プロセッサによって実行されると、前記電池容量の推定方法を実行する。
【0017】
本願の実施例の第3態様は、実行されると、前記電池容量の推定方法を実現するコンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ記憶媒体を提供する。
【0018】
本願の実施例に係る電池容量の推定方法及び装置は、電池の充電過程における電圧-容量曲線上の電圧変曲点に基づいて電池容量を推定し、SOCの絶対値に関わらず、電池容量の推定精度を向上させることができ、電池を完全に放電する必要がなく、ユーザの使用習慣に適合する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本願の上記及び他の目的、特徴及び利点は、添付の図面を参照して本願の実施例をより詳細に説明することによってより明らかになるであろう。図面は、本願の実施例のさらなる理解を提供し、明細書の一部を構成するものであり、本願の実施例とともに本願を説明するが、本願を限定するものではない。図面では、同一の参照番号は、通常、同一の部品又はステップを表す。
【0020】
図1】本願の実施例に係る電池容量の推定方法の概略的なフローチャートである。
図2】本願の実施例に係る電圧-容量曲線の概略図である。
図3】本願の実施例に係る電圧差分-容量曲線の概略図である。
図4】本願の実施例に係る電池容量の推定装置の概略的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本願の目的、技術手段及び利点をより明確にするために、以下、図面を参照しながら本願の例示的な実施例を詳細に説明する。明らかに、説明される実施例は、本願の一部の実施例に過ぎず、本願の全ての実施例ではない。本願はここで説明される例示的な実施例に限定されないことを理解されたい。当業者であれば、本願に説明された本願の実施例に基づいて、創造的な労働をしない前提で得られる全ての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属するものである。
【0022】
以下の説明では、本願をより徹底的に理解するように、多くの具体的な詳細が提供される。しかしながら、当業者にとって明らかなように、本願は、1つ以上のこれらの詳細を必要とせずに実施することができる。他の例では、本願との混同を回避するために、本分野の公知のいくつかの技術的特徴について説明しない。
【0023】
理解されるように、本願は、異なる形態で実施することができ、本明細書で提供された実施例に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施例は、本開示を徹底的かつ完全なものとし、かつ本願の範囲を当業者に完全に伝えるために提供される。
【0024】
本明細書で使用される用語の目的は、具体的な実施例を説明するためのものに過ぎず、本願を限定するものではない。本明細書で使用される場合、単数形の「1」、「1つ」及び「前記/該」は、文脈が他に明らかに指示しない限り、複数形を含むことを意図する。さらに、理解されるように、用語「構成」及び/又は「含む」が該明細書で使用される場合、前記特徴、整数、ステップ、操作、素子及び/又は部品の存在を決定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、素子、部品及び/又はグループの存在又は追加を排除しない。本明細書で使用される場合、用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目の任意及び全ての組み合わせを含む。
【0025】
本願を徹底的に理解するために、以下の説明において詳細な構造を提供することにより、本願に係る技術手段を説明する。本願の好ましい実施例は、以下のように詳細に説明されるが、これらの詳細な説明に加えて、本願は、さらに他の実施形態を有することができる。
【0026】
以下、図面を参照しながら本願の実施例に係る電池容量の推定方法及び電池容量の推定装置を説明する。まず、図1は、本願の実施例に係る電池容量の推定方法の概略的なフローチャートである。図1に示すように、前記電池容量の推定方法は、ステップS110~S190を含む。
【0027】
ステップS110において、電池の充電過程において、前記電池の電圧-容量曲線をリアルタイムに取得する。
【0028】
ステップS120において、前記電圧-容量曲線を差分して、電圧差分-容量曲線を取得する。
【0029】
ステップS130において、前記電圧差分-容量曲線から複数のピークを識別する。
【0030】
ステップS140において、各ピークとその左側の隣接するボトムとの間の第1高さ及び第1幅と、各ピークとその右側の隣接するボトムとの間の第2高さ及び第2幅とを計算する。
【0031】
ステップS150において、前記第1高さ、前記第1幅、前記第2高さ、及び前記第2幅に基づいて判定指標を計算し、p=2(h1+w1)/(h1・w1)+2(h2+w2)/(h2・w2)であり、pは判定指標を表し、h1は第1高さを表し、w1は第1幅を表し、h2は第2高さを表し、w2は第2幅を表す。
【0032】
ステップS160において、判定指標が最小となるピークに基づいて、前記電圧-容量曲線における電圧変曲点を決定する。
【0033】
ステップS170において、予め校正された電圧-容量曲線における電圧変曲点に対応する基準容量値を取得する。
【0034】
ステップS180において、前記電池が満充電状態に達すると、前記電池を前記電圧変曲点から満充電状態まで充電するのに要した充電電気量を取得する。
【0035】
ステップS190において、前記基準容量値と前記充電電気量との和に基づいて前記電池の実容量を取得する。
【0036】
本願の実施例に係る電池容量の推定方法は、電池の充電過程における電圧-電池容量曲線をリアルタイムに検出し、曲線特性を分析し、電圧変曲点を探索し、電圧変曲点に基づいて電池の実容量を推定し、該方法は、電池の充電過程において、材料自体の特徴属性に基づいて電池の実容量をインテリジェントに推定し、電池を深く放電する必要がなく、電池の初期SOC状態が未知である場合にも、電池の実容量を正確に計算することができ、また、計算過程はSOCの絶対値に関わらないため、SOCの計算に対して交差影響を与えない。本願の実施例に係る電池容量の推定方法は、実験室の測定コストを大幅に低減するだけでなく、電池容量の計算効率及び精度を顕著に向上させることができる。本発明は、電池の充電過程における電圧-容量曲線上の電圧変曲点に基づいて電池容量を推定することにより、電池容量の推定精度を向上させることができ、電池を完全に放電する必要がなく、ユーザの使用習慣に適合する。
【0037】
具体的には、電池の充電過程において、電池の電圧-容量曲線をリアルタイムに取得し、電圧-容量曲線から電圧変曲点を決定する。前記電池は、リチウムイオン電池を含み、具体的にはリン酸鉄リチウム電池であってもよい。電圧変曲点は、電圧が容量につれて最も速く変化するいくつかの点のうちの1つである。以下、図2及び図3を参照しながら電圧-容量曲線及び電圧変曲点の特徴を説明する。
【0038】
まず、図2は、リチウムイオン電池の電圧-容量曲線を示す。一般に、リチウムイオン電池の電圧-容量曲線には、電圧プラットフォーム区間と呼ばれる、電圧が容量につれてゆっくりと変化する3つの区間があり、隣接する2つの電圧プラットフォーム区間の間に、電圧が容量につれて速く変化する領域があり、該領域内で電圧が最も速く変化する点は、電圧変曲点と呼ばれる。本願の実施例における、電池SOHを推定するための電圧変曲点は、第2電圧プラットフォーム区間と第3電圧プラットフォーム区間との間に位置し、該区間内で電圧が容量につれて最も速く変化する点である。
【0039】
研究によると、リチウムイオン電池の劣化に伴い、電圧変曲点に対応する電池容量値と、SOC=0に対応する電池容量値(即ち、容量値が0である)との容量差が変化しないままであることを発見した。本願の実施例は、電圧変曲点という特性に基づいて電池の実容量を推定する。電池の実容量を推定した後、電池の実容量に基づいて電池の健康状態(SOH)を計算することができ、電池のSOHは、電池の実容量とその初期容量との比であり、電池の初期容量は、出荷前に校正により取得することができ、具体的には、電池電気量を完全に放電した後に定電流で満充電状態まで充電し、電池の初期容量(Qnewと記す)を記録することができる。本願の実施例は、電圧変曲点という特性に基づいて電池の実容量を計算することにより、SOCに基づいて電池の実容量を計算することを回避するため、SOCの誤差の累積によってSOHの推定精度に影響を与え、またSOHの誤差がSOCの精度に影響を与えるという問題が発生しない。
【0040】
具体的には、上述したように、電圧変曲点に対応する電池容量値が変化しないままであるため、本願の実施例は、電圧-容量曲線に基づいて電圧変曲点を識別した後、電池が電圧変曲点から満充電になるまでの区間における電池の充電電気量(QHVPと記す)を計算し、充電電気量と電圧変曲点に対応する容量値(QHVTPと記す)とを加算すれば、電池の実容量Q(Q=QHVP+QHVTP)を取得することができ、電池の実容量Qと予め校正された初期容量Qnewに基づいて電池のSOH(SOH=Q/Qnew*100%)を計算する。
【0041】
電圧-容量曲線における電池容量は、電池管理システムがSOCに基づいて算出されたものであるため、SOCの誤差の導入を回避するために、本願の実施例は、予め校正された電圧変曲点に対応する基準容量値を使用して電池の実容量を計算する。例示的には、電池が出荷される前に、電池電気量を完全に放電した後に定電流で満充電状態まで充電し、電池の充電過程における電圧-容量曲線を記録し、該電圧-容量曲線の特性を分析することにより、電圧変曲点に対応する基準容量値をオフラインで校正して決定する。電圧変曲点から満充電状態までの充電電気量を計算する場合、電圧変曲点に達する時間と、満充電状態に達する充電時間とを記録し、実際の充電電流と、電池を電圧変曲点から満充電状態まで充電するのに要した充電時間とに基づいて充電電気量を計算することができる。電圧変曲点に対応する基準容量値が正確な値であり、充電電気量も正確な値であるため、両者を加算することにより、正確な電池の実容量を取得することができる。
【0042】
本願の実施例は、電池の実容量を推定する過程においてSOCの絶対値に関わらないため、従来の方式で電池の実容量を計算する際にSOCの推定精度に過度に依存するという弊害を回避することができる。また、本願の実施例は、電池を完全に放電する必要がなく、一般的なユーザの使用習慣に適合し、SOCが60%より低い状態で充電を開始しても電池の実容量を正確に計算することができることが実験により証明されている。
【0043】
例示的に、a電圧変曲点は、電圧が容量につれて最も速く変化する点であるため、電圧差分-容量曲線に基づいて決定することができ、電圧変曲点は、電圧差分-容量曲線のピークに対応する。具体的には、電圧-容量曲線を差分して電圧差分-容量(dV/dQ-Q)曲線を取得して、電圧差分-容量曲線のピークに基づいて、電圧変曲点に対応する容量値を決定する。
【0044】
電圧差分-容量曲線には一般的に複数のピークが存在し、電圧変曲点を決定するために、それらのピークのうちで特徴的なピーク、即ち電圧変曲点に対応するピークを決定する必要がある。本願の実施例は、各ピークの周長と面積との比に基づいて特徴的なピークを探索し、該特徴的なピークに基づいて決定された電圧変曲点は、容量不変特性を満たす電圧変曲点である。
【0045】
具体的には、図3に示すように、まず、電圧差分-容量曲線から複数のピークを識別し、各ピークとその左側の隣接するボトムとの間の第1高さ及び第1幅と、各ピークとその右側の隣接するボトムとの間の第2高さ及び第2幅とを計算する。第1高さは、各ピークとその左側の隣接するボトムとの電圧差分の差であり、第1幅は、各ピークとその左側の隣接するボトムとの容量の差であり、第2高さは、各ピークとその右側の隣接するボトムとの電圧差分の差の絶対値であり、第2幅は、各ピークとその右側の隣接するボトムとの容量の差の絶対値である。
【0046】
その後、第1高さ、第1幅、第2高さ及び第2幅に基づいてピーク毎に判定指標を計算し、各ピークの左右半分のピークの周長と面積との比の和を判定指標とし、具体的には、判定指標p=2(h1+w1)/(h1・w1)+2(h2+w2)/(h2・w2)であり、h1は第1高さを表し、w1は第1幅を表し、h2は第2高さを表し、w2は第2幅を表す。ピーク毎に判定指標を計算した後、判定指標が最小となるピークを特徴的なピークとして電圧変曲点を決定する。
【0047】
いくつかの実施例では、誤差を減少させるために、電圧-容量曲線を差分する前に、電圧-容量曲線を平滑化及びフィルタリングするステップをさらに含む。電圧変曲点を決定した後、上述したように電池の実容量を推定することができる。
【0048】
本願の実施例は、電池の充電過程において電圧-容量曲線をリアルタイムに検出し分析し、電池を深く放電する必要がなく、ユーザの使用習慣に適合し、高い技術的優位性及び市場価値を有する。計算過程において電池の初期SOCを決定する必要がなく、SOCの絶対値にも関わらず、充電過程において電圧変曲点を識別するだけで、電池の実容量を算出することができるため、電池の実容量の推定精度を向上させ、さらに、電池のSOHを取得することができ、SOHの推定精度及び速度を向上させる。また、電圧変曲点を識別する際に周長/面積という特徴を使用して自動識別を実現し、車種及び劣化程度に基づいて閾値を手動で設定する必要がなく、汎用性がより高い。
【0049】
本願の実施例は、前記電池容量の推定方法を実現する電池容量の推定装置をさらに提供する。図4は、本願の実施例に係る電池容量の推定装置400の概略的なブロック図である。
【0050】
図4に示すように、前記電池容量の推定装置400は、メモリ410と、プロセッサ420と、前記メモリ410に記憶されて前記プロセッサ420上で実行されるコンピュータプログラムと、を含み、前記プロセッサ420は、前記コンピュータプログラムを実行すると、前記電池容量の推定方法を実現することができる。前記プロセッサ420は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア又はそれらの組み合わせによって実装されてもよく、回路、1つ以上の特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(Digital Signal Processor、DSP)、デジタルシグナル処理デバイス(Digital Signal Processing Device、DSPD)、プログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device、PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array、FPGA)、中央処理装置(Central Processing Unit、CPU)、コントローラ、マイクロコントローラ、及びマイクロプロセッサのうちの少なくとも1つを使用してもよいため、前記装置は、本願の各実施例における電池容量の推定方法のステップの一部又は全部又はそれらの任意の組み合わせを実行することができる。
【0051】
本願の実施例は、実行されると、本願の実施例に係る電池容量の推定方法を実現可能なコンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ記憶媒体をさらに提供する。
【0052】
本願の実施例に係る電池容量の推定装置400及びコンピュータ記憶媒体は、前記電池容量の推定方法を実現するため、類似の利点も有する。
【0053】
ここで図面を参照しながら例示的な実施例を説明したが、上記例示的な実施例は、例示的なものに過ぎず、本願の範囲をこれに限定することを意図しないものであることを理解されたい。当業者であれば、本願の範囲及び精神から逸脱することなく、様々な変更及び修正を行うことができる。全てのこれらの変更及び修正は、添付の特許請求の範囲に記載された本願の範囲内に含まれることを意図する。
【0054】
当業者であれば、本明細書に開示されている実施例に記載された各例のユニット及びアルゴリズムステップを組み合わせて、電子ハードウェア、又はコンピュータソフトウェアと電子ハードウェアとの組み合わせで実現することができることを認識することができる。これらの機能がハードウェアの形態で実行されるか又はソフトウェアの形態で実行されるかは、技術手段の特定の応用及び設計上の制約条件に依存する。当業者であれば、各特定の応用に対して異なる方法で説明された機能を実現してもよいが、このような実現は、本願の範囲を超えると考えられるべきではない。
【0055】
本願に係るいくつかの実施例において、開示される機器及び方法は他の方式によって実現することができることを理解されたい。例えば、以上に説明した機器の実施例は模式的なものに過ぎず、例えば、前記各ユニットの分割は、論理的な機能分割に過ぎず、実際に実現される場合には他の分割方式があってもよく、例えば、複数のユニット又はコンポーネントは、組み合わせられてもよく、別の機器に集積されてもよく、いくつかの特徴が無視されてもよく、実行されなくてもよい。
【0056】
ここで提供された明細書では、多くの具体的な詳細が説明される。しかしながら、理解できるように、本願の実施例は、これらの具体的な詳細がない場合に実施することができる。いくつかの実施例では、本明細書に対する理解を不明瞭にしないように、公知の方法、構造及び技術を詳細に示しない。
【0057】
同様に、理解されるように、本願を簡略化し、かつ各発明態様のうちの1つ以上の態様に対する理解を助けるために、本願の例示的な実施例に対する説明では、本願の各特徴が単一の実施例、図、又はその説明に一緒にグループ化される場合がある。しかしながら、本願の方法は、特許請求された本願が各請求項に明確に記載された特徴より多くの特徴を要求するという意図を反映するように解釈されるべきではない。より具体的には、対応する特許請求の範囲が反映するように、発明の概念は、開示された単一の実施例の全ての特徴より少ない特徴を使用して対応する技術的課題を解決することができることである。したがって、具体的な実施形態に従う特許請求の範囲は、該具体的な実施形態に明確に組み込まれ、各請求項自体は、いずれも本願の個別の実施例とする。
【0058】
当業者が理解できるように、特徴の間の相互排他以外に、任意の組み合わせを使用して本明細書(添付の請求項、要約書及び図面を含む)に開示された全ての特徴及びこのように開示された任意の方法又は機器の全てのプロセス又はユニットを組み合わせることができる。別に明確に説明しない限り、本明細書(添付の請求項、要約書及び図面を含む)に開示された各特徴は、同一、同等又は類似の目的を果たす代替的な特徴で置き換えることができる。
【0059】
また、当業者が理解できるように、本明細書に記載のいくつかの実施例は、他の実施例に含まれるいくつかの特徴を含むが他の実施例に含まれる他の特徴を含まないが、異なる実施例の特徴の組み合わせは、本願の範囲内にあり、かつ異なる実施例を形成することを意味する。例えば、特許請求の範囲では、特許請求された実施例のいずれかは、いずれも任意の組み合わせ方式で使用することができる。
【0060】
本願の様々な部品の実施例は、ハードウェア、又は1つ以上のプロセッサ上で実行されるソフトウェアモジュール、又はそれらの組み合わせで実現することができる。当業者であれば理解されるように、マイクロプロセッサ又はデジタルシグナルプロセッサ(DSP)を実際に使用して、本願の実施例に係るいくつかのモジュールの一部又は全部の機能を実現することができる。本願は、本明細書に記載の方法の一部又は全部を実行する装置プログラム(例えば、コンピュータプログラム及びコンピュータプログラム製品)として実現されてもよい。このような本願を実現するプログラムは、コンピュータ可読媒体に記憶されてもよく、1つ以上の信号の形態を有してもよい。このような信号は、インターネットサイトからダウンロードされてもよく、キャリア信号で提供されてもよく、他の形式で提供されてもよい。
【0061】
上記実施例が本願を説明するものであり、本願を限定するものではなく、かつ当業者であれば、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく代替的な実施例を設計することができることに注意すべきである。特許請求の範囲において、括弧中の何らかの参照符号は、特許請求の範囲を限定するものとして解釈すべきではない。本願は、いくつかの異なる素子を含むハードウェア及び適切にプログラムされたコンピュータにより実現することができる。いくつかの装置を列挙したユニット請求項では、このような装置のうちのいくつかは、同一のハードウェアにより具現化することができる。第1、第2、及び第3などの用語の使用は、いかなる順序を示すことではない。このような用語を名称として解釈することができる。
【0062】
以上の記載は、本願の具体的な実施形態又は具体的な実施形態の説明に過ぎないが、本願の保護範囲はこれに限定されず、当業者であれば、本願に開示された技術的範囲内に容易に想到し得る変化又は置換は、いずれも本願の保護範囲に含まれるべきである。本願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲を基準とすべきである。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-05-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池の充電過程において、前記電池の電圧-容量曲線をリアルタイムに取得するステップ(S110)と、
前記電圧-容量曲線を差分して、電圧差分-容量曲線を取得するステップ(S120)と、
前記電圧差分-容量曲線から複数のピークを識別するステップ(S130)と、
各ピークとその左側の隣接するボトムとの間の第1高さ及び第1幅と、各ピークとその右側の隣接するボトムとの間の第2高さ及び第2幅とを計算するステップ(S140)と、
前記第1高さ、前記第1幅、前記第2高さ、及び前記第2幅に基づいて判定指標を計算するステップ(S150)であって、p=2(h1+w1)/(h1・w1)+2(h2+w2)/(h2・w2)であり、pは判定指標を表し、h1は第1高さを表し、w1は第1幅を表し、h2は第2高さを表し、w2は第2幅を表す、ステップ(S150)と、
判定指標が最小となるピークに基づいて、前記電圧-容量曲線における電圧変曲点を決定するステップ(S160)と、
予め校正された電圧-容量曲線における電圧変曲点に対応する基準容量値を取得するステップ(S170)と、
前記電池が満充電状態に達した後、前記電池を前記電圧変曲点から満充電状態まで充電するのに要した充電電気量を取得するステップ(S180)と、
前記基準容量値と前記充電電気量との和に基づいて、前記電池の実容量を取得するステップ(S190)と、を含む、電池容量の推定方法。
【請求項2】
前記電圧-容量曲線を差分する前に、前記電圧-容量曲線を平滑化及びフィルタリングするステップをさらに含む、請求項1に記載の電池容量の推定方法。
【請求項3】
前記基準容量値は、前記電池電気量を完全に放電した後に、定電流で満充電状態まで充電し、定電流充電過程における前記電池の電圧-容量曲線を記録し、かつ定電流充電過程における前記電池の電圧-容量曲線に基づいて前記基準容量値を校正するという方式によって校正される、請求項に記載の電池容量の推定方法。
【請求項4】
前記電池を前記電圧変曲点から満充電状態まで充電するのに要した充電電気量を取得するステップは、
前記電池を前記電圧変曲点から満充電状態まで充電するのに要した充電時間を記録するステップと、
前記充電時間及び充電電流に基づいて前記充電電気量を計算するステップと、を含む、請求項に記載の電池容量の推定方法。
【請求項5】
前記実容量及び予め校正された前記電池の初期容量に基づいて前記電池の健康状態を推定するステップをさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の電池容量の推定方法。
【請求項6】
前記電池は、リン酸鉄リチウム電池である、請求項1~のいずれか一項に記載の電池容量の推定方法。
【請求項7】
前記電池の初期容量は、電池電気量を完全に放電した後に定電流で満充電状態まで充電し、電池の初期容量を記録することによって決定される、請求項5に記載の電池容量の推定方法。
【請求項8】
前記実容量及び予め校正された前記電池の初期容量に基づいて前記電池の健康状態を推定するステップは、SOH=Q/Qnew*100%を含み、ここで、前記実容量はQで表され、前記初期容量はQnewで表され、前記電池の健康状態はSOHで表される、請求項に記載の電池容量の推定方法。
【請求項9】
メモリ(410)と、プロセッサ(420)とを含み、前記メモリ(410)には、前記プロセッサ(420)によって実行されるコンピュータプログラムが記憶され、前記コンピュータプログラムは、前記プロセッサ(420)によって実行されると、
電池の充電過程において、前記電池の電圧-容量曲線をリアルタイムに取得するステップと、
前記電圧-容量曲線を差分して、電圧差分-容量曲線を取得するステップと、
前記電圧差分-容量曲線から複数のピークを識別するステップと、
各ピークとその左側の隣接するボトムとの間の第1高さ及び第1幅と、各ピークとその右側の隣接するボトムとの間の第2高さ及び第2幅とを計算するステップと、
前記第1高さ、前記第1幅、前記第2高さ、及び前記第2幅に基づいて判定指標を計算するステップであって、p=2(h1+w1)/(h1・w1)+2(h2+w2)/(h2・w2)であり、pは判定指標を表し、h1は第1高さを表し、w1は第1幅を表し、h2は第2高さを表し、w2は第2幅を表すステップと、
判定指標が最小となるピークに基づいて、前記電圧-容量曲線における電圧変曲点を決定するステップと、
予め校正された電圧-容量曲線における電圧変曲点に対応する基準容量値を取得するステップと、
前記電池が満充電状態に達した後、前記電池を前記電圧変曲点から満充電状態まで充電するのに要した充電電気量を取得するステップと、
前記基準容量値と前記充電電気量との和に基づいて前記電池の実容量を取得するステップと、を実行する、電池容量の推定装置(400)。
【請求項10】
前記電圧-容量曲線を差分する前に、前記コンピュータプログラムは、前記電圧-容量曲線を平滑化及びフィルタリングするステップをさらに実行する、請求項9に記載の電池容量の推定装置(400)。
【請求項11】
前記基準容量値は、前記電池電気量を完全に放電した後に、定電流で満充電状態まで充電し、定電流充電過程における前記電池の電圧-容量曲線を記録し、かつ定電流充電過程における前記電池の電圧-容量曲線に基づいて前記基準容量値を校正するという方式によって校正される、請求項に記載の電池容量の推定装置(400)。
【請求項12】
前記電池を前記電圧変曲点から満充電状態まで充電するのに要した充電電気量を取得するステップは、
前記電池を前記電圧変曲点から満充電状態まで充電するのに要した充電時間を記録するステップと、
前記充電時間及び充電電流に基づいて前記充電電気量を計算するステップと、を含む、請求項に記載の電池容量の推定装置(400)。
【請求項13】
前記コンピュータプログラムは、前記実容量及び予め校正された前記電池の初期容量に基づいて前記電池の健康状態を推定するステップをさらに実行する、請求項に記載の電池容量の推定装置(400)。
【請求項14】
前記電池は、リン酸鉄リチウム電池である、請求項9~13のいずれか一項に記載の電池容量の推定装置(400)。
【請求項15】
コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムは、実行されると、
電池の充電過程において、前記電池の電圧-容量曲線をリアルタイムに取得するステップと、
前記電圧-容量曲線を差分して、電圧差分-容量曲線を取得するステップと、
前記電圧差分-容量曲線から複数のピークを識別するステップと、
各ピークとその左側の隣接するボトムとの間の第1高さ及び第1幅と、各ピークとその右側の隣接するボトムとの間の第2高さ及び第2幅とを計算するステップと、
前記第1高さ、前記第1幅、前記第2高さ、及び前記第2幅に基づいて判定指標を計算するステップであって、p=2(h1+w1)/(h1・w1)+2(h2+w2)/(h2・w2)であり、pは判定指標を表し、h1は第1高さを表し、w1は第1幅を表し、h2は第2高さを表し、w2は第2幅を表すステップと、
判定指標が最小となるピークに基づいて、前記電圧-容量曲線における電圧変曲点を決定するステップと、
予め校正された電圧-容量曲線における電圧変曲点に対応する基準容量値を取得するステップと、
前記電池が満充電状態に達した後、前記電池を前記電圧変曲点から満充電状態まで充電するのに要した充電電気量を取得するステップと、
前記基準容量値と前記充電電気量との和に基づいて前記電池の実容量を取得するステップと、を実現する、コンピュータ記憶媒体。
【請求項16】
前記電圧-容量曲線を差分する前に、前記コンピュータプログラムは、前記電圧-容量曲線を平滑化及びフィルタリングするステップをさらに実現する、請求項15に記載のコンピュータ記憶媒体。
【請求項17】
前記基準容量値は、前記電池電気量を完全に放電した後に定電流で満充電状態まで充電し、定電流の充電過程における前記電池の電圧-容量曲線を記録し、かつ定電流の充電過程における前記電池の電圧-容量曲線に基づいて前記基準容量値を校正するという方式によって校正される、請求項15に記載のコンピュータ記憶媒体。
【請求項18】
前記電池を前記電圧変曲点から満充電状態まで充電するのに要した充電電気量を取得するステップは、
前記電池を前記電圧変曲点から満充電状態まで充電するのに要した充電時間を記録するステップと、
前記充電時間及び充電電流に基づいて前記充電電気量を計算するステップと、を含む、請求項15に記載のコンピュータ記憶媒体。
【請求項19】
前記コンピュータプログラムは、前記実容量及び予め校正された前記電池の初期容量に基づいて前記電池の健康状態を推定するステップをさらに実現する、請求項15に記載のコンピュータ記憶媒体。
【請求項20】
前記電池は、リン酸鉄リチウム電池である、請求項15~19のいずれか一項に記載のコンピュータ記憶媒体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
一実施例では、前記基準容量値は、前記電池電気量を完全に放電した後に定電流で満充電状態まで充電し、定電流充電過程における前記電池の電圧-容量曲線を記録し、かつ定電流充電過程における電圧-容量曲線に基づいて前記基準容量値を校正するという方式によって校正される。
【国際調査報告】