(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】単層又は多層のフリースを製造するための設備及び方法
(51)【国際特許分類】
D04H 1/736 20120101AFI20241031BHJP
D04H 1/732 20120101ALI20241031BHJP
【FI】
D04H1/736
D04H1/732
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513853
(86)(22)【出願日】2022-09-22
(85)【翻訳文提出日】2024-02-26
(86)【国際出願番号】 EP2022076383
(87)【国際公開番号】W WO2023104365
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】102021132077.1
(32)【優先日】2021-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524073027
【氏名又は名称】トリュッチュラー・グループ・ソシエタス・ヨーロピア
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】ヘートダークス・ボード
(72)【発明者】
【氏名】トムセン・スヴェン
【テーマコード(参考)】
4L047
【Fターム(参考)】
4L047AB02
4L047BA04
4L047BA08
4L047CA02
4L047EA02
(57)【要約】
本発明は、空気力学的プロセスによって繊維ウェブ(3)を生成するために形成された少なくとも1つのカード機(1)と、繊維ウェブ(3)をカード機から圧密化装置に搬送するために形成された第1の搬送ベルト(4)と、繊維ウェブ(3)をフリース(24)に圧縮するために形成された圧密化装置と、フリース(24)を少なくとも1.5倍延伸するために形成された、材料搬送方向で下流のドラフト装置(10)と、材料搬送方向で下流のボンディング装置とを有する設備及び方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気力学的プロセスによって繊維ウェブ(3)を生成するために形成された少なくとも1つのカード機(1)と、繊維ウェブ(3)をカード機(1)から圧密化装置に搬送するために形成された第1の搬送ベルト(4)とを有し、圧密化装置が、繊維ウェブ(3)をフリース(24)に圧縮するために形成されている、単層又は多層のフリースを製造するための設備(100)において、
材料搬送方向で下流に、フリース(24)を少なくとも1.5倍延伸するために形成されたドラフト装置(10)が配置され、材料搬送方向で下流に、ボンディング装置が配置されていること、を特徴とする設備。
【請求項2】
設備(100)が、空気力学的プロセスによって別の繊維ウェブ(3a)を生成するために形成された少なくとも1つの別のカード機(1a)を備えること、を特徴とする請求項1に記載の設備。
【請求項3】
搬送ベルト(4)が、少なくとも部分的に別のカード機(3a)の下に配置されていること、を特徴とする請求項2に記載の設備。
【請求項4】
圧密化装置の上流に、繊維ウェブ(3,3a)を上下に積層させて受け入れるために形成された搬送ベルト(5)が配置されていること、を特徴とする請求項2に記載の設備。
【請求項5】
カード機(3,3a)が、エアレイカード機として形成されていること、を特徴とする請求項1又は2に記載の設備。
【請求項6】
圧密化装置が、少なくとも一対のロール(6)として又は回動するベルトを有するロールとして又は油圧機械式のボンディング装置として形成されていること、を特徴とする請求項1に記載の設備。
【請求項7】
ボンディング装置が、流体力学的ボンディング装置として又はサーモボンダとして形成されていること、を特徴とする請求項1に記載の設備。
【請求項8】
ドラフト装置(10)が、少なくとも1つの上及び下のドラフト手段(12,13)を備え、これらドラフト手段が、それぞれロール又は搬送ベルトから成ること、を特徴とする請求項1に記載の設備。
【請求項9】
ドラフト手段(12,13)が、ニードル又はワイヤを備えていること、を特徴とする請求項8に記載の設備。
【請求項10】
材料搬送方向で流体力学的ボンディング装置の下流に、乾燥機(23)が配置されていること、を特徴とする請求項7に記載の設備。
【請求項11】
材料搬送方向でドラフト装置(10)の下流でボンディング装置の上流に、フリース(15a)をフリース(24)の下及び/又は上で設備(100)に導入するために形成された少なくとも1つの巻出しステーション(15)が配置されていること、を特徴とする請求項1に記載の設備。
【請求項12】
単層又は多層のフリースを製造するための方法であって、
10~60mmの繊維長さと0.5~30dtexの繊維繊度を有する繊維から、空気力学的プロセスによって1.0:1~1.2:1のMD/CD比を有する少なくとも1つの繊維ウェブ(3)が生成され、この繊維ウェブが、圧密化され、生じるフリース(24)が、少なくとも1.5倍延伸され、次いでボンディングされること、を特徴とする方法。
【請求項13】
第1の繊維ウェブ(3)上に配置され、この第1の繊維ウェブと共にフリース(24)に圧密化される少なくとも1つの別の第2の繊維ウェブ(3a)が生成され、別の第2の繊維ウェブ(3a)が、第1の繊維ウェブ(3)と同じ特性を備えること、を特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ボンディングが、流体力学的又は熱的に行なわれること、を特徴とする請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
流体力学的ボンディングが、40~400barのウォータージェットによって行なわれること、を特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ボンディング後のフリース(24)が、1.5:1~2.1:1のMD/CD比を備えること、を特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
繊維ウェブ(3)が、20~400g/m
2の単位面積重量を備え、15~200m/minの速度で生産され、好ましくは、80g/m
2の単位面積重量を備え、80m/minの速度で生産されること、を特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項18】
延伸が、1.5~4倍、好ましくは2倍で行なわれること、を特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項19】
延伸されたフリース(24)が、少なくとも1つの別のフリース(15a)と共にボンディングされ、フリース(15a)が、フリース(24)の下及び/又は上に配置されていること、を特徴とする請求項12~18のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単層又は多層のフリースを製造するための設例えば備及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばワイピングクロス又は衛生用品のために使用される不織布の範囲内でほぼ等方性のフリースを製造する場合、カード機でカーディングされた繊維ウェブは、クロスラッパーの下流で更にボンディングされる1.3:1~2.1:1のMD/CD比を有するフリースを生成するために、クロスラッパー内で折り畳まれる。例えば最終製品として40g/m2の重量を有するフリースが製造されるべきであれば、カード機は、30g/m2の繊維ウェブを生成する。この繊維ウェブは、後続のフリース積層装置に例えば100m/minで進入し、そこで、所望のMD/CD比を生成するために、4層に折り畳まれる。次いで、多層のフリースは、例えば22m/minの速度でクロスラッパーからドラフト及びボンディングステーションに進入し、次いで80m/minの速度で巻き取られる。この場合、カード機によって生産されるフリースが軽いほど、クロスラッパー内での折畳み又はクロスラッピングのプロセスが敏感になるが、それは、気流及び高い速度が、折畳みの過程に非常に強く影響を及ぼすからである。更に、クロスラッパーは、設備オペレータにとって非常に高価な投資であり、この投資は、材料流がL字形であることに基づいて多くのスペースを占め、同時に生産品質及び生産量を望ましくないほどに制限する。
【0003】
例えば欧州特許第0777771号明細書から、エアレイカード機とも呼ばれる、繊維ウェブを空気力学的に製造するための装置が知られている。これらエアレイカード機により、ほぼ等方性の繊維ウェブを製造することができる。フリース重量が高い時に生産速度が低いことが欠点である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、柔軟に使用可能で、ほぼ等方性のフリースを高い生産性で製造することができる、単層又は多層のフリースを製造するための設備及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、請求項1及び12による教示によって提起した課題を解決し、本発明の別の有利な形成の特徴は、従属請求項によって特徴付けられている。
【0007】
請求項1による技術的教示によれば、単層又は多層のフリースを製造するための設備は、空気力学的プロセスによって繊維ウェブを生成するために形成された少なくとも1つのカード機と、繊維ウェブをカード機から圧密化装置に搬送するために形成された第1の搬送ベルトとを有し、圧密化装置が、繊維ウェブをフリースに圧縮するために形成されている。
【0008】
繊維ウェブの空気力学的製造により、繊維ウェブは、高い等方性を備え、この等方性は、さもなければウェットレイドプロセス又はエアレイドプロセスでしか達成することはできない。これらプロセスとは異なり、例えばエアレイカード機によって、広い範囲の繊維長さ、繊維繊度及び繊維種類を処理することができる。
【0009】
生産された大量の繊維ウェブを効率的に次処理するため、本発明は、材料搬送方向で下流に、フリースを少なくとも1.5倍延伸するために形成されたドラフト装置が配置されていることを企図する。次いで、フリースは、異なる方法でボンディングすることができる。
【0010】
この場合、設備は、等方性のフリースがフリース積層装置なしで高い生産性で製造可能であるように構成されている。設備の生産性は、後続のフリース積層装置を有する従来のカード機を使用する場合よりも高く、投資は、著しく低い。例えば40g/m2の最終製品の同じ単位面積重量の場合、本発明によれば、生産性は2倍にすることができる。別の利点は、フリースの製造における低いエラー率であるが、それは、薄いフリース又は繊維ウェブの折畳み時にしばしばエッジが折れ返り、これにより、横断面にわたって異なる重なりが生じるからである。
【0011】
この場合、設備は、空気力学的プロセスによって別の繊維ウェブを生成するために形成された少なくとも1つの別のカード機を備えることができる。スペースがある場合、任意の数のカード機を一列に配置することができ、その繊維ウェブは、共に次処理される。使用されるカード機の数を変えることにより、1.5~4倍のフリースの延伸時に、最終製品は、ほとんど任意に単位面積重量及び生産性を変えることができる。設備は、従来のカード機及びフリース積層装置を有する設備よりも柔軟かつ安価である。同じ又は異なる繊維品質を使用することができる。
【0012】
複数のカード機が一列に配置されている場合、材料搬送方向で最初のカード機から繊維ウェブを搬送するための搬送ベルトは、少なくとも部分的に別のカード機の下に配置することができる。この場合、搬送ベルトは、地下に案内すること又はカード機の支持体間に配置することができる。
【0013】
圧密化装置の上流に、繊維ウェブを上下に積層させて受け入れるために形成された別個の搬送ベルトを配置することができる。この場合、カード機の別個の搬送ベルトと引出しベルトを互いに同期させることは必要ない。
【0014】
カード機が、エアレイカード機として形成されていることによって、コンパクトかつ省スペースなカード機を使用することができる。エアレイカード機は、ランダムフリース原理又は空気力学的プロセスにより作動する他のカード機と比較して、低い単位面積重量を有する繊維ウェブを製造すること及び大きい長さバリエーションを有する繊維を処理することができる。
【0015】
圧密化装置は、例えば、繊維の構造もしくは整向を変えることなく繊維ウェブを圧縮する少なくとも一対のロールとして形成することができる。次に配置されるドラフト装置は、フリースを1.5~4倍延伸することができる少なくとも1つの上及び下のドラフト手段を備える。ドラフト手段は、それぞれ1つの平滑な表面を備えるロール又は搬送ベルトのアッセンブリから成るか、ニードル又はワイヤを備えている。
【0016】
設備の別の柔軟性は、材料搬送方向でドラフト装置の下流でボンディング装置の上流に、例えばカーディングされた別のフリース又は紙又はティッシュの層をフリースの下及び/又は上で設備に導入するために形成された少なくとも1つの巻出しステーションが配置されていること、によって達成することができる。異なる繊維長さを有する種々の繊維を異なる単位面積重量で導入し、個々に又は共に処理することができる非常に柔軟な設備が得られる。
【0017】
後続のボンディング装置は、流体力学的ボンディング装置として又はサーモボンダとして形成することができる。流体力学的ボンディング装置は、ウォータージェットボンディング装置として形成され、40~400barの圧力で操作することができる吸引装置を付設した複数のウォーターバーを備える。ウォータージェットボンディング装置により、1つのフリース又は複数の層のフリースは、互いにボンディング、結合及び/又は構造化することができる。特別に形成されたノズル装置により又は繊維材料としてのウェブ及び/又はフリースを封じる上の構造ベルトと組み合わせて、フリースの構造化、これによりパターン化された表面が可能である。選択的に、ボンディング及び構造化は、乾燥機の上流に配置された、構造シェルを取り付けた図示してないドラム上で行なうこともできる。
【0018】
材料搬送方向で流体力学的ボンディング装置の下流に、乾燥機を配置することができる。
【0019】
単層又は多層のフリースを製造するための本発明による方法は、10~60mmの繊維長さと0.5~30dtexの繊維繊度を有する繊維から、空気力学的プロセスによって1.0:1~1.2:1のMD/CD比を有する少なくとも1つの繊維ウェブを生成することを企図する。その後、繊維ウェブは、圧密化され、生じるフリースは、少なくとも1.5倍延伸され、次いでボンディングされる。本発明による方法は、高い生産性でフリース積層装置なしで等方性のフリースを製造することを可能にする。フリースの延伸により、ほとんど任意の単位面積重量を有する等方性のフリースを、高い生産速度で製造することができる。ウェットレイドプロセス又はエアレイドプロセスと比較して、プロセス労力は、著しく低く、長さ、繊度及び種類に関して、より多様な繊維を処理することができる。
【0020】
第1の繊維ウェブ上に配置され、この第1の繊維ウェブと共にフリースに圧密化される少なくとも1つの別の第2の繊維ウェブが生成されることにより、設備の生産性は、更に高めることができる。任意に多くの繊維ウェブを別々に生成し、上下に配置し、延伸を介して最終重量に適合させることができる。このコンセプトは、実質的に、4つより多くのカード機を一列に並べる際のスペース必要量だけによって制限されている。
【0021】
この場合、上下に配置された繊維ウェブは、全てが、好ましくは第1の繊維ウェブと同じ特性を備える。しかしながら、本発明は、異なる繊維品質の繊維ウェブを生成し、共に処理する可能性も企図するものであり、両繊維ウェブは、ほぼ同じ等方性を備える。
【0022】
繊維ウェブの延伸は、1.5~4倍、好ましくは2倍で行なうことができる。
【0023】
例えば、各カード機の繊維ウェブは、20~400g/m2の単位面積重量を備え、15~200m/minの速度で生産すること、好ましくは、80g/m2の単位面積重量を備え、80m/minの速度で生産することができる。
【0024】
方法の更なる柔軟性は、延伸されたフリースが、巻出しステーションによって設備に導入される少なくとも1つの別のフリースと共にボンディングされることによって行なうことができる。この場合、例えばカードフリースとして又は紙又はティッシュの層として構成することができる付加的なフリースは、フリースの上及び/又は下に配置することができる。これにより、延伸されたフリースは、他の、好ましくは軽いフリース品質で片側をカバーする又は封じることができるので、例えば衛生製品において大幅な選択が生成可能である。
【0025】
延伸されたフリースの、単独での又は巻出しステーションから導入されるフリースと組み合わせたボンディングは、繊維の種類に応じて、流体力学的又は熱的に行なうことができる。
【0026】
本発明を改善する更なる措置が、本発明の好ましい実施例の図による説明と共に以下で詳細に示される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明による設備及び方法の第1の実施形態を示す。
【
図2a】ドラフト装置の第1の実施形態の詳細図を示す。
【
図2b】ドラフト装置の第2の実施形態の詳細図を示す。
【
図3】本発明による設備及び方法の第2の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明による設備100は、エアレイカード機として形成することができる少なくとも1つの第1のカード機1を有する。カード機1は、フィーダ2を介して、天然又は合成繊維(綿、ビスコース、リヨセル、麻、パルプ、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリオレフィン)又はこれら繊維の混合物から成り得る繊維又は繊維ウェブを供給される。好ましくは、10~60mmの長さ及び0.5~30dtexを有する繊維を処理することができる。カード機1の作業幅は、1.5~3.8mとすることができる。例えば80m/minの生産速度において80g/m2の重量を備える生成された繊維ウェブ3は、この実施例では一対のロール6として形成された圧密化装置に繊維ウェブ3を導く第1の搬送ベルト4上に配置される。圧密化装置は、繊維の整向において構造を変えることなく繊維ウェブを圧縮する課題を有する。
【0029】
ランダムフリースを生成するため、乾燥プロセスで高い等方性を有する繊維ウェブを生成することができる他の空気力学的プロセスを使用することもできる。エアレイカード機は、異なる長さ及び異なる種類の繊維(天然/合成繊維)を、広い処理範囲(フリース重量、繊維繊度)かつ高品質で処理することができるとの利点を有する。
【0030】
ロール対6に対して選択的に、圧密化は、ロールと回動するベルトによって行なうこともでき、その場合、ロールは、好ましくは有孔プレートロールとして形成されている。圧密化に対する別の選択肢は、油圧機械式の予備ボンディングであり得るが、これは、若干予備ボンディングされたフリースを、後からより均等に変形させ得るとの利点を備える。
【0031】
最終製品のためにより高い単位面積重量が必要とされる場合、設備100は、同様にエアレイカード機として形成することができる少なくとも1つの別のカード機を備える。この実施例では、第1のカード機1の繊維ウェブ3は、搬送ベルト4によって、材料搬送方向で後続のカード機1aの下で案内され、別の搬送ベルト5に引き渡される。第2のカード機1aも、フィーダ2aを介して、第1のカード機1の繊維と同一であり得る繊維又は繊維フロックを供給される。しかしながら、繊維は、異なることもできるので、異なる繊維の層を有する多層のフリースを製造することができる。この実施例では、生成された第2の繊維ウェブ3も、80m/minの生産速度において80g/m2の重量を備える。第2の繊維ウェブ3aも、搬送ベルト5に引き渡され、この搬送ベルト上で、両繊維ウェブ3,3aが統合される。搬送ベルト4,5の同期は、不要である。80m/minにおいて合計160g/m2を有する2つの繊維ウェブ3,3aが進入する後続の圧密化装置は、この実施例では、ロールの対として形成され、繊維ウェブ3,3aの両層を、繊維の整向を変えることなく圧縮し、これにより、フリース24が生じる。最終製品は、40g/m2の重量を備えるべきであるので、圧密化装置の下流に、フリースストレッチャとして形成され得るドラフト装置10が配置されている。
【0032】
図2aによる第1の実施形態で、ドラフト装置10は、互いに角度を調整された2つの搬送ベルトを有する入口領域11を備え得るフリースストレッチャとして形成されている。互いに調整された搬送ベルトの角度は、各個々の搬送ベルトの速度と同様に設定可能であり得る。互いに調整された搬送ベルト内で、フリース24は、予備圧縮され、厚さを縮小されるので、フリースは、上と下のドラフト手段12,13の間に進入することができる。両ドラフト手段12,13は、互いに位置をずらして配置されたロールの列から成るので、上のドラフト手段12のロールは、少なくとも部分的に下のドラフト手段13のロールのガセット部内に突出する。ロールの少なくとも一部は、駆動され、両ドラフト手段12,13は、異なるロール速度で操作されるので、フリースは、ロールの間で延伸される。この場合、ロールの回転数は、入口領域11から出口領域14まで連続的に増加することができる。このため、ロールは、好ましくは個々の駆動装置を備えるので、ドラフトは、ドラフト装置に沿って可変に調整可能である。入口領域11から出口領域14までのロールの速度差を介して、横断面内のフリース24の質量は低減することができるので、フリース24は、実質的に横断面全体にわたって均等に延伸される。好ましくは、上のドラフト手段12は、力又は重量の付加を受けている。好ましくは、下のドラフト手段13に対する上のドラフト手段12の間隔は、入口領域11から出口領域14まで減少することができる。ドラフト装置10の出口領域14は、増加したフリースの搬送速度に適合させた搬送ベルトとして形成することができる。
【0033】
好ましくは、上及び下のドラフト手段12,13のロールの表面は、平滑に形成すること又はワイヤ又はニードル備えることができ、これにより、フリース収縮を回避することができる。ドラフト装置10での横のガイドにより、フリース24が所望の作業幅を超えて延伸されることが防止される。
【0034】
図2bは、同様に互いに角度を調整された2つの搬送ベルトを有する入口領域11を備え得るドラフト装置10の第2の実施形態を示す。互いに調整された搬送ベルトの角度は、各個々の搬送ベルトの速度と同様に設定可能であり得る。互いに調整された搬送ベルト内で、フリース24は、予備圧縮され、厚さを縮小されるので、フリースは、上と下のドラフト手段12,13の間に進入することができる。この実施例で、上及び下のドラフト手段12,13は、搬送ベルトとして形成され、搬送ベルトは、異なる速度で操作されるので、搬送ベルトの間で、例えば2であり得る倍率でフリースの延伸が行なわれる。上及び下のドラフト手段12,13も、異なりフリース厚さへの適合を可能にするために、互いの角度及び/又は間隔を設定することができる。特に、上及び下のドラフト手段12,13のそれぞれの速度がドラフト区間にわたって等しく保たれているこの実施例の場合、出口領域14は、搬送ベルトとして形成され、延伸の倍率に応じて異なる速度範囲に設定することができる。好ましくは、ドラフト手段12,13の搬送ベルトも、フリース24の側の表面にニードルを備えることができる。
【0035】
ドラフト装置の下流で、160m/minにおいて40g/m2の重量を有する、ドラフト装置10で例えば2倍延伸されたフリース24がボンディングされるが、これは、後続の流体力学的ボンディング装置で行なうことができる。このボンディング装置は、繊維をウォータージェットによって互いに絡み合わせる複数のウォーターバー20を備える。ウォーターバー20の下に、吸引装置を下に配置した回動する搬送ベルト21を配置することができる。搬送ベルト21は、ウォーターバー20の水を排出するために穿孔されている。この実施形態に対して選択的に、フリース24は、2つの搬送ベルトの間で封じ、ウォータージェットによってボンディングすることができる。この場合、フリースは、ボンディングされるだけでなく、構造化及び/又は穿孔することもできる。図示したこの実施形態に対する別の選択肢は、ボンディング以外にフリース24の構造化及び/又は穿孔も行なう、内側から吸引される回転ドラム上でのボンディングによって行なうことができる。用途に応じて、ウォーターバーは、40-400barの水圧で操作することができる。ボンディング装置の下流で、フリース24は、ドラム又はベルト乾燥機として形成され得る乾燥機で乾燥され、巻取りステーション25にて巻き取られる。
【0036】
設備100の選択的な実施形態は、ドラフト装置10の下流に少なくとも1つ又は2つの巻出しステーション15が配置された
図3に図示されている。巻出しステーションは、フリース24の下及び/又は上で例えば合成のカードフリース15aの薄い層を設備に導入するために形成されているので、等方性の繊維から成るフリース24が、カードフリース15aの1つ又は2つの別の層でカバーされる。薄い合成のカードフリース15aから成る層は、例えば30g/m
2未満の低い単位面積重量を備えることができる。巻出しステーション15によって導入される合成のカードフリース15aに対して選択的に、ティッシュもしくは紙から成る薄いフリースを使用することもできる。
【0037】
この実施例によれば、設備は、カード機1,1aの繊維ウェブ3,3aだけから又は下及び/又は上のカードフリース15aを有する繊維ウェブ3,3aから成り得る単層又は多層のフリース24を製造するために形成されている。この場合、異なる数の及び/又は1~3の繊維槽を有する弧となる単位面積重量の繊維の材料コンビネーションが得られる。この場合、設備100は、等方性のフリース24が、フリース積層装置なしで高い生産性で製造可能であるように構成されている。MD/CD比は、ボンディング後に1.5:1~2.1:1である。
【符号の説明】
【0038】
100 設備
1,1a カード機
2,2a フィーダ
3,3a 繊維ウェブ
4 搬送ベルト
5 搬送ベルト
6 ロール
10 ドラフト装置
11 入口領域
12 上のドラフト手段
13 下のドラフト手段
14 出口領域
15 巻出しステーション
15a カードフリース
20 ウォーターバー
21 搬送ベルト
22 吸引装置
23 乾燥機
24 フリース
25 巻取りステーション
【国際調査報告】