(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】医療施設全域にわたって患者をモニタリングするためのマルチテクノロジー無線通信ネットワーク
(51)【国際特許分類】
G16H 40/00 20180101AFI20241031BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
G16H40/00
A61B5/00 102Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515080
(86)(22)【出願日】2022-09-20
(85)【翻訳文提出日】2024-03-07
(86)【国際出願番号】 EP2022076017
(87)【国際公開番号】W WO2023046652
(87)【国際公開日】2023-03-30
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】レッデル ポール フランツ
(72)【発明者】
【氏名】アプレトン ブルース ジョフリー
(72)【発明者】
【氏名】チャコン ホセ エイチ
(72)【発明者】
【氏名】シング アマン
【テーマコード(参考)】
4C117
5L099
【Fターム(参考)】
4C117XB04
4C117XH12
5L099AA00
(57)【要約】
医療施設全域にわたって患者をモニタリングするための連続的な無線接続性を提供する方法であって、前記方法は、遮蔽壁によって少なくとも部分的に画定される部屋に室内アクセスポイントを、及び前記部屋の外にアクセスポイントを設け、前記室内アクセスポイントと前記アクセスポイントとを接続するステップ、第1のソースデバイスの通信ユニットが、前記患者に関する情報を送信するステップ、前記部屋の外にある前記アクセスポイントが、前記第1のソースデバイスから情報を受信するステップ、前記室内アクセスポイントが、前記第1のソースデバイスから追加の情報を受信するステップ、デジタルデータストリームを生成するために、前記第1のソースデバイスからの前記情報と前記追加の情報とを組み合わせるステップ、及び前記アクセスポイント通信システムのアクセスポイント通信ユニットが、前記医療施設の情報システムに前記デジタルデータストリームを送信するステップを有する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療施設全域にわたって患者をモニタリングするための連続的な無線接続性を提供するためのシステムにおいて、前記システムは、
前記患者に関する情報を送信するように構成される通信ユニットを有する第1のソースデバイス、及び
前記医療施設内に配されるアクセスポイント通信システム
を有し、前記アクセスポイント通信システムは、
遮蔽壁によって少なくとも部分的に画定される部屋にある室内アクセスポイントであって、前記第1のソースデバイスから前記患者に関する情報を受信するように構成される室内送受信機を有する室内アクセスポイント、
前記部屋の外にあり、前記室内アクセスポイントに接続されるアクセスポイントであって、前記第1のソースデバイスから前記患者に関する追加の情報を受信するように構成される送受信機を有するアクセスポイント、
前記送受信機及び前記室内送受信機と通信し、前記第1のソースデバイスからの前記情報と前記追加の情報とを組み合わせて、デジタルデータストリームを生成するように構成されるプロセッサ、及び
前記デジタルデータストリームを前記医療施設の情報システムに送信するように構成されるアクセスポイント通信ユニット
を有する、医療施設全域にわたって患者をモニタリングするための連続的な無線接続性を提供するためのシステム。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記送受信機と前記第1のソースデバイスとの間の第2の通信リンクを確立する間、前記室内送受信機と前記第1のソースデバイスとの間の第1の通信リンクを維持するようにさらに構成される、請求項1に記載の医療施設全域にわたって患者をモニタリングするための連続的な無線接続性を提供するためのシステム。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記室内送受信機と前記第1のソースデバイスとの間の第2の通信リンクを確立する間、前記送受信機と前記第1のソースデバイスとの間の第1の通信リンクを維持するようにさらに構成される、請求項1に記載の医療施設全域にわたって患者をモニタリングするための連続的な無線接続性を提供するためのシステム。
【請求項4】
前記アクセスポイントは、ルータを介して前記室内アクセスポイントに接続される、請求項1に記載の医療施設全域にわたって患者をモニタリングするための連続的な無線接続性を提供するためのシステム。
【請求項5】
前記第1のソースデバイス、前記送受信機及び前記室内送受信機は、第1の技術に従って通信するように構成され、前記アクセスポイント及び前記室内アクセスポイントは、少なくとも前記第1の技術とは異なる第2の技術に従って通信するように構成される、請求項1に記載の医療施設全域にわたって患者をモニタリングするための連続的な無線接続性を提供するためのシステム。
【請求項6】
前記部屋はマグネットルームであり、前記遮蔽壁が銅又は鋼を含む電磁干渉シールド材料を含む、請求項1に記載の医療施設全域にわたって患者をモニタリングするための連続的な無線接続性を提供するためのシステム。
【請求項7】
前記送受信機又は前記室内送受信機は、ソフトウェア無線である、請求項1に記載の医療施設全域にわたって患者をモニタリングするための連続的な無線接続性を提供するためのシステム。
【請求項8】
前記アクセスポイント通信ユニットは、前記医療施設の前記情報システムのディスプレイに前記デジタルデータストリームを送信するように構成される、請求項1に記載の医療施設全域にわたって患者をモニタリングするための連続的な無線接続性を提供するためのシステム。
【請求項9】
医療施設全域にわたって患者をモニタリングするための連続的な無線接続性を提供する方法であって、前記方法は、
前記医療施設内にアクセスポイント通信システムを設けるステップであって、前記アクセスポイント通信システムは、遮蔽壁によって少なくとも部分的に画定される部屋における室内アクセスポイントを有し、前記アクセスポイント通信システムは、前記部屋の外にあり、前記室内アクセスポイントに接続されるアクセスポイントをさらに有する、ステップ、
前記患者をモニタリングする第1のソースデバイスの通信ユニットが、前記患者に関する情報を送信するステップ、
前記部屋の外にある前記アクセスポイントの送受信機が、前記患者をモニタリングする前記第1のソースデバイスから情報を受信するステップ、
前記室内アクセスポイントの室内送受信機が、前記患者をモニタリングする前記第1のソースデバイスから追加の情報を受信するステップ、
デジタルデータストリームを生成するために、前記アクセスポイント通信システムのプロセッサが、前記第1のソースデバイスからの前記情報と前記追加の情報とを組み合わせるステップ、及び
前記アクセスポイント通信システムのアクセスポイント通信ユニットが、前記医療施設の情報システムに前記デジタルデータストリームを送信するステップ
を有する方法。
【請求項10】
前記プロセッサが、前記送受信機と前記第1のソースデバイスとの間の第2の通信リンクを確立する間、前記室内送受信機と前記第1のソースデバイスとの間の第1の通信リンクを維持するステップをさらに有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記プロセッサが、前記室内送受信機と前記第1のソースデバイスとの間の第2の通信リンクを確立する間、前記送受信機と前記第1のソースデバイスとの間の第1の通信リンクを維持するステップをさらに有する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記アクセスポイントは、ルータを介して前記室内アクセスポイントに接続される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のソースデバイスと、前記送受信機と、前記室内送受信機との間は、第1の技術に従って通信するステップ、並びに前記アクセスポイントと、前記室内アクセスポイントとの間は、少なくとも前記第1の技術とは異なる第2の技術に従って通信するステップをさらに有する、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記送受信機又は前記室内送受信機は、ソフトウェア無線である、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記アクセスポイント通信ユニットが、前記医療施設の前記情報システムのディスプレイに前記デジタルデータストリームを送信するステップをさらに有する、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、例えば磁気共鳴(MR)のようなRF遮蔽領域を含む医療施設全域にわたって患者をモニタリングするための連続的な無線接続性を提供するためのシステム及び方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴画像(MRI)の能力は高くなり、急性疾患の患者にますます適用されている。急性疾患の患者は、これらの急性疾患の患者が集中治療室(ICU)の外にいるすべての期間中、常に包括的なモニタリングの必要性を高めている。今日の病院ネットワークは、医療施設中のほとんどの領域において、この遠隔モニタリングの課題を達成しているが、患者の治療を支援するためにMRI画像診断を必要とする患者に対して、連続的な接続性を保証することはできない。例えば、磁気共鳴(MR)室に搬送される、特に磁気共鳴(MR)室の外から磁気共鳴(MR)室の中へ、及び磁気共鳴(MR)室の中から磁気共鳴(MR)室の外への移動中に鎮静状態の患者を遠隔でモニタリングできることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、病院ネットワークは、信号経路が2つの異なるソース間で切り替わることを可能にするために、BBM(break-before-make)通信プロトコルを用いて構成される。このBBMスイッチングは、2つの信号ソース間の如何なる瞬間的な短絡も回避するために、新しい信号経路を確立又は接続する前に、元の信号経路を開く又は切断する。残念なことに、BBM通信プロトコルは、データを失ったり、データの再送信によって遠隔の看護ステーションへのデータの到着が遅くなったりする可能性がある。
【0004】
さらに、例えば、ヨーロッパの無線機器指令(RED)のように、実効放射電力(EIRP)に対する規制値は、増大の一途をたどっている。これらの新しい規制の幾つかは、より多くのプレーヤーが適用可能な無線システムを同時に使用することを可能にする一方、1つ以上のプレーヤーが、他のプレーヤーよりも大きな音を出すことを可能にしない。従って、システムは、磁気共鳴(MR)室の遮蔽された壁を連続的に貫通するのに十分な電力を持つ無線機を含むことができない。さらに、磁気共鳴(MR)室のシールドを通り通信することができる現在のシステムは、磁気共鳴(MR)検査室の外に置かれるシステムとの互換性がないため使用が規制されている。
【0005】
従って、当技術分野において、例えば磁気共鳴のような、RF遮蔽領域を含む医療施設全域にわたって患者をモニタリングするための連続的な無線接続性を提供するための改善されたシステム及び方法が必要とされている。また、当技術分野において、複数の技術をサポートする改善された通信方法及びシステムの必要性もあり、故に、各々のユーザが、ユーザの特定のアプリケーションに対し最適化される無線通信プロトコルを利用するための柔軟性を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、一般に、医療施設全域にわたって患者をモニタリングするための連続的な無線接続性を提供するための発明の方法及びシステムを対象とする。本明細書における様々な実施形態及び実装形態は、医療施設全域にわたって複数の異なる技術をサポートするマルチテクノロジーのアクセスポイントを利用する改善されたシステム又は方法を対象とする。医療施設は、例えばMR室のような遮蔽されたマグネットルームを含む。マルチテクノロジーのアクセスポイント又はハブの少なくとも1つは、前記遮蔽されるマグネットルームの内に配され、少なくとも1つの他のマルチテクノロジーのアクセスポイント又はハブは、前記遮蔽されるマグネットルームの外に配される。マルチテクノロジーのアクセスポイント又はハブは、例えば看護師及び他の臨床スタッフの遠隔中央局を含む、病院ネットワークが患者の情報を連続的に利用可能であるように、例えばブレイク・ビフォア・メイキング(MBB)通信プロトコルをサポートする。本出願人は、アクセスポイントを改善して、強化された無線能力を提供することができることを認識及び理解した。出願人は、そのような強化されたアクセスポイントが、非常に低い減衰の環境と、高い減衰又は遮蔽を持つ環境、例えば、MR検査室、金属製エレベータ、冷凍庫などとの間の連続的な無線通信を提供するために使用されることを認識及び理解した。本明細書に記載される改善されるシステム及び方法は、実効放射電力(EIRP)の増え続ける規制限度もサポートする。
【0007】
一般的に、一態様において、医療施設全域にわたって患者をモニタリングするための連続的な無線接続性を提供するためのシステムが提供される。このシステムは、患者に関する情報を送信するように構成される通信ユニット有する第1のソースデバイス、及び医療施設内に配されるアクセスポイント通信システムを含む。このアクセスポイント通信システムは、遮蔽壁によって少なくとも部分的に画定される部屋における室内アクセスポイントを含み、この室内アクセスポイントは、前記第1のソースデバイスから患者に関する情報を受信するように構成される室内送受信機を有する。前記アクセスポイント通信システムは、前記部屋の外にあり、前記室内アクセスポイントに接続されるアクセスポイントをさらに含み、このアクセスポイントは、前記第1のソースデバイスから患者に関する追加の情報を受信するように構成される送受信機を有する。前記アクセスポイント通信システムは、前記第1のソースデバイスからの情報と追加の情報とを組み合わせて、デジタルデータストリームを生成するために、送受信機及び室内送受信機と通信するように構成されるプロセッサをさらに含む。前記アクセスポイント通信システムは、医療施設の情報システムに前記デジタルデータストリームを送信するように構成されるアクセスポイント通信ユニットをさらに含む。
【0008】
一実施形態によれば、前記プロセッサは、前記送受信機と前記第1のソースデバイスとの間の第2の通信リンクを確立する間、前記室内送受信機と前記第1のソースデバイスとの間の第1の通信リンクを維持するようにさらに構成される。
【0009】
一実施形態によれば、前記プロセッサは、前記室内送受信機と前記第1のソースデバイスとの間の第2の通信リンクを確立する間、前記送受信機と前記第1のソースデバイスとの間の第1の通信リンクを維持するようにさらに構成される。
【0010】
実施形態によれば、前記アクセスポイントは、ルータを介して前記室内アクセスポイントに接続される。
【0011】
一実施形態によれば、前記第1のソースデバイス、前記送受信機及び前記室内送受信機は、第1の技術に従って通信するように構成され、前記アクセスポイント及び前記室内アクセスポイントは、第1の技術とは異なる少なくとも第2の技術に従って通信するように構成される。
【0012】
実施形態によれば、前記部屋はマグネットルームであり、遮蔽壁は、銅又は鋼を有する電磁干渉シールド材料を有する。
【0013】
一実施形態によれば、前記送受信機又は前記室内送受信機は、ソフトウェア無線(software-defined radio)である。
【0014】
一実施形態によれば、前記アクセスポイントの通信ユニットは、医療施設の情報システムのディスプレイに前記デジタルデータストリームを送信するように構成される。
【0015】
一般的に、別の態様において、医療施設全域にわたって患者をモニタリングするための連続的な無線接続性を提供するための方法が提供される。前記方法は、医療施設内にアクセスポイント通信システムを設けるステップを含み、前記アクセスポイント通信システムは、遮蔽壁によって少なくとも部分的に画定される室内アクセスポイントを有し、前記アクセスポイント通信システムは、前記部屋の外にあり、前記室内アクセスポイントに接続されるアクセスポイントをさらに有する。前記方法は、患者をモニタリングする第1のソースデバイスの通信ユニットによって、患者に関する情報を送信するステップ、前記部屋の外にあるアクセスポイントの送受信機によって、患者をモニタリングする第1のソースデバイスから情報を受信するステップ、前記室内アクセスポイントの室内送受信機によって、患者をモニタリングする第1のソースデバイスから追加の情報を受信するステップ、アクセスポイント通信システムのプロセッサによって、デジタルデータストリームを生成するために、前記情報と前記追加の情報とを組み合わせるステップ、及び前記アクセスポイント通信システムのアクセスポイント通信ユニットによって、医療施設の情報システムに前記デジタルデータストリームを送信するステップ、をさらに含む。
【0016】
一実施形態によれば、前記方法は、前記プロセッサによって、前記送受信機と前記第1のソースデバイスとの間の第2の通信リンクを確立する間、前記室内送受信機と前記第1のソースデバイスとの間の第1の通信リンクを維持するステップをさらに有する。
【0017】
一実施形態によれば、前記方法は、前記プロセッサによって、前記室内送受信機と前記第1のソースデバイスとの間の第2の通信リンクを確立する間、前記送受信機と前記第1のソースデバイスとの間の第1の通信リンクを維持するステップをさらに有する。
【0018】
一実施形態によれば、前記アクセスポイントは、ルータを介して前記室内アクセスポイントに接続される。
【0019】
一実施形態によれば、前記方法は、第1のソースデバイス、送受信機及び室内送受信機の間で第1の技術に従って通信するステップ、並びに前記アクセスポイント及び前記室内アクセスポイント間で、第1の技術とは異なる少なくとも第2の技術に従って通信するステップをさらに有する。
【0020】
一実施形態によれば、前記送受信機又は前記室内送受信機は、ソフトウェア無線である。
【0021】
一実施形態によれば、前記方法は、アクセスポイント通信ユニットによって、医療施設の情報システムのディスプレイにデジタルデータストリームを送信するステップをさらに含む。
【0022】
様々な実装形態において、プロセッサ又はコントローラは、1つ以上の記憶媒体(本明細書では一般的に“メモリ”と呼ばれ、例えば、RAM、PROM、EPROM及びEEPROMなどのような揮発性及び不揮発性のコンピュータメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク、光ディスク、磁気テープなどである)に関連付けられる。幾つかの実装形態において、前記記憶媒体は、1つ以上のプロセッサ及び/又はコントローラ上で実行されるとき、本明細書に説明される機能の少なくとも幾つかを行う1つ以上のプログラムを用いて符号化される。様々な記憶媒体は、本明細書に説明されるような様々な態様を実装するために、当該媒体上に記憶される1つ以上のプログラムがプロセッサ又はコントローラに読み込まれるように、プロセッサ又はコントローラ内に取り付けられる、或いは搬送可能とすることができる。“プログラム”又は“コンピュータプログラム”という用語は、1つ以上のプロセッサ又はコントローラをプログラムするために使用される如何なる種類のコンピュータコード(例えば、ソフトウェア又はマイクロコード)も指すために、本明細書では一般的な意味で使用される。
【0023】
以下でより詳細に説明される上述した概念及び追加の概念の全ての組合せは、(そのような概念が相互に矛盾しないことを条件に)本明細書に開示される発明の保護対象の一部であると意図されることを理解されたい。特に、本開示の最後にある請求される保護対象の全ての組み合わせは、本明細書に開示される発明の保護対象の一部であると考えるべきである。本明細書において明示的に用いられる専門用語は、参照することで組み込まれる任意の開示にも現れることがあるが、本明細書に開示される特定の概念と最も一致する意味を有するものであることも理解すべきでる。
【0024】
様々な実施の形態のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施形態から明らかになり、これら実施形態を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図面において、同様の参照文字は、異なる図面を通じて同じ部分を概ね指す。また、図面は必ずしも一定の縮尺で描かれてなく、代わりに、様々な実施形態の原理を例示することに重点が置かれている。
【
図1】
図1は、本開示の態様による、医療施設におけるアクセスポイント通信システムの概略図である。
【
図2A】
図2Aは、本開示の態様による、医療施設におけるアクセスポイント通信システムの概略図である。
【
図2B】
図2Bは、本開示の態様による、医療施設におけるアクセスポイント通信システムの概略図である。
【
図2C】
図2Cは、本開示の態様による、医療施設におけるアクセスポイント通信システムの概略図である。
【
図3】
図3は、本開示の態様による、ソースデバイスから医療施設の情報システムにデータを送信するアクセスポイント通信システムのアクセスポイントの概略図である。
【
図4】
図4は、本開示の態様による、アクセスポイント通信システムを使用して医療施設全域にわたって患者をモニタリングするための連続的な無線接続性を提供するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示は、減衰が非常に低い環境(例えば、典型的な建物の内部)と、大きく減衰する又は遮蔽する環境(例えば、MR検査室、金属製エレベータ、冷凍庫など)との間で連続的な無線通信を提供するための改善されたシステム及び方法の様々な実施形態を説明する。出願人は、病院ネットワーク及び遠隔中央ステーションが患者の情報を連続的に利用できるように、強化されたマルチテクノロジー無線アクセスポイントを使用して、メイク・ビフォア・ブレイク(make-before-break)通信プロトコルをサポートすることを認識し、理解した。改善されたシステム及び方法は、医療施設にアクセスポイント通信システムを設けることを含み、このアクセスポイント通信システムは、遮蔽壁によって少なくとも部分的に画定されるマグネットルームに少なくとも1つの室内アクセスポイントを含む。このアクセスポイントのシステムは、前記マグネットルームの外に少なくとも1つのアクセスポイントをさらに含み、前記少なくとも1つの室内アクセスポイントが前記少なくとも1つのアクセスポイントに接続されている。前記改善されたシステム及び方法は、患者をモニタリングする第1のソースデバイスの通信ユニットによって、患者に関する情報を送信することをさらに含む。前記改善されたシステム及び方法は、マグネットルームの中及び外にある前記アクセスポイントの送受信機によって、患者をモニタリングする前記第1のソースデバイスから情報を受信すること、及びこの情報を医療施設の情報システムに送信することをさらに含む。前記改善されたシステム及び方法は、本明細書に記載される利点だけでなく、理解されるべき他の利点も提供する。
【0027】
図1を参照すると、医療施設におけるアクセスポイント通信システム100の概略図が提供される。
図1に示される例示的な医療施設は、遮蔽壁104によって少なくとも部分的に画定されるMRI検査室又はマグネットルーム102を含む。この遮蔽壁は、鋼或いは銅板、金属箔、プラズマ、金属含有量が多い(例えば、金属メッシュ)ガラス、又は例えば金網のような他の適切な導電層で前記マグネットルームを囲む又は包囲することによって、RFシールド提供する。実施形態において、この遮蔽壁は、銅又は鋼に限定されない電磁干渉(EMI)シールド材料で作られる。このシールド材料は、壁に埋め込まれるか、又は別の方法で壁に接続されることができる。シールドは、部屋の周りにファラデーケージ(Faraday cage)を形成し、スキャナ106の動作と干渉し得るスペクトル内にある外部信号を防止する。シールドは、スキャナ106からの有害な放射も制限する。マグネットルーム102は、患者Pを撮像するように構成されるスキャナ106を含む。
図1に示される実施形態において、様々な医療装置107A、107B、107C、107D、107E、107F、107G、...107nが患者Pに結合され、患者の生理学的パラメタのモニタリングを提供し、ここでnは1以上である。
図1は、患者PがMRIのボア内に入れられる水平ボア型MRIシステムを示しているが、スキャナ106は、それに代わって、オープン型MRI、陽電子放出断層撮影(PET)イメージングデバイス及び単一光子放射型コンピュータ断層撮影イメージングデバイスなどとすることも可能であることを理解されたい。
【0028】
図1に示される医療施設は、マグネットルーム102の外に、このマグネットルームに隣接して配される制御室108を含む。制御室108は、制御室108とマグネットルーム102との間の壁を除き、マグネットルーム102に含まれるような遮蔽壁106を含まない。
図1に示される例示的な実施形態において、デバイス107A、107B、107C及び107Dは、静脈内(IV)ポンプであり、デバイス107Eは、心電計(ECG)センサであり、デバイス107Fは、血圧センサSpO
2であり、デバイス107Gは、患者モニタであり、デバイス107nは、換気装置である。しかしながら、本発明は、
図1に示されるデバイスに限定されるべきではない。本明細書で使用される患者に結合される装置は、如何なるセンサ、ポンプ、モニタ又はデバイスを含むことができ、これらに限定されないが、ECGセンサ、IVポンプ、血圧センサ、心拍数モニタ、脈拍センサ、体温計、呼吸センサ及び呼気ガスセンサなどを含む。これらデバイスは、全てが医療デバイスである必要はないことをさらに理解されたい。これらデバイスの幾つかは、例えば患者を落ち着かせるために使用される拡張現実(AR)デバイスのような、患者にユーザ体験を提供するデバイスを含む又は具現化することができる。
図1に示されるデバイスの1つ以上が、追加的に又は代替的に、スキャナ106に結合される又はスキャナ106に組み込まれ得ることも理解されるべきである。従来は、これらのデバイスの多くは有線で患者に取り付けられているが、医療施設のネットワークに接続するゲートウェイを介してワイヤレスでデータを通信すること、及び/又はリアルタイムで或いは記憶後にオフラインでモニタリング、制御若しくは評価するためにデータ記憶装置にデータ又は情報を送信することができるこれらのデバイスがますます多くなっている。ワイヤレスセンサも、磁場勾配と結合し、誘発される渦電流によって加熱する導線の使用を回避するので、有益である。
【0029】
アクセスポイントのシステム100は、マグネットルーム102内に室内アクセスポイント110、及び制御室108内にアクセスポイント112をさらに含む。
図1は、制御室108内にアクセスポイント112を示しているが、このアクセスポイント112は、マグネットルーム102の外のどこか、好ましくはマグネットルーム102の出入り口の近いところにあってもよいことを理解されたい。室内アクセスポイント110は、アクセスポイント112に接続される。例示的な実施形態において、室内アクセスポイント110は、ルータ114によってアクセスポイント112に接続される。しかしながら、室内アクセスポイント110は、任意の適切な代替手段によってアクセスポイント112に接続され得ることを理解されたい。本明細書で使用されるアクセスポイントという用語は、ソースデバイスと通信するように構成され、基地局、ノード及び送受信ポイント(TRP)などとも一般に呼ばれるネットワークエンティティを指す。各アクセスポイントは、アプリケーションに依存する特定の地理的領域に通信カバレッジを提供するように構成される。
【0030】
実施形態において、室内アクセスポイント110は、異なる技術を使用して通信するように構成される多重送受信機116を含む。異なる技術は、例えば、RFID(radio-frequency identification)技術、Wi-Fi技術、Bluetooth(登録商標)技術、例えばセルラーデータ技術のような携帯電話通信システムによって使用される技術、及び独自のリンクなどのような無線通信技術を指す。実施形態において、室内アクセスポイント110は、少なくとも1つの無線技術を使用して通信するように構成される単一の送受信機116を含む。マグネットルーム102の外にあるアクセスポイント112は、異なる技術を使用して通信するように構成される、室内アクセスポイント110のような多重送受信機118を含む。実施形態において、アクセスポイント112は、室内アクセスポイント110に使用されるワイヤレス技術と同じである少なくとも1つの無線技術を使用して通信するように構成される単一の送受信機118を含む。従って、室内アクセスポイント110が、Bluetooth(登録商標)技術を使用して通信するように構成される送受信機を含む場合、アクセスポイント112は、Bluetooth(登録商標)技術を使用して通信するように構成される送受信機を含む。室内アクセスポイント110が、Bluetooth(登録商標)技術、Wi-Fi技術、RFID技術、セルラーデータ技術、及び独自のリンクを使用して通信するように構成される送受信機を含む場合、アクセスポイント112は、同じ技術を使用して通信するように構成される送受信機を含む。実施形態において、室内アクセスポイント110は、アクセスポイント112よりも多くのワイヤレス技術をサポートする。他の実施形態において、アクセスポイント112は、室内アクセスポイント110よりも多くのワイヤレス技術をサポートする。
【0031】
複数の送受信機を統合することは、例えば、各々のワイヤレスデバイス(例えば、107A~107n)がマグネットルームにあるかどうかにかかわらず、その位置における特定のアプリケーションのために最適化された無線通信プロトコルを各々のワイヤレスデバイスが使用するという柔軟性を提供する。実施形態において、少なくとも1つの送受信機116及び118は、ソフトウェア無線である。本明細書に使用されるソフトウェア無線という用語は、ハードウェアに従来実装されていた構成要素(例えば、ミキサ、フィルタ、増幅器、変調器/復調器、検出器など)がソフトウェアによって代わりに実装される無線通信システムを指す。有利なことに、ソフトウェア無線は、利用している技術にさらなる柔軟性を与える。現在、従来のアクセスポイントは、様々な無線通信プロトコルを提供していない。本開示のアクセスポイントは、複数の無線通信プロトコルを提供することができ、それによって従来のアクセスポイントを改善する。
【0032】
図2A、
図2B及び
図2Cは、医療施設における別のアクセスポイント通信システム200の概略図を示す。
図2A、2B及び2Cに示される順序は、患者に関連付けられるソースデバイス207がMR室に搬送されている実施形態を実証する。もちろん、本発明は、図示される順序に限定されないことを理解されたい。他の実施形態において、ソースデバイス207は、MR室で始まり、その後、例えば搬送後、にICUで終わることができる。これらの考えられる実施形態の何れにおいても、本明細書に説明されるアクセスポイント通信システムは、MR室に搬送及びMR室から搬送中、シームレスなワイヤレス接続を容易にする。実施形態において、単一のソースデバイス207が、本明細書に説明されるアクセスポイント210及び212の複数の異なる技術を利用することができる。
図2A、
図2B及び
図2Cに示されるように、システム200は、マグネットルーム202にある室内アクセスポイント210、及び制御室208内、又はマグネットルーム202の外にあるアクセスポイント212を含む。アクセスポイント212は、マグネットルーム202の窓213の第1の側に配することができ、室内アクセスポイント210は、窓213のアクセスポイント212とは反対側の第2の側に配することができる。アクセスポイント210及び212は共に、セルラーネットワーク、他の任意の適切なネットワーク又は他の方法を介して互いに接続することができる。実施形態において、室内アクセスポイント210は、異なる技術を使用して別々に又は同時に通信するように構成される送受信機216を含む。同様に、アクセスポイント212は、異なる技術を使用して別々に又は同時に通信するように構成される送受信機218を含む。送受信機216及び218は、ソースデバイス207と通信することができる。
【0033】
図2Aに示されるように、マグネットルーム202の出入り口215内又はアクセスポイント212の通信範囲内にソースデバイス207を持ってくる前に、このソースデバイス207は、アクセスポイント212の1つ以上の送受信機218に接続されることができる。
図2Bに示されるように、ソースデバイス207出入り口215内にある又はアクセスポイント210及び212の両方の通信範囲内にあるとき、ソースデバイス207は、以下にさらに説明されるように、メイク・ビフォア・ブレイク通信プロトコルをサポートするために、アクセスポイント210及び212の両方と同時に通信することができる。実施形態において、ソースデバイス207は、アクセスポイント212とのあるワイヤレステクノロジーリンクを利用する一方、アクセスポイント210との別のワイヤレステクノロジーリンクを利用することができる。例えば、実施形態において、アクセスポイント212によって行われたスキャン手続きは、アクセスポイント210に移動する、又はその逆も可能である。
図2Cに示されるように、ソースデバイス207がマグネットルーム202内にあるとき、室内アクセスポイント210との少なくとも1つの接続が確立され、アクセスポイント212との1つ以上の接続が切断される。特に、ソースデバイス207は、室内アクセスポイント210の送受信機216がサポートする異なる技術の何れか1つ又はそれ以上を利用することができる。実施形態において、ソースデバイス207は、第1の技術の送受信機216を使用して通信し、次いで、例えば、第2の技術がより効率的である及び/又はソースデバイス207において少量のバッテリー電力しか必要としないとき、第2の技術の送受信機216に切り替えることができる。
【0034】
図2A、2B及び2Cを参照して説明される実施形態は、システム200によって可能になるソフトハンドオフ(soft hand-off)手続きを実現するための幾つかの方法を描写する。さらに、実施形態は、異なる技術を利用して、アクセスポイントが同じソースデバイスとどのように通信するかを示す。この手法は、アクセスポイント210及び212の両方との同時通信を可能にする。
【0035】
図3は、1つ以上のプロセッサ130を介してソースデバイス(例えば、デバイス107A、107E及び107G)から情報システム140にデータを送信するアクセスポイント110及び112の概略図を示す。
図3に関する説明は、
図2A、2B及び2Cのアクセスポイント210及び212にも適用されることを理解されたい。複数のソースデバイスからデータストリームを受信するようにアクセスポイント110及び112が構成される実施形態において、アクセスポイント110及び112は、個々のデータストリームを組み合わせて単一のデータストリームにするように構成されるマルチプレクサ又は他の適切な代替形態を含むことができる。実施形態において、アクセスポイント110及び112の送受信機116及び118は、ソースデバイス107Aの通信ユニット120からのみ情報を受信する。実施形態において、アクセスポイント110及び112の送受信機116及び118は、ソースデバイス107Aの通信ユニット120及びソースデバイス107Eの通信ユニット122のみから情報を受信する。実施形態において、アクセスポイント110及び112の送受信機116及び118は、ソースデバイス107Aの通信ユニット120、ソースデバイス107Eの通信ユニット122及びソースデバイス107Gの通信ユニット124から情報を受信する。追加の実施形態において、アクセスポイント110及び112の送受信機116及び118は、追加又は代替のソースデバイスの追加又は代替の通信ユニットから情報を受信する。
【0036】
1つ以上のプロセッサ130は、情報システム140との通信のために、送受信機116及び118の各々からデータを受信する及び各々にデータを提供する。1つ以上のプロセッサ130は、メモリM又は任意の適切な記憶デバイスに記憶される命令を実行することができる、又は、例えば本明細書に説明される方法の1つ以上のステップを行うためにデータを処理することができる。1つ以上のプロセッサ130は、1つ以上の複数モジュールから形成される。メモリ又は記憶デバイスは、1つ以上の機械可読な記憶媒体、例えば、ROM(read-only memory)、RAM(random-access memory)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス又は類似の記憶媒体を含む。様々な実施形態において、記憶デバイスは、プロセッサ130が実行するための命令、又はプロセッサ130が動作するデータを記憶することができる。例えば、システム100の様々な動作を制御するためのオペレーティングシステムは、メモリMに記憶される。メモリMに記憶されていると説明される様々な情報は、追加的又は代替的に、別個のメモリデバイスに記憶され得ることを理解されたい。本明細書に説明されるメモリ及び記憶デバイスは、非一時的な機械可読な媒体であると見なされ得る。本明細書で使用するとき、“非一時的”という用語は、一時的な信号を除くが、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの両方を含む全ての形態の記憶デバイスを含むことを意味する。
【0037】
プロセッサ130は、限定ではないが、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、複数のマイクロコントローラ、回路、FPGA(field programmable gate array)、ASIC(application-specific integrated circuit)、単一のプロセッサ又は複数のプロセッサを含む、任意の適切な形式をとることができる。メモリMは、不揮発性メモリ及び/又はRAMを含む任意の適切な形式をとることができる。メモリMは、様々なメモリ、例えば、L1、L2又はL3キャッシュ、或いはシステムメモリを含むことができる。そのようなものとして、メモリMは、SRAM(static random access memory)、DRAM(dynamic RAM)、フラッシュメモリ、ROM又は他の適切な記憶デバイスを含む。RAMは、データの一時的な記憶のために、プロセッサによって使用される。一実施形態によれば、オペレーティングシステムは、プロセッサによって実行されるとき、アクセスポイント通信システム100の1つ以上の構成要素の動作を制御するコードを含むことができる。プロセッサがハードウェアにおける本明細書に説明される機能の1つ以上を実施する実施形態において、他の実施形態において、そのような機能に対応していると説明されるソフトウェアは省略されることは明らかである。
【0038】
システム100は、各々説明した構成要素の1つを含んでいると概ね示されているが、様々な構成要素が、様々な実施形態において重複されてもよい。例えば、プロセッサ130は、本明細書に説明される方法を独立して実行するように構成される、又は複数のプロセッサが協働して本明細書に説明される機能を達成するように、本明細書に説明される方法のステップ又はサブルーチンを行うように構成される複数のマイクロプロセッサを含むことができる。さらに、システム100の1つ以上の構成要素がクラウドコンピューティングシステムに実装される場合、様々なハードウェア構成要素は、別個の物理システムに属する。例えば、プロセッサ130は、第1のサーバにある第1のプロセッサを含み、第2のサーバにある第2のプロセッサを含むことができる。多くの他の変形及び構成が可能である。
【0039】
アクセスポイント通信ユニット132は、他のハードウェアデバイスとの通信を可能にするための1つ以上のデバイスを含む。例えば、通信ユニット132は、イーサネット(登録商標)プロトコルに従って通信するように構成されるネットワークインターフェースカード(NIC)を含むことができる。更に、通信ユニット132は、TCP/IPプロトコルに従って通信するためのTCP/IPスタックを実装してもよい。通信ユニット132の様々な代替又は追加のハードウェア又は構成が考えられる。
【0040】
さらに、実施形態において、1つ以上のプロセッサ130が、アクセスポイント110及び112の何れか一方又は両方に実装され得ることを理解されたい。
【0041】
患者がICUからMR室に搬送されているとき、アクセスポイント通信システム100は、1つ以上のソースデバイス107A~107nとアクセスポイント112との間の接続を維持する一方、1つ以上のソースデバイス107A~107nが室内アクセスポイント110に引き渡される(ハンドオーバされる)ように構成される。これを行うために、1つ以上のプロセッサ130は、アクセスポイント110及び112によって受信される、1つ以上のソースデバイス107A~107nからの1つ以上の信号を比較するように構成される。室内アクセスポイント110から受信される信号がない場合、1つ以上のプロセッサ130は、1つ以上のソースデバイス107A~107nとアクセスポイント112との間の接続を維持する。室内アクセスポイント110からの信号が1つ以上のプロセッサ130によって受信される場合、1つ以上のプロセッサ130は、アクセスポイント110にハンドオーバ要求を送ることができる。アクセスポイント110は、1つ以上のプロセッサ130にハンドオーバ応答を送ることができる。このハンドオーバ応答は、前記ハンドオーバ要求を承認する及び/又はハンドオーバ手続きを完了する能力を示すことができる。1つ以上のプロセッサ130が前記ハンドオーバ応答を受信した後、1つ以上のプロセッサ130は、メイク・ビフォア・ブレイク手続きを開始することができる。ソースデバイス107A~107nがアクセスポイント112と情報の交換を続けながら、これらソースデバイス107A~107nは、アクセスポイント110との接続を確立することができる。ひとたびアクセスポイント110との接続が確立されると、アクセスポイント110は、接続が完了したことを示すために、1つ以上のプロセッサ130に情報を送信することができる。マグネットルーム102へのドアが開いている間、1つ以上のソースデバイス107A~107nからの信号は、アクセスポイント110及び112の両方に到達することができ、ソースデバイス107A~107nから情報システム140にデータが送信される。マグネットルーム102へのドアを閉じたとしても、アクセスポイント110及び112の何れか一方又は両方への接続はシームレスに継続する。ドアを閉じ、アクセスポイント112への信号の強度が減少する及び/又は中断を体験した後、1つ以上のプロセッサ130は、1つ以上のソースデバイス107A~107nとアクセスポイント112との間の接続を切断することができる。代替の実施形態において、1つ以上のソースデバイス107A~107nとアクセスポイント112との間の接続は、1つ以上のソースデバイス107A~107nがもはや室内アクセスポイント110にアクセスしなくなるまで維持される。
【0042】
患者Pがマグネットルーム102にいる間に、1つ以上のソースデバイス107A~107nとアクセスポイント112との間の接続が切断される場合、アクセスポイント通信システム100は、患者がMR室からICUに搬送されているとき、以下のように進めることができる。以下のことは、1つ以上のソースデバイス107A~107nが、マグネットルーム102内で患者Pと結合され、MR室から外へ移動することから始まるシナリオに適用され得ることも理解されたい。そのようなシナリオにおいて、アクセスポイント通信システム100は、1つ以上のソースデバイス107A~107nと室内アクセスポイント110との間の接続を維持するように構成される一方、1つ以上のソースデバイス107A~107nは、マグネットルーム102の外にあるアクセスポイント112に引き渡される。これを行うために、1つ以上のプロセッサ130は、アクセスポイント110及び112によって受信される、1つ以上のソースデバイス107A~107nからの1つ以上の信号を比較するように構成される。アクセスポイント112から信号を受信しない場合、1つ以上のプロセッサ130は、1つ以上のソースデバイス107A~107nと室内アクセスポイント110との間の接続を維持する。実施形態において、1つ以上のプロセッサ130は、ソースデバイスからの信号と、アクセスポイント110及び112によって受信される信号とを連続的又は断続的に比較する。代替の実施形態において、前記アクセスポイントの何れか一方が、ソースデバイスからの信号を受信及び/又は検出したことを示す通知を1つ以上のプロセッサ130に供給するように構成される。アクセスポイント112から信号を受信すると、1つ以上のプロセッサ130は、アクセスポイント112にハンドオーバ要求を送ることができる。アクセスポイント112は、1つ以上のプロセッサ130にハンドオーバ応答を送ることができる。このハンドオーバ応答は、前記ハンドオーバ要求を承認する及び/又はハンドオーバ手続きを完了する能力を示すことができる。1つ以上のプロセッサ130がハンドオーバ応答を受信した後、1つ以上のプロセッサ130は、メイク・ビフォア・ブレイク手続きを開始することができる。ソースデバイス107A~107nが室内アクセスポイント110と情報の交換を続けながら、これらソースデバイス107A~107nは、アクセスポイント112との接続を確立することができる。ひとたびアクセスポイント112との接続が確立されると、アクセスポイント112は、接続が完了したことを示すために、1つ以上のプロセッサ130に情報を送信することができる。マグネットルーム102へのドアが開いている間、1つ以上のソースデバイス107A~107nからの信号は、アクセスポイント110及び112の両方に到達することができ、ソースデバイス107A~107nから情報システム140にデータが送信される。アクセスポイント110及び112の何れか一方又は両方への接続はシームレスに継続する。患者がマグネットルーム102を離れ、アクセスポイント110への信号の強度が減少する及び/又は中断を体験した後、1つ以上のプロセッサ130は、1つ以上のソースデバイス107A~107nと室内アクセスポイント110との間の接続を切断することができる。前記ハンドオーバ手続き前、手続きの最中及び手続き後に、1つ以上のプロセッサ130は、1つ以上のソースデバイスからのデータを処理して、如何なる冗長なども取り除くように構成される。
【0043】
図4を参照すると、アクセスポイント通信システムを使用して医療施設全域にわたって患者をモニタリングするための連続的な無線接続性を提供するための方法400のフローチャートが提供される。特段の明確な指示がない限り、2つ以上のステップ又は動作を含む、本明細書に請求される任意の方法において、この方法のステップ又は動作の順序は、必ずしも、この方法のステップ又は動作が列挙される順序に限定されないことを理解されたい。アクセスポイント通信システムは、本明細書に説明される又はそうでなければ想定される任意のアクセスポイン通信トシステム(例えば、システム100又は200)とすることができる。本明細書により詳細に説明されるように、アクセスポイント通信システムは、遠隔の中央局を含む情報システム140がソースデバイス107A~107n及び/又は207からの情報を連続して利用可能であるように、ブレイク・ビフォア通信プロトコルを利用する。
【0044】
前記方法のステップ402において、医療施設内にアクセスポイント通信システムが設けられる。アクセスポイント通信システムを設けることは、医療施設のマグネットルームに少なくとも1つの室内アクセスポイント(例えば、110、210)を設置することを含み、ここでマグネットルームは、遮蔽壁によって少なくとも部分的に画定されている。アクセスポイント通信システムを設けることは、前記マグネットルームの外(例えば、マグネットルームに隣接する制御室内)に少なくとも1つのアクセスポイント(例えば、112、212)を設置すること、及びアクセスポイントを接続することをさらに含む。
【0045】
前記方法のステップ404において、患者をモニタリングする第1のソースデバイスの通信ユニット(例えば、120、122、124)が患者に関する情報を送信する。前記方法のステップ406において、そのような送信される情報は、マグネットルームの外にあるアクセスポイントの送受信機によって受信される。前記方法のステップ408において、前記第1のソースデバイスの通信ユニットによって送信される情報は、室内の送受信機によって受信される。例えば、患者がICUからMR室に又はMR室からICUに搬送されているとき、両方のアクセスポイントは、ソースデバイスから情報を受信することができる。
【0046】
前記方法のステップ410において、1つ以上のプロセッサ130は、アクセスポイントの送受信機からの情報を組み合わせて、単一のデジタルデータストリームを生成する。実施形態において、1つ以上のプロセッサ130は、データを処理して、このデータにおける如何なる冗長も取り除く。ステップ412において、アクセスポイント通信システムのアクセスポイント通信ユニット(例えば、132)は、医療施設の情報システム140、240に前記デジタルデータストリームを送信する。実施形態において、情報システム140、240は、前記アクセスポイント通信システムのアクセスポイント通信ユニットから前記デジタルデータストリームを取り出す。実施形態において、前記デジタルデータストリームは、任意の適切な構成及び/又は様式で(
図1、2A、2B及び2Cに示される)ディスプレイ150、250上に表示される。ディスプレイ150、250は、看護師及び他の臨床スタッフのための中央局におけるコンピュータシステムの一部とすることができる。表示される情報は、携帯電話、コンピュータ、ラップトップ、ウェアラブルデバイス及び/又は医療施設の情報システムからの情報の表示を可能にするように構成される他の任意のデバイスにさらに送信されることができる。
【0047】
本明細書中に規定及び使用される全ての定義は、辞書の定義、引用することで組み入れられた文書中の定義、及び/又は定義される用語の通常の意味を支配すると理解されるべきである。
【0048】
明細書及び特許請求の範囲に用いられる単数形での表現は、特段の明確な指示がない限り、“少なくとも1つ”を意味すると理解されるべきである。
【0049】
明細書及び特許請求の範囲に用いられる“及び/又は”という用語は、結合した要素の“何れか一方又は両方”、すなわち、場合によっては接合的に存在し、及び他の場合では離接的に存在する要素を意味すると理解されるべきである。“及び/又は”を用いて列挙される複数の要素は、同様に、すなわち、結合した要素の“1つ以上”と解釈されるべきである。“及び/又は”の節によって具体的に特定される要素以外の他の要素は、これら具体的に特定される要素に関するしないに関係なく任意で存在してもよい。
【0050】
明細書及び特許請求項の範囲に用いられるように、“又は”は、上に規定した“及び/又は”と同じ意味を持つと理解されるべきである。例えば、リストにある項目を分けるとき、“又は”或いは“及び/又は”は、両立的である、すなわち、複数の或いはリストの要素のうちの少なくとも1つを含むが、2つ以上を含むこともあり、任意でリストに無い追加の項目を含むと解釈されるべきである。特段の明確な指示がある用語のみ、例えば、“の1つのみ”或いは“のちょうど1つ”、又は特許請求の範囲で使用されるときの“から構成される”は、複数の又はリストの要素のうちのちょうど1つの要素を含むことを指す。一般的に、本明細書中に用いられる“又は”という用語は、例えば、“何れか”、“の1つ”、“の1つのみ”又は“のちょうど1つ”のような排他的な言葉が付随するとき、排他的な択一(すなわち、一方又は他方であるが、両方ではない)を示すと単に解釈されるべきである。
【0051】
明細書及び特許請求項の範囲に用いられるように、1つ以上の要素からなるリストに関連して“少なくとも1つ”という用語は、リストの要素の何れか1つ又はそれ以上から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、必ずしも要素のリスト内に具体的に列挙されるあらゆる要素の少なくとも1つを含む必要はなく、前記要素のリストにおける如何なる要素の組み合わせも排除しないことを意味すると理解されるべきである。この定義は、“少なくとも1つ”という用語が言及する、要素のリスト内で具体的に特定される要素以外の要素が、具体的に特定される要素に関連しているかにかかわらず、任意選択的に存在することができることも許容する。
【0052】
前記明細書中と同様に、特許請求の範囲においても、例えば“有する”、“包含する”、“担持する”、“持つ”、“含有する”、“含む”、“保持する”及び“から構成される”などのような全ての移行句は、開放型(open-ended)、すなわち、それらを含むが、それらに限定されないことを意味すると理解されるべきである。
“から構成される”及び“から本質的に構成される”という移行句のみが、夫々、閉鎖(closed)又は半閉鎖(semi-closed)の移行句である。
【0053】
本明細書において、幾つかの発明の実施形態を説明及び例示してきたが、当業者であれば、機能を行うため、及び/又は結果及び/又は本明細書中に記載される利点の1以上を得るための他の種々な手段及び/又は構造を容易に考え付き、そのような変形及び/又は変更例の各々は、本明細書中で記載される発明の実施形態の範囲内にあるとみなされる。より一般的には、当業者であれば、本明細書中に記載される全てのパラメタ、寸法、材料及び構成は、例示的であることを意図すること、並びに実際のパラメタ、寸法、材料及び/又は構成は、本発明の教示が用いられる特定の応用に依存することが容易に分かるだろう。当業者であれば、本明細書中で記載される具体的な発明の実施形態に相当する多くの同等物を認識するか、又は日常的な実験だけを使用して確認することができるであろう。故に、上述した実施形態は、単なる例として提示されていること、並びに添付の特許請求の範囲及びその同等物内において、具体的に説明及び請求されたもの以外の発明の実施形態が別の方法で実施されることができることを理解されるべきである。本開示の発明の実施形態は、本明細書中に記載される個々の特徴、システム、製品、材料、キット及び/又は方法を対象としている。加えて、2つ以上のそのような特徴、システム、製品、材料、キット及び/又は方法の何れの組合せは、そのような特徴、システム、製品、材料、キット及び/又は方法が相互に矛盾しないのであれば、本開示の発明の範囲内に含まれる。
【国際調査報告】