(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】油圧サスペンション装置及びそれを有する油圧サスペンションシステム、車両
(51)【国際特許分類】
B60G 17/015 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
B60G17/015 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516743
(86)(22)【出願日】2022-12-30
(85)【翻訳文提出日】2024-05-27
(86)【国際出願番号】 CN2022143998
(87)【国際公開番号】W WO2023125949
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202111655945.3
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BYD Company Limited
【住所又は居所原語表記】No. 3009, BYD Road, Pingshan, Shenzhen, Guangdong 518118, P. R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100198650
【氏名又は名称】小出 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】廉玉波
(72)【発明者】
【氏名】廖▲銀▼生
(72)【発明者】
【氏名】▲許▼豪▲倫▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼宏洲
(72)【発明者】
【氏名】黄泰▲碩▼
【テーマコード(参考)】
3D301
【Fターム(参考)】
3D301AA01
3D301AA48
3D301AA53
3D301AA59
3D301AA69
3D301DA28
3D301DA33
3D301DB36
3D301DB39
3D301DB40
3D301DB45
3D301DB55
3D301EB34
3D301EB37
(57)【要約】
油圧サスペンション装置及びそれを有する油圧サスペンションシステム(1000)、車両を提供する。油圧サスペンション装置は、リザーバと、ダンパ(200)と、を含み、リザーバは、車体に設けられ、オイルを貯蔵し、ダンパ(200)は、ダンパハウジング(201)、ピストン(202)及びピストンロッド(203)を有し、ダンパハウジング(201)は、車軸に接続され、ピストン(202)は、ダンパハウジング(201)内に位置し、かつダンパハウジング(201)と協働して上チャンバ(2011)及び下チャンバ(2012)を画定し、ピストンロッド(203)の一端は、ピストン(202)に接続され、ピストンロッド(203)は、車体に接続されるように構成され、ピストンロッド(203)内にオイル通路(204)が設けられ、オイル通路(204)は、下チャンバ(2012)とリザーバに連通することにより、オイルがリザーバと下チャンバ(2012)との間を流れることができる。当該装置及びシステムは、車両の快適性を損なうことなく、車両の操作安定性を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車体の高さを調整するための油圧サスペンション装置であって、
リザーバと、ダンパと、を含み、
前記リザーバは、車体に設けられ、オイルを貯蔵するように構成され、
前記ダンパは、ダンパハウジング、ピストン及びピストンロッドを有し、前記ダンパハウジングは、車軸に接続されるように構成され、前記ピストンは、前記ダンパハウジング内に位置し、かつ前記ダンパハウジングと協働して上チャンバ及び下チャンバを画定し、前記ピストンロッドの一端は、前記ピストンに接続され、前記ピストンロッドは、車体に接続されるように構成され、前記ピストンロッド内にオイル通路が設けられ、前記オイル通路は、前記下チャンバと前記リザーバに連通することにより、オイルが前記リザーバと前記下チャンバとの間を流れることができる、油圧サスペンション装置。
【請求項2】
前記リザーバは、制御ポンプと、タンクと、を含み、前記制御ポンプは、前記タンクと前記オイル通路との間に設けられる、請求項1に記載の油圧サスペンション装置。
【請求項3】
前記ピストンロッドの上端は、前記ダンパハウジングから延出し、前記ピストンロッドの上端には、前記オイル通路と前記リザーバとを連通するオイルポートが形成される、請求項1又は2に記載の油圧サスペンション装置。
【請求項4】
オイル吐出通路と、オイル戻し通路と、を更に含み、前記オイル吐出通路と前記オイル戻し通路とは、いずれも前記タンクと前記オイル通路との間に連通し、かつ部分的に重なり、前記制御ポンプは、前記オイル吐出通路に設けられる、請求項2に記載の油圧サスペンション装置。
【請求項5】
前記オイル吐出通路は、共通通路と、オイル吐出分岐路と、を含み、前記オイル戻し通路は、前記共通通路と、オイル戻し分岐路と、を含み、前記共通通路の一端は、前記オイル通路に連通し、前記オイル吐出分岐路及び前記オイル戻し分岐路は、いずれも前記共通通路の他端に接続される、請求項4に記載の油圧サスペンション装置。
【請求項6】
前記オイル吐出分岐路に逆止弁及び前記制御ポンプが設けられ、前記逆止弁は、一端が前記共通通路に連通し、他端が前記制御ポンプに連通し、前記オイル戻し分岐路にオイル戻し弁が設けられる、請求項5に記載の油圧サスペンション装置。
【請求項7】
アキュムレータモジュールを更に含み、前記オイル通路は、接続通路を介して前記リザーバに連通し、前記アキュムレータモジュールは、前記接続通路に連通し、少なくとも前記ダンパの減衰及び剛性と車両の車体の高さとのうちの少なくとも1つを調整するように構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載の油圧サスペンション装置。
【請求項8】
第1制御弁を更に含み、前記第1制御弁は、前記接続通路に設けられ、前記リザーバと前記アキュムレータモジュールとの連通又は遮断を制御する、請求項7に記載の油圧サスペンション装置。
【請求項9】
前記アキュムレータモジュールは、第1アキュムレータと、開度調整弁と、を含み、前記第1アキュムレータは、第1接続点で前記接続通路に連通し、前記開度調整弁は、前記第1接続点と前記オイル通路との間に設けられ、前記開度調整弁は、前記オイル通路と前記第1接続点との間の接続通路の開度を調整して前記ダンパの減衰を調整し、更に、前記オイル通路と前記第1接続点との間の接続通路を閉じて前記ダンパの剛性を調整する、請求項7又は8に記載の油圧サスペンション装置。
【請求項10】
前記アキュムレータモジュールは、第2アキュムレータと、剛性調整弁と、を更に含み、前記接続通路には、前記第2アキュムレータに連通する第2接続点が設けられ、前記剛性調整弁は、前記第2アキュムレータと前記第2接続点との間に設けられ、前記接続通路と前記第2アキュムレータとを連通又は遮断して前記ダンパの剛性を調整する、請求項7~9のいずれか一項に記載の油圧サスペンション装置。
【請求項11】
前記第2接続点と前記オイル通路との間に第2制御弁が更に設けられる、請求項10に記載の油圧サスペンション装置。
【請求項12】
前記アキュムレータモジュールは、第1アキュムレータと、第2アキュムレータと、を更に含み、前記第1アキュムレータは、第1接続点で前記接続通路に連通し、前記接続通路には、前記第2アキュムレータに連通する第2接続点が設けられる、請求項7~11のいずれか一項に記載の油圧サスペンション装置。
【請求項13】
前記第1接続点は、前記オイル通路と前記第2接続点との間に位置する、請求項12に記載の油圧サスペンション装置。
【請求項14】
前記第1接続点と前記第2接続点との間に第2制御弁が設けられる、請求項12又は13に記載の油圧サスペンション装置。
【請求項15】
コントローラと、請求項1~14のいずれか一項に記載の油圧サスペンション装置と、を含み、前記コントローラは、車両の状況に応じて、前記リザーバと前記ダンパとの間のオイルの流れ方向を制御して、車両の車体の高さを増加させるか又は低減する、油圧サスペンションシステム。
【請求項16】
請求項15に記載の油圧サスペンションシステムを含む、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年12月30日に提出された、出願番号が202111655945.3である中国特許出願に基づくものであり、かつその優先権を主張するものであり、その全ての内容は、参照により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
本願は、車両の分野に関し、特に、油圧サスペンション装置及びそれを有する油圧サスペンションシステム、車両に関する。
【背景技術】
【0003】
サスペンションは、車体と車軸との間の相互作用力を伝達する装置であり、自動車の4つの主な構成要素の1つであり、自動車の走行性能に影響を与える重要な構成である。サスペンションは、路面からフィードバックされた作用力及びモーメントを伝達し、車輪の振動を減衰し、衝撃を緩和し、運転者の運転体験を向上させることにより、車両が理想的な運動特性及び安定走行性を得ることができる。関連技術のサスペンションは、スプリング、ガイド機構及びダンパなどで構成されることが多く、ダンパの減衰係数及びスプリングの剛性は、いずれも一定であり、快適性と操作安定性を両立することが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、関連技術における技術的課題の1つを少なくともある程度解決しようとする。
【0005】
このため、本願の1つの目的は、車両の快適性を損なうことなく、車両の操作安定性を向上させることができる、油圧サスペンション装置を提供することである。
【0006】
本願は、上記油圧サスペンション装置を有する油圧サスペンションシステムを更に提供する。
【0007】
本願は、上記油圧サスペンションシステムを有する車両を更に提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の実施例に係る、車両の車体の高さを調整するための油圧サスペンション装置は、リザーバと、ダンパと、を含み、前記リザーバは、車体に設けられ、オイルを貯蔵するように構成され、前記ダンパは、ダンパハウジング、ピストン及びピストンロッドを有し、前記ダンパハウジングは、車軸に接続されるように構成され、前記ピストンは、前記ダンパハウジング内に位置し、かつ前記ダンパハウジングと協働して上チャンバ及び下チャンバを画定し、前記ピストンロッドの一端は、前記ピストンに接続され、前記ピストンロッドは、車体に接続されるように構成され、前記ピストンロッド内には、オイル通路が設けられ、前記オイル通路は、前記下チャンバと前記リザーバに連通することにより、オイルが前記リザーバと前記下チャンバとの間を流れることができる。
【0009】
本願の実施例に係る油圧サスペンション装置は、オイル回路の接続を安定させ、接続箇所での振動による摩耗などの状況を回避し、接続箇所にオイル漏れ現象が発生することをできるだけ回避することができる。また、中空のピストンロッドを用いると、重量を軽減することができるだけでなく、中空のピストンロッドによって画定されたオイル通路を利用してオイルの流入又は流出を実現してピストンロッドの位置を調整することもでき、調整方式が簡単であり、信頼性が高く、コストが低く、応答速度が速い。また、車体の高さを調整することができるため、車両の快適性を損なうことなく、車両の操作安定性を向上させ、車両の快適性と操縦安定性との矛盾を効果的に解決することができる。
【0010】
本願のいくつかの実施例では、前記リザーバは、制御ポンプと、タンクと、を含み、前記制御ポンプは、前記タンクと前記オイル通路との間に設けられる。
【0011】
本願のいくつかの実施例では、前記ピストンロッドの上端は、前記ダンパハウジングから延出し、前記ピストンロッドの上端には、前記オイル通路と前記リザーバとを連通するオイルポートが形成される。
【0012】
本願のいくつかの実施例では、前記油圧サスペンション装置は、オイル吐出通路と、オイル戻し通路と、を更に含み、前記オイル吐出通路と前記オイル戻し通路とは、いずれも前記タンクと前記オイル通路との間に連通し、かつ部分的に重なり、前記制御ポンプは、前記オイル吐出通路に設けられる。
【0013】
本願のいくつかの実施例では、前記オイル吐出通路は、共通通路と、オイル吐出分岐路と、を含み、前記オイル戻し通路は、前記共通通路と、オイル戻し分岐路と、を含み、前記共通通路の一端は、前記オイル通路に連通し、前記オイル吐出分岐路及び前記オイル戻し分岐路は、いずれも前記共通通路の他端に接続される。
【0014】
本願のいくつかの実施例では、前記オイル吐出分岐路に逆止弁及び前記制御ポンプが設けられ、前記逆止弁は、一端が前記共通通路に連通し、他端が前記制御ポンプに連通し、前記オイル戻し分岐路にオイル戻し弁が設けられる。
【0015】
本願のいくつかの実施例では、前記油圧サスペンション装置は、アキュムレータモジュールを更に含み、前記オイル通路は、接続通路を介して前記リザーバに連通し、前記アキュムレータモジュールは、前記接続通路に連通し、少なくとも前記ダンパの減衰及び剛性と車両の車体の高さとのうちの少なくとも1つを調整するように構成される。
【0016】
本願のいくつかの実施例では、前記油圧サスペンションシステムは、第1制御弁を更に含み、前記第1制御弁は、前記接続通路に設けられ、前記リザーバと前記アキュムレータモジュールとの連通又は遮断を制御する。
【0017】
本願のいくつかの実施例では、前記アキュムレータモジュールは、第1アキュムレータと、開度調整弁と、を含み、前記第1アキュムレータは、第1接続点で前記接続通路に連通し、前記開度調整弁は、前記第1接続点と前記オイル通路との間に設けられ、前記開度調整弁は、前記オイル通路と前記第1接続点との間の接続通路の開度を調整して前記ダンパの減衰を調整し、更に、前記オイル通路と前記第1接続点との間の接続通路を閉じて前記ダンパの剛性を調整する。
【0018】
本願のいくつかの実施例では、前記アキュムレータモジュールは、第2アキュムレータと、剛性調整弁と、を更に含み、前記接続通路には、前記第2アキュムレータに連通する第2接続点が設けられ、前記剛性調整弁は、前記第2アキュムレータと前記第2接続点との間に設けられ、前記接続通路と前記第2アキュムレータとを連通又は遮断して前記ダンパの剛性を調整する。
【0019】
本願のいくつかの実施例では、前記第2接続点と前記オイル通路との間に第2制御弁が更に設けられる。
【0020】
本願のいくつかの実施例では、前記アキュムレータモジュールは、第1アキュムレータと、第2アキュムレータと、を更に含み、前記第1アキュムレータは、第1接続点で前記接続通路に連通し、前記接続通路には、前記第2アキュムレータに連通する第2接続点が設けられる。
【0021】
好ましくは、前記第1接続点は、前記オイル通路と前記第2接続点との間に位置する。
【0022】
好ましくは、前記第1接続点と前記第2接続点との間に第2制御弁が設けられる。
【0023】
本願の実施例に係る油圧サスペンションシステムは、コントローラと、本願の上記いずれかの実施例に記載の油圧サスペンション装置と、を含み、前記コントローラは、車両の状況に応じて、前記リザーバと前記ダンパとの間のオイルの流れ方向を制御して、車両の車体の高さを増加させるか又は低減する。
【0024】
本願の実施例に係る油圧サスペンションシステムは、車体の高さを調整することができ、車両の快適性を損なうことなく、車両の操作安定性を向上させ、車両の快適性と操縦安定性との間の矛盾を効果的に解決することができる。また、中空のピストンロッドを用いると、重量を軽減することができるだけでなく、中空のピストンロッドによって画定されたオイル通路を利用してオイルの流入又は流出を実現してピストンロッドの位置を調整することもでき、調整方式が簡単であり、信頼性が高く、コストが低く、応答速度が速い。また、ピストンロッドには下チャンバに連通するオイル通路が設けられ、オイル通路がリザーバに接続されるようにすることにより、オイル回路の接続を安定させ、接続箇所での振動による摩耗などの状況を回避し、接続箇所にオイル漏れ現象が発生することをできるだけ回避することができる。
【0025】
本願の実施例に係る車両は、本願の上記実施例に記載の油圧サスペンションシステムを含む。
【0026】
本願の実施例に係る車両は、車体の高さを調整することができ、車両の快適性を損なうことなく、車両の操作安定性を向上させ、車両の快適性と操縦安定性との間の矛盾を効果的に解決することができる。また、中空のピストンロッドを用いると、重量を軽減することができるだけでなく、中空のピストンロッドによって画定されたオイル通路を利用してオイルの流入又は流出を実現してピストンロッドの位置を調整することもでき、調整方式が簡単であり、信頼性が高く、コストが低く、応答速度が速い。また、ピストンロッドには下チャンバに連通するオイル通路が設けられ、オイル通路がリザーバに接続されるようにすることにより、オイル回路の接続を安定させ、接続箇所での振動による摩耗などの状況を回避し、接続箇所にオイル漏れ現象が発生することをできるだけ回避することができる。
【0027】
本願の追加の態様及び利点は、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明において明らかになるか又は本願の実施により理解される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本願のいくつかの実施例に係る油圧サスペンションシステムの概略図である。
【
図2】本願の別のいくつかの実施例に係る油圧サスペンションシステムの概略図である。
【
図3】本願のいくつかの実施例に係る油圧サスペンションシステムの概略図であり、前記油圧サスペンションシステムは、アンチロール機能を有する。
【
図4】
図3に示す油圧サスペンションシステムが増圧モードにある場合を示す概略図である。
【
図5】
図3に示す油圧サスペンションシステムがリフトモードにある場合を示す概略図である。
【
図6】
図3に示す油圧サスペンションシステムが高さ低減モードにある場合を示す概略図である。
【
図7】
図3に示す油圧サスペンションシステムがアンチノーズダイブ制動モード及びアンチスクォート加速モードにある場合を示す概略図である。
【
図8】
図3に示す油圧サスペンションシステムがアンチロールモードにある場合を示す概略図である。
【
図9】本願のいくつかの実施例に係る油圧サスペンションシステムの概略図であり、前記油圧サスペンションシステムは、アンチピッチングモードを有する。
【
図10】本願の別のいくつかの実施例に係る油圧サスペンションシステムの概略図であり、前記油圧サスペンションシステムは、アンチピッチングモードを有する。
【
図11】本願のまた別のいくつかの実施例に係る油圧サスペンションシステムの概略図である。
【
図12】本願の更に別のいくつかの実施例に係る油圧サスペンションシステムの概略図である。
【
図13】
図12に示す油圧サスペンションシステムが増圧モードにある場合を示す概略図である。
【
図14】
図12に示す油圧サスペンションシステムがリフトモードにある場合を示す概略図である。
【
図15】
図12に示す油圧サスペンションシステムが高さ保持モードにある場合を示す概略図である。
【
図16】
図12に示す油圧サスペンションシステムの高さ低減モードにある場合を示す概略図である。
【
図17】
図12に示す油圧サスペンションシステムがアンチロールモードにある場合を示す概略図である。
【
図18】
図12に示す油圧サスペンションシステムがアンチピッチングモードにある場合を示す概略図である。
【
図19】
図12に示す油圧サスペンションシステムがアンチロールモード及び高さ保持モードにある場合を示す概略図である。
【
図20】本願の異なる実施例に係る油圧サスペンションシステムの概略図である。
【
図21】本願の異なる実施例に係る油圧サスペンションシステムの概略図である。
【
図22】本願の実施例に係る左前側ダンパアセンブリ及び右前側ダンパアセンブリの概略図である。
【
図24】本願の実施例に係る中央制御シリンダの断面図である。
【
図25】本願の実施例に係る中央制御シリンダの斜視図である。
【
図26】本願の実施例に係る金属ベローズアキュムレータの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本願の実施例を詳細に説明し、上記実施例の例は、図面に示され、全体を通して同一又は類似の符号は、同一又は類似の部品、或いは同一又は類似の機能を有する部品を示す。以下、図面を参照して説明される実施例は、例示的なものに過ぎず、本願を解釈するためのものであり、本願を限定するためのものとして理解すべきではない。
【0030】
以下、
図1~
図26を参照して、本願の実施例に係る油圧サスペンション装置を説明し、油圧サスペンション装置は、車両に用いられ、車両の車軸と車体とを接続し、車両の車体の高さを調整する。
【0031】
図1~
図23に示すように、本願の実施例に係る油圧サスペンション装置は、リザーバと、ダンパ200と、を含み、リザーバは、車体に設けられ、オイルを貯蔵するように構成される。ダンパ200は、ダンパハウジング201、ピストン202及びピストンロッド203を有し、ダンパハウジング201は、車軸に接続されるように構成され、ピストン202は、ダンパハウジング201内に位置し、かつダンパハウジング201と協働して上チャンバ2011及び下チャンバ2012を画定し、ピストンロッド203の一端は、ピストン202に接続され、ピストンロッド203は、車体に接続されるように構成され、ピストンロッド203内には、オイル通路204が設けられ、オイル通路204は、下チャンバ2012とリザーバに連通することにより、オイルがリザーバと下チャンバ2012との間を流れることができる。
【0032】
理解できるように、車両の走行中に、車軸は、車体に対して揺れなどの振動が発生し、本願の実施例に係る油圧サスペンション装置を車両に取り付ける場合、ダンパハウジング201を車軸に取り付け、ピストンロッド203を車体に接続する。これから分かるように、ピストンロッド203の先端は、車体に対して静止しており、ダンパハウジング201は、車軸と共にピストンロッド203に対して移動することができる。ピストンロッド203のオイル通路204がオイル回路を介してリザーバに接続されるため、車軸の振動によるオイル回路の接続箇所への影響を低減することができ、オイル回路の接続を安定させ、オイル回路とリザーバとの接続箇所での摩耗を低減することができ、オイル回路とピストンロッド203との接続箇所での摩耗を低減することができる。
【0033】
また、理解できるように、リザーバ内のオイルは、オイル通路204を通って下チャンバ2012内に入ることができ、ピストンロッド203が下へ移動して下チャンバ2012内の容積が小さくなる場合、下チャンバ2012内のオイルもオイル通路204を通ってリザーバに流入することができる。
【0034】
具体的には、油圧サスペンション装置は、リフトモードと高さ低減モードを有し、リフトモードでは、リザーバのオイルがオイル通路204内に入ることができ、オイル通路204内に入った油圧オイルが下チャンバ2012内に流入することにより、下チャンバ2012内の油圧が上昇してピストン202を上へ移動させ、ピストン202が上へ移動してピストンロッド203を上へ移動させ、車体をリフトするという目的を達成する。
【0035】
高さ低減モードでは、リザーバ内のオイルがオイル通路に入らなくなり、ダンパ200内のオイルが車両の重力の作用でオイル通路204から流出することができ、ダンパ200の下チャンバ2012の油圧が低下してピストン202を下へ移動させ、ピストン202が下へ移動してピストンロッド203を下へ移動させて、車体を下へ移動させ、車体の高さを低減するという目的を達成する。
【0036】
車両が走行中に、様々な道路状況に遭遇し、関連技術における車両のサスペンションシステムが選定された後、自動車の走行中に調整できず、そのため、従来のサスペンションは、自動車が特定の道路及び速度条件で性能の最適なマッチングを達成することのみを保証でき、地面の車体への作用力を受動的に受け、道路、車速に応じてサスペンションパラメータを変更できず、更に、地面の車体への作用力を能動的に制御することができない。
【0037】
本願の実施例に係る油圧サスペンション装置は、道路状況などに応じて車体の高さを調整することができ、例えば、険しい山道を走行する場合、リフトモードに入り、車両の重心を高め、車両走行の安定性を向上させることができる。車体による走行速度への影響を低減する必要がある場合、高さ低減モードに入り、車両の重心を下げることができる。勿論、理解できるように、上記は、例示的な説明に過ぎず、走行中の実際の必要に応じて車体の高さを調整してもよい。
【0038】
本願の実施例に係る油圧サスペンション装置は、ピストンロッド203には下チャンバ2012に連通するオイル通路204が設けられ、オイル通路204がリザーバに接続されるようにすることにより、オイル回路の接続を安定させ、接続箇所での振動による摩耗などの状況を回避し、接続箇所にオイル漏れ現象が発生することをできるだけ回避することができる。また、中空のピストンロッド203を用いると、重量を軽減することができるだけでなく、中空のピストンロッド203によって画定されたオイル通路204を利用してオイルの流入又は流出を実現してピストンロッド203の位置を調整することもでき、調整方式が簡単で、信頼性が高く、コストが低く、応答速度が速い。また、車体の高さを調整することができるため、車両の快適性を損なうことなく、車両の操作安定性を向上させ、車両の快適性と操縦安定性との矛盾を効果的に解決することができる。
【0039】
図1~
図23に示すように、本願のいくつかの実施例では、ピストンロッド203の上端は、ダンパハウジング201から延出し、ピストンロッド203の上端には、オイル通路204とリザーバとを連通するオイルポートが形成される。これにより、ピストンロッド203の上端にオイルポートを設けることで、オイル回路とオイルポートとの接続が容易になり、取付効率が向上する。
【0040】
本願のいくつかの実施例では、
図1~
図21に示すように、リザーバは、制御ポンプ26と、タンク1と、を含み、制御ポンプ26は、タンク1とオイル通路204との間に設けられる。具体的には、タンク1内にオイルが貯蔵され、制御ポンプ26は、タンク1内のオイルをオイル通路204に送り込むことができるため、制御ポンプ26を設けることで、タンク1の取付位置が制限されず、車両のスペースに応じてタンク1の位置を合理的に配置することができる。
【0041】
好ましくは、油圧サスペンション装置は、オイル吐出通路と、オイル戻し通路と、を更に含み、オイル吐出通路とオイル戻し通路とは、いずれもタンク1とオイル通路204との間に連通し、かつ部分的に重なり、制御ポンプ26は、オイル吐出通路に設けられる。即ち、タンク1内のオイルは、オイル吐出通路を通ってオイル通路204に流入し、オイル通路204内のオイルは、オイル戻し通路を通ってタンク1に流入し、それにより、オイル吐出通路及びオイル戻し通路を設けることで、オイル吐出とオイル戻しを独立して実現し、オイル吐出とオイル戻しの確実な進行を保証することができる。また、オイル吐出通路とオイル戻し通路とは、部分的に重なるため、接続管路の数を節約し、油圧サスペンション装置をよりコンパクトにすることができる。
【0042】
本願のいくつかの具体例では、
図1~
図21に示すように、オイル吐出通路は、共通通路33及びオイル吐出分岐路34を含み、オイル戻し通路は、共通通路33及びオイル戻し分岐路35を含み、共通通路33の一端は、オイル通路204に連通し、オイル吐出分岐路34及びオイル戻し分岐路35は、いずれも共通通路33の他端に接続される。即ち、オイル吐出通路とオイル戻し通路とが重なる部分は、共通通路33であり、オイル吐出分岐路34は、タンク1のオイル出口に接続され、オイル戻し分岐路35は、タンク1のオイル入口に接続され、制御ポンプ26は、オイル吐出分岐路34に設けられる。これにより、タンク1内のオイルは、オイル吐出分岐路34及び共通通路33を通ってオイル通路204に流入することができる。オイル通路204内のオイルは、共通通路33及びオイル戻し分岐路35を通ってタンク1内に流入することができる。それにより、オイル戻しとオイル吐出の信頼性を保証する。
【0043】
好ましくは、
図1~
図21に示すように、オイル吐出分岐路34に逆止弁28及び制御ポンプ26が設けられ、逆止弁28は、一端が共通通路33に連通し、他端が制御ポンプ26に連通し、オイル戻し分岐路35にオイル戻し弁27が設けられる。具体的には、タンク1は、独立したオイル戻し通路及びオイル吐出通路を有し、オイルを吐出する必要がある場合、制御ポンプ26がオンになり、オイル戻し弁27が閉状態にあり、制御ポンプ26は、オイルをダンパ200のオイル通路204にガイドする。オイルを戻す必要がある場合、制御ポンプ26がオフになり、オイル戻し弁27が開かれ、ダンパ200のオイル通路204から流出したオイルは、オイル戻し弁27を通ってタンク1に流れることができる。オイルを戻すとき、逆止弁28により、オイルが制御ポンプ26に流れることを効果的に回避することができ、制御ポンプ26に予期せぬ不具合があった場合にオイルが制御ポンプ26を通ってオイル出口に流れることを回避することができる。それにより、オイル吐出とオイル戻しの確実な進行を保証する。
【0044】
本願のいくつかの例では、
図1~
図21に示すように、制御ポンプ26は、制御弁体260と、駆動モータ261とを含み、駆動モータ261は、制御弁体260内の弁に電気的に接続され、駆動モータ261が回転して弁の回転を制御して制御ポンプ26のオン又はオフを実現する。それにより、駆動モータ261と弁との協働により制御ポンプ26のオン又はオフを実現し、制御ポンプ26の確実な作動を保証し、オイルによる制御ポンプ26のオン又はオフへの影響を低減することができる。
【0045】
本願のいくつかの実施例では、
図1~
図12に示すように、油圧サスペンション装置は、リリーフ弁31を更に含み、リリーフ弁31は、制御ポンプ26の出口端に位置し、制御ポンプ26のオイル出口の圧力が一定の閾値に達すると、リリーフ弁31が開かれてリリーフすることにより、油圧サスペンション装置が正常な圧力範囲内にあるように保護する。なお、リリーフ弁31の動作原理は、従来技術であり、ここでは詳細に説明しない。
【0046】
本願のいくつかの実施例では、
図1~
図21に示すように、油圧サスペンション装置は、圧力安定化アキュムレータ29を更に含み、圧力安定化アキュムレータ29は、制御ポンプ26の出口端に設けられるため、圧力を安定させ、制御ポンプ26の出口端での流量変動を除去することができる。
【0047】
本願のいくつかの例では、圧力安定化アキュムレータ29は、金属ベローズアキュムレータを用いることができ、
図26に示すように、金属ベローズアキュムレータは、筒体アセンブリとベローズアセンブリとからなる。筒体アセンブリは、上カバー、パッキン、シリンダチューブ、スナップリング及びシールリングを含み、ベローズアセンブリは、シールキャップ、ガイドリング、ベローズ及び下カバーを含む。金属ベローズアキュムレータは、エアバッグ又はダイヤフラムに代えて、金属ベローズ101を流体と気体との間の可撓性分離部品として用いてもよい。当該ベローズは、非常に広い温度範囲で使用することができる。金属ベローズは、他の部材に溶接されるため、完全に気密である。それは、摩擦又は摩耗を生じさせることなく、アキュムレータ内部で上下に移動でき、一度に調整するだけで長時間作動することができる。
【0048】
本願のいくつかの実施例では、油圧サスペンション装置は、アキュムレータモジュールを更に含み、オイル通路204は、接続通路を介してリザーバに連通し、アキュムレータモジュールは、接続通路に連通し、少なくともダンパ200の減衰及び剛性と車両の車体の高さとのうちの少なくとも1つを調整するように構成される。なお、アキュムレータモジュールは、アキュムレートの役割を果たし、即ち、オイルがアキュムレータモジュール内に流入してアキュムレートすることができ、油圧サスペンション装置に必要がある場合、アキュムレータモジュール内のオイルを流出して補給する。
【0049】
具体的には、アキュムレータモジュールが車両の車体の高さを調整することができる場合、アキュムレータモジュール内のオイルは、オイル通路204に流入して下チャンバ2012内に入ることができ、或いは、下チャンバ2012内のオイルは、アキュムレータモジュールに流入してアキュムレートすることができる。アキュムレータモジュールがダンパ200の減衰を調整する場合、接続通路の流路が狭くなるか又は広くなって減衰を調整する(即ち、ダンパ200内に出入りするオイルの流動抵抗が大きくなるか又は小さくなる)。アキュムレータモジュールがダンパ200の剛性を調整する場合、接続通路とアキュムレータモジュールとを連通することを選択するか、又はアキュムレータモジュールと接続通路との連通を遮断することを選択する。これにより、油圧サスペンション装置の調整機能を増加させて、当該油圧サスペンション装置が設けられた車両の走行をより安定させることができる。
【0050】
図1~
図21に示すように、本願のいくつかの実施例では、油圧サスペンションシステムは、第1制御弁3を更に含み、第1制御弁3は、接続通路に設けられ、リザーバとアキュムレータモジュールとの連通又は遮断を制御する。即ち、第1制御弁3が接続通路を遮断する場合、リザーバとアキュムレータモジュールとの間の流路が遮断され、リザーバ内のオイルがアキュムレータモジュール内に流れない。それにより、第1制御弁3を設けることで、アキュムレータモジュールにアキュムレートする必要があるか否かを判定することができ、アキュムレートする必要がある場合、第1制御弁3を開く。アキュムレートが完了した後、第1制御弁3を閉じ、アキュムレータモジュールを利用して、ダンパ200の減衰及び剛性と車両の車体の高さとのうちの少なくとも1つを調整する。
【0051】
図1~
図21に示すように、本願のいくつかの実施例では、アキュムレータモジュールは、第1アキュムレータ9及び開度調整弁8を含み、第1アキュムレータ9は、第1接続点で接続通路に連通し、開度調整弁8は、第1接続点とオイル通路204との間に設けられ、開度調整弁8は、オイル通路204と第1接続点との間の接続通路の開度を調整してダンパ200の減衰を調整し、更に、オイル通路204と第1接続点との間の接続通路を閉じてダンパ200の剛性を調整する。
【0052】
具体的には、第1アキュムレータ9は、アキュムレートすることができ、開度調整弁8が開状態にある場合、開度調整弁8の開度が小さくなって接続通路を流通可能なオイルの量が低下すると、ダンパ200から接続通路への流路が狭くなり、減衰が増加する。開度調整弁8の開度が大きくなると、ダンパ200から接続通路への流路が広くなり、減衰が減少するため、第1アキュムレータ9と開度調整弁8との協働により、油圧サスペンション装置の減衰を調整する時の信頼性を保証し、接続通路を流通するオイルの量が必要な減衰に適合することを保証する。言い換えれば、開度調整弁8によって対応する接続通路内のオイルの流量を調整することにより、対応する接続通路の減衰を調整し、油圧サスペンション装置の減衰を調整するという目的を達成することができ、それにより、実際の状況に応じて油圧サスペンションシステム1000の減衰を調整でき、例えば、道路状況などに応じて調整し、油圧サスペンションシステム1000の減衰が制振要求を満たすことを保証し、車両の快適性と操縦安定性との間の矛盾を効果的に解消することができる。
【0053】
開度調整弁8が閉状態にある場合、ダンパ200と第1アキュムレータ9との間の接続が遮断され、ダンパ200内のオイルが第1アキュムレータ9に流入できず、また、第1アキュムレータ9内のオイルがダンパ200内に流入できないため、ダンパ200の剛性を向上させることができる。このとき、開度調整弁8は、遮断調整弁であり、開度の調整を実現することができるだけでなく、遮断及び連通を実現することもできる。
【0054】
本願のいくつかの例では、開度調整弁8は、第1モータと、第1弁体とを含み、第1モータは、第1弁体内の弁の動作を制御して、第1弁体の流通面積を変化させ、流量調整の目的を達成することができる。
【0055】
本願のいくつかの実施例では、アキュムレータモジュールは、第2アキュムレータ10と、剛性調整弁11と、を更に含み、接続通路には、第2アキュムレータ10に連通する第2接続点が設けられ、剛性調整弁11は、第2アキュムレータ10と第2接続点との間に設けられ、接続通路と第2アキュムレータ10とを連通又は遮断してダンパ200の剛性を調整する。具体的には、剛性調整弁11が開かれると、オイルは、第2アキュムレータ10とダンパ200との間で流通することができる。剛性調整弁11が閉じられると、第2アキュムレータ10とダンパ200との接続が遮断されることで、ダンパ200内のオイルが第2アキュムレータ10内に流入できず、また、第2アキュムレータ10内のオイルがダンパ200内に流入できないため、ダンパ200の剛性を向上させることができる。
【0056】
好ましくは、
図1~
図9に示すように、第2接続点とオイル通路204との間に第2制御弁12が更に設けられる。これにより、第2制御弁12が閉じられ、剛性調整弁11が開かれると、タンク1内のオイルが第2アキュムレータ10内に入ってアキュムレートすることができる。それにより、第2制御弁12を設けることで、第2アキュムレータ10を利用してアキュムレートすることができる。
【0057】
図1~
図21に示すように、アキュムレータモジュールは、第1アキュムレータ9と、第2アキュムレータ10と、を更に含み、第1アキュムレータ9は、第1接続点で接続通路に連通し、接続通路には、第2アキュムレータ10に連通する第2接続点が設けられる。具体的には、第1アキュムレータ9と第2アキュムレータ10を設けることで、第1アキュムレータ9と第2アキュムレータ10を利用して接続通路の剛性を調整することができる。好ましくは、第1接続点は、オイル通路204と第2接続点との間に位置する。
【0058】
本願のいくつかの具体例では、第1接続点と第2接続点との間に第2制御弁12が設けられる。これにより、第2制御弁12の開閉により、ダンパ200に連通するアキュムレータの個数を制御して、ダンパ200の剛性又は減衰を調整することができる。
【0059】
以下、
図1~
図26を参照して、本願の実施例に係る油圧サスペンションシステム1000を説明し、油圧サスペンションシステム1000は、車両に用いられ、車両の車軸と車体とを接続する。
【0060】
本願の実施例に係る油圧サスペンションシステムは、コントローラと、本願の上記いずれかの実施例に記載の油圧サスペンション装置と、を含み、コントローラは、車両の状況に応じて、リザーバとダンパとの間のオイルの流れ方向を制御して、車両の車体の高さを増加させるか又は低減する。
【0061】
なお、本願の実施例に係る油圧サスペンションシステム1000は、複数のダンパアセンブリ2を含む。
【0062】
複数のダンパアセンブリ2は、左前ダンパアセンブリ2、左後ダンパアセンブリ2、右前ダンパアセンブリ2及び右後ダンパアセンブリ2に分けられ、各組のダンパアセンブリ2は、ダンパ200を含む。なお、本願の説明において、前とは、車のヘッドに向かう方向を指し、後とは、車のテールに向かう方向を指し、前に向かう方向で、主運転者の右手方向を右側とし、主運転者の左手方向を左側とする。
【0063】
各組のダンパアセンブリ2のオイル通路204は、接続通路を介してリザーバに接続される。リザーバ内のオイルが各オイル通路204内に入ってピストン202を上へ移動させ、ピストン202がピストンロッド203及び車体を上へ移動させ、高さ低減モードでは、各下チャンバ2012内のオイルがオイル通路204を通ってリザーバに流入することで、ピストン202を下へ移動させ、ピストン202がピストンロッド203及び車体を下へ移動させる。
【0064】
具体的には、油圧サスペンションシステム1000は、リフトモードと高さ低減モードを有し、コントローラは、車両の状況に応じて、油圧サスペンションシステム1000を制御してリフトモードと高さ低減モードとを切り替える。リフトモードでは、オイルが左前ダンパアセンブリ2のオイル通路204、右前ダンパアセンブリ2のオイル通路204、左後ダンパアセンブリ2のオイル通路204及び右後ダンパアセンブリ2のオイル通路204内に入ることができ、各オイル通路204内に入った油圧オイルが下チャンバ2012内に流入し、それにより、下チャンバ2012内の油圧が上昇してピストン202を上へ移動させ、ピストン202が上へ移動してピストンロッド203を上へ移動させる。左前ダンパアセンブリ2のピストンロッド203が上へ移動し、右前ダンパアセンブリ2のピストンロッド203が上へ移動し、左後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203が上へ移動し、右後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203が上へ移動して、車体を上へ移動させ、車体をリフトするという目的を達成する。
【0065】
高さ低減モードでは、重力の作用で、オイルが左前ダンパアセンブリ2のオイル通路204、右前ダンパアセンブリ2のオイル通路204、左後ダンパアセンブリ2のオイル通路204及び右後ダンパアセンブリ2のオイル通路204からそれぞれ流出することができ、各ダンパ200の下チャンバ2012の油圧が低下してピストン202を下へ移動させ、ピストン202が下へ移動してピストンロッド203を下へ移動させる。左前ダンパアセンブリ2のピストンロッド203が下へ移動し、右前ダンパアセンブリ2のピストンロッド203が下へ移動し、左後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203が下へ移動し、右後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203が下へ移動して、車体を下へ移動させ、車体の高さを低減するという目的を達成する。
【0066】
車両が走行中に、様々な道路状況に遭遇し、関連技術における車両のサスペンションシステムが選定された後、自動車の走行中に調整できず、そのため、従来のサスペンションは、自動車が特定の道路及び速度条件で性能の最適なマッチングを達成することのみを保証でき、地面の車体への作用力を受動的に受け、道路、車速に応じてサスペンションパラメータを変更できず、更に、地面の車体への作用力を能動的に制御することができない。
【0067】
本願の実施例に係る油圧サスペンションシステム1000は、道路状況などに応じて車体の高さを調整することができ、例えば、険しい山道を走行する場合、リフトモードに入り、車両の重心を高め、車両走行の安定性を向上させることができる。車体による走行速度への影響を低減する必要がある場合、高さ低減モードに入り、車両の重心を下げることができる。勿論、理解できるように、上記は、例示的な説明に過ぎず、走行中の実際の必要に応じて車体の高さを調整してもよい。
【0068】
本願の実施例に係る油圧サスペンションシステム1000は、車体の高さを調整することができ、車両の快適性を損なうことなく、車両の操作安定性を向上させ、車両の快適性と操縦安定性との間の矛盾を効果的に解決することができる。また、中空のピストンロッド203を用いると、重量を軽減することができるだけでなく、中空のピストンロッド203によって画定されたオイル通路204を利用してオイルの流入又は流出を実現してピストンロッド203の位置を調整することもでき、調整方式が簡単で、信頼性が高く、コストが低く、応答速度が速い。また、ピストンロッド203には下チャンバ2012に連通するオイル通路204が設けられ、オイル通路204がリザーバに接続されるようにすることにより、オイル回路の接続を安定させ、接続箇所での振動による摩耗などの状況を回避し、接続箇所にオイル漏れ現象が発生することをできるだけ回避することができる。
【0069】
本願のいくつかの具体例では、各接続通路には、それを導通又は遮断するための第1制御弁3が設けられ、即ち、各組のダンパアセンブリ2に対応する第1制御弁3が対応する接続通路を遮断する場合、タンク1と対応するダンパアセンブリ2のオイル通路204との間の流路が遮断され、タンク1内のオイルが対応するダンパ200内に流れず、ダンパ200内のオイルもタンク1に流れない。
【0070】
図10、
図12~
図21に示すように、本願のいくつかの実施例では、油圧サスペンションシステム1000は、第1高さ保持分岐路と、第2高さ保持分岐路とを更に含み、第1高さ保持分岐路は、左前ダンパアセンブリ2のオイル通路204と右前ダンパアセンブリ2のオイル通路204にそれぞれ接続され、第1高さ保持分岐路には、それを導通又は遮断するための第1高さ制御弁6が設けられる。
【0071】
第2高さ保持分岐路は、左後ダンパアセンブリ2のオイル通路204と右後ダンパアセンブリ2のオイル通路204にそれぞれ接続され、第2高さ保持分岐路には、それを導通又は遮断するための第2高さ制御弁7が設けられる。
【0072】
具体的には、第1高さ制御弁6が開かれると、第1高さ保持分岐路は、導通され、第1高さ制御弁6が閉じられると、第1高さ保持分岐路は、遮断される。第2高さ制御弁7が開かれると、第2高さ保持分岐路は、導通され、第2高さ制御弁7が閉じられると、第2高さ保持分岐路は、遮断される。
【0073】
車体の高さを保持する必要がある場合、油圧サスペンションシステム1000は、高さ保持モードに切り替えることができ、第1高さ制御弁6と第2高さ制御弁7がいずれも開かれ、第1高さ保持分岐路と第2高さ保持分岐路が導通され、左前ダンパアセンブリ2のオイル通路204と右前ダンパアセンブリ2のオイル通路204とが連通し、左後ダンパアセンブリ2のオイル通路204と左後ダンパアセンブリ2のオイル通路204とが連通する。即ち、左前ダンパアセンブリ2のピストンロッド203と右前ダンパアセンブリ2のピストンロッド203とが連動状態にあり、左後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203と左後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203とが連動状態にあり、それにより、車体が現在の高さをできるだけ保持することができる。
【0074】
本願のいくつかの実施例では、
図1~
図12に示すように、アキュムレータモジュールは、第2アキュムレータ10を含み、各組のダンパアセンブリ2には、1つの第2アキュムレータ10が対応して設けられ、第2アキュムレータ10は、接続通路に接続され、第2アキュムレータ10のオイル出入口に剛性調整弁11が設けられ、第1制御弁3は、第2アキュムレータ10とタンク1との間に位置する。具体的には、第1制御弁3及び剛性調整弁11が開かれると、タンク1内のオイルは、第2アキュムレータ10内に入ってアキュムレートすることができ、第1制御弁3が閉じられ、剛性調整弁11が開かれると、各第2アキュムレータ10内のオイルは、対応するダンパアセンブリ2内のオイル通路204に流入でき、ピストンロッド203を上昇させることができる。即ち、当該第2アキュムレータ10は、車両の車体の高さの調整を実現することもできる。剛性を向上させる必要がある場合、第1制御弁3が閉じられ、剛性調整弁11が閉じられ、それにより、第2アキュムレータ10が対応するダンパ200から遮断され、サスペンションの剛性を向上させる。
【0075】
理解できるように、各剛性調整弁11が独立して調整でき、それにより、異なるモードの需要を満たすために、油圧サスペンションシステム1000の前側剛性と後側剛性を一致させなくてもよい。例えば、車両のアンチノーズダイブモード及び旋回時のアンチロールモードの場合、前軸が大きな剛性を提供する必要があるため、左前ダンパアセンブリ2及び右前ダンパアセンブリ2に対応する剛性調整弁11を閉じ、右後ダンパアセンブリ2及び左後ダンパアセンブリ2に対応する剛性調整弁11を開状態にすることができる。
【0076】
本願のいくつかの例では、第1アキュムレータ9は、金属ベローズアキュムレータを用い、第2アキュムレータ10は、ダイヤフラム式アキュムレータを用い、ダイヤフラム式アキュムレータは、金属ベローズアキュムレータに比べて、より迅速な蓄圧能力及びより多くの蓄圧量を有する。ダイヤフラム式アキュムレータが短時間でより大きな蓄圧量に達することができるため、第2アキュムレータ10は、ダイヤフラム式アキュムレータを用いて各サスペンションの蓄圧を行って車体のリフトを実現する。なお、金属ベローズアキュムレータ及びダイヤフラム式アキュムレータのアキュムレート原理は、いずれも従来技術であり、ここでは詳細に説明しない。
【0077】
本願のいくつかの実施例では、
図1~
図9に示すように、接続通路には、それを導通又は遮断するための第2制御弁12が設けられ、第2制御弁12は、第2アキュムレータ10とオイル通路204との間に位置する。具体的には、油圧サスペンションシステム1000は、増圧モードを有することができ、
図4に示すように、増圧モードでは、第1制御弁3が開かれ、第2制御弁12が閉じられ、剛性調整弁11が開かれ、タンク1内のオイルは、第2アキュムレータ10内に入ってアキュムレートする。
【0078】
リフトモードに切り替える必要がある場合、第1制御弁3が閉じられ、第2制御弁12が開かれ、剛性調整弁11が開かれ、第2アキュムレータ10内のオイルは、オイル通路204内に入ってピストン202を上昇させる。
【0079】
高さ低減モードに切り替える必要がある場合、第1制御弁3が開かれ、第2制御弁12が開かれ、剛性調整弁11が開かれ、ダンパ200のオイル通路204から流出したオイルは、タンク1内に戻る。それにより、第2制御弁12を設けることで、先に剛性調整弁11を利用してアキュムレートすることができ、リフト又は剛性調整を行う必要がある場合、剛性調整弁11を開閉すれば実現でき、応答速度が速く、信頼できる。
【0080】
好ましくは、油圧サスペンションシステム1000は、アンチノーズダイブ制動モード及びアンチスクォート加速モードを更に有してもよく、車両の走行中に、各組のダンパアセンブリ2に対応する第1制御弁3を閉じ、第2制御弁12を開き、剛性調整弁11を閉じるように制御することができ、それにより、各組のダンパアセンブリ2のオイル通路204は、第1アキュムレータ9に連通し、第1アキュムレータ9は、対応するダンパ200内のオイルの量を調整することができる。したがって、各組のダンパアセンブリ2に対応するダンパ200が、対応する位置での車体の運動傾向に対する反力を有するため、油圧サスペンションシステム1000は、アンチノーズダイブ制動モード及びアンチスクォート加速モードを有する。
【0081】
図2、
図10、
図12~
図19及び
図21に示すように、本願のいくつかの実施例では、アキュムレータモジュールは、中央アキュムレータ13を含み、各組のダンパアセンブリ2に対応する第1制御弁3は、中央アキュムレータ13に接続される。即ち、第1制御弁3が閉じられると、タンク1内のオイルは、中央アキュムレータ13に入ってアキュムレートする。第1制御弁3が開かれると、中央アキュムレータ13内のオイルは、各組のダンパアセンブリ2のオイル通路204内に流れることができ、それにより、中央アキュムレータ13を設けることで、先に増圧によりアキュムレートして、オイルが各組のダンパアセンブリ2に確実に流れることができることを保証し、迅速に応答する。
【0082】
図3~
図8に示すように、本願のいくつかの実施例では、左前ダンパアセンブリ2の上チャンバ2011は、第1管路を介して右前ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012に連通し、左前ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012は、第2管路を介して右前ダンパアセンブリ2の上チャンバ2011に連通する。
【0083】
左後ダンパアセンブリ2の上チャンバ2011は、第3管路を介して右後ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012に連通し、左後ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012は、第4管路を介して右後ダンパアセンブリ2の上チャンバ2011に連通する。
【0084】
具体的には、車両がロールする傾向がある場合、即ち、油圧サスペンションシステム1000は、一側が圧縮され、他側が引っ張られる状態にあり、例えば、左前ダンパアセンブリ2及び左後ダンパアセンブリ2が圧縮され、右前ダンパアセンブリ2及び右後ダンパアセンブリ2が引っ張られる場合、左前ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012のオイルが第2管路を通って右前ダンパアセンブリ2の上チャンバ2011内に入り、右前ダンパアセンブリ2のピストンロッド203を下降させる。
【0085】
左後ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012内のオイルは、第4管路を通って右後ダンパアセンブリ2の上チャンバ2011内に入り、右後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203を下降させ、これにより、右前ダンパアセンブリ2のピストンロッド203を下降させ、右後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203を下降させることで、右側の車体に下向きの作用力を提供することができ、それにより、油圧サスペンションシステム1000は、アンチロールモーメントを提供して車両がロールし続けることを防止することができる。勿論、理解できるように、上記オイルの流路の説明は、アンチロール原理を紹介するための例示的な説明に過ぎず、右側が圧縮され、左側が引っ張られる場合、上記アンチロール原理を利用して、油圧サスペンションシステム1000は、アンチロールの力を提供することができる。
【0086】
好ましくは、
図3~
図8に示すように、第1管路と第3管路とは、連通して第1回路を形成し、第2管路と第4管路とは、連通して第2回路を形成する。油圧サスペンションシステム1000は、第1調整アキュムレータ14と、第2調整アキュムレータ15とを更に含み、第1調整アキュムレータ14は、第1回路に接続され、第1調整アキュムレータ14のオイル出入口に第1調整弁18が設けられ、第2調整アキュムレータ15は、第2回路に接続され、第2調整アキュムレータ15のオイル出入口に第2調整弁19が設けられる。
【0087】
具体的には、第1回路及び第2回路を形成することで、右前ダンパアセンブリ2と左前ダンパアセンブリ2及び左後ダンパアセンブリ2との連動調整を実現することができ、右後ダンパアセンブリ2と左前ダンパアセンブリ2及び左後ダンパアセンブリ2との連動調整を実現することができ、更にアンチロールモーメントを提供して車両がロールし続けることを防止できることを保証する。第1調整弁18及び第2調整弁19の開閉状態を制御することで、油圧サスペンションシステム1000の剛性を調整することができ、例えば、第1調整弁18及び第2調整弁19を閉じると、油圧サスペンションシステム1000の剛性を向上させることができる。具体的には、第1調整アキュムレータ14及び第2調整アキュムレータ15は、ダイヤフラム式アキュムレータを用いることができる。
【0088】
図9~
図19に示すように、本願のいくつかの実施例では、左前ダンパアセンブリ2の上チャンバ2011は、第5管路を介して左後ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012に連通し、左前ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012は、第6管路を介して左後ダンパアセンブリ2の上チャンバ2011に連通する。
【0089】
右前ダンパアセンブリ2の上チャンバ2011は、第7管路を介して右後ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012に連通し、右前ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012は、第8管路を介して右後ダンパアセンブリ2の上チャンバ2011に連通する。
【0090】
具体的には、車両がピッチングする傾向がある場合、即ち、油圧サスペンションシステム1000の前側と後側のうちの一方が圧縮され、他方が引っ張られ、例えば、左前ダンパアセンブリ2のピストンロッド203及び右前ダンパアセンブリ2のピストンロッド203が圧縮される場合、左前ダンパアセンブリ2の下チャンバのオイルが第6管路を通って左後ダンパアセンブリ2の上チャンバ2011内に流入し、左後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203を下降させ、それにより、前後を一致させ、アンチピッチングを実現する。
【0091】
右前ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012のオイルは、第8管路を通って右後ダンパアセンブリ2の上チャンバ2011内に流入し、右後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203を下降させる。これにより、油圧サスペンションシステム1000は、アンチピッチングの力を提供して、車両がピッチングし続けることを回避することができる。
【0092】
勿論、理解できるように、上記オイルの流路の説明は、アンチピッチング原理を紹介するための例示的な説明に過ぎず、後側が圧縮され、前側が引っ張られる場合、上記アンチピッチング原理を利用して、油圧サスペンションシステム1000は、アンチピッチングの力を提供することができる。
【0093】
好ましくは、
図9~
図19に示すように、第5管路は、第1接続管路を介して第7管路に連通して第3回路を形成し、第6管路は、第2接続管路を介して第8管路に連通して第4回路を形成する。油圧サスペンションシステム1000は、第3調整アキュムレータ16と、第4調整アキュムレータ17とを更に含み、第3調整アキュムレータ16は、第3回路に接続され、第3調整アキュムレータ16のオイル出入口に第3調整弁20が設けられる。第4調整アキュムレータ17は、第4回路に接続され、第4調整アキュムレータ17のオイル出入口に第4調整弁21が設けられる。具体的には、第3調整アキュムレータ16と第4調整アキュムレータ17は、ダイヤフラム式アキュムレータを用いることができる。
【0094】
これから分かるように、第3回路及び第4回路を形成することで、右前ダンパアセンブリ2、右後ダンパアセンブリ2、左前ダンパアセンブリ2及び左後ダンパアセンブリ2の連動調整を実現することができ、更にピッチングモーメントを提供して車両がピッチングし続けることを防止できることを保証する。第3調整弁20及び第4調整弁21の開閉状態を制御することで、油圧サスペンションシステム1000の剛性を調整することができ、例えば、第3調整弁20及び第4調整弁21を閉じると、油圧サスペンションシステム1000の剛性を向上させることができる。
【0095】
本願のいくつかの実施例では、
図9及び
図10に示すように、第1接続管路には、それを導通又は遮断するための第1開閉弁22が設けられ、第2接続管路には、それを導通又は遮断するための第2開閉弁23が設けられる。即ち、第1開閉弁22が閉じられると、第5管路と第7管路との導通が遮断され、第2開閉弁23が閉じられると、第6管路と第8管路との導通が遮断され、それにより、実際の需要に応じて、4組のダンパアセンブリ2を連動させる必要があるか否かを判定することができる。
【0096】
図11~
図21、
図24及び
図25に示すように、本願のいくつかの実施例では、油圧サスペンションシステム1000は、中央制御シリンダ24を更に含み、中央制御シリンダ24は、第2シリンダ240と、移動部材241とを含み、移動部材241は、第2シリンダ240内に移動可能に設けられ、かつ第2シリンダ240と協働して第1チャンバ243、第2チャンバ244、第3チャンバ245及び第4チャンバ246を画定し、第1チャンバ243、第2チャンバ244、第3チャンバ245及び第4チャンバ246は、移動部材241の移動方向に順に配列され、第1チャンバ243及び第2チャンバ244は、移動部材241の中間接触部2411の一側に分布し、第3チャンバ245及び第4チャンバ246は、中間接触部2411の他側に分布し、中間接触部2411は、第2シリンダ240の内壁と移動可能に係合する。
【0097】
左前ダンパアセンブリ2のオイル通路204は、第1チャンバ243及び第2チャンバ244のうちの一方に接続され、右後ダンパアセンブリ2のオイル通路204は、第1チャンバ243及び第2チャンバ244のうちの他方に接続される。左後ダンパアセンブリ2のオイル通路204は、第3チャンバ245及び第4チャンバ246のうちの一方に接続され、右前ダンパアセンブリ2のオイル通路204は、第3チャンバ245及び第4チャンバ246のうちの他方に接続される。以下、説明の便宜上、左前ダンパアセンブリ2のオイル通路204が第1チャンバ243に接続され、右後ダンパアセンブリ2のオイル通路204が第2チャンバ244に接続され、左後ダンパアセンブリ2のオイル通路204が第3チャンバ245に接続され、右前ダンパアセンブリ2のオイル通路204が第4チャンバ246に接続されることを例として原理を説明する。
【0098】
具体的には、車両がロールする傾向がある場合、例えば、左前ダンパアセンブリ2及び左後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203が圧縮され、右前ダンパアセンブリ2及び右後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203が引っ張られる場合、左前ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012内のオイルがオイル通路204を通って第1チャンバ243に流入し、左後ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012内のオイルがオイル通路204を通って第3チャンバ245に流入し、第1チャンバ243及び第3チャンバ245が中間接触部2411の両側に位置するため、第1チャンバ243内のオイルの中間接触部2411に対する作用力の方向と第3チャンバ245の中間接触部2411に対する作用力の方向とが逆であり、2つの逆方向の作用力が互いに相殺するため、移動部材241が移動せず、それにより、左前ダンパアセンブリ2のピストンロッド203及び左後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203の移動を抑制でき、ロールを抑制する役割を果たすことができる。
【0099】
左前輪が障害物に遭遇すると、左前輪が浮き上がり、連続走行中に、車両の重心が浮き上がり、右前輪と左後輪とが地面から離れるリスクがあり、車両が制御不能になるリスクがある。車両の左前輪が石などの障害物に遭遇すると、左前輪が浮き上がって左前ダンパアセンブリ2の圧縮幅が左後ダンパアセンブリ2の圧縮幅よりも大きくなる場合、左前ダンパアセンブリ2から第1チャンバ243内に流入したオイルの量が左後ダンパアセンブリ2から第3チャンバ245内に流入したオイルの量よりも多くなるため、移動部材241が右へ移動して第3チャンバ245及び第4チャンバ246を押圧し、第3チャンバ245内のオイルが左後ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012内に流入してピストンロッド203を上へ移動させることができ、第4チャンバ246内のオイルが右前ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012内に流入してピストンロッド203を上へ移動させることができ、それにより、左後輪及び右前輪が地面から離れる可能性を小さくし、車両の安定性を向上させる。
【0100】
勿論、理解できるように、上記いくつかの状況は、例示的な説明に過ぎず、車両が右前輪浮き上がり、左後輪浮き上がりなどの他のモードに遭遇する場合にも、オイルは、上記連動原理に従って流れて車両のロールを回避し、ここでは、各モードについて詳細に説明しない。
【0101】
本願のいくつかの実施例では、
図24に示すように、移動部材241は、移動本体部2410を含み、中間接触部2411は、移動本体部2410に設けられた環状突起であり、移動部材241の移動方向に、第2シリンダ240内に中間キャビティ、左キャビティ及び右キャビティが設けられ、左キャビティの入口及び右キャビティの入口は、中間キャビティの内壁に位置する。移動本体部2410の左端は、左キャビティの入口から左キャビティ内に入り込まれ、移動本体部2410の右端は、右キャビティの入口から右キャビティ内に入り込まれる。
【0102】
移動本体部2410の左端部と左キャビティとの間に第1チャンバ243が画定され、移動本体部2410の一部と左キャビティの内壁とがスライド可能に係合し、中間接触部2411と中間キャビティの内壁とがスライド可能に係合して第2チャンバ244と第3チャンバ245を画定し、移動本体部2410の右端部と右キャビティとの間に第4チャンバ246が画定される。それにより、中央制御シリンダ24の構造は、簡単になる。
【0103】
好ましくは、
図24に示すように、中央制御シリンダ24は、第1リターンスプリング247と、第2リターンスプリング248とを更に含み、第1リターンスプリング247の両端は、それぞれ第2シリンダ240及び移動部材241の左端に当接し、第2リターンスプリング248の両端は、それぞれ第2シリンダ240及び移動部材241の右端に当接し、第1リターンスプリング247と第2リターンスプリング248とは、移動部材241を押して中間に向かって復帰させる。具体的には、車両がロールして移動部材241を左へ移動させる場合、第1リターンスプリング247は、移動部材241を右に向かって押して移動部材241を復帰させることができる。車両がロールして移動部材241を右に向かって移動させる場合、第2リターンスプリング248は、移動部材241を左に向かって押して移動部材241を復帰させ、それにより、中央制御シリンダ24の信頼性を保証することができる。
【0104】
本願のいくつかの例では、
図24に示すように、中央制御シリンダ24は、ガイドアセンブリ249を含み、ガイドアセンブリは、第1ガイド部材2490と第2ガイド部材2491とを含み、第1ガイド部材2490と第2ガイド部材2491とは、スライド可能に係合し、第1ガイド部材2490は、第2シリンダ240に固定され、第2ガイド部材2491は、移動部材241に固定され、第1リターンスプリング247は、左側のガイドアセンブリ249に外嵌され、第1ガイド部材2490に当接し、第2リターンスプリング248は、右側のガイドアセンブリ249に外嵌され、第1ガイド部材2490に当接し、これにより、ガイドアセンブリ249を設けることで、第1リターンスプリング247と第2リターンスプリング248との組み立てを容易にするだけでなく、第1リターンスプリング247と第2リターンスプリング248との変形程度を容易に限定し、第1リターンスプリング247と第2リターンスプリング248との過度変形による故障を回避する。
【0105】
好ましくは、第2ガイド部材2491は、ねじであり、第2ガイド部材2491の一端は、第1ガイド部材2490内に入り込んで第1ガイド部材2490と移動可能に係合し、それにより、ガイドアセンブリ249の構造は、簡単で信頼できる。
【0106】
図25に示すように、中央制御シリンダ24の4つのダンパアセンブリ2のピストンロッド203に接続されるポートは、同じ側に位置し、それにより、管路の接続が容易になる。
【0107】
図1~
図23に示すように、本願のいくつかの実施例では、各組のダンパアセンブリ2は、制振スプリング205を含み、制振スプリング205の両端は、車体及び車軸に接続されるように構成される。それにより、制振スプリング205を設けることで、各組のダンパアセンブリ2の緩衝効果を向上させ、車両の走行中の車体の揺れを低減することができる。
【0108】
好ましくは、
図1~
図23に示すように、左前ダンパアセンブリ2の制振スプリング205は、ダンパ200に外嵌固定され、右前ダンパアセンブリ2の制振スプリング205は、ダンパ200に外嵌固定され、左後ダンパアセンブリ2の制振スプリング205は、ダンパ200と並列に設けられ、右後ダンパアセンブリ2の制振スプリング205は、ダンパ200と並列に設けられる。
【0109】
以下、
図1~
図21を参照して、本願のいくつかの具体的な実施例に係る油圧サスペンションシステム1000を詳細に説明し、理解できるように、上記各実施例は、限定的な説明ではなく、例示的な説明に過ぎず、実際の状況に応じて各実施例を例示的に修正することができる。
【実施例1】
【0110】
図1に示すように、本願の実施例に係る油圧サスペンションシステム1000は、左前ダンパアセンブリ2と、右前ダンパアセンブリ2と、左後ダンパアセンブリ2と、右後ダンパアセンブリ2と、アキュムレータモジュールと、タンク1と、制御ポンプ26と、オイル戻し弁27と、逆止弁28と、圧力安定化アキュムレータ29と、リリーフ弁31と、開度調整弁8とを含む。アキュムレータモジュールは、第1アキュムレータ9と、第2アキュムレータ10と、減圧アキュムレータ30とを含む。
【0111】
左前ダンパアセンブリ2及び右前ダンパアセンブリ2は、いずれもダンパ200と制振スプリング205とを含み、制振スプリング205は、ダンパ200に外嵌固定される。左後ダンパアセンブリ2及び右後ダンパアセンブリ2は、いずれもダンパ200と制振スプリング205とを含み、制振スプリング205は、ダンパ200と並列に設けられ、左後ダンパアセンブリ2の制振スプリング205の両端は、それぞれ車体及び車軸に接続される。右後ダンパアセンブリ2の制振スプリング205の両端は、それぞれ車体及び車軸に接続される。各ダンパ200は、ダンパハウジング201と、ピストンロッド203と、ピストン202とを含み、ピストンロッド203は、ピストン202に接続され、ピストン202は、ダンパハウジング201内に移動可能に設けられて上チャンバ2011及び下チャンバ2012を画定し、ピストンロッド203内にオイル通路204が設けられ、オイル通路204は、下チャンバ2012に連通し、各ダンパアセンブリ2のオイル通路204は、接続通路を介してタンク1に接続され、各接続通路に第1制御弁3が設けられる。
【0112】
タンク1は、オイル出口と、オイル入口とを有し、制御ポンプ26は、オイル出口及び接続通路にそれぞれ接続されてタンク1内のオイルを接続通路にガイドする。オイル戻し弁27は、オイル入口及び接続通路にそれぞれ接続され、オイル戻し弁27が開かれると、オイルは、接続通路からオイル入口に流れる。逆止弁28は、制御ポンプ26の出口端に設けられ、かつ一方向に導通する。圧力安定化アキュムレータ29は、制御ポンプ26の出口端に設けられ、かつ逆止弁28と制御ポンプ26との間に位置し、圧力安定化アキュムレータ29は、圧力を安定させ、制御ポンプ26の出口端での流量変動を除去することができる。
【0113】
油圧サスペンションシステム1000は、共通流路と、4つの分岐流路とを含み、4つの分岐流路は、それぞれ4組のダンパアセンブリ2のオイル通路204に接続される。逆止弁28及びオイル戻し弁27は、それぞれ共通流路に接続される。リリーフ弁31は、共通流路に接続される。
【0114】
各ダンパアセンブリ2に対応する第1制御弁3は、対応する分岐流路に直列に接続され、第1制御弁3は、分岐流路の導通又は遮断を制御する。
【0115】
各ダンパアセンブリ2に対応する第2アキュムレータ10は、対応する分岐流路に接続され、第2アキュムレータ10のオイル出入口に剛性調整弁11が設けられ、剛性調整弁11は、常閉状態にある。
【0116】
各分岐流路には、開度調整弁8、第1アキュムレータ9及び第2制御弁12が更に設けられ、開度調整弁8は、対応する分岐流路を流れる流量を調整して油圧サスペンションシステム1000の減衰を調整する。第1アキュムレータ9は、アキュムレートすることができる。第2制御弁12は、第1アキュムレータ9と第2アキュムレータ10との間に設けられる。
【0117】
各ダンパアセンブリ2には、1つの減圧アキュムレータ30が対応して設けられ、左前ダンパアセンブリ2に対応する減圧アキュムレータ30は、ピストンロッド203に直接接続されて対応するオイル通路204に連通し、右前ダンパアセンブリ2に対応する減圧アキュムレータ30は、ピストンロッド203に直接接続されて対応するオイル通路204に連通する。左後ダンパアセンブリ2に対応する減圧アキュムレータ30は、対応する分岐流路に接続され、右後ダンパアセンブリ2に対応する減圧アキュムレータ30は、対応する分岐流路に直接接続される。
【0118】
具体的には、油圧サスペンションシステム1000は、増圧モード、リフトモード及び高さ低減モードを有し、増圧モードでは、第1制御弁3が開かれ、第2制御弁12が閉じられ、剛性調整弁11が開かれ、制御ポンプ26が作動することにより、タンク1内のオイルは、4つの分岐流路を通ってそれぞれ対応する第2アキュムレータ10内に流れてアキュムレートする。第2アキュムレータ10を利用してアキュムレートした後に剛性調整弁11が閉じられる。
【0119】
リフトモードでは、タンク1内のオイル又はアキュムレータモジュール内のオイルが左前ダンパアセンブリ2のオイル通路204、右前ダンパアセンブリ2のオイル通路204、左後ダンパアセンブリ2のオイル通路204及び右後ダンパアセンブリ2のオイル通路204内に入ることができ、各オイル通路204内に入った油圧オイルが下チャンバ2012内に流入し、それにより、下チャンバ2012内の油圧が上昇してピストン202を上へ移動させ、ピストン202が上へ移動してピストンロッド203を上へ移動させる。左前ダンパアセンブリ2のピストンロッド203が上へ移動し、右前ダンパアセンブリ2のピストンロッド203が上へ移動し、左後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203が上へ移動し、右後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203が上へ移動して、車体を上へ移動させ、車体をリフトするという目的を達成する。
【0120】
高さ低減モードでは、オイルが左前ダンパアセンブリ2のオイル通路204、右前ダンパアセンブリ2のオイル通路204、左後ダンパアセンブリ2のオイル通路204及び右後ダンパアセンブリ2のオイル通路204からそれぞれ流出することができ、各ダンパ200の下チャンバ2012の油圧が低下してピストン202を下へ移動させ、ピストン202が下へ移動してピストンロッド203を下へ移動させる。左前ダンパアセンブリ2のピストンロッド203が下へ移動し、右前ダンパアセンブリ2のピストンロッド203が下へ移動し、左後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203が下へ移動し、右後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203が下へ移動して、車体を下へ移動させ、車体の高さを低減するという目的を達成する。理解できるように、高さ低減モードでは、各組のダンパアセンブリ2から流出したオイルは、タンク1に直接流入してもよいし、アキュムレータアセンブリ内に流入してアキュムレートしてもよいし、タンク1及びアキュムレータアセンブリの両方に流入してもよい。
【0121】
油圧サスペンションシステム1000内の圧力が大きい場合、例えば、制御ポンプ26の出口での圧力が一定の閾値(30MPa)に達すると検出する場合、オイル戻し弁27が開かれてリリーフして油圧サスペンションシステム1000が正常な圧力範囲内にあるように保護し、このとき、各ダンパ200内のオイルは、接続通路及びオイル戻し弁27を通ってオイルタンク1内に流れることができる。
【0122】
リリーフした後、油圧サスペンションシステム1000内の圧力がまだ大きいか又は作動中に圧力が大きい場合、リリーフ弁31を開いてリリーフして、油圧サスペンションシステム1000全体の信頼できる動作を保証することができる。
【0123】
車両の走行中に、油圧サスペンションシステム1000の減衰が大きいと、車体が揺れて快適性に影響を与えるため、開度調整弁8により各分岐流路内のオイルの量を調整して油圧サスペンションシステム1000の減衰を調整することができ、開度調整弁8の開度が減少して接続通路を流通可能なオイルの量を低下させると、減衰が増加する。開度調整弁8の開度が大きくなると、減衰が減少する。
【0124】
油圧サスペンションシステム1000の剛性が高くて車両の快適性を低下させる場合、剛性調整弁11を開くように制御し、第2アキュムレータ10内のオイルが各分岐流路内に補充することができ、それにより、油圧サスペンションシステム1000の剛性を低下させ、油圧サスペンションシステム1000の揺れに対する緩衝効果を向上させることができる。
【0125】
車両の走行中に、車両が揺れ、衝撃などを受ける場合、各ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012内のオイルは、オイル通路204を通って減圧アキュムレータ30に入ってアキュムレートし、迅速に降圧するという目的を達成することができる。車両の前軸が走行安定性を保証する必要があり、車両の後軸が主に快適性を保証する必要があるため、左前ダンパアセンブリ2に対応する減圧アキュムレータ30がピストンロッド203に直接接続されて対応するオイル通路204に連通し、右前ダンパアセンブリ2に対応する減圧アキュムレータ30がピストンロッド203に直接接続されて対応するオイル通路204に連通するようにして、迅速なリリーフを実現することができる。また、後軸の減圧アキュムレータ30は、第1アキュムレータ9と第2アキュムレータ10との間に設けられてもよく、それにより、オイルがダンパ200から流出すると、減衰してからリリーフし、快適性の向上に役立つ。
【実施例2】
【0126】
図2に示すように、実施例1に比べて、本実施例に係る油圧サスペンションシステム1000は、中央アキュムレータ13と、中央蓄圧調整弁32とを更に含み、中央アキュムレータ13のオイル出入口に中央蓄圧調整弁32が接続され、中央蓄圧調整弁32は、共通流路に接続される。なお、当該実施例では、実施例1と同じの構造及びモードについて詳細に説明しない。
【0127】
増圧モードでは、中央蓄圧調整弁32が開かれ、剛性調整弁11が開かれ、タンク1から流出したオイルが中央アキュムレータ13及び第2アキュムレータ10に入ってアキュムレートする。
【0128】
リフトモードでは、中央蓄圧調整弁32が開かれ、剛性調整弁11が閉じられ、中央アキュムレータ13から流出したオイルが各ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012内に流入し、ピストンロッド203を上昇させて車体をリフトする。
【0129】
高さ低減モードでは、各ダンパアセンブリ2から流出したオイルは、中央アキュムレータ13及び/又はタンク1に流入することができる。
【実施例3】
【0130】
図3~
図8に示すように、実施例1に比べて、本願の実施例に係る油圧サスペンションシステム1000には、アンチロールモードが更に追加されている。
【0131】
図3~
図8に示すように、左前ダンパアセンブリ2の上チャンバ2011は、第1管路を介して右前ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012に連通し、左前ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012は、第2管路を介して右前ダンパアセンブリ2の上チャンバ2011に連通する。
【0132】
左後ダンパアセンブリ2の上チャンバ2011は、第3管路を介して右後ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012に連通し、左後ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012は、第4管路を介して右後ダンパアセンブリ2の上チャンバ2011に連通する。第1管路と第3管路とは、連通して第1回路を形成し、第2管路と第4管路とは、連通して第2回路を形成する。油圧サスペンションシステム1000は、第1調整アキュムレータ14と、第2調整アキュムレータ15とを更に含み、第1調整アキュムレータ14は、第1回路に接続され、第1調整アキュムレータ14のオイル出入口に第1調整弁18が設けられ、第2調整アキュムレータ15は、第2回路に接続され、第2調整アキュムレータ15のオイル出入口に第2調整弁19が設けられる。
【0133】
具体的には、
図8に示すように、車両がロールする傾向がある場合、即ち、油圧サスペンションシステム1000は、一側が圧縮され、他側が引っ張られる状態にあり、例えば、左前ダンパアセンブリ2及び左後ダンパアセンブリ2が圧縮され、右前ダンパアセンブリ2及び右後ダンパアセンブリ2が引っ張られる場合、左前ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012内のオイル及び左後ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012内のオイルが第2回路を通って右前ダンパアセンブリ2の上チャンバ2011内に入る。
【0134】
左後ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012内のオイル及び左前ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012内のオイルは、第2回路を通って右後ダンパアセンブリ2の上チャンバ2011内に入り、右前ダンパアセンブリ2のピストンロッド203を下降させ、右後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203を下降させることで、右側の車体に下向きの作用力を提供して、車両を左右に一致させることができ、それにより、油圧サスペンションシステム1000は、アンチロールモーメントを提供して車両がロールし続けることを防止することができる。勿論、理解できるように、上記オイルの流路の説明は、アンチロール原理を紹介するための例示的な説明に過ぎず、右側が圧縮され、左側が引っ張られる場合、上記アンチロール原理を利用して、油圧サスペンションシステム1000は、アンチロールの力を提供することができる。
【0135】
図4に示すように、第1制御弁3が開かれ、第2制御弁12が閉じられ、剛性調整弁11が開かれて、各第2アキュムレータ10を利用してアキュムレートする。
【0136】
図5に示すように、リフトモードでは、第1制御弁3が閉じられ、第2制御弁12が開かれ、剛性調整弁11が開かれ、第2アキュムレータ10内のオイルが対応するダンパ200のオイル通路204内に入ってリフトを実現することができる。
【0137】
図6に示すように、高さ低減モードでは、第1制御弁3が開かれ、第2制御弁12が開かれ、剛性調整弁11が閉じられ、各ダンパ200のピストンロッド203が下へ移動することにより、下チャンバ2012内のオイルがオイル通路204を通って分岐流路に流入し、4つの分岐流路内のオイルが共通流路に集められた後、オイル戻し弁27を通ってタンク1内に流入する。
【0138】
図7に示すように、第1制御弁3が閉じられ、第2制御弁12が開かれ、剛性調整弁11が閉じられ、第1アキュムレータ9及び減圧アキュムレータ30内のオイルがオイル通路204に流入し、或いは、オイル通路204内のオイルが第1アキュムレータ9又は減圧アキュムレータ30内に流入して、アキュムレートすることができる。理解できるように、車両の発進中に、慣性力により車両の後部が沈み込む傾向があり、車両の前部が浮き上がる傾向があり、左前ダンパアセンブリ2の上チャンバ2011と右前ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012とが連通するため、左前ダンパアセンブリ2のピストンロッド203と右前ダンパアセンブリ2のピストンロッド203とが動かないように保持され、それにより、車両の前部が浮き上がる傾向を抑制し、アンチスクォートの役割を果たすことができる。同様に、車両のブレーキ中に、アンチノーズダイブの役割を果たす。
【実施例4】
【0139】
図9に示すように、実施例1に比べて、当該実施例では、本願の実施例に係る油圧サスペンションシステム1000は、アンチピッチングモードを更に有する。
【0140】
左前ダンパアセンブリ2の上チャンバ2011は、第5管路を介して左後ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012に連通し、左前ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012は、第6管路を介して左後ダンパアセンブリ2の上チャンバ2011に連通する。
【0141】
右前ダンパアセンブリ2の上チャンバ2011は、第7管路を介して右後ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012に連通し、右前ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012は、第8管路を介して右後ダンパアセンブリ2の上チャンバ2011に連通する。第5管路は、第1接続管路を介して第7管路に連通して第3回路を形成し、第6管路は、第2接続管路を介して第8管路に連通して第4回路を形成する。油圧サスペンションシステム1000は、第3調整アキュムレータ16と、第4調整アキュムレータ17とを更に含み、第3調整アキュムレータ16は、第3回路に接続され、第3調整アキュムレータ16のオイル出入口に第3調整弁20が設けられる。第4調整アキュムレータ17は、第4回路に接続され、第4調整アキュムレータ17のオイル出入口に第4調整弁21が設けられる。第1接続管路には、それを導通又は遮断するための第1開閉弁22が設けられ、第2接続管路には、それを導通又は遮断するための第2開閉弁23が設けられる。
【0142】
具体的には、車両がピッチングする傾向がある場合、即ち、油圧サスペンションシステム1000の前側と後側のうちの一方が圧縮され、他方が引っ張られ、例えば、左前ダンパアセンブリ2のピストンロッド203及び右前ダンパアセンブリ2のピストンロッド203が圧縮される場合、左前ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012内のオイルが第6管路を通って左後ダンパアセンブリ2の上チャンバ2011内に流入し、左後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203を下降させる。
【0143】
右前ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012内のオイルは、第8管路を通って右後ダンパアセンブリ2の上チャンバ2011内に流入し、右前ダンパアセンブリ2のピストンロッド203を下降させる。これにより、油圧サスペンションシステム1000は、アンチピッチングの力を提供して、車両がピッチングし続けることを回避することができる。
【0144】
第3回路及び第4回路を形成することで、右前ダンパアセンブリ2、右後ダンパアセンブリ2、左前ダンパアセンブリ2及び左後ダンパアセンブリ2の連動調整を実現することができ、更にアンチピッチングモーメントを提供して車両がピッチングし続けることを防止できることを保証する。第3調整弁20及び第4調整弁21の開閉状態を制御することで、油圧サスペンションシステム1000の剛性を調整することができ、例えば、第3調整弁20及び第4調整弁21を閉じると、油圧サスペンションシステム1000の剛性を向上させることができる。
【0145】
第1開閉弁22が閉じられると、第5管路と第7管路との導通が遮断され、第2開閉弁23が閉じられると、第6管路と第8管路との導通が遮断され、それにより、実際の需要に応じて、4組のダンパアセンブリ2を連動させる必要があるか否かを判定することができる。
【0146】
勿論、理解できるように、上記オイルの流路の説明は、アンチピッチング原理を紹介するための例示的な説明に過ぎず、後側が圧縮され、前側が引っ張られる場合、上記アンチピッチング原理を利用して、油圧サスペンションシステム1000は、アンチピッチングの力を提供することができる。
【実施例5】
【0147】
図10に示すように、実施例4に比べて、本願の実施例に係る油圧サスペンションシステム1000に第2アキュムレータ10が設けられず、本願の実施例に係る油圧サスペンションシステム1000は、中央アキュムレータ13と、第1高さ保持分岐路と、第2高さ保持分岐路とを更に含み、第1高さ保持分岐路は、左前ダンパアセンブリ2のオイル通路204と右前ダンパアセンブリ2のオイル通路204にそれぞれ接続され、第1高さ保持分岐路には、それを導通又は遮断するための第1高さ制御弁6が設けられる。
【0148】
第2高さ保持分岐路は、左後ダンパアセンブリ2のオイル通路204と右後ダンパアセンブリ2のオイル通路204にそれぞれ接続され、第2高さ保持分岐路には、それを導通又は遮断するための第2高さ制御弁7が設けられる。
【0149】
具体的には、第1高さ制御弁6が開かれると、第1高さ保持分岐路は、導通され、第1高さ制御弁6が閉じられると、第1高さ保持分岐路は、遮断される。第2高さ制御弁7が開かれると、第2高さ保持分岐路は、導通され、第2高さ制御弁7が閉じられると、第2高さ保持分岐路は、遮断される。
【0150】
車体の高さを保持する必要がある場合、油圧サスペンションシステム1000は、高さ保持モードに切り替えることができ、第1高さ制御弁6と第2高さ制御弁7がいずれも開かれ、第1高さ保持分岐路と第2高さ保持分岐路が導通され、左前ダンパアセンブリ2のオイル通路204と右前ダンパアセンブリ2のオイル通路204とが連通し、左後ダンパアセンブリ2のオイル通路204と右後ダンパアセンブリ2のオイル通路204とが連通する。即ち、左前ダンパアセンブリ2のピストンロッド203と右前ダンパアセンブリ2のピストンロッド203とが連動状態にあり、左後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203と右後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203とが連動状態にあり、それにより、車体が現在の高さをできるだけ保持することができる。
【0151】
高さ保持モードでは、第1制御弁3及び第2制御弁12を閉状態に制御する。
【0152】
当該実施例では、増圧モードでは、第1制御弁3が閉じられ、タンク1内のオイルが中央アキュムレータ13に流入してアキュムレートする。
【実施例6】
【0153】
図11に示すように、当該実施例では、実施例4に比べて、本願の実施例に係る油圧サスペンションシステム1000は、中央制御シリンダ24を更に含む。
【0154】
中央制御シリンダ24は、第2シリンダ240と、移動部材241とを含み、移動部材241は、第2シリンダ240内に移動可能に設けられ、かつ第2シリンダ240と協働して第1チャンバ243、第2チャンバ244、第3チャンバ245及び第4チャンバ246を画定し、第1チャンバ243、第2チャンバ244、第3チャンバ245及び第4チャンバ246は、移動部材241の移動方向に順に配列され、第1チャンバ243及び第2チャンバ244は、移動部材241の中間接触部2411の一側に分布し、第3チャンバ245及び第4チャンバ246は、中間接触部2411の他側に分布し、中間接触部2411は、第2シリンダ240の内壁と移動可能に係合する。
【0155】
左前ダンパアセンブリ2のオイル通路204は、第1チャンバ243及び第2チャンバ244のうちの一方に接続され、右後ダンパアセンブリ2のオイル通路204は、第1チャンバ243及び第2チャンバ244のうちの他方に接続される。左後ダンパアセンブリ2のオイル通路204は、第3チャンバ245及び第4チャンバ246のうちの一方に接続され、右前ダンパアセンブリ2のオイル通路204は、第3チャンバ245及び第4チャンバ246のうちの他方に接続される。以下、説明の便宜上、左前ダンパアセンブリ2のオイル通路204が第1チャンバ243に接続され、右後ダンパアセンブリ2のオイル通路204が第2チャンバ244に接続され、左後ダンパアセンブリ2のオイル通路204が第3チャンバ245に接続され、右前ダンパアセンブリ2のオイル通路204が第4チャンバ246に接続されることを例として原理を説明する。
【0156】
具体的には、車両がロールする傾向がある場合、例えば、左前ダンパアセンブリ2及び左後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203が圧縮され、右前ダンパアセンブリ2及び右後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203が引っ張られる場合、左前ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012内のオイルがオイル通路204を通って第1チャンバ243に流入し、左後ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012内のオイルがオイル通路204を通って第3チャンバ245に流入し、第1チャンバ243及び第3チャンバ245が中間接触部2411の両側に位置するため、第1チャンバ243内のオイルの中間接触部2411に対する作用力の方向と第3チャンバ245の中間接触部2411に対する作用力の方向とが逆であり、2つの逆方向の作用力が互いに相殺するため、移動部材241が移動せず、それにより、左前ダンパアセンブリ2のピストンロッド203及び左後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203の移動を抑制でき、ロールを抑制する役割を果たすことができる。
【0157】
車両の左前輪が石などの障害物に遭遇すると、左前輪が浮き上がって左前ダンパアセンブリ2の圧縮幅が左後ダンパアセンブリ2の圧縮幅よりも大きくなる場合、左前ダンパアセンブリ2から第1チャンバ243内に流入したオイルの量が左後ダンパアセンブリ2から第3チャンバ245内に流入したオイルの量よりも多くなるため、移動部材241が右へ移動して第3チャンバ245及び第4チャンバ246を押圧し、第3チャンバ245内のオイルが左後ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012内に流入してピストンロッド203を上へ移動させることができ、第4チャンバ246内のオイルが右前ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012内に流入してピストンロッド203を上へ移動させることができ、それにより、左後輪及び右前輪が地面から離れる可能性を小さくし、車両の安定性を向上させる。勿論、理解できるように、上記いくつかの状況は、例示的な説明に過ぎず、車両が右前輪浮き上がり、左後輪浮き上がりなどの他のモードに遭遇する場合にも、オイルは、上記連動原理に従って流れて車両のロールを回避し、ここでは、各モードについて詳細に説明しない。
【0158】
理解できるように、当該実施例の油圧サスペンションシステム1000も実施例4に記載のアンチピッチングモードを有するため、ここでは説明を省略する。
【実施例7】
【0159】
図12~
図19に示すように、当該実施例では、実施例4に比べて、本願の実施例に係る油圧サスペンションシステム1000は、第2アキュムレータ10を除去し、本願の実施例に係る油圧サスペンションシステム1000には、中央アキュムレータ13、中央制御シリンダ24、第1高さ保持分岐路及び第2高さ保持分岐路が設けられる。
【0160】
中央アキュムレータ13のオイル出入口に中央蓄圧調整弁32が接続され、中央蓄圧調整弁32は、共通流路に接続される。
【0161】
中央制御シリンダ24は、第2シリンダ240と、移動部材241とを含み、移動部材241は、第2シリンダ240内に移動可能に設けられ、かつ第2シリンダ240と協働して第1チャンバ243、第2チャンバ244、第3チャンバ245及び第4チャンバ246を画定し、第1チャンバ243、第2チャンバ244、第3チャンバ245及び第4チャンバ246は、移動部材241の移動方向に順に配列され、第1チャンバ243及び第2チャンバ244は、移動部材241の中間接触部2411の一側に分布し、第3チャンバ245及び第4チャンバ246は、中間接触部2411の他側に分布し、中間接触部2411は、第2シリンダ240の内壁と移動可能に係合する。
【0162】
左前ダンパアセンブリ2のオイル通路204は、第1チャンバ243及び第2チャンバ244のうちの一方に接続され、右後ダンパアセンブリ2のオイル通路204は、第1チャンバ243及び第2チャンバ244のうちの他方に接続される。左後ダンパアセンブリ2のオイル通路204は、第3チャンバ245及び第4チャンバ246のうちの一方に接続され、右前ダンパアセンブリ2のオイル通路204は、第3チャンバ245及び第4チャンバ246のうちの他方に接続される。
【0163】
第1高さ保持分岐路は、左前ダンパアセンブリ2のオイル通路204と右前ダンパアセンブリ2のオイル通路204にそれぞれ接続され、第1高さ保持分岐路には、それを導通又は遮断するための第1高さ制御弁6が設けられる。
【0164】
第2高さ保持分岐路は、左後ダンパアセンブリ2のオイル通路204と右後ダンパアセンブリ2のオイル通路204にそれぞれ接続され、第2高さ保持分岐路には、それを導通又は遮断するための第2高さ制御弁7が設けられる。
【0165】
具体的には、説明の便宜上、左前ダンパアセンブリ2のオイル通路204が第1チャンバ243に接続され、右後ダンパアセンブリ2のオイル通路204が第2チャンバ244に接続され、左後ダンパアセンブリ2のオイル通路204が第3チャンバ245に接続され、右前ダンパアセンブリ2のオイル通路204が第4チャンバ246に接続されることを例として原理を説明する。
【0166】
具体的には、
図13に示すように、油圧サスペンションシステム1000が増圧モードに入り、中央蓄圧調整弁32が開かれ、4つの第1制御弁3が閉じられ、第1高さ制御弁6が閉じられ、第2高さ制御弁7が閉じられ、タンク1から流出したオイルが中央アキュムレータ13に流入してアキュムレートする。
【0167】
図14に示すように、車両がリフトモードに入ると、中央蓄圧調整弁32が開かれ、4つの第1制御弁3が開かれ、第1高さ制御弁6が閉じられ、第2高さ制御弁7が閉じられる。
【0168】
中央アキュムレータ13から流出したオイルは、4つの分岐流路を通ってそれぞれ4つのダンパアセンブリ2のオイル通路204内に入り、オイル通路204内のオイルが下チャンバ2012内に入り、ピストンロッド203を上へ移動させて車体を上昇させる。
【0169】
図15に示すように、車体の高さを保持する必要がある場合、油圧サスペンションシステム1000は、高さ保持モードに切り替えることができ、第1高さ制御弁6と第2高さ制御弁7がいずれも開かれ、4つの第1制御弁3が閉じられ、第1高さ保持分岐路と第2高さ保持分岐路が導通され、左前ダンパアセンブリ2のオイル通路204と右前ダンパアセンブリ2のオイル通路204とが連通し、左後ダンパアセンブリ2のオイル通路204と右後ダンパアセンブリ2のオイル通路204とが連通する。即ち、左前ダンパアセンブリ2のピストンロッド203と右前ダンパアセンブリ2のピストンロッド203とが連動状態にあり、左後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203と右後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203とが連動状態にあり、それにより、車体が現在の高さをできるだけ保持することができる。
【0170】
図16に示すように、車両が高さ低減モードに入ると、中央蓄圧調整弁32が閉じられ、4つの第1制御弁3が開かれ、第1高さ制御弁6が閉じられ、第2高さ制御弁7が閉じられる。
【0171】
各ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012から流出したオイルは、接続通路及びオイル戻し弁27を通ってタンク1内に戻り、それにより、各ピストンロッド203を下へ移動させて車体の高さを低減する。
【0172】
図17に示すように、中央蓄圧調整弁32が閉じられ、第1高さ調整弁6が閉じられ、第2高さ調整弁7が閉じられ、4つの第1制御弁3が閉じられる。
【0173】
車両がロールする傾向がある場合、例えば、左前ダンパアセンブリ2及び左後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203が圧縮され、右前ダンパアセンブリ2及び右後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203が引っ張られる場合、左前ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012内のオイルがオイル通路204を通って第1チャンバ243に流入し、左後ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012内のオイルがオイル通路204を通って第3チャンバ245に流入し、第1チャンバ243及び第3チャンバ245が中間接触部2411の両側に位置するため、第1チャンバ243内のオイルの中間接触部2411に対する作用力の方向と第3チャンバ245の中間接触部2411に対する作用力の方向とが逆であり、2つの逆方向の作用力が互いに相殺するため、移動部材241が移動せず、それにより、左前ダンパアセンブリ2のピストンロッド203及び左後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203の移動を抑制でき、ロールを抑制する役割を果たすことができる。
【0174】
車両の左前輪が石などの障害物に遭遇すると、左前輪が浮き上がって左前ダンパアセンブリ2の圧縮幅が左後ダンパアセンブリ2の圧縮幅よりも大きくなる場合、左前ダンパアセンブリ2から第1チャンバ243内に流入したオイルの量が左後ダンパアセンブリ2から第3チャンバ245内に流入したオイルの量よりも多くなるため、移動部材241が右へ移動して第3チャンバ245及び第4チャンバ246を押圧し、第3チャンバ245内のオイルが左後ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012内に流入してピストンロッド203を上へ移動させることができ、第4チャンバ246内のオイルが右前ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012内に流入してピストンロッド203を上へ移動させることができ、それにより、左後輪及び右前輪が地面から離れる可能性を小さくし、車両の安定性を向上させる。
【0175】
勿論、理解できるように、上記いくつかの状況は、例示的な説明に過ぎず、車両が右前輪浮き上がり、左後輪浮き上がりなどの他のモードに遭遇する場合にも、オイルは、上記連動原理に従って流れて車両のロールを回避し、ここでは、各モードについて詳細に説明しない。
【0176】
図18に示すように、第3調整弁20が開かれ、第4調整弁21が開かれ、中央蓄圧調整弁32が閉じられ、第1高さ調整弁6が閉じられ、第2高さ調整弁7が閉じられ、4つの第1制御弁3が閉じられ、第1開閉弁22が開かれ、第2開閉弁23が開かれる。
【0177】
車両がピッチングする傾向がある場合、即ち、油圧サスペンションシステム1000の前側と後側のうちの一方が圧縮され、他方が引っ張られ、例えば、左前ダンパアセンブリ2のピストンロッド203及び右前ダンパアセンブリ2のピストンロッド203が圧縮され、左後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203及び右後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203が引っ張られる場合、左前ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012内のオイルが第6管路を通って左後ダンパアセンブリ2の上チャンバ2011内に流入して、左後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203を下降させる。
【0178】
右前ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012内のオイルは、第8管路を通って右後ダンパアセンブリ2の上チャンバ2011内に流入し、右後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203を下降させる。これにより、油圧サスペンションシステム1000は、アンチピッチングの力を提供して、車両がピッチングし続けることを回避することができる。
【0179】
第3回路及び第4回路を形成することで、右前ダンパアセンブリ2、右後ダンパアセンブリ2、左前ダンパアセンブリ2及び左後ダンパアセンブリ2の連動調整を実現することができ、更にアンチピッチングモーメントを提供して車両がピッチングし続けることを防止できることを保証する。第3調整弁20及び第4調整弁21の開閉状態を制御することで、油圧サスペンションシステム1000の剛性を調整することができ、例えば、第3調整弁20及び第4調整弁21を閉じると、油圧サスペンションシステム1000の剛性を向上させることができる。
【0180】
勿論、理解できるように、上記オイルの流路の説明は、アンチピッチング原理を紹介するための例示的な説明に過ぎず、後側が圧縮され、前側が引っ張られる場合、上記アンチピッチング原理を利用して、油圧サスペンションシステム1000は、アンチピッチングの力を提供することができる。
【0181】
理解できるように、本願の実施例に係る油圧サスペンションシステム1000がオフロード車に適用される場合、オフロードRTI指数を向上させるために、
図19に示すように、第3調整弁20が閉じられ、第4調整弁21が閉じられ、中央蓄圧調整弁32が閉じられ、4つの第1制御弁3が閉じられ、第1開閉弁22が閉じられ、第2開閉弁23が閉じられる。第1高さ調整弁6が開かれ、第2高さ調整弁7が開かれる。
【0182】
上述したアンチロール原理及び高さ保持原理を利用して、オフロード車が険しい山道を走行する場合、油圧サスペンションシステム1000は、アンチロール力及び車体の高さ保持力を提供することができるため、ロール現象が発生しにくい。
【実施例8】
【0183】
図20に示すように、当該実施例では、実施例1に比べて、本願の実施例による油圧サスペンションシステム1000は、中央制御シリンダ24と、第1高さ保持分岐路と、第2高さ保持分岐路とを更に含む。
【0184】
中央制御シリンダ24は、第2シリンダ240と、移動部材241とを含み、移動部材241は、第2シリンダ240内に移動可能に設けられ、かつ第2シリンダ240と協働して第1チャンバ243、第2チャンバ244、第3チャンバ245及び第4チャンバ246を画定し、第1チャンバ243、第2チャンバ244、第3チャンバ245及び第4チャンバ246は、移動部材241の移動方向に順に配列され、第1チャンバ243及び第2チャンバ244は、移動部材241の中間接触部2411の一側に分布し、第3チャンバ245及び第4チャンバ246は、中間接触部2411の他側に分布し、中間接触部2411は、第2シリンダ240の内壁と移動可能に係合する。
【0185】
左前ダンパアセンブリ2のオイル通路204は、第1チャンバ243及び第2チャンバ244のうちの一方に接続され、右後ダンパアセンブリ2のオイル通路204は、第1チャンバ243及び第2チャンバ244のうちの他方に接続される。左後ダンパアセンブリ2のオイル通路204は、第3チャンバ245及び第4チャンバ246のうちの一方に接続され、右前ダンパアセンブリ2のオイル通路204は、第3チャンバ245及び第4チャンバ246のうちの他方に接続される。以下、説明の便宜上、左前ダンパアセンブリ2のオイル通路204が第1チャンバ243に接続され、右後ダンパアセンブリ2のオイル通路204が第2チャンバ244に接続され、左後ダンパアセンブリ2のオイル通路204が第3チャンバ245に接続され、右前ダンパアセンブリ2のオイル通路204が第4チャンバ246に接続されることを例として原理を説明する。
【0186】
具体的には、車両がロールする傾向がある場合、例えば、左前ダンパアセンブリ2及び左後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203が圧縮され、右前ダンパアセンブリ2及び右後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203が引っ張られる場合、左前ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012内のオイルがオイル通路204を通って第1チャンバ243に流入し、左後ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012内のオイルがオイル通路204を通って第3チャンバ245に流入し、第1チャンバ243及び第3チャンバ245が中間接触部2411の両側に位置するため、第1チャンバ243内のオイルの中間接触部2411に対する作用力の方向と第3チャンバ245の中間接触部2411に対する作用力の方向とが逆であり、2つの逆方向の作用力が互いに相殺するため、移動部材241が移動せず、それにより、左前ダンパアセンブリ2のピストンロッド203及び左後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203の移動を抑制でき、ロールを抑制する役割を果たすことができる。
【0187】
車両の左前輪が石などの障害物に遭遇すると、左前輪が浮き上がって左前ダンパアセンブリ2の圧縮幅が左後ダンパアセンブリ2の圧縮幅よりも大きくなる場合、左前ダンパアセンブリ2から第1チャンバ243内に流入したオイルの量が左後ダンパアセンブリ2から第3チャンバ245内に流入したオイルの量よりも多くなるため、移動部材241が右へ移動して第3チャンバ245及び第4チャンバ246を押圧し、第3チャンバ245内のオイルが左後ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012内に流入してピストンロッド203を上へ移動させることができ、第4チャンバ246内のオイルが右前ダンパアセンブリ2の下チャンバ2012内に流入してピストンロッド203を上へ移動させることができ、それにより、左後輪及び右前輪が地面から離れる可能性を小さくし、車両の安定性を向上させる。
【0188】
勿論、理解できるように、上記いくつかの状況は、例示的な説明に過ぎず、車両が右前輪浮き上がり、左後輪浮き上がりなどの他のモードに遭遇する場合にも、オイルは、上記連動原理に従って流れて車両のロールを回避し、ここでは、各モードについて詳細に説明しない。
【0189】
第1高さ保持分岐路は、左前ダンパアセンブリ2のオイル通路204と右前ダンパアセンブリ2のオイル通路204にそれぞれ接続され、第1高さ保持分岐路には、それを導通又は遮断するための第1高さ制御弁6が設けられる。
【0190】
第2高さ保持分岐路は、左後ダンパアセンブリ2のオイル通路204と右後ダンパアセンブリ2のオイル通路204にそれぞれ接続され、第2高さ保持分岐路には、それを導通又は遮断するための第2高さ制御弁7が設けられる。
【0191】
具体的には、第1高さ制御弁6が開かれると、第1高さ保持分岐路は、導通され、第1高さ制御弁6が閉じられると、第1高さ保持分岐路は、遮断される。第2高さ制御弁7が開かれると、第2高さ保持分岐路は、導通され、第2高さ制御弁7が閉じられると、第2高さ保持分岐路は、遮断される。
【0192】
車体の高さを保持する必要がある場合、油圧サスペンションシステム1000は、高さ保持モードに切り替えることができ、第1高さ制御弁6と第2高さ制御弁7がいずれも開かれ、第1高さ保持分岐路と第2高さ保持分岐路が導通され、左前ダンパアセンブリ2のオイル通路204と右前ダンパアセンブリ2のオイル通路204とが連通し、左後ダンパアセンブリ2のオイル通路204と左後ダンパアセンブリ2のオイル通路204とが連通する。即ち、左前ダンパアセンブリ2のピストンロッド203と右前ダンパアセンブリ2のピストンロッド203とが連動状態にあり、左後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203と左後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203とが連動状態にあり、それにより、車体が現在の高さをできるだけ保持することができる。
【実施例9】
【0193】
図21に示すように、当該実施例では、実施例8に比べて、本願の実施例に係る油圧サスペンションシステム1000に第2制御弁12が設けられず、油圧サスペンションシステム1000は、中央アキュムレータ13を含む。
【0194】
なお、当該実施例では、増圧モードでは、タンク1内のオイルは、中央アキュムレータ13及び第2アキュムレータ10に流れてアキュムレートする。
【0195】
本実施例の油圧サスペンションシステム1000が有するモードは、実施例8におけるモードと同じであり、ここでは説明しない。
【0196】
なお、上記9つの実施例は、例示的な説明に過ぎず、各実施例では油圧サスペンションシステム1000が有するモードを網羅的に説明せず、上記9つの実施例は、いずれもリフトモード、高さ低減モード、減衰調整などを有し、ここでは各実施例では説明を省略する。
【0197】
本願の実施例に係る車両は、本願の上記いずれかの実施例に記載の油圧サスペンションシステム1000を含む。
【0198】
本願の実施例に係る車両は、道路状況などに応じて車体の高さを調整することができ、例えば、険しい山道を走行する場合、リフトモードに入り、車両の重心を高め、車両走行の安定性を向上させることができる。車体による走行速度への影響を低減する必要がある場合、高さ低減モードに入り、車両の重心を下げることができる。勿論、理解できるように、上記は、例示的な説明に過ぎず、走行中の実際の必要に応じて車体の高さを調整してもよい。
【0199】
本願の実施例に係る車両は、車体の高さを調整することができ、車両の快適性を損なうことなく、車両の操作安定性を向上させ、車両の快適性と操縦安定性との間の矛盾を効果的に解決することができる。また、中空のピストンロッド203を用いると、重量を軽減することができるだけでなく、中空のピストンロッド203によって画定されたオイル通路204を利用してオイルの流入又は流出を実現してピストンロッド203の位置を調整することもでき、調整方式が簡単で、信頼性が高く、コストが低く、応答速度が速い。また、ピストンロッド203には下チャンバ2012に連通するオイル通路204が設けられ、オイル通路204がリザーバに接続されるようにすることにより、オイル回路の接続を安定させ、接続箇所での振動による摩耗などの状況を回避し、接続箇所にオイル漏れ現象が発生することをできるだけ回避することができる。
【0200】
本願の実施例に係る車両のブレーキシステムなどの他の構成及び操作は、当業者にとって既知であり、ここで詳細に説明しない。
【0201】
なお、本願の説明では、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などで示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本願を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は部品が特定の方位を有するとともに、特定の方位で構成されて動作しなければならないことを示すか又は示唆するものではないため、本願を限定するものであると理解すべきではない。
【0202】
また、用語「第1」、「第2」は、説明のためのものに過ぎず、相対的な重要性を示すか又は示唆し、或いは示された技術的特徴の数を暗示的に示すものであると理解すべきではない。これにより、「第1」、「第2」で限定された特徴は、1つ以上の当該特徴を明示的又は暗示的に含んでもよい。本願の説明では、「複数」とは、明確かつ具体的な限定がない限り、2つ以上を意味する。
【0203】
本願において、別に明確な規定及び限定がない限り、用語「取付」、「連結」、「接続」、「固定」などは、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続、着脱可能な接続、一体的な接続であってもよく、機械的な接続であっても、電気的な接続であってもよく、直接的な連結であっても、中間媒体を介した間接的な連結であってもよく、2つの部品の内部の連通又は2つの部品の相互作用の関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0204】
本願において、別に明確な規定及び限定がない限り、第1特徴が第2特徴の「上」又は「下」にあることは、第1特徴と第2特徴とが直接的に接触することを含んでもよく、第1特徴と第2特徴とが中間媒体を介して間接的に接触することを含んでもよい。また、第1特徴が第2特徴の「上」、「上方」又は「上面」にあることは、第1特徴が第2特徴の真上及び斜め上にあることを含んでもよく、第1特徴の水平高さが第2特徴より高いことだけを表してもよい。第1特徴が第2特徴の「下」、「下方」又は「下面」にあることは、第1特徴が第2特徴の真下及び斜め下にあることを含んでもよく、第1特徴の水平高さが第2特徴より低いことだけを表してもよい。
【0205】
本明細書の説明では、用語「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体的な例」又は「いくつかの例」などを参照する説明は、当該実施例又は例を組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本願の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書では、上記用語の例示的な表現は、必ずしも同一の実施例又は例に限定されるものではない。また、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、任意の1つ以上の実施例又は例において適切に組み合わせることができる。また、互いに矛盾しない場合、当業者であれば、本明細書で説明された異なる実施例又は例、及び異なる実施例又は例の特徴を結合するか又は組み合わせることができる。
【0206】
以上、本願の実施例が示され、説明されるが、理解できるように、上記実施例は、例示的なものであり、本願を限定するものとして理解すべきではなく、当業者であれば、本願の範囲で上記実施例に対して変更、修正、交換及び変形を行うことができる。
【符号の説明】
【0207】
1000 油圧サスペンションシステム
1 タンク
2 ダンパアセンブリ
200 ダンパ
201 ダンパハウジング
2011 上チャンバ
2012 下チャンバ
202 ピストン
203 ピストンロッド
204 オイル通路
205 制振スプリング
3 第1制御弁
6 第1高さ制御弁
7 第2高さ制御弁
8 開度調整弁
9 第1アキュムレータ
10 第2アキュムレータ
101 金属ベローズ
11 剛性調整弁
12 第2制御弁
13 中央アキュムレータ
32 中央蓄圧調整弁
14 第1調整アキュムレータ
15 第2調整アキュムレータ
16 第3調整アキュムレータ
17 第4調整アキュムレータ
18 第1調整弁
19 第2調整弁
20 第3調整弁
21 第4調整弁
22 第1開閉弁
23 第2開閉弁
24 中央制御シリンダ
240 第2シリンダ
241 移動部材
2410 移動本体部
2411 中間接触部
243 第1チャンバ
244 第2チャンバ
245 第3チャンバ
246 第4チャンバ
247 第1リターンスプリング
248 第2リターンスプリング
249 ガイドアセンブリ
2490 第1ガイド部材
2491 第2ガイド部材
26 制御ポンプ
260 制御弁体
261 駆動モータ
27 オイル戻し弁
28 逆止弁
29 圧力安定化アキュムレータ
30 減圧アキュムレータ
31 リリーフ弁
33 共通通路
34 オイル吐出分岐路
35 オイル戻し分岐路
【手続補正書】
【提出日】2024-05-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車体の高さを調整するための油圧サスペンション装置であって、
リザーバと、ダンパと、を含み、
前記リザーバは、車体に設けられ、オイルを貯蔵するように構成され、
前記ダンパは、ダンパハウジング、ピストン及びピストンロッドを有し、前記ダンパハウジングは、車軸に接続されるように構成され、前記ピストンは、前記ダンパハウジング内に位置し、かつ前記ダンパハウジングと協働して上チャンバ及び下チャンバを画定し、前記ピストンロッドの一端は、前記ピストンに接続され、前記ピストンロッドは、車体に接続されるように構成され、前記ピストンロッド内にオイル通路が設けられ、前記オイル通路は、前記下チャンバと前記リザーバに連通することにより、オイルが前記リザーバと前記下チャンバとの間を流れることができる、油圧サスペンション装置。
【請求項2】
前記リザーバは、制御ポンプと、タンクと、を含み、前記制御ポンプは、前記タンクと前記オイル通路との間に設けられる、請求項1に記載の油圧サスペンション装置。
【請求項3】
前記ピストンロッドの上端は、前記ダンパハウジングから延出し、前記ピストンロッドの上端には、前記オイル通路と前記リザーバとを連通するオイルポートが形成される、請求項
1に記載の油圧サスペンション装置。
【請求項4】
オイル吐出通路と、オイル戻し通路と、を更に含み、前記オイル吐出通路と前記オイル戻し通路とは、いずれも前記タンクと前記オイル通路との間に連通し、かつ部分的に重なり、前記制御ポンプは、前記オイル吐出通路に設けられる、請求項2に記載の油圧サスペンション装置。
【請求項5】
前記オイル吐出通路は、共通通路と、オイル吐出分岐路と、を含み、前記オイル戻し通路は、前記共通通路と、オイル戻し分岐路と、を含み、前記共通通路の一端は、前記オイル通路に連通し、前記オイル吐出分岐路及び前記オイル戻し分岐路は、いずれも前記共通通路の他端に接続される、請求項4に記載の油圧サスペンション装置。
【請求項6】
前記オイル吐出分岐路に逆止弁及び前記制御ポンプが設けられ、前記逆止弁は、一端が前記共通通路に連通し、他端が前記制御ポンプに連通し、前記オイル戻し分岐路にオイル戻し弁が設けられる、請求項5に記載の油圧サスペンション装置。
【請求項7】
アキュムレータモジュールを更に含み、前記オイル通路は、接続通路を介して前記リザーバに連通し、前記アキュムレータモジュールは、前記接続通路に連通し、少なくとも前記ダンパの減衰及び剛性と車両の車体の高さとのうちの少なくとも1つを調整するように構成される、請求項
1に記載の油圧サスペンション装置。
【請求項8】
第1制御弁を更に含み、前記第1制御弁は、前記接続通路に設けられ、前記リザーバと前記アキュムレータモジュールとの連通又は遮断を制御する、請求項7に記載の油圧サスペンション装置。
【請求項9】
前記アキュムレータモジュールは、第1アキュムレータと、開度調整弁と、を含み、前記第1アキュムレータは、第1接続点で前記接続通路に連通し、前記開度調整弁は、前記第1接続点と前記オイル通路との間に設けられ、前記開度調整弁は、前記オイル通路と前記第1接続点との間の接続通路の開度を調整して前記ダンパの減衰を調整し、更に、前記オイル通路と前記第1接続点との間の接続通路を閉じて前記ダンパの剛性を調整する、請求項
7に記載の油圧サスペンション装置。
【請求項10】
前記アキュムレータモジュールは、第2アキュムレータと、剛性調整弁と、を更に含み、前記接続通路には、前記第2アキュムレータに連通する第2接続点が設けられ、前記剛性調整弁は、前記第2アキュムレータと前記第2接続点との間に設けられ、前記接続通路と前記第2アキュムレータとを連通又は遮断して前記ダンパの剛性を調整する、請求項
7に記載の油圧サスペンション装置。
【請求項11】
前記第2接続点と前記オイル通路との間に第2制御弁が更に設けられる、請求項10に記載の油圧サスペンション装置。
【請求項12】
前記アキュムレータモジュールは、第1アキュムレータと、第2アキュムレータと、を更に含み、前記第1アキュムレータは、第1接続点で前記接続通路に連通し、前記接続通路には、前記第2アキュムレータに連通する第2接続点が設けられる、請求項
7に記載の油圧サスペンション装置。
【請求項13】
前記第1接続点は、前記オイル通路と前記第2接続点との間に位置する、請求項12に記載の油圧サスペンション装置。
【請求項14】
前記第1接続点と前記第2接続点との間に第2制御弁が設けられる、請求項1
2に記載の油圧サスペンション装置。
【請求項15】
コントローラと、請求項1~14のいずれか一項に記載の油圧サスペンション装置と、を含み、前記コントローラは、車両の状況に応じて、前記リザーバと前記ダンパとの間のオイルの流れ方向を制御して、車両の車体の高さを増加させるか又は低減する、油圧サスペンションシステム。
【請求項16】
請求項15に記載の油圧サスペンションシステムを含む、車両。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0073】
車体の高さを保持する必要がある場合、油圧サスペンションシステム1000は、高さ保持モードに切り替えることができ、第1高さ制御弁6と第2高さ制御弁7がいずれも開かれ、第1高さ保持分岐路と第2高さ保持分岐路が導通され、左前ダンパアセンブリ2のオイル通路204と右前ダンパアセンブリ2のオイル通路204とが連通し、左後ダンパアセンブリ2のオイル通路204と右後ダンパアセンブリ2のオイル通路204とが連通する。即ち、左前ダンパアセンブリ2のピストンロッド203と右前ダンパアセンブリ2のピストンロッド203とが連動状態にあり、左後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203と右後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203とが連動状態にあり、それにより、車体が現在の高さをできるだけ保持することができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0094
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0094】
これから分かるように、第3回路及び第4回路を形成することで、右前ダンパアセンブリ2、右後ダンパアセンブリ2、左前ダンパアセンブリ2及び左後ダンパアセンブリ2の連動調整を実現することができ、更にアンチピッチングモーメントを提供して車両がピッチングし続けることを防止できることを保証する。第3調整弁20及び第4調整弁21の開閉状態を制御することで、油圧サスペンションシステム1000の剛性を調整することができ、例えば、第3調整弁20及び第4調整弁21を閉じると、油圧サスペンションシステム1000の剛性を向上させることができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0192
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0192】
車体の高さを保持する必要がある場合、油圧サスペンションシステム1000は、高さ保持モードに切り替えることができ、第1高さ制御弁6と第2高さ制御弁7がいずれも開かれ、第1高さ保持分岐路と第2高さ保持分岐路が導通され、左前ダンパアセンブリ2のオイル通路204と右前ダンパアセンブリ2のオイル通路204とが連通し、左後ダンパアセンブリ2のオイル通路204と右後ダンパアセンブリ2のオイル通路204とが連通する。即ち、左前ダンパアセンブリ2のピストンロッド203と右前ダンパアセンブリ2のピストンロッド203とが連動状態にあり、左後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203と右後ダンパアセンブリ2のピストンロッド203とが連動状態にあり、それにより、車体が現在の高さをできるだけ保持することができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0196
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0196】
なお、上記9つの実施例は、例示的な説明に過ぎず、各実施例では油圧サスペンションシステム1000が有するモードを網羅的に説明せず、上記9つの実施例は、いずれもリフトモード、高さ低減モード、減衰調整モードなどを有し、ここでは各実施例では説明を省略する。
【国際調査報告】