(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】コンタクタデバイス及びエネルギー貯蔵システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20241031BHJP
H01H 39/00 20060101ALI20241031BHJP
H01H 3/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H02J7/00 K
H02J7/00 301C
H02J7/00 H
H01H39/00 C
H01H3/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518539
(86)(22)【出願日】2023-06-01
(85)【翻訳文提出日】2024-05-15
(86)【国際出願番号】 EP2023064659
(87)【国際公開番号】W WO2023232930
(87)【国際公開日】2023-12-07
(32)【優先日】2022-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521023849
【氏名又は名称】ミューニック エレクトリフィケイション ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Munich Electrification GmbH
【住所又は居所原語表記】Landaubogen 1, 81373 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゲーデ ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ラハナー フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】クレッペ セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】バーグマイヤー ハイコ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルリング トビアス
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA03
5G503BA04
5G503BA05
5G503BB01
5G503DA07
5G503FA02
5G503FA06
(57)【要約】
本発明は、高電圧エネルギー貯蔵システム(10)の少なくとも2つのバッテリモジュール(502(1)、502(2))の接続状態を、直列接続と並列接続との間で変化させることができるコンタクタデバイス(100)、及びそのコンタクタデバイス(100)を含むエネルギー貯蔵システム(10)に関する。コンタクタデバイス(100)は、負荷及びチャージャのうちの少なくとも1つを電気接続するための2つの第一端子(102、104)、第一バッテリモジュール(502(1))を電気接続するための2つの第二端子(106、108)、ならびに第二バッテリモジュール(502(2))を電気接続するための2つの第三端子(110、112)を含む。コンタクタデバイス(100)は、2つの第一ブスバー(128、129)であって、それぞれが第一端子(102、104)のうちの1つに電気接続される、2つの第一ブスバーと、2つの第二ブスバー(138、139;238、239)であって、第二ブスバーのうちの1つ(138;238)は第二端子のうちの1つ(106)に電気接続され、第二ブスバーのうちのもう1つ(139;239)は第三端子のうちの1つ(112)に電気接続される、2つの第二ブスバーと、2つの第一ブスバー(128、129)から電気絶縁される接続ブスバー(144)と、をさらに含む。少なくとも1つの作動要素は、少なくとも、2つの第二ブスバー(138、139;238、239)が接続ブスバー(144)に導電結合される、直列接続状態との間で、また第二ブスバーのうちの1つ(138;238)が第一ブスバーのうちの1つ(128)に導電結合され、第二ブスバーのうちのもう1つ(139;239)が第一ブスバーのうちのもう1つ(129)に導電結合される、並列接続状態との間で、コンタクタデバイス(100)の状態を変化させるように構成される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷及びチャージャのうちの少なくとも1つを電気接続するための2つの第一端子(102、104)と、
第一バッテリモジュール(502(1))を電気接続するための2つの第二端子(106、108)と、
第二バッテリモジュール(502(2))を電気接続するための2つの第三端子(110、112)と、
2つの第一ブスバー(128、129)であって、それぞれが前記第一端子(102、104)のうちの1つに電気接続される、2つの第一ブスバーと、
2つの第二ブスバー(138、139;238、239)であって、前記第二ブスバーのうちの1つ(138;238)は前記第二端子のうちの1つ(106)に電気接続され、前記第二ブスバーのうちのもう1つ(139;239)は前記第三端子のうちの1つ(112)に電気接続される、2つの第二ブスバーと、
前記2つの第一ブスバー(128、129)から電気絶縁される、接続ブスバー(144)と、
少なくとも、前記2つの第二ブスバー(138、139;238、239)が前記接続ブスバー(144)に導電結合される、直列接続状態との間で、また前記第二ブスバーのうちの1つ(138;238)が前記第一ブスバーのうちの1つ(128)に導電結合され、前記第二ブスバーのうちのもう1つ(139;239)が前記第一ブスバーのうちのもう1つ(129)に導電結合される、並列接続状態との間で、コンタクタデバイス(100)の状態を変化させるように構成される、少なくとも1つの作動要素と、を含む、コンタクタデバイス(100)。
【請求項2】
前記第二ブスバー(138、139)のそれぞれは可撓性接点領域(142、143)を含み、前記可撓性接点領域は、前記第二ブスバー(138、139)のそれぞれが前記接続ブスバー(144)に導電結合される第一位置と、前記第二ブスバー(138、139)のそれぞれが前記第一ブスバー(128、129)のうちの1つに導電結合される第二位置との間で弾性的に撓むことができる、請求項1に記載のコンタクタデバイス(100)。
【請求項3】
2つの二次接続ブスバー(258、260)をさらに含み、前記2つの二次接続ブスバーのそれぞれは、前記コンタクタデバイス(100)の前記並列接続状態では、前記第二ブスバー(238、239)のうちの1つをそれぞれ前記第一ブスバー(128、129)のうちの1つに導電結合するように構成される、請求項1または2に記載のコンタクタデバイス(100)。
【請求項4】
前記接続ブスバー(144)及び前記二次接続ブスバー(258、260)は、接続フレーム(254)に取り付けられ、前記少なくとも1つの作動要素は、前記接続フレーム(254)を移動させて、前記コンタクタデバイス(100)の前記状態を、前記直列接続状態との間で、また前記並列接続状態との間で変化させるように構成される、請求項3に記載のコンタクタデバイス(100)。
【請求項5】
前記第二ブスバー(138、139;238、239)のそれぞれは、前記第二ブスバー(138、139;238、239)の異なる側に配置された複数の接点要素(148、152、248、252)を含み、前記第二ブスバー(138、139;238、239)のそれぞれは、前記第一ブスバーのうちの1つ(128、129)に導電結合するための接点側とは異なる、前記第二ブスバー(138、139;238、239)の接点側で前記接続ブスバー(144)に導電結合されるように構成される、請求項1から4のいずれか1項に記載のコンタクタデバイス(100)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの作動要素は、前記コンタクタデバイス(100)の前記状態を、前記直列接続状態との間で、また前記並列接続状態との間で変化させるために専用アクチュエータ(372、472)を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載のコンタクタデバイス(100)。
【請求項7】
2つの第三ブスバー(126、127)をさらに含み、前記第三ブスバーのうちの1つ(126)は、前記第二端子のうちのもう1つ(110)に電気接続され、前記第三ブスバーのうちのもう1つ(127)は前記第三端子のうちのもう1つ(108)に電気接続され、
前記少なくとも1つの作動要素は、前記コンタクタデバイス(100)の状態を、前記第三ブスバー(126、127)のそれぞれが前記第一ブスバー(128、129)のうちの1つにそれぞれ導電結合される閉状態との間で、また前記2つの第三ブスバー(126、127)及び前記2つの第二ブスバー(138、139;238、239)が前記2つの第一ブスバーから電気絶縁される開状態との間で変化させるように構成される、請求項1から6のいずれか1項に記載のコンタクタデバイス(100)。
【請求項8】
前記第三ブスバー(126、127)のそれぞれは可撓性接点領域(132、133)を含み、前記可撓性接点領域は、前記第三ブスバー(126、127)のそれぞれが前記2つの第一ブスバー(128、129)から電気絶縁される開位置と、前記2つの第三ブスバー(126、127)のそれぞれが前記第一ブスバー(128、129)のうちの1つにそれぞれ導電結合される閉位置との間で、弾性的に撓むことができる、請求項7に記載のコンタクタデバイス(100)。
【請求項9】
前記コンタクタデバイスは、前記少なくとも1つの作動要素に電力が供給されていない場合に前記開状態にある、請求項7または8に記載のコンタクタデバイス(100)。
【請求項10】
前記コンタクタデバイスの状態は、前記少なくとも1つの作動要素に電力が供給されている場合にのみ変化する、請求項1から8のいずれか1項に記載のコンタクタデバイス(100)。
【請求項11】
少なくとも1つの火工品アクチュエータ(280、380)をさらに含み、前記少なくとも1つの火工品アクチュエータは、作動時に、前記第一ブスバー(128、129)のそれぞれを通る電流の流れを不可逆的に防止するように構成される、請求項1から10のいずれか1項に記載のコンタクタデバイス(100)。
【請求項12】
少なくとも1つの火工品アクチュエータ(280、380)をさらに含み、前記少なくとも1つの火工品アクチュエータは、作動時に、前記2つの第一ブスバー(128、129)を着火後位置に移動させるように構成され、前記着火後位置では、前記2つの第一ブスバー(128、129)のそれぞれは不可逆的に変位する、または切断される、請求項7から11のいずれか1項に記載のコンタクタデバイス(100)。
【請求項13】
少なくとも1つの火工品アクチュエータ(280)をさらに含み、前記少なくとも1つの火工品アクチュエータは、作動時に、少なくとも1つの絶縁要素を着火後位置に不可逆的に駆動するように構成され、前記着火後位置では、前記絶縁要素は前記2つの第三ブスバー(126、127)及び前記2つの第一ブスバー(128、129)を互いから電気絶縁する、請求項7から11のいずれか1項に記載のコンタクタデバイス(100)。
【請求項14】
前記絶縁要素は少なくとも2つの絶縁キャップ(494)を含み、前記着火後位置では、前記少なくとも2つの絶縁キャップ(494)のそれぞれは、前記第一ブスバー(128、129)のうちのそれぞれの1つの接点領域を完全に取り囲む、請求項13に記載のコンタクタデバイス(100)。
【請求項15】
少なくとも第一バッテリモジュール(502(1))及び第二バッテリモジュール(502(2))から形成されたバッテリ(500)と、
請求項1から14のいずれか1項に記載のコンタクタデバイス(100)と、
を含む、エネルギー貯蔵システム(10)であって、
前記第一バッテリモジュール(502(1))は前記コンタクタデバイス(100)の前記2つの第二端子(106、108)に電気接続され、前記第二バッテリモジュール(502(2))は前記コンタクタデバイスの前記第三端子(110、112)に電気接続される、エネルギー貯蔵システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高電圧エネルギー貯蔵システムの少なくとも2つのバッテリモジュールの接続状態を、直列接続と並列接続との間で変化させることができるコンタクタデバイス、及びそのコンタクタデバイスを含むエネルギー貯蔵システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギー貯蔵システム内の電子回路を接続及び切断するためのコンタクタデバイスの使用は、知られている最新技術である。電気自動車(EV)またはハイブリッド電気自動車(HEV)の高度な開発に伴い、高電圧エネルギー貯蔵システムが車両でますます一般的になっている。現在、このような高電圧システムは一般的に400Vから1kVの範囲の電圧を供給でき、将来の用途ではより高い電圧を供給できる可能性さえあって、これらの高電圧エネルギー貯蔵システムは、従来のパワートレインよりも大きな感電事故の危険をもたらす。したがって、安全上の問題の防止と過電流保護は、これらのシステムにとって最も重要である。例えば、高電圧エネルギー貯蔵システムの誤動作や、エネルギー貯蔵システムの電子回路に影響を与える車両の事故が発生した場合に、車両の乗員、ロードサイドアシスタンス、保守作業員の安全を確保することが重要である。
【0003】
したがって、特にエネルギー貯蔵システムが車両を駆動するためのエネルギーを貯蔵するために使用される場合、エネルギー貯蔵システム内の電流の流れを制御するために使用されるコンタクタデバイスに対する安全要件が高まっている。
【0004】
従来のコンタクタデバイスは、通常は少なくとも1つの可動接点を動かすことによって、コンタクタデバイスを通して電流が流れることが可能である閉状態と、コンタクタデバイスを通して電流が流れることが防止される開状態との間で状態を可逆的に変化させることができる。さらに、パイロヒューズのような過電流保護デバイスを使用し得ることにより、例えばエネルギー貯蔵システムの電子回路で発生する過電流もしくは不具合のため、高電圧エネルギー貯蔵システムでの動作条件が安全でなくなる場合、またはエネルギー貯蔵システムに貯蔵されたエネルギーによって駆動される車両が事故に遭った場合、過電流保護デバイスが作動すると、高電圧エネルギー貯蔵システムでの電圧供給を不可逆的に遮断することが可能になる。
【0005】
しかしながら、エネルギー貯蔵システムが使用される用途によっては、開状態または閉状態の間だけでなくコンタクタデバイスを切り替えることが望ましい場合もある。例えば、コンタクタデバイスは、EVまたはHEV車両の駆動用バッテリである高電圧バッテリに電気接続されてもよい。駆動状態中のEVまたはHEV車両のモータに400Vから少なくとも1kVの間の範囲内の高電圧を供給するために、複数のバッテリモジュール(またはバッテリパック)を電気接続して、高電圧電池を形成することで、モジュール電圧の合計として所定の高電圧を供給する。しかし、この方法ではバッテリ電圧をますます高めることができることから、すべてのチャージャまたは充電ステーションがそれらのような高電圧バッテリを所定の高電圧で充電できるわけではなく、所定の高電圧を下回る電圧レベルでのみ電圧を供給することがあるため、高電圧バッテリを適切に充電することが困難になる。
【0006】
従って、例えば駆動状態中、高電圧バッテリが複数のバッテリモジュールの電圧の総和を供給することができるように、複数のバッテリモジュールを直列に接続する直列接続状態と、複数のバッテリモジュールの少なくともいくつかを並列に接続することにより、所定の高電圧を下回る電圧レベルで高電圧バッテリを充電することが可能になる並列配置との間でバッテリ配置を切り替えることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、高電圧バッテリの接続状態を変化させる可能性を与えるコンタクタデバイスを提供することである。さらに、本発明の目的は、単純で経済的な解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、独立請求項の主題によって解決される。本開示の有利な態様は、従属請求項の主題である。
【0009】
特に、本開示はコンタクタデバイスを提供し、このコンタクタデバイスは、負荷及びチャージャのうちの少なくとも1つを電気接続するための2つの第一端子、第一バッテリモジュールを電気接続するための2つの第二端子、ならびに第二バッテリモジュールを電気接続するための2つの第三端子を含む。さらにコンタクタデバイスは、2つの第一ブスバーであって、それぞれが第一端子のうちの1つに電気接続される、2つの第一ブスバーと、2つの第二ブスバーであって、第二ブスバーのうちの1つが第二端子のうちの1つに電気接続され、第二ブスバーのうちのもう1つが第三端子のうちの1つに電気接続される、2つの第二ブスバーと、2つの第一ブスバーから電気絶縁される接続ブスバーと、少なくとも、2つの第二ブスバーが接続ブスバーに導電結合される、直列接続状態との間で、また第二ブスバーのうちの1つが第一ブスバーのうちの1つに導電結合され、第二ブスバーのうちのもう1つが第一ブスバーのうちのもう1つに導電結合される、並列接続状態との間でコンタクタデバイスの状態を変化させるように構成される、少なくとも1つの作動要素と、をさらに含む。
【0010】
コンタクタデバイスは、第二セットのブスバーとして第二ブスバー及び接続ブスバーを設けることにより、接続されたバッテリモジュールの配置を、第二セットのブスバーが接続ブスバーに電気接続されることから、バッテリモジュールの反対の電位の端子が直列で電気接続される状態と、第二ブスバーのそれぞれが第一ブスバーのそれぞれの1つに電気接続されることができることから、バッテリモジュールの同じ電位の端子が並列で電気接続される、並列接続状態との間で切り替えることが可能になる。従って、コンタクタデバイスは、コンタクタデバイスに接続されたバッテリの全電圧がコネクタデバイスの2つの第一ブスバーの間に印加される、直列接続状態と、バッテリを形成するバッテリモジュールのモジュール電圧に対応する電圧がコネクタデバイスの2つの第一ブスバーの間に印加される、並列接続状態との間で単純化された方法で切り替えることを可能にする。
【0011】
このように、本開示によるコンタクタデバイスは、直列接続状態では、例えば電気自動車の電動機に、所定の高電圧を供給することを可能にし、並列接続状態では、所定の高電圧を下回る電圧レベルでバッテリのバッテリモジュールを充電することを可能にする。これにより、その単純な構成のため、本開示のコンタクタデバイスは、バッテリモジュールの直列接続と並列接続との間で変化させるために、バッテリモジュール間に複雑な切り替え構造を設ける必要をなくすことを可能にする。
【0012】
有利な例によれば、第二ブスバーのそれぞれは、第二ブスバーのそれぞれが接続ブスバーに導電結合される第一位置と、第二ブスバーのそれぞれが第一ブスバーの1つに導電結合される第二位置との間で弾性的に撓むことができる可撓性接点領域を含む。このように、第二ブスバー全体を動かすことを必要としないことから、コンタクタデバイスの状態を変化させるために少なくとも1つの作動要素によって与えられる移行力を効果的に伝達することができる。しかしながら、代替例のように、第二ブスバーは全体として第一位置と第二位置との間で移動し得る。
【0013】
別の有利な例では、コンタクタデバイスは、2つの二次接続ブスバーをさらに含み得、2つの二次接続ブスバーのそれぞれは、第二ブスバーのうちの1つを第一ブスバーのそれぞれの1つにコンタクタデバイスの並列接続状態で導電結合するように構成される。このように、コンタクタデバイスは、直列接続状態と並列接続状態との間でコンタクタデバイスの状態を変化させることを可能にする固定ブスバーのみを含み得る。
【0014】
コンタクタデバイスの状態を変化させるときに効果的な力の伝達を可能にするために、接続ブスバー及び二次接続ブスバーは、好ましくは接続フレームに取り付けられ、少なくとも1つの作動要素は、接続フレームを移動させて、コンタクタデバイスの状態を直列接続状態との間で、また並列接続状態との間で変化させるように構成される。さらに、この場合、接続ブスバー及び/または二次接続ブスバーは、任意選択で、少なくとも1つのアクチュエータ要素がコンタクタデバイスの状態を変化させるときに、接続フレームを移動させることに加えて移動することができる可撓性接点領域を有し得る。
【0015】
直列接続状態及び並列接続状態における接点抵抗を低減させるために、第二ブスバーのそれぞれは、好ましくは、第二ブスバーの異なる側に配置された複数の接点要素を含み、第二ブスバーのそれぞれは、好ましくは、第一ブスバーのうちの1つに導電結合するための接点側とは異なる第二ブスバーの接点側で接続ブスバーに導電結合されるように構成される。例えば、接続ブスバーに接触する第二ブスバーの接点側は、第一ブスバーのうちの1つに接触するための接点側に対向する第二ブスバー上に配置されてもよい。換言すれば、接続ブスバーは両側シルバーボタン付きブスバーセットから形成されてもよく、シルバーボタンは直列接続状態及び並列接続状態における接点抵抗を低減させることを可能にする。
【0016】
別の有利な例では、少なくとも1つの作動要素は、コンタクタデバイスの状態を、直列接続状態との間で、また並列接続状態との間で変化させるために専用アクチュエータを含む。このように、直列接続状態と並列接続状態との間でコンタクタデバイスの状態を変化させる場合、効率的な力の移行を提供するために専用アクチュエータを最適化することが可能である。
【0017】
別の有利な例では、さらにコンタクタデバイスは、2つの第三ブスバーを含むことができ、第三ブスバーのうちの1つは第二端子のうちのもう1つに電気接続され、第三ブスバーのうちのもう1つは第三端子のうちのもう1つに電気接続され、少なくとも1つの作動要素は、第三ブスバーのそれぞれが第一ブスバーのそれぞれの1つに導電結合される、閉状態との間で、また2つの第三ブスバー及び2つの第二ブスバーが2つの第一ブスバーから電気絶縁される、開状態との間でコンタクタデバイスの状態を変化させるように構成される。このように、コンタクタデバイスは、開状態ではコンタクタデバイスを通る電流の流れを防止することも可能にする。したがって、この例では、本開示のコンタクタデバイスは、2つの第一接点間に少なくとも3つの電圧レベルの電圧、すなわち、開状態ではゼロ電圧と、直列接続状態(及び閉状態)ではフルバッテリ電圧と、並列接続状態(及び閉状態)ではバッテリを形成するバッテリモジュールのモジュール電圧に相当する電圧とを印加することを可能にする。
【0018】
別の有利な例によれば、第三ブスバーのそれぞれは、第三ブスバーのそれぞれが2つの第一ブスバーから電気絶縁される開位置と、2つの第三ブスバーのそれぞれが第一ブスバーのそれぞれの1つに導電結合される閉位置との間で、弾性的に撓むことができる、可撓性接点領域を含み得る。このように、第二ブスバー全体を動かすことを必要としないことから、開状態から閉状態にコンタクタデバイスの状態を変化させるために少なくとも1つの作動要素によって与えられる移行力を効果的に伝達することができる。代替の例では、第三ブスバーは全体として開位置と閉位置との間で移動してもよい。
【0019】
コンタクタデバイスに電力が供給されていない場合、コンタクタデバイスを通して電流が流れることを防止するために、少なくとも1つの作動要素に電力が供給されていない場合、コンタクタデバイスは開状態であってもよい。例えば、これは、少なくとも1つの電磁アクチュエータを使用してコンタクタデバイスの状態を開状態から閉状態に変化させることによって実現されることができる。同じまたは異なる電磁アクチュエータを使用して、コンタクタデバイスの状態を直列接続状態との間で、また並列接続状態との間で変化させることもできる。
【0020】
別の有利な例では、コンタクタデバイスの状態は、少なくとも1つの作動要素に電力が供給される場合にのみ変化し得る。このように、コンタクタデバイスは双安定状態を提供することを可能にし、例えばシングルポイントフォールト、別の損傷イベント、または通信エラーに起因する、少なくとも1つの作動要素への電力の突然の損失が起こるが、コンタクタデバイスがその前の状態に留まる場合、コンタクタデバイスの状態は変化しない。例えば、これは、電力が供給されていない場合にその位置に留まるリニアモータアクチュエータを、コンタクタデバイスの状態を開状態から閉状態に変化させるための作動要素として使用することによって実現されることができる。同じまたは第二リニアモータアクチュエータは、コンタクタデバイスの状態を直列接続状態との間で、また並列接続状態との間で変化させるために使用されてもよい。
【0021】
別の有利な例では、コンタクタデバイスは、少なくとも1つの火工品アクチュエータを任意選択で含み、少なくとも1つの火工品アクチュエータは、作動時に、第一ブスバーのそれぞれを通る電流の流れを不可逆的に防止するように構成される。したがって、火工品アクチュエータは、例えば、エネルギー貯蔵システム内の過電流、またはエネルギー貯蔵システムの別の不具合の場合に作動することができ、その後、数ミリ秒の範囲内の反応時間以内にコンタクタデバイスを通る電流を遮断し得るため、コンタクタデバイスは、過電流保護デバイスの機能をさらに統合することができる。
【0022】
好ましくは、少なくとも1つの火工品アクチュエータは、作動時に、2つの第一ブスバーを着火後位置に移動させるように構成され得、着火後位置では、2つの第一ブスバーのそれぞれは不可逆的に変位する、または切断される。この配置は、コンタクタデバイスの通常動作用に構成された少なくとも1つのアクチュエータ、及びコンタクタデバイスの安全動作用に構成された火工品アクチュエータが互いに独立して設計され、動作することができるという利点を有する。したがって、火工品アクチュエータによって力が発生して、完全に2つの第一ブスバーを変位させる、または切断するために使用されることができると、より大きな速度及び距離での接点分離が達成されることができる。さらに、両方の作動機構が同時に故障する機会が少なくなるので、コンタクタデバイスの動作信頼性を高めることができる。
【0023】
さらに、コンタクタデバイスは少なくとも1つのアーク抑制要素をさらに含み得、アーク抑制要素は、火工品アクチュエータを点火することによって2つの第一ブスバーが不可逆的に変位する、または切断される場合にアーク発生を制御することができる。アーク抑制要素は、例えば、アークスプリッタプレートのアレイまたはアークブローアウト磁石など、1つまたは複数の機械式デバイスを備えることができる。代替的または追加的に、アーク抑制要素は、アークを冷却するか、またはアークを空気と混合するガスを生成するために、火工品アクチュエータが作動されたときに点火されるガス発生器装薬を備えることもできる。
【0024】
別の有利な例では、少なくとも1つの火工品アクチュエータは、作動時に、少なくとも1つの絶縁要素を着火後位置に不可逆的に駆動するように構成され得、着火後位置では、絶縁要素は2つの第三ブスバー及び2つの第一ブスバーを互いから電気絶縁する。このように、絶縁要素は、2つの第三ブスバーと2つの第二ブスバーとの間で不可逆的に駆動されると、コンタクタデバイスを通る電流の流れを不可逆的に防止することができると同時に、アーク抑制要素として機能することができる。
【0025】
2つの第三ブスバー及び2つの第二ブスが分離される場合にアーク抑制を提供するために特に効果的な解決策を達成するために、絶縁要素は、例えば少なくとも2つの絶縁キャップを含み得、着火後位置では、少なくとも2つの絶縁キャップのそれぞれは、第一ブスバーのそれぞれの1つの接点領域を完全に取り囲む。
【0026】
また本発明は、少なくとも第一バッテリモジュール及び第二バッテリモジュールから形成されたバッテリ、ならびに本開示によるコンタクタデバイスを含むエネルギー貯蔵システムにも関し、第一バッテリモジュールはコンタクタデバイスの2つの第二端子に電気接続され、第二バッテリモジュールはコンタクタデバイスの第三端子に電気接続される。エネルギー貯蔵システムは、例えば、車両のモータに電力を供給するために車両に設けることができる。あるいは、エネルギー貯蔵システムは、例えば、再生可能エネルギーまたは従来の方法で生成されたエネルギーを貯蔵するために使用される固定型エネルギー貯蔵システムであってもよい。
【0027】
この文書全体を通じて、「端子」という用語は、電気機器、電気回路、または電気部品の導体が終端する点を表すことを意味するものであり、点は、この導体に外部電気機器、外部電気回路、または外部電気部品を電気接続するために設けられる。さらに、「電気接続された」及び「導電結合された」という用語は、電流の流れを可能にする、少なくとも2つの電気機器、電気部品、または導電体の間の電気接続の確立を表す。ここで、電気接続は、少なくとも2つの電気機器、電気部品、または導電体の端子の直接結合に限定されるべきではなく、他の電気機器、電気部品、または導電体が間に結合されてもよい。
【0028】
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、本開示のいくつかの例を示すために本明細書の一部を形成する。これらの図面は、説明とともに、本開示の原理を説明するのに役立つ。図面は、本開示がどのように作られ、使用され得るかの好ましい例及び代替例を説明することのみを目的としており、本開示を図示及び説明された例のみに限定するものと解釈されるべきではない。さらに、例のいくつかの態様は、個別にまたは異なる組み合わせで、本開示による解決策を形成することができる。したがって、以下に説明する例は、単独で、またはそれらの任意の組み合わせで考えることができる。さらなる特徴及び利点は、同様の参照符号が同様の要素を指す付属の図面において図示されるように、以下の本開示の様々な例のより具体的な説明から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】例示的な高電圧エネルギー貯蔵システムの概略回路図を示す。
【
図2】コンタクタデバイスの直列接続状態での例示的な第一接点配置の概略斜視図を示す。
【
図3】コンタクタデバイスの直列接続状態での例示的な第一接点配置の概略側面図を示す。
【
図4】コンタクタデバイスの並列接続状態での例示的な第一接点配置の概略斜視図を示す。
【
図5】コンタクタデバイスの並列接続状態での例示的な第一接点配置の概略側面図を示す。
【
図6】コンタクタデバイスの開状態での例示的な第一接点配置の概略斜視図を示す。
【
図7】コンタクタデバイスの開状態での例示的な第一接点配置の概略側面図を示す。
【
図8】コンタクタデバイスの直列接続状態での例示的な第二接点配置の概略斜視図を示す。
【
図9】コンタクタデバイスの直列接続状態での例示的な第二接点配置の概略断面図を示す。
【
図10】コンタクタデバイスの並列接続状態での例示的な第二接点配置の概略斜視図を示す。
【
図11】コンタクタデバイスの並列接続状態での例示的な第二接点配置の概略断面図を示す。
【
図12】コンタクタデバイスの開状態での例示的な第二接点配置の概略斜視図を示す。
【
図13】コンタクタデバイスの開状態での例示的な第二接点配置の概略断面図を示す。
【
図14】例示的な第二接点配置の別の概略斜視図を示す。
【
図15】例示的な第二接点配置の別の概略斜視図を示す。
【
図16】例示的な第二コンタクタデバイスの概略斜視図を示す。
【
図17】例示的な第二コンタクタデバイスの開位置での例示的な第二コンタクタデバイスの概略側面図を示す。
【
図18】例示的な第二コンタクタデバイスの閉位置での例示的な第二コンタクタデバイスの概略側面図を示す。
【
図20】例示的な作動要素の別の概略側面図を示す。
【
図21】例示的な第二コンタクタデバイスの概略上面図を示す。
【
図22】例示的な第二コンタクタデバイスの別の概略上面図を示す。
【
図24】例示的な絶縁要素の別の概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示は、ここで図面を参照し、最初に
図1を参照してさらに説明される。
図1は、本開示のアイデアから恩恵を受けることができる例示的な高電圧エネルギー貯蔵システム10の概略回路図を示す。以下に例示的に説明される用途のシナリオでは、エネルギー貯蔵システム10は、所定の高電圧で供給される、電動機などの電気負荷用の電源として電気自動車で使用され得る。しかし、エネルギー貯蔵システム10は、所定の高電圧を供給するためのバッテリを形成する、複数のバッテリモジュールでの高電圧エネルギーの貯蔵及び/または供給を必要とする、他の用途のシナリオでも使用されてよい。
【0031】
エネルギー貯蔵システム10は、コンタクタデバイス100、ならびに高電圧バッテリ500を形成する第一及び第二バッテリモジュール(またはバッテリパック)502(1)及び502(2)を含む。
図1に示される例の代わりに、バッテリ500を形成するバッテリモジュール502(1)及び502(2)の数は2つよりも多くてよいため、一般に、高電圧バッテリを形成するバッテリモジュール502の数はNであり、Nは2以上の自然数である。バッテリモジュール502(1)及び502(2)は、高電圧バッテリ500のサブユニットであるため、モジュール電圧を供給し、これらモジュール電圧は、その合計が所定の高電圧まで達すると、高電圧バッテリ500によって高電圧ブス105に出力されることができる。バッテリモジュール502のそれぞれによって供給されるモジュール電圧の値は、高電圧バッテリ500から出力された所定の高電圧値をNで除算することによって得られることができ、Nはバッテリモジュール502の数であり得る。例えば、バッテリ500が800Vの所定の高電圧値を出力し、N=2の場合、バッテリモジュール502は、(800V/2)=400Vのモジュール電圧を共有して出力する。より小さいスケールでは、バッテリモジュール502のそれぞれは、直列に電気接続された複数のバッテリセルを含む。ここで、バッテリセルは物理的なバッテリセルであってもよく、またはセルレベルで並列に電気接続された、いくつかの物理的なバッテリセルを含んでもよい。
【0032】
図1からわかるように、コンタクタデバイス100は、高電圧バッテリ500を高電圧ブス105に電気接続するように構成され、高電圧ブス105は、所定の高電圧を供給するために電気自動車の電動機に電気接続されてもよく、または高電圧バッテリ500を充電するために充電器に接続されてもよい。ここで、コンタクタデバイス100は、以下に説明されるように、コンタクタデバイスの状態に応じて、高電圧バッテリ500によって高電圧ブス105に印加される電圧を変化させることを可能にする。
【0033】
コンタクタデバイス100は、高電圧ブス105の高電位側(+)及び低電位側(-)を電気接続するための負荷側端子102及び104(「第一端子」とも表記され得る)を含む。
【0034】
さらに、コンタクタデバイス100は、それらのバッテリモジュール502の端子に電気接続されることができる端子108及び110を含み、これら端子108及び110は、高電圧バッテリ500のそれぞれ高電位側(+)及び低電位側(-)の端子に対応する。例えば
図1では、端子108は、高電圧バッテリ500の低電位側での端子504に電気接続され、この端子504は、高電圧バッテリ500の低電位側に配置されたバッテリモジュール502(1)の低電位側端子に対応する。つまり、高電圧バッテリ500の端子504は、
図1でのバッテリモジュール502(1)の低電位側端子に対応する。同様に
図1では、端子110は、高電圧バッテリ500の高電位側の端子506に電気接続され、この端子506は、高電圧バッテリ500の高電位側に配置されたバッテリモジュール502(2)の高電位側端子に対応する。つまり、高電圧バッテリ500の端子506は、
図1でのバッテリモジュール502(2)の高電位側端子に対応する。
【0035】
さらに、コンタクタデバイス100は端子106及び112を含み、端子106及び112は、バッテリモジュール502(1)及び502(2)の端子504及び506以外の端子である残りの端子508及び510に電気接続されることができ、端子508及び510は、高圧バッテリ500のそれぞれ高電位側(+)及び低電位側(-)の端子に対応する。例えば
図1では、コンタクタデバイス100の端子106は、高電圧バッテリ500の低電位側に配置される、バッテリモジュール502(1)の高電位側端子508に電気接続される。同様に
図1では、端子112は、高電圧バッテリ500の高電位側に配置されるバッテリモジュール502(2)の低電位側端子510に電気接続される。
【0036】
換言すれば、コンタクタデバイス100は、第一バッテリモジュール502(1)の端子504及び508を電気接続するための2つの端子106及び108(「第二端子」)を含み、第一バッテリモジュール502(1)の低電位側端子504は、高電圧バッテリ500の低電位側の端子504に対応する。さらに、コンタクタデバイス100は、第二バッテリモジュール502(2)の端子506及び510を電気接続するための2つの端子110及び112(「第三端子」)を含み、第二バッテリモジュール502(2)の高電位側端子506は、高電圧バッテリ500の高電位側の端子506に対応する。
【0037】
次に、コンタクタデバイス100の第一例について、
図2から
図7を参照して説明する。
図2から
図7はそれぞれコンタクタデバイス100の異なる状態でのコンタクタデバイス100の接点配置120の第一例を示す。特に、
図2及び
図3はコンタクタデバイス100の直列接続状態での接点配置120を示し、
図4及び
図5はコンタクタデバイス100の並列接続状態での接点配置120を示し、
図6及び
図7はコンタクタデバイス100の開状態での接点配置120を示す。
【0038】
図2から
図7に示される例では、接点配置120は2つの接点122及び124を含み、それぞれが2つの可動ブスバー(または「第三ブスバー」)126、127、及び2つの固定ブスバー(または「第一ブスバー」)128、129を含み得るため、コンタクタデバイス100は、2極シングルブレーク形式コンタクタとして機能することができる。ここで、固定ブスバー128、129のそれぞれの機能と、可動ブスバー126、127のそれぞれの機能はミラーリングされている。しかしながら、ここで、2つの可動ブスバー126、127及び2つの固定ブスバー128、129が本開示を限定するものではなく、本開示が2つより多い接点122、124を有し、したがって2つより多い可動ブスバー126、127及び2つより多い固定ブスバー128、129を有するコンタクタデバイスに適用可能であることに留意されたい。
【0039】
可動ブスバー126、127及び固定ブスバー128、129は、好ましくは、銅またはその合金の1つのような金属材料から形成され得るが、当技術分野で知られており、500A以上の連続電流、可動ブスバー126、127及び固定ブスバー128、129を介して少なくとも1秒間で最大5kAまたは少なくとも50ms間で最大10kA以上の電流ピークをサポートする他の適切な導電性材料も使用されてよい。
【0040】
好ましくは、可動ブスバー126、127は可撓性ブスバーから形成され得、これら可撓性ブスバーは、可動ブスバー126、127が開位置(
図6及び
図7に示される)と閉位置(
図2から
図5に示される)との間で移動する場合にほとんど移動しない剛性領域130、131、及び開位置と閉位置との間で弾性的に撓むことができる可撓性領域132、133を含む。好ましくは、これは、少なくとも可撓性領域132、133では、例えば10から15層の銅または他の適切な導電性材料を含む、多層構造の可動ブスバー126、127を形成することによって達成されることができる。別の例では、可動ブスバー126、127は、剛性領域130、131内の固定ブスバー、及び可撓性領域132、133内の可動ブスバーから構成され得、これらは、例えば開位置と閉位置との間で可動ブスバー126、127を移動させるために回転軸を中心とした回転運動で移動し得る。代替に、可動ブスバー126、127は開位置と閉位置との間で移動する場合に全体として移動してもよい。
【0041】
コンタクタデバイス100の第一例では、可動ブスバー126は高電圧バッテリ500の高電位側で高電圧バッテリ500の端子506に、すなわち、バッテリモジュール502(2)の高電位側端子506に電気接続される、端子110に電気接続され、固定ブスバー128は高電圧ブス105の高電位側に電気接続される、負荷側端子104に電気接続される。可動ブスバー127は高電圧バッテリ500の低電位側で高電圧バッテリ500の端子504に、すなわち、バッテリモジュール502(1)の低電位側端子504に電気接続される、端子108に電気接続され、固定ブスバー129は高電圧ブス105の低電位側に電気接続される、負荷側端子のもう1つ102に電気接続される。
【0042】
図2から
図5は、閉位置で可動ブスバー126、127を示し、可動ブスバー126、127は、コンタクタデバイスの少なくとも第一接点134で固定ブスバー128、129に導電結合される。接点抵抗を低減させるために、例えば銀または任意の銀合金で作られた接点要素136を、第一接点134の領域内で可動ブスバー126、127と固定ブスバー128、129との両方に取り付け得る。当然のことながら、他の適切な導電性材料も接点要素136を形成するために使用され得る。
【0043】
可動ブスバー126、127が閉位置にある場合にコンタクタデバイス100の閉状態との間で、また可動ブスバー126、127が開位置にある場合にコンタクタデバイス100の開状態との間で切り替えることを可能にすることに加えて、コンタクタデバイス100はまた、少なくとも2つのバッテリモジュール502(1)及び502(2)が高電圧ブス105に並列に接続されることができる、並列接続状態と、バッテリモジュール502(1)及び502(2)が高電圧ブス105に直列に接続されることができる、直列接続状態との間で切り替えることも可能にする。
【0044】
この目的のために、コンタクタデバイス100は、2つの第二ブスバー138及び139、ならびに接続ブスバー144を含む。コンタクタデバイス100の第一例では、第二ブスバー138は端子106に電気接続され、端子106は、高電圧バッテリ500の低電位側に配置されたバッテリモジュール502(1)の高電位側端子508に電気接続される。同様に第一例では、第二ブスバー139は端子112に電気接続され、端子112は、高電圧バッテリ500の高電位側に配置されるバッテリモジュール502(2)の低電位側端子510に電気接続される。
【0045】
2つの第二ブスバー138、139及び接続ブスバー144は、可動ブスバー126、127及び固定ブスバー128、129と同じ材料から形成されてもよく、可動ブスバー126、127及び固定ブスバー128、129が設けられる、レベルとは異なるコンタクタデバイスのレベルに設けられてもよい。
図2から
図7に示されるように、2つの第二ブスバー138、139は、接点122及び124と同じ方向に延出してもよい。しかしながら、第二ブスバー138、139は異なる延出方向を有してもよい。
【0046】
好ましくは、第二ブスバー138、139は、可動ブスバー126、127と同じ方法で、第二セットの可動ブスバーとして形成され得る。例えば、第二セットのブスバー138、139は、第二ブスバー138、139が直列接続位置(
図2及び
図3に示される)と並列接続位置(
図4及び
図5に示される)との間で移動する場合にほとんど移動しない剛性領域140、141、及び直列接続位置と並列接続位置との間で弾性的に撓むことができる、可撓性領域142、143を含んでもよい。別の例では、第二ブスバー138、139は、剛性領域140、141内の固定ブスバー、及び可撓性領域142、143内の可動ブスバーから構成され得、これらは、例えば直列接続位置と並列接続位置との間で第二ブスバー138、139を移動させるために回転軸を中心とした回転運動で移動し得る。代替に、第二ブスバー138、139は、直列接続位置と並列接続位置との間で移動する場合に全体として移動してもよい。
【0047】
接続ブスバー144は、例えば、接点122及び124を形成する、可動ブスバー126、127及び固定ブスバー128、129から電気絶縁される適所に、接点配置120に固定される剛性ブスバーから形成され得る。好ましくは、接続ブスバー144は、第二ブスバー138、139の延出方向に対して実質的に垂直方向、及び可撓性領域142、143の方向に対して実質的に垂直方向に延出する。しかしながら、第二ブスバー138、139が接続ブスバー144に導電結合することができる限り、接続ブスバー144の他の延出方向も可能である。
【0048】
図2及び
図3は、直列接続状態でコンタクタデバイス100を示し、第二ブスバー138及び139は直列接続位置にあり、第二ブスバー138及び139のそれぞれは第二接点146で接続ブスバー144に導電結合される。したがって、この状態では、第二ブスバー138及び第二ブスバー139は直列に電気接続される。つまり、コンタクタデバイス100は、直列接続状態では、第二ブスバー138から第二ブスバー139へ、またその逆に電流を流すことを可能にし、第二ブスバー138及び139は同電位となる。一方、第二ブスバー138及び139は、直列接続状態では、可動ブスバー126、127及び固定ブスバー128、129から電気絶縁される。
【0049】
したがって、コンタクタデバイス100の直列接続状態では、両方とも接続ブスバー144に導電結合される第二ブスバー138及び139を通る導電路を設けることによって、端子106及び112はバッテリモジュール502(1)及び502(2)を直列に電気接続する。したがって、バッテリモジュール502(1)及び502(2)のモジュール電圧の合計であるバッテリ500の所定の高電圧は、可動ブスバー126、127及び固定ブスバー128、129を導電結合することによって、すなわち、接点122及び124を閉じることによって、高電圧ブス105に印加されることができる。
【0050】
第二ブスバー138、139と接続ブスバー144との間の接点抵抗を低減させるために、例えば銀または任意の銀合金で作られた接点要素148を、第二接点146の領域内で第二ブスバー138、139の第一接点側と、接続ブスバー144とに取り付け得る。当然のことながら、他の適切な導電性材料も接点要素146を形成するために使用され得る。
【0051】
図4及び
図5は、並列接続状態でのコンタクタデバイス100を示し、第二ブスバー138及び139は同時に第三接点150で並列接続位置にある。したがって、この状態では、第二ブスバー138は可動ブスバー126と並列に電気接続され、第二ブスバー139は可動ブスバー127と並列に電気接続される。換言すれば、並列接続状態では、コンタクタデバイス100は、第二ブスバー138から可動ブスバー126及び固定ブスバー128へ、またその逆に電流が流れることを可能にし、第二ブスバー138、可動ブスバー126及び固定ブスバー128は同電位にある。同様に、並列接続状態では、コンタクタデバイス100は、第二ブスバー139から可動ブスバー127及び固定ブスバー129へ、またその逆に電流が流れることを可能にし、第二ブスバー139、可動ブスバー127及び固定ブスバー129は同電位にある。一方、並列接続状態では、第二ブスバー138及び139は接続ブスバー144から電気絶縁される。
【0052】
したがって、コンタクタデバイス100の並列接続状態では、端子106及び112は、端子106から第二ブスバー138を介して固定ブスバー128までの導電路と、端子112から第一接続接点139を介して固定ブスバー129までの導電路とを設けることによって、バッテリモジュール502(1)及び502(2)を並列に電気接続する。その結果、バッテリモジュール502(1)及び502(2)を並列に電気接続した結果として生じる電圧は、可動ブスバー126、127及び固定ブスバー128、129を導電結合することによって、つまり、接点122及び124を閉じることによって高電圧ブス105に印加されることができる。理想的には、2つのバッテリモジュール502(1)及び502(2)をコンタクタデバイス100に電気接続する場合、結果として生じる電圧は、高電圧バッテリ500の所定の高電圧の半分であり、例えば、バッテリ500が800Vの所定の高電圧値を出力する場合、400Vになる。
【0053】
並列接続状態での接点抵抗を低減させるために、例えば銀または任意の銀合金で作られた接点要素152は、固定ブスバー128、128に接触するために第二ブスバー138、139の第二接点側に取り付けられても、第三接点150の領域内の固定ブスバー128、129に取り付けられてもよい。当然のことながら、他の適切な導電性材料も接点要素138を形成するために使用され得る。
【0054】
したがって、少なくとも部分的に可動な第二ブスバー138及び139ならびに接続ブスバー144を設けることによって、本開示は、コンタクタデバイスが閉状態にある場合の2つの追加の状態、すなわち、2つのバッテリモジュール502(1)及び502(2)を直列に電気接続することが可能になる直列接続状態と、2つのバッテリモジュール502(1)及び502(2)を並列に電気接続することが可能になる並列接続状態との間を区別することを可能にする。
【0055】
図6及び
図7は、開状態でのコンタクタデバイス100を示し、可動ブスバー126、127は、開位置にあり、固定ブスバー128及び129から電気絶縁される。第二ブスバー138及び139は、接続ブスバー144に導電結合されるため、固定ブスバー128、129からも電気絶縁される。したがって、コンタクタデバイス100の開状態では、固定ブスバー128、129には電圧が印加されない。
【0056】
可動ブスバー126及び127を開位置と閉位置との間で移動させるために、また第二ブスバー138及び139を直列接続位置と並列接続位置との間で移動させるために、コンタクタデバイス100は、少なくとも1つのアクチュエータ(
図2から
図7に示されない)を含む。これにより、可動ブスバー126及び127ならびに第二ブスバー138及び139はコンタクタデバイスの状態を変化させるために同じアクチュエータによって個々に移動してもよく、または2つの可動ブスバー126及び127を個々に移動させるのに専用の第一アクチュエータが設けられてもよく、第二ブスバー138及び139を個々に移動させるのに専用の第二アクチュエータが設けられてもよい。コンタクタ100内に設けられた少なくとも1つのアクチュエータの可能な配置については、
図16から
図20を参照して後述する。
【0057】
次に、コンタクタデバイス100の接点配置220の第二例について、
図8から
図13を参照して説明する。例示的な第二接点配置220は、コンタクタデバイス100を並列接続状態または直列接続状態にするために可動である、接続フレーム上に可動式に接続ブスバー144が配置されるという点で、例示的な第一接点配置120とは異なる。
【0058】
特に、
図8及び
図9はコンタクタデバイス100の直列接続状態での接点配置220を示し、
図10及び
図11はコンタクタデバイス100の並列接続状態での接点配置220を示し、
図12及び
図13はコンタクタデバイス100の開状態での接点配置220を示す。
【0059】
第一例とは対照的に、接点配置220では、固定ブスバー128は端子110に電気接続され、端子110は高電圧バッテリ500の高電位側で高電圧バッテリ500の端子506に、すなわち、バッテリモジュール502(2)の高電位側端子506に電気接続される。固定ブスバー128は第一接点134で可動ブスバー126に導電結合されることができてもよく、可動ブスバー126はコンタクタデバイス100の負荷側端子104に電気接続されてもよい。
【0060】
固定ブスバー129は端子108に電気接続され、端子108は高電圧バッテリ500の低電位側で高電圧バッテリ500の端子504に、すなわち、バッテリモジュール502(1)の低電位側端子504に電気接続される。固定ブスバー129は第一接点134で可動ブスバー127に導電結合されることができてもよく、可動ブスバー127はコンタクタデバイス100の負荷側端子102に電気接続されてもよい。しかしながら、接点配置220が可動ブスバー126、127を含む必要はなく、固定ブスバー128は負荷側端子104に直接電気接続されてもよく、固定ブスバー129は負荷側端子102に直接電気接続されてもよい。
【0061】
さらに、接点配置220は、2つの第二ブスバー238及び239ならびに接続ブスバー144を含む。第二ブスバー238は端子106に電気接続され、端子106は、高電圧バッテリ500の低電位側に配置されたバッテリモジュール502(1)の高電位側端子508に電気接続される。第二ブスバー239は端子112に電気接続され、端子112は、高電圧バッテリ500の高電位側に配置される、バッテリモジュール502(2)の低電位側端子510に電気接続される。
【0062】
2つの第二ブスバー238、239及び接続ブスバー144は固定ブスバー128、129と同じ材料から形成されてもよく、2つの第二ブスバー238、239は固定ブスバー128、129と同じレベルのコンタクタデバイス100上に設けられてもよい。
図8から
図13に示されるように、2つの第二ブスバー238、239は、固定ブスバー128及び129と同じ方向に延出してもよいが、異なる延出方向を有してもよい。
【0063】
第二例では、第二ブスバー238、239は、固定ブスバー128、129と、すなわち、第二セットの固定ブスバーと同じ方法で形成され得る。接続ブスバー144は、例えば、可動接続フレーム254のベースプレート256に固定される、剛性ブスバーから形成されてもよい。これにより、接続フレーム254を移動させることによって接続ブスバー144が直列接続位置になる場合、接続ブスバー144が第二ブスバー238及び239のそれぞれに導電結合されることができるような方法で、接続ブスバー144をベースプレート256に取り付ける。好ましくは、接続ブスバー144は、第二ブスバー238、239の延出方向に対して実質的に垂直方向に延出する。しかしながら、第二ブスバー238、239が接続ブスバー144に導電結合することができる限り、接続ブスバー144の他の延出方向も可能である。
【0064】
さらに、接点配置220は、接続ブスバー144と同様に剛性ブスバーから形成され得る、2つの二次接続ブスバー258及び260を含む。二次接続ブスバー258及び260のそれぞれは、例えば、可動接続フレーム254のカバープレート262の底面側に固定される、剛性ブスバーから形成されてもよい。これにより、二次接続ブスバー258及び260は、二次ブスバー258が第二ブスバー238及び固定ブスバー128のそれぞれに導電結合されることができるような方法で、カバープレート262の底面側に取り付けられ、また二次ブスバー260は、接続フレーム254を移動させることによって二次接続ブスバー258及び260が並列接続位置になる場合、第二ブスバー239及び固定ブスバー129のそれぞれに導電結合されることができる。好ましくは、二次接続ブスバー258及び260は、第二ブスバー238、239の延出方向に対して実質的に垂直方向に延出する。しかしながら、第二ブスバー258及び260がそれぞれ第二ブスバー238及び固定ブスバー128または第二ブスバー239及び固定ブスバー129に導電結合することができる限り、二次接続ブスバー258、260の他の延出方向も可能である。
【0065】
接続ブスバー144ならびに2つの二次接続ブスバー258及び260を同時に移動させることを可能にするために、接続フレーム254は、サイドプレート264及び266を含んでもよく、サイドプレート264及び266は、ベースプレート256及びカバープレート262の対向する端部に取り付けられ、カバープレート262を支持してベースプレート254の運動に追従し、またその逆も同様である。このような配置により、接続フレーム254は、固定ブスバー128、129及び第二ブスバー238、239の四方を囲み得る。
【0066】
図8及び
図9は、接続ブスバー144が直列接続位置にあるため、コンタクタデバイス100が直列接続状態にある場合の接点配置220を示す。直列接続位置では、接続フレーム254を移動させることによって接続ブスバー144が第二ブスバー238及び239のそれぞれに押し付けられるため、第二ブスバー238及び239のそれぞれは、第二接点246で接続ブスバー144に導電結合される。したがって、コンタクタデバイス100の直列接続状態では、第二ブスバー238及び239は直列に電気接続される。一方、直列接続状態では、二次接続ブスバー258及び260が接続フレーム254によって第二ブスバー238及び239から遠ざかるため、第二ブスバー238及び239は二次接続ブスバー258から電気絶縁される。その結果、第二ブスバー238及び239も固定ブスバー128、129から電気絶縁される。
【0067】
したがって、コンタクタデバイス100の直列接続状態では、接続ブスバー144に導電結合される、第二ブスバー238及び239を通る導電路を設けることによって、端子106及び112はバッテリモジュール502(1)及び502(2)を直列に電気接続する。したがって、バッテリモジュール502(1)及び502(2)のモジュール電圧の合計であるバッテリ500の所定の高電圧は、可動ブスバー126、127及び固定ブスバー128、129を導電結合することによって第一接点134で高電圧ブス105に印加されることができる。
【0068】
第二ブスバー238、239と接続ブスバー144との間の接点抵抗を低減させるために、例えば銀または任意の銀合金で作られた接点要素248を、第二接点246の領域内で第二ブスバー238、239の第一接点側と、接続ブスバー144とに取り付け得る。当然のことながら、他の適切な導電性材料も接点要素246を形成するために使用され得る。
【0069】
図10及び
図11は、二次接続ブスバー258及び260が同時に並列接続位置にあるため、コンタクタデバイス100が並列接続状態にある場合の接点配置220を示す。並列接続位置では、二次接続ブスバー258は、接続フレームを移動させることによって第二ブスバー238及び固定ブスバー128に押し付けられるため、二次ブスバー258は、第二ブスバー238に第三接点250で、また固定ブスバー128に第四接点268で導電結合される。同時に、二次接続ブスバー260は、接続フレームを移動させることによって第二ブスバー239及び固定ブスバー129に押し付けられるため、二次ブスバー260は、第二ブスバー239に第三接点250で、また固定ブスバー129に第四接点268で導電結合される。一方、並列接続状態では、接続ブスバー144は接続フレーム254によって第二ブスバー238及び239から遠ざかるため、第二ブスバー238及び239は接続ブスバー144から、そして互いから電気絶縁される。
【0070】
したがって、並列接続状態では、第二ブスバー238は固定ブスバー128と並列に電気接続され、第二ブスバー239は固定ブスバー129と並列に電気接続される。換言すれば、並列接続状態では、コンタクタデバイス100は、第二ブスバー238から(二次接続要素258を介して)固定ブスバー128へ、またその逆に電流が流れることを可能にし、第二ブスバー138及び固定ブスバー128は同電位を共有する。同様に、並列接続状態では、コンタクタデバイス100は、第二ブスバー239から(二次接続要素260を介して)固定ブスバー129へ、またその逆に電流が流れることを可能にし、第二ブスバー239及び固定ブスバー129は同電位を共有する。一方、並列接続状態では、第二ブスバー238及び239は接続ブスバー144から電気絶縁される。
【0071】
したがって、コンタクタデバイス100の並列接続状態では、端子106及び112は、端子106から第二ブスバー238及び二次接続要素258を介して固定ブスバー128までの導電路と、端子112から第二ブスバー239及び二次接続要素260を介して固定ブスバー129までの導電路とを設けることによって、バッテリモジュール502(1)及び502(2)を並列に電気接続する。その結果、バッテリモジュール502(1)及び502(2)を並列に電気接続した結果として生じる電圧は、可動ブスバー126、127及び固定ブスバー128、129を導電結合することによって高電圧ブス105に印加されることができる。理想的には、2つのバッテリモジュール502(1)及び502(2)をコンタクタデバイス100に電気接続する場合、結果として生じる電圧は、高電圧バッテリ500の所定の高電圧の半分であり、例えば、バッテリ500が800Vの所定の高電圧値を出力する場合、400Vになる。
【0072】
並列接続状態での接点抵抗を低減させるために、例えば銀または任意の銀合金で作られた接点要素252は、それぞれ二次接続ブスバー258及び260に接触するために第二ブスバー238、239の第二接点側に取り付けられても、第三接点250の領域内の二次接続ブスバー258及び260に取り付けられてもよい。例えば銀または任意の銀合金で作られた同様の接点要素270は、それぞれ二次接続ブスバー258及び260に取り付けられても、第四接点268の領域内の固定ブスバー258及び260に取り付けられてもよい。当然のことながら、他の適切な導電性材料も接点要素252及び270を形成するために使用され得る。
【0073】
図12及び
図13は、開状態でのコンタクタ配置220を示し、接続フレーム254は開位置にあるため、第二ブスバー238及び239は接続ブスバー144にも、二次接続ブスバー258及び260にも導電結合されていない。したがって、接続フレーム254の開位置では、第二ブスバー238及び239は固定ブスバー128及び129から電気絶縁されると同時に、第二ブスバー238及び239は互いから電気絶縁されるため、コンタクタデバイス100の端子106と端子112との間の電気接続は遮断される。
【0074】
また当業者であれば、接続フレーム254の開位置では、高電圧バッテリ500の高電位側の端子506と高電圧ブス105の高電位側との間の電気接続を遮断するだけでなく、高電圧バッテリ500の低電位側の端子504と高電圧ブス105の低電位側との間の電気接続を遮断する必要があることも明らかである。
図12には示されていないが、この目的のために、接点配置の可動ブスバー126及び127は、可動ブスバー126及び127が固定ブスバー128及び129から電気絶縁される開位置に移動し得る。代替に、コンタクタデバイス100は第二コンタクタデバイスと組み合わせて(例えば、後述される
図14及び
図15に示されるように)使用されてもよく、第二コンタクタデバイスは、電流が高電圧バッテリ500と高電圧ブス105との間で流れることを遮断する状態になってもよい。
【0075】
したがって、接続ブスバー144ならびに二次接続ブスバー258及び260を接続フレーム254に取り付けることによって、コンタクタ100の例示的な第二接点配置220は、コンタクタデバイスが閉状態にある場合、2つの追加の状態、すなわち、直列接続状態と並列接続状態との間で区別することを可能にし、アクチュエータを用いて接続フレームを移動させることによってコンタクタデバイス100の状態を変化させることが可能である。これにより、接続フレーム254は、コンタクタデバイス100の状態を変化させるために可動ブスバー126及び127と同じアクチュエータによって移動してもよく、または接続フレーム254を個々に移動させるのに専用のアクチュエータが設けられてもよい。これらのようなアクチュエータの可能な配置については、例示的な第二コンタクタデバイス300及び
図16から
図24を参照して後述する。したがって、例示的な第二接点配置220の構成により、接続ブスバー144、258及び260のそれぞれ、ならびに2つの第二ブスバー238、239を固定して取り付けられたブスバーとして設け、接続フレーム254のみを移動させて、コンタクタデバイス100の状態を変化させることが可能になる。
【0076】
さらに、
図8、
図10、及び
図12に概略的に示されるように、コンタクタデバイス100は火工品アクチュエータ280を含み得、火工品アクチュエータ280は、接点配置220の追加の安全機構として、トリガされると、コンタクタデバイス100を通る電流の流れを永続的に遮断するように構成される。当然のことながら、接点配置120でも火工品アクチュエータを使用し得る。火工品アクチュエータ280の可能な実施態様、及び火工品アクチュエータ280をトリガすることによって実行される可能な接点分離機構は、接点配置120及び220内に実装されることができ、例示的な第二コンタクタデバイス300及び
図16から
図24を参照して後述される。
【0077】
図14及び
図15は、第二コンタクタデバイス400に導電結合された接点配置220を示す。ここで、接点配置220は、バッテリ500のバッテリモジュール502(1)及び502(2)の接続状態を並列接続状態(
図14)と直列接続状態(
図15)との間で切り替える機能を有する。第二コンタクタデバイス400は、バッテリ500から高電圧ブス105への電流の流れが防止される開状態と、バッテリ500から高電圧ブス105への電流の流れが可能である閉状態との間で少なくとも切り替える機能を少なくとも有する任意のコンタクタデバイスであることができる。例えば、欧州特許出願EP20184037.8に詳細に記載されているコンタクタデバイスを第二コンタクタデバイス400として使用することができる。
【0078】
次に、例示的な第二コンタクタデバイス300について、
図16から
図24を参照して説明する。ここで、コンタクタデバイス300の要素及び実質的に同じ機能を有するコンタクタデバイス100の要素には、同様の参照番号及び同じまたは同様の構成要素の名称が与えられる。コンタクタデバイス300は、接続ブスバー144及び2つの第二ブスバー138、139が欠落しているという点でコンタクタデバイス100の例示的な第一接点配置120と異なり、接続フレーム254、対応する接続ブスバー144、258及び260、ならびに2つの第二ブスバー238、239が欠落しているという点でコンタクタデバイス100の例示的な第一接点配置220と異なる。
【0079】
図16は、コンタクタデバイス300の概略斜視図を示し、このコンタクタデバイスは、好ましくは、2つの固定ブスバー328及び329ならびに2つの可動ブスバー326及び327を含むため、コンタクタデバイス300は、通常の動作条件下で2極シングルブレーク形式コンタクタとして機能する、2極組み合わせコンタクタとして機能することができる。しかしながら、2つの可動ブスバー及び2つの固定ブスバーの数はコンタクタデバイス300の機能にとって必須ではないが、コンタクタデバイス300は2つより多い可動接点及び固定接点、または1つの可動ブスバー及び1つの固定ブスバーを有してもよい。固定ブスバー328及び329ならびに可動ブスバー326及び327は、それぞれ第一接点配置120及び第二接点配置220の固定ブスバー128、129及び可動ブスバー126、127の例示的な実装を形成し得、残りの説明されている部品が追加されることができる。
【0080】
図16は、閉位置で可動ブスバー326及び327を示し、閉位置では、可動ブスバー326及び327のそれぞれは固定ブスバー328及び329の1つに導電結合されるため、電流は、可動ブスバー326と一体に形成される端子310から、固定ブスバー328と一体に形成される端子304まで、また可動ブスバー327と一体に形成される端子308から、固定ブスバー329と一体に形成される端子302まで流れることが可能になる。端子308及び310は、高電圧バッテリ500の端子504及び506に電気接続されてもよく、端子302及び304は高電圧ブス105に電気接続されてもよく、またはその逆も同様であってもよい。コンタクタデバイス300を通る電流経路を可逆的に接続して切断するために、コンタクタデバイス300は、電磁アクチュエータ372を含み、この電磁アクチュエータは、可動ブスバー326及び327を閉位置と開位置との間で可逆的に移動させることができる。
【0081】
開位置と閉位置との間の可逆的な移行を容易にするために、可動ブスバー326及び327は、少なくとも可撓性接点領域333では、開位置と閉位置との間で弾性的に撓むことができるような方法で形成される。この目的のために、可動ブスバー326及び327は、例えば10~15層の銅または他の適切な導電性材料を含む、多層構造から形成されてもよい。さらに、可動ブスバー326及び327のそれぞれは、可動ブスバー326及び327の撓み能力を支持するために、凸部374を含み得る。凸部374は、可動ブスバー326及び327を開位置の方に押す予荷重を可動ブスバー326及び327に加える際にも寄与し得る。
【0082】
電磁アクチュエータ372は、電力が供給される場合、可動ブスバー326及び327を閉位置に保持するように構成される。この目的のために、可動ブスバー326及び327の可撓性接点領域333のそれぞれは、電磁アクチュエータ372によって、例えば、可撓性接点領域333内の可動ブスバー326及び327の上面側に配置されるシャフト376によって、個々に移動してもよい。追加のばね要素は、シャフト376の周りに配置され得ると、コンタクタデバイス300の動作中に可動ブスバー326及び327の間の小さい食違いまたは不均衡を吸収するのに役立ち、それらのような食違いが電磁アクチュエータ372に影響すること、または固定ブスバー328及び329と可動ブスバー326及び327との間に加えられる力に大きく影響することを防止する。したがって、コンタクタデバイス100の製造中に導入される固定ブスバー328及び329と可動ブスバー326及び327との間の公差をより良好に補償することができる。さらに、ばねは、可動ブスバー326及び327のそれぞれより下、すなわち、可動ブスバー326及び327のそれぞれの底面側の上に位置していることにより、力がシャフト376によって加えられていない場合、すなわち、電磁アクチュエータ372に電力が供給されていない場合、可動ブスバー326及び327が開位置になるように付勢する。
【0083】
図17は、電磁アクチュエータ372にエネルギーが供給されていない、非通電状態のコンタクタデバイス300を示すため、可動ブスバー326及び327は同時に開位置にある。したがって、可動ブスバー326及び327の接点要素336は空間ギャップによって固定ブスバー328及び329の接点要素336から電気絶縁されるため、コンタクタデバイス300を通る電流の流れは防止される。可動ブスバー326及び327の設計により、通常の雰囲気下であっても、可動ブスバー326及び327と固定ブスバー328及び329との間の十分な電気絶縁を設けることができる。したがって、密閉ハウジング内に可動ブスバー326及び327ならびに固定ブスバー328及び329を設ける必要性、または電気陰性ガスを使用する必要性をなくすことができるので、コンタクタデバイス300を著しく簡単にすることができる。しかしながら、電気絶縁を高めるために、可動ブスバー326及び327ならびに固定ブスバー328及び329のうちの少なくとも一部を密閉ハウジング内の接点要素336の周囲の領域内に設けることも可能である。
【0084】
図18は、通電状態でのコンタクタデバイス300を示し、可動ブスバー326及び327は閉位置にあるため、可動ブスバー326及び327の接点336は、固定ブスバー328及び329の接点336に導電結合される。
【0085】
可動ブスバー326及び327を開位置から閉位置にするために、電磁アクチュエータ372の電機子は、例えばシャフト376を介して、可動ブスバー326及び327に閉じる力を加え、可動ブスバー326及び327を、閉じる力の方向378、すなわち、固定ブスバー328及び329に向かう方向に押し込む。
【0086】
電磁アクチュエータ372の代わりに、例えばコンタクタデバイス300は、リニアモータアクチュエータ472を備えてもよく、このリニアモータアクチュエータは、例えば
図19及び
図20に概略的に示されるようにシャフト476を駆動することによって、可動ブスバー326及び327を開位置(
図20に示される)と閉位置(
図19に示される)との間で移動させる。ここで、シャフト476は、リニアモータアクチュエータ472に電力が供給される場合にのみ移動する。この例示的な実施態様では、リニアモータアクチュエータ472に電力が供給される場合、リニアモータアクチュエータ472は、開位置と閉位置との間でのみ可動ブスバー326及び327を移動させ、リニアモータアクチュエータ472に電力が供給されない場合、可動ブスバー326及び327は前の位置に留まる。したがって、リニアモータアクチュエータ472は、双安定アクチュエータとして機能することにより、リニアモータアクチュエータ472に電力が供給される場合にのみ変化する、コンタクタデバイス300の開状態及び閉状態をコンタクタデバイス300の双安定状態として導入することが可能になる。
【0087】
したがって、電磁アクチュエータ372が、例えば損傷イベントによって、または通信損失によって電源喪失を受ける場合、開状態になる電磁アクチュエータ372を備えたコンタクタデバイス300とは異なり、コンタクタデバイス300は、リニアモータアクチュエータ472が電源喪失を受ける場合、閉状態(または開状態)に留まることができるため、リニアモータアクチュエータ472の電源喪失後でも電気自動車を駆動することが可能である。
【0088】
ここで、アクチュエータ372及び/またはアクチュエータ472もアクチュエータとして、可動ブスバー126及び127を開位置と閉位置との間で移動させるための、及び/または第二ブスバー138及び139を直列接続位置と並列接続位置との間で第二ブスバー138、139の間で移動させるためのアクチュエータ(複数可)として、例示的な第一接点配置120に設けられることができる。同様に、アクチュエータ372またはアクチュエータ472もアクチュエータとして、コンタクタデバイス100の状態を変化させるために接続フレーム254を移動させるための、及び/または可動ブスバー126及び127を開位置と閉位置との間で移動させるためのアクチュエータ(複数可)として、例示的な第二接点配置220に設けられることができる。
【0089】
図16に戻り参照すると、コンタクタデバイス300が火工品アクチュエータ380をさらに含むことが示され、この火工品アクチュエータは、固定ブスバー328及び329を着火後位置に永久的に変位させるように構成され、着火後位置では、固定ブスバー328及び329は、トリガされると、可動ブスバー326及び327から永久的に電気絶縁される。そのため、固定ブスバー328及び329を変位させることは、固定ブスバー328及び329全体を変位させることを指すことができる、または例えば後述のように固定ブスバー328及び329を不可逆的に切断することによって、接点要素336を含む、固定ブスバー328及び329の少なくとも接点領域379内に固定ブスバー328及び329を変位させることを指すことができる。このように、火工品アクチュエータ380の作動後でも、可動ブスバー326及び327が固定ブスバー328及び329に導電結合することができることが防止されることができる。その結果、コンタクタデバイス300を通る電流の流れは、火工品アクチュエータ380の作動によって永続的に遮断され得る。
【0090】
火工品アクチュエータ380は、電気制御信号の受信に応答して、火工品装薬の点火を引き起こす、火工品ピンとも呼ばれることもある2つ以上の火工品電気端子382を備えることができる。火工品装薬は、電気制御信号によって直接点火される爆薬であってもよいし、電気制御信号の受信後に突然膨張するガス発生器装薬であってもよい。あるいは、火工品装薬は、例えば開始剤装薬及び二次ガス発生器装薬を含む複数の装薬構造を有してもよい。
【0091】
火工品電気端子382は、例えば、閉鎖位置においてコンタクタデバイス300を通って流れる電流を検出するように構成された、コンタクタデバイス300に統合された電流感知コントローラに接続されてもよい。検出された電流が、コンタクタデバイス300の機能にとって危険な電流のレベルによって表すことができる所定の閾値を超えると、電流感知コントローラは、電子制御信号を送信して、火工品装薬に点火することができる。
【0092】
あるいは、火工品電気端子382は、外部コントローラ、または高電圧バッテリ500のバッテリ管理システムのような高電圧バッテリ500のコントローラに接続されてもよく、これは、例えば、エネルギー貯蔵システム10における過電流または誤動作の検出に応答して、火工品アクチュエータ380をトリガするための電気制御信号を提供し得る。電気制御信号はまた、コンタクタデバイス300が導電的に結合されている電気回路の任意の他の回路構成要素において検出された異常または誤動作に応答して受信されてもよい。別の代替として、火工品電気端子382は、車両の電子制御ユニット(ECU)またはコンタクタデバイス300を含む衝突センサに接続されてもよく、車両の事故の検出に応答して電子制御信号を受信してもよい。
【0093】
火工品アクチュエータ380は、火工品装薬が点火されたときに発生する力によって静止位置から離れるように駆動され得るピストン構造384をさらに備える。ピストン構造384は、発生した力によって推進されると、火工品アクチュエータ380のアクチュエータハウジング388内に支持される変位要素386を駆動し、固定ブスバー328及び329を同時に押し、可動ブスバー326及び327から離して着火後位置に入れる。例えば、ピストン構造384のエネルギーによって駆動されて固定ブスバー328及び329を変位させる、またはそれらの機能を果たすスタッドまたはボルトは、変位要素386として機能し得る。
【0094】
図16にさらに示されるように、固定ブスバー328及び329のそれぞれはヒンジ屈曲部381を含み得、このヒンジ屈曲部は、端子302と固定ブスバー329の接点要素336との間、及び端子304と固定ブスバー328の接点要素336との間に設けられ得る。ヒンジ屈曲部381により、火工品アクチュエータ380がトリガされると、固定ブスバー328及び329の接点領域379は、明確に定められた方法で可動ブスバー326及び327から揺動して離れることが可能になる。したがって、固定ブスバー328及び329のヒンジ屈曲部381のそれぞれが機械的運動の軸を与え、その軸を中心に、それぞれの固定ブスバー328及び329は着火後位置への移動中に回転する。これにより、固定ブスバー328及び329の接点領域381の揺動半径を変化させるように、固定ブスバー328及び329のヒンジ屈曲部381の位置を調整し得る。したがって、固定ブスバー328及び329または少なくとも固定ブスバー328及び329の接点領域379の通常位置から着火後位置への移動経路を明確に定めることができる。
【0095】
アクチュエータハウジング388は、火工品アクチュエータ380がトリガされる前に、ピストン構造384が静止位置にあるとき、ピストン構造384を収容することができる。アクチュエータハウジング388はまた、ピストン構造380が最終位置に達し、固定ブスバー328及び329が着火後位置にあるときに、ピストン構造380を停止するためのピストン停止手段を提供することができる。このようにして、コンタクタデバイス300は、ピストン構造384のための明確な経路を提供することができる。アクチュエータハウジング388はまた、ピストン構造384を最終位置に保持するための保持手段を提供し、火工品アクチュエータがトリガされた後にピストン構造384が静止位置に戻るのを防止することができる。このようにして、ピストン構造384は、火工品アクチュエータが作動されたときに、固定ブスバー328及び329を着火後位置に保持するのを助けることができる。加えて、または代替として、アクチュエータハウジング388は、固定ブスバー328及び329を着火後位置に保持するための保持手段を提供することもできる。
【0096】
コンタクタデバイス300はまた、火工品アクチュエータ380が作動されたときに、通電経路の急速な遮断によって発生する可能性があるアークを消すために、アーク抑制要素を備えることができる。例えば、コンタクタデバイス300は、アーク放電の発生を制御するために使用される1つまたは複数のアークブローアウト磁石を備えてもよいし、アークをより低いエネルギーの複数の個々のアークに分割及び冷却するように構成されたアーク分割プレートのアレイを備えてもよい。あるいは、アーク抑制要素は、火工品アクチュエータ380が作動されると、固定ブスバー328及び329と可動ブスバー326及び327との間に挿入され得る機械式デバイスを備えてもよい。代替的または追加的に、アーク抑制要素は、アークを冷却するか、またはアークを空気と混合するガスを生成するために、火工品アクチュエータ380が作動されたときに点火されるガス発生器装薬を備えることもできる。
【0097】
火工品アクチュエータ380の動作は、コンタクタデバイス300の概略上面図を示す、
図21及び
図22を参照して以下に説明される。
図21は、可動ブスバー326及び327が閉位置にあり、火工品アクチュエータ380が作動される前の状態にあるコンタクタデバイス300を示す。保持力は、方向378、すなわち可動ブスバー326及び327の接点要素336から固定ブスバー328及び329の接点要素336に向かう方向に向き、可動ブスバー326及び327を閉位置に保持する。十字印378で示されるように、保持力は、
図21及び
図22の例では紙の面に向いている。
【0098】
図22は、火工品アクチュエータ380がトリガされた状態のコンタクタデバイス100の上面図を示す。
図22では、固定ブスバー329のみが着火後位置にあるように示されているが、火工品アクチュエータ380をトリガした後、固定ブスバー328も同時に着火後位置に移動する。ピストン構造384は、火工品装薬が点火されたときに発生する力によって、その静止位置から離れるように駆動される。発生した力は、変位要素を駆動して、固定ブスバー328及び329を着火後位置に不可逆的に移動させ、着火後位置では、固定ブスバー328及び329は可動ブスバー326及び327から電気絶縁される。矢印390で示されるように、固定ブスバー328及び329または固定ブスバー328及び329の接点領域379の移動は、電磁アクチュエータ372によって可動ブスバー326及び327に加えられる保持力の方向378に垂直な平面内で起こることが好ましい。
【0099】
しかしながら、固定ブスバー328及び329または固定ブスバー328及び329の接点領域379が着火後位置に移動する平面が保持力の方向378に垂直であることは必須ではないが、この平面は、方向378に対して所定の角度を封入するだけでよいため、固定ブスバー328及び329または固定ブスバー328及び329の接点領域379の移動方向は、開位置と閉位置との間の可動ブスバー326及び327の移動方向に対してある角度を少なくとも構成する。
【0100】
このようにして、可動ブスバー326及び327を閉位置に移動及び保持する作動機構に影響を与えることなく、固定ブスバー328及び329が確実に着火後位置に移動するのを確実にすることができる。同様に、力が火工品アクチュエータ380によって発生すると、電磁アクチュエータ372(またはリニアモータアクチュエータ472)によって発生した力に対して働かないような方法で固定ブスバー328及び329に伝達される場合、着火後位置への固定ブスバー328及び329の運動が閉位置で可動ブスバー326及び327を移動させて保持するための作動機構によって影響されることが防止される。
【0101】
固定ブスバー328及び329または固定ブスバー328及び329の接点領域379の着火後位置への移動が回転運動に限定されず、固定ブスバー328及び329または固定ブスバー328及び329の接点領域379が例えば、開位置と閉位置との間の可動ブスバー326及び327の移動経路から独立している移動経路上で、着火後位置に直線運動もし得ることに留意されたい。
【0102】
したがって、コンタクタデバイス300は、電磁アクチュエータ372(またはリニアモータアクチュエータ472)の動作を制御することによって、可動ブスバー326及び327を開位置と閉位置との間で可逆的に移動させることを可能にする。さらに、火工品アクチュエータ380が作動する場合、固定ブスバー328及び329は着火後位置に移動することで、固定ブスバー328及び329を永久的に変位させ、または切断し、コンタクタデバイス300を通る電流の流れを永久的に遮断する。換言すれば、電磁アクチュエータ372(またはリニアモータアクチュエータ472)は、コンタクタデバイス300の導通状態を可逆的に変化させるために、可動ブスバー326及び327を可逆的に移動及び保持するように構成されているが、火工品アクチュエータ380は、コンタクタデバイス300を通る電流の流れを不可逆的に遮断するために、固定ブスバー328及び329を着火後位置に不可逆的に移動させるように構成されている。注目すべきことに、火工品アクチュエータの作動は、可動ブスバー326及び327ならびに電磁アクチュエータ372(またはリニアモータアクチュエータ472)の位置とは無関係に可能である。
【0103】
固定ブスバー328及び329を着火後位置に機械的に移動させる代わりに、
図23及び
図24は、コンタクタデバイス300に実装され得る代替の接点分離機構を概略的に示す。この機構は、固定ブスバー328及び可動ブスバー326を不可逆的に分離するために例示的に示されているが、当然のことながら、固定ブスバー329及び可動ブスバー327を不可逆的に分離するために同じ分離機構が設けられてもよい。ここで、固定ブスバー328は、好ましくは円筒形断面を有し、電気絶縁材料で形成された電気絶縁層492によって少なくとも部分的に囲まれる。
【0104】
固定ブスバー328を可動ブスバー326から不可逆的に分離するために、火工品アクチュエータのピストン構造は、変位要素386を駆動して固定ブスバー328を移動させる代わりに、ここでは、火工品アクチュエータがトリガされた後、通常の位置(
図23)から着火後位置(
図24)まで、電気絶縁材料で形成される絶縁キャップ494を移動させるように構成される。
【0105】
図23に示されるように、絶縁キャップ494が通常の位置にある限り、すなわち、火工品アクチュエータをトリガする前に、可動ブスバー326及び固定ブスバー328の接点要素336を導電結合して、電流がコンタクタデバイス300を通って流れることを可能にし、可動ブスバー326が開位置と閉位置との間で移動し得る。しかしながら、火工品アクチュエータがトリガされると、着火後位置で絶縁キャップ494が固定ブスバー328の終端領域を完全に取り囲むまで、火工品ピストンは、固定ブスバー328の方向(
図23及び
図24に矢印496で示される)に絶縁キャップ494を駆動する。その結果、着火後位置では、絶縁キャップ494は可動ブスバー326及び固定ブスバー328の接点要素336の間に押されることで、可動ブスバー326及び固定ブスバー328を互いに電気絶縁する。
【0106】
このようにして、絶縁キャップ494は、可動ブスバー326及び固定ブスバー328を通る電流の流れを遮断すると同時に、電気アークの形成を抑制することができる。この目的のために、好ましくは、絶縁キャップ494は、接点要素336を含む、固定ブスバー328の終端領域を完全に取り囲み、電気絶縁層492とオーバーラップし得る。しかしながら、絶縁キャップが可動ブスバー326と固定ブスバー328との間に十分な電気絶縁を設けることができる限り、終端領域の完全な封入は、代替の接点分離機構にとって必須ではない。
【0107】
図示されていないが、
図2から
図7に示される例示的な第一接点配置120を形成するために、2つの第二ブスバー138及び139ならびに接続ブスバー144をコンタクタデバイス300の接点配置に追加することが可能である。同様に、
図8から
図13に示される例示的な第二接点配置220を形成するために、2つの第二ブスバー238及び239、ならびに対応する接続ブスバー144、258及び260を備えた接続フレーム254を、コンタクタデバイス300の接点配置に追加することも可能である。換言すれば、コンタクタデバイス300またはコンタクタデバイス300の単一構成要素は、コンタクタデバイス100を構築するための基礎を形成し得、これには、例示的な第一接点配置120または例示的な第二接点配置220の追加の構成要素が加えられる。これにより、例えば、2つの第二ブスバー138及び139がコンタクタデバイス300の可動ブスバー326及び327と同様に形成され得ることが可能である。
【0108】
本開示はまた、コンタクタデバイス100またはコンタクタデバイス300を備えるエネルギー貯蔵システム10にも関する。エネルギー貯蔵システム10は、例えば、コンタクタデバイス100またはコンタクタデバイス300及びバッテリ500を含む、エネルギー貯蔵装置あってもよい。エネルギー貯蔵システム10は、バッテリ500及びコンタクタデバイス100またはコンタクタデバイス300の動作を制御する、コントローラまたはバッテリ管理システムをさらに備えることができ、エネルギー貯蔵システム10の動作状態を監視することができる。例えば、コントローラまたはバッテリ管理システムは、コンタクタデバイス100の少なくとも1つのアクチュエータを制御して、コンタクタデバイス100の状態を、コントローラまたはバッテリ管理システムによって提供される制御信号に応答して、少なくとも直列接続状態との間で、また並列接続状態との間で、及び/または閉状態との間で、また開状態との間で変化させてもよい。同様に、コントローラまたはバッテリ管理システムは、コンタクタデバイス300の少なくとも1つのアクチュエータを制御して、コンタクタデバイスの状態を、コントローラまたはバッテリ管理システムによって提供される制御信号に応答して、少なくとも閉状態との間で、また開状態との間で変化させてもよい。さらに、過電流、バッテリ500の過熱、または事故など、安全な動作条件から外れた(危険な動作条件の)動作の場合、コントローラまたはバッテリ管理システムは、それぞれの制御信号を提供することによってコンタクタデバイス300(またはコンタクタ100)の火工品アクチュエータ380(または280)をトリガし得る。
【符号の説明】
【0109】
10 エネルギー貯蔵システム
100、300 コンタクタデバイス
102、104、106、108、110、112、302、304、308、310 コンタクタデバイスの端子
105 高電圧バス
120、220 接点配置
122、124 接点
126、127、326、327 可動ブスバー(第三ブスバー)
128、129、328、329 固定ブスバー(第一ブスバー)
130、131 可動ブスバーの剛性領域
132、133、333 可動ブスバーの可撓性領域
134 第一接点
136、148、152、248、252、270、336 接点要素
138、139、238、239 第二ブスバー
140、141 第二ブスバーの剛性領域
142、143 第二ブスバーの可撓性領域
144 (一次)接続ブスバー
146、246 第二接点
150、250 第三接点
254 接続フレーム
256 ベースプレート
258、260 二次接続ブスバー
262 カバープレート
264、266 サイドプレート
268 第四接点
280、380 火工品アクチュエータ
372 電磁アクチュエータ
374 凸部
376 シャフト
378 閉じる力の方向
379 固定ブスバーの接点領域
381 ヒンジ屈曲部
382 火工品電気端子
384 ピストン構造
386 変位要素
388 アクチュエータハウジング
390、496 矢印
472 リニアモータアクチュエータ
492 電気絶縁層
494 絶縁キャップ
【手続補正書】
【提出日】2024-05-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷及びチャージャのうちの少なくとも1つを電気接続するための2つの第一端子(102、104)と、
第一バッテリモジュール(502(1))を電気接続するための2つの第二端子(106、108)と、
第二バッテリモジュール(502(2))を電気接続するための2つの第三端子(110、112)と、
2つの第一ブスバー(128、129)であって、それぞれが前記第一端子(102、104)のうちの1つに電気接続される、2つの第一ブスバーと、
2つの第二ブスバー(138、139;238、239)であって、前記第二ブスバーのうちの1つ(138;238)は前記第二端子のうちの1つ(106)に電気接続され、前記第二ブスバーのうちのもう1つ(139;239)は前記第三端子のうちの1つ(112)に電気接続される、2つの第二ブスバーと、
前記2つの第一ブスバー(128、129)から電気絶縁される、接続ブスバー(144)と、
少なくとも、前記2つの第二ブスバー(138、139;238、239)が前記接続ブスバー(144)に導電結合される、直列接続状態との間で、また前記第二ブスバーのうちの1つ(138;238)が前記第一ブスバーのうちの1つ(128)に導電結合され、前記第二ブスバーのうちのもう1つ(139;239)が前記第一ブスバーのうちのもう1つ(129)に導電結合される、並列接続状態との間で、コンタクタデバイス(100)の状態を変化させるように構成される、少なくとも1つの作動要素と、を含む、コンタクタデバイス(100)。
【請求項2】
前記第二ブスバー(138、139)のそれぞれは可撓性接点領域(142、143)を含み、前記可撓性接点領域は、前記第二ブスバー(138、139)のそれぞれが前記接続ブスバー(144)に導電結合される第一位置と、前記第二ブスバー(138、139)のそれぞれが前記第一ブスバー(128、129)のうちの1つに導電結合される第二位置との間で弾性的に撓むことができる、請求項1に記載のコンタクタデバイス(100)。
【請求項3】
2つの二次接続ブスバー(258、260)をさらに含み、前記2つの二次接続ブスバーのそれぞれは、前記コンタクタデバイス(100)の前記並列接続状態では、前記第二ブスバー(238、239)のうちの1つをそれぞれ前記第一ブスバー(128、129)のうちの1つに導電結合するように構成される、請求項
1に記載のコンタクタデバイス(100)。
【請求項4】
前記接続ブスバー(144)及び前記二次接続ブスバー(258、260)は、接続フレーム(254)に取り付けられ、前記少なくとも1つの作動要素は、前記接続フレーム(254)を移動させて、前記コンタクタデバイス(100)の前記状態を、前記直列接続状態との間で、また前記並列接続状態との間で変化させるように構成される、請求項3に記載のコンタクタデバイス(100)。
【請求項5】
前記第二ブスバー(138、139;238、239)のそれぞれは、前記第二ブスバー(138、139;238、239)の異なる側に配置された複数の接点要素(148、152、248、252)を含み、前記第二ブスバー(138、139;238、239)のそれぞれは、前記第一ブスバーのうちの1つ(128、129)に導電結合するための接点側とは異なる、前記第二ブスバー(138、139;238、239)の接点側で前記接続ブスバー(144)に導電結合されるように構成される、請求項
1に記載のコンタクタデバイス(100)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの作動要素は、前記コンタクタデバイス(100)の前記状態を、前記直列接続状態との間で、また前記並列接続状態との間で変化させるために専用アクチュエータ(372、472)を含む、請求項
1に記載のコンタクタデバイス(100)。
【請求項7】
2つの第三ブスバー(126、127)をさらに含み、前記第三ブスバーのうちの1つ(126)は、前記第二端子のうちのもう1つ(110)に電気接続され、前記第三ブスバーのうちのもう1つ(127)は前記第三端子のうちのもう1つ(108)に電気接続され、
前記少なくとも1つの作動要素は、前記コンタクタデバイス(100)の状態を、前記第三ブスバー(126、127)のそれぞれが前記第一ブスバー(128、129)のうちの1つにそれぞれ導電結合される閉状態との間で、また前記2つの第三ブスバー(126、127)及び前記2つの第二ブスバー(138、139;238、239)が前記2つの第一ブスバーから電気絶縁される開状態との間で変化させるように構成される、請求項
1に記載のコンタクタデバイス(100)。
【請求項8】
前記第三ブスバー(126、127)のそれぞれは可撓性接点領域(132、133)を含み、前記可撓性接点領域は、前記第三ブスバー(126、127)のそれぞれが前記2つの第一ブスバー(128、129)から電気絶縁される開位置と、前記2つの第三ブスバー(126、127)のそれぞれが前記第一ブスバー(128、129)のうちの1つにそれぞれ導電結合される閉位置との間で、弾性的に撓むことができる、請求項7に記載のコンタクタデバイス(100)。
【請求項9】
前記コンタクタデバイスは、前記少なくとも1つの作動要素に電力が供給されていない場合に前記開状態にある、請求項
7に記載のコンタクタデバイス(100)。
【請求項10】
前記コンタクタデバイスの状態は、前記少なくとも1つの作動要素に電力が供給されている場合にのみ変化する、請求項
1に記載のコンタクタデバイス(100)。
【請求項11】
少なくとも1つの火工品アクチュエータ(280、380)をさらに含み、前記少なくとも1つの火工品アクチュエータは、作動時に、前記第一ブスバー(128、129)のそれぞれを通る電流の流れを不可逆的に防止するように構成される、請求項
1に記載のコンタクタデバイス(100)。
【請求項12】
少なくとも1つの火工品アクチュエータ(280、380)をさらに含み、前記少なくとも1つの火工品アクチュエータは、作動時に、前記2つの第一ブスバー(128、129)を着火後位置に移動させるように構成され、前記着火後位置では、前記2つの第一ブスバー(128、129)のそれぞれは不可逆的に変位する、または切断される、請求項
7に記載のコンタクタデバイス(100)。
【請求項13】
少なくとも1つの火工品アクチュエータ(280)をさらに含み、前記少なくとも1つの火工品アクチュエータは、作動時に、少なくとも1つの絶縁要素を着火後位置に不可逆的に駆動するように構成され、前記着火後位置では、前記絶縁要素は前記2つの第三ブスバー(126、127)及び前記2つの第一ブスバー(128、129)を互いから電気絶縁する、請求項
7に記載のコンタクタデバイス(100)。
【請求項14】
前記絶縁要素は少なくとも2つの絶縁キャップ(494)を含み、前記着火後位置では、前記少なくとも2つの絶縁キャップ(494)のそれぞれは、前記第一ブスバー(128、129)のうちのそれぞれの1つの接点領域を完全に取り囲む、請求項13に記載のコンタクタデバイス(100)。
【請求項15】
少なくとも第一バッテリモジュール(502(1))及び第二バッテリモジュール(502(2))から形成されたバッテリ(500)と、
請求項
1に記載のコンタクタデバイス(100)と、
を含む、エネルギー貯蔵システム(10)であって、
前記第一バッテリモジュール(502(1))は前記コンタクタデバイス(100)の前記2つの第二端子(106、108)に電気接続され、前記第二バッテリモジュール(502(2))は前記コンタクタデバイスの前記第三端子(110、112)に電気接続される、エネルギー貯蔵システム。
【国際調査報告】