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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】高屈折率フォトレジスト組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/075 20060101AFI20241031BHJP
   H10K 50/858 20230101ALI20241031BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20241031BHJP
   H10K 85/10 20230101ALI20241031BHJP
   H10K 71/12 20230101ALI20241031BHJP
   H10K 71/20 20230101ALI20241031BHJP
   C08G 77/14 20060101ALI20241031BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
G03F7/075 511
H10K50/858
H10K59/10
H10K85/10
H10K71/12
H10K71/20
C08G77/14
G03F7/20 501
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521776
(86)(22)【出願日】2022-08-01
(85)【翻訳文提出日】2024-05-01
(86)【国際出願番号】 US2022039032
(87)【国際公開番号】W WO2023064023
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】63/255,974
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】フー、ペン-フェイ
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ウォンボム
(72)【発明者】
【氏名】エル、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】チュン、ミュンファ
【テーマコード(参考)】
2H197
2H225
3K107
4J246
【Fターム(参考)】
2H197CA02
2H197CA03
2H197CE01
2H225AC02
2H225AC10
2H225AC23
2H225AC60
2H225AD07
2H225AD20
2H225AD28
2H225AE30P
2H225AN33P
2H225AN39P
2H225BA05P
2H225CA19
2H225CB02
2H225CC01
2H225CC13
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC05
3K107CC45
3K107EE29
3K107FF06
3K107FF14
3K107FF18
3K107GG06
3K107GG12
4J246AA03
4J246BA12X
4J246BB021
4J246BB022
4J246BB02X
4J246CA01U
4J246CA01X
4J246CA39M
4J246CA39X
4J246CA56M
4J246CA56X
4J246CA65X
4J246CA68M
4J246CA68X
4J246CA69M
4J246CA69X
4J246FA222
4J246FA452
4J246FC162
4J246GA01
4J246GA02
4J246GB04
4J246GD08
4J246HA15
(57)【要約】
光硬化性樹脂を含む組成物であって、光硬化性樹脂が、3000~50000ダルトンの重量平均分子量、少なくとも摂氏100度のガラス転移温度を有し、以下のシロキサン単位:50~80モルパーセントの(HSiC>3/2)、10~30モルパーセントの(RSiC>3/2)、10~40モルパーセントの(ArSiC>3/2)、及び20.0モルパーセント以下のSi-OZ含量を含み、モルパーセント値が、光硬化性樹脂中のケイ素原子のモルに対するものであり、Rが光硬化性基であり、各出現におけるArが、ハロゲン置換アリール基及びポリアリール基の群から選択され、各出現におけるZは、水素及びアルキル基から選択され、下付き文字x及び下付き文字yは、各出現において独立して、1又は2のいずれかである、組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光硬化性樹脂を含む組成物であって、前記光硬化性樹脂が、3,000~50,000ダルトンの範囲の重量平均分子量、少なくとも摂氏100度のガラス転移温度を有し、以下のシロキサン単位、50~80モルパーセントの(HSiO3/2)、10~30モルパーセントの(RSiO3/2)、10~40モルパーセントの(ArSiO3/2)、及び20.0モルパーセント以下のSi-OZ含量を含み、モルパーセント値が前記光硬化性樹脂中のケイ素原子のモルに対するものであり、Rが光硬化性基であり、各出現におけるArがハロゲン置換アリール基及びポリアリール基の群から選択される、組成物。各出現におけるZは、水素及びアルキル基から選択され、下付き文字x及び下付き文字yは、各出現において独立して、1又は2のいずれかである、組成物。
【請求項2】
前記樹脂は、各出現において独立して、エポキシ含有基、アクリレート含有基、アクリルオキシ基、ビニルエーテル基、及びビニル基からなる群から選択される前記光硬化性基を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記光硬化性基が、各出現において独立して、エポキシシクロヘキシルエチル基、グリシドキシプロピル基及びメタアクリルオキシプロピル基から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
-Ar基が、各出現において独立して、以下の化学構造(i)~(iv)を有するものからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【化1】
【請求項5】
前記組成物が、10~50重量パーセントの請求項1~4のいずれか一項に記載のフォトレジスト樹脂と、1~3重量パーセントの濃度の光開始剤と、49~89重量パーセントの溶媒とを含むネガティブフォトレジスト組成物で、重量パーセントはフォトレジスト組成物の重量に対するものである、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
請求項5に記載の前記ネガティブフォトレジスト組成物を使用して光学発光ダイオードディスプレイを調製するためのプロセスであって、前記プロセスは、以下に示すように、
(a)複数のダイオードを含む基板を提供することと、
(b)請求項5に記載の前記ネガティブフォトレジスト組成物を、複数のダイオードピクセルを含む前記基板上にコーティングすることと、
(c)前記ダイオードピクセル上に存在する前記ネガティブフォトレジスト組成物を露光して、前記ネガティブフォトレジスト組成物中の前記フォトレジストレジスト樹脂を硬化させて、前記ダイオードピクセル上にレンズパッチを形成することと、
(d)前記未露光/未硬化ネガティブフォトレジスト組成物をアルカリ水溶液で洗い流すことと、
(e)前記基板及びレンズパッチの上に平坦化ポリマーを塗布することと、
(f)前記平坦化ポリマーを硬化させることと、を含む、プロセス。
【請求項7】
工程(b)が、請求項5に記載の前記ネガティブフォトレジスト組成物を前記基板上にスピンコーティングすることを含む、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
工程(c)が、前記ネガティブフォトレジスト組成物をマスクを通して露光して、前記ネガティブフォトレジスト組成物の特定の部分を選択的に露光し、露光された前記ネガティブフォトレジスト組成物中の前記フォトレジストの硬化を引き起こすことを含む、請求項6又は請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記アルカリ水溶液が、水酸化テトラメチルアンモニウムを含む、請求項6~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記平坦化ポリマーが、前記硬化フォトレジスト樹脂よりも少なくとも0.1低い屈折率を有する硬化性ポリマーである、請求項6~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトレジスト樹脂、フォトレジスト樹脂を含むネガティブフォトレジスト組成物及びネガティブフォトレジスト組成物の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学発光ダイオード(OLED)ディスプレイを作製する2つの手法がある。第1の手法は、比較的低い屈折率(RI)のネガティブフォトレジスト組成物をパターン化して、ダイオードピクセル上にレンズパッチを作製し、次いで、レンズパッチの周囲を比較的高いRIの平坦化ポリマーで充填することである。第2の可能な手法は、比較的高いRIのフォトレジスト組成物をパターン化して、RGBダイオードピクセル上にレンズパッチを作製し、次いで、レンズパッチの周囲をより低いRIの平坦化ポリマーで充填することである。企業は、この第2の手法を使用してOLEDディスプレイを調製するためのフォトレジスト組成物を要求しているが、第2の手法には課題がある。
【0003】
第2の手法の課題は、レンズパッチを作製するのに適した十分に高いRIを有するネガティブフォトレジスト組成物を形成するのに十分に高いRIを有するフォトレジスト樹脂を見出すことである。レンズ材料用の比較的高いRIのネガティブフォトレジスト組成物と比較的低い平坦化ポリマーとの間のRIの差は、少なくとも0.10であるべきである。典型的な平坦化ポリマーは、1.45のRIを有し(本明細書におけるRI値は、632nm及び21~23℃で測定される)、従って、ネガティブフォトレジスト組成物は、少なくとも1.55のRIを有しなければならない。基板上にスピンコーティングすることができる許容可能なネガティブフォトレジスト組成物に配合できる適切なフォトレジスト樹脂は、均一なコーティングを形成することができるように、3,000超~100,000ダルトン以下、好ましくは5,000~20,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有していなければならない。フォトレジスト樹脂は更に、フォトレジスト樹脂が粘着性でなく、所望の機械的特性を欠くように、フォトレジストのベーキング温度よりも少なくとも摂氏10度(℃)高いガラス転移温度(Tg)を有していなければならず、フォトレジスト樹脂のガラス転移温度を100℃以上であるべきことを意味する。フォトレジスト樹脂は、光硬化性、特にフォトマスクを通してパターンに光硬化性でなければならず、未硬化材料を除去してパターン硬化材料を残すために、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)溶液などの現像剤材料に可溶性でなければならない。
【0004】
第2の手法によるOLEDディスプレイを作製する際にフォトレジストとして使用するための要件を満たすフォトレジスト樹脂を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、最初にネガティブフォトレジスト組成物をRGBダイオードピクセル上のレンズパッチとしてパターン化し、次いでより低いRI平坦化ポリマーで平坦化することによって、OLEDディスプレイの作製におけるフォトレジストとして使用するための要件を満たすネガティブフォトレジスト組成物を調製するのに好適なフォトレジスト樹脂、及びそのようなOLEDディスプレイを作製するためのプロセスを提供する。
【0006】
本発明は、1.55以上のRIを有するネガティブフォトレジスト組成物におけるフォトレジスト樹脂として好適であるように、十分に高いRIを有するフォトレジスト樹脂を調製する方法を発見した結果であり、フォトレジスト樹脂は、3,000~50,000ダルトンの範囲の重量平均分子量、少なくとも100℃のTgを有し、TMAH溶液中で溶解度を示す。更に、フォトレジスト樹脂(及びネガティブフォトレジスト組成物)は、ケイ素原子含量に対して20.0モルパーセント(mol%)未満のSi-OZ含量を含有しながらこれらの特性を達成し、1.0mol%以下のSi-OZ含量であってもこれらの特性を達成することができ、「Si-OZ」は、ケイ素原子に結合したヒドロキシル基及びアルコキシル基を指す。他のフォトレジスト樹脂は、塩基性現像剤溶液への溶解度を達成するために、より多量のSi-OHを含有する。本発明は、このようなフォトレジスト樹脂を調製するために必要な官能基の組み合わせ、特に、これらの特性を達成するために必要な各官能基の濃度範囲を発見した結果である。特に、SiH含量は塩基性現像剤溶液の溶解度を達成するために必要であることが発見された。
【0007】
更に、小さいシラン分子(500ダルトン未満の重量平均分子量)及び/又は有機ポリマー骨格上にペンダントシリル基を有する有機樹脂は、そのような分子に関連する潜在的なガス放出問題が光学レンズを汚染することを防止するために、組成物中で回避することができる。小さなシラン分子は、ベーキング中又は硬化中の露光の際にガス放出する可能性がある。同様に、ペンダントシリル基を有する有機樹脂は、ベーキング中又は硬化中の露光の際にシリル基の切断を受ける可能性があり、切断された基はガス放出する可能性がある。ガス放出分子は、プロセス中の他の構成要素を汚染する可能性があるので、望ましくない。幸いにも、本発明の樹脂及び組成物は、小さなシラン分子及び/又はペンダントシリル基を有する有機樹脂を含まなくてもよい。
【0008】
第1の態様において、本発明は、光硬化性樹脂を含む組成物であって、光硬化性樹脂が、3,000~50,000ダルトンの範囲の重量平均分子量、少なくとも摂氏100度のガラス転移温度を有し、以下のシロキサン単位、50~80モルパーセントの(HSiO3/2)、10~30モルパーセントの(RSiO3/2)、10~40モルパーセントの(ArSiO3/2)、及び20.0モルパーセント未満のSi-OZ含量を含み、モルパーセント値は、光硬化性樹脂中のケイ素原子のモルに対するものであり、Rが光硬化性基であり、各出現におけるArが、ハロゲン置換アリール基及びポリアリール基の群から選択され、各出現におけるZは、水素及びアルキル基から選択され、下付き文字x及び下付き文字yは、各出現において独立して、1又は2のいずれかである、組成物である。組成物は、10~50重量パーセントの請求項1~4のいずれか一項に記載のフォトレジスト樹脂と、1~3重量パーセントの濃度の光開始剤と、49~89重量パーセントの溶媒とを含むネガティブフォトレジスト組成物であってもよく、重量パーセントはフォトレジスト組成物の重量に対するものである。光硬化性樹脂は、1.0モルパーセント以下のSi-OZ含量を有することができる。
【0009】
第2の態様において、本発明は、第1の態様のネガティブフォトレジスト組成物バージョンを使用して光学発光ダイオードディスプレイを調製するためのプロセスであって、プロセスは、以下に示すように、(a)複数のダイオードを含む基板を提供することと、(b)ネガティブフォトレジスト組成物を、複数のダイオードピクセルを含む基板上にコーティングすることと、(c)ダイオードピクセル上に存在するネガティブフォトレジスト組成物を露光して、ネガティブフォトレジスト組成物中のフォトレジストレジスト樹脂を硬化させて、ダイオードピクセル上にレンズパッチを形成することと、(d)未露光/未硬化ネガティブフォトレジスト組成物をアルカリ水溶液で洗い流すことと、(e)基板及びレンズパッチの上に平坦化ポリマーを塗布することと、(f)平坦化ポリマーを硬化させることと、を含む、プロセスである。
【0010】
本発明のフォトレジスト樹脂及びネガティブフォトレジスト組成物は、本発明のプロセスに従ってOLED物品を調製するのに有用である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
試験方法は、日付が試験方法の番号と共に示されていない場合、本文書の優先日に直近の試験方法を指す。試験方法への言及は、試験の協会及び試験方法番号への参照の両方を含む。本明細書では、以下の試験方法の略語及び識別子が適用される。ASTMは、ASTM国際方法を指し、ENは、European Normを指し、DINは、ドイツ規格協会(Deutsches Institut fur Normung)を指し、ISOは、国際標準化機構(International Organization for Standards)を指し、ULは、米国保険業者安全試験所(Underwriters Laboratory)を指す。
【0012】
商品名で識別される製品は、本文書の優先日においてそれらの商品名で入手可能な組成物を指す。
【0013】
「複数の」とは、2つ以上を意味する。「及び/又は」とは、「及び、又は代替として」を意味する。全ての範囲は、特に指示がない限り、終点を含む。特に明記しない限り、全ての重量パーセント(重量%)値は組成物の重量に対するものであり、全ての体積パーセント(体積%)の値は組成物の体積に対するものである。
【0014】
シロキサン単位は、本出願において以下の用語を有し、各O1/2は、別のシロキサン単位と共有され、O1/2も有する他のシロキサン単位において特定される酸素に対応する。例えば、化学構造(RSiO1/2を有する分子は、RSiOSiRに対応し、各シロキサン単位のO1/2は、単一の酸素原子に対応する。「Q」型シロキサン単位は、化学構造(SiO4/4)を有し、酸素を介して4つの他のシロキサン単位に結合したケイ素原子であることを意味する。「T」型シロキサン単位は、化学構造(RSiO3/4)を有し、Rは、水素、ヒドロカルビル、又は酸素原子を介して3つの他のシロキサン単位に結合しているケイ素原子に結合しているいくつかの他の基である。「D」型シロキサン単位は、化学構造(RR’SiO3/4)を有し、R及びR’のそれぞれは、水素、ヒドロカルビル、又は酸素原子を介して2つの他のシロキサン単位に結合しているケイ素原子に結合しているいくつかの他の基である。「M」型シロキサン単位は、化学構造(RR’R”SiO1/2)を有し、R、R’及びR”のそれぞれは、水素、ヒドロカルビル、又は酸素原子を介して別のシロキサン単位に結合しているケイ素原子に結合している他の基である。
【0015】
核磁気共鳴(NMR)スペクトル分析を使用して樹脂構造を決定する。Varian XL-400分光計を使用してNMRスペクトルを記録する。H、13C及び29Siスペクトルの化学シフトを内部の溶媒共鳴に対して参照し、テトラメチルシランと比較して報告する。
【0016】
「分子量」は、本明細書で特に明記しない限り、重量平均分子量を指す。Waters 600ポンプ、Waters 717オートサンプラー、及びWaters 410示差屈折計を使用したゲル浸透クロマトグラフ(GPC)によって、重量平均分子量及び多分散性を決定した。
【0017】
6~10ミリグラムの乾燥樹脂(80℃及び133パスカル(1ミリメートル水銀)の真空オーブン内で10時間乾燥させた樹脂)を試料皿に装填し、10℃/分の速度で23℃から200℃まで上昇させ測定することにより、DSC-Q2000機器を用いて樹脂のガラス転移温度(Tg)を決定する。
【0018】
本発明の組成物は、光硬化性樹脂を含み、光硬化性樹脂からなることができる。光硬化性樹脂は、以下のシロキサン単位、(HSiO3/2)、(RSiO3/2)、(ArSiO3/2)、並びに任意選択で、(ZO)(R)SiO(3-x)/2及び/又は(ZO)(Ar)SiO(3-y)/2単位を含み、これらからなることができる。ここで、
は、光硬化性基であり、好ましくは、各出現において独立して、エポキシ含有基、アクリレート含有基、アクリルオキシ基、ビニルエーテル基、及びビニル基からなる群から選択される。望ましくは、各R基は、各出現において独立して、エポキシシクロヘキシルエチル基(「CHEp」基)、グリシドキシプロピル基(「Ep」基)、及びメタクリルオキシプロピル基(「MA」基)からなる群から選択される。同じ分子内で、各R基は同じであってもよく、異なってもよい。
Arは、ハロゲン置換アリール基及びポリアリール基からなる群から選択される。望ましくは、各Ar基は、各出現において独立して、以下の化学構造(i)~(v)を有するものからなる群から選択される。
【0019】
【化1】

本明細書中で便宜上、化学構造は、上記Ar基について以下の略語を使用する。(i)「An」、(ii)「Naph」、(iii)「TBP」、(iv)「PBP」、及び(v)「TPS」。
Zは、各出現において独立して、水素及びアルキル基から選択される。望ましくは、アルキル基は、1個以上の炭素原子を有するアルキル基であり、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、更には6個以上の炭素原子を有し得ると同時に、典型的には、8個以下、7個以下、6個以下、5個以下、4個以下、3個以下、更には2個以下の炭素原子を含有するアルキル基である。望ましくは、Zは、各出現において独立して、水素、メチル基及びエチル基からなる群から選択される。
下付き文字x及び下付き文字yは、各出現において独立して、1又は2のいずれかである。
【0020】
本発明のフォトレジスト樹脂は、望ましくは、以下の平均化学構造(I)を有する。
(HSiO3/2(RSiO3/2(ArSiO3/2[(ZO)(R)SiO(3-x)/2[(ZO)(Ar)SiO(3-y)/2 (I)
式中、
、Ar、Z並びに下付き文字x及び下付き文字yは、先に定義したとおりである。
下付き文字aは、樹脂中の(HSiO3/2)シロキサン単位の平均モル比であり、樹脂中のシロキサン単位の総モルに対して、0.50以上の値を有し、0.60以上、更には0.70以上の値を有し得ると同時に、典型的には0.80以下であり、0.70以下、又は更には0.60以下の値であり得る。
下付き文字bは、樹脂中の(RSiO3/2)シロキサン単位の平均モル比であり、樹脂中のシロキサン単位の総モルに対して、0.10以上の値を有し、0.15以上、0.20以上、更には0.25以上の値を有し得ると同時に、典型的には0.30以下、0.25以下、0.20以下、又は更には0.15以下の値である。
下付き文字cは、樹脂中の(ArSiO3/2)シロキサン単位の平均モル比であり、樹脂中のシロキサン単位の総モルに対して、0.10以上の値を有し、0.20以上、更には0.30以上の値を有し得ると同時に、典型的には、0.40以下、0.30以下、又は更には0.20以下の値を有する。
下付き文字dは、樹脂中の(ZO)(R)SiO(3-x/2)シロキサン単位の平均比であり、下付き文字eは、樹脂中の(ZO)(Ar)SiO(3-y/2)シロキサン単位の平均モル比であり、下付き文字d及び下付き文字eの合計は、0以上の値を有し、0より大きい値、0.001以上、更には0.005以上の値を有し得ると同時に、典型的には、総Si-OZ含量が、樹脂中のSi原子のモルに基づいて、20モル%以下、18モル%以下、16モル%以下、14モル%以下、12モル%以下、10モル%以下、8モル%以下、6モル%以下、4モル%以下、2.0モル%以下、望ましくは1.0モル%以下、更には0.5モル%以下、又は更には0.1モル%以下であるように十分に低い。概して、下付き文字d及び下付き文字eの合計は、樹脂中のシロキサン単位の総モル数に対して、0.20以下、0.18以下、0.16以下、0.15以下、0.12以下、0.10以下、0.08以下、0.06以下、0.04以下、0.03以下、0.02以下であり、望ましくは0.01以下であり、0.005以下、更には0.001以下であり得る。下付き文字x及び下付き文字yは、各出現において独立して、1又は2のいずれかである。
下付き文字a、下付き文字b、下付き文字c、下付き文字d、及び下付き文字eの値の合計は1.00である(すなわち、望ましくはa+b+c+d+e=1.00)。
【0021】
フォトレジスト樹脂、及び全体としての組成物は、不飽和炭素-炭素結合(すなわち、炭素-炭素二重結合及び三重結合)を含まなくてもよい。
【0022】
望ましくは、組成物は、フォトレジスト、光開始剤、溶媒、及び任意選択で2重量%までの追加の添加剤を含むか、又はそれらからなるネガティブフォトレジスト組成物である。
【0023】
ネガティブフォトレジスト組成物は、ネガティブフォトレジスト組成物の重量に対して、典型的には、フォトレジスト樹脂を10重量%以上含み、20重量%以上、30重量%以上、更には40重量%以上含み得ると同時に、典型的には、50重量%以下を含み、40重量%以下、30重量%以下、更には20重量%以下のフォトレジスト樹脂を含み得る。
【0024】
ネガティブフォトレジスト組成物は、ネガティブフォトレジスト組成物の重量に対する重量%で、典型的には、1重量%以上、又は2重量%以上の濃度で光開始剤を含むと同時に、典型的には、3重量%以下であり、2重量%以下であり得る。
【0025】
光硬化性基Rがエポキシ含有基又はビニルエーテル基である場合、光開始剤はカチオン性光開始剤(光酸発生剤又はPAGとも呼ばれる)である。カチオン性光開始剤は、露光時に化学線分解を受ける化学物質である。この分解により、活性カチオン種とアニオン種が生成される。換言すれば、カチオン光開始剤は、活性カチオン種及びアニオン種を含む。いくつかの実施形態では、カチオン種はオニウム塩を含む。オニウム塩としては、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、テトラアリールホスホニウム塩などを挙げることができる。いくつかの実施形態において、アニオン種は、BF-、PF-、AsF-、SbF-、及び(CB-の群から選択される。PAGの例としては、ビス(4-ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、(p-ドデシルフェニル)(p-メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、(p-イソプロピルフェニル)(p-メチルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、硝酸ジフェニルヨードニウム、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、(4-フルオロフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフレート、N-ヒドロキシナフタルイミドトリフレート、(4-ヨードフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフレート、(4-メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフレート、(4-フェノキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフレート、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ-1-ブタンスルファネート、トリフェニルスルホニウムトリフレート、トリス(4-tert-ブイチフェニル)スルホニウムパーフルルロ-1-ブタンスルホネート(tris(4-tert-buityphenyl)sulfonium perflulro-1-butanesulfonate)、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ-1-ブタンスルホネート及びビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムp-トルエンスルホネートが挙げられる。
【0026】
光硬化性基Rがアクリレート含有基、アクリルオキシ基又はビニル基である場合。光開始剤はフリーラジカル光開始剤である。フリーラジカル光開始剤は、露光時に化学線分解を受ける化学物質である。この分解により、活性フリーラジカルが生成され、アクリレート含有基、アクリロキシ基、又はビニル基の重合を誘導する。フリーラジカル光開始剤は、制限されず、架橋反応を促進するのに有効な任意の公知のフリーラジカル型光開始剤から選択されるものでよい。光開始剤(b)の例としては、ジエトキシアセトフェノン(DEAP)、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ジエトキシキサントン、クロロ-チオキサントン、アゾ-ビスイソブチロニトリル、N-メチルジエタノールアミンベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルホリン-4-yl-フェニル)-ブタン-1-オン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0027】
ネガティブフォトレジスト組成物は、溶媒が含まれ、溶媒は、ネガティブフォトレジスト組成物の重量に対する重量%で、典型的には、49重量%以上の濃度であり、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、更には80重量%以上の濃度で含まれ得ると同時に、典型的には、89重量%以下の濃度であり、又は更には80重量%以下、70重量%以下、60重量%以下、若しくは更には50重量%以下の濃度で存在する。好適な溶媒の例としては、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、2-ヘプタノン、メチルペンチルケトン(MAK)、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、エチルラクテートのようなラクテートアルキルエステル、1,2-プロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート(PGMEA)、アルキレングリコールモノアルキルエステル、ブチルアセテート、2-エトキシエタノール、及びエチル3-エトキシプロピオネートが挙げられる。
【0028】
ネガティブフォトレジスト組成物は、増感剤、界面活性剤、及びクエンチャから選択される添加剤のいずれか1つ又は複数の任意の組み合わせなどの追加の添加剤を含むことができる。増感剤は、第1の波長の放射線を吸収し、第2の波長の放射線を放出して、放出された放射線を光開始剤に移動させることによって、光開始剤の活性を高めるのに有用である。界面活性剤は、基板上の組成物のコーティング又は基板上の下層の均一性を改善するのに有用である。クエンチャとしては、有機アミン等の塩基性物質が挙げられる。好適なクエンチャとしては、米国特許出願公開第2003/0017415号の段落306~315に列挙されている化合物、米国特許第8148043号に記載されている有機塩基添加剤、及び米国特許第10990012号に見出されるオキサミンが挙げられる。具体例としては、2-(2-アミノフェニル)-イソインドール-1,3-ジオン、1-(2-((1H-1,2,3-ベンゾトリアゾール-1-イルメチル)アミノ)フェニル)エタノン、1-((2,3-ジメチル-フェニルアミノ)-メチル)-ピロリジン-2,5-ジオン、1-(2-メチル-4-フェニルアミノ-3,4-ジヒドロ-2H-キノリン-1-イル)-ヘプタン-1-オン、2-((3-フルオロ-4-メチル-フェニルアミノ)-メチル)-フェノール、N,N-ジエチルアニリン、トリ(1-メチル-エタノール-2-イル)-アミン、トリ(2-(3’-メチルブチルオキシ)エチル)-アミン、トリ(2-(ヘキシルオキシ)エチル)-アミン、トリ(2-(メトキシメトキシ)エチル1)-アミンなどの第三級アリールアミンが挙げられる。追加の添加剤の合計濃度は、ネガティブフォトレジスト組成物の重量に対して、0重量%以上、更には1重量%以上であり得ると同時に、典型的には、2重量%以下、又は更には1重量%以下である。
【0029】
本発明のプロセスは、光学発光ダイオードディスプレイを調製するためのプロセスであって、プロセスは、以下に示すように、(a)複数のダイオードピクセルを含むシリコンウェハなどの基板を提供することと、(b)本明細書に記載されるネガティブフォトレジスト組成物を基板上にコーティングすることであって、基板が複数のダイオードピクセルを含むことと、(c)ダイオードピクセル上に存在するネガティブフォトレジスト組成物を露光して、ネガティブフォトレジスト組成物中のフォトレジスト樹脂を硬化させて、ダイオードピクセル上にレンズパッチを形成することと、(d)未露光/未硬化ネガティブフォトレジスト組成物をアルカリ水溶液で洗い流すことと、(e)基板及びレンズパッチの上に平坦化ポリマーを塗布することと、(f)平坦化ポリマーを硬化させることと、を含む、プロセスである。
【0030】
工程(b)が、望ましくは、本発明のネガティブフォトレジスト組成物を基板上にスピンコーティングすることを含む。ネガティブフォトレジスト組成物を基板上に塗布するための好適な代替方法としては、スプレーコーティング、ディップコーティング、スリットコーティング及び重力コーティングが挙げられる。
【0031】
工程(c)が、望ましくは、ネガティブフォトレジスト組成物をマスクを通して露光して、ネガティブフォトレジスト組成物の特定の部分を選択的に露光し、露光されたネガティブフォトレジスト組成物中のフォトレジストの硬化を引き起こすことを含む。好ましくは、マスクは、フォトレジストがダイオードピクセル上のレンズパッチに硬化するように、ダイオードピクセル上に存在するネガティブフォトレジスト組成物部分の曝露のみを可能にする。
【0032】
工程(d)が、工程(c)の後に行われ、未硬化のネガティブフォトレジスト組成物を基板から洗い流し、それによって硬化部分のみを残すことを含む。アルカリ水溶液で洗い流す。望ましくは、アルカリ水溶液が、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(2.35~2.62重量%濃度)を含む。アルカリ水溶液の他の例は、コリン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、プロピルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ピロール、ピペリジン、l,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、及びl,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネンである。
【0033】
平坦化ポリマーは、基板上の硬化したフォトレジスト上に塗布され、硬化したフォトレジスト部分の間の空間を充填して基板上に平坦な表面を形成する硬化性ポリマーである。平坦化ポリマーは、スピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、スリットコーティング、又は重力コーティングによって塗布することができる。平坦化ポリマーを塗布した後、それを硬化させて、基板上に硬化ポリマーコーティングを形成する。
【0034】
硬化した平坦化ポリマーは、望ましくは、ネガティブフォトレジスト組成物のRIよりも少なくとも0.1低いRIを有する。硬化又は非硬化のネガティブフォトレジスト組成物及びフォトレジスト樹脂は、1.55以上のRIを有し、1.60以上、1.65以上であってもよい。21~23℃で632ナノメートルの光を使用する偏光解析法によってRIを決定する。
【実施例
【0035】
表1に、以下の例を調製する際に使用するための材料を示す。
【0036】
【表1】

IRGANOXは、BASF SE Companyの商標である。DOWSILは、The Dow Chemical Companyの商標である。
【0037】
ヒドロシルセスキオキサン(HSQ)樹脂の合成
トルエン中の濃硫酸の存在下でトリクロロシランの制御された加水分解を用いてHSQ樹脂を調製する(Frye,C.L.;Collins,W.T.;J.Am.Chem.Soc.92(19);1970,5586-5588の教示に従う)。HSQ樹脂は、2,200の重量平均分子量及び2.78の多分散性指数を有する。ケイ素のモルに対するヒドロキシ及びアルコキシのモルは、0.1重量%未満である。
【0038】
9-アリルオキシアントラセン合成
208.3gの9-(ヒドロキシメチル)アントラセン(Sigma-Aldrich)、121.0gの2-ブロモプロペン(Signa-Aldrich)及び1.5gの水酸化ナトリウムを、500gのトルエン中において70℃で6時間反応させることによって、9-アリルオキシアントラセン(CAS#125340-11-6)を調製する。6時間後、混合物を25℃に冷却し、酢酸で中和し、次いで濾過する。40℃でロトバップにより揮発性物質を除去する。エタノール中で再結晶し、黄色の結晶性粉末を得た。H-NMR(CDCl):d 8.42(m,3H)、8.02(d,2H)、7.50(m,4H)、6.10(m,1H)、5.41(S,2H)、5.38(d,1H)、5.25(d,1H)、4.20(d,2H)。
【0039】
(3-(アントラセン-9-イルメトキシ)プロピル)トリエトキシシラン合成
9-アリルオキシアントラセン(22.2g)とトリエトキシシラン(16.5g)とを、トルエン(100g)中のKarstedtの白銀触媒(0.02g)の存在下で60℃で3時間反応させて、(3-(アントラセン-9-イルメトキシ)プロピル)トリエトキシシランを調製した。反応が完了した後、0.5gの活性炭を添加し、30分間撹拌した。25℃に冷却し、0.4マイクロメートルのメンブレンフィルターで濾過した。ロトバップ(40℃/100パスカル)によって揮発性物質を除去して、透明で薄い黄茶色の液体を得る。H-NMR(CDCl):d.8.61(S,2H)、8.45(d,2H)、8.20(d,2H)、7.70(m,4H)、5.68(S,2H)、4.62(m,8H)、4.05(2H)、1.42(2H)、1.28(9H)、0.56(2H)。
【0040】
実施例1:
実施例(例)1は、構造(I)の以下の形態の平均化学構造を有する。
(HSiO3/20.56(EpSiO3/20.17(AnSiO3/20.27[(ZO)(Ep)SiO(3-x)/2[(ZO)(An)SiO(3-y)/2
式中、材料は、GPCによって決定されるように重量平均分子量が4,920であり、多分散性(PDI)が3.05であり、Si-OZ含量が1モル%未満である。
【0041】
例1を以下の方法で調製する。25重量%トルエン中の75重量%HSQ樹脂からなる1,000グラム(g)のHSQ樹脂溶液(HSQ樹脂溶液重量に対する重量%)を3リットルフラスコに添加する。107.8gのアリルグリシジルエーテル、331.6gの9-(ヒドロキシメチル)アントラセン、及び0.080gのKarstedtの白金触媒を添加する。混合物を80℃で撹拌し、H核磁気共鳴(NMR)分光法によって反応を監視する。80℃で6時間撹拌した後、10gの活性炭を溶液に添加し、80℃で更に1時間撹拌し、次いで25℃に冷却する。溶液を0.45マイクロメートルのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターを通して濾過し、ロトバップ(40℃/133パスカル)を使用してPGMEAに溶媒交換する。得られたPGMEA溶液を30重量%固形分(120℃で30分間の不揮発性含量「NVC」)に希釈し、次いで0.2マイクロメートルのPTFEフィルターを通して濾過して、最終生成物を得る。高密度ポリエチレンボトルに保存する。溶液は主に実施例1であるが、少量の以下の遊離異性化モノマー(H NMRによって決定されるように0.6重量%のA及び1.5重量%のB)も含有する。
【0042】
【化2】
【0043】
実施例2:
例2は、以下の構造(I)の形態の平均化学構造を有する。
(HSiO3/20.59(EpSiO3/20.17(AnSiO3/20.24[(ZO)(Ep)SiO(3-x)/2[(ZO)(An)SiO(3-y)/2
式中、材料は、GPCによって決定されるように重量平均分子量が4,857であり、PDIが3.03であり、Si-OZの含量が1モル%未満である。
【0044】
100グラム(g)のHSQ樹脂溶液(トルエン中25重量%)、10.78gのアリルグリシジルエーテル、33.16gの9-(ヒドロキシメチル)アントラセン、0.024gのKarstedtの白金触媒、及び2.0gの活性炭を使用することを除いて、例1と同様の方法で例2を調製する。
【0045】
高密度ポリエチレンボトルに保存する。溶液は主に実施例2であるが、H NMRで決定されるように、少量の遊離異性化モノマーA(0.5重量%)及びB(1.3重量%)も含有する。
【0046】
実施例3:
例3は、以下の構造(I)の形態の平均化学構造を有する。
(HSiO3/20.68(EpSiO3/20.17(AnSiO3/20.15[(ZO)(Ep)SiO(3-x)/2[(ZO)(An)SiO(3-y)/2
式中、材料は、GPCによって決定されるように重量平均分子量が5,554であり、PDIが3.12であり、Si-OZの含量が1モル%未満である。
【0047】
100グラム(g)のHSQ樹脂溶液(トルエン中25重量%)、10.78gのアリルグリシジルエーテル、19.91gの9-(ヒドロキシメチル)アントラセン、0.024gのKarstedtの白金触媒、及び2.0gの活性炭を入れた500ミリリットルフラスコを使用することを除いて、例1と同様の方法で例3を調製する。
【0048】
高密度ポリエチレンボトルに保存する。溶液は主に実施例2であるが、H NMRで決定されるように、少量の遊離異性化モノマーA(0.5重量%)及びB(1.0重量%)も含有する。
【0049】
実施例4:
例4は、以下の構造(I)の形態の平均化学構造を有する。
(HSiO3/20.53(CHEpSiO3/20.20(AnSiO3/20.27[(ZO)(CHEp)SiO(3-x)/2[(ZO)(An)SiO(3-y)/2
式中、材料は、GPCによって決定されるように重量平均分子量が7,821であり、PDIが4.50であり、Si-OZの含量が1モル%未満である。
【0050】
100グラム(g)のHSQ樹脂溶液(トルエン中25重量%)、10.78gの4-ビニル-1-シクロヘキセン1,2-エポキシド(アリルグリシジルエーテルの代わり)、33.16gの9-(ヒドロキシメチル)アントラセン、0.024gのKarstedtの白金触媒、及び2.0gの活性炭を入れた500ミリリットルフラスコを使用することを除いて、例1と同様の方法で例4を調製する。
【0051】
高密度ポリエチレンボトルに保存する。溶液は主に実施例2であるが、H NMRで決定されるように、少量の遊離異性化モノマーB(1.7重量%)も含有する。
【0052】
実施例5:
例5は、以下の構造(I)の形態の平均化学構造を有する。
(HSiO3/20.63(CHEpSiO3/20.20(AnSiO3/20.17[(ZO)(CHEp)SiO(3-x)/2[(ZO)(An)SiO(3-y)/2
式中、材料は、GPCによって決定されるように重量平均分子量が33,966であり、PDIが18.65であり、Si-OZの含量が1モル%未満である。
【0053】
100グラム(g)のHSQ樹脂溶液(トルエン中25重量%)、10.78gの4-ビニル-1-シクロヘキセン1,2-エポキシド(アリルグリシジルエーテルの代わり)、22.12gの9-(ヒドロキシメチル)アントラセン、0.024gのKarstedtの白金触媒、及び2.0gの活性炭を入れた500ミリリットルフラスコを使用することを除いて、例1と同様の方法で例5を調製する。
【0054】
高密度ポリエチレンボトルに保存する。溶液は主に実施例2であるが、H NMRで決定されるように、少量の遊離異性化モノマーB(1.0重量%)も含有する。
【0055】
実施例6:
例6は、以下の構造(I)の形態の平均化学構造を有する。
(HSiO3/20.55(CHEpSiO3/20.15(NaphSiO3/20.30[(ZO)(CHEp)SiO(3-x)/2[(ZO)(Naph)SiO(3-y)/2
式中、材料は、GPCによって決定されるように重量平均分子量が9,538であり、PDIが3.31であり、Si-OZの含量が1モル%未満である。
【0056】
100グラム(g)のHSQ樹脂溶液(トルエン中25重量%)、8.79gの4-ビニル-1-シクロヘキセン1,2-エポキシド(アリルグリシジルエーテルの代わり)、21.84gのビニルナフタレン(9-(ヒドロキシメチル)アントラセンの代わり)、0.024gのKarstedtの白金触媒、及び2.0gの活性炭を入れた250ミリリットルフラスコを使用することを除いて、例1と同様の方法で例6を調製する。高密度ポリエチレンボトルに保存する。
【0057】
実施例7:
例7は、以下の構造(I)の形態の平均化学構造を有する。
(HSiO3/20.50(CHEpSiO3/20.20(TPSSiO3/20.30[(ZO)(CHEp)SiO(3-x)/2[(ZO)(TPS)SiO(3-y)/2
式中、材料は、GPCによって決定されるように重量平均分子量が9,264であり、PDIが9.00であり、Si-OZの含量が1モル%未満である。
【0058】
50.00グラム(g)のHSQ樹脂溶液(トルエン中25重量%)、8.84gの4-ビニル-1-シクロヘキセン1,2-エポキシド(アリルグリシジルエーテルの代わり)、25.51gの1,1,-ジメチル-3,3,3-トリフェニル-1-ビニルジシロキサン(9-(ヒドロキシメチル)アントラセンの代わり)、0.024gのKarstedtの白金触媒、及び2.0gの活性炭を入れた250ミリリットルフラスコを使用することを除いて、例1と同様の方法で例7を調製する。高密度ポリエチレンボトルに保存する。
【0059】
実施例8:
例8は、以下の構造(I)の形態の平均化学構造を有する。
(HSiO3/20.60(CHEpSiO3/20.20(TPSSiO3/20.20[(ZO)(CHEp)SiO(3-x)/2[(ZO)(TPS)SiO(3-y)/2
式中、材料は、GPCによって決定されるように重量平均分子量が13,538であり、PDIが5.98であり、Si-OZの含量が1モル%未満である。
【0060】
50.00グラム(g)のHSQ樹脂溶液、5.84gの4-ビニル-1-シクロヘキセン1,2-エポキシド(アリルグリシジルエーテルの代わり)、17.02gの1,1,-ジメチル-3,3,3-トリフェニル-1-ビニルジシロキサン(9-(ヒドロキシメチル)アントラセンの代わり)、0.024gのKarstedtの白金触媒、及び2.0gの活性炭を入れた250ミリリットルフラスコを使用することを除いて、例1と同様の方法で例8を調製する。高密度ポリエチレンボトルに保存する。
【0061】
実施例9:
例9は、以下の構造(I)の形態の平均化学構造を有する。
(HSiO3/20.45(CHEpSiO3/20.20(TPSSiO3/20.35[(ZO)(CHEp)SiO(3-x)/2[(ZO)(TPS)SiO(3-y)/2
【0062】
29.80gの1,1-ジメチル-3,3,3-トリフェニル-1-ビニルジシロキサン、2.0gの活性炭を使用する以外は、例8と同様の方法で例9を調製する。例9は、9,562の重量平均分子量、4.32の多分散性、及びケイ素原子濃度に対して1.0モル%未満のSi-OZ含量を有する。
【0063】
実施例10:
(HSiO3/20.40(CHEpSiO3/20.20(TPSSiO3/20.40[(ZO)(CHEp)SiO(3-x)/2[(ZO)(TPS)SiO(3-y)/2
【0064】
34.04gの1,1-ジメチル-3,3,3-トリフェニル-1-ビニルジシロキサン、2.0gの活性炭を使用する以外は、例8と同様の方法で例10を調製する。例9は、9,728の重量平均分子量、4.56の多分散性、及びケイ素原子濃度に対して1.0モル%未満のSi-OZ含量を有する。
【0065】
実施例11:
例11は、以下の構造(I)の形態の平均化学構造を有する。
(HSiO3/20.55(CHEpSiO3/20.15(TBPSiO3/20.30[(ZO)(CHEp)SiO(3-x)/2[(ZO)(TBP)SiO(3-y)/2
式中、材料は、GPCによって決定されるように重量平均分子量が8,350であり、PDIが3.12であり、Si-OZの含量が1モル%未満である。
【0066】
100.00グラム(g)のHSQ樹脂溶液(トルエン中25重量%)、8.79gの4-ビニル-1-シクロヘキセン1,2-エポキシド(アリルグリシジルエーテルの代わり)、54.40gの2,4,6-トリブロモフェニルアリルエーテル(9-(ヒドロキシメチル)アントラセンの代わり)、0.024gのKarstedtの白金触媒、及び2.0gの活性炭を入れた250ミリリットルフラスコを使用することを除いて、例1と同様の方法で例11を調製する。高密度ポリエチレンボトルに保存する。
【0067】
実施例12:
例12は、以下の構造(I)の形態の平均化学構造を有する。
(HSiO3/20.55(CHEpSiO3/20.15(PBPSiO3/20.30[(ZO)(CHEp)SiO(3-x)/2[(ZO)(PBP)SiO(3-y)/2
式中、材料は、GPCによって決定されるように重量平均分子量が8,215であり、PDIが3.08であり、Si-OZの含量が1モル%未満である。
【0068】
100.00グラム(g)のHSQ樹脂溶液(トルエン中25重量%)、8.79gの4-ビニル-1-シクロヘキセン1,2-エポキシド(アリルグリシジルエーテルの代わり)、74.85gのペンタブロモフェニルアリルエーテル(9-(ヒドロキシメチル)アントラセンの代わり)、0.024gのKarstedtの白金触媒、及び2.0gの活性炭を入れた250ミリリットルフラスコを使用することを除いて、例1と同様の方法で例12を調製する。高密度ポリエチレンボトルに保存する。
【0069】
実施例13:
例13は、以下の構造(I)の形態の平均化学構造を有する。
(HSiO3/20.55(MASiO3/20.15(AnSiO3/20.30[(ZO)(MA)SiO(3-x)/2[(ZO)(An)SiO(3-y)/2
式中、SiOZ含量は12.5モル%であり、この材料は、GPCによって決定されるように17,027の重量平均分子量及び5.89のPDIを有する。
【0070】
500ミリリットルフラスコ中で、50gのPGMEA、20.0gの3-(アントラセン-9-イルメトキシ)プロピル)トリエトキシシラン、12.4gのトリクロロシラン及び6.21gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを混合することによって、例13を調製する。撹拌しながら、この混合物に、200グラムのPGMEA及び6.61gの水の溶液を20℃で1時間かけて添加する。添加を完了した後、20℃で2時間撹拌を続ける。得られた樹脂溶液を1リットルの分液漏斗に移し、100ミリリットルの脱イオン水で洗浄する。相分離した水を捨てる。残存する濁った溶液を1リットルのナシフラスコに移し、約20gのエタノールを添加する。ロトバップを40℃及び500パスカルの圧力で使用して溶液をストリップし、PGMEAで30重量%固形分に希釈し、次いで0.20マイクロメートルのPTFEフィルターを通して濾過して、例13を得る。HDPEボトルに保存する。
【0071】
実施例14:
例14は、以下の構造(I)の形態の平均化学構造を有する。
(HSiO3/20.55(MASiO3/20.15(NapSiO3/20.30[(ZO)(MA)SiO(3-x)/2[(ZO)(Nap)SiO(3-y)/2
式中、Si-OZ含量は10.9モル%であり、この材料は、GPCによって決定されるように11,884の重量平均分子量及び6.53のPDIを有する。
【0072】
500ミリリットルフラスコ中で、50gのPGMEA、5.0gの1-ナフィルトリメトキシシラン、9.93gのトリクロロシラン及び10.0gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを混合することによって、例14を調製する。撹拌しながら、この混合物に、200グラムのPGMEA及び5.27gの水の溶液を20℃で1時間かけて添加する。添加を完了した後、20℃で2時間撹拌を続ける。得られた樹脂溶液を1リットルの分液漏斗に移し、100ミリリットルの脱イオン水で洗浄する。相分離した水を捨てる。残存する濁った溶液を1リットルのナシフラスコに移し、約20gのエタノールを添加する。ロトバップを40℃及び500パスカルの圧力で使用して溶液をストリップし、PGMEAで30重量%固形分に希釈し、次いで0.20マイクロメートルのPTFEフィルターを通して濾過して、例14を得る。HDPEボトルに保存する。
【0073】
実施例15:
例15は、以下の構造(I)の形態の平均化学構造を有する。
(HSiO3/20.55(VESiO3/20.15(AnSiO3/20.30[(ZO)(VE)SiO(3-x)/2[(ZO)(An)SiO(3-y)/2
式中、「VE」はCH=CH-O(CH-O-に相当し、Si-OZ含量は7.8モル%であり、この材料は、GPCによって決定されるように5,946の重量平均分子量及び3.34のPDIを有する。
【0074】
500ミリリットルフラスコ中で、100gのHSQ樹脂(トルエン中25重量%)、33.16gの9-アリルオキシアントラセン、及び0.016gのKarstedtの白金触媒を組み合わせることによって、例15を調製する。混合物を80℃で4時間撹拌し、次いで23℃に冷却する。溶液を濾過し、次いで8.22gの1,4-ブタンジオールビニルエーテル及び0.5gのDBTDLを添加する。60℃で3時間撹拌し、次いで2.0gの活性炭を添加する。更に1時間撹拌し、次いで25℃に冷却する。溶液を濾過し、真空ストリップする。PGMEAを添加し、PGMEA中の固体の30重量%溶液を形成する。溶液を0.2マイクロメートルのPTFEフィルターを通して濾過し、例15を得る。HDPEボトルに保存する。
【0075】
比較実施例A:
比較実施例(比較例)Aは、以下の構造(I)の形態の平均化学構造を有する。
(HSiO3/20.75(EpSiO3/20.25[(ZO)(Ep)SiO(3-x)/2
式中、下付き文字dは、xの全ての値にわたって0.01未満であり、この材料は、GPCによって決定されるように7,034の重量平均分子量及び3.21のPDIを有する。
【0076】
1リットルフラスコに、200gのHSQ樹脂溶液(トルエン中25重量%)、32.3gのアリルグリシジルエーテル、及びKarstedtの白金触媒0.24gを添加することによって、比較例Aを調製する。混合物を80℃で2時間撹拌する。5重量%の活性炭を溶液に添加し、23℃で1時間混合を続ける。溶液を濾過し、真空ストリッピング及びPGMEAによる溶媒交換に供して、30重量%樹脂溶液を形成する。樹脂溶液を0.2マイクロメートルのPTFEフィルターを通して濾過し、高密度ポリエチレンボトル中に保存する。
【0077】
比較実施例B:
比較例Bは、以下の構造(I)の形態の平均化学構造を有する。
(HSiO3/20.75(CHEpSiO3/20.25[(ZO)(CHEp)SiO(3-x)/2
式中、下付き文字dは、xの全ての値にわたって0.01未満であり、この材料は、GPCによって決定されるように10,520の重量平均分子量及び4.76のPDIを有する。
【0078】
500ミリリットルフラスコ、100gのHSQ樹脂溶液(トルエン中25重量%)、14.6gの4-ビニル-1-シクロヘキセン1,2-エポキシド(アリルグリシジルエーテルの代わり)、及び0.12gのKarstedtの白金触媒を使用することを除いて、比較例Aと同様の方法で比較例Bを調製する。
【0079】
比較実施例C:
比較例Cは、以下の構造(I)の形態の平均化学構造を有する。
(HSiO3/20.60(STSiO3/20.20(CHEpSiO3/20.20[(ZO)(CHEp)SiO(3-x)/2
式中、「ST」は-CHCHPhであり、Phはフェニルであり、下付き文字dは、xの全ての値にわたって0.01未満であり、この材料は、GPCによって決定されるように7,520の重量平均分子量及び4.76のPDIを有する。
【0080】
500ミリリットルフラスコ、100gのHSQ樹脂(トルエン中25重量%)、11.7gの4-ビニル-1-シクロヘキセン1,2-エポキシド(アリルグリシジルエーテルの代わり)、9.82gのスチレン、及び0.12gのKarstedtの白金触媒を使用することを除いて、比較例Aと同様の方法で比較例Cを調製する。
【0081】
比較実施例D:
比較例Dは、以下の構造(I)の形態の平均化学構造を有する。
(HSiO3/20.50(PhSiO3/20.38[(HO)(Ph)SiO(3-x)/20.12
式中、「Ph」はフェニル基を指し、比較例Dは、GPCによって決定されるように21,800の重量平均分子量及び3.16のPDIを有し、Si-OZ含量は12.0モル%である。
【0082】
米国特許第7756384号の教示に従って、クロロシランの加水分解によって比較例Dを調製する。
【0083】
比較実施例E:
比較例Eは、以下の構造(I)の形態の平均化学構造を有する。
(MeSiO3/20.38(PhSiO3/20.34[(HO)(Me)SiO(3-x)/20.12[(HO)(Ph)SiO(3-x)/20.16
式中、「Ph」はフェニル基を指し、比較例Eは、GPCによって決定されるように2,430の重量平均分子量及び1.55のPDIを有し、Si0OZ含量は28.0モル%である。
【0084】
米国特許第7,756,384号の教示に従って、18.69gのメチルトリクロロシラン及び26.44gのフェニルトリクロロシランの加水分解によって比較例Eを調製する。
【0085】
比較実施例F:
比較例Fは、比較例Dと(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシランとのブレンドである。PGMEA中の30重量%溶液としての8gの比較例Dと、2gの(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシランとを組み合わせ、25℃で混合して均質な混合物を形成することによって調製する。
【0086】
実施例16:
100ミリリットルの高密度ポリエチレンボトル中で40gの例1及び10gの比較例1をブレンドして均質な混合物を形成することによって、例16を調製する。
【0087】
例及び比較例の特徴付け
ネガティブフォトレジスト組成物中の例及び比較例のそれぞれを特徴付ける。
【0088】
例1~例12及び例16の各々並びに各比較例のためのネガティブフォトレジスト組成物を、各例及び比較例の20gの試料、0.06gのp-イソプロピルフェニル)(p-メチルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(光酸発生剤(PAG))と組み合わせることによって調製する。PAGが溶解するまで混合する。混合物を0.2マイクロメートルのPTFEフィルターで濾過して、PGMEA溶媒中に30重量%の樹脂及び1重量%のPAGを含むネガティブフォトレジスト組成物を得る。
【0089】
樹脂の30重量%溶液に3重量%の光開始剤1を添加し、混合して均一な溶液を形成し、次いで0.2マイクロメートルのPTFEフィルターを通して濾過して、PGMEA中に30重量%の樹脂及び1重量%の光開始剤1を含むネガティブフォトレジスト組成物を得て組成物を形成することによって、例13~例15のためのネガティブフォトレジスト組成物を調製する。
【0090】
各ネガティブフォトレジスト組成物を、標準的な片面4インチ研磨低抵抗率ウェハ又は両面研磨フーリエ変換赤外(FTIR)ウェハ上に、特に断りのない限り、スピン速度1,500回転/分、加速度5,000、及び時間20秒でスピンコートする。Karl Suss CT62スピンコーターを使用。ウェハを90℃で60秒間プリベークした後、フュージョンUV装置を用いて広帯域紫外線(UV)照射(0.5ジュール/平方メートル)を行う。スピンコーティングされたウェハを90℃で60秒間ポストベークする。
【0091】
UV照射前の「スピン時」と、UV照射及びポストベークによる「硬化後」の両方で、ネガティブフォトレジスト組成物コーティングを以下の方法で特徴付ける。
ガラス転移温度(Tg)。乾燥樹脂試料のTgを測定する。樹脂を80℃及び133パスカル圧力での真空オーブン内で10時間乾燥させることによって、樹脂の乾燥樹脂試料を調製する。6~10ミリグラムの樹脂及び10℃/分の速度で23℃から200℃の範囲で温度を上昇させ、DSC-Q2000機器を用いて乾燥樹脂のTgを測定する。
コーティング品質。コーティングに明らかな欠陥がなく、均一であれば、「良好」である。コーティングが目に見える欠陥を有し、不均一であり、粘着性表面を有する場合、「不良」である。
コーティング厚。200~900ナノメートルの範囲にわたる波長を有する光源を使用する、J.A.Woollam Company製のエリプソメーターを使用して、偏光解析法によってコーティング厚を決定する。厚さは、コーティングされたウェハ上の9回の測定の平均として決定される。更に、9つの測定値の標準偏差(SD)を決定する。
屈折率。コーティング厚を測定しながら、偏光解析法によって屈折率(RI)を決定する。偏光解析法を測定する手順を使用して硬化前後のRIを測定するが、632ナノメートルの光波長で測定されたRIを報告する。
溶媒及び現像液の溶解度。PGMEA及びTMAHの両方におけるコーティングの溶解度を決定する。PGMEAについては、スピン(1,500回転/分、5,000加速度、Karl Suss CT62スピンコーター上で20秒)しながら、PGMEA約20ミリリットルでコーティングされたウェハを洗い流す。洗い流す作業の前後にコーティング厚を測定し、洗い流す作業によって失われたコーティング厚%として溶解度を報告する。TMAHについては、コーティングされたウェハを、30℃で5分間、TMAHの水溶液(2.8重量%TMAH)に浸漬する。浸漬前後のコーティング厚を測定し、浸漬によって失われたコーティング厚%として溶解度を報告する。少なくとも98.0%の損失は、その溶媒への溶解度を示す。
【0092】
表2は例の特徴を示し、表3は比較例の特徴を示す。「ND」は、決定されていないことを意味する。
【0093】
【表2】
【0094】
【表3】
【手続補正書】
【提出日】2024-06-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光硬化性樹脂を含む組成物であって、前記光硬化性樹脂が、3,000~50,000ダルトンの範囲の重量平均分子量、少なくとも摂氏100度のガラス転移温度を有し、以下のシロキサン単位:50~80モルパーセントの(HSiO3/2)、10~30モルパーセントの(RSiO3/2)、10~40モルパーセントの(ArSiO3/2)、及び20.0モルパーセント以下のSi-OZ含量を含み、モルパーセント値が前記光硬化性樹脂中のケイ素原子のモルに対するものであり、Rが光硬化性基であり、各出現におけるArがハロゲン置換アリール基及びポリアリール基の群から選択され、各出現におけるZが水素及びアルキル基から選択される、組成物。
【請求項2】
前記樹脂は、各出現において独立して、エポキシ含有基、アクリレート含有基、アクリルオキシ基、ビニルエーテル基、及びビニル基からなる群から選択される前記光硬化性基を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記光硬化性基が、各出現において独立して、エポキシシクロヘキシルエチル基、グリシドキシプロピル基及びメタアクリルオキシプロピル基から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
-Ar基が、各出現において独立して、以下の化学構造(i)~(iv)を有するものからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【化1】
【請求項5】
前記組成物が、10~50重量パーセントの請求項1~4のいずれか一項に記載のフォトレジスト樹脂と、1~3重量パーセントの濃度の光開始剤と、49~89重量パーセントの溶媒とを含むネガティブフォトレジスト組成物で、重量パーセントはフォトレジスト組成物の重量に対するものである、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
請求項5に記載の前記ネガティブフォトレジスト組成物を使用して光学発光ダイオードディスプレイを調製するためのプロセスであって、前記プロセスは、以下に示すように、
(a)複数のダイオードを含む基板を提供することと、
(b)請求項5に記載の前記ネガティブフォトレジスト組成物を、複数のダイオードピクセルを含む前記基板上にコーティングすることと、
(c)前記ダイオードピクセル上に存在する前記ネガティブフォトレジスト組成物を露光して、前記ネガティブフォトレジスト組成物中の前記フォトレジストレジスト樹脂を硬化させて、前記ダイオードピクセル上にレンズパッチを形成することと、
(d)前記未露光/未硬化ネガティブフォトレジスト組成物をアルカリ水溶液で洗い流すことと、
(e)前記基板及びレンズパッチの上に平坦化ポリマーを塗布することと、
(f)前記平坦化ポリマーを硬化させることと、を含む、プロセス。
【請求項7】
工程(b)が、請求項5に記載の前記ネガティブフォトレジスト組成物を前記基板上にスピンコーティングすることを含む、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
工程(c)が、前記ネガティブフォトレジスト組成物をマスクを通して露光して、前記ネガティブフォトレジスト組成物の特定の部分を選択的に露光し、露光された前記ネガティブフォトレジスト組成物中の前記フォトレジストの硬化を引き起こすことを含む、請求項6又は請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記アルカリ水溶液が、水酸化テトラメチルアンモニウムを含む、請求項6~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記平坦化ポリマーが、前記硬化フォトレジスト樹脂よりも少なくとも0.1低い屈折率を有する硬化性ポリマーである、請求項6~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【国際調査報告】