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特表2024-541195難燃性多層材料、その製造方法、及び使用
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  • 特表-難燃性多層材料、その製造方法、及び使用 図1
  • 特表-難燃性多層材料、その製造方法、及び使用 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】難燃性多層材料、その製造方法、及び使用
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/18 20060101AFI20241031BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B32B27/18 B
B32B5/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522097
(86)(22)【出願日】2022-10-21
(85)【翻訳文提出日】2024-04-11
(86)【国際出願番号】 US2022047351
(87)【国際公開番号】W WO2023076106
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】63/272,292
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521138305
【氏名又は名称】ロジャーズ・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ロニ・デセルス
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・プリージ
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AA08A
4F100AA08B
4F100AA17A
4F100AA17B
4F100AA37A
4F100AA37B
4F100AC03A
4F100AC03B
4F100AH03A
4F100AH03B
4F100AH05A
4F100AH05B
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100AK03A
4F100AK12A
4F100AK19A
4F100AK21A
4F100AK25A
4F100AK28A
4F100AK33A
4F100AK36A
4F100AK41A
4F100AK42B
4F100AK43A
4F100AK45A
4F100AK46A
4F100AK49A
4F100AK50A
4F100AK51A
4F100AK52A
4F100AK53A
4F100AK54A
4F100AK56A
4F100AK57A
4F100AK75A
4F100AN01A
4F100BA02
4F100BA15
4F100CA08A
4F100CA08B
4F100DJ01A
4F100EH462
4F100EH46B
4F100GB41
4F100JA13A
4F100YY00A
4F100YY00B
(57)【要約】
多層材料であって、400kg/m未満の密度、ASTM D3574-17に準拠して決定された25%たわみにおける5~1,035kPaの圧縮力たわみ、及び3.5ミリメートル未満の厚さを有する圧縮可能なポリマー発泡層と;圧縮可能なポリマー発泡層の第1の面上に配置された中実のポリマー難燃性層であり、0.3ミリメートル未満の厚さであり、圧縮可能なポリマー発泡層の厚さが難燃性層の厚さの少なくとも2倍である、厚さを有する、ポリマー難燃性層とを含み;圧縮可能なポリマー発泡層と難燃性層のそれぞれが難燃性組成物を含み、多層材料が、3.5ミリメートル以下の厚さ、及びV1、好ましくはV0、HF1、又はこれらの組合せのUL-94規格を有する、多層材料。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層材料であって、
400kg/m(25 lb/ft)未満の密度、
ASTM D3574-17に準拠して決定して、25%たわみにおける5~1,035kPaの圧縮力たわみ、及び
3.5ミリメートル(130ミル)未満の厚さ
を有する圧縮可能なポリマー発泡層;及び
前記圧縮可能なポリマー発泡層の第1の面上に配置された、中実のポリマー難燃性層であって、
0.3ミリメートル(11.8ミル)未満の厚さであり、前記圧縮可能なポリマー発泡層の厚さが難燃性層の厚さの少なくとも2倍である、厚さ
を有する、ポリマー難燃性層と
を含み、
前記圧縮可能なポリマー発泡層と前記難燃性層のそれぞれが難燃性組成物を含み、且つ
多層材料が、
3.5ミリメートル(130ミル)以下の厚さ、及び
V1、好ましくはV0、HF1、又はこれらの組合せのUL-94規格
を有する、多層材料。
【請求項2】
前記圧縮可能なポリマー発泡層が、
80~400kg/m(5~25 lb/ft)、又は128~320kg/m(8~20 lb/ft)、又は160~288kg/m(10~18 lb/ft)、又は192~288kg/m(12~18 lb/ft)の密度;及び
ASTM D3574-17に準拠して決定して、25%たわみにおける5~500kPaの圧縮力たわみ
を有する、請求項1に記載の多層材料。
【請求項3】
前記圧縮可能なポリマー発泡層が、0.1~3.5ミリメートル未満(0.04~0.14インチ未満)、又は0.1~3.3ミリメートル(0.04~0.13インチ)、又は0.1~3ミリメートル(0.04~0.118インチ)の厚さを有する、請求項1又は2に記載の多層材料。
【請求項4】
前記圧縮可能なポリマー発泡層が、
ASTM D3574-17に準拠して決定して、25%たわみにおける5~1,035kPa、好ましくは10~500kPaの圧縮力たわみ;
ASTM D3574-17に準拠して決定して、75%たわみにおける100~500kPaの圧縮力たわみ;
ASTM D3574-95、試験Dに準拠して決定して、23℃若しくは70℃で50%たわみにおける0~15%の圧縮永久歪み;又は
これらの組合せ
を更に有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の多層材料。
【請求項5】
前記圧縮可能なポリマー発泡層の圧縮可能なポリマー発泡体が、ポリアセタール、ポリ(C1~6アルキル)アクリレート、ポリアクリル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリ無水物、ポリアリレート、ポリアリーレンエーテル、ポリアリーレンスルフィド、ポリベンゾオキサゾール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリイソシアヌレート、ポリイミド、ポリ(C1~6アルキル)メタクリレート、ポリ((メタ)アクリル酸)、ポリフタリド、ポリオレフィン(例えば、フッ素化ポリオレフィン)、ポリシラザン、ポリスチレン、ポリスルフィド、ポリスルホンアミド、ポリスルホネート、ポリチオエステル、ポリトリアジン、ポリ尿素、ポリビニルアルコール、ポリビニルエステル、ポリビニルエーテル、ポリビニルハロゲン化物、ポリビニルケトン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルエステル、架橋したポリ(エステル)、エポキシ樹脂、メラミン、フェノールポリマー、ポリウレタン、尿素-ホルムアルデヒド、シリコーン、天然ゴム、ポリクロロプレン、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー(EPDM)ゴム、又はこれらの組合せを含み、
好ましくは圧縮可能なポリマー発泡体が、エポキシ樹脂、ポリウレタン、又はこれらの組合せを含む、
請求項1に記載の多層材料。
【請求項6】
圧縮可能なポリマー発泡層の圧縮可能なポリマー発泡体が、ポリウレタン発泡体を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の多層材料。
【請求項7】
難燃性層が、240~1,000kg/m(15~62 lb/ft)、又は288~1,000kg/m(18~62 lb/ft)、又は350~950kg/m(22~59 lb/ft)、又は400~950kg/m(25~59 lb/ft)の密度を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の多層材料。
【請求項8】
難燃性層が、ポリエチレンテレフタレート、好ましくはVTM-0燃焼性規格を有するポリエチレンテレフタレートを含む、請求項7に記載の多層材料。
【請求項9】
圧縮可能なポリマー発泡層及び難燃性層のそれぞれの難燃性組成物が、独立して、金属水酸化物、金属酸化物、金属ホウ酸塩、金属炭酸塩、メラミン、ハロゲン化芳香族化合物、グアニジン、カーボンブラック、膨張性グラファイト、ナノクレイ、有機リン含有化合物、シラザン、リマール塩、又はこれらの組合せを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の多層材料。
【請求項10】
圧縮可能なポリマー発泡層及び難燃性層のそれぞれの難燃性組成物が、独立に、ハロゲン化難燃剤あるいはアンチモン化合物を含まない、請求項1から9のいずれか一項に記載の多層材料。
【請求項11】
ASTM D3574-17に準拠して決定して、25%たわみにおける5~1,035kPa、好ましくは10~500kPa、若しくは25~250kPa、若しくは25~80kPaの圧縮力たわみ;
75%たわみにおける100~500kPa、若しくは200~300kPaの圧縮力たわみ;
ASTM D3574-95、試験Dに準拠して決定して、23℃若しくは70℃で50%たわみにおける0~15%、若しくは0~5%の圧縮永久歪み;又は
これらの組合せ
を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の多層材料。
【請求項12】
圧縮可能なポリマー発泡層が、ポリウレタンを含む、請求項11に記載の多層材料。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の多層材料を製造する方法であって、
圧縮可能なポリマー発泡層及び難燃性層を形成する工程と、
それらの層を接着させるのに有効な条件下で、圧縮可能なポリマー発泡層と難燃性層を接触させて、多層材料を形成する工程と
を含む、方法。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか一項に記載の多層材料を製造する方法であって、
圧縮可能なポリマー発泡層及び難燃性層のうちの一方を形成する工程と、
その形成された層の表面上に、圧縮可能なポリマー発泡層及び難燃性層のうちのもう一方を形成して、多層材料をもたらす工程と
を含む、方法。
【請求項15】
圧縮可能なポリマー発泡層を形成する工程と、次に、
圧縮可能なポリマー発泡層の第1の面上に難燃性層を形成する工程であって、好ましくは、圧縮可能なポリマー発泡層の第1の面上に難燃性組成物をコーティング又は印刷することを含む工程と
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
請求項1から12のいずれか一項に記載の多層材料を含む電子機器であって、好ましくは手持ち式電子機器である、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月27日に出願された米国仮出願第63/272,292号の優先権及び利益を主張し、その全容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、難燃性多層材料、詳細には圧縮性ポリマー発泡体を含む難燃性多層材料、難燃性多層材料を調製する方法、及びその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリマー発泡体は、当技術分野で多様な用途を有する。圧縮性(圧縮可能)(剛性とは反対)発泡体は、特に電子機器における緩衝作用及び衝撃保護に特に有用である。より小さく、より薄く、より小型の機器に対する需要が増加するにつれ、より薄く、より低密度のポリマー発泡体、例えば200キログラム/立方メートル(kg/m)の密度及び3.5ミリメートル(mm)未満、3mm未満、又は更に2mm未満の厚さを有する発泡体に対する需要がある。しかしながら、良好な圧縮永久歪み等の良好な緩衝作用特性、及び良好な難燃性に対する厳しい要求を満たしながら、この厚さの発泡体を製造することは困難であった。これらの特性は、手持ち式電子機器、同様にテレビ、ラジオ、コンピュータ、医療用装置、事務機、通信機器等の電子機器において重要である。そのような機器の性能の向上により、更により小さい空間内で発生する熱の増加に起因して、難燃性を得ることが更に難しくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7,338,983号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「Tests for Flammability of Plastic Materials、UL94」、Underwriter’s Laboratory Bulletin 94
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、薄く、衝撃又は振動を最小限に抑える良好な緩衝作用を提供し、且つ良好な難燃性、例えば3.0mm以下の厚さにおいてV0、HF1、又はこれらの組合せのUL-94規格をもたらしうる軽量な材料に対する必要が当技術分野において依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示されるのは、多層材料であって、400kg/m(25ポンド/立方フィート(lb/ft又はPCF)未満の密度、ASTM D3574-17に準拠して決定して25%たわみにおける5~1,035キロパスカル(kPa)の圧縮力たわみ、及び3.5ミリメートル(130ミル)未満の厚さを有する圧縮性ポリマー発泡層と;圧縮性ポリマー発泡層の第1の面上に配置された、中実のポリマー難燃性層であって、0.3ミリメートル(11.8ミル)未満の厚さであり、圧縮性ポリマー発泡層の厚さが難燃性層の厚さの少なくとも2倍である、厚さを有するポリマー難燃性層とを含み;圧縮性ポリマー発泡層と難燃性層のそれぞれが難燃性組成物を含み、多層材料が、3.5ミリメートル(130ミル)以下の厚さ、及びV1、好ましくはV0、HF1、又はこれらの組合せのUL-94規格を有する、多層材料である。
【0008】
上記の多層材料を製造する方法もまた、多層材料を含む電子機器と同様に開示される。
【0009】
上記の特色及び他の特色は、以下の図、発明を実施するための形態、及び特許請求の範囲によって例示される。
【0010】
以下の図は、本開示を例証するために提供された例示的な態様である。実施例を例示する図は、本開示により製造される生成物を、本明細書に明示される材料、条件、又はプロセスパラメーターに限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、難燃性多層材料の態様の断面概略図である。
図2図2は、単層ポリウレタン発泡体試料、並びにポリウレタン発泡層及び中実のポリマー難燃性層を含む二重層試料に関する厚さ(mm)対密度(kg/m)のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明者らは、圧縮性ポリマー発泡層と、より薄く中実のポリマー難燃性層とを使用して、非常に薄く、良好な緩衝作用特性(クッション特性)及び難燃性を有する難燃性多層材料を製造できることを発見した。この組合せで達成された難燃性により、低い全体密度、良好な圧縮特性、及び優れた難燃性を有する非常に薄い圧縮性材料の製造が可能となる。
【0013】
厚さが減少した難燃性材料が所望される一方、圧縮性ポリマー発泡層(圧縮可能なポリマー発泡層)の難燃性は、厚さの減少につれて低下する。例えば、12 lb/ft(192kg/m)の密度及び3ミリメートル(mm)以下の厚さを有する圧縮性ポリマー発泡層は、望ましいレベルの難燃性をもたらさない場合がある。本発明者らは、望ましいレベルの難燃性をもたらすことはない厚さを有する圧縮性ポリマー発泡層と、より薄く中実のポリマー難燃性層とを組み合わせることによって、圧縮力たわみ、圧縮永久歪み、又はこれらの組合せ等の圧縮性ポリマー発泡層の他の望ましい特性を維持しながら、難燃性の改善を達成できることを、驚いたことに発見した。一側面では、圧縮性ポリマー発泡層は、より薄く中実のポリマー難燃性層(本明細書では、便宜上、難燃性層と呼びうる)の少なくとも2倍の厚さ、例えば、少なくとも3倍の厚さ、少なくとも5倍の厚さ、又は少なくとも50倍、又はそれ以上の厚さである。
【0014】
より薄い難燃性層を、圧縮性発泡層(圧縮可能な発泡層)と接触させて、難燃性を向上させる。この多層材料は、改善された難燃性に加えて、一定の圧縮力並びに衝撃及び振動保護等の望ましい構造的特色を有する。一側面では、多層材料は、V1、若しくは更にV0、HF1、又はこれらの組合せのUL-94規格を達成することができる。難燃性多層材料は、多様な用途に使用することができ、電子機器における低密度、難燃性の圧縮層としての使用に特に好適である。
【0015】
例示的な難燃性多層材料(本明細書では、便宜上、「多層材料」と呼びうる)が図1に示されており、多層材料10は、第1の面14を有する圧縮性ポリマー発泡層12を含む。本明細書で使用される場合、「ポリマー発泡体」は、多孔質又はセル構造を有する任意のポリマー材料を指す。細孔は、開気孔(オープンセル)、閉気孔(クローズドセル)、又はこれらの組合せでありうる。細孔の少なくとも一部は開気孔であり、圧縮性ポリマー発泡層を通して広がりうる。一態様では、より下部の圧縮性ポリマー発泡層は、開気孔セルと閉気孔セルの組合せを含む。
【0016】
難燃性層16は、圧縮性ポリマー発泡層12の第1の面14上に配置される。好ましい態様では、難燃性層16は、圧縮性ポリマー発泡層の表面上に直接配置される。各層12、16は、独立して連続的又は非連続的でありうる。例えば、1層又は両方の層を貫通する道(via)が存在しうる。一側面では、圧縮性ポリマー発泡層12と難燃性層16の両方は連続している。層14、16のそれぞれの端部は共同末端でありうるか、又は圧縮性ポリマー発泡層若しくは難燃性層の端部は、他の層を通って進展していてよい。
【0017】
緩衝作用(クッション性)と難燃特性の所望の組合せを達成するために、圧縮性ポリマー発泡層は、481kg/m(30 lb/ft)未満、例えば、400kg/m(25 lb/ft)未満又は320kg/m(20 lb/ft)未満の密度を有することができ、更なる詳細は以下に記載する。難燃性層の密度は、圧縮性ポリマー発泡層の密度より高い。一側面では、難燃性層の密度は、圧縮性ポリマー発泡層より著しく高く、例えば圧縮性ポリマー発泡層の密度の少なくとも2倍、少なくとも3倍、又は少なくとも5倍であり、更なる詳細はまた以下に記載する。
【0018】
圧縮性ポリマー発泡層と難燃性層のそれぞれの厚さは、所望の特性をもたらし、且つ多層材料の全体の厚さを最小化するように調節され、厚さは図1においてZ方向で示される。上述のように、多層材料は、例えば200kg/mにおいて、3.5mm以下、又は3.0mm以下のように薄いことが所望される。一側面では、多層材料は、0.1~3.5mm、又は0.1~3mm、又は0.5~3.0mm、又は0.5~2.5mmの厚さを有しうる。理論に束縛されることなく、より厚い圧縮性ポリマー発泡層と、圧縮性ポリマー発泡層と比較して非常に薄い難燃性層との組合せにより、多層材料が緩衝作用(クッション性)と難燃性の所望の組合せを有することが可能になると考えられる。したがって、圧縮性ポリマー発泡層(圧縮可能なポリマー発泡層)は、1~3.5mm未満、好ましくは0.1~3mm、0.45~2.95mm、又は0.45~2.45mmの厚さを有しうる。難燃性層は、10~300マイクロメータ(μm)(0.01~0.3mm)、又は25~250μm(0.025~0.25mm)の厚さを有しうる。
【0019】
圧縮性ポリマー発泡層(圧縮可能なポリマー発泡層)と難燃性層のそれぞれの固有の特性及び組成は、次に記載される。
【0020】
圧縮性ポリマー発泡層は、多層材料の緩衝作用特性(クッション特性)をもたらす。圧縮性ポリマー発泡層は、例えば、ASTM D 3574-95に準拠して測定されうるように、10~500、又は50~250μmの平均セルサイズを有しうる。セルのサイズ及び分布は、層全体を通して好ましくは実質的に均一であり、所望の圧縮特性をもたらす。圧縮性ポリマー発泡層は、400kg/m(25 lb/ft)未満、例えば、320kg/m(20 lb/ft)の密度を有しうる。例えば、圧縮性ポリマー発泡層は、80~400kg/m(5~25 lb/ft)、又は128~320kg/m(8~20 lb/ft)又は160~288kg/m(10~18 lb/ft)又は192~288kg/m(12~18 lb/ft)の密度を有しうる。圧縮性ポリマー発泡層は、ASTM D3574-17に準拠して決定された25%たわみにおける5~1,035kPa、又は10~500kPa圧縮力たわみを有しうる。圧縮性ポリマー発泡層は、ASTM D3574-17に準拠して決定された75%たわみにおける100~500kPaの圧縮力たわみを更に有しうる。圧縮性ポリマー発泡層は、15%未満の圧縮永久歪みを有しうる。圧縮性ポリマー発泡層は、SAG因子(65%における圧縮力たわみを25%における圧縮力たわみで除算したものと定義され、3以下)を有しうる。一側面では、圧縮性ポリマー発泡層は、前述の特性の少なくとも2つ、好ましくは全ての組合せを有する。
【0021】
圧縮性ポリマー発泡層は、発泡して圧縮性材料形成しうるポリマー材料を含み、熱可塑性、熱硬化性、又はこれらの組合せでありうる。例えば、圧縮性ポリマー発泡層は、ポリアセタール、ポリ(C1~6アルキル)アクリレート、ポリアクリル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリ無水物、ポリアリレート、ポリアリーレンエーテル、ポリアリーレンスルフィド、ポリベンゾオキサゾール、ポリカーボネート、ポリエステル(アルキド等)、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリイソシアヌレート、ポリイミド、ポリ(C1~6アルキル)メタクリレート、ポリ((メタ)アクリル酸)、ポリフタリド、ポリオレフィン(フッ素化ポリオレフィン等)、ポリシラザン、ポリスチレン、ポリスルフィド、ポリスルホンアミド、ポリスルホネート、ポリチオエステル、ポリトリアジン、ポリ尿素、ポリビニルアルコール、ポリビニルエステル、ポリビニルエーテル、ポリビニルハロゲン化物、ポリビニルケトン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルエステル、架橋ポリ(エステル)、エポキシ樹脂、メラミン、フェノールポリマー、ポリウレタン、尿素-ホルムアルデヒド、シリコーン、天然ゴム、ポリクロロプレン、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー(EPDM)ゴム、又はこれらの組合せを含みうる。ポリマーは、例えば、ポリエチレンのようなホモポリマー、又は例えば、ポリエチレン-ポリプロピレンのようなコポリマーであってよい。好ましいポリマーは、熱硬化性、詳細にはエポキシ樹脂、ポリウレタン、又はこれらの組合せである。
【0022】
使用されうるポリウレタンには、脂肪族、脂環式、芳香族、及び多環式のポリウレタンが含まれる。ポリウレタン発泡体は、有機ポリイソシアネート成分、ポリイソシアネート成分と反応性である活性水素含有成分、界面活性剤、及び触媒を含む反応性組成物から形成される。発泡体を形成するプロセスは、化学的又は物理的な発泡剤を使用することができ、又は発泡体は、機械的に発泡させることができる。例えば、発泡体を形成する1つのプロセスは、反応性組成物の混合物全体を通して、その混合物を機械的に強くかき混ぜることによって、不活性ガスを実質的に且つ均一に分散させ、実質的に構造的及び化学的に安定であるが、室内条件で作業可能な熱硬化しうる泡状物を形成させることと;その泡状物を硬化させて硬化発泡体を形成させることとを含む。一側面では、架橋プロセス中に、物理的発泡剤が泡状物に導入され、発泡体密度を更に低下させる。別の側面では、ポリウレタン発泡体は、機械的泡状化を使用することなく、物理的又は化学的な発泡剤のみを使用して反応性組成物から形成される。好ましくは、発泡体は、発泡体の厚さにわたる、より高度な制御及びセル構造の改善を可能にする機械的泡状化によって形成される。
【0023】
例示的な有機ポリイソシアネートには、一般式Q(NCO)[式中、iは2以上の整数であり、Qは原子価iを有する有機基であり、ここで、iは2より大きい平均値を有する]を有するイソシアネートが含まれる。Qは、芳香族官能基を含んでいてよく若しくは含んでいなくてよい、置換若しくは非置換の炭化水素基であるか、又は式Q-Z-Q[式中、Qは、C1~36アルキレン又はC6~36アリーレン基であり、Zは、-O-、-O-Q-O、-CO-、-S-、-S-Q-S-、-SO-、-SO-、C1~24アルキレン又はC6~24アリーレンである]を有する基でありうる。そのようなポリイソシアネートの例には、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,8-ジイソシアナト-p-メタン、キシリルジイソシアネート、ジイソシアナトシクロヘキサン、フェニレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、及び粗製のトリレンジイソシアネートを含めたトリレンジイソシアネート類、ビス(4-イソシアナトフェニル)メタン、クロロフェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート(4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、又はMDIとしても公知)及びその付加物、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、トリフェニルメタン-4,4’,4”-トリイソシアネート、イソプロピルベンゼン-アルファ-4-ジイソシアネート、並びにポリメチレンポリフェニルイソシアネート等のポリマーイソシアネートが含まれる。
【0024】
Qはまた、原子価iを有するポリウレタン基を表すことができ、その場合、Q(NCO)は、プレポリマーとして公知の組成物である。そのようなプレポリマーは、化学量論的過剰量の上記のポリイソシアネートと、活性水素含有成分、特に本明細書に開示されるポリヒドロキシ含有材料又はポリオールとを反応させることによって形成される。一側面では、ポリイソシアネートは、30パーセント~200パーセントの比率における化学量論的過剰量で使用され、化学量論は、ポリオール中のヒドロキシルの1当量当たりのイソシアネート基の当量に基づく。使用されるポリイソシアネートの量は、調製されるポリウレタンの性質に応じてわずかに変わる。
【0025】
活性水素含有成分は、ポリオール(例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、又はこれらの組合せ)を含みうる。例示的なポリエステルポリオールには、ポリオールとジカルボン酸又はそのエステル形成誘導体(無水物、エステル、及びハロゲン化物等)との重縮合生成物、ポリオールの存在下でのラクトンの開環重合によって得られるポリラクトンポリオール、カーボネートジエステルとポリオールとの反応によって得られるポリカーボネートポリオール、又はヒマシ油ポリオールが含まれる。重縮合ポリエステルポリオールの製造に有用な、例示的なジカルボン酸及びジカルボン酸の誘導体は、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸又はマレイン酸等の脂肪族又は脂環式のジカルボン酸;二量体酸;フタル酸、イソフタル酸又はテレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;ピロメリト酸等の三塩基酸又はそれより高い官能性のポリカルボン酸;同様に無水マレイン酸、無水フタル酸又はテレフタル酸ジメチル等の無水物又は2級アルキルエステルである。
【0026】
追加の活性水素含有成分は、環状エステルのポリマーである。好適な環状エステルモノマーには、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン、ゼータ-エナントラクトン、モノアルキル-バレロラクトン、例えば、モノメチル-、モノエチル-及びモノヘキシル-バレロラクトンが含まれるが、これらに限定されない。好適なポリエステルポリオールには、カプロラクトンベースのポリエステルポリオール、芳香族ポリエステルポリオール、エチレングリコールアジペートベースのポリオール、及び前述のポリエステルポリオールのいずれか1つを含む混合物が含まれる。例示的なポリエステルポリオールは、ε-カプロラクトン、アジピン酸、無水フタル酸、テレフタル酸、又はテレフタル酸のジメチルエステルから作られるポリエステルポリオールである。
【0027】
ポリエーテルポリオールは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びこれらの混合物等のアルキレンオキシドを、水又はエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキシレングリコール、1,10-デカンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、2-ブテン-1,4-ジオール、3-シクロヘキセン-1,1-ジメタノール、4-メチル-3-シクロヘキセン-1,1-ジメタノール、3-メチレン-1,5-ペンタンジオール、ジエチレングリコール、(2-ヒドロキシエトキシ)-1-プロパノール、4-(2-ヒドロキシエトキシ)-1-ブタノール、5-(2-ヒドロキシプロポキシ)-1-ペンタノール、1-(2-ヒドロキシメトキシ)-2-ヘキサノール、1-(2-ヒドロキシプロポキシ)-2-オクタノール、3-アリルオキシ-1,5-ペンタンジオール、2-アリルオキシメチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、[4,4-ペンチルオキシ)-メチル]-1,3-プロパンジオール、3-(o-プロペニルフェノキシ)-1,2-プロパンジオール、2,2’-ジイソプロピリデンビス(p-フェニレンオキシ)ジエタノール、グリセロール、1,2,6-ヘキサントリオール、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、3-(2-ヒドロキシエトキシ)-1,2-プロパンジオール、3-(2-ヒドロキシプロポキシ)-1,2-プロパンジオール、2,4-ジメチル-2-(2-ヒドロキシエトキシ)-メチルペンタンジオール-1,5;1,1,1-トリス[2-ヒドロキシエトキシ)メチル]-エタン、1,1,1-トリス[2-ヒドロキシプロポキシ)-メチル]プロパン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、ラクトース、アルファ-メチルグルコシド、アルファ-ヒドロキシアルキルグルコシド、ノボラック樹脂、リン酸、ベンゼンリン酸、トリポリリン酸及びテトラポリリン酸等のポリリン酸、三元縮合生成物等の多価有機成分に、化学的に付加することによって得られる。ポリオキシアルキレンポリオールの製造に使用されるアルキレンオキシドは、通常2~4個の炭素原子を有する。例示的なアルキレンオキシドは、プロピレンオキシド及びプロピレンオキシドとエチレンオキシドの混合物である。上に列挙したポリオールは、それ自体で活性水素成分として使用することができる。
【0028】
例示的なポリエーテルポリオールは、一般に、式R[(OC2nOH]によって表すことができ、式中、Rは水素又は多価炭化水素基であり;aはRの原子価に等しい整数(すなわち、1又は2から6~8まで)であり、nは出現する毎に2~4の整数であり、(特に3)を含み、zは出現する毎に2~200の値を有する整数であり、特に15~100である。一側面では、ポリエーテルポリオールは、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール等の1つ若しくは複数、又はこれらの組合せの混合物を含む。
【0029】
活性水素含有材料の他の例には、エチレン性不飽和モノマーをポリオール中で重合することによって得られるポリマーポリオール組成物が含まれる。そのような組成物を製造するための例示的なモノマーには、アクリロニトリル、塩化ビニル、スチレン、ブタジエン、塩化ビニリデン、及び他のエチレン性不飽和モノマーが含まれる。ポリマーポリオール組成物は、ポリオール中で重合された1質量パーセント以上、詳細には5質量パーセント以上、より詳細には10質量パーセント(重量%)以上のモノマーを含み、質量パーセントはポリオールの総量に対する。一態様では、ポリマーポリオール組成物は、ポリオール中で重合された70重量%以下、詳細には50重量%以下、より詳細には40重量%以下のモノマーを含む。そのような組成物は、選択されたポリオール中で、40~150℃の温度で、過酸化物、過硫酸塩、過炭酸塩、過ホウ酸塩、アゾ化合物等のフリーラジカル重合触媒の存在下で、モノマーを重合することによって好都合に調製される。
【0030】
活性水素含有成分にはまた、ヒドロキシ末端ポリ炭化水素、ヒドロキシ末端ポリホルマール、脂肪酸トリグリセリド、ヒドロキシ末端ポリエステル、ヒドロキシメチル末端ペルフルオロメチレン、ヒドロキシ末端ポリアルキレンエーテルグリコール、ヒドロキシ末端ポリアルキレンアリーレンエーテルグリコール、及びヒドロキシ末端ポリアルキレンエーテルトリオール等のポリヒドロキシ含有化合物も含まれうる。
【0031】
ポリオールは、広範囲にわたる値のヒドロキシル価を有しうる。例えば、ポリオールのヒドロキシル価は、使用される場合は他の架橋添加剤を含み、28~1,000、又は100~800でありうる。ヒドロキシル価は、他の架橋添加剤を伴うか若しくは伴わず、1グラムのポリオール又はポリオールの混合物から調製される完全アセチル化誘導体の加水分解生成物の中和を完了するのに必要とされる水酸化カリウムのミリグラム数として定義される。
【0032】
多様な発泡剤又は発泡剤の混合物が好適であり、発泡剤が使用される場合は、特に水が好適である。水はイソシアネート成分と反応してCOガスを発生し、これは必要な追加の発泡をもたらす。一側面では、発泡剤として水が使用される場合、硬化反応は、触媒を選択的に使用することによって制御される。一側面では、分解して気体(例えば、アゾ化合物)を遊離する化合物もまた使用されうる。
【0033】
例示的な発泡剤は、水素原子含有成分を含む物理的発泡剤であり、これらは単独で、又は互いの混合物として、又は水若しくはアゾ化合物等の別の種類の発泡剤との混合物として使用することができる。これらの発泡剤は、炭化水素、エーテル、エステル及び部分的にハロゲン化された炭化水素、エーテル及びエステル等を含む広範囲の材料から選択されうる。物理的発泡剤の例は、-50~100℃、又は-50~50℃の沸点を有する。水素含有発泡剤の中には、1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン、1,1-ジクロロ-2,2,2-トリフルオロエタン、モノクロロジフルオロメタン、及び1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン等のHCFC類(ハロクロロフルオロカーボン);1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2,4,4-テトラフルオロブタン、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メチルプロパン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン、1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン、1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパン、1,1,2,3,3-ペンタフルオロプロパン、1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン、1,1,1,3,3,4-ヘキサフルオロブタン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン、1,1,1,4,4-ペンタフルオロブタン、1,1,2,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン、1,1-ジフルオロエタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、(Z)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン、及びペンタフルオロエタン等のHFC類(ハロフルオロカーボン);メチル-1,1,1-トリフルオロエチルエーテル及びジフルオロメチル-1,1,1-トリフルオロエチルエーテル等のHFE類(ハロフルオロエーテル);並びにn-ペンタン、イソペンタン、及びシクロペンタン等の炭化水素がある。典型的には、物理的発泡剤は、反応性組成物の総質量に対して、0.5~50重量%、又は3~30重量%の量で使用することができる。
【0034】
例示的な化学的発泡剤には、水、アゾイソブチロニトリル、アゾジカルボンアミド(すなわち、アゾ-ビス-ホルムアミド)、アゾジカルボン酸バリウム等のアゾ化合物;ジフェニルスルホン-3,3’-ジスルホヒドラジド、4,4’-ヒドロキシ-ビス-(ベンゼンスルホヒドラジド)、トリヒドラジノトリアジン、アリール-ビス-(スルホヒドラジド)等の置換ヒドラジン;p-トリレンスルホニルセミカルバジド、4,4’-ヒドロキシ-ビス-(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)等のセミカルバジド;5-モルホリル-1,2,3,4-チアトリアゾール等のトリアゾール;N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラアミン、N,N-ジメチル-N,N’-ジニトロソフタルミド等のN-ニトロソ化合物;無水イサト酸等のベンゾオキサジン;又は混合物(例えば、炭酸ナトリウム/クエン酸混合物)が含まれる。化学的発泡剤は、水を含むことができる。例えば、発泡剤は、アンモニウム塩、ホスフェート、ポリホスフェート、ボレート、ポリボレート、スルフェート、尿素、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、ジシアンジアミド、又はメラミンを含むことができる。
【0035】
化学的発泡剤の量は、薬剤及び所望の発泡体密度に応じて変わり、当業者によって容易に決定されうる。例えば、化学的発泡剤は、反応性組成物の総質量に対して、0.1~10重量%の量で使用されうる。分解プロセス中に形成される分解生成物は、生理学的に安全であることができ、ポリマー発泡体の熱安定性又は機械的特性に著しく悪影響を及ぼすことはない。
【0036】
イソシアネート成分と活性水素含有成分との反応を触媒するために、多くの触媒を使用することができる。そのような触媒には、ビスマス、鉛、スズ、鉄、アンチモン、ウラン、カドミウム、コバルト、トリウム、アルミニウム、水銀、亜鉛、ニッケル、セリウム、モリブデン、バナジウム、銅、マンガン、又はジルコニウムの有機酸塩及び無機酸塩、又は有機金属誘導体、同様にホスフィン又は第3級有機アミンが含まれる。例示的な触媒には、ジラウリン酸ジブチルスズ、二酢酸ジブチルスズ、オクタン酸第一スズ、オクト酸鉛、ナフテン酸コバルト、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、N,N,N’N’-テトラメチル-1,3-ブタンジアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、1,3,5-トリス(N,N-ジメチルアミノプロピル)-s-ヘキサヒドロトリアジン、o-及びp-(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、1,4-ジアゾビシクロ[2.2.2]オクタン、N-ヒドロキシル-アルキル第4級アンモニウムカルボキシレート、テトラメチルアンモニウムホルメート、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウム2-エチルヘキサノエート等、又はこれらの組合せが含まれる。
【0037】
例えば、触媒は、アルミニウム、バリウム、カドミウム、カルシウム、セリウム(III)、クロム(III)、コバルト(II)、コバルト(III)、銅(II)、インジウム、鉄(II)、ランタン、鉛(II)、マンガン(II)、マンガン(III)、ネオジウム、ニッケル(II)、パラジウム(II)、カリウム、サマリウム、ナトリウム、テルビウム、チタン、バナジウム、イットリウム、亜鉛、ジルコニウム、又はこれらの組合せ等の金属を含む金属アセチルアセトネートでありうる。例示的な触媒には、ビス(2,4-ペンタンジオネート)ニッケル(II)(ニッケルアセチルアセトネート若しくはジアセチルアセトネートニッケルとしても公知)又はその誘導体、例えばジアセトニトリルアセチルアセトナトニッケル、ジフェニルニトリルアセチルアセトナトニッケル、又はビス(トリフェニルホスフィン)ジアセチルアセチルアセトナトニッケル等が含まれうる。アセチルアセトネート第二鉄(FeAA)もまた、その相対的な安定性、良好な触媒活性、及び毒性がないことに起因して好適な触媒である。一側面では、金属アセチルアセトネートは、ジプロピレングリコール又は他のヒドロキシル含有成分等の好適な溶媒に予め溶解することによって好都合に添加され、次に反応に加わり、最終生成物の一部となる。反応性組成物中に存在する触媒の量は、活性水素含有成分の総質量に対して、0.03~3重量%でありうる。一側面では、発泡体は、米国特許第7,338,983号に記載される遅延作用触媒及びプロセスを使用して形成される。
【0038】
反応性組成物は、硬化前に反応性組成物を安定化しうる界面活性剤を含むことができる。界面活性剤は、有機ケイ素界面活性剤を含みうる。有機ケイ素は、SiO(シリケート)単位及び(CHSiO0.5(トリメチルシロキシ)単位を含むか又はこれらから本質的になるコポリマーでありえて、シリケートのトリメチルシロキシ単位に対するモル比は0.8:1~2.2:1、又は1:1~2.0:1である。有機ケイ素は、部分的に架橋したシロキサン-ポリオキシアルキレンブロックコポリマーを含みえて、シロキサンブロック及びポリオキシアルキレンブロックは、ケイ素-炭素結合によって、又はケイ素-酸素-炭素結合によって連結される。界面活性剤は、活性水素成分の総質量に対して、0.5~10重量%、又は1~6重量%の量で存在しうる。
【0039】
他の任意選択による添加剤を、反応性組成物に添加してもよい。例えば、添加剤には、充填材(例えば、アルミナ三水和物、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、若しくはクレイ)、染料、顔料(例えば、二酸化チタン若しくは酸化鉄)、抗酸化剤、オゾン分解防止剤、紫外線(UV)若しくは他の光安定剤等、又はこれらの組合せが含まれうる。
【0040】
ポリウレタン発泡体を製造する方法において、発泡体を生成するための成分、すなわち、イソシアネート成分、活性水素含有成分、界面活性剤、触媒、任意選択により場合によって発泡剤、及び他の添加剤が最初に混合され、次に空気を用いる機械的泡状化が施される。或いは、成分は、機械的泡状化プロセス中に、液体相に順次添加されてよい。泡状物の気体相は、その安価及び入手し易さのために、特に空気である。しかしながら、所望ならば、室内条件において気体であり、液体相の任意の成分と実質的に不活性又は非反応性である他の気体が使用されてよい。そのような他の気体には、例えば、通常は室温で気体である窒素、二酸化炭素、及びフルオロカーボンが含まれる。不活性ガスは、Hobartミキサー又はOakesミキサー等の高剪断装置で、液体相を機械的に強くかき混ぜることによって液体相に組み込まれうる。気体は、Oakesミキサーの通常操作における加圧下で導入することができ、又はHobartミキサーにおけるように、強くかき混ぜるか若しくはかき回す作用によって、周囲の大気から引き込むことができる。機械的に強くかき混ぜる操作は、詳細には、7~14キログラム/平方センチメートル(kg/cm)(100~200ポンド/平方インチ(psi))以下の圧力で実施される。容易に入手可能な混合装置を使用することができ、特別な装置は一般に必要ではない。強くかき混ぜられて液体相に入る不活性ガスの量は、所望の密度の泡状物を製造するために、気体流量計量装置によって制御される。機械的に強くかき混ぜることは、Oakesミキサーでは数秒間にわたり、又はHobartミキサーでは3~30分間にわたり、又は使用される混合装置で、所望の泡状物密度を得るためにかかる時間にわたり実施される。機械的に強くかき混ぜる操作から得られる泡状物は、実質的に化学的に安定であり、構造的に化学的に安定であるが、室温、例えば10~40℃で容易に作業可能である。
【0041】
一側面では、圧縮性ポリマー発泡層は、ASTM D 3574-95に準拠して測定して50~250μmの平均セルサイズ;80~481kg/m、より好ましくは128~400kg/mの密度;及びASTM D3574-17に準拠して決定して25%たわみにおける5~1,035kPa、好ましくは10~500kPaの圧縮力たわみを有しうる、開気孔セル(オープンセル)の、低弾性のポリウレタン発泡体でありうる。一態様では、ポリウレタン発泡体は、ASTM D3574-17に準拠して決定された75%たわみにおける100~500kPaの圧縮力たわみ;15%未満の圧縮永久歪み;65%における圧縮力たわみを25%における圧縮力たわみで除算したものと定義される、3以下のSAG因子;又はこれらの組合せを更に有しうる。このような材料は、Rogers Corporation社、Chandler、AZから、PORONの名称で販売されている。PORON発泡体は、圧縮永久歪み耐性を含む優れた特性をもたらすように配合された。良好な圧縮永久歪み耐性を有する発泡体は、緩衝作用をもたらし、荷重下でその元の形状又は厚さを長期間維持する。
【0042】
一側面では、圧縮性ポリマー発泡層は、熱硬化性シリコーン発泡体でありうる。シリコーン発泡体は、水と反応性ポリシロキサン組成物中のヒドリド基との間の反応によって、結果としての水素ガスの遊離を伴い、製造することができる。一態様では、ポリシロキサンポリマーは、25℃において100~1,000,000ポアズの粘度を有し、ヒドリド、メチル、エチル、プロピル、ビニル、フェニル、及びトリフルオロプロピル等の鎖置換基を有する。ポリシロキサンポリマーの末端基は、ヒドリド、ヒドロキシル、ビニル、ビニルジオルガノシロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アリル、オキシム、アミノキシ、イソプロペノキシ、エポキシ、メルカプト基、又は他の公知の反応性末端基でありうる。好適なシリコーン発泡体はまた、組合せの粘度が上記の規定値内に入る場合は、それぞれ異なる分子量を有する(例えば、双峰性又は三峰性の分子量分布)いくつかのポリシロキサンポリマーを使用することによっても製造することができる。異なる官能基又は反応性基を有するいくつかのポリシロキサンベースポリマーを用いて、所望の発泡体を製造することも可能である。一側面では、ポリシロキサンは、水1モル当たり0.2モルのヒドリド(Si-H)基を含む。
【0043】
物理的又は化学的な発泡剤は、本明細書に記載の物理的及び化学的な発泡剤を含み、シリコーン発泡体を製造するために使用することができる。化学的発泡剤の他の例には、ベンジルアルコール、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタンジオール、及びシラノールが含まれる。一態様では、望ましい特徴を有する発泡体を得るために、発泡方法の組合せが使用される。例えば、クロロフルオロカーボン等の物理的発泡剤は、第2の発泡剤として反応性混合物に添加することができ、発泡の第1の様式は、水とポリシロキサン上のヒドリド置換基との反応の結果として放出される水素である。
【0044】
好適な反応性シリコーン組成物は、1:1の液状シリコーンゴム(LSR)又は液体射出成形(LIM)組成物である。低デュロメータのLSR又はLIMの使用により、軟質発泡体の形成がもたらされる。一態様では、LSR又はLIM系は、体積比1:1で混合されるのに好適な2成分系配合物として提供される。配合物の「A」部分は、2つ以上のアルケニル基を有する1つ又は複数のポリシロキサンを含み、毎分500グラム(g/分)未満の押出速度を有する。好適なアルケニル基は、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、及びヘプテニルによって例示され、ビニルが特に好適である。アルケニル基は、分子鎖末端、分子鎖上のペンダント位置、又はその両方で結合されうる。2つ以上のアルケニル基を有するポリシロキサン中の他のケイ素結合有機基は、置換及び非置換の1価炭化水素基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、及びヘキシル等のアルキル基;フェニル、トリル、及びキシリル等のアリール基;ベンジル及びフェネチル等のアラルキル基;並びに3-クロロプロピル及び3,3,3-トリフルオロプロピル等のハロゲン化アルキル基によって例示される。例示的な置換基は、メチル及びフェニル基である。
【0045】
アルケニル含有ポリシロキサンは、直鎖、部分的に分岐した直鎖、分岐鎖、若しくはネットワーク分子構造を有しうるか、又は例示された分子構造を有するポリシロキサンから選択された2つ以上の混合物でありうる。アルケニル含有ポリシロキサンは、トリメチルシロキシ末端ブロックされたジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端ブロックされたメチルビニルシロキサン-メチルフェニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端ブロックされたジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサン-メチルフェニルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端ブロックされたジメチルポリシロキサン、ジメチルビニルシロキシ末端ブロックされたメチルビニルポリシロキサン、ジメチルビニルシロキシ末端ブロックされたメチルビニルフェニルシロキサン、ジメチルビニルシロキシ末端ブロックされたジメチルビニルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端ブロックされたジメチルシロキサン-メチルフェニルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端ブロックされたジメチルシロキサン-ジフェニルシロキサンコポリマー、RSiO1/2及びSiO4/2単位を含むポリシロキサン、RSiO3/2単位を含むポリシロキサン、RSiO2/2及びRSiO3/2単位を含むポリシロキサン、RSiO2/2、RSiO3/2及びSiO4/2単位を含むポリシロキサン、並びに前述のポリシロキサンの2つ以上の混合物によって例示される。Rは、置換及び非置換の1価炭化水素基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、及びヘキシル等のアルキル基;フェニル、トリル、及びキシリル等のアリール基;ベンジル及びフェネチル等のアラルキル基;並びに3-クロロプロピル及び3,3,3-トリフルオロプロピル等のハロゲン化アルキル基を表し、但し、1分子当たり少なくとも2つのR基はアルケニルである。
【0046】
LSR又はLIM系の「B」成分は、1分子当たり少なくとも2個のケイ素に結合した水素原子を有する1つ又は複数のポリシロキサンを含み、500g/分未満の押出速度を有する。水素は、分子鎖末端、分子鎖上のペンダント位置、又はその両方で結合しうる。他のケイ素に結合した基は、非アルケニル、置換及び非置換の1価炭化水素基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、及びヘキシル等のアルキル基;フェニル、トリル、及びキシリル等のアリール基;ベンジル及びフェネチル等のアラルキル基;並びに3-クロロプロピル及び3,3,3-トリフルオロプロピル等のハロゲン化アルキル基によって例示される有機基である。例示的な置換基は、メチル及びフェニル基である。
【0047】
ケイ素に結合した水素原子を有するポリシロキサン成分(水素含有ポリシロキサン)は、直鎖、部分的に分岐した直鎖、分岐鎖、環状、ネットワーク分子構造を有しうるか、又は例示された分子構造を有するポリシロキサンから選択された2つ以上の混合物でありうる。水素含有ポリシロキサンは、トリメチルシロキシ末端ブロックされたメチルハイドロジェンポリシロキサン、トリメチルシロキシ末端ブロックされたジメチルシロキサン-メチルハイドロジェンシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端ブロックされたメチルハイドロジェンシロキサン-メチルフェニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端ブロックされたジメチルシロキサン-メチルハイドロジェンシロキサン-メチルフェニルシロキサンコポリマー、ジメチルハイドロジェンシロキシ末端ブロックされたジメチルポリシロキサン、ジメチルハイドロジェンシロキシ末端ブロックされたメチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルハイドロジェンシロキシ末端ブロックされたジメチルシロキサン-メチルハイドロジェンシロキサンコポリマー、ジメチルハイドロジェンシロキシ末端ブロックされたジメチルシロキサン-メチルフェニルシロキサンコポリマー、及びジメチルハイドロジェンシロキシ末端ブロックされたメチルフェニルポリシロキサンによって例示される。
【0048】
水素含有ポリシロキサン成分は、組成物を硬化するのに十分な量、詳細にはアルケニル含有ポリシロキサン中の1つのアルケニル基当たり、0.5~10個のケイ素に結合した水素原子の量で添加される。
【0049】
シリコーン組成物は、一般に成分「A」の部分として、硬化を促進するための白金等の触媒を更に含む。ヒドロシリル化反応触媒として公知の白金及び白金化合物は、例えば白金黒、アルミナ粉末上の白金、シリカ粉末上の白金、炭素粉末上の白金、クロロ白金酸、クロロ白金酸のアルコール溶液、白金-オレフィン錯体、白金-アルケニルシロキサン錯体、及びメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリスチレン、シリコーン等の熱可塑性樹脂中の白金付加反応触媒の分散体を微粒子化することによって得られる触媒が使用されうる。触媒の混合物もまた使用することができる。本組成物を硬化するのに有効な触媒の量は、一般に、アルケニル及び水素成分を合わせた量に対して、0.1~1,000百万分率(質量による)の白金金属である。
【0050】
さまざまな白金触媒阻害剤もまた、発泡及び硬化反応の動力学を制御して、シリコーン発泡体の多孔度及び密度を制御するために使用することができる。そのような阻害剤の例には、ポリメチルビニルシロキサン環状化合物及びアセチレンアルコールが含まれる。これらの阻害剤は、発泡体を破壊するような手法で、発泡及び硬化を妨害してはならない。阻害剤は、成分「A」の一部として存在しうる。
【0051】
圧縮性ポリマー発泡層のシリコーンは、80~481kg/m、より好ましくは160~240kg/mの密度を有しうる。シリコーンは、例えば、ASTM D 3574-95に準拠して測定できるとおり、10~500、又は50~250μmの平均セルサイズ;ASTM D3574-17に準拠して決定された25%たわみにおける5~1,035キロパスカル(kPa)、又は5~500kPaの圧縮力たわみ;又はこれらの組合せを更に有しうる。圧縮性ポリマー発泡層用のシリコーンは、ASTM D3574-17に準拠して決定して75%たわみにおける100~500kPaの圧縮力たわみ;15%未満の圧縮永久歪み;3以下のSAG因子(65%における圧縮力たわみを25%における圧縮力たわみで除算したものと定義される);又はこれらの組合せを更に有しうる。一側面では、圧縮性ポリマー発泡層は、前述の特性の少なくとも2つ、好ましくは全ての組合せを有する。
【0052】
難燃性層は、V0、HF1、又はこれらの組合せの難燃性規格を多層材料にもららし、且つ多層材料の緩衝作用特性に著しく影響を与えることがないように選択される。
【0053】
難燃性層には、所望の特性をもたらすためにさまざまなポリマーを使用することができ、それには上述の熱可塑性又は熱硬化性のポリマーが含まれる。好ましいポリマーは、使用される厚さにおいて可撓性である。使用されうる特定のポリマーには、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリアリーレンエーテル、ポリアリーレンスルフィド、ポリカーボネート、ポリエステル(アルキド、ポリエチレン、テレフタレート等)、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド(ポリエーテルイミド等)、ポリ(C1~6アルキル)メタクリレート、ポリフタリド、ポリオレフィン(フッ素化ポリオレフィン等)、ポリシラザン、ポリシロキサン、ポリビニルアルコール、ポリビニルエステル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルエステル、架橋ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリウレタン、シリコーン、又はこれらの組合せが含まれる。
【0054】
一側面では、難燃性層は、ポリアラミド織布を含む。難燃性は、「Tests for Flammability of Plastic Materials、UL94」という表題の、Underwriter’s Laboratory Bulletin 94の手順に準拠して決定することができる。この手順に準拠して、試料をその長軸が炎に対して180度となるように置く。5バー消炎時間(FOT)は、50秒の最大消炎時間となるように、それぞれ2回点火した5本の試料に関する、点火用炎を除去した後の消炎時間の合計である。FOT1は、最初の点火後の平均消炎時間である。FOT2は、2回目の点火後の平均消炎時間である。それぞれ、難燃性層がポリアラミド織布を含む試料に関するFOT1値は、例えば0.9~3.2秒の範囲であり得て、そのような試料に関するFOT2値は、例えば0.7~4.1秒の範囲でありうることが望ましい。
【0055】
一側面では、難燃性層は、ポリエステル、詳細にはポリエチレンテレフタレートを含む。
【0056】
任意選択による添加剤が、難燃性層中に存在してよい。例えば、添加剤には、充填材(例えば、アルミナ三水和物、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、若しくはクレイ)、染料、顔料(例えば、二酸化チタン若しくは酸化鉄)、抗酸化剤、オゾン分解防止剤、紫外線(UV)若しくは他の光安定剤等、又はこれらの組合せが含まれうる。
【0057】
圧縮性ポリマー発泡層(圧縮可能なポリマー発泡層)及び難燃性層のそれぞれは、難燃性添加剤組成物を含む。
【0058】
これらの難燃性添加剤組成物は、多層材料の、UL94によって試験される等の燃焼抵抗性、特に延焼性を高める任意の化合物又は微粒子添加剤を含みうる。一部の有用な難燃剤には、火炎に曝露された場合、検査試料の表面にわたり炭化層を形成することによって作用するものが含まれる。他の難燃剤には、難燃性化合物の熱分解時に、水を放出することによって作用するものが含まれる。例えば酸化アンチモンのような難燃性相乗剤が、組成物中に存在しうる。
【0059】
一側面では、圧縮性ポリマー発泡層及び難燃性層のそれぞれに含まれる難燃性添加剤組成物には、独立して、金属水酸化物、金属酸化物、金属ホウ酸塩、金属炭酸塩、メラミン(例えば、シアヌル酸メラミン、リン酸メラミン、ポリリン酸メラミン等)、ハロゲン化芳香族化合物(例えば、臭化化合物)、グアニジン、カーボンブラック、膨張性グラファイト、ナノクレイ、有機リン含有化合物(例えば、芳香族ホスフィンオキシド、芳香族ホスフェート、ホスフィン酸、ホスフィネート、ホスファゼン、10-ジヒドロ-9-オキサ-10ホスフェナトレン-10-オキシド(DOPO)及び10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-10-H-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(ODOPB)等のホスフェナトレンオキシド)、シラザン、リマール(Rimar)塩、又はこれらの組合せが含まれる。
【0060】
例示的な金属水酸化物難燃剤は、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ホウ素、カルシウム、ニッケル、コバルト、スズ、モリブデン、銅、鉄、チタン、又はこれらの組合せ、例えば三水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化鉄等を含有する。例示的な金属酸化物難燃剤には、酸化アンチモン、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酸化鉄、酸化チタン、酸化マンガン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化クロム、酸化スズ、酸化ニッケル、酸化銅、酸化タングステン等が含まれる。例示的な金属ホウ酸塩難燃剤には、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム等が含まれる。例示的な金属炭酸塩難燃剤には、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等が含まれる。
【0061】
例示的なハロゲン含有難燃剤には、トリブロモネオペンチルアルコール、トリス(2-クロロイソプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、塩素化アルキルホスフェートエステル、ハロゲン化アリールエステル/芳香族ホスフェートブレンド、ペンタブロモベンジルアルキルエーテル、臭素化エポキシ、アルキル化トリフェニルホスフェートエステル、又はこれらの組合せ等の芳香族の臭素化又は塩素化された難燃剤が含まれる。しかしながら、一側面において、難燃性組成物は、ハロゲン化難燃剤を含まない。
【0062】
例示的な芳香族リン含有難燃剤には、ジフェニルペンタエリスリトールジホスフェート、フェニルビス(ドデシル)ホスフェート、フェニルビス(ネオペンチル)ホスフェート、フェニルビス(3,5,5’-トリメチルヘキシル)ホスフェート、エチルジフェニルホスフェート、2-エチルヘキシルジ(p-トリル)ホスフェート、ビス(2-エチルヘキシル)p-トリルホスフェート、トリトリルホスフェート、ビス(2-エチルヘキシル)フェニルホスフェート、トリ(ノニルフェニル)ホスフェート、ビス(ドデシル)p-トリルホスフェート、ジブチルフェニルホスフェート、2-クロロエチルジフェニルホスフェート、p-トリルビス(2,5,5’-トリメチルヘキシル)ホスフェート、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート等の芳香族ホスフェート;ホスフィン酸、ホスフィネート、又はそれらの亜鉛若しくはアルミニウム金属塩、例えばジホスフィン酸、ジメチルホスフィン酸、エチルメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸等が含まれ;芳香族ホスフィンオキシドは、イソブチルビス(ヒドロキシアルキル)ホスフィンオキシド及び1,4-ジイソブチレン-2,3,5,6-テトラヒドロキシ-1,4-ジホスフィンオキシド又は1,4-ジイソブチレン-1,4-ジホスホリル-2,3,5,6-テトラヒドロキシシクロヘキサンである。そのような化合物は、当技術分野で公知であり、市販のリン含有化合物の例には、商標名NH1197(Chemtura Corporation社)、NH1511(Chemtura Corporation社)、NCENDX P-30(Albemarle社)、HOSTAFLAM OP5500(Clariant社)、HOSTAFLAM OP910(Clariant社)、EXOLIT 935(Clariant社)、並びにCYAGUARD RF 1204、CYAGUARD RF 1241及びCYAGUARD RF 1243R(Cytec Industries社)で入手可能なものが含まれる。一側面において、メラミンコーティング、シランコーティング、又は非コーティングでありうるポリリン酸アンモニウムを使用することができる。
【0063】
一側面において、圧縮性ポリマー発泡層と難燃性層の両方とも、複数の膨張性グラファイト粒子を含むことができる。一側面において、難燃性層のみが、複数の膨張性グラファイト粒子(膨張性鱗状グラファイト、膨大鱗状グラファイト、又は膨張性鱗状物としても公知)を含む。膨張性グラファイト粒子には、ハロゲン、アルカリ金属、スルフェート、ニトレート、さまざまな有機酸、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、他の金属ハロゲン化物、硫化ヒ素、硫化タリウム等、又はこれらの組合せ等のインターカラントをインターカレートすることができる。一側面において、膨張性グラファイトは、ハロゲン化インターカラントを含まない。複数の膨張性グラファイト粒子は、難燃性層中に、難燃性層の総質量に対して10~50重量%の量で存在しうる。
【0064】
膨張性グラファイトは、平均の大きさ、例えば、30μm~1.5mm、好ましくは50μm~1.0mm、より好ましくは180~850μmの直径を有しうる。例えば、膨張性グラファイトは、平均の大きさ、例えば、少なくとも30μm、好ましくは少なくとも180μm、より好ましくは少なくとも300μmの直径を有しうる。膨張性グラファイトは、膨張性グラファイトの質量に対して、75~99重量%の炭素含有量を含むことができる。膨張性グラファイトは、膨張性グラファイトの総質量に対して、8重量%まで、又は2.6~5.0重量%、好ましくは3.0~3.5重量%のイオウ含有量を含むことができる。膨張性グラファイトは、10:1~500:1の膨張比(mL/g)を有しうる。例えば、膨張比(mL/g)は、20:1~450:1、好ましくは30:1~400:1、より好ましくは50:1~350:1でありうる。膨張性グラファイトの膨張が開始する温度(開始温度又は膨張温度としても公知)は、100~250℃でありうる。例えば、開始温度は、160~225℃、好ましくは180~200℃でありうる。
【0065】
圧縮性ポリマー発泡層及び難燃性層は、当技術分野における任意の好適な方法を使用して、例えばキャスティング、成形、カレンダー処理等によって調製することができる。難燃性組成物は、圧縮性ポリマー発泡層又は難燃性層のポリマー中に分散され、圧縮性ポリマー発泡層若しくは難燃性層、又はその両方の上に別々の層として配置できる。例えば、難燃性組成物は、圧縮性ポリマー発泡層若しくは難燃性層を形成するために使用される組成物に組み込まれうるか、又は圧縮性ポリマー発泡層若しくは難燃性層の上にコーティングされ(熱硬化性ポリマーの場合、硬化前又は硬化後)、フィルムを形成しうる。別々のフィルムの場合、難燃性組成物は、圧縮性ポリマー発泡層に対向する難燃性層の面上に配置され、難燃性層に対向する圧縮性ポリマー発泡層の面上に配置され、圧縮性ポリマー発泡層と難燃性層との間に配置されるか、又はこれらの組合せでありうる。
【0066】
一側面において、難燃性組成物は、圧縮性ポリマー発泡層の厚さを増加させるような別々のフィルムとして存在することはない。例えば、難燃性組成物は、圧縮性ポリマー発泡体内に含浸され、内部にフィルムを形成し、細孔の内表面をコーティングすることができ、したがって、フィルムはフィルム厚を著しく増加させることはない。例えば、発泡体を、難燃性組成物を含む液体組成物で飽和させ、次に乾燥させて溶媒を除去することができる。難燃性組成物が、ディップコーティングのような浸漬法によって発泡体上に堆積された場合、次に、表面だけでなく発泡体内部にも、増加量が存在しうる。
【0067】
多層材料を調製する方法には、当技術分野で公知のものが含まれる。例えば、一側面は、圧縮性ポリマー発泡層及び難燃性層を別々に製造し、続いて、層を接着させるのに有効な条件下、例えば熱及び圧力を使用する積層化で層を接着させることによって、多層材料を調製することができる。層間に接着剤が使用されてよい。好ましくは、接着剤は存在せず、そのため多層材料の厚さは著しく増大することはない。圧縮性ポリマー発泡層と難燃性層の1つ又は両方に熱硬化性物質が使用される場合、それぞれの層は別々に製造され、その1つ又は両方が部分的に硬化されてよい(B-段階)。次に、それらの層を接触させ、完全に硬化させ(例えば、熱によるか又は熱と圧力による)、多層材料の層間に接着をもたらすことができる。
【0068】
別の側面において、圧縮性ポリマー発泡層及び難燃性層のうちの一方を予め製造することができ、次に、もう一方の層の製造用の基材として使用することができる。例えば、圧縮性ポリマー発泡層を形成するための反応性組成物を、予め形成された難燃性層の表面にキャストし、続いて硬化させて、多層材料をもたらすことができる。ポリマー発泡層は、4ミル(0.1mm)以上の厚さにキャストしうる。逆に、圧縮性ポリマー発泡層を製造できてから、難燃性層を形成するための組成物を、圧縮性ポリマー発泡層上にキャスト、コーティング、又は印刷して、多層材料をもたらすことができる。コーティングは、例えば、スプレーコーティング、ディップコーティング、フローコーティング、ロールコーティング、印刷(例えば、インクジェット印刷)等によって行うことができる。一側面において、難燃性層は、ポリウレタン発泡層上にコーティング又は印刷する。難燃性層を形成するためにコーティング又は印刷される難燃性組成物は、メラミン、膨張性グラファイト粒子、ホウ素クレイ、又はこれらの組合せを含みうる。望ましくは、それぞれ、難燃性層がポリアラミド織布を含む試料に関するFOT1値は、例えば0.9~5.9秒の範囲であることができ、そのような試料に関するFOT2値は、例えば0.9~1.1秒の範囲でありうる。
【0069】
一側面において、難燃性組成物を含むフィルムは、上述した製造後に、多層材料上に、例えば発泡層の含浸によって形成することができる。
【0070】
多層材料は、50~1,000キログラム/立方メートル(kg/m)、好ましくは50~500kg/m、より好ましくは100~250kg/mの平均密度を有しうる。密度は、ASTM D3574-95、試験Aに準拠して決定することができる。
【0071】
多層材料は、ASTM D3574-17に準拠して決定して25%たわみにおける5~1,035kPa、好ましくは10~500kPa、又は25~250kPa、又は25~80kPaの圧縮力たわみを有しうる。「25%における圧縮力たわみ」は、多層材料を25%物理的に圧縮するのに必要とされる荷重を指す。
【0072】
多層材料は、75%たわみにおいて、100~500kPa、又は200~300kPaの圧縮力たわみを有しうる。
【0073】
多層材料は、3以下のSAG因子を有することができ、SAG因子は、65%における圧縮力たわみを25%における圧縮力たわみで除算したものと定義される
【0074】
多層材料は、ASTM D3574-95、試験Dに準拠して決定して、23℃又は70℃で50%たわみにおける0~15%、又は0~5%の圧縮永久歪みを有しうる。
【0075】
一側面において、多層材料は、ASTM D3574-17に準拠して決定して25%たわみにおける5~1,035kPaの圧縮力たわみを有する圧縮性ポリウレタン発泡層と;圧縮性ポリマー発泡層の第1の面上に配置された難燃性層とを含むことができ、難燃性層は、中実のポリマー層ポリマー発泡層を含み、任意選択によって場合により複数の膨張性グラファイト粒子を含み、多層材料は、V0、HF1、又はこれらの組合せのUL-94規格を有する。多層材料は、1~5mmの厚さを有しうる。圧縮力たわみは、25%たわみにおいて、5~500kPa、又は5~80kPaでありうる。圧縮性ポリマー発泡層、例えばポリウレタン発泡層は、ASTM D3574-17に準拠して決定して75%たわみにおける100~500kPa、又は200~300kPaの圧縮力たわみを有しうる。
【0076】
多層材料は、薄く且つ軽量であり、更に緩衝作用と難燃特性の良好な組合せをもたらす。多層材料は、したがって、電子機器に有用である。多層材料を含みうる電子機器には、テレビ、ラジオ、コンピュータ、医療用装置、事務機、通信機器等が含まれる。多層材料は、携帯電話、個人用の携帯情報機器等の手持ち式電子機器に特に有用である。多層材料は、アンテナ又は電池(Liイオン電池等)等の他の用途に使用されうる。
【0077】
以下の実施例は、単に例示的なものであり、本明細書に明示される機器、材料、条件、又はプロセスパラメーターに関して、本開示を限定することを意図するものではない。
【実施例
【0078】
以下の実施例は、難燃性多層材料の難燃性を実証している。
【0079】
多層材料用のポリウレタン発泡体を、米国特許第7,338,983号に記載の配合物及び方法、詳細には、本特許の実施例1及び実施例2による配合物、並びに本特許の実施例3による方法を使用して製造した。
【0080】
難燃性は、「Tests for Flammability of Plastic Materials、UL94」という表題の、Underwriter’s Laboratory Bulletin 94の手順に準拠して決定した。この手順に準拠して、材料は、規定された試料厚さにおける5つの試料に関して得られた試験結果に基づき、V1、若しくはV0、HF1、又はこれらの組合せに分類することができる。これらの燃焼性分類のそれぞれを、以下に記載する。
【0081】
V1及びV2の規格を得るための判断基準は以下の通りである:その長軸が炎に対して180度となるように置かれた試料において、点火用炎を除去した後の、発炎及び/又はくすぶりの平均期間が25秒を超えず、V1規格に関しては、垂直に置かれた試料のいずれも、脱脂綿を発火させる燃焼粒子の滴下を生じない。V2標準は、滴下が許容されることを除き、V1と同じである。
【0082】
V0の規格を得るための判断基準は以下の通りである。その長軸が炎に対して180度となるように置かれた試料において、点火用炎を除去した後の、発炎及び/又はくすぶりの平均期間は、5秒を超えず、垂直に置かれた試料のいずれも、脱脂綿を発火させる燃焼粒子の滴下を生じることなく、発炎後又は白熱後に、保持クランプまで燃焼させる検査試料はない。
【0083】
HF1及びHF2は、低密度の発泡体材料に適用される分類である。HF1の規格を得るための判断基準は、燃焼が2秒内に停止すること;残光が30秒未満;燃焼滴下は認められず、一方、HF2の規格を得るための判断基準は、燃焼が3秒内に停止すること;残光が30秒未満;燃焼滴下は認められることである。
【0084】
(比較例1~比較例10)
異なる密度及び厚さの可撓性ポリウレタン発泡体を、V0の規格に関して、「Tests for Flammability of Plastic Materials、UL94」という表題の、Underwriter’s Laboratory Bulletin 94の手順に準拠して試験した。結果は表1に見られる。
【0085】
【表1】
【0086】
(実施例1~実施例13)
「Tests for Flammability of Plastic Materials、UL94」という表題の、Underwriter’s Laboratory Bulletin 94の手順に準拠した、VTM-0(例えば、非常に薄い材料)の燃焼性規格を有する50μm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)層上に、異なる密度及び厚さの可撓性ポリウレタン発泡体をキャストし且つ硬化させることによって作製された多層材料を、V0の規格に関して、「Tests for Flammability of Plastic Materials、UL94」という表題の、Underwriter’s Laboratory Bulletin 94の手順に準拠して試験した。結果は表2に見られる。表2に列記された密度及び厚さは、多層材料全体に関するものである。
【0087】
【表2】
【0088】
上記表中のデータから分かるように、圧縮性ポリマー発泡層と中実のポリマー難燃性層の好適な組合せは、全体の密度及び全厚さの組合せ(例えば、12.7PCF(203kg/m)~14.2PCF(227kg/m)の範囲の密度及び0.068インチ(1.7mm)~0.125インチ(3.2mm)の範囲の厚さ)、並びに結果としての望ましい難燃性をもたらすことができる。
【0089】
図2は、単層ポリウレタン発泡体試料、並びにポリウレタン発泡層及び中実のポリマー難燃性層を含む二重層試料に関する、全厚さ(mm)対全体密度(kg/m)のプロットである。線「A」は、単層試料に関するV0合格とV0不合格の間のおよその境界を示し、線「B」は、二重層試料に関するV0合格とV0不合格の間のおよその境界を示す。プロットから分かるように、二重層試料に関するV0合格は、単層試料より薄い厚さで達成できる。例えば、240kg/mの全体密度において、単層試料は約2.5mmの厚さでV0に合格し、二重層試料は約1.5mmの全厚でV0に合格する。
【0090】
以下に明示されるのは、本開示のさまざまな非限定的態様である。
【0091】
態様1:多層材料であって、400kg/m(25 lb/ft)未満の密度、ASTM D3574-17に準拠して決定された25%たわみにおける5~1,035kPaの圧縮力たわみ、及び3.5ミリメートル(130ミル)未満の厚さを有する圧縮可能なポリマー発泡層と;圧縮可能なポリマー発泡層(圧縮性ポリマー発泡層)の第1の面上に配置された、中実のポリマー難燃性層であり、0.3ミリメートル(11.8ミル)未満の厚さであり、圧縮可能なポリマー発泡層(圧縮性ポリマー発泡層)の厚さが難燃性層の厚さの少なくとも2倍である厚さを有する、ポリマー難燃性層とを含み;圧縮性ポリマー発泡層(圧縮性ポリマー発泡層)と難燃性層のそれぞれが難燃性組成物を含み、多層材料が、3.5ミリメートル(130ミル)以下の厚さ、及びV1、好ましくはV0、HF1、又はこれらの組合せのUL-94規格を有する、多層材料。
【0092】
態様2:圧縮性ポリマー発泡層が、80~400kg/m(5~25 lb/ft)、又は128~320kg/m(8~20 lb/ft)、又は160~288kg/m(10~18 lb/ft)、又は192~288kg/m(12~18 lb/ft)の密度;及びASTM D3574-17に準拠して決定して25%たわみにおける5~500kPaの圧縮力たわみを有する、態様1に記載の多層材料。
【0093】
態様3:圧縮性ポリマー発泡層が、0.1~3.5ミリメートル未満(0.04~0.14インチ未満)、又は0.1~3.3ミリメートル(0.04~0.13インチ)、又は0.1~3ミリメートル(0.04~0.118インチ)の厚さを有する、態様1又は2に記載の多層材料。
【0094】
態様4:圧縮性ポリマー発泡層が、ASTM D3574-17に準拠して決定して25%たわみにおける5~1,035kPa、好ましくは10~500kPaの圧縮力たわみ;ASTM D3574-17に準拠して決定して75%たわみにおける100~500kPaの圧縮力たわみ;ASTM D3574-95、試験Dに準拠して決定して、23℃若しくは70℃で50%たわみにおける0~15%の圧縮永久歪み;又はこれらの組合せを更に有する、態様1から3のいずれか1つに記載の多層材料。
【0095】
態様5:圧縮性ポリマー発泡体が、ポリアセタール、ポリ(C1~6アルキル)アクリレート、ポリアクリル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリ無水物、ポリアリレート、ポリアリーレンエーテル、ポリアリーレンスルフィド、ポリベンゾオキサゾール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリイソシアヌレート、ポリイミド、ポリ(C1~6アルキル)メタクリレート、ポリ((メタ)アクリル酸)、ポリフタリド、ポリオレフィン(フッ素化ポリオレフィン等)、ポリシラザン、ポリスチレン、ポリスルフィド、ポリスルホンアミド、ポリスルホネート、ポリチオエステル、ポリトリアジン、ポリ尿素、ポリビニルアルコール、ポリビニルエステル、ポリビニルエーテル、ポリビニルハロゲン化物、ポリビニルケトン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルエステル、架橋ポリ(エステル)、エポキシ樹脂、メラミン、フェノールポリマー、ポリウレタン、尿素-ホルムアルデヒド、シリコーン、天然ゴム、ポリクロロプレン、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー(EPDM)ゴム、又はこれらの組合せを含み、好ましくは圧縮性ポリマー発泡体が、エポキシ樹脂、ポリウレタン、又はこれらの組合せを含む、態様1に記載の多層材料。
【0096】
態様6:圧縮性ポリマー発泡体が、ポリウレタン発泡体を含む、態様1から5のいずれか1つに記載の多層材料。
【0097】
態様7:難燃性層が、240~1,000kg/m(15~62 lb/ft)、又は288~1,000kg/m(18~62 lb/ft)、又は350~950kg/m(22~59 lb/ft)、又は400~950kg/m(25~59 lb/ft)の密度を有する、態様1から6のいずれか1つに記載の多層材料。
【0098】
態様8:難燃性層が、ポリエチレンテレフタレート、好ましくはVTM-0燃焼性規格を有するポリエチレンテレフタレートを含む、態様7に記載の多層材料。
【0099】
態様9:圧縮性ポリマー発泡層及び難燃性層のそれぞれの難燃性組成物が、独立して、金属水酸化物、金属酸化物、金属ホウ酸塩、金属炭酸塩、メラミン、ハロゲン化芳香族化合物、グアニジン、カーボンブラック、膨張性グラファイト、ナノクレイ、有機リン含有化合物、シラザン、リマール(Rimar)塩、又はこれらの組合せを含む、態様1から8のいずれか1つに記載の多層材料。
【0100】
態様10:圧縮性ポリマー発泡層及び難燃性層のそれぞれの難燃性組成物が、独立に、ハロゲン化難燃剤あるいはアンチモン化合物を含まない、態様1から9のいずれか1つに記載の多層材料。
【0101】
態様11:ASTM D3574-17に準拠して決定された25%たわみにおける5~1,035kPa、好ましくは10~500kPa、若しくは25~250kPa、若しくは25~80kPaの圧縮力たわみ;75%たわみにおける100~500kPa、若しくは200~300kPaの圧縮力たわみ;ASTM D3574-95、試験Dに準拠して決定された、23℃若しくは70℃で50%たわみにおける0~15%、若しくは0~5%の圧縮永久歪み;又はこれらの組合せを有する、態様1から10のいずれか1つに記載の多層材料。
【0102】
態様12:圧縮性ポリマー発泡層が、ポリウレタンを含む、態様11に記載の多層材料。
【0103】
態様13:態様1から12のいずれか1つに記載の多層材料を調製する方法であって、圧縮性ポリマー発泡層及び難燃性層を形成する工程と;層を接着させるのに有効な条件下で、圧縮性ポリマー発泡層と難燃性層を接触させて、多層材料を形成する工程とを含む、方法。
【0104】
態様14:態様1から12のいずれか1つに記載の多層材料を調製する方法であって、圧縮性ポリマー発泡層及び難燃性層のうちの一方を形成する工程と;形成された層の表面に、圧縮性ポリマー発泡層及び難燃性層のうちのもう一方を形成して、多層材料をもたらす工程とを含む、方法。
【0105】
態様15:圧縮性ポリマー発泡層を形成する工程と;次に、圧縮性ポリマー発泡層の第1の面上に難燃性層を形成する工程であり、好ましくは、圧縮性ポリマー発泡層の第1の面上に難燃性組成物をコーティング又は印刷することを含む、工程とを含む、態様14に記載の方法。
【0106】
態様16:態様1~12のいずれか1つに記載の多層材料を含む電子機器であって、好ましくは手持ち式電子機器である、電子機器。
【0107】
組成物、方法、及び機器は、本明細書に開示される任意の適切な材料、工程、又は成分を代替的に含む、これらのみからなる、又は本質的にこれらのみからなることができる。組成物、方法、及び機器は、組成物、方法、及び機器の機能又は目的の達成に他の状況では必要ではないような任意の材料(又は種)、工程、又は成分をもたないように、又は実質的に含まないように、追加的に又は代替的に考案することができる。
【0108】
単数の用語(本願の外国語明細書中の用語「a」及び「an」が付いた用語)は、量の制限を表すのではなく、正しくは、参照される項目の少なくとも1つの存在を表す。用語「又は」とは、文脈により明確に別段の指示がない限り、「及び/又は」を意味する。本明細書の全体を通して、「一態様」、「別々の態様」等への言及は、態様に関連して記載される特定の要素(例えば、特色、構造、工程、又は特徴)が、本明細書に記載される少なくとも1つの態様に含まれ、他の態様に存在してよく、又は存在しなくてよいことを意味する。加えて、記載される要素は、任意の好適な様式でさまざまな態様に組み合わせられてよいことを理解されたい。
【0109】
層等のある要素が別の要素の「上に」あると表される場合、それは、他の要素上に直接あってよく、又は介在する要素もまた存在してよい。対照的に、ある要素が別の要素の「直接上に」あると表される場合、介在する要素は存在しない。層は、要素の表面の一部又は要素の表面全体に配置されてよく、又は直接配置されてよい。
【0110】
本明細書に反して規定されない限り、全ての試験基準は、本出願の出願日において、又は優先権が主張される場合は、試験基準が現れる最も初期の優先権出願の出願日において、有効な最新の基準である。
【0111】
本明細書で使用される場合、粒子の「直径」は、球体の直径、又は粒径分析器から、若しくは電子顕微鏡分析の二次元画像、例えばImage J等のプログラムを使用して分析された透過型電子顕微鏡画像から得られた等価直径を指す。一態様では、「大きさ」は、単一の粒子、又は粒子若しくは粒子集団の平均(例えば、平均値又は中央値)の大きさを指す。
【0112】
同じ成分又は特性に関する全範囲の終点は、終点を包含し、独立して組合せ可能であり、全ての中間点及び範囲を含む。用語「第1の」、「第2の」等、「第一次の」、「第二次の」等は、本明細書で使用される場合、順序、量、又は重要性を示すものではなく、1つの要素を他の要素と区別するために使用される。用語「その組合せ」又は「そのうちの少なくとも1つ」は、オープンであり、そのリストは個々に全ての要素を包含し、同様にそのリストの2つ以上の要素の組合せ、及びそのリストのうちの少なくとも1つの要素と名称がない同様の要素との組合せを包含することを意味する。また、用語「組合せ」は、ブレンド、混合物、アロイ、反応生成物等を包含する。
【0113】
別段に定義されない限り、本明細書で使用される技術的、及び科学的な用語は、本開示が属する技術分野の業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0114】
化合物は、標準的な命名法を使用して記載される。例えば、示された基によって置換されていない位置は、その原子価が、示された結合、又は水素原子によって満たされていると理解される。2つの文字又は記号の間にないダッシュ(「-」)は、置換基の結合点を示すために使用される。例えば、-CHOは、カルボニル基の炭素を通して結合している。
【0115】
全ての引用された特許、特許出願、及び他の参照文献は、その全容が参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、本出願における用語が、組み込まれた参照文献における用語と矛盾するか又は対立する場合は、本開示からの用語が、組み込まれた参照文献からの対立する用語に優先する。
【0116】
特定の態様が説明されてきたが、出願人又は当業者には、現時点で予期されないか又は予期できない代替、修正、変更、改善されたもの、及び実質的に等価なものが生じる可能性がある。したがって、出願時及び補正されうる場合の添付の特許請求の範囲は、そのような代替、修正、変更、改善されたもの、及び実質的に等価なものを全て包含することを意図する。
【符号の説明】
【0117】
10 多層材料
12 圧縮性ポリマー発泡層
14 第1の面
16 難燃性層
図1
図2
【国際調査報告】