(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】製薬または生物工学的プロセスのための機械、アセンブリ、及びこの機械を実現するための方法
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20241031BHJP
B25J 21/00 20060101ALI20241031BHJP
F24F 3/167 20210101ALI20241031BHJP
【FI】
F24F7/06 C
B25J21/00
F24F3/167
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522202
(86)(22)【出願日】2022-10-11
(85)【翻訳文提出日】2024-05-20
(86)【国際出願番号】 IB2022059735
(87)【国際公開番号】W WO2023062530
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523009997
【氏名又は名称】ファーマ インテグレーション エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ベチーニ,クラウディオ
【テーマコード(参考)】
3C707
3L053
3L058
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707AS25
3C707XJ01
3C707XJ05
3L053BD03
3L058BF01
3L058BF08
(57)【要約】
製薬または生物工学的プロセスのための機械(1)は、一定または減少する水平セクション(A)を用いてチャンバ(100)の境界を定める構造体(10)と、材料及び/または器具を動作空間(100a)で移動させるための運動手段と、処置ユニット(221)、注入口(21a、21b)、及び抽出口(25a、25b)を伴う通気手段(2)と、を備える。第1の壁(13)は、有利には第1の部分(131)と、第1の部分(131)から離された第2の部分(132)と、上方及び下方にそれぞれ延びた水平面(H)に対する傾斜部分(133)と、を備え、傾斜部分(133)は、チャンバ(100)を限定するよう第1の部分(131)及び第2の部分(132)に隣接する。動作空間(100a)は、少なくとも部分的に、傾斜部分(133)の上、及び/または、第1の部分(131)の上方かつ傾斜部分(133)の前に配置された体積内、で延びる。アセンブリ及び方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製薬または生物工学的プロセスのための機械(1)であって、
上部分(11)と、下部分(12)と、前記上部分(11)及び前記下部分(12)の間の、第1の壁(13)及び前記第1の壁(13)の反対側における第2の壁(14)を含んだ壁(13、14、15、16)と、を有する構造体(10)であって、前記上部分(11)と、前記下部分(12)と、前記壁(13、14、15、16)と、はチャンバ(100)の境界を定める、構造体(10)、
材料及び/または器具を、前記チャンバ(100)の内部における動作空間(100a)で移動させるように構成された、材料及び/または器具を移動させるための移動手段、ならびに
通気手段(2)であって、前記チャンバ(100)の内側で動作空間(100a)の上方における、少なくとも1つの流体注入口(21a、21b)と、前記動作空間(100a)の下方における、前記チャンバ(100)からの流体のための少なくとも1つの流体抽出口(25a、25b)と、少なくとも1つの前記注入口(21a、21b)の上流における、製薬または生物工学的プロセスに好適な、少なくとも1つの流体処置ユニット(221)と、を備え、流体を、少なくとも1つの前記注入口(21a、21b)から少なくとも1つの前記抽出口(25a、25b)まで移動させる、通気手段(2)、
を備え、
前記構造体(10)は、前記チャンバ(100)の水平セクション(A)が、一定もしくは実質的に一定になるよう、または、少なくとも1つの前記注入口(21a、21b)から少なくとも1つの前記抽出口(25a、25b)まで下降しながら減少するよう、構成され、
ここで前記機械(1)は、
前記第1の壁(13)が、第1の部分(131)と、水平方向(O)に対して前記第1の部分(131)から距離がおかれた第2の部分(132)と、前記第1の部分(131)及び前記第2の部分(132)の間に延び、前記第2の部分(132)の下方かつ前記第1の部分(131)の上方で、前記チャンバ(100)を限定するよう前記第1の部分(131)及び前記第2の部分(132)に隣接した、傾斜部分(133)と、を備えること、
前記動作空間(100a)は、少なくとも部分的に、前記傾斜部分(133)の上、及び/または、前記第1の部分(131)の上方かつ前記傾斜部分(133)の前に配置された体積内、で延びること、ならびに
前記傾斜部分(133)は水平面(H)に対して傾斜し、それによって流体が前記第1の部分(131)に向けて落ちるときに、前記チャンバ(100)における、流体が横切る前記水平セクション(A)が減少すること、
を特徴とする、機械(1)。
【請求項2】
前記第1の壁(13)及び前記第2の壁(14)は、前記傾斜部分(133)の下方及び少なくとも1つの前記抽出口(25a、25b)の上方において互いに接近する、請求項1に記載の機械。
【請求項3】
前記第2の壁(14)は、傾斜部分(133)の高さにおいて、前記水平セクション(A)を減少させるように傾斜された部分(図示せず)を有する、請求項1または2に記載の機械(1)。
【請求項4】
前記第2の部分(132)は、材料を前記チャンバ(100)の中に導入するか、または前記チャンバ(100)から取り除くための開口部(130)を備える、請求項1~3の内いずれか一項に記載の機械(1)。
【請求項5】
前記動作空間(100a)は、少なくとも部分的に前記傾斜部分(133)の上で延びる、請求項4に記載の機械(1)。
【請求項6】
抽出口(25a)は前記第2の壁(14)に作られる、請求項1~5の内いずれか一項に記載の機械(1)。
【請求項7】
少なくとも1つの前記抽出口(25a、25b)は、前記第1の壁(13)に、及び/または請求項5に従って作られ、前記第2の壁(14)及び/または前記第1の壁(13)のそれぞれは前記下部分(12)に接続され、接続部(R)は、流れを少なくとも1つの前記抽出口(25a、25b)に向けて導くよう順応される、請求項1~6の内いずれか一項に記載の機械(1)。
【請求項8】
前記通気手段(2)は、少なくとも1つの抽出口(25a、25b)に配置された、製薬または生物工学的プロセスに好適なフィルタ(222)を備える、請求項1~7の内いずれか一項に記載の機械。
【請求項9】
前記通気手段(2)は、少なくとも1つの抽出口(25a、25b)を、少なくとも1つの注入口(21a、21b)まで接続する再循環導管(23)を備える、請求項1~8の内いずれか一項に記載の機械(1)。
【請求項10】
前記上部分(11)は、少なくとも1つの前記注入口(21a、21b)を収容し、前記通気手段(2)は、流れが、少なくとも第1の部分(F)において層流であるか、または実質的に層流であり、かつ水平面(H)に対して垂直方向に導かれるよう構成される、請求項1~9の内いずれか一項に記載の機械(1)。
【請求項11】
前記チャンバ(100)の分離壁(9)を備え、前記分離壁(9)は、前記上部分(11)から前記下部分(12)に向けて、前記第1の部分(131)の高さまで延びる、請求項10に記載の機械(1)。
【請求項12】
少なくとも1つの前記注入口(21a、21b)は、前記チャンバ(100)の前記水平セクション(A)の全体にわたって延びるか、または実質的に全体にわたって延びる、請求項1~11の内いずれか一項に記載の機械(1)。
【請求項13】
前記第1の壁(13)及び前記第2の壁(14)の両方は、平坦な垂直部分(134、141)を有し、それは前記上部分(11)から下がってそれぞれ垂直面(Z)に載る、請求項1~12の内いずれか一項に記載の機械(1)。
【請求項14】
前記第1の壁(13)及び前記第2の壁(14)に隣接した前記壁(15、16)は、平坦かつ垂直である、請求項1~13の内いずれか一項に記載の機械(1)。
【請求項15】
前記移動手段は、前記第1の部分(131)及び/または前記傾斜部分(133)に連結されるか、または組み合わせる部品(35)を備える、請求項1~14の内いずれか一項に記載の機械(1)。
【請求項16】
前記移動手段は少なくとも1つのロボット(31、32)を備える、請求項1~15の内いずれか一項に記載の機械(1)。
【請求項17】
前記移動手段にエネルギーを供給する手段(6)、及び/または、前記チャンバ(100)に対向する側における、前記第1の部分(131)もしくは前記傾斜部分(133)に配置された、移動手段に材料を供給する手段(7)、を備える、請求項1~16の内いずれか一項に記載の機械(1)。
【請求項18】
前記エネルギーを供給する手段(6)、及び/または材料を供給する手段(7)は、前記傾斜部分(133)の下に位置される、請求項17に記載の機械(1)。
【請求項19】
少なくとも1つの機能グループ(99)を備え、それは前記移動手段と協働して、製薬または生物工学的プロセスを実現する、請求項1~18の内いずれか一項に記載の機械(1)。
【請求項20】
前記傾斜部分(133)は、少なくとも1つの機能グループ(99)を収納するか、または支持する、請求項19に記載の機械(1)。
【請求項21】
前記第1の部分(131)は、少なくとも1つの機能グループ(99)を支持する、請求項19または20に記載の機械(1)。
【請求項22】
請求項1~21の内いずれか一項に記載の機械(1)を実現するためのアセンブリ(0)であって、
第1の部分(131)及び傾斜部分(133)を備えたチャンバ(100)の境界を定めるための、壁部分、
少なくとも1つの別の壁(4)、
前記第1の部分(131)及び少なくとも1つの別の壁(4)を支持する、基部(5)、
材料及び/または器具を動作空間(100a)で移動させるように構成された、材料及び/または器具を移動させるための移動手段、ならびに
前記移動手段にエネルギーを供給する手段(6)、及び/または前記移動手段に材料を供給する手段(7)、
を備え、
ここで、
前記基部(5)、前記第1の部分(131)、前記傾斜部分(133)、及び少なくとも1つの別の壁(4)は、前記エネルギーを供給する手段(6)及び/または前記材料を供給する手段(7)を収容する容積(V)の境界を定め、
前記傾斜部分(133)は前記第1の部分(131)に隣接し、かつ水平面(H)に対して斜め方向(D)に前記第1の部分(131)から持ち上がる、アセンブリ(0)。
【請求項23】
分離部分(8)を備え、
前記移動手段は第1のデバイス及び第2のデバイスを備え、
前記分離部分(8)は、前記第1のデバイスと前記第2のデバイスとの間で、前記傾斜部分(133)の上に配置され、互いに反対側を向いて、前記第1のデバイス及び前記第2のデバイスの連結方向(C)で前記傾斜部分(133)に向けて広がる、第1の傾斜面(81)及び第2の傾斜面(82)を有する、
請求項22に記載のアセンブリ(0)。
【請求項24】
請求項1~21の内いずれか一項に記載の機械(1)を実現するための方法であって、
請求項22または23のアセンブリ(0)を提供するステップ、
上部分(11)と、下部分(12)と、壁(13、14、15、16)と、チャンバ(100)の境界を定める前記上部分(11)、前記下部分(12)、前記壁(13、14、15、16)を伴い、前記壁の部分と共に構造体(10)を形成するよう構成された、壁の第2の部分(132)と、を備えた部分を提供するステップ、
製薬または生物工学的プロセスに好適な、少なくとも1つの流体処置ユニット(221)と、少なくとも1つの注入口(21a、21b)と、少なくとも1つの抽出口(25a、25b)と、を備えた通気手段(2)を提供するステップ、
第1の部分(131)と、水平方向(O)に従って前記第1の部分(131)から離された第2の部分(132)と、前記第2の部分(132)に隣接して、前記第1の部分(131)及び前記第2の部分(132)の間に延び、前記第2の部分(132)の下方かつ前記第1の部分(131)の上方にある、傾斜部分(133)と、を備えた第1の壁(13)を実現するよう、ならびに、一定もしくは実質的に一定であるか、または少なくとも1つの注入口(21a、21b)の設定領域から少なくとも1つの抽出口(25a、25b)の設定領域まで下降しながら減少するチャンバ(100)の水平セクション(A)、を有する構造体(10)を実現するよう、前記部品を前記アセンブリ(0)に接続するステップ、ならびに
動作空間(100a)の上方に置ける、少なくとも1つの前記流体注入口(21a、21b)と、前記動作空間(100a)の下方における、前記チャンバ(100)からの少なくとも1つの前記抽出口(25a、25b)と、を有するよう、ならびに、流体を少なくとも1つの前記注入口(21a、21b)から少なくとも1つの前記抽出口(25a、25b)まで移動させるよう、前記通気手段(2)を設定するステップ、
を含む、方法。
【請求項25】
アセンブリ(0)を提供する前記ステップにおいて、請求項23に記載のアセンブリ(0)が提供され、前記部品を前記アセンブリ(0)に接続する前記ステップにおいて、前記壁(13、14、15、16)が、第1の傾斜面(81)と第2の傾斜面(82)との間に延びるよう、分離部分(8)が壁(13、14、15、16)に接続される、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、製薬または生物工学的材料の取り扱い、容器及びその閉鎖手段の取り扱い、確認または事前処置など、製薬または生物工学的物品のライフサイクルにおいて必要な操作の内、1つまたは複数を実現するために、制御された、及び/または分類された、及び/または認証された雰囲気、を有するチャンバ内で、材料を取り扱うことに関する技術分野に関係する。
【背景技術】
【0002】
関連の技術分野において、例えば隔離装置またはRABS(Restricted-Access Barrier System:アクセスが限定されたバリア装置)などの格納構造の内部に位置された、制御された雰囲気を有するプロセスチャンバの使用が、知られている。
【0003】
隔離装置は、完全に閉鎖かつ封止されるので、チャンバを完全に隔離することが可能である。それらは、汚染物質に対して高いレベルの防護を提供し、非常に敏感、危険、及び/または有毒な材料に対して、特に有用である。さらに、それらは例えば過酸化水素または他の強い除毒剤を使用した、広範な除染または洗浄プロセスを可能にする。通常、隔離装置は、外部環境からチャンバの観察を可能にするための透明壁を備え、その壁または別の壁は、チャンバの内部に介入することを可能にするための、グローブ及び/またはドアを備えることができる。
【0004】
通常、隔離装置はスチールで作られ、人が入ることを想定しない。隔離装置は、それらの操作に費用がかかるという事実を考慮したとしても、プロセスの必要性に対して、一般的に可能な限り小さい体積を有する。
【0005】
通常、RABSは格納壁を備え、それは装置を囲むが、ホワイトチャンバに向けて開いたままである。この格納壁は、作業装置との相互作用を可能にするための、グローブ及び/またはドアを含むことができる。空気処置システムを、ホワイトチャンバのためのものと一体化させることができる。
【0006】
関連の技術分野における一般的な専門用語を使用すると、本特許出願における用語「空気」は、特定の混合物に限定されず、例えばこの混合物を、大気または窒素として同等に識別できるものと規定される。しかし、本発明の説明において、より一般的な用語「流体」を使用する。
【0007】
RABSなど、より大きい構造では、一般的に人または他の機械によって直接チャンバにアクセスする可能性がある。
【0008】
通常これらのプロセスは、クリーンルームまたは清潔な領域の内部で行われ、それらは物品の粒子汚染を防止するよう、設計、維持、及び制御される。例として、規格ISO 14644-1、ならびに欧州の医薬品の製造及び品質管理に関する実践規範は、クリーンルームの分類を含む。現在、クリーンルームにおいて、雰囲気の制御は、例えばHEPAフィルタを使用して濾過された空気を注入することによって成される。
【0009】
水平面を有する機械が公知であり、それはこの面の両側、または壁が取り付けられている場合は一方の側のみ、において空気の吸入を使用する。この空気は、清潔なゾーンから再生領域に向けて、任意の汚染物質または粒子の浮遊移動として使用される。この機械は、隠れ領域または乱流領域を有することが多く、それは、単一で実質的に一方向の流れが形成されるのを防止する。水平面は、汚染物質または粒子に対する、バリア及び堆積箇所としても機能する。同様に、チャンバの内側に配置された部材は、流れを変えて妨げ、少なくとも局所的に流れの効果を低減させる。これらの欠点を取り除くために、特定の構成の解決策が公知である。しかしそれらは、例えばステーションの変更または格納構造の変更など、システム構造が変化する場合には、良好に適応しない。
【0010】
水平面を伴う機械の欠点は、欧州特許出願公開第3939896号明細書、及び欧州特許第3335844号明細書において例示された機械によって、部分的に取り除かれており、これらは、格納構造の内部の制御された雰囲気を伴うチャンバの例を与えている。両方のチャンバは、上から下への方向に空気の流れによって触れられ、それは、プロセスチャンバの露出面における粒子の堆積を制限/防止する傾向にある。この空気は、一般的に入口及び出口の両方で濾過され、通常その流れは、少なくともその一部の上では層流、または実質的に層流である。粒子の堆積は、基部の使用を避けるよう、壁にロボットを配置することによって、さらに制限される。ここ及び本文献の残りで使用される用語「壁」は、最も広範に使用されるように、垂直方向に延びた要素を表わす。
【0011】
しかし、欧州特許出願公開第3939896号明細書及び欧州特許第3335844号明細書で説明されている解決策も、粒子の限定された堆積が継続して存在し、または任意の場合において、特に、より毒性がある物質を使用する傾向、及び/または規制をさらに厳しくする傾向がある、という点で、プロセスチャンバは完全に満足のいくものではない。
【0012】
さらに、説明されている全ての解決策は、特別な設計及び実現性を必要とするので、設計及び/または製造、ならびに、時間通りまたは低コストでカスタマイズすること、が困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3939896号明細書
【特許文献2】欧州特許第3335844号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、先行技術における解決策の、1つまたは複数の欠点を取り除くことを意図する。
【0015】
本発明の第1の目的は、製薬または生物工学的プロセスによって要求される清浄な状態で、チャンバの保守管理を容易にする機械を、提供することである。
【0016】
本発明の第2の目的は、汚染物質または粒子が、一般的により堆積しやすい領域においても、高い清浄状態を保証することである。
【0017】
いくつかの実施形態の目的は、エネルギーを供給する手段、または材料を供給する手段を収容する、プロセスステーションに隣接した利用可能な空間を有することである。
【0018】
いくつかの実施形態における別の目的は、通気手段、ならびに材料が通過するための開口部、の統合を容易にすることである。
【0019】
本発明の非二次的な目的は、機械を構築することを容易にすることであり、それによって機械は迅速に利用可能にでき、及び/または、迅速にカスタマイズ可能にでき、ならびに、好ましくは安価である。
【課題を解決するための手段】
【0020】
これら及び他の目的は、当業者が以下の説明を読むと明白になるが、特許請求の範囲に従った製薬または生物工学的プロセスのための機械、アセンブリ、及び機械を実現するための方法、によって達成される。
【0021】
本文献の教示に従うと、この機械は、構造体、通気手段、及び移動手段を備える。
【0022】
構造体は、上部分と、下部分と、それらの間に、第1の壁及び第1の壁の反対側にある第2の壁を備えた壁と、を有する。これら上部分、下部分、及び壁は、チャンバの境界を定める。
【0023】
材料及び/または器具を移動させるための移動手段は、材料及び/または器具を、チャンバの内部における動作空間で移動させるように構成される。
【0024】
通気手段は、動作空間の上方における、チャンバの内部の少なくとも1つの流体注入口と、動作空間の下方における、チャンバからの少なくとも1つの流体抽出口と、少なくとも1つの注入口の上流における、製薬または生物工学的プロセスに好適な、少なくとも1つの流体処置ユニットと、を備える。通気手段は、少なくとも1つの注入口から少なくとも1つの抽出口まで、流体を移動させる。
【0025】
構造体は、チャンバの水平セクションが、一定もしくは実質的に一定になるよう、または、少なくとも1つの注入口から少なくとも1つの抽出口まで下降しながら減少するよう、構成される。
【0026】
有利には、第1の壁は、第1の部分と、水平方向に対して第1の部分から距離がおかれた第2の部分と、第1の部分及び第2の部分の間に延び、第2の部分の下方かつ第1の部分の上方で、かつチャンバを限定するよう第1の部分及び第2の部分に隣接した、傾斜部分と、を備える。
【0027】
動作空間は、少なくとも部分的に、傾斜部分の上、及び/または、第1の部分の上方かつ傾斜部分の前に配置された体積内、で延びる。少なくとも一部において、これは動作空間が他の領域も囲むことを意味する。
【0028】
傾斜部分は水平面に対して傾斜し、それによって流体が第1の部分に向けて落ちるときに、流体によって横断されるチャンバの水平セクションは減少する。
【0029】
以下で例示するように、アセンブリは構成要素を備え、それは、製薬または生物工学的プロセスを実施するために必須であり、本方法に例示するように本発明の機械を形成するよう、残りの構成要素と連結させることができる。
【0030】
本発明の特定の実施形態を、特許請求の範囲に規定されるものに従い、添付の図の助けを伴って、本明細書の以下の部分で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明による製薬または生物工学的プロセスのための機械の、実施形態の正面図である。
【
図3】本明細書による特性の、考えられる組み合わせを例示する、本発明による製薬または生物工学的プロセスのための機械における実施形態の横断図である。
【
図4】本明細書による特性の、考えられる組み合わせを例示する、本発明による製薬または生物工学的プロセスのための機械における実施形態の横断図である。
【
図5】本明細書による特性の、考えられる組み合わせを例示する、本発明による製薬または生物工学的プロセスのための機械における実施形態の横断図である。
【
図6】本明細書による特性の、考えられる組み合わせを例示する、本発明による製薬または生物工学的プロセスのための機械における実施形態の横断図である。
【
図7】本明細書による特性の、考えられる組み合わせを例示する、本発明による製薬または生物工学的プロセスのための機械における実施形態の横断図である。
【
図8】本明細書による特性の、考えられる組み合わせを例示する、本発明による製薬または生物工学的プロセスのための機械における実施形態の横断図である。
【
図9】本明細書による特性の、考えられる組み合わせを例示する、本発明による製薬または生物工学的プロセスのための機械における実施形態の横断図である。
【
図10】本発明によるアセンブリにおける実施形態の正面斜視図である。
【
図11】
図10の実施形態と実質的に類似した、本発明によるアセンブリにおける実施形態の背面斜視図である。
【
図12】
図10の実施形態と実質的に類似した、本発明によるアセンブリにおける実施形態の背面斜視図である。
【
図13】次の図における切断面のトレースラインを伴い、別のチャンバを有する、本発明による製薬または生物工学的プロセスのための機械の、別の実施形態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
添付の図面を参照すると、参照番号1は、製薬または生物工学的プロセスのための機械を示す。
【0033】
機械(1)の実施形態は、構造体(10)、材料及び/または器具を移動するための移動手段、ならびに通気手段(2)を備える。
【0034】
構造体(10)は、上部分(11)と、下部分(12)と、それらの間における壁(13、14、15、16)と、を有する。これらの壁は、第1の壁(13)と、第1の壁(13)の反対側における第2の壁(14)と、を備える。
【0035】
上部分(11)、下部分(12)、及び壁(13、14、15、16)は、チャンバ(100)の境界を定める。
【0036】
移動手段は、材料及び/または器具を、チャンバ(100)の内部における動作空間(100a)で移動させるように構成される。
【0037】
通気手段(2)は、チャンバ(100)の内側で、動作空間(100a)の上方における、少なくとも1つの流体注入口(21a、21b)と、動作空間(100a)の下方における、1つのチャンバ(100)からの流体のための少なくとも1つの流体抽出口(25a、25b)と、少なくとも1つの注入口(21a、21b)の上流に、製薬または生物工学的プロセスに好適な、少なくとも1つの流体処置ユニット(221)と、を備える。
【0038】
通気手段(2)は、少なくとも1つの注入口(21a、21b)から少なくとも1つの抽出口(25a、25b)まで、流体を移動させる。
【0039】
構造体(10)は、チャンバ(100)の水平セクション(A)が、一定もしくは実質的に一定になるよう、または、少なくとも1つの注入口(21a、21)から少なくとも1つの抽出口(25a、25b)まで下降しながら減少するよう、構成される。
【0040】
第1の壁(13)は、有利には第1の部分(131)と、水平方向(O)に対して第1の部分(131)から距離がおかれた第2の部分(132)と、第1の部分(131)及び第2の部分(132)の間に延び、第2の部分(132)の下方かつ第1の部分(131)の上方で、チャンバ(100)を限定するよう第1の部分(131)及び第2の部分(132)に隣接した、傾斜部分(133)と、を備える。
【0041】
動作空間(100a)は、少なくとも部分的に、傾斜部分(133)の上、及び/または、第1の部分(131)の上方かつ傾斜部分(133)の前に配置された体積内、で延びる。
【0042】
傾斜部分(133)は水平面(H)に対して傾斜し、それによって流体が第1の部分(131)に向けて落ちるときに、流体によって横断されるチャンバ(100)の水平セクション(A)は減少する。
【0043】
本発明の機械(1)は、流体が停滞する領域を、少なくとも1つの抽出口(25a、25b)に向けて下げることで回避し、汚染物質または粒子の堆積を防止するよう、流体の加速を促し、かつ汚染物質または粒子の浮遊移動を容易にする。詳細には、これらの利点は、傾斜部分(133)、及び移動手段の周りにおいて明白である。移動手段は、障害、隠れ領域、及び/または、移動手段の機械的部品からの、汚染物質または粒子の排出源、の要因となることが多い。移動手段のために得られるものと同様の利益は、以下でより詳細に説明するように、プロセスの任意の機能ユニット(99)に対しても得られ、それは、一般的に傾斜部分(133)に配置され、及び/または、第1の部分(131)からもたらされる。
【0044】
一般的に、材料及び/または器具は、1つまたは複数の製薬または生物工学的プロセスを実現するために移動される。
【0045】
図6、
図7及び
図8は、いくつかの動作空間(100a)の例であり、動作空間(100a)が、必ずしも移動手段が届く空間に対応しないが、材料及び器具が作動する空間に対応することを例示する。
【0046】
例として、
図7で表わされた動作空間(100a)は、
図8で表わされた動作空間(100a)に対して、第1の部分(131)の上方かつ傾斜部分(133)の前に配置された体積を、換言すると傾斜部分(133)と第2の壁(14)との間に配置された体積を、備える。
【0047】
図6、
図7、及び
図8でも、傾斜部分(133)が動作空間(100a)の下にあること、すなわち傾斜部分(133)の上に動作空間(100a)があること、が確認できる。
【0048】
動作空間(100a)は、好ましくは少なくとも部分的に、傾斜部分(133)の上に延びる。
【0049】
チャンバ(100)の水平セクション(A)における最小限の増加変動は、流れの速度、及び浮遊移動を実施する機能に影響を及ぼさず、その点で水平セクション(A)は実質的に一定とすることができる。
【0050】
第1の壁(13)及び第2の壁(14)は、傾斜部分(133)の下方及び少なくとも1つの抽出口(25a、25b)の上方において、好ましくは互いに向けて移動する。
【0051】
上述の効果は、流れの速度の増加につながり、上方で集積された汚染物質の浮遊移動と、関連の空間の清浄とをさらに促進させる。ここで、移動手段または機能ユニット(99)の部品は、位置が定められたデバイスであることが多い。
【0052】
間近の移動は、第1の壁(13)及び/または第2の壁(14)の態勢によって明確に定めることができる。
【0053】
第2の壁(14)は、好ましくは傾斜部分(133)の高さにおいて部品(図示せず)を有し、それは水平セクション(A)を減少させるように傾斜される。
【0054】
傾斜部分(133)に従った部分の内部における第2の壁(14)によって定められた、水平セクション(A)のさらなる限定は、上述の利益を伴って流れの速度を増加させることを、さらに促す。
【0055】
第2の部分(132)は、好ましくは材料をチャンバ(100)の中に導入するため、または取り除くための開口部(130)を備える。製薬または生物工学的プロセスのための機械には、通常は同様の開口部(130)が設けられ、それらは動作空間(100a)の間近に配置されることが多い。
【0056】
このように傾斜部分(133)は、開口部(130)を囲む流れ、ならびに開口部(130)を通過できる材料から汚染物質、を少なくとも1つの抽出口(25a、25b)に向けて導き、その一方で同時に、汚染物質の堆積を回避するよう促すことを可能にする。このように、外部環境に向けて開かれるか、または通過される領域が存在するにもかかわらず、高いレベルの清浄が維持される。
【0057】
少なくとも1つの抽出口(25a、25b)を、
図8で確認できるように第1の壁(13)に、もしくは
図6で例として示されるように第2の壁(14)に、または
図7で例として示されるように両方に、作ることができる。組み合わせまたは代替として、少なくとも1つの抽出口(25a、25b)を、下部分(12)に作ることができる。第1の壁(13)または第2の壁(14)における位置付けは、特に少なくとも1つの抽出口(25a、25b)にフィルタ(222)が配置された場合、より便利である。
【0058】
抽出口(25a)は、好ましくは第2の壁(14)に作られる。
【0059】
内側に傾斜した、傾斜部分(133)に対して反対側からの抽出は、流れの方向付けを容易にするだけではなく、傾斜部分(133)の下に、より大きい体積を配置することを可能にし、それは装置の設定のために有用である。例えば、エネルギーを供給する手段(6)、及び/または材料を供給する手段(7)を、移動手段に設定することができ、それは、チャンバ(100)の内部で実施される製薬または生物工学的プロセスのために有用である。
【0060】
少なくとも1つの抽出口(25a、25b)を第1の壁(13)に作ることができるが、第2の壁(14)に実現された場合、一般的にフィルタ(222)のために、より大きい体積をもたらすことを可能にし、それは、特にチャンバ(100)の体積を増加させることに対して、及び/または、第2の壁(14)の外側に配置された通気手段(2)の構成要素への接続のために、有用である。これは、上部分(11)の上における通気手段(2)のために、一般的に利用可能な空間を越えた、さらなる空間を定めることが困難である用途において、有利である。
【0061】
同じ条件であると仮定して、
図4及び
図5を参照すると、
図4のチャンバ(100)は、
図5のチャンバ(100)のフィルタ(222)に対して、より大きい体積のフィルタ(222)を必要とする。
【0062】
第1の壁(13)は、好ましくは面取りを伴って下部分(12)に接続され、及び/または、第2の壁(14)は、面取りを伴って下部分(12)に接続される。面取り(R)は、流れを少なくとも1つの抽出口(25a、25b)に向けて導くよう順応され、それによってチャンバ(100)の外側に向けた浮遊移動を向上させる。
【0063】
より好ましくは、第2の壁(14)に実現された抽出口(25a)の存在で、第1の壁(13)は面取りを伴って下部分(12)に接続され、第1の壁(13)に実現された抽出口(25b)の存在で、第2の壁(14)は面取りを伴って下部分(12)に接続される。
【0064】
図3、
図4、
図6、及び
図8で確認できるように、面取り(R)の曲率半径は、面取り(R)が少なくとも1つの抽出口(25a、25b)に向かうようにすることが好ましい。
【0065】
通気手段(2)は、好ましくは、浮遊する汚染物質または粒子から流体を洗浄するよう、抽出口(25a、25b)に配置された、製薬または生物工学的プロセスのために好適なフィルタ(222)を備える。
【0066】
通気手段(2)は、好ましくは再循環導管(23)を備え、それは
図4、
図7、及び
図8に概略で例示されるように、少なくとも1つの抽出口(25a、25b)を、少なくとも1つの注入口(21a、21b)に接続する。より好ましくは、導管(23)は、既知の解決策で見られる、第1の壁(13)の側を通り過ぎる代わりに、第2の壁(14)の側を通り過ぎる。
【0067】
上部分(11)は、一般的に少なくとも1つの注入口(21a、21b)を収容し、好ましくは通気手段(2)は、流れが、少なくとも第1の部分(F)において層流であるか、または実質的に層流であり、かつ水平面(H)に対して垂直方向に導かれるよう、構成される。
【0068】
層流は、その方向性の態様のために、クリーンルームに使用されることが多い。本発明の機械(1)の場合、通常は障害物の無い第1の部分(F)における良好な浮遊移動、及び抽出に向けて流されること、を保証する、
【0069】
好ましくは、特に層流または実質的に層流である場合に、少なくとも第1の部分(F)において、機械(1)は、チャンバ(100)の分離壁(9)を備える。この分離壁(9)は、上部分(11)から下部分(12)へ向けて、第1の部分(131)の高さまで延びる。
【0070】
このように分離壁(9)は、チャンバ(100)の一部を伴ってRABSのような構成を実現し、それは、移動手段が設定され、かつ傾斜部分(133)が存在し、同様に場合によっては開口部(130)が存在するチャンバ(100)の部分は、汚染物質の影響を被らない。
【0071】
好ましくは、特に層流または実質的に層流である場合、少なくとも第1の部分(F)において、少なくとも1つの注入口(21a、21b)は、チャンバ(100)の全ての水平セクション(A)にわたって延びるか、または実質的に延びる。
【0072】
特に
図3~
図9で確認できるように、汚染物質が蓄積する領域の存在を回避するよう、流れが水平セクション(A)全体を網羅することが好ましい。
【0073】
換言すると、少なくとも1つの注入口(21a、21b)は、好ましくは第1の壁(13)から第2の壁(14)に、より好ましくは第1の壁(13)及び第2の壁(14)に隣接した壁(15、16)の内、一方の壁からも延びるか、または実質的に延びる。
【0074】
特に層流または実質的に層流である場合、少なくとも第1の部分(F)において、第1の壁(13)及び第2の壁(14)の、好ましくは両方は、平坦な垂直部分(134、141)を有し、それは上部分(11)から下がってそれぞれ垂直面(Z)に載る。このように、停滞する領域、及び場合によっては層流は、逸脱せずにその方向性を修正する。
【0075】
必須ではないが一般的に、第1の壁(13)及び第2の壁(14)に隣接した壁(15、16)は、平坦かつ垂直である。すなわちそれらは、
図14のように垂直面に載り、他の実施形態においてそれらは水平セクション(A)を減少させるために寄与できる。
【0076】
移動手段は、例えばコンベアベルト、機械式アーム、ロボットアーム、及び/または他の既知のデバイスなど、運搬装置またはコンベアを備えることができる。
【0077】
移動手段は、好ましくはアーム(33)を備える。本発明の機械(1)は、汚染物質の蓄積を有利に防ぎ、アーム(33)の存在下でも浮遊移動を保証する。アーム(33)は、機械式アームまたはロボットアームとすることができる。
【0078】
移動手段は、一般的にそれぞれのアーム(33)に支えられた接触部分(34)も備える。それは動作空間(100a)の内部において材料及び/または器具に接触する。
【0079】
動作手段は、壁(13、14、15、16)及び/または上部分(11)及び/または傾斜部分(133)、によって支えられたデバイスを備えることができる。
【0080】
必須ではないが一般的に、移動手段は複数のデバイスを備える。
【0081】
移動手段は、好ましくは少なくとも1つのロボット(31、32)を備える。より好ましくは、各ロボット(31、32)は、アーム(33)及び接触部分(34)を備え、接触部分(34)を動作空間(100a)の中に移動させるよう構成される。
【0082】
移動手段、または少なくとも1つのロボット(31、32)は、好ましくは、容易にエネルギー及び/または材料を受け取れるよう、第1の部分(131)及び/または傾斜部分(133)に連結されるか、もしくは組み合わせる部分(35)を備える。
【0083】
機械(1)は、好ましくは、移動手段にエネルギーを供給する手段(6)、及び/またはチャンバ(100)の反対側において第1の部分(131)もしくは傾斜部分(133)に配置された、移動手段に材料を供給する手段(7)、を備え、それによってそれらは動作空間(100a)に近接する。
【0084】
より好ましくは、エネルギーを供給する手段(6)、及び/または材料を供給する手段(7)は、先行技術の解決策では一般に空気導管の通路のために利用される体積の内部で、傾斜部分(133)の下に位置される。
【0085】
機械(1)は、好ましくは少なくとも1つの機能グループ(99)を備え、それは移動手段と協働して、製薬または生物工学的プロセスを実現する。
【0086】
少なくとも1つの機能グループ(99)は、計量システム、集積システム、容器閉鎖システム、リング封止ステーション、液体または粉末投薬システム、容器またはキャップを置く領域、円形コンベア、遠心分離機、または製薬または生物工学的産業で一般に使用される他のデバイス、を備えることができる。
【0087】
傾斜部分(133)は、より好ましくは、少なくとも1つの機能グループ(99)を収納もしくは支持し、及び/または、第1の部分(131)は、少なくとも1つの機能グループ(99)を支持する。
【0088】
図6及び
図7において、動作空間(100a)は、移動手段が、傾斜部分(133)の上、及び第1の部分(131)によって支持された任意の機能ユニット(99)上で作動するのを可能にする。動作空間(100a)の限定において、製薬または生物工学的プロセスを実施させることに関わる、少なくとも1つの機能グループ(99)の位置を考慮に入れる。
【0089】
通気手段(2)は、好ましくは少なくとも1つの通気設備(24)を備える。1つの通気設備(24)は、上部分(11)の上に配置されることが多く、他の通気設備(24)を、チャンバ(100)の内側における内部の過圧または減圧、同様に吸入量、外側に向けた排出量、及び回収、を管理するために導入することができる。例えば他の通気設備(24)は、
図3~
図9における第2の壁(14)の側部に配置され、再生と、チャンバ(100)における内部圧力と、の動的管理を可能にする。
【0090】
少なくとも1つの流体処置ユニット(221)は、好ましくはフィルタを備え、より好ましくは、製薬または生物工学的プロセスのためのHEPAタイプのフィルタを備える。
【0091】
通気手段(2)は、一般的にチャンバ(100)への出口において空気を濾過するためのフィルタ(222)を備え、好ましくは製薬または生物工学的プロセスのためのHEPAタイプのフィルタを備える。
【0092】
通気手段(2)は、外側に向かう空気、または外側からの空気を濾過するためのフィルタ(223)も備え、好ましくは製薬または生物工学的プロセスのためのHEPAタイプのフィルタを備える。
【0093】
少なくとも1つの流体処置ユニット(221)は、好ましくは流体冷却及び/または加熱ユニットを備える。
【0094】
エネルギーを供給する手段(6)は、電気ケーブル、電気制御ユニット、加圧流体用導管、または製薬、生物工学、もしくはロボット産業で一般的に使用される他のデバイス、を備えることができる。
【0095】
材料を供給する手段(7)は、例えば水、空気、もしくは窒素などの流体用のパイプ、または、開口部及び/もしくは引出し及び/もしくは区画、ポンプ、弁、もしくは製薬もしくは生物工学産業で一般的に使用される他のデバイスのための機械的部品、を備えることができる。例として、
図10において、チャンバに向けて通じている区画が、点線で部分的に視認可能であり、チャンバ(100)に向けて通じることができる。
【0096】
材料は、容器または容器の部品、医薬製品、生物工学的製品、試験用製品、または製薬または生物工学的プロセスのために使用される他の材料、を含むことができる。
【0097】
器具は、例えばペンチ、測定器具、ピックアップデバイス、充填デバイス、または製薬または生物工学的プロセスのために使用される他の器具、を含むことができる。
【0098】
本明細書による機械(1)を製造するためのアセンブリ(0)にも関係する。
【0099】
アセンブリ(0)の実施形態は:
-第1の部分(131)及び傾斜部分(133)を備えたチャンバ(100)の境界を定めるための、壁部分;
-少なくとも1つの別の壁(4);
-第1の部分(131)及び少なくとも1つの別の壁(4)を支持する、基部(5);
-材料及び/または器具を動作空間(100a)で移動させるように構成された、材料及び/または器具を移動させるための移動手段;
-移動手段にエネルギーを供給する手段(6)、及び/または移動手段に材料を供給する手段(7)、を備え、
ここで:
-基部(5)、第1の部分(131)、傾斜部分(133)、及び少なくとも1つの別の壁(4)は、必ずしも閉鎖する必要はないが、エネルギーを供給する手段(6)及び/または材料を供給する手段(7)を収容する容積(V)の境界を定め;
-傾斜部分(133)は第1の部分(131)に隣接し、かつ第1の部分(131)から、水平面(H)に対して斜め方向(D)に隆起する。
【0100】
本発明によるアセンブリ(0)は、機械(1)の構築を容易にする。なぜならアセンブリ(0)は、上述の利点を伴い、チャンバ(100)における製薬または生物工学的プロセスを実現するために必須の構成要素を備えるからである。
【0101】
アセンブリ(0)は、本発明の機械(1)を構築するよう、例えば事前確認または事前分類され、その後、構造体の他の部品と組み立てるために別の場所に搬送することができる。
【0102】
アセンブリ(0)は、互いに非常に異なる構造の中に、容易に一体化させることができ、その一方でチャンバ(100)の内部における高いレベルの清浄を保証する。
【0103】
アセンブリ(0)は、機械(1)全体よりも、さらに容易に搬送可能であり、敏感で壊れやすい対象物の搬送手段を、さらに容易に利用することができる。
【0104】
壁の部分は、好ましくは第2の部分(132)も備え、より好ましくは、例えば
図10で確認できるように、開口部(130)を備える。これは、連続動作をさらに限定するため、及び組み立て前のアセンブリ(0)を得る前の動作を最大限にするために、有用となる場合がある。
【0105】
移動手段は、体積(V)の反対側になるよう、かつ容易にエネルギーを与えられるよう、または材料を容易に受け取れるように、好ましくは第1の部分(131)及び/または傾斜部分(133)に連結されるか、または組み合わせる部分(35)を備える。
【0106】
アセンブリ(0)は、好ましくは分離部分(8)を備え、移動手段は第1のデバイス及び第2のデバイスを備える。
【0107】
分離部分(8)は、第1のデバイスと第2のデバイスとの間で、傾斜部分(133)の上に配置され、互いに反対側を向いて、第1のデバイス及び第2のデバイスの連結方向(C)で傾斜部分(133)に向けて広がる、第1の傾斜面(81)及び第2の傾斜面(82)を有する。
【0108】
分離部分(8)は、チャンバ(100)との境界を定めるように、壁(15、16)と相互作用できるか、または壁(15、16)を収納でき、それによって傾斜部分(133)で既に採用されたものと同じ理由で、傾斜面によって壁(15、16)からの流れに対して距離をとるよう促す。同様に、この利点は、壁(15、16)が開口部を備えるとき、向上する。
【0109】
本発明は、本明細書による機械(1)を製造するための方法にも関係する。
【0110】
本方法の実施形態は:
-本明細書すなわち説明した実施形態の内の1つに従った、アセンブリ(0)を提供するステップ;
-上部分(11)と、下部分(12)と、壁(13、14、15、16)と、チャンバ(100)の境界を定める上部分(11)、下部分(12)、壁(13、14、15、16)を伴い、壁の部分と共に構造体(10)を形成するよう構成された壁の第2の部分(132)と、を備えた部品を提供するステップ;
-製薬または生物工学的プロセスに好適な、少なくとも1つの流体処置ユニット(221)と、少なくとも1つの注入口(21a、21b)と、少なくとも1つの抽出口(25a、25b)と、を備えた通気手段(2)を提供するステップ;
-第1の部分(131)と、水平方向(O)に従って第1の部分(131)から離された第2の部分(132)と、第2の部分(132)に隣接して、第1の部分(131)と第2の部分(132)との間に延び、第2の部分(132)の下方かつ第1の部分(131)の上方にある、傾斜部分(133)と、を備えた第1の壁(13)を実現するよう、ならびに、一定もしくは実質的に一定であるか、または少なくとも1つの注入口(21a、21b)の設定領域から少なくとも1つの抽出口(25a、25b)の設定領域まで下降しながら減少する、チャンバ(100)の水平セクション(A)と、を有する構造体(10)を実現するよう、部品をアセンブリ(0)に接続するステップ;
-動作空間(100a)の上方における、少なくとも1つの流体注入口(21a、21b)と、動作空間(100a)の下方における、チャンバ(100)からの少なくとも1つの抽出口(25a、25b)と、を有するよう、ならびに、流体を少なくとも1つの注入口(21a、21b)から少なくとも1つの抽出口(25a、25b)まで移動させるよう、通気手段(2)を設定するステップ、
を含む。
【0111】
上述の方法は、一般的に事前分類され、予め組み立てられたアセンブリ(0)を有する利点を利用して、特に製薬または生物工学的プロセスにおける特定の要求のために好適な、チャンバ(100)を形成することを可能にする。このように本発明の機械(1)は、迅速に利用可能となり、及び/または、迅速に具現化することができ、同様に、ゼロ設計及び製造作業から導きだしたものに対して低コストである。
【0112】
さらに、アセンブリ(0)の改善は、作られることになる全ての機械(1)に、直接的な影響を与えることができる。
【0113】
アセンブリ(0)を提供するステップにおいて、アセンブリは、分離部分(8)を備え、移動手段は第1のデバイス及び第2のデバイスを備えるよう、好ましくは提供される。
【0114】
分離部分(8)は、第1のデバイスと第2のデバイスとの間で、傾斜部分(133)の上に配置され、互いに反対側を向いて、第1のデバイス及び第2のデバイスの連結方向(C)で傾斜部分(133)に向けて広がる、第1の傾斜面(81)及び第2の傾斜面(82)を有する。
【0115】
さらに、部品をアセンブリ(0)に接続ステップにおいて、分離部分(8)は、壁(13、14、15、16)が第1の傾斜面(81)と第2の傾斜面(82)との間に延びるよう、壁(13、14、15、16)に接続される。上記で示された利点は、このように得られる。
【0116】
添付の図面は、例を用いた説明を可能にし、上記で示した教示を詳述することが可能である。
【0117】
図1は、必ずしも必要ではないが、例えば保守点検のためのアクセスを例示する。
図2は、いくつかの開口部(130)、及びRTP(Rapid Transfer Port:迅速な移動ポート)タイプの開口部が設けられた可視壁、を例示する。
【0118】
本発明の機械(1)は、別のチャンバを備えることができる。例えば、
図10のアセンブリ(0)から開始すると、単一のチャンバ(100)が実現され、またはチャンバ(100)と、
図14の場合に3つの別のチャンバと、が実現される。
【0119】
実現された機械(1)は、
図1で例示したものとすることができる外部形態の、3つの別のチャンバを備えることができる。
【0120】
以下で例示するアセンブリ(0)は、1つまたは複数のステーションを保証する「モジュラー式」アプローチを用いて作ることができる。
【0121】
図3の機械(1)を参照すると、流体速度の実質的に4つの領域、または水平ストリップ、すなわち上から:傾斜部分(133)に達する第1の領域、傾斜部分(133)における第2の領域、傾斜部分(133)の下で、第2の壁(14)の傾斜端部に達する第3の領域、及びさらに下の第4の領域、が確認できる。
【0122】
開口部(130)は
図3に表されるが、これは他の実施形態においても接続部(R)として存在する場合がある。
【0123】
図5及び
図6において、チャンバ(100)の反対側の、第1の壁(13)の側部において、機械(1)内に空間が存在し、それは別のホワイトチャンバまたは制御された雰囲気を有するものを配置するために使用される場合があるが、少なくとも1つの注入口(21a、21b)に向けて流体を戻すためにも使用される場合がある。本発明の教示は、開口部(130)における、より高い清浄効率を伴い、チャンバ(100)の反対側の、第1の壁(13)の側部における機械(1)のサイズを減少させることも可能にする。
【0124】
図10において、必ずしも必要ではないが、基部(5)は、第1の部分(131)から延びたプラットフォームを備える。このプラットフォームは、機械(1)を実現する前に、アセンブリ(0)の搬送及び管理を容易にし、その一方で移動手段、及び場合によっては機能ユニット(99)を伴う領域を防護する。
【0125】
同じ
図10において、次の
図11及び
図12のように、体積(V)にアクセスすることが、いかに容易にあるかを確認することができ、エネルギーを供給する手段(6)の電気ケーブルも確認することができる。
【0126】
図11及び
図12に例示されるように、アセンブリ(0)は、容易に機能ユニット(99)と、すなわち製薬または生物工学的産業に一般的に使用されるモジュールまたはデバイスと、一体化させることができ、とりわけ機械(1)の設定に関して、設定中のアクセスを大幅に容易にする。
【0127】
上記では、非限定例として説明してきたこと、及び任意の実際上の構造的変形は、以下で請求するように、本技術的ソリューションの保護範囲内に入るよう考慮されること、を理解されたい。
【国際調査報告】