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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】口腔内OCT装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20241031BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20241031BHJP
   A61B 1/24 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
A61B1/00 526
G01N21/17 630
A61B1/24
A61B1/00 718
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523555
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(85)【翻訳文提出日】2024-04-18
(86)【国際出願番号】 US2022047674
(87)【国際公開番号】W WO2023076226
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】63/273,678
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513097067
【氏名又は名称】デンタル・イメージング・テクノロジーズ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】ウォン, ヴィクター, シー.
(72)【発明者】
【氏名】ファン, チュアンマオ
【テーマコード(参考)】
2G059
4C161
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB08
2G059BB12
2G059EE02
2G059EE09
2G059FF02
2G059GG01
2G059GG02
2G059GG09
2G059HH01
2G059JJ01
4C161AA08
4C161BB08
4C161CC07
4C161FF40
4C161FF46
4C161MM10
4C161NN01
4C161QQ09
4C161RR01
4C161RR19
(57)【要約】
サンプルを撮像するためのハンドヘルド光学装置は、光集積回路基板上に形成された少なくとも出力導波路及び収集導波路を有する干渉計を有する。光源は閾値波長を上回る波長の光を生成する。第1の信号検出器は、サンプルから散乱された光の第1の部と、光の基準部との間で干渉計からの干渉信号を取得する。プロセッサは、取得された干渉信号に対して光干渉断層撮影を行う命令がプログラムされている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルを撮像するためのハンドヘルド光学装置であって、前記装置は、
ハウジングと、
光集積回路基板上に形成された少なくとも出力導波路及び収集導波路を有する干渉計であって、前記光集積回路基板は前記ハウジング内にある、前記干渉計と、
閾値波長を上回る波長の光を生成するように構成された光源と、
前記サンプルから散乱された前記光の第1の部と前記光の基準部との間の前記干渉計から干渉信号を取得するように構成された第1の信号検出器と、
前記取得された干渉信号に対して光干渉断層撮影処理を行う命令がプログラムされているプロセッサと、
を備える、前記ハンドヘルド光学装置。
【請求項2】
前記光源はスーパールミネセントダイオードであり、前記光源は波長可変レーザーであり、前記光源は波長可変垂直キャビティ面発光レーザーであり、前記光源は外部キャビティダイオードレーザーであり、または前記光源は約1300nmを中心に約60nmの帯域幅の可変範囲を有する、請求項1に記載のハンドヘルド光学装置。
【請求項3】
前記光源は前記ハウジング内にある、請求項1~2のいずれかに記載のハンドヘルド光学装置。
【請求項4】
前記光源は前記光集積回路基板上に形成される、請求項1~3のいずれかに記載のハンドヘルド光学装置。
【請求項5】
前記第1の信号検出器は分光計である、請求項1~4のいずれかに記載のハンドヘルド光学装置。
【請求項6】
前記第1の信号検出器は平衡検出器である、請求項1~4のいずれかに記載のハンドヘルド光学装置。
【請求項7】
前記第1の信号検出器は前記ハウジング内にある、請求項1~6のいずれかに記載のハンドヘルド光学装置。
【請求項8】
前記第1の信号検出器は前記光集積回路基板上に形成される、請求項1~7のいずれかに記載のハンドヘルド光学装置。
【請求項9】
前記光集積回路基板は、さらに、微小電気機械システムスキャニングミラーを備える、請求項1~8のいずれかに記載のハンドヘルド光学装置。
【請求項10】
前記出力導波路及び前記収集導波路は、前記サンプルから散乱された前記光を収集するために互いに近接して形成される、請求項1~9のいずれかに記載のハンドヘルド光学装置。
【請求項11】
前記サンプルから散乱された前記光の第2の部と前記光の基準部との間の前記干渉計から干渉信号を取得するように構成された第2の信号検出器をさらに備える、請求項1~10のいずれかに記載のハンドヘルド光学装置。
【請求項12】
前記サンプルから散乱された前記光の前記第1の部は前記収集導波路を通過し、前記サンプルから散乱された前記光の前記第2の部は前記出力導波路を通過する、請求項11に記載のハンドヘルド光学装置。
【請求項13】
前記第2の信号検出器は前記光集積回路基板上に形成される、請求項11~12のいずれかに記載のハンドヘルド光学装置。
【請求項14】
前記ハンドヘルド光学装置は、光干渉断層撮影または周波数変調連続波(FMCW)データを提供するように構成される無線送信機をさらに備え、前記無線送信機は前記ハウジング内にある、請求項1~13のいずれかに記載のハンドヘルド光学装置。
【請求項15】
前記ハンドヘルド光学装置は、バッテリーをさらに備え、前記バッテリーは前記ハウジング内にある、請求項1~14のいずれかに記載のハンドヘルド光学装置。
【請求項16】
前記プロセッサは、前記取得された干渉信号に対して周波数変調連続波(FMCW)処理を行う命令がプログラムされている、請求項1~15のいずれかに記載のハンドヘルド光学装置。
【請求項17】
前記プロセッサは埋め込み電子機器から形成され、前記プロセッサは前記ハウジング内にある、請求項1~16のいずれかに記載のハンドヘルド光学装置。
【請求項18】
前記ハンドヘルド光学装置は、前記ハウジング内にビーム結合器及び反射率画像検出器をさらに備える、請求項1~17のいずれかに記載のハンドヘルド光学装置。
【請求項19】
前記光源は第1の光源であり、さらに、前記ハンドヘルド光学装置は、
前記ハウジング内の可視範囲の光を放射する第2の光源であって、
前記ビーム結合器は、前記サンプルを往復する前記光の経路内にあり、かつ前記第2の光源からの前記光の経路内にある、前記第2の光源と、
前記サンプルから反射率画像データを取得する画像獲得装置と、
を備える、請求項1~18のいずれかに記載のハンドヘルド光学装置。
【請求項20】
前記サンプルは患者の口腔内特徴である、請求項1~19のいずれかに記載のハンドヘルド光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、光干渉断層撮影(OCT)撮像用の装置に関し、より具体的には、非常にコンパクトなOCTスキャナーでOCT機能を提供するハンドヘルド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光干渉断層撮影(OCT)は、干渉原理を用いてサンプルの深さ構造を特徴付ける高解像度の断面断層画像を取得する非侵襲的撮像技術である。ヒト組織のインビボ撮像にとって特に好適であり、OCTは、例えば、眼科、皮膚科、腫瘍学、及びその他の分野、ならびに耳鼻咽喉科(ENT)及び歯科撮像等、生物医学研究及び医用撮像用途の範囲で、その有用性を示している。
【0003】
OCTは、生体組織内からの反射エネルギーを撮像して断面データを取得する「光超音波」のタイプとして説明されている。OCT撮像システムでは、スーパールミネッセントダイオード(SLD)または他の光源等の広帯域幅供給源からの光は、2つの異なる光路に沿って向けられる。すなわち、それらの光路は、既知の長さの基準アーム、及び研究中の組織または他の対象を照射するサンプルアームである。次に、基準アーム及びサンプルアームからの反射光及び後方散乱光はOCT装置において再結合され、干渉効果を利用して、サンプルの表面及び表面付近の下層構造の特徴を決定する。干渉データは、サンプル全体にわたる照射を急速にスキャニングすることによって獲得できる。数千の点のそれぞれにおいて、OCT装置は干渉プロファイルを取得する。干渉プロファイルを使用して、光源コヒーレンスの要因となる材料への軸方向深さについてのAスキャンを再構成できる。ほとんどの組織撮像の用途において、OCTは広帯域の照明源を使用して、数ミリメートル(mm)の深さで画像コンテンツを提供できる。
【0004】
初期のOCT装置は、例えば圧電アクチュエータ等のいくつかのタイプの機械的機構を使用して基準アームの長さを急速に変化させることによって深度スキャニングを達成するタイムドメイン(TD-OCT)アーキテクチャを採用した。TD-OCT法はポイントごとのスキャニングを使用して、撮像セッション中に照明プローブを一方の位置から次の位置に移動またはスキャニングする必要がある。より最近のOCT装置は、生成される信号の光周波数に応じて様々な深さからの反射を区別するフーリエドメインアーキテクチャ(FD-OCT)を使用する。FD-OCT法は、複数の深度から同時に情報を収集することでアキシャルスキャン要件を簡素化または排除し、獲得速度及び信号対雑音比(SNR)を向上させる。フーリエドメインOCTには、スペクトルドメインOCT(SD-OCT)及び掃引光源OCT(SS-OCT)の2つの実施態様がある。
【0005】
SD-OCT撮像は、広帯域光源を用いてサンプルを照明し、例えば、分光計を用いて反射光及び散乱光をCCD(電荷結合素子)検出器等のアレイ検出器上に分散することによって実現できる。SS-OCT撮像は、高速波長同調レーザーでサンプルを照射し、単一の光検出器または平衡光検出器だけを使用して波長掃引中に反射された光を収集する。SD-OCT及びSS-OCTの両方を用いて、信号分析技術の当業者には良く知られている高速フーリエ変換(FFT)等のフーリエ変換を使用して記録された干渉信号を操作することによって、異なる深さから反射された散乱光のプロファイルが取得される。
【0006】
掃引周波数レーザー光源をベースとした低コストのFD-OCTシステムで高性能を達成できる可能性があるため、散乱性の高い組織の表面下の撮像を必要とする医療用途で大きな注目を集めている。
【0007】
SS-OCTに対する課題の1つは、必要な一連の波長を急速に連続して生成できる適切な光源を提供することである。このニーズを満たすために、掃引光源OCTシステムでは、従来、キャビティ内モノクロメーターを備えた高速波長掃引レーザーを採用する、またはレーザー出力を調整するためにいくつかのタイプの外部キャビティ狭帯域波長スキャニングフィルターを使用する。この目的のために使用されている外部デバイスの例は、縦モードの線形変化を提供するためにキャビティ長が調整される調整可能なファブリペローフィルターと、分散波長光を選択的に反射するポリゴンスキャナーフィルターとを含む。フーリエドメインモードロックは、一般に広帯域近赤外(BNIR)波長を使用するOCT撮像に最も役立つ掃引周波数を生成するために使用されている最近報告された技術である。
【0008】
OCTを口腔内撮像での使用に適応させる際の困難は、OCTスキャナーシステム内の様々なモジュールを統合することと、OCTスキャンで取得された光信号の生成、配信、感知、解読の管理及び調整することとを含む。OCTがより広く受け入れられ使用されるために、複雑なセットアップを検討することなく、また煩雑な信号ケーブル配線を用いることがなく、そして口腔内スキャニングカメラの操作及び移動に対する制限がない、よりコンパクトなコンポーネントのパッケージングと、容易に構成できるOCT構成と、が必要である。
【発明の概要】
【0009】
本願の態様は、歯科診断撮像を進歩させること、または口腔内で使用するためのよりコンパクトなOCT機器のニーズに対処することである。
【0010】
本願の別の態様は、関連技術における少なくとも前述及び他の欠陥に全体的または部分的に対処することである。
【0011】
本願の別の態様は、少なくとも本明細書に説明される利点を全体的または部分的に提供することである。
【0012】
これらの目的は、単に説明のための例として与えられたもので、そのような目的は本発明の1つ以上の実施形態の例示であり得る。開示した方法によって本質的に達成された他の望ましい目的及び利点は、当業者が想到し得る、または明らかであり得る。本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0013】
本願の態様によれば、サンプルを撮像するためのハンドヘルド光学装置が提供され、ハンドヘルド光学装置は、光集積回路基板上に形成された少なくとも出力導波路及び収集導波路を有する干渉計と、閾値波長を上回る波長の光を生成する光源と、サンプルから散乱された光の第1の部と光の基準部との間の干渉計から干渉信号を取得する第1の信号検出器と、取得された干渉信号に対して光干渉断層撮影処理を行う命令がプログラムされているプロセッサと、を含み得る。
【0014】
本願の態様によれば、ハンドヘルド口腔内光学撮像装置が提供され、ハンドヘルド口腔内光学撮像装置は、プローブであって、プローブは光集積回路基板上に形成された干渉計であって、干渉計は、閾値波長、出力導波路、及び収集導波路を上回る波長の光を生成する光源を備える、プローブと、口腔内特徴から散乱された光の第1の部と、光の基準部との間で干渉計からの干渉信号を取得する、信号検出器と、取得された干渉信号に対して光干渉断層撮影処理を行う命令がプログラムされているプロセッサと、を含む。
【0015】
本発明の前述のならびに他の目的、特徴、及び利点は、付属の図面において図示されるように、本発明の実施形態の以下のより具体的な説明から明らかになるであろう。
【0016】
図面の要素は、必ずしも互いに関連して縮尺通りではない。基本的な構造関係または動作原理を強調するために、多少の誇張が必要であり得る。例えば、電力の供給、システム光学系のパッケージング、及びシステム光学系の取り付け及び保護に使用される支持コンポーネント等、説明される実施形態の実装に必要とされるであろういくつかの従来のコンポーネントは、説明を簡略化するために図面には示されていない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】マッハツェンダー干渉計を使用するプログラマブルフィルターを使用して関連技術の掃引光源OCT(SS-OCT)装置を示す概略図である。
【0018】
図1B】マイケルソン干渉計を使用するプログラマブルフィルターを使用して関連技術の掃引光源OCT(SS-OCT)装置を示す概略図である。
【0019】
図1C】スペクトルドメイン(SD)OCT装置において分光計を使用する関連技術のOCT装置を示す概略図である。
【0020】
図1D】FMCW干渉測定のための関連技術のOCT装置のコンポーネントを示す概略図である。
【0021】
図1E】マッハツェンダー構成を伴うFMCW画像獲得装置の関連技術の干渉計を示す概略図である。
【0022】
図1F】マイケルソン構成を伴う関連技術のFMCW干渉計を示す概略図である。
【0023】
図2】関連技術の口腔内OCT撮像システムのコンポーネントを示す概略図である。
【0024】
図3】関連技術のOCT撮像システムプローブの一部として2Dスキャンを提供するために使用されるガルボミラーを示す。
【0025】
図4A】Bスキャンを取得するためのスキャニング動作の概略図を示す図である。
【0026】
図4B】Cスキャン獲得のためのOCTスキャニングパターンを示す図である。
【0027】
図5】A~Eは、重度のキャビティを有する歯の画像の例を使用して、OCT処理シーケンスの一部として獲得及び生成された異なるタイプの撮像コンテンツを示す図である。
【0028】
図6】本開示の例示的な実施形態による、OCT撮像用に構成されたプローブを示す概略図である。
【0029】
図7】本開示の例示的な実施形態による、OCT撮像用に構成され、ファイバーアレイユニットを採用するプローブを示す概略図である。
【0030】
図8】本開示の例示的な実施形態による、OCT撮像用に構成され、シリコン基板上で統合された掃引光源を有するプローブを示す概略図である。
【0031】
図9】本開示の例示的な実施形態による、外部光源を使用するスペクトルドメインOCT撮像用に構成されたプローブを示す概略図である。
【0032】
図10】本開示の例示的な実施形態による、オンボード分光計を伴うスペクトルドメインOCT撮像用に構成されたプローブを示す概略図である。
【0033】
図11】本開示の例示的な実施形態による、OCTスキャニング機能及び反射率画像獲得機能を組み合わせているプローブ構成を示す概略図である。
【0034】
図12】本開示の例示的な実施形態による、バッテリー式のOCT撮像用のプローブ構成及び非テザー動作用の無線送信機を示す概略図である。
【0035】
図13】本開示の例示的な実施形態による、テザー式の実施形態に従った口腔内OCT撮像装置を示す概略図である。
【0036】
図14】本開示の例示的な実施形態による、無線式の実施形態に従った口腔内OCT撮像装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下は、例示的な実施形態の詳細な説明であり、図面について参照がなされている。図面では、同じ参照数字は、いくつかの図のそれぞれにおける構造の同じ要素を特定する。
【0038】
それらが本開示の文脈において使用される場合、「第1の」、「第2の」等の用語は、必ずしも、いずれかの順序関係、連続的関係、または優先度の関係を示すものではないが、他に特に規定がない限り、単純に、それらの関係を使用して、1つのステップ、要素、または要素のセットを別のものとより明らかに区別する。
【0039】
「例示的な」という用語は、説明が理想的であることを暗示するのではなく、それが例として使用されることを示す。
【0040】
本明細書で使用される場合、「通電可能な」という用語は、電力を受信すると、オプションで、イネーブル信号を受信すると、示された機能を行うデバイスまたはコンポーネントのセットに関する。
【0041】
本開示の文脈では、「光学系」という用語は、概して、光ビームを成形及び配向するために使用されるレンズ及び他の屈折、回折、反射コンポーネントまたはアパーチャを指すように使用される。このタイプの個々のコンポーネントは光学部品と呼ばれる。
【0042】
本開示の文脈では、「散乱光」という用語は、概して、物体から反射され後方散乱される光を含むように使用される。
【0043】
本開示の文脈では、「ビューアー」、「オペレーター」、及び「ユーザー」という用語は同等であると見なされ、視認している施術者、技術者、または他の人を指し、カメラまたはスキャナーを動作させ得、また、ディスプレイモニター上で歯科画像等の画像を視認して操作し得る。「オペレーターの命令」または「ビューアーの命令」は、カメラもしくはスキャナーのボタンをクリックすることによって、またはコンピューターのマウスを使用することによって、またはタッチスクリーンもしくはキーボード入力によって等、ビューアーによって入力された明示的なコマンドから取得される。
【0044】
本開示の文脈では、「信号通信中」という語句は、2つ以上のデバイス及び/またはコンポーネントが、いくつかのタイプの信号経路にわたって伝わる信号を介して互いに通信することが可能であることを示す。信号通信は有線または無線であり得る。信号は、通信信号、電力信号、データ信号、またはエネルギー信号であり得る。信号経路は、第1のデバイス及び/またはコンポーネントと、第2のデバイス及び/またはコンポーネントとの間の物理的接続、電気的接続、磁気的接続、電磁的接続、光学的接続、有線接続、及び/または無線接続を含み得る。信号経路は、また、第1のデバイス及び/またはコンポーネントと、第2のデバイス及び/またはコンポーネントとの間に追加のデバイス及び/またはコンポーネントも含み得る。
【0045】
本開示の文脈では、「カメラ」という用語は、歯の表面及び支持構造から反射される構造化光等の反射可視光またはNIR光から反射率を含む2Dデジタル画像を獲得することが可能なデバイスに関する。
【0046】
「スキャナー」という一般用語は、表面のOCT撮像に使用される基準アームからの光との干渉を検出するために、サンプルアームを通って歯の表面に向けられ、サンプルアームにおいて戻された散乱光として獲得される広帯域近赤外(BNIR)光のスキャンされた光ビームを投影する光学システムに関する。「ラスタースキャナー」という用語は、後でより詳細に説明されるように、サンプルに向けて光をスキャンするハードウェアコンポーネントの組み合わせに関する。
【0047】
「対象」という用語は、撮像される患者の歯または他の部分を指し、光学的用語では、対応する撮像システムの「対象物」と同等であると見なすことができる。
【0048】
本開示の文脈では、「広帯域発光体」という語句は、任意の時点において、ある範囲の波長にわたって連続スペクトル出力を放射する光源を指す。短コヒーレンスまたは低コヒーレンスの広帯域光源は、例えば、スーパールミネセントダイオード、短パルスレーザー、多くのタイプの白色光源、及びスーパーコンティニューム光源を含む。これらのタイプのコヒーレンス長の短い光源のほとんどは、約数十ミクロン以下のコヒーレンス長を有する。
【0049】
本開示の文脈では、「斜め」という用語は、90度の整数倍ではない角度方向を表す。2つのラインまたは光路は、例えば、平行状態から約5度以上離れている角度で、または直交状態から約5度以上離れている角度で、それらが互いから発散する、または互いに向かって収束する場合、互いに対して斜めであると見なすことができる。
【0050】
本開示の文脈では、2つの波長は、+/-10nm以内の距離にあるとき、互いに「近い」と見なすことができる。
【0051】
本開示の実施形態によれば、可変波長照明を提供できるプログラマブル光源が提供される。プログラマブル光源は、スキャン型SS-OCT、制御可能に変更可能なスペクトルパターンから利点を得る他の用途の掃引光源として使用できる。
【0052】
図1A及び図1Bの簡略化された概略図は、それぞれ、同調レーザー50の一部であるプログラマブルフィルター10を使用する関連技術の掃引光源OCT(SS-OCT)装置100のコンポーネントを示す。
【0053】
図1Aの実施形態では、OCTスキャニング用の関連技術のマッハツェンダー干渉計システムが示されている。図1Bは、関連技術のマイケルソン干渉計システムのコンポーネントを示す。図1A図1Bでは、プログラマブルフィルター10は、同調レーザー50の出力を生成するためのレーザーキャビティの一部を提供する。可変同調レーザー50の出力が、カプラー38を通ってサンプルアーム40及び基準アーム42に向かう。図1Aでは、サンプルアーム40の信号は、サンプルSを測定するためにサーキュレーター44を通過してプローブ46に送られる。基準アーム42の信号は、ミラーまたは光ガイドであり得る基準部によって、カプラー58を通って検出器60に向けられる。サンプリングされた信号は、サーキュレーター44(図1A)を通って戻され、カプラー58を通って検出器60に送られる。
【0054】
図1Bでは、信号はサンプルアーム40及び基準アーム42に直接送られる。サンプリングされた信号は、カプラー38を通って検出器60に戻される。検出器60は、コモンモードノイズをキャンセルするように構成された平衡光検出器の対を使用し得る。
【0055】
図1A及び図1Bに示されるように、制御ロジックプロセッサ(制御処理ユニットCPU)70は、同調レーザー50及びそのプログラマブルフィルター10と、ならびに検出器60と信号通信して、そして、検出器60からの出力を取得して処理する。CPU70は、また、コマンド入力及びOCTの結果の表示のためにディスプレイ72とも信号通信する。
【0056】
図1Cは、関連技術のスペクトルドメイン(SD)OCT装置240において分光計230を使用するOCT装置を示す概略図である。広帯域光源224は、口腔内特徴または他の対象のサンプリングされたスキャンを取得するために、カプラー38を通ってプローブ46に光を向ける。プローブ46の一部であるスキャニングコンポーネントは、広帯域照明源224からの光を口腔内特徴に沿った複数の点に向けて、Bスキャン及びCスキャンを行う。広帯域光源224からの低コヒーレンス光は、カプラー38を通って、サンプルアーム40上のプローブ46及び基準アーム42に向けられる。照明源224は、例えば、スーパールミネセントダイオードであり得る。
【0057】
生成される干渉パターンは分光計230で測定される。光は、光の分散をもたらす回折格子等の光分散光学素子20を通過する。次に、レンズL2光学系は、この光を検出アレイ232に向ける。検出アレイ232は、選択された波長または波数を感知する分光計内のCCD(電荷結合素子)アレイまたは他のセンサであり得る。プロセッサ236は、広帯域光源224、分光計230、及びスキャナーと信号通信し、画像再構成及び表示のための論理回路及び制御回路を提供する。
【0058】
一般化されたOCT装置の代替の実施態様によれば、周波数変調連続波(FMCW)干渉法を提供する構成を提供できる。FMCW干渉法により、同じプローブ(例えば、プローブ46)が、歯、顎、及び顔面構造の全体の表面の特徴付け、ならびに口腔内及び口腔外の特徴に関する特定の表面の特徴付けのための情報を提供することが可能である。
【0059】
図1Dの概略図は、サンプルSからFMCWデータを獲得するための関連技術のOCT装置10のコンポーネントを示す。可変レーザーダイオード320は、可変周波数の単色出力光信号をカプラー14のコンポーネントに提供し、カプラー14のコンポーネントは光のごく一部を干渉計16に提供し、その光は、データ収集のために光クロックを提供するために固定の経路長差があるため、獲得された信号の周波数を線形にできる。第2の1×2のカプラー14’は、残りの光を別の干渉計16の2つの経路、すなわち、サンプル経路24及び基準局部発振器経路28に沿って分割する。基準経路28に沿った光は、局部発振器信号を平衡検出器(BD)30に提供する2×2のカプラー34に向けられる。サンプル経路24に沿った光は、サーキュレーター32に送られ、スキャナー22からサンプルSに送られる。サンプルSから反射された戻り光は、サーキュレーター32及び2×2のカプラー34に戻り、その後、平衡検出器30に送られる。プロセッサ36は、サンプル及び局部発振器基準経路24及び28からの干渉信号に従って距離測定値を取得し、局部発振器基準経路24及び28はカプラー34で結合され、干渉信号は検出器30によって検出される。
【0060】
可変レーザー光源320は、周波数が変調する光信号を生成するために通電可能である。例示的な可変レーザー光源は、Thorlabs,Newton,NJの外部キャビティダイオードレーザー、またはidealphotonics,Vancouver,Canadaの調整可能パルスファイバーである。レーザー光源はリトロー構成またはリットマンモデル構成に基づき得る。可変レーザー光源の他の例は、分布フィードバックレーザー及び可変垂直キャビティ面発光レーザーを含む。
【0061】
可変レーザー光源320からの変調された光の周波数は、直線的に掃引でき、時間に関して鋸歯状のプロファイルに従う。信号がサンプルSを通って伝播すると、散乱及び反射により信号の一部が平衡検出器30に戻され、平衡検出器30はサンプルから戻された信号と局部発振器信号との間の干渉を検出する。代替として、変調された周波数は、時間に関して三角形のプロファイルまたは他の適切な特徴プロファイルを有し得る。
【0062】
図1Dに示されるように、検出データの一部だけを選択的に獲得するために、平衡検出器30からの出力信号にオプションの復調及びローパスフィルター98を提供できる。
【0063】
図1Eの簡略化した概略図は、サンプルSのFMCW撮像のための関連技術のマッハツェンダー干渉計の光学配置を示す。可変レーザー光源320からの光は、局部発振器経路28及びサンプル経路24に分割される。光を2つの経路28及び24に導くためのビームスプリッターBS1が示されている。ミラーM1及びM2は、サンプル経路24と局部発振器経路28の両方をコンパクトにするために、必要に応じて光路を曲げる。サンプルS及び局部発振器経路28からの光は、平衡検出フォトダイオード等の検出器30によって感知される干渉パターンを形成するために、第2のビームスプリッターBS2によって結合される。
【0064】
FMCW干渉法を使用する口腔内OCT撮像装置100の実施態様では、図1Eに示される関連技術のマッハツェンダー干渉計モデル、または図1Fに示されるような関連技術のマイケルソン干渉計等の任意の適切な干渉法モデルを使用できる。図1Fの実施態様では、サンプル経路はビームスプリッターBS1を使用して、局部発振器信号及びサンプル信号をサンプルSを往復するように送る。図1Fのマイケルソン構成では、信号はサンプル経路24及び局部発振器経路28に直接送られる。サンプリングされた信号はビームスプリッターBS1を通って検出器30に戻される。
【0065】
口腔内OCTシステムは、関連技術の干渉法機器及び技術を使用して設計されている。OCT実施態様のための関連技術の設計では、口腔内プローブ(例えば、プローブ46)は、スキャンデータを獲得するために必要な最小限のコンポーネントだけを含む。干渉法及び関連処理は、プローブと信号通信するが、プローブ(例えば、プローブ46)とは別個のコンポーネントを使用して行われる。
【0066】
図2に示されるように、関連技術のOCT撮像システム200は、サンプルSをスキャニングするためのスキャンデータを獲得するために必要な最小限のコンポーネントを有するプローブ46と、掃引光源コンポーネント、基準アーム及びファイバー結合光学系、信号検出器、ならびに口腔内OCT撮像機能を提供するために必要な獲得及び処理回路を含む関連のリモート撮像エンジン56とを含む。撮像エンジン56は、図1A図1B図1C図1D図1E、及び図1Fを参照して説明した光源、ファイバーカプラー、基準アーム、及びOCT検出器のコンポーネントを含む。一実施形態では、プローブ46は、ラスタースキャナー90または部分サンプルアームを含む。オプションのCPU70は制御ロジックを含み、オプションのディスプレイ72は撮像結果または歯科用途を表示できる。プローブ46自体をコンパクト、軽量、かつオペレーターが患者の歯列をスキャニングするのに扱いやすいものに保つという要件(例えば、ハンドヘルド型にする)により、これまでのところ、必要な干渉計を支持するために別個のリモート撮像エンジン56を使用することが必要になっている。
【0067】
OCT獲得に使用されるスキャニング挙動の概要を説明し、OCTデータをどのように取得するかを簡単にレビューすることは有益になる。図3の概略図に示されるように、ガルボミラー94及び96は協働して、関連技術のOCT撮像に必要なラスタースキャニングを提供する。示される構成では、ガルボミラー1(94)は、サンプルに沿った点82のそれぞれへ光の波長をスキャンして、x方向の行に沿ったデータを生成し、これにより、後でより詳細に説明されるBスキャンを提供する。深さデータ用のスキャニング光は、z方向においてサンプルSに向けられる。ガルボミラー2(96)は、行の位置をy方向に徐々に移動させて、追加の行に2Dラスタースキャニングを提供する。点82のそれぞれにおいて、提供される光の全スペクトルが単一の掃引で急速に生成され、結果として生じる信号が検出器60で測定される(例えば、図1A、1B)。
【0068】
OCT撮像のスキャンシーケンス
図4A及び図4Bの概略図は、本開示によるOCT装置の例示的な実施形態を使用して断層撮影画像を形成するために使用できるスキャンシーケンスを示す。図4Aに示されるシーケンスは、単一のBスキャン画像がどのように生成されるかを示す。ラスタースキャナー90(図3)は、サンプルS上で選択された光シーケンスを点ごとにスキャンする。図4Aに示されるような周期的な駆動信号92を使用して、ラスタースキャナー90のガルボミラーを駆動して、図4A及び図4Bにおいて水平方向に延在する離散点82として示される、サンプルの各行にわたって延在する横方向スキャンまたはBスキャンを制御する。Bスキャンのラインまたは行に沿った複数の点82のそれぞれにおいて、選択された波長帯域の連続部分を使用して、Z軸方向のデータを獲得するAスキャンまたは深度スキャンを生成する。図4Aは、ラスタースキャナー90を使用して真っ直ぐな上昇シーケンスを生成するための駆動信号92を示し、対応するマイクロミラーの作動、または波長帯域を通る他の空間光変調器のピクセルごとに作動が生じる。駆動信号92の一部であるレトロスキャン信号93は、単にスキャンミラーを次のラインの開始位置に戻すだけである。レトロスキャン信号93の発生中にデータは取得されない。
【0069】
図3に示されるように、Bスキャン駆動信号92がラスタースキャナー90のガルボミラー94を駆動することに留意されたい。Bスキャンの行に沿った各増分位置、点82において、Aスキャンが取得される。Aスキャンデータを獲得するために、同調レーザー50または他のプログラマブル光源は、プログラマブルフィルター10によって制御されるスペクトルシーケンスを掃引する。したがって、プログラマブルフィルター10が光源を30nm範囲の波長にわたって掃引させる実施形態では、このシーケンスはBスキャン経路に沿った点82のそれぞれで実行される。図4Aに示されるように、Aスキャン獲得のセットは、点82のそれぞれで実行され、すなわち、スキャニングガルボミラー94の各位置で実行される。例として、MEMマイクロミラーアレイデバイスが空間光変調器として使用される場合、各位置82でAスキャンを生成するために2048回の測定が可能である。
【0070】
図4Aは、Aスキャンのそれぞれの期間中に獲得された情報を概略的に示す。干渉信号88(DC信号のコンテンツを除いて示される)が、点82のそれぞれに対して時間間隔にわたって獲得され、信号は、掃引に必要な時間間隔の関数であり、獲得される信号は、干渉計の基準アーム及びフィードバックアーム(例えば、図1A図1B)からの光を結合することによって生成されたスペクトル干渉縞を示す。フーリエ変換によって、Aスキャンごとに変換Tが生成される。Aスキャンに対応する1つの変換信号は、図4Aで例として示される。
【0071】
上述の説明から、単一のBスキャンシーケンスにわたって著しい量のデータが獲得されることが理解できる。このデータを効率的に処理するために、高速フーリエ変換(FFT)が使用され、時間ベースの信号データを、画像コンテンツをより容易に生成できる対応する周波数ベースのデータに変換する。
【0072】
フーリエドメインOCTでは、Aスキャンは、深さ(Z軸)分解のOCT信号のラインを生成するスペクトル獲得の1本のラインに対応する。Bスキャンデータは、対応するスキャンラインに沿って2DのOCT画像を生成する。
【0073】
ラスタースキャニングを使用して、ラスタースキャナー90の獲得をCスキャン(y軸)方向に増分することによって、複数のBスキャンデータを取得する。これは、図4Bに概略的に表される。図4Bは、3Dのボリューム情報が、A、B、及びCスキャンデータを使用してどのように生成されるかを示す。
【0074】
前述のように、Aスキャン点82のそれぞれにおいて使用される波長または周波数掃引シーケンスは、通常使用される昇順または降順の波長シーケンスから修正できる。任意の波長シーケンスを交互に使用できる。OCTのいくつかの特定の実施態様に対して有用であり得る任意の波長シーケンシングの場合、利用可能な波長の一部だけが各掃引の結果として提供される。任意の波長シーケンスでは、任意の連続する順序で、各波長をランダムに選択して、単一の掃引間にOCTシステムで使用できる。
【0075】
図5A図5Eは、重度のキャビティを有する歯の画像の例を使用して、OCT処理シーケンスの一部として獲得及び生成された異なるタイプの撮像コンテンツを示す。図5Aは、OCT撮像のBスキャンに対応する2Dスライスを示す。図5Bは歯の深度エンコードされた色投影を示し、オプションの色参照バー180がある。図5Cは、OCT撮像コンテンツから取得されたボリュームレンダリングの対応するスライスを示す。図5Dは、図5Aのセグメンテーション処理の結果を示す。図5Aでは、歯の表面に沿った点が抽出されている。図5Eは、OCTボリュームデータから生成された歯の表面点群64を示す。表面点群64は、セグメンテーション後のOCTボリュームデータから取得できる。
【0076】
本開示による例示的な方法及び/または装置の実施態様は、非常にコンパクトであるハンドヘルドOCTスキャナー装置(例えば、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400)の実施形態を提供し、そして、光集積回路を使用することによって、これまでに説明した関連技術の口腔内OCT装置構成に必要な外部機器(例えば、リモート撮像エンジン56に提供される)の少なくとも一部の必要性が低減または排除される。
【0077】
図6は、いくつかの実施態様による、光集積回路を使用するハンドヘルドOCTスキャナー装置の例示的な実施形態を示す。図6の概略図を参照すると、ハンドヘルドOCTスキャナー装置600のプローブ46’は、OCTデータ収集のための波長範囲にわたって掃引する掃引光源レーザー信号を提供する外部レーザー光源74に接続された状態で示されている。
【0078】
図6の実施形態では、ファイバーカプラーFCは、基板138(例えば、シリコン基板)上に光集積回路として形成され、プローブ46’のハウジング(例えば、ハンドル)に組み込まれる干渉計130の光源アームにレーザー光を結合する。内部出力導波路132及び収集導波路134は、同じシリコン基板138上にエッチングされる。掃引光源SSからの導波路構造内の光は、サンプルアーム及び基準アームに分割される。サンプル光は出力に結合され、マイクロコリメーションレンズ136によってコリメートされる。コリメートされた光は、結像用に最適化される対物レンズ140によってサンプルS上に集束される。集束ビームは、干渉計130に結合されるMEMSミラー128によって、折り畳みミラー124からサンプルS上に向けられる。レンズ136、ミラー124、及びMEMSミラー128は、また、図6に示されるようにシリコン基板138上に統合できるコンポーネントである。
【0079】
収集導波路134は、サンプルからの後方散乱光を収集するために、出力導波路132の近傍(例えば、出力導波路132から数ミクロン、例えば100ミクロン)に配置される。出力導波路132は、また、ある程度の量の後方散乱光を収集する。基準アームの経路長はサンプルアームの経路長と一致する。基準光は、2つの基準光部分に分割され、第1のサンプル光及び第2のサンプル光と干渉する。干渉縞は、2セットのオンチップ平衡光検出器142によって検出される。2セットの平衡光検出のそれぞれは、OCT再構成用の完全な干渉信号を提供する。したがって、平衡光検出器の両方のセットを有することはオプションである。しかしながら、両方のセットがあると、信号対雑音比が増加する。
【0080】
データバス120はプローブ46’に接続され、電力接続を含み得、交互に、別個に設けることもできる。
【0081】
例えば、口腔内OCTの場合、レーザー50は、約400nm~1600nmの波長に対応する周波数(波数k)の範囲にわたって調整可能であり得る。本開示の例示的な実施形態によれば、約1300nmを中心とする約60nmの帯域幅の可変範囲は口腔内OCTに使用される。
【0082】
図7は、いくつかの実施態様による、光集積回路を使用する、ハンドヘルドOCTスキャナー装置の例示的な実施形態を示す。図7の実施形態は図6の実施形態と同様であるが、ハンドヘルドOCTスキャナー装置700にはファイバーアレイユニット(FAU)が採用される。さらに、平衡光検出器142は、干渉計に使用されるシリコン基板138とは別に位置決めされる。平衡光検出器142は装置700のハウジング内にある。ファイバーアレイユニットFAUを使用して、光集積回路として形成される干渉計130にレーザー光を結合する。
【0083】
図8は、いくつかの実施態様による、光集積回路を使用する、ハンドヘルドOCTスキャナー装置の例示的な実施形態を示す。図8の実施形態は図6の実施形態と同様であるが、ハンドヘルドOCTスキャナー装置800の干渉計130に使用されるシリコン基板138上で統合された掃引光源を有する。統合された掃引光源は、マイクロメカニカルに可動ミラーを備えた波長可変垂直キャビティ面発光レーザー(VCSEL)であり得る。VCSELは光学的または電気的に励起できる。代替として、統合された掃引光源は、モノリシック半導体掃引光源レーザーであり得る。
【0084】
図9は、いくつかの実施態様による、光集積回路を使用する、ハンドヘルドOCTスキャナー装置の例示的な実施形態を示す。図9の実施形態は、ハンドヘルドOCTスキャナー装置900の光源74として外部SLD(スーパールミネッセントダイオード)を使用するスペクトルドメイン(SD)OCT構成を示す。また、干渉計信号を検出するために、プローブ46’の外部に別個の分光計150も提供される。
【0085】
図10は、いくつかの実施態様による、光集積回路を使用する、ハンドヘルドOCTスキャナー装置の例示的な実施形態を示す。図10の実施形態は、ハンドヘルドOCTスキャナー装置1000における干渉計130のシリコン基板138上に形成される統合型分光計160を採用する。これは、例えば、アレイ導波路回折格子を使用する分光計160であり得る。
【0086】
図11は、いくつかの実施態様による、光集積回路を使用する、ハンドヘルドOCTスキャナー装置の例示的な実施形態を示す。図11の実施形態は、ハンドヘルドOCTスキャナー装置1100における反射率撮像用の追加コンポーネントを備えたOCTスキャニング用のプローブ46’を示す。ダイクロイックミラー等のビーム結合器172を使用して、反射率及びOCTスキャニングに同じ光路の一部を使用するように構成された画像獲得装置170を提供できる。画像獲得装置170は、オペレーターにプレビュー画像を提供するため等、モノクロまたはカラー撮像に必要な光学系、光源、及び画像感知コンポーネントを含み得る。オプションで、画像感知装置170は、また、表面輪郭撮像のための構造化光投影及び獲得を提供するコンポーネントも含み得る。反射撮像は、例えば近赤外光等の可視範囲または近可視範囲の光を使用できる。
【0087】
図12は、いくつかの実施態様による、光集積回路を使用する、ハンドヘルドOCTスキャナー装置の例示的な実施形態を示す。代替の実施形態によれば、図12の概略図に示されるように、ハンドヘルドOCTスキャナー装置1200のプローブ46’は、バッテリー144または他の交換可能もしくは充電可能な電源を含み得る。図12に示されるように、プローブ46’は、また、ホストプロセッサとの無線通信及びデータ転送のための送信機146も有し得る。
【0088】
図13は、いくつかの実施態様による、光集積回路を使用する、ハンドヘルドOCTスキャナー装置の例示的な実施形態を示す。図13の概略図は、テザー構成による、プローブ46’を使用する口腔内OCT撮像装置1300を示す。制御論理プロセッサ70及びディスプレイ72は、例えばラップトップコンピューター等の単一ユニットに組み込むことができる。図13では、制御論理プロセッサ70は、代替的に、プローブ46’内に形成された埋め込み電子機器として提供することもできる。
【0089】
図14は、いくつかの実施態様による、光集積回路を使用する、ハンドヘルドOCTスキャナー装置の例示的な実施形態を示す。図14の概略図は、無線通信を採用する非テザー構成による、プローブ46’を使用する口腔内OCT撮像装置1400を示す。
【0090】
本発明の例示的な実施形態と一致して、コンピュータープログラムは、電子メモリからアクセスされる画像データ上で行われる記憶された命令を利用する。画像処理技術における当業者によって理解できるように、本開示の例示的な実施形態における撮像システムを動作させるためのコンピュータープログラムは、パーソナルコンピューターまたはワークステーション等、本明細書に説明されるCPUとして動作する適切な汎用コンピューターシステムによって利用できる。しかしながら、ネットワークプロセッサの配置を含む多くの他のタイプのコンピューターシステムを使用して、本発明のコンピュータープログラムを実行できる。本発明の例示的な方法を行うためのコンピュータープログラムは、コンピューター可読記憶媒体に記憶され得る。この媒体は、例えば、磁気記憶媒体、例えば磁気ディスク、例えばハードドライブ、またはリムーバブルデバイス、または磁気テープ;光学式記憶媒体、例えば光ディスク、光テープ、または機械可読光学エンコーディング;固体電子記憶デバイス、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)、または読み出し専用メモリ(ROM);またはコンピュータープログラムを記憶するために採用された任意の他の物理デバイスもしくは媒体、を含み得る。本開示の方法を行うためのコンピュータープログラムは、また、インターネットまたは他のネットワークもしくは他の通信媒体の手段により画像プロセッサに接続されるコンピューター可読記憶媒体上に記憶され得る。当業者は、さらに、そのようなコンピュータープログラム製品の同等物もハードウェアに構築され得ることを容易に認識するであろう。
【0091】
「メモリ」という用語(本開示のコンテキストでは「コンピューターアクセス可能メモリ」と同等である)は、画像データを記憶し画像データに対して動作するために使用され、コンピューターシステムにアクセス可能である任意のタイプの一時的またはさらに永続的なデータストレージワークスペース(例えば、データベースを含む)を指し得ることに留意されたい。メモリは、例えば、磁気ストレージまたは光学ストレージ等の長期記憶媒体を使用する不揮発性であり得る。代替として、メモリは、マイクロプロセッサまたは他の制御論理プロセッサデバイスによってテンポラリバッファまたはワークスペースとして使用されるランダムアクセスメモリ(RAM)等の電子回路を使用して、より揮発性のある性質であり得る。例えば、表示データは、通常、表示デバイスに直接関連付けられるテンポラリストレージバッファに記憶され、そして表示されたデータを提供するために、必要に応じて定期的にリフレッシュされる。このテンポラリストレージバッファは、また、この用語が本開示において使用される場合、メモリと見なすことができる。メモリは、また、計算及び他の処理の中間及び最終結果を実行して記憶するためのデータワークスペースとしても使用できる。コンピューターアクセス可能メモリは、揮発性、不揮発性、または揮発性及び不揮発性のハイブリッドな組み合わせであり得る。
【0092】
本開示の例示的なコンピュータープログラム製品は、良く知られている様々な画像操作アルゴリズム及びプロセスを利用し得ることが理解されるであろう。さらに、本開示の例示的なコンピュータープログラム製品の実施形態は、実施態様に有用な、本明細書に具体的に示されていない、または説明されていないアルゴリズム及びプロセスを具体化し得ることが理解されるであろう。そのようなアルゴリズム及びプロセスは、画像処理技術の通常の技術の範囲内である従来のユーティリティを含み得る。そのようなアルゴリズム及びシステム、ならびに画像の製作及び別様の処理のための、または本開示の例示的なコンピュータープログラム製品と協調するためのハードウェア及び/またはソフトウェアの追加的な態様は、本明細書に具体的に示されていなく、または説明されていなく、当技術分野で既知のそのようなアルゴリズム、システム、ハードウェア、コンポーネント、及び要素から選択され得る。
【0093】
いくつかの実施態様形態によれば、デバイスは、1つ以上のプロセッサ、非一時的メモリ、及び1つ以上のプログラムを含む。1つ以上のプログラムは、非一時的メモリに記憶され、1つ以上のプロセッサによって実行されるように構成され、そして、1つ以上のプログラムは、本明細書に説明される方法のいずれかを行うための、またはその動作をさせるための命令を含む。いくつかの実施態様形態によれば、非一時的なコンピューター可読記憶媒体は、デバイスの1つ以上のプロセッサによって実行されるとき、デバイスに本明細書に説明される方法のいずれかを行わせる、またはその動作をさせるための命令を記憶している。いくつかの実施態様形態によれば、デバイスは、1つ以上のプロセッサ、非一時的メモリ、及び本明細書に説明される方法のいずれかを行うための、またはその動作をさせるための手段を含む。
【0094】
様々な実施態様では、口腔内ハンドヘルド光学装置の例示的な実施形態は、ハウジングと、光集積回路基板上に形成された少なくとも出力導波路及び収集導波路を伴う干渉計であって、光集積回路基板はハウジング内にある、干渉計と、閾値波長を上回る波長の光を生成するように構成された光源と、サンプルから散乱された光の第1の部と光の基準部との間の干渉計から干渉信号を取得するように構成された第1の信号検出器と、取得された干渉信号に対して光干渉断層撮影処理を行うプロセッサと、を含む。
【0095】
いくつかの例示的な実施形態では、光源はハウジング内にある、または光源は光集積回路基板上に形成される。いくつかの例示的な実施形態では、第1の信号検出器はハウジング内にある、または第1の信号検出器は光集積回路基板上に形成される。
【0096】
いくつかの例示的な実施形態では、光集積回路基板は、微小電気機械システムスキャニングミラーを含む。いくつかの例示的な実施形態では、第2の信号検出器は、サンプルから散乱された光の第2の部と光の基準部との間の干渉計から干渉信号を取得するように構成される。いくつかの例示的な実施形態では、サンプルから散乱された光の第1の部は収集導波路を通過し、サンプルから散乱された光の第2の部は出力導波路を通過する。いくつかの例示的な実施形態では、第2の信号検出器は光集積回路基板上に形成される。
【0097】
いくつかの例示的な実施形態では、無線送信機またはバッテリーはハウジング内にある。いくつかの例示的な実施形態では、プロセッサは、取得された干渉信号に対して周波数変調連続波(FMCW)処理を行うことができる。いくつかの例示的な実施形態では、プロセッサはハウジング内にある。いくつかの例示的な実施形態では、ハウジングは、可視範囲の光を放射する第2の光源と、サンプルを往復する光の経路内、及び第2の光源からの光の経路内にあるビーム結合器と、サンプルから反射率画像データを取得する画像獲得装置とを含む。いくつかの例示的な実施形態では、サンプルは患者の口腔内特徴である。
【0098】
本願による例示的な実施態様は、本明細書に説明される様々な特徴を(個別にまたは組み合わせて)含み得る。
【0099】
本発明を1つ以上の実施態様に関して例示してきたが、添付の特許請求の範囲の主旨及び範囲から逸脱することなく、変更及び/または修正を例示した例に加えることができる。したがって、本発明に開示されている実施態様は、全ての点で例示的であって、限定的ではないと見なされる。加えて、本発明の特定の特徴は、いくつかの実施態様のうちの1つに関して開示され得るが、そのような特徴は、任意の所与もしくは特定の機能について望ましく、または有利になり得るように、他の実施態様のうちの1つ以上の他の特徴と組み合わせることができる。「少なくとも1つの」という用語を使用することは、記載される項目のうちの1つ以上を選択できることを意味する。「約」という用語は、変更が示される実施態様のプロセスまたは構造の不適合をもたらさない限り、記載されている値は、多少変更できることを示す。本発明の他の実施態様は、本明細書を考慮すること及び本明細書で開示した発明を実施することから、当業者には明らかである。本明細書及び例は例示にすぎないと見なすことが意図され、本発明の真の範囲及び主旨は、以下の特許請求の範囲によって示され、そして、本発明の同等物の意味及び範囲の中に生じる全ての変更は、本発明に包含されることが意図される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】