(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】疎水性膜の表面修飾
(51)【国際特許分類】
B01D 69/00 20060101AFI20241031BHJP
B01D 69/12 20060101ALI20241031BHJP
B01D 71/10 20060101ALI20241031BHJP
B01D 71/12 20060101ALI20241031BHJP
B01D 71/40 20060101ALI20241031BHJP
B01D 71/56 20060101ALI20241031BHJP
B01D 71/64 20060101ALI20241031BHJP
B01D 71/68 20060101ALI20241031BHJP
B01D 71/34 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B01D69/00
B01D69/12
B01D71/10
B01D71/12
B01D71/40
B01D71/56
B01D71/64
B01D71/68
B01D71/34
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523666
(86)(22)【出願日】2022-11-07
(85)【翻訳文提出日】2024-06-18
(86)【国際出願番号】 US2022079379
(87)【国際公開番号】W WO2023102303
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504115013
【氏名又は名称】イー・エム・デイー・ミリポア・コーポレイシヨン
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エルド,ジョビー
(72)【発明者】
【氏名】サタフ,ニティン
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA06
4D006GA07
4D006MA10
4D006MA22
4D006MA25
4D006MB19
4D006MC29
4D006MC37
4D006MC54
4D006MC55
4D006MC58
4D006MC62
4D006MC63
4D006MC90
4D006NA42
(57)【要約】
第1のポリマーで形成された約0.001~10.0ミクロンの間の平均孔径を有する多孔質膜を含む多孔質ポリマー膜であって、前記基材は、その表面がフッ素原子とともに5個以下の炭素原子の連続鎖を含有する重合性フッ素含有モノマーから形成された架橋された第2のポリマーで修飾された表面を有し、前記モノマーは、前記膜上で重合及び架橋され、前記膜は、25ppb未満のC6PFCA(ペルフルオロカルボン酸)、25ppb未満のC8PFCA、及び25ppb未満の組み合わせたC9~14PFCAを含有する、多孔質ポリマー膜。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質ポリマー膜であって、
第1のポリマーから形成される、0.001~10.0ミクロン、又は
0.01~5.0ミクロン、又は
0.05~1ミクロンの間、又は
0.1~0.22ミクロンの間、又は
0.2~0.45ミクロンの間
の平均孔径を有する多孔質膜を含み、
前記多孔質ポリマー膜は、その表面がフッ素原子とともに5個以下の炭素原子の連続鎖を含有する重合性フッ素含有モノマーから形成されたで修飾された表面を有し、前記モノマーは前記膜上で重合及び架橋され、前記膜は25ppb未満のC6PFCA(ペルフルオロカルボン酸)、25ppb未満のC8PFCA及び25ppb未満の組み合わせたC9~14PFCAを含む、多孔質ポリマー膜。
【請求項2】
50kGyまでのガンマ線に曝露された後、25ppb未満のC6PFCA(ペルフルオロカルボン酸)、25ppb未満のC8PFCA及び25ppb未満の組み合わせたC9~14PFCAを含有する、請求項1に記載の多孔質ポリマー膜。
【請求項3】
前記第1のポリマーが、ポリフッ化ビニリデン、ナイロン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアリールスルホン、セルロース、再生セルロース、セルロースエステル、アクリルポリマー、メタクリルポリマー、コポリマーアクリルメタクリルポリマー、及びこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の多孔質ポリマー膜。
【請求項4】
非対称膜又は対称膜である、請求項1に記載の多孔質ポリマー膜。
【請求項5】
ポリフッ化ビニリデン膜又はポリエーテルスルホン膜を含む、請求項1に記載の多孔質ポリマー膜。
【請求項6】
空気又はガスの通気を容易にするためにフィルタユニットに組み込むことができる、請求項1に記載の多孔質ポリマー膜。
【請求項7】
表面処理を有する多孔質ポリマー膜であって、第1のポリマーで形成された約0.001~0.22ミクロンの間の平均孔径を有する多孔質膜を含み、前記多孔質膜は、架橋された第2のポリマーでその表面が修飾された表面を有し、前記架橋された第2のポリマーは、3.2重量%~4.4重量%の間のフッ素化アクリレート及び0.66~0.89の1,6-ヘキサンジオールジアクリレートをさらに含む、多孔質ポリマー膜。
【請求項8】
表面処理を有する多孔質ポリマー膜であって、第1のポリマーで形成された約0.001~0.22ミクロンの間の平均孔径を有する多孔質膜を含み、前記多孔質膜は、架橋された第2のポリマーでその表面が修飾された表面を有し、前記架橋された第2のポリマーは、2.6重量%~4.4重量%の間のフッ素化アクリレート及び0.60~1.15の1,6-ヘキサンジオールジアクリレートをさらに含む、多孔質ポリマー膜。
【請求項9】
前記架橋された第2のポリマーが、0.15~0.17%の間の開始剤をさらに含む、請求項7~8に記載の、表面処理を有する多孔質ポリマー膜。
【請求項10】
前記架橋された第2のポリマーが、0.15~0.17%の2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノンをさらに含む、請求項7~8に記載の、表面処理を有する多孔質ポリマー膜。
【請求項11】
前記第1のポリマーが、ポリフッ化ビニリデン、ナイロン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアリールスルホン、セルロース、再生セルロース、セルロースエステル、アクリルポリマー、メタクリルポリマー、コポリマーアクリルメタクリルポリマー、及びこれらの組み合わせを含む、請求項7~8に記載の、表面処理を有する多孔質ポリマー膜。
【請求項12】
非対称膜又は対称膜である、請求項7~8に記載の、表面処理を有する多孔質ポリマー膜。
【請求項13】
ポリフッ化ビニリデン膜又はポリエーテルスルホン膜を含む、請求項7~8に記載の、表面処理を有する多孔質ポリマー膜。
【請求項14】
空気又はガスの通気を容易にするためにフィルタユニットに組み込むことができる、請求項7~8に記載の、表面処理を有する多孔質ポリマー膜。
【請求項15】
溶媒としてデカメチルテトラシロキサンをさらに含む、請求項7~8に記載の、表面処理を有する多孔質ポリマー膜。
【請求項16】
膜にポリマー表面処理を行う方法であって、
溶媒中にモノマー、架橋剤、及び開始剤を含むポリマー溶液を調製するステップと、
前記ポリマー溶液をPES膜又はPVDF膜に適用するステップと、
前記膜に適用された前記ポリマー溶液を有する前記膜をエネルギー源に曝露するステップと、
前記ポリマー溶液を乾燥させるステップと、を含み、前記モノマーはフッ素化モノマーであり、前記開始剤は光開始剤である、方法。
【請求項17】
前記膜が非対称膜又は対称膜であり、前記適用ステップが、前記ポリマー溶液のトレイに前記膜を浸漬するか、又はピペットを用いて前記ポリマー溶液を前記膜上に直接配するコーティングステップである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記フッ素化モノマーが、2-プロペン酸、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,10,10,11,11,12,12,12-ノナデカフルオロドデシルエステルである、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記架橋剤がジアクリレートである、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記架橋剤が、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート又はオクタフルオロヘキシルジアクリレートである、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、その全体が参照により援用される2021年12月2日に出願されたUS仮出願第63/285,322号に対する優先権の利益を主張する。
【0002】
本願は、生命科学産業で使用するための膜に関する。特に、本明細書に開示される技術の実施形態は、濾過用途に有用な疎水性膜に関する。
【0003】
本開示は、膜、例えば、疎水性表面をさらに含む多孔質膜に関する。より具体的には、本開示は、膜細孔表面を含む疎水性表面を生成するように改変された微孔性又は限外濾過膜、及びそのような膜を形成するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0004】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、ガスを排出するために使用されるデバイス内の膜に一般に使用されている材料である。PTFEに固有に関連する化学的及び生物学的不活性、熱安定性、及び疎水性は、工業ガス通気孔用途において選択される材料としてPTFEの開発をもたらした。PTFE膜はまた、健康及び関連産業において広く使用されている。医療/生物学的デバイスで使用するための無菌通気孔膜を製造する必要性もまた、当然ながら、膜用途における選択材料としてPTFEの選択につながった。従来、無菌材料は、化学的滅菌によって、特に蒸気処理、ガンマ線照射、又はエチレンオキシドによる処理によって生成されてきた。PTFEと殺菌化学薬品及び処理との適合性は、特に高温において、PTFEに特徴的な既知の材料特性である。蒸気処理下の通気膜材料としてのPTFEの使用に伴う問題は、蒸気を生成するために使用される機械からの油、若しくは水又はその両方の凝縮による細孔の閉塞である。結果として生じる詰まった膜の空気透過性の喪失は、ガス通気孔としての膜の有用性を事実上低下させる。この凝縮問題は、PTFEの代替物として、より疎水性で疎油性の膜材料の探索及び開発につながった。より深刻な問題は、無菌条件下で使用するための膜材料の化学的滅菌に関する。特にエチレンオキシドを用いた化学的滅菌は、毒性及び廃棄物処理などのさらなる問題を生じることが非常に多く、これは、深刻な健康、環境及び経済的懸念を引き起こす。これらの懸念は、医療及び生物学的デバイスにおいて使用される材料の滅菌のための電離放射線の広範な使用につながった。PTFEの主な欠点は、イオン化照射に対するその固有の不安定性である。PTFE膜のイオン化照射は、機械的強度の低下という望ましくない特性をもたらす。この機械的強度の損失は、適度な圧力下でのPTFE膜の使用に重大な制限を課す。
【0005】
照射のこれらの欠点を解決する試みは、膜上に配置されたコーティングの使用を含んでいた。材料のコーティングは、膜基材の表面及び界面特性のみを変化させながら、望ましいバルク材料特性の保持を可能にする。疎水性及び疎油性コーティングは、電子部品のための保護バリアとしてエレクトロニクス産業において使用されている。しかし、膜に関連する曲がりくねった形態が連続したコーティングをもたらすことは稀であるため、膜をコーティングすることは、膜の表面特性を改変するための実用的なアプローチではなかった。さらに、コーティングは、下にある基材に恒久的に固定(結合)されるものではないので、コーティングされた材料は、層間剥離などの摩耗の影響を受けやすいことが非常に多い。また、有機コーティングは、生物学的製品を害する可能性がある抽出物を生成する可能性がある。これらの不具合の状態のそれぞれは、限られた範囲の熱的及び化学的適合性を示す。加えて、コーティングは、多孔質基材の透過性特性、例えば流束に悪影響を及ぼす。
【0006】
ポリマー基材の表面特性を改質するためにグラフト技術を利用することも提案された。グラフト技術の典型的な例は、例えば、米国特許第3,253,057号、同第4,151,225号、同第4,278,777号及び同第4,311,573号に示される。多孔質膜の表面特性を改質するためのグラフト技術は、製造上の問題、例えば、細孔の閉塞を回避しながら、かつ膜の多孔性を保持しながらの細孔内の表面を含む膜の表面全体を改変することにおける難点を提示する。
【0007】
米国特許第4,954,256号では、フルオロポリマーを膜表面に化学的に結合させるために、フルオロポリマーを膜表面にグラフトすることによって、微孔質ポリマー膜の表面をより疎水性にすることが提案された。フルオロポリマーは、エチレン性不飽和基及びフルオロアルキル基を含有するモノマーから形成される。グラフト化は、モノマー溶液中の膜を電離放射線に曝露することによって行われる。典型的な電離放射線源は、コバルト60ガンマ線源である。フッ素含有エチレン性不飽和モノマーから形成されるフルオロポリマーは、微孔質膜基材に恒久的に結合される。
【0008】
他の先行技術の試みは、表面修飾を含まない疎水性/疎油性膜を調製するためのプロセスを開示する。むしろ、相分離のおかげで、下にある基材及び膜の疎水性表面の両方が光重合プロセスによって同時に形成されるインサイチュプロセスである。得られた膜は機械的に弱く、比較的中程度の圧力下で通気膜として使用するために支持/積層する必要がある。さらに、このプロセスは、膜形態及び表面特性が同時に形成されるので、比較的狭い範囲の特性を有する膜を生じる。別の先行技術の試みは、疎水性及び疎油性の多孔質基材を調製するためのプロセスを開示し、これは、多孔質基材にキャリア溶媒中のフッ素化モノマーの溶液を含浸させること、蒸発による溶媒の除去、次いで残りのモノマーの重合を伴う。このプロセスは固相重合反応である。
【0009】
別の試みは、例えば、米国特許第4,618,533号及び同第5,286,382号に開示されるように、基材上にコーティングされた架橋した重合性モノマー組成物を有する多孔質膜基材を含む。モノマー組成物は、重合性モノマーと、モノマーのための架橋剤とを含む。フリーラジカル重合を開始するための従来のエネルギー源は、紫外線(UV)光又は熱などの架橋したポリマーコーティングを多孔質膜上にインサイチュで形成するために使用することができる。これにより、架橋したポリマーにより表面が改質された膜が製造される。米国特許第4,618,533号にフルオロアルキル基を有するエチレン性不飽和モノマーから架橋した改質表面を形成することは言及されていない。しかし、フルオロアルキル基を有するエチレン性不飽和モノマーは、米国特許第5,286,382号に開示される。
【0010】
米国特許第5,037,457号は、PTFE膜を多孔質ポリエステルウェブに積層することによってガンマ線照射されたPTFE膜の機械的強度を高めるための手段を開示している。このアプローチは、ガンマ線照射されたPTFEの機械的安定性に関する問題を解決する。積層膜の化学的相溶性は、多孔質ウェブ支持体の特性によって制限される。さらに、積層体、特に、しばしばガンマ線に敏感である接着剤の使用によって形成される積層体は、層間剥離しやすい。
【0011】
超疎水性膜は、EMDミリポアコーポレーション(米国マサチューセッツ州バーリントン)によって市販されているキャスト疎水性PVDF(DURAPORE(R))及び疎水性PES(EXPRESS(R))膜を表面改質することによって製造することができる。いくつかの孔径のPVDF膜、例えば、0.1、0.2、0.45、0.65、1、5ミクロン(μm)及び1つの孔径(0.2μm)の、超疎水性を有するPES膜は数年間にわたって市販されてきた。超疎水性修飾は、膜表面上のフルオロカーボンを含有する分子を重合及び架橋することによって行われる。このような膜は、通気濾過用途において頻繁に使用される。
【0012】
膜の表面を超疎水性にするために使用される少なくとも1つのモノマーは、ペルフルオロクチルエチルアクリレート(POEA)と呼ばれる。この化学物質は、一般にPFAS(ペルフルオロアルキル物質)と呼ばれる化学物質のリストに分類され、REACHプログラム(化学物質の登録、評価、認可及び制限)の下でECHA(欧州化学品庁)によって禁止された。POEAをPDA(1H,1H-ペルフルオロ-n-デシルアクリレート)で置換する試みがなされた。しかし、PDAも規制下にあった。また、規制機関は、PFASに焦点を当て続けており、分解産物並びにこれらのPFASに関連する潜在的な分解産物の不純物レベルに厳しい閾値限界を課しており、これは一般に十億分の25(PPB)である。
【0013】
ペルフルオロカルボン酸(PFCA)は、直鎖であっても分岐鎖であっても、使用が検討されている。しかし、C9~C14PFCA化学物質は規制の対象であり、それ自体で物質として製造され、市場に出されるべきではなく、またC9~C14PFCA及びそれらの塩の合計に対して十億分の25(PPB)以上、又はC9~C14PFCA関連物質の合計に対して260PPBの濃度の、(a)構成成分としての別の物質、(b)混合物、又は(c)物品の製造に使用したり、市場に出されたりするべきではない。ペルフルオロカルボン酸(直鎖及び/又は分岐)、それらの塩及びPFCA関連物質、すなわち、(a)以下の式を有するペルフルオロカルボン酸:CnF2n+1-C(=O)OH(n=8、9、10、11、12又は13)(それらの塩及びそれらの任意の組み合わせを含む)、(b)式CnF2n+1(式中、n=8、9、10、11、12又は13)を有するペルフルオロ基が別の炭素原子に直接結合しているあらゆるPFCA関連物質(これらの任意の組み合わせを含む)、(c)構造要素の1つとしての別の炭素原子に直接結合していない式CnF2n+1(式中、n=9、10、11、12、13又は14)のペルフルオロ基を有するあらゆるPFCA関連物質(これらの任意の組み合わせを含む)である。以下の物質はこの指定から除外される、すなわち、(a)CnF2n+1-X(式中、X=F、Cl又はBr(式中、n=9、10、11、12、13又は14)(これらの任意の組み合わせを含む)、(b)CnF2n+1-C(=O)OX’(式中、n>13であり、X’=任意の基)(塩を含む)である。
【0014】
ウンデカフルオロヘキサン酸(PFHxA)、その塩及び関連物質も高度に規制されている。PFHxAは、それ自体で物質として製造、使用、又は市場に出回ってはならない。以下はまた使用又は市場に出されるべきではない。すなわち、PFHxA及びその塩の合計に対して25PPB以上、又はPFHxA関連物質の合計に対して1000PPBの濃度の、(a)構成成分としての別の物質、(b)混合物、(c)物品である。(a)式C5F11-を有する直鎖又は分岐ペルフルオロペンチル基が別の炭素原子に直接結合しているあらゆるPFHxA関連物質(その塩及びポリマーを含む)、(b)式C6F13-を有する直鎖又は分岐ペルフルオロヘキシル基を有するあらゆるPFHxA関連物質(その塩及びポリマーを含む)。以下の物質は、この化学式から除外される、すなわち、(a)C6F13-X(式中、X=F)、(b)C6F13-C(=O)OH、C6F13-C(=O)O-X’又はC6F13-CF2-X’(X’=任意の基であり、塩を含む)である。
【0015】
上記に鑑みて、多孔質膜の規制を受けない表面処理のためのPOEAのモノマー代替物は、当技術分野における進歩を表す。現在入手可能な膜と同程度に疎水性及び/又はより疎水性であり、規制を受けない表面処理を有する多孔質膜は、当技術分野における進歩を表す。加えて、滅菌電離放射線に曝露された後にその機械的強度を保持し、環境及び他の劣化時にPFOAに分解しない表面処理を有する膜は、当技術分野における進歩を表す。膜のための環境にやさしい表面処理を作製するために架橋剤と共に使用するためのC5モノマーは、当技術分野における進歩を表す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第3,253,057号明細書
【特許文献2】米国特許第4,151,225号明細書
【特許文献3】米国特許第4,278,777号明細書
【特許文献4】米国特許第4,311,573号明細書
【特許文献5】米国特許第4,954,256号明細書
【特許文献6】米国特許第4,618,533号明細書
【特許文献7】米国特許第5,286,382号明細書
【特許文献8】米国特許第5,037,457号明細書
【発明の概要】
【0017】
本開示の実施形態は、第1のポリマーで形成された約0.001~10ミクロンの平均孔径を有する多孔質膜を含む多孔質ポリマー膜を含み、前記基材は5個以下の炭素原子(「C5」)の連続鎖をフッ素原子と共に含有する重合性フッ素含有モノマーから形成された架橋された第2のポリマーでその表面が修飾された表面を有し、前記モノマーは前記膜上で重合及び架橋され、前記膜は25ppb未満のC6PFCA(ペルフルオロカルボン酸)、25ppb未満のC8PFCA及び25ppb未満の組み合わせたC9~14PFCAを含み、図の少なくとも1つに実質的に示され及び/又はそれに関連して説明され、請求項により完全に記載される膜が開示される。本開示の新規かつ発明的特徴、並びにその例示的実施形態の詳細は、以下の説明及び図面からより完全に理解される。モノマー及び架橋剤の両方のための新規なアプローチは、規制要件を満たすために、C6炭素鎖長以上のあらゆるPFAS分子の使用を回避した。約15個のモノマーを調達し、PVDF及びPESベース膜の両方を用いて研究室でスクリーニングした。3つの性能特性、すなわち、1)表面エネルギー(疎水性の尺度)、2)空気流及び3)水の侵入圧力を測定した。新しいモノマーのいくつかは表面エネルギーを25mJ/m2未満に減少させることができたが、1つだけが19mJ/m2未満の目標表面エネルギーを達成することができた。そのモノマーDDA19は、19個のフッ素原子を含むドデカンアクリレートである。本開示のいくつかの実施形態による表面化学標的及び方法は、一連のフッ素化官能性アクリレート/アリル(モノマーと呼ばれる)及び二官能性アクリレート(架橋剤と呼ばれる)を含み、これらは、本明細書に記載されるような表面修飾化学を使用して研究された。
【0018】
いくつかの実施形態では、PVDF又はPES膜は、当業者に知られているように、種々の濾過用途のための任意の好適なサイズの孔径を含む。いくつかの実施形態では、膜は0.001~10.0ミクロンの孔径を含む。いくつかの実施形態では、膜は0.01~5.0ミクロンの孔径を含む。いくつかの実施形態では、膜は0.05~1ミクロンの孔径を含む。いくつかの実施形態では、膜は0.1~0.22ミクロンの孔径を含む。いくつかの実施形態では、膜は、約0.2~0.45ミクロンの孔径を含む。また、いくつかの実施形態では、基材は織布又は不織布材料を含む。例えば、好適な基材は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン及び他の好適なポリオレフィン並びに/又はポリアミドを含む。
【0019】
本明細書で具体化されるこれらの進歩及び他の進歩は、以下の説明、特許請求の範囲、及び図面から明らかになる。本開示の種々の利益、態様、新規及び発明の特徴、並びにコーティングされた膜及びそのコーティングされた膜を含む通気濾過デバイスの例示的実施形態の詳細は、以下の説明及び図面からより完全に理解される。本開示の実施形態は、空気又はガスの通気を容易にするためにフィルタユニットに組み込むことができる多孔質ポリマー膜を含む。したがって、本明細書で開示される特徴が詳細に理解され得る様式、上記で簡潔に要約される本開示の実施形態のより具体的な説明は、添付の図面を参照することによって得ることができる。しかし、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示し、したがって、説明される実施形態は、他の等しく効果的な表面処理、方法、及び/又は材料を許容し得るため、その範囲を限定すると見なされるべきではないことに留意されたい。また、1つの実施形態の要素及び特徴は、さらなる詳述なしに他の実施形態に見出すことができることも理解されたく、可能な同一の参照番号は、図面に共通する同等の要素を示すために使用されたことも理解されたい。本明細書で使用される場合、単数形「一つの(a、an)」及び「その(the)」は、文脈が明らかに別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含む。別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、これらの実施形態が関係する技術分野の当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。
【0020】
表面は、その静的水接触角θが>90°であるとき疎水性であり、一般に、θが<90°であるとき親水性であると考えられる。超疎水性(superphobic、superhydrophobic)は、本明細書において、約>150°の静的水接触角θを有するものとして定義される。
【0021】
膜表面修飾又は処理は、機械的及び化学的耐性、形態、孔径などのバルク膜特性を保持しながら、表面特性、例えば疎水性を得るための化学プロセスとして定義される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態による、コーティングされた膜を作製するための方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示の実施形態は、種々の短鎖フルオロカーボンアクリル又はアリルベースの分子を用いた表面修飾を有するポリエーテルスルホン(PES)及び/又はポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜を含む。上記表面処理を有するPES及びPVDF膜は、膜表面の超疎水性のかなりの増加を示した。本明細書で議論される膜の実施形態は、多くの場合、種々の通気フィルタ用途のために使用される。表面処理ステップは、アクリレート分子の重合と、それに続く、電子ビーム又は紫外線(UV)のエネルギー源下でのジアクリレート分子との架橋によって達成された。ここで示される強化された超疎水性性能は、表面エネルギーとして測定される。いくつかの実施形態では、PES又はPVDF膜は、当業者に知られているように、様々な濾過用途に適した任意のサイズの孔径を含むことを理解されたい。いくつかの実施形態では、膜は0.001~10.0ミクロンの孔径を含む。いくつかの実施形態では、膜は0.01~5.0ミクロンの孔径を含む。いくつかの実施形態では、膜は0.05~1ミクロンの孔径を含む。いくつかの実施形態では、膜は0.1~0.22ミクロンの孔径を含む。いくつかの実施形態では、膜は、約0.2~0.45ミクロンの孔径を含む。また、いくつかの実施形態では、基材は織布又は不織布材料を含む。例えば、適切な基材は、ポリエチレン、ポリプロピレンナイロン、及び他の適切なポリオレフィン並びに/又はポリアミドを含む。これらの膜及び基材のいずれも本明細書で議論した表面処理により処理して、濾過用途用の多孔質ポリマー膜を製造してもよい。
【0024】
モノマー及び架橋剤の両方のための新規なアプローチは、規制要件を満たすために、C6炭素鎖長以上のあらゆるPFAS分子の使用を回避した。約15個のモノマーを調達し、PVDF及びPESベース膜の両方を用いて研究室でスクリーニングした。3つの性能特性、すなわち、1)表面エネルギー(疎水性の尺度)、2)空気流及び3)水の侵入圧力を測定した。新しいモノマーのいくつかは表面エネルギーを25mJ/m2未満に減少させることができたが、1つだけが19mJ/m2未満の目標エネルギーを達成することができた。示されたモノマーDDA19は、19個のフッ素原子を含むドデカンアクリレートである。
【0025】
本開示のいくつかの実施形態による表面化学標的及び方法は、一連のフッ素化官能性アクリレート/アリル(モノマーと呼ばれる)及び二官能性アクリレート(架橋剤と呼ばれる)を含み、これらは、本明細書に記載されるような表面修飾化学を使用して研究された。
【0026】
表3は、種々の膜の表面処理として調査された種々の化学溶液/混合物の、膜表面の超疎水性の尺度である、表面エネルギーの平方メートル当たりのミリジュール(mJ/m2)の概要を開示する。
【0027】
表4は、現在の超疎水性化学(POEA化学)の表面エネルギーを開示する。様々な化学配合物を、様々な配合条件で行った一連の研究から同定した。UV源をエネルギー源として使用して、重合及び架橋ステップを開始した。他の供給源、化学供給源及び他のエネルギー源を使用して重合及び/又は架橋プロセスを開始することができることが本明細書において企図される。
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
表5は、使用される様々な化学物質、並びに現在の(POEA)及び新規なDDA19化学物質の膜性能(表面エネルギー、空気流及び水侵入圧力)の比較を開示する。
【0033】
DDA19は、19個のフッ素基を含むドデカンアクリレートのモノマーの名称である。2-プロペン酸、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,10,10,11,11,12,12,12-ノナデカフルオロドデシルエステル(DDA19)の化学構造は、以下を含み得る。
【0034】
【0035】
【0036】
表6は、本開示のいくつかの実施形態に従う配合物の概要を示す。
【0037】
【0038】
表7は、25ppb未満のC6PFCA(ペルフルオロカルボン酸)、25ppb未満のC8PFCA及び25ppb未満の組み合わせたC9~14PFCAを含有する新規コーティングが適用された膜のガンマ処理前及びガンマ処理後を示す。表7に示される値(ナノグラム/グラムで示される)は、ロットごとに異なるが、実質的なものではなく、例えば25PPB未満である。
【0039】
【0040】
【0041】
多孔性膜基材上への重合性モノマーの重合及び架橋は、試薬浴を使用して、多孔性膜の内面を含む多孔性膜の表面が架橋ポリマーでコーティングされるように行われる。
【0042】
(1)エチレン性不飽和であり、少なくとも1つのフルオロアルキル基を有する重合性モノマー、(2)必要に応じて重合開始剤、及び(3)これら3つの試薬のための溶媒中の架橋剤を含む試薬浴を、モノマーの重合及び得られた架橋ポリマーの多孔質膜基材上への堆積をもたらす条件下で多孔質膜基材と接触させる。
【0043】
図1は、本開示のいくつかの実施形態に従う、コーティングされた膜を作製するための方法100のフローチャートを示す。方法100のステップ102において、溶液を作製する。例えば、ポリマー溶液は、DMTS溶媒中で、開始剤(例えば、DMPA/I651)とともにモノマー(例えば、DDA19)及び架橋剤(例えば、HDDA)との化学溶液/混合物を作製することを含む。I651は、米国ニューヨーク州Ciba Corp.によってIRGACUREとして市販されている、CAS#24650-42-8を有する光開始剤である。多くの開始剤が、本開示内のいくつかの実施形態において使用され得る。
【0044】
ステップ104において、非対称膜又は対称膜であり得る膜が調製される。また、膜はPES又はPVDF膜であってもよい。膜を調製する1つの方法は、ステップ102からの化学溶液/混合物でコーティングするための膜シートを調製することである。例えば、所望のサイズ(例えば、5インチ×3インチ)の基底膜をPVDF及びPESのいずれかに対して切断する。
【0045】
ステップ106では、化学溶液/混合物を膜表面に適用する。化学溶液/混合物の適用は、トレイ、例えば、ガラストレイの化学混合物溶液中に膜シートを浸漬することによって、又は例えば、ピペット又は他の送達手段を使用して、化学溶液/混合物を膜表面(いくつかの実施形態では、湿った膜表面)上に直接配置することによってのいずれかで行うことができる。
【0046】
ステップ108では、化学溶液/混合物を有する膜シートは、エネルギー源、例えば、重合反応のためのUV/電子ビーム源に曝露され、膜表面上にポリマーコーティングを生成する。
【0047】
ステップ110では、洗浄ステップを用いて、溶媒(例えば、メタノール及び水)を用いて未反応の化学溶液/混合物を除去する。
【0048】
ステップ112では、乾燥ステップを用いて、洗浄された膜を乾燥させる(例えば、100℃で15分間)。方法100は、ステップ112の後に終了する。
【0049】
適切な溶媒系を選択することによって、表面処理を有する膜の疎水性は、コーティングされた膜が、表面張力が約21ダイン/cmより大きい溶媒で濡れないように制御され得ることが見出された。多くのそのような溶媒系が利用可能である。本開示に従う実施形態とともに使用するための1つのそのような適切な溶媒は、デカメチルテトラシロキサン(DMTS)である。別のモノマーは1H,1H-ペルフルオロ-3,6,9-トリオキサトリデカン-1-オールアクリレート(PTTA)である。開始剤I651の一般名は2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(DMPA)である。
【0050】
1を超える不飽和度を有するフッ素含有重合性モノマーを利用する場合、本開示のコーティングにおいて追加のモノマーを添加する必要はない。3つの反応物、例えば重合性モノマー、重合開始剤及び架橋剤は、これら3つの反応物及び多孔質膜と相溶性のある溶媒中の混合物として多孔質膜と接触させられ、その結果、所望のフリーラジカル重合及び架橋が、かなりの量のゆっくりと抽出可能な副生成物の形成なしに達成される。容易に抽出可能な副生成物が形成される場合、これらは、コーティングステップの後に適切な溶媒で洗浄ステップを行うことによって除去することができる。
【0051】
一般に、重合性モノマーは、反応物溶液中に約2%~約20%の間の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、重合性モノマーの重量に基づいて約2.5%~7.5%の間である。架橋剤は、重合性モノマーの重量に基づいて、約0.5重量%~約5重量%の間の量で存在する。重合開始剤は、重合性モノマーの重量に基づいて、約0.1重量%~約1重量%の間の量で存在する。いくつかの実施形態では、開始剤は、約0.15~0.17%の量で存在する。架橋剤は、モノマーなしで利用できるため、重合性モノマーとして機能する。
【0052】
重合及び架橋は、モノマー反応系を紫外線(UV)光、熱源、及び/又は電離放射線に曝露することによって行うことができる。迅速であるため、本開示の実施形態は、UV光を使用することを含む。このプロセスは、モノマー、架橋剤、及び開始剤を含有する溶液中に膜基材を浸漬することと、ポリエチレンなどの2つの紫外線透過性シートの間に膜を配置することと、このサンドイッチを紫外線に曝露することとを含む。このプロセスは、連続的に行うことができ、所望の架橋コーティングは、UV露光が開始された後数分以内に形成される。上述のように反応物濃度及びUV露光を制御することによって、プラグが抜かれ、膜基材と同じ多孔質構成を有する複合体が製造される。さらに、製造された複合膜は、約21ダイン/cm未満の表面張力を有する溶媒によってのみ湿潤可能である。すなわち、本開示の複合体及び/又はコーティングされた膜は、高度に疎水性の表面を有する。また、本開示の複合体及び/又はコーティングされた膜は、滅菌電離放射線に曝された後でさえもそれらの機械的強度を保持する。
【0053】
本開示の複合体は、通常約2~5メガラッドの間のガンマ線への曝露によって滅菌された後、少なくとも10PSIの順方向又は逆方向の圧力に耐えることができる。加えて、本開示の滅菌膜複合体は、界面活性剤を含有する溶液を含む水溶液によって湿潤されないように、望ましい程度の疎水性を保持する。複合体は、参照により本明細書に援用される米国特許3,854,907号に記載される装置などにおいて、有機液体及び水性液体の通過を防止しながらガスを選択的に通過させるためのガス通気孔として有用である。本開示の実施形態は、濾過デバイスにおける使用に適した膜を含む。膜は、例えば、静脈内投与の前に水溶液が親水性フィルタを通して濾過される場合のように、ガスが選択的に通気されることを可能にする、すなわち、水溶液に対して不透過性である、濾過デバイスに組み込まれる疎水性膜である。濾過デバイスの不可欠な部分として、膜はガス通気膜としての機能的使用及び通気フィルタデバイスへの組み込みにおいて疎水性のままであり、すなわち、水溶液によって濡れないままである。
【0054】
本開示のいくつかの実施形態は、50kGyまでのガンマ線への曝露時に、25ppb未満のC6PFCA(ペルフルオロカルボン酸)、25ppb未満のC8PFCA、及び25ppb未満の組み合わせたC9~14PFCAを含有する、表面処理剤がその上に配置された多孔質ポリマー膜を含むことが本明細書において企図される。
【0055】
本開示のいくつかの実施形態に従う多孔質ポリマー膜は、ポリフッ化ビニリデン、ナイロン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアリールスルホン、セルロース、再生セルロース、セルロースエステル、アクリルポリマー、メタクリルポリマー、コポリマーアクリルメタクリルポリマー、及びそれらの組み合わせを含む。
【0056】
水侵入試験アプローチは、多孔質膜の内面の疎水性を間接的に評価することを可能にする「加圧」湿潤性/吸着性試験である。この加圧湿潤性/吸着性アプローチは、種々の作業(例えば、通気)条件下で膜性能を評価するために、その有用性において、水性栄養混合物以外の溶液に拡張され得る。
【0057】
本明細書に列挙される配合物の全ての範囲は、それらの間の範囲を含み、端点を包含又は排除することができる。任意選択で含まれる範囲は、列挙された大きさのオーダー又は次に小さい大きさのオーダーで、それらの間の整数値(又は1つの元の終点を含む)に由来する。例えば、下限値が0.2である場合、任意選択で含まれる終点は、0.3、0.4、...1.1、1.2等、並びに1、2、3などであり得て、上限範囲が8である場合、任意選択で含まれる終点は、7、6など、並びに7.9、7.8などであり得る。3以上などの片側限度は、同様に、列挙された大きさのオーダー又は1つより低いオーダーの整数値から始まる一貫した限度(又は範囲)を含む。例えば、3以上は、4又は3.1以上を含む。
【0058】
本明細書全体を通して、「1つの実施形態」、「ある特定の実施形態」、「1つ又は複数の実施形態」、「いくつかの実施形態」、又は「ある実施形態」への言及は、その実施形態に関連して説明された特徴、構造、材料、又は特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを示す。したがって、本明細書全体にわたる「1つ又は複数の実施形態では」、「ある特定の実施形態では」、「1つの実施形態では」、「いくつかの実施形態」、又は「ある実施形態では」などの語句の出現は、必ずしも同じ実施形態を指すものではない。
【0059】
いくつかの実施形態が上で論じられたが、他の実装及び用途もまた、以下の特許請求の範囲の範囲内である。本明細書は、特定の実施形態を参照して説明しているが、これらの実施形態は、本開示の原理及び用途の単なる例示であることを理解されたい。したがって、本開示に従う実施形態の趣旨及び範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態に多数の修正を加えることができ、他の構成及びパターンを考案することができることをさらに理解されたい。さらに、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、実施形態のうちのいずれか1つ以上において、任意の好適な様式で組み合わせられてもよい。
【0060】
本明細書において引用される特許出願及び特許文献並びに非特許参考文献は、あたかも個々の刊行物又は参考文献が具体的かつ個々に、参照により完全に記載されるものとして本明細書に援用されることが示されるかのように、引用される部分全体において参照によりその全体が本明細書に援用される。本願が優先権を主張する任意の特許出願はまた、刊行物及び参考文献について上に記載される様式で、参照により本明細書に援用される。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質ポリマー膜であって、
第1のポリマーから形成される、0.001~10.0ミクロン、又は
0.01~5.0ミクロン、又は
0.05~1ミクロンの間、又は
0.1~0.22ミクロンの間、又は
0.2~0.45ミクロンの間
の平均孔径を有する多孔質膜を含み、
前記多孔質ポリマー膜は、その表面がフッ素原子とともに5個以下の炭素原子の連続鎖を含有する重合性フッ素含有モノマーから形成されたで修飾された表面を有し、前記モノマーは前記膜上で重合及び架橋され、前記膜は25ppb未満のC6PFCA(ペルフルオロカルボン酸)、25ppb未満のC8PFCA及び25ppb未満の組み合わせたC9~14PFCAを含む、多孔質ポリマー膜。
【請求項2】
50kGyまでのガンマ線に曝露された後、25ppb未満のC6PFCA(ペルフルオロカルボン酸)、25ppb未満のC8PFCA及び25ppb未満の組み合わせたC9~14PFCAを含有する、請求項1に記載の多孔質ポリマー膜。
【請求項3】
前記第1のポリマーが、ポリフッ化ビニリデン、ナイロン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアリールスルホン、セルロース、再生セルロース、セルロースエステル、アクリルポリマー、メタクリルポリマー、コポリマーアクリルメタクリルポリマー、及びこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の多孔質ポリマー膜。
【請求項4】
非対称膜又は対称膜である、請求項1に記載の多孔質ポリマー膜。
【請求項5】
ポリフッ化ビニリデン膜又はポリエーテルスルホン膜を含む、請求項1に記載の多孔質ポリマー膜。
【請求項6】
空気又はガスの通気を容易にするためにフィルタユニットに組み込むことができる、請求項1に記載の多孔質ポリマー膜。
【請求項7】
表面処理を有する多孔質ポリマー膜であって、第1のポリマーで形成された約0.001~0.22ミクロンの間の平均孔径を有する多孔質膜を含み、前記多孔質膜は、架橋された第2のポリマーでその表面が修飾された表面を有し、前記架橋された第2のポリマーは、3.2重量%~4.4重量%の間のフッ素化アクリレート及び0.66
重量%~0.89
重量%の1,6-ヘキサンジオールジアクリレートをさらに含む、多孔質ポリマー膜。
【請求項8】
表面処理を有する多孔質ポリマー膜であって、第1のポリマーで形成された約0.001~0.22ミクロンの間の平均孔径を有する多孔質膜を含み、前記多孔質膜は、架橋された第2のポリマーでその表面が修飾された表面を有し、前記架橋された第2のポリマーは、2.6重量%~4.4重量%の間のフッ素化アクリレート及び0.60
重量%~1.15
重量%の1,6-ヘキサンジオールジアクリレートをさらに含む、多孔質ポリマー膜。
【請求項9】
前記架橋された第2のポリマーが、0.15~0.17%の間の開始剤をさらに含む、請求項7
又は8に記載の、表面処理を有する多孔質ポリマー膜。
【請求項10】
前記架橋された第2のポリマーが、0.15~0.17%の2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノンをさらに含む、請求項7
又は8に記載の、表面処理を有する多孔質ポリマー膜。
【請求項11】
前記第1のポリマーが、ポリフッ化ビニリデン、ナイロン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアリールスルホン、セルロース、再生セルロース、セルロースエステル、アクリルポリマー、メタクリルポリマー、コポリマーアクリルメタクリルポリマー、及びこれらの組み合わせを含む、請求項7
又は8に記載の、表面処理を有する多孔質ポリマー膜。
【請求項12】
非対称膜又は対称膜である、請求項7
又は8に記載の、表面処理を有する多孔質ポリマー膜。
【請求項13】
ポリフッ化ビニリデン膜又はポリエーテルスルホン膜を含む、請求項7
又は8に記載の、表面処理を有する多孔質ポリマー膜。
【請求項14】
空気又はガスの通気を容易にするためにフィルタユニットに組み込むことができる、請求項7
又は8に記載の、表面処理を有する多孔質ポリマー膜。
【請求項15】
溶媒としてデカメチルテトラシロキサンをさらに含む、請求項7
又は8に記載の、表面処理を有する多孔質ポリマー膜。
【請求項16】
膜にポリマー表面処理を行う方法であって、
溶媒中にモノマー、架橋剤、及び開始剤を含むポリマー溶液を調製するステップと、
前記ポリマー溶液をPES膜又はPVDF膜に適用するステップと、
前記膜に適用された前記ポリマー溶液を有する前記膜をエネルギー源に曝露するステップと、
前記ポリマー溶液を乾燥させるステップと、を含み、前記モノマーはフッ素化モノマーであり、前記開始剤は光開始剤である、方法。
【請求項17】
前記膜が非対称膜又は対称膜であり、前記適用ステップが、前記ポリマー溶液のトレイに前記膜を浸漬するか、又はピペットを用いて前記ポリマー溶液を前記膜上に直接配するコーティングステップである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記フッ素化モノマーが、2-プロペン酸、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,10,10,11,11,12,12,12-ノナデカフルオロドデシルエステルである、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記架橋剤がジアクリレートである、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記架橋剤が、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート又はオクタフルオロヘキシルジアクリレートである、請求項15に記載の方法。
【国際調査報告】