(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】ポリオレフィン発泡体をリサイクルする方法並びにそれにより得られた組成物及び物品
(51)【国際特許分類】
C08J 9/236 20060101AFI20241031BHJP
B29B 17/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
C08J9/236
B29B17/00 ZAB
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024524680
(86)(22)【出願日】2022-10-13
(85)【翻訳文提出日】2024-04-24
(86)【国際出願番号】 US2022078041
(87)【国際公開番号】W WO2023091826
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒョヌ
(72)【発明者】
【氏名】マクドゥーガル、ノーラン ティ.
(72)【発明者】
【氏名】オッティンガー、ジル エイ.
【テーマコード(参考)】
4F074
4F401
【Fターム(参考)】
4F074AA16L
4F074CA46
4F074CA48
4F074CA53
4F074DA32
4F074DA33
4F074DA36
4F074DA59
4F401AA08
4F401AA09
4F401AA10
4F401AA17
4F401AD09
4F401BA07
4F401BA13
4F401CA03
4F401CA13
4F401CA91
4F401DC04
4F401EA46
4F401EA76
4F401FA07Z
4F401FA08Z
(57)【要約】
ポリオレフィン発泡体をリサイクルするための方法であって、a)混合物を提供することであって、混合物が、ポリオレフィン発泡体の断片と分散したポリオレフィン粒子を含む水性組成物とを含む、ことと、b)混合物から水を除去することと、を含む、方法が提供される。組成物であって、ポリオレフィン発泡体と、分散したポリオレフィン粒子を含む水性組成物と、を含む、混合物を含む、組成物も提供される。そのような組成物から水を除去することを含む、方法によって形成された、物品も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン発泡体をリサイクルする方法であって、
a)混合物を提供することであって、前記混合物が、
i)ポリオレフィン発泡体の断片と、
ii)分散したポリオレフィン粒子を含む水性組成物と、を含む、ことと、
b)前記混合物から水を除去することと、を含む、方法。
【請求項2】
c)前記分散したポリオレフィン粒子の一部又は全部を互いに融合させるか、又は融合を可能にする、工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記分散したポリオレフィン粒子が0.05マイクロメートル~10マイクロメートルの体積平均粒径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記分散したポリオレフィン粒子が、第1のポリオレフィンであって、前記第1のポリオレフィンの重量に基づいて、
i)65重量%~99重量%のエチレン又はプロピレン又はそれらの混合物、
ii)1重量%~25重量%の、1種以上のジエン、1種以上のビニルエステル、式H
2C=CHR(式中Rは、C
2~C
20直鎖状、分枝状、若しくは環状アルキル基、又はC
6~C
20アリール基である)の1種以上の化合物、及びそれらの混合物からなる群から選択される1種以上のモノマー、並びに
iii)0重量%~10重量%の、i)及びii)とは異なる1種以上のモノマー、の重合単位を含む、第1のポリオレフィンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記水性組成物が、1種以上のオレフィン/(メタ)アクリレートコポリマーを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記分散したポリオレフィン粒子が、前記分散したポリオレフィン粒子中の全てのポリマー中の全重合単位の総重量に基づいて、50重量%以上のエチレンの重合単位を含み、前記ポリオレフィン発泡体の断片が、前記ポリオレフィン発泡体の断片中の全重合単位の総重量に基づいて、50重量%以上のエチレンの重合単位を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記分散したポリオレフィン粒子が、前記分散したポリオレフィン粒子中の全てのポリマー中の全重合単位の総重量に基づいて、50重量%以上のプロピレンの重合単位を含み、前記ポリオレフィン発泡体の断片が、前記ポリオレフィン発泡体の断片中の全重合単位の総重量に基づいて、50重量%以上のプロピレンの重合単位を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリオレフィン発泡体の断片が、前記ポリオレフィン発泡体の断片の総重量に基づいて80重量%以上の低密度ポリエチレンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
組成物であって、
i)ポリオレフィン発泡体の断片と、
ii)分散したポリオレフィン粒子を含む水性組成物と、を含む、組成物。
【請求項10】
請求項9に記載の組成物から水を除去することを含む、方法によって形成された、物品。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ポリオレフィン発泡体は、保護包装(例えば、輸送中の電子製品のための詰め物)、建築及び建設用途(例えば、パイプ絶縁)、レクリエーション製品(例えば、スイムヌードル及びフィットネスマット)、及び自動車用途を含む様々な用途に使用される。使用後の発泡体、又は1つの目的のために製造された後異なる目的のために使用する必要がある発泡体をリサイクル(再生)する必要性が増大している。ポストコンシューマーリサイクル(Post-consumer recycled、PCR)発泡体又はポストインダストリアルリサイクル(post-industrial recycled、PIR)発泡体は、最初に発泡体を相対的に小さな断片に機械的に縮小し(発泡体がまだ相対的に小さな断片として存在していない場合)、次いで1つ以上の接着剤を使用して発泡体断片を焼結してより大きな有用な物品を形成することによって、リサイクルすることができる。このようにして使用することが考えられるいくつかの接着剤は、有機溶剤型であり、有機溶剤の使用からもたらされる様々な健康上及び環境上の欠点を抱えている。
【0002】
米国特許第7,837,831号は、オレフィンポリマーと天然又は合成セルロース繊維とを含有する水性分散液で製造された、薄紙を開示している。
【0003】
ポリオレフィン発泡体の断片を一緒に結合して新しい有用なポリオレフィン発泡体物品を形成するのに有効な水性接着剤を使用する、ポリオレフィン発泡体をリサイクルする方法を提供することが望まれている。
【発明の概要】
【0004】
以下は、本発明の記述である。
【0005】
本発明の第1の態様は、ポリオレフィン発泡体をリサイクルする方法であって、
a)混合物を提供することであって、混合物が、
i)ポリオレフィン発泡体の断片と、
ii)分散したポリオレフィン粒子を含む水性組成物と、を含む、ことと、
b)混合物から水を除去することと、を含む、方法である。
【0006】
本発明の第2の態様は、組成物であって、
i)ポリオレフィン発泡体の断片と、
ii)分散したポリオレフィン粒子を含む水性組成物と、を含む、組成物である。
【0007】
本発明の第3の態様は、第2の態様の組成物から水を除去することを含む、方法によって形成された、物品である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下は、本発明の詳細な説明である。
【0009】
本明細書で使用される場合、以下の用語は、文脈が別途明確に示さない限り、指定された定義を有する。
【0010】
本明細書で使用される場合、ポリマーは、より小さい化学的繰り返し単位の反応生成物で構成される相対的に大きい分子である。ポリマーは、線状、分枝状、星形、ループ状、高分枝状、架橋、又はこれらの組み合わせである構造を有してもよく、ポリマーは、単一の種類の繰り返し単位を有してもよく(「ホモポリマー」)、又は2つ以上の種類の繰り返し単位を有してもよい(「コポリマー」)。コポリマーは、ランダムに、順番に、ブロックで、他の配置で、又はそれらの任意の混合若しくは組み合わせで配置された様々な種類の繰り返し単位を有し得る。ポリマーは、1,000以上の数平均分子量を有する。
【0011】
本明細書で使用される場合、「ポリマーの重量」とは、ポリマーの乾燥重量を意味する。
【0012】
本明細書で使用される場合、「熱可塑性」ポリマーは、以下の基準を満たすポリマーである。熱可塑性ポリマーは、絶対零度からTsolidまでの温度範囲にわたって固体であり、Tsolidは200℃未満である。Tsolid以上のある温度(Tflow)で、熱可塑性ポリマーは、重力下で又は機械的に加えられた力の下で新しい形状に変化するのに十分なだけ柔らかくなる。熱可塑性ポリマーがTsolid以下の温度に再冷却されると、熱可塑性ポリマーは新しい形状をほぼ保持する。ポリマーの軟化は、ガラス転移、融解転移、いくつかの他の軟化プロセス、又はそれらの組み合わせによるものであり得る。
【0013】
互いに反応してポリマーの繰り返し単位を形成することができる分子は、本明細書で「モノマー」と呼ばれる。そのように形成された繰り返し単位は、本明細書でモノマーの「重合単位」と呼ばれる。
【0014】
「オレフィン」は、正確に1つの炭素-炭素二重結合を含有し、炭素-炭素三重結合を含有していない炭化水素化合物である。オレフィンは、線状、環状、分枝状、又はこれらの組み合わせであってもよい。「ポリオレフィン」は、ポリマーであって、ポリマーの重量に基づいて40重量%以上の重合単位がオレフィンである、ポリマーである。
【0015】
本明細書で使用される場合、「ビニルエステル」は、式R3C-C(O)-O-CR=CR2(式中、各R基は、他の全てのR基とは独立して、水素又は置換若しくは非置換有機基である)を有する化合物である。本明細書で使用される場合、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸、メタクリル酸、又はそれらの混合物を意味する。本明細書で使用される場合、「(メタ)アクリル酸エステル」とは、(メタ)アクリル酸のエステルであって、エステル基が置換又は非置換C1~C20アルキル基である、(メタ)アクリル酸のエステルを意味する。本明細書で使用される場合、「ジエン」は、正確に2つの炭素-炭素二重結合を有し、炭素-炭素三重結合を有していない炭化水素化合物である。ジエンは、直鎖状、分枝状、環状又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0016】
本明細書で使用される場合、カルボン酸化合物は、以下のいずれかである:カルボキシル基が中性型、アニオン型、又はそれらの混合物であるカルボン酸;カルボン酸の塩;カルボン酸のエステル;又はこれらの混合物。スルホネート化合物は、スルホン酸基を有する化合物であり、中性型、アニオン型、塩型、エステル型、又はそれらの混合物であってもよい。
【0017】
本明細書で使用される場合、「発泡体」は、複数の気泡を含有する固体物品である。気泡は、固体材料によって部分的に又は完全に取り囲まれたガス充填塊である。数基準で気泡の50%以上が固体材料によって完全に取り囲まれている場合、発泡体は「独立気泡」発泡体と呼ばれる。他の発泡体は、「連続気泡」発泡体と呼ばれる。50重量%以上がポリオレフィンである発泡体は、「ポリオレフィン発泡体」と呼ばれる。ポリオレフィン発泡体が2種以上のポリオレフィンを含有する場合、発泡体の重量に基づいて最大の重量百分率を有する発泡体中のポリオレフィンは、本明細書で発泡体中の「主要」ポリオレフィンと呼ばれる。ポリオレフィン発泡体が正確に1種のポリオレフィンを含有する場合、そのポリオレフィンが主要ポリオレフィンである。
【0018】
20cmより大きい寸法を有していないポリオレフィン発泡体片は、本明細書で「断片」と呼ばれる。ポリオレフィン発泡体の断片は、それが見出された形態であってもよく、又はポリオレフィン発泡体のより大きな片が、例えば、1つ以上の機械的プロセス、例えば、粉砕、細断、剪断、破断、他の機械的プロセスなど、又はそれらの任意の組み合わせによって、断片に縮小されてもよい。
【0019】
本明細書で使用される場合、「粒子」は離散物品である。粒子は、固体又は液体であり得る。本明細書で使用される場合、粒子の「直径」は、実在の粒子と同じ体積を有する仮想球体の直径と見なされる。粒子の「アスペクト」比は、その最大寸法とその最小寸法との比である。粒子は、そのアスペクト比が2:1以下である場合、本明細書で「非繊維状」であると言われる。「ポリオレフィン粒子」は、粒子の重量に基づいて50重量%以上のポリオレフィンを含有する。
【0020】
本明細書で使用される場合、「水性」組成物は、組成物の重量に基づいて30重量%以上の水を含有する組成物である。水性媒体は、媒体の重量に基づいて50重量%以上の水を含有する連続液体媒体である。粒子が液体媒体全体にわたって分布している場合、本明細書では、液体媒体中に粒子が「分散している」と言われる。液体媒体中に分散している粒子は、例えば、スラリー、分散液、エマルジョン、ラテックス、いくつかの他の種類の組成物、又はそれらの組み合わせと通常称される組成物を形成することができる。液体媒体中に分散している粒子の集合体は、体積平均直径によって特徴付けられ、これは、光散乱によって、例えば、Coulter LS230デバイス(Beckman Coulter Co.、Indianapolis,IN,USA)によって測定され得る。粒度分布指数は、本明細書では、体積平均粒径Dvを数平均粒径Dnで除算することによって得られる指数と定義される。
【0021】
ポリマーの融解温度は、示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimetery、DSC)によって測定される。融解温度で吸熱ピークが観察される。
【0022】
ポリマーの結晶化度は、DSC評価において生じる融点での融解熱を観察することによって測定される。「結晶化度」は、観察された融解熱を、同じポリマーの結晶化度100%の試料の融解熱に対して正規化することによって決定され、パーセンテージとして報告される。
【0023】
ポリマー試料の重量平均分子量(weight-average molecular weight、Mw)は、散乱強度対ポリマー濃度及び散乱角度のZimmプロットの切片を使用して、ポリマーの希釈溶液中の光散乱によって測定される。多分散指数は、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(number-average molecular weight、Mn)で除算することによって得られる指数と定義される。
【0024】
ポリマー試料のガラス転移温度(Tg)は、10℃/分でDSCによって、熱流曲線におけるステップ変化の中点として測定される。
【0025】
ポリマーのメルトインデックス(「I2」)は、ASTM D1238、条件190℃/2.16kgに従って測定される。I2は、10分当たりに溶出されたグラム(g/10分)で報告される。
【0026】
本明細書に提示される比率は、以下のように特徴付けられる。例えば、比率が3:1以上であると言われる場合、その比率は、3:1、又は5:1、又は100:1であり得るが、2:1にはなり得ない。この特徴付けは、以下のように概括的に記載され得る。本明細書で比率がX:1以上であると言われる場合、その比率がY:1であることを意味し、式中、YはX以上である。別の例では、比率が15:1以下であると言われる場合、その比率は15:1又は10:1又は0.1:1であってもよいが、20:1とはなり得ない。概括的に、本明細書で比率がW:1以下であると言われる場合、その比率がZ:1であることを意味し、式中、ZはW以下である。
【0027】
好ましくは、水性組成物中の分散粒子の体積平均粒径は、10マイクロメートル以下、より好ましくは5マイクロメートル以下、より好ましくは2.5マイクロメートル以下、より好ましくは1.5マイクロメートル以下である。好ましくは、水性組成物中の分散粒子の体積平均粒径は、0.05マイクロメートル以上、より好ましくは0.1マイクロメートル以上、より好ましくは0.2マイクロメートル以上である。好ましくは、水性組成物中の分散粒子の粒度分布指数は、2以下、より好ましくは1.9以下、より好ましくは1.7以下、より好ましくは1.5以下である。
【0028】
分散したポリオレフィン粒子を含有する好適な水性組成物の例は、例えば、米国特許第5,688,842号、米国特許第8,053,503号、及び米国特許第8,163,837号に開示されている。
【0029】
ポリオレフィン粒子は、好ましくは、粒子の総重量に基づいて、50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上の量でポリオレフィンを含有する。
【0030】
好ましくは、ポリオレフィン粒子は、1種以上の「第1のポリオレフィン」を含有する。「第1のポリオレフィン」において、オレフィンの重合単位は、第1のポリオレフィンの重量に基づいて、70%重量%以上、より好ましくは80%重量%以上、より好ましくは90重量%以上の量で存在する。好ましくは、第1のポリオレフィンは、1種以上の主モノマー(primary monomer)、任意選択で1種以上のコモノマー、及び任意選択でもう1種の追加のモノマーの重合単位を含有する。主モノマーは、エチレン、プロピレン、又はそれらの混合物である。コモノマーは、1種以上のジエン、1種以上のビニルエステル、式H2C=CHR(式中、Rは、C2~C20直鎖状、分枝状、若しくは環状アルキル基、又はC6~C20アリール基である)の1種以上の化合物、及びその混合物の群から選択される。
【0031】
第1のポリオレフィンにおいて、好ましくは、主モノマーの重合単位は、主モノマーの重合単位の重量に基づいて、90重量%~100重量%のエチレンの重合単位又は90重量%~100重量%のプロピレンの重合単位のいずれか、より好ましくは90%~100%のエチレンの重合単位、より好ましくは100%のエチレンの重合単位である。第1のポリオレフィンにおいて、好ましくは、主モノマーの重合単位の量は、第1のポリオレフィンの重量に基づいて、65重量%以上、より好ましくは75重量%以上である。第1のポリオレフィンにおいて、好ましくは、主モノマーの重合単位の量は、第1のポリオレフィンの重量に基づいて、100重量%以下、より好ましくは99重量%以下、より好ましくは90重量%以下である。
【0032】
1種以上のコモノマーに関して、1種以上のジエンが第1のポリオレフィン中で使用される場合、C4~C20直鎖状、分枝状、又は環状ジエンが好ましい。1種以上のビニルエステが第1のポリオレフィン中で使用される場合、ビニルアセテートが好ましい。式H2C=CHR(上で定義した通り)を有する1種以上の化合物が第1のポリオレフィン中で使用される場合、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、及びそれらの混合物が好ましく、1-ヘプテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、及びそれらの混合物がより好ましい。第1のポリオレフィンにおいて、好ましくは、コモノマーは、式H2C=CHRの1種以上の化合物を含む。第1のポリオレフィンにおいて、好ましくは、コモノマー中の式H2CHRの化合物の量は、コモノマーの重量に基づいて、50重量%以上、より好ましくは75重量%以上、より好ましくは90重量%以上、より好ましくは100%である。好ましくは、第1のポリオレフィン中のコモノマーの重合単位の量は、第1のポリオレフィンの重量に基づいて、0~25重量%、より好ましくは1重量%~25重量%である。
【0033】
第1のポリオレフィン中の追加のモノマーに関して、好ましくは、使用される任意の追加のモノマーは、いずれの主モノマーとも異なり、またいずれのコモノマーとも異なる。好ましくは、追加のモノマーの重合単位は、第1のポリオレフィン中にほとんど又は全く存在しない。すなわち、好ましくは、第1のポリオレフィン中に存在する追加のモノマーの重合単位の量は、第1のポリオレフィンの重量に基づいて、0~10重量%、より好ましくは、0~1重量%、より好ましくは、0重量%である。
【0034】
好ましくは、第1のポリオレフィンは、熱可塑性である。好ましくは、第1のポリオレフィンは、50%未満、好ましくは25%未満の結晶化度を有する。好ましくは、第1のポリオレフィンは、15,000以上、より好ましくは20,000以上の重量平均分子量を有する。好ましくは、第1のポリオレフィンは、5,000,000以下、より好ましくは1,000,000以下の重量平均分子量を有する。好ましくは、第1のポリオレフィンの分子量多分散指数は、1.01以上、より好ましくは1.5以上、より好ましくは1.8以上である。好ましくは、第1のポリオレフィンの分子量多分散指数は、40以下、より好ましくは20以下、より好ましくは10以下である。
【0035】
好ましくは、第1のポリオレフィンは、50℃以下、より好ましくは40℃以下のガラス転移温度を有する。好ましくは、第1のポリオレフィンは、25℃以上、より好ましくは30℃以上のガラス転移温度を有する。好ましくは、第1のポリオレフィンは、140℃以下、より好ましくは130℃以下、より好ましくは120℃以下の溶融温度を有する。好ましくは、第1のポリオレフィンは、10分当たりのグラムの単位で、0.001以上、より好ましくは0.5以上、より好ましくは100以上のメルトインデックスを有する。好ましくは、第1のポリオレフィンは、10分当たりのグラムの単位で、1,000以下、より好ましくは800以下、より好ましくは700以下のメルトインデックスを有する。
【0036】
好適な第1のポリオレフィンの例としては、例えば、以下のものが挙げられる:線状低密度ポリエチレン(linear low density polyethylene、LLDPE)及びコポリマーを含む、不均一分枝状ポリオレフィン;不均一分枝状超低密度線状ポリエチレン(ultra low linear density polyethylene、ULDPE)、エチレンとエチレン以外の1種以上のα-オレフィンとの均一分枝状線状コポリマー、及びエチレンとエチレン以外の1種以上のα-オレフィンとの均一分枝状で実質的に線状のコポリマー。
【0037】
好ましくは、水性組成物は、1種以上の分散剤を更に含有する。分散剤分子は、連続水相中に溶解して存在してもよく、又は1つ以上のポリオレフィン粒子に付着して存在してもよく、又はポリオレフィン粒子の表面上に部分的に存在しかつ連続水相中に部分的に存在してもよい。好適な分散剤としては、非ポリマーカルボン酸化合物、非ポリマースルホネート化合物、オレフィン/(メタ)アクリル酸コポリマー、硫酸化又はリン酸化ポリオキシエチレン化アルコール、エチレンオキシド/プロピレンオキシド/エチレンオキシブロックコポリマー、第一級及び第二級アルコールエトキシレート、アルキルグリコシド、アルキルグリセリド、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0038】
非ポリマーカルボン酸化合物の中で、分子のカルボン酸部分が8個以上の炭素原子、より好ましくは12個以上の炭素原子、より好ましくは15個以上の炭素原子を含有するものが好ましい。非ポリマーカルボン酸化合物の中で、分子のカルボン酸部分が60個以下の炭素原子、より好ましくは30個以下の炭素原子を含有するものが好ましい。非ポリマーカルボン酸化合物の中で、カチオンがアルカリ金属カチオン、アルカリ土類カチオン、アンモニウムカチオン、アルキルアンモニウムカチオン、又はそれらの混合物から選択される、塩が好ましい。
【0039】
好ましくは、分散剤は1つ以上のオレフィン/(メタ)アクリル酸コポリマーを含む。オレフィン/(メタ)アクリル酸コポリマーの中で、エチレン、プロピレン、又はそれらの混合物の重合単位を含む、コポリマーが好ましい。オレフィン/(メタ)アクリル酸コポリマーの中で、好ましくは、オレフィンモノマーの重合単位は、オレフィンモノマーの全ての重合単位の重量に基づいて、90重量%~100重量%のエチレンの重合単位又は90重量%~100重量%のプロピレンの重合単位のいずれか、より好ましくは90%~100重量%のエチレンの重合単位、より好ましくは100%重量%のエチレンの重合単位である。オレフィン/(メタ)アクリル酸コポリマーの中で、好ましくは、オレフィンモノマーの重合単位の量は、オレフィン/(メタ)アクリル酸コポリマーの重量に基づいて、好ましくは40重量%以上、より好ましくは50重量%以上である。オレフィン/(メタ)アクリル酸コポリマーの中で、好ましくは、オレフィンモノマーの重合単位の量は、オレフィン/(メタ)アクリル酸コポリマーの重量に基づいて、好ましくは98重量%以下、より好ましくは95重量%以下、より好ましくは90重量%以下、より好ましくは70重量%以下である。
【0040】
オレフィン/(メタ)アクリル酸コポリマーの中で、好ましくは、オレフィン/(メタ)アクリル酸コポリマーは、オレフィン/(メタ)アクリル酸コポリマーの重量に基づいて、2重量%以上の(メタ)アクリル酸の重合単位を含有する。より好ましくは、オレフィン/(メタ)アクリル酸コポリマー中の(メタ)アクリル酸の重合単位の量は、オレフィン/アクリル酸コポリマーの重量に基づいて、5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上である。好ましくは、オレフィン/(メタ)アクリル酸コポリマー中の(メタ)アクリル酸の重合単位の量は、オレフィン/(メタ)アクリル酸コポリマーの重量に基づいて、60重量%以下、より好ましくは50重量%以下である。
【0041】
オレフィン/(メタ)アクリル酸コポリマーは、任意選択で、1つ以上の追加のモノマーの重合単位、すなわち、オレフィンモノマー及び(メタ)アクリル酸以外のモノマーの重合単位を含有する。好ましくは、追加のモノマーの重合単位は、オレフィン/(メタ)アクリル酸コポリマー中にほとんど又は全く存在しない。すなわち、好ましくは、オレフィン/(メタ)アクリル酸コポリマー中に存在する追加のモノマーの重合単位の量は、オレフィン/(メタ)アクリル酸コポリマーの重量に基づいて、0~10重量%、より好ましくは、0~1重量%、より好ましくは、0重量%である。
【0042】
好ましくは、水性組成物は、1種以上の第1のポリオレフィン及び1種以上の分散剤の両方を含有する。好ましくは、第1のポリオレフィンと分散剤との重量比は、300:1以下である。好ましくは、第1のポリオレフィと分散剤との重量比は、0.5:1以上である。
【0043】
分散剤が1種以上のオレフィン/(メタ)アクリル酸コポリマーを含有する場合、好ましくは、第1のポリオレフィンとオレフィン/(メタ)アクリル酸コポリマーとの重量比は、20:1以下、より好ましくは10:1以下、より好ましくは6:1以下である。分散剤が1種以上のオレフィン/(メタ)アクリル酸コポリマーを含有する場合、好ましくは、第1のポリオレフィンと分散剤との重量比は、0.5:1以上、より好ましくは0.75:1以上、より好ましくは1:1以上である。
【0044】
分散剤が1種以上の非ポリマーカルボン酸化合物を含有する場合、好ましくは、第1のポリオレフィンと非ポリマーカルボン酸化合物との重量比は、300:1以下、より好ましくは200:1以下、より好ましくは120:1以下である。分散剤が1種以上の非ポリマーカルボン酸化合物を含有する場合、好ましくは、第1のポリオレフィンと非ポリマーカルボン酸化合物との重量比は、5:1以上、より好ましくは10:1以上、より好ましくは16:1以上である。
【0045】
水性組成物は、連続液体媒体を含有し、分散したポリオレフィン粒子も含有する。連続液体媒体中の水の量は、好ましくは、連続液体媒体の重量に基づいて、50重量%以上、より好ましくは75重量%以上、より好ましくは85重量%以上である。
【0046】
好ましくは、水性組成物中のポリオレフィンの量は、水性組成物の重量に基づいて、25重量%以上、より好ましくは30重量%以上、より好ましくは35重量%以上、より好ましくは40重量%以上である。好ましくは、水性組成物中のポリオレフィンの量は、水性組成物の重量に基づいて、75重量%以下、より好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下、より好ましくは50重量%以下である。
【0047】
好ましくは、水性組成物のpHは、5以上、より好ましくは7以上である。好ましくは、水性組成物のpHは、11.5以下、より好ましくは11以下である。任意選択で、水性組成物のpHは、水性組成物中に1種以上の酸又は塩基を含めることによって調整され得る。
【0048】
本発明はまた、ポリオレフィン発泡体の断片の使用を伴う。好ましくは、ポリオレフィン発泡体はリサイクルされる。好ましくは、ポリオレフィンは、発泡体の重量に基づいて、60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上の量で発泡体中に存在する。ポリオレフィン発泡体において、好ましくは、主モノマーの重合単位の量は、主モノマーの重合単位の重量に基づいて、90重量%~100重量%のエチレンの重合単位又は90重量%~100重量%のプロピレンの重合単位のいずれか、より好ましくは90重量%~100重量%のエチレンの重合単位、より好ましくは100重量%のエチレンの重合単位である。ポリオレフィン発泡体において、好ましくは、主モノマーの重合単位の量は、ポリオレフィン発泡体中の全重合単位の重量に基づいて、75重量%~100重量%、より好ましくは90重量%~100重量%である。ポリオレフィン発泡体において、好ましくは、コモノマーの重合単位の量は、ポリオレフィン発泡体中の全重合単位の重量に基づいて、0重量%~25重量%、より好ましくは0重量%~10%重量である。好ましくは、ポリオレフィン発泡体中のポリオレフィンは、低密度ポリエチレン(low density polyethylene、LDPE)を、ポリオレフィン発泡体の重量に基づいて、80重量%以上、又は90重量%以上の量で含有する。
【0049】
好ましくは、ポリオレフィン発泡体中の主要ポリオレフィンは、架橋されているか、さもなければ150℃以下の溶融温度(Tmfoam)を有するかのいずれか、より好ましくは、架橋されているか、又は120℃以下のTmfoamを有するかのいずれかである。好ましくは、ポリオレフィン発泡体中の主要ポリオレフィンは、架橋されているか、さもなければ60℃以上の融解温度(Tmfoam)を有するかのいずれか、より好ましくは、架橋されているか、又は80℃以上のTmfoamを有するかのいずれかである。
【0050】
ポリオレフィン発泡体は、任意選択で、1種以上の成核剤を含有する。好適な成核剤としては、例えば、タルク、クエン酸、及び重炭酸ナトリウムが挙げられる。ポリオレフィン発泡体中の成核剤の量は、存在する場合、好ましくは、ポリオレフィン発泡体の重量に基づいて15重量%以下である。
【0051】
ポリオレフィン発泡体は、任意選択で、1種以上の発泡剤を含有する。好適な発泡剤は、例えば、グリセロールモノステアレートである。ポリオレフィン発泡体中の発泡剤の量は、存在する場合、好ましくは、ポリオレフィン発泡体の重量に基づいて5重量%以下である。
【0052】
ポリオレフィン発泡体は、連続気泡発泡体、若しくは独立気泡発泡体、又はそれらの組み合わせであってもよい。好適なポリオレフィン発泡体は、例えば、高密度発泡体又は低密度発泡体であってもよい。高密度発泡体は、典型的には50~200マイクロメートルの体積平均気泡サイズを有する。高密度発泡体は、典型的には、240kg/m3(15lb/ft3)より高い密度を有する。低密度発泡体は、典型的には、100~3,000マイクロメートルの体積平均気泡サイズを有する。低密度発泡体は、典型的には、8kg/m3(0.5lb/ft3)~240kg/m3(15lb/ft3)の密度を有する。
【0053】
ポリオレフィン発泡体中のポリオレフィンは、熱可塑性であってもよく、又は架橋されていてもよい。いずれの種類の発泡体も本発明における使用に適している。本発明の実施に際して特に興味深いのは、架橋発泡体であり、その理由は、架橋発泡体が、典型的には、融解及び再形成によってリサイクルすることができないからである。したがって、本発明は、既に使用された架橋発泡体から新しい有用な物品を作製する方法を提供するという理由で有利である。
【0054】
本発明の実施に際して、ポリオレフィン発泡体は複数の断片の形態で存在する。各断片は、その最大寸法(「DMAX」)によって特徴付けることができる。断片の集合体は、D90によって特徴付けられてもよく、D90は、全ての断片の重量に基づいて、断片の90重量%以上がD90以下のDMAXを有するようなサイズである。好ましくは、ポリオレフィン発泡体の断片の集合体のD90は、20cm以下、より好ましくは12cm以下、より好ましくは7mm以下である。好ましくは、全ての断片の重量に基づいて、断片の90重量%以上が非繊維状である。
【0055】
いくつかの実施形態において、発泡体は、比較的大きな物品として、例えば、シート、ボード、又は厚板として、例えば、押出成形によって製造され、次いで、より小さな断片に機械的に縮小される。サイズ減少以外、これらの発泡体断片は、気泡サイズ、発泡体密度、及び多孔性などの元の発泡体物品の特性を保持することが企図される。
【0056】
本発明は、ポリオレフィン発泡体の断片と、水性組成物と、の混合物の使用を含む。混合物は、任意の方法によって作製することができる。好適な方法の例としては、例えば、以下のものが挙げられる:ブレンド(例えば、水性組成物とポリオレフィン発泡体の断片とを容器内で一緒にし、混合物を撹拌する);浸漬コーティング(例えば、水性組成物を第1の容器に入れ、ポリオレフィン発泡体の断片が水性組成物によってコーティングされるまでポリオレフィン発泡体の断片を水性組成物中に浸漬し、次いでポリオレフィン発泡体のコーティングされた断片を別の容器に取り出す);スプレーコーティング(例えば、ポリオレフィン発泡体の断片上に水性組成物を噴霧する);他の方法;及びそれらの組み合わせ。
【0057】
好ましい一実施形態では、以下の条件(「I」又は「II」)のどちらか一方が存在する。
I)分散したポリオレフィン粒子が、分散したポリオレフィン粒子中の全てのポリマー中の全重合単位の総重量に基づいて、50重量%以上のエチレンの重合単位を含み、
ポリオレフィン発泡体の断片が、ポリオレフィン発泡体の断片中の全重合単位の総重量に基づいて、50重量%以上のエチレンの重合単位を含むこと、
又は、
II)分散したポリオレフィン粒子が、分散したポリオレフィン粒子中の全てのポリマー中の全重合単位の総重量に基づいて、50重量%以上のプロピレンの重合単位を含み、
ポリオレフィン発泡体の断片が、ポリオレフィン発泡体の断片中の全重合単位の総重量に基づいて、50重量%以上のプロピレンの重合単位を含むこと。
【0058】
条件Iが好ましい。条件Iが実施される場合、好ましくは、分散したポリオレフィン粒子中の全てのポリマー中のエチレンの重合単位の量は、全重合ポリオレフィン粒子の総重量に基づいて、60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上である。条件Iが実施される場合、好ましくは、ポリオレフィン発泡体中のエチレンの重合単位の量は、ポリオレフィン発泡体の断片中の全重合単位の総重量に基づいて、60重量%以上、より好ましくは重量70%以上、より好ましくは80重量%以上である。
【0059】
条件IIが実施される場合、好ましくは、分散したポリオレフィン粒子中の全ポリマー中のプロピレンの重合単位の量は、全重合ポリオレフィン粒子の総重量に基づいて、60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上である。条件IIが実施される場合、好ましくは、ポリオレフィン発泡体中のプロピレンの重合単位の量は、ポリオレフィン発泡体の断片中の全重合単位の総重量に基づいて、60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上である。
【0060】
水性組成物とポリオレフィン発泡体断片との混合物は、水性組成物中のポリオレフィンの重量とポリオレフィン発泡体の重量との比によって特徴付けることができる。好ましくは、その比は、0.2:1以上、より好ましくは0.5:1以上、より好ましくは0.75:1以上である。好ましくは、その比は、5:1以下、より好ましくは3:1以下である。
【0061】
本発明の実施は、水性組成物とポリオレフィン発泡体粒子との混合物から水を除去することを伴う。好ましくは、水は、水の蒸発を伴うプロセスによって除去される。水の除去を加速させるために、混合物は、例えば、以下のうちの1つ以上に供され得る:30℃を超える温度;空気を移動させること;及びこれらの組み合わせ。
【0062】
30℃を超える温度を使用する場合、60℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましい。30℃を超える温度を使用する場合、150℃以下が好まく、125℃以下がより好ましい。30℃を超える温度は任意の方法によって達成され得る。いくつかの好適な方法としては、例えば、放射線(例えば、赤外線など)への曝露、加熱ガス(例えば、加熱空気など)への曝露、他の加熱方法、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0063】
移動する空気が使用されることが望まれる場合、1つの好適な方法は、例えば、対流式オーブンなどの、オーブン内で空気を機械的に移動させるオーブンに、混合物を入れることである。混合物が、オーブン内で空気を機械的に移動させるオーブンに入れられる場合、混合物は、移動する空気及び30℃を超える温度の両方に同時に曝露され得る。あるいは、混合物は、オーブン内以外の状況で移動する空気に曝露されてもよい(30℃を超える温度への同時曝露の有無にかかわらず)。あるいは、移動する空気は使用されなくてもよい。
【0064】
混合物が30℃を超える温度に曝露される場合、混合物は、第1のポリオレフィンのTflow以上の温度に達することが好ましい。混合物が第1のポリオレフィンのTflow以上の温度に達すると、第1のポリオレフィンを含有する粒子の一部又は全部が互いに融合する傾向があり、ポリオレフィン発泡体の断片を結合して単一の塊にすることが企図される。
【0065】
30℃を超える温度への曝露は、第1のポリオレフィンの粒子の融合及び混合物からの水の除去の両方を助けることが企図される。これらの効果は、いずれかの順序で達成されてもよく、若しくは同時に達成されてもよく、又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。例えば、混合物は、最初に、水の除去を最適化する条件(例えば、比較的低い温度及び比較的高い空気流)に曝露され、次いで、粒子の融合を最適化する条件(例えば、比較的高い温度)に曝露されてもよい。別の例では、混合物は、最初に、粒子の融合を最適化する条件に曝露され、次いで、水の除去を最適化する条件に曝露されてもよい。別の例では、粒子融合及び水除去が同時に行われることを可能にする条件が選択されてもよい。1つの効果(例えば、水除去)を最適化する又は当該効果に都合が良い条件が適用される場合、他のプロセス(例えば、粒子融合)がある程度同時に行われることが企図される。
【0066】
混合物が30℃を超える温度に曝露され、ポリオレフィン発泡体中の主要ポリオレフィンが熱可塑性である場合、混合物によって達成される最高温度Tmaxは、Tmax<(T2-10℃)に従うものとし、式中、T2はポリオレフィン発泡体中の主要ポリオレフィンのTsoftである。TmaxをT2より10℃低い温度に維持することにより、ポリオレフィン発泡体の断片が崩壊することなくそれらの発泡体構造を保持することを可能にすることが予想される。
【0067】
任意選択で、水性組成物からの粒子中のポリオレフィンの一部又は全部を軟化させるのに十分な温度にある間に、混合物に機械的圧力が加えられる。
【0068】
混合物から水を除去した後、混合物が加熱されていた場合には、それを約25℃の周囲温度に戻し、残りの組成物は、本明細書で完成物品であると見なされる。いくらかの水が完成物品中に保持され得ることが企図される。好ましくは、完成物品中の水の量は、完成物品の重量に基づいて、20%重量%以下、より好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。
【0069】
ポリオレフィン発泡体の断片は、例えば、完成物品の最終形状を決定するための型として機能する容器内に入れられてもよい。ポリオレフィン発泡体の断片は、ポリオレフィン発泡体の断片が水性組成物と接触させられる前又は後のいずれかに、そのような容器に入れられてもよい。
【実施例】
【0070】
以下は、本発明の実施例である。特に記載のない限り、室温(約23℃)で操作を実行した。
【0071】
以下の材料を使用した。
・「結合剤」=HYPOD(商標)8501水性酸変性エチレンコポリマー系ポリオレフィン分散液、固形分約45重量%、Dow Chemical Company製
・再生(リサイクル)発泡体:以前に製造されたポリオレフィン発泡体は、5mm未満のD90を有する断片に縮小されていた。
【0072】
実施例1
97グラムの結合剤を、発泡体粒子上の結合剤の均一な被覆が達成されるまで、浴中で再生発泡体と混合した。結合剤でコーティンされた発泡体粒子を、サイズ21.6cm×11.7cm×7.0cm(8.5インチ×4.6インチ×2.75インチ)の頑丈なアルミニウムローフパンに入れた。別のパンを蓋として使用し、試料を90℃に設定した対流式オーブンに50分間入れ、1.8kg(4ポンド)の重りを蓋の上に置いた。次いで、蓋を取り外し、試料を90℃のオーブン内で2時間乾燥させた。
【0073】
実施例2
蓋に穴を開けた以外は実施例1と同一。
【0074】
実施例3
結合剤を15グラムの再生発泡体上に均一にスプレーコーティングした。スプレーコーティングされた発泡体粒子を90℃のオーブンに30分間入れた。次いで、コーティングされた発泡体を秤量し、結果は16.7グラムであり、これにより、結合剤からの1.6グラムのポリマーが15グラムの再生発泡体粒子をコーティングしたことが実証された。コーティングされた発泡体粒子をパンに入れ、次いで蓋で覆った。蓋の上に1.8kg(4ポンド)の重りを置いた。パンを90℃のオーブンに10分間入れた。追加の1.8kg(4ポンド)の重りを蓋の上に置き、パンを90℃のオーブンに更に10分間入れた。
【0075】
実施例4
15グラムの発泡体を結合剤の浴中に浸漬し、均一なコーティングが達成されるまで混合した。浸漬コーティングされた発泡体粒子を90℃のオーブンに50分間入れた。その時点で、コーティングされた発泡体粒子は30グラムの重量であり、これにより、結合剤からの15グラムのポリマーが15グラムの再生発泡体をコーティングしたことが実証された。次いで、コーティングされた発泡体粒子を、90℃のオーブン内の1.8kg(4ポンド)重量の蓋付きパンに5分間入れた。追加の1.8kg(4ポンド)の重りを蓋の上に置き、パンを90℃のオーブンに更に10分間入れた。
【0076】
実施例1~4の各々の結果は、ポリオレフィン発泡体を含有する固体ブロックであり、これは、取り扱い時に丈夫であり、例えば、保護包装(例えば、輸送中の電子製品のための詰め物)、建築及び建設用途(例えば、パイプ絶縁)、レクリエーション製品(例えば、スイムヌードル及びフィットネスマット)、並びに自動車用途などの多種多様な用途のいずれにも有用であるとみられた。
【国際調査報告】