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特表2024-541240リサイクルポリ(ビニルブチラール)ポリマーの回収
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】リサイクルポリ(ビニルブチラール)ポリマーの回収
(51)【国際特許分類】
   C08J 11/08 20060101AFI20241031BHJP
   B29B 17/02 20060101ALI20241031BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
C08J11/08 ZBP
B29B17/02
B32B27/30 102
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525043
(86)(22)【出願日】2022-10-27
(85)【翻訳文提出日】2024-06-07
(86)【国際出願番号】 US2022047971
(87)【国際公開番号】W WO2023076441
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】63/263,162
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/368,383
(32)【優先日】2022-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/377,410
(32)【優先日】2022-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/377,402
(32)【優先日】2022-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/377,405
(32)【優先日】2022-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503316891
【氏名又は名称】ソルティア・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100168066
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】マ,イーノン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ウェンジー
(72)【発明者】
【氏名】カンポ,ベルト・ヨーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン,ヘレン・エム
【テーマコード(参考)】
4F100
4F401
【Fターム(参考)】
4F100AK21
4F100AK21A
4F100AK21B
4F100AK21C
4F100AK23
4F100AK23B
4F100AK23C
4F100AK23D
4F100AT00A
4F100AT00E
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA05
4F100BA06
4F100BA07
4F100CA04
4F100CA04B
4F100CA04C
4F100CA04D
4F100GB07
4F100GB32
4F100JL16
4F100JL16B
4F100JL16C
4F100JL16D
4F100YY00B
4F100YY00C
4F100YY00D
4F401AA15
4F401AB03
4F401AB10
4F401AC20
4F401AD01
4F401BA13
4F401BB12
4F401CA25
4F401CA46
4F401CA56
4F401EA63
4F401FA01Z
4F401FA07Z
4F401FA08Z
(57)【要約】
ポリ(ビニルブチラール)(PVB)を回収する方法。この方法は、溶媒を再生システムへ供給するステップと;リサイクルPVBを溶媒へ加え、撹拌してPVB混合物を形成させるステップであって、PVB混合物が、溶解した高PVOH PVB樹脂及び可塑剤を含む液体部分並びに低PVOH PVB固体及び可塑剤を含む、ステップと;PVB混合物をろ過して低PVOH PVB固体を除去するステップとを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ(ビニルブチラール)(PVB)を回収する方法であって、
(a)溶媒を再生システムへ供給するステップと;
(b)リサイクルPVBを溶媒へ加え、撹拌してPVB混合物を形成させるステップであって、PVB混合物が、溶解した高PVOH PVB樹脂及び可塑剤を含む液体部分並びに低PVOH PVB固体を含む固体部分を含む、ステップと;
(c)PVB混合物をろ過して低PVOH PVB固体を除去するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
ポリ(ビニルブチラール)(PVB)を回収する方法であって、
(a)溶媒を再生システムへ供給するステップと;
(b)リサイクルPVBを溶媒へ加え、撹拌してPVB混合物を形成させるステップであって、PVB混合物が、溶解した高PVOH PVB樹脂及び可塑剤を含む液体部分並びに低PVOH PVB固体を含む固体部分を含む、ステップと;
(c)PVB混合物をろ過して低PVOH PVB固体を除去するステップであって、除去された低PVOH固体が、残留高PVOH PVB樹脂及び可塑剤を含む、ステップとを含む
方法。
【請求項3】
除去された低PVOH PVB固体が残留高PVOH PVB樹脂及び可塑剤を含み、残留高PVOH PVB樹脂及び可塑剤を低PVOH PVB固体から分離するステップ(d)をさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
分離するステップ(d)が、低PVOH PVB樹脂を洗浄するステップを含むか、又は分離するステップ(d)が、溶媒を低PVOH PVB樹脂に加えて高PVOH PVB樹脂及び可塑剤をさらに溶解及び除去するステップを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
低PVOH PVB固体中の可塑剤及び高PVOH PVBのレベルを測定するステップ(e)をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(a)~(e)を繰り返すステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも80%(85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれを超える)の高PVOH PVB樹脂がリサイクルPVBから除去される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(b)が、約5℃~約60℃(5℃~約50℃、5℃~約40℃、5℃~約30℃、5℃~約20℃、5℃~約10℃)の温度で撹拌するステップを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
リサイクルPVBがPVBペレットの形態である、又はリサイクルPVBが、PVBフレーク、又はPVBフィルム若しくはシート片の形態である、又はリサイクルPVBが、PVBフレーク、又はPVBフィルム若しくはシート片及びPVBペレットの形態である、又はリサイクルPVBが約2~約20ミリメートルの直径を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(a)においてリサイクルPVBが供給される再生システムが、バッチ反応器システムを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(a)において加えられる溶媒が水及びアルコールの混合物を含む、又はステップ(a)において加えられる溶媒が水及びアルコールの混合物を含み、アルコールが、エタノール、メタノール、若しくはイソプロパノール、若しくは2種以上のアルコールの混合物である、又はステップ(a)において加えられる溶媒が水及びアルコールの混合物を含み、アルコールがエタノールであり水が約16重量パーセント~約24重量パーセントの量で若しくは約20重量パーセント~約24重量パーセントの量で存在する、又はステップ(a)において加えられる溶媒が水及びアルコールの混合物を含み、アルコールがメタノールであり水が約0重量パーセント~約9.5重量パーセントの量で存在する、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(a)においてリサイクルPVBが供給される再生システムが連続再生システムを含む、又はステップ(a)においてリサイクルPVBが供給される再生システムが連続再生システムを含み、連続再生システムが連続撹拌槽反応器である、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
リサイクルPVBが、少なくとも1wt.%(5wt.%、10wt.%、15wt.%、20wt.%、又はそれを超える)の量で溶媒へ加えられる、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の方法により形成される、低PVOH PVB樹脂。
【請求項15】
請求項14に記載の低PVOH PVB樹脂を含む、樹脂層。
【請求項16】
請求項15に記載の樹脂層を含む、中間層。
【請求項17】
第2の樹脂層をさらに含む、又は樹脂層がコア層であり、中間層が第2の樹脂層及び第3の樹脂層をさらに含み、コア層が第2の樹脂層と第3の樹脂層の間にある、請求項16に記載の中間層。
【請求項18】
請求項14に記載の低PVOH PVB樹脂を含む、組成物。
【請求項19】
第1の基材、請求項16又は17に記載の中間層、及び第2の基材を含む積層体であって、中間層が第1の基材と第2の基材の間にある、積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001]本発明は、ポリ(ビニルブチラール)樹脂製造の分野に関し、具体的には本発明は、ポストインダストリアル及びポストコンシューマーのポリ(ビニルブチラール)を回収する方法を含む、ポストインダストリアル及びポストコンシューマーのポリ(ビニルブチラール)の回収及び再使用の分野にある。
【背景技術】
【0002】
[002]自動車用フロントガラス及び建築用安全ガラスなどの積層ガラスパネルは、典型的には、中間層として知られる間に挟まれた可塑化ポリマー層と共に積層された2枚のガラスで構成される。ポリ(ビニルブチラール)(「PVB」)は、典型的には自動車のフロントガラス及び建築用安全ガラスの大多数のポリマー中間層における主要成分をなす、一般的なポリマーである。ポリ(ビニルブチラール)樹脂は、典型的には溶融押出ししてシートとする前に、可塑剤と混合される。
【0003】
[003]近年では、多層ポリ(ビニルブチラール)中間層は、積層安全ガラスにおいて使用するためにますます市場で販売されている。多層中間層は、シートの中心にあるより軟質の層(「コア層」)の存在に起因して、向上した防音性を実現することができる。典型的には、コア層の組成はポリマーの量に対する可塑剤の量に関して外側の層(「スキン層」)の組成とは異なる。可塑剤含量は典型的には、スキン層におけるよりもコア層においてより高い。さらに、コア層におけるPVB樹脂の化学組成は、ヒドロキシル含量に関して、場合により残留ポリ(酢酸ビニル)含量に関しても、スキン層におけるPVB樹脂の化学組成とは異なる。
【0004】
[004]従来の多層中間層の1つの一般的な形態である、3層の防音中間層は、低い残留ヒドロキシル含量及び多量の従来の可塑剤を有する1種類のポリ(ビニルブチラール)(「PVB」)樹脂から成る軟質コア層と、著しく高い残留ヒドロキシル含量を有する2枚の硬質のスキン層とを含有する(例えば米国特許第5340654号、第5190826号、及び第7510771号を参照)。逆の構成を有する中間層、すなわち1枚の硬質の層が2枚のより軟質層の間に挟まれた中間層は、ガラスパネルの衝撃性能を改善することが分かっており、防音のために設計することもできる。
【0005】
[005]一般に、PVB樹脂は、天然ガスから又は石油精製プロセスから直接エタンを分離することから始まる合成プロセスによって製造される。次いでエタンを水蒸気分解してエテン(エチレン)を生成させ、これを酢酸原料と共に使用して酢酸ビニルモノマーを得る。酢酸ビニルモノマーをフリーラジカル重合により重合してポリ(酢酸ビニル)とする。ポリ(酢酸ビニル)を加水分解するか又はメタノール及びエタノールを使用したトランスエステル化によりポリ(ビニルアルコール)とし、次いでこれをブチルアルデヒドと反応させてポリ(ビニルブチラール)を得る。PVB樹脂のこの合成プロセスはエネルギー集約的であり、非再生可能原料の使用に依存する。したがって、ポストインダストリアル及びポストコンシューマーのリサイクルPVBに由来するリサイクルPVB樹脂の見通しは、未使用PVB樹脂よりも製造するのにあまりコストがかからずPVB製造の環境フットプリントを大幅に低減することができる、PVBの潜在的に価値の高い原料と当技術分野で長く考えられてきた。ポストインダストリアルの例となる原料としては、仕様外であるか、損傷したか、又はその他において使用不可能であるPVBロール、並びに損傷又は欠陥のあるポストインダストリアル積層ガラスに由来するPVBが挙げられる。ポストコンシューマーのリサイクルPVBの例となる原料としては、過去に使用された自動車用フロントガラス及び建築用安全ガラス、並びに他の過去に使用された消費者製品、例えば電力デバイス(例えば、太陽光発電デバイス)及び電子ディスプレイデバイスなどが挙げられる。
【0006】
[006]切り落とし及びオフグレードの均一な単層グレードのポリ(ビニルブチラール)シート製品は場合により、シート製造プロセスにおいて直接再使用することができる。しかし、ポストインダストリアル及びポストコンシューマーPVBは共に、一般には、様々な製品及び/又は異なる製造業者から得られるような異なるPVB組成の様々な混合物、並びに可塑剤、UV吸収剤、太陽光吸収剤などの添加剤を含む。その結果として、ポストインダストリアル及び/又はポストコンシューマーPVB混合物は、様々なポリビニルアルコール含量を含む様々なポリ(ビニルブチラール)組成のPVBを含むことがある。リサイクルPVBの混合物内のそのような組成の違いは、PVBから他の不純物が除去されているにもかかわらず、常にPVBの許容不可能な高いヘイズ及び/又は変色をもたらす。具体的には、著しく組成の異なるPVB材料が共に混合されると、化学的な不適合性が異なる屈折率を有する非混和性マイクロドメインに起因する濁った又は曇った材料をもたらし、これは自動車用フロントガラス及び建築用安全ガラスの用途における中間層としてのその再使用を大きく制限する。したがって、当技術分野における長年の切実な必要性にもかかわらず、リサイクルPVBに関連するいくつかの問題が存在する。
【0007】
[007]同様に、異なる層は典型的には互いにあまりに異なる組成を有するため、多層中間層は直接押出しプロセスにおけるリサイクル性を制限してきた。防音コア層は特に押出の際に2つのスキン層材料とあまり良く混ざらず、小さいが分離したコア材料のドメインを形成させ、これは一定レベルのヘイズを生じさせ、押出におけるその含量を制限する。これは多層シート片が原料供給に使用されたPVBシートを含有する積層ガラスにおいて特定のタイプのヘイズを可視化させ、このことは市場での販売に適さない又は特定の製品の一定の品質要件を満たさない劣った見栄えを有する製品をもたらす。この多層材料をリサイクルできないことは著しい経済的な損失である。そのため多層スクラップ、切り落とし部、及びリサイクルPVBの再使用を最大化することは、競合上の優位性があるだけでなく、環境保全型の実践でもある。
【0008】
[008]上記の点から、スキン層から得られるPVBが、新しい積層ガラスパネル内に組み込まれてもよいものなどの新しいPVB樹脂及び中間層を作るのに使用できる透明なポリマーとなるように、リサイクルPVB材料から可塑剤を除去できるだけでなく多層中間層のスキン層からコア層を分離することができる方法で、ポストインダストリアル及び/又はポストコンシューマーPVBを加工することが必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】[009]本発明の実施形態による、PVBを回収する方法のフローチャートの図である。
図2】[010]9wt.%(上図)、16wt.%(中図)、及び20wt.%(下図)の水を含むエタノール中のリサイクルPVB抽出物を示すGPECクロマトグラムの図である。
図3】[011]0wt.%(上図)、9.5wt.%(中図)、及び4.9wt.%(下図)の水を含むメタノール中のリサイクルPVB抽出物を示すGPECクロマトグラムの図である。
図4】[012]0wt.%(上図)、及び32wt.%の水(下図)を含むイソプロパノール中のリサイクルPVB抽出物を示すGPECクロマトグラムの図である。
図5】[013]リサイクルPVB樹脂の選択的溶解及びろ過による分離のプロセスの概略図である。
図6】[014]4wt.%の水を含むメタノールによる溶解後の懸濁液試料(上図)、出発混合物(中図)、及び最終ろ液試料(下図)のGPECクロマトグラムの図である。
図7】[015]20wt.%の水を含むエタノールによる溶解後の懸濁液試料(上図)、及び合わせたろ液(下図)のGPECクロマトグラムの図である。
図8】[016]リサイクルPVBフレークの選択的溶解、並びにろ過及び洗浄又は遠心分離及び洗浄による分離のプロセスの概略図である。
図9】[017]出発物質(エタノール中のリサイクルペレット)(上図)、遠心分離後の上清(中図)、及び主にコア樹脂を示す沈殿物質(下図)により、エタノール中のリサイクルPVBを示す、GPECクロマトグラムの図である。
図10】[018]遠心分離後の上清により、エタノール中のリサイクルPVBペレットを示す(上図)、及び遠心分離後の上清により、エタノール中のリサイクルPVBフレークを示す(下図)、GPECクロマトグラムの図である。
図11】[019]1回目の遠心分離後の上清により、エタノール中の10wt.%のリサイクルPVBペレットを示す(上図)、及び1回目の遠心分離後の上清によりエタノール中の5wt.%のリサイクルPVBペレットを示す(下図)、GPECクロマトグラムの図である。
図12】[020]1回目の遠心分離後の上清により(上図)、及び2回目の遠心分離後の上清により(下図)、エタノール中の5wt.%のリサイクルPVBペレットを示す、GPECクロマトグラムの図である。
図13】[021]1回目の遠心分離後の上清により(上図)、及び2回目の遠心分離後の上清により(下図)、エタノール中の10wt.%のリサイクルPVBペレットを示す、GPECクロマトグラムの図である。
図14】[022]ポリマー中間層に対向した一対のガラス板を含む積層ガラスパネルの概略図であり、ポリマー中間層はコア層に対向した一対のスキン層を有する3層を含む。
図15】[023]ポリマー中間層に対向した一対のガラス板を含む積層ガラスパネルの別の概略図であり、ポリマー中間層はくさび形を有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
[024]本発明の1つの態様は、ポリ(ビニルブチラール)(PVB)を回収する方法であって、(a)溶媒を再生システムへ供給するステップと;(b)リサイクルPVBを溶媒へ加え、撹拌してPVB混合物を形成させるステップであって、PVB混合物が、溶解した高PVOH PVB樹脂及び可塑剤を含む液体部分並びに低PVOH PVB固体を含む固体部分を含む、ステップと;(c)PVB混合物をろ過して低PVOH PVB固体を除去するステップとを含む、方法である。除去される低PVOH PVB固体は、残留高PVOH PVB樹脂及び可塑剤を含むことがある。この方法は、残留高PVOH PVB樹脂及び可塑剤を低PVOH PVB固体から分離するステップ(d)をさらに含んでもよい。
【0011】
[025]本発明の別の態様は、ポリ(ビニルブチラール)(PVB)を回収する方法であって、(a)溶媒を再生システムへ供給するステップと;(b)リサイクルPVBを溶媒へ加え、撹拌してPVB混合物を形成させるステップであって、PVB混合物が、溶解した高PVOH PVB樹脂及び可塑剤を含む液体部分並びに低PVOH PVB固体を含む固体部分を含む、ステップと;(c)PVB混合物をろ過して低PVOH PVB固体を除去するステップであって、除去された低PVOH固体が、残留高PVOH PVB樹脂及び可塑剤を含む、ステップとを含む、方法に関する。除去される低PVOH PVB固体は、残留高PVOH PVB樹脂及び可塑剤を含むことがある。この方法は、残留高PVOH PVB樹脂及び可塑剤を低PVOH PVB固体から分離するステップ(d)をさらに含んでもよい。低PVOHの固体は、リサイクルPVBに由来する20%未満(15%、10%、5%、4%、3%、2%、1%)の高PVOH PVB樹脂を含んでもよい。
【0012】
[026]本発明の一態様は、3層中間層のスキン層からポリ(ビニルブチラール)(PVB)を回収する方法に関する。この方法は、供給物中に十分に分散した組成を有する材料、例えばリサイクル多層PVB中間層から押出し及びペレット化された材料などにより適している。この方法は、溶媒を再生システムへ供給するステップを含む。さらなるステップは、リサイクルPVBを溶媒へ加え、特定の温度において指定の時間で撹拌してPVB混合物を形成させるステップを含む。低いPVOHレベルを有するPVB樹脂(本明細書において低PVOH PVB樹脂と呼ばれる)を固体として保持しながら、PVB混合物を撹拌して高いポリ(ビニルアルコール)(「PVOH」)レベルを有するPVB樹脂(本明細書において高PVOH PVB樹脂と呼ばれる)及び可塑剤を溶解させる。多くの場合、高PVOH樹脂は多層中間層のスキン層又は外層(複数可)に存在する。さらなるステップは、PVB混合物をろ過及び/又は場合により遠心分離して溶液から低PVOH PVB固体を除去するステップを含む。このステップは、高PVOH PVB(スキン)樹脂及び可塑剤が完全に溶解するまでなど、複数回繰り返されてもよい。さらなるステップは、蒸発、真空及び/若しくは熱、又は当業者に既知の他のプロセスなどのさらなる加工を溶液に施して、可塑剤を含有する回収高PVOH PVBポリマーを得るステップを含む。さらなるステップは、回収高PVOH PVBポリマーから可塑剤を分離するステップを含んでもよい。
【0013】
[027]本発明の別の態様は、回収ポリ(ビニルブチラール)(PVB)ポリマーに関する。回収PVBポリマーは、溶媒を再生システムへ供給するステップを含む方法により製造される。さらなるステップは、リサイクルPVBを溶媒へ加え、特定の温度において指定の時間で撹拌してPVB混合物を形成させるステップを含む。PVB混合物を撹拌して、低PVOH PVB(コア)樹脂を固体として保持しながら高PVOH PVB(スキン)樹脂及び可塑剤を溶解させる。さらなるステップは、PVB混合物をろ過及び/又は場合により遠心分離して溶液から低PVOH PVB固体を除去するステップを含む。このステップは、高PVOH PVB(スキン)樹脂及び可塑剤が完全に溶解するまでなど、複数回繰り返されてもよい。さらなるステップは、蒸発、真空及び/若しくは熱、又は当業者に既知の他のプロセスなどのさらなる加工を溶液に施して、可塑剤を含有する回収高PVOH PVBポリマーを得るステップを含む。さらなるステップは、回収高PVOH PVBポリマーから可塑剤を分離するステップを含んでもよい。
【0014】
[028]本発明の別の態様は、回収ポリ(ビニルブチラール)(PVB)を含む中間層を含む積層ガラスパネルに関する。回収PVBは、溶媒を再生システムへ供給するステップを含む方法により製造される。さらなるステップは、リサイクルPVBを溶媒へ加え特定の温度において指定の時間で撹拌してPVB混合物を形成させるステップを含む。低-PVOH PVB(コア)樹脂を固体として保持しながら、PVB混合物を撹拌して高PVOH PVB(スキン)樹脂及び可塑剤を溶解させる。さらなるステップは、PVB混合物をろ過及び/又は場合により遠心分離して溶液から低PVOH PVB固体を除去するステップを含む。このステップは、高PVOH PVB(スキン)樹脂及び可塑剤が完全に溶解するまでなど、複数回繰り返されてもよい。さらなるステップは、蒸発、真空及び/若しくは熱、又は当業者に既知の他のプロセスなどのさらなる加工を溶液に施して、可塑剤を含有する回収高PVOH PVBポリマーを得るステップを含む。さらなるステップは、回収高PVOH PVBポリマーから可塑剤を分離するステップを含んでもよい。
【0015】
[029]本発明の一態様は、3層中間層のスキン層からポリ(ビニルブチラール)(PVB)を回収する方法に関する。この方法は、非溶解材料が操作中に一定の形態及びサイズを維持し得る、粉砕多層中間層材料などの層状の形態にまだある供給物により適している。この方法は溶媒を再生システムへ供給するステップを含む。さらなるステップは、リサイクルPVBを溶媒へ加え、低PVOH PVB(コア)樹脂を固体として保持しながら、特定の温度において指定の時間で撹拌して高PVOH PVB(スキン)樹脂及び可塑剤を抽出するステップを含む。さらなるステップは、低PVOH PVB樹脂を粗いスクリーン上で収集するステップを含む。このステップは、高PVOH PVB(スキン)樹脂及び可塑剤が完全に抽出されるまでなど、複数回繰り返されてもよい。さらなるステップは、蒸発、真空及び/若しくは熱、又は当業者に既知の他のプロセスなどのさらなる加工を抽出物に施して、可塑剤を含有する回収高PVOH PVBポリマーを得るステップを含む。さらなるステップは、回収高PVOH PVBポリマーから可塑剤を分離するステップを含んでもよい。
【0016】
[030]本発明の別の態様は、回収ポリ(ビニルブチラール)(PVB)ポリマーに関する。回収PVBポリマーは、溶媒を再生システムへ供給するステップを含む方法により製造される。さらなるステップは、リサイクルPVBを溶媒へ加え、低PVOH PVB(コア)樹脂を固体として保持しながら、特定の温度において指定の時間で撹拌して高PVOH PVB(スキン)樹脂及び可塑剤を抽出するステップを含む。さらなるステップは、低PVOH PVB樹脂を粗いスクリーン上で収集するステップを含む。このステップは、高PVOH PVB(スキン)樹脂及び可塑剤が完全に抽出されるまでなど、複数回繰り返されてもよい。さらなるステップは、蒸発、真空及び/若しくは熱、又は当業者に既知の他のプロセスなどのさらなる加工を抽出物に施して、可塑剤を含有する回収高PVOH PVBポリマーを得るステップを含む。さらなるステップは、回収高PVOH PVBポリマーから可塑剤を分離するステップを含んでもよい。
【0017】
[031]本発明の別の態様は、回収ポリ(ビニルブチラール)(PVB)を含む中間層を含む積層ガラスパネルに関する。回収PVBは、溶媒を再生システムへ供給するステップを含む方法により製造される。さらなるステップは、リサイクルPVBを溶媒へ加え、低PVOH PVB(コア)樹脂を固体として保持しながら、特定の温度において指定の時間で撹拌して高PVOH PVB(スキン)樹脂及び可塑剤を抽出するステップを含む。さらなるステップは、低PVOH PVB樹脂を粗いスクリーン上で収集するステップを含む。このステップは、高PVOH PVB(スキン)樹脂及び可塑剤が完全に抽出されるまでなど、複数回繰り返されてもよい。さらなるステップは、蒸発、真空及び/若しくは熱、又は当業者に既知の他のプロセスなどのさらなる加工を抽出物に施して、可塑剤を含有する回収高PVOH PVBポリマーを得るステップを含む。さらなるステップは、回収高-PVOH PVBポリマーから可塑剤を分離するステップを含んでもよい。
【0018】
[032]別の態様は、再アセタール化プロセスなどにおいて回収高PVOH PVBポリマーをさらに加工するステップを含む。回収高PVOH PVBをさらに加工するステップは、回収PVBポリマーをアルコールなどの溶媒へ加え、特定の温度において特定の量の触媒及び特定の量のブチルアルデヒドと共に指定の時間で撹拌して、回収高PVOH PVBポリマーを溶解させ平衡化させてPVB溶液とするステップを含んでもよい。さらなるステップは、PVB溶液をろ過して非溶解固体を除去するステップを含む。さらなるステップは、PVB溶液を水酸化カリウム(KOH)などの塩基により中和するステップを含む。さらなるステップは、中和したPVB溶液に析出を生じさせ、水で洗浄して溶媒を除去してPVB固体を得るステップを含む。さらなるステップは、得られるPVB固体をろ過し、ろ過したPVB固体を乾燥させて回収PVBポリマーを得るステップを含む。実施形態において、PVBポリマー単一の組成であってもよい(すなわち、既知の又は均一の組成、例えば単一の原料に由来し同じ残留ヒドロキシルレベルなどの同じ又は同様の特性を有するものなど)。他の実施形態において、PVBポリマーは複数の又は未知の原料に由来する不均一の組成であってもよい。
【0019】
[033]別の態様は、単一のポリマー組成である回収高PVOH PVBポリマーをさらに加工するステップを含む。PVBポリマーが単一の(すなわち、既知の又は均一の)組成である場合、回収PVBポリマーを直接加工することができる。回収PVBのさらなる加工は、回収PVBポリマーをアルコールなどの溶媒へ加え、回収PVBポリマーが完全に溶解してPVB溶液を形成するまで特定の温度で撹拌する、さらなるステップを含んでもよい。さらなるステップは、PVB溶液をろ過して非溶解固体を除去するステップを含む。さらなるステップは、PVB溶液に析出を生じさせ、水で洗浄して溶媒を除去してPVB固体を得るステップを含む。さらなるステップは、得られるPVB固体をろ過し、ろ過したPVB固体を乾燥して回収PVBポリマーを得るステップを含み、回収PVBポリマーは単一の又は均一の組成である。あるいは、析出の代わりに、ろ過後のさらなるステップは、溶媒を蒸発させて回収PVBポリマーを得るステップを含み、回収PVBポリマーは単一又は均一の組成である。
【0020】
[034]別の態様は、再アセタール化プロセスなどにおいて、回収低PVOH PVBポリマーをさらに加工するステップを含む。回収低PVOH PVBのさらなる加工は、回収PVBポリマーをアルコールなどの溶媒へ加え、特定の温度において特定の量の触媒及び特定の量のブチルアルデヒドと共に指定の時間で撹拌して、回収低PVOH PVBポリマーを溶解させ平衡化させてPVB溶液とするステップを含んでもよい。さらなるステップは、PVB溶液をろ過して非溶解固体を除去するステップを含む。さらなるステップは、水酸化カリウム(KOH)などの塩基によりPVB溶液を中和するステップを含む。さらなるステップは、中和PVB溶液に析出を生じさせ、水で洗浄して溶媒を除去してPVB固体を得るステップを含む。さらなるステップは、得られるPVB固体をろ過し、ろ過したPVB固体を乾燥して回収PVBポリマーを得るステップを含む。実施形態において、PVBポリマーは単一の組成であってもよい(すなわち、既知の又は均一の組成、例えば単一の原料に由来し同じ残留ヒドロキシルレベルなどの同じ又は同様の特性を有するものなど)。他の実施形態において、PVBポリマーは複数の又は未知の原料に由来する不均一の組成であってもよい。
【0021】
[035]別の態様は、単一のポリマー組成である回収低PVOH PVBポリマーをさらに加工するステップを含む。PVBポリマーが単一の(すなわち、既知の又は均一の)組成である場合、回収PVBポリマーを直接加工することができる。回収PVBのさらなる加工は、回収PVBポリマーをアルコールなどの溶媒へ加え、回収PVBポリマーが完全に溶解してPVB溶液を形成するまで特定の温度で撹拌する、さらなるステップを含んでもよい。さらなるステップは、PVB溶液をろ過して非溶解固体を除去するステップを含む。さらなるステップは、PVB溶液に析出を生じさせ、水で洗浄して溶媒を除去してPVB固体を得るステップを含む。さらなるステップは、得られるPVB固体をろ過し、ろ過したPVB固体を乾燥して回収PVBポリマーを得るステップを含み、回収PVBポリマーは単一の又は均一の組成である。あるいは、析出の代わりに、ろ過後のさらなるステップは、溶媒を蒸発させて回収PVBポリマーを得るステップを含み、回収PVBポリマーは単一又は均一の組成である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[036]本発明の実施形態は、ポリ(ビニルブチラール)(「PVB」)を回収、リサイクル、及び/又は再使用する方法に向けられている。より詳細には、本発明の実施形態は、ポリマー中間層及び/若しくはポリマー中間層を含む積層ガラスパネルを形成するのに使用することができる、又は他の加工ステップで使用することができる、十分な量のPVBポリマーを得るために、ポストインダストリアル及び/又はポストコンシューマーのリサイクルPVBをリサイクルする方法に向けられている。より詳細には、図1は本発明の実施形態にしたがってPVBをリサイクルする例示的な方法を示す。この方法は、溶媒を再生システムへ供給するステップS1を含む。低PVOH PVBが溶媒(アルコール又はアルコール-水混合物など)中に可溶性とならないように、溶媒はアルコール、又は特定の量の水を含有するアルコール及び水の混合物であってもよい。溶媒又は溶媒混合物を撹拌する。この方法は、リサイクルPVB材料を溶媒へ加えてPVB混合物を形成させるさらなるステップS2を含んでもよい。このリサイクル材料は、フィルムの形態をとってもよく(これは場合により、下記でさらに説明されるように、切り刻むか、細断するか、又は切断して小片としてもよい)、又はペレット、若しくは出発多層フィルムから得られる任意の他の構造物に押出し成型されたフィルムの形態をとってもよい。リサイクルPVBは、少なくともいくらかの可塑剤を含んでもよい。さらなるステップS3は、PVB混合物を指定の時間で指定の温度において撹拌して、高PVOH PVB及び可塑剤が溶解されるか又はリサイクルPVBから抽出されることを可能にして、液体及び低PVOH PVB固体の混合物を形成させるステップを含んでもよい。さらなるステップS4は、PVB混合物をろ過して低PVOH PVB固体を除去するステップを含んでもよい。ステップS4のこのバージョンは、出発物質が押出ペレットの形態である場合により適切である。あるいは、ステップS4は、低PVOH 固体を含有する溶液をスクリーン(粗いスクリーンなど)に通して低PVOH PVB固体を除去するステップを含んでもよい。一般に、ステップS4におけるスクリーンの使用は、出発物質がペレット化された形態の代わりにフィルム形態である場合により適切である。
【0023】
[037]さらなるステップS5は、低PVOH PVB固体中の可塑剤及び高PVOH PVBのレベルを決定して、さらなる再生が必要とされるかどうかを決定するステップを含んでもよい。高PVOHの量が低PVOH PVB固体中の所望のレベルを超える場合、低PVOH PVB固体をステップS1へ戻しステップを繰り返すことによってこのプロセスを繰り返してもよい。
【0024】
[038]さらなるステップS6は、除去されたPVBポリマーである、高PVOH PVBポリマー若しくは低PVOH PVBポリマーのいずれか又はその両方を独立に加工又は処理するステップを含んでもよく、例えば低PVOH部分を新しい溶媒ですすいで高PVOH及び可塑剤を除去して分離をさらに改善する、又は熱、蒸発、及び/又は真空により、乾燥したPVBポリマー又は溶解したPVB溶液を形成させるステップなどを含んでもよい。ステップS6は場合により、乾燥したPVBポリマー又は溶解したPVB溶液のさらなる加工を含んでもよい。回収低PVOH PVBポリマーは可塑剤又は高PVOH PVBポリマーのかなりの部分を保持しないことになり、検出可能なレベルの可塑剤及び/又は高PVOH PVBポリマーを含有しない場合がある。上記のステップの間に回収された、得られるPVBポリマーである、高PVOH PVBポリマー若しくは低PVOHポリマーのいずれか又はその両方は独立に、さらに処理されてもよく、あるいはポリマー中間層及び/若しくはポリマー中間層を含む積層ガラスパネルの製造などの市販の製品において部分的に若しくは完全に使用されるのに、又は樹脂製造プロセスにおいて使用され再アセタール化されてPVB樹脂を形成するのに、十分な品質(例えば、十分な透明性及び/又は色)となり得る。回収PVBは、他の用途において、例えば回収PVBにより形成させることができる接着剤など、並びにフローリング、セラミック組成物、バインダー、コーティング、インク、分散液、及び他の用途においても使用することができる。
【0025】
[039]発明者らは、アルコール又はアルコール及び水の混合物を含む溶媒は、水が特定の量又はレベルで存在する場合(下記に説明されるように)、可塑剤及び高PVOH PVBのみを溶解し、このプロセスにおける低PVOH PVBの溶解は最小限であることを見出した。溶媒混合物中に多すぎる水が存在する場合、可塑剤のみが溶媒中に溶解することになり、溶媒混合物中に少なすぎる水が存在する場合(溶媒によって決まる)、3成分のすべて、すなわち高PVOH PVB、相当量の低PVOH PVB、及び可塑剤が溶媒中に溶解することになる。したがって、高PVOH PVB及び可塑剤のみが溶解し低PVOH PVB樹脂から分離されるように、溶媒は特定の最適な量の水と共に調製及び選択されなければならない。
【0026】
[040]アルコール-水溶媒混合物のための好ましいアルコールは、エタノール、メタノール、及びイソプロパノールである。アルコールがエタノールである場合、リサイクルPVBからの可塑剤及び高PVOH PVB樹脂の抽出における、エタノール/水溶媒混合物中の水の重量パーセント水の最適範囲は、約16~24重量%の水、又は約20~約24%、又は少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%以上、及び約24%以下、24%未満、23%未満、22%未満、又は約21%未満の水である。エタノール/水混合物中の水の量が約24重量%の水を超える場合、アルコール/水混合物中の高PVOH PVB樹脂の溶解性は非常に限定的となる。エタノール/水溶媒混合物中の水分含量が約20%未満である場合、低PVOH PVB樹脂は可溶性となり始め、水分含量が約16%未満である場合、低PVOH PVB樹脂は非常に可溶性となる。
【0027】
[041]同様に、メタノール及び水の溶媒混合物を使用する場合、水の範囲は、皆無かそれに近い水(すなわち、約0%)~約9.5重量%の水、又は水が全くないか、又は0%超、0.5%超、1.0%超、1.5%超、2.0%超、2.5%超、13.0%超、3.5%超、4.0%超、4.5%超、5.0%超、5.5%超、又は約9.5%未満、9.0%未満、約8.5%未満、8.0%未満、約7.5%未満、7.0%未満、約6.5%未満、6.0%未満、又は約4.0~約6.0%である。メタノール/水混合物中の水の量が約9.5重量%超の水である場合、アルコール/水混合物中の高PVOH PVBの溶解性は非常に低くなるので溶媒はもはや樹脂の分離に有効ではなくなる。メタノール/水溶媒混合物中の水分含量が約4.0%未満である場合、低PVOH PVB樹脂は可溶性となり始め、水分レベルが0%近くまで減少すると、低PVOH PVB樹脂はますます可溶性となる。
【0028】
[042]最後に、水及びイソプロパノールの溶媒混合物を使用することができるが、エタノール及びメタノール溶媒系の両方の抽出効率及び収率と比較すると、溶液中のPVBの溶解性は低く、高PVOH PVB樹脂は可塑剤と比較して溶媒中に十分に抽出されない。この理由により、イソプロパノールはこのプロセスにおいてエタノール及びメタノールなどのアルコールよりも使用にあまり適さないアルコールであるが、イソプロパノールを使用する場合、溶媒混合物中のより高いレベル又は量の水が必要となり得る。
【0029】
[043]使用される水の量は特定の範囲内と記載されるが、ここで及び下記の実施例の多くに記載される各溶媒混合物中の特定の量の水は、PVB層(すなわち、スキン層及びコア層)における特定のレベルのPVOHに適している。例えば、一部のリサイクルPVB材料は、高PVOH ポリマーが約18~20重量パーセント(wt.%)の残留PVOHレベルを有するスキン樹脂、及び低PVOHポリマーが約9~11wt.%の残留PVOHレベルを有するコア樹脂に含有される。PVB混合物の組成に応じて、成分の最適な分離を確実にするために溶媒混合物中の水の量を増加又は減少させる必要がある場合がある。
【0030】
[044]ヘイズは散乱される透過光のパーセンテージであり、そのためその方向は入射ビームの方向から指定の角度よりも大きくそれる。当業者に既知のヘイズメーター又は分光光度計を使用して、光源Cを使用する2度の観測角度におけるASTM D1003-手順Bに準拠して、ヘイズを測定することができる。いくつかの実施形態において、ガラスパネル、ポリマー層、及び/又は本明細書に記載の回収高PVOH PVBを組み込む中間層は、5パーセント未満、約4パーセント未満、約3パーセント未満、約2パーセント未満、約1未満、又は約0.5パーセント未満のヘイズ値を有してもよい。
【0031】
[045]ステップS2の再生システムに供給されるリサイクルPVBは、ポストインダストリアル及び/又はポストコンシューマーのリサイクルPVBを含んでもよい。そのようなポストインダストリアルのリサイクルPVBは、仕様外であるか、損傷したか、又はその他において使用不可能であるPVBロールを含んでもよく、一方そのようなポストコンシューマーのリサイクルPVBは、過去に製造された及び/又は使用済みの自動車用フロントガラス、及び建築用安全ガラス、並びに端部又は他の切り落とし材料から回収された材料を含んでもよい。リサイクルPVB材料は、電力デバイス(例えば、太陽光発電デバイス)、電子ディスプレイデバイスなどの他の消費者製品、並びに他の供給源からのスクラップ又はポストコンシューマー材料も含んでもよい。
【0032】
[046]リサイクルPVB材料は、様々な量のポリビニルアルコール(「PVOH」)などの様々なPVB組成、並びに様々な量及び種類の可塑剤及び他の添加剤を有してもよい。本明細書で使用する、低-PVOH PVBポリマーは、約8wt.%~15wt.%、又は少なくとも約8wt.%、少なくとも約9wt.%、少なくとも約10wt.%、少なくとも約11wt.%、少なくとも約12wt.%、少なくとも約13wt.%、又は少なくとも約14wt.%、又は約15wt.%以下、又は約15wt.%未満、約14wt.%未満、約13wt.%未満、又は約12wt.%未満の残留PVOH含量を有するPVBを指し、一方高PVOH PVBポリマーは、約17wt.%~27wt.%、又は少なくとも約17wt.%、少なくとも約18wt.%、少なくとも約19wt.%、少なくとも約20wt.%、少なくとも約21wt.%、少なくとも約22wt.%、少なくとも約23wt.%、又は少なくとも約24wt.%、又は約27wt.%以下、又は約27wt.%未満、約26wt.%未満、約25wt.%未満、約24wt.%未満、約23wt.%、又は約22wt.%未満の残留PVOH含量を有するPVBを指すが、必要に応じて又は利用可能な場合は、他の量を使用してもよい。さらに、リサイクルPVB中には複数の異なるPVB樹脂が存在してもよい。例えば、リサイクルPVBの第1の部分は約9~15wt.%のPVOH量を有してもよく、リサイクルPVBの第2の部分は約15~20wt.%のPVOH量を有してもよく、リサイクルPVBの第3の部分は約20~27wt.%のPVOH量を有してもよい。一般に、リサイクルPVBは、約8~約27wt.%、又はそれを超えるPVOHの量を有してもよいが、出発物質に応じて他の量も可能である。これらのPVOH量は例示の目的のみのためのものであり、使用される材料及び材料の供給源に応じて、PVOH量の他の範囲(又は異なるPVOH範囲)も可能である。
【0033】
[047]リサイクルPVBは、ある量の可塑剤(又は出発リサイクルPVBに応じて異なる量の可塑剤)を含んでもよく、これは一般にPVBを軟らかくするため及び/又はPVBのガラス転移温度Tを下げるために使用される。考えられる可塑剤としては、限定はされないが、多塩基酸のエステル、多価アルコール、トリエチレングリコールジ-(2-エチルブチレート)、トリエチレングリコールジ-(2-エチルヘキサノエート)(「3-GEH」として知られる)、トリエチレングリコールジヘプタノエート、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、ジヘキシルアジペート、ジオクチルアジペート、ヘキシルシクロヘキシルアジペート、ヘプチルアジペート及びノニルアジペートの混合物、ジイソノニルアジペート、ヘプチルノニルアジペート、ジブチルセバケート、及び高分子可塑剤、例えば油変性セバシン酸アルキド、並びにホスフェート及びアジペートの混合物など、並びにそれらの混合物及び組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態において、3-GEHが特に好ましい。適切な可塑剤の他の例としては、限定はされないが、テトラエチレングリコールジ(2-エチルヘキサノエート)(「4-GEH」)、ジ(ブトキシエチル)アジペート、及びビス(2-(2-ブトキシエトキシ)エチル)アジペート、ジオクチルセバケート、ノニルフェニルテトラエチレングリコール、及びそれらの混合物を挙げることができる。一般に、PVB材料(例えば、樹脂又はスクラップ)の可塑剤含量は、樹脂100部に対する部(「phr」)として、重量/重量ベースで測定されることになる。例えば、30グラムの可塑剤が100グラムのポリマー樹脂に加えられる場合、得られる可塑化ポリマーの可塑剤含量は30phrとなる。リサイクルPVB材料は様々な量及び/又は種類の可塑剤を有してもよい。
【0034】
[048]リサイクルPVB材料を切断する、切り刻む、及び/又は細断してPVB材料の小径(例えば2~20mmなどであるが、装置及び他の要因に応じて最大で1cmまでを含めた他のサイズを使用できる)のチップ、顆粒、ペレット、又はフレークを形成させてもよい(チップ、顆粒、ペレット、フレークなどは本明細書において「粉砕PVB材料」と呼ばれる)。粉砕PVB材料、例えばPVB材料のフレーク、チップ、及び/若しくはペレットなどを互いに組み合わせて混合組成物(例えば、混合された量のPVOH又は他の要素を有する)を形成させてもよく、又は1つの原料に由来する粉砕PVB(既知の組成を有するPVBロールなど)を単独で使用してもよい。そのような粉砕PVB材料を再生システムに供給することができ、これは単独のバッチ反応器リサイクルシステム又は連続再生リサイクルシステムの形態であってもよい。例えば、単独のバッチ反応器は、連続撹拌槽反応器(CSTR)又は別の同様の反応器、例えば対向流スクリュープレス抽出器又は当業者に既知の他の装置などの形態の槽を含んでもよい。本明細書に記載の方法のステップの1つ又は複数(又はすべて)は単独のバッチ反応器内で行われてもよい。あるいは、連続再生システムを使用してもよく、連続再生システムは複数の相互に連結した槽(例えばCSTR)又は管状の配置にある複数の区画を含む。連続再生システムにおいて、ステップの各々は独立に、複数の槽又は管状の配置にある複数の区画のうちの1つ又は複数において行われてもよい。連続再生システムの有益としては、単独のバッチ反応器と比較してより高い処理量及びより高い効率を挙げることができる。
【0035】
[049]ステップS1を参照すると、再生システム(例えば、単独の、バッチ反応器リサイクルシステム又は連続再生リサイクルシステム)に加えられる溶媒は、リサイクルPVB材料の成分を選択的に溶解させ溶液又は混合物を形成させるのに十分な様々な溶媒を含んでもよい。適切な溶媒の例としては、リサイクルPVBの1つ又は複数の成分(例えば可塑剤及びPVB樹脂のうちの1つ又は複数など、並びに他の添加剤、例えばUV吸収剤、太陽光、又は赤外線吸収剤、抗酸化剤など)を選択的に溶解させるのに十分な量の水を場合により有する、1つ又は複数のアルコール、例えば、エタノール、メタノール、又はイソプロパノールの混合物を挙げることができる。溶媒混合物は、溶解した高PVOH樹脂、溶媒、及び可塑剤(及び他の材料及び不純物)から低PVOH PVB樹脂をろ過することができるPVB溶液を形成させるために、リサイクルPVB材料の高PVOH PVB樹脂(及び可塑剤)を選択的に溶解させるように構成されている。分離又は除去された低PVOH PVB固体は、残留高PVOH PVB樹脂及び可塑剤を含む場合がある。この方法は、低PVOH PVB固体から残留高PVOH PVB樹脂及び可塑剤を分離するステップ(d)をさらに含んでもよい。
【0036】
[050]ステップS2を参照すると、リサイクルPVBを再生システム(及び溶媒)へ加え、撹拌してPVB混合物を形成させる。
【0037】
[051]ステップS3を参照すると、PVB混合物を一定時間撹拌してもよい。撹拌の時間は、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間以上であってもよいが、他の時間が適切である場合がある。混合物は室温(約22~23℃)で撹拌されてもよく、又は混合物は、室温を超える温度などまで、例えば少なくとも約5℃、少なくとも10℃、少なくとも15℃、少なくとも20℃、少なくとも25℃、少なくとも30℃、少なくとも35℃、少なくとも40℃、少なくとも45℃、少なくとも50℃、少なくとも55℃、又は少なくとも約60℃以上などの温度まで加熱されてもよい。撹拌の時間及び温度は、リサイクルPVBから可塑剤を抽出するのに有効であるように選択される。いくつかの態様において、撹拌温度は約10℃~約30℃、又は約15℃~約25℃である。他の態様において、撹拌温度は約5℃~約60℃、約5℃~約50℃、約5℃~約40℃、約5℃~約30℃、5℃~約20℃、又は約5℃~約10℃である。
【0038】
[052]ステップS4を参照すると、このステップはPVB混合物をろ過して低PVOH PVBポリマー固体を混合物から除去するステップを含む。いくつかの実施形態において、フィルターは、スクリーン、メッシュ、布、又は他の同様のろ過要素を含んでもよい。ステップS4に関して、溶媒、可塑剤、及び高PVOH PVB樹脂(及び他の不純物)をPVB混合物から除去して回収低PVOH PVBポリマーを得ることができる。下記により詳細に述べるように、最初のろ過ステップ後に、高PVOH PVBは相当なレベルの最初の可塑剤及び低PVOH PVBを依然として保持している場合がある。そのため低PVOH PVBを再生プロセスのステップS1又はS2へ戻して可塑剤及び高PVOH PVB樹脂をさらに溶解させる(及び抽出する)ことが必要な場合がある。プロセスの出発点に戻るのは1回又は複数回行われてもよく、実施形態において、プロセスの出発点への戻りは可塑剤及び高PVOH PVB樹脂が完全に除去されるか又は検出不可能なレベルまで除去されるまで繰り返される。回収PVBはいくらかの残留する可塑剤及び高PVOH PVBを有してもよく(必要に応じて)、又は、複数回の繰り返し後に(下記にさらに説明する)、検出可能なレベルの可塑剤及び高PVOH PVBが存在しなくてもよく、又は非常に少量の可塑剤及び高PVOH PVBが存在してもよい(すなわち、回収PVBが、最初のリサイクルPVBの一部として含まれる低レベルの最初の可塑剤及び高PVOH PVBを保持してもよい)。
【0039】
[053]ステップS5を参照すると、回収PVB固体を分析して回収低PVOH PVB固体中の残留する可塑剤及び高PVOH PVB樹脂の量を決定することができ、可塑剤及び高PVOH PVB樹脂のレベルが高すぎる場合(すなわち、検出不可能なレベルを超える又は所望のレベルを超える)、回収低PVOH PVB固体をステップS1後の再生システムへ戻してもよい(ここで新しい溶媒が加えられるか又は再生システム中に存在する)。
【0040】
[054]ステップS6を参照すると、高PVOH PVBポリマー、低PVOHポリマーのいずれか、又はその両方は独立に、アルコール及び水の乾燥、蒸発、又は真空による除去などにより溶媒(アルコール及び水)が除去されてもよい。例えば、回収PVB固体(高PVOH、低PVOH、又はその両方)は、オーブンなどにおいて特定の温度で一定時間乾燥させて乾燥PVBポリマーを形成させてもよい。乾燥の時間は、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間、少なくとも12時間以上であってもよい。乾燥の温度は、少なくとも約20℃、少なくとも約25℃、少なくとも約30℃、少なくとも約35℃、少なくとも約40℃、少なくとも約45℃、少なくとも約50℃、少なくとも約55℃、少なくとも約60℃、少なくとも約65℃、少なくとも約70℃以上であってもよい。乾燥のための時間及び温度は、水及びアルコールを乾燥又は除去するために使用される方法に応じて様々であってもよい。
【0041】
[055]別の実施形態において、回収PVB固体である、高PVOH PVBポリマー、低PVOHポリマーのいずれか、又はその両方は独立に、乾燥又は溶媒の除去を必要とせずにさらに加工するために、アルコールなどの溶媒に溶解させてもよい。回収PVBポリマーが既知の又は均一なポリマーである場合、回収PVBポリマーさらに直接加工することができる。回収PVBのさらなる加工は、回収PVBポリマーをアルコールなどの溶媒へ加え、回収PVBポリマーが完全に溶解してPVB溶液を形成するまで特定の温度で撹拌するさらなるステップを含んでもよい。さらなるステップは、PVB溶液をろ過して非溶解固体を除去するステップを含む。さらなるステップは、PVB溶液に析出を生じさせ、水で洗浄して溶媒を除去してPVB固体を得るステップを含む。さらなるステップは、得られるPVB固体をろ過し、ろ過したPVB固体を乾燥させて回収PVBポリマーを得るステップを含み、回収PVBポリマーは単一の又は均一の組成である。あるいは、析出の代わりに、ろ過後のさらなるステップは、溶媒を蒸発させて回収PVBポリマーを得るステップを含み、回収PVBポリマーは単一又は均一の組成である。
【0042】
[056]回収PVBである、高PVOH PVBポリマー、低PVOHポリマーのいずれか、又はその両方が独立に、混合されているか又は不均一な組成である場合、回収PVBのさらなる加工は、回収PVBポリマーをアルコールなどの溶媒へ加え、特定の温度において特定の量の触媒及び特定の量のブチルアルデヒドと共に指定の時間で撹拌して、回収PVBポリマーを溶解させ平衡化させて指定のPVOH%を有する単一のPVB溶液とするステップを含んでもよい。さらなるステップは、PVB溶液をろ過して非溶解固体を除去するステップを含む。さらなるステップは、水酸化カリウム(KOH)などの塩基によりPVB溶液を中和して中和PVB溶液を形成させるステップを含む。さらなるステップは、中和PVB溶液に析出を生じさせ、水で洗浄して溶媒を除去してPVB固体を得るステップを含む。さらなるステップは、得られるPVB固体をろ過し、ろ過したPVB固体を乾燥して回収PVBポリマーを得るステップを含む。
【0043】
[057]回収高PVOH PVBポリマーを場合により押出プロセス(例えば、押出機又は共押出機による)において使用してPVB中間層及び/又はPVB中間層を含む積層ガラスパネルを形成させてもよい。得られる回収高PVOH PVBポリマーは、特にポストインダストリアルのリサイクル材料の場合、ポリマー中間層及び/又はポリマー中間層を含む積層ガラスパネルの製造などの、市販品において使用されるのに十分な品質及び/又は透明性であり得る。
【0044】
[058]回収低PVOH PVBポリマーもまた、場合により押出プロセス(例えば、押出機又は共押出機による)において使用してPVB中間層及び/又はPVB中間層を含む積層ガラスパネルを形成させてもよい。しかし、特に、回収低PVOH PVBポリマーは、リサイクルPVBに最初に含まれていた可塑剤を非常にわずかしか保持しない又は全く保持すらしない場合がある。例えば、いくつかの実施形態において、回収低PVOH PVBポリマーは、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、約1.5%以下、約0.5%以下、又は約0%(又は検出不可能であるレベル)の、最初のリサイクルPVBに含まれる可塑剤を保持し得る。したがって、押出又は他のさらなる加工の前にさらなる可塑剤を加える必要がある場合がある。
【0045】
[059]特定の実施形態において、上記のステップS1~S6に対して変更、追加、及び/又は削除を行ってもよい。さらに、前述のように、回収PVBポリマー(高PVOH PVB及び/又は低PVOH PVB)にさらなる処理を行ってもよい。
【0046】
[060]さらに、上記のステップに加えて、遠心分離を使用して低PVOH PVB樹脂を溶液から分離することもできる。最初に、混合物中の2つの樹脂のうち1つのみを溶解させる溶媒系(上記に説明されるような)により中間層を処理し、次いで得られる懸濁液に遠心分離を施して分離を促進する。1つの成分(高PVOH又は低PVOH PVB樹脂など)の完全な又は部分的な除去は、リサイクルにおけるヘイズの軽減に役立つことがある。
【0047】
[061]上記の回収方法のステップを使用して回収されたPVBを使用して、樹脂、樹脂層、ポリマー中間層、及び/又はポリマー中間層を含む積層ガラスパネルを形成させることができる。本明細書において使用される「ポリマー中間層シート」、「中間層」、「ポリマー層」、及び「ポリマー溶融シート」という用語は、単層シート又は多層中間層を示してもよい。「単層シート」は、その名称が暗に意味するように、1層として押出しされる単独のポリマー層である。多層中間層は他方で、別々に押出しされた層、共押出層、又は別々に押出しされた層及び共押出層の任意の組み合わせを含めた、複数の層を含んでもよい。したがって、多層中間層は、例えば互いに組み合わされた2つ以上の単層シート(「複層シート」);共に共押出しされた2つ以上の層(「共押出シート」);互いに組み合わされた2つ以上の共押出シート;少なくとも1つの単層シート及び少なくとも1つの共押出シートの組み合わせ;並びに少なくとも1つの複層シート及び少なくとも1つの共押出シートの組み合わせを含む可能性がある。本発明の様々な実施形態において、多層中間層は互いに直接接触して配置された少なくとも2つのポリマー層(例えば、単層又は共押出しされた多層)を含み、各層はポリマー樹脂を含む。本明細書において使用される、「樹脂」という用語は、酸触媒反応及びその後のポリマー前駆体の中和から生じる混合物から除去されるポリマー成分(例えば、PVB)を指す。一般に、可塑剤、例えば上記でさらに検討されたものなどを樹脂に加えて、可塑化ポリマーが得られる。さらに、樹脂はポリマー及び可塑剤に加えて、例えばアセテート、塩、及びアルコールを含めた他の成分を有してもよい。
【0048】
[062]上記のリサイクルのステップを行って少なくともいくらかの固有の可塑剤(例えば、3~5phrの可塑剤)を有する回収PVBを得ることができるが、PVBを使用してポリマー中間層及び/又はポリマー中間層を含む積層ガラスパネルを形成させる前に、実施形態はさらなる可塑剤をPVBへ加えることを必要とする場合がある。例えば、いくつかの実施形態において、ポリマー中間層及び/又は積層ガラスパネルが製造される前に、25~50phr、25~45phr、30~40phr、又は33~35phrのさらなる量を得られるPVBに加えてもよい。他の実施形態において、ポリマー中間層及び/又は積層ガラスパネルが製造される前に、25phr未満、又は20未満phr、又はそれよりも少ない、又は50phrを超える、又は55phrを超える、又は60phrを超える、又は65phrを超える、又は70phrを超える、又はそれよりも多い、さらなる量を得られるPVBに加えてもよい。所望の特性及び用途に応じて、より高い又は低い量の可塑剤を所望の通りに加えてもよい。高PVOH PVB樹脂において、さらなる樹脂を加えて樹脂中の可塑剤のレベルを制御又は減少させてもよい。
【0049】
[063]回収PVB樹脂(複数可)は典型的には、低角レーザー光散乱を使用したサイズ排除クロマトグラフィーにより測定される、30,000ダルトンを超える、又は500,000ダルトン未満、又は約30,000~約500,000ダルトン、又は約500,000~約500,000ダルトン、又は100,000~約425,000ダルトンの分子量を有する。本明細書で使用する「分子量」という用語は、重量平均分子量を意味する。
【0050】
[064]十分な量の可塑剤が回収低PVOH PVB樹脂へ加えられると、あるいはさらなる樹脂が高PVOH PVB樹脂へ加えられると(必要に応じて)、多層パネル(ガラス積層体など)において使用することが可能であるポリマー中間層シートの製造の業者に既知の任意の適切なプロセスにより、ポリマー中間層シートを製造することができると考えられる。例えば、溶液流延、圧縮成型、射出成形、溶融押出、メルトブロー、又は当業者に既知のポリマー中間層シートを生産及び製造するための任意の他の手段によって、ポリマー中間層シートを形成することができると考えられる。さらに、複数のポリマー中間層が利用される実施形態では、これらの複数のポリマー中間層を、共押出、インフレーションフィルム、浸漬塗工、溶液コーティング、ブレード、パドル、エアナイフ、印刷、粉末コーティング、スプレーコーティング、又は当業者に既知の他の方法によって形成させることができると考えられる。当業者に既知のポリマー中間層シートを生産するためのあらゆる方法が、本明細書に記載のポリマー中間層シートを生産するための可能な方法として考えられるが、この応用は押出及び/又は共押出プロセスによって生産されるポリマー中間層シートに焦点を当てることになる。
【0051】
[065]押出成形プロセスでは、上記の樹脂及び可塑剤のいずれかを含む熱可塑性物質樹脂及び可塑剤は、一般には予備混合され、押出デバイスに供給される。着色剤及びUV阻害剤などの添加剤(液体、粉末、又はペレットの形態)を使用してもよく、押出デバイスに到達する前に熱可塑性物質樹脂又は可塑剤に混合することができる。これらの添加剤は、ポリマー中間層シートの特定の特性及び最終的な多層ガラスパネル製品におけるその性能を向上させるために、熱可塑性ポリマー樹脂、ひいては得られるポリマー中間層シートに組み込まれる。
【0052】
[066]押出デバイスでは、樹脂、可塑剤、及び上記の他の添加剤のいずれかを含む、熱可塑性原料及び可塑剤の粒子をさらに混合及び溶融させ、一般に温度及び組成が均一である溶融物が得られる。本発明の実施形態は、およそ200℃である溶融温度を提供し得る。溶融物が押出デバイスの末端に到達すると、溶融物は押出ダイに押し出される。押出ダイは、最終的なポリマー中間層シート製品にそのプロファイルを与える、押出デバイスの部材である。ダイは一般にはリップにより画定される開口部を有し、これは1つの寸法が垂直の寸法よりも実質的に大きい。一般にダイは、溶融物がダイから生じる円筒形のプロファイルから製品の最終プロファイル形状へと均一に流れるように設計されている。連続プロファイルが存在する限り、ダイによって複数の形状を最終ポリマー中間層シートに与えることができる。一般に、最も基本的な意味において、押出成形は固定された断面プロファイルの物体を作るために使用される方法である。これは最終製品のための所望の断面のダイを通して材料を押す又は引くことにより実現される。
【0053】
[067]いくつかの実施形態において、共押出法を利用してもよい。共押出は、多層のポリマー材料が同時に押し出される方法である。一般に、このタイプの押出は2つ以上の押出機を利用して、一定体積の処理量の、異なる粘度又は他の特性の異なる熱可塑性溶融物を溶融させ共押出ダイを通して送り出して所望の最終形態とする。例えば、本発明の多層中間層(例えば、3層の中間層の形態)は好ましくは、第1のダイマニホールド、第2のダイマニホールド、及び第3のダイマニホールドを含むマルチマニホールド共押出デバイスを使用して共押出されてもよい。共押出デバイスはポリマー溶融物を各マニホールドからダイを通し開口部から同時に押出しすることにより作動させることができ、多層中間層は3つの個々のポリマー層の複合材として押出しされる。コア層がスキン層の間に挟まれている3層の中間層の製造をもたらすために、ポリマー溶融物はコア層がスキン層の間に配置されるようにダイを通って流れ得る。ダイの開口部は、開口部の両側に位置する一対のリップを含んでもよい。ポリマー溶融物の配置を考慮すると、スキン層はリップと接触し得る。ともかく、中間層厚さはダイ開口部に位置するダイリップ間の距離を調整することにより変化させることができる。
【0054】
[068]多くの場合、3層を有するポリマー中間層は積層ガラスパネルの製造において使用されることになる。例えば、この用途のいくつかの実施形態において、軟質層の向上した音響減衰特性を硬質/堅質層の機械的強度と組み合わせて多層中間層を作る。これらの実施形態において、中央の軟質層は2つの硬質/堅質な外層の間に挟まれている。(硬質)//(軟質)//(硬質)のこの構成は、取り扱いが容易であり、従来のラミネーション法において使用でき、比較的薄く軽い層により構築できる、多層中間層を作り出す。軟質のコア層は一般に、比較的硬質のスキン層よりも、低い残留ヒドロキシル含量、高い可塑剤含量、及び/又は低いガラス転移温度により特徴づけられる。
【0055】
[069]以下は、多層ガラスパネルが上記のプロセスにしたがって形成される中間層と組み合わせて一般に生産される方法の簡略化した説明を提示する。最初に、上記のように、マルチマニホールド共押出デバイスを使用して多層中間層を共押出することができる。デバイスは、各マニホールドから押出開口部に向かってポリマー溶融物を同時に押出すことにより作動する。押出開口部のダイリップの特性(例えば、温度及び/又は開口部の寸法)を調整することにより、層の特性を変化させることができる。形成されたら、中間層シートを2枚のガラス基材の間に置くことができ、余分な中間層を縁から切り落とし、組立体を作る。複数のポリマー中間層シート又は多層を有するポリマー中間層シート(又はその両方の組み合わせ)が2枚のガラス基材の内側に置かれ、複数のポリマー中間層を有する多層ガラスパネルが作られることは珍しいことである。次いで、当業者に既知の適用可能なプロセス又は方法により;例えば、ニップローラー、真空バッグ、又は別の脱気メカニズムにより、組立体から空気を除去する。さらに、中間層は当業者に既知の任意の方法により基材に部分的に圧着される。最終ステップにおいて、最終的な一体的構造を形成するために、高温及び高圧のラミネーションプロセス、又は限定はされないがオートクレーブ処理などの、当業者に既知の任意の他の方法により、この予備的な接合をより永久的にする。
【0056】
[070]上記を考慮して、多層パネルはガラス、又は他の適用可能な基材の2枚のシートを含み、ポリマー中間層シート(1つ又は複数)がその間に挟まれている。多層パネルは一般に、少なくとも1つのポリマー中間層シートを2枚の基材の間に置いて組立体を作ることにより生産される。図14は、多層中間層が間に挟まれている一対のガラスシート12を含む多層パネル10を示す。多層中間層は、3つの個々のポリマー中間層シートを有する3層の中間層として構成され、軟質コア層14及びコア層14の両側に配置された2枚の比較的硬質なスキン層16を含む。そのような3層を組み込むそのようなガラスパネルは、上記で論じたように、軟質のコア層によりもたらされる減音に起因するより優れた音響特性を有し得る。
【0057】
[071]いくつかの実施形態において、中間層(例えば、コア層14及びスキン層16)は一般に中間層の長さに関して一定の又は均一の厚さを有する(例えば図14を参照)。しかし、代替的実施形態において、図15に示すように、中間層は不均一な厚さの少なくとも1つの領域を有してもよい。例えば、コア層14及びスキン層16を含む中間層は、中間層の厚さが中間層の長さに関して変化する(例えば直鎖的に)ように、くさび形であってもよい。いくつかのそのような実施形態において、中間層の厚さはコア層14の厚さの変化に起因して変化してもよい(すなわち、スキン層16は一般には一定の厚さを有する)。あるいは、中間層の厚さはスキン層16の厚さの変化に起因して変化してもよい(すなわち、コア層14は一般に一定の厚さを有する)。さらなる代替的形態において、中間層の厚さはコア層14及びスキン層16の両方の厚さの変化に起因して変化してもよい。さらなる実施形態において(図示せず)、不均一な厚さの少なくとも1つの領域を有する中間層、例えばくさび形の中間層などを維持しながら、1つ又は複数の層は中間層の幅方向において厚さが増加してもよく、一方で1つ又は複数の層は同時に厚さが減少する。そのような3層を組み込むそのようなガラスパネルは、上記で論じたように、軟質のコア層によりもたらされる減音に起因するより優れた音響特性を有し得る。さらに、3層の不均一な厚さに起因して、ガラスパネルは望ましくない画像投影欠陥を低減させる(例えば、ゴースト像を低減する)ことによりヘッドアップディスプレイ(「HUD」)での使用に有益な特性をもたらすことができる。
【0058】
[072]現在のところ好ましい実施形態であると考えられるものを含めた、特定の実施形態の説明と併せて開示されるが、詳細な説明は例示的なものであることを意図しており、本開示の範囲を限定すると理解されるべきではない。当業者であれば理解するように、本明細書において詳細に説明されるもの以外の実施形態は本発明により包含される。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、説明される実施形態の修正及び変更を行うことができる。
【0059】
[073]本開示の任意の単独成分について示される範囲、値、又は特性のいずれかは、適合する場合、開示の他の成分のいずれかについて示される任意の範囲、値、又は特性と交換可能に使用して、本明細書の全体を通して示されるように、成分の各々について規定の値を有する実施形態をなすことができることがさらに理解されるであろう。例えば、残留ヒドロキシル含量について示される範囲のいずれかに加えて示される範囲のいずれかにある可塑剤含量を含むポリマー層を形成して、必要に応じて、本発明の範囲内であるがリストアップするのが煩雑となる多くの変更を行うことができる。
【実施例
【0060】
材料
[074]以下の材料を下記の実施例で使用した。
【0061】
[075]PVBフレーク(PVBシートとも呼ばれる)は、より小さいフレーク又は小片に切断された3層PVBシートである。使用されるPVBフレークは、樹脂のみを基準として(フレーク又はシート中の可塑剤を除く)約10~15wt.%の低PVOH PVB樹脂及び約85~90wt.%高PVOH PVB樹脂を含有する。多くの実施例において、PVBフレークはEastman Chemical CompanyからリサイクルされるSaflex(登録商標)Q Series Acoustic PVB シートとすることができ、これはより小さいフレークに切断又は切り刻まれている。
【0062】
[076]PVBペレットは、押出機に通されペレット化されたPVBフレーク(Saflex(登録商標)Q Series Acoustic PVBを含む)を含むペレットである。典型的には、ペレット中の低PVOH PVB(コア)樹脂の含量が低いため、ペレットは高PVOH PVB(スキン)樹脂マトリックス中に分散した小さいドメインを含む。
【0063】
[077]リサイクルPVB1は、Recyverre社より購入された、未知の又は測定されていない含有物を有するポストコンシューマーPVBシートの第1の試料である。この材料を切り刻む、細断する、又は挽き砕いて材料の小片又はフレークを形成させる。
【0064】
[078]リサイクルPVB2は、Recyverre社より購入された、未知の又は測定されていない含有物を有するポストコンシューマーPVBシートの第2の試料である。この材料を切り刻む、細断する、又は挽き砕いて材料の小片又はフレークを形成させる。
【0065】
アルコール/水混合物中の溶解性を例証するための実施例
[079]グラジエントポリマー溶出クロマトグラフィー(GPEC)は、可塑剤の量を含めた、コポリマー又はターポリマーの組成及びポリマー成分の濃度についての情報を提供できる技術である。GPEC法は、最初にポリマー(すなわち、PVB)を良好な溶媒中に溶解させるか、又は抽出される成分の濃度が目的である場合は抽出物を使用することを伴う。ポリマーが析出する溶媒条件下で、溶解させた試料又は溶液をカラムに注入する。次いで移動相をグラジエントに変化させ、それによりポリマーは再溶解する際に溶出することになる。PVBの場合、主な分離メカニズムは、移動相中のPVB画分の溶解性であると考えられ、そのため可塑剤は溶媒中のその高い溶解性及び低い分子量に起因して最初に溶出する。PVBとカラム充填材との相互作用に起因する分離メカニズムも存在する。分離に影響を与える複数の要因が存在し得るが、コポリマーの組成が最大の要因であると考えられる。GPEC法は、ポリマーの組成を決定する、又はこの場合は試料中の樹脂及び可塑剤の濃度を決定するのに使用することができる。
【0066】
[080]GPEC試験に使用される実験条件及び装置:
i.Thermo Scientific Dionex Ultimate 3000 Series HPLC
ii.Corona Veo Charged Aearosol検出器-Evaporator(低い設定)
iii.カラム:Supelco Discovery C18、150mm、4.6mm、5ミクロン、180A。
【0067】
iv.カラム温度:30℃
v.注入量:10マイクロリットル
vi.グラジエント(流量:1ml/分)
【0068】
【表1】
【0069】
[081]GPEC試料調製:PVB中間層固体試料を氷酢酸に溶解させ、抽出物をそのまま使用した(10mlの酢酸中におよそ0.05~0.5g)。溶液を室温で静置して一晩溶解させた。試料タイプには、アルコール/水混合物の抽出物、可塑剤溶液、可塑剤/樹脂ゲル、及びペレット、樹脂、又はシート試料が含まれた。
【0070】
[082]GPEC定量化:以下の式:
Pz/R=(a*可塑剤の面積)/(樹脂の面積)(式中aは応答係数である)
を使用して、相対面積パーセンテージに基づいて樹脂(R)及び可塑剤(Pz)の相対濃度を見積もる。
スキン及びコア樹脂の相対濃度を相対面積パーセンテージに基づいて見積もる:
%コア樹脂=(コア樹脂の面積)*100/(コア樹脂の面積+スキン樹脂の面積)
%スキン樹脂=(スキン樹脂の面積)*100/(コア樹脂の面積+スキン樹脂の面積)
[083]試料中の樹脂の重量パーセントは、既知の樹脂濃度の溶液の分析により、及び一点応答係数の決定又は線形較正により決定される。
【0071】
実施例1~8
[084]15mlの溶媒混合物の入った20mLシンチレーションバイアルへ0.1gのリサイクルPVBフレーク又はPVBペレットを入れて試料1~8を形成させることにより、GPEC溶解性試験を行った。リサイクルPVBフレークは3層構造を有し、スキン層は約18.7wt.%のPVOHを含有する高PVOH PVB樹脂であり、コア層は約10.5%のPVOHを含有する低PVOH PVB樹脂であった(これは樹脂のみを基準として約11wt.%の低PVOH PVB樹脂及び約89wt.%の高PVOH PVB樹脂であり、又は総重量を基準として約7wt.%の低PVOH PVB樹脂、約63wt.%高のPVOH PVB樹脂、及び約30wt.%の可塑剤である)。コア及びスキン層の両方をトリエチレングリコールジ-(2-エチルヘキサノエート)(3-GEH)により可塑化した。バイアルのふたを閉めて、次いでサンプリングの前に加振機に12時間置いた。GPECを使用して各々の抽出物を分析した。抽出物はその外観にかかわらず(透明か又は濁っているかにかかわらず)0.5ミクロンフィルターによりろ過され、ろ過された試料は注入するために透明でなければならないことに注意する。
【0072】
[085]各アルコール系において、それを超えると約10.5wt.%のPVOHを有する樹脂がもはやGPEC法で検出できなくなる、低PVOH樹脂の溶解性のカットオフ値における水の%は以下のように決定された:
エタノール:約20重量%を超える水;
メタノール:約4重量%を超える水。
【0073】
[086]各アルコール系において、それを超えると高PVOH樹脂がもはやGPEC法で検出できなくなる、高PVOH樹脂の溶解性のカットオフ値における水の%は以下のように決定された:
エタノール:約35重量%を超える水;
メタノール:約20重量%を超える水。
【0074】
[087]表1及び図2~4は、様々な溶媒混合物(水中の様々なアルコールのレベルを有する)を使用して得られた試料1~8のPVBの抽出物のデータを示し、これはGPECを使用して分析された。具体的には、図2は、エタノール及び水の混合物中のリサイクルPVBのGPECクロマトグラムを示す。約9wt.%の水を含むエタノール中に溶解したPVB混合物は、両方の樹脂が混合物中に可溶性であることを示す(上図)。エタノール中の水含量が約16wt.%の水まで増加すると、低PVOH PVB樹脂は可溶性が低くなったが依然として検出可能であった(中図)。約20wt.%の水を含むエタノール中では、わずかな低PVOH樹脂しか検出されなかった(下図)。
【0075】
[088]図3は、メタノール水溶液中のリサイクルPVBのGPECクロマトグラムを示す。純粋なメタノール(水の添加なし)中に溶解させた中間層混合物は、いくらかの低PVOH樹脂がやはり検出可能であることを示す(上図)。メタノール中の約9.5wt.%の水により、高PVOH PVB樹脂の溶解性は可塑剤に対して相対的に低くなる(中図)。約4.9wt.%の水を含むメタノールは、わずかな低PVOH PVB樹脂しか有しておらず、高PVOH PVB樹脂の良好な溶解性を有する(下図)。
【0076】
[089]図4は、イソプロパノール及び水の混合物中のリサイクルPVBのGPECクロマトグラムを示す。100%イソプロパノール(上図)及び32wt.%の水を含むイソプロパノール(下図)は共に、可塑剤に対して相対的に低い高PVOH PVBの溶解性を示す。
【0077】
[090]図2~4のクロマトグラムから得られる面積%を表1にまとめる。材料の測定を高PVOH PVBについて行う(抽出された又は溶解した部分)。
【0078】
【表2】
【0079】
[091]図2~4及び表1のデータは、それぞれの樹脂中の低PVOH及び高PVOHのパーセンテージを示す。実施例1は対照の実施例である。エタノール中の約9wt.%の水を使用すると、低PVOH PVB樹脂の選択的な溶解が実現されなかった。実施例2、7、及び8は、エタノール中の16wt.%の水(実施例2)、又はイソプロパノール(実施例7及び8それぞれにおいて0%又は32%の水を含む)の使用のみが、高PVOH PVB樹脂のすべて及び低PVOH PVB樹脂の一部を抽出物中に溶解させたことを示す。実施例3、4、5、及び6は、エタノール中の20wt.%の水(実施例3)又はメタノール中の0~9.5wt.%の水(実施例4、5、及び6)による選択的溶解を使用して、高PVOH PVB樹脂を選択的に(低PVOH PVB樹脂に対して相対的に)抽出物中に溶解させた。言い換えると、実施例3、4、5、及び6は低PVOH PVB樹脂に対して相対的に高PVOH PVB樹脂を選択的に溶解させたが、一方実施例2、7、及び8は実施例3、4、5、及び6ほど選択的ではない。
【0080】
ペレット化材料を使用した溶解/ろ過法
[092]上記の溶解性の検討に基づいて、選択的溶解の後のろ過を使用した分離プロセス、例えば図5のフローチャートに記載されるものなどを、ポストインダストリアル及びポストコンシューマーリサイクルPVB中間層の両方について下記の実施例9~16において試験した。溶解及びろ過法は、ペレット化リサイクル多層PVBなどの供給材料中に十分に分散した組成を有する材料により適している。PVBペレット中の予備混合された材料は、非溶解低PVOH PVB(コア)樹脂のドメインが非常に小さく懸濁液中にとどまっている、目視で濁っている溶液をもたらした。それぞれの溶媒の組み合わせにおいて10%のリサイクルPVBペレットを含有する混合物(下記に示す)を50℃で2時間撹拌して粘性の濁った懸濁液を得た。これらの目視で濁っている懸濁液を表2における「前」の試料と定めた。次いで混合物の分割した一部を1mmろ過器によりふるい分けして大きい樹脂チップを収集し、次いでM-503ろ過材を有する実験室用10 Tフィルター(ErtelAlsop)を使用してさらにろ過した。得られる試料を表2における「後」の試料と定めた。ろ過していない(前)及びろ過した(後)試料の両方を、プレスして約760ミクロンの厚さを有するシートとしヘイズ測定のために2枚のガラスの間でラミネートする前に、50℃のオーブンで2時間さらに乾燥させた。合わせたろ液から溶媒を除去した後(すなわち乾燥)の得られる材料のヘイズは、ろ過の際に通過する非溶解材料の様々な度合いを反映した(表2)。分光光度計を使用して、当業者に既知の技術を使用し前述のように、ラミネートした乾燥済みの材料についてヘイズを測定した。
【0081】
実施例9
[093]20%の水を含有する450部のエタノールを1リットル三つ口ジャケット付きガラス反応器に入れた。撹拌した混合物へ、50部のPVBペレットを加え、50℃で2時間撹拌した。得られる混合物をアルミニウムトレーに流し込み、重量減少が検出できなくなるまで換気フードで蒸発により乾燥させた。次いで材料を50℃のオーブンで2時間さらに乾燥させ、その後プレスして760ミクロンの厚さを有するシートとし、対照としてヘイズ測定のために2枚のガラスの間でラミネートした。ヘイズ値は51.6であった。
【0082】
実施例10
[094]20%の水を含有する450部のエタノールを1リットル三つ口ジャケット付きガラス反応器に入れた。撹拌した混合物へ、50部のPVBペレットを加え、50℃で2時間撹拌した。次いでM-503ろ過材を有する実験室用10 Tフィルター(ErtelAlsop)を使用して60psiにおいて、得られる混合物をろ過した。粘性の溶液ろ液をアルミニウムトレーに流し込み、重量減少が検出できなくなるまで換気フードで蒸発により乾燥させた。次いで材料を50℃のオーブンで2時間さらに乾燥させ、その後プレスして760ミクロンの厚さを有するシートとし、ヘイズ測定のために2枚のガラスの間でラミネートした。ヘイズ値は1.9であった。
【0083】
実施例11
[095]4%の水を含有する450部のメタノールを1リットル三つ口ジャケット付きガラス反応器に入れた。撹拌した混合物へ、50部のPVBペレットを加え、50℃で2時間撹拌した。次いでM-503ろ過材を有する実験室用10 Tフィルター(ErtelAlsop)を使用して60psiにおいて、得られる混合物をろ過した。粘性の溶液ろ液をアルミニウムトレーに流し込み、重量減少が検出できなくなるまで換気フードで蒸発により乾燥させた。次いで材料を50℃のオーブンで2時間さらに乾燥させ、その後プレスして760ミクロンの厚さを有するシートとし、ヘイズ測定のために2枚の透明ガラスの間でラミネートした。ヘイズ値は17.7であった。
【0084】
実施例12
[096]20%の水を含有する450部のエタノールを1リットル三つ口ジャケット付きガラス反応器に入れた。撹拌した混合物へ、50部のPVBペレットを加え、室温で12時間撹拌した。次いでM-503ろ過材を有する実験室用10 Tフィルター(ErtelAlsop)を使用して60psiにおいて、得られる混合物をろ過した。粘性の溶液ろ液をアルミニウムトレーに流し込み、重量減少が検出できなくなるまで換気フードで蒸発により乾燥させた。次いで材料を50℃のオーブンで2時間さらに乾燥させ、その後プレスして760ミクロンの厚さを有するシートとし、ヘイズ測定のために2枚のガラスの間でラミネートした。ヘイズ値は11.8であった。
【0085】
[097]表2は、上記の実施例9~12の、使用したPVB材料、溶媒、及びヘイズ値の種類を示す。
【0086】
【表3】
【0087】
[098]表2は、最初の試料(前)から、本発明のプロセスにより低PVOH PVBが除去された回収された試料(後)までにおいてヘイズの大幅な低下があることを示す。実施例9~実施例10、11、及び12の比較は、エタノール及び水又はメタノール及び水のいずれかの溶媒を使用した場合に本発明のプロセスの使用がヘイズを大幅に低下させることを示す。
【0088】
[099]ろ過の前及び後の試料もGPECを使用して図6及び7に示すように分析した。場合によって、図6の最終ろ液において見られるように非溶解樹脂の通過が観測可能であった。図6は、4wt.%の水を含むメタノールにより実施例11の10%PVBペレットを溶解させた後の懸濁液試料のGPECクロマトグラムを示す(上図)。出発ろ過試料は検出可能な低PVOH PVB樹脂を示さなかった(中図)。最終ろ液試料は、一部の低PVOH PVB樹脂がろ過材を通過したことを示した(下図)。図7は、20wt.%の水を含むエタノール中に実施例10の10%PVBペレットを溶解させた後の懸濁液試料(上図)、及び合わせたろ液(下図)のGPECクロマトグラムを示す。全体のろ過した材料を合わせた。
【0089】
3層中間層を使用した抽出/ろ過法
[0100]抽出法は、依然として層状の形態にある供給物において、例えば粉砕された多層中間層材料(すなわち、切り刻まれ又は切断されて小片となった、シートなどの多層材料の小片であるPVBフレーク)などにおいてより適しており、ここでは操作の際に非溶解材料が一定の形態及びサイズを維持し得るので、粗いスクリーンを使用して抽出物から容易に分離することができる。一般的なプロセスを図8に図示する。抽出のパート又はステップは典型的には周囲条件で行われ、一般には良好な分離のために少なくとも3つの抽出ステップを伴う。抽出物及び非溶解樹脂は非常に粗いスクリーンを使用して容易に分離することができる。
【0090】
実施例13
[0101]800部の水を1リットル三つ口ジャケット付きガラス反応器に入れた。撹拌した混合物へ、0.5部のクエン酸、4部の硫酸、及びRecycle PVB1から切り出された200部の1.27センチメートル(1/2インチ)のフレークを加え、50℃で1時間撹拌した。得られるフレークを1mmのスクリーンを有するろ過器に流し込み、水道水ですすいだ。洗浄したフレークをアルミニウムトレーへ流し込み、重量減少が検出できなくなるまで換気フードで蒸発により乾燥させた。次いで材料をその後の使用のために50℃のオーブンで2時間さらに乾燥させた。
【0091】
実施例14
[0102]20%の水を含有する450部のエタノールを1リットル三つ口ジャケット付きガラス反応器に入れた。撹拌した混合物へ、実施例13の50部の乾燥させたRecycle PVB1フレークを加え、50℃で2時間撹拌した。得られる混合物を2つの部分に分けた。1つの部分をアルミニウムトレーに流し込み、重量減少が検出できなくなるまで換気フードで蒸発により乾燥させた。次いで材料を50℃のオーブンで2時間さらに乾燥させ、その後プレスして760ミクロンの厚さを有するシートとし、対照として(前の試料)ヘイズ測定のために2枚のガラスの間でラミネートした。M-503ろ過材を有する実験室用10 Tフィルター(ErtelAlsop)を使用して60psiにおいて、2つめの部分をろ過した。粘性の溶液ろ液をアルミニウムトレーへ流し込み、重量減少が検出できなくなるまで換気フードで蒸発により乾燥させた。次いで材料を50℃のオーブンで2時間さらに乾燥させ、その後プレスして760ミクロンの厚さを有するシートとし、ヘイズ測定のために2枚のガラスの間でラミネートした。ヘイズ値は13.7であった。
【0092】
実施例15
[0103]Recycle PVB1の代わりにRecycle PVB2から切り出された1.27センチメートル(1/2インチ)のフレークを使用して、実施例13における上記のプロセスを繰り返した。得られる材料を実施例16におけるその後の使用のために乾燥させた。
【0093】
実施例16
[0104]実施例15で得られる材料を使用して、実施例14における上記のプロセスを繰り返した。
【0094】
[0105]下記の表3は、上記の実施例13~16の、使用されるPVB材料、溶媒、及びヘイズ値を示す。
【0095】
【表4】
【0096】
[0106]表3は、最初の試料(前)から、本発明のプロセスにより低PVOH PVBが除去された回収された試料(後)までにおいてヘイズの大幅な低下があることを示す。実施例13を実施例14と比較すると、本発明のプロセスを使用すると、ヘイズが28.5%から13.7%まで低下した。同様に、実施例15及び16を比較すると、ヘイズは11.7%から3.4%まで低下した。
【0097】
実施例17
[0107]450部の190プルーフのエタノール(エタノール中の約9wt.%の水)を1リットル三つ口ジャケット付きガラス反応器に入れた。撹拌した混合物へ、50部のPVBフレーク(1.27センチメートル(1/2インチ)片)を加え、周囲温度(約22~23℃)で12時間撹拌した。得られる混合物をアルミニウムトレーに流し込み、重量減少が検出できなくなるまで換気フードで蒸発により乾燥させた。次いで材料を40℃のオーブンで12時間さらに乾燥させ、その後プレスして760ミクロンの厚さを有するシートとし、2枚のガラスの間でラミネートして61.3%のヘイズが得られた。GPEC分析は、材料の樹脂組成が約89wt.%の高PVOH(スキン)樹脂及び11wt.%であることを示した。
【0098】
実施例18
[0108]20%の水を含有する450部のエタノールを1リットル三つ口ジャケット付きガラス反応器に入れた。撹拌した混合物へ、50部のPVBフレーク(1.27センチメートル(1/2インチ)片の切片であるが8メッシュ以上)を加え、周囲温度(約22~23℃)で3時間撹拌した。得られる混合物を1mmスクリーンのろ過器でろ過した。ろ液をアルミニウムトレーに流し込み、重量減少が検出できなくなるまで換気フードで蒸発により乾燥させた。次いで材料を40℃のオーブンで12時間さらに乾燥させて46.9phrの可塑剤を有する38.42部のPVBを得た。得られるPVBをプレスして760ミクロンの厚さを有するシートとし、2枚の透明ガラスの間でラミネートして4.2%のヘイズを有する中間層を得た。乾燥後にスクリーン上の材料は12部となり、GPEC分析はスクリーン上の材料の樹脂組成が約31wt.%の高PVOH(スキン)樹脂及び25phrの可塑剤を有する69wt.%の低PVOH(コア)樹脂であることを示した。高PVOH材料の大部分が除去され、ろ過された材料(実施例18)は実施例17の出発物質よりも著しく少ない高PVOH PVB樹脂を有していた。さらに、実施例18の得られる材料は著しく低下したヘイズレベルを有していた。
【0099】
実施例19
[0109]50部のPVBフレークを、20wt.%の水を含有する450部のエタノールへ加えた。混合物を4時間撹拌し、上清をデカンテーションした。450部の新しい溶媒(エタノール中の20wt.%の水)を残っているフレークへ加え、4時間撹拌した。上記のプロセスをさらに1回繰り返した。抽出されたフレークは蒸発後に3.8部の乾燥樹脂をもたらし、蒸発後の合わせた抽出物は46部の高PVOH樹脂及び可塑剤の混合物をもたらし、この技術及びエタノール水混合物を使用した非常に高い分離の収率を示す。より長時間撹拌すると、低PVOH PVB樹脂からの分離及び除去においてより多くの高PVOH PVB樹脂を溶解させる。
【0100】
[0110]遠心分離を使用して低PVOH PVB樹脂を溶液から分離することもできる。最初に、混合物中の2つの樹脂のうち1つのみを溶解させる溶媒系により中間層を処理し、次いで得られる懸濁液に遠心分離を施して分離を促進させる。1つの成分の完全な除去又は部分的な除去はリサイクルにおけるヘイズの低下に役立つ可能性がある。
【0101】
実施例20
[0111]PVBペレットを165~174プルーフのアルコール(約5wt.%の水を含むメタノール)で処理した。混合物を数時間撹拌して粘性の懸濁液を得た。懸濁液の遠心分離により上清及び沈殿物が得られた。上清は主に高PVOH PVB(スキン)樹脂及び可塑剤で構成されていた。沈殿物は低PVOH PVB(コア)樹脂がより豊富であった。図9は、出発PVBペレット(上図)、上清(中図)、及び沈殿物質(下図)のGPECクロマトグラムを示す。170プルーフのアルコール中の5%wt.のPVB Q材料の遠心分離は、上清における低PVOH PVB(コア)樹脂の約60%の減少をもたらし、沈殿物質は主に低PVOH PVB(コア)樹脂である。
【0102】
実施例21
[0112]PVBペレットが供給物として使用される場合、PVBペレットでは2つの樹脂(コア及びスキン)が予備混合されており、非溶解材料が遠心分離を使用して分離するのがより困難であるはるかに微細な懸濁粒子を形成するという事実に起因して、高PVOH PVB樹脂及び低PVOH PVB樹脂の分離は細断されたPVBフレークを使用した場合ほどきれいではない。図10は、共に遠心分離後である、PVBペレットの上清(上図)及びPVBフレークの上清(下図)のGPECクロマトグラムを示す。170プルーフのエタノール中の10%wt.のPVBペレットの遠心分離は、上清における低PVOH PVB(コア)樹脂の36%の減少を示す。比較として、170プルーフのエタノール中の10%wt.のPVBフレークの遠心分離は、上清に残っている非常に少量の低PVOH PVB(コア)樹脂を示す。
【0103】
実施例22
[0113]抽出されたPVBペレットから作られる懸濁液において、全固体のパーセント(TS%)が増加すると上清と懸濁物質との間の分離効率は低くなる。図11において、遠心分離後、165プルーフのエタノール中の10%PVBペレットの上清のGPECクロマトグラム(上図)は、低PVOH PVB(コア)樹脂の36%の減少を示す。遠心分離後、170プルーフのエタノール中の5%PVBペレットの上清(下図)は、低PVOH PVB(コア)樹脂の60%の減少を示す。全固体レベルが10%から5%まで減少すると、低PVOH PVB樹脂の減少又は除去がほぼ2倍になる。
【0104】
実施例23
[0114]20%の水を含有する450部のエタノールを1リットル三つ口ジャケット付きガラス反応器に入れた。撹拌した混合物へ、25部のPVBペレットを加え、周囲温度(約22~23℃)で3時間撹拌した。得られる混合物を4200rpmで40分遠心分離した。GPECを使用して、得られる上清及び沈殿物質を分析した。上清層は低PVOH PVB(コア)樹脂の60%の減少を示した(図12、上図を参照)。上記の遠心分離の手順を繰り返すと、上清ではGPECによれば低PVOH PVB(コア)樹脂の82%の減少が得られた(図12、下図を参照)。
【0105】
実施例24
[0115]24%の水を含有する450部のエタノールを1リットル三つ口ジャケット付きガラス反応器に入れた。撹拌した混合物へ、50部のPVBペレットを加え、周囲温度(約22~23℃)で3時間撹拌した。得られる混合物を遠心分離した。GPECを使用して、得られる上清及び沈殿物質を分析した。上清層は低PVOH PVB(コア)樹脂の36%の減少を示した(図13、上図を参照)。上記の遠心分離の手順を繰り返すと、上清ではGPECによれば低PVOH PVB(コア)樹脂の53%の減少が得られた(図13、下図を参照)。
【0106】
[0116]全固体レベルにかかわらず、さらなる遠心分離によりさらなる分離を実現できる。例えば、上記で検討され図12及び13に示されるように、2回目の遠心分離ステップは、5%の出発全固体を有する材料では低PVOH PVB(コア)樹脂の減少を60から82%まで、10%の出発全固体の場合では36から53%までそれぞれ増加させ(それぞれ実施例23及び24)、多段階の又は連続の遠心分離が高PVOH及び低PVOH PVB樹脂の分離をさらに改善することができることを示唆する。
【0107】
実施例25
[0117]20%の水を含有する450部のエタノールを1リットル三つ口ジャケット付きガラス反応器に入れた。撹拌した混合物へ、50部の8メッシュ以上のPVBフレークを加え、周囲温度(約22~23℃)で3時間撹拌した。得られる混合物を遠心分離した。上清をアルミニウムトレーに流し込み、重量減少が検出できなくなるまで換気フードで蒸発により乾燥させた。次いで材料を40℃のオーブンで12時間さらに乾燥させて45.5phrの可塑剤を有する41.5部のPVBを得た。材料をプレスして約760クロンの厚さを有するシートとし、2枚の透明ガラスの間でラミネートし、ヘイズについて試験した。測定されたヘイズは3.6%であった。合わせた沈殿物質は乾燥後に8部となり、GPEC分析は、33%の高PVOH PVB(スキン)樹脂及び22.1phrの可塑剤を有する67%の低PVOH PVB(コア)樹脂の樹脂組成を示した。
【0108】
実施例26
[0118]9%の水を含有する450部のエタノールを1リットル三つ口ジャケット付きガラス反応器に入れた。撹拌した混合物へ、50部のPVBフレークを加え、周囲温度(約22~23℃)で3時間撹拌した。得られる混合物は遠心分離を行わず、アルミニウムトレーに流し込み、重量減少が検出できなくなるまで換気フードで蒸発により乾燥させた。次いで材料を40℃のオーブンで12時間さらに乾燥させ、次いでプレスして約760ミクロンの厚さを有するシートとした。次いでシートを2枚の透明ガラスの間でラミネートし、ヘイズを測定した。得られるヘイズは51.6%であった。
【0109】
[0119]上記のことは、溶解を遠心分離と組み合わせて高PVOH及び低PVOH PVB樹脂を分離する別の方法を提供することができることを示す。
【0110】
[0120]番号をつけた項目1~57に関して、本発明及びその好ましい実施形態をここでさらに説明する。
【0111】
[0121]項目1. ポリ(ビニルブチラール)(PVB)を回収する方法であって、
(a)溶媒を再生システムへ供給するステップと;
(b)リサイクルPVBを溶媒へ加え、撹拌してPVB混合物を形成させるステップであって、PVB混合物が、溶解した高PVOH PVB樹脂及び可塑剤を含む液体部分並びに低PVOH PVB固体を含む固体部分を含む、ステップと;
(c)PVB混合物をろ過して低PVOH PVB固体を除去するステップと
を含む、方法。
【0112】
[0122]項目2.除去された低PVOH PVB固体が残留高PVOH PVB樹脂及び可塑剤を含み、残留高PVOH PVB樹脂及び可塑剤を低PVOH PVB固体から分離するステップ(d)をさらに含む、項目1に記載の方法。
【0113】
[0123]項目3.分離するステップ(d)が、低PVOH PVB樹脂を洗浄するステップを含む、項目2の方法。
【0114】
[0124]項目4.分離するステップ(d)が、溶媒を低PVOH PVB樹脂に加えて高PVOH PVB樹脂及び可塑剤をさらに溶解及び除去するステップを含む、項目2の方法。
【0115】
[0125]項目5.低PVOH PVB固体中の可塑剤及び高PVOH PVBのレベルを測定するステップ(e)をさらに含む、項目1の方法。
【0116】
[0126]項目6.ステップ(a)~(e)を繰り返すステップをさらに含む、項目5の方法。
【0117】
[0127]項目7.少なくとも80%(85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれを超える)の高PVOH PVB樹脂がリサイクルPVBから除去される、項目6の方法。
【0118】
[0128]項目8.ステップ(b)が、約5℃~約60℃(5℃~約50℃、5℃~約40℃、5℃~約30℃、5℃~約20℃、5℃~約10℃)の温度で撹拌するステップを含む、項目1の方法。
【0119】
[0129]項目9.リサイクルPVBがPVBペレットの形態である、項目1の方法。
【0120】
[0130]項目10.リサイクルPVBが、PVBフレーク、又はPVBフィルム若しくはシート片の形態である、項目1の方法。
【0121】
[0131]項目11.リサイクルPVBが、PVBフレーク、又はPVBフィルム若しくはシート片及びPVBペレットの形態である、項目1の方法。
【0122】
[0132]項目12.ステップ(a)においてリサイクルPVBが供給される再生システムが、バッチ反応器システムを含む、項目1の方法。
【0123】
[0133]項目13.ステップ(a)において加えられる溶媒が、水及びアルコールの混合物を含む、項目1の方法。
【0124】
[0134]項目14.アルコールが、エタノール、メタノール、又はイソプロパノール、又は2種以上のアルコールの混合物である、項目13の方法。
【0125】
[0135]項目15.アルコールがエタノールであり、水が約16重量パーセント~約24重量パーセントの量で存在する、項目14の方法。
【0126】
[0136]項目16.アルコールがエタノールであり、水が約20重量パーセント~約24重量パーセントの量で存在する、項目14の方法。
【0127】
[0137]項目17.アルコールがメタノールであり、水が約0重量パーセント~約9.5重量パーセントの量で存在する、項目14の方法。
【0128】
[0138]項目18.リサイクルPVBが約2~約20ミリメートルの直径を有する、項目9の方法。
【0129】
[0139]項目19.ステップ(a)においてリサイクルPVBが供給される再生システムが、連続再生システムを含む、項目1の方法。
【0130】
[0140]項目20.連続再生システムが連続撹拌槽反応器である、項目19の方法。
【0131】
[0141]項目21.リサイクルPVBが、少なくとも1wt.%(5wt.%、10wt.%、15wt.%、20wt.%、又はそれを超える)の量で溶媒へ加えられる、項目1の方法。
【0132】
[0142]項目22.項目1~21のいずれかの方法により形成される、低PVOH PVB樹脂。
【0133】
[0143]項目23.項目22の低PVOH PVB樹脂を含む、樹脂層。
【0134】
[0144]項目24.項目23の樹脂層を含む、中間層。
【0135】
[0145]項目25.第2の樹脂層をさらに含む、項目24の中間層。
【0136】
[0146]項目26.樹脂層がコア層であり、中間層が第2の樹脂層及び第3の樹脂層をさらに含み、コア層が第2の樹脂層と第3の樹脂層の間にある、項目23の中間層。
【0137】
[0147]項目27.項目22の低PVOH PVB樹脂を含む、組成物。
【0138】
[0148]項目28.第1の基材、項目24の中間層、及び第2の基材を含む積層体であって、中間層が第1の基材と第2の基材の間にある、積層体。
【0139】
[0149]項目29.ポリ(ビニルブチラール)(PVB)を回収する方法であって、
(a)溶媒を再生システムへ供給するステップと;
(b)リサイクルPVBを溶媒へ加え、撹拌してPVB混合物を形成させるステップであって、PVB混合物が、溶解した高PVOH PVB樹脂及び可塑剤を含む液体部分並びに低PVOH PVB固体を含む固体部分を含む、ステップと;
(c)PVB混合物をろ過して低PVOH PVB固体を除去するステップであって、除去された低PVOH固体が残留高PVOH PVB樹脂及び可塑剤を含む、ステップと
を含む、方法。
【0140】
[0150]項目30.低PVOH固体が、リサイクルPVBに由来する20%未満(15%、10%、5%、4%、3%、2%、1%)の高PVOH PVB樹脂を含む、項目29の方法。
【0141】
[0151]項目31.低PVOH PVB固体から残留高PVOH PVB樹脂及び可塑剤を分離するステップ(d)をさらに含む、項目28の方法。
【0142】
[0152]項目32.分離のステップ(d)が低PVOH PVB樹脂を洗浄するステップを含む、項目31の方法。
【0143】
[0153]項目33.分離するステップ(d)が、溶媒を低PVOH PVB樹脂に加えて高PVOH PVB樹脂及び可塑剤をさらに溶解及び除去するステップを含む、項目31の方法。
【0144】
[0154]項目34.低PVOH PVB固体中の可塑剤及び高PVOH PVBのレベルを測定するステップ(e)をさらに含む、項目29の方法。
【0145】
[0155]項目35.ステップ(a)~(e)を繰り返すステップをさらに含む、項目34の方法。
【0146】
[0156]項目36.少なくとも80%(85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれを超える)の高PVOH PVB樹脂がリサイクルPVBから除去される、項目35の方法。
【0147】
[0157]項目37.ステップ(b)が、約5℃~約60℃(5℃~約50℃、5℃~約40℃、5℃~約30℃、5℃~約20℃、5℃~約10℃)の温度で撹拌するステップを含む、項目29の方法。
【0148】
[0158]項目38.リサイクルPVBがPVBペレットの形態である、項目29の方法。
【0149】
[0159]項目39.リサイクルPVBが、PVBフレーク、又はPVBフィルム若しくはシート片の形態である、項目29の方法。
【0150】
[0160]項目40.リサイクルPVBが、PVBフレーク、又はPVBフィルム若しくはシート片及びPVBペレットの形態である、項目29の方法。
【0151】
[0161]項目41.ステップ(a)においてリサイクルPVBが供給される再生システムが、バッチ反応器システムを含む、項目29の方法。
【0152】
[0162]項目42.ステップ(a)において加えられる溶媒が水及びアルコールの混合物を含む、項目29の方法。
【0153】
[0163]項目43.アルコールが、エタノール、メタノール、又はイソプロパノール、又は2種以上のアルコールの混合物である、項目42の方法。
【0154】
[0164]項目44.アルコールがエタノールであり、水が約16重量パーセント~約24重量パーセントの量で存在する、項目43の方法。
【0155】
[0165]項目45.アルコールがエタノールであり、水が約20重量パーセント~約24重量パーセントの量で存在する、項目43の方法。
【0156】
[0166]項目46.アルコールがメタノールであり、水が約0重量パーセント~約9.5重量パーセントの量で存在する、項目43の方法。
【0157】
[0167]項目47.リサイクルPVBが約2~約20ミリメートルの直径を有する、項目39の方法。
【0158】
[0168]項目48.ステップ(a)においてリサイクルPVBが供給される再生システムが、連続再生システムを含む、項目29の方法。
【0159】
[0169]項目49.連続再生システムが連続撹拌槽反応器である、項目48の方法。
【0160】
[0170]項目50.リサイクルPVBが、少なくとも1wt.%(5wt.%、10wt.%、15wt.%、20wt.%、又はそれを超える)の量で溶媒へ加えられる、項目29の方法。
【0161】
[0171]項目51.項目1~50のいずれかの方法により形成される、低PVOH PVB樹脂。
【0162】
[0172]項目52.項目48の低PVOH PVB樹脂を含む、樹脂層。
【0163】
[0173]項目53.項目49の樹脂層を含む、中間層。
【0164】
[0174]項目54.第2の樹脂層をさらに含む、項目53の中間層。
【0165】
[0175]項目55.樹脂層がコア層であり、中間層が第2の樹脂層及び第3の樹脂層をさらに含み、コア層が第2の樹脂層と第3の樹脂層の間にある、項目52の中間層。
【0166】
[0176]項目56.項目51の低PVOH PVB樹脂を含む、組成物。
【0167】
[0177]項目57.第1の基材、項目53の中間層、及び第2の基材を含む積層体であって、中間層が第1の基材と第2の基材の間にある、積層体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】