(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】ガス流から種を除去するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
B01D 53/62 20060101AFI20241031BHJP
B01D 53/78 20060101ALI20241031BHJP
B03C 3/017 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B01D53/62 ZAB
B01D53/78
B03C3/017 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525054
(86)(22)【出願日】2022-10-27
(85)【翻訳文提出日】2024-06-20
(86)【国際出願番号】 US2022048105
(87)【国際公開番号】W WO2023076527
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060697
【氏名又は名称】マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】バラナシ, クリパ ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ジャヤプラカシュ, ヴィシュヌ
(72)【発明者】
【氏名】パナット, スリーダス
(72)【発明者】
【氏名】ルーファー, サイモン ビー.
【テーマコード(参考)】
4D002
4D054
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002AA11
4D002AA12
4D002AA22
4D002AA40
4D002AC10
4D002BA02
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4D002DA07
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4D002EA07
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4D002GA01
4D002GA02
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4D002GB02
4D002GB04
4D002GB05
4D002GB08
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4D002GB12
4D002GB20
4D002HA03
4D054AA09
4D054BA01
4D054EA23
4D054GA10
(57)【要約】
種々の実施形態は、ガス流を水またはミストの液滴等の流体の分割された部分にさらすことによって、ガス流からの1つ以上の種の除去に対処し、流体および/または流体の内容物は、種を吸収または修飾し、それによって、ガス流から少なくとも部分的にそれを除去することができる。燃焼排気流からのCO2の除去は、一実施形態である。一実施形態において、液体ミストは、複数の液滴を備え、複数の液滴のうちの各液滴は、20マイクロメートル以下の最大特徴的寸法を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流からガス状種を除去するためのシステムであって、前記システムは、
前記ガス流を受け取るための入口と、前記ガス流を解放するための出口とを有するガス流動経路であって、前記ガス流は、前記出口において、前記入口における前記ガス流中に含まれるより少ない前記ガス状種を含むガス流動経路と、
前記ガス流動経路に沿ったガス状種吸収区域と、
液体ミストの源であって、前記液体ミストの前記源は、前記液体ミストを前記ガス状種吸収区域の中に導入するように構成され、前記ガス状種吸収区域は、前記ガス流から前記液体ミストへの前記ガス状種のうちの少なくとも一部の移送を促進する条件下で、前記ガス流に前記液体ミストをさらすように構成されている、液体ミストの源と、
前記ガス状種吸収区域に流体的に接続された前記ガス流動経路に沿った静電分離区域と
を備え、
前記静電分離区域は、前記ガス流から前記液体ミストの少なくとも一部を静電気的に分離するように構成されている、システム。
【請求項2】
前記液体ミストは、複数の液滴を備え、前記複数の液滴のうちの各液滴は、70マイクロメートル以下の最大特徴的寸法を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記液体ミストは、複数の液滴を備え、前記複数の液滴のうちの各液滴は、20マイクロメートル以下の最大特徴的寸法を有する、請求項1-2のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項4】
前記静電分離区域は、前記液体ミストを備えている前記ガス流をコロナ放電にさらすように構成されている、請求項1-3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記静電分離区域は、前記液体ミストを吸収するように構成された表面を備えている、請求項1-4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
ガス流からガス状種を除去するためのシステムであって、前記システムは、
前記ガス流を受け取るための入口と、前記ガス流を解放するための出口とを有するガス流動経路であって、前記ガス流は、前記出口において、前記入口における前記ガス流中に含まれるより少ない前記ガス状種を含むガス流動経路と、
前記ガス流動経路に沿ったガス状種吸収区域と、
液体ミストの源であって、前記液体ミストの前記源は、前記液体ミストを前記ガス状種吸収区域の中に導入するように構成され、前記ガス状種吸収区域は、前記ガス流から前記液体ミストへの前記ガス状種のうちの少なくとも一部の移送を促進する条件下で、前記ガス流に前記液体ミストをさらすように構成され、前記液体ミストは、複数の液滴を備え、前記複数の液滴のうちの各液滴は、70マイクロメートル以下の最大特徴的寸法を有する、液体ミストの源と、
前記ガス種吸収区域に流体的に接続された前記ガス流動経路に沿った分離区域と
を備え、
前記分離区域は、前記ガス流から前記液体ミストの少なくとも一部を分離するように構成されている、システム。
【請求項7】
前記複数の液滴のうちの各液滴は、20マイクロメートル以下の最大特徴的寸法を有する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記分離区域は、前記ガス流から前記液体ミストの少なくとも一部を静電気的に分離するように構成された静電分離区域である、請求項6-7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記静電分離区域は、前記液体ミストを備えている前記ガス流をコロナ放電にさらすように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記分離区域は、前記液体ミストを吸収するように構成された表面を備えている、請求項6-9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
ガス流からガス状種を除去するためのシステムであって、前記システムは、
前記ガス流を受け取るための入口と、前記ガス流を解放するための出口とを有するガス流動経路であって、前記ガス流は、前記出口において、前記入口における前記ガス流中に含まれるより少ない前記ガス状種を含むガス流動経路と、
前記ガス流動経路に沿ったガス状種吸収区域と、
前記ガス状種吸収区域に関連付けられた吸収剤と
を備え、
前記ガス状種吸収区域は、前記ガス流から前記吸収剤への前記ガス状種のうちの少なくとも一部の移送を促進する条件下で、前記ガス流に前記吸収剤をさらすように構成され、
前記吸収剤と前記ガス流との間の界面面積は、それ以外は本質的に同じである充填床反応器を備えている吸収塔における比較吸収剤と比較ガス流との間の界面面積より少なくとも10倍大きい、システム。
【請求項12】
前記吸収剤と前記ガス流との間の前記界面面積は、それ以外は本質的に同じである充填床反応器を備えている吸収塔における前記比較吸収剤と前記比較ガス流との間の前記界面面積より少なくとも400倍大きい、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記ガス状種吸収区域に流体的に接続された前記ガス流動経路に沿った分離区域をさらに備え、前記分離区域は、前記ガス流から前記吸収剤の少なくとも一部を分離するように構成されている、請求項11-12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記吸収剤は、液体ミストの形態である、請求項11-13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記液体ミストは、複数の液滴を備え、各液滴は、70マイクロメートル以下の最大特徴的寸法を有する、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記ガス流は、燃焼排気流である、請求項1-15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
前記ガス状種は、ガス状排気種である、請求項1-16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
前記ガス状種は、温室効果ガスである、請求項1-17のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
前記ガス状種は、CO
2である、請求項1-18のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
前記ガス流は、前記出口において、前記入口における前記ガス流中に含まれるより10%以上少ない前記ガス状種を含む、請求項1-19のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項21】
前記ガス流は、前記出口において、前記入口における前記ガス流中に含まれるより80%以下少ない前記ガス状種を含む、請求項1-20のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
全体的ガス流圧力降下が、前記ガス流動経路の前記入口と前記出口との間で生じ、前記ガス状種吸収区域の上流の前記ガス流動経路に沿ったガス流圧力降下は、前記全体的ガス流圧力降下の50%より小さい、請求項1-21のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項23】
ガス流からガス状種を除去する方法であって、前記方法は、
前記ガス状種を含む前記ガス流を液体ミストにさらすことであって、前記液体ミストは、前記ガス状種と反応するように構成された反応物質を備えている、ことと、
ガス状種吸収区域において、前記反応物質と前記ガス状種との間の反応を実行することであって、前記反応は、前記液体ミストによる前記ガス流からのCO
2の少なくとも50%の吸収をもたらす、ことと、
前記ガス状吸収区域に流体的に接続された分離区域において、前記ガス流から前記液体ミストの少なくとも一部を分離することと
を含む、方法。
【請求項24】
前記分離区域は、静電分離区域である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
ガス流からガス状種を除去する方法であって、前記方法は、
前記ガス状種を含む前記ガス流を液体ミストにさらすことであって、前記液体ミストは、前記ガス状種と反応するように構成された反応物質を備えている、ことと、
ガス状種吸収区域において、前記反応物質と前記ガス状種との間の反応を実行することと
を含み、
前記反応は、前記液体ミストによる前記ガス流からの前記ガス状種の少なくとも50%の吸収をもたらし、
1時間あたりに吸収される前記ガス状種のモル量の前記ガス状種吸収区域の容積に対する比率は、それ以外は本質的に同じである充填床反応器を備えている吸収塔における比較比率より少なくとも5倍大きい、方法。
【請求項26】
前記ガス状種吸収区域は、非充填床反応器である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記反応物質は、混合物の全重量に対して50wt.%未満のアミン含有種を備えている混合物である、請求項25-26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
1時間あたりに吸収される前記ガス状種の前記モル量と前記ガス状種吸収区域の前記容積との比率は、それ以外は本質的に同じである充填床反応器を備えている吸収塔における前記比較比率より少なくとも200倍大きい、請求項25-27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記ガス状吸収区域に流体的に接続された分離区域において、前記ガス流から前記液体ミストの少なくとも一部を分離することをさらに含む、請求項25-28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記分離区域は、静電分離区域である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ガス流は、燃焼排気流である、請求項23-30のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項32】
前記ガス状種は、ガス状排気種である、請求項23-31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記ガス状種は、温室効果ガスである、請求項23-32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記ガス状種は、CO
2である、請求項23-33のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、35 U.S.C.§119(e)(米国特許法第119条(e))下、その開示が参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる2021年10月29日に出願された米国仮出願第63/273,782号の優先権の利益を張する。
【0002】
(技術分野)
例えば、燃焼排気流中の二酸化炭素(CO2)の量を減らすことを含むガス流中の1つ以上の種の量を減らすためのシステムおよび方法が、概して、説明される。
【背景技術】
【0003】
世界のCO2排出は、上昇し続け、2019年に36ギガトン(Gt)に到達し、地球の気候に大きな負担をかけている。したがって、概して、大気からCO2を除去することが、望ましい。1年にわたって単一の500MWの天然ガス発電所によって生じさせられるCO2を捕捉することは、同じ期間にわたって20万台の自動車からの排出を排除することと同等であろうから、発電所における燃焼後炭素捕捉は、人為的排出を減らすことに対する効率的な道筋を提供する。燃焼後炭素捕捉技術は、3つの主要なアプローチに分類されることができる:(i)化学的アプローチ、(ii)物理的アプローチ、および(iii)生化学的アプローチ。化学的アプローチは、吸収、液体の中への直接または膜補助吸収、および化学ループ燃焼を含む。物理的アプローチは、膜分離、物理的吸収、および極低温蒸留を含む。酵素学的および藻類ベースのアプローチを利用する様々な生化学的方法も、提案されている。これらの方法のうち、液体吸収剤の中への化学吸収は、それがもたらすより高い効率、より低い費用、および技術経済的成熟度に起因して、最も有望な技術と広く考えられている。
【0004】
従来の化学吸収プラントは、充填床反応器を備えている吸収塔を利用し、充填床反応器は、いくつかの充填ユニットで満たされた細長い塔である。吸収剤溶液が、吸収塔の上部に提供され、充填ユニットの表面の上方に下に流動し、それによって、上昇する煙道ガス流と反応する液体のフィルムを形成する。充填ユニットは、液体吸収剤と煙道ガス流との間の界面面積および接触時間を向上させるように設計される。発電所から解放されたCO2の>90%を捕捉するために(煙道ガス流量は、100~800kg/秒で変動し得る)、充填床反応器は、吸収が行われるために十分な面積および時間を提供するために十分に大きいことが必要である。結果として、充填床反応器を備えている吸収塔は、常に、直径において10メートルを超え、高さにおいて20メートルを超え、そのような炭素捕捉システムに関する全体的資本要件の約30%の原因となる。法外に高価な費用は、世界で28基しか大規模な炭素捕捉施設が存在しない主な理由であり、これらの吸収塔のサイズを減らすことは、燃焼後炭素捕捉システムの実用性を向上させることに役立つであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
例えば、燃焼排気流中のCO2の量を減らすことを含むガス流中の1つ以上の種の量を減らすためのシステムおよび方法が、概して、説明される。本発明は、下記に識別される独立請求項および他の請求項の内容において要約される。本開示の主題は、ある場合、相互に関連する製品、特定の問題に対する代替解決策、および/または1つ以上のシステムおよび/または物品の複数の異なる使用を伴う。
【0006】
いくつかの実施形態において、ガス流からガス状種を除去するためのシステムが、説明され、システムは、ガス流を受け取るための入口と、ガス流を解放するための出口とを有するガス流動経路であって、ガス流は、出口において、入口におけるガス流中に含まれるより少ないガス状種を含むガス流動経路と、ガス流動経路に沿ったガス状種吸収区域と、液体ミストをガス状種吸収区域の中に導入するように構成されている液体ミストの源であって、ガス状種吸収区域は、ガス流から液体ミストへのガス状種のうちの少なくとも一部の移送を促進する条件下で、ガス流に液体ミストをさらすように構成されている、液体ミストの源と、ガス状種吸収区域に流体的に接続され、ガス流から液体ミストの少なくとも一部を静電気的に分離するように構成されているガス流動経路に沿った静電分離区域とを備えている。
【0007】
ある実施形態において、ガス流からガス状種を除去するためのシステムは、ガス流を受け取るための入口と、ガス流を解放するための出口とを有するガス流動経路であって、ガス流は、出口において、入口におけるガス流中に含まれるより少ないガス状種を含むガス流動経路と、ガス流動経路に沿ったガス状種吸収区域と、液体ミストをガス状種吸収区域の中に導入するように構成されている液体ミストの源であって、ガス状種吸収区域は、ガス流から液体ミストへのガス状種のうちの少なくとも一部の移送を促進する条件下で、ガス流に液体ミストをさらすように構成され、液体ミストは、複数の液滴を備え、複数の液滴のうちの各液滴は、70マイクロメートル以下の最大特徴的寸法を有する、液体ミストの源と、ガス種吸収区域に流体的に接続され、ガス流から液体ミストの少なくとも一部を分離するように構成されているガス流動経路に沿った分離区域とを備えている。
【0008】
いくつかの実施形態によると、ガス流からガス状種を除去するためのシステムは、ガス流を受け取るための入口とガス流を解放するための出口とを有するガス流動経路であって、ガス流は、出口において、入口におけるガス流中に含まれるより少ないガス状種を含む、ガス流動経路と、ガス流動経路に沿ったガス状種吸収区域と、ガス状種吸収区域に関連付けられた吸収剤とを備え、ガス状種吸収区域は、ガス流から吸収剤へのガス状種のうちの少なくとも一部の移送を促進する条件下で、ガス流に吸収剤をさらすように構成され、吸収剤とガス流との間の界面面積は、それ以外は本質的に同じである充填床反応器を備えている吸収塔における比較吸収剤と比較ガス流との間の界面面積より少なくとも10倍大きい。
【0009】
ある実施形態によると、ガス流からガス状種を除去する方法が、説明され、方法は、ガス状種を含むガス流を液体ミストにさらすことであって、液体ミストは、ガス状種と反応するように構成された反応物質を備えている、ことと、ガス状種吸収区域において、液体ミストによるガス流からのCO2の少なくとも50%の吸収をもたらす反応物質とガス状種との間の反応を実行することと、ガス状吸収区域に流体的に接続された分離区域において、ガス流から液体ミストの少なくとも一部を分離することとを含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、ガス流からガス状種を除去する方法は、ガス状種を含むガス流を液体ミストにさらすことであって、液体ミストは、ガス状種と反応するように構成された反応物質を備えている、ことと、ガス状種吸収区域において、液体ミストによるガス流からのガス状種の少なくとも50%の吸収をもたらす反応物質とガス状種との間の反応を実行することとを含み、1時間あたりに吸収されるガス状種のモル量のガス状種吸収区域の容積に対する比率は、それ以外は本質的に同じである充填床反応器を備えている吸収塔における同じ比率より少なくとも5倍大きい。
【0011】
本開示の他の利点および新規の特徴が、付随の図面と併せて考慮されるとき、本開示の種々の非限定的実施形態の以下の詳細な説明から明白となるであろう。本明細書および参照することによって組み込まれる文書が、相反する、および/または矛盾する開示を含む場合において、本明細書が、優先されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本開示の非限定的実施形態が、概略的であり、別様に示されない限り、縮尺通りに描かれることを意図していない付随の図面を参照して、例として説明されるであろう。図では、図示される各同じまたはほぼ同じ構成要素が、典型的に、単一の数字によって表される。明確にする目的のために、全ての構成要素が、全ての図に標識化されるわけではない、または当業者が本開示を理解することを可能にするために図示が必要ではない場合、本開示の各実施形態の全ての構成要素が、示されるわけではない。
【0013】
【
図1】
図1は、いくつかの実施形態によるガス流からガス状種を除去するためのシステムの概略図を示し、システムは、ガス状種吸収区域と、分離区域とを備えている。
【
図2】
図2は、いくつかの実施形態によるガス流からガス状種を除去するためのシステムの概略図を示し、システムは、ガス状種吸収区域と分離区域との間の流体接続を備えている。
【
図3】
図3は、いくつかの実施形態による複数の液滴の概略図を示す。
【
図4】
図4は、いくつかの実施形態による静電分離区域の概略図を示す。
【
図5】
図5は、いくつかの実施形態によるガス流からガス状種を除去するためのシステムの概略図を示し、システムは、ガス状種センサを備えている。
【
図6】
図6は、いくつかの実施形態によるガス流からガス状種を除去するためのシステムの概略図を示し、システムは、スクラバを備えている。
【
図7】
図7は、いくつかの実施形態によるガス流からガス状種を除去するためのシステムの概略図を示し、システムは、ストリッパを備えている。
【
図8A】
図8Aは、いくつかの実施形態による従来の吸収システムの概略図を示す。
【
図8B】
図8Bは、いくつかの実施形態による2段階ミストベースの吸収システムの概略図を示す。
【
図8C】
図8Cは、いくつかの実施形態による吸収器長および液滴サイズの関数としてのミストベースのCO
2捕捉に関する計算されたCO
2捕捉効率を示す。
【
図8D】
図8Dは、いくつかの実施形態による異なる平均ミスト液滴直径に関する長さの関数としての静電デミスタユニットに関する計算されたミスト捕捉効率を示す。
【
図9A】
図9Aは、いくつかの実施形態によるスケールダウンされた2段階ミストベースの吸収システムの概略図を示す。
【
図9B】
図9Bは、いくつかの実施形態によるミスト化ユニットによって生じさせられた液滴パラメータのヒストグラムを示す。
【
図10A】
図10Aは、いくつかの実施形態による時間の関数としてプロットされたCO
2捕捉効率を示す。
【
図10B】
図10Bは、いくつかの実施形態による実験設定および産業システムの正規化されたガス流束の比較を示す。
【
図10C】
図10Cは、いくつかの実施形態による時間の関数としてのCO
2濃度を示す。
【
図10D】
図10Dは、いくつかの実施形態による異なる濃度の水酸化カリウム(KOH)に関する時間の関数としてのCO
2捕捉効率を示す。
【
図11A】
図11Aは、いくつかの実施形態によるいかなるコロナ放電も伴わないミスト捕捉ユニットの概略図を示す。
【
図11B】
図11Bは、いくつかの実施形態によるコロナ放電を伴うミスト捕捉ユニットの概略図を示す。
【
図11C】
図11Cは、いくつかの実施形態によるコロナ放電下にないデミスト化ユニットの退出口のデジタル写真を示す。
【
図11D】
図11Dは、いくつかの実施形態によるコロナ放電下のデミスト化ユニットの退出口のデジタル写真を示す。
【
図11E】
図11Eは、いくつかの実施形態によるガス流量および印加電圧の関数としてのミスト捕捉効率を示す。
【
図12】
図12は、いくつかの実施形態によるCO
2濃度の関数としての吸収円柱を伴う従来のCO
2捕捉システムに関する資本支出(CAPEX)分割を示す。
【
図13】
図13は、いくつかの実施形態による従来のCO
2捕捉システムにおける流動流の概略図を示す。
【
図14】
図14は、いくつかの実施形態による2段階ミストベースのシステムにおける流動流の概略図を示す。
【
図15】
図15は、いくつかの実施形態によるスプレー塔からの落下液滴または吸収塔における充填床にわたって流動する薄いフィルムと比較したミスト液滴に関する表面積対体積比の向上を示す。
【
図16】
図16は、いくつかの実施形態によるガス流動とともに同伴されたミスト液滴の顕微鏡画像を示す。
【
図17】
図17は、いくつかの実施形態によるミストサイズ液滴直径分布を示す。
【
図18】
図18は、いくつかの実施形態による煙道ガスによって包囲されるミスト液滴の概略図を示す。
【
図19】
図19は、いくつかの実施形態によるメッシュ上に収集された脱イオン化(DI)水のpHの変化を示す。
【
図20】
図20は、いくつかの実施形態による液滴荷電および収集器電極に向かう再指向を示す空間電荷注入の概略図を示す。
【
図21A】
図21Aは、いくつかの実施形態による空間電荷注入を印加する前にガス流動とともに流動するミスト液滴の画像を示す。
【
図21B】
図21Bは、いくつかの実施形態による空間電荷注入を印加した後にメッシュ収集器電極上に収集されるミスト液滴の画像を示す。
【
図22A】
図22Aは、いくつかの実施形態による電場を印加する前に円筒形チャンバからガス流動とともに退出するミスト液滴の画像を示す。
【
図22B】
図22Bは、いくつかの実施形態による電場を印加した後に円筒形チャンバの内側に捕捉されているミスト液滴の画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
例えば、燃焼排気流中のCO2の量を減らすことを含むガス流中の1つ以上の種の量を減らすためのシステムおよび方法が、概して、説明される。例えば、1つ以上のガスおよび/または1つ以上の微粒子を含む様々な種のうちのいずれかが、ガス流から除去されることができる。いくつかの実施形態において、ガス流から除去されるべきガスの例は、CO2、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O)、オゾン(O3)、フッ素化ガス、および/またはそれらの組み合わせ等の温室効果ガスを含む。下記の開示の多くでは、燃焼排気流からのCO2除去が、議論および例示されるが、本開示が、当業者が、概して、本明細書に議論される教示に従うことによって、燃焼排気流からCO2を除去するだけではなく、同じまたは類似する技法を使用して他のガス流から他の種を除去することをも可能にすることを理解されたい。
【0015】
いくつかの実施形態において、1つ以上のスプレー塔を備えている吸収システムが、使用されることができるか、または、1つ以上のスプレー塔を備えている吸収システムが、スプレー塔を備えている従来の吸収システムと比較してはるかに改良されるように修正されることができる。従来のスプレー塔では、吸収剤(例えば、吸収剤液体)の液滴が、液滴がガス流から1つ以上の種(例えば、CO2)を吸収するように、ガス流(例えば、煙道ガス)にさらされる。1つ以上の種を吸収した後、液滴は、(例えば、重力を介して)スプレー塔の底部に収集される。
【0016】
吸収システムでは、吸収剤とガス流との間の界面面積は、概して、吸収剤とガス流との間の接触表面積として定義される。
【0017】
式1は、従来の化学吸収プラントにおいて利用される充填床反応器を備えている吸収塔における液体フィルムと比較した、液滴によって与えられる界面面積に対する向上を実証する。
【数1】
【0018】
式1において、Apは、充填床の面積であり、Vは、液体吸収剤の体積であり、tは、充填床における液体フィルムの厚さであり、Adは、同じ体積の吸収剤を構成するであろう液滴の面積であり、RおよびDは、それぞれ、液滴半径および直径である。式1から分かるように、同じ特徴的長さに関して、液滴は、充填床反応器において使用される液体フィルムよりかなり高い界面面積を提供する。しかしながら、この利点にもかかわらず、いくつかの従来のスプレー塔は、充填床反応器と比較して、実践においてより低いCO2捕捉効率をもたらす。ある場合、例えば、スプレー塔の壁への液滴損失が、存在し得、それは、吸収システムの全体的CO2捕捉効率を減らす。
【0019】
従来のスプレー塔は、向流システムであり、したがって、吸収剤液滴を収集するために重力に依拠する。液滴は、数百マイクロメートルより小さくあり得ない。なぜなら、それらは、ガス流によって同伴され、吸収システムの排気出口を通して逃げ出し得るからである。受動的デミスタが、従来のスプレー塔において採用され得るが、それらは、排気流に不都合な背圧を導入し、高い液体装填率において一貫して失敗する傾向がある。さらに、大きすぎる液滴は、より遅い反応率を有し、スプレー塔を通してより速く落下する。液滴によって与えられる高い界面面積に関連付けられる利益は、したがって、従来のスプレー塔において十分に活用されることができない。
【0020】
本発明者らは、2段階ミストベースの吸収が、ガス流(例えば、燃焼排気流)から1つ以上の標的ガス状種(例えば、CO2)を効率的に除去し得ることを認識および理解している。ある実施形態において、システムの構成は、有利なこととして、例えば、1つ以上の充填床反応器を備えている従来の吸収システムと比較して、吸収剤とガス流との間の界面面積を増加させる一方、吸収効率へのいかなる不利益も伴わずに、システムの全体的サイズを減少させる。いくつかの実施形態によると、第1の段階(例えば、吸収段階)中、液体ミストの形態における吸収剤が、液体ミストが1つ以上の標的ガス状種を吸収するように、1つ以上の標的ガス状種を含むガス流にさらされる。ある実施形態において、第2の段階(例えば、分離段階)中、静電配置が、液体ミストを収集器に駆動する電気力を介して液体ミストを帯電させ、それによって、ガス流から液体ミストおよび吸収された標的ガス状種を分離するために、利用される。
【0021】
いくつかの実施形態において、液体ミストが、説明され、液体ミストは、ガス状種吸収区域においてガス流(例えば、燃焼排気流)からガス状種(例えば、CO2)を吸収し、それによって、ガス流から少なくとも部分的にガス状種を除去するように構成される。ある実施形態において、液体ミストは、(例えば、溶解を介して)ガス状種を吸収するように構成されている反応物質および/または触媒(例えば、吸収剤)を備えている。いくつかの実施形態において、反応物質および/または触媒(例えば、吸収剤)は、ガス状種の反応を引き起こし、および/または、促進し、それによって、ガス状種を変化させ(例えば、化学的に変化させ)、および/または、ガス流から少なくとも部分的にガス状種を除去する。
【0022】
いくつかの実施形態によると、液体ミストは、例えば、従来の吸収塔および/またはスプレー塔と比較して、ガス流からの1つ以上のガス状種のより効果的かつ効率的な除去および/または反応を促進するために、ガス流との高接触表面積(例えば、界面面積)を提供するために十分に小さいサイズ(例えば、最大直径)を伴う液滴を備えている。ある実施形態において、液滴の小さい平均サイズに起因して、液体ミストは、ガス流の中に同伴された状態になり得る。いくつかのそのような実施形態において、液体ミストは、より詳細に本明細書に説明されるように、ガス流から分離され得る。
【0023】
単独で、または本開示の他の側面と組み合わせて使用され得るある実施形態において、液体ミストは、ガス流から静電気的および/または物理的に分離され得る。いくつかの実施形態において、例えば、静電分離区域が、液体ミストがガス流から1つ以上の種を吸収した後、ガス流から液体ミストの少なくとも一部を分離するために使用される。いくつかの実施形態によると、静電分離区域は、液体ミストの少なくとも一部を収集区域に引き付けるように、および/または導くように構成された静電構成要素を備え得、収集区域において、液体ミストは、収集され、随意に、例えば、吸収システムにおけるさらなる使用のために再生利用されることができる。ある実施形態において、ガス流からの液体ミストの物理的分離は、概して、液体ミストを備えているガス流が、そこで液体ミストが吸収および/または吸収される表面(例えば、メッシュおよび/または多孔性表面)に遭遇することを可能にすることを伴う。
【0024】
いくつかの実施形態によると、ガス流からガス状種を除去するためのシステム(例えば、吸収システム)が、本明細書に説明される。
図1は、いくつかの実施形態によるガス流104からガス状種を除去するためのシステム100aの概略図を示す。
【0025】
ある実施形態において、システムは、ガス流動経路を備えている。
図1を参照すると、例えば、システム100aは、図に点線矢印によって表されるガス流動経路102を含む配置の一例を示す。いくつかの実施形態において、ガス流動経路は、ガス流を受け取るための入口を有する。
図1に図示される実施形態に示されるように、例えば、ガス流動経路102は、ガス流104aを受け取るための入口106を有する。ある実施形態において、ガス流動経路は、ガス流を解放するための出口も有する。
図1に図示される実施形態に示されるように、例えば、ガス流動経路102は、ガス流104bを解放するための出口108を有する。いくつかの実施形態によると、入口および/または出口は、ガス流動経路に沿ったガス流の流動を促進するために、1つ以上の送風機および/またはファンに関連付けられ得る。
【0026】
ガス流動経路に関する様々な適切な配置のうちのいずれかが、提供されることができる。当業者は、本開示の全体に基づいて、ガス流動経路が、入口において導入されるガス流の一部または全てを出口に向かって、それを通して導くような任意の方法で構築され得ることを認識するであろう。ガス流動経路は、例えば、多くの場合、類似するガス処理プロセスにおいて使用される標準的材料および/または、所望される場合、ガス流動経路におけるガスによる腐食に耐性がある選定された材料を含む様々な適切な材料のうちのいずれかから構築されることができる。
【0027】
ガス流は、様々な適切な流速(m/秒単位で測定される)または面積あたりのガス流束((m3/秒)/(m2)単位で測定される)のうちのいずれかを有し得る。ある実施形態において、例えば、ガス流は、0.1m/秒以上、0.5m/秒以上、1m/秒以上、2m/秒以上、3m/秒以上、4m/秒以上、5m/秒以上、6m/秒以上、7m/秒以上、8m/秒以上、または9m/秒以上の流速を有する。いくつかの実施形態において、ガス流は、10m/秒以下、9m/秒以下、8m/秒以下、7m/秒以下、6m/秒以下、5m/秒以下、4m/秒以下、4m/秒以下、3m/秒以下、2m/秒以下、1m/秒以下、または0.5m/秒以下の流速を有する。上で列挙される範囲の組み合わせも、可能である(例えば、ガス流は、0.1m/秒以上であり、10m/秒以下の流速を有し、ガス流は、4m/秒以上であり、5m/秒以下の流速を有する)。他の範囲も、可能である。
【0028】
ある実施形態によると、全体的ガス流圧力降下が、ガス流動経路の入口とガス流動経路の出口との間で生じ得る。
図1を参照すると、例えば、全体的ガス流圧力降下が、ガス流動経路102の入口106とガス流動経路102の出口108との間で生じ得る。
【0029】
ガス流動経路の入口とガス流動経路の出口との間の全体的ガス流圧力降下は、様々な適切な値のうちのいずれかであり得る。いくつかの実施形態において、例えば、ガス流動経路の入口とガス流動経路の出口との間の全体的ガス流圧力降下は、1×10-5Pa以上、1×10-4Pa以上、1×10-3Pa以上、1×10-2Pa以上、1×10-1Pa以上、1Pa以上、10Pa以上、100Pa以上、または1,000Pa以上であり得る。いくつかの実施形態において、ガス流動経路の入口とガス流動経路の出口との間の全体的ガス流圧力降下は、10,000Pa以下、1,000Pa以下、100Pa以下、10P以下、1Pa以下、1×10-1Pa以下、1×10-2Pa以下、1×10-3Pa以下、または1×10-4Pa以下であり得る。上で列挙される範囲の組み合わせも、可能である(例えば、ガス流動経路の入口とガス流動経路の出口との間の全体的ガス流圧力降下は、1×10-4Pa以上であり、10,000Pa以下であり得、ガス流動経路の入口とガス流動経路の出口との間の全体的ガス流圧力降下は、1×10-1Pa以上であり、1Pa以下であり得る)。他の範囲も、可能である。ある実施形態において、ガス流動経路の入口とガス流動経路の出口との間の全体的ガス流圧力降下は、(例えば、圧力センサおよび/または圧力ゲージを使用して)ガス流動経路の入口とガス流動経路の出口との間のガス流の圧力の差異を測定することによって決定され得る。
【0030】
ある実施形態によると、全体的ガス流圧力降下は、1つ以上の充填床反応器を備えている従来の吸収塔における比較ガス流圧力降下より小さい。いくつかの実施形態において、例えば、1つ以上の充填床反応器を備えている従来の吸収塔と比較して、例えば、ガス流動経路におけるガス流動に対するより少ない抵抗が、ある。より低い全体的ガス流圧力降下は、有利なこととして、ガス流動経路に沿ったガス流の流動を促進するように構成されている1つ以上の圧力源および/またはポンプに関連付けられる費用を減らし得る。
【0031】
ある実施形態によると、ガス流は、ガス流動経路の出口において、ガス流動経路の入口におけるガス流中に含まれるより少ないガス状種を含む。
図1を参照すると、例えば、ガス流104bは、ガス流動経路102の出口108において、ガス流動経路102の入口106におけるガス流104a中に含まれるより少ないガス状種を含む。
【0032】
いくつかの実施形態において、ガス流は、ガス流動経路の出口において、ガス流動経路の入口におけるガス流中に含まれるより10%以上少ない、20%以上少ない、30%以上少ない、40%以上少ない、50%以上少ない、60%以上少ない、70%以上少ない、80%以上少ない、または90%以上少ないガス状種を含む。ある実施形態において、ガス流は、ガス流動経路の出口において、ガス流動経路の入口におけるガス流中に含まれるより100%以下少ない、90%以下少ない、80%以下少ない、70%以下少ない、60%以下少ない、50%以下少ない、40%以下少ない、30%以下少ない、または20%以下少ないガス状種を含む。上で列挙される範囲の組み合わせも、可能である(例えば、ガス流は、ガス流動経路の出口において、ガス流動経路の入口におけるガス流中に含まれるより10%以上少なく、100%以下少ないガス状種を含み、ガス流は、ガス流動経路の出口において、ガス流動経路の入口におけるガス流中に含まれるより60%以上少なく、80%以下少ないガス状種を含む)。他の範囲も、可能である。ある実施形態において、(例えば、入口における、出口における)ガス流中のガス状種の量は、ガスクロマトグラフィおよび/またはガス状種センサ(例えば、CO2センサ)によって測定され得る。
【0033】
いくつかの実施形態によると、システムは、ガス状種吸収区域を備えている。
図1を参照すると、例えば、システム100aは、ガス状種吸収区域110を備えている。ある実施形態において、下記にさらに詳細に解説されるように、ガス状種吸収区域は、吸収剤がガス流からガス状種を吸収するように、ガス流に吸収剤をさらすように構成される。
【0034】
ガス状種吸収区域は、いくつかの実施形態において、ガス流動経路に沿って位置付けられ得る。
図1に示されるように、例えば、ガス状種吸収区域110は、ガス流動経路102に沿って位置付けられる。いくつかの実施形態において、ガス状種吸収区域は、ガス流動経路の入口に流体的に接続される。
図1に示されるように、例えば、ガス状種吸収区域110は、ガス流動経路102の入口106に流体的に接続される。
【0035】
いくつかの実施形態によると、ガス状種吸収区域は、管、円柱、および/または円筒として構成され得る。ガス状種吸収区域を管、円柱、および/または円筒として構成することは、有利なこととして、ガス状種吸収区域を通したガス流動経路に沿ったガス流の流動を促進し得る。しかしながら、本開示は、この点で限定的であることを意味していないので、例えば、立方体、角柱、および/または円錐構成を含むガス状種吸収区域のための他の構成も、可能である。
【0036】
ガス状種吸収区域は、様々な適切な寸法のうちのいずれかを有し得る。いくつかの実施形態において、例えば、ガス状種吸収区域は、吸収剤とガス流との間の有利に高い界面面積を提供するために十分である十分に長い長さを有する。
図1を参照すると、例えば、ガス状吸収区域110は、長さ124aを有する。
【0037】
ガス状種吸収区域は、様々な適切な長さのうちのいずれかを有し得る。いくつかの実施形態において、例えば、ガス状種吸収区域の長さは、10センチメートル以上、50センチメートル以上、1メートル以上、2メートル以上、3メートル以上、4メートル以上、5メートル以上、10メートル以上、または20メートル以上である。ある実施形態において、ガス状種吸収区域の長さは、30メートル以下、20メートル以下、10メートル以下、5メートル以下、4メートル以下、3メートル以下、2メートル以下、1メートル以下、または50センチメートル以下である。上で列挙される範囲の組み合わせも、可能である(例えば、ガス状種吸収区域の長さは、10センチメートル以上であり、30センチメートル以下であり、ガス状種吸収区域の長さは、3メートル以上であり、4メートル以下である)。他の範囲も、可能である。
【0038】
ガス状吸収区域が、管、円柱、および/または円筒として構成されたある実施形態において、ガス状吸収区域は、様々な適切な直径のうちのいずれかを有し得る。ある実施形態において、例えば、ガス状種吸収区域は、1センチメートル以上、50センチメートル以上、1メートル以上、5メートル以上、または10メートル以上である直径を有する。いくつかの実施形態において、ガス状種吸収区域は、20メートル以下、10メートル以下、5メートル以下、1メートル以下、または50センチメートル以下の直径を有する。上で列挙される範囲の組み合わせも、可能である(例えば、ガス状種吸収区域は、1センチメートル以上であり、20メートル以下の直径を有し、ガス状種吸収区域は、1メートル以上であり、5メートル以下の直径を有する)。他の範囲も、可能である。
【0039】
ガス状種吸収区域は、様々な適切な材料のうちのいずれかを備え得る。いくつかの実施形態によると、例えば、ガス状種吸収区域は、金属、金属合金、クラッド材料、セラミック、プラスチック、炭素系材料、および/またはそれらの組み合わせを備え得る。他の材料も、可能である。ある実施形態において、ガス状種吸収区域材料は、少なくとも部分的にコーティングされ得る。例えば、いくつかの実施形態において、ガス状種吸収区域材料は、耐腐食性材料(例えば、耐腐食性金属または合金でコーティングされたプラスチック)でコーティングされ得る。
【0040】
ある実施形態において、ガス状種吸収区域は、非充填床反応器である。いくつかの実施形態によると、例えば、ガス状種吸収区域は、充填床反応器を備えていない。
【0041】
いくつかの実施形態によると、ガス状種吸収区域は、ガス流と吸収剤との間の相互作用を向上させるために、様々な適切な流体構成要素のうちのいずれかを備え得る。ある実施形態において、例えば、ガス状種吸収区域は、ガス流と吸収剤との間の相互作用を最大化するように構成されている1つ以上の二次循環流動プロモータ、流動妨害プロモータ、および/または乱流プロモータを備え得る。
【0042】
ガス状種吸収区域は、吸収剤によるガス流からのガス状種の吸収を促進するために、様々な適切な温度および/または圧力のうちのいずれかを有し得る。いくつかの実施形態において、例えば、増加させられた温度(例えば、室温に対して)は、吸収剤の中へのガス状種の溶解および/または吸収剤とガス状種との間の反応を向上させ得るが、吸収剤のより速い蒸発率にも寄与し得る。ある実施形態において、ガス状種吸収区域の増加させられた全体的圧力は、吸収剤の中へのガス状種の溶解および/または吸収剤とガス状種との間の反応を向上させ得るが、経済的観点から非実践的でもあり得る。故に、ある実施形態において、ガス状種吸収区域の温度および/または全体的圧力は、吸収剤の蒸発および/または増加させられた費用を回避しながら、ガス流からのガス状種の吸収を促進するために、吸収剤、標的ガス状種、および/またはガス流の成分に応じて、ユーザによって調整および/または選定され得る。
【0043】
ある実施形態によると、システムは、吸収剤を備えている。
図1を参照すると、例えば、システム100aは、吸収剤116を備えている。吸収剤116は、いくつかの実施形態において、ガス状種吸収区域110に関連付けられ得る。ある実施形態において、例えば、ガス状種吸収区域110は、(例えば、ガス状流動経路102に沿って)ガス流104に吸収剤116をさらすように構成される。いくつかの実施形態によると、吸収剤116は、ガス流104から吸収剤116へのガス状種のうちの少なくとも一部の移送を促進する条件下で(例えば、ガス状種吸収区域110内で)ガス流104にさらされる。例えば、吸収剤の濃度および/またはサイズ、温度、圧力、および/または流体条件を含むガス流から吸収剤へのガス状種のうちの少なくとも一部の移送を促進する適切な条件が、さらに詳細に本明細書に解説される。
【0044】
いくつかの実施形態によると、吸収剤(例えば、液体吸収剤)は、ガス状種が吸収剤の中に溶解するように構成され得る。いくつかの実施形態において、吸収剤は、反応物質および/または触媒であり得、反応物質および/または触媒は、ガス状種の反応を引き起こし、および/または促進し、それによって、ガス状種を変化させ(例えば、化学的に変化させ)、および/または、ガス流から少なくとも部分的にガス状種を除去する、。いくつかの実施形態において、例えば、吸収剤は、ガス流中のガス状種と反応し得る(例えば、化学的に反応する)。いくつかのそのような実施形態において、吸収剤は、ガス状種と相互作用し、ガス流からガス状種を除去し得る。ある実施形態において、吸収剤とガス状種との間の相互作用は、1つ以上の結合相互作用(例えば、化学結合相互作用)である。吸収剤とガス状種との間の様々な適切な結合相互作用(例えば、共有結合、イオン結合、双極子-双極子相互作用、ファンデルワールス相互作用、ロンドン分散力、および/または水素結合を含む、)のうちのいずれかが、可能である。
【0045】
様々な適切な吸収剤のうちのいずれかが、採用され得る。ある実施形態によると、事実上任意の吸収剤が、本明細書に説明されるシステムにおいて使用され得る。いくつかの実施形態において、吸収剤は、アミン含有化合物(例えば、モノエタノールアミン(MEA)、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(AMP))、水酸化物(例えば、水酸化カリウム(KOH))、アンモニア、キノン、アミノ酸、イオン液体、および/またはそれらの組み合わせを備えている。他の吸収剤も、可能である。
【0046】
ある実施形態において、吸収剤は、液体形態であり得る(例えば、吸収剤は、標準的温度および圧力において液体として存在する)。吸収剤は、いくつかの実施形態において、混合物(例えば、吸収剤混合物)を備え得る。いくつかの実施形態において、例えば、吸収剤混合物は、液体(例えば、水)中に溶解および/または分散される反応物質(例えば、上記に説明される吸収剤のうちのいずれか)を備えている。
【0047】
吸収剤混合物は、様々な適切な量のうちのいずれかにおける反応物質を備え得る。ある実施形態において、例えば、吸収剤混合物は、吸収剤混合物の全重量に対して5重量パーセント(wt.%)以上、10wt.%以上、20wt.%以上、30wt.%以上、または40wt.%以上の量における反応物質を備えている。いくつかの実施形態において、吸収剤混合物は、吸収剤混合物の全重量に対して50wt.%以下、40wt.%以下、30wt.%以下、20wt.%以下、または10wt.%以下の量における反応物質を備えている。上で列挙される範囲の組み合わせも、可能である(例えば、吸収剤混合物は、吸収剤混合物の全重量に対して5wt.%以上であり、50wt.%以下の量における反応物質を備え、吸収剤混合物は、吸収剤混合物の全重量に対して20wt.%以上であり、30wt.%以下の量における反応物質を備えている)。他の範囲も、可能である。
【0048】
ある実施形態において、吸収剤混合物は、1つ以上の添加剤を備え得る。ある実施形態において、例えば、吸収剤混合物は、ガス状種を吸収し、それによって、ガス状種に関する吸収剤混合物の除去効率を向上させるように構成されているナノ粒子を備えている。ナノ粒子は、いくつかの実施形態において、随意に、ガス状種を吸収するように構成された1つ以上の官能基で官能基化され得る。例えば、界面活性剤を含む他の添加剤も、可能である。
【0049】
ある実施形態によると、システムは、(例えば、吸収剤に加えて、またはその代わりに)吸収剤を備え得る。吸収剤は、いくつかの実施形態において、ガス流からガス状種を吸収するように構成され得る。適切な吸収剤は、例えば、ナノ流体を含む。ある実施形態において、ナノ流体は、ナノ粒子を備えている流体を備えている。ナノ粒子は、いくつかの実施形態において、随意に、ガス状種を吸収するように構成された1つ以上の官能基で官能基化され得る。
【0050】
いくつかの実施形態において、吸収剤は、液体ミストの形態である。
図1を参照すると、例えば、吸収剤116は、液体ミストの形態であり得る。ある実施形態において、システムは、吸収剤(例えば、液体吸収剤)および/または吸収剤混合物(例えば、液体中に溶解および/または分散される反応物質)を液体ミストに変換するように構成されている液体ミストの源を備え得る。
図1に示されるように、例えば、システム100aは、液体ミストの源112を備えている。ある実施形態によると、液体ミストの源112は、ガス状種吸収区域110の中に液体ミストを導入するように構成され、それによって、液体ミストは、ガス流104から液体ミストへのガス状種のうちの少なくとも一部の移送を促進する条件下で(例えば、ガス流動経路102に沿って)ガス流104にさらされる。ある実施形態において、例えば、液体ミストの源112は、分注器122に流体的に接続され、分注器122は、ガス状種吸収区域110の中に液体ミストを分注するように構成される。いくつかの非限定的実施形態において、例えば、分注器は、ガス状種吸収区域の中に液体ミストを噴霧するように構成されたノズルであり得る。しかしながら、本開示は、この点で限定的であることを意味していないので、他の分注器も、可能である。
【0051】
液体ミストの源は、様々な適切な液体ミスト源のうちのいずれかであり得る。いくつかの実施形態において、例えば、液体ミストの源は、超音波ミストおよび/または霧ユニット、ミストおよび/または霧発生器、ミストおよび/または霧ファン、ミストおよび/または霧噴霧器、および/またはアトマイザである。他の液体ミストの源も、可能である。
【0052】
ある実施形態において、液体ミストは、複数の液滴(例えば、液体液滴)を備えている。
図3は、いくつかの実施形態による複数の液滴300の概略図を示す。
【0053】
複数の液滴のうちの各液滴は、様々な適切な形状のうちのいずれかを有し得る。いくつかの実施形態において、例えば、
図3に示されるように、複数の液滴300のうちの各液滴301は、実質的に球形である。他の実施形態において、本開示は、この点で限定的であることを意味していないので、複数の液滴のうちの少なくとも一部は、実質的に非球形である。
【0054】
複数の液滴のうちの各液滴は、様々な適切なサイズのうちのいずれかを有し得る。いくつかの実施形態において、複数の液滴のうちの各液滴は、最大特徴的寸法(例えば、最大直径)を有する。
図3を参照すると、例えば、複数の液滴300のうちの各液滴301は、最大特徴的寸法302(例えば、最大直径)を有する。ある実施形態において、複数の液滴のうちの各液滴の最大特徴的寸法は、例えば、1つ以上の充填床反応器を備えている従来の吸収塔と比較して、液体ミストとガス流との間の増加させられた界面表面積を提供するために十分に小さくあり得る。
【0055】
複数の液滴のうちの各液滴の最大特徴的寸法は、様々な適切な値のうちのいずれかであり得る。ある実施形態によると、複数の液滴のうちの各液滴は、0.1マイクロメートル以上、0.5マイクロメートル以上、1マイクロメートル以上、10マイクロメートル以上、20マイクロメートル以上、30マイクロメートル以上、40マイクロメートル以上、50マイクロメートル以上、60マイクロメートル以上、70マイクロメートル以上、80マイクロメートル以上、または90マイクロメートル以上の最大特徴的寸法(例えば、最大直径)を有し得る。ある実施形態において、複数の液滴のうちの各液滴は、100マイクロメートル以下、90マイクロメートル以下、80マイクロメートル以下、70マイクロメートル以下、60マイクロメートル以下、50マイクロメートル以下、40マイクロメートル以下、30マイクロメートル以下、20マイクロメートル以下、10マイクロメートル以下、1マイクロメートル以下、または0.5マイクロメートル以下の最大特徴的寸法(例えば、最大直径)を有する。上で列挙される範囲の組み合わせも、可能である(例えば、複数の液滴のうちの各液滴は、0.1マイクロメートル以上であり、100マイクロメートル以下の最大特徴的寸法を有し、複数の液滴のうちの各液滴は、40マイクロメートル以上であり、60マイクロメートル以下の最大特徴的寸法を有する)。他の範囲も、可能である。ある実施形態において、液滴の最大特徴的寸法(例えば、最大直径)は、走査電子顕微鏡(SEM)および/または透過電子顕微鏡(TEM)によって決定され得る。
【0056】
いくつかの実施形態によると、当業者によって認識可能であろうように、複数の液滴は、複数の液滴のうちの各液滴が、0.1マイクロメートル以上と100マイクロメートル以下との間の最大特徴的寸法を有するようなサイズ分布を有し得る。いくつかの実施形態において、あるサイズ分布を有する複数の液滴のうちの液滴のうちの少なくともいくつかは、上で列挙される最大特徴的寸法より大きい、および/または小さい最大特徴的寸法(例えば、最大直径)を有し得る。
【0057】
ある実施形態によると、複数の液滴の平均寸法(例えば、平均直径)は、0.1マイクロメートル以上、0.5マイクロメートル以上、1マイクロメートル以上、10マイクロメートル以上、20マイクロメートル以上、30マイクロメートル以上、40マイクロメートル以上、50マイクロメートル以上、60マイクロメートル以上、70マイクロメートル以上、80マイクロメートル以上、または90マイクロメートル以上であり得る。いくつかの実施形態において、複数の液滴の平均寸法(例えば、平均直径)は、100マイクロメートル以下、90マイクロメートル以下、80マイクロメートル以下、70マイクロメートル以下、60マイクロメートル以下、50マイクロメートル以下、40マイクロメートル以下、30マイクロメートル以下、20マイクロメートル以下、10マイクロメートル以下、1マイクロメートル以下、または0.5マイクロメートル以下であり得る。上で列挙される範囲の組み合わせも、可能である(例えば、複数の液滴の平均寸法は、0.1マイクロメートル以上であり、100マイクロメートル以下であり、複数の液滴の平均寸法は、40マイクロメートル以上であり、60マイクロメートル以下である)。他の範囲も、可能である。ある実施形態において、複数の液滴の平均寸法は、SEMおよび/またはTEMによって決定され得る。
【0058】
ある実施形態によると、液体ミストの液滴のサイズ(例えば、最大特徴的寸法、平均寸法)に起因して、液滴は、吸収段階中にガス流の中に同伴され得る。いくつかの実施形態において、本明細書にさらに詳細に解説されるように、液体ミストの液滴は、分離段階中にガス流から分離され得る。
【0059】
ある実施形態によると、システムは、例えば、1つ以上の充填床反応器を備えている従来の吸収塔と比較して、ガス状種吸収区域内の吸収剤とガス流との間の高い界面面積を有し得る。吸収剤とガス流との間の高い界面面積は、有利なこととして、吸収剤とガス流との間の表面積接触に起因して、ガス流内の標的種のより高い吸収効率を提供する。
【0060】
いくつかの実施形態において、ガス状種吸収区域内の吸収剤とガス流との間の界面面積は、それ以外は本質的に同じである1つ以上の充填床反応器を備えている吸収塔における比較吸収剤と比較ガス流との間の界面面積より、少なくとも10倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも200倍、少なくとも300倍、少なくとも400倍、少なくとも500倍、少なくとも600倍、少なくとも700倍、少なくとも800倍、または少なくとも900倍大きい。ある実施形態において、ガス状種吸収区域内の吸収剤とガス流との間の界面面積は、それ以外は本質的に同じである1つ以上の充填床反応器を備えている吸収塔における比較吸収剤と比較ガス流との間の界面面積より1,000倍以下、900倍以下、800倍以下、700倍以下、600倍以下、500倍以下、400倍以下、300倍以下、200倍以下、100倍以下、または50倍以下大きい。上で列挙される範囲の組み合わせも、可能である(例えば、ガス状種吸収区域内の吸収剤とガス流との間の界面面積は、それ以外は本質的に同じである1つ以上の充填床反応器を備えている吸収塔における比較吸収剤と比較ガス流との間の界面面積より少なくとも10倍大きく、1000倍以下大きく、ガス状種吸収区域内の吸収剤とガス流との間の界面面積は、それ以外は本質的に同じである1つ以上の充填床反応器を備えている吸収塔における比較吸収剤と比較ガス流との間の界面面積より少なくとも400倍大きく、500倍以下大きい)。他の範囲も、可能である。
【0061】
ある実施形態によると、それ以外は本質的に同じである1つ以上の充填床反応器を備えている吸収塔における比較吸収剤および比較ガス流と比較した界面面積の増加は、以下に起因する:(i)液体ミストの液滴の十分に小さいサイズ(例えば、最大特徴的寸法、平均寸法);(ii)ガス状種吸収区域の十分に小さいサイズ(例えば、長さ、直径);および/または(iii)吸収塔における1つ以上の充填床反応器と比較したガス状種吸収区域内の液滴のより密な充填。
【0062】
いくつかの実施形態によると、システムは、分離区域を備えている。
図1を参照すると、例えば、システム100aは、分離区域114を備えている。下記にさらに詳細に解説されるように、分離区域は、いくつかの実施形態において、ガス流から(例えば、液体ミストの形態における)吸収剤の少なくとも一部を分離するように構成される。
【0063】
分離区域は、いくつかの実施形態において、ガス流動経路に沿って位置付けられ得る。
図1に示されるように、例えば、分離区域114は、ガス流動経路102に沿って(例えば、ガス状種吸収区域110から上流に)位置付けられる。ある実施形態において、分離区域は、ガス状種吸収区域に流体的に接続される。
図1を参照すると、例えば、分離区域114は、ガス状種吸収区域110に流体的に接続される。
【0064】
いくつかの実施形態において、分離区域は、静電分離区域である。
図1を参照すると、例えば、分離区域114は、いくつかの実施形態において、静電分離区域であり得る。ある実施形態において、静電分離区域は、静電構成要素を備えている。
図1に示されるように、例えば、分離区域114は、静電構成要素118を備えている。静電分離区域は、いくつかの実施形態において、ガス流から液体ミストの少なくとも一部を静電気的に分離するように構成され得る。ある実施形態において、例えば、静電分離区域は、液体ミストを備えているガス流を静電構成要素からの空間電荷注入(例えば、コロナ放電)にさらすように構成される。
【0065】
図4は、いくつかの実施形態による静電分離区域の概略図を示す。静電分離区域は、いくつかの実施形態において、少なくとも1つのエミッタ電極と、少なくとも1つの収集器電極とを備えている静電構成要素を備え得る。
図4を参照すると、例えば、静電分離区域114は、エミッタ電極402と、収集器電極404(例えば、404aおよび404b)とを備えている静電構成要素118を備えている。いくつかの実施形態において、1つ以上のエミッタ電極は、ガス流動経路に関連付けられ得る。
図4に示されるように、例えば、エミッタ電極402は、ガス流がガス流動経路102に沿ってエミッタ電極402に近接して流動するように、ガス流動経路102に関連付けられる。1つ以上の収集器電極は、ある実施形態において、静電構成要素の1つ以上の壁および/または囲いに関連付けられ得る。
図4を参照すると、例えば、収集器電極404aは、静電構成要素118の壁および/または囲い406aに関連付けられ、収集器電極404bは、静電構成要素118の壁および/または囲い406bに関連付けられる。
【0066】
少なくとも1つのエミッタ電極は、様々な適切な材料のうちのいずれかを備え得る。少なくとも1つのエミッタ電極材料は、いくつかの実施形態において、電子を伝導することが可能であり得る。いくつかの実施形態によると、少なくとも1つのエミッタ電極は、耐腐食性材料であり得る。ある実施形態において、例えば、少なくとも1つのエミッタ電極は、金属(例えば、モリブデン、タングステン)、金属酸化物、および/または合金を備えている。少なくとも1つのエミッタ電極は、いくつかの実施形態において、少なくとも1つのエミッタ電極の安定性および/または寿命を改良するために、1つ以上の複合材料および/または1つ以上のコーティング(例えば、少なくとも1つのエミッタ電極の外部表面上)を備え得る。ある非限定的実施形態において、エミッタ電極は、ワイヤ電極である。
【0067】
少なくとも1つの収集器電極は、様々な適切な材料のうちのいずれかを備え得る。少なくとも1つの収集器電極材料は、いくつかの実施形態において、電子を伝導することが可能であり得る。ある実施形態によると、少なくとも1つの収集器電極は、耐腐食性材料であり得る。いくつかの実施形態において、例えば、少なくとも1つの収集器電極は、金属、金属酸化物、および/または合金を備えている。少なくとも1つの収集器電極は、いくつかの実施形態において、少なくとも1つの収集器電極の安定性および/または寿命を改良するために、1つ以上の複合材料および/または1つ以上のコーティング(例えば、少なくとも1つのエミッタ電極の外部表面上)を備え得る。ある非限定的実施形態において、収集器電極は、環状円筒形電極である。
【0068】
ある実施形態において、少なくとも1つのエミッタ電極は、ガス流がガス流動経路に沿って流動しているとき、同伴された液体ミストを備えているガス流に空間電荷注入(例えば、コロナ放電)を放出するように構成される。
図4を参照すると、例えば、エミッタ電極402は、ガス流がガス流動経路102に沿って流動しているとき、同伴された液体ミストを備えているガス流に空間電荷注入(例えば、コロナ放電)を放出することによって、電場を提供するように構成される。いくつかの実施形態において、液体ミストの複数の液滴のうちの液滴が、空間電荷注入(例えば、コロナ放電)にさらされると、液滴は、帯電した状態になる(例えば、正に帯電、負に帯電)。
図4に示されるように、例えば、液滴301a(例えば、非帯電液滴)が、エミッタ電極402からの空間電荷注入(例えば、コロナ放電)にさらされると、液滴は、帯電液滴301bになる(例えば、正帯電液滴、負帯電液滴)。ある実施形態において、例えば、エミッタ電極は、エミッタ電極を包囲する大気をイオン化する電場を提供し、それは、ガス流動経路に沿って流動するガス流の中に同伴された複数の液滴のうちの各液滴に正味電荷を付与する。
【0069】
ある実施形態によると、少なくとも1つの収集器電極は、液滴が少なくとも1つのエミッタ電極からの空間電荷注入(例えば、コロナ放電)にさらされた後、帯電液滴を収集するように構成される。
図4に示されるように、例えば、収集器電極404aおよび404bは、液滴がエミッタ電極402からの空間電荷注入(例えば、コロナ放電)にさらされた後、帯電液滴301bを収集するように構成される。いくつかの実施形態において、帯電液滴は、電場の方向における静電力を経験し、したがって、少なくとも1つの収集器電極に引き付けられ、それによって収集される。
【0070】
いくつかの実施形態によると、静電構成要素の1つ以上の収集器電極は、メッシュおよび/または多孔性表面で構成され得る。1つ以上の収集器電極のメッシュおよび/または多孔性表面は、いくつかの実施形態において、液体ミストの1つ以上の液滴を吸収および/または吸収するように構成され得る。いくつかの実施形態において、例えば、液体ミストの1つ以上の液滴(例えば、帯電液滴)は、液滴が空間電荷注入(例えば、コロナ放電)にさらされた後、収集器電極のメッシュおよび/または多孔性表面によって吸収および/または吸収され得る。
【0071】
ある実施形態において、静電分離区域の静電構成要素は、電力供給源に関連付けられ得る。
図3を参照すると、例えば、静電分離区域114の静電構成要素118は、電力供給源408(例えば、高電圧電力供給源)に関連付けられる。電力供給源は、少なくとも1つのエミッタ電極および少なくとも1つの収集器電極に接続され得る。
図3に示されるように、例えば、電力供給源408は、接続(例えば、電気接続)410cを介してエミッタ電極402に、接続(例えば、電気接続)410aを介して収集器電極404aに、および接続(例えば、電気接続)410bを介して収集器電極404bに接続される。
【0072】
ある実施形態において、分離区域は、液体ミストを吸収および/または吸収するように構成されている1つ以上の表面を備えている。いくつかの実施形態において、例えば、同伴された液体ミストを備えているガス流は、液体ミストの少なくとも一部を捕捉する分離区域(例えば、収集器電極、非電極表面等)内の表面(例えば、メッシュおよび/または多孔性表面)を通して直接流動させられ得る。他の実施形態において、同伴された液体ミストを備えているガス流は、分離区域(例えば、収集器電極、非電極表面等)内の表面(例えば、メッシュおよび/または多孔性表面)に近接して流動させられるが、表面を通り抜ける必要はない。ある実施形態において、例えば、表面は、分離区域の囲いおよび/または壁として配置され得、同伴された液体ミストを備えているガス流は、囲いおよび/または壁に、および/またはそれに対して接線方向に導かれることができ、それによって、同伴された液体ミストは、囲いおよび/または壁に近接して拡散する。実施形態の1つの組では、同伴された液体ミストを備えているガス流は、分離区域の囲いの1つ以上の壁、例えば、ガス流から液体ミストを分離するように構成される分離区域の囲いを画定するメッシュ表面によって、循環させられ、繰り返し流動させられる。
【0073】
いくつかの実施形態によると、分離区域は、管、円柱、および/または円筒として構成され得る。分離区域を管、円柱、および/または円筒として構成することは、有利なこととして、分離区域を通したガス流動経路に沿ったガス流の流動を促進し得る。しかしながら、本開示は、この点で限定的であることを意味していないので、例えば、立方体、角柱、および/または円錐構成を含む分離区域のための他の構成も、可能である。
【0074】
分離区域は、いくつかの実施形態において、様々な適切な寸法のうちのいずれかを有し得る。
図1を参照すると、例えば、分離区域114は、長さ124bを有する。
【0075】
分離区域は、様々な適切な長さのうちのいずれかを有し得る。いくつかの実施形態において、例えば、分離区域の長さは、10センチメートル以上、50センチメートル以上、1メートル以上、2メートル以上、3メートル以上、または4メートル以上である。ある実施形態において、分離区域の長さは、5メートル以下、4メートル以下、3メートル以下、2メートル以下、1メートル以下、または50センチメートル以下である。上で列挙される範囲の組み合わせも、可能である(例えば、分離区域の長さは、10センチメートル以上であり、5メートル以下であり、分離区域の長さは、1メートル以上であり、2メートル以下である)。他の範囲も、可能である。
【0076】
分離区域が、管、円柱、および/または円筒として構成されたある実施形態において、分離区域は、様々な適切な直径のうちのいずれかを有し得る。ある実施形態において、例えば、分離区域は、1センチメートル以上、5センチメートル以上、10センチメートル以上、20センチメートル以上、または50センチメートル以上である直径を有する。いくつかの実施形態において、分離区域は、1メートル以下、50センチメートル以下、20センチメートル以下、10センチメートル以下、または5センチメートル以下の直径を有する。上で列挙される範囲の組み合わせも、可能である(例えば、分離区域は、1センチメートル以上であり、1メートル以下の直径を有し、分離区域は、10センチメートル以上であり、20センチメートル以下の直径を有する)。他の範囲も、可能である。
【0077】
ある実施形態によると、分離区域は、ハニカム構造として構成され得る。いくつかの実施形態において、例えば、分離区域は、複数の管、円柱、および/または円筒を備え得る。いくつかのそのような実施形態において、ハニカム分離区域の各管、円柱、および/または円筒は、各管、円柱、および/または円筒が、ガス流がガス状種吸収区域を通して流動した後、ガス流を受け取るように構成されるように、ガス状種吸収区域に流体的に接続され得る。ある実施形態において、分離区域は、静電分離区域であり、ハニカム分離区域の各管、円柱、および/または円筒は、本明細書に説明されるように、少なくとも1つのエミッタ電極と、少なくとも1つの収集器電極とを備え得る。いくつかの実施形態によると、ハニカム分離区域の各管、円柱、および/または円筒は、本明細書に説明されるような長さ(例えば、10センチメートル以上であり、5メートル以下である)および/または本明細書に説明されるような直径(例えば、1センチメートル以上であり、1メートル以下である)を有し得る。ハニカム分離区域の各管、円柱、および/または円筒は、いくつかの実施形態において、ガス状分離区域の管、円柱、および/または円筒より比較的に小さい直径を有し得る。
【0078】
分離区域は、様々な適切な材料のうちのいずれかを備え得る。いくつかの実施形態によると、例えば、分離区域は、金属、金属合金、クラッド材料、セラミック、プラスチック、炭素系材料、および/またはそれらの組み合わせを備え得る。他の材料も、可能である。ある実施形態において、分離区域材料は、少なくとも部分的にコーティングされ得る。例えば、いくつかの実施形態において、分離区域材料は、耐腐食性材料でコーティングされる(例えば、耐腐食性金属または合金でコーティングされたプラスチック)。
【0079】
ある実施形態によると、ガス状種吸収区域の上流の(例えば、分離区域内の)ガス流動経路に沿ったガス流圧力降下は、ガス流動経路の入口とガス流動経路の出口との間の全体的ガス流圧力降下より少ない。
図1を参照すると、例えば、ガス状種吸収区域110の上流の(例えば、分離区域114内の)ガス流動経路102に沿ったガス流圧力降下は、ガス流動経路102の入口106とガス流動経路102の出口106との間の全体的ガス流圧力降下より少ない。
【0080】
いくつかの実施形態において、ガス状種吸収区域の上流の(例えば、分離区域内の)ガス流動経路に沿ったガス流圧力降下は、ガス流動経路の入口とガス流動経路の出口との間の全体的ガス流圧力降下より50%以下少ない、40%以下少ない、30%以下少ない、20%以下少ない、または10%以下少ない。ある実施形態において、ガス状種吸収区域の上流の(例えば、分離区域内の)ガス流動経路に沿ったガス流圧力降下は、ガス流動経路の入口とガス流動経路の出口との間の全体的ガス流圧力降下より1%以上少ない、10%以上少ない、20%以上少ない、30%以上少ない、または40%以上少ない。上で列挙される範囲の組み合わせも、可能である(例えば、ガス状種吸収区域の上流のガス流動経路に沿ったガス流圧力降下は、ガス流動経路の入口とガス流動経路の出口との間の全体的ガス流圧力降下より50%以下少なく、1%以上少なく、ガス状種吸収区域の上流のガス流動経路に沿ったガス流圧力降下は、ガス流動経路の入口とガス流動経路の出口との間の全体的ガス流圧力降下より30%以下少なく、20%以上少ない)。他の範囲も、可能である。ある実施形態において、ガス状吸収区域の上流のガス流動経路に沿ったガス流圧力降下は、ガス状種吸収区域の出口とガス流動経路の出口との間のガス流の圧力の差異を測定することによって決定され得る。
【0081】
いくつかの実施形態によると、ガス流からガス状種を除去するためのシステムは、様々な追加の構成要素のうちのいずれかを備え得る。
【0082】
ある実施形態において、システムは、ガス状種吸収区域と分離区域との間に位置付けられた流体コネクタを備え得る。
図2は、いくつかの実施形態によるガス流104からガス状種を除去するためのシステム100bの概略図を示し、システム100bは、ガス状種吸収区域110と分離区域114との間にガス流動経路102に沿って位置付けられた流体コネクタ120aを備えている。いくつかの実施形態において、ガス流を分離区域に流動させることに先立って、ガス流(およびいくつかの実施形態において、その中に同伴された液体ミスト)を濃縮するために、ガス状種吸収区域と分離区域との間に流体コネクタを位置付けることが、有利であり得る。ガス流(およびいくつかの実施形態において、その中に同伴された液体ミスト)を濃縮することは、ある実施形態において、液体ミストとガス流との間の界面表面積および/または液体ミストとガス流との間のばく露の時間を増加させ得る。
【0083】
流体コネクタは、ある実施形態に従って、管、円柱、および/または円筒として構成され得る。流体コネクタを管および/または円柱として構成することは、有利なこととして、流体コネクタを通したガス流動経路に沿ったガス流の流動を促進し得る。しかしながら、本開示は、この点で限定的であることを意味していないので、例えば、立方体、角柱、および/または円錐構成を含む流体コネクタのための他の構成も、可能である。
【0084】
図2は、流体コネクタが直線方向に構成されることを示すが、本開示は、この点で限定的であることを意味していないので、流体コネクタは、他の方向的構成を有し得る。ある実施形態において、例えば、流体コネクタは、様々な方向転換および/または湾曲のうちのいずれかで構成され得る。
【0085】
流体コネクタは、いくつかの実施形態において、様々な適切な寸法のうちのいずれかを有し得る。
図2を参照すると、例えば、流体コネクタ120aは、長さ124cを有する。
【0086】
流体コネクタは、様々な適切な長さのうちのいずれかを有し得る。いくつかの実施形態において、例えば、流体コネクタの長さは、1センチメートル以上、5センチメートル以上、10センチメートル以上、50センチメートル以上、または1メートル以上である。ある実施形態において、流体コネクタの長さは、2メートル以下、1メートル以下、50センチメートル以下、10センチメートル以下、または5センチメートル以下である。上で列挙される範囲の組み合わせも、可能である(例えば、流体コネクタの長さは、1センチメートル以上であり、2メートル以下であり、流体コネクタの長さは、10センチメートル以上であり、50センチメートル以下である)。他の範囲も、可能である。
【0087】
流体コネクタは、様々な適切な材料のうちのいずれかを備え得る。いくつかの実施形態によると、例えば、流体コネクタは、金属、金属合金、クラッド材料、セラミック、プラスチック、炭素系材料、および/またはそれらの組み合わせを備え得る。他の材料も、可能である。ある実施形態において、流体コネクタ材料は、少なくとも部分的にコーティングされ得る。例えば、いくつかの実施形態において、流体コネクタ材料は、耐腐食性材料(例えば、耐腐食性金属または合金でコーティングされたプラスチック)でコーティングされる。
【0088】
ある実施形態において、システムは、ガス状種センサを備え得る。
図5は、いくつかの実施形態によるガス流からガス状種を除去するためのシステム100cの概略図を示し、システムは、ガス状種センサ502を備えている。いくつかの実施形態によると、ガス状種センサ502は、分離区域114に(および、それから上流に)流体的に接続され得る。いくつかの実施形態において、
図5に示されるように、ガス状種センサ502は、流体コネクタ120bを介して分離区域114に流体的に接続され得る。ガス状種センサ502は、ある実施形態において、ガス流が、分離区域114から上流のガス流動経路102に沿って流動しているとき、ガス流中のガス状種の量を検出するように構成され得る。いくつかの実施形態において、ガス状種センサ502は、出口108に(および、それから下流に)流体的に接続される。
【0089】
ある実施形態において、ガス状種センサは、例えば、赤外センサ(例えば、赤外CO2センサ)等の分光センサであり得る。しかしながら、本開示は、この点で限定的であることを意味していないので、他のガス状種センサも、可能である。
【0090】
いくつかの実施形態によると、システムは、スクラバを備え得る。
図6は、いくつかの実施形態によるガス流からガス状種を除去するためのシステム100dの概略図を示し、システムは、スクラバ504を備えている。いくつかの実施形態によると、スクラバ504は、ガス流動経路102の入口106に(および、それから上流に)流体的に接続され得る。スクラバ502は、いくつかの実施形態において、ガス流がガス状種分離区域110に進入することに先立って、ガス流中の1つ以上の非標的種(例えば、非標的ガス状種)を洗除(scrub)するように構成され得る。ある実施形態において、スクラバ504は、ガス状種分離区域110に(および、それから下流に)流体的に接続され得る。いくつかの実施形態によると、
図6に示されるように、スクラバ504は、流体コネクタ120cを介してガス状種分離区域110に流体的に接続される。
【0091】
様々な適切な非標的種のうちのいずれかが、スクラバによってガス流から除去され得る。いくつかの実施形態において、例えば、スクラバは、CO2、硫黄酸化物(SOx)種、窒素酸化物種(NOx)、硫化水素(H2S)、および/またはそれらの組み合わせを除去するように構成される。スクラバによってガス流から除去されるべき他のガスも、可能である。
【0092】
いくつかの実施形態において、システムは、ストリッパを備え得る。
図7は、いくつかの実施形態によるガス流からガス状種を除去するためのシステム100eの概略図を示し、システムは、ストリッパ506を備えている。ある実施形態によると、ストリッパ506は、分離区域114に(および、それから上流に)流体的に接続され得る。いくつかの実施形態において、
図7に示されるように、ストリッパ506は、流体コネクタ120dを介して分離区域114に流体的に接続される。ストリッパ506は、ある実施形態において、分離区域114内のガス流から吸収剤を分離した後、(例えば、液体ミストの形態における)吸収剤116から1つ以上の吸収されたガス状種を取り除くように構成され得る。ストリッパ506は、いくつかの実施形態において、液体ミストの源112に(および、それから下流に)流体的に接続され得る。ある実施形態において、
図7に示されるように、ストリッパ506は、流体コネクタ120eを介して液体ミストの源に流体的に接続される。いくつかの実施形態によると、吸収剤116から1つ以上の吸収されたガス状種を取り除いた後、ストリッパ506は、吸収剤116を液体ミストの源112に流動させるように構成される。システムをこのように構成することは、有利なこととして、吸収剤が、ガス流からのガス状種の追加の吸収のために再生利用および再使用されることを可能にする。
【0093】
ある実施形態によると、ストリッパ506は、吸収剤116からガス状種を取り除いた後、ガス状種流510を解放するためのストリッパ出口508に関連付けられ得る。
【0094】
システムは、いくつかの実施形態による図に示されない追加の構成要素を備え得る。当業者によって認識可能であろうように、システムは、いくつかの実施形態において、システムを通したガス流の流量および/またはシステムの1つ以上の構成要素(例えば、ガス状種吸収区域および/または分離区域)の全体的圧力を制御するように構成されている1つ以上の流量計および/または圧力源を備え得る。システムは、いくつかの実施形態において、ガス流動経路におけるガス流の圧力を測定するように構成されている1つ以上の圧力センサおよび/またはゲージを備え得る。ある実施形態において、システムは、システムを通した(例えば、ガス流動経路に沿った)ガス流の流動を促進するように構成されている1つ以上のファンおよび/または送風機を備え得る。いくつかの実施形態によると、システムは、システムの全体的温度を制御するために、1つ以上の温度コントローラおよび関連付けられた接続を備え得る。
【0095】
システムは、様々な適切な全長のうちのいずれかを有し得る。
図1を参照すると、例えば、システム100aは、いくつかの実施形態において、ガス流動経路102の入口106からガス流動経路102の出口108まで測定され得る長さ124dを有する。いくつかの実施形態において、システムの全長は、20センチメートル以上、50センチメートル以上、1メートル以上、5メートル以上、10メートル以上、20メートル以上、または30メートル以上である。ある実施形態において、システムの全長は、40メートル以下、30メートル以下、20メートル以下、10メートル以下、5メートル以下、1メートル以下、または50センチメートル以下である。上で列挙される範囲の組み合わせも、可能である(例えば、システムの全長は、20センチメートル以上であり、40メートル以下であり、システムの全長は、1メートル以上であり、5メートル以下である)。他の範囲も、可能である。
【0096】
ガス流は、様々な適切なガス流のうちのいずれかであり得る。いくつかの実施形態において、例えば、ガス流は、例えば、燃焼プラントから生じる、燃焼排気流(例えば、煙道ガス、排気ガス、煙道ガス)である。ある実施形態において、ガス流は、産業排気流(例えば、セメント生産排気流)である。ある実施形態において、ガス流は、空気である。他のガス流も、可能である。
【0097】
ガス状種は、様々な適切なガス状種のうちのいずれかであり得る。いくつかの実施形態において、ガス状種は、ガス状排気種である。例えば、いくつかの実施形態において、ガス状種は、燃焼排気流および/または産業排気流中に存在するガス状排気種である。ある実施形態において、ガス状種は、温室効果ガスである。温室効果ガスの例は、限定ではないが、CO2、CH4、N2O、O3、フッ素化ガス、および/またはそれらの組み合わせを含む。他のガス状種も、可能である。
【0098】
ある実施形態によると、ガス流からガス状種を除去する方法が、説明される。いくつかの実施形態において、方法は、ガス状種を含むガス流を(例えば、液体ミストの形態における)吸収剤にさらすことを含み、吸収剤は、本明細書に説明されるように、ガス状種を溶解させ、および/またはそれと反応するように構成された反応物質を備えている。
【0099】
ある実施形態において、方法は、ガス状種吸収区域において、反応物質とガス状種との間の反応を実行することを含み、反応は、(例えば、液体ミストの形態における)吸収剤によるガス流からのガス状種の吸収をもたらす。
【0100】
(例えば、液体ミストの形態における)吸収剤は、ガス流からガス状種の様々な適切な量のうちのいずれかを吸収するように構成され得る。ある実施形態において、例えば、吸収剤は、ガス流からガス状種の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%を吸収するように構成される。いくつかの実施形態において、吸収剤は、ガス流からガス状種の100%以下、90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、または20%以下を吸収するように構成される。上で列挙される範囲の組み合わせも、可能である(例えば、吸収剤は、ガス流からガス状種の少なくとも10%、かつ100%以下を吸収するように構成され、吸収剤は、ガス流からガス状種の少なくとも50%、かつ60%以下を吸収するように構成される)。他の範囲も、可能である。
【0101】
ある実施形態によると、1時間あたりに吸収剤によって吸収されるガス状種のモル量とガス状種吸収区域の容積との比率は、それ以外は本質的に同じである1つ以上の充填床反応器を備えている吸収塔における比較比率より少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、少なくとも75倍、少なくとも100倍、少なくとも125倍、少なくとも150倍、または少なくとも175倍大きい。いくつかの実施形態において、1時間あたりに吸収剤によって吸収されるガス状種のモル量のガス状種吸収区域の容積に対する比率は、それ以外は本質的に同じである1つ以上の充填床反応器を備えている吸収塔における比較比率より200倍以下大きい、175倍以下大きい、150倍以下大きい、125倍以下大きい、100倍以下大きい、75倍以下大きい、50倍以下大きい、25倍以下大きい、10倍以下大きい、または5倍以下大きい。上で列挙される範囲の組み合わせも、可能である(例えば、1時間あたりに吸収剤によって吸収されるガス状種のモル量のガス状種吸収区域の容積に対する比率は、それ以外は本質的に同じである1つ以上の充填床反応器を備えている吸収塔における比較比率より少なくとも2倍、かつ200倍以下大きく、1時間あたりに吸収剤によって吸収されるガス状種のモル量のガス状種吸収区域の容積に対する比率は、それ以外は本質的に同じである1つ以上の充填床反応器を備えている吸収塔における比較比率より少なくとも75倍、かつ100倍以下大きい)。他の範囲も、可能である。
【0102】
ある実施形態によると、方法は、ガス状吸収区域に流体的に接続された分離区域において、ガス流から液体ミストの少なくとも一部を分離することを含む。
【0103】
これらおよび他の実施形態は、当業者によって理解されるであろうように、単独で、または追加の因子、構成要素、および/または手順の利益と組み合わせて利用されることができる。
(実施例1)
【0104】
以下の例は、ガス流からガス状種を除去するための2段階ミストベースの吸収システムの第1の実施形態を説明する。
【0105】
従来の吸収システムは、吸収中の洗除液体(scrubbing liquid)と煙道ガスとの界面面積および滞留時間を向上させるために、細長い塔(高さにおいて10~20メートル)および充填床を使用する(例えば、
図8A参照)。洗除流体をミスト化することは、小さい液滴によって与えられるより高い界面面積に起因して、かなりより短い吸収器を可能にするであろうが、しかしながら、そのようなミストは、受動的デミスタを使用して捕捉および再生利用するために困難である。能動的静電デミスタは、かなりの背圧をかけることなく、これらのミストを捕捉することができる。
【0106】
このために、2段階ミストベースの吸収システム(
図8Bに示される)が、本明細書に説明される。吸収段階である第1の段階では、15~50μmの直径を伴うミストスケール液滴が、使用され、それは、システムが、従来の充填床反応器と比較して、吸収剤とガスとの間で利用可能な界面面積の最大280倍の増加を達成することを可能にした。これは、従来のシステムよりかなり短い吸収器ユニットを可能にしたが、このサイズの液滴は、ガス流動によって容易に同伴された。この大きい液体体積を捕捉するために、静電液滴捕捉段階である第2の段階が、利用された。具体的に、コロナ放電を採用することによって、ミストスケール液滴は、帯電させられ、帯電させられたミストスケール液滴を収集器に駆動する電気力が、導入され、収集器において、液体吸収剤が、収集、処理、および再循環させられた。
【0107】
吸収器の全体的サイズを減らすためのシステムの能力をより深く理解するために、システムの両方の段階のために要求される長さが、理論的に推定された。異なる半径の液滴の中へのCO
2吸収が、式2に示される経験モデルを使用してモデル化された。
【数2】
【0108】
式2では、
【数2-1】
は、液滴の中へのCO
2の質量流束であり、Aは、液滴面積であり、kは、反応率であり、Cは、濃度を表し、Dは、液滴直径である。下付き文字のgおよびlは、それぞれ、CO
2および吸収剤を表す。下付き文字のsおよびiは、それぞれ、液滴の表面および入口を表し、jは、反復カウンタである。システムに与えられる利益は、具体的吸収剤の化学的性質に依存できないので、アンモニアが、モデル吸収剤として利用された。3m/秒のガス流速、15%の入口CO
2濃度、および15wt.%のアンモニア濃度を使用して、単一の液滴によって吸収されるCO
2が、液滴進行距離の関数としてその影響範囲から推定された。1:1の液体対ガス質量流動比が、コントロール体積を定義するために使用され、コントロール体積は、それがガス流動とともに進行するとき、個々の液滴に従う。このフレームワークを使用して、システムによって与えられる利益が、異なるサイズの液滴に関して検討された。従来の充填床反応器における吸収剤フィルムが、典型的に、600~700μmの厚さであるので、3,600μmの液滴直径を伴う充填ユニットによって提供される界面面積が、所与の体積の液体に関して再現された。そのような大きい液滴も、吸収における界面面積の役割を確認するために、>20mの高さである吸収器塔を要求するであろうことが、観察された。対照的に、50μmおよび15μmの液滴直径が採用されたとき、>95%のCO
2吸収のための要求される長さは、著しく減らされた。実践では、吸収段階の長さは、
図8Cに提示される単一液滴モデルによって予測される寸法より大きくなるであろう。何故なら、モデルが、液滴間相互作用、局所的濃度勾配、および煙道ガス流の中に最大800kg/秒の吸収剤を導入する実践的制約を考慮していないからである。しかしながら、モデルは、吸収器寸法の劇的な低減がミストスケール液滴に移行することによって可能であることを示す。
【0109】
システムの第2の段階に関して、ミスト液滴の>95%を捕捉するために要求される最大長も、推定された。
図8Bに示される静電収集器の円筒形設計を考慮すると、帯電液滴が経験するであろう静電力が、空気力学的抵抗力と比較された。ミストスケール液滴の特徴的半径方向速度(U
r)が、式3に示されるように、推定された。Deutsch-Anderson式(式4)を使用すると、液滴収集効率(η)が、次いで、
図8Dに示されるように、円筒長(L
c)、直径(D
c)、およびガス流量(Q)の関数として推定された。
【数3】
【数4】
【0110】
上記の式では、qは、単一の液滴上に蓄積された電荷を表し、Eは、電場強度を表し、μは、煙道ガスの粘度であり、Rは、液滴半径であり、ε0は、自由空間の誘電率であり、CDAは、実践的システムのために使用されるDeutsch-Anderson式に対する補正係数である。
【0111】
図8Cおよび8Dから、吸収器ユニットの全長が、400MWの発電所のための従来の充填床反応器における約20メートルあたりから、本明細書に議論される2段階システムにおける4メートル未満まで減らされ得ることが観察された。これは、CO
2吸収器ユニットのために要求される資本の劇的な低減を可能にするであろう。これらのモデルを検証するために、2段階システムのスケールダウンバージョンが、開発および試験された。システムの第1の段階に関して、産業吸収器ユニットのガス流束が、合致させられ、CO
2捕捉効率に対する入力CO
2および触媒濃度の効果が、研究された。第2の段階に関して、スケールダウンされた静電システムの液滴捕捉効率が、ガス流量および電場強度の関数として探求された。経済的分析も、2段階ミストベースの吸収システムによって可能にされ得るプラント資本支出の低減を捕捉するために提示される。
【0112】
実験設定:
図9Aは、本実施例において使用される実験設定の図示を提示する。流動制御されたCO
2および空気流が、システムへの入口におけるCO
2の所望の濃度を達成するように混合された。ガスは、次いで、ミスト化ユニットに導入され、そこで、液滴が、ガス流動の中に同伴された。水酸化カリウムが、実験の簡易性に起因して、吸収剤として使用された。ガスおよび同伴されたミストは、次いで、CO
2の吸収のための時間を可能にするために、固定された長さの配管を通して流動した。ミストを含んだガス混合物は、次いで、静電デミスタ捕捉ユニットの中に流動させられ、そこで、全ての吸収剤液滴は、除去された。赤外CO
2センサが、システムにおいて捕捉されたCO
2を定量化するために使用された。
図9Bは、ミスト化ユニットによって生じさせられる液滴直径のヒストグラムを示し、液滴の大部分が10~20μmの直径範囲内に該当することを示す。このヒストグラムは、静電液滴捕捉ユニットがオフにされているとき、ミスト液滴が視認窓を通過したときにミスト液滴を目視で記録することによって取得された。これは、ガス流動によって同伴されていた液滴の正確な表現を提供した。
【0113】
ガス混合およびミスト発生:Brooks(登録商標)機械的流量計が、2つのガス流がT字形接合部を使用して混合される前のCO2および空気の流量を制御するために使用された。混合されたガスは、吸収剤の溶液槽および超音波ミスト化ユニット(Mxmoonant(登録商標)6ヘッド超音波ミスト/霧メーカ)を含む気密容器のヘッドスペースの中に導入された。実験は、ミスト化ユニットおよびミスト捕捉ユニットがオフにされた状態で開始された。CO2の初期濃度が、吸収剤の溶液槽のいかなる効果も、制御測定において考慮されるように、ガスが気密容器のヘッドスペースを通して流動した後、記録された。超音波ミスタがオンにされたとき、ミストスケール液滴が、気密容器のヘッドスペースの中に射出され、その後、ガス流動によって同伴された。
【0114】
CO2センサ:CO2濃度が、GC-0007 ExplorIR(登録商標)センサを使用して測定された。センサは、通気容器内のガス流と一直線に設置された。
【0115】
吸収段階:実験吸収器を適切にスケールダウンするために、入口ガスの流量は、CO
2濃度を50%において一定に保ちながら、1~5lpmに変動させられた。
図10Aは、これらの実験に関するシステムのCO
2捕捉効率を示す。捕捉効率が、1および3lpmの流量に関して約74±5%に到達したが、それは、5lpmの場合に関して約64±5%まで低下したことが観察され、液体対ガス比および滞留時間が、洗除が最大限に効果的であるために低すぎることを示した。性能におけるこの低減をさらに特性評価するために、実験設定を通したガス流束は、産業吸収器システムが可能な限り最大捕捉効率を達成するようにガス流束を最適化するように設計されているので、産業吸収システムにおいて達成された流束によって正規化された。
図10Bでは、実験ガス流束と産業ガス流束との比率(kg/m
2秒単位)が、決定され、5lpmの場合が、ガスの流量がCO
2捕捉を最適化するために高すぎるので、性能低下を説明し得る不都合な流束比を有することが見出された。
【0116】
残りの吸収実験に関して好都合な流束形態に留まるように流量を3lpmに設定すると、入力CO
2濃度は、
図10Cに示されるように、約17%~50%に変動させられた。これらの場合、約70±5%の捕捉効率が、観察され、それは、産業KOHベースの吸収ユニットと一貫する。液体対ガス質量流動比(L/G)が3lpmのガス流量に関して約21±4であることが測定され、この値も、産業および他の従来のシステムと同じ程度である。>70%の捕捉効率は、本技法の能力が入力CO
2濃度に対して堅牢であることを実証し、これらの条件において、捕捉効率が吸収剤の化学的性質によって限定されることを実証する。
【0117】
式5は、KOHとCO
2との間の化学量論的反応を示す。実験設定では、3lpmのガス流量において、KOHおよびCO
2のモル流量は、それぞれ、1秒あたり1.7および1.1ミリモルである。2モルのKOHがCO
2の全てのモルと反応するために必要とされるので、化学量論的捕捉効率は、76%である。観察される74±5%の実験捕捉効率が、実際に、吸収剤の化学濃度によって限定されていることを検証するために、KOH濃度は、1Mから2Mに増加させられ、CO
2捕捉効率が3lpmのガス流量および50%の入口CO
2濃度の場合に関して95±5%まで増加することが観察された(
図10D)。これらの結果は、特に、従来の吸収器ユニットにおいて現在好ましいアルコール性アミンより良好な環境および安全性プロファイルを有し得るより広い範囲の吸収剤を可能にする観点から、ミストベースの吸収システムの有望性を例証する。
【数5】
【0118】
ミスト液滴捕捉段階:>70%のCO
2捕捉効率を達成するためのミストスケール液滴の能力を実証した後、ミスト液滴を捕捉するためのスケールダウンされた静電ユニットの能力が、探求された。
図11Aおよび11Bは、それぞれ、いかなるコロナ放電も存在しないとき、およびより強い放電が存在するときのミスト捕捉ユニットの概念的概略図を示す。
図11Cおよび11Dは、それぞれ、コロナのない、および強いコロナの条件下のデミスト化ユニットの退出口のデジタル写真を示し、3lpmのガス流量および約8kVの電圧に関してミストを完全に捕捉するためのスケールダウンされたデミスタの能力を視覚的に図示する。電圧源が、オフであるとき、ミストは、それがガス流動によって同伴されるので、ミスト化ユニットから退出するが、エミッタ電極が強いコロナ放電を生じさせると、全てのミストは、捕捉される。
図11Eは、ガス流量および印加電圧の関数としてのミスト捕捉効率を示す。電圧がコロナ放電を発生させるほど十分に高くなかったとき、液滴は、帯電させられず、したがって、収集されなかった。電圧が増加させられると、コロナ開始電圧が、超えられ、液滴が、収集され始めた。この状態では、ガス流中の遊離イオンの濃度は、同伴された全てのミストスケール液滴を帯電させるほど十分に高くなく、したがって、部分的捕捉のみが、達成された。強いコロナの領域では、ほぼ全ての液滴が、帯電させられた状態になり、接地された収集器に輸送されたので、100%の捕捉が、達成された。スケールダウンされたシステムにおいて印加された電場強度は、約2kV/cmであり、それは、十分に、スケールアップされた静電集塵システムにおいて使用される場強度内であり、2段階ミストベースの吸収システムの実践的有望性を示した。
【0119】
スケールアップされた吸収器ユニットの経済的分析:2段階ミストベースの吸収器が、適切にスケールダウンされると、70~95%のCO2捕捉効率が、達成され、全てのミスト液滴は、効果的に捕捉される。2段階ミストベースのアプローチの経済的実行可能性を査定するために、システムを据え付けるための要求されるCAPEXが、推定され、従来の垂直充填床吸収器塔のために要求されるCAPEXと比較された。従来の垂直充填床アーキテクチャのために、19.06mの高さおよび11.93mの直径の2つの吸収器塔が、622kg/秒の煙道ガス率を伴う400MWのガス燃焼発電所のための最適化されたMEA CO2捕捉システムから選定された。吸収器塔筐体および内部構成要素の購入費用が、平均履歴データから推定され、その後、化学工学プラント費用指数(CEPCI)を介して2,019米国ドルに調節された。4.74の典型的なラング係数が、表1に集計されるシステム構成要素の推定据え付け費用をもたらすために適用された。
【0120】
充填床システムに関する推定合計CAPEXは、1億4,900万ドルである。予期されるように、ステンレス鋼クラッド炭素鋼吸収器塔が、主要な原価作用因であり、費用の50%以上を占めている。2段階ミストベースの吸収システムに関する類似するCAPEXを推定するために、前述の事例におけるものと同じ煙道ガス流量および吸収器ユニット筐体直径が、使用された。ミストの向上した吸収動態を活用することによって、吸収器筐体ユニット長は、前述で説明されるように、5倍の倍率で減らされることができる。また、それは、それがもはや重力駆動流動を使用しないので、水平構成において据え付けられることができ、それによって、据え付け費用要因を減らす。静電ミスト捕捉ユニットの費用は、履歴費用および据え付け要因から導出され、容量に関してスケーリングされ、CEPCI指数で調節される。5,730万ドルのCAPEXにおいて、2段階ミストベースの吸収システムは、従来の充填床吸収塔と比較して、資本費用の約2.6倍の低減をもたらす。これらの節約は、より小さい合計寸法に関連付けられる吸収器ユニット筐体費用の低減に加えて、充填床の排除に起因する。
【表1】
表1:2段階ミストベースの吸収システムと比較した従来の垂直充填床アーキテクチャに関する400MWのガス燃焼石炭プラントに関するCO
2吸収CAPEX推定値
【0121】
結論として、ミストスケール液滴を使用してCO2を捕捉するための単純かつ効率的な概念実証吸収器システムが、実証された。他の産業および実験燃焼後炭素捕捉システムのガス流束およびL/G比に合致するスケールダウンされた実験設定を使用して、最大95%のCO2捕捉効率が、吸収剤として水酸化カリウムを使用して達成された。産業システムと一貫する電場強度において同伴された液滴の>95%を収集するための静電液滴捕捉ユニットの能力も、実証された。加えて、化学工学プラント経済モデルが、使用され、2段階ミストベースの吸収システムのスケールアップされた据え付けが、CO2吸収器費用を2.6の倍で減らし得ることを推定した。
(実施例2)
【0122】
以下の例は、ガス流からガス状種を除去するための2段階ミストベースの吸収システムの第2の実施形態を説明する。
【0123】
従来の吸収システムでは、1つ以上の吸収塔が、CO
2含有煙道ガスと吸収剤液体(典型的に、水中で30%wt.のMEA)との間の相互作用を可能にする。
図13に示されるように、吸収塔の排気において、90%を上回るCO
2が、煙道ガスから除去され、CO
2が豊富なアミン溶液が、アミンからCO
2を分離するためにストリッパ円柱に送出される。本明細書に説明されるように、そのような吸収塔に関する必要性は、排除され、それによって、静電空間電荷注入を介して後で捕捉される微小なミスト液滴の形態における吸収剤液体を導入することによって、資本支出および関連付けられる運転費用の大部分を削減することができる。
【0124】
本明細書に説明される2段階ミストベースの吸収システムでは、吸収剤液体は、
図14に示されるように、摂氏30~40度において、煙道ガスがSO
xスクラバから退出する場所の上流で煙道ガスの中にミストとして導入される。これは、微小なミスト液滴に起因する液体の同じ体積流量に関する向上した表面積により、アミン溶液と煙道ガスとの間の相互作用の界面面積を最大化する。従来の充填床吸収塔またはスプレー塔と比較して、ミスト液滴は、
図15に示されるように、CO
2吸収のための合計表面積を劇的に増加させ、それは、反応動態をはるかに速くし、そのような塔に関する必要性を排除する。
【0125】
微小なミスト液滴は、煙道ガスの流動とともに容易に同伴し、煙道ガス退出口において逃げ出し得るので、CO
2を効率的に捕捉することは、困難である。従来のミスト収集器システムは、非効率的であり、密に充填される機械的構成要素によってミスト収集効率を増加させることは、煙道ガス流中の背圧もかなり増加させる。2段階ミストベースのシステムは、ミストの効率的な収集のために空間電荷注入を利用する。ミスト収集のための比較的により小さい静電気的に駆動される空間電荷注入ユニットが、
図14に示されるように、従来のシステムにおける吸収塔に取って代わる。
【0126】
CO
2吸収の率を統御する相互作用パラメータは、煙道ガスと吸収剤液体との間の界面面積および相互作用の時間によって決定付けられる。吸収塔の場合、液体の所与の体積流量に関して、面積は、充填床を使用することによって増加させられる。しかしながら、充填床の上を覆って流動する液体のフィルム厚は、約数百マイクロメートルである。したがって、相互作用パラメータを最大化するために、相互作用時間は、塔の高さを増加させることによって増加させられる。対照的に、2段階ミストベースのシステムは、約10マイクロメートルのサイズを伴うミストの形態における液体液滴を利用する。これらの液体は、非常に微小であるので、それらは、煙道ガス中に同伴され得る。液滴のサイズを減らすことによって、相互作用の表面積は、飛躍的に増加させられ(液体の所与の体積に関して、
図15)、それによって、CO
2吸収のために必要とされる時間は、減った。したがって、細長い吸収塔を使用する代わりに、2段階ミストベースのシステムは、ミストを同伴し、CO
2吸収を引き起こすために、煙道ガス管理のための水平パイプを利用する。
【0127】
ミスト生産:高密度のミストが、種々の技法を介して生じさせられた。しかしながら、高密度のミストを生じさせるための最も効率的な方法のうちの1つは、機械的超音波発生装置を利用することであった。生じさせられたミストは、
図16および17に示されるように、ミスト液滴の小さいサイズに起因して、ガス流動中に同伴された。
【0128】
CO
2吸収:生じさせられたミストは、CO
2/空気混合物とともに同伴された。ミスト液滴は、
図18に描写されるように、周辺ガスと急速に反応し、それによって、CO
2を捕捉した。
【0129】
DI水が、システムの効能を試験するために使用された。DI水は、急速にCO
2で飽和した。ミスト液滴を収集した後、CO
2で飽和させられたDI水のpHが、
図19に示されるように、測定され、中性のDI水のpHと比較された。pHが、水中のCO
2の溶解からもたらされる炭酸の形成に起因して、低下することが観察された。
【0130】
ミスト捕捉:煙道ガス中のCO
2と反応したミスト液滴は、空間電荷注入と呼ばれる技法を介して捕捉された。簡潔に言うと、空間電荷は、液滴収集器としての機能を果たす別の電極とともに、電場集中を提供する電極等の鋭いエミッタを使用して生じさせられ得る。エミッタと収集器電極との間に電圧を印加することによって、エミッタを包囲する空気は、イオン化し、空間電荷の注入を生じさせる。帯電分子は、次いで、電極の間の空間を通して流動するミスト液滴を見出し、液滴に正味電荷を付与する。帯電液滴は、
図20に示されるように、電場の方向における静電力を経験し、したがって、収集器電極上に収集される。
【0131】
ミスト捕捉に関する実施形態のうちの1つでは、メッシュ様収集器電極が、使用された。
図21Aは、電場がオフであったときのガス流動とともに逃げる同伴されたミスト液滴を示す。同伴は、従来のCO
2捕捉システムにおける最も一般的な溶液損失モードのうちの1つである。
図21Bは、電場がオンであったときの収集メッシュ電極上のミストの捕捉を示す。殆どのミスト液滴は、ガス流動とともに消滅しなかった。代わりに、液滴は、注入された空間電荷によって帯電させられ、帯電液滴は、メッシュ上に収集された。
【0132】
ミスト捕捉システムに関する別の実施形態が、ミスト液滴を帯電させるためのエミッタとしての細いワイヤ電極と、収集器としての環状円筒形電極とを使用して設計された。ミストの効率的な捕捉が、
図22A-22Bに示されるように実証された。
【0133】
従来の方法、デバイス、および材料に優る利点および改良:本明細書に説明される2段階ミストベースのシステムは、CO
2捕捉ユニットのCAPEX(
図12)の最大55%に影響するCO
2吸収塔の完全な排除を可能にする。従来の吸収システムのうちの多くでは、OPEXの大部分は、保守される必要がある吸収塔据え付けから生じるので、運転費用(OPEX)は、CAPEXと密接に関連する。2段階ミストベースのシステムは、材料費用および関連付けられる保守費用を減らす。
【0134】
CO2の相互作用パラメータを増加させることは、アミン(きわめて有毒と考えられる)への依存も減らされ得ることを意味する。しかしながら、アミンとCO2との反応率は、他の環境に配慮した化学物質より比較的に高い。吸収溶液とのCO2相互作用面積を増加させることによって、2段階ミストベースのシステムは、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(AMP)またはKOH等のCO2捕捉のためのより安価かつより環境に優しい化学物質の効率的な使用への道を開く。
【0135】
最後に、炭素捕捉費用を減らすことによって、化石燃料の価格に対する炭素捕捉の依存も、減らされる。向上した原油回収が捕捉および濃縮された炭素の使用のうちの1つであるので、回収された石油の価格が下がると、CO2を捕捉することは、経済的に実行不可能になる。したがって、現在、CO2捕捉システムは、化石燃料価格にはるかに大きく依存している。
【0136】
商業的用途:CO2捕捉および貯蔵システムの市場規模は、約20億米国ドルである。しかしながら、据え付けおよび保守の法外な費用に起因して、世界に、約28基しか大規模な商業的CO2捕捉施設は、ない。吸収塔を排除することによって、2段階ミストベースのシステムは、CO2捕捉システムの資本支出を30~55%減らし、比例して、運転支出を減らすことができる。CO2が、他の付加価値のある製品を生産するために安価に取得されることができる場合、より多くの発電所が、CO2捕捉ユニットの据え付けに前向きになるであろうから、CO2捕捉費用を減らすことは、市場規模を飛躍的に増加させるであろう。
【0137】
本発明のいくつかの実施形態が、本明細書に説明および例証されているが、当業者は、本明細書に説明される機能を実施し、および/または結果および/または利点のうちの1つ以上のものを取得するための様々な他の手段および/または構造を容易に想定し、そのような変形例および/または修正の各々は、本発明の範囲内であると見なされる。より一般的に、当業者は、本明細書に説明される全てのパラメータ、寸法、材料、および構成が、例示的であることを意味しており、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成が、本発明の教示が使用される具体的用途または複数の用途に依存するであろうことを容易に理解するであろう。当業者は、日常的にすぎない実験を使用して、本明細書に説明される本発明の具体的実施形態の多くの均等物を認識する、または確認することが可能であろう。したがって、前述の実施形態が、例としてのみ提示され、添付される請求項およびその均等物の範囲内で、本発明が、具体的に説明および請求されるものとは別様に実践され得ることを理解されたい。本発明は、本明細書に説明される各個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法を対象とする。加えて、2つ以上のそのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせは、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾しない場合、本発明の範囲内に含まれる。
【0138】
本明細書に定義および使用されるような全ての定義は、辞書の定義、参照することによって組み込まれる文書における定義、および/または定義される用語の通常の意味より優先されるように理解されるべきである。
明細書および請求項において本明細書に使用されるような不定冠詞「a」および「an」は、明確に反対に示されない限り、「少なくとも1つ」を意味するように理解されるべきである。
【0139】
明細書および請求項において本明細書に使用されるような語句「および/または」は、そのように結合される要素の「いずれか一方または両方」、すなわち、ある場合には接続的に存在し、他の場合には離接的に存在する要素を意味するように理解されるべきである。「および/または」とともに列挙される複数の要素は、同じ方式、すなわち、そのように結合される要素のうちの「1つ以上のもの」において解釈されるべきである。具体的に識別されるそれらの要素に関連するか、または関連しないかどうかにかかわらず、「および/または」の節によって具体的に識別される要素以外の他の要素も、随意に、存在し得る。したがって、非限定的例として、「Aおよび/またはB」の言及は、「~を備えている(comprising)」等の非制約的言語と併せて使用されるとき、一実施形態において、Aのみ(随意に、B以外の要素を含む)、別の実施形態において、Bのみ(随意に、A以外の要素を含む)、また別の実施形態において、AおよびBの両方(随意に、他の要素を含む)等を指し得る。
【0140】
明細書および請求項において本明細書に使用されるように、「または」は、上記に定義されるような「および/または」と同じ意味を有するように理解されるべきである。例えば、リスト内のアイテムを分離するとき、「または」または「および/または」は、包括的である、すなわち、少なくとも1つの包含であるが、また、いくつかの要素または要素のリストのうちの2つ以上のもの、随意に、追加の列挙されていないアイテムを含むものとして解釈されるものとする。「~のうちの1つのみ」または「~のうちの厳密に1つ」、または請求項で使用されるときに、「~から成る」等の明確に反対に示される用語のみが、いくつかの要素または要素のリストのうちの厳密に1つの要素の包含を指すであろう。一般に、本明細書に使用されるような用語「または」は、「いずれか」、「~のうちの1つ」、「~のうちの1つのみ」、または「~のうちの厳密に1つ」等の排他性の用語が先行するときに、排他的代替物(すなわち、「両方ではないが一方または他方」)を示すものとして解釈されるのみとする。「本質的に~から成る」は、請求項で使用されるときに、特許法の分野で使用されるようなその通常の意味を有するものとする。
【0141】
明細書および請求項において本明細書に使用されるように、1つ以上の要素のリストの参照における語句「少なくとも1つ」は、要素のリスト内の要素のうちのいずれか1つ以上のものから選択されるが、要素のリスト内に具体的に列挙されるありとあらゆる要素のうちの少なくとも1つを必ずしも含むわけではなく、要素のリスト内の要素のいかなる組み合わせも除外しない、少なくとも1つの要素を意味するように理解されるべきである。本定義はまた、具体的に識別されるそれらの要素に関連するか、または関連しないかどうかにかかわらず、語句「少なくとも1つ」が指す要素のリスト内で具体的に識別される要素以外の要素が、随意に、存在し得ることを可能にする。したがって、非限定的例として、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(または同等に、「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、または同等に、「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、一実施形態において、Bが存在しない(随意に、B以外の要素を含む)、随意に、2つ以上のAを含む少なくとも1つのA、別の実施形態において、Aが存在しない(随意に、A以外の要素を含む)、随意に、2つ以上のBを含む少なくとも1つのB、また別の実施形態において、随意に、2つ以上のAを含む少なくとも1つのA、および随意に、2つ以上のBを含む少なくとも1つのB(随意に、他の要素を含む)等を指し得る。
【0142】
明確に反対に示されない限り、2つ以上のステップまたは行為を含む本明細書に請求される任意の方法において、方法のステップまたは行為の順序が、必ずしも、方法のステップまたは行為が列挙される順序に限定されないことも理解されたい。
【0143】
請求項および上記の明細書では、「~を備えている(comprising)」、「~を含む(including)」、「~を担持する(carrying)」、「~を有する(having)」、「~を含む(containing)」、「~を伴う(involving)」、「~を保持する(holding)」、「~から成る(composed of)」、および同等物等の全ての移行句は、非制約的である、すなわち、「限定ではないが、~を含む(including but not limited to)」を意味するように理解されるものである。移行句「~から成る(consisting of)」および「本質的に~から成る(consisting essentially of)」のみが、それぞれ、米国特許庁特許審査手順マニュアル第2111.03節に記載されるように、閉鎖的または半閉鎖的移行句であるものとする。
【国際調査報告】