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特表2024-541252角速度センサ用マイクロメカニカル部品
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  • 特表-角速度センサ用マイクロメカニカル部品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】角速度センサ用マイクロメカニカル部品
(51)【国際特許分類】
   G01C 19/574 20120101AFI20241031BHJP
   B81C 1/00 20060101ALI20241031BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
G01C19/574
B81C1/00
B81B3/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525394
(86)(22)【出願日】2022-10-05
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 EP2022077670
(87)【国際公開番号】W WO2023072541
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】102021212100.4
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ラインムート,ヨッヘン
【テーマコード(参考)】
2F105
3C081
【Fターム(参考)】
2F105BB02
2F105BB03
2F105BB15
2F105CC04
2F105CD01
2F105CD05
3C081AA07
3C081AA11
3C081AA13
3C081BA44
3C081BA46
3C081BA47
3C081BA48
3C081BA75
3C081EA02
(57)【要約】
本発明は、第1の側で第1の振動質量体(16a)と、第2の側で第2の振動質量体(16b)と、を有して構成されている第1のロータ(12a)を備え、マイクロメカニカル部品は、前記第1の側の第1の端部が、第1のレバー連結ばね(22a)を介して前記第1の振動質量体(16a)に連結され、前記第1のロータ(12a)の前記第1の側と前記第2の側との間に位置する第3の側で、第1の端部から第2の端部まで延伸する第1のレバー部材(20)と、前記第2の側の第1の端部が、第2のレバー連結ばね(22b)を介して前記第2の振動質量体(16b)に連結され、前記第1のロータ(12a)の前記第3の側で、第1の端部から第2の端部まで延伸する第2のレバー部材(20b)と、前記第1のレバー部材(20a)および前記第2のレバー部材(20b)を相互に接続する第1のレバー部材ばね(24a)と、をさらに有する、角速度センサ用マイクロメカニカル部品に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 基板表面(10)を有する基板と、
- 第1のロータ(12a)であって、第1の側で、少なくとも1つの第1の質量体連結ばね(14a)を介して前記第1のロータ(12a)に連結された第1の振動質量体(16a)と、前記第1の側から離れた第2の側で、少なくとも1つの第2の質量体連結ばね(14b)を介して前記第1のロータ(12a)に連結された第2の振動質量体(16b)と、を有して構成され、かつ、前記第1のロータ(12a)が、前記第1の振動質量体(16a)および前記第2の振動質量体(16b)とともに前記基板表面(10)に対して垂直に向いた第1の回転軸(52a)を中心とする第1の調和振動運動を行うことができるように、少なくとも1つの第1のロータ連結ばね(18a)を介して前記基板表面(10)に連結されているものと、
を備え、
- 前記第1の側の第1の端部が、第1のレバー連結ばね(22a)を介して前記第1の振動質量体(16a)に連結され、前記第1のロータ(12a)の前記第1の側と前記第2の側との間に位置する第3の側で、第1の端部から第2の端部まで延伸する第1のレバー部材(20a)と、
- 前記第2の側の第1の端部が、第2のレバー連結ばね(22b)を介して前記第2の振動質量体(16b)に連結され、前記第1のロータ(12a)の前記第3の側で、第1の端部から第2の端部まで延伸する第2のレバー部材(20b)と、
- 前記第1のレバー部材(20a)および前記第2のレバー部材(20b)を相互に接続する第1のレバー部材ばね(24a)と、
を備えることを特徴とする、角速度センサ用マイクロメカニカル部品。
【請求項2】
前記第1のレバー部材(20a)は、前記第1のレバー部材(20a)に係止された第1のレバー支持ばね(32a)を介して前記第1のロータ(12a)に連結され、前記第2のレバー部材(20b)は、前記第2のレバー部材(20b)に係止された第2のレバー支持ばね(32b)を介して前記第1のロータ(12a)に連結されている、請求項1に記載のマイクロメカニカル部品。
【請求項3】
前記マイクロメカニカル部品は、
- 前記第1の側の第1の端部が、第3のレバー連結ばね(22c)を介して前記第1の振動質量体(16a)に連結され、前記第1のロータ(12a)の前記第1の側と前記第2の側との間に位置する第4の側で、第1の端部から第2の端部まで延伸する第3のレバー部材(20c)と、
- 前記第2の側の第1の端部が、第4のレバー連結ばね(22d)を介して前記第2の振動質量体(16b)に連結され、前記第1のロータ(12a)の前記第4の側で、第1の端部から第2の端部まで延伸する第4のレバー部材(20d)と、
- 前記第3のレバー部材(20c)および前記第4のレバー部材(20d)を相互に接続する第2のレバー部材ばね(24b)と、
をさらに備えて構成されている、請求項1または2に記載のマイクロメカニカル部品。
【請求項4】
前記マイクロメカニカル部品は、
- 前記第1のロータ(12a)の前記第3の側に配置された第2のロータ(12b)であって、前記第1の側で、少なくとも1つの第3の質量体連結ばね(14c)を介して前記第2のロータ(12b)に連結された第3の振動質量体(16c)を備え、前記第2の側で、少なくとも1つの第4の質量体連結ばね(14d)を介して前記第2のロータ(12b)に連結された第4の振動質量体(14d)を備えて構成され、かつ、前記第2のロータ(12b)が、前記第3の振動質量体(16c)および前記第4の振動質量体(16d)とともに、前記基板表面(10)に対して垂直に向き、前記第1の回転軸(52a)に対して平行に向いた第2の回転軸(52b)を中心とする、第2の調和振動運動を行うことができるように、少なくとも1つの第2のロータ連結ばね(18b)を介して前記基板表面(10)に連結されているものと、
- 前記第1の側の第1の端部が、第5のレバー連結ばね(22e)を介して前記第3の振動質量体(16c)に連結され、前記第2のロータ(12b)の前記第1のロータ(12a)に向いた側で、第1の端部から第2の端部まで延伸する第5のレバー部材(20e)と、
- 前記第2の側の第1の端部が、第6のレバー連結ばね(22f)を介して前記第4の振動質量体(16d)に連結され、前記第2のロータ(12b)の前記第1のロータ(12a)に向いた側で、第1の端部から第2の端部まで延伸する第6のレバー部材(20f)と、
- 前記第5のレバー部材(20e)および前記第6のレバー部材(20f)を相互に接続する第3のレバー部材ばね(24c)と、
をさらに備えて構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のマイクロメカニカル部品。
【請求項5】
前記マイクロメカニカル部品は、
- 前記第1の側の第1の端部が、第7のレバー連結ばね(22g)を介して前記第3の振動質量体(16c)に連結され、前記第2のロータ(12b)の、前記第1のロータ(12a)から離れた側で、第1の端部から第2の端部まで延伸する第7のレバー部材(20g)と、
- 前記第2の側の第1の端部が、第8のレバー連結ばね(22h)を介して前記第4の振動質量体(16d)に連結され、前記第2のロータ(12b)の前記第1のロータ(12a)から離れた側で、第1の端部から第2の端部まで延伸する第8のレバー部材(20h)と、
- 前記第7のレバー部材(20g)および前記第8のレバー部材(20h)を相互に接続する第4のレバー部材ばね(24d)と、
をさらに備えて構成されている、請求項4に記載のマイクロメカニカル部品。
【請求項6】
前記第1のレバー部材ばね(24a)および前記第3のレバー部材ばね(24c)は、ばね部材(34)を介して相互に接続されている、請求項4または5に記載のマイクロメカニカル部品。
【請求項7】
前記第1の振動質量体(16a)および前記第3の振動質量体(16c)は、第1の揺動部材(36a)を介して相互に接続され、前記第2の振動質量体(16b)および前記第4の振動質量体(16d)は、第2の揺動部材(36b)を介して相互に接続されている、請求項4~6のいずれか一項に記載のマイクロメカニカル部品。
【請求項8】
厳密に4つの取付構造(42a~42d)が前記基板表面(10)に取り付けられ、前記取付構造(42a~42d)は、前記基板表面(10)を少なくとも部分的に覆う少なくとも1つの材料層から形成され、前記4つの取付構造(42a~42d)のうち第1の取付構造(42a)は、前記第1のロータ(12a)に構成された第1の切欠き部に突出し、前記第1のロータ(12a)は、前記少なくとも1つの第1のロータ連結ばね(18a)を介して前記第1の取付構造(42a)に連結され、前記4つの取付構造(42a~42d)のうち第2の取付構造(42b)は、前記第2のロータ(12b)に構成された第2の切欠き部に突出し、前記第2のロータ(12b)は、前記少なくとも1つの第2のロータ連結ばね(18b)を介して前記第2の取付構造(42b)に連結され、前記第1の揺動部材(36a)は、前記第1の揺動部材(36a)に係止された第1の揺動支持ばね(40a)を介して前記4つの取付構造(42a~42d)のうち第3の取付構造(42c)に連結され、前記第2の揺動部材(36b)は、前記第2の揺動部材(36b)に係止された第2の揺動支持ばね(40b)を介して前記4つの取付構造(42a~42d)のうち第4の取付構造(42d)に連結されている、請求項7に記載のマイクロメカニカル部品。
【請求項9】
前記第1の調和振動運動を行う前記第1の振動質量体(16a)は、前記基板表面(10)に対して垂直に向いた第1の回転軸を中心とする前記マイクロメカニカル部品の回転運動によって、前記第1のロータ(12a)について前記基板表面(10)に対して平行に向いた第1の変位方向に移行可能であり、前記第1の調和振動運動を行う前記第2の振動質量体(16b)は、前記第1の回転軸を中心とする前記マイクロメカニカル部品の回転運動によって、前記第1のロータ(12a)について前記基板表面(10)に対して平行に向き、かつ前記第1の変位方向とは反対向きの第2の変位方向に移行可能である、請求項1~8のいずれか一項に記載のマイクロメカニカル部品。
【請求項10】
前記基板表面(10)に対して平行に向いた第2の回転軸(D2)を中心とする前記マイクロメカニカル部品の回転運動中に、前記第1の調和振動運動を行う前記第1のロータ(12a)は、前記基板表面(10)に対して平行に向き、かつ前記第2の回転軸(D2)に対して垂直に向いた第1の傾斜軸(56a)を中心として、前記基板に対して傾斜可能であり、一方で、前記基板表面(10)に平行に向き、かつ前記第2の回転軸(D2)に垂直に向いた第3の回転軸(D3)を中心とする前記マイクロメカニカル部品の回転運動中に、前記第1の調和振動運動を行う前記第1のロータ(12a)は、前記基板表面(10)に平行に向き、かつ前記第1の傾斜軸(56a)に垂直に向いた第2の傾斜軸(58)を中心として、前記基板に対して傾斜可能である、請求項1~9のいずれか一項に記載のマイクロメカニカル部品。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のマイクロメカニカル部品を備える角速度センサ。
【請求項12】
ロータ(12a)を形成するステップであって、前記ロータ(12a)は、第1の側で、少なくとも1つの第1の質量体連結ばね(14a)を介して前記ロータ(12a)に連結された第1の振動質量体(16a)を備え、また、前記第1の側から離れた第2の側で、少なくとも1つの第2の質量体連結ばね(14b)を介して前記ロータ(12a)に連結された第2の振動質量体(16b)を備えて構成され、かつ、前記ロータ(12a)は、前記ロータ(12a)が前記第1の振動質量体(16a)および前記第2の振動質量体(16b)とともに、基板表面に対して垂直に向いた回転軸(52a)を中心とする調和振動運動を行うことができるように、少なくとも1つのロータ連結ばね(18a)を介して基板の前記基板表面(10)に連結されているステップ(S1)、を備え、
- 第1のレバー部材(20a)を形成するステップであって、前記第1のレバー部材(20a)の前記第1の側の第1の端部は、第1のレバー連結ばね(22a)を介して前記第1の振動質量体(16a)に連結され、前記第1のレバー部材(20a)は、前記ロータ(12a)の前記第1の側と前記第2の側との間に位置する第3の側で、第1の端部から第2の端部まで延伸するステップ(S2)と、
- 第2のレバー部材(20b)を形成するステップであって、前記第2のレバー部材(20b)の前記第2の側の第1の端部は、第2のレバー連結ばね(22b)を介して前記第2の振動質量体(16b)に連結され、前記第2のレバー部材(20b)は、前記ロータ(12a)の前記第3の側で、第1の端部から第2の端部まで延伸するステップ(S3)と、
- 前記第1のレバー部材(20a)および前記第2のレバー部材(20b)を相互に接続する、第1のレバー部材ばね(24a)を形成するステップ(S4)と、
を備えることを特徴とする、角速度センサ用マイクロメカニカル部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角速度センサ用マイクロメカニカル部品および角速度センサに関する。さらに、本発明は、角速度センサ用マイクロメカニカル部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第102010062095号明細書には、基板表面を有する基板と、基板表面に取り付けられた第1のロータと、同様に基板表面に取り付けられた第2のロータと、を備えた角速度センサが記載されている。第1のロータは、基板表面に対して垂直に向いた第1の回転軸を中心とする、第1の調和振動運動が可能であり、第2のロータは、同様に基板表面に対して垂直に向いた第2の回転軸を中心とする、第1の調和振動運動とは反対方向に延伸する第2の調和振動運動が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第102010062095号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、請求項1の特徴を有する角速度センサ用マイクロメカニカル部品、請求項11に記載の角速度センサ、および請求項12の特徴を有する角速度センサ用マイクロメカニカル部品の製造方法を提供する。
【0005】
本発明は、基板表面に対して垂直に向いた第1の回転軸を中心とする回転運動を検出するためにも、基板表面に対して平行に向いた第1の第2の回転軸を中心とする回転運動を検出するためにも、および/または基板表面に対して平行に、かつ第2の回転軸に対して垂直に向いた第3の回転軸を中心とする回転運動を検出するためにも使用することができる、マイクロメカニカル部品、またはそれを備えて構成された角速度センサを提供する。その多角的な汎用性にもかかわらず、本発明に係るマイクロメカニカル部品、またはそれを備えて実現された角速度センサは、比較的振動に強い。また、本発明に係るマイクロメカニカル部品は、スペースを有効利用した設計を有するが、この設計は、それぞれのマイクロメカニカル部品の作動中にエネルギーが出力されることを防止する。特に、本発明に係る各マイクロメカニカル部品の設計は、直線振動または回転振動が印加された際に偽信号につながる非対称性を有していない。本発明に係るマイクロメカニカル部品の設計のさらなる利点は、機械的ブリッジを有さないことであり、そのため、本発明に係るマイクロメカニカル部品の製造は比較的容易に実施でき、比較的安価である。本発明に係るマイクロメカニカル部品のさらなる利点は、測定感度が比較的高いにもかかわらず、電気測定パルスに対して感度が低いことである。
【0006】
マイクロメカニカル部品の有利な実施形態では、第1のレバー部材は、第1のレバー部材に係止された第1のレバー支持ばねを介して第1のロータに連結され、第2のレバー部材は、第2のレバー部材に係止された第2のレバー支持ばねを介して第1のロータに連結されている。少なくとも第1のレバー部材が第1のレバー支持ばねを介して、少なくとも第2のレバー部材が第2のレバー支持ばねを介して第1のロータに連結されていることにより、第1のレバー部材と第2のレバー部材の所望のてこ作用が向上する。
【0007】
好ましくは、マイクロメカニカル部品は、第1の側の第1の端部が、第3のレバー連結ばねを介して第1の振動質量体に連結され、第1のロータの第1の側と第2の側との間に位置する第4の側で、第1の端部から第2の端部まで延伸する第3のレバー部材と、第2の側の第1の端部が、第4のレバー連結ばねを介して第2の振動質量体に連結され、第1のロータの第4の側で、第1の端部から第2の端部まで延伸する第4のレバー部材と、第3のレバー部材および第4のレバー部材を相互に接続する第2のレバー部材ばねと、をさらに備えて構成されている。ここに記載した、第1のレバー部材と、第2のレバー部材と、第3のレバー部材と、第4のレバー部材と、第1のレバー部材ばねおよび第2のレバー部材ばねと、を備えた第1のロータの構成は、第1のロータにおけるレバー構造を実現し、レバー構造は、第1の振動質量体および第2の振動質量体の中心と交差する第1の対称軸について鏡面対称であり、かつ第1の振動質量体と第2の振動質量体との間に延在する第2の対称軸について鏡面対称である。
【0008】
有利な改善構成として、マイクロメカニカル部品は、第1のロータの第3の側に配置された第2のロータであって、第1の側で、少なくとも1つの第3の質量体連結ばねを介して第2のロータに連結された第3の振動質量体を備え、第2の側で、少なくとも1つの第4の質量体連結ばねを介して第2のロータに連結された第4の振動質量体を備えて構成されており、かつ、第2のロータが、第3の振動質量体および第4の振動質量体を備えて、基板表面に対して垂直に向き、第1の回転軸に対して平行に向いた第2の回転軸を中心とする、第2の調和振動運動を行うことができるように、少なくとも1つの第2のロータ連結ばねを介して基板表面に連結されているものと、第1の側の第1の端部が、第5のレバー連結ばねを介して第3の振動質量体に連結され、第2のロータの第1のロータに向いた側で、第1の端部から第2の端部まで延伸する第5のレバー部材と、第2の側の第1の端部が、第6のレバー連結ばねを介して第4の振動質量体に連結され、第2のロータの第1のロータに向いた側で、第1の端部から第2の端部まで延伸する第6のレバー部材と、第5のレバー部材および第6のレバー部材を相互に接続する第3のレバー部材ばねと、をさらに備えて構成されてもよい。ここに記載したマイクロメカニカル部品の構成形態は、このように、逆位相で振動運動するように励振することができる、相互に鏡面対称に構成された2つのロータを有する。したがって、ここに記載したマイクロメカニカル部品の実施形態の回転運動を検出する場合、差動信号評価の利点を使用してもよい。
【0009】
好ましくは、マイクロメカニカル部品は、第1の側の第1の端部が、第7のレバー連結ばねを介して第3の振動質量体に連結され、第2のロータの第1のロータから離れた側で、第1の端部から第2の端部まで延伸する第7のレバー部材と、第2の側の第1の端部が、第8のレバー連結ばねを介して第4の振動質量体に連結され、第2のロータの第1のロータから離れた側で、第1の端部から第2の端部まで延伸する第8のレバー部材と、第7のレバー部材および第8のレバー部材を相互に接続する第4のレバー部材ばねと、をさらに備えて構成されている。したがって、第2のロータは、第5のレバー部材と、第6のレバー部材と、第7のレバー部材と、第8のレバー部材と、第3のレバー部材ばねと、第4のレバー部材ばねと、からなるレバー構造で構成されてもよく、このレバー構造は、第3の振動質量体および第4の振動質量体の中心と交差する第1の対称軸についても、第3の振動質量体および第4の振動質量体の間に延在する第2の対称軸についても、鏡面対称である。
【0010】
さらに有利な改善構成として、第1のレバー部材ばねおよび第3のレバー部材ばねは、ばね部材を介して相互に接続されてもよい。ばね部材を用いて、第3の振動質量体および第4の振動質量体を備えた第2のロータの第2の調和振動運動と、第1の振動質量体および第2の振動質量体を備えた第1のロータの第1の調和振動運動と、の間の所望の逆位相を保証することができる。
【0011】
代替的または補完的に、第1の振動質量体および第3の振動質量体は、第1の揺動部材を介して相互に接続され、第2の振動質量体および第4の振動質量体は、第2の揺動部材を介して相互に接続されてもよい。また、第1の揺動部材および第2の揺動部材を用いて、第3の振動質量体および第4の振動質量体を備えた、第2のロータの第2の調和振動運動と、第1の振動質量体および第2の振動質量体を備えた、第1のロータの第1の調和振動運動との間の所望の逆位相を保証することができる。
【0012】
好ましくは、厳密に4つの取付構造が基板表面に取り付けられ、これらの取付構造は、基板表面を少なくとも部分的に覆う少なくとも1つの材料層から形成され、4つの取付構造のうち第1の取付構造は、第1のロータに構成された第1の切欠き部に突出し、第1のロータは、少なくとも1つの第1のロータ連結ばねを介して第1の取付構造に連結され、4つの取付構造のうち第2の取付構造は、第2のロータに構成された第2の切欠き部に突出し、第2のロータは、少なくとも1つの第2のロータ連結ばねを介して第2の取付構造に連結され、第1の揺動部材は、第1の揺動部材に係止された第1の揺動支持ばねを介して4つの取付構造のうち第3の取付構造に連結され、第2の揺動部材は、第2の揺動部材に係止された第2の揺動支持ばねを介して4つの取付構造のうち第4の取付構造に連結されている。結果として2つのロータが厳密に4つの取付構造に垂設されることにより、マイクロメカニカル部品の回転運動に応じた2つのロータおよびその振動質量体の所望の変位性が保証され、同時に機械的応力の結合が防止される。
【0013】
マイクロメカニカル部品の好ましい実施形態では、第1の調和振動運動を行う第1の振動質量体は、基板表面に対して垂直に向いた第1の回転軸を中心とするマイクロメカニカル部品の回転運動によって、第1のロータについて基板表面に対して平行に向いた第1の変位方向に移行可能であり、一方で、第1の調和振動運動を行う第2の振動質量体は、第1の回転軸を中心とするマイクロメカニカル部品の回転運動によって、第1のロータについて基板表面に対して平行に向き、かつ第1の変位方向とは反対向きの第2の変位方向に移行可能である。代替的または補完的に、基板表面に対して平行に向いた第2の回転軸を中心とするマイクロメカニカル部品の回転運動中に、第1の調和振動運動を行う第1のロータは、基板表面に対して平行に向き、かつ第2の回転軸に対して垂直に向いた第1の傾斜軸を中心として、基板に対して傾斜していてもよく、一方で、基板表面に平行に向き、かつ第2の回転軸に垂直に向いた第3の回転軸を中心とするマイクロメカニカル部品の回転運動中に、第1の調和振動運動を行う第1のロータは、基板表面に平行に向き、かつ第1の傾斜軸に垂直に向いた第2の傾斜軸を中心として、基板に対して傾斜していてもよい。したがって、少なくとも第1のロータ(場合によっては第2のロータも)は、有利にはマイクロメカニカル部品の回転運動を検出するために使用することができる。
【0014】
同様に、このようなマイクロメカニカル部品を備えた角速度センサは、先述した利点を実現する。
先述した利点は、角速度センサ用マイクロメカニカル部品の、対応する製造方法を実施する際にも保証される。製造方法は、上述のマイクロメカニカル部品の実施形態にしたがってさらに改善できることを明示する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
以下に、本発明のさらなる特徴および利点を、図を参照して説明する。
図1】マイクロメカニカル部品の第1の実施形態の概略図である。
図2a】マイクロメカニカル部品の第2の実施形態の概略図である。
図2b】マイクロメカニカル部品の第2の実施形態の概略図である。
図2c】マイクロメカニカル部品の第2の実施形態の概略図である。
図2d】マイクロメカニカル部品の第2の実施形態の概略図である。
図2e】マイクロメカニカル部品の第2の実施形態の概略図である。
図3】角速度センサ用マイクロメカニカル部品の製造方法の一実施形態を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、マイクロメカニカル部品の第1の実施形態の概略図である。
図1に概略的に示すマイクロメカニカル部品は、基板表面10を備えた少なくとも1つの基板と、第1のロータ12aと、を含む。好ましくは、マイクロメカニカル部品は、第2のロータ12bも備えて構成されている。第1のロータ12aの第1の側と、場合によっては第2のロータ12bの第1の側で、第1のロータ12aには、少なくとも1つの第1の質量体連結ばね14aを介して第1のロータ12aに連結された第1の振動質量体16aが構成されている。第1のロータ12aの第1の側から離れた第2の側で、場合によっては第2のロータ12bの第1の側から離れた第2の側でも、第1のロータ12aは、少なくとも1つの第2の質量体連結ばね14bを介して第1のロータ12aに連結された第2の振動質量体16bをさらに有する。存在する場合、第2のロータ12bは、第1のロータ12aの第1の側と第2の側との間に位置する第3の側に配置される。場合によって、第2のロータ12bは、第1の側で、少なくとも1つの第3の質量体連結ばね14cを介して第2のロータ12bに連結された第3の振動質量体16cと、第2の側で、少なくとも1つの第4の質量体連結ばね14dを介して第2のロータ12aに接続された第4の振動質量体16dと、を備えて構成されている。
【0017】
第1のロータ12aは、第1のロータ12aが、第1の振動質量体16aおよび第2の振動質量体16bとともに基板表面10に対して垂直に向いた第1の回転軸を中心とする第1の調和振動運動を行うことができるように、少なくとも1つの第1のロータ連結ばね18aを介して基板表面10に連結されている。また、第2のロータ12bは、第2のロータ12bが、第3の振動質量体16cおよび第4の振動質量体16dとともに基板表面10に対して垂直に、かつ第1の回転軸に対して平行に向いた第2の回転軸を中心とする第2の調和振動運動を行うことができるように、少なくとも第2のロータ連結ばね18bを介して基板表面10に連結されていてもよい。
【0018】
第1のロータ12aは、少なくとも第1のレバー部材20aと、第2のレバー部材20bとを備える。第1のレバー部材20aは、第1の側の第1の端部から、第1のロータ12aの第3の側に位置する第2の端部まで延伸するように形成されている。同様に、第2のレバー部材20bは、第2の側の第1の端部から、第1のロータ12aの第3の側に位置する第2の端部まで延伸する。第1のレバー部材20aの第1の端部は第1のレバー連結ばね22aを介して第1の振動質量体16aに連結され、第2のレバー部材20bは第1の端部が第2のレバー連結ばね22bを介して第2の振動質量体16bに連結されており、一方で、第1のレバー部材20aおよび第2のレバー部材20bは、第1のレバー部材ばね24aを介して相互に接続されている。特に、第1のレバー部材20aの第2の端部は、第1のレバー部材ばね24aを介して第2のレバー部材20bの第2の端部に連結されていてもよい。少なくとも第1のレバー部材20a、第2のレバー部材20b、および第1のレバー部材ばね24aは、第1のロータ12aのレバー構造を実現し、これにより、第1のロータ12aの第1の調和振動運動の所望の維持が、第1の振動質量体16aおよび第2の振動質量体16bとともに確実に保証される。
【0019】
好ましくは、第1のロータ12aのレバー構造は、第3のレバー部材20cと、第4のレバー部材20dと、第2のレバー部材ばね24bと、をさらに含む。場合によって、第3のレバー部材20cは、第1の側の第1の端部から、第1のロータ12aの第1の側と第2の側との間に位置する第4の側の第2の端部まで延伸する。第4のレバー部材20dもまた、第2の側の第1の端部から、第1のロータ12aの第4の側に位置する第2の端部まで延伸するように形成されてよい。
【0020】
さらに、第3のレバー部材20cの第1の端部は、第3のレバー連結ばね22cを介して、また、第4のレバー部材20dの第1の端部は、第4のレバー連結ばね22dを介して、それらにそれぞれ隣接する振動質量体16aまたは16bに連結されていてもよい。第3のレバー部材20cおよび第4のレバー部材20d、具体的にこの実施形態では第3のレバー部材20cの第2の端部および第4のレバー部材20dの第2の端部は、第2のレバー部材ばね24bを介して相互に接続されている。したがって、第1のロータ12aのレバー構造は、第1の振動質量体16aおよび第2の振動質量体16bと交差する第1のロータ12aの対称軸26aについて、および第1のロータ12aおよび第2のロータ12bと交差する第1のロータ12aおよび第2のロータ12bの第1の共通の対称軸28について、鏡面対称である。
【0021】
第2のロータ12bもまた、第5のレバー部材20e、第6のレバー部材20fおよび第3のレバー部材ばね24cを備えていてもよい。場合によって、この場合の第5のレバー部材20eは、第1の側の第1の端部から第2のロータ12bの第1のロータ12aに向いた側の第2の端部まで延伸する。同様に、第6のレバー部材20fも、第2の側の第1の端部から第2のロータ12bの第1のロータ12aに向いた側の第2の端部まで延伸するように構成されてもよい。好ましくは、第5のレバー部材20eの第1の端部は、第5のレバー連結ばね22eを介して第3の振動質量体12cに連結され、一方で、第6のレバー部材20fの第1の端部は、第6のレバー連結ばね22fを介して第4の振動質量体12dに連結されていてもよい。さらに、第5のレバー部材20eおよび第6のレバー部材20f、特にそれらの第2の端部は、第3のレバー部材ばね24cを介して相互に接続されてもよい。したがって、第2のロータ12bは、少なくとも第5のレバー部材20e、第6のレバー部材20fおよび第3のレバー部材ばね24cからなるレバー構造を備えて構成されてよく、このレバー構造は、第3の振動質量体16cおよび第4の振動質量体16dとともに第2のロータ12bの第2の調和振動運動を確実に維持することに寄与する。好ましくは、第5のレバー部材20e、第6のレバー部材20fおよび第3のレバー部材ばね24cは、第1のロータ12aと第2のロータ12bとの間に延在する、第1のロータ12aおよび第2のロータ12bの第2の共通の対称軸30について、第1のレバー部材20a、第2のレバー部材20bおよび第1のレバー部材ばね24aに対して鏡面対称である。
【0022】
有利な改善構成では、第2のロータ12bのレバー構造は、第1の側の第1の端部から第2のロータ12bの第1のロータ12aから離れた側の第2の端部まで延伸する第7のレバー部材20gと、第2の側の第1の端部から第2のロータ12bの第1のロータ12aから離れた側の第2の端部まで延伸する第8のレバー部材20hと、第4のレバー部材ばね24dと、をさらに含んでもよい。第7のレバー部材20gの第1の端部は、第7のレバー連結ばね22gを介して第3の振動質量体16cに連結されている一方で、第8のレバー部材20hの第1の端部は、第8のレバー連結ばね22hを介して第4の振動質量体16dに連結されていてもよい。さらに、第7のレバー部材20gおよび第8のレバー部材20h、特にそれらの第2の端部は、第4のレバー部材ばね24dを介して相互に接続されてもよい。第7のレバー部材20g、第8のレバー部材20hおよび第4のレバー部材ばね24dは、第3の振動質量体16cおよび第4の振動質量体16dと交差する第2のロータ12bの対称軸26bについて、第5のレバー部材20e、第6のレバー部材20fおよび第3のレバー部材ばね24cに対して鏡面対称であってもよい。好ましくは、第2のロータ12bのレバー構造も、第1のロータ12aおよび第2のロータ12bに交差する、第1のロータ12aおよび第2のロータ12bの第1の共通の対称軸28について鏡面対称である。さらに、第2のロータ12bのレバー構造は、第1のロータ12aと第2のロータ12bとの間に延在する、第1のロータ12aおよび第2のロータ12bの第2の共通の対称軸30について、第1のロータ12aのレバー構造に対して鏡面対称であってもよい。
【0023】
全てのレバー部材20a~20hは、それに連結された振動質量体16a~16dをそれぞれのロータ12aまたは12bに、有利に機械的に結合する。好ましくは、少なくとも1つのレバー部材ばね24a~24aは、それぞれ、例えば可撓性板ばねのような可撓性ばねである。
【0024】
好ましくは、各レバー部材20a~20hは、追加的にそれぞれのレバー部材20a~20hに係止されたレバー支持ばね32a~32hを介して、対応付けられたロータ12aまたは12bに連結されている。それぞれのレバー支持ばね32a~32hは、それを備えたレバー部材20a~20hのレバー機能を向上させる。少なくとも1つのレバー支持ばね32a~32hとしては、例えば、可撓性ばね、特に可撓性板ばねをそれぞれ使用してもよい。
【0025】
少なくとも1つのレバー連結ばね22a~22hとしても、可撓性ばね、特に可撓性板ばねをそれぞれ使用してもよい。好ましくは、レバー部材20a~20hのそれぞれにおいて、それぞれのレバー部材20a~20hに係止されたレバー連結ばね22a~22hと、同じレバー部材20a~20hに係止されたレバー支持ばね32a~32hとは、30°~90°の間の傾斜角度で相互に傾斜し、特に相互に垂直に向いている。これにより、レバー部材20a~20hのてこ効果が向上する。
【0026】
また、第1のレバー部材ばね24aおよび第3のレバー部材ばね24cが、ばね部材34を介して相互に接続されている場合も有利である。ばね部材34によって、第1のロータ12aの第1の調和振動運動と第2のロータ12bの第2の調和振動運動との間で、180°の位相ずれの所望の維持を保証することができる。この場合、第1のロータ12aの第1の調和振動運動は、第2のロータ12bの第2の調和振動運動と逆位相となる。ばね部材34は、例えば、第2の共通の対称軸30に平行に向いた2つのねじれ軟性ばね、特に第2の共通の対称軸30に平行に向いた2つの板ばねから構成してもよく、ねじれ軟性ばね/板ばねの第1の端部およびねじれ軟性ばね/板ばねの第2の端部は、それぞれ接続部を介して相互に接続されている。
【0027】
代替的または補完的に、第1の振動質量体12aおよび第3の振動質量体12cは、第1の揺動部材36aを介して相互に接続されてもよく、第2の振動質量体12bおよび第4の振動質量体12dは、第2の揺動部材36bを介して相互に接続されてもよい。揺動部材36aおよび36bを用いて、第1のロータ12aの第1の調和振動運動と、第2のロータ12bの第2の調和振動運動との間で、所望の180°の位相ずれをもたらすことができる。例えば、第1の揺動部材36aは、第1の揺動連結ばね38aを介して第1の振動質量体12aに連結され、第3の揺動連結ばね38cを介して第3の振動質量体12cに連結されていてもよい。同様に、第2の揺動部材36bは、第2の揺動連結ばね38bを介して第2の振動質量体12bに接続され、第4の揺動連結ばね38dを介して第4の振動質量体12dに接続されてもよい。各揺動連結ばね38a~38dは、好ましくは、可撓性ばねまたはねじれ軟性ばね、例えば可撓性板ばねまたはねじれ軟性板ばねである。それらの揺動機能を向上させるために、第1の揺動部材36aは、少なくとも第1の揺動部材36aに係止された第1の揺動支持ばね40aを介して基板表面10に連結されていてもよく、第2の揺動部材36bは、少なくとも第2の揺動部材36bに係止された第2の揺動支持ばね40bを介して基板表面10に連結されていてもよい。揺動支持ばね40aおよび40bとして、それぞれ1つのねじれ軟性ばね、特にそれぞれ1つのねじれ軟性板ばねを使用してもよい。
【0028】
好ましくは、第1のロータ12aは、少なくとも1つの第1のロータ連結ばね18aを介して、中心で(すなわち、その重心で)基板表面10に垂設されている。具体的に、本明細書に記載する実施形態では、第1の取付構造42aが基板表面10に取り付けられ、この取付構造42aは、第1のロータ12aに形成された第1の切欠き部内に突出する。そして、第1のロータ12aは、第1の切欠き部の縁部に係止された少なくとも1つの第1のロータ連結ばね18aを介して、第1の取付構造42aに取り付けることができる。例えば、第1の取り付け構造42aは、第1のロータ12aの2つの第1のロータ連結ばね18aの間にジンバル式(kardanisch)に位置していてもよい。基板表面10に取り付けられた第2の取り付け構造42bは、第2のロータ12bが、第2の切欠き部の縁部に係止された少なくとも1つの第2のロータ取り付けばね18bを介して第2の取り付け構造42bに連結されるように、第2のロータ12bの第2の切欠き部に突出する場合もある。第2の取り付け構造42bもまた、第2のロータ12bの2つの第2のロータ連結ばね18bの間にジンバル式に位置していてもよい。
【0029】
さらに、第1の揺動部材36aは、第1の揺動支持ばね40aを介して第3の取り付け構造42cに連結されていてもよく、第2の揺動部材36bは、第2の揺動支持ばね40bを介して第4の取り付け構造42dに連結されていてもよい。好ましくは、4つの取付構造42a~42dのみが基板表面10に取り付けられる。4つの取付構造42a~42dのみを介してロータ12a、12bを基板表面10に垂設することにより、マイクロメカニカル部品の回転運動に応じた、ロータ12a、12bおよび/またはその振動質量体16~16dの有利な移行が保証される。4つの取付構造42a~42dの基板表面10への有利な連結を実現するために、取付構造42a~42dは、基板表面10を少なくとも部分的に覆う少なくとも1つの材料層から形成してもよい。4つの取付構造42a~42dは、相互に対して相対的に、中央かつ対称的に配置されてもよい。この場合、マイクロメカニカル部品は、マイクロメカニカル部品の基板の曲げの影響を著しく受けなくなる。
【0030】
ここに記載したマイクロメカニカル部品は、有利には角速度センサに使用することができる。マイクロメカニカル部品のロータ12a、12bの調和振動運動と、マイクロメカニカル部品の回転運動に応じたロータ12a、12bおよび/または振動質量体16a~16dの反応の説明については、以下の実施形態の説明を参照されたい。
【0031】
図2a~図2eは、マイクロメカニカル部品の第2の実施形態の概略図である。
図2aに静止位置で示されているマイクロメカニカル部品は、上述の実施形態の構成要素を有する。
【0032】
これらの構成要素の特徴とその利点については、図1の説明を参照されたい。
図2bでは、第1の回転軸52aを中心とした、第1のロータ12aの第1の振動質量体16aおよび第2の振動質量体16bを伴う第1のロータ12aの第1の調和振動運動が矢印50aによって示されており、第2の回転軸52bを中心とした、第2のロータ12bの第3の振動質量体16cおよび第4の振動質量体16dを伴う第2のロータ12bの第2の調和振動運動が矢印50bによって示されている。第3の振動質量体16cおよび第4の振動質量体16dを伴う第2のロータ12bの第2の調和振動運動は、第1の振動質量体16aおよび第2の振動質量体16を伴う第1のロータ12aの第1の調和振動運動に対して逆位相(すなわち180°位相がずれている)であることがわかる。したがって、第1のロータ12aおよび第2のロータ12bは、逆位相で振動する二重ロータを形成する。第1のロータ12aおよび第2のロータ12bは、それらの振動質量体16a~16dとともに、図示しないアクチュエータ装置によってそれぞれの調和振動運動を行うことができる。このようなアクチュエータ装置の実施例は従来技術から知られているため、本明細書では詳述しない。
【0033】
図2cは、基板表面10に対して垂直に向いた第1の回転軸を中心とするマイクロメカニカル部品の回転運動中に、第1のロータ12aおよび第2のロータ12bが、それらの振動質量体16a~16dとともに、それぞれの調和振動運動を行うマイクロメカニカル部品を示す。(第1の回転軸は、基板表面10を表す図2cの画像面に対して垂直に向いているため、図示されていない。)。
【0034】
図2cに矢印54aによって図示されているように、基板表面10に対して垂直に向いた第1の回転軸を中心とするマイクロメカニカル部品の回転運動によって、第1の調和振動運動を行う第1の振動質量体16aの、第1のロータ12aについて基板表面10に対して平行に向いた第1の変位方向への移行運動が引き起こされる。一方で、矢印54bによって示されているように、第1の調和振動運動を行う第2の振動質量体16bは、第1の回転軸を中心とするマイクロメカニカル部品の回転運動によって、第1のロータ12aについて基板表面10に対して平行に向き、第1の変位方向とは反対向きの第2の変位方向に移行する。振動質量体16a、16bの変位方向が反対向きであるため、第1の回転軸を中心とするマイクロメカニカル部品の回転運動によって引き起こされる振動質量体16a、16bの移行運動は、振動質量体16a、16bの共通の方向への加速度によって引き起こされる変位運動とは明確に区別することができる。
【0035】
また、ロータ12a、12bおよびそれらの振動質量体16a~16dの逆位相の調和振動運動は、第1の回転軸を中心とするマイクロメカニカル部品の回転運動によって、第2のロータ12bについて、第2の調和振動運動を行う第3の振動質量体16cが第2の変位方向(矢印54c参照)に移行し、同様に、第2の調和振動運動を行う第4の振動質量体16dが第1の変位方向(矢印54d参照)に移行する。振動質量体16a~16dをそれぞれのロータ12aまたは12bに連結する質量体連結ばね14a~14dは、第1の変位方向および第2の変位方向に対して比較的柔軟に構成することができる。ばね14a~14dには、例えば、板ばねを使用することができる。
【0036】
矢印54a~54dによって示される、それぞれの変位方向における振動質量体16a~16dの移行運動は、共通の対称軸28、30についてマイクロメカニカル部品が有利な対称性を有するため、対称的な検出電極を使用し、検出電極によって提供される少なくとも1つの差分信号を評価することによって、確実に検出することができる。したがって、マイクロメカニカル部品は、有利には、第1の回転軸を中心とする回転運動を検出するため、および/または第1の回転軸を中心とする回転運動の第1の角速度を測定するために使用することができる。
【0037】
図2dは、基板表面10に平行に向いた第2の回転軸D2を中心とするマイクロメカニカル部品の回転運動中に、第1のロータ12aおよび第2のロータ12bが、それらの振動質量体16a~16dとともに、それぞれの調和振動運動を行うマイクロメカニカル部品を示す。例示的に、第2の回転軸D2は、第1のロータ12aおよび第2のロータ12bの第1の共通の対称軸28に等しい。
【0038】
第2の回転軸D2を中心とするマイクロメカニカル部品の回転運動によって、第1の調和振動運動を行う第1のロータ12aが、基板に対して第1の傾斜軸56aを中心に傾斜することがわかる。第1の傾斜軸56aは、基板表面10に対して平行であるが、第2の回転軸D2に対して垂直に向いている。同様に、第2の回転軸D2を中心とするマイクロメカニカル部品の回転運動はまた、第2の傾斜軸56bを中心とする、第2の調和振動運動を行う第2のロータ12bの傾斜運動を引き起こし、第2の傾斜軸56bは、第1の傾斜軸56aに平行に向いている。特に、第1のロータ12aの第1の傾斜軸56aは、第1のロータ12aの対称軸26a上に位置することができ、一方で、第2のロータの第2の傾斜軸56bは、第2のロータ12bの対称軸26bと一致する。
【0039】
また、ロータ12a、12bおよびそれらの振動質量体16a~16dの調和振動運動が逆位相であるため、第2の回転軸D2を中心とするマイクロメカニカル部品の回転運動によって引き起こされるそれぞれの傾斜軸56a、56bを中心とするロータ12a、12bの傾斜運動は、傾斜軸56a、56bに平行に延伸する第1のロータ12aおよび第2のロータ12bの第2の共通の対称軸30について鏡面対称である。したがって、第2の回転軸D2を中心とするマイクロメカニカル部品の回転運動によって引き起こされる、それぞれの傾斜軸56aまたは56bを中心とするロータ12a、12bの傾斜運動は、対称的な検出電極によって提供される少なくとも1つの差動信号の評価によって確実に検出することができる。したがって、マイクロメカニカル部品は、第2の回転軸D2を中心とする回転運動を検出するため、および/または第2の回転軸D2を中心とする回転運動の第2の角速度を測定するために有利に使用することができる。
【0040】
図2eは、基板表面10に平行に、かつ第2の回転軸D2に垂直に向いた第3の回転軸D3を中心とするマイクロメカニカル部品の回転運動中に、第1のロータ12aおよび第2のロータ12bが、それらの振動質量体16a~16dとともにそれぞれの調和振動運動を行うマイクロメカニカル部品を示す。第3の回転軸D3は、例えば、第1のロータ12aおよび第2のロータ12bの第2の共通の対称軸30に等しくてもよい。
【0041】
第3の回転軸D3を中心とするマイクロメカニカル部品の回転運動によって、第1の調和振動運動を行う第1のロータ12aおよび第2の調和振動運動を行う第2のロータ12bは、それぞれ、基板表面10に平行に、かつ第3の回転軸D3に垂直に向いた共通の傾斜軸58を中心として、基板に対して傾斜する。しかしながら、調和振動運動間で位相が180°ずれているため、第1の調和振動運動を行う第1のロータ12aは、基板に対して傾斜軸58を中心に第1の回転方向60aに傾斜し、一方で、第2の調和振動運動を行う第2のロータ12bは、基板に対して傾斜軸を中心に第1の回転方向60aとは反対向きの第2の回転方向60bに回転する。したがって、第3の回転軸D3を中心とするマイクロメカニカル部品の回転運動によって引き起こされる、傾斜軸58を中心とするロータ12a、12bの傾斜運動は、対称的な検出電極によって提供される少なくとも1つの差動信号の評価によって確実に検出することができる。したがって、マイクロメカニカル部品は、第3の回転軸D3を中心とする回転運動を検出するため、および/または第3の回転軸D3を中心とする回転運動の第3の角速度を測定するために有利に使用することができる。
【0042】
上述したマイクロメカニカル部品は全て、耐振動性または高感度の角速度センサを実現するために使用することができる。このような角速度センサは、特に、例えば車両、ポンプ、バルブトレインなど、振動の強い領域に設置することができる。このような角速度センサを消費者向け用途に使用する場合でも、振動アラームやスピーカ動作があるにもかかわらず、角速度を確実に測定することができる。ロータ12a、12bによって実現される逆位相の振動ダブルロータは、省スペース設計であるにもかかわらず、3つの空間方向D2、D3を中心とした回転運動を検出するために使用することができる。
【0043】
上述のマイクロメカニカル部品の設計は、小型化も容易にしている。この設計のモード密度は、従来技術よりも著しく低いため、角速度センサを、著しく少なく、より良好に制御可能なモードジャンプで実現することができる。クローズドループコンセプトもそれぞれの角速度センサで実現できる。
【0044】
また、質量体部材の総数が比較的少ないため、上記で説明したマイクロメカニカル部品は、高周波での干渉モードも比較的少ない。そのため、干渉の影響を受けにくい。
上述のマイクロメカニカル部品の設計では、機械的ブリッジを必要としないことをここに明示する。したがって、マイクロメカニカル部品には、機械的ブリッジに起因する質量体の非対称性も生じない。共通の対称軸28、30について対称であるため、上述のマイクロメカニカル部品のいずれにおいても、エネルギーの望ましくない出力や、系統的なオフセットのずれは生じない。
【0045】
対称的な検出電極は、好ましくは、レバー部材20a~20hと基板との間に配置される。したがって、レバー部材20a~20hは検出面として使用することができる。
図3は、角速度センサ用マイクロメカニカル部品の製造方法の一実施形態を説明するためのフローチャートである。
【0046】
以下に記載する製造方法を用いて、例えば、上述したマイクロメカニカル部品を製造することができる。しかしながら、ここで製造方法の実施可能性は、これらの部品のうち1つの製造に限定されないことを指摘する。
【0047】
方法ステップS1においてロータが形成され、このロータは、第1の側で、少なくとも1つの第1の質量体連結ばねを介してロータに連結された第1の振動質量体を備えて、また、第1の側から離れた第2の側で、少なくとも1つの第2の質量体連結ばねを介してロータに連結された第2の振動質量体を備えて構成される。さらに、ロータは、ロータが第1の振動質量体および第2の振動質量体を備えて、基板表面に対して垂直に向いた回転軸を中心とする調和振動運動を行うことができるように、少なくとも1つのロータ連結ばねを介して基板の基板表面に連結されている。
【0048】
方法ステップS2において、第1のレバー部材が形成され、第1のレバー部材の第1の側の第1の端部は、第1のレバー連結ばねを介して第1の振動質量体に連結され、第1のレバー部材は、ロータの第1の側と第2の側との間に位置する第3の側で、第1の端部から第2の端部まで延伸する。同様に、方法ステップS3において、第2のレバー部材が形成され、第2のレバー部材の第2の側の第1の端部は、第2のレバー連結ばねを介して第2の振動質量体に連結され、第2のレバー部材は、ロータの第3の側で、第1の端部から第2の端部まで延伸する。方法ステップS4として形成された第1のレバー部材ばねを用いて、第1のレバー部材および第2のレバー部材は相互に接続される。
【0049】
ここに記載した製造方法は、容易で安価に実施可能な製造方法である。方法ステップS1~S4は、任意の順序で、時間的に重複して、または同時に実施することができる。この製造方法を用いて製造されたマイクロメカニカル部品は、非常にコンパクトで、容易に小型化可能であり、それにもかかわらず高い測定感度を有することができる。また、ここに記載した製造方法は、上述したマイクロメカニカル部品に応じて改善することができる。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-04-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 基板表面(10)を有する基板と、
- 第1のロータ(12a)であって、第1の側で、少なくとも1つの第1の質量体連結ばね(14a)を介して前記第1のロータ(12a)に連結された第1の振動質量体(16a)と、前記第1の側から離れた第2の側で、少なくとも1つの第2の質量体連結ばね(14b)を介して前記第1のロータ(12a)に連結された第2の振動質量体(16b)と、を有して構成され、かつ、前記第1のロータ(12a)が、前記第1の振動質量体(16a)および前記第2の振動質量体(16b)とともに前記基板表面(10)に対して垂直に向いた第1の回転軸(52a)を中心とする第1の調和振動運動を行うことができるように、少なくとも1つの第1のロータ連結ばね(18a)を介して前記基板表面(10)に連結されているものと、
を備え、
- 前記第1の側の第1の端部が、第1のレバー連結ばね(22a)を介して前記第1の振動質量体(16a)に連結され、前記第1のロータ(12a)の前記第1の側と前記第2の側との間に位置する第3の側で、第1の端部から第2の端部まで延伸する第1のレバー部材(20a)と、
- 前記第2の側の第1の端部が、第2のレバー連結ばね(22b)を介して前記第2の振動質量体(16b)に連結され、前記第1のロータ(12a)の前記第3の側で、第1の端部から第2の端部まで延伸する第2のレバー部材(20b)と、
- 前記第1のレバー部材(20a)および前記第2のレバー部材(20b)を相互に接続する第1のレバー部材ばね(24a)と、
を備えることを特徴とする、角速度センサ用マイクロメカニカル部品。
【請求項2】
前記第1のレバー部材(20a)は、前記第1のレバー部材(20a)に係止された第1のレバー支持ばね(32a)を介して前記第1のロータ(12a)に連結され、前記第2のレバー部材(20b)は、前記第2のレバー部材(20b)に係止された第2のレバー支持ばね(32b)を介して前記第1のロータ(12a)に連結されている、請求項1に記載のマイクロメカニカル部品。
【請求項3】
前記マイクロメカニカル部品は、
- 前記第1の側の第1の端部が、第3のレバー連結ばね(22c)を介して前記第1の振動質量体(16a)に連結され、前記第1のロータ(12a)の前記第1の側と前記第2の側との間に位置する第4の側で、第1の端部から第2の端部まで延伸する第3のレバー部材(20c)と、
- 前記第2の側の第1の端部が、第4のレバー連結ばね(22d)を介して前記第2の振動質量体(16b)に連結され、前記第1のロータ(12a)の前記第4の側で、第1の端部から第2の端部まで延伸する第4のレバー部材(20d)と、
- 前記第3のレバー部材(20c)および前記第4のレバー部材(20d)を相互に接続する第2のレバー部材ばね(24b)と、
をさらに備えて構成されている、請求項1に記載のマイクロメカニカル部品。
【請求項4】
前記マイクロメカニカル部品は、
- 前記第1のロータ(12a)の前記第3の側に配置された第2のロータ(12b)であって、前記第1の側で、少なくとも1つの第3の質量体連結ばね(14c)を介して前記第2のロータ(12b)に連結された第3の振動質量体(16c)を備え、前記第2の側で、少なくとも1つの第4の質量体連結ばね(14d)を介して前記第2のロータ(12b)に連結された第4の振動質量体(14d)を備えて構成され、かつ、前記第2のロータ(12b)が、前記第3の振動質量体(16c)および前記第4の振動質量体(16d)とともに、前記基板表面(10)に対して垂直に向き、前記第1の回転軸(52a)に対して平行に向いた第2の回転軸(52b)を中心とする、第2の調和振動運動を行うことができるように、少なくとも1つの第2のロータ連結ばね(18b)を介して前記基板表面(10)に連結されているものと、
- 前記第1の側の第1の端部が、第5のレバー連結ばね(22e)を介して前記第3の振動質量体(16c)に連結され、前記第2のロータ(12b)の前記第1のロータ(12a)に向いた側で、第1の端部から第2の端部まで延伸する第5のレバー部材(20e)と、
- 前記第2の側の第1の端部が、第6のレバー連結ばね(22f)を介して前記第4の振動質量体(16d)に連結され、前記第2のロータ(12b)の前記第1のロータ(12a)に向いた側で、第1の端部から第2の端部まで延伸する第6のレバー部材(20f)と、
- 前記第5のレバー部材(20e)および前記第6のレバー部材(20f)を相互に接続する第3のレバー部材ばね(24c)と、
をさらに備えて構成されている、請求項1に記載のマイクロメカニカル部品。
【請求項5】
前記マイクロメカニカル部品は、
- 前記第1の側の第1の端部が、第7のレバー連結ばね(22g)を介して前記第3の振動質量体(16c)に連結され、前記第2のロータ(12b)の、前記第1のロータ(12a)から離れた側で、第1の端部から第2の端部まで延伸する第7のレバー部材(20g)と、
- 前記第2の側の第1の端部が、第8のレバー連結ばね(22h)を介して前記第4の振動質量体(16d)に連結され、前記第2のロータ(12b)の前記第1のロータ(12a)から離れた側で、第1の端部から第2の端部まで延伸する第8のレバー部材(20h)と、
- 前記第7のレバー部材(20g)および前記第8のレバー部材(20h)を相互に接続する第4のレバー部材ばね(24d)と、
をさらに備えて構成されている、請求項4に記載のマイクロメカニカル部品。
【請求項6】
前記第1のレバー部材ばね(24a)および前記第3のレバー部材ばね(24c)は、ばね部材(34)を介して相互に接続されている、請求項4に記載のマイクロメカニカル部品。
【請求項7】
前記第1の振動質量体(16a)および前記第3の振動質量体(16c)は、第1の揺動部材(36a)を介して相互に接続され、前記第2の振動質量体(16b)および前記第4の振動質量体(16d)は、第2の揺動部材(36b)を介して相互に接続されている、請求項4に記載のマイクロメカニカル部品。
【請求項8】
厳密に4つの取付構造(42a~42d)が前記基板表面(10)に取り付けられ、前記取付構造(42a~42d)は、前記基板表面(10)を少なくとも部分的に覆う少なくとも1つの材料層から形成され、前記4つの取付構造(42a~42d)のうち第1の取付構造(42a)は、前記第1のロータ(12a)に構成された第1の切欠き部に突出し、前記第1のロータ(12a)は、前記少なくとも1つの第1のロータ連結ばね(18a)を介して前記第1の取付構造(42a)に連結され、前記4つの取付構造(42a~42d)のうち第2の取付構造(42b)は、前記第2のロータ(12b)に構成された第2の切欠き部に突出し、前記第2のロータ(12b)は、前記少なくとも1つの第2のロータ連結ばね(18b)を介して前記第2の取付構造(42b)に連結され、前記第1の揺動部材(36a)は、前記第1の揺動部材(36a)に係止された第1の揺動支持ばね(40a)を介して前記4つの取付構造(42a~42d)のうち第3の取付構造(42c)に連結され、前記第2の揺動部材(36b)は、前記第2の揺動部材(36b)に係止された第2の揺動支持ばね(40b)を介して前記4つの取付構造(42a~42d)のうち第4の取付構造(42d)に連結されている、請求項7に記載のマイクロメカニカル部品。
【請求項9】
前記第1の調和振動運動を行う前記第1の振動質量体(16a)は、前記基板表面(10)に対して垂直に向いた第1の回転軸を中心とする前記マイクロメカニカル部品の回転運動によって、前記第1のロータ(12a)について前記基板表面(10)に対して平行に向いた第1の変位方向に移行可能であり、前記第1の調和振動運動を行う前記第2の振動質量体(16b)は、前記第1の回転軸を中心とする前記マイクロメカニカル部品の回転運動によって、前記第1のロータ(12a)について前記基板表面(10)に対して平行に向き、かつ前記第1の変位方向とは反対向きの第2の変位方向に移行可能である、請求項1に記載のマイクロメカニカル部品。
【請求項10】
前記基板表面(10)に対して平行に向いた第2の回転軸(D2)を中心とする前記マイクロメカニカル部品の回転運動中に、前記第1の調和振動運動を行う前記第1のロータ(12a)は、前記基板表面(10)に対して平行に向き、かつ前記第2の回転軸(D2)に対して垂直に向いた第1の傾斜軸(56a)を中心として、前記基板に対して傾斜可能であり、一方で、前記基板表面(10)に平行に向き、かつ前記第2の回転軸(D2)に垂直に向いた第3の回転軸(D3)を中心とする前記マイクロメカニカル部品の回転運動中に、前記第1の調和振動運動を行う前記第1のロータ(12a)は、前記基板表面(10)に平行に向き、かつ前記第1の傾斜軸(56a)に垂直に向いた第2の傾斜軸(58)を中心として、前記基板に対して傾斜可能である、請求項1に記載のマイクロメカニカル部品。
【請求項11】
請求項1に記載のマイクロメカニカル部品を備える角速度センサ。
【請求項12】
ロータ(12a)を形成するステップであって、前記ロータ(12a)は、第1の側で、少なくとも1つの第1の質量体連結ばね(14a)を介して前記ロータ(12a)に連結された第1の振動質量体(16a)を備え、また、前記第1の側から離れた第2の側で、少なくとも1つの第2の質量体連結ばね(14b)を介して前記ロータ(12a)に連結された第2の振動質量体(16b)を備えて構成され、かつ、前記ロータ(12a)は、前記ロータ(12a)が前記第1の振動質量体(16a)および前記第2の振動質量体(16b)とともに、基板表面に対して垂直に向いた回転軸(52a)を中心とする調和振動運動を行うことができるように、少なくとも1つのロータ連結ばね(18a)を介して基板の前記基板表面(10)に連結されているステップ(S1)、を備え、
- 第1のレバー部材(20a)を形成するステップであって、前記第1のレバー部材(20a)の前記第1の側の第1の端部は、第1のレバー連結ばね(22a)を介して前記第1の振動質量体(16a)に連結され、前記第1のレバー部材(20a)は、前記ロータ(12a)の前記第1の側と前記第2の側との間に位置する第3の側で、第1の端部から第2の端部まで延伸するステップ(S2)と、
- 第2のレバー部材(20b)を形成するステップであって、前記第2のレバー部材(20b)の前記第2の側の第1の端部は、第2のレバー連結ばね(22b)を介して前記第2の振動質量体(16b)に連結され、前記第2のレバー部材(20b)は、前記ロータ(12a)の前記第3の側で、第1の端部から第2の端部まで延伸するステップ(S3)と、
- 前記第1のレバー部材(20a)および前記第2のレバー部材(20b)を相互に接続する、第1のレバー部材ばね(24a)を形成するステップ(S4)と、
を備えることを特徴とする、角速度センサ用マイクロメカニカル部品の製造方法。
【国際調査報告】