(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】二酸化炭素リアクタ制御のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
C25B 3/26 20210101AFI20241031BHJP
C25B 9/23 20210101ALI20241031BHJP
C25B 15/08 20060101ALI20241031BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20241031BHJP
C07C 31/04 20060101ALI20241031BHJP
C07C 29/151 20060101ALI20241031BHJP
B01D 53/14 20060101ALI20241031BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20241031BHJP
【FI】
C25B3/26
C25B9/23
C25B15/08 304
C25B9/00 Z
C07C31/04
C07C29/151
B01D53/14 220
B01D53/14 210
C07B61/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525701
(86)(22)【出願日】2022-11-04
(85)【翻訳文提出日】2024-06-28
(86)【国際出願番号】 US2022079335
(87)【国際公開番号】W WO2023081846
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520271481
【氏名又は名称】トゥエルブ ベネフィット コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フランダース、ニコラス エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】クール、ケンドラ ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ハイネス、カーター エス.
(72)【発明者】
【氏名】ステビック、ルカ
(72)【発明者】
【氏名】ディコソラ、グレゴリー
【テーマコード(参考)】
4D020
4H006
4K021
【Fターム(参考)】
4D020AA03
4D020BA16
4D020BA19
4D020BB03
4D020BC01
4D020CC09
4H006AA02
4H006AC41
4H006BE20
4H006BE40
4H006FE11
4K021AB25
4K021BA02
4K021CA10
4K021DB43
4K021DB53
(57)【要約】
システムは、任意選択で炭素酸化物リアクタを備える。炭素酸化物リアクタ制御のための方法は、任意選択で、所望の出力組成に基づいて、炭素酸化物リアクタの態様を選択する段階、制御されたプロセス条件下で炭素酸化物リアクタを稼働して、所望の出力組成を生成する段階、及び/又は、プロセス条件を変更して、出力組成を変更する段階を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の化学化合物を生成するためのシステムであって、前記システムは、
(a)不純二酸化炭素源から二酸化炭素を捕捉し、前記不純二酸化炭素源中の二酸化炭素の濃度よりも高い濃度において二酸化炭素を出力するように構成された二酸化炭素捕捉ユニット;
(b)膜電極アセンブリを有する二酸化炭素還元電解槽、前記膜電極アセンブリは、1又は複数のイオン伝導性ポリマー層、及び前記二酸化炭素の炭素含有反応生成物への化学的還元を促進するためのカソード触媒を含む;及び
(c)前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された余剰の熱を前記二酸化炭素捕捉ユニットに伝達し、前記二酸化炭素捕捉ユニットによる二酸化炭素捕捉及び/又は二酸化炭素放出を促進するように構成された熱伝達ユニット
を備え、前記システムは、前記二酸化炭素捕捉ユニットからの二酸化炭素を前記二酸化炭素還元電解槽に提供するように構成されている、システム。
【請求項2】
前記二酸化炭素還元電解槽は、動作中に、湿度を生成するように構成されており、前記システムは、前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された前記湿度を前記二酸化炭素捕捉ユニットに送達するように構成されており、前記二酸化炭素捕捉ユニットは、前記湿度に曝露されると捕捉された二酸化炭素を放出するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記システムは、前記二酸化炭素還元電解槽からの余剰の二酸化炭素を前記二酸化炭素捕捉ユニットに輸送するように更に構成されており、前記二酸化炭素捕捉ユニットにおいて、前記余剰の二酸化炭素は、精製される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記不純二酸化炭素源は、空気である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記熱伝達ユニットは、前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された前記余剰の熱を受け取るように構成された熱交換器を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記二酸化炭素捕捉ユニットは、第1の温度において二酸化炭素を捕捉し、第2の温度において二酸化炭素を放出するように構成された吸着材層を有し、前記第2の温度は、前記第1の温度よりも高い、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記システムは、前記二酸化炭素捕捉ユニットの出口からのアノード水を前記熱伝達ユニットに輸送するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記システムは、前記熱伝達ユニットから前記二酸化炭素還元電解槽に前記アノード水を再循環させるように更に構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記システムは、前記二酸化炭素捕捉ユニットの出口からの前記炭素含有反応生成物を含むガスストリームを前記熱伝達ユニットに輸送するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記システムは、前記二酸化炭素捕捉ユニットの出口からのアノード水を、前記二酸化炭素捕捉ユニットに熱を伝達するように構成された第2の熱伝達ユニットに、輸送するように更に構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記炭素含有反応生成物は、一酸化炭素を含み、前記システムは、水素を前記一酸化炭素と結合させ、合成ガスを生成するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記水素を生成するように構成された水電解槽を更に備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記合成ガスを受け取るように構成されたフィッシャー・トロプシュリアクタを更に備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記フィッシャー・トロプシュリアクタによって生成された余剰の熱を前記二酸化炭素捕捉ユニットに伝達し、前記二酸化炭素捕捉ユニットによる二酸化炭素捕捉及び/又は二酸化炭素放出を促進するように構成された第2の熱伝達ユニットを更に備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記合成ガスを受け取るように構成されたメタノール合成リアクタを更に備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記メタノール合成リアクタによって生成された余剰の熱を前記二酸化炭素捕捉ユニットに伝達し、前記二酸化炭素捕捉ユニットによる二酸化炭素捕捉及び/又は二酸化炭素放出を促進するように構成された第2の熱伝達ユニットを更に備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
(a)膜電極アセンブリを備える二酸化炭素還元電解槽において二酸化炭素を炭素含有生成物に還元する段階、前記膜電極アセンブリは、1又は複数のイオン伝導性ポリマー層、及び二酸化炭素の前記炭素含有生成物への化学的還元を促進するためのカソード触媒を有する;
(b)前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された余剰の熱を、不純二酸化炭素源から二酸化炭素を捕捉し、前記不純二酸化炭素源からの二酸化炭素の濃度よりも高い濃度において二酸化炭素を出力するように構成された二酸化炭素捕捉ユニットに伝達する段階;及び
(c)前記出力された二酸化炭素を前記二酸化炭素還元電解槽に伝達する段階
を備える、方法。
【請求項18】
前記二酸化炭素還元電解槽において二酸化炭素を還元しながら湿度を生成する段階、及び
前記湿度を前記二酸化炭素捕捉ユニットに送達し、前記湿度に曝露されると捕捉された二酸化炭素の放出を促進する段階
を更に備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記二酸化炭素還元電解槽からの余剰の二酸化炭素を前記二酸化炭素捕捉ユニットに輸送する段階を更に備え、前記二酸化炭素捕捉ユニットにおいて、前記余剰の二酸化炭素は、精製される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記不純二酸化炭素源は、空気である、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された前記余剰の熱を前記二酸化炭素捕捉ユニットに伝達する段階は、前記余剰の熱を熱交換器に伝達する段階を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記二酸化炭素捕捉ユニットは、第1の温度において二酸化炭素を捕捉し、第2の温度において二酸化炭素を放出する吸着材層を有し、前記第2の温度は、前記第1の温度よりも高い、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された余剰の熱を前記二酸化炭素捕捉ユニットに伝達する段階は、前記二酸化炭素捕捉ユニットの出口からのアノード水を前記二酸化炭素捕捉ユニットに輸送する段階を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記二酸化炭素捕捉ユニットから前記二酸化炭素還元電解槽に前記アノード水を再循環させる段階を更に備える、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された余剰の熱を前記二酸化炭素捕捉ユニットに伝達する段階は、前記二酸化炭素捕捉ユニットの出口からの前記炭素含有生成物を含むガスストリームを前記二酸化炭素捕捉ユニットに輸送する段階を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された余剰の熱を前記二酸化炭素捕捉ユニットに伝達する段階は、前記二酸化炭素捕捉ユニットの出口からのアノード水を前記二酸化炭素捕捉ユニットに輸送する段階を更に有する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記炭素含有生成物は、一酸化炭素を含み、前記方法は、水素を前記一酸化炭素と結合させ、合成ガスを生成する段階を更に備える、請求項17に記載の方法。
【請求項28】
前記水素を生成するために水を電解する段階を更に備える、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記合成ガスをフィッシャー・トロプシュリアクタに提供する段階を更に備える、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記フィッシャー・トロプシュリアクタによって生成された余剰の熱を前記二酸化炭素捕捉ユニットに伝達する段階を更に備える、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記合成ガスをメタノール合成リアクタに提供する段階を更に備える、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記メタノール合成リアクタによって生成された余剰の熱を前記二酸化炭素捕捉ユニットに伝達する段階を更に備える、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
(a)膜電極アセンブリを有する二酸化炭素還元電解槽、前記膜電極アセンブリは、1又は複数のイオン伝導性ポリマー層、及び二酸化炭素の炭素含有化合物への化学的還元を促進するためのカソード触媒を有する;
(b)前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された前記炭素含有化合物又は前記炭素含有化合物の誘導体を受け取り、1又は複数の生成物化学物質を生成するように構成された1又は複数のリアクタ;及び
(c)前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された余剰の熱を受け取り、前記1又は複数の生成物化学物質の生成を促進するように構成された熱受容ユニット
を備える、システム。
【請求項34】
前記熱受容ユニットは、余剰の熱を、前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された前記炭素含有化合物又は前記炭素含有化合物の前記誘導体を受け取り、前記1又は複数のするように構成された前記1又は複数のリアクタに、提供するように更に構成されている、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記熱受容ユニットは、前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された前記余剰の熱を受け取るように構成された熱交換器を有する、請求項33に記載のシステム。
【請求項36】
前記熱受容ユニットは、前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された前記余剰の熱を受け取るように構成された再沸器を有する、請求項33に記載のシステム。
【請求項37】
前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された前記炭素含有化合物又は前記炭素含有化合物の前記誘導体を受け取るように構成された前記1又は複数のリアクタは、フィッシャー・トロプシュリアクタを含む、請求項33に記載のシステム。
【請求項38】
前記熱受容ユニットは、気体炭化水素を水と反応させるように構成された改質器である、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記フィッシャー・トロプシュリアクタは、ナフサを生成するように構成されている、請求項37に記載のシステム。
【請求項40】
前記炭素含有化合物は、COであり、前記熱受容ユニットは、CO精製ユニットである、請求項33に記載のシステム。
【請求項41】
前記CO精製ユニットは、吸着材を利用する、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
(a)膜電極アセンブリを有する二酸化炭素還元電解槽において二酸化炭素を炭素含有化合物に還元する段階、前記膜電極アセンブリは、1又は複数のイオン伝導性ポリマー層、及び二酸化炭素の前記炭素含有化合物への化学的還元を促進するためのカソード触媒を有する;
(b)1又は複数の反応において前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された前記炭素含有化合物又は前記炭素含有化合物の誘導体を反応させて、1又は複数の生成物化学物質を生成する段階;及び
(c)前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された余剰の熱を前記1又は複数の反応に伝達して、前記1又は複数の生成物化学物質の生成を促進する段階
を備える、方法。
【請求項43】
前記1又は複数の反応は、吸熱反応である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
(c)は、前記余剰の熱を、前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された前記余剰の熱を受け取るように構成された熱交換器に提供する段階を有する、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記1又は複数の反応は、フィッシャー・トロプシュ反応を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
(c)は、前記余剰の熱を、気体炭化水素を水と反応させる改質器に、提供する段階を有する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記炭素含有化合物は、COであり、(c)は、前記余剰の熱をCO精製ユニットに提供する段階を有する、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
前記CO精製ユニットは、吸着材を利用する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
二酸化炭素からメタノールを生成するためのシステムであって、前記システムは、
(a)膜電極アセンブリを有する二酸化炭素還元電解槽、前記膜電極アセンブリは、1又は複数のイオン伝導性ポリマー層、及び二酸化炭素の一酸化炭素への化学的還元を促進するためのカソード触媒を含む;
(b)前記一酸化炭素及び水素からメタノールを生成するように構成されたメタノール合成リアクタ、ここで、前記システムは、前記二酸化炭素還元電解槽からの前記一酸化炭素を前記メタノール合成リアクタに輸送するように構成されている;及び
(c)前記メタノール合成リアクタによって生成された余剰の熱を前記システムの補助コンポーネントに伝達するように構成された熱伝達ユニット
を備える、システム。
【請求項50】
前記水素を生成するように構成された水電解槽を更に備える、請求項49に記載のシステム。
【請求項51】
前記水電解槽によって生成された熱を前記システムの前記補助コンポーネントに伝達するように構成された第2の熱伝達ユニットを更に備える、請求項50に記載のシステム。
【請求項52】
前記補助コンポーネントは、不純二酸化炭素源から二酸化炭素を捕捉し、前記不純二酸化炭素源中の二酸化炭素の濃度よりも高い濃度において二酸化炭素を出力するように構成された二酸化炭素捕捉ユニットを有する、請求項49に記載のシステム。
【請求項53】
前記熱伝達ユニットは、前記余剰の熱を含む蒸気を受け取るように構成されている、請求項52に記載のシステム。
【請求項54】
前記熱伝達ユニットは、熱湯ストリームを出力するように構成されている、請求項53に記載のシステム。
【請求項55】
前記システムは、前記熱湯を前記メタノール合成リアクタに伝達するように更に構成されている、請求項54に記載のシステム。
【請求項56】
(a)膜電極アセンブリを備える二酸化炭素還元電解槽において二酸化炭素を炭素含有生成物に還元する段階、前記膜電極アセンブリは、1又は複数のイオン伝導性ポリマー層、及び二酸化炭素の一酸化炭素への化学的還元を促進するためのカソード触媒を有する;
(b)前記二酸化炭素還元電解槽からの前記一酸化炭素をメタノール合成リアクタに輸送する段階;
(c)前記メタノール合成リアクタにおいて前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された前記一酸化炭素及び水素を反応させて、メタノールを生成する段階;及び
(d)前記二酸化炭素還元電解槽及び/又は前記メタノール合成リアクタによって生成された余剰の熱を補助コンポーネントに伝達する段階
を備える、方法。
【請求項57】
前記水素を生成するために水を電解する段階を更に備える、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記水を電解することによって生成された熱をシステムの前記補助コンポーネントに伝達する段階を更に備える、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記補助コンポーネントは、不純二酸化炭素源から二酸化炭素を捕捉し、前記不純二酸化炭素源中の二酸化炭素の濃度よりも高い濃度において二酸化炭素を出力するように構成された二酸化炭素捕捉ユニットを有する、請求項56に記載の方法。
【請求項60】
前記メタノール合成リアクタによって生成された余剰の熱を伝達する段階は、前記余剰の熱を含む蒸気を前記二酸化炭素捕捉ユニットに送達する段階を有する、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記蒸気を熱湯に変換する段階を更に備える、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記熱湯を前記メタノール合成リアクタに伝達する段階を更に備える、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
二酸化炭素から液体炭化水素を生成するためのシステムであって、前記システムは、
(a)膜電極アセンブリを有する二酸化炭素還元電解槽、前記膜電極アセンブリは、1又は複数のイオン伝導性ポリマー層、及び二酸化炭素の一酸化炭素への化学的還元を促進するためのカソード触媒を含む;
(b)前記一酸化炭素及び水素から液体炭化水素混合物を生成するように構成されたフィッシャー・トロプシュリアクタ、ここで、前記システムは、前記二酸化炭素還元電解槽からの前記一酸化炭素を前記フィッシャー・トロプシュリアクタに輸送するように構成されている;及び
(c)前記フィッシャー・トロプシュリアクタによって生成された余剰の熱を前記システムの補助コンポーネントに伝達するように構成された熱伝達ユニット
を備える、システム。
【請求項64】
前記補助コンポーネントは、気体炭化水素を水と反応させるように構成された改質器を有する、請求項63に記載のシステム。
【請求項65】
前記熱伝達ユニットは、前記余剰の熱を前記改質器に伝達するように構成されている、請求項64に記載のシステム。
【請求項66】
前記フィッシャー・トロプシュリアクタによって生成されたテールガスを燃焼させ、二酸化炭素を生成するように構成されたテールガス燃焼ユニットを更に備え、前記システムは、前記テールガス燃焼ユニットからの二酸化炭素を前記二酸化炭素還元電解槽に輸送するように構成されている、請求項63に記載のシステム。
【請求項67】
前記補助コンポーネントは、不純二酸化炭素源から二酸化炭素を捕捉し、前記不純二酸化炭素源中の二酸化炭素の濃度よりも高い濃度において二酸化炭素を出力するように構成された二酸化炭素捕捉ユニットを有する、請求項63に記載のシステム。
【請求項68】
前記熱伝達ユニットは、前記余剰の熱を含む蒸気を受け取るように構成されている、請求項67に記載のシステム。
【請求項69】
前記熱伝達ユニットは、熱湯ストリームを出力するように構成されている、請求項68に記載のシステム。
【請求項70】
前記システムは、前記熱湯を前記フィッシャー・トロプシュリアクタに伝達するように更に構成されている、請求項69に記載のシステム。
【請求項71】
(a)膜電極アセンブリを備える二酸化炭素還元電解槽において二酸化炭素を炭素含有生成物に還元する段階、前記膜電極アセンブリは、1又は複数のイオン伝導性ポリマー層、及び二酸化炭素の一酸化炭素への化学的還元を促進するためのカソード触媒を有する;
(b)前記二酸化炭素還元電解槽からの前記一酸化炭素をフィッシャー・トロプシュリアクタに輸送する段階;
(c)前記フィッシャー・トロプシュリアクタにおいて前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された前記一酸化炭素及び水素を反応させて、液体炭化水素を生成する段階;及び
(d)前記二酸化炭素還元電解槽及び/又は前記フィッシャー・トロプシュリアクタによって生成された余剰の熱を補助コンポーネントに伝達する段階
を備える、方法。
【請求項72】
前記補助コンポーネントは、気体炭化水素を水と反応させるように構成された改質器を有する、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記余剰の熱は、前記二酸化炭素還元電解槽によって生成される、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記フィッシャー・トロプシュリアクタによって生成されたテールガスを燃焼させ、二酸化炭素を生成する段階、及び
前記テールガスを燃焼させることによって生成された二酸化炭素を前記二酸化炭素還元電解槽に輸送する段階
を更に備える、請求項71に記載の方法。
【請求項75】
前記補助コンポーネントは、不純二酸化炭素源から二酸化炭素を捕捉し、前記不純二酸化炭素源中の二酸化炭素の濃度よりも高い濃度において二酸化炭素を出力するように構成された二酸化炭素捕捉ユニットを有する、請求項71に記載の方法。
【請求項76】
前記フィッシャー・トロプシュリアクタによって生成された余剰の熱を伝達する段階は、前記余剰の熱を含む蒸気を前記二酸化炭素捕捉ユニットに送達する段階を有する、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記蒸気を熱湯に変換する段階を更に備える、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記熱湯を前記フィッシャー・トロプシュリアクタに伝達する段階を更に備える、請求項77に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[参照による援用]
PCTリクエストフォームは、本願の一部として本明細書と同時に提出される。同時に提出されたPCTリクエストフォームにおいて特定されているように本願が利益又は優先権を主張する各出願は、その全体が全ての目的で参照により本明細書に組み込まれる。
[政府のサポートの声明]
【0002】
本発明は、アメリカ国立科学財団によって授与されたアワード番号1738554の下、エネルギー省科学局によって授与されたアワード番号DE-SC0015872、DE-SC0017725、DE-SC0018549、及びDE-SC0018549の下、及びアメリカ空軍によって授与された契約番号FA864920P0616及びFA8649-19-9-9026の下で、政府のサポートを受けてなされた。政府は、本発明について特定の権利を有する。
【0003】
本開示は、概して、炭素酸化物リアクタの分野に関し、より具体的には、炭素酸化物リアクタの分野におけるリアクタ制御のための新規でかつ有用なシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
二酸化炭素リアクタ制御のための典型的なシステム及び方法は、一酸化炭素(carbon monoxide:CO)の他のリアクタ生成物に対する比率(例えば、CO:H2比率)、CO濃度、及び/又は総CO出力又は出力率の最大化又は調整等、CO及び/又は他の炭素含有生成物(Carbon-Containing Product:CCP)の生成に関する態様の最大化に焦点を当ててきた。
【0005】
それゆえ、炭素酸化物リアクタの分野において、リアクタ制御のための新規でかつ有用なシステム及び方法を作成することが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本開示の態様は、1又は複数の化学化合物を生成するためのシステムに関連し、前記システムは、次の要素:(a)不純二酸化炭素源から二酸化炭素を捕捉し、前記不純二酸化炭素源中の二酸化炭素の濃度よりも高い前記濃度において二酸化炭素を出力するように構成された二酸化炭素捕捉ユニット;(b)膜電極アセンブリを有する二酸化炭素還元電解槽、前記膜電極アセンブリは、1又は複数のイオン伝導性ポリマー層、及び前記二酸化炭素の炭素含有反応生成物への化学的還元を促進するためのカソード触媒を含む;及び(c)前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された余剰の熱を前記二酸化炭素捕捉ユニットに伝達し、前記二酸化炭素捕捉ユニットによる二酸化炭素捕捉及び/又は二酸化炭素放出を促進するように構成された熱伝達ユニットを特徴とし得る。前記システムは、前記二酸化炭素捕捉ユニットからの二酸化炭素を前記二酸化炭素還元電解槽に提供するように構成されてよい。
【0007】
特定の実施形態では、前記二酸化炭素還元電解槽は、動作中に、湿度を生成するように構成されており、前記システムは、前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された前記湿度を前記二酸化炭素捕捉ユニットに送達するように構成されており、前記二酸化炭素捕捉ユニットは、前記湿度に曝露されると捕捉された二酸化炭素を放出するように構成されている。特定の実施形態では、前記二酸化炭素捕捉ユニットは、第1の温度において二酸化炭素を捕捉し、第2の温度において二酸化炭素を放出するように構成された吸着材層を有する。前記第2の温度は、前記第1の温度よりも高くてよい。
【0008】
特定の実施形態では、前記不純二酸化炭素源は、空気を含む。特定の実施形態では、前記システムは、前記二酸化炭素還元リアクタからの余剰の二酸化炭素を前記二酸化炭素捕捉ユニットに輸送するように構成されており、前記二酸化炭素捕捉ユニットにおいて、前記余剰の二酸化炭素は、精製される。
【0009】
特定の実施形態では、前記熱伝達ユニットは、前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された前記余剰の熱を受け取るように構成された熱交換器を有する。
【0010】
特定の実施形態では、前記システムは、前記二酸化炭素捕捉ユニットの出口からのアノード水を前記熱伝達ユニットに輸送するように構成されている。そのような実施形態では、前記システムは、前記熱伝達ユニットから前記二酸化炭素還元電解槽に前記アノード水を再循環させるように更に構成されてよい。
【0011】
特定の実施形態では、前記システムは、前記二酸化炭素捕捉ユニットの出口からの前記炭素含有反応生成物を含むガスストリームを前記熱伝達ユニットに輸送するように構成されている。そのような実施形態では、前記システムは、前記二酸化炭素捕捉ユニットの出口からのアノード水を、前記二酸化炭素捕捉ユニットに熱を伝達するように構成された第2の熱伝達ユニットに、輸送するように更に構成されてよい。
【0012】
特定の実施形態では、前記炭素含有反応生成物は、一酸化炭素を含み、前記システムは、水素を前記一酸化炭素と結合させ、合成ガスを生成するように構成されている。幾つかの実装では、前記システムは、前記水素を生成するように構成された水電解槽を備える。幾つかの場合、前記システムは、加えて、前記合成ガスを受け取るように構成されたフィッシャー・トロプシュリアクタを備える。特定の実施形態では、前記システムは、前記フィッシャー・トロプシュリアクタによって生成された余剰の熱を前記二酸化炭素捕捉ユニットに伝達し、前記二酸化炭素捕捉ユニットによる二酸化炭素捕捉及び/又は二酸化炭素放出を促進するように構成された第2の熱伝達ユニットを備える。
【0013】
特定の実施形態では、前記システムは、前記合成ガスを受け取るように構成されたメタノール合成リアクタを備える。そのような実施形態では、前記システムは、前記メタノール合成リアクタによって生成された余剰の熱を前記二酸化炭素捕捉ユニットに伝達し、前記二酸化炭素捕捉ユニットによる二酸化炭素捕捉及び/又は二酸化炭素放出を促進するように構成された第2の熱伝達ユニットを備えてよい。
【0014】
本開示の幾つかの態様は、次の動作:(a)膜電極アセンブリを備える二酸化炭素還元電解槽において二酸化炭素を炭素含有生成物に還元する動作、前記膜電極アセンブリは、1又は複数のイオン伝導性ポリマー層、及び二酸化炭素の前記炭素含有生成物への化学的還元を促進するためのカソード触媒を有する;(b)前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された余剰の熱を、不純二酸化炭素源から二酸化炭素を捕捉し、前記不純二酸化炭素源からの二酸化炭素の濃度よりも高い前記濃度において二酸化炭素を出力するように構成された二酸化炭素捕捉ユニットに伝達する動作;及び(c)前記出力された二酸化炭素を前記二酸化炭素還元電解槽に伝達する動作を特徴とし得る方法に関連する。
【0015】
幾つかの実装では、前記方法は、加えて、前記二酸化炭素還元電解槽において二酸化炭素を還元しながら湿度を生成する動作、及び前記湿度を前記二酸化炭素捕捉ユニットに送達し、前記湿度に曝露されると捕捉された二酸化炭素の放出を促進する動作を備える。
【0016】
特定の実施形態では、前記方法は、加えて、前記二酸化炭素還元リアクタからの余剰の二酸化炭素を前記二酸化炭素捕捉ユニットに輸送する段階を備え、前記二酸化炭素捕捉ユニットにおいて、前記余剰の二酸化炭素は、精製される。幾つかの実装では、前記不純二酸化炭素源は、空気を含む。
【0017】
特定の実施形態では、前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された前記余剰の熱を前記二酸化炭素捕捉ユニットに伝達する段階は、前記余剰の熱を熱交換器に伝達する段階を有する。特定の実施形態では、前記二酸化炭素捕捉ユニットは、第1の温度において二酸化炭素を捕捉し、第2の温度において二酸化炭素を放出する吸着材層を有する。前記第2の温度は、前記第1の温度よりも高くてよい。
【0018】
幾つかの実装では、前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された余剰の熱を前記二酸化炭素捕捉ユニットに伝達する段階は、前記二酸化炭素捕捉ユニットの出口からのアノード水を前記二酸化炭素捕捉ユニットに輸送する段階を有する。そのような実装は、前記二酸化炭素捕捉ユニットから前記二酸化炭素還元電解槽に前記アノード水を再循環させる追加の動作を備えてよい。
【0019】
特定の実施形態では、前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された余剰の熱を前記二酸化炭素捕捉ユニットに伝達する段階は、前記二酸化炭素捕捉ユニットの出口からの前記炭素含有反応生成物を含むガスストリームを前記二酸化炭素捕捉ユニットに輸送する段階を有する。幾つかのそのような実施形態では、前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された余剰の熱を前記二酸化炭素捕捉ユニットに伝達する段階は、前記二酸化炭素捕捉ユニットの出口からのアノード水を前記二酸化炭素捕捉ユニットに輸送する段階を更に有する。
【0020】
特定の実施形態では、前記炭素含有反応生成物は、一酸化炭素を含む。前記方法は、水素を前記一酸化炭素と結合させ、合成ガスを生成する段階を更に備えてよい。そのような実施形態は、加えて、前記水素を生成するために水を電解する段階を備えてよい。そのような実施形態は、加えて、前記合成ガスをフィッシャー・トロプシュリアクタに含む。幾つかの場合、前記方法は、フィッシャー・トロプシュリアクタによって生成された余剰の熱を前記二酸化炭素捕捉ユニットに伝達する段階を備える。
【0021】
幾つかの実施形態では、前記方法は、前記合成ガスをメタノール合成リアクタに提供する。そのような方法は、加えて、前記メタノール合成リアクタによって生成された余剰の熱を前記二酸化炭素捕捉ユニットに伝達する段階を備えてよい。
【0022】
本開示の態様は、次の特徴:(a)膜電極アセンブリを有する二酸化炭素還元電解槽、前記膜電極アセンブリは、1又は複数のイオン伝導性ポリマー層、及び二酸化炭素の炭素含有化合物への化学的還元を促進するためのカソード触媒を有する;(b)前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された前記炭素含有化合物又は前記炭素含有化合物の誘導体を受け取り、1又は複数の生成物化学物質を生成するように構成された1又は複数のリアクタ;及び(c)前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された余剰の熱を受け取り、前記1又は複数の生成物化学物質の生成を促進するように構成された熱受容ユニットを特徴とし得るシステムに関連する。
【0023】
特定の実施形態では、前記熱受容ユニットは、余剰の熱を、前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された前記炭素含有化合物又は前記炭素含有化合物の前記誘導体を受け取り、前記1又は複数の生成物化学物質を生成するように構成された前記1又は複数のリアクタに、提供するように更に構成されている。
【0024】
特定の実施形態では、前記熱受容ユニットは、前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された前記余剰の熱を受け取るように構成された熱交換器を有する。特定の実施形態では、前記熱受容ユニットは、前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された前記余剰の熱を受け取るように構成された再沸器を有する。
【0025】
特定の実施形態では、前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された前記炭素含有化合物又は前記炭素含有化合物の前記誘導体を受け取るように構成された前記1又は複数のリアクタは、フィッシャー・トロプシュリアクタを含む。そのような実施形態では、前記熱受容ユニットは、気体炭化水素を水と反応させるように構成された改質器であってよい。特定の実施形態では、前記フィッシャー・トロプシュリアクタは、ナフサを生成するように構成されている。
【0026】
特定の実施形態では、前記炭素含有化合物は、一酸化炭素であり、前記熱受容ユニットは、CO精製ユニットである。前記CO精製ユニットは、吸着材を利用してよい。
【0027】
本開示の態様は、次の動作:(a)膜電極アセンブリを有する二酸化炭素還元電解槽において二酸化炭素を炭素含有生成物に還元する動作、前記膜電極アセンブリは、1又は複数のイオン伝導性ポリマー層、及び二酸化炭素の前記炭素含有生成物への化学的還元を促進するためのカソード触媒を有する;(b)1又は複数の反応において前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された前記炭素含有生成物又は前記炭素含有化合物の誘導体を反応させて、1又は複数の生成物化学物質を生成する動作;及び(c)前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された余剰の熱を前記1又は複数の反応に伝達して、前記1又は複数の生成物化学物質の生成を促進する動作を特徴とし得る、方法に関連する。前記1又は複数の反応は、吸熱反応であってよい。
【0028】
特定の実施形態では、(c)は、前記余剰の熱を、前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された前記余剰の熱を受け取るように構成された熱交換器に提供する動作を有する。
【0029】
特定の実施形態では、前記1又は複数の反応は、フィッシャー・トロプシュ反応を含む。そのような実施形態では、動作(c)は、前記余剰の熱を、気体炭化水素を水と反応させる改質器に、提供する段階を有してよい。
【0030】
幾つかの実施形態では、前記炭素含有化合物は、COであり、動作(c)は、前記余剰の熱をCO精製ユニットに提供する動作を有する。CO精製ユニットは、吸着材を利用してよい。
【0031】
本開示の幾つかの態様は、二酸化炭素からメタノールを生成するためのシステムに関連する。そのようなシステムは、次の要素:(a)膜電極アセンブリを有する二酸化炭素還元電解槽、前記膜電極アセンブリは、1又は複数のイオン伝導性ポリマー層、及び二酸化炭素の一酸化炭素への化学的還元を促進するためのカソード触媒を含む;(b)前記一酸化炭素及び水素からメタノールを生成するように構成されたメタノール合成リアクタを特徴とし得る。前記システムは、前記二酸化炭素還元電解槽からの前記一酸化炭素を前記メタノール合成リアクタに輸送するように構成されてよく;(c)前記メタノール合成リアクタによって生成された余剰の熱を前記システムの補助コンポーネントに伝達するように構成された熱伝達ユニット。
【0032】
幾つかの実施形態では、前記システムは、加えて、前記水素を生成するように構成された水電解槽を備える。そのようなシステムは、前記水電解槽によって生成された熱を前記システムの前記補助コンポーネントに伝達するように構成された第2の熱伝達ユニットを利用してよい。
【0033】
特定の実施形態では、前記補助コンポーネントは、不純二酸化炭素源から二酸化炭素を捕捉し、前記不純二酸化炭素源中の二酸化炭素の濃度よりも高い前記濃度において二酸化炭素を出力するように構成された二酸化炭素捕捉ユニットを有する。幾つかのそのような実施形態では、前記熱伝達ユニットは、前記余剰の熱を含む蒸気を受け取るように構成されている。さらに、前記熱伝達ユニットは、熱湯ストリームを出力するように構成されてよい。そして、前記システムは、前記熱湯を前記メタノール合成リアクタに伝達するように更に構成されてよい。
【0034】
本開示の幾つかの態様は、次の動作:(a)膜電極アセンブリを備える二酸化炭素還元電解槽において二酸化炭素を炭素含有生成物に還元する動作、前記膜電極アセンブリは、1又は複数のイオン伝導性ポリマー層、及び二酸化炭素の前記一酸化炭素への化学的還元を促進するためのカソード触媒を有する;(b)前記二酸化炭素還元電解槽からの前記一酸化炭素をメタノール合成リアクタに輸送する動作;(c)前記メタノール合成リアクタにおいて前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された前記一酸化炭素及び水素を反応させて、メタノールを生成する動作;及び(d)前記二酸化炭素還元電解槽及び/又は前記メタノール合成リアクタによって生成された余剰の熱を補助コンポーネントに伝達する動作を特徴とし得る方法に関連する。
【0035】
そのような方法は、前記水素を生成するために水を電解する動作を備えてよい。そして、そのような方法は、前記水を電解することによって生成された熱を前記システムの前記補助コンポーネントに伝達する段階を備えてよい。
【0036】
特定の実施形態では、前記補助コンポーネントは、不純二酸化炭素源から二酸化炭素を捕捉し、前記不純二酸化炭素源中の二酸化炭素の濃度よりも高い前記濃度において二酸化炭素を出力するように構成された二酸化炭素捕捉ユニットを有する。特定の実施形態は、前記メタノール合成リアクタによって生成された余剰の熱を伝達する段階は、前記余剰の熱を含む蒸気を前記二酸化炭素捕捉ユニットに送達する段階を有することを含む。特定の実施形態は、前記蒸気を熱湯に変換する段階を更に備える。特定の実施形態は、前記熱湯を前記メタノール合成リアクタに伝達する段階を更に備える。
【0037】
本開示の態様は、二酸化炭素から液体炭化水素を生成するためのシステムに関連し、そのようなシステムは、次の特徴:(a)膜電極アセンブリを有する二酸化炭素還元電解槽、前記膜電極アセンブリは、1又は複数のイオン伝導性ポリマー層、及び二酸化炭素の一酸化炭素への化学的還元を促進するためのカソード触媒を含む;(b)前記一酸化炭素及び水素から液体炭化水素混合物を生成するように構成されたフィッシャー・トロプシュリアクタを特徴とし得る。前記システムは、前記二酸化炭素還元電解槽からの前記一酸化炭素を前記フィッシャー・トロプシュリアクタに輸送するように構成されてよく;(c)前記フィッシャー・トロプシュリアクタによって生成された余剰の熱を前記システムの補助コンポーネントに伝達するように構成された熱伝達ユニット。
【0038】
特定の実施形態では、前記補助コンポーネントは、気体炭化水素を水と反応させるように構成された改質器を有する。特定の実施形態では、前記熱伝達ユニットは、前記余剰の熱を前記改質器に伝達するように構成されている。
【0039】
幾つかの実施形態では、前記システムは、前記フィッシャー・トロプシュリアクタによって生成されたテールガスを燃焼させ、二酸化炭素を生成するように構成されたテールガス燃焼ユニットを備える。そのようなシステムは、前記テールガス燃焼ユニットからの二酸化炭素を前記二酸化炭素還元電解槽に輸送するように構成されてよい。
【0040】
特定の実施形態では、前記補助コンポーネントは、不純二酸化炭素源から二酸化炭素を捕捉し、前記不純二酸化炭素源中の二酸化炭素の濃度よりも高い前記濃度において二酸化炭素を出力するように構成された二酸化炭素捕捉ユニットを有する。特定の実施形態では、前記熱伝達ユニットは、前記余剰の熱を含む蒸気を受け取るように構成されている。特定の実施形態では、前記熱伝達ユニットは、熱湯ストリームを出力するように構成されている。特定の実施形態では、前記システムは、前記熱湯を前記フィッシャー・トロプシュリアクタに伝達するように更に構成されている。
【0041】
本開示の態様は、次の動作:(a)膜電極アセンブリを備える二酸化炭素還元電解槽において二酸化炭素を炭素含有生成物に還元する動作、前記膜電極アセンブリは、1又は複数のイオン伝導性ポリマー層、及び二酸化炭素の前記一酸化炭素への化学的還元を促進するためのカソード触媒を有する;(b)前記二酸化炭素還元電解槽からの前記一酸化炭素をフィッシャー・トロプシュリアクタに輸送する動作;(c)前記フィッシャー・トロプシュリアクタにおいて前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された前記一酸化炭素及び水素を反応させて、液体炭化水素を生成する動作;及び(d)前記二酸化炭素還元電解槽及び/又は前記フィッシャー・トロプシュリアクタによって生成された余剰の熱を補助コンポーネントに伝達する動作を特徴とし得る方法に関連する。
【0042】
特定の実施形態では、前記補助コンポーネントは、気体炭化水素を水と反応させるように構成された改質器を有する。幾つかのそのような実施形態では、前記余剰の熱は、前記二酸化炭素還元電解槽によって生成される。
【0043】
幾つかの場合、前記方法は、(i)前記フィッシャー・トロプシュリアクタによって生成されたテールガスを燃焼させ、二酸化炭素を生成する段階、及び(ii)前記テールガスを燃焼させることによって生成された二酸化炭素を前記二酸化炭素還元電解槽に輸送する段階を備える。
【0044】
特定の実施形態では、前記補助コンポーネントは、不純二酸化炭素源から二酸化炭素を捕捉し、前記不純二酸化炭素源中の二酸化炭素の濃度よりも高い前記濃度において二酸化炭素を出力するように構成された二酸化炭素捕捉ユニットを有する。幾つかの実施形態では、前記フィッシャー・トロプシュリアクタによって生成された余剰の熱を伝達する段階は、前記余剰の熱を含む蒸気を前記二酸化炭素捕捉ユニットに送達する段階を有する。幾つかの実施形態では、前記方法は、前記蒸気を熱湯に変換する段階を備える。幾つかの実施形態では、前記方法は、前記熱湯を前記フィッシャー・トロプシュリアクタに伝達する段階を備える。
【0045】
本開示のこれらの及び他の特徴は、関連した図を参照して以下で詳細に説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】方法の一実施形態のフローチャート表現である。
【0047】
【
図2A】システムの一実施形態形の概略表現である。
【0048】
【
図2C】システムの実施形態の第1の例の概略表現である。
【
図2D】システムの実施形態の第2の例の概略表現である。
【0049】
【
図3A】電流密度に対するリアクタ出力の理想依存関係の例である。
【
図3B】電流密度に対するリアクタ出力の非理想依存関係の例である。
【0050】
【
図4】ガス発酵バイオリアクタから上流の炭素酸化物還元電解槽を含むガス発酵システムを示す図である。
【0051】
【
図5】合成ガスを生成するように構成された二酸化炭素電解槽を含むシステムを示す図である。
【0052】
【
図6A】炭素源が二酸化炭素及び/又は一酸化炭素を含有するもの等の炭素酸化物原料である液体炭化水素を生成するように構成されたフィッシャー・トロプシュシステムを示す図である。
【0053】
【
図6B】炭素源が炭素酸化物原料、及び追加の一酸化炭素及び水素を生成するために改質されたシステムからのテールガスである液体炭化水素を生成するように構成されたフィッシャー・トロプシュシステムを示す図である。
【0054】
【
図7A】直接空気CO
2捕捉サブシステム及びCO
2還元電解槽サブシステムを備える空気捕捉CO
2電解槽システムを示す図である。
【0055】
【
図7B】車両又は船舶上の直接空気CO
2捕捉サブシステムを備える空気捕捉CO
2電解槽システムを示す図である。
【0056】
【
図8】二酸化炭素還元電解槽を使用してポリカーボネートポリマーを生成するためのシステムの一般的な表現を提示する図である。
【0057】
【
図9】二酸化炭素還元電解槽、ギ酸塩生成リアクタ、及び様々な下流ギ酸塩回収ユニットを備える例示のギ酸塩生成システムを示す図である。
【0058】
【
図10A】炭素酸化物電解槽、エチレンオキシド生成リアクタ、及びMEG生成リアクタを含むモノエチレングリコール(MEG)生成システムを示す図である。
【0059】
【
図10B】二酸化炭素電解槽及びMEG生成リアクタを含むMEG生成システムを示す図である。
【0060】
【
図11】ポリエチレンテレフタレートを生成するために利用され得るシステムの概略図である。
【0061】
【
図12】二酸化炭素電解槽によって生成された一酸化炭素及び水素から酢酸を生成するためのシステムを概略的に示す図である。
【0062】
【
図13】電解生成一酸化炭素からジイソシアネートを生成するように構成されたシステムを概略的に示す図である。
【0063】
【
図14】ポリウレタンを生成するために利用され得るシステムの概略図である。
【0064】
【
図15】シュウ酸を生成する際に使用するために一酸化炭素及び水素を生成するように構成された二酸化炭素電解槽を備えるシステムを示す図である。
【0065】
【
図16】電解槽によって生成された一酸化炭素からシュウ酸を生成するように構成されたシステムを示す図である。
【0066】
【
図17A】二酸化炭素電解槽、金属ギ酸塩生成リアクタ、及びシュウ酸形成リアクタを含むシステムを示す図である。
【0067】
【
図17B】二酸化炭素電解槽からの一酸化炭素を使用してシュウ酸を生成するためのプロセス及び幾つかの関連付けられたコンポーネントを示す図である。
【0068】
【
図18】シュウ酸を生成する際に使用するために一酸化炭素及び水素を生成するように構成された二酸化炭素電解槽を備えるシステムを示す図である。
【0069】
【
図19】二酸化炭素及び場合によっては水素等の他の成分を含有する一酸化炭素ストリームを実証するためのシステムを示す図である。
【0070】
【
図20】極低温前処理サブシステム及び吸着材後処理サブシステムを有するハイブリッド一酸化炭素精製システムを示す図である。
【0071】
【
図21A】空気から二酸化炭素を濃縮するように構成された上流直接空気捕捉(DAC)ユニット、及び二酸化炭素電解槽の生成物ガスから未反応CO
2を除去するように構成された下流DACユニットを有するシステムを示す図である。
【0072】
【
図21B】空気から二酸化炭素を捕捉し、電解槽の生成物ガスから未反応二酸化炭素を分離するように構成されたDACユニットを有するシステムを示す図である。
【0073】
【
図22A】炭素酸化物還元電解槽を電気グリッド又は他の電気エネルギー源に結合するシステムを示す図である。
【0074】
【
図22B】炭素酸化物電解槽を利用するグリッド管理システムの更なる例を示す図である。
【
図22C】炭素酸化物電解槽を利用するグリッド管理システムの更なる例を示す図である。
【0075】
【
図23A】二酸化炭素電解槽出力を処理して、まず一酸化炭素を除去し、その後二酸化炭素含有ストリームから水素を除去することによって、水素及び一酸化炭素の混合物を生成するためのシステムを示す図である。
【0076】
【
図23B】二酸化炭素電解槽出力を処理して、二酸化炭素を直接除去することによって水素及び一酸化炭素の混合物を生成するためのシステムを示す図である。
【0077】
【
図23C】二酸化炭素電解槽出力を処理して、まず一酸化炭素を除去し、その後二酸化炭素含有ストリームから水素を除去することによって、水素及び一酸化炭素の混合物を生成するためのシステムを示す図である。
【0078】
【
図23D】二酸化炭素電解槽出力を処理して、二酸化炭素を直接除去することによって水素及び一酸化炭素の混合物を生成するためのシステムを示す図である。
【0079】
【
図24A】二酸化炭素電解槽及び二酸化炭素捕捉ユニット(例えば、DAC)を利用し、電解槽からの余剰の熱を二酸化炭素捕捉ユニットに伝達するように構成されている第1の統合システムを示す図である。
【
図24B】二酸化炭素電解槽及び二酸化炭素捕捉ユニット(例えば、DAC)を利用し、電解槽からの余剰の熱を二酸化炭素捕捉ユニットに伝達するように構成されている第2の統合システムを示す図である。
【
図24C】二酸化炭素電解槽及び二酸化炭素捕捉ユニット(例えば、DAC)を利用し、電解槽からの余剰の熱を二酸化炭素捕捉ユニットに伝達するように構成されている第3の統合システムを示す図である。
【
図24D】二酸化炭素電解槽及び二酸化炭素捕捉ユニット(例えば、DAC)を利用し、電解槽からの余剰の熱を二酸化炭素捕捉ユニットに伝達するように構成されている第4の統合システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0080】
好ましい実施形態の以下の説明は、本開示をこれらの実施形態に限定するように意図されているのではなく、むしろ、当業者が本開示を作成及び使用することを可能にするように意図されている。
1.概略
【0081】
二酸化炭素リアクタ制御のためのシステム及び/又は方法は、リアクタ生成物の量、濃度、及び/又は比率に関する態様等の、リアクタ生成の態様を制御するように構成され得る。電気化学炭素酸化物還元セルは、関連付けられた検知及び/又は制御システムとともに、化学リアクタ、化学分離ユニット、精製ユニット等のような様々な他の化学処理システムのうちの任意のものと統合され得る。統合システムは、電気化学炭素酸化物還元セル、及びこの電気化学炭素酸化物還元セルの上流に、下流に、又はこれと並列に配置された別の化学処理システムを利用し得る。
【0082】
炭素酸化物反応物の例としては、典型的には必ずしも気相であるわけではないが、二酸化炭素及び一酸化炭素が挙げられる。炭素酸化物反応物の他の例としては、炭酸塩イオン及び化合物、及び重炭酸塩イオン及び化合物が挙げられる。
【0083】
二酸化炭素リアクタ制御のための典型的なシステム及び方法は、一酸化炭素(CO)の他のリアクタ生成物に対する比率(例えば、CO:H2比率)、CO濃度、及び/又は総CO出力又は出力率の最大化等、CO及び/又は他の炭素含有生成物(CCP)(例えば、炭素含有種(carbon-containing species:CCS))の生成に関する態様の最大化に焦点を当ててきた。
【0084】
しかしながら、幾つかの応用の場合、態様値を単に最大化することは望ましくない可能性があり、単純な最大化ではなく、そのような態様の恣意的制御(例えば、値をターゲット態様値の範囲内に満たすための動的又は選択的態様制御)が有益であり得る。例えば、リアクタ生成物のCO:H2比率を選択的に制御することが望ましくあり得る(例えば、所与のシステム及び/又はプロセスについて可能な最高CO:H2比率から、およそ1:3のCO:H2以下までのスペクトル内の恣意的制御が可能になる)。そのような制御を用いると、フィッシャー・トロプシュプロセス(例えば、およそ1:2のCO:H2出力比率を生成するようにリアクタを制御する)、化学合成プロセス、及び/又はガス(例えば、合成ガス)発酵プロセス(例えば、バイオリアクタ)を介した液体炭化水素生成等の応用のために、リアクタ出力をより有効に使用することができる(例えば、リアクタ出力は、後続の入力に直接フィードされる)。
2.システム
【0085】
システムは、二酸化炭素を含む入力(例えば、流体ストリーム等の入力ストリーム)から炭素含有生成物(例えば、CO、アルカン、アルコール等)及び/又は水素を生成するリアクタ等の二酸化炭素リアクタを含むことができる。例示の炭素酸化物電解槽が、
図2A~
図2Dに示されている。リアクタは、気相二酸化炭素入力を受け入れるように構成されてよく、及び/又は、気相二酸化炭素を使用して反応を実行する(例えば、気相リアクタである)が、加えて又は代替的に、液相二酸化炭素、超臨界流体相二酸化炭素、固相二酸化炭素、及び/又は他の任意の適した二酸化炭素入力を受け入れることができる。本明細書における論述は二酸化炭素リアクタに焦点を当てているが、多くの場合において、この論述は、一酸化炭素リアクタ(例えば、電気化学一酸化炭素還元リアクタ)及び炭酸塩及び/又は重炭酸塩還元リアクタに等しく当てはまる。そのため、別段に指定されるか又は文脈から明らかであるわけではない限り、二酸化炭素リアクタに対する言及は、より一般に炭素酸化物リアクタに対する言及と理解される。示されているように、リアクタは、気相ポリマー電解質膜電解槽等の電解槽(例えば、電気化学リアクタ)であってよいが、加えて又は代替的に、他の任意の適したリアクタを含むことができる。
【0086】
リアクタは、1又は複数の:電極(例えば、アノード、カソード)、触媒(例えば、カソード及び/又はアノード内にある及び/又はこれらに隣接する)、ガス拡散層(例えば、カソード及び/又はアノードに隣接する)、及び/又は流れ場(例えば、ガス拡散層にわたってカソードと反対側に画定される1又は複数の流路等、電極及び/又はガス拡散層内に及び/又はこれらに隣接して画定される)を含んでよい。幾つかの実施形態では、リアクタは、リアクタのアノード及びカソードの間のイオン連通を提供する、1又は複数のポリマー電解質膜(polymer electrolyte membranes:PEM)を有する膜スタック又は膜電極アセンブリ(membrane electrode assembly:MEA)を含む。特定の実施形態では、リアクタは:還元触媒及びイオン伝導ポリマーを含むカソード層;PEM膜(例えば、両極性膜、単極性膜等;陰イオン交換膜(anion exchange membranes:AEM)等の1又は複数の陰イオン伝導体、プロトン交換膜等のプロトン及び/又は陽イオン伝導体、及び/又は他の任意の適したイオン伝導ポリマーを含む膜;1又は複数の緩衝層を含む膜;等);及び酸化触媒及びイオン伝導ポリマーを含むアノード層を含む膜スタックを含む。各層のイオン伝導ポリマーは、同じ又は異なるイオン伝導ポリマーとすることができる。
【0087】
幾つかの実施形態では、触媒(例えば、還元触媒、酸化触媒)のうちの1又は複数は、ナノ粒子等の触媒粒子(例えば、粒子で構成される多孔性ネットワークを画定する)を含むことができる。触媒のうちの1又は複数は、加えて又は代替的に、1又は複数のポリマー電解質を含むことができ、任意選択で、ポリマー電解質は、触媒ナノ粒子と混合される(例えば、多孔性ネットワークによって画定された開口領域に充填される等、多孔性ネットワーク内に配置される)。触媒ナノ粒子は、1又は複数の特性サイズ(例えば、平均サイズ、中央値サイズ、最小サイズ、最大サイズ、粒子サイズ分布の特定のパーセンタイルにおけるサイズ等)を定義することができ、及び/又は、多孔性ネットワークは、気孔率(例えば、ネットワーク内の空の空間の割合)、密度、迂回の程度(circuitousness)(例えば、空の空間を通る経路又は相互接続された粒子に沿った経路等の、層厚さ、面積、及び/又は体積当たりの特性経路長さ等)、及び/又は他の任意の適した多孔性ネットワークのメトリックを定義することができる。
【0088】
幾つかの構成では、両極性MEAは、次の積層構成:カソード層/カソード緩衝層(陰イオン伝導層)/陽イオン伝導性層(PEMであってよい)/アノード層を有する。幾つかの実装では、両極性MEAは、陰イオン導電性ポリマーを含有するカソード層及び/又は陽イオン伝導性層を含有するアノード層を有する。幾つかの実装では、両極性MEAは、陽イオン伝導性層及びアノード層の間に、陽イオン伝導性材料を含有し得るアノード緩衝層を有する。
【0089】
幾つかの構成では、両極性MEAは、次の積層構成:カソード層/陽イオン伝導層(PEMであってよい)/陰イオン伝導性層/アノード層を有する。幾つかの応用では、この構成を有する両極性MEAは、炭酸塩及び/又は重炭酸塩の水溶液等の炭酸塩及び/又は重炭酸塩原料を還元するためのシステムにおいて構成される。
【0090】
幾つかの構成では、MEAは、次の積層構成:カソード層/陰イオン伝導層/アノード層を有する。幾つかの実装では、このMEAは、カソード層及びアノード層の間に陽イオン伝導性層を有しない。幾つかの応用では、カソード及びアノードの間に陰イオン伝導性材料のみを含有するMEAは、一酸化炭素原料を還元するためのシステムにおいて構成される。
【0091】
1つの例(「リアクタ構成A」)では、システムは:炭素繊維紙ガス拡散層(例えば、Sigracet 39BC);Vulcanカーボン上におよそ4nmの金粒子をおよそ20重量%及び陰イオン伝導ポリマー(例えば、Fumasep FAA-3)を含む触媒層;両極性PEM;及び単一、二重、三重又は四重蛇行流れ場又は相互篏合した流れ場等の流れ場を含む。具体的な例では、電極は、およそ25cm2の面積を画定するが、加えて又は代替的に、他の任意の適した面積を画定することができる。
【0092】
幾つかの実施形態では、リアクタは、2017年5月3日に提出され、「Reactor with Advanced Architecture for the Electrochemical Reaction of CO2, CO and Other Chemical Compounds」と題する米国特許出願第15/586,182号に記載されたもののような1又は複数の要素を含み、同米国特許出願は、その全体がこの参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、リアクタは、加えて又は代替的に、他の任意の適した要素を任意の適した配置において含むことができる。
【0093】
システム及び/又は方法の任意選択の実施形態及び/又は要素に関する追加情報が、以下、2017年5月3日に提出された米国特許出願公開第2017/0321334号、及び2019年11月25日に提出された米国仮特許出願第62/939,960号において提供され、これらは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0094】
炭素酸化物還元リアクタは、1よりも多くのセル又はMEAを備えてよい。複数のセル又はMEAは、スタックにおいて配置され、互いに直列及び/又は並列に電気的に接続されてよい。別段示されない限り、本明細書における炭素酸化物還元リアクタ、炭素酸化物電解槽等に対する全ての言及は、シングルセル電解槽及び電解槽のマルチセルスタックを具現化する。
【0095】
炭素酸化物還元リアクタは、様々なソースから炭素酸化物を取得してよい。言及されたように、炭素酸化物反応物の例としては、二酸化炭素、一酸化炭素、炭酸塩、及び/又は重炭酸塩が挙げられる。特定の実施形態では、炭酸塩又は重炭酸塩は、還元セルのカソードに送達することができる水溶液(例えば、炭酸水素カリウムの水溶液)の形態において提供される。炭酸塩及び重炭酸塩は、様々なソース(例えば、鉱物)から及び/又は様々な反応(例えば、二酸化炭素を水酸化物と反応させること)によって取得されてよい。
【0096】
システムは、任意選択で、本開示の二酸化炭素リアクタの入力に接続された二酸化炭素入力の上流ソースを含んでよく、上流ソースは:バイオガス生成システム;トウモロコシエタノール生成システム、ビール生成システム、ワイン生成システム等のエタノール発酵システム;天然ガス処理システム;セメント生成システム;高炉システム、例えば、高炉ガスを生成することが可能なスチール高炉システム;コークスガス生成システム;石油発電所システム、天然ガス発電所システム、石炭発電所システム等の発電所システム;石油精製システム;エチレン生成システム;アンモニア生成システム;水性ガスシフトシステム等の水素生成システム;天然ガス処理プラント(例えば、ベンフィールド処理);エチレンオキシド生成システム;アルミニウム製錬システム;液化天然ガス(LNG)生成システム;固形原料ガス化器(例えば、都市固形廃棄物、バイオマス、又は石炭原料);改質器(例えば、蒸気メタン改質器、オートサーマル改質器);ブードワ反応を実行するシステム;二酸化炭素プロセスの直接空気捕捉(direct air capture:DAC);惑星又は衛星の大気(例えば、火星大気)、衛星の土壌(例えば、地球の衛星の土壌)、及び/又は、二酸化炭素を生成することが可能な他の任意のシステムのうちの1又は複数を含む。二酸化炭素の上流ソースは、本開示の二酸化炭素リアクタの入力に直接接続されてよく(例えば、カソード流れ場及び/又はガス拡散層等を介して還元触媒に接続される等、入力として機能する)、又は代替的に、上流ソースは、精製システム;ガス圧縮システム;又は精製システム及びガス圧縮システムの両方にいずれかの順序において接続されてよく、これらは、その後、本開示の二酸化炭素システムの入力に接続される。複数の精製及び/又はガス圧縮システム(例えば、スクラバ等)が利用されてよい。
【0097】
炭素酸化物還元リアクタへの入力として提供される二酸化炭素、一酸化炭素、又は炭酸塩は、リアクタの構造及び動作条件に依存して、広範な濃度を有してよい。特定の実施形態では、二酸化炭素還元リアクタに提供される二酸化炭素は、少なくとも約20モルパーセント、又は少なくとも約40モルパーセント、又は少なくとも約75モルパーセント、又は少なくとも約90モルパーセントの濃度を有する。特定の実施形態では、二酸化炭素還元リアクタに提供される二酸化炭素は、約40モルパーセント~60モルパーセントの濃度を有する。
【0098】
電解炭素酸化物還元リアクタのための水の上流ソースは、様々なソースのうちの任意のものから、精製された水道水、精製された海水、任意選択で二酸化炭素の捕捉を伴う水の直接空気捕捉の副産物、二酸化炭素原料も生成し得る燃焼プロセス、燃料セル副産物等のような様々な形態において到来し得る。
【0099】
システムは、本開示の二酸化炭素リアクタの出力に接続された、本開示の二酸化炭素リアクタからの化学出力を変換することが可能な下流システムの入力を含んでよい。例として、本開示の下流システムは:バイオリアクタシステム;フィッシャー・トロプシュシステム;嫌気性発酵システム;好気性発酵システム;合成ガス発酵システム;ケトン及び/又はポリケトン生成システム;ギ酸塩生成システム;ギ酸エステル生成システム;ホルムアミド生成システム;ヒドロホルミル化システム;メタノール合成システム;エチレン重合システム;ホスゲン生成システム、イソシアネート生成システム、ポリマー(例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、又はポリウレタン)生成システム、モノエチレングリコール生成システム、ポリエチレングリコール生成システム、及びシュウ酸生成システム、及び/又は炭素酸化物還元リアクタから化学出力を変換することが可能な他の任意のシステムのうちの1又は複数を含んでよい。本開示の二酸化炭素リアクタ出力は、下流システムに(例えば、カソード流れ場及び/又はガス拡散層を介して)直接接続されてよく、及び/又は、二酸化炭素リアクタ出力は、精製システム;ガス圧縮システム;又は精製システム及びガス圧縮システムの両方にいずれかの順序で接続されてよく;それらは、その後、任意選択で、下流システムの入力に接続する。複数の精製システム及び/又はガス圧縮システムが利用されてよい。
【0100】
下流システムは、他の生成物出力に加えて、二酸化炭素出力を生成してよい。システムは、下流システムの二酸化炭素含有出力及び二酸化炭素リアクタの入力の間の接続を更に含んでよい。下流システムの二酸化炭素含有出力は、二酸化炭素リアクタの入力に直接接続されてよく、又は代替的に、下流二酸化炭素含有出力は、精製システム;ガス圧縮システム;又は精製システム及びガス圧縮システムの両方にいずれかの順序で接続されてよく、それらは、その後、本開示の二酸化炭素リアクタの入力に接続する。複数の精製システム及び/又はガス圧縮システムが利用されてよい。
【0101】
二酸化炭素リアクタは、下流システム及びプロセスにおいて使用することができる広範な生成物(例えば、メタン、エチレン、一酸化炭素(CO)、水素分子(H2)、エタノール、ギ酸塩、ギ酸、アセテート、酢酸、プロパノール、ブタノール、エタン、メタノール)を作成することができる。異なる二酸化炭素リアクタ(例えば、異なる層スタック、触媒及び/又は触媒層、PEM、流れ場、ガス拡散層、セル圧縮構成、及び/又は他の任意の適した態様等を含む)を使用して、異なる還元生成物(例えば、HCR等の生成物組成)を達成することができるが;しかしながら、異なる還元生成物は、加えて又は代替的に、動作パラメータを調整することによって達成することができ、及び/又は別様に達成することができる。多くの可能な下流システム及びプロセスがCO2を放出する(例として、メタンのバイオ利用、ギ酸又はギ酸塩のバイオ利用、酢酸又はアセテートのバイオ利用、フィッシャー・トロプシュプロセス、及びメタノール合成が挙げられる)。これらの場合の多くにおいて、特定の応用のために適切にサイズ決めされた二酸化炭素再循環システムを使用して、CO2を、下流システム出力から本開示の二酸化炭素リアクタの入力に戻し、全体のプロセスの炭素効率を高めることができる。
【0102】
システムは、二酸化炭素リアクタに接続された電気エネルギー源を更に含んでよく、当該電気エネルギー源は:太陽光発電システム;風力発電システム;地熱発電システム;化石燃料発電システム;又は電気エネルギー生成が可能な他の任意のシステムのうちの1又は複数を含む。
【0103】
システムは、化学エネルギーの形態において電気エネルギーを貯蔵するために利用されてよい。例えば、発電事業者は、オフピーク使用期間中に、余剰の電力を生成してよい。炭素酸化物還元リアクタを含むシステムは、余剰の電力を消費するニーズに迅速に応答することが可能である。それらは、動作のためにウォームアップする必要がなく、それらは、二酸化炭素リアクタの劣化を伴わずにパワーオン状態及びパワーオフ状態の間で循環させることができる。電力利用ニーズに迅速に応答する能力は、システムが、太陽光発電システム及び風力発電システム等の断続的電力源と良好に連携することを可能にする。
【0104】
システムの一実施形態は、上流バイオリアクタ、二酸化炭素リアクタ、及び断続的電気エネルギー源を含んでよい。電力が、太陽光、又は風、又は低オフピーク需要、又は他のソースから利用可能である場合、電力可用性検出器を使用して、二酸化炭素リアクタを始動させてよい。加えて、システムは、例えば、上流バイオリアクタの温度を上昇させるとともに上流バイオリアクタへの栄養のフローを増大させることによって、上流バイオリアクタの出力を促進してよい。他の上流の二酸化炭素源について、本開示の二酸化炭素リアクタの入力への二酸化炭素のフローを増大させるために必要に応じて他の手段が使用されてよい。
【0105】
本明細書において開示されるシステムのうちの任意のものが、二酸化炭素リアクタに接続されたシステムにおける条件、出力、及び入力を測定するコンポーネント(例えば、センサ、システム等)を含んでよい。そのようなコンポーネントは、ガスクロマトグラフ、質量分析計、赤外線分光計、可視光分光計、及び/又は紫外光分光計等の化学特性測定システム;温度検出器;流量測定センサ;電力可用性検出器;及び/又は他の任意のモニタリングシステムを含んでよい。モニタリングシステムは、入力及び/又は出力ストリームのパラメータ、入力及び/又は出力ストリームのコンポーネントのパラメータ(例えば、不純物濃度、二酸化炭素濃度、生成物濃度等)をモニタリングし、及び/又は、ストリームの他の任意の適したパラメータをモニタリングすることができる。
【0106】
本明細書において開示されるシステムのうちの任意のものが、二酸化炭素リアクタに接続されたシステムにおいて測定された条件に応答するためのコンポーネントを含んでよい。そのようなコンポーネントは、流量、温度、電力消費量又は他のシステムパラメータを調整するためのシステムを含んでよい。システムは、1又は複数の二酸化炭素リアクタを含んでよい。しかしながら、システムは、加えて又は代替的に、任意の適した配置において他の任意の適した要素を含むことができる。様々な実施形態において、1又は複数のモニタリング又は検知コンポーネントが、1又は複数の動作条件が修正されるべきであると判定し、そのような動作条件が修正されるようにする適切にプログラミングされた又は構築されたロジックを有するコントローラ(例えば、プロセッサ及びメモリを含む)を含む制御システムと併せて使用される。フィードフォワード及び/又はフィードバック制御システムが利用されてよい。
3.方法
【0107】
方法は、電気化学炭素酸化物還元リアクタを含む上記で説明されたコンポーネントのうちの任意のものを使用して実装されてよいが、加えて又は代替的に、他の任意の適したシステムを使用して実装され得る。方法は、任意選択で、制御されたプロセス条件(例えば、以下で更に詳細に説明されるような)下でリアクタを稼働させて、所望の比率(例えば、水素分子対CCP比率(HCR)及び/又はCCP対水素分子比率)において所望の出力(例えば、CO、H
2等)を生成する段階、及び/又は(例えば、
図1に示されるように)プロセス条件を変更して、出力及び/又は出力比率を変更する段階を含む。
【0108】
リアクタを稼働させる段階は:二酸化炭素、一酸化炭素、炭素酸化物源(例えば、廃ガス)及び/又は水等の1又は複数の入力(例えば、ガス、液体、固体等)を提供する段階;当該入力の全て又は一部に(例えば、デバイス電極にわたって電圧を印加することによって)反応を受けさせ、それによって、生成物を生成する段階;及び/又は、リアクタから当該生成物を(例えば、出力ガスストリームとして)除去する段階を含むことができる。そのような反応は、例えば、二酸化炭素及び/又は水を還元させて、CO(及び/又はギ酸、メタノール、グリオキサール、メタン、酢酸、グリコールアルデヒド、エチレングリコール、アセトアルデヒド、エタノール、エチレン、ヒドロキシアセトン、アセトン、アリールアルコール、プロピオンアルデヒド、n-プロパノール等のような他のCCP)、及び/又はH2等の生成物を生成する段階を含むことができる。しかしながら、リアクタを稼働させる段階は、加えて又は代替的に、他の任意の適した反応を生じさせる段階を含むことができ、及び/又は、加えて又は代替的に、任意の適した方式で実行される他の任意の適した要素を含むことができる。
【0109】
方法は、所望の出力メトリック値(例えば、CO:H2比率等の所望のCCP:H2比率)をもたらすことが知られているプロセス条件等の、所望のプロセス条件のセット(例えば、複数の態様)を達成するようにシステムを制御する段階を含むことができる。方法は、加えて又は代替的に、実際の出力及び所望の出力の間の差に基づいて(例えば、当該差を低減又は除去するために)等で、プロセス条件を変更する段階を含むことができる。例えば、方法は、初期セットのプロセス条件を課す段階;1又は複数の出力メトリック(例えば、CCP:H2比率)をモニタリングする段階;出力メトリックがターゲット出力メトリックと異なる(例えば、ターゲットよりも高い又は低い)と判定する段階;出力メトリックの差を低減するために、1又は複数のプロセス条件を変更する(例えば、出力メトリックがプロセス条件値の増大とともに増大又は減少する傾向にある条件等のプロセス条件値を低減又は増大する)段階;及び任意選択で、出力メトリックのモニタリング及び/又はプロセス条件の変更を継続する(例えば、出力メトリックに基づいて、プロセス条件の閉ループ制御を実装する)段階を含むことができる。
【0110】
方法は、任意選択で、ターゲット出力メトリックを判定する段階を含むことができ、これは、いずれのパラメータ又は態様(例えば、所与の応用又は下流システムのための重要パラメータ)をターゲットとすべきかを判定するように機能する。所与のプロセスについて、1又は複数のターゲット出力メトリックを選択することができる。ターゲット出力メトリックは、応用(例えば、フィッシャー・トロプシュ等の上記で説明された応用)に関連付けられた(例えば、事前判定された、指示された等)出力メトリックとすることができ;ランダムに選択された出力メトリックとすることができ;(例えば、下流の応用の性能の反復テスト及びモニタリングを通して)経験的に判定された出力メトリックとすることができ;(例えば、下流の応用の動作パラメータ、リアクタ動作パラメータ等に基づいて)最適化された出力メトリックとすることができ;ユーザによって指定された出力メトリックとすることができ;及び/又は、別様に判定された出力メトリックとすることができる。
【0111】
方法は、任意選択で、ターゲット出力メトリックについてのターゲット値を判定する段階を含むことができ、これは、ターゲットにすべき(値の範囲からの)値を識別するように機能する。幾つかの変形例では、ターゲット値は、最大値又は最小値(例えば、実用的に達成可能な最大値又は最小値、理論的最大値又は理論的最小値等)とすることができる。しかしながら、ターゲット値は、加えて又は代替的に、極値とすることはできない(例えば、中間値でとすることもできるし、又は、最大値及び最小値の間の値の範囲とすることもできる)。ターゲット値は、応用に関連付けられた(例えば、事前判定された、事前関連付けされた)値とすることができ;ランダムに選択された値とすることができ;(例えば、反復的なターゲット値選択、下流の応用の性能のモニタリング、及び応用の性能に基づくターゲット値調整を通して)経験的に判定された値とすることができ;(例えば、下流の応用の動作パラメータ、リアクタ動作パラメータ等に基づいて)最適化された値とすることができ;又は、別様に判定された値とすることができる。しかしながら、ターゲット値は、他の任意の適した値とすることができ、任意の適した方式で判定され得る。
【0112】
幾つかの条件下では、方法は、95%よりも高い(例えば、最大100%の)二酸化炭素変換(例えば、CO分数歩留)を達成してよく、例えば、そのような条件下で稼働するシステムは、少なくとも閾値変換メトリックを達成することができる。しかしながら、方法は、加えて又は代替的に、50%、60%、70%、80%、90%よりも高い;10%~100%の間、例えば、10%~40%、30%~50%、40%~60%、50%~70%、60%~75%、70%~85%、80%~95%、90%~95%、92%~98%、及び/又は95%~100%の間の二酸化炭素変換;及び/又は、他の任意の適した二酸化炭素変換を達成する段階を含むことができる。
【0113】
方法は、任意選択で、リアクタ生成物(又はそのサブセット)を、当該生成物の下流コンシューマ(例えば、上記で説明されたように、リアクタ出力の応用に関するもの等;以下で説明されるように、例のセクションにあるようなもの等)に提供する段階を含む。方法は、任意選択で、リアクタ生成物が生成された後(例えば、変更された生成物を下流コンシューマにフィードする前に、等で)、それらを変更する段階を含むことができる。リアクタ生成物を変更する段階は、任意選択で、生成物を精製する段階(例えば、リアクタ出力ストリームからSOx及び/又はNOx等の不純物を除去する段階)を含むことができる。リアクタ生成物を変更する段階は、加えて又は代替的に、例えば所望の出力メトリックを達成するために、追加のガス(及び/又は他の物質)を、リアクタ出力ストリーム(及び/又は入力ストリーム)に混合する段階を含むことができる。1つの変形例では、リアクタ出力のCO:H2比率が所望の値とは異なる場合、当該比率は、リアクタ出力を他のガス(例えば、実質的に純粋なCO及び/又はH2;リアクタの事前に生成及び貯蔵された出力、第2のリアクタの出力、他のシステムの出力及び/又は廃ガス等のCO及びH2の別の混合物等)と混合することによって調整することができる。例えば、出力ストリーム(及び/又はリアクタの他の任意の部分にあるガス)のCO:H2比率は、(例えば、リアクタ生成中に連続的に)モニタリングすることができ、所望の値からの偏差を、他のガス中で混合すること(例えば、当該比率を増大させるために、CO及び/又はCO富化混合物を追加すること、当該比率を低減させるために、H2及び/又はH2富化混合物を追加すること)によって補償することができる。この例は、(例えば、閉ループ制御に関して上記で説明されたように)リアクタ出力を補正するために、プロセス条件を変更する段階を含んでもよい。外部ガス供給(例えば、製鉄所等の1又は複数の他のシステムの出力及び/又は廃ガス)が下流コンシューマ(例えば、ガス発酵槽)にフィードされる第2の変形例では、リアクタ生成物は、外部ガス供給のCCP:H2比率(例えば、CO:H2比率)を変更するのに使用される(例えば、外部ガス供給のCCP:H2比率が所望の値とは異なる場合、所望の値を達成するためにリアクタ生成物において混合する)。例えば、外部ガス供給の所望の値からの偏差に基づいて、プロセス条件を制御して、リアクタ生成物のCO:H2比率を変更することができ(例えば、CO欠乏外部ガス供給に応答して当該比率を高める、CO富化外部ガス供給に応答して当該比率を低下させる)、及び/又は(例えば、所望の値を達成するために)外部ガス供給に混合されるリアクタ生成物の量を制御することができる。しかしながら、リアクタ出力ストリームは、加えて又は代替的に、他の任意の適した方式で変更することもできるし、又は、変更を伴わずに使用することもできる。
【0114】
幾つかの例では、方法は、システムの1又は複数の上流及び/又は下流の要素(例えば、下流リアクタ、上流入力等)に関連付けられた1又は複数のメトリック(例えば、動作メトリック)を判定する段階を含む。そのような動作メトリックは、例えば、温度、圧力等のようなリアクタ条件;出力量、組成、純度等のような下流リアクタ及び/又は上流ソースの出力メトリック;入力量、組成、純度等のような下流リアクタのための他の入力に関連付けられたメトリック;リアクタ効率メトリック;及び/又は他の任意の適したメトリックを含むことができる。そのような例では、方法は、例えば二酸化炭素リアクタ出力のHCRを変更することによって、メトリックに基づいて、(例えば、下流リアクタの動作を改善及び/又は維持するために;上流ソースにおける変化に対応するために等で、二酸化炭素リアクタの動作を改善及び/又は維持するために;変動する二酸化炭素源を所与として等で、HCR又は還元生成物濃度等のターゲット出力メトリックを改善及び/又は維持するために;等)二酸化炭素リアクタ動作を変更する段階を含んでよい。しかしながら、方法は、加えて又は代替的に、他の任意の適したメトリックを判定する段階及び/又は他の任意の適した方式で(例えば、メトリックに基づいて)作用する段階を含むことができる。
4.プロセス条件
【0115】
プロセス条件は、例えば、入力二酸化炭素流量及び/又は圧力、入力ガス水和作用、電流密度、電圧(例えば、約1.5V及び3Vの間で維持される、加えて又は代替的に、約1.5V未満において、約2V~2.5Vの間で、約2V~4Vの間で、約4Vを超えて、及び/又は他の任意の適した電圧において動作される)、及び/又は温度を含むことができる。プロセス条件は、加えて又は代替的に、ガス拡散層の態様、触媒の態様、流れ場の態様、及び/又はPEMの態様等のシステム構成を含むことができる。しかしながら、他の任意の適したプロセス条件を制御することもできるし、又はターゲットにすることもできる。プロセス条件は、制御しない(例えば、上流システムによって指示される)こともできるし、ターゲット値(例えば、ターゲット値は、リアクタ出力を受け取る応用、瞬時の又は予期されるリアクタ動作パラメータに基づいて判定することもできるし、又は、それ以外の態様で判定することもできる)を満たすように制御することもできるし、又は、別様に判定することもできる。
【0116】
プロセス条件は、大気圧よりも高い(例えば、約1atm(101.325kPa)~5atm(506.625kPa)、約5atm(506.625kPa)~10atm(1013.25kPa)、約10atm(1013.25kPa)~20atm(2026.5kPa)、約20atm(2026.5kPa)~50atm(5066.25kPa)、約50atm(5066.25kPa)~100atm(10132.5kPa)、約100atm(10132.5kPa)~300atm(30397.5kPa)、約300atm(30397.5kPa)~1000atm(101325kPa)、約1atm(101.325kPa)~10atm(1013.25kPa)、約5atm(506.625kPa)~50atm(5066.25kPa)、約10atm(1013.25kPa)~100atm(10132.5kPa)、約20atm(2026.5kPa)~500atm(50662.5kPa)、及び/又は約1000atm(101325kPa)超、約14psi(96.52664kPa)~50psi(344.738kPa)、約50psi(344.738kPa)~150psi(1034.214kPa)、約100psi(689.476kPa)~300psi(2068.428kPa)、約200psi(1378.952kPa)~500psi(3447.38kPa)、約500psi(3447.38kPa)~1000psi(6894.76kPa)、約750psi(5171.07kPa)~1500psi(10342.14kPa)、約1000psi(6894.76kPa)~3000psi(20684.28kPa)、約3000psi(20684.28kPa)~10,000psi(68947.6kPa)、約10,000psi(68947.6kPa)~20,000psi(137895.2kPa)、及び/又は約20,000psi(137895.2kPa)超等のような閾値圧力範囲内の及び/又は当該閾値圧力範囲よりも高い)、及び/又は気相電解槽以外の電解槽において典型的には実現可能な圧力よりも高い圧力(例えば、入力ガス圧力、リアクタ圧力等)を含んでよいが、加えて又は代替的に、実質的に1気圧に等しい圧力、約1気圧未満の圧力、及び/又は、他の任意の適した圧力を含むことができる。プロセス条件は、典型的な室温よりも高い(例えば、約25℃~50℃、約40℃~60℃、約50℃~100℃、約50℃~75℃、約70℃~100℃、及び/又は約100℃超等のような閾値温度範囲内の及び/又は当該閾値温度範囲よりも高い)、及び/又は気相電解槽以外の電解槽において典型的には実現可能な温度よりも高い温度(例えば、リアクタ温度)を含んでよいが、加えて又は代替的に、実質的に室温(例えば、約20℃~30℃)に等しい温度、室温未満の温度、及び/又は他の任意の適した温度を含むことができる。しかしながら、プロセス条件は、加えて又は代替的に、他の任意の適したプロセス条件を含むことができる。
【0117】
より高い二酸化炭素流量は、(例えば、還元のための二酸化炭素のより高い可用性に起因して)CO等のCCPの生成の増大、それゆえ、CCP:H2比率の増大をもたらし得る(これに対応して、より低い二酸化炭素流量は、CCP生成及びCCP:H2比率の低下をもたらし得る)。幾つかの実施形態では、より高い二酸化炭素流量は、二酸化炭素変換効率の低下ももたらし得、それによって、出力ストリーム(例えば、合成ガス出力)が未反応二酸化炭素で希釈される。例えば、(例えば、リアクタ入口において測定された)二酸化炭素流量は、約0.1sccm/cm2~1000sccm/cm2(例えば、約0.1sccm/cm2~1sccm/cm2、約1sccm/cm2~10sccm/cm2、約10sccm/cm2~100sccm/cm2、及び/又は約100sccm/cm2~1000sccm/cm2)の範囲内の1又は複数の値において維持することができる。
【0118】
入力ガス流量に基づく制御の第1の具体的な例では、三重蛇行流れ場を有するリアクタ構成Aが使用され、リアクタ圧力は、120psi(827.3712kPa)において実質的に維持され、電流密度は、500mA/cm2において実質的に維持され、リアクタ温度は、30℃において実質的に維持される。この具体的な例では、実質的に純粋な二酸化炭素ガスが、様々な流量において入力され、12sccm/cm2、20sccm/cm2、及び40sccm/cm2の(例えば、リアクタ入口において測定された)入力流量が、それぞれ、およそ1:1、2:1.1、及び4:1のCO:H2比率をもたらす。
【0119】
入力ガス流量に基づく制御の第2の具体的な例では、蛇行流れ場を有するリアクタ構成Aが使用され、リアクタ圧力は、130psi(896.3188kPa)において実質的に維持され、電流密度は、500mA/cm2において実質的に維持される。この具体的な例では、40sccm/cm2の流量において入力される実質的に純粋な二酸化炭素ガスが、およそ8:2のCO:H2比率をもたらし、一方で12sccm/cm2の流量がおよそ1:1の比率をもたらす。
【0120】
より高い二酸化炭素圧力は、CCP分数歩留及び/又はCCP:H2比率の増大をもたらし得る(これに対応して、より低い二酸化炭素圧力は、CCP分数歩留及び/又はCCP:H2比率の低下をもたらし得る)。第1に、二酸化炭素圧力の増大は、還元のための二酸化炭素のより高い可用性をもたらし得、それによって、CCPの総生成が増大する。第2に、触媒におけるより高い圧力は、(例えば、カソードからの)触媒への水の侵入を低減することができ、それによって、還元のために利用可能な水の量が低下し、このことは、CCP:H2比率を直接増大させ得、及び/又は触媒反応部位の競合及び/又は反応エネルギーを低減させ得る(例えば、それによって、二酸化炭素の還元に有利に働く)。それゆえ、(例えば、高いCCP分数歩留及び/又はCCP:H2比率が望まれる)幾つかの実施形態では、高いリアクタ圧力(例えば、100psi(689.476kPa)よりも高い、1070psi(7377.3932kPa)の臨界圧力等の二酸化炭素相転移圧力までのただしこれ以下、等)が利用されてよい。例えば、リアクタ圧力は、約1psi(6.89476kPa)~1100psi(7584.236kPa)の範囲(例えば、約1psi(6.89476kPa)~10psi(68.9476kPa)、約10psi(68.9476kPa)~100psi(689.476kPa)、約100psi(689.476kPa)~300psi(2068.428kPa)、約200psi(1378.952kPa)~600psi(4136.856kPa)、及び/又は約500psi(3447.38kPa)~1100psi(7584.236kPa))内の1又は複数の値において、及び/又は、他の任意の適した圧力において維持することができる。
【0121】
リアクタ圧力に基づく制御の具体的な例では、単一蛇行流れ場を有するリアクタ構成Aが使用され、実質的に純粋な二酸化炭素ガスは、約100sccm/cm2において入力され、電流密度は、約150mA/cm2において実質的に維持され、リアクタ温度は、約20℃において実質的に維持される。この具体的な例では、リアクタ圧力は、様々な圧力において実質的に維持され、25psi(172.369kPa)、50psi(344.738kPa)、75psi(517.107kPa)、及び100psi(689.476kPa)のリアクタ圧力は、それぞれ、およそ3:2、2.4:1、3:1及び5:1のCO:H2比率、及び、およそ59%、69%、75%、及び84%のCO分数歩留をもたらす。
【0122】
入力ガス水和作用の増大は、(例えば、還元のための水のより高い可用性に起因して)水の還元の増大をもたらし得、それゆえ、CCP:H2比率の低下をもたらす。実質的に純粋な二酸化炭素の入力の場合、少量の水のみが触媒に到達(ほぼ排他的にリアクタのカソード側から到来)し、より高いCCP:H2比率がもたらされる。対照的に、水和された入力ガスが使用される場合、入力ガスからの大量の水が触媒に到達し得、反応し得る。例えば、入力ガス水和作用(例えば、入力ガス中の水蒸気の割合)は、0%(例えば、実質的に純粋な二酸化炭素、実質的に水和されていない入力ガス)から100%の範囲(例えば、0パーセント~1パーセント、1パーセント~3パーセント、3パーセント~5パーセント、5パーセント~7パーセント、7パーセント~10パーセント、10パーセント~15パーセント、15パーセント~25パーセント、25パーセント~50パーセント、50パーセント~75パーセント、及び/又は75パーセント~100パーセント)内の1又は複数の値において維持することができる。
【0123】
入力ガス水和作用に基づく制御の具体的な例では、単一蛇行流れ場を有するリアクタ構成Aが使用され、電流密度は、50mA/cm2において実質的に維持され、リアクタ圧力は、12psi(82.73712kPa)において実質的に維持され、リアクタ温度は、20℃において実質的に維持される。この具体的な例では、変動する水和量の二酸化炭素ガスが100sccm/cm2において入力され、純粋な二酸化炭素入力ガスは、およそ3:2のCO:H2比率をもたらし、12.2%水和の入力ガスは、およそ1:5.67のCO:H2比率をもたらし、中間水和量は、これら2つの値の間のCO:H2比率をもたらす。
【0124】
リアクタは、電流密度に対してCCP及びH
2生成の異なるレジームを呈することができる。理想的なリアクタでは、低い電流密度において、水還元は生じず、全ての電流は二酸化炭素の還元に向かい、その結果、電流に対するCO生成の実質的に線形の依存関係がもたらされるとともに、実質的にH
2生成がもたらされず;一方、より高い電流密度において、水を還元するために、追加の電流(例えば、実質的に全ての二酸化炭素が既に消費されている閾値電流を超える)が使用され、その結果、(例えば、
図3Aに示されるように)追加の電流に対するH
2生成の実質的に線形の依存関係及び実質的に一定のCO生成がもたらされる。多くの典型的なリアクタでは、これらの理想論は緩和されているが、2つの一般的なレジームが依然として呈される:(例えば、
図3Bに示されるように)低電流密度レジームでは、CO生成はH
2生成よりもはるかに高速に増大し、その後、より高い電流密度レジームでは平坦に到達し、一方、H
2生成はより迅速に増大する。方法は、広範囲の電流密度のうちのいずれか又は全てにおいて動作させる(例えば、低及び/又は高電流密度レジーム内でリアクタ動作を制御する等)ことによって、CO及び/又はH
2生成を制御する(例えば、CO:H
2比率を制御する)段階を含むことができる。幾つかの実施形態では、気相入力二酸化炭素の使用により、比較的高い電流密度が可能になり得る(一方、二酸化炭素水溶液を使用するリアクタは、数十mA/cm
2以下の電流密度に限定されてよい)。例えば、方法は、約1mA/cm
2及び100A/cm
2の間の(例えば、約1mA/cm
2~75mA/cm
2、約50mA/cm
2~100mA/cm
2、約100mA/cm
2~200mA/cm
2、約200mA/cm
2~500mA/cm
2、約500mA/cm
2~1000mA/cm
2、約50mA/cm
2~1000mA/cm
2、約0.5mA/cm
2~10mA/cm
2、約1mA/cm
2~2mA/cm
2、約2mA/cm
2~5mA/cm
2、約5mA/cm
2~10mA/cm
2、約5mA/cm
2~100mA/cm
2、約10mA/cm
2~20mA/cm
2、約20mA/cm
2~50mA/cm
2、約50mA/cm
2~100mA/cm
2等の;約50mA/cm
2、約65mA/cm
2、約80mA/cm
2、約90mA/cm
2、約100mA/cm
2、約110mA/cm
2、約120mA/cm
2、約130mA/cm
2、約140mA/cm
2、約150mA/cm
2、約200mA/cm
2、約300mA/cm
2、約500mA/cm
2、約700mA/cm
2、約1000mA/cm
2、約1500mA/cm
2等のような閾値における、当該閾値を超える、又は当該閾値未満の)電流密度において、及び/又は他の任意の適した電流密度において動作させる段階を含むことができる。
【0125】
幾つかの実施形態では、リアクタ温度の上昇は、(例えば、カソードからの水の侵入の増大、水の反応性の増大等に起因して)CO:H2比率の低下をもたらし得る。方法は、CO:H2比率及び/又は他の任意の適した出力メトリックを制御するために、最小温度(例えば、0℃等の水の凍結温度)及び最大温度(例えば、約40℃、約50℃、約60℃、約75℃等;100℃等の水の沸騰温度)の間の範囲等の動作範囲内でリアクタ温度を制御する段階を含むことができる。
【0126】
リアクタ温度に基づく制御の具体的な例では、四重蛇行流れ場を有するリアクタ構成Aが使用され、実質的に純粋な二酸化炭素ガスは、70sccm/cm2において入力され、電流密度は、150mA/cm2において実質的に維持され、リアクタ圧力は、100psi(689.476kPa)において実質的に維持される。この具体的な例では、リアクタ温度は、様々な温度において実質的に維持され、26.7℃、35℃、38.7℃、及び41.9℃のリアクタ温度は、それぞれ、およそ1:0.4、2:1、1:1.8、及び1:3のCO:H2比率をもたらす。
【0127】
加えて又は代替的に、ガス拡散層(GDL)の特性を使用して、CCP及び/又はH2生成に影響を及ぼすことができる。例えば、GDLの疎水性が(例えば、水輸送に影響を及ぼすことによって)H2生成を変更することができ、より親水性のGDLは、H2生成に有利に働き(それによって、CCP:H2比率を低下させる)、より疎水性のGDLは、H2生成を阻害する(それによって、CCP:H2比率を増大させる)。厚さ及び/又は孔サイズ等の他のGDLの特性を使用して、リアクタ出力を変更することもできる。
【0128】
加えて又は代替的に、膜(例えば、ポリマー電解質膜)の特性を使用して、CCP及び/又はH2生成に影響を及ぼすことができる。例において、CCP生成に有利に働く陰イオン交換膜を使用して、高CCP:H2比率を達成することができ、H2生成に有利に働く陽イオン交換膜を使用して、低CCP:H2比率を達成することができ、様々な陰イオン及び陽イオン輸送特性(例えば、移動度)を呈するハイブリッド膜(例えば、陰イオン及び陽イオンの両方の輸送を可能にする)を使用して、様々な中間比率を達成することができる(例えば、より高い比率のために陰イオン輸送に有利に働く膜、より低い比率のために陽イオン輸送に有利に働く膜)。
【0129】
加えて又は代替的に、触媒の特性(例えば、粒子サイズ、触媒種等)を使用して、CCP及び/又はH2生成に影響を及ぼすことができる。例えば、より大きい触媒粒子は、不十分な二酸化炭素輸送をもたらし得、それによって、CCP生成が阻害されるとともに、CCP:H2比率が低下し、一方、より小さい触媒粒子は、CCP生成に有利に働き得、それによって、当該比率が増大する。加えて又は代替的に、水素発生のための高ターンオーバ頻度を有する活性部位(「水素部位」)及び二酸化炭素還元のための高ターンオーバ頻度を有する活性部位(「二酸化炭素部位」)の相対数は、触媒粒子サイズに依存し得る:より大きい触媒粒子は、典型的には、水素部位の二酸化炭素部位に対するより高い比率を有し、H2生成に有利に働き、一方、より小さい触媒粒子は、典型的には、より低い比率を有し、CO生成に有利に働く。加えて又は代替的に、触媒タイプ(例えば、触媒種)を使用して、例えば、1又は複数の触媒材料の混合物を利用することによって、リアクタ出力を制御することができ、第1のセットの触媒材料(例えば、金)は、二酸化炭素還元に有利に働き、第2のセットの触媒材料(例えば、白金)は、水の還元に有利に働く。例において、実質的に純粋な金触媒を使用して、高CCP:H2比率を達成することができ、実質的に純粋な白金触媒を使用して、低CCP:H2比率を達成することができ、可変の組成の金-白金混合物(例えば、合金粒子、金粒子及び白金粒子の混合物等)を使用して、様々な中間比率を達成することができる(例えば、より高い比率のためにより多くの金、より低い比率のためにより多くの白金)。触媒は、加えて又は代替的に、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Sn、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Hf、Ta、W、Re、Ir、Hg、Al、Si、In、Ga、Tl、Pb、Bi、Sb、Te、Sm、Tb、Ce、Nd、及び/又はこれらの組み合わせを含むことができる。触媒は、加えて又は代替的に、1又は複数の支持構造体(例えば、支持粒子、支持マトリックス等)に関連付ける(例えば、これに結合する、これによって支持する、これに組み込む、隣接する、これに接触する等)ことができ、これは、炭素、ホウ素ドープダイヤモンド、及び/又はフッ素ドープ酸化スズ等の導電性支持構造体であってよい。しかしながら、触媒は、加えて又は代替的に、他の任意の適した材料を含むことができる。
【0130】
触媒粒子サイズに基づく制御の具体的な例では、2つの触媒粒子サイズを有するリアクタ構成Aの変形例が使用され、これらは両方とも、リアクタ温度が30℃において実質的に維持され、リアクタ圧力が100psi(689.476kPa)において実質的に維持され、相互篏合した流れ場であり、実質的に純粋な二酸化炭素ガスが10sccm/cm2において入力され、電流密度は500mA/cm2において実質的に維持される。第1のセットの触媒粒子は、4nmの特性サイズ(標準リアクタ構成Aと同様)を有し、1:1.6のHCR及び3.8Vの電圧をもたらす。第2のセットの触媒粒子は、20nmの特性サイズを有し、1:2.8のHCR及び4.2Vの電圧をもたらす。
【0131】
加えて又は代替的に、リアクタセル圧縮の特性を使用して、CCP及び/又はH2生成に影響を及ぼすことができる。リアクタセル圧縮に基づく制御の具体的な例では、2つの異なるガスケット厚さを有するリアクタ構成Aが使用され(より大きいガスケット厚さに対してより大きい圧力がもたらされる)、これらは両方とも、リアクタ温度が30℃において実質的に維持され、リアクタ圧力が100psi(689.476kPa)において実質的に維持され、三重蛇行流れ場であり、実質的に純粋な二酸化炭素ガスが40sccm/cm2において入力され、電流密度が500mA/cm2において実質的に維持される。第1のガスケットは、0.012インチ(0.3048ミリメートル)厚さであり、1:4のHCR及び3.6Vの電圧をもたらす。第2のガスケットは、0.010インチ(0.254ミリメートル)厚さであり、1:10.1のHCR及び3.8Vの電圧をもたらす。
【0132】
加えて又は代替的に、流れ場の特性を使用して、CCP及び/又はH2生成に影響を及ぼすことができる。流れ場の特性に基づく制御の第1の具体的な例では、リアクタ構成Aが2つの異なるセットのプロセス条件下で使用され、これらは両方とも、リアクタ温度が30℃において実質的に維持され、リアクタ圧力が120psi(827.3712kPa)において実質的に維持される。第1のセットの条件では、相互篏合した流れ場が使用され、実質的に純粋な二酸化炭素ガスが10sccm/cm2において入力され、電流密度が160mA/cm2において実質的に維持され、1.6:1のCO:H2比率をもたらす。第2のセットの条件では、四重蛇行流れ場が使用され、実質的に純粋な二酸化炭素ガスが40sccm/cm2において入力され、電流密度が120mA/cm2において実質的に維持され、18.5:1のCO:H2比率をもたらす。
【0133】
流れ場の特性に基づく制御の第2の具体的な例では、リアクタ構成Aが2つの異なるセットのプロセス条件下で使用され、これらは両方とも、リアクタ温度が30℃において実質的に維持され、リアクタ圧力が100psi(689.476kPa)において実質的に維持され、実質的に純粋な二酸化炭素ガスが40sccm/cm2において入力され、電流密度が500mA/cm2において実質的に維持される。第1のセットの条件では、相互篏合した流れ場が使用され、3.6Vの電圧が実質的に維持され、1.6:1のCO:H2比率をもたらす。第2のセットの条件では、三重蛇行流れ場が使用され、3.8Vの電圧が実質的に維持され、10.1:1のCO:H2比率をもたらす。
【0134】
しかしながら、加えて又は代替的に、他の任意の適した流れ場を利用してリアクタ出力を制御することができ、プロセス条件は、加えて又は代替的に、他の任意の適したリアクタ条件を含むことができ、方法は、加えて又は代替的に、任意の適した方式でリアクタ出力を制御する段階を含むことができる。
5.不純物の耐性
【0135】
リアクタが高圧力において稼働され、及び/又は、触媒が低電圧(例えば、アノードに対する負の電圧)において保持されるような実施形態等の幾つかの実施形態では、システム及び/又は方法は、(例えば、他の二酸化炭素リアクタと比較して)不純物及び/又は希釈二酸化炭素入力に対する高い耐性、例えば、リアクタ入力内の不純物による中毒及び/又はメタンCO、O2及び/又はN2等の種によって希釈された入力に対する耐性を達成してよい。例えば、方法は、不純物及び/又は希釈入力への耐性を達成するためにターゲットプロセス条件(例えば、PEMタイプ、高ターゲットリアクタ圧力等のようなリアクタ構成)を判定する(例えば、そのようなプロセス条件を常に選択する;不純及び/又は希釈状態等のリアクタ入力の現在の及び/又は予期される状態に応答してそのようなプロセス条件を選択する;等)段階を含むことができる。これらの不純物は、SOx及び/又はNOx等のリアクタ入力ストリームに典型的に存在する種(例えば、石炭火力発電所又は天然ガス火力発電所からの出力等の石炭燃焼及び/又は天然ガス燃焼の生成物)を含むことができ、及び/又はアンモニア、硫化水素、及び水銀等の他の任意の不純物を含むことができる。1つの例では、システム及び/又は方法は、最大4%のCO、6%のO2、10%のN2、800ppmのNOx、及び/又は100ppmのSOxを含む入力ストリームを使用して有効に機能することが可能であり、CO、O2、及びN2の不純物の合計は、例えば、10%以下である。
【0136】
希釈入力耐性の具体的な例では、単一蛇行流れ場を有するリアクタ構成Aが使用され、電流密度が160mA/cm2において実質的に維持され、リアクタ圧力が110psi(758.4236kPa)において実質的に維持され、リアクタ温度が20℃において実質的に維持され、メタン又は窒素における様々な希釈レベルを有する二酸化炭素含有ガスが、200sccm/cm2において入力される。この具体的な例では、リアクタ性能は、最大で少なくとも50%メタンまでのメタン希釈という高い耐性を有し、0%、25%、及び50%のメタン濃度が、9.5:1及び8.5:1の間のCO:H2比率、及び90%よりも高いCO分数歩留をもたらす。75%メタンを使用するとより顕著な性能の低減が観察され、CO分数歩留がおよそ84%に低減する。この具体的な例では、窒素希釈にも同様の耐性が観察され、0%、25%、50%、及び75%の窒素濃度が、9:1及び8:1の間のCO:H2比率をもたらし、最大50%の窒素濃度が85%よりも高いCO分数歩留をもたらす(75%の窒素濃度がおよそ81%のCO分数歩留をもたらす)。
【0137】
不純物耐性の具体的な例では、単一蛇行流れ場を有するリアクタ構成Aが使用され、電流密度が150mA/cm2において実質的に維持され、リアクタ圧力が100psi(689.476kPa)において実質的に維持され、リアクタ温度が20℃及び25℃の間で実質的に維持され、様々な不純物を有する二酸化炭素含有ガスが100sccm/cm2において入力される。この具体的な例では、様々な不純物条件下でのリアクタ出力メトリック(例えば、CO分数歩留)が、同じ条件下で、ただし実質的に不純物のない二酸化炭素入力を使用して、ベースラインリアクタ性能と比較される。この具体的な例では、リアクタ性能は、4%以下のCO濃度、800ppm以下のNOx濃度、120ppm以下のSOx濃度、又は6%以下の酸素濃度のベースライン性能から著しく逸脱しないことが示された。
【0138】
しかしながら、システム及び/又は方法は、加えて又は代替的に、不純な入力及び/又は希釈入力に対する任意の適した耐性を呈することもできるし、又はそのような耐性を呈さないこともできる。
【0139】
特定の実施形態では、不純物又は複数の不純物が、炭素酸化物還元リアクタを通過して出力ストリームに向かい、出力ストリームにおいて、それらは、(a)別の化学リアクタの上流で分離され、及び/又は(b)別の化学リアクタに渡される。出力ストリーム中の不純物が別の化学リアクタに渡される実施形態では、不純物は、そのプロセスの化学操作において他のリアクタによって使用されてよい。例えば、硫化水素又は他の硫黄含有不純物が、下流バイオリアクタにおいて微生物種によって利用されてよい。
6.システム構成選択
【0140】
1又は複数のシステム構成が、出力HCR考慮事項に基づいて、例えば、(例えば、特定のセットのプロセス条件及び/又は許容可能なプロセス条件の範囲を所与とした)所望の出力HCR及び/又はHCR範囲に基づいて、利用されてよい。
【0141】
幾つかの実施形態では、これは、第1のリアクタ(例えば、気相電解槽等の電解槽)において、炭素酸化物を含む入力を受け入れること、及び当該入力から(例えば、第1のセットのプロセス条件下で)第1の還元生成物(例えば、水素分子及び/又は第1のHCRにおいて入力された炭素酸化物以外の1又は複数のCCPを含む)を電気化学的に生成することを含む。第1のリアクタの設計及びその動作条件の選択は、所望のHCR及び/又はHCR範囲を(例えば、下流リアクタメトリック、市場価格メトリック、効率メトリック、及び/又は他の任意の適したメトリックに基づいて)判定すること、及び第1のHCR及び/又は所望のHCRに基づいて、(例えば、第2のリアクタのための)システム構成を(例えば、当該第2のリアクタが、第1のHCRに対して所望のHCRにより近いHCRを有する還元生成物を、任意選択で実質的に第1のセットのプロセス条件下で、ただし加えて又は代替的に他の任意の適したプロセス条件下で、出力することになるか又は出力することができるように)選択することを含んでよい。例えば、第2のリアクタのための構成は、第2のリアクタが、第1のリアクタの条件と実質的に同一の条件下で(例えば、第1のセットのプロセス条件下で入力を受け入れる間に)、入力から第2の還元生成物を生成するように選択することができ、第2の還元生成物は、水素分子及び第1の還元生成物と同じCCSを含み(例えば、第1の還元生成物に存在する実質的に全ての種を含み)、第2の還元生成物は、第1のHCRとは実質的に異なる第2のHCRを定義し、第2のHCRは、第1のHCRよりも所望のHCRに近いものであり得る。この例及び/又は本明細書において説明される他の任意の実施形態について、第1のHCR及び第2のHCRの間の実質的な差は、第2のHCRが:第1のHCRよりも所望のHCRに近いこと;第1のHCRから少なくとも1%、5%、10%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、0.5%~5%、2%~10%、5%~25%、20%~50%、40%~80%、及び/又は75%~100%だけ異なる(例えば、第1のHCRよりも高い又は低い)こと;及び/又は、別様に第1のHCRとは異なることを含むことができる。
【0142】
幾つかの実施形態では、システム構成を選択することは、出力HCRを変更するために等で、PEMの1又は複数の態様を選択することを含むことができる。そのような選択は、膜の組成(例えば、異なるポリマー種)及び/又は微細構造を選択すること、膜層厚さを選択すること、及び/又は、PEMの他の任意の適した態様を選択することを含むことができる。幾つかの例では、そのような選択は、陰イオン交換膜及び/又はプロトン交換膜の厚さを選択すること(例えば、AEM寄りの両極性PEMは、プロトン交換膜寄りの両極性PEMよりも低い出力HCRを生成する傾向があることになる)を含む。第1の具体的な例では、より薄いAEM(例えば、第1のリアクタのAEMの厚さ等の参照AEM厚さよりも薄い、最適なCCP生成に実質的に対応する最適化されたAEM厚さよりも薄い、等)を選択することは、より高い出力HCRを生成するように構成されたリアクタをもたらすことができ、一方、より厚いAEM(例えば、参照AEM厚さよりも厚いが、任意選択で最適化されたAEM厚さよりは厚くない)を選択することは、より低い出力HCRを生成するように構成されたリアクタをもたらすことができる。
【0143】
システム構成を選択することは、加えて又は代替的に、出力HCRを変更するために等で、リアクタ触媒(例えば、還元触媒、酸化触媒)の1又は複数の態様を選択することを含むことができる。幾つかの変形例では、リアクタ触媒の態様を選択することは、触媒層の厚さを選択すること(例えば、より厚い還元触媒は、より高いHCRを生成する傾向があることになる)を含むことができる。1つの例では、より厚い還元触媒層(例えば、第1のリアクタ還元触媒層の厚さ等の参照還元触媒層厚さよりも厚い、最適なCCP生成に実質的に対応する最適化された還元触媒層厚さよりも厚い、等)を選択することは、より高い出力HCRを生成するように構成されたリアクタをもたらすことができ、一方、より薄い還元触媒層(例えば、参照還元触媒層厚さよりも薄いが、任意選択で最適化された還元触媒層厚さよりは薄くない)を選択することは、より低い出力HCRを生成するように構成されたリアクタをもたらすことができる。
【0144】
リアクタ触媒の態様を選択することは、加えて又は代替的に、(例えば、触媒層が多孔性ネットワークを定義する、ナノ粒子等の触媒粒子を含む実施形態では)触媒気孔率を選択すること(例えば、より多孔性の還元触媒ネットワークは、より低いHCRを生成する傾向があることになる)を含むことができる。1つの例では、より多孔性の低い還元触媒ネットワーク(例えば、第1のリアクタ還元触媒ネットワークの気孔率等の参照還元触媒よりも多孔性が低い、最適なCCP生成に実質的に対応する最適化された還元触媒よりも多孔性が低い、等)を選択することは、より高い出力HCRを生成するように構成されたリアクタをもたらすことができ、一方、より多孔性の高い還元触媒(例えば、参照還元触媒よりも多孔性が高いが、任意選択で最適化された還元触媒よりも多孔性が高くない)を選択することは、より低い出力HCRを生成するように構成されたリアクタをもたらすことができる。
【0145】
リアクタ触媒の態様を選択することは、加えて又は代替的に、(例えば、触媒粒子がポリマー電解質を含む多孔性ネットワークを定義し、及び/又は、当該ポリマー電解質を含む媒体と混合される等の、触媒層がナノ粒子等の触媒粒子、及び1又は複数のポリマー電解質を含む実施形態では)例えば多孔性還元触媒ネットワークに充填するポリマー電解質の程度を選択することによって、触媒対ポリマー電解質比率(CPR)を選択すること(例えば、より高い還元触媒CPRはより高いHCRを生成する傾向があることになる)を含むことができる。1つの例では、より高い還元触媒CPR(例えば、第1のリアクタ還元触媒ネットワークのCPR等の参照還元触媒CPRよりも高いCPR、最適なCCP生成に実質的に対応する最適化された還元触媒よりも高いCPR、等)を選択することは、より高い出力HCRを生成するように構成されたリアクタをもたらすことができ、一方、より低いCPR還元触媒(例えば、参照還元触媒よりも低いCPRであるが、任意選択で最適化された還元触媒CPRよりは低くない)を選択することは、より低い出力HCRを生成するように構成されたリアクタをもたらすことができる。
【0146】
リアクタ触媒の態様を選択することは、加えて又は代替的に、(例えば、触媒層がナノ粒子等の触媒粒子を含む実施形態では)特性的な触媒粒子サイズを選択すること(例えば、より大きい粒子サイズは、より高いHCRを生成する傾向があることになる)を含むことができる。1つの例では、より大きい還元触媒粒子サイズ(例えば、第1のリアクタ還元触媒等の参照還元触媒の粒子よりも大きい、最適なCCP生成に実質的に対応する最適化された還元触媒よりも大きい、等)を選択することは、より高い出力HCRを生成するように構成されたリアクタをもたらすことができ、一方、より小さい還元触媒粒子サイズ(例えば、参照還元触媒の粒子よりも小さいが、例えば、最適化された還元触媒の粒子よりは小さくない)を選択することは、より低い出力HCRを生成するように構成されたリアクタをもたらすことができる。しかしながら、方法は、加えて又は代替的に、他の任意の適したリアクタ触媒の態様を選択する段階を含むことができる。
【0147】
方法は、加えて又は代替的に、リアクタセル圧縮(例えば、より低い圧縮は、より高いHCRをもたらす傾向があることになり、より高い圧縮は、より低いHCRをもたらす傾向があることになる)、流れ場、及び/又は、システムの他の任意の適した態様を選択する段階を含むことができる。
【0148】
2018年1月22日に提出された米国仮出願第62/619,996号、2018年1月22日に提出された米国仮出願第62/620,109号、及び2018年6月15日に提出された米国仮出願第62/685,771号は、各々その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0149】
特定の応用のために、及び指定された組成を有するカソード出力を生成するために、電解槽設計及び動作条件を調節することができる。幾つかの実装では、要求される出力ストリーム組成を生成するように動作させるために、1又は複数の一般的原則が適用されてよい。
【0150】
1.カソード活性部位における二酸化炭素反応物の可用性を制限し、及び/又はカソードにおける電流密度を増大させる。これらの動作条件範囲は、次の結果を生成する傾向がある:(a)最初に、二酸化炭素反応物の可用性を低減させ、及び/又は電流密度を増大させると、COに変換されるCO2の割合が増大する(すなわち、出力ストリーム中のCO:CO2が増大する);(b)何らかの時点において、さらに二酸化炭素反応物の可用性を低減させ、及び/又は電流密度を増大させると、水素イオン還元反応は、より顕著になる(すなわち、H2:COが増大する)。比較的少ない二酸化炭素入力/可用性で動作し得る電解槽は、二酸化炭素が電解槽カソード上の活性部位に到達することを制限する流れ場又はガス拡散コンポーネントを有し得る。特定の実施形態では、相互篏合していない流れ場設計、及びCO2源及びカソードの間の蛇行経路等の長い経路を有するそのような流れ場設計は、CO:H2のより高い比率をもたらす。相互篏合した流れ場は、入力ガス(炭素酸化物)を強制的にガス拡散層を流通させ、その後、流れ場上の異なるロケーションにおいて出させる。非相互篏合設計は、炭素酸化物フィードガスがカソードに流入するとともに当該カソードから流出するための長い連続経路を有する。入口側の流路は、出口側の流路から離隔されている。特定の実施形態では、比較的厚いガス拡散電極は、カソード活性部位へのCO2質量輸送を制限し、そのために、CO:CO2及び/又はH2:COの比率を増大させる傾向がある。
【0151】
2.カソードにおいて水素イオンを比較的より利用可能にする。カソードにおいて水素イオンを比較的より利用可能にすることにより、H2:COの比較的高い比率を有するカソード生成物ストリームが生成され得る。比較的水素が豊富な生成物を提供するように構成された電解槽は、(a)カソードに二酸化炭素反応物を枯渇させる(1において説明されたように)、(b)比較的高い流速の水素イオンがアノード(ここで、水素イオンは生成される)からカソードへ輸送されることを許容する、及び/又は(c)比較的高いセル温度において動作する設計を利用してよい。カソードへの比較的高い流速の水素イオンとともに動作し得る電解槽は、カソードにおいて陽イオン伝導ポリマー及び/又は混合イオン伝導ポリマーを備えたMEAを有してよい。代替的に又は加えて、カソード緩衝層を含むMEAでは、当該層は、比較的薄く、及び/又は比較的高い水素イオン輸率を有するように設計される。
【0152】
3.カソードにおいて水素イオンの可用性をより少なくする。カソードにおいて水素イオンの可用性を比較的少なくすることにより、CO:H2の比較的高い比率を有するカソード生成物ストリームが生成され得る。比較的水素が欠乏した生成物を提供するように構成された電解槽は、(a)所与の電流密度についてカソードに余剰な二酸化炭素反応物を提供する、(b)水素イオンがカソードに到達することを防ぐMEA設計を含む、及び/又は(c)比較的低いセル温度において動作する設計を利用してよい。
高CO2還元生成物対CO2比率動作パラメータレジーム
【0153】
特定の実施形態では、電解槽は、少なくとも約1:1又は少なくとも約1:2又は少なくとも約1:3のCO:CO2モル比を有する出力ストリームを生成するように構成されており、かつ動作時に実際にこれを生成する。高いCO出力ストリームは、代替的には、少なくとも約25モル%、又は少なくとも約33モル%、又は少なくとも約50モル%のCO濃度を有するものとして特徴付けられてよい。
【0154】
特定の実施形態では、この高一酸化炭素出力濃度は、以下の動作条件のうちの任意の1つ又は任意の組み合わせを生成する方式で二酸化炭素電解槽を動作させることによって取得される:
カソードにおける、少なくとも約300mA/cm2の電流密度、
最大約4、又は最大約2.5、又は最大約1.5の(本明細書における他の箇所で説明されるような)CO2化学量論的流量
最大約80℃又は最大約65℃の温度、
約75psig(517.107kPaG)~400psig(2757.904kPaG)の圧力範囲、
約0.1mM~50mM重炭酸塩のアノード水組成、及び
少なくとも約1のアノード水pH。
【0155】
特定の実施形態では、電解槽は、以下の特性のうちの任意の1つ又は任意の組み合わせを有する二酸化炭素電解槽を使用することによって、ここで定義されるような高CO:CO2モル比又は濃度に有利に働くように構築されてよい:
比較的小さいナノ粒子カソード触媒(例えば、平均して、約0.1nm~15nmの最大寸法を有する)、
カソード触媒材料としての金、
約5um~20umのカソード触媒層厚さ、
微多孔質層(MPL)を有するカソードガス拡散層(GDL)、
約1wt%~20wt%、又は約1wt%~10wt%、又は約1wt%~5wt%において存在するPTFEを有するカソードGDL、
少なくとも約200umの厚さを有するGDL
少なくとも約5umの厚さを有する陰イオン交換カソード緩衝層を有するI両極性MEA、及び
並列及び/又は蛇行流路を有するカソード流れ場。
高還元生成物(H2+CO)対CO2比率動作パラメータレジーム
【0156】
特定の実施形態では、電解槽は少なくとも約2:1、又は少なくとも約1:2、又は少なくとも約1:3の(H2+CO):CO2モル比を有する出力ストリームを生成するように構成されており、かつ動作時に実際にこれを生成する。
【0157】
特定の実施形態では、この高還元生成物出力濃度は、以下の動作条件のうちの任意の1つ又は任意の組み合わせを生成する方式で二酸化炭素電解槽を動作させることによって取得される:
少なくとも約300mA/cm2の電流密度、
最大約4、又は最大約2.5、又は最大約1.5のCO2化学量論的流量、
最大約125℃の温度、
最大約800psi(5515.808kPa)の圧力、
0mM~約500mM重炭酸塩のアノード水組成、及び
約0~15のアノード水pH。
【0158】
特定の実施形態では、電解槽は、以下の特性のうちの任意の1つ又は任意の組み合わせを有する二酸化炭素電解槽を使用することによって、ここで定義されるような高(CO+H2):CO2モル比又は濃度に有利に働くように構築されてよい:
ナノ粒子カソード触媒(例えば、平均して、約0.1nm~1000nmの最大寸法を有する)、
カソード触媒材料としての遷移金属、
約0.1um~100umのカソード触媒層厚さ、
微多孔質層(MPL)を有する又は有しないカソードガス拡散層、
約0wt%~70wt%PTFEを有するGDL、
約10um~1000um厚さであるGDL、及び
約0um~100um厚さである陰イオン交換カソード緩衝層を有する両極性MEA。
水素富化生成物ストリーム動作パラメータレジーム
【0159】
特定の実施形態では、二酸化炭素電解槽は、少なくとも約1:1のモル比におけるH2:COを有する出力ストリームを生成するように構成されており、かつ動作時に実際にこれを生成する。
【0160】
特定の実施形態では、そのような水素富化出力濃度は、以下の動作条件のうちの任意の1つ又は任意の組み合わせを生成する方式で二酸化炭素電解槽を動作させることによって取得される:
少なくとも約300mA/cm2の電流密度、
最大約2のカソードへのCO2物質移動化学量論的流量、
少なくとも約65℃又は少なくとも約80℃の温度、
約75psig(517.107kPaG)~500psig(3447.38kPaG)の圧力範囲、
純水又は少なくとも約50mM重炭酸塩のアノード水組成、及び
最大約1のアノード水pH。
【0161】
特定の実施形態では、電解槽は、以下の特性のうちの任意の1つ又は任意の組み合わせを有する二酸化炭素電解槽を使用することによって、ここで定義されるような水素富化モル比又は濃度に有利に働くように構築されてよい:
比較的大きいナノ粒子カソード触媒(例えば、平均して、少なくとも約80nmの最大寸法を有する)
カソード触媒材料としての銀、パラジウム、又は亜鉛、
最大約5umのカソード触媒層厚さ又は少なくとも約25umの厚さ、
微多孔質層(MPL)を有しないカソードガス拡散層、
PTFEが存在しないか又は少なくとも約20wt%PTFEを有するカソードGDL、
最大約200um又は少なくとも約500umである厚さを有するカソードGDL、及び
約0um~5umである厚さを有する陰イオン交換カソード緩衝層を有する両極性MEA。
高還元生成物対水素生成物ストリーム動作パラメータレジーム
【0162】
特定の実施形態では、二酸化炭素電解槽は、少なくとも約2:1のモル比のCO:H2を有する出力ストリームを生成するように構成されており、かつ動作時に実際にこれを生成する。
【0163】
特定の実施形態では、そのような生成物富化出力濃度は、以下の動作条件のうちの任意の1つ又は任意の組み合わせを生成する方式で二酸化炭素電解槽を動作させることによって取得される:
少なくとも約300mA/cm2のカソードにおける電流密度、
少なくとも約1.5、又は少なくとも約2.5、又は少なくとも約4のカソードへのCO2物質移動化学量論的流量、
最大約80℃の温度、
約75psig(517.107kPaG)~400psig(2757.904kPaG)の範囲における圧力、
約0.1mM~50mM重炭酸塩のアノード水組成、及び
約1よりも高いアノード水pH。
【0164】
特定の実施形態では、電解槽は、以下の特性のうちの任意の1つ又は任意の組み合わせを有する二酸化炭素電解槽を使用することによって、ここで定義されるような生成物富化モル比又は濃度に有利に働くように構築されてよい:
比較的小さいナノ粒子触媒(例えば、平均して、約0.1nm~15nmの最大寸法を有する)、
カソード触媒材料としての金、
約5um~20umのカソード触媒層厚さ、
微多孔質層(MPL)を有するカソードガス拡散層、
約1wt%~20wt%、又は約1wt%~10wt%、又は約1wt%~5wt%において存在するPTFEを有するカソードGDL、
少なくとも約200umの厚さを有するカソードGDL、及び
少なくとも約5umの厚さを有する陰イオン交換層を有する両極性MEA。
化学量論的流量
【0165】
モル流量が、少なくとも部分的に、セルに送達される電流によって判定され得ることを所与として、モル流量は、当該電流に紐付けされてよい。一例として、入力ストリーム中の炭素酸化物のモル流量は、所与の電流について予想される反応の単位当たりの流量の観点で定義されてよい。本明細書において、「化学量論的」流量という用語は、炭素酸化物の還元反応が所与の反応に対してカソードにおいて100%効率であることを仮定して、カソードにおける全ての電流を完全に利用するために要求される反応物炭素酸化物の流量の数分の1又は当該流量の数倍を指す。「1」の化学量論的値を有する炭素酸化物の流量は、カソードにおける所与の還元反応において、カソードにおいて提供される全ての電子を消費するために要求される流量、及びそれ以下である。言い換えると、化学量論的流量は、所与の反応についての電流効率が100%であれば理論的に反応させることが可能である量を超えて(又は当該量を下回って)存在する余剰(又は不足)反応物の量である。
【0166】
酸性環境において一酸化炭素を生成する二酸化炭素還元反応(CO2+2H++2e-→CO+H2O)について、1の化学量論的値を有する二酸化炭素流量は、セルによって提供される2モルの電子ごとに1モルの二酸化炭素を提供する。言い換えると、2モルの電子/秒を提供する電流及び1モルの二酸化炭素分子/秒を提供する二酸化炭素流量を有するセルは、1の化学量論的流量を有することになる。同じ電流及び0.5二酸化炭素分子/秒の流量の場合、セルは、0.5の化学量論的流量を有することになる。そして、ここでも同じ電流であるがただし1.5二酸化炭素分子/秒の流量を有する場合、セルは、1.5の化学量論的流量を有することになる。1の化学量論的流量を達成するために必要とされるモル流量は、以下のように算出することができる:
化学量論的流量(sccm)=[60(s/min)*STPにおけるモルガス体積(mL/mol)]/[ファラデー定数(C/mol e-)*#e-'s/モルCO2]*電解槽にフィードされる電流のアンペア
電流の総アンペアは、電流密度、電解槽セルの面積及び電解槽におけるセルの数から算出することができる:
電流のアンペア=電流密度*電解槽セルの面積*セルの数
【0167】
一例では、CO2のCOへの電気化学的還元を実行する500mA/cm2の電流密度を有する100cm2電解槽は、50Aの総電流を有し、反応は、2モルのe-/モルCOの生成を要求するので、1の化学量論的流量は、以下のとおりである:
[60*22,413]/[9,6485*2]*50=348.4sccm
この例では、0.5の化学量論的流量は、以下のようになる:
0.5*348.4=174.2sccm
そして、2の化学量論的流量は、以下のとおりである:
2*348.4=696.8sccm
【0168】
二酸化炭素からエチレンを生成するセルの別の例では、2モルの二酸化炭素を1モルのエチレンに還元するために12モルの電子が必要とされる。300mA/cm2の電流密度を有する3セル1500cm2電解槽の場合の化学量論的流量は、以下のとおりである:
[60*22,413]/[96,485*6]*1350=3,136sccm。
【0169】
カソード出力ストリーム中のガスのモル比に対する特定の電解槽設計及び動作パラメータの影響の様々な例は、2021年11月4日に提出された米国仮特許出願第63/263,567号において提示されており、同米国仮特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0170】
様々な実施形態において、炭素酸化物電解槽のアノードにおいて生成された酸素は、統合プロセスにおいて使用される。例として、電解槽により生成された酸素は、部分酸化ガス化プロセス、好気性発酵プロセス、酸素脱分極電極を利用する電解プロセス等において使用されてよい。統合スキームの1つの例では、フィッシャー・トロプシュリアクタを有するシステムは、フィッシャー・トロプシュリアクタへの入力として合成ガスを生成するとともに、バイオマスのガス化のためのリアクタへの入力として酸素を生成するように構成された二酸化炭素電解槽を利用してよく、これは、フィッシャー・トロプシュリアクタへの入力のための合成ガスも生成する。7.統合スキーム
【0171】
任意選択の実施形態及び/又はシステム及び/又は方法の要素に関する追加情報が以下で提供される。
【0172】
本開示の炭素酸化物リアクタからの生成物ガスは、1又は複数の下流プロセスにおいて使用することができる。例えば、合成ガス生成のために構成された本開示の二酸化炭素リアクタは、CO、H2、及び/又はCO2のストリームを出力することができる。炭素酸化物電解槽の動作中に生成された熱は、加熱を要求する1又は複数の上流及び/又は下流プロセスにおいて使用されてよい。
好気性及び嫌気性発酵
【0173】
この出力ストリームは、バイオリアクタの入力にフィードすることができ、ここで、微生物(例えば、クロストリジウム・オートエタノゲナム、クロストリジウム・カルボキシドボラン、クロストリジウム・リュングダリイ、クロストリジウム・ラグスダレイ、クロストリジウム・サーモアセチカム、クロストリジウム・サーモオートトロフィカム、ユーバクテリウム・リモスム、ペプトストレプトコッカス・プロダクツス、ブチリバクテリウム・メチロトロフィクム、アセトゲン、大腸菌等)が、CO、H2、及び/又はCO及びCO2に含まれる炭素の一部のエネルギーを使用して、1又は複数のバイオ生成物(例えば、エタノール、酢酸、ブタノール、酪酸、メタン等)を作成する。未利用の炭素は、下流バイオリアクタの出力から(例えば、CO2として、任意選択で水蒸気及び/又は他の揮発性化合物とともに)放出することができる。
【0174】
下流バイオリアクタの出力として放出されたCO2は、任意選択で、(例えば、バイオ生成物生成の炭素効率を高めるために、二酸化炭素リアクタ動作を制御するために等)本開示の二酸化炭素リアクタの入力に戻るように再循環させることができる。幾つかの実施形態では、このCO2が本開示の二酸化炭素リアクタに入る(例えば、再び入る)前に、このCO2を処理することが望まれ得る。例えば、水蒸気が除去されてよく、二酸化炭素リアクタ機能を阻害するであろう任意の揮発性生成物が除去されてよく、及び/又は、CO2は、本開示の二酸化炭素リアクタの動作のために望まれるレベルに加圧されてよい。バイオリアクタを去る二酸化炭素は、大気圧に近くてよく、及び/又は、他の任意の適した圧力を有してよく、典型的な二酸化炭素リアクタの圧力は、20psi(137.8952kPa)~800psi(5515.808kPa)、50psi(344.738kPa)~400psi(2757.904kPa)、100psi(689.476kPa)~500psi(3447.38kPa)、及び/又は他の任意の適した範囲であってよい。幾つかの例では、水蒸気は、相分離器及び/又は乾燥剤(例えば、相分離器の後に乾燥剤)によって除去される。幾つかの例では、揮発性生成物は、酸化、適した吸着材への吸着、及び/又は凝縮によって除去される。CO2コンプレッサを使用して、CO2の圧力を、二酸化炭素リアクタのために適した圧力まで高めることができる。二酸化炭素リアクタが低圧力CO2で稼働することが可能であり、下流バイオリアクタからのCO2ストリーム出力中に検出される水蒸気又は任意の揮発性化合物によって阻害されることがない場合、システムは、不要な精製及び圧縮システム及びプロセスを取り除くように簡素化することができる。
【0175】
下流バイオリアクタ内の培地の1リットルごとに、二酸化炭素リアクタの出力からの、約1sccm~1000sccm又は約1sccm~2000sccm又は約10sccm~500sccmの範囲又は他の任意の適した範囲のガスの流量が望ましいものとすることができる。下流バイオリアクタ内の培地の1リットルごとに、放出されるCO2は、約1sccm~2000sccm又は約10sccm~1000sccm又は約10sccm~500sccmの範囲又は他の任意の適した範囲とすることができる。下流バイオリアクタ内の培地の1リットルごとに、バイオリアクタを出る出力ガスストリーム中の水蒸気は、ストリームの約1体積%~2体積%、ストリームの約2体積%~5体積%、ストリームの約5体積%~10体積%、ストリームの約10体積%~25体積%、ストリームの約25体積%~50体積%、ストリームの約50体積%~90体積%、及び/又は他の任意の適した量であってよい。下流バイオリアクタを去る揮発性生成物は、ストリームの約0.1体積%未満、約0.5体積%未満、ストリームの約1体積%未満、ストリームの約4体積%未満、及び/又はストリームの他の任意の適した量を構成してよい。
【0176】
一部の微生物プロセスは、本開示の二酸化炭素リアクタによって生成される合成ガスを使用することができる。CO、H2、及び任意選択でCO2の合成ガス出力ストリームは、下流バイオリアクタのための原料として使用されてよく、ここで、微生物プロセスは、広範な有用な化合物(例としては、エタノール、酢酸、ブタノール、酪酸、アセトン、メタンが挙げられる)を作成するために行われる。合成ガスストリームそれ自体は、下流バイオリアクタ内の微生物が成長するために必要とされる全ての栄養を含まなくてよい。微生物が成長し、生成物を生成するために、バイオリアクタへの他の栄養の追加が要求されてよい。適した微生物の例としては、クロストリジウム・オートエタノゲナム、クロストリジウム・カルボキシドボラン、クロストリジウム・リュングダリイ、クロストリジウム・ラグスダレイ、クロストリジウム・サーモアセチカム、クロストリジウム・サーモオートトロフィカム、ユーバクテリウム・リモスム、ペプトストレプトコッカス・プロダクツス、ブチリバクテリウム・メチロトロフィクム、アセトゲン及び/又は大腸菌が挙げられる。
【0177】
下流バイオリアクタに導入することが特に困難であり得る1つの栄養は硫黄である。多くの微生物は、特定のアミノ酸合成及び酵素プロセスのために硫黄を要求する。硫黄に耐性を有する本開示の二酸化炭素リアクタは、(例えば、合成ガスを下流バイオリアクタに提供することに加えて)下流バイオリアクタへの硫黄の追加を簡素化してよい。H2S、SO2、及び/又は他の硫黄酸化物(SOx)等の1又は複数の硫黄含有種(SCS)の形態における硫黄が、本開示の二酸化炭素リアクタの入力にフィードされるCO2ガス中に存在し得る。H2Sは、変更されないまま本開示の二酸化炭素リアクタを通過し、合成ガス出力ストリームとともに出てよい。SCS(例えば、SO2及び/又はSOx)は、変更されないまま通過してよく、及び/又は、それらは、1又は複数の他のSCS(例えば、H2S)に変換されてよく、合成ガス出力ストリームとともに出力されてよい。その後、硫黄種(例えば、H2S、SO2、及び/又はSOx)を更に含む合成ガスは、(例えば、追加の硫黄の栄養は必要とされることなく)下流バイオリアクタの入力にフィードすることができる。硫黄種濃度は、約1ppm~10ppm、約5ppm~50ppm、約5ppm~100ppm、約10ppm~200ppm、約20ppm~l000ppmの範囲、及び/又は、他の任意の適した範囲とすることができる。
【0178】
幾つかの実施形態では、二酸化炭素リアクタは、(例えば、二酸化炭素リアクタの1又は複数の生成物を受け入れる等、二酸化炭素リアクタの下流の)1又は複数のガス発酵リアクタに結合することができる。方法は、任意選択で、炭素効率及び/又はエネルギー効率を最適化するために等で、この結合に基づいてリアクタ動作を制御する段階を含むことができる。アセトゲンは、表1に示されるエネルギーバランスにおいて見られるように、純粋なCOを入力とすると最もエネルギー効率がよく、多くの場合、所望の最終生成物に向けられる最も高い選択性も呈する。しかしながら、統合電気化学ガス発酵システムが、複数の理由で水素含有合成ガスを利用するように設計され得る場合が存在する。
表1
【表1】
【0179】
下流バイオリアクタにおいて電子移動化学の大半又は全てのためにCOを使用することは、典型的には、CO2の生成をもたらし、これは、その後、バイオリアクタの出力ストリーム中に排気され得る。典型的には、合成ガス中の水素の比率が増大するにつれて、CO2の生成が少なくなり、CO2副産物は、化学量論的に、水素の一酸化炭素に対する特定の比率を超えて除去することができる。エタノールへのガス発酵の場合、例えば、約1:2未満のCO:H2比率が、典型的には、全ての入力炭素のエタノール最終生成物への組み込みをもたらすことになる。したがって、本開示の二酸化炭素リアクタの出力ストリーム中のCO:H2比率を調節することは、オペレータが、より多くのH2生成へ向けてシフトすることによって炭素効率を最適化すること(例えば、CO2排出量を最小化すること)、及び/又は、より高いCO生成へ向けてシフトすることによってエネルギー効率を最適化することを可能にすることができる。時間帯の電気料金又は炭素利用のためのインセンティブ等の入力コストをモニタリングすることは、任意の時点において最適な動作パラメータを通知することができる。この方式で生成を調節することは、例えば、より多くのエタノール生成(例えば、より高いCO)又はより多くのアセテート生成(例えば、より高いH2)に向けて駆動することによって、出力を変更することもできる。出力の市場価格をモニタリングすることは、任意の所与の時間において最適な動作パラメータを通知することができる(例えば、動作パラメータは、生成物の市場価格を最適化するために、又はリアクタ動作からの利益総額を最適化するために等で、市場価格に基づいて判定される)。
【0180】
しかしながら、システム及び/又は方法は、加えて又は代替的に、他の任意の適した要素を含むことができる。
【0181】
CO2電解槽及び好気性発酵リアクタで構成されるシステムを、タンパク質、ポリヒドロキシアルカノエート、アセトン、イソプロパノール、エタノール、及び他の生成物等の生成物を生成するのに使用することができる。CO2電解槽は、入力であるCO2、水、及び電気を取り込み、CO2、水素、未反応CO2、及び水から取得される酸素のストリーム及び1又は複数の炭素系生成物を含有する別個のストリームを出力する。炭素系生成物は、CO、メタン、エチレン、又はこれらの化合物の他の炭素質化合物との混合物とすることができる。
【0182】
酸素及び炭素生成物ストリームは、酵母、大腸菌、又は所望の生成物を作成するためにガスストリーム中の化合物を代謝することができる他の微生物を含む好気性ガス発酵システムにフィードすることができる。好気性ガス発酵リアクタの出力は、典型的には液相である少なくとも1つのバイオ生成物を含有するストリーム、及びCO2、水蒸気、ガス原料の未代謝成分、及び微量炭化水素又はH2S等の発酵中に生成される他の揮発性化合物を含有するガスストリームを含む。このガスストリーム中のCO2は、嫌気性発酵プロセスと同じようにCO2電解槽の入口に戻るように再循環させることができるが、ストリーム中のO2濃度が約5%、1%又は0.25%よりも高い場合、O2除去が必要であり得る。
【0183】
炭素酸化物電解槽の生成物を受け取るように構成されたガス発酵リアクタのために、様々な微生物代謝経路が利用されてよい。電解槽の設計及び動作は、代謝経路に、したがって経路の要求される入力に、適合することになる。1つの例示の経路は、Wood-Ljungdahl Pathway(WLP)であり、これは、CO、CO2、ギ酸塩、メタノール、H2、及び/又はアセチル補酵素A(Acetyl-CoA)を作成するための他の単一炭素化合物を利用することができる生化学反応のセットを有する。Acetyl-CoAは、炭素及び微生物のためのエネルギー源として使用される分子である。Wood-Ljungdahl Pathwayは、クロストリジウム・リュングダリイ等の酢酸生成微生物において発見される天然代謝経路であるが、大腸菌等の他の微生物が、この経路を有するように遺伝子的に操作され得る。Acetyl-CoAは、セル質量を構築するために微生物によって利用され得、及び/又はそれは、アセトン、エタノール等のような他のバイオ生成物を作成するために、他の生化学経路のための開始分子として使用され得る。生成物を作成するためにAcetyl-CoAを利用する生化学経路は、生物に由来したものとすることもできるし、又は、それらは、微生物が所望の生成物を作成することになるように遺伝子操作によって添加されてもよい。
【0184】
微生物は、同時に複数の代謝経路を利用し得る。例えば、糖(例えば、グルコース)が、WLPへの入力と同時に、解糖又は非酸化的解糖経路を通して微生物によって代謝され得る。生体分子(例えば、ATP/ADP、NADH/NAD+)が、1つの代謝経路において生成され、別の代謝経路において使用され得る。
【0185】
WLPは、ATPを生成しない。セルのATPが枯渇している場合、それらは、Acetyl-CoAからのアセテート生成に有利に働くことになる。ATPを生成するために、セルは、自身のセル膜にわたるプロトン濃度勾配を生成するために、フラビン系電子分岐経路(Flavin-Based Electron Bifurcation Pathway)を通してH2を直接利用することができる。この勾配は、ATP合成酵素を通してATP生成を駆動することができる。セルがATPを利用可能にする場合、Acetyl-CoAは、天然の又は遺伝子的に操作された生化学経路を通して広範な所望の生成物に変換することができる。ガスストリーム中のH2:COの比率は、ATPの可用性を判定し、バイオプロセスの炭素効率を判定することができる。
【0186】
幾つかの実施形態では、メタン及び二酸化炭素入力を利用する好気性発酵プロセスは、3-ヒドロキシプロパン酸を生成する。幾つかの例示のシステムでは、炭素酸化物電解槽は、他の生成物の中でもとりわけ、3-ヒドロキシプロパン酸を生成するガス発酵リアクタにメタン及び二酸化炭素を提供するように構成されている。
【0187】
別の例では、二酸化炭素電解槽は、一酸化炭素、二酸化炭素、及び水素の出力を生成するように構成されており、これらは、加えて、入力として糖(例えば、グルコース)を受け取り、これらの成分を反応させてアセトンを生成するガス発酵リアクタへの送達前に調整されるこれらのガスの比率を有するように処理されてよい。
【0188】
図4は、ガス発酵バイオリアクタ405から上流の炭素酸化物還元電解槽403、及びバイオリアクタ405の出力を電解槽403の入力に再循環させるように構成された再循環ユニット413を備えるガス発酵システム401を示している。
【0189】
示されているように、電解槽403は、アノード及びカソード反応を駆動するために反応物としての水及び炭素酸化物(この例では二酸化炭素)及び電気を受け取るように構成されている。電解槽403への入力は、比較的高い圧力(少なくとも大気圧を超える)において提供される。電解槽のアノード反応は、酸素を生成し、これは、好気性発酵が利用される場合にのみバイオリアクタ405への入力として使用される。電解槽403のカソード側からの出力は、未反応二酸化炭素を、水素ガス及び一酸化炭素及び/又はメタン等の1又は複数の炭素含有生成物とともに含む。これらの出力は、比較的高い圧力において提供される。
【0190】
システム401は、電解槽403のカソード側出力を、任意選択でアノードで生成された酸素とともに、バイオリアクタ405に輸送するように構成されている。システム401は、バイオリアクタ405への送達前又は送達中に一部又は全ての電解槽生成物の圧力を低減させるように構成されている。特定の実施形態では、システム401は、電解槽403及びバイオリアクタ405の間にガス精製ユニット(図示せず)を含む。ガス精製ユニットは、電解槽生成物がバイオリアクタ405に入る前にそれらの濃度を調整するように構成されている。幾つかの場合、精製ユニットは、ガスストリーム中の二酸化炭素の濃度を低減させる。幾つかの場合、精製ユニットは、ガスストリーム中の一酸化炭素の濃度を増大させる。
【0191】
バイオリアクタ405は、入力を、任意選択で糖等の他の入力とともに、所望のバイオ生成物及び副産物に変換するように構成されている。示されている例では、バイオ生成物は、比較的揮発性であるか又は別様に所望の生成物から分離可能であり、したがって、再循環ユニット413に渡され得る。示されている実施形態では、システム401は、二酸化炭素、水蒸気、及び場合によっては他の揮発性化合物を、低圧力において、バイオリアクタから再循環ユニット413に搬送するように構成されている。
【0192】
再循環ユニット413は、1又は複数の分離又は除去ユニット及び二酸化炭素コンプレッサを備える。示されている実施形態では、再循環ユニット413は、最初にバイオリアクタ蒸気出力を受け取り、それらを水及び任意選択で酸素分離ユニット407に渡すように構成されている。分離ユニット407の出力は、低圧力二酸化炭素及び任意選択で揮発性化合物の混合物であってよい。再循環ユニット413は、二酸化炭素及び揮発性物質を揮発性化合物除去ユニット409に渡すように更に構成されており、これは、揮発性物質を除去し、低圧力二酸化炭素を出力する。再循環ユニット413は、除去ユニット409から低圧力二酸化炭素を受け取り、それを電解槽403への入力のために適したレベルに加圧するように構成された二酸化炭素コンプレッサ411も含む。
【0193】
特定の実施形態では、再循環ユニット413は、第1のフェーズ中に二酸化炭素を捕捉するとともに、第2のフェーズ中に二酸化炭素を放出するための吸着材を含む1又は複数の二酸化炭素捕捉ユニットを備える。分離ユニット409は、そのような二酸化炭素捕捉ユニットを含むか、又はこれと組み合わせて機能するように構成されてよい。そのような捕捉ユニットの例は、本明細書において説明される直接空気捕捉ユニットの説明において提供される。
【0194】
示されている実施形態では、システム401は、再循環ユニット413からの加圧二酸化炭素を、電解槽403へのカソード側入口から上流の点に輸送するように構成されており、当該点において、二酸化炭素は、加圧原料二酸化炭素と混合する。
【0195】
特定の実施形態では、行われるバイオ反応に依存して、バイオリアクタから上流に位置する二酸化炭素電解槽は、(a)本明細書において説明されるような水素富化生成物ストリーム動作パラメータレジーム、又は(b)本明細書において説明されるような高還元生成物対水素生成物ストリーム動作パラメータレジームにおいて動作するように構成されている。
【0196】
様々な実施形態において、電解槽によって生成される酸素は、ガス化プロセス等の統合プロセスにおいて使用される。例えば、フィッシャー・トロプシュリアクタを有するシステムは、炭化水素の部分酸化から、又は酸素を消費するバイオマスのガス化から二酸化炭素入力を受け取るように構成された電解槽を利用してよい。酸素は、二酸化炭素電解槽のアノード側から及び/又は空気分離ユニットから到来してよい。
【0197】
図5は、合成ガスを生成するように構成された二酸化炭素電解槽503を含むシステム501を示している。システム501は、合成ガスを生成するように構成された好気性発酵リアクタ505も含む。システム501は、電解槽503のアノードにおいて生成された酸素をリアクタ505に送達するようにも構成されている。この酸素は、空気分離等の代替源から通常提供された酸素の一部から置き換わってよく、したがって空気分離ユニットのエネルギーデューティ及びスケールが削減される。
【0198】
システム501は、電解槽503、発酵リアクタ505、及び潜在的に他のソースによって生成された合成ガスを、下流ガス化ユニット又は部分酸化ユニット507に送達するように構成されている。システム501は、ユニット507からの幾分かの廃二酸化炭素を電解槽503のカソード入力ストリームに送達するように構成されてよい。
ナフサ及び燃料
【0199】
示されているように、フィッシャー・トロプシュ反応は、以下の一般式によって特徴付けられ得る:
(2n+1)H2+nCO->CnH2n+nH2O
【0200】
以下の論述はフィッシャー・トロプシュ反応に焦点を当てている一方、当業者であれば、あるクラスの関連する反応が水素及び一酸化炭素を含む入力ストリームから液体炭化水素及びその混合物(多くの場合、ナフサと総称される)を生成するように利用されてよいことを理解する。当該クラスの反応は、入力ストリームの組成及び反応条件に依存して様々な組成の液体炭化水素混合物を生成する。フィッシャー・トロプシュという用語が本明細書において使用されるが、一酸化炭素及び水素を含む混合物からナフサを生成するあるクラスの反応のうちの任意のものを包含すると理解されるべきである。一般的に、そのような反応は発熱性である。
【0201】
様々な実施形態において、フィッシャー・トロプシュリアクタへの入力ストリームは、約1:2モル比のCO:H2である。CO/H2混合物(又は他のフィッシャー・トロプシュ入力)を生成するための開始点としてCO2を使用するために、幾つかの従来の無電解プロセスは、2つの段階を要求する。例えば、従来のプロセスは、CO2+H2を生成する第1のプロセス(段階1)、及びその後、CO2+H2を反応させ、CO及び水を生成する逆水性ガスシフト(reverse water gas shift:RWGS)反応(段階2)を利用して、要求される2:1のCO:H2に近い比率を有するガスをもたらす。それゆえ、従来のプロセスでは、正しい比率においてCO及び水素を取得した後にのみ、液体炭化水素を生成するためにフィッシャー・トロプシュ反応が利用され得る。水性シフト(WGS)反応及び逆水性シフト反応触媒は、下流プロセスに対して有害である金属ダストを生成し得る。さらに、水性シフト反応は、一酸化炭素及び/又は水素のフィードを要求する。
【0202】
従来の合成ガスプロセスは、時として(COの生成を強調し得るWGS及び/又はRWGS反応又は二酸化炭素電解槽を使用するのではなく)CO+H2混合物を直接生成するのに使用されることに留意されたい。しかしながら、合成ガス生成は、多くの場合、石炭を使用する。
【0203】
一酸化炭素源として二酸化炭素電解槽を利用するフィッシャー・トロプシュシステムは、WGS又は合成ガスルートに優る様々な利点を有する。例えば、RWGS反応とは異なり、二酸化炭素電解槽は、金属ダストを生成しない。加えて、RWGS反応と比較して、二酸化炭素電解槽は、CO2のCOへのより高い変換を提供する。
【0204】
しかしながら、二酸化炭素電解槽は、フィッシャー・トロプシュフィードのために要求されるおよそ1:2モル比のCO:H2を有するガスを生成しないことがある。幾つかの場合、二酸化炭素電解槽は、CO富化ストリームを生成する。したがって、幾つかの実施形態では、フィッシャー・トロプシュシステム、又は一酸化炭素及び水素混合物を要求する他の任意のシステムは、水電解槽、又は任意選択で二酸化炭素電解槽と組み合わせて機能する他の水素源を利用してよい。水電解槽は、二酸化炭素電解槽のCO富化出力を補助するために気体水素を作成するように構成されている。幾つかの実施形態では、水素が比較的豊富である合成ガスは、二酸化炭素及び水の共電解の一部として生成され得る。F-T反応のおよそ1:2のCO:H2フィード濃度を達成するために、システムは、CO2電解槽からガス分離ユニットを通して到来するCO及びH2の濃度を判定するように構成されたセンサを含んでよい。フィードバックとして検知された情報を使用して、水電解槽の動作条件は、総ストリームをおよそ1:2のCO:H2濃度にするために必要とされるH2の量を水素ストリームに送達するように調整されてよい。
【0205】
代替的に、適したフィッシャー・トロプシュCO及びH2フィードブレンドを生成するのに単一のCO2電解槽が使用され得る。これは、出力を水素生成にバイアスするように電解槽を動作させることによって、及び/又は電解槽出力を処理して、その組成を、フィッシャー・トロプシュリアクタへの送達に先立って調整することによって、達成することができる。特定の実施形態では、二酸化炭素電解槽は、比較的高い割合のH+がカソードに到達することを可能にするMEAを含む。カソードにおけるH+の比較的高い流速を促進する1つの方法は、両極性MEAが、比較的薄いカソード緩衝層を利用すること、及び/又は比較的高いH+輸率を有するポリマーを有するカソード及びカソード緩衝層を利用することである。別の手法では、二酸化炭素電解槽は、二酸化炭素が枯渇するように構築されるか又は動作する。特定の実施形態では、電解槽は、より高い比率の水素対一酸化炭素比率を生成する傾向がある比較的高い電流密度において動作する。幾つかの実装では、電解槽は、比較的高い電流密度及び電解槽への比較的低い二酸化炭素フィードの両方を利用する。比較的高い電流密度における動作は、機器のコストのために比較的安価な電解槽を利用する生成の利点を有する。
【0206】
CO
2電解槽の出力は、生成物CO、副産物H
2、未反応CO
2、及び水蒸気を含有する。システムは、水蒸気を除去し、未反応二酸化炭素を分離するように構成されてよい。ガス分離ユニットは、CO及びH
2からCO
2を分離し、及び/又は、別様にCO及びH
2を濃縮するのに使用されてよい。システムは、CO
2又は水電解槽の水入口に水を再循環させる再循環ループを含んでよい。未反応でかつ分離したCO
2は、その後、圧縮され、CO
2電解槽の入口に戻される。ガス分離ユニットの例は、
図19、
図20、
図23A~
図23D、及び関連付けられた説明において提示される。
【0207】
F-Tリアクタは、約300psi(2068.428kPa)超で、かつ約150℃~300℃の間で動作してよい。二酸化炭素電解槽及び任意選択の水電解槽の出力が要求される圧力ではない場合、システムは、F-Tリアクタに入る前にフィードガス圧力を上昇させるためにコンプレッサを利用してよい。F-Tリアクタでは、CO-H2混合物は、未加工F-T液体及びワックスに変換される。システムは、F-Tリアクタに後置して、水、高融点F-T液体、中融点F-T液体、及びテールガス、揮発性炭化水素、CO2、CO、及びH2の混合物を分離する分離器を含んでよい。F-T液体は、水素化分解を介して更にアップグレードされてよい。異なる割合のF-T液体の蒸留及び分離が、ジェット燃料、ディーゼル、及びガソリンをもたらし得る。F-Tリアクタからの水は、不純物を除去するためにろ過され、CO2及び/又は任意選択の水電解槽の水入力にフィードされ得る。
【0208】
F-Tシステムは、テールガス及び/又は揮発性炭化水素(例えば、メタンを含む)がCO2電解槽に戻るように再循環されるように設計されてよい。システムは、テールガスをCO2に分離するように構成されてよく、これは、圧縮され、電解槽入口及び揮発性炭化水素及び未反応CO及びH2に直接フィードされてよい。システムは、これらの生成物が熱、エネルギー、及びCO2を生成するために燃焼リアクタにフィードされるように設計又は構成されてよい。CO2は、その後、CO2電解槽入口にフィードされる。電解槽からのO2は、燃焼のための酸素源として使用されてよく、純粋なCO2出力ストリームがもたらされる。燃焼リアクタは、出口ストリーム中の酸素の濃度を最小化するために酸素に対して余剰の燃料を利用する「リッチバーン」モードにおいて稼働してよい。燃焼反応からの水は、ガス出力から分離されてよく、CO2電解槽又は水電解槽の水入力にフィードされ得る。
【0209】
フィッシャー・トロプシュ反応は発熱性であるので、それは、システムにおいて他の目的で使用され得る熱を生成する。そのような他の使用の例としては、分離(例えば、軽質炭化水素の蒸留)及び反応が挙げられる。従来のシステムでは、そのような反応は、化石燃料の改質、バイオマスのガス化、又は逆水性ガスシフトを介した二酸化炭素及び水素からの生成等の合成ガスの生成のための吸熱反応である。したがって、従来のプロセスでは、フィッシャー・トロプシュ反応からの余剰の熱の全て又は大部分は、典型的には合成ガス生成に向けられる。しかしながら、任意選択で低温度水電解と一緒の二酸化炭素電解等のプロセスによって低温度(例えば、約100℃未満)において合成ガスを生成する本ケースでは、二酸化炭素捕捉等の他のプロセスのために利用可能なフィッシャー・トロプシュ反応からのより多くの余剰の熱が存在し、それによって、システムの全体外部熱要件が低減するとともに、二酸化炭素の燃料への合成経路の炭素及びエネルギー効率が改善する。
【0210】
幾つかの実施形態では、テールガスは、改質器にフィードされ、当該改質器において、メタン又は他の気体炭化水素が水と反応して、合成ガスの一形態である水素及び一酸化炭素の混合物を生成する。これは、液体炭化水素生成物における二酸化炭素からの炭素の収率を増大させ得る。テールガスの組成に依存して、水素対一酸化炭素の比率は変化し得る。幾つかの実施形態では、二酸化炭素及び/又は酸素の一部の量は、改質器内に存在する。多くの場合、改質反応は吸熱性である。幾つかの実施形態では、吸熱反応を駆動するための熱は、少なくとも部分的に、フィッシャー・トロプシュ反応中に生成される余剰の熱から提供される。幾つかの実施形態では、吸熱反応を駆動するための熱は、少なくとも部分的に、二酸化炭素還元電解槽による二酸化炭素の電解中に生成される余剰の熱から提供される。幾つかの場合、一部の熱は、燃焼又は直接電気熱によって提供され得る。燃焼により取得熱のために、酸素(任意選択で電解槽からの)は効率を改善するために炉にフィードされてよく、二酸化炭素排出は捕捉され、電解槽にフィードされ得る。
【0211】
図6Aは、主要又は排他的炭素源が二酸化炭素及び/又は一酸化炭素を含有するもの等の炭素酸化物原料である液体炭化水素を生成するように構成されたシステム601を示している。システムは、2つの主要リアクタ:電解炭素酸化物還元セル又は電解槽611及びフィッシャー・トロプシュリアクタ621を含む。
【0212】
電解槽611は、電気源に接続され、二酸化炭素及び水等の反応物を受け取るための1又は複数の入口を有する。電解槽611は、酸素及び場合によっては微量不純物を除去するための、アノード側の1又は複数の出口、及び少なくとも一酸化炭素を含む還元生成物を除去するための、カソード側の1又は複数の出口を有する。カソード側を去る他の化合物は、水素、水、及び二酸化炭素を含んでよい。
【0213】
カソード側出口は、他の成分から一酸化炭素を分離又は精製するように設計されている一酸化炭素精製ユニット612等の精製ユニットに接続される。示されている実施形態では、精製ユニット612は、一酸化炭素を提供するための1つの出口、及び二酸化炭素、水素、及び場合によっては幾分かの一酸化炭素を提供するために別の出口を有する。特定の実施形態では、一酸化炭素精製ユニット612は、
図19、
図20、及び/又は
図23A~
図23D及び関連付けられた説明において提示されるもの等の吸着材ベースユニットであってよい。
【0214】
システム601では、二酸化炭素は、場合によっては幾分かの水素及び一酸化炭素とともに、CO精製ユニット612の出口から、電解槽611のカソード側の入口ストリームに戻るように再循環される。
【0215】
フィッシャー・トロプシュリアクタ621は、加圧フィードストリーム中で、かつ指定された組成において、一酸化炭素及び水素を受け取るように構成されている。システム601では、コンプレッサ624は、電解槽611からの一酸化炭素を、水素とともに、フィッシャー・トロプシュ反応のための適切な圧力に圧縮する。フィッシャー・トロプシュ反応は、約150℃~300℃の温度において、かつ約1気圧~数十気圧の圧力において行われてよい。この反応は、発熱性であるので、熱はほとんど又は全くリアクタ621に提供されない。
【0216】
言及されたように、フィッシャー・トロプシュリアクタへの入力は、約n:(2n+1)のCO:H比率を有してよく、ここで、nは、反応の所望のアルカン生成物の炭素原子の長さである。それゆえ、様々な実施形態において、リアクタ621に提供される水素対一酸化炭素のモル比は、約(2n+1)対nである。フィッシャー・トロプシュ反応のための水素対一酸化炭素の所望の入口組成比率を提供するために、水素源614は、CO精製ユニット612の出口又はコンプレッサ624の入口に結合されてよい。代替的に、又は加えて、電解槽611は、水素対二酸化炭素の比較的高い比率を生成する方式で設計されるか、又は動作してよい。この比率を達成するためのリアクタ設計及び動作条件は、本明細書における他の箇所で説明される。幾つかの場合、水素対一酸化炭素の比較的高い比率を有するガスは、入力としてFTテールガスを使用する反応等の改質反応から生成される。
【0217】
示されているように、システム601は、フィッシャー・トロプシュリアクタ621の出力を、水及びテールガスからMFTL及びHFTLフィッシャー・トロプシュ液体を分離するように構成された分離器623に提供するように構成されている。示されているように、フィッシャー・トロプシュ水は、CO精製ユニット612の入力及び/又は電解槽611の入力に戻るように再循環されてよい。
【0218】
システム601は、分離ユニット631、燃焼チャンバ632、及び水/ガス分離器633を有する主再循環ループを備える。分離ユニット631は、分離器623からテールガスを受け取り、揮発性炭化水素から二酸化炭素を除去するように構成されている。システム601は、二酸化炭素を、ユニット631から、電解槽611への二酸化炭素フィードストリームに再循環させるように構成されている。
【0219】
システム601は、分離ユニット631からの揮発性炭化水素を燃焼ユニット632に輸送するように構成されており、当該燃焼ユニットは、電解槽611からの酸素源を使用して炭化水素を燃焼させるように構成されている。システム601は、燃焼ユニット632からの燃焼生成物をガス/水分離器ユニット633に輸送するように構成されており、当該ガス/水分離器ユニットは、二酸化炭素及び水燃焼生成物を分離するように構成されている。システム601は、水を電解槽611のアノード入口に輸送し、二酸化炭素を電解槽611のカソード入口に輸送するように構成されている。
【0220】
特定の実施形態では、フィッシャー・トロプシュリアクタから上流に位置する二酸化炭素電解槽は、(a)本明細書において説明されるような水素富化生成物ストリーム動作パラメータレジーム、及び/又は(b)本明細書において説明されるような高還元生成物対CO2比率動作パラメータレジームにおいて動作するように構成されている。
【0221】
特定の実施形態では、システム601は、第1のフェーズ中に二酸化炭素を捕捉するとともに、第2のフェーズ中に二酸化炭素を放出するための吸着材を含む1又は複数の二酸化炭素捕捉ユニットを備える。分離ユニット631及び/又はガス/水分離器ユニット633は、そのような二酸化炭素捕捉ユニットを含むか、又はこれと組み合わせて機能するように構成されてよい。動作の幾つかの原理の例は、本明細書において説明される直接空気捕捉ユニットの説明において提供される。幾つかの実施形態では、フィッシャー・トロプシュシステムは、発熱性フィッシャー・トロプシュ反応から生成された廃熱を二酸化炭素捕捉ユニットに提供するように構成されている。
【0222】
図6Bは、二酸化炭素入力ストリーム635から液体炭化水素混合物を、(a)一酸化炭素及び水素637を生成するための二酸化炭素電解槽636及び(b)一酸化炭素及び水素を受け取り、液体炭化水素を生成するように構成されたフィッシャー・トロプシュリアクタ638を使用して生成するための例示のシステム634を提示している。少なくとも一部は電解槽636によって生成される一酸化炭素及び水素は、フィッシャー・トロプシュリアクタに入ることに先立つ送達に先立って合成ガスを精製又は別様に修正し得る(例えば、電解槽からの未反応CO
2の除去並びに合成ガスストリームの圧縮及び/又は加熱又は冷却)合成ガス処理要素640において前処理される。電解槽636からの廃熱は、フィッシャー・トロプシュリアクタに入ることに先立って合成ガスの精製又は修正において使用することができる。システム634は、要素640からの処理済みガスをフィッシャー・トロプシュリアクタ638に提供するように更に構成されており、当該フィッシャー・トロプシュリアクタは、軽質炭化水素及び他の成分642の混合物を生成することができ、システムは、当該混合物を生成物分離サブシステム643に対して利用可能にし、当該生成物分離サブシステムは、1又は複数の液体炭化水素ストリーム644からテールガス641を分離するために特徴を含んでよい。示されている実施形態では、システム634は、改質器645を含み、改質器にテールガス641を提供するように構成されている。テールガスは、一酸化炭素及び水素の水素富化混合物647を生成するためにメタン改質反応によって水(任意選択で同様にテールガス641中に含まれる)と反応することができるメタンを含有する。システム634は、混合物647を合成ガス処理要素640に送達するようにも構成されており、当該合成ガス処理要素は、フィッシャー・トロプシュリアクタ638に導入するためのガスを調製する。メタン改質反応は、吸熱性である。幾つかの実施形態では、フィッシャー・トロプシュリアクタ638における反応からの余剰の熱は、改質器645に提供される。幾つかの実施形態では、電解槽636における反応からの余剰の熱は、改質器645に提供される。
【0223】
図6Bに示されている実施形態では、システム634は、任意選択で電解槽636からの酸素649を炉651に提供するように構成されており、当該炉は、燃料を燃焼し、システム634又は他の箇所での使用のために追加の熱を生成するように構成されている。
CO
2の直接空気捕捉
【0224】
特定の実施形態では、電解二酸化炭素還元システムは、空気から直接受け取られた二酸化炭素を使用する。そのような実施形態のためのシステムは、直接空気CO2捕捉サブシステム及び二酸化炭素還元電解槽サブシステムを含む。システムは、捕捉サブシステムからのCO2が、直接又は間接的に、電解槽サブシステムのカソード側にCO2を供給するように構成されている。
【0225】
空気は多くの場合に唯一の大部分の原料であるので、空気捕捉CO2電解システムは、システムコンポーネントのための空間が存在する任意のロケーションにおいて展開されてよい。幾つかの展開では、システムは、比較的密集していないエリアを占有する。幾つかの展開では、システムは、密集したエリアを占有する。幾つかの実施形態では、システムは、少なくとも部分的に、車両又は船舶上に展開される。例えば、空気捕捉ユニットは、車両又は船舶上に提供されてよい一方、二酸化炭素電解槽は、ポート又は洋上プラットフォームにおいて提供されてよい。幾つかの場合、展開ロケーションは、エネルギーの供給を用意しており、例えば、太陽光及び/又は風力が豊富であるロケーションである。幾つかの場合、展開ロケーションは砂漠である。幾つかの実施形態では、システムは、CO2含有大気を有する地球外環境において展開される。幾つかの実施形態では、システムは、貨物船等の大型船舶又は航空母艦等の軍用船舶上に展開される。幾つかの実施形態では、エネルギー源は、洋上プラットフォーム又はポートに関連付けられた太陽光又は風力発電所によって提供され、一方、二酸化炭素捕捉ユニットは、船又は他の舟船上に提供される。二酸化炭素電解槽は、洋上プラットフォーム又はポート上に提供されてよい。
【0226】
システムは、空気又は他のガスが指定された条件下でCO2捕捉サブシステムに提供されるように設計されてよい。特定の実施形態では、ファン、真空ポンプ、又は単に風が、CO2捕捉サブシステムに空気を送達するのに使用される。
【0227】
特定の実施形態では、CO2捕捉サブシステムは、2つのステージ:空気からCO2を除去する吸着材と空気が接触する第1のステージ(フェーズ1)、及びCO2及び/又は水を放出するために熱、電気、圧力、及び/又は湿度が吸着材に印加される第2のステージ(フェーズ2)を備える。特定の実施形態では、CO2還元電解槽からの廃熱が使用される。
【0228】
幾つかの実装では、CO2捕捉サブシステムは、フェーズ1においてCO2を捕捉するために固体又は液体吸収材又は吸着材を利用する。様々な実装において、フェーズ1は、雰囲気条件又は準雰囲気条件において実行される。フェーズ2において、温度、電気、圧力、及び/又は湿度スイングが適用され、吸収又は吸着したCO2及び任意選択で水が放出される。
【0229】
特定の実施形態では、吸収材は、CO2を放出するために加熱される。一例として、吸着材は、CO2及び任意選択で水を放出するために、例えば、雰囲気温度(例えば、約20℃~40℃)から少なくとも約70℃の温度に加熱される。幾つかの場合、温度スイングは、雰囲気から約50℃~1000℃まで、又は雰囲気から約75℃~200℃まで、又は雰囲気から約600℃~1000℃までである。特定の実施形態では、CO2還元電解槽からの廃熱が使用される。一例として、吸着材は、CO2及び任意選択で水の所望の割合を除去するのに充分な継続時間にわたって加熱される。継続時間は、処理される吸着材の量、除去されるCO2及び/又は水の割合、及び吸着材への熱伝達の関数である。
【0230】
特定の実施形態では、吸収材は、CO2を放出するために湿度に曝露される。一例として、吸着材は、最初に、乾燥空気(例えば、最大約50モル%水、又は最大約30モル%水、又は最大約5モル%水を有する空気)に曝露され、その後、湿分蒸気(例えば、少なくとも約75モル%水、又は少なくとも約90モル%水、又は約100モル%水を有する空気)に曝露される。
【0231】
幾つかの実施形態では、CO2捕捉ユニットは、CO2を捕捉し、後に放出するための電子スイングメカニズムを利用する。特定の場合では、電子スイング二酸化炭素ユニットは、二酸化炭素捕捉のためにキノン(例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-1,4-ベンゾキノン)、4,4'-ビピリジン、又はチオレート等の酸化還元種に対してCO2の還元的付加を活用する電気化学セルを備えるファラデー吸着システムを備える。これらの酸化還元剤は、有機電解質において提供されてよい。幾つかの場合、電子スイング吸着システムは、炭素ナノチューブ支持体及び/又はゼオライト支持体等の固体支持体上に二酸化炭素捕捉材料を提供する。幾つかの場合、電子スイングCO2捕捉ユニットは、捕捉されたCO2を保持する吸収材及び/又は電極に熱(例えば、ジュール加熱による)を提供することによってCO2を放出する。
【0232】
CO2捕捉サブシステムの構成及びその動作条件に依存して、それは、例えば約90モル%以上の高濃度において空気からCO2を生成することができる。幾つかの場合、CO2捕捉サブシステムは、比較的低い濃度においてCO2を生成するように構成されており、これは、CO2還元電解槽が動作するために依然として充分である。
【0233】
例として、CO2捕捉吸着材及び関連付けられたサブシステムコンポーネントは、スイス国チューリッヒ所在のClimeworks AG、NY州ニューヨーク所在のGlobal Thermostat、カナダ国B.C.州スカーミッシュ所在のCarbon Engineering Ltd.、フィンランド国所在のHydrocell、及びアイルランド国ダブリン所在のSilicon Kingdom Holdingsから入手可能である。
【0234】
示されているように、捕捉され、その後放出されるCO2は、CO2還元電解槽のカソード側に直接又は間接的に送達される原料である。特定の実施形態では、空気から捕捉された水も、CO2電解槽の原料において使用される。
【0235】
特定の実施形態では、空気捕捉CO2電解システムは、例えば、約99モル%CO2以上の実質的に純粋なストリームにおいて直接空気捕捉サブシステムからCO2を送達する方式で動作するように構成されている。特定の実施形態では、システムは、電解槽へのCO2のより低い濃度、例えば、約98モル%CO2以上、又は約90モル%CO2以上、又はさらには約50モル%CO2以上を使用して動作するように構成されている。幾つかの場合、極めて低いCO2濃度が原料として使用される。そのような濃度は、依然として、約0.035モル%である二酸化炭素の大気濃度よりも実質的に高い。特定の実施形態では、システムは、空気又は窒素等の別のガスと混合される、約5モル%~15モル%のCO2濃度を使用して動作するように構成されている。
【0236】
プロセスにおいて使用される吸着材のタイプに依存して、水は、CO2とともに捕捉され、それとともに放出されてもよい。特定の実施形態では、CO2捕捉サブシステムの出力は、約0モル%~20モル%水の水濃度を有する加湿CO2である。
【0237】
特定の実施形態では、CO2捕捉サブシステムの出力は、CO2、及び窒素、酸素、水、アルゴン、又はこれらの任意の組み合わせ等の空気中の他の成分のみを含有する。全ての場合において、CO2は、空気中のその濃度よりも高い濃度において存在する。特定の実施形態では、CO2捕捉サブシステムの出力は、硫黄を含有しない。
【0238】
直接空気捕捉ユニット及びCO2電解槽は、空気捕捉技術のタイプに依存して幾つかの方法において統合することができる。熱及び質量伝達コンポーネントは、全体の空気捕捉CO2電解システムにおいて統合されてよい。
【0239】
例えば、幾つかの設計では、CO2還元電解槽は、直接空気捕捉サブシステムからCO2を受け取り、これに熱及び/又は湿度を提供するように構成されている。提供された熱は、温度スイング脱着メカニズムを利用する直接空気捕捉サブシステムのフェーズ2中に捕捉されたCO2を放出してよい。加湿電解槽生成物ガスは、湿度スイング脱着メカニズムを利用する直接空気捕捉サブシステムのフェーズ2中に捕捉されたCO2を放出するために使用することができる。
【0240】
特定の実施形態では、CO2電解槽は、入力として希釈CO2(例えば、約50モル%CO2以下)を受け取るように設計又は構成されている。
【0241】
直接空気捕捉ユニットは、複数の吸着材槽を用いて設計することができる。空気捕捉サブシステムからCO2(及び任意選択で水)の連続ストリームを受け取るために、少なくとも2つの異なる槽が、全体の空気捕捉CO2電解システムの動作中の吸着/脱着の異なるステージにおいて動作する。例えば、一方の吸着材槽がCO2を捕捉するために空気を取り込む間、他方は、CO2を放出するために加熱されてよく;各槽が吸着/脱着サイクルを通して継続するにつれて、CO2を取り込んだ吸着槽は、CO2を通気し、逆もまた然りである。サイクルにおける異なる時点における多くの槽の追加は、CO2電解槽に入力の連続ストリームを送達し、CO2を含有する空気の連続ストリーム及び水分及び/又は熱及び/又は真空を受け入れることができる。
【0242】
直接空気捕捉ユニットは、CO2電解槽等の下流プロセスのための所望の体積のCO2フローを送達するようにサイズ決めすることができる。これは、複数の吸着材含有槽を利用することを伴い得る。例えば、直接空気捕捉サブシステムは、750slpm CO2を送達するように構成されてよい。そのようなサブシステムは、プロセスの90%CO2対CO電流効率を所与として378slpm CO及び42slpm水素を生成するために300mA/cm2及び3V/セルにおいて動作する1000cm2膜電極アセンブリで構成される200セル電気化学スタックに結合してよい。電解槽の出口における未反応CO2は、炭素効率を高めるために入口に再循環されてよい。連続的に動作して、組み合わされた空気捕捉及び電解槽ユニットは、およそ675kg/日のCOを生成してよい。全般的に、幾つかの設計では、空気捕捉CO2電解槽システムは、少なくとも約100kg/日のCO及び/又は他のCO2還元生成物を出力するように構成されている。幾つかの設計では、空気捕捉CO2電解槽システムは、少なくとも約500kg/日のCO及び/又は他のCO2還元生成物を出力するように構成されている。
【0243】
特定の実施形態では、炭素酸化物電解槽及び任意選択で二酸化炭素ユニットの直接空気捕捉を利用するシステムは、空気又は大気から水を捕捉するように構成されたモジュールも含む。幾つかの実施形態では、空気から水を捕捉するように構成されたモジュールは、吸湿材料とともに光起電力からの太陽光エネルギー及び/又は太陽熱を利用する。特定の実施形態では、水を捕捉するように構成されたモジュールは、ヒドロパネル(例えば、AZ州スコッツデール所在のZero Mass Water,Inc.から入手可能)等の雰囲気除湿器である。
【0244】
図7Aは、直接空気CO
2捕捉サブシステム703及びCO
2還元電解槽サブシステム705を備える空気捕捉CO
2電解槽システム701を示している。示されているように、直接空気CO
2捕捉サブシステム703は、吸着フェーズ1中、例えば任意選択で湿度を有する大気条件(約0.035モル%CO
2)下でCO
2を含有する空気を受け取り、ほとんどのCO
2が除去された状態で、かつ任意選択で多くの湿度が除去された状態で空気を放出するように構成されている。
【0245】
直接空気CO2捕捉サブシステム703は、フェーズ2中、CO2及び任意選択で水を放出するように構成されている。少なくともCO2、及び任意選択で水は、入力としてCO2電解槽705に提供される。フェーズ2中に直接空気捕捉サブシステム703から放出されたCO2は、電解槽705のカソード側に提供される。示されているように、任意選択のCO2精製ユニット707は、直接空気CO2捕捉サブシステム703及び電解槽705の間に介在する。直接空気CO2捕捉サブシステム703によって任意選択で提供される水は、電解槽705の(CO2原料における湿度として)カソード側又は(反応物として)アノード側に向けられてよい。
【0246】
示されている実施形態では、電解槽705は、(CO2還元反応及びアノード酸化反応を駆動するために)電気を受け取るように構成されている。また、電解槽705は、電解反応からの余剰の熱を直接空気CO2捕捉サブシステム703に提供しフェーズ2(吸着材からのCO2放出)を駆動するように構成されている。
【0247】
CO2電解槽705は、酸素(水が反応物である場合のアノード反応生成物)及び1又は複数のCO2還元生成物を出力するように構成されており、これは、CO及び/又は本明細書における他の箇所で説明されるような他の炭素系生成物を含んでよい。CO2電解槽705の生成物ストリームは、水素、CO2、及び/又は水を含有してよい。示されているように、システム701は、水素、CO2、水、及び/又は他の成分からCO及び/又は他の炭素系電解生成物を分離するように構成された分離ユニット709に電解槽出力を提供するように構成されている。示されている実施形態では、システム701は、分離ユニット709からの加湿CO2を直接空気CO2捕捉サブシステム703に送達するように構成されている。
【0248】
特定の実施形態では、炭素酸化物は、燃料が燃焼するにつれて船舶又は車両上で捕捉される。燃料は、例えば、船舶又は車両を推進するために内燃機関において使用されてよい。燃料は、加熱、電気生成等のような他の目的で使用されてよい。捕捉された炭素酸化物は、炭素酸化物電解槽のカソードに提供され、これは、直接使用され、貯蔵され、又は下流処理によって異なる生成物(例えば、化学、ポリマー、又は燃料)に変換される還元された生成物を生成する。電解槽及び関連付けられた下流コンポーネントが燃料を生成するように構成されている実施形態において、結果として得られる燃料は、元の船舶又は車両において、又は1又は複数の他の船舶又は車両において利用されてよい。幾つかの実装では、炭素酸化物捕捉サブシステム及び電解槽の両方、並びに任意選択の下流処理サブシステムは、車両又は船舶上に提供される。幾つかの実装では、炭素酸化物捕捉サブシステムのみが車両又は船舶に提供される。幾つかの場合、捕捉された炭素酸化物は、車両又は船舶上で一時的に貯蔵される。例えば、二酸化炭素は、1又は複数のタンク、加圧コンテナ、タンカ船等に貯蔵されてよい。他の場合、捕捉された炭素酸化物は、地下リザーバ、タンカ船、洋上プラットフォーム等のような車両又は船舶の外で貯蔵される。幾つかの場合、貯蔵された炭素酸化物は、船舶又は車両から降ろされ、ここで、それは、炭素酸化物電解槽に提供される。貯蔵された炭素酸化物が降ろされ得る及び/又は電解槽が位置するロケーションの例としては、風力エネルギー又は太陽光エネルギー等のグリーンエネルギー源に近接して位置するものを含む、化学プラント、ポート、及び洋上プラットフォームが挙げられる。船舶及び車両の例としては、船、トラック、バス、乗用車、航空機、及び他の乗り物が挙げられる。
【0249】
図7Bは、二酸化炭素が船舶又は車両上の燃料燃焼生成物から捕捉される一例を示している。示されているように、船舶720は、炭素酸化物721を生成し、これは、炭素酸化物電解槽723に供給されることに先立って貯蔵媒体722に貯蔵される。電解槽及び関連付けられた下流化学処理装置は、化学生成物725及び/又は燃料726を生成してよい。燃料の場合では、燃料は、車両又は船舶によって利用されてよい。
【0250】
特定の実施形態では、システムの必要性に依存して、直接空気CO2捕捉サブシステムから下流に位置する二酸化炭素電解槽は、(a)本明細書において説明されるような高還元生成物対CO2比率動作パラメータレジーム、(b)本明細書において説明されるような水素富化生成物ストリーム動作パラメータレジーム、又は(c)本明細書において説明されるような高還元生成物対水素生成物ストリーム動作パラメータレジームにおいて動作するように構成されている。
ポリカーボネート
【0251】
本開示の特定の態様は、(a)1又は複数の炭素含有生成物を生成するように構成された1又は複数の炭素酸化物電解槽及び(b)1又は複数の電解槽の生成物から直接又は間接的に取得された炭素含有化合物からポリカーボネートポリマーを生成するように構成された1又は複数のポリカーボネート合成リアクタを含むポリカーボネート生成システムに関連する。
【0252】
特定の実施形態では、ポリカーボネート生成システムにおける少なくとも1つの電解槽は、任意選択で陽イオン交換ポリマー膜等のポリマー電解質膜(PEM)を含む膜電極アセンブリ(MEA)を含む。別段に指定されるか又は文脈から明らかであるわけではない限り、ここでの二酸化炭素還元電解槽を含む炭素酸化物電解槽に対する言及は、MEAベース電解槽を包含し、その特定の実施形態が本明細書における他の箇所で説明される。
【0253】
特定の実施形態では、ポリカーボネート生成システムは、一酸化炭素を生成するように構成された二酸化炭素還元電解槽、及びポリカーボネートポリマーを生成するその後の反応のために一酸化炭素を1又は複数の中間体に変換する1又は複数の他のサブシステムを含む。
【0254】
様々な実施形態において、炭素酸化物電解槽の直接出力は、フェノール、ケトン、及び/又は有機カーボネート等の1又は複数の中間化合物に変換され、これは、ポリカーボネートを生成するために反応される。そのような中間化合物への変換は、様々なプロセスのうちの任意のものによって行われてよい。例としては、フィッシャー・トロプシュ反応、ガス発酵反応、及びクラッキング反応が挙げられる。
【0255】
ガス発酵サブシステム実施形態では、二酸化炭素電解槽は、ポリカーボネートポリマーを生成するための1又は複数の中間化合物を生成するために下流ガス発酵プロセスにおいてその後使用される一酸化炭素、及び任意選択で水素を生成するのに使用される。これらの中間化合物の例としては、ケトン(例えば、アセトン)、軽質炭化水素、及びフェノールが挙げられる。
【0256】
本明細書において説明される他の実施形態に対応し得るフィッシャー・トロプシュサブシステムでは、二酸化炭素電解槽からの一酸化炭素及び水素は、ナフサ又は他の軽質炭化水素生成物を形成するために反応される。
【0257】
特定の実施形態では、中間体を生成するための1又は複数のサブシステムは、ビスフェノールA等のジオール化合物を生成するか又はこれを生成するように構成されている。他のジオールポリカーボネート中間体は、代替的な実施形態において生成されてよく、これらは、ビスフェノールA以外のビスフェノールを含む。特定の実施形態では、サブシステムは、一酸化炭素及び塩素からホスゲンを生成するためのリアクタを備える。一酸化炭素は、二酸化炭素還元電解槽から生成されてよい。
【0258】
特定の実施形態では、ポリカーボネート合成システムは、共通電気バス等の何らかの共通電気インフラストラクチャを共有し得る少なくとも2つの別個の電解モジュールを利用する。特定の実施形態では、2つの別個の電解モジュールは、2つの別個の電解炭素酸化物還元電解槽である。一例として、第1の炭素酸化物還元電解槽は、一酸化炭素及び任意選択で水素ガスを生成する方式で設計され、構成され、又は動作する二酸化炭素電解槽であり、第2の炭素酸化物還元電解槽は、エチレン等の少なくとも2つの炭素原子又はアセトン等のケトンを有する少なくとも1つの生成物化合物を生成するように設計され、構成され、又は動作する二酸化炭素電解槽である。幾つかの実装では、第1の電解槽は、金等の貴金属触媒を有するカソードを備え、第2の電解槽は、銅等の遷移金属触媒を有するカソードを備える。本明細書における他の箇所で開示されるように、MEAベース炭素酸化物電解槽は、別個の生成物(例えば、CO対C2化合物)の生成を可能にする様々な設計又は構成を有してよい。
【0259】
特定の実施形態では、第1の電解モジュールは、炭素酸化物還元モジュールであり、第2の電解モジュールは、クロルアルカリセル等の塩素生成モジュールである。これらの2つモジュールは、共通電気インフラストラクチャを共有してよい。幾つかの実施形態では、塩素生成モジュールは、入力として塩化物塩及び水を受け取り、出力として塩素ガス及び水素ガスを生成するように構成された従来のクロルアルカリモジュールである。幾つかの実施形態では、塩素生成モジュールは、電解質中の塩化物塩を受け取り、カソード(酸素脱分極カソード)において酸素ガスを受け取り、アノードにおいて塩素ガスを生成するとともにカソードにおいて水を生成するように構成された酸素還元クロルアルカリセルを備える。そのような酸素還元クロルアルカリセルは、効率的に稼働し、従来のクロルアルカリセルよりも消費する電気エネルギーが少ない。しかしながら、それらは、酸素源を要求する。幾つかの実装では、ポリカーボネート生成システムは、炭素酸化物還元セルのアノードとして生成された酸素ガスが、酸素を還元するように構成された塩素生成セルのカソードに提供されるように構成されている。幾つかの実装では、ポリカーボネート生成システムは、酸素還元クロルアルカリセルによって生成された水を炭素酸化物排除セルに、アノード水又は炭素酸化物フィードストリームのための加湿として提供するように構成されている。
【0260】
図8に示されているような特定の実施形態では、システム801は、塩素を生成するためのクロルアルカリセル等の電解セルを含む。幾つかの実装では、システム801は、電解槽803からの酸素を、酸素脱分極カソードを備えるクロルアルカリセルのカソードにフィードするように構成されている。幾つかの実装では、システム801は、水電解槽からの酸素を、クロルアルカリセルの酸素脱分極カソードにフィードするように構成されている。システム801は、水電解槽からの水素を、フィッシャー・トロプシュリアクタ、ガス発酵リアクタ、又はポリオール前駆体の生成において使用される他のリアクタに提供するように構成されてよい。電解槽803又は他の電解槽からの酸素が、空気分離等の他のソースからの酸素の代わりに使用されてよい。
【0261】
特定の実施形態では、クロルアルカリセルのアルカリ性副産物(例えば、水酸化ナトリウム)は、原料として、一例として、炭素酸化物電解槽を利用するギ酸塩生成システムを含むギ酸塩生成システム等の補足的化学生成システムに提供される。
【0262】
特定の実施形態では、ポリカーボネートは、ポリマー骨格においてビスフェノールA結合を利用し、実際、本明細書において提示される大半のシステム及び方法の例は、ホスゲンとともに、ビスフェノールAをポリカーボネート前駆体として説明している。しかしながら、幾つかの応用の場合、他のジオールがビスフェノールAの代わりに使用される。例としては、他の線形又は環状不飽和ジオール、並びにジフェノール及び他のビスフェノールが挙げられる。本明細書において説明される例では、ビスフェノールAに対して言及がなされる場合、他のビスフェノールが所望のポリカーボネート最終生成物に適切なものとして利用されてよいことが意図されることが理解されるべきである。適切なシステム及び方法の修正が、フェノール生成モジュールを、フェノール誘導体又はアナログを生成するように構成されたモジュールに置き換え、及び/又は、アセトン生成モジュールを、他のケトンを生成するように構成されたモジュールに置き換えるために利用されてよいことも理解されるべきである。
【0263】
ポリカーボネート合成反応は、水酸化ナトリウムとのビスフェノールAの処理を伴ってよく、これは、ビスフェノールAのヒドロキシル基を脱プロトン化する。
(HOC6H4)2CMe2+2NaOH→Na2(OC6H4)2CMe2+2H2O
【0264】
ジフェノキシド(Na2(OC6H4)2CMe2)は、ホスゲンと反応してクロロギ酸塩を与え、これは、その後、別のフェノキシドによってアタックされる。ジフェノキシドからの正味の反応は、以下のとおりである:
Na2(OC6H4)2CMe2+COCl2→1/n[OC(OC6H4)2CMe2]n+2NaCl
【0265】
様々な実施形態において、ポリカーボネート生成システムにおいて使用される少なくとも1つの二酸化炭素還元電解槽は、一酸化炭素に加えて水素のかなりの割合を生成する方式で動作するように設計又は構成されている。
特定の実施形態では、ジオール生成リアクタの上流に位置する二酸化炭素電解槽は、(a)本明細書において説明されるような水素富化生成物ストリーム動作パラメータレジーム、及び/又は(b)本明細書において説明されるような高還元生成物対CO2比率動作パラメータレジームにおいて動作するように構成されている。
【0266】
一酸化炭素を生成するための電解槽は、多くの場合、金等の貴金属を備えるカソード触媒を利用する。そのような触媒は、メタン、エチレン、ギ酸等のような水素含有化合物よりも一酸化炭素の生成を優先する。水素富化生成物を提供するように構成された電解槽は、(a)カソードに二酸化炭素反応物を枯渇させる、及び/又は(b)比較的高い流速の水素イオンがアノード(ここで、水素イオンは生成される)からカソードへ輸送されることを許容する設計を利用してよい。比較的少ない二酸化炭素入力で動作し得る電解槽は、二酸化炭素が電解槽カソード上の活性部位に到達することを制限する流れ場又はガス拡散コンポーネントを有し得る。カソードへの比較的高い流速の水素イオンとともに動作し得る電解槽は、カソードにおいて陽イオン伝導ポリマー及び/又は混合イオン伝導ポリマー、及び/又は使用される場合、カソード緩衝層を備えたMEAを有してよい。MEAが陰イオン伝導性カソード緩衝層を含む幾つかの場合、当該層は、比較的薄く、及び/又は比較的高い水素イオン輸率を有するように設計される。
【0267】
図8は、二酸化炭素還元電解槽を使用してポリカーボネートポリマーを生成するためのシステムの一般的な表現を示している。示されているように、ポリカーボネート生成システム801は、酸素及び1又は複数の二酸化炭素還元生成物を生成するアノード及びカソード反応を駆動するために反応物として二酸化炭素及び水、及び電気を受け取るように構成された二酸化炭素還元電解槽803を含む。示されている実施形態では、二酸化炭素還元リアクタ803は、1つの還元生成物として少なくとも一酸化炭素を生成するように構成されている。システム801は、電解槽803からの一酸化炭素をホスゲン生成リアクタ805に送達するように具体的に構成されている。リアクタ805は、加えて、塩素ガスを受け取るための入力を含む。塩素ガス及び一酸化炭素は、出力としてホスゲンを生成するためにホスゲンリアクタ805において反応する。システム801は、ホスゲンリアクタ805からのホスゲンをポリカーボネート合成リアクタ807に送達するように更に構成されている。
【0268】
特定の実施形態では、ホスゲン生成リアクタから上流に位置する二酸化炭素電解槽は、(a)本明細書において説明されるような高還元生成物対水素生成物ストリーム動作パラメータレジーム、及び/又は(b)本明細書において説明されるような高還元生成物対CO2比率動作パラメータレジームにおいて動作するように構成されている。
【0269】
示されているように、ポリカーボネート合成リアクタ807は、ジオール入力材料を受け取るための入力も有する。ジオール入力は、この図には示されていないリアクタを介することを含む多様な方法によって生成されてよい。代替的には、ここで示されているように、システム801は、電解槽803から二酸化炭素還元生成物を受け取るように構成されているジオール合成リアクタ又はサブシステム809を含む。様々な実施形態において、これらの電解槽反応生成物は、一酸化炭素及び水素を含む。幾つかの場合、これらの電解槽生成物は、C2又はアセトン又はホルムアルデヒド等のより高い生成物を含む。特定の実施形態では、リアクタ又はサブシステム809は、電解槽803以外のソースから入力を受け取るとともに反応させるように構成されている。これらの他の入力は、例えば、ビスフェノール等のフェノール化合物を含んでよい。システム801は、ジオール合成リアクタ又はサブシステム809によって生成されたジオールをポリカーボネート合成リアクタ807に輸送するようにも構成されている。ポリカーボネート合成リアクタ807内で、ジオール及びホスゲンは、ポリカーボネートポリマーを生成するために反応する。示されている実施形態では、ポリカーボネート最終生成物は、ポリカーボネート合成リアクタ807から出口を介して利用可能である。
【0270】
図8に示されているようなポリカーボネート生成システムは、この図に示されていないモジュールの追加又は代替のタイプを含んでよいことが理解されるべきである。これらは、例えば、一酸化炭素精製モジュール等の1又は複数の精製ユニット、ヒータ、コンプレッサ、凝縮器、及び他の化学リアクタを含む。
図8のシステムにおける使用のためのガス精製ユニット又は本明細書において説明される他の任意のポリカーボネート生成システムの例は、
図19及び
図20及び関連付けられた説明において提示される。
【0271】
フェノール、ケトン、及び有機カーボネート中間体を生成するのに使用することができるリアクタのタイプは、ガス発酵リアクタ、フィッシャー・トロプシュリアクタ、及び酸化的カルボニル化リアクタを含む。幾つかの場合、特にフェノール化合物によって形成するのに使用される反応経路のために、システム801は、複数の中間モジュール又はリアクタを含んでよい。1つの例では、システム801は、単純な液体炭化水素を生成するための1つのモジュール、それらの炭化水素をクラッキングして芳香族及び他の不飽和炭素含有化合物を生成するための別のモジュール、及び/又はケトン、有機カーボネート、及び/又はフェノール誘導体を生成するための1又は複数の追加の中間リアクタを含む。様々な実施形態において、ケトン及び/又はフェノールを生成するためのこれらの中間モジュールは、一酸化炭素及び二酸化炭素還元電解槽803によって生成された余剰の水素の組み合わせを利用する。ポリカーボネートを生成するための様々な統合システムの例は、2021年11月4日に提出された米国仮特許出願第63/263,567号において提示され、同米国仮特許出願は、その全体が参照により本明細書において組み込まれている。
ギ酸塩
【0272】
アルカリ金属ギ酸塩は、液体洗剤中の酵素安定剤としての用途を含む多くの用途を有する。酵素は、リパーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ等であってよい。アルカリ土類金属ギ酸塩等の他のギ酸塩も多くの用途を有する。特定の実施形態では、ギ酸塩生成システムは、二酸化炭素還元電解槽を利用して二酸化炭素を一酸化炭素に変換し、これは、アルカリ金属ギ酸塩を生成するために処理される。様々な実施形態において、金属ギ酸塩は、金属水酸化物を一酸化炭素と接触させることによって生成される。接触は、液体(例えば、水性)又は固体媒体において行われてよい。
【0273】
図9は、二酸化炭素還元電解槽903、ギ酸塩生成リアクタ905、及び様々な下流ギ酸塩回収ユニットを備える例示のギ酸塩生成システム901を示している。電解槽903は、二酸化炭素の還元を駆動して一酸化炭素を生成するために、反応物として酸素及び二酸化炭素を受け取るとともに電気を受け取るように構成されている。システム901は、電解槽903からの一酸化炭素をギ酸塩生成リアクタ905に輸送するように構成されており、ギ酸塩生成リアクタ905において、一酸化炭素は、水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、又は水酸化カルシウム)と反応して、溶解した金属ギ酸塩を生成する。リアクタ905は、電解槽903からの一酸化炭素のみではなく、金属水酸化物、溶媒、及び触媒も受け取るように構成されている。リアクタ905は、攪拌タンクリアクタであってよい。
【0274】
特定の実施形態では、金属ギ酸塩生成リアクタから上流に位置する二酸化炭素電解槽は、(a)本明細書において説明されるような高還元生成物対水素生成物ストリーム動作パラメータレジーム、及び/又は(b)本明細書において説明されるような高還元生成物対CO2比率動作パラメータレジームにおいて動作するように構成されている。
【0275】
システム901は、リアクタ905からのギ酸塩含有溶液を脱気ユニット907に輸送するように構成されており、当該脱気ユニットは、動作中、ギ酸塩溶液からガスを除去する。そのようなガスは、未反応一酸化炭素を含む。システム901は、ユニット907からの脱気したギ酸塩溶液を、ギ酸塩溶液から溶媒を少なくとも部分的に蒸発させ、沈殿した金属ギ酸塩を含有するスラリ又は他の液体-固体混合物を生成するように構成された蒸発器909に輸送するように更に構成されている。システム901は、加えて、蒸発器909の出力を受け取り、ろ過するように構成されたろ過ユニット911を含む。ろ過ユニット911の出力は、濃縮した固体金属ギ酸塩を含む。システム901は、加えて、ギ酸塩材料を溶媒と接触させることによってユニット911の固体ギ酸塩含有出力を洗浄するように構成された溶媒洗浄ユニット913を備える。システム901は、ユニット913からのろ過及び洗浄した固体ギ酸塩を、固体ギ酸塩を乾燥し、最終形態における固体金属ギ酸塩を生成するように構成された乾燥器915に輸送するように更に構成されている。乾燥器915は、熱とともに窒素又は二酸化炭素等の乾燥ガスを受け取るように構成されている。特定の実施形態では、乾燥器915は、電解槽903から廃熱を受け取るように構成されている。特定の実施形態では、乾燥器915は、電解槽903から又は電解槽903への入口ストリームから二酸化炭素を受け取るように構成されている。幾つかの実装では、外部から提供された乾燥二酸化炭素は、乾燥器915から電解槽903のための入力ストリームに渡される。
【0276】
幾つかの実装では、システム901によって生成されるギ酸塩は、ナトリウム、カリウム、又はギ酸セシウム等のアルカリ金属ギ酸塩、又はカルシウム又はギ酸バリウム等のアルカリ土類ギ酸塩である。幾つかの場合、システム901は、金属ギ酸塩を塩酸等の酸と接触させるように構成されたリアクタを使用することによって金属ギ酸塩からギ酸を生成するように構成されている。
【0277】
幾つかの実施形態では、金属ギ酸塩は、二酸化炭素電解槽によって生成された一酸化炭素を、固体又はスラリ形態金属水酸化物と接触させることによって生成される。例えば、ギ酸ナトリウムは、固体水酸化ナトリウムを一酸化炭素ストリームと接触させることによって生成されてよい。反応は、NaOH(s)+CO(g)->NaCOOH(s)として表されてよい。固体水酸化物は、粉末等の様々な形態において提供されてよい。幾つかの場合、反応のために利用可能な水酸化物の表面積を増大させるために、それは、任意選択で一酸化炭素との反応中に、粉砕、粉末化、又は別様に粒子サイズにおいて低減される。例えば、固体水酸化物は、一酸化炭素との接触中にボールミルオートクレーブにおいて磨砕されてよい。幾つかの場合、任意選択でオートクレーブにおける反応中に、固体水酸化物は、少なくとも約200℃(例えば、約230℃~300℃)の温度において及び/又は少なくとも約2bar(200kPa)(例えば、約5bar(500kPa)~10bar(1000kPa))の圧力において一酸化炭素と接触させられる。幾つかの実施形態では、オートクレーブにおけるギ酸塩生成反応は、少なくとも約15分~60分又は約20分~40分の滞留時間を有する。
【0278】
幾つかの金属ギ酸塩合成では、一酸化炭素は、少なくとも約0.5モル分率、又は少なくとも約0.8モル分率、又は少なくとも約0.9モル分率の濃度においてリアクタ(例えば、固体金属水酸化物を有するオートクレーブ)に提供される。
エチレングリコール
【0279】
図10A及び
図10Bは、エチレングリコール(モノエチレングリコール又はMEG)を調製するためのプロセスを示している。
図10Aに示されているように、MEG生成システム1001は、炭素酸化物電解槽1003、エチレンオキシド生成リアクタ1005、及びMEG生成リアクタ1007を含む。電解槽1003は、エチレンを生成するように構成されている。システム1001は、電解槽1003からのエチレンをエチレンオキシド生成リアクタ1005に送達するように構成されている。任意選択で、システム1001は、加えて、電解槽1003からの酸素をリアクタ1005に送達するように構成されている。酸素源にかかわらず、リアクタ1005は、エチレンオキシドを生成するためにエチレン及び酸素を反応させるように構成されている。
【0280】
特定の実施形態では、リアクタ1005は、エチレン及び酸素から直接エチレンオキシドを生成するように設計又は構成された直接エチレンオキシドリアクタである。この手法では、エチレン及び圧縮酸素は、多管触媒リアクタ(リアクタ1005の一例)にフィードされてよい。そのようなリアクタの動作中、混合物は、約200℃~300℃及び約10bar(1000kPa)~30bar(3000kPa)において多孔性キャリア上で支持された酸化銀触媒にわたって渡される。この反応は、発熱性であり、除去された熱は、システムにおける他の箇所で使用することができる。システム1001は、リアクタ1005からのガスを冷却し、それらをスクラバに通過させるように構成されてよく、当該スクラバにおいて、エチレンオキシドは、希釈水溶液として吸収される。
【0281】
システム1001は、リアクタ1005からのエチレンオキシドをエチレングリコール生成リアクタ1007に送達するように構成されてよい。リアクタ1007は、エチレングリコールを生成するためにエチレンオキシド及び水を反応させるように構成されてよい。この反応は、酸又は塩基によって触媒され、又は中性pHにおいて及び上昇した温度において実行されてよい。特定の実施形態では、システム1001は、電解槽1003及び/又はエチレンオキシド生成リアクタ1005からの熱をMEGリアクタ1007に提供するように構成されている。
【0282】
図10Bに示されているように、MEG生成システム1011は、二酸化炭素電解槽1013及びMEG生成リアクタ1017を含む。電解槽1013は、一酸化炭素及び水素を生成するように設計又は構成されている。システム1011は、これらの出力をリアクタ1017に、酸素(任意選択で電解槽1013からの)とともに送達するように構成されており、リアクタ1017において、反応物は、エチレングリコールを生成するために反応する。リアクタ1017は、メタノール、三酸化二窒素、及び一酸化炭素を伴う反応経路からの中間体としてシュウ酸ジメチルを生成する2段階プロセスを介してこれらの反応物からエチレングリコールを生成するように構成されてよい。シュウ酸ジメチルの生成は、パラジウム触媒を利用してよい。リアクタ1017は、エチレングリコールを生成するために銅触媒を使用してシュウ酸ジメチルを水素ガスと反応させることによる第2の段階を実行するように構成されてよい。このプロセスでは、一酸化炭素、水素、及び酸素のみが消費される。反応のための水素は、任意の適したソースから到来し得る。一般的な水素源がシステム1011における水素生成器1019として示されている。特定の実施形態では、水素生成器1019は、水電解槽である。特定の実施形態では、水素生成器1019は、水性シフト反応を実行するように構成されたリアクタである。特定の実施形態では、水素は、化石燃料から生成され、二酸化炭素生成物は、任意選択で電解槽1013に再循環される。システム1011は、電解槽1013からの余剰の酸素を燃焼リアクタに提供するように構成されてよい。
【0283】
特定の実施形態では、MEG生成リアクタから上流に位置する二酸化炭素電解槽は、(a)本明細書において説明されるような水素富化生成物ストリーム動作パラメータレジーム、及び/又は(b)本明細書において説明されるような高還元生成物対CO2比率動作パラメータレジームにおいて動作するように構成されている。
ポリエチレンテレフタレート
【0284】
図11は、ポリマーポリエチレンテレフタレートを生成するために利用され得るシステム1101の概略図を提供する。1つのプロセス又はプロセスのグループは、エチレンを生成するように構成された炭素酸化物電解槽1103を利用する。別のプロセス又はプロセスのグループは、一酸化炭素及び水素を生成するように構成された二酸化炭素電解槽1113を利用する。
【0285】
システム1101は、電解槽1103を含むPET生成経路を実装するように構成されている。示されているように、システム1101は、加えて、エチレンオキシド生成リアクタ1105及びエチレングリコール生成リアクタ1107を含み、これは、
図10Aのシステム1001と同様に構成及び配置されてよい。システム1101は、エチレングリコールをPET生成リアクタ1109に送達するように構成されており、当該PET生成リアクタは、PETポリマーを生成するためにエチレングリコールをフタル酸と反応させるように構成されている。
【0286】
エチレングリコール及びフタル酸の両方を生成するためのシステム1101の一バージョンは、一酸化炭素及び水素を生成するように構成された電解槽1113を含む。エチレングリコール生成経路は、場合によってはMEG生成リアクタ1117におけるソース1119からの追加の水素の付加とともに、これらの生成物を反応させるように構成されている。システム1101は、リアクタ1117からのMEGをPET生成リアクタ1109に提供するように構成されている。電解槽1113を利用するシステム1101の当該バージョンは、任意選択で、電解槽1103、エチレンオキシド生成リアクタ1105、及びMEG合成リアクタ1107を利用するMEG経路のためのコンポーネントを含まない。
【0287】
電解槽1113を利用するシステム1101の当該バージョンは、電解槽1113によって生成された一酸化炭素及び水素からテレフタル酸を生成するためのリアクタを含んでもよい。リアクタは、中間体としてナフサ及びp-キシレンを生成してよい。示されている実施形態では、フィッシャー・トロプシュ又はガス発酵リアクタ1121は、電解槽1113によって出力された一酸化炭素及び水素からナフサを生成するように構成されている。リアクタ1121は、本明細書における他の箇所で説明されるように設計又は構成されてよい。ナフサクラッキングリアクタ1123は、ナフサをクラッキングし、p-キシレンを生成するように構成されている。特定の実施形態では、システム1101は、クラッカ1123によって生成された余剰の熱及び/又は水素をリアクタ1121に供給するように構成されている。PTAリアクタ1125は、p-キシレンをテレフタル酸に変換するように構成されている。
【0288】
特定の実施形態では、フィッシャー・トロプシュリアクタから上流に位置する二酸化炭素電解槽は、(a)本明細書において説明されるような水素富化生成物ストリーム動作パラメータレジーム、及び/又は(b)本明細書において説明されるような高還元生成物対CO2比率動作パラメータレジームにおいて動作するように構成されている。
【0289】
システム1101の幾つかのバージョンでは、炭素酸化物還元電解槽は、電解によって直接エチレングリコール(MEG)を生成するように構成されている。そのようなバージョンでは、電解槽は、リアクタ1107又は反応1117を利用するもの等の別のMEG生成経路から置き換わるか又はこれを補助することになる。システム1101の幾つかのバージョンは、リアクタ1113からの一酸化炭素を水素とともにp-キシレンに直接変換するように構成されたリアクタを利用する。システム1101のこのバージョンは、そのようなp-キシレンをPTAリアクタ1125に輸送するように構成されている。
酢酸
【0290】
図12は、二酸化炭素電解槽1203によって生成された一酸化炭素及び水素から酢酸を生成するためのシステム1201を概略的に示している。システム1201は、メタノールを生成するために一酸化炭素及び水素を反応させるように構成されたメタノール生成リアクタ1205を備える。リアクタ1205は、合成ガスを利用する従来のメタノール合成リアクタの方式で構成されてよい。
【0291】
特定の実施形態では、メタノール生成リアクタから上流に位置する二酸化炭素電解槽は、(a)本明細書において説明されるような水素富化生成物ストリーム動作パラメータレジーム、及び/又は(b)本明細書において説明されるような高還元生成物対CO2比率動作パラメータレジームにおいて動作するように構成されている。
【0292】
システム1201は、酢酸を生成するためにメタノール及び精製一酸化炭素を反応させるように構成された酢酸生成リアクタ1207も含む。リアクタ1207は、例えば、金属カルボニル触媒を使用してメタノールカルボニル化を実行するように構成されてよい。特定の実施形態では、システム1201は、精製一酸化炭素を生成するように構成された一酸化炭素精製ユニット1209を含む。二酸化炭素精製ユニットは、本明細書における他の箇所で説明される方式で(例えば、
図19及び
図20におけるユニットの方式で)設計されてよい。
イソシアネート
【0293】
図13は、電解生成一酸化炭素からジイソシアネートを生成するように構成されたシステム1301を概略的に示している。
【0294】
システム1301は、二酸化炭素電解槽1313によって生成された一酸化炭素を一酸化炭素精製ユニット1317に輸送するように構成されてよい。システム1301は、ユニット1317からの精製一酸化炭素を、ホスゲンを生成するために精製一酸化炭素を塩素と反応させるように構成されたホスゲン生成リアクタ1319に輸送するように構成されてもよい。特定の実施形態では、ホスゲン生成リアクタ1319は、ポリカーボネート生成システムに関連して等で、本明細書において説明される他のホスゲン生成リアクタと同様の方式で動作するように設計又は構成されている。一酸化炭素精製ユニットの例は、
図19及び
図20、及び関連付けられた説明において提示される。
【0295】
特定の実施形態では、ホスゲン生成リアクタから上流に位置する二酸化炭素電解槽は、(a)本明細書において説明されるような高還元生成物対水素生成物ストリーム動作パラメータレジーム、及び/又は(b)本明細書において説明されるような高還元生成物対CO2比率動作パラメータレジームにおいて動作するように構成されている。
【0296】
特定の実施形態では、システム1301は、塩素を生成するためのクロルアルカリセル等の電解セルを含む。システム1301は、塩素をホスゲン生成リアクタ1319に提供するように構成されてよい。幾つかの実装では、システム1301は、電解槽1313の酸素副産物を、酸素脱分極カソードを備えるクロルアルカリセルのカソードにフィードするように構成されている。電解槽1313からの酸素が、空気分離等の他のソースからの酸素の代わりに使用されてよい。幾つかの実装では、システム1301は、水電解槽を含み、システム1301は、当該水電解槽によって生成された酸素をクロルアルカリセルの酸素脱分極カソードにフィードするように構成されている。システム1301は、水電解槽からの水素をアミン生成リアクタに提供するように構成されてよい。
【0297】
示されている実施形態では、システム1301は、ホスゲン生成リアクタ1319からのホスゲンを、供給されたアミンの構造に依存して、ポリイソシアネート、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)又はメチレンジイソシアネート(MDI)等のジイソシアネートを生成するためにホスゲン及びアミンを反応させるように構成されているイソシアネート生成リアクタ1321に輸送するように構成されている。幾つかの実装では、リアクタ1321は、低温度において不活性有機溶媒においてホスゲン及び遊離アミンを反応させるように構成されている。塩化カルバモイル及びアミン塩酸塩の結果として得られる混合物は、その後、所望のポリイソシアネートを生成するためにより高い温度において反応させられる。
【0298】
特定の実施形態では、アミン反応物は、例えば、フィッシャー・トロプシュ及びクラッキング反応を介して、本明細書において説明されるような炭素酸化物電解槽によって生成された1又は複数の炭素酸化物還元生成物を利用するリアクタ又は反応によって生成される。特定の実施形態では、アミン反応物は、ガス発酵リアクタ等のバイオリアクタによって生成される。特定の実施形態では、システム1301は、電解により生成された水素(任意選択で、電解槽1313又は水電解槽からの)を、アミン生成物又はアミン生成において使用される中間体を生成するように構成されたガス発酵リアクタに提供するように構成されている。幾つかの実装では、アミン生成のための水素は、分離ソースによって提供される。
【0299】
アミン源にかかわらず、リアクタ1321は、ジイソシアネート等のポリイソシアネートを生成するために、ホスゲン化反応によってポリアミンをホスゲンと反応させるように構成されてよい。特定の実施形態では、ジイソシアネートは、2,4-トルエンジイソシアネート及び/又は2,6-トルエンジイソシアネートである。特定の実施形態では、ジイソシアネートは、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートである。
【0300】
様々な実施形態において、実質的に純粋な一酸化炭素は、ホスゲンを生成するのに使用され、これは、その後、イソシアネートを生成するために様々なアミンと反応させられる。幾つかのアミンは、水素を使用して生成されてよく、それゆえ、二酸化炭素電解槽から又は共同配置された水電解槽からの副産物水素のための応用が提供される。
【0301】
一例として、トルエンジイソシアネート(TDI)を生成するように構成されたシステムについて、二酸化炭素電解槽は、水素富化出力ストリームを生成するように構成され、又は動作してよい。高水素含有量ストリーム(例えば、およそ1:1のH2:CO比率)は、前駆体トルエンジアミン(TDA)及びホスゲンの生成のために使用されてよい。TDAは、ジニトロトルエンの水素化によって生成されてよい。例えば、水素は、硝酸(他の箇所で説明される)を生成するのに使用されてよく、これは、ジニトロトルエンを生成するためのトルエンのニトロ化のために使用される。
【0302】
特定の実施形態では、二酸化炭素電解槽を備えるシステムは、アニリン及びホスゲンからメチレンジイソシアネート(MDI)を生成するように構成されている。アニリンは、ニトロベンゼンの水素化によって生成されてよい。幾つかの実施形態では、アニリンを介してMDIを生成するためのシステムは、比較的高い比率の水素対一酸化炭素(例えば、約3:1の水素:COの付近における)を有するフィードガスを生成するように構成されている。幾つかの実施形態では、システムは、硝酸(他の箇所で説明される)を生成するように構成されており、これは、ニトロベンゼンを生成するためのベンゼンのニトロ化のために使用される。システムは、比較的低い濃度の水素(例えば、約1:1の水素及びCOの付近における比率)を含有する別個のガスストリームを利用するように構成されてよく、これは、ホルムアルデヒドを生成するのに使用されてよく、これは、ひいては、ジアミンを生成するためにアニリンと反応させられ、当該ジアミンは、その後、MDIを生成するためにホスゲン化される。
【0303】
特定の実施形態では、二酸化炭素電解槽を備えるシステムは、水素富化ガスストリーム(例えば、約4:1のH2:CO比率を有するガスストリーム)を使用してヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を生成するように構成されている。システムは、ヘキサメチレンジアミンを生成するためにアジポニトリルを水素化するように構成されてよく、当該ヘキサメチレンジアミンは、その後、HDIを生成するためにホスゲン化される。
ポリウレタン
【0304】
図14は、ポリマーポリウレタンを生成するために利用され得るシステム1401の概略図を提供する。リアクタの1つのグループは、エチレンを生成するように構成された炭素酸化物電解槽1403を利用する。リアクタの別のグループは、一酸化炭素及び水素を生成するように構成された二酸化炭素電解槽1413を利用する。代替的な実施形態では、リアクタのこれらの2つのグループのうちの一方のみが利用され、代替的なソースが、本来であればリアクタのグループのうちの他方によって生成されるであろう中間化学物質を提供するのに使用される。
【0305】
幾つかの実装では、システム1401は、電解槽1403からのエチレン及び任意選択で酸素をエチレンオキシド生成リアクタ1405に輸送するように構成されている。システム1401は、リアクタ1405からのエチレンオキシドをエチレングリコール生成リアクタ1407及び/又はポリエチレングリコール生成リアクタ1409に提供するように構成されてもよい。特定の実施形態では、エチレンオキシド生成リアクタ1405及び/又はエチレングリコール生成リアクタ1407は、システム1001のリアクタ1005及び1007のものと同様の方式で動作するように設計又は構成されている。
【0306】
ポリエチレングリコール生成リアクタ1409は、エチレンオキシドの、水、エチレングリコール、及び/又はエチレングリコールオリゴマーとの相互作用からポリエチレングリコールを生成するように構成されてよい。PEG鎖の長さ及び生成物の多分散性は、反応物の選択及び比率によって影響を受ける。システム1401は、リアクタ1409からの発熱性PEG生成反応によって生成された熱を、一酸化炭素精製プロセス(例えば、ホスゲン生成のための)又は他のエネルギーを要求するプロセスに輸送するように構成されてよい。一酸化炭素精製ユニットの例は、
図19及び
図20、及び関連付けられた説明において提示される。
【0307】
幾つかの実装では、システム1401は、電解槽1413からの一酸化炭素及び任意選択で水素を、1又は複数のポリオール(例えば、ポリエチレングリコール)を生成するように構成されたリアクタ又はリアクタのグループ1415に輸送するように構成されている。リアクタ又はリアクタのグループ1415は、ガス発酵反応によってポリオールを生成するように構成されたバイオリアクタであってよい。幾つかの実施形態では、リアクタ1415は、藻類ベース反応を使用してポリオールを生成するように構成されている。特定の実施形態では、リアクタ又はリアクタのグループ1415は、ポリオールに変換することができる炭化水素を生成するのに使用されるフィッシャー・トロプシュリアクタ及び/又はナフサクラッキングリアクタを含む。
【0308】
特定の実施形態では、ナフサ生成及びクラッキングサブシステムから上流に位置する二酸化炭素電解槽は、(a)本明細書において説明されるような水素富化生成物ストリーム動作パラメータレジーム、及び/又は(b)本明細書において説明されるような高還元生成物対CO2比率動作パラメータレジームにおいて動作するように構成されている。
【0309】
システム1401は、MDI又はTDI等のジイソシアネートを生成するために電解槽1413によって生成された一酸化炭素及び任意選択で水素を利用するように構成されてよい。特定の実施形態では、システム1401は、
図13に示されているシステム1301をサブシステムとして使用してジイソシアネート生成を実装するように構成されている。そのようなサブシステムは、一酸化炭素精製ユニット及びホスゲン生成リアクタを含んでよい。ホスゲン及び遊離アミン等のジイソシアネート前駆体がどのように生成されるかにかかわらず、システム1401は、ジイソシアネート生成リアクタ1421においてそれらを反応させるように構成されている。生成されるポリウレタンに依存して、異なるタイプのジイソシアネートが利用されてよい。例としては、2,4-トルエンジイソシアネート及び/又は2,6-トルエンジイソシアネートが挙げられる。特定の実施形態では、ジイソシアネートは、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートである。
【0310】
システム1401は、任意選択で、エチレン生成電解槽1403の出口ストリームにおける余剰の一酸化炭素をホスゲン/イソシアネート生成経路に提供するように構成されている。
【0311】
システム1401は、ポリオール及びジイソシアネートを受け取り、ポリウレタンポリマーを生成するためにそれらを反応させるように構成されたポリウレタン生成リアクタ1411を含む。特定の実装では、ポリオールは、例えば、リアクタ又はリアクタグループ1415及び/又はポリエチレングリコール生成リアクタ1409によって生成される。幾つかの実装では、システム1401は、これらのリアクタのうちの一方又は両方からポリオールを輸送し、及び/又はリアクタ1421からのジイソシアネートをポリウレタン生成リアクタ1411に輸送するように構成されている。特定の実施形態では、リアクタ1411は、ポリオール及びジイソシアネートの蒸気を接触させ、反応させるように設計又は構成されている。特定の実施形態では、ポリオールストリームは、触媒(例えば、及び酸性又は塩基性アミン)、界面活性剤、及び/又は発泡剤を含む。
シュウ酸
【0312】
特定の実施形態では、シュウ酸は、二酸化炭素電解槽によって生成された一酸化炭素から生成される。様々な経路は、一酸化炭素からシュウ酸を生成するために利用されてよい。これらの経路を組み込むシステムの例は、
図15~
図18に示されている。
【0313】
特定の実施形態では、二酸化炭素電解槽及び関連付けられたシュウ酸生成ユニットは、セメントを生成するためのプラントにおいて又は当該プラント付近に展開される。セメントプラントによって生成される二酸化炭素は、二酸化炭素電解槽のための原料に使用されてよい。システムによって生成されるシュウ酸は、セメントを硬化させるために使用されてよい。特定の実施形態では、セメントにおいて使用されるシュウ酸は、非常に低い可溶性を有するシュウ酸カルシウムを生成する。シュウ酸を用いて生成されるセメントは、使用中(例えば、設置又は構築後)の酸との接触に起因して劣化に耐え得る。
【0314】
図15は、一酸化炭素及び水素を生成するように構成された二酸化炭素電解槽1503を備えるシステム1501を示している。システム1501は、電解槽1503によって生成された一酸化炭素及び水素の一部を、任意選択で幾分かの酸素とともに、アルコール生成リアクタ1505に輸送するように構成されている。リアクタ1505は、特定の実施形態では、メタノール又はブタノールを生成するように構成されている。
【0315】
幾つかの実装では、リアクタ1505は、一酸化炭素をブタノール等のアルコールに変換するための代謝経路を有する生物を利用するバイオリアクタである。そのような生物の例としては、クロストリジウム・カルボキシジボランス、ブチリバクテリウム・メチロトロフィクム等の独立栄養アセトゲンを含む。幾つかの実施形態では、リアクタ1505は、上昇した温度及び圧力において一酸化炭素及び水素の触媒反応によってメタノールを生成するように構成されている。幾つかの実施形態では、触媒は、アルミナ上に支持される酸化銅及び酸化亜鉛の混合物である。幾つかの実施形態では、システム1501は、電解槽1503によって生成された水素を超える追加の水素をアルコールリアクタ1505に提供するように構成されている。
【0316】
特定の実施形態では、アルコール生成リアクタから上流に位置する二酸化炭素電解槽は、(a)本明細書において説明されるような水素富化生成物ストリーム動作パラメータレジーム、及び/又は(b)本明細書において説明されるような高還元生成物対CO2比率動作パラメータレジームにおいて動作するように構成されている。
【0317】
システム1501は、リアクタ1505によって生成されたアルコールをシュウ酸生成リアクタ1507に輸送するように更に構成されている。特定の実施形態では、リアクタ1507は、シュウ酸ジエステルを生成するためにアルコールを一酸化炭素及び酸素と反応させるように構成されており、当該シュウ酸ジエステルは、その後、遊離シュウ酸を生成するために加水分解される。
4ROH+4CO+O2→2(CO2R)2+2H2O
【0318】
リアクタ1507に提供される一酸化炭素は、電解槽1503から直接提供されてよい。幾つかの実施形態では、電解槽1503からの一酸化炭素は、リアクタ1507への送達前に精製される。
【0319】
リアクタ1507は、不純な形態においてシュウ酸を生成してよい。したがって、システム1501は、シュウ酸生成物を分離器1509に提供するように更に構成されてよく、これは、シュウ酸を精製し、未反応アルコールをリアクタ1507に戻すように構成されてよい。特定の実施形態では、分離器1509は、リアクタ1507からのシュウ酸生成物に対して共沸蒸留を実行するように構成されている。
【0320】
図16は、電解槽1603によって生成された一酸化炭素からシュウ酸を生成するように構成されたシステム1601を示している。示されているように、システム1601は、電解槽1603によって生成された一酸化炭素及び水素をエチレングリコール生成リアクタ1605に輸送するように構成されている。リアクタ1605は、
図10Aのシステム1011(リアクタ1017を参照されたい)を参照して上記で説明されたものと同様にエチレングリコールを生成するように設計又は構成されてよい。
【0321】
特定の実施形態では、MEG生成リアクタから上流に位置する二酸化炭素電解槽は、(a)本明細書において説明されるような水素富化生成物ストリーム動作パラメータレジーム、及び/又は(b)本明細書において説明されるような高還元生成物対CO2比率動作パラメータレジームにおいて動作するように構成されている。
【0322】
システム1601は、リアクタ1605によって生成されたエチレングリコールを、エチレングリコールを酸化させ、シュウ酸を生成するように構成されたシュウ酸生成リアクタ1607に輸送するように構成されている。特定の実施形態では、リアクタ1607は、エチレングリコールからシュウ酸を生成するために硝酸及び/又は空気等の酸化剤を利用するように構成されている。特定の実施形態では、リアクタ1607は、シュウ酸を生成するために五酸化バナジウム等の触媒を使用して空気又は硝酸等の酸化剤の存在下でアルコール(MEG)を反応させるように構成されている。
【0323】
特定の実施形態では、システム1601は、硝酸を生成するためのリアクタ1609を含む。特定の実施形態では、リアクタ1609は、Ostwaldプロセスを実装するように設計又は構成されている。特定の実施形態では、システム1601は、加えて、アンモニアを生成するためにHaberプロセスを実装するためのリアクタを含む。システム1601は、アンモニアをOstwaldリアクタ1609に提供するように構成されてよい。幾つかの実装では、Haberリアクタ及びOstwaldリアクタ1609は、反応物として水素及び窒素を取り込み、生成物として硝酸を生成するサブシステムとして提供される。システム1601は、電解槽1603によって生成された水素を、硝酸を生成するためのサブシステム(例えば、水素及び窒素からまずアンモニアを生成するサブシステム)に向けるように構成されてよい。幾つかの実施形態では、硝酸は、外部源から供給される。硝酸を要求する他の実施形態、例えば、シュウ酸を生成するための他のシステムでは、硝酸は、炭素酸化物電解槽から水素を受け取るHaberプロセスサブシステムから生成することができることが理解されるべきである。
【0324】
示されている実施形態では、リアクタ1607は、リアクタ1609から硝酸を受け取り、シュウ酸を生成する。特定の実施形態では、リアクタ1609は、幾分かの量の硝酸を含有するシュウ酸等の比較的不純なシュウ酸を生成する。示されている実施形態では、システム1601は、不純なシュウ酸を、シュウ酸を精製し、硝酸をリアクタ1607に戻すように構成されている結晶化器及び分離器ユニット1611に送達するように構成されている。
【0325】
図17Aは、二酸化炭素電解槽1703、金属ギ酸塩生成リアクタ1705、及びシュウ酸形成リアクタ1707を含むシステム1701を示している。システム1701は、電解槽1703によって生成された一酸化炭素をギ酸塩生成リアクタ1705に送達するように構成されている。動作中、熱(任意選択で、電解槽1703からの廃熱)と一緒の金属水酸化物が、金属ギ酸塩を生成するリアクタ1705に提供される。ギ酸塩の生成及び精製及び/又は抽出は、
図9を参照して上記で説明されたように進行してよい。幾つかの実装では、ギ酸塩は、ナトリウム、カリウム、又はギ酸セシウム等のアルカリ金属ギ酸塩、又はカルシウム又はギ酸バリウム等のアルカリ土類ギ酸塩である。特定の実施形態では、ギ酸塩は、ギ酸ナトリウムである。特定の実施形態では、ギ酸塩は、ギ酸カリウムである。
【0326】
金属ギ酸塩がどのように生成され任意選択で抽出されるのかにかかわらず、システム1701は、ギ酸塩をシュウ酸生成リアクタ1707に輸送するように構成されている。リアクタ1707は、ギ酸塩を熱分解反応を介してシュウ酸塩に変換するように構成されてよい。リアクタ1707は、金属シュウ酸塩をシュウ酸に、酸との接触を通じて変換するように構成されてもよい。特定の実施形態では、シュウ酸形成リアクタ1707は、例えば、反応を駆動するために、塩酸等の酸を受け取るように構成されている。特定の実施形態では、(リアクタ1707における)シュウ酸生成反応のハロゲン化物副産物(例えば、NaCl)は、クロルアルカリ電解槽、又は塩素ガス及び金属水酸化物を生成するように構成された他のシステム1709に提供される。幾つかの実装では、システム1701は、塩化水素又は塩酸を生成するために塩素を利用するように構成されており、当該塩化水素又は塩酸は、シュウ酸生成リアクタ1707に送達されてよい。幾つかの実装では、システム1701は、ギ酸塩生成リアクタ1705におけるリアクタ1709から水酸化物を利用するように構成されている。
【0327】
示されているように、シュウ酸は、金属シュウ酸塩への変換及び後続の酸性化によって金属ギ酸塩から生成されてよい。幾つかの実装では、プロセスは、次の動作:(1)二酸化炭素電解槽によって生成された一酸化炭素から金属ギ酸塩を生成すること、(2)例えば熱分解によって金属ギ酸塩から金属シュウ酸塩を生成すること、及び(3)金属シュウ酸塩を酸に曝露することによってシュウ酸を生成することを含んでよい。全体のプロセスは、バッチプロセスとして行うことができる。幾つかの場合、少なくとも金属ギ酸塩生成動作及び金属シュウ酸塩生成動作は、同じ槽において実行される。幾つかの例では、ギ酸塩及び/又はシュウ酸塩生成槽は、オートクレーブ等の圧力槽であってよい。幾つかの場合、金属ギ酸塩生成槽及び/又は金属シュウ酸塩生成槽は、金属水酸化物等の固体反応物の粒子サイズを削減するためのメカニズムを含む。幾つかの例では、生成槽は、ボールミルを含む。
【0328】
幾つかの実施形態では、任意選択でオートクレーブにおける反応中に、ギ酸塩生成反応(例えば、一酸化炭素及び固体水酸化ナトリウムの間の反応)は、少なくとも約15分~60分又は約20分~40分の滞留時間を有する。幾つかの場合、固体水酸化物は、少なくとも約200℃(例えば、約230℃~300℃)の温度において及び/又は少なくとも約2bar(200kPa)(例えば、約5bar(500kPa)~10bar(1000kPa))の圧力において一酸化炭素と接触させられる。
【0329】
金属ギ酸塩の金属シュウ酸塩への変換の動作は、熱分解によって、任意選択で金属ギ酸塩が生成された同じ反応において、達成されてよい。この反応は、熱及び炭酸ナトリウムの存在下で行ってよい。金属ギ酸塩及び金属シュウ酸塩を生成するのに単一のリアクタが使用されるバッチプロセスでは、金属炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム)は、シュウ酸塩反応に先立ってリアクタに追加される唯一の入力であってよい。
【0330】
幾つかの実施形態では、金属シュウ酸塩生成反応は、約0.5bar(50kPa)~5bar(500kPa)の圧力(例えば、実質的に大気圧)において行われる。幾つかの実施形態では、金属シュウ酸塩生成反応は、少なくとも約200℃、又は少なくとも約300℃、又は少なくとも約300℃~400℃の温度において行われる。幾つかの実施形態では、金属シュウ酸塩生成反応の滞留時間は、約10分~100分、又は約20分~40分である。
【0331】
幾つかの実装では、金属シュウ酸塩生成反応の開始時、リアクタ圧力は、低圧力(例えば、約1bar(100kPa))に低減され、一方、リアクタは、少なくとも約300℃(例えば、約360℃)の温度に到達するまで加熱される。熱分解動作中、金属水酸化物残留物は、一酸化炭素との反応を継続してよく、これは、この反応の全体変換を増大させる。
【0332】
固体金属炭酸塩は、触媒として機能し得る。さらに、それは、金属シュウ酸塩の金属炭酸塩及び一酸化炭素への熱分解を阻害し得る。幾つかの実装では、リアクタ圧力は、低圧力(例えば、約1bar(100kPa))に低減され、一方、リアクタは、少なくとも約300℃(例えば、約360℃)の温度に到達するまで加熱される。熱分解動作中、金属水酸化物残留物は、一酸化炭素との反応を継続してよく、これは、この反応の全体変換を増大させる。
【0333】
特定の実施形態では、シュウ酸は、金属シュウ酸塩及びハロゲン化水素酸等の酸から形成される。特定の実施形態では、酸は、約0.05M~0.2Mの濃度を有する塩酸である。幾つかの実装では、シュウ酸形成反応は、バッチ結晶化器等の結晶化器において行われる。幾つかの実施形態では、リアクタは、シュウ酸結晶分離の効率を高めるために再循環ストリームを生成するように構成されている。
【0334】
幾つかの実施形態では、シュウ酸は、約20℃~100℃、又は約50℃~100℃の温度において生成される。幾つかの実施形態では、新たに生成されたシュウ酸は、約10分~60分にわたって(例えば、約30℃以下に)冷却される。幾つかの実施形態では、シュウ酸形成反応中に利用される圧力は、約0.5bar(50kPa)~2bar(200kPa)(例えば、およそ大気圧)である。特定の実施形態では、金属シュウ酸塩を含有する反応溶液は、低pH、例えば、約1~3又は単に約1にされる。
【0335】
幾つかの実装では、金属シュウ酸塩に添加される水の質量は、初期温度において金属シュウ酸塩の溶解を完了するために充分である。溶解プロセスは、例えばバッチにおける温度が約80℃である間に行われてよい。結晶化プロセスは、バッチにおける溶液の温度が低下した、例えば迅速に低下したときに行われてよい。この動作は、金属シュウ酸塩を溶解させるのに最初に使用された水のバイパスストリームを使用することによって可能にされ得る。すなわち、シュウ酸が完全に溶解すると、水ストリームは、ヒータを通る通路を回避し、バッチに配置された熱交換器に直接流れてよい。シュウ酸を形成及び結晶化するためのプロセスは、
図17Bに示されている結晶化器1731等の結晶化器を使用して達成されてよい。
【0336】
結晶化したシュウ酸は、任意選択でろ過及び/又は乾燥される。幾つかの実施形態では、シュウ酸は、プッシャ遠心分離機を使用してろ過される。幾つかの実施形態では、シュウ酸は、流動層乾燥器を使用して乾燥される。幾つかの実装では、ろ過したシュウ酸は、約20質量%~30質量%の含水量を有する。
【0337】
図17Bは、固体金属ギ酸塩からシュウ酸を形成するプロセス1720を示している。示されているように、プロセス1720は、動作1721において金属ギ酸塩の形成から開始する。このプロセスは、二酸化炭素電解槽からの一酸化炭素の金属水酸化物との反応を伴う。金属ギ酸塩を作成する任意の適したプロセスが利用されてよい。例としては、
図9に関連して説明されたプロセスを含む、金属ギ酸塩を生成するための本明細書において開示される全てのプロセスが挙げられる。金属ギ酸塩が生成された後、それは、動作1723において金属シュウ酸塩に変換される。示されている動作において、ギ酸塩からシュウ酸塩への変換反応が、炭酸ナトリウム等の金属炭酸塩の存在下で実行される。特定の実施形態では、動作1721及び1723のうちの一方又は両方は、この図に示されているオートクレーブ1729等のボールミルオートクレーブにおいて実行される。
【0338】
金属シュウ酸塩が動作1723において形成された後、金属シュウ酸塩は、シュウ酸を形成するためにハロゲン化水素酸(例えば、塩酸)等の酸と反応させられる。動作1725を参照されたい。幾つかの実施形態では、この反応は、この図に示されているバッチ冷却結晶化器1731等の結晶化器において行なわれてよい。バッチ冷却結晶化器は、(1)撹拌器、(2)バッフル、(3)冷却ジャケット、(4)ジャケット流体入口、(5)ジャケット流体出口、及び(6)出口バルブを含む。この配置は、シュウ酸の形成及び結晶化の両方を促進する。
【0339】
動作1723においてシュウ酸が形成され任意選択で結晶化された後、それは、任意選択で精製及び/又は乾燥される。1つの例では、精製は、ろ過によって達成される。1つの例では、乾燥は、流動層において達成される。
【0340】
図18は、一酸化炭素及び水素を生成するように構成された二酸化炭素電解槽1803を備えるシステム1801を示している。システム1801は、電解槽1803によって生成された一酸化炭素及び水素を、ブロック1805によっていずれも一般的に示されているフィッシャー・トロプシュリアクタ又はガス発酵リアクタに提供するように構成されている。電解槽1803によって生成された生成物の含有量及びリアクタ1805において行われる反応に依存して、リアクタ1805の反応を促進するために追加の水素が必要とされ得る。このために、リアクタ1805は、外部で生成された水素ガスのための入口を有して構成されてよい。リアクタ1805は、ナフサを生成するように構成されており、システム1801は、リアクタ1805からのナフサをナフサクラッキングリアクタ1807に伝達するように構成されている。ナフサクラッキングリアクタ1807は、少なくとも幾分かのプロピレンを生成する方式でナフサをクラッキングするように構成されている。
【0341】
特定の実施形態では、プロピレン生成リアクタから上流に位置する二酸化炭素電解槽は、(a)本明細書において説明されるような水素富化生成物ストリーム動作パラメータレジーム、及び/又は(b)本明細書において説明されるような高還元生成物対CO2比率動作パラメータレジームにおいて動作するように構成されている。
【0342】
システム1801は、プロピレンを、プロピレンに加えて硝酸及び任意選択で酸素を受け取るように構成されているシュウ酸生成リアクタ1809に、送達するように構成されている。幾つかの実装では、システム1801は、電解槽1803からの余剰の酸素をリアクタ1809に送達するように構成されている。特定の実施形態では、リアクタ1809は、プロピレンを硝酸に吸収し、酸素を添加するとともに窒素酸化物を除去しながら結果として得られる混合物を加熱するように構成されている。結果として得られるプロセスは、シュウ酸を生成し、これを、システム1801は、結晶化器及び分離器ユニット1811等の分離ユニットに送達するように構成されている。特定の実施形態では、ユニット1811は、純粋なシュウ酸を生成するように構成されている。システム1801は、硝酸をユニット1811からリアクタ1809に戻すように構成されてよい。
【0343】
システム1801の一バージョンでは、プロピレンは、異なるルートによって電解槽により生成された一酸化炭素及び水素から生成される。このバージョンでは、システム1801は、二酸化炭素電解槽1803からの一酸化炭素及び水素を、メタノール又は他のアルコールを生成するように構成されているアルコール合成リアクタ1813に、送達するように構成されている。特定の実施形態では、リアクタ1813は、電解槽1803とは別のソースから追加の水素を受け取るように構成されている。幾つかの実装では、リアクタ1813は、
図12におけるメタノール合成リアクタ1205のものと同様の方式でアルコールを生成するように構成されている。
【0344】
リアクタ1801は、アルコール合成リアクタ1813によって生成されたアルコールを、アルコールをプロピレンを含む1又は複数のオレフィンに変換するように構成されたメタノール対オレフィンリアクタ1815に、輸送するように構成されている。システム1801は、リアクタ1815によって生成されたプロピレンを、シュウ酸合成リアクタ1809に輸送するように構成されている。メタノール対オレフィンリアクタ1815は、H-SAPO-34等の酸性ゼオライト触媒の存在下での化学反応のネットワークを伴う反応によってアルコール(例えば、メタノール)をオレフィンに変換するように構成されてよい。反応の温度及び他のパラメータは、所望の生成物を生成するように調節されてよく、これは、システム1801ではプロピレンである。特定の実施形態では、システム1801は、約600℃~650℃の温度においてリアクタ1815を動作させるように構成されている。
【0345】
様々な実施形態において、一酸化炭素及び水素を生成するために二酸化炭素電解槽を利用するシステムは、
図12におけるメタノール合成リアクタ1205等の方法によって一酸化炭素及び水素からメタノールを生成するように構成されている。関連付けられたシステムは、結果として得られるメタノールを、ギ酸塩合成リアクタに提供するように構成されており、当該ギ酸塩合成リアクタは、ギ酸メチルを生成するためにBASF及び/又はKemira-Leonardプロセスを実行するように構成されてよい。
精製ユニット
【0346】
二酸化炭素電解槽によって生成された一酸化炭素を精製するか又は別様に濃縮するために様々なタイプの精製ユニットが利用されてよい。例としては、アミン吸収ユニット(例えば、約20体積%以下のおよそのCO2濃度を有するガスストリームとともに使用される)、CO2の酸度を活用するCO2吸着ユニット、CO吸着ユニット(例えば、銅化合物を使用する)、モレキュラーシーブ及び金属有機構造体等のCO/CO2分離組成、極低温システム(例えば、フラッシュ蒸留システム)、及び膜透過ユニットが挙げられる。特定の実施形態では、CO精製ユニットは、約100psia(689.476kPaA)~400psia(2757.904kPaA)の圧力において動作するように構成されている。アミン系CO2吸収ユニットは、任意選択で吸収動態を向上させるためにピペラジンとともに、メチルジエタノールアミンMDEA等のエタノールアミンの水溶液を利用してよい。アミン吸収材は、熱の印加によって再生成されてよい。例示のユニットは、約30(重量)%MDEA及び1(重量)%ピペラジンの水溶液を利用する。
【0347】
極低温システムは、ガス混合物を冷却し、その後、沸点によってガスを分離するために精留塔を通過させることによって機能する。ガス混合物の精製された成分を分離及び送達するために複数の精留塔が単一のプロセスにおいて使用されてよい。
【0348】
膜精製プロセスは、所望の生成物ガスを保持するが、ガスストリーム中の不純物に対して極めて透過性である膜を使用する。膜は、パッケージングされモジュールにされ、ここで、高圧力ガス混合物が入口において入力される。膜は、高圧力において所望の生成物ガスを保持し、非所望の不純物ガスが分離した低圧力ストリームに残ることを可能にする。CO精製のために、膜は、COを保持するが、H2及びCO2が通過すること可能にする。純粋なCOは、生成物ストリームにおいて出ることになる。H2、CO2、及び小体積のCOは、廃ストリームに残ることになる。低圧力廃ストリームは、コンプレッサによって再加圧し、CO生成物の回収を増大させるために別の膜ステージを通過させることができる。99%超の純粋なCOが、膜ベース分離プロセスからもたらされ得る。
【0349】
COを除去するための吸着プロセスが利用されてよい。吸着プロセスは、圧力スイング、温度スイング、真空スイング、又は他の動作条件(例えば、湿度スイング)の変化を利用してよい。吸着材は、典型的には、一方の動作条件極限下での所望のガス分子に対する高い親和性、かつ動作条件の他方の極限下でのガス分子に対する低い親和性を有する固体又は液体である。例えば、高圧力条件(例えば、約300kPa、及び約40℃~60℃)下でのCOのための吸着材は、CO2及びH2の混合物からCO(約60mol%~70mol%)を捕捉することができる。各々8Lの吸着材を収容する4つの吸着塔を有するシステムは、99%~99.9%の純粋な生成物COの約5Nm3~10Nm3の流量をもたらす。より大きい塔又は追加のステージの使用により、約20%~30%CO含有ガス混合物が約99%以上の純度にアップグレードされることが可能になる。CO吸着のための吸着材は、炭素、アルミナ、又はシリカ等の固体マトリックスにおいて銅ドーパントを使用して神戸製鋼によって開発されている。
【0350】
図19は、二酸化炭素及び場合によっては水素等の他の成分を含有する一酸化炭素ストリームを実証するためのシステム1901を示している。示されているように、システム1901は、二酸化炭素含有ガスをエタノールアミン等の吸収材材料と接触させることによって二酸化炭素を選択的に除去するように構成された吸収器1903を含む。吸収器1903は、二酸化炭素電解槽(図示せず)からガスストリーム等の入口ガスストリームを受け取るためのガス入口1905を含む。吸収器1903は、精製一酸化炭素を放出するためのガス出口1907も含む。
【0351】
また、示されているように、吸収器1903は、精製された吸着材を受け取るための入口1911及び充填された吸着材、例えば、吸収器1903に入る吸着材よりも高い濃度の二酸化炭素を含有する吸着材を排出するための出口1909を含む。
【0352】
システム1901は、吸収器1903によって排出された二酸化炭素を除去し、それによって吸収器1903における再使用のために再生成された吸着材材料を生成するように構成された再生成器1913も含む。示されている実施形態では、吸着材は、加熱によって再生成され、これは、二酸化炭素を放出する。加熱は、予熱器1915、及び再沸器1917を使用して行われる。幾つかの実施形態では、再沸器1917は、二酸化炭素電解槽(図示せず)から廃熱を受け取るように構成されている。予熱器1915は、吸収器1903の出口1909から充填された吸着材を受け取り、再生成器1913の入口1919に予熱された吸着材を送達するように構成されている。予熱器1915は、再生成器1913から吸収器1903への途中で希薄吸着材から幾分かの熱を受け取る。
【0353】
システム1901は、再生成器1913の出口1923からの希薄吸着材を、希薄溶媒ポンプ1921を使用して、予熱器1915に輸送するように構成されており、予熱器1915において、吸着材は、その熱のうちの幾分かを失う。システム1901は、予熱器1915からの希薄吸着材を、トリム冷却器1925を介して吸収器入口1911に輸送するようにも構成されている。トリム冷却器1925は、吸着材を、吸収器1903内のCO2を除去するという自身の仕事を有効に行うことができる温度に更に冷却するように構成されている。トリム冷却器は、水により冷却されるモジュールであってよい。
【0354】
示されているように、再沸器1917は、再生成器1913が充填された吸着材から二酸化炭素を放出するための熱を提供するように構成されている。示されているように、再沸器1917は、再生成器出口1923から希薄吸着材の一部を受け取り、加熱された希薄吸着材を、入口1927を介して再生成器1913に戻す再循環ループに含まれる。
【0355】
加えて、システム1901は、例えば、入口一酸化炭素含有ストリームを生成する二酸化炭素電解槽に入るのに適した圧力に、二酸化炭素を圧縮するように構成された再循環コンプレッサ1931を含む。
【0356】
システム1901は、ガス出口1935を通って再生成器1913を出る放出された二酸化炭素に含まれ得る吸着材の一部を凝縮するために凝縮器1933を利用する再生成器1913に関連付けられたサブシステムも含む。凝縮器1933は、吸着材を凝縮し、それを吸着材入口1937において再生成器1913に戻るように送達するように構成されていることに留意されたい。
【0357】
幾つかの場合、CO精製器は、直列して接続された2つの異なる精製サブシステムを有するハイブリッドシステムである。例えば、CO精製器は、吸着材サブシステムから上流に極低温サブシステムを有してよい。ハイブリッドシステムは、例えば、入力COストリームが約70%モーラー未満等の比較的低い濃度の一酸化炭素を有するシステムにおいて使用されてよい。
【0358】
図20は、極低温前処理サブシステム2003及び吸着材後処理サブシステム2005を有するハイブリッド一酸化炭素精製システム2001を示している。システム2001の第1のフェーズは、極低温サブシステム2003であり、これは、一酸化炭素を部分的に濃縮するように構成されている。特定の実施形態では、極低温サブシステムは、一酸化炭素を少なくとも約70体積%のレベルに濃縮するように構成されている。
【0359】
示されているように、極低温前処理サブシステム2003は、生成物ガスを、例えば、二酸化炭素電解槽(図示せず)から、コンプレッサ2007にフィードするように構成されており、当該コンプレッサは、ガスを規定された圧力又は密度に圧縮するように構成されている。システム2001は、圧縮ガスを、コンプレッサ2007から、圧縮ガスの温度を低下させるように構成されたチラー2011に輸送するように構成されている。チラー2011は、圧縮ガスを所望の温度に又はそれ未満に維持するためにチラー2011から充分な熱を除去するように構成された冷蔵システム2009に結合されている。
【0360】
チラー2011は、圧縮ガスを低下した温度まで冷やすように構成されている。チラー2011は、分離器2019からCO2スラリ(低下した温度を提供する)を受け取り、CO2を、気化二酸化炭素を放出するように構成されたトリム気化器2013に放出するようにも構成されている。トリム気化器2013からの気化二酸化炭素は、システム2001によって、二酸化炭素電解槽のカソード側へのフィードに適した加圧二酸化炭素を提供するように構成された再循環コンプレッサ2015に、輸送されてよい。
【0361】
示されている実施形態では、極低温サブシステム2003は、チラー2011の冷やされ圧縮された出力を、圧縮ガスを迅速に膨張させ、それによってガスを更に冷却するように構成されたJoule Thompsonバルブ2017に、提供するように構成されている。このアクションは、気体CO2の一部を液体又は固体又はスラリに変換するためにガスを十分に冷却してよい。それにもかかわらず、冷却したガスは、Joule Thompsonバルブ2017に接続され、二酸化炭素スラリ出口2021及び部分的精製一酸化炭素ガスストリーム出口2023を有する分離器2019に提供される。特定の実施形態では、部分的精製一酸化炭素ストリームは、少なくとも約50%モーラー又は少なくとも約70%モーラーの濃度を有する。
【0362】
示されている実施形態では、システム2001は、出口2023からの部分的精製一酸化炭素ガスストリームを、吸着材後処理サブシステム2005に提供するように構成されており、これは、示されている実施形態では、吸着材システム1901全体と同様に構成されている。示されているように、サブシステム2005は、部分的精製COストリームから二酸化炭素を吸収し、精製COガスを出力するように構成された吸収器2033を有する。サブシステム2005は、吸着材再生成器2043も有する。サブシステム2005の他のコンポーネントは、吸着材トリム冷却器、吸着材予熱器、希薄吸着材ポンプ、吸着材再沸器、及び吸着材凝縮器を含む。幾つかの実施形態では、再沸器は、二酸化炭素電解槽(図示せず)から廃熱を受け取るように構成されている。
【0363】
図19及び
図20の論述、並びに一酸化炭素精製器の他の論述は、二酸化炭素の除去を伴うケースを説明しているが、一酸化炭素精製器は、加えて又は代替的に、硫黄含有ガス(例えば、硫黄酸化物)等の他の不純物ガスを除去するように構成されてよい。
補助水素源
【0364】
特定の実施形態では、炭素酸化物電解槽を利用する統合システムは、(電解槽から生成されるものを超える)追加の水素源を含むか、又は外部源から追加の水素を受け取るように構成されている。追加の水素源を利用し得る統合システムの例としては、フィッシャー・トロプシュシステム、ポリカーボネート生成システム、エチレングリコール生成システム、ポリエチレンテレフタレート生成システム、メタノール、ブタノール、及び/又は他のアルコール生成システム、酢酸生成システム、イソシアネート生成システム、ポリウレタン生成システム、及びシュウ酸生成システムが挙げられる。特定の実施形態では、追加の水素源は、プロトン交換膜水電解槽等の水電解槽である。幾つかの実装では、水電解槽は、炭素酸化物還元電解槽と電気インフラストラクチャを共有する。特定の実施形態では、追加の水素源は、タンク、キャニスタ、又は統合システムの外部の他の貯蔵槽である。特定の実施形態では、追加の水素源は、(a)メタン、燃料オイル、石油コークス、及び/又は他の化石燃料の蒸気改質、熱クラッキング、及び/又は部分酸化、石炭ガス化、(b)蒸気メタン改質、(c)バイオマス、都市固形廃棄物、及び/又は他の廃棄源のガス化、熱分解、及び/又は他の高温度変換、(d)製油所廃ストリームの圧力スイング吸着、(e)溶融塩化塩生成等の産業的反応からの水素副産物の分離、及び/又は(f)例えば太陽光/熱エネルギーによる水の解離を実行するように構成されたユニットであるか、又はこれらを含む。特定の実施形態では、これらのユニットのうちの1又は複数において使用されるメタン又は他の単純な炭化水素がバイオガスから取得される。
電解槽出力からの二酸化炭素の回収
【0365】
多くの実装において、二酸化炭素電解槽のカソードを出る生成物ガスは、未反応二酸化炭素のかなりの割合を含む。例えば、生成物ガスは、約10%モーラー及び70%モーラーの間の二酸化炭素を含有してよい。特定の実施形態では、システムは、二酸化炭素電解槽から生成物ガスを受け取り、濃縮二酸化炭素生成物を生成するように配置された二酸化炭素回収ユニットを含み、当該濃縮二酸化炭素生成物は、任意選択で、電解槽に再循環されてよい。1つの例では、二酸化炭素回収ユニットは、本明細書における他の箇所で説明されるような直接空気二酸化炭素回収モジュールを備える。二酸化炭素電解槽からの生成物ガスは、空気よりもはるかに高い濃度の二酸化炭素を含有してよいことが理解されるべきである。したがって、電解槽とともに使用される直接空気捕捉ユニットは、直接空気捕捉のために使用される対応するユニットと比較して修正された構成を有してよい。例として、直接空気捕捉ユニットは、温度スイング吸収、圧力スイング吸収、又は電子スイング吸収を利用してよい。
【0366】
図21Aは、空気から二酸化炭素を濃縮するように構成された上流DACユニット2105、及び二酸化炭素電解槽2103の生成物ガスから未反応CO
2を除去するように構成された下流DACユニット2107を有するシステム2101を示している。システム2101は、精製された未反応二酸化炭素を、上流DACユニット2105からの新鮮な二酸化炭素と結合し、それを電解槽2103に導入するように構成されている。下流DACユニット2107は、空気中対生成物ガス中での著しく異なる濃度の二酸化炭素に対処するために、上流DACユニット2105とは異なるように(例えば、溶媒の量、コンタクタの寸法)設計されてよい。
【0367】
図21Bは、空気から二酸化炭素を捕捉し、電解槽2113の生成物ガスから未反応二酸化炭素を分離するように構成されたDACユニット2115を有するシステム2111を示している。システム2111は、分離された二酸化炭素を電解槽2113にフィードするように構成されている。二酸化炭素希薄生成物及び二酸化炭素希薄空気は、下流処理のためにDACユニット2115を去る。
電気グリッドとの統合
【0368】
グリッドのための電気エネルギー源が需要に応答して直接制御可能ではない場合、様々な問題が生じ得る。太陽光、風、及び特定の他の非燃焼ベースの電気エネルギー源は、エネルギー生成がエネルギー需要から切り離されるソースの例である。
【0369】
再生可能エネルギー源が電気グリッドに接続される場合、風速又は日光強度の変動により、グリッド上で利用可能な電力量が、需要が供給を超える点まで低下し得る。これにより、グリッドの周波数が低下し得、このことは、何らかの電気機器を損傷させ、及び/又は節電又は停電を引き起こし得る。
【0370】
これを防止するために、再生可能電力源と併せて、フレキシブル発電機及び需要家が使用されてよい。そのようなコンポーネントは、電気グリッド負荷平準化システムを促進するとともに、グリッドからフレキシブル負荷を引き出すように構成されてよく、需要が供給に近づくことを防止するために必要である場合、電力需要を低減させる。これにより、グリッドに周波数安定化が提供されて、それが大量の再生可能電気で動作することが可能になり得る。
【0371】
供給が需要を上回るときに生成された余剰のエネルギーを貯蔵するために様々な手法が提案されている。例としては、水リザーバ、バッテリ、及び水電解槽が挙げられる。一例として、グリッド上の余剰のエネルギーを貯蔵するのにバッテリを使用することは、グリッド上のエネルギー源が生成し得る最大の余剰のエネルギーを貯蔵するために充分な容量を提供するために多数の高容量バッテリを要求する。
【0372】
これと比較すると、炭素酸化物電解槽は、余剰のエネルギーを液体又はガスの形態で貯蔵し得、これは、貯蔵が比較的容易である。そして、水電解槽と比較して、炭素酸化物還元セルは、気体生成物ではなく液体生成物を生成する方式で動作し得る。液体生成物は、特にその比較的高い密度を所与とすると、貯蔵がより容易であり得る。
【0373】
炭素酸化物電解槽の生成物は、需要が供給を超え得る期間内でグリッド上に与えるべき電気エネルギーを生成するための燃料として使用することができる。電解槽生成物は、タービン又は他の機械的電力源において燃焼され、及び/又は、電力を直接生成するために燃料セルにおいて電気化学的に消費されてよい。特定の実施形態では、一酸化炭素又はメタノール等の炭素酸化物電解槽出力は、電気エネルギーをグリッドに戻るように直接注入するために、後の使用のために燃料セルに貯蔵される。特定の実施形態では、燃料セルは、CA州サニーベール所在のBloom Energyからの固体酸化物燃料セル等の炭素含有反応物(例えば、天然ガス)を酸化するように構成された燃料セルである。
【0374】
CO2電解生成物は、ガス(例えば、CO、メタン、エチレン)又は液相(例えば、エタノール、メタノール、エチレングリコール)とすることができる。液体生成物は、長期間にわたる貯蔵が容易であるという利点を有する。気相生成物は、ガス発酵又は熱化学的反応等の広範な下流プロセスを通して液相化学化合物に変換することができる。気相及び液相生成物は、固体材料を作成するのにも使用することができる。例えば、COは、ポリカーボネートを作成するために必要とされる入力のうちの1つであり、又はギ酸カリウムを作成するために水酸化カリウムと反応することができる。
【0375】
図22Aは、炭素酸化物還元電解槽2203を電気グリッド2205又は他の電気エネルギー源に結合するシステム2201を示している。このシステム2201は、生成されているエネルギーが電気エネルギーの需要を超えている場合に電気システムによって生成された余剰のエネルギーを貯蔵する方式で動作するように構成されてよい。
【0376】
システム2201では、可変電気エネルギー源2206が、任意選択で電気グリッド2205に提供される電気エネルギーを生成する。示されている実施形態では、エネルギー源2206は、整流器2207及び変圧器2209を有する電気ラインを介してグリッド2205に結合される。これらの及び/又は他の電気要素は、可変源2206からの電気エネルギーを適切な電圧及び波形においてグリッド2205に提供するために利用されてよい。
【0377】
示されている実施形態では、グリッド2205は、少なくとも電気エネルギー供給2206の変動性と比較しておよそ一定である電気エネルギーの需要に接続される。示されている実施形態では、需要は、要素2208によって示されており、これは、住宅及び/又は産業需要家等の1又は複数の電気エネルギー需要家を一般的に表す。多くの応用のために、エネルギー需要家は、整流器2211及び変圧器2213によって生成することができる電圧及び電気波形において電気エネルギーを要求する。示されているように、これらの要素は、グリッド2205及び需要2208の間で提供される。
【0378】
示されているように、示されている実施形態は、電解炭素酸化物還元セル又はスタック2203を提供し、これは、グリッド又は他の電気エネルギーシステムからの余剰の電気エネルギーを、当該余剰のエネルギーを電解炭素酸化物還元の化学生成物に変換することによって、消費するように構成されている。このセル又はスタック2203がグリッドから直接電気エネルギーを受け取る場合、それは、電気エネルギーが整流器2217、変圧器2219、及び/又は他の電気コンポーネントによって等で整流及び変圧されることを要求し得る。
【0379】
電解槽2203のカソード側は、入口ラインを介して炭素酸化物反応物(二酸化炭素及び/又は一酸化炭素)を受け取る。炭素酸化物は、本明細書における他の箇所で説明されるもの等の多くの可能なソース又は原料2222のうちの任意の1又は複数によって提供されてよい。
【0380】
カソードは、気体又は液体C1化合物(例えば、一酸化炭素、メタン、ホルムアルデヒド、又はギ酸)又はエチレン等の気体又は液体の高次炭素化合物等の生成物を生成するように構成されている。他の成分と一緒のそのような生成物は、出口ラインを介して電解槽2203から除去される。特定の実施形態では、加湿され得る出口ガスは、ガス分離器2225に提供される。これは、水及び/又は1又は複数の液体生成物を凝縮する。未反応炭素酸化物及び/又は水は、ライン2221を介して炭素酸化物電解槽2203に戻るように提供されてよい。特定の実施形態では、電解槽に供給される炭素酸化物は、還元反応を促進するように加湿される。
【0381】
示されている実施形態では、様々な任意選択のコンポーネントが電解槽2203のカソード側から下流に提供される。これらは、デミスタ2227、質量流量計又はコントローラ2229、凝縮トラップ2231、バルブ2233、ガスリザーバ2235、精製モジュール2237、及び生成物変換システム/リアクタ2239を含む。結果として得られる燃料、化学物質、又は他の材料2241が適切に貯蔵又は使用される。言及されたように、電解槽2203の化学生成物は、可変エネルギー源によって生成された余剰のエネルギーを貯蔵する。そのエネルギーは、生成物内に貯蔵された化学エネルギーを、燃焼、燃料セル動作等によって熱又は電気エネルギーに変換することによって回収されてよい。代替的には、エネルギーは、回収されず、少なくとも短期間中には回収されず、電気化学還元生成物は、プラスチック等の別の有用な商品に変換される。
【0382】
電解槽2203は、アノードにおいて電解酸化される水等のアノード反応物を受け取るアノードも含む。示されている実施形態では、水源2243が、フィード水ポンプ2245、デミスタ2247、ガス分離ユニット2249(これは、アノードから生成物を受け取るための入口も有し、当該生成物は、水蒸気及び酸素を含み得る)、循環ポンプ2251、質量流量計又はコントローラ、及び電解槽2203の動作に有害であり得るイオン又はアノード水の他の成分を除去するように構成されたイオン交換器等の1又は複数の任意選択のコンポーネントを介してセル2203のアノードに提供される。特定の実施形態では、システム2201は、電解槽2203のカソード側に送達された炭素酸化物を加湿するために炭素酸化物入口ライン2221にアノード水再循環ループを接続するラインを含む。
【0383】
システム2201は、電解槽2203の酸素又は他の生成物を除去するための1又は複数のコンポーネントも有してよい。電解槽2203のアノード側は、電解槽から酸素又は他の生成物を除去するように構成された出口ライン22057を含む。出口ライン2207は、分離ユニット2249と接続する。アノード生成物ストリーム中の酸素及び水は、ユニット2249において互いから分離されてよく、それにより、水は、循環ポンプ2251を介してアノードに戻るように再循環させることができる。
【0384】
システム2201は、アノードの酸素又は他の気体生成物を除去するためのコンポーネントを有して構成されてよい。示されている実施形態では、これらのコンポーネントは、デミスタ2259及び制御バルブ2261である。
【0385】
これらの例では、及び本開示全体を通して、説明されるシステムは、施設、プラント、又は建築物のコンプレックスにおいて提供されてよい。幾つかの実施形態では、システムの全ての又は多くのリアクタ及びユニット及び/又はモジュールは、一般的な工場、プラント、又はコンプレックスにおいて提供される。例えば、ポリカーボネートポリマー又は輸送燃料等の特定の材料を生成するためのシステムは、炭素酸化物電解槽、及び電解槽の生成物を利用し、及び/又は、電解槽に反応物を提供する1又は複数の他のリアクタを備えてよく、電解槽及び当該他のリアクタは、単一の建築物又はプラントにおいて提供される。幾つかの場合、1又は複数のシステムコンポーネントが外部環境において提供される。例えば、システムが直接空気捕捉ユニットからの二酸化炭素を電解槽に提供するように構成されているが、直接空気捕捉ユニットは、外部に提供されてもよく、一方、二酸化炭素電解槽は、建築物内部に位置する。
【0386】
電解槽を利用するグリッド管理システムの更なる例が
図22B及び
図22Cに示されている。示されているように、システム2258及び2259は、上記で言及されたようにBloom Energyから固体酸化物燃料セル等の炭素含有反応物(例えば、メタン又は天然ガス)を酸化させるように構成された燃料セルを利用する。示されている実施形態では、炭素酸化物電解槽2261は、グリッド、又は風、太陽光、又は他の再生可能エネルギー源から電気を生成するように構成されたデバイス等の他の電気エネルギー源2263に結合される。電気エネルギーに加えて、電解槽2261は、入力として二酸化炭素及び水を受け取る。特定の実施形態では、二酸化炭素入力は、少なくとも部分的に、燃料セル2265の出力から受け取られる。コンプレッサ2267が、電解槽2261への送達前にそのような二酸化炭素を圧縮するために提供されてよい。
【0387】
図22Bの実施形態に示されているように、電解槽2261は、一酸化炭素を出力するように構成されており、システム2258は、一酸化炭素を燃料セル2265に送達するように構成されている。システム2258は、天然ガス又は他の入力を燃料セル2265に提供するように更に構成されてよく、当該燃料セルは、ひいては、グリッド2263に提供され得る電気を生成するように構成されている。幾つかの実装では、システム2258は、燃料セル2265への入力のための水素を生成するように構成された蒸気メタン改質器ユニット2271を含む。
【0388】
図22Cの実施形態に示されているように、電解槽2261は、一酸化炭素、エチレン、メタン等を含む様々な化合物のうちの任意の1又は複数を出力するように構成されている。特定の実施形態では、これらの化合物のうちの1又は複数は、潜在的には電気負荷平準化に関連していない目的でシステム2259から除去される。例えば、化合物のうちの1又は複数は、本明細書における他の箇所で説明されるような化合物又はポリマーを合成するための原料として使用されてよい。
【0389】
示されている実施形態では、システム2259は、電解槽2261の出力のうちの少なくとも一部を燃料セル2265に、任意選択で外部源からの天然ガス又は他の燃料とともに、送達するように構成されている。特定の実施形態では、電解槽2261からの出力は、合成天然ガスとして提供され、又はそのようなガスを形成するように変換される。システム2259は、合成天然ガスを単独で又は他の天然ガスとともに燃料セル2265に供給するように構成されている。特定の実施形態では、システム2259は、一酸化炭素及び/又は電解槽2261の他の出力を燃料セル2265に直接提供するように構成されている。幾つかの実装では、システム2259は、蒸気メタン改質器及び/又は圧力スイング吸収ユニット2273、又はガスが燃料セル2265に入力される前に当該ガスを処理するように構成された他の精製ユニットを含む。蒸気メタン改質器は、天然ガス源及び/又は電解槽からのメタンを燃料セル2265への送達のために水素に変換してよい。圧力スイング吸収ユニットは、燃料セル2265への入口ストリームから幾分かの二酸化炭素又は他の不純物を除去するのに使用されてよい。幾つかの実施形態では、別のタイプの不純物除去ユニットが利用される。
【0390】
図22B及び/又は
図22Cに示されているもの等の特定の実施形態では、圧力スイング吸収器又は他のガス精製ユニットは、蒸気メタン改質器を出るガス混合物から純粋な水素ストリームを分離するように構成されている。改質器からのテールガスは、CO、CO
2、未反応CH4、及び幾分かのH
2を含んでよい。テールガスは、燃料セルにフィードされ、これは、ひいては、比較的純粋なCO
2(及び水)のストリームを生成し、これはその後、CO
2電解槽にフィードされる。幾つかの蒸気メタン改質器は、改質反応後に水性ガスシフト反応を利用することによって、比較的高濃度の水素を有する生成物を作成するように構成されている。水性ガスシフト反応は、一酸化炭素及び水(反応物)を二酸化炭素及び水素に変換する。幾つかの実装では、蒸気メタン改質器は、合成ガス混合物を作成するように構成されており、水性ガスシフト段階を実装しなくてよい。
【0391】
図22B及び/又は
図22Cに示されているもの等の幾つかの実装では、蒸気メタン改質器は、2つのCO
2含有ストリーム:(1)リアクタから到来する、上記で説明されたようなテールガス、及び(2)リアクタチューブを加熱し、反応のための蒸気を生成するのに使用される炉から到来する煙道ガスを生成する。テールガスは、かなり高い濃度の二酸化炭素(例えば、分離前では約15%、及びその後分離後では約50%)を含有してよい。煙道ガスは、比較的低い濃度の二酸化炭素(例えば、約3%~5%のみのCO
2濃度)を有する。様々な実装において、二酸化炭素排出の約3分の2が、テールガスからであり、約3分の1は、煙道ガスからである。特定の実施形態では、システムは、(a)(例えば、圧力スイング吸収器を用いた)精製前のテールガス、(b)精製後のテールガス、(c)煙道ガス、又は(d)煙道ガス及びテールガスからの結合ストリームからの排出を捕捉するように構成されている。幾つかの実装では、システムは、炭素酸化物電解槽からの酸素を蒸気メタン改質器の1又は複数の炉にフィードするように構成されている。幾つかの実装では、これは、より高い効率を提供し、及び/又は、煙道ガス中のより高い二酸化炭素濃度をもたらし、それによって、二酸化炭素捕捉が簡素化する。
【0392】
燃料セル2265は、グリッド2263に送達され得る電気を出力するように構成されている。特定の実施形態では、システム2259は、電解槽2261による使用に先立って燃料セル2265からの二酸化炭素出力を貯蔵するように構成された二酸化炭素貯蔵ユニット2269を備える。
合成ガス調製
【0393】
このセクションにおいて説明される及び/又は
図23A~
図23Dに示されている実施形態は、一酸化炭素及び水素の混合物を作成することに関連する。これらの混合物の一部は、合成ガスと称され得る。ここで説明される実施形態は、一酸化炭素、二酸化炭素、及び水素の混合物を受け取り、特定の組成を有する一酸化炭素及び水素の混合物を生成するために混合物を修正するように構成された方法及びシステムに関連する。幾つかの場合、入力は、本明細書において説明される炭素酸化物電解槽のうちの1つ等の炭素酸化物電解槽から取得された気体混合物である。
【0394】
ここで説明されるように生成される一酸化炭素及び水素混合物は、様々な応用を有してよい。それは、フィッシャー・トロプシュプロセス(例えば、
図6A及び
図6Bの論述を参照されたい)によって生成され得るようなナフサ又は他の液体炭化水素組成を生成するのに使用することができる。それは、ガス発酵リアクタ(例えば、
図4及び
図5を参照されたい)への入力として使用することもできる。それは、アルコール(例えば、
図15及び
図18を参照されたい)及び/又はポリオール(例えば、
図14及び
図16を参照されたい)等の様々な化学物質のうちの任意のものを生成するように使用することもできる。
【0395】
一酸化炭素及び水素の混合物を生成するための様々な実施形態は、
図19及び
図20に関連して説明されるような炭素酸化物分離器システムを利用してよい。
【0396】
一酸化炭素及び水素の混合物は、入力ストリームからCO又はCO2のいずれかを直接除去することによって生成されてよい。入力ストリームからCOを直接分離することによって混合物を生成する実施形態では、水素は、CO精製動作から下流の精製COストリームに添加されてよい。例えば、精製水素は、CO分離動作から下流である動作においてそれをCO2から分離することによって調製されてよい。
【0397】
図23Aは、入力ストリームから直接一酸化炭素を分離するプロセスにおいて一酸化炭素及び水素の混合物を生成するために全体スキームを示している。二酸化炭素電解槽のカソード出口から提供され得る入力ストリームは、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、及び任意選択で少量の水及び/又は炭化水素等の他の成分を含有する。入力ストリームは、精製一酸化炭素を含有する1つのストリーム2305及び二酸化炭素及び水素の混合物を含有する別のストリーム2307を生成するように構成された1又は複数の分離要素2303にフィードされる。要素2303は、例えば、CO吸収要素及び/又はCO吸収及びストリッピングサブシステム、例えば、圧力スイング又は温度スイングサブシステムを含んでよい。蒸気2307は、二酸化炭素から水素を分離するように構成された1又は複数の要素2309にフィードされる。幾つかの実施形態では、要素2309は、例えば、水素の通過を可能にしながら二酸化炭素の通過をブロックする膜分離器を含む。動作中、要素2309は、水素ストリーム2311及び二酸化炭素ストリーム2313を生成する。水素ストリーム2311は、一酸化炭素及び水素の混合物を含有するストリーム2315を生成するために一酸化炭素ストリーム2305と結合されてよい。二酸化炭素ストリーム2313は、任意選択で炭素酸化物電解槽に再循環されてよい。
【0398】
幾つかの実施形態では、水素及び一酸化炭素の混合物を作成するプロセスは、以下の動作によって特徴付けられ得る:
1.例えば圧力スイング吸収プロセスにおけるイオン性液体吸収による混合物からのCOの分離
2.例えば膜を介してCO2からH2を分離する
3.H2及びCOを混合する
【0399】
入力ストリームから直接精製一酸化炭素を生成するための特定の実施形態では、イオン性液体は、入力ガスストリームから一酸化炭素をストリッピングするのに使用される。分離中、イオン性液体は、入力ガスに接触し、水素及び二酸化炭素の大半が(未溶解又は未吸収で)通過することを可能にしながら一酸化炭素を選択的に吸収する。幾つかの実施形態では、入力ストリームは、吸収カラムにおいてイオン性液体に接触する。接触後、入力ストリームであるイオン性液体の一酸化炭素富化ストリームは、イオン性液体から一酸化炭素をストリッピングする条件下で動作するストリッパにフィードされる。イオン性液体の結果として得られる希薄ストリームは、一酸化炭素を選択的に吸収するコンポーネントに戻るように再循環されてよい。
【0400】
一酸化炭素を分離するための適したイオン性液体は、二酸化炭素及び/又は水素を実質的に吸収することなく一酸化炭素を優先的に吸収する。他の特性は、低コスト、低蒸気圧(例えば、使用中に揮発性有機化合物の生成がない)、低動粘度(例えば、約150cSt未満)、適度な吸収条件(例えば、約0℃~20℃の温度;約25bar(2500kPa)以下(例えば、約17bar(1700kPa)))の圧力)、適度なストリッピング条件(例えば、約0℃~100℃の温度;約5bar(500kPa)以下の圧力)、及び/又は低毒性を含んでよい。そのようなイオン性液体の例としては、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムクロリド(塩化第1銅とともに)が挙げられる。
【0401】
幾つかの実施形態では、一酸化炭素及び水素の混合物は、一酸化炭素、水素、及び二酸化炭素を含有する入力ストリームから二酸化炭素を直接除去することによって生成される。そのような実施形態では、分離の1つの出力ストリームは、水素及び一酸化炭素の所望の混合物を含む。
【0402】
図23Bは、入力ストリームから直接二酸化炭素を分離するプロセスにおいて一酸化炭素及び水素の混合物を生成するための全体スキームを示している。二酸化炭素電解槽のカソード出口から提供され得る入力ストリームは、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、及び任意選択で少量の水及び/又は炭化水素等の他の成分を含有する。入力ストリームは、精製二酸化炭素を含有する二酸化炭素ストリーム2304及び一酸化炭素及び水素の混合物を含有する別のストリーム2306を生成するように構成された1又は複数の要素2302にフィードされる。要素2302は、例えば、二酸化炭素吸収要素又は二酸化炭素吸収及びストリッピング要素を含むサブシステム、例えば、圧力スイング又は温度スイングサブシステムを含んでよい。二酸化炭素ストリームは、任意選択で炭素酸化物電解槽に再循環されてよい。
【0403】
入力ストリームから直接二酸化炭素を除去するための特定の実施形態では、イオン性液体は、入力ガスストリームから二酸化炭素をストリッピングするのに使用される。イオン性液体は、入力ガスに接触し、水素及び一酸化炭素の大半が通過することを可能にしながら二酸化炭素を選択的に吸収する。幾つかの実施形態では、入力ストリームは、吸収カラムにおいてイオン性液体に接触する。接触後、入力ストリームであるイオン性液体の二酸化炭素富化ストリームは、イオン性液体から二酸化炭素をストリッピングする条件下で動作するストリッパにフィードされる。イオン性液体の結果として得られる希薄ストリームは、二酸化炭素を選択的に吸収するコンポーネントに戻るように再循環されてよい。
【0404】
二酸化炭素を分離するための適したイオン性液体は、一酸化炭素及び/又は水素を実質的に吸収することなく二酸化炭素を優先的に吸収する。他の特性は、低コスト、低蒸気圧(例えば、使用中に揮発性有機化合物の生成がない)、低動粘度(例えば、約150cSt未満)、適度な吸収条件(例えば、約15℃以上の温度;約50bar(5000kPa)以下の圧力)、適度なストリッピング条件(例えば、約0℃~100℃以下の温度;約5bar(500kPa)以下の圧力)、及び/又は低毒性を含んでよい。そのようなイオン性液体の例としては、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート[bmim][PF6]が挙げられる。
【0405】
幾つかの実装では、一酸化炭素及び水素の混合物を生成するように構成されたシステムは、入力又はアウトストリームを約30℃未満又は約20℃未満又は約10℃未満に冷却するように構成されたコンポーネントを含まない。例えば、システムは、入口ガスを約20℃未満に冷やすためにコンプレッサを含まない。
CO分離例
【0406】
説明されているように、一酸化炭素及び水素は、二酸化炭素電解槽からの出力に含まれる。この電解槽出力ガスは、一酸化炭素及び水素の混合物を生成する分離システムへの入力として機能する。幾つかの実施形態では、一酸化炭素は、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムクロリド(CuCl)等のイオン性液体を使用して圧力スイング吸収プロセスによってガスストリームから回収される。
【0407】
加圧入口ガスストリームは、吸収カラムの底部において入り、一方、吸収材は、カラムの頂部から噴霧される。充填層は、気相及び液相の間の接触を向上させ、一酸化炭素吸収を促進してよい。残存ガス化合物(CO2、H2、及び少量の残りのCO)は、カラムの頂部から去り、一方、CO富化液相は、カラムの底部から去る。
【0408】
特定の実施形態では、吸収材は、CuCl及びイオン性液体の混合物(例えば、約50%モルCuCl及び50%モルイオン性液体1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムクロリド)を含む。CuClの入口モル量は、吸収される一酸化炭素の量よりも約1.5倍~2.5倍(例えば、約1.9倍)大きくてよい。
【0409】
CO富化液相は、熱交換器において加熱され、その後、ストリッピングカラムに入る。ストリッピングカラムの圧力は、2bar(200kPa)未満(例えば、およそ大気)であってよく、一方、温度は、頂部において比較的低く(例えば、約30℃)、底部において比較的高く(例えば、約60℃)てよい。これらの条件下で、COの大半は蒸発してよい。液相は、カラムの底部に流れ、ここで、幾分かの割合(例えば、約15%)は、例えば再沸器全体を使用してカラムに戻るように再循環され、一方、残り(例えば、約85%)は、吸収カラムに戻るように流れる。特定の実施形態では、再沸器から到来する沸騰した液体は、入来するストリームに熱を伝達する。幾つかの実施形態では、再沸器は、二酸化炭素電解槽から廃熱を受け取るように構成されている。
【0410】
図23Cに示されているシステム2321の以下のCO吸収ストリッピングコンポーネントを参照されたい:入口ストリーム2322は、チラー2324と併せて機能するコンプレッサ2323によって圧縮され、冷やされる。圧縮され、冷やされた入口ガスは、吸収カラム2325の底部に入り、ここで、入口ストリーム中のCOは、液体によって選択的に吸収される。CO富化液相は、熱交換器2326において加熱され(ストリーム5)、その後、ストリッピングカラム2327に入る(ストリーム6)。ストリッピングカラムの圧力は、大気であってよく、一方、温度は、例えば、頂部における30℃~底部における60℃の範囲に及んでよい。これらの動作パラメータにおける吸収材のCOの可溶性は低く、ほとんどのCOが蒸発させられる。液相は、カラム2327の底部に流れ(ストリーム8)、ここで、およそ例えば15%が再沸器2328を使用してカラム2327に戻るように再循環され(ストリーム9/10)、一方、残りの例えば85%が吸収カラム2325に戻るように流れる(ストリーム11~16)。
【0411】
CO2及びH2のガスストリームは、吸収カラム2325の頂部を出る。CO2及びH2は、様々な技法によって分離されてよい。幾つかの実施形態では、それらは、膜フィルタ2330を使用して分離される。幾つかの実施形態では、膜フィルタは、CA州ニューアーク所在のMembrane Technology and Research Corporation Inc.からのPolaris(商標)フィルタである。そのような膜は、H2と比較してCO2の高い透過性を有してよく、これは、残余分として取得される。幾つかの例では、膜フィルタは、約5bar(500kPa)~15bar(1500kPa)の圧力(例えば、約9bar(900kPa)圧力)において、及び/又は約0℃~20℃(例えば、約5℃)の温度において動作する。
CO2分離例
【0412】
CO吸収実施形態と同様に、一酸化炭素及び水素は、二酸化炭素電解槽からの出力に含まれる。この電解槽出力ガスは、一酸化炭素及び水素の混合物を生成する分離システムへの入力として機能する。特定の実装では、CO2は、[bmim][PF6]等のイオン性液体を使用して入力ストリームから直接吸収される。吸収は、様々な圧力(例えば、約10bar(1000kPa)~60bar(6000kPa))のうちの任意のものにおいて行われてよい。幾つかの実装では、入口ガスストリームの圧力は、約8bar(800kPa)~16bar(1600kPa)であってよい。このために、システムは、コンプレッサによる追加の圧縮を利用してよい。
【0413】
幾つかの実施形態では、CO2吸収カラムは、約20bar(2000kPa)~60bar(6000kPa)又は約40bar(4000kPa)~50bar(5000kPa)(例えば、約44bar(4400kPa))等の比較的高い圧力において動作する。この圧力及び25℃において、CO2の可溶性は、イオン性液体の1モル中の約0.2モルである。幾つかの実施形態では、CO2吸収カラムは、約1bar(100kPa)~20bar(2000kPa)等の比較的低い圧力において動作する。特定の実施形態では、吸収カラムは、約20℃~80℃、又は約20℃~30℃、又は約40℃~60℃の温度において動作する。
【0414】
図23Dは、一酸化炭素及び水素の混合物を生成するために炭素酸化物電解槽の出力を処理するための例示のCO
2吸収ストリッピングシステム2351を示している。入口ストリームは、コンプレッサ2353によって圧縮される。圧縮入口ガス(ストリーム(2))は、吸収カラム2355の底部に入り、ここで、入口ストリーム中のCO
2は、液体(例えば、イオン性液体)によって選択的に吸収される。吸収材液体の流量は、入口ストリーム中の二酸化炭素のモル流量をモニタリングすることによって調整又は制御されてよい。カラムにおける吸収材液体は、特定のレベルにおいて維持されてよい。吸収材はシステムを通って再循環するので、それは、カラムの底部に蓄積しなくてよい。コントローラは、カラム底部における吸収材の量を検知し、吸収材レベルをカラム内で所望のレベルに調整又は維持するために利用されてよい。
【0415】
特定の実施形態では、CO2吸収カラムは、以下の条件下で動作する:
CO2の分圧:13bar(1300kPa)
温度:28.1℃
液相粘性:110cP
気相粘性:0.017cP
吸収材中のCO2の拡散率:500mm2/s
カラム直径:0.5m
カラム高さ:12.4m
圧力降下:0.012bar(1.2kPa)
Cf(充填定数):170
充填総比面積:108m2/m3
公称充填直径:0.005m
【0416】
CO及びH2のガスストリーム(ストリーム(3))は、吸収カラム2355の頂部を出る。このストリームは、合成ガスとして利用されてよい。
【0417】
吸収カラム2355からのCO2富化液相は、熱交換器2356において加熱され(ストリーム5)、その後、ストリッピングカラム2357に入る(ストリーム6)。ストリッパにおける動作パラメータの吸収材のCO2の可溶性は低く、ほとんどのCO2が蒸発させられる。液相は、ストリッピングカラム2357の底部に流れ(ストリーム8)、ここで、その一部が再沸器2358を使用してカラム2357に戻るように再循環され(ストリーム9/10)、一方、残りの液体が吸収カラム2355に戻るように流れる(ストリーム11~16)。特定の実施形態では、吸収カラムの底部における底部液体の約4%~5%が、例えば再沸器を使用してカラムに戻るように再循環される。
【0418】
特定の実施形態では、CO2ストリッピングカラムは、およそ0.5bar(50kPa)~5bar(500kPa)(例えば、約1bar(100kPa))の圧力において動作し、入口CO2富化吸収材ストリームは、約40℃~60℃の温度を有し、カラムの底部は、約60℃~80℃の温度を有する。
エチレン精製
【0419】
このセクションにおいて説明される実施形態は、エチレンを作成することに関連する。ここで説明される実施形態は、エチレンを含有する混合物を受け取り、精製エチレンを生成するために混合物を修正するように構成された方法及びシステムに関連する。幾つかの場合、入力は、本明細書において説明される炭素酸化物電解槽のうちの1つ等の炭素酸化物電解槽から取得された気体混合物である。
【0420】
幾つかの実装では、エチレン精製システムは、電解槽によって生成された他の任意の成分の比較的純粋なストリームを必ずしも生成することなく、比較的純粋なエチレンを生成するように構成されている。幾つかの実装では、エチレン精製システムは、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、エタノール、又はこれらの任意の組み合わせ等の1又は複数の他の成分の比較的純粋なストリームとともに比較的純粋なエチレンを生成するように構成されている。
【0421】
様々な実施形態において、エチレン精製システムは、(a)二酸化炭素を吸収及び分離すること、(b)膜ろ過によって1又は複数の他の成分からエチレンを分離すること、(c)エチレン及びメタンを分離するための分留、(d)メタンをエチレンに化学的に変換すること、及び(e)(a)~(d)の任意の組み合わせのための1又は複数のコンポーネント又はサブシステムを含む。幾つかの実施形態では、アミン又はイオン性液体は、二酸化炭素を吸収するのに使用される。幾つかの実施形態では、膜ろ過コンポーネントは、(任意選択でメタンとともに)エチレンから一酸化炭素及び水素を分離するように構成されている。
【0422】
ここで説明されるように生成されるエチレンは、様々な応用を有してよい。例えば、それは、エチレンオキシド(例えば、
図10A、
図11、及び
図14の論述を参照されたい)、及び幾つかの場合、モノエチレングリコール及びポリエチレングリコール等のエチレンオキシドの反応生成物を生成するのに使用することができる。
【0423】
このセクションにおいて説明される特定の実施形態では、入力ガスは、エチレン、及び典型的には幾分かのメタン及び未反応二酸化炭素を含む。存在し得る他の成分は、水素、一酸化炭素水、エタノール、及びこれらの任意の組み合わせを含む。
【0424】
精製エチレンを生成するための様々な極低温蒸留及び膜分離技法は、2021年11月4日に提出された米国仮特許出願第63/263,567号において提示され、同米国仮特許出願は、その全体が参照により本明細書において組み込まれている。
酸素生成
【0425】
炭素酸化物電解槽アノードは、水から酸素を生成してよい。酸素は、電解槽のための様々な統合スキームのうちの任意のものにおいて利用されてよい。幾つかの場合、酸素は、燃料を用いた燃焼反応において使用することができる。幾つかの場合、酸素は、後の使用のために圧縮及び貯蔵することができる。特定の実施形態では、圧縮酸素が冷却され、その後、スロットルバルブを通過され、酸素が液化させられる。冷却は、フロンタイプ冷却器を使用して達成されてよい。幾つかの場合、酸素ストリームは、まず、ブライン冷却器を使用して(例えば、CaCl2ブラインを利用して)冷却される。例えば、40bar(4000kPa)及び-120℃において、酸素は、液体になる。幾つかの実装では、酸素ストリームは、約-70℃以下に冷却される。
炭素酸化物電解槽によって生成される熱
【0426】
通常動作中、炭素酸化物電解槽は、熱を生成してよい。幾つかの場合、炭素酸化物電解槽に供給される電力の約25%~50%は、熱に変換される。生成された熱の一部又は全てが、1又は複数の下流又は上流プロセスにおいて使用されてよい。幾つかの実施形態では、二酸化炭素電解槽は、熱エネルギーを含むガス及び/又は液体ストリームを生成する。幾つかの場合、ガス及び/又は液体ストリームは、約25℃~90℃の温度を有する。特定の実装では、炭素酸化物電解槽は、統合システムによって、1又は複数の上流又は下流ユニット又はサブシステムに供給され得る熱を含むカソード出力ガスストリームを生成する。幾つかの実装では、炭素酸化物電解槽は、統合システムによって、1又は複数の上流又は下流ユニット又はサブシステムに供給され得る熱を含むアノード液体出力ストリームを生成する。幾つかの場合、炭素酸化物電解槽は、動作中、冷媒を循環させるジャケット及び/又は導管等の専用熱伝達要素を含む。幾つかの実装では、電解槽の1又は複数のバイポーラプレートは、そのような冷媒をそれらに循環させるように構成されている。電解槽から冷媒に伝達される熱は、統合システムにおける他のユニット又はサブシステムに供給されてよい。
【0427】
幾つかの実施形態では、電解槽によって生成される熱は、ボイラ等のサブシステムへの入口ストリームを予熱するのに使用される。幾つかの実施形態では、電解槽によって生成される熱は、二酸化炭素を捕捉するための直接空気プロセス、二酸化炭素ストリッピングプロセス、及び/又は一酸化炭素ストリッピングプロセス等の熱スイングプロセスにおいて使用される。本明細書において説明される統合実施形態では、統合実施形態における炭素酸化物電解槽によって生成されるタイプの熱を利用することができる任意の上流又は下流ユニット動作は、電解槽から熱を受け取るように構成されてよい。例としては、乾燥器、分離器、及びリアクタが挙げられ、これらは、本明細書において開示されるもののうちの任意のもの等のポリマー又はバルク化学物質を作成するためのものを含む。それゆえ、通常動作中、システムは、炭素酸化物電解槽によって生成された熱を、自身の動作を促進するためにそのような熱を利用する1又は複数の分離サブシステムに送達してよい。
【0428】
上記で説明されたように、幾つかの統合システム実施形態は、電解槽からの余剰の熱を直接空気捕捉サブシステムに送達するように構成された直接空気捕捉サブシステム及び炭素酸化物電解槽を利用する。温度スイング実装では、直接空気捕捉ユニットは、かなりの量の二酸化炭素を捕捉及び放出するためにかなりの量の熱エネルギーを要求する。一例として、DACユニットは、捕捉されたCO2の1トンあたり少なくとも約1200kWh(4.32GJ)の熱エネルギーを要求してよい。さらに、温度スイングを用いると、DACユニットは、上昇した温度においてCO2を脱着し得、これは、約70℃の低さであってよい。
【0429】
一般的に、CO2電解槽の任意の出力が、DACユニットに熱を供給するのに使用することができる。そのような出力の例としては、電解槽のカソード側からのアノード水及びガス出力が挙げられる。一例として、幾つかのCO2電解槽は、約20℃~約110℃の温度範囲において動作し、アノード水及び/又はガス生成物ストリームは、この範囲内の温度において電解槽を去ってよい。
【0430】
特定の実施形態では、電解槽を去るアノード水は、DACユニットのコンポーネントを加熱するのに使用される。特定の実施形態では、アノード水によって保持される熱は、DACユニットによって要求される熱デューティの最大約40%に寄与し得る。当然ながら、部分寄与度は、電解槽の動作温度及び電解エネルギー効率を含む様々な要因に依存する。
【0431】
幾つかの実施形態では、電解槽を去るガスストリームは、DACユニットによって要求される熱の最大約5%に寄与してよく、ここでも電解槽の動作温度及び電解エネルギー効率に依存する。
【0432】
温度スイングDACユニットは、典型的には、動作中、二酸化炭素を吸収するときに低い又は雰囲気温度において保持され、二酸化炭素を脱着するときにより高い温度に上昇する吸着材充填層を含む。脱着中、充填層は、電気ヒータ、蒸気、又は他の何らかの加熱剤を使用して加熱されてよい。本明細書において説明されるDAC実施形態では、1又は複数の熱交換器は、充填層に熱を提供するために利用されてよい。幾つかの実施形態では、少なくとも1つのそのような熱交換器は、発熱反応のために電解槽から及び/又はリアクタから熱を受け取る。そのような熱交換器の位置決めは、様々な設計考慮事項に依存する。とりわけ、DACユニットは、電解槽及び/又は他のリアクタによって生成されたストリームを収容するために追加の入口及び出口パイプを有してよい。しかしながら、DACユニットそれ自体(充填層、ブロワー、包囲空間等)は、修正されないままであり得る。
【0433】
図24Aは、直接空気捕捉ユニット2405、二酸化炭素電解槽2403、及びアノード精製ユニット2407を含む統合システム2401を示している。システム2401では、直接空気捕捉ユニット2405は、空気又は別の不純二酸化炭素源2409を受け取り、2つのストリーム:精製空気2411のストリーム及び精製二酸化炭素2413のストリームを出力する。システムは、二酸化炭素2413の精製ストリームを二酸化炭素電解槽2403のカソード側入口に提供するように構成されている。
【0434】
二酸化炭素電解槽2403は、任意選択で、入口二酸化炭素ストリーム2413における未反応二酸化炭素及び不純物等の他の成分とともに、二酸化炭素の1又は複数の炭素含有還元生成物を含む出力ガスストリーム2415を生成するように構成されている。
【0435】
本明細書における他の箇所に示されているように、カソード側出力ガスストリーム(例えば、ガスストリーム2415)は、典型的には、二酸化炭素電解槽2403等の電解槽の動作からの廃熱を含む。システム2401は、例えば約70℃~200℃の上昇した温度を有し得るガスストリーム2415を直接空気捕捉ユニット2405の入口に送達するように構成されている。ユニット2405は、ガスストリーム2415から熱を抽出し、抽出された熱を使用して、空気ストリーム2409の精製を促進し、精製二酸化炭素ストリーム2413を生成するように構成されている。示されているように、直接空気捕捉ユニットの温度スイングの脱着プロセスは、上昇した温度において行われてよく、少なくとも部分的に、ガスストリーム2415の廃熱を使用することによって達成することができるそのような温度に到達し得る。幾分かの熱を直接空気捕捉ユニット2405に提供した後、ガスストリーム2415は、ストリームがユニット2405に入ったときよりも低い温度であり、かつ低いエンタルピーを有するが、ユニット2405を出る。幾つかの実施形態(ここでは図示せず)では、ユニット2405を出た後、ガスストリーム2415は、ストリーム中に留まり得る幾分か又は全ての未反応二酸化炭素を除去することによって精製される。更なる実施形態では、ガスストリーム2415から分離された二酸化炭素は、任意選択でそれを精製二酸化炭素ストリーム2413と結合させることによって、それを電解槽2403のカソード側に戻るように提供することによって、再循環されてよい。
【0436】
システム2401は、アノード水入口ストリーム2419を二酸化炭素電解槽2403のアノード側に提供するように構成されており、これは、水を還元し、電解槽への入力として提供される未反応水を含有するアノード水2417とともに、酸素分子(図示せず)を出力する。
【0437】
電解槽2403を出るアノード水2417は、電解槽の動作中に生成された幾分かの廃熱を含む。システム2401は、アノード水2417を直接空気捕捉ユニット2405に送達するように構成されている。ユニット2405内で、ストリーム2417中の加熱されたアノード水は、加熱された出力ガスストリーム2415と同様に機能し得る。すなわち、アノード水ストリーム2417中の余剰の熱は、精製二酸化炭素ストリーム2413中で提供される二酸化炭素の脱着を促進するために直接空気捕捉ユニット2405によって抽出されてよい。
【0438】
示されているように、直接空気捕捉ユニット2405を通って流れるアノード水は、出力アノード水ストリーム2421を介してユニット2405を出る。ストリーム2421中のアノード水は、その後、アノード水精製ユニット2407に提供され、アノード水精製ユニット2407において、アノード水は、例えばCO2電解槽を通過するときにそれがピックアップし得る不純物を除去するために処理される。アノード水精製ユニット2407は、精製アノード水ストリーム2423を出力するように構成されており、これは、精製アノード水として電解槽2403の入口に戻るように流れる。
【0439】
幾分かの補給アノード水は、アノード水補給ストリーム2425を介してシステム2401において示されているように提供されてよいことに留意されたい。補給水は、二酸化炭素電解槽2403のアノードにおいて酸化によって消費される幾分かのアノード水から置き換わり得る。さらに、幾つかの実装では、再循環アノード水の一部は、例えば任意選択でアノード水精製ユニット2407によって実行される逆浸透によって、連続的に徐々に放出され精製される。補給アノード水は、徐々に放出されたアノード水からも置き換わる。典型的には、DACユニットは、いずれのアノード水又はカソード生成物ストリームも消費しないが、それは、これらのストリームの温度を低下させ得る。
【0440】
フィッシャー・トロプシュ(FT)反応は、150℃~350℃の温度範囲において生じ得る。これらの反応は、-152kJ/mol~-165kJ/molのCOの標準反応エンタルピーに起因して極めて発熱性である。しかしながら、反応温度は、一定として維持されるべきである。これは、フィッシャー・トロプシュリアクタの入口における熱湯の適用によって達成されてよく、これは、余剰の反応熱を増加させ、それを蒸気に変換し、この蒸気は、その後、リアクタを去る。
【0441】
FTプロセスからの生成された蒸気は、DACユニットに接続されてよく、当該DACユニットにおいて、それは、二酸化炭素の脱着を促進するためにエネルギーをDACユニットの充填層に伝達する。熱を伝達するプロセスにおいて、FTプロセスからの蒸気は、熱湯に変換される。
【0442】
FT反応によって生成された熱がFT反応の内部熱要件によって消費されると、DACユニットとの統合のために消費されたCO2の1トンあたり約900kWh~1400kWhの廃熱が存在し得る。したがって、FT廃熱は、幾つかの実施形態では、DACユニットの熱デューティの約75%~100%を包含する。
【0443】
図24Bは、
図24Aのシステム2401と同様の方式でインタラクトするように構成されている二酸化炭素電解槽2403(
図24Aに示されている電解槽と同様)及び直接空気捕捉ユニット2426を含む統合システム2420を示している。例えば、システム2420は、DACユニット2426によって生成された精製二酸化炭素ストリーム2442を二酸化炭素電解槽2403に提供するように構成されている。また、ユニット2426は、入口ストリーム2443を介して空気又は他の不純二酸化炭素を受け取り、ストリーム2445を介して精製空気を送達するように構成されている。
【0444】
しかしながら、システム2401とは異なり、
図24Bのシステム2420は、フィッシャー・トロプシュ合成ユニット2428、及びフィッシャー・トロプシュ反応を支援して使用される幾つかの追加のモジュールを含む。これらの追加のユニットは、二酸化炭素電解槽から出口ガスストリーム2430を受け取り、そのガスストリームを精製一酸化炭素ストリーム2431及び精製二酸化炭素蒸気2432に分離するように構成されたガス分離ユニット2429を含む。幾つかの実施形態では、システム2420は、精製二酸化炭素ストリーム2432を、二酸化炭素電解槽2403に戻るように送達するように構成されており、二酸化炭素電解槽2403において、それが還元され得る。
【0445】
システム2420は、水素ストリーム2433を生成するために入口水ストリーム2446から水を電気化学的に還元するように構成された水電解槽2427も含む。システム2420は、合成ガスストリーム2434を生成するために、例えば導管及び/又は混合ユニットを介して、水素ストリーム2433及び一酸化炭素ストリーム2431を結合するようにも構成されている。
【0446】
統合システム2420では、フィッシャー・トロプシュ合成ユニット2428は、合成ガスガスストリーム2434を受け取り、本明細書における他の箇所で説明されるもの等の様々なフィッシャー・トロプシュ生成物2444を生成するためにそれを発熱FT反応を介して反応させるように構成されている。適切な温度においてフィッシャー・トロプシュ合成反応を維持するために、ユニット2428は、熱湯入口ストリーム2435から熱湯を受け取るように構成されている。フィッシャー・トロプシュ反応中、水ストリームは、反応によって生成された余剰の熱を受け取り、それを飽和蒸気ストリーム2436に変換する。
【0447】
システム2420では、DACユニット2426によって要求される熱は、フィッシャー・トロプシュ合成ユニット2428及び二酸化炭素電解槽2403からの熱含有ストリームによって完全に又は実質的に提供されてよい。
図24Aのシステムに関して説明されるように、電解槽2403を動作させることからの廃熱は、電解槽2403のカソード側を出るガスストリーム2415及び電解槽2403のアノード側を出るアノード水ストリーム2417のうちの一方又は両方を介してDACユニットに搬送され得る。DACユニット2426では、ガスストリーム2415からの熱は、熱交換器2437を介してユニットに伝達される。そして、アノード水出口ストリーム2417からの熱は、熱交換器2438を介してDACユニット2426に提供される。
【0448】
熱交換器2438を出るアノード水は、ストリーム2439を介してアノード水精製ユニット2407に提供され、これは、
図24Aのシステム2401におけるユニット2407と同じ目的を果たす。精製アノード水は、アノード水入口2419を介して電解槽2403のアノード側に再循環される。アノード水補給ストリーム2425は、システム2401と同様に使用されてよい。電解槽2403からのガスストリーム2415は、ガスストリーム2430としてDAC熱交換器2426を出ていき、当該ガスストリームは、ガス分離ユニット2429にフィードされる。
【0449】
フィッシャー・トロプシュ合成ユニット2428によって生成された余剰の熱は、飽和蒸気ストリーム2436を介して保持され、DACユニット2426内の熱交換器2440に送達されてよい。飽和蒸気ストリーム2436からの熱は、温度スイング動作において二酸化炭素の放出を促進するためにDACユニット2426の脱着コンポーネントに送達されてよい。示されている実施形態では、熱交換器2440は、ストリーム2436の飽和蒸気を熱湯に変換するように構成されており、熱湯は、その後、ストリーム2435を介してフィッシャー・トロプシュ合成ユニット2428に戻るように送達される。
【0450】
示されているように、DACユニットは、従来の熱交換器等の1又は複数の熱交換器を使用して加熱されてよい。熱交換器2437、2438、及び2440の各々は、DACユニットに出入りする1又は複数のパイプを有する。しかし別様に、DACユニットそれ自体は、その充填層、ブロワー、包囲空間等を含めて、同じままである。熱交換器2440は、その出口ストリームにおいて熱湯を提供する方式でサイズ決め及び制御されてよいことに留意されたい。入来する飽和蒸気ストリーム2436の圧力及び流量は、被制御パラメータである。特定の実施形態では、フラッシュ槽が熱交換器2440の下流に提供され、ここで、凝縮された水が回収され、FTユニットに戻るように圧送される。
【0451】
任意選択で、水電解槽2427の動作中に生成される熱は、精製二酸化炭素2442を生成するための温度スイングプロセスを促進するためにDACユニット2426に提供される。
【0452】
特定の実施形態は、メタノール合成リアクタ、DACユニット、及び二酸化炭素電解槽を含む統合システムに関連する。幾つかのメタノール合成リアクタでは、二酸化炭素電解槽によって生成されるCOは、メタノールを形成するために上昇した圧力及び温度において充填層リアクタ内の水素と反応する。
反応 -CO+2H2-->CH3OH
反応エンタルピー ΔH=-90.8kJ mol-1
【0453】
反応は、約200℃よりも高い温度において生じ得、それは発熱性である。メタノールリアクタ温度は、一定として維持され、250℃を超えることがなくてよい。これは、リアクタの入口において熱湯を適用することによって達成され、これは、余剰の反応熱を増加させ、それを蒸気に変換し、リアクタを去る。熱伝達効率に依存して、蒸気によって保持されるメタノールリアクタからの廃熱は、DACユニットの熱デューティの約35%~50%に寄与してよい。
【0454】
図24Cは、
図24Bの統合システム2420と同様の統合メタノール生成システム2451を示している。しかしながら、フィッシャー・トロプシュリアクタを使用するのではなく、システム2451は、メタノール合成リアクタ2453を利用する。
図24Cでは、同様の参照符号及び接続ラインを有するコンポーネントは、
図24Bにおける対応するコンポーネントと同じ又は同様の目的を果たす。
【0455】
示されているように、メタノール生成システム2451は、
図24Bのフィッシャー・トロプシュ合成システム2420における対応するコンポーネントと同様に配置及び構成された二酸化炭素電解槽2403、DACユニット2426、水電解槽2427、ガス分離ユニット2429、及びアノード水精製ユニット2407を含む。同様に、これらの様々なユニットは、
図24Bのシステム2420のものに対応する入口及び出口ストリームを有する。
【0456】
メタノール合成ユニット2453は、熱湯の温度においてメタノール合成反応の温度を保つ入力ストリーム2457を介して熱湯を受け取るように構成されている。発熱性メタノール合成反応中に生成された熱は、熱湯に伝達され、これは、飽和蒸気に変換される。ユニット2453は、上昇した温度においてストリーム2459を介して飽和蒸気を出力するように構成されている。システム2451は、ストリーム2459をDACユニット2426内の熱交換器2461にフィードするように構成されており、熱交換器2461において、飽和蒸気からの余剰の熱は、二酸化炭素精製プロセスを促進するためにユニット2426に伝達される。
【0457】
幾つかの場合、フィッシャー・トロプシュ及びメタノール統合システム2420及び2451の間の唯一の実際的な相違点は、化学反応及び関連付けられた反応エンタルピーにある。例えば、ストリーム2436及び2459中の蒸気は、両方の場合で同じ圧力及び温度であり得る。しかし、メタノールの場合の蒸気の流れは、より低い反応エンタルピーに起因してフィッシャー・トロプシュの場合よりも低い。
【0458】
水素がCO2電解槽の下流で要求される(合成ガス、燃料、メタノール、酢酸、アセトン等の生成のような)シナリオでは、上昇した温度におけるH2O電解槽から出る未反応水は、温度スイングDACユニット内のCO2脱着充填層を加熱するのに使用されてよい。
【0459】
その内部熱の一部を充填層に伝達した後、酸素は、水から回収されてよく、当該水は、H2O電解槽に戻るように再循環されてよい。幾つかの実装では、酸素は、蒸気相においてフラッシュ槽内に回収され、一方、水は、液相においてフラッシュ槽を去る。幾つかの実施形態では、未反応水は、エネルギー効率、動作温度、及び電解槽の入口において余剰の水に依存して、DACユニットの熱デューティの最大約70%に寄与し得る。
【0460】
図24Dは、二酸化炭素電解槽2403、水電解槽2469、及びDACユニット2467を含むシステム2465を示している。電解槽は両方とも、二酸化炭素捕捉及び精製を促進するためにユニット2467によって使用することができる廃熱を生成する。
【0461】
二酸化炭素電解槽2403のカソード側は、DACユニット2467によって生成された精製二酸化炭素を受け取るように構成されている。二酸化炭素電解槽2403のアノード側は、アノード水ストリーム2419を受け取るように構成されている。動作中、電解槽2403におけるカソードは、二酸化炭素の1又は複数の炭素含有還元生成物を含有するガスストリーム2415を生成し、電解槽2403におけるアノードは、出口アノード水2417中に酸素を生成する。
【0462】
水電解槽2469は、水ストリーム2466を受け取り、そのストリームからの水をアノード及びカソードの両方に提供するように構成されている。電解槽2469の動作中、そのアノードは、未反応水とともに、ストリーム2468中に出力される酸素分子を生成し、一方、そのカソードは、ストリーム2470中に出力される水素分子を生成する。
【0463】
DACユニット2467は、空気2476又は別の不純二酸化炭素源を受け取り、精製空気2478及びストリーム2480中の精製二酸化炭素を出力するように構成されている。DACユニット2467は、少なくとも3つのソース:熱交換器2477を介したガスストリーム2415、熱交換器2479を介したアノード水ストリーム2417、及び熱交換器2473を介した酸素/水ストリーム2468から熱を受け取る。
【0464】
その熱含有量の一部をDACユニット2467に伝達した後、酸素/水ストリーム2468は、ストリーム2472としてユニット2467を出る。システム2465は、ストリーム2472を受け取り、精製酸素分子2474を生成するように構成された酸素分離ユニット2475を含む。動作中、酸素分離ユニット2475は、水ストリームも生成し、これは、熱交換器2491によって冷却され、ストリーム2466における水電解槽2769への入力として再循環されてよい。
【0465】
ガスストリーム2415は、DACユニット2467に入り、その熱の一部を伝達した後、ガスストリーム2484として出ていき、これは、二酸化炭素及び一酸化炭素を含む。システム2465は、ガスストリーム2484を受け取り、精製二酸化炭素ストリーム2486及び精製一酸化炭素ストリーム2488を生成するように構成されたガス分離システム2471を含む。システム2465は、DACユニット2467から二酸化炭素ストリーム2480とともに、二酸化炭素電解槽2403に戻るように二酸化炭素ストリーム2486を再循環させるように構成されている。システム2465は、合成ガス2490ストリームを生成するために、一酸化炭素ストリーム2488を水素ストリーム2470と結合させるように構成されている。
【0466】
加えて、システム2465は、熱交換器2479を出るアノード水ストリーム2481を受け取り、アノード水を二酸化炭素電解槽2403に戻す前に当該アノード水を精製するように構成されたアノード水精製ユニット2407を含む。
コントローラ実施形態
【0467】
システムの1又は複数のリアクタ、ポンプ、分離器、及び/又は他のコンポーネントの動作を制御するためのコントローラ又は他のロジックを利用する実施形態では、コントローラ又はロジックは、コンピュータ可読媒体上で実行可能命令等のプログラム命令を利用してよい。命令は、通信システムと統合されたもの等のコンピュータ実行可能コンポーネントによって実行されてよい。コンピュータ可読媒体は、RAM、ROM,フラッシュメモリ、EEPROM、光学デバイス(CD又はDVD)、ハードドライブ、フロッピードライブ、又は任意の適したデバイス等の任意の適したコンピュータ可読媒体上に記憶されてよい。コンピュータ実行可能コンポーネントは、任意選択でプロセッサであるが、命令は、代替的又は加えて、任意の適した専用ハードウェアデバイスによって実行されてよい。
【0468】
簡潔さのために省略されているが、システム及び/又は方法の実施形態は、様々なシステムコンポーネント及び様々な方法プロセスのあらゆる組み合わせ及び置換を含むことができ、本明細書において説明される方法及び/又はプロセスの1又は複数のインスタンスは、本明細書において説明されるシステム、要素、及び/又はエンティティのうちの1又は複数のインスタンスによって及び/又は当該例を使用して、非同期的に(例えば、順次的に)、同時に(例えば、並行して)、又は他の任意の適した順序において実行することができる。
【0469】
図は、開示された実施形態、例示の構成、及びこれらの変形例に係るシステム、方法及びコンピュータプログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能及び動作を示す。この点に関して、フローチャート又はブロック図における各ブロックは、モジュール、セグメント、段階、又はコードの一部を表してよく、これは、指定された論理的機能を実装するための1又は複数の実行可能命令を含む。また、幾つかの代替的な実装では、ブロックにおいて記載された機能は、図に記載された順序とは異なって行われてよいことに留意されたい。例えば、連続して示される2つのブロックが実際には実質的に同時に実行されてもよいし、又は、関与する機能に依存して、ブロックが逆の順序において実行されることもあり得る。また、ブロック図及び/又はフローチャート図の各ブロック、及び、ブロック図及び/又はフローチャート図のブロックの組み合わせは、指定された機能又は動作を実行する専用ハードウェアベースシステム、又は専用ハードウェア及びコンピュータ命令の組み合わせによって実装され得ることにも留意されたい。
【0470】
当業者であれば、前述の詳細な説明から、及び図及び特許請求の範囲から、以下の特許請求の範囲において定義される本開示の範囲から逸脱することなく、本開示の開示された実施形態に対して修正及び変更が加えられ得ることを認識するであろう。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の化学化合物を生成するためのシステムであって、前記システムは、
(a)不純二酸化炭素源から二酸化炭素を捕捉し、前記不純二酸化炭素源中の二酸化炭素の濃度よりも高い濃度において二酸化炭素を出力するように構成された二酸化炭素捕捉ユニット;
(b)膜電極アセンブリを有する二酸化炭素還元電解槽、前記膜電極アセンブリは、1又は複数のイオン伝導性ポリマー層、及び前記二酸化炭素の炭素含有反応生成物への化学的還元を促進するためのカソード触媒を含む;及び
(c)前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された余剰の熱を前記二酸化炭素捕捉ユニットに伝達し、前記二酸化炭素捕捉ユニットによる二酸化炭素捕捉及び/又は二酸化炭素放出を促進するように構成された熱伝達ユニット
を備え、前記システムは、前記二酸化炭素捕捉ユニットからの二酸化炭素を前記二酸化炭素還元電解槽に提供するように構成されている、システム。
【請求項2】
前記二酸化炭素還元電解槽は、動作中に、湿度を生成するように構成されており、前記システムは、前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された前記湿度を前記二酸化炭素捕捉ユニットに送達するように構成されており、前記二酸化炭素捕捉ユニットは、前記湿度に曝露されると捕捉された二酸化炭素を放出するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記システムは、前記二酸化炭素還元電解槽からの余剰の二酸化炭素を前記二酸化炭素捕捉ユニットに輸送するように更に構成されており、前記二酸化炭素捕捉ユニットにおいて、前記余剰の二酸化炭素は、精製される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記不純二酸化炭素源は、空気である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記熱伝達ユニットは、前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された前記余剰の熱を受け取るように構成された熱交換器を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記二酸化炭素捕捉ユニットは、第1の温度において二酸化炭素を捕捉し、第2の温度において二酸化炭素を放出するように構成された吸着材層を有し、前記第2の温度は、前記第1の温度よりも高い、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記システムは、前記二酸化炭素捕捉ユニットの出口からのアノード水を前記熱伝達ユニットに輸送するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記システムは、前記熱伝達ユニットから前記二酸化炭素還元電解槽に前記アノード水を再循環させるように更に構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記システムは、前記二酸化炭素捕捉ユニットの出口からの前記炭素含有反応生成物を含むガスストリームを前記熱伝達ユニットに輸送するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記システムは、前記二酸化炭素捕捉ユニットの出口からのアノード水を、前記二酸化炭素捕捉ユニットに熱を伝達するように構成された第2の熱伝達ユニットに、輸送するように更に構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記炭素含有反応生成物は、一酸化炭素を含み、前記システムは、水素を前記一酸化炭素と結合させ、合成ガスを生成するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記水素を生成するように構成された水電解槽を更に備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記合成ガスを受け取るように構成されたフィッシャー・トロプシュリアクタを更に備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記フィッシャー・トロプシュリアクタによって生成された余剰の熱を前記二酸化炭素捕捉ユニットに伝達し、前記二酸化炭素捕捉ユニットによる二酸化炭素捕捉及び/又は二酸化炭素放出を促進するように構成された第2の熱伝達ユニットを更に備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記合成ガスを受け取るように構成されたメタノール合成リアクタを更に備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記メタノール合成リアクタによって生成された余剰の熱を前記二酸化炭素捕捉ユニットに伝達し、前記二酸化炭素捕捉ユニットによる二酸化炭素捕捉及び/又は二酸化炭素放出を促進するように構成された第2の熱伝達ユニットを更に備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
(a)膜電極アセンブリを備える二酸化炭素還元電解槽において二酸化炭素を炭素含有生成物に還元する段階、前記膜電極アセンブリは、1又は複数のイオン伝導性ポリマー層、及び二酸化炭素の前記炭素含有生成物への化学的還元を促進するためのカソード触媒を有する;
(b)前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された余剰の熱を、不純二酸化炭素源から二酸化炭素を捕捉し、前記不純二酸化炭素源からの二酸化炭素の濃度よりも高い濃度において二酸化炭素を出力するように構成された二酸化炭素捕捉ユニットに伝達する段階;及び
(c)前記出力された二酸化炭素を前記二酸化炭素還元電解槽に伝達する段階
を備える、方法。
【請求項18】
前記二酸化炭素還元電解槽において二酸化炭素を還元しながら湿度を生成する段階、及び
前記湿度を前記二酸化炭素捕捉ユニットに送達し、前記湿度に曝露されると捕捉された二酸化炭素の放出を促進する段階
を更に備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記二酸化炭素還元電解槽からの余剰の二酸化炭素を前記二酸化炭素捕捉ユニットに輸送する段階を更に備え、前記二酸化炭素捕捉ユニットにおいて、前記余剰の二酸化炭素は、精製される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記不純二酸化炭素源は、空気である、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された前記余剰の熱を前記二酸化炭素捕捉ユニットに伝達する段階は、前記余剰の熱を熱交換器に伝達する段階を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記二酸化炭素捕捉ユニットは、第1の温度において二酸化炭素を捕捉し、第2の温度において二酸化炭素を放出する吸着材層を有し、前記第2の温度は、前記第1の温度よりも高い、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された余剰の熱を前記二酸化炭素捕捉ユニットに伝達する段階は、前記二酸化炭素捕捉ユニットの出口からのアノード水を前記二酸化炭素捕捉ユニットに輸送する段階を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記二酸化炭素捕捉ユニットから前記二酸化炭素還元電解槽に前記アノード水を再循環させる段階を更に備える、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された余剰の熱を前記二酸化炭素捕捉ユニットに伝達する段階は、前記二酸化炭素捕捉ユニットの出口からの前記炭素含有生成物を含むガスストリームを前記二酸化炭素捕捉ユニットに輸送する段階を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された余剰の熱を前記二酸化炭素捕捉ユニットに伝達する段階は、前記二酸化炭素捕捉ユニットの出口からのアノード水を前記二酸化炭素捕捉ユニットに輸送する段階を更に有する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記炭素含有生成物は、一酸化炭素を含み、前記方法は、水素を前記一酸化炭素と結合させ、合成ガスを生成する段階を更に備える、請求項17に記載の方法。
【請求項28】
前記水素を生成するために水を電解する段階を更に備える、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記合成ガスをフィッシャー・トロプシュリアクタに提供する段階を更に備える、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記フィッシャー・トロプシュリアクタによって生成された余剰の熱を前記二酸化炭素捕捉ユニットに伝達する段階を更に備える、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記合成ガスをメタノール合成リアクタに提供する段階を更に備える、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記メタノール合成リアクタによって生成された余剰の熱を前記二酸化炭素捕捉ユニットに伝達する段階を更に備える、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
(a)膜電極アセンブリを有する二酸化炭素還元電解槽、前記膜電極アセンブリは、1又は複数のイオン伝導性ポリマー層、及び二酸化炭素の炭素含有化合物への化学的還元を促進するためのカソード触媒を有する;
(b)前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された前記炭素含有化合物又は前記炭素含有化合物の誘導体を受け取り、1又は複数の生成物化学物質を生成するように構成された1又は複数のリアクタ;及び
(c)前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された余剰の熱を受け取り、前記1又は複数の生成物化学物質の生成を促進するように構成された熱受容ユニット
を備える、システム。
【請求項34】
前記熱受容ユニットは、余剰の熱を、前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された前記炭素含有化合物又は前記炭素含有化合物の前記誘導体を受け取り、前記1又は複数の生成物化学物質を生成するように構成された前記1又は複数のリアクタに、提供するように更に構成されている、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記熱受容ユニットは、前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された前記余剰の熱を受け取るように構成された熱交換器を有する、請求項33に記載のシステム。
【請求項36】
前記熱受容ユニットは、前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された前記余剰の熱を受け取るように構成された再沸器を有する、請求項33に記載のシステム。
【請求項37】
前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された前記炭素含有化合物又は前記炭素含有化合物の前記誘導体を受け取るように構成された前記1又は複数のリアクタは、フィッシャー・トロプシュリアクタを含む、請求項33に記載のシステム。
【請求項38】
前記熱受容ユニットは、気体炭化水素を水と反応させるように構成された改質器である、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記フィッシャー・トロプシュリアクタは、ナフサを生成するように構成されている、請求項37に記載のシステム。
【請求項40】
前記炭素含有化合物は、COであり、前記熱受容ユニットは、CO精製ユニットである、請求項33に記載のシステム。
【請求項41】
前記CO精製ユニットは、吸着材を利用する、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
(a)膜電極アセンブリを有する二酸化炭素還元電解槽において二酸化炭素を炭素含有化合物に還元する段階、前記膜電極アセンブリは、1又は複数のイオン伝導性ポリマー層、及び二酸化炭素の前記炭素含有化合物への化学的還元を促進するためのカソード触媒を有する;
(b)1又は複数の反応において前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された前記炭素含有化合物又は前記炭素含有化合物の誘導体を反応させて、1又は複数の生成物化学物質を生成する段階;及び
(c)前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された余剰の熱を前記1又は複数の反応に伝達して、前記1又は複数の生成物化学物質の生成を促進する段階
を備える、
生成物化学物質の製造方法。
【請求項43】
前記1又は複数の反応は、吸熱反応である、請求項42に記載の
生成物化学物質の製造方法。
【請求項44】
(c)は、前記余剰の熱を、前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された前記余剰の熱を受け取るように構成された熱交換器に提供する段階を有する、請求項42に記載の
生成物化学物質の製造方法。
【請求項45】
前記1又は複数の反応は、フィッシャー・トロプシュ反応を含む、請求項42に記載の
生成物化学物質の製造方法。
【請求項46】
(c)は、前記余剰の熱を、気体炭化水素を水と反応させる改質器に、提供する段階を有する、請求項45に記載の
生成物化学物質の製造方法。
【請求項47】
前記炭素含有化合物は、COであり、(c)は、前記余剰の熱をCO精製ユニットに提供する段階を有する、請求項42に記載の
生成物化学物質の製造方法。
【請求項48】
前記CO精製ユニットは、吸着材を利用する、請求項47に記載の
生成物化学物質の製造方法。
【請求項49】
二酸化炭素からメタノールを生成するためのシステムであって、前記システムは、
(a)膜電極アセンブリを有する二酸化炭素還元電解槽、前記膜電極アセンブリは、1又は複数のイオン伝導性ポリマー層、及び二酸化炭素の一酸化炭素への化学的還元を促進するためのカソード触媒を含む;
(b)前記一酸化炭素及び水素からメタノールを生成するように構成されたメタノール合成リアクタ、ここで、前記システムは、前記二酸化炭素還元電解槽からの前記一酸化炭素を前記メタノール合成リアクタに輸送するように構成されている;及び
(c)前記メタノール合成リアクタによって生成された余剰の熱を前記システムの補助コンポーネントに伝達するように構成された熱伝達ユニット
を備える、システム。
【請求項50】
前記水素を生成するように構成された水電解槽を更に備える、請求項49に記載のシステム。
【請求項51】
前記水電解槽によって生成された熱を前記システムの前記補助コンポーネントに伝達するように構成された第2の熱伝達ユニットを更に備える、請求項50に記載のシステム。
【請求項52】
前記補助コンポーネントは、不純二酸化炭素源から二酸化炭素を捕捉し、前記不純二酸化炭素源中の二酸化炭素の濃度よりも高い濃度において二酸化炭素を出力するように構成された二酸化炭素捕捉ユニットを有する、請求項49に記載のシステム。
【請求項53】
前記熱伝達ユニットは、前記余剰の熱を含む蒸気を受け取るように構成されている、請求項52に記載のシステム。
【請求項54】
前記熱伝達ユニットは、熱湯ストリームを出力するように構成されている、請求項53に記載のシステム。
【請求項55】
前記システムは、前記熱湯を前記メタノール合成リアクタに伝達するように更に構成されている、請求項54に記載のシステム。
【請求項56】
(a)膜電極アセンブリを備える二酸化炭素還元電解槽において二酸化炭素を炭素含有生成物に還元する段階、前記膜電極アセンブリは、1又は複数のイオン伝導性ポリマー層、及び二酸化炭素の一酸化炭素への化学的還元を促進するためのカソード触媒を有する;
(b)前記二酸化炭素還元電解槽からの前記一酸化炭素をメタノール合成リアクタに輸送する段階;
(c)前記メタノール合成リアクタにおいて前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された前記一酸化炭素及び水素を反応させて、メタノールを生成する段階;及び
(d)前記二酸化炭素還元電解槽及び/又は前記メタノール合成リアクタによって生成された余剰の熱を補助コンポーネントに伝達する段階
を備える、
メタノールの製造方法。
【請求項57】
前記水素を生成するために水を電解する段階を更に備える、請求項56に記載の
メタノールの製造方法。
【請求項58】
前記水を電解することによって生成された熱をシステムの前記補助コンポーネントに伝達する段階を更に備える、請求項57に記載の
メタノールの製造方法。
【請求項59】
前記補助コンポーネントは、不純二酸化炭素源から二酸化炭素を捕捉し、前記不純二酸化炭素源中の二酸化炭素の濃度よりも高い濃度において二酸化炭素を出力するように構成された二酸化炭素捕捉ユニットを有する、請求項56に記載の
メタノールの製造方法。
【請求項60】
前記メタノール合成リアクタによって生成された余剰の熱を伝達する段階は、前記余剰の熱を含む蒸気を前記二酸化炭素捕捉ユニットに送達する段階を有する、請求項59に記載の
メタノールの製造方法。
【請求項61】
前記蒸気を熱湯に変換する段階を更に備える、請求項60に記載の
メタノールの製造方法。
【請求項62】
前記熱湯を前記メタノール合成リアクタに伝達する段階を更に備える、請求項61に記載の
メタノールの製造方法。
【請求項63】
二酸化炭素から液体炭化水素を生成するためのシステムであって、前記システムは、
(a)膜電極アセンブリを有する二酸化炭素還元電解槽、前記膜電極アセンブリは、1又は複数のイオン伝導性ポリマー層、及び二酸化炭素の一酸化炭素への化学的還元を促進するためのカソード触媒を含む;
(b)前記一酸化炭素及び水素から液体炭化水素混合物を生成するように構成されたフィッシャー・トロプシュリアクタ、ここで、前記システムは、前記二酸化炭素還元電解槽からの前記一酸化炭素を前記フィッシャー・トロプシュリアクタに輸送するように構成されている;及び
(c)前記フィッシャー・トロプシュリアクタによって生成された余剰の熱を前記システムの補助コンポーネントに伝達するように構成された熱伝達ユニット
を備える、システム。
【請求項64】
前記補助コンポーネントは、気体炭化水素を水と反応させるように構成された改質器を有する、請求項63に記載のシステム。
【請求項65】
前記熱伝達ユニットは、前記余剰の熱を前記改質器に伝達するように構成されている、請求項64に記載のシステム。
【請求項66】
前記フィッシャー・トロプシュリアクタによって生成されたテールガスを燃焼させ、二酸化炭素を生成するように構成されたテールガス燃焼ユニットを更に備え、前記システムは、前記テールガス燃焼ユニットからの二酸化炭素を前記二酸化炭素還元電解槽に輸送するように構成されている、請求項63に記載のシステム。
【請求項67】
前記補助コンポーネントは、不純二酸化炭素源から二酸化炭素を捕捉し、前記不純二酸化炭素源中の二酸化炭素の濃度よりも高い濃度において二酸化炭素を出力するように構成された二酸化炭素捕捉ユニットを有する、請求項63に記載のシステム。
【請求項68】
前記熱伝達ユニットは、前記余剰の熱を含む蒸気を受け取るように構成されている、請求項67に記載のシステム。
【請求項69】
前記熱伝達ユニットは、熱湯ストリームを出力するように構成されている、請求項68に記載のシステム。
【請求項70】
前記システムは、前記熱湯を前記フィッシャー・トロプシュリアクタに伝達するように更に構成されている、請求項69に記載のシステム。
【請求項71】
(a)膜電極アセンブリを備える二酸化炭素還元電解槽において二酸化炭素を炭素含有生成物に還元する段階、前記膜電極アセンブリは、1又は複数のイオン伝導性ポリマー層、及び二酸化炭素の一酸化炭素への化学的還元を促進するためのカソード触媒を有する;
(b)前記二酸化炭素還元電解槽からの前記一酸化炭素をフィッシャー・トロプシュリアクタに輸送する段階;
(c)前記フィッシャー・トロプシュリアクタにおいて前記二酸化炭素還元電解槽によって生成された前記一酸化炭素及び水素を反応させて、液体炭化水素を生成する段階;及び
(d)前記二酸化炭素還元電解槽及び/又は前記フィッシャー・トロプシュリアクタによって生成された余剰の熱を補助コンポーネントに伝達する段階
を備える、
液体炭化水素の製造方法。
【請求項72】
前記補助コンポーネントは、気体炭化水素を水と反応させるように構成された改質器を有する、請求項71に記載の
液体炭化水素の製造方法。
【請求項73】
前記余剰の熱は、前記二酸化炭素還元電解槽によって生成される、請求項72に記載の
液体炭化水素の製造方法。
【請求項74】
前記フィッシャー・トロプシュリアクタによって生成されたテールガスを燃焼させ、二酸化炭素を生成する段階、及び
前記テールガスを燃焼させることによって生成された二酸化炭素を前記二酸化炭素還元電解槽に輸送する段階
を更に備える、請求項71に記載の
液体炭化水素の製造方法。
【請求項75】
前記補助コンポーネントは、不純二酸化炭素源から二酸化炭素を捕捉し、前記不純二酸化炭素源中の二酸化炭素の濃度よりも高い濃度において二酸化炭素を出力するように構成された二酸化炭素捕捉ユニットを有する、請求項71に記載の
液体炭化水素の製造方法。
【請求項76】
前記フィッシャー・トロプシュリアクタによって生成された余剰の熱を伝達する段階は、前記余剰の熱を含む蒸気を前記二酸化炭素捕捉ユニットに送達する段階を有する、請求項75に記載の
液体炭化水素の製造方法。
【請求項77】
前記蒸気を熱湯に変換する段階を更に備える、請求項76に記載の
液体炭化水素の製造方法。
【請求項78】
前記熱湯を前記フィッシャー・トロプシュリアクタに伝達する段階を更に備える、請求項77に記載の
液体炭化水素の製造方法。
【国際調査報告】