(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】研磨組成物及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20241031BHJP
C09K 3/14 20060101ALI20241031BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20241031BHJP
B24B 37/10 20120101ALI20241031BHJP
B24B 37/12 20120101ALI20241031BHJP
【FI】
H01L21/304 622D
C09K3/14 550D
C09K3/14 550Z
B24B37/00 H
B24B37/10
B24B37/12 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525729
(86)(22)【出願日】2022-10-21
(85)【翻訳文提出日】2024-06-14
(86)【国際出願番号】 US2022047391
(87)【国際公開番号】W WO2023076112
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514251329
【氏名又は名称】フジフイルム エレクトロニック マテリアルズ ユー.エス.エー., インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リャン、ヤンナン
(72)【発明者】
【氏名】フー、ピン
(72)【発明者】
【氏名】ミシュラ、アブダヤ
(72)【発明者】
【氏名】ホアン、ティン-カイ
(72)【発明者】
【氏名】チャン、イーピン
(72)【発明者】
【氏名】ジョンストン、ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】マクドナウ、ジェイムズ
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158CA01
3C158DA12
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5F057BB22
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5F057EA29
5F057EA33
(57)【要約】
研磨組成物は、アニオン性研磨剤、pH調整剤、low-k除去速度阻害剤、ルテニウム除去速度上昇剤、及び水を含む。基板を研磨する方法は、本開示に記載の研磨組成物を基板の表面に付与するステップであって、前記表面がルテニウム又はハードマスク材料を含む、前記ステップ;及び前記基板の前記表面にパッドを接触させ、そして前記パッドを前記基板に対して動かすステップ、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニオン性シリカ研磨剤であって、式(I)の末端基を含み、
-O
m-Si-(CH
2)
n-CH
3 (I)
式中、mは1~3の整数であり、nは0~10の整数であり、そして、-(CH
2)
n-CH
3基は少なくとも1つのカルボン酸基で置換されている、アニオン性シリカ研磨剤;
pH調整剤;
low-k除去速度阻害剤;
ルテニウム除去速度上昇剤;及び
水
を含み、
約7~約14のpHを有する
研磨組成物。
【請求項2】
前記アニオン性シリカ研磨剤が、前記組成物に対して約0.01重量%~約50重量%の量である、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項3】
前記pH調整剤が、ギ酸、酢酸、マロン酸、クエン酸、プロピオン酸、リンゴ酸、アジピン酸、コハク酸、乳酸、シュウ酸、過酢酸、酢酸カリウム、フェノキシ酢酸、安息香酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、ホスホン酸、塩酸、過ヨウ素酸、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム、水酸化アンモニウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、メチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化エチルトリメチルアンモニウム、水酸化ジエチルジメチルアンモニウム、水酸化ジメチルジプロピルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、水酸化トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム、水酸化コリン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項4】
前記pH調整剤が、前記組成物に対して約0.0001重量%~約30重量%の量である、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項5】
前記low-k除去速度阻害剤がノニオン性界面活性剤である、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項6】
前記ノニオン性界面活性剤は、アルコールアルコキシレート、アルキルフェノールアルコキシレート、トリスチリルフェノールアルコキシレート、ソルビタンエステルアルコキシレート、ポリアルコキシレート、ポリアルキレンオキシドブロック共重合体、テトラヒドロキシオリゴマー、アルコキシレート化ジアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項5に記載の研磨組成物。
【請求項7】
前記low-k除去速度阻害剤が、前記組成物に対して約0.0005重量%~約5重量%の量である、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項8】
前記ルテニウム除去速度上昇剤は、水酸化アンモニウム、塩化アンモニウム、フッ化アンモニウム、臭化アンモニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、チオシアン酸アンモニウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸ナトリウム、硝酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、ホスホン酸、塩酸、過ヨウ素酸、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸ルビジウム、硝酸セシウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化ルビジウム、フッ化セシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化ルビジウム、塩化セシウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項9】
前記ルテニウム除去速度上昇剤が、前記組成物に対して約0.0001重量%~約5重量%の量である、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項10】
エチレンジアミン四酢酸、イミノ二酢酸、N-ヒドロキシエチル-エチレンジアミン三酢酸、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、ジアミノシクロヘキサン四酢酸、ニトリロトリメチルホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、1-ヒドロキシルエチリデン-1,1-ジホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、ヒドロキシエチリデン二ホスホン酸、2-ホスホノ-1,2,4-ブタントリカルボン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ビス(ヘキサメチレン)トリアミンホスホン酸、アミノ酢酸、及びそれらの組み合わせ、からなる群から選択されるキレート剤をさらに含む、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項11】
前記キレート剤が、前記組成物に対して約0.001重量%~約1重量%の量である、請求項10に記載の研磨組成物。
【請求項12】
過酸化水素、オルト過ヨウ素酸、メタ過ヨウ素酸、ジメソ過ヨウ素酸、ジオルト過ヨウ素酸、過ヨウ素酸アンモニウム、過ヨウ素酸カリウム、過ヨウ素酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、ヨウ素酸、ヨウ素酸塩、過塩素酸、過塩素酸塩、ヒドロキシルアミン及びヒドロキシルアミン塩、並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される酸化剤をさらに含む、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項13】
前記酸化剤が、前記組成物に対して約0.001重量%~約5重量%の量である、請求項12に記載の研磨組成物。
【請求項14】
トリアゾール、テトラゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、1,2,4-トリアゾール、エチルベンゾトリアゾール、プロピルベンゾトリアゾール、ブチルベンゾトリアゾール、ペンチルベンゾトリアゾール、ヘキシルベンゾトリアゾール、ジメチルベンゾトリアゾール、クロロベンゾトリアゾール、ジクロロベンゾトリアゾール、クロロメチルベンゾトリアゾール、クロロエチルベンゾトリアゾール、フェニルベンゾトリアゾール、ベンジルベンゾトリアゾール、アミノトリアゾール、アミノベンゾイミダゾール、ピラゾール、イミダゾール、アミノテトラゾール、イソチアゾール、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、アゾール含有防錆剤をさらに含む、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項15】
前記アゾール含有防錆剤が、前記組成物に対して約0.0001重量%~約1重量%の量である、請求項14に記載の研磨組成物。
【請求項16】
前記水が、前記組成物に対して約20重量%~約99重量%の量である、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項17】
請求項1に記載の研磨組成物を基板の表面に付与するステップであって、前記表面がルテニウム又はハードマスク材料を含む、前記ステップ;及び
前記基板の前記表面にパッドを接触させ、そして前記パッドを前記基板に対して動かすステップ、
を含む、基板を研磨する方法。
【請求項18】
前記研磨組成物で処理された前記基板から半導体デバイスを製造することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は研磨組成物及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願への相互参照
本願は、2021年10月28日出願の米国仮出願番号63/272,719からの優先権を主張する。該米国仮出願の内容は、その全体が参照により本開示に取り込まれる。
【0003】
半導体産業は、プロセス、材料、及び集積のイノベーションによるデバイスのさらなる小型化によって、チップ性能を向上するよう常に駆られている。先の材料イノベーションとしては、インターコネクト構造中の導電材料としてのアルミニウムに代えての銅の導入、及び非導電性/絶縁体誘電材料からCu導電材料を分離するための拡散障壁としてのタンタル(Ta)/窒化タンタル(TaN)の使用がある。銅(Cu)は、銅が有する低い抵抗率及びエレクトロマイグレーションに対する優れた抵抗性のために、インターコネクト材料として選択された。
【0004】
しかしながら、より新世代のチップのフィーチャが小型化すると共に、バックエンド(BEOL)における効果的なインターコネクト抵抗率を維持するためには、多層のCu/バリア/誘電体積層物は、より薄く、またよりコンフォーマルでなければならない。より薄いCu及びTa/TaNバリア膜スキームは、抵抗率及び堆積におけるフレキシビリティについて問題を提示する。例えば、より小さな寸法及び先進の製造ノードと共に、抵抗率は指数的に悪化しつつあり、(フロントエンド(FEOL)における)トランジスタ回路速度における改善は、導電性Cu/バリア配線(BEOL)由来の遅延によって半減されている。ルテニウム(Ru)は、ライナー材料として、バリア層として、及び導電層としての使用のための主要な候補として現れてきた。ルテニウムは誘電層に対する優れた抗Cu拡散を有するが、銅シード層を用いなくても小寸法トレンチ内への直接の銅エレクトロ充填を促進しもする。さらに、ルテニウムは、従来のタングステン(W)金属を置き換えるビア用の材料としても研究されている。
【発明の概要】
【0005】
この概要記載は、以下でさらに詳細な説明において説明される概念のセレクションを紹介するために与えられる。この概要記載は、特許請求の範囲に記載の主題の重要な又は必須の特徴を特定することを意図するものでもなければ、特許請求の範囲に記載の主題の範囲を制限することの助けとして用いられることを意図したものでもない。
【0006】
本開示において用いられる場合、他に断りがなければ、記載されたパーセント値は全て、研磨組成物の総重量に対する重量パーセント値であると理解されるべきである。
【0007】
1つの態様では、本開示は、
(1)アニオン性シリカ研磨剤であって、式(I)の末端基を含み、
-Om-Si-(CH2)n-CH3 (I)
式中、mは1~3の整数であり、nは0~10の整数であり、そして、-(CH2)n-CH3基は少なくとも1つのカルボン酸基で置換されている、アニオン性シリカ研磨剤;
(2)pH調整剤;
(3)low-k除去速度阻害剤;
(4)ルテニウム除去速度上昇剤;及び
(5)水
を含む研磨組成物を含む研磨組成物を主題とする。該研磨組成物は約7~約14のpHを有する。
【0008】
他のある態様では、本開示は、本開示に記載の研磨組成物を基板の表面に付与するステップであって、前記表面がルテニウム又はハードマスク材料を含む、前記ステップ;及び前記基板の前記表面にパッドを接触させ、そして前記パッドを前記基板に対して動かすステップ、を含む、基板を研磨する方法を主題とする。
【0009】
特許請求の範囲に記載の主題の他の態様及び利点は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、3種類の異なるシリカ研磨剤を含む水性分散物について、pHを変化させた際のゼータ電位の変化を示すプロットである。
【
図2】
図2は、未修飾シリカ、カチオン性修飾シリカ、スルホン酸修飾シリカ、及びカルボン酸修飾シリカを含む水性分散物についての平均粒子径(MPS)の経時での変化を示すプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
【0012】
本開示に開示された実施形態は、一般に、組成物、ならびに、該組成物を用いて、少なくともルテニウム部分及び/又はハードマスク部分(例えば、タングステン、カーバイド、窒化物セラミック(例えば、TiN)、及びドープされたそれらの誘導体)を含む基板を研磨する方法に関する。前記基板は、より具体的には、少なくともルテニウム部分、ハードマスク部分、及び銅部分を含んでもよい。本開示に記載の組成物は、銅腐食を最小化しつつ(例えば、表面粗さを最小化しつつ)、ルテニウム、銅、及び/又はハードマスク材料を効果的に除去することができる。例えば、本開示に記載の組成物は、銅、ルテニウムライナー、ハードマスク材料(例えば、チタン及びドープされたその誘導体、タングステン及びドープされたその誘導体(例えばWB4)、炭化物(例えば、BC、B4C、TiC、SiC、及びWC)、含ホウ素材料(例えば、B6O、BC2N、及びAlMgB14)、並びに窒化物セラミック材料(例えば、SiN、TiN、BN)、バリア材料(例えば、Ta、TaN)、並びに誘電材料(例えば、TEOS、low-k、ウルトラlow-k、等々))を含む先端のノード膜を研磨するのに特に有用であり得る。いくつかの実施形態では、本開示に記載の組成物は、銅腐食を最小化しつつ(例えば、表面粗さを最小化しつつ)、比較的高い除去速度で銅を除去することができる。
【0013】
現在利用可能なCMPスラリーの多くは、前述の銅及びタングステンなど、旧来のチップ設計においてより一般的な材料を除去するように特に設計されている。しかし、半導体産業におけるバックエンド(BEOL)用途では、ルテニウムは、良好な導電性、堆積性を有し、Cu拡散に抵抗性であることから、ライナー材料としての用途が見いだされつつある。コバルト及び銅などのいくつかの他の材料とは異なり、ルテニウムは化学的に比較的安定であり、したがって劣化せず、研磨の間に除去することが困難でありうる。さらに、ルテニウムはしばしば、導電層である銅との組み合わせで用いられる。上述したとおり、銅は比較的軟らかい材料であり、したがって除去が容易である。銅は、多くの半導体デバイスの機能に必須であり、このため、銅層又は銅インレイをあまりにも容易に剥がし去る又は傷つけるCMPスラリーが用いられると、完成したデバイスの性能に悪影響を与えうる。旧来のCMPスラリーは、銅に有害で許容できない欠陥を生じることなしにルテニウムを効果的に除去することができないおそれがある。銅は、化学的腐食をより受けやすいためである。この結果、あまり先進でないスラリーは、研磨対象のマルチコンポーネント基板の1つ又はそれ以上のコンポーネントに対して許容できない腐食、ウェハトポロジー、及び/又は除去速度選択性を提示しうる。さらに、より複雑な集積スキームは、Ruライナー及びCu導電層と組み合わせてエッチマスクとしてのハードマスクを用いる場合があり、このことは、研磨スラリーによって効果的に除去可能でなければならないさらに別の材料を提示する。
【0014】
半導体作製においてマルチコンポーネント集積スキームがより多く使われそしてそのサイズが減少していることに伴い、最小限の銅腐食で、ただし他の全てのコンポーネントについては良好な除去速度及び選択性を有して、ルテニウム、銅、及びハードマスク材料を含む基板を効果的に研磨することができるCMPスラリーに対する市場のニーズがある。
【0015】
1つ又はそれ以上の実施形態では、本開示に記載の研磨組成物は、アニオン性シリカ研磨剤、pH調整剤、low-k除去速度阻害剤、ルテニウム除去速度上昇剤、及び水を含む。1つ又はそれ以上の実施形態では、前記研磨組成物は、バリア膜除去速度上昇剤、アゾール含有防錆剤、キレート剤、及び/又は酸化剤を任意に(optionally)含んでもよい。1つ又はそれ以上の実施形態では、本開示に記載の研磨組成物は、約0.1重量%~約50重量%の研磨剤、約0.0001重量%~約30重量%のpH調整剤、約0.0005重量%~約5重量%のlow-k除去速度阻害剤、約0.0001重量%~約5重量%のルテニウム除去速度上昇剤、及び残部重量%(例えば約20重量%~約99重量%)の溶媒(例えば、脱イオン水)を含んでもよい。1つ又はそれ以上の実施形態では、前記研磨組成物は、約0.002重量%~約4重量%のバリア膜除去速度上昇剤、約0.0001重量%~約1重量%のアゾール含有防錆剤、約0.001重量%~約1重量%のキレート剤、及び/又は約0.001重量%~約5重量%の酸化剤をさらに含んでもよい。
【0016】
1つ又はそれ以上の実施形態では、本開示は、使用前に水で最大2倍まで(up to a factor of two)、又は最大4倍まで、又は最大6倍まで、又は最大8倍まで、又は最大10倍まで希釈することができる濃縮研磨組成物を提供する。他の実施形態では、本開示は、ルテニウム含有基板上での使用のための使用時(point-of-use)(POU)研磨組成物であって、上述の研磨組成物、水、及び任意に(optionally)酸化剤を含む使用時(POU)研磨組成物を提供する。
【0017】
1つ又はそれ以上の実施形態では、本開示に記載の研磨組成物は、少なくとも1種の(例えば、2種又は3種の)アニオン性シリカ研磨剤を含んでよい。1つ又はそれ以上の実施形態では、前記少なくとも1種のアニオン性シリカ研磨剤は、1つ又はそれ以上の(例えば、2つ又は3つの)式(I)の末端基を含んでよい。
-Om-Si-(CH2)n-CH3 (I)
式中、mは1~3の整数であり、nは0~10の整数であり、そして、-(CH2)n-CH3基は少なくとも1つの(例えば、2つ、3つ、又は4つの)カルボン酸基で置換されている。いくつかの実施形態では、カルボキシル基による置換は、-(CH2)n-CH3基の中央の炭素及び/又は末端の炭素におけるものであってよい。いくつかの実施形態では、前記末端基は、式(II)の末端基であってもよい。
-Om-Si-(CH2)n-CH(3-p)Yp (II)
式中、mは1~3の整数であり、nは0~10の整数であり、pは1~3の整数であり、そしてYはカルボン酸基である。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種のアニオン性シリカ研磨剤は高純度であり、そして、約100ppm未満のアルコール、約100ppm未満のアンモニア、及び約100十億分率(ppb)のアルカリカチオン(例えばナトリウムカチオン)を有してもよい。理論に拘束されることを望むものではないが、カルボン酸基を含む前記アニオン性シリカ研磨剤は、研磨組成物によって研磨された半導体基板上に形成された欠陥を顕著に減少させることができると考えられる。
【0019】
1つ又はそれ以上の実施形態では、本開示に記載の研磨剤は、約1nm以上(例えば、約5nm以上、約10nm以上、約20nm以上、約40nm以上、約50nm以上、約60nm以上、約80nm以上、又は約100nm以上)から約1000nm以下(例えば、約800nm以下、約600nm以下、約500nm以下、約400nm以下、約200nm以下、又は約150nm以下)の平均粒子径を有してもよい。本開示において用いられる場合、平均粒子径(MPS)は、動的光散乱技術によって求められる。1つ又は複数の実施形態では、前記研磨剤は、単一の化学種(例えば、シリカ粒子)の粒子であってもよく、また、前記研磨組成物は、2種類以上の材料の複合体(例えば、セラミックマトリクスに埋め込まれたシリカ粒子)である研磨剤を含まなくてもよい。
【0020】
1つ又は複数の実施形態では、前記少なくとも1種のアニオン性シリカ研磨剤は、本開示に記載の研磨組成物に対して約0.1重量%以上(例えば、約0.5重量%以上、約1重量%以上、約2重量%以上、約4重量%以上、約5重量%以上、約10重量%以上、約12重量%以上、約15重量%以上、又は約20重量%以上)から約50重量%以下(例えば、約45重量%以下、約40重量%以下、約35重量%以下、約30重量%以下、約25重量%以下、約20重量%以下、約15重量%以下、約12重量%以下、約10重量%以下、又は約5重量%以下)の量である。
【0021】
1つ又はそれ以上の実施形態では、本開示に記載の研磨組成物は、少なくとも1種の(例えば、2種又は3種の)pH調整剤(pH adjuster or pH adjusting agent)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種のpH調整剤は、ギ酸、酢酸、マロン酸、クエン酸、プロピオン酸、リンゴ酸、アジピン酸、コハク酸、乳酸、シュウ酸、過酢酸、酢酸カリウム、フェノキシ酢酸、安息香酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、ホスホン酸、塩酸、過ヨウ素酸、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム、水酸化アンモニウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、メチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化エチルトリメチルアンモニウム、水酸化ジエチルジメチルアンモニウム、水酸化ジメチルジプロピルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、水酸化トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム、水酸化コリン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。1つ又はそれ以上の実施形態では、pH調整剤はモノカルボン酸、ジカルボン酸、又はトリカルボン酸である。
【0022】
1つ又はそれ以上の実施形態では、前記少なくとも1種のpH調整剤は、本開示に記載の研磨組成物に対して約0.0001重量%以上(例えば、約0.0005重量%以上、約0.001重量%以上、約0.005重量%以上、約0.01重量%以上、約0.05重量%以上、約0.1重量%以上、約0.5重量%以上、約1重量%以上、約2重量%以上、約4重量%以上、約5重量%以上、約6重量%以上、又は約8重量%以上)から約30重量%以下(例えば、約25重量%以下、約20重量%以下、約15重量%以下、約10重量%以下、約9重量%以下、約8重量%以下、約7重量%以下、約6重量%以下、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、約0.5重量%以下、約0.2重量%以下、又は約0.1重量%以下)の量である。
【0023】
1つ又はそれ以上の実施形態では、前記研磨組成物のpH値は、約7以上(例えば、約7.5以上、約8以上、約8.5以上、約9以上、約9.5以上、約10以上、約10.5以上、約11以上、約11.5以上、又は約12以上)から約14以下(例えば、約13.5以下、約13以下、約12.5以下、約12以下、約11.5以下、約11以下、約10.5以下、約10以下、約9.5以下、又は約9以下)であってもよい。理論に拘束されることを望むものではないが、7より低いpHを有する研磨組成物は、銅の除去速度及び腐食を顕著に増加させ、14より高いpHを有する研磨組成物は、懸濁された研磨剤の安定性に影響し、そして粗さを顕著に増加させて該組成物によって研磨された膜の総体的品質を低下させる、と考えられる。
【0024】
1つ又はそれ以上の実施形態では、本開示に記載の研磨組成物は、少なくとも1種の(例えば、2種又は3種の)low-k除去速度阻害剤を含んでよい。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種のlow-k除去速度阻害剤はノニオン性界面活性剤である。1つ又はそれ以上の実施形態では、前記ノニオン性界面活性剤は、アルコールアルコキシレート、アルキルフェノールアルコキシレート、トリスチリルフェノールアルコキシレート、ソルビタンエステルアルコキシレート、ポリアルコキシレート、ポリアルキレンオキシドブロック共重合体、アルコキシレート化ジアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。1つ又はそれ以上の実施形態では、前記ノニオン性界面活性剤は、アルキルフェノールアルコキシレートを含まない。1つ又はそれ以上の実施形態では、前記ノニオン性界面活性剤は、約500g/mol以上、又は約1,000g/mol以上、又は約2,500g/mol以上、又は約5,000g/mol以上、又は約7,500g/mol以上、又は約10,000g/mol以上の数平均分子量を有するポリマーである。1つ又はそれ以上の実施形態では、前記ノニオン性界面活性剤は、約1,000,000g/mol以下、又は約750,000g/mol以下、又は約500,000g/mol以下、又は約250,000g/mol以下、又は約100,000g/mol以下の数平均分子量を有するポリマーである。1つ又はそれ以上の実施形態では、アルコキシレート化ノニオン性界面活性剤のアルコキシレート基は、エトキシレート、プロポキシレート、又はエトキシレート基とプロポキシレート基の組み合わせである。理論に拘束されることを望むものではないが、本開示に記載の研磨組成物において(上述のものなどの)ノニオン性界面活性剤をlow-k除去速度阻害剤として用いることができ、それによって半導体基板中のlow-k膜(例えば、カーボンドープしたケイ素酸化物膜)の除去速度を減少又は最小化させることができることは驚くべきことである。
【0025】
1つ又はそれ以上の実施形態では、前記low-k除去速度阻害剤は、本開示に記載の研磨組成物に対して、約0.0005重量%以上(例えば、約0.001重量%以上、約0.005重量%以上、約0.01重量%以上、約0.05重量%以上、約0.1重量%以上、約0.5重量%以上、約1重量%以上、約1.5重量%以上、約2重量%以上、又は約3重量%以上)から約5重量%以下(例えば、約4.5重量%以下、約4重量%以下、約3.5重量%以下、約3重量%以下、約2.5重量%以下、約2重量%以下、約1.5重量%以下、約1重量%以下、約0.5重量%以下、又は約0.1重量%以下)の量である。
【0026】
1つ又はそれ以上の実施形態では、本開示に記載の研磨組成物は、少なくとも1種の(例えば、2種又は3種の)ルテニウム除去速度上昇剤を含んでよい。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種のルテニウム除去速度上昇剤は、水酸化アンモニウム若しくはその塩、チオシアン酸塩、硝酸若しくはその塩、及び/又はハロゲン化物塩を含んでもよい。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種のルテニウム除去速度上昇剤は、水酸化アンモニウム、塩化アンモニウム、フッ化アンモニウム、臭化アンモニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、チオシアン酸アンモニウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸ナトリウム、硫酸、亜硫酸、リン酸、ホスホン酸、塩酸、過ヨウ素酸、硝酸、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸ルビジウム、硝酸セシウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化ルビジウム、フッ化セシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化ルビジウム、塩化セシウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0027】
1つ又はそれ以上の実施形態では、前記ルテニウム除去速度上昇剤は、組成物に対して約0.0001重量%~約5重量%の量である。1つ又はそれ以上の実施形態では、前記ルテニウム除去速度上昇剤は、本開示に記載の研磨組成物に対して、約0.0001重量%以上(例えば、約0.0002重量%以上、約0.0005重量%以上、約0.001重量%以上、約0.002重量%以上、約0.005重量%以上、約0.01重量%以上、約0.02重量%以上、約0.05重量%以上、約0.1重量%以上、約0.2重量%以上、又は約0.5重量%以上)から約5重量%以下(例えば、4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、約0.8重量%以下、約0.6重量%以下、約0.5重量%以下、約0.4重量%以下、約0.2重量%以下、約0.1重量%以下、約0.05重量%以下、約0.02重量%以下、約0.01重量%以下、又は約0.005重量%以下)である。
【0028】
1つ又はそれ以上の実施形態では、本開示に記載の研磨組成物は、少なくとも1種の(例えば、2種又は3種の)バリア膜除去速度上昇剤を任意に(optionally)含んでよい。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種のバリア膜除去速度上昇剤は(カルボン酸、アミノ酸、スルホン酸、又はホスホン酸などの)有機酸又はその塩である。いくつかの実施形態では、前記バリア膜除去速度上昇剤は、グルコン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、グリコール酸、マロン酸、ギ酸、シュウ酸、酢酸、プロピオン酸、過酢酸、コハク酸、乳酸、アミノ酢酸、フェノキシ酢酸、ビシン、ジグリコール酸、グリセリン酸、トリシン、アラニン、ヒスチジン、バリン、フェニルアラニン、プロリン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リシン、チロシン、安息香酸、その塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される有機酸又はその塩であってもよい。いくつかの実施形態では、本開示に記載の研磨組成物がバリア膜除去速度上昇剤とpH調整剤(または、キレート剤若しくはアミノ酸などその他の酸性材料)の両方を含むならば、前記バリア膜除去速度上昇剤は前記pH調整剤(又はその他の酸性材料)とは異なる。理論に拘束されることを望むものではないが、有機酸又はその塩(例えば上述のもの)は、本開示に記載の研磨組成物において有効なバリア膜除去速度上昇剤として用いることができ、それによって半導体基板中のバリア膜(例えば、Ta膜又はTaN膜)の除去速度を向上させることができる、と考えられる。
【0029】
1つ又はそれ以上の実施形態では、前記バリア膜除去速度上昇剤は、本開示に記載の研磨組成物に対して、約0.002重量%以上(例えば、約0.005重量%以上、約0.01重量%以上、約0.05重量%以上、約0.1重量%以上、約0.15重量%以上、約0.2重量%以上、約0.5重量%以上、約1重量%以上、約1.5重量%以上、又は約2重量%以上)から約4重量%以下(例えば、約3.5重量%以下、約3重量%以下、約2.5重量%以下、約2重量%以下、約1.5重量%以下、又は約1重量%以下)の量である。
【0030】
1つ又はそれ以上の実施形態では、本開示に記載の研磨組成物は、任意に(optionally)、少なくとも1種の(例えば、2種又は3種の)アゾール含有防錆剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種のアゾール含有防錆剤は、置換若しくは無置換のトリアゾール、置換若しくは無置換のテトラゾール、置換若しくは無置換のベンゾトリアゾール、置換若しくは無置換のピラゾール、及び置換若しくは無置換のイミダゾールからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、好適な置換基としてハロ(例えば、F、Cl、Br、又はI)、アミノ、アリール、又は任意に(optionally)アリールで置換されているC1~C6アルキルが挙げられる。1つ又はそれ以上の実施形態では、前記アゾール含有防錆剤は、1,2,4-トリアゾール、1,2,3-トリアゾール、テトラゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、メチルベンゾトリアゾール(例えば、1-メチルベンゾトリアゾール、4-メチルベンゾトリアゾール、及び5-メチルベンゾトリアゾール)、エチルベンゾトリアゾール(例えば、1-エチルベンゾトリアゾール)、プロピルベンゾトリアゾール(例えば、1-プロピルベンゾトリアゾール)、ブチルベンゾトリアゾール(例えば、1-ブチルベンゾトリアゾール及び5-ブチルベンゾトリアゾール)、ペンチルベンゾトリアゾール(例えば、1-ペンチルベンゾトリアゾール)、ヘキシルベンゾトリアゾール(例えば、1-ヘキシルベンゾトリアゾール及び5-ヘキシルベンゾトリアゾール)、ジメチルベンゾトリアゾール(例えば、5,6-ジメチルベンゾトリアゾール)、クロロベンゾトリアゾール(例えば、5-クロロベンゾトリアゾール)、ジクロロベンゾトリアゾール(例えば、5,6-ジクロロベンゾトリアゾール)、クロロメチルベンゾトリアゾール(例えば、1-(クロロメチル)-1-H-ベンゾトリアゾール)、クロロエチルベンゾトリアゾール、フェニルベンゾトリアゾール、ベンジルベンゾトリアゾール、アミノトリアゾール、アミノベンゾイミダゾール、アミノテトラゾール、イソチアゾール、並びにこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。1つ又はそれ以上の実施形態では、前記研磨組成物は、ベンゾトリアゾールとベンゾトリアゾール誘導体(例えば、置換ベンゾトリアゾール)の両方を含んでもよい。理論に拘束されることを望むものではないが、(上記のものなどの)アゾール含有防錆剤は、半導体基板中における銅の除去速度を顕著に減少又は最小化させることができると考えられる。
【0031】
1つ又はそれ以上の実施形態では、前記アゾール含有防錆剤は、本開示に記載の研磨組成物に対して、0.0001重量%以上(例えば、約0.0002重量%以上、約0.0005重量%以上、約0.001重量%以上、約0.002重量%以上、約0.005重量%以上、約0.01重量%以上、約0.02重量%以上、約0.05重量%以上、約0.1重量%以上、約0.2重量%以上、又は約0.5重量%以上)から約1重量%以下(例えば、約0.8重量%以下、約0.6重量%以下、約0.5重量%以下、約0.4重量%以下、約0.2重量%以下、約0.1重量%以下、約0.05重量%以下、約0.02重量%以下、約0.01重量%以下、約0.005重量%以下)の量である。
【0032】
1つ又はそれ以上の実施形態では、本開示に記載の研磨組成物は、任意に(optionally)、少なくとも1種の(例えば、2種又は3種の)キレート剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1種の任意成分としての(optional)キレート剤は、アミノ含有カルボン酸(例えば、ポリアミノポリカルボン酸)又はホスホン酸であってもよい。いくつかの実施形態では、前記キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸、イミノ二酢酸、N-ヒドロキシエチル-エチレンジアミン三酢酸、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、ジアミノシクロヘキサン四酢酸、ニトリロトリメチルホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、1-ヒドロキシルエチリデン-1,1-ジホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、ヒドロキシエチリデン二ホスホン酸、2-ホスホノ-1,2,4-ブタントリカルボン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ビス(ヘキサメチレン)トリアミンホスホン酸、アミノ酢酸、及びそれらの組み合わせ、からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、本開示に記載の研磨組成物がキレート剤とpH調整剤(又はバリア膜除去速度上昇剤若しくはアミノ酸などの、その他の酸性材料)の両方を含むならば、前記キレート剤は前記pH調整剤(又は前記その他の酸性材料)とは異なる。理論に拘束されることを望むものではないが、(上述のものなどの)キレート剤を本開示に記載の研磨組成物に含ませることは、(銅ウェハの表面上の欠陥などの)半導体基板上に観察される欠陥を顕著に減少又は最小化させることができると考えられる。
【0033】
1つ又はそれ以上の実施形態では、前記キレート剤は、本開示に記載の研磨組成物に対して、0.001重量%以上%(例えば、約0.002重量%以上、約0.005重量%以上、約0.01重量%以上、約0.02重量%以上、約0.05重量%以上、約0.1重量%以上、約0.2重量%以上、又は約0.5重量%以上)から約1重量%以下(例えば、約0.8重量%以下、約0.6重量%以下、約0.5重量%以下、約0.4重量%以下、約0.2重量%以下、約0.1重量%以下、約0.05重量%以下、約0.02重量%以下、約0.01重量%以下、又は約0.005重量%以下)の量である。
【0034】
濃縮スラリーを希釈してPOUスラリーを形成する際には、任意成分としての(optional)酸化剤(oxidizer (or oxidizing agent))を加えてもよい。前記酸化剤は、過酸化水素、オルト過ヨウ素酸、メタ過ヨウ素酸、ジメソ過ヨウ素酸、ジオルト過ヨウ素酸、過ヨウ素酸アンモニウム、過ヨウ素酸カリウム、過ヨウ素酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、ヨウ素酸、ヨウ素酸塩、過塩素酸、過塩素酸塩、ヒドロキシルアミン及びヒドロキシルアミン塩、並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択してもよい。1つ又はそれ以上の実施形態では、前記酸化剤は、過酸化水素であってもよい。
【0035】
1つ又はそれ以上の実施形態では、前記酸化剤は、本開示に記載の研磨組成物に対して、約0.001重量%以上(例えば、約0.002重量%以上、約0.004重量%以上、約0.005重量%以上、約0.01重量%以上、約0.025重量%以上、約0.05重量%以上、約0.075重量%以上、約0.1重量%以上、約0.5重量%以上、約1重量%以上、又は約2重量%以上)から約5重量%以下(例えば、約4.5重量%以下、約4重量%以下、約3.5重量%以下、約3重量%以下、約2.5重量%以下、約2重量%以下、約1.5重量%以下、約1重量%以下、約0.5重量%以下、又は約0.1重量%以下)の量である。いくつかの実施形態では、理論に拘束されることを望むものではないが、前記酸化剤は、ハードマスクを含む基板中のハードマスク材料を除去することを助けることができると考えられる。
【0036】
1つ又はそれ以上の実施形態では、本開示に記載の研磨組成物は、水などの溶媒(例えば、主溶媒(primary solvent))を含んでもよい。いくつかの実施形態では、前記溶媒(例えば、水)は、本開示に記載の研磨組成物に対して、約20重量%以上(例えば、約25重量%以上、約30重量%以上、約35重量%以上、約40重量%以上、約45重量%以上、約50重量%以上、約55重量%以上、約60重量%以上、約65重量%以上、約70重量%以上、約75重量%以上、約80重量%以上、約85重量%以上、約90重量%以上、約92重量%以上、約94重量%以上、約95重量%以上、又は約97重量%以上)から約99重量%以下(例えば、約98重量%以下、約96重量%以下、約94重量%以下、約92重量%以下、約90重量%以下、約85重量%以下、約80重量%以下、約75重量%以下、約70重量%以下、又は約65重量%以下)の量である。
【0037】
1つ又はそれ以上の実施形態では、任意成分としての(optional)第2溶媒(secondary solvent)(例えば、有機溶媒)を、本開示の研磨組成物(例えば、POU研磨組成物若しくは濃縮研磨組成物)中で用いてもよく、これは、アゾール含有防錆剤などの成分の溶解を助けることができる。1つ又はそれ以上の実施形態では、前記第2溶媒は、1種又はそれ以上の種類の、アルコール、アルキレングリコール、又はアルキレングリコールエーテルを含んでもよい。1つ又はそれ以上の実施形態では、前記第2溶媒は、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、n-ブタノール、プロピレングリコール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジメチルスルホキシド、及びエチレングリコールからなる群から選択される1種又はそれ以上の種類の溶媒を含む。
【0038】
1つ又はそれ以上の実施形態では、前記第2溶媒は、本開示に記載の研磨組成物に対して、約0.0025重量%以上(例えば、約0.005重量%以上、約0.01重量%以上、約0.02重量%以上、約0.05重量%以上、約0.1重量%以上、約0.2重量%以上、約0.4重量%以上、約0.5重量%以上、約0.6重量%以上、約0.8重量%以上、又は約1重量%以上)から約5重量%以下(例えば、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、約0.8重量%以下、約0.6重量%以下、約0.5重量%以下、又は約0.1重量%以下)の量である。
【0039】
1つ又はそれ以上の実施形態では、本開示に記載の研磨組成物は、有機溶媒、pH調整剤(pH adjusting agent or pH adjusters)、4級アンモニウム化合物(例えば、塩又は水酸化物)、アミン、(アルカリ水酸化物などの)アルカリ塩基、フッ素含有化合物(例えば、フッ化物化合物若しくはフッ素化化合物(例えば、ポリマー/界面活性剤))、シランなどのケイ素含有化合物(例えば、アルコキシシラン若しくは無機シリケート)、イミン(例えば、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)及び1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン(DBN)などのアミジン)、塩(例えば、ハロゲン化物塩又は金属塩)、ポリマー(例えば、カチオン性又はアニオン性のポリマー)、界面活性剤(例えば、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、若しくはノニオン性界面活性剤)、可塑剤、酸化剤(例えば、H2O2若しくは過ヨウ素酸)、防錆剤(例えば、アゾール防錆剤若しくは非アゾール防錆剤)、電解質(例えば、高分子電解質)、及び/又はある種の研磨剤(例えば、ポリマー性研磨剤、セリア研磨剤、ノニオン性研磨剤、表面改質研磨剤、セラミック研磨剤複合体、若しくは負帯電/正帯電研磨剤)などの、1種又はそれ以上の種類の特定の成分について実質的に非含有であってもよい。前記研磨組成物に非含有としてもよいハロゲン化物塩としては、アルカリ金属ハロゲン化物(例えば、ハロゲン化ナトリウム若しくはハロゲン化カリウム)又はハロゲン化アンモニウム(例えば、塩化アンモニウム)が挙げられ、フッ化物、塩化物、臭化物、又はヨウ化物であってもよい。本開示において用いられる場合、研磨組成物に「実質的に非含有」である成分とは、研磨組成物に意図的に添加されていない成分のことを指す。いくつかの実施形態では、本開示に記載の研磨組成物は、研磨組成物に実質的に非含有である上記の1種又はそれ以上の種類の成分を、約1000ppm以下(例えば、約500ppm以下、約250ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下、約10ppm以下、又は約1ppm以下)で有してもよい。いくつかの実施形態では、本開示に記載の研磨組成物は、上記の1種又はそれ以上の種類の成分について完全に非含有であってもよい。
【0040】
本開示は、上記の研磨組成物(例えば、濃縮物又はPOUスラリー)のうち任意のものを用いる方法も想定する。濃縮物については、前記方法は、濃縮物を(例えば、2倍以上に)希釈してPOUスラリーを形成するステップ、及びそれから、ルテニウム及び/又はハードマスク材料を少なくとも部分的に含む表面を前記POUスラリーに接触させるステップを含んでもよい。いくつかの実施形態では、前記希釈の前、後、又は希釈中に、酸化剤を前記スラリーに加えてもよい。POUスラリーについては、前記方法は、ルテニウム及び/又はハードマスク材料を少なくとも部分的に含む表面を前記スラリーに接触させるステップを含む。
【0041】
1つ又はそれ以上の実施形態では、本開示は、本開示に係る研磨組成物を、基板の表面に少なくともルテニウム及び/又はハードマスク材料を有する前記基板(例えば、ウェハ)に付与すること;及び前記基板の前記表面にパッドを接触させ、そして前記パッドを前記基板に対して動かすこと、を含んでもよい研磨方法を主題とする。いくつかの実施形態では、前記基板が、ケイ素酸化物、ルテニウム、銅、ハードマスク材料、及び/又はバリア材料(例えば、Ta及び/又はTaN)のうちの1種又はそれ以上の種類を少なくとも含む場合、上記の方法は、顕著な腐食又は望ましくない除去速度選択性無しに、前記基板を効果的に研磨することができる。1つ又はそれ以上の実施形態では、銅除去速度は、約500オングストローム/分未満(例えば、約400オングストローム/分未満、約300オングストローム/分未満、約200オングストローム/分未満、約150オングストローム/分未満、約125オングストローム/分未満、約100オングストローム/分未満、約90オングストローム/分未満、約80オングストローム/分未満、又は約70オングストローム/分未満)である。1つ又はそれ以上の実施形態では、2cm×2cmの銅クーポンを本開示に係る研磨組成物と45℃で5分間インキュベートした場合の静的エッチング速度(SER)は、約10オングストローム/分未満(例えば、約8オングストローム/分未満、約6オングストローム/分未満、約5オングストローム/分未満、約4オングストローム/分未満、約3.5オングストローム/分未満、約2オングストローム/分未満、又は約2.5オングストローム/分未満)である。1つ又はそれ以上の実施形態では、ルテニウム除去速度は、約3オングストローム/分以上(例えば、約5オングストローム/分以上、約15オングストローム/分以上、約25オングストローム/分以上、約35オングストローム/分以上、約45オングストローム/分以上、又は約55オングストローム/分以上)である。
【0042】
1つ又はそれ以上の実施形態では、本開示に記載の組成物及び/又は方法は、適切な銅/ルテニウム除去速度比を有しうる。例えば、ルテニウム除去速度に対する銅除去速度の比(Cu:Ru)の大きさは、約35:1以下(例えば、約30:1以下、約25:1以下、約20:1以下、約15:1以下、約10:1以下、約5:1以下、約4:1以下、約3:1以下、約2.5:1以下、約2:1以下、約1.5:1以下、又は約1:1以下)である。
【0043】
本開示に記載される用語「ケイ素酸化物」は、ケイ素酸化物の非ドープ型とドープ型の両方を範囲に含むことが明示的に意図される。例えば、1つ又はそれ以上の実施形態では、前記ケイ素酸化物は、炭素、窒素(ケイ素酸化物に対して)、酸素、水素、又はケイ素酸化物のためのその他の任意のドーパントから選択される少なくとも1種のドーパントでドープされていてもよい。ケイ素酸化物膜の種類のいくつかの例としては、TEOS(テトラエチルオルトケイ酸)、SiOC、SiOCN、SiOCH、SiOH、及びSiONが挙げられる。
【0044】
1つ又はそれ以上の実施形態では、本開示に記載の研磨組成物を用いる前記方法は、前記研磨組成物によって処理された基板から、1つ又はそれ以上のステップを介して、半導体デバイスを製造することをさらに含んでもよい。例えば、本開示に記載の研磨組成物によって処理された基板から半導体デバイスを製造するために、フォトリソグラフィー、イオン注入(ion implantation)、ドライ/ウェットエッチング、プラズマエッチング、堆積(例えば、PVD、CVD、ALD、ECD)、ウェハマウンティング、ダイカッティング、パッケージング、及び検査を行うことができる。
【0045】
以下の具体例は単に例示的なものであって、いかなる面でも本開示の残りの部分に対して限定的ではないと、解釈するべきである。さらなる詳細説明が無くても、本開示の記載を基にして、当業者は本発明をその全域にわたって利用することができると考えられる。
【実施例】
【0046】
AMAT Mirra CMP研磨機、Fujiboソフトパッド、押し下げ圧(downforce pressure)1.5psi、及びスラリー流速100~400mL/分を用いて、研磨を200mmウェハに対して行った。
【0047】
●実施例1
図1は、図に示した3つの異なる種類のシリカ研磨剤の水性分散物についてpHを変化させたことに伴うゼータ電位の変化のプロットを示す。水及び前記研磨剤以外には、前記水性分散物にはその他の成分は何ら含まれなかった。
図1は、おおよそpH5~pH8.5の範囲において、カルボン酸修飾研磨剤が未修飾研磨剤及びスルホン酸修飾研磨剤よりもより負なゼータ電位を有することを示している。この範囲内でのより負のゼータ電位は、カルボン酸修飾研磨剤分散物が、未修飾又はスルホン酸修飾の研磨剤の分散物よりもより安定であることを示している。
【0048】
●実施例2
図2は、未修飾シリカ、カチオン性修飾シリカ、スルホン酸修飾シリカ、及びカルボン酸修飾シリカそれぞれの水性分散物についての平均粒子径(MPS)の経時的な変化のプロットを示す。それぞれの水性分散物は、同じ量の研磨剤、バリア膜除去速度上昇剤、アゾール、及びルテニウム除去速度上昇剤を含んでいた。水性分散物はpH10を有し、表示された時間にわたり45℃で熟成させた。以下の表1は、
図2のプロットからの概要データを示す。
【0049】
【0050】
これらの結果は、カルボン酸修飾研磨剤が35日間の試験期間にわたり最も安定なMPSを呈すことを示しており、このことは、分散された粒子溶液についての非常に高い安定性を示している。
【0051】
●実施例3
以下の表2は、3種の異なる水性研磨剤分散物(つまり、未修飾シリカを含むもの、カルボン酸修飾シリカを含むもの、及びスルホン酸修飾シリカを含むもの)の粒子安定性を、水性分散物内に銅イオンが存在する場合及び存在しない場合について、示す。前記水性分散物はそれぞれ、同じ量の研磨剤、バリア膜除去速度上昇剤、アゾール、及びルテニウム除去速度上昇剤を含む。粒子安定性は、「透過安定性指数」(Transmission Stability Index)(TSI)を決定することによって測定し、TSIは、試料の光透過及び後方散乱を測定することによって求められる。TSI値がより高いことは、試料の安定性がより低く、より多くの粒子凝集及び低質な(poor)分散を有することを示唆する。測定は35℃で行われた。
【0052】
【0053】
金属研磨の間のシリカ粒子安定性は、欠陥の観点からはとても重要である。具体的には、金属基板を研磨する作用の間に生み出された金属イオンと研磨剤との間の相互作用によって、シリカ-金属凝集体が形成されうる。これらの凝集体が形成されてしまうと、それらは研磨された基板上に引っ掻き傷(scratching)及び/又は残渣の問題を生じうる。カルボン酸修飾研磨剤は、Cuイオンの存在下で最良の安定性を示したが、このことは、カルボン酸修飾研磨剤は研磨プロセスの間、より安定であり、欠陥形成の可能性(potential)はより小さいことを示している。
【0054】
●実施例4
以下の表3は、未修飾シリカ研磨剤、カルボン酸修飾シリカ研磨剤、又はスルホン酸修飾シリカ研磨剤を含む研磨組成物で研磨した場合の、ブランケットウェハを用いた、Cu、Co、及びCVD-Ruについての除去速度を示す。研磨組成物における他の全ての成分は同じであった。
【0055】
【0056】
これらの結果は、カルボン酸修飾シリカが、未修飾シリカと同程度に高いCu除去速度及びCo除去速度を達成することが可能であったのに加えて、CVD-Ru除去速度をおよそ2倍に増加させたことを示している。対照的に、スルホン酸修飾シリカ研磨剤は、CVD-Ru除去速度を未修飾研磨剤と比べて増加させただけであり、Cu除去速度及びCo除去速度はより低いものであった。さらに、カルボン酸修飾シリカは、驚くべきことに、未修飾シリカ又はスルホン酸修飾シリカのいずれと比べても、生じたCu上の欠陥が35%以上少なかった。
【0057】
以上では、少数の例示的な実施形態を詳細に説明してきたが、当業者は、本発明から実体的に逸脱すること無しに前記例示的実施形態において多くの改変が可能であることを容易に認識するであろう。したがって、そのような改変の全てが、以下の特許請求の範囲に規定された本開示の範囲に含まれることが意図される。
【国際調査報告】