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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】研削機械センタリングゲージ
(51)【国際特許分類】
   B24B 41/06 20120101AFI20241031BHJP
   B23Q 17/22 20060101ALI20241031BHJP
   B24B 49/10 20060101ALI20241031BHJP
   B24B 5/42 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B24B41/06 C
B23Q17/22 B
B24B49/10
B24B5/42
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525834
(86)(22)【出願日】2021-10-27
(85)【翻訳文提出日】2024-06-13
(86)【国際出願番号】 US2021056783
(87)【国際公開番号】W WO2023075759
(87)【国際公開日】2023-05-04
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524160132
【氏名又は名称】ファイブス・ランディス・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハイクス、ティモシー・ダブリュ.
【テーマコード(参考)】
3C029
3C034
3C043
【Fターム(参考)】
3C029AA02
3C034AA01
3C034BB79
3C034BB92
3C034CA02
3C034CB03
3C034DD01
3C043AC21
3C043CC03
3C043DD01
3C043DD05
3C043DD06
(57)【要約】
研削機械のためのワークピースセンタリングゲージは、研削機械と連結するように構成された第1のピボットを有するリンクと、第1のピボットにおけるリンクの角度を測定する第1のエンコーダと、リンクに含まれる第2のピボットと、細長いワークピースの外面に解放可能に接触するように構成された測定フォークと、ワークピース直径を測定する測定フォークに含まれるトランスデューサを有する表面フィーラと、測定フォークに対するリンクの角度位置を測定する第2のエンコーダと、を含み、第1のエンコーダによって測定された角度位置、第2のエンコーダによって測定された角度位置、及び測定されたワークピース直径は、中心線からの細長いワークピースのずれを決定するために使用される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研削機械のためのワークピースセンタリングゲージであって、
前記研削機械と連結するように構成された第1のピボットを有するリンクと、
前記第1のピボットにおける前記リンクの角度を測定する第1のエンコーダと、
前記リンクに含まれる第2のピボットと、
細長いワークピースの外面に解放可能に接触するように構成された測定フォークと、
ワークピース直径を測定する前記測定フォークに含まれるトランスデューサを有する表面フィーラと、
前記測定フォークに対する前記リンクの角度位置を測定する第2のエンコーダと、
を備え、
前記第1のエンコーダによって測定された前記角度位置、前記第2のエンコーダによって測定された前記角度位置、及び測定されたワークピース直径は、中心線からの前記細長いワークピースのずれを決定するために使用される、ワークピースセンタリングゲージ。
【請求項2】
一端で前記研削機械に、他端で前記リンクに連結され、前記研削機械に対して前記リンクを移動させるためのリンクピストンを更に備える、請求項1に記載のワークピースセンタリングゲージ。
【請求項3】
一端で前記リンクに、他端で前記測定フォークに連結され、前記測定フォークの角度移動を制限するためのフォーク制限ロッドを更に備える、請求項1に記載のワークピースセンタリングゲージ。
【請求項4】
極座標が計算され、次いでデカルト座標に変換される、請求項1に記載のワークピースセンタリングゲージ。
【請求項5】
前記細長いワークピースはクランクシャフトである、請求項1に記載のワークピースセンタリングゲージ。
【請求項6】
マスタ直径が前記研削機械に据えられ、前記測定フォークは前記マスタ直径の外面に係合し、前記第1のエンコーダにおいて角度が測定され、前記第2のエンコーダにおいて角度が測定される、請求項1に記載のワークピースセンタリングゲージ。
【請求項7】
前記細長いワークピースは、1.5メートル(m)以上である、請求項1に記載のワークピースセンタリングゲージ。
【請求項8】
1つ又は複数の研削ホイールを含む研削機械であって、
細長いワークピースを解放可能に保持し、前記細長いワークピースを長手方向軸を中心として回転させるように構成されたワークピースホルダと、
ワークピースセンタリングゲージと、
を備え、前記ワークピースセンタリングゲージは、
前記研削機械と連結するように構成された第1のピボットを有するリンクと、
前記第1のピボットにおける前記リンクの角度を測定する第1のエンコーダと、
前記リンクに含まれる第2のピボットと、
ワークピースの外面に解放可能に接触するように構成された測定フォークと、
ワークピース直径を測定する前記測定フォークに含まれるトランスデューサと、
前記測定フォークに対する前記リンクの角度位置を測定する第2のエンコーダと、
を含み、
前記第1のエンコーダによって測定された前記角度位置、前記第2のエンコーダによって測定された前記角度位置、及びワークピース直径サイズは、中心からの前記細長いワークピースのずれを決定するために使用される、研削機械。
【請求項9】
一端で前記研削機械に、他端で前記リンクに連結され、前記研削機械に対して前記リンクを移動させるためのリンクピストンを更に備える、請求項8に記載の研削機械。
【請求項10】
一端で前記リンクに、他端で前記測定フォークに連結され、前記測定フォークの角度移動を制限するためのフォーク制限ロッドを更に備える、請求項8に記載の研削機械。
【請求項11】
極座標が計算され、次いでデカルト座標に変換される、請求項8に記載の研削機械。
【請求項12】
前記細長いワークピースはクランクシャフトである、請求項8に記載の研削機械。
【請求項13】
前記細長いワークピースは、1.5メートル(m)以上である、請求項8に記載の研削機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本出願は、ワークピース研削に関し、より具体的には、研削機械を用いてワークピースのロケーションを測定することに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 研削機械は、細長いワークピースの外面を成形するために使用することができる。例えば、クランクシャフトなどの細長いワークピースを、主軸台及び心押台で保持することができる。細長いワークピースは、1つ又は複数の研削ホイールが規定量の材料を除去し、正確に成形された表面を作り出すためにワークピースの外面に係合しているときに、しっかりと保持され、回転することができる。機械によって実行される研削プロセスは、細長いワークピース及び研削ホイール(単数又は複数)の両方を正確に設置することと、ワークピースの表面に対する研削ホイールの位置を制御して、非常に高精度に材料を除去し、表面を作り出すこととを伴う。しかしながら、研削ホイール(単数又は複数)や主軸台及び心押台の空間位置の正確な知識があっても、いくらかの誤差が存在し得る。この誤差を低減するシステムを実現することが有用である。
【発明の概要】
【0003】
[0003] 1つの実装形態では、研削機械のためのワークピースセンタリングゲージは、研削機械と連結するように構成された第1のピボットを有するリンクと、第1のピボットにおけるリンクの角度を測定する第1のエンコーダと、リンクに含まれる第2のピボットと、細長いワークピースの外面に解放可能に接触するように構成された測定フォークと、ワークピース直径を測定する測定フォークに含まれるトランスデューサを有する表面フィーラと、測定フォークに対するリンクの角度位置を測定する第2のエンコーダと、を含み、第1のエンコーダによって測定された角度位置、第2のエンコーダによって測定された角度位置、及び測定されたワークピース直径は、中心線からの細長いワークピースのずれを決定するために使用される。
別の実装形態では、1つ又は複数の研削ホイールを有する研削機械は、細長いワークピースを解放可能に保持し、かつ細長いワークピースを長手方向軸を中心として回転させるように構成されたワークピースホルダと、ワークピースセンタリングゲージと、を含み、ワークピースセンタリングゲージは、研削機械と連結するように構成された第1のピボットを有するリンクと、第1のピボットにおけるリンクの角度を測定する第1のエンコーダと、リンクに含まれる第2のピボットと、ワークピースの外面に解放可能に接触するように構成された測定フォークと、ワークピース直径を測定する測定フォークに含まれるトランスデューサと、測定フォークに対するリンクの角度位置を測定する第2のエンコーダと、を含み、第1のエンコーダによって測定された角度位置、第2のエンコーダによって測定された角度位置、及びワークピース直径サイズは、中心からの細長いワークピースのずれを決定するために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】[0004] ワークピースセンタリングゲージを有する研削機械の実装形態を示す斜視図である。
図2】[0005] ワークピースセンタリングゲージを有する研削機械の実装形態の一部分を示す斜視図である。
図3】[0006] ワークピースセンタリングゲージを有する研削機械の実装形態を示す別の斜視図である。
図4】[0007] ワークピースセンタリングゲージを有する研削機械の実装形態の一部分を示す別の斜視図である。
図5】[0008] ワークピースセンタリングゲージの実装形態を示す部分分解図である。
図6】[0009] ワークピースセンタリングゲージの実装形態を示す側面図である。
図7】[0010] ワークピースセンタリングゲージの実装形態を示す別の側面図である。
図8】[0011] ワークピースセンタリングゲージの実装によって決定される測定値を示す数学的な図である。
図9】[0012] ワークピースセンタリングゲージの実装形態を示す別の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
[0013] 研削機械は、固定ロケーションに据えられたリンク部であって遠位端に測定フォークが取り付けられたリンク部を備えるワークピースセンタリングゲージを含むことができる。測定フォークは、ワークピースサイズを決定するためのトランスデューサを有する表面フィーラを含む。ワークピースセンタリングゲージは、少なくとも1つのリンクと、測定フォークと、表面フィーラと、少なくとも2つの枢動可能なジョイントであって各ジョイントにエンコーダが一体化された少なくとも2つの枢動可能なジョイントとを含む。例えば、ワークピースセンタリングゲージは、リンクの一端で研削機械に固定して取り付けられた第1のピボットを含むことができる。リンクの遠位端に位置する第2のピボットが、測定フォークに枢動可能に取り付けられていてよく、測定フォークは、ワークピースの表面に触れて、ワークピース中心線の実際のロケーションを決定する。ワークピースセンタリングゲージは、その複数のエンコーダと表面フィーラとを使用して、軸方向ロケーションにおけるワークピースの実際のサイズ及びワークピースの実際の中心線を非常に高精度に決定することができる。ワークピースセンタリングゲージは、表面フィーラを用いて軸方向ロケーションにおけるワークピースのサイズを測定することができ、実際に測定されたサイズを使用して各エンコーダにおける相対角度を決定し、決定された角度、測定されたワークピースサイズ、及びリンクの既知の長さが与えられると、ワークピース中心線の極座標を計算することができる。ワークピースサイズを測定した後、ワークピースセンタリングゲージは、ワークピース中心線から外れた位置を決定することができる。また、リンクは、単一の運動平面内でピボットを中心として移動するように構成されていてよい。
【0006】
[0014] 測定されたワークピース表面を使用してワークピース中心線の実際のロケーションを決定することは、研削機械の主軸台及び心押台が係合している間にわずかに撓む又は形状変化する傾向を有し得るより大型の細長いワークピースを研削するときに特に有用であり得る。例えば、1.5メートル(m)以上のクランクシャフトは、クランクシャフトが撓むこと又は非理想的な形状を呈することを防止するために、主軸台と心押台との間でクランクシャフトの1つ又は複数のセクションを支持するためのワークレストを使用し得る。すなわち、研削機械は、ワークピース中心線の理論的ロケーションを用いてプログラムされ得るが、特に、より大型の細長いワークピースに関しては、理論的ロケーションは、ワークピース中心線の実際のロケーションとわずかではない量だけ異なる場合がある。例えば、理論的ロケーションと実際のロケーションとは、2ミリメートル(mm)以上異なる可能性がある。ワークピース中心線の実際のロケーションを、ワークピース中心線の理論的ロケーション又は所望のロケーションと比較することができ、ワークピース中心線、したがってワークピース表面を理論的ロケーション又は所望のロケーションに配置するようにワークピースを支持するために、ワークレストを3軸に沿って機械的に調整することができ、それによって撓み又は歪みを補償する。本明細書のいくつかの実施形態について、クランクシャフトを参照して説明するが、本明細書の開示は、他の細長いワークピースにも同様に適用可能であることも理解されたい。
【0007】
[0015] 図1図4は、ワークピース表面の空間ロケーションを測定するワークピースセンタリングゲージ12を含む研削機械10を示す。この実施形態では、研削機械10は、クランクシャフトワークピースの外面を研削するように設計されたオービタル式研削機械である。より具体的にいうと、オービタル式研削機械は、1つ又は複数の研削ホイール14を使用して、クランクシャフト16上にジャーナル表面及びクランクピン表面を作り出すことができる。この実装形態では、オービタル式研削機械10は、1.5メートル(m)ほどの小型のクランクシャフト、及び12mほどの長いクランクシャフトを収容することができる。このような研削機械10の実装形態は、Fives LandisのLT2HHe又はLT3eのオービタル式クランクシャフト研削機械を含む。しかしながら、異なるタイプのワークピース又は研削機械を使用する他の実施形態では、ワークピース表面の位置を決定するために位置決めゲージを使用することができる。
【0008】
[0016] オービタル式研削機械10は、主軸台20及び心押台22を有するワークピースホルダ18と、研削ホイール14に連結されたスピンドルアセンブリ26を含む研削ホイールアセンブリ24と、機械ベッド28とを含むことができる。機械ベッド28は、床に置かれ、研削機械10の要素を支持する比較的平面の構造であってよい。例えば、機械ベッド28は、機械ベッド28の表面上に主軸台20及び心押台22を支持することができ、それによりクランクシャフト16は、主軸台20及び心押台22の両方と係合し、ベッド28の上方に上昇される。機械ベッド28は、X軸に沿った長さよりもZ軸に沿った長さの方が長いような長方形であってよい。1つ又は複数の研削ホイールレール30が、機械ベッド28の表面に沿ってZ軸に沿って延在して研削ホイールアセンブリ24のZ軸に沿った移動を容易にすることができ、それにより、研削ホイールアセンブリ24は、レール30に沿っていずれかの方向に摺動又は転動して、研削ホイールをX軸に沿った特定の軸方向地点に位置付ける。研削ホイールアセンブリは、リニアサーボモータを使用してレール30上をZ軸に沿って移動されることができ、X軸に沿った研削ホイール14の位置を特定するために光学スケールが使用されてよい。
【0009】
[0017] 1つ又は複数のワークピースホルダレール32が、研削ホイールレール30から離隔され、機械ベッド28上の研削ホイールレール30の反対側に位置付けられ、Z軸に沿って延在することができる。主軸台20及び心押台22は、ワークピースホルダレール32に沿って摺動又は転動して、異なる軸方向長さを有するクランクシャフトに合わせて調整され、それぞれクランクシャフト16のヘッド及びクランクシャフト16のテールを、チャック又はコレットなどのワークピースホルダ34と係合させ、それによってクランクシャフト16を特定の場所に保持することができる。主軸台20のワークピースホルダ34及び心押台22のワークピースホルダ34の各々は、クランクシャフト16をその長手方向軸(C)を中心として360度の運動域でいずれかの角度方向に、共同で協調して回転させることができる電気モータを含むことができる。クランクシャフト16の角度位置を決定するために、主軸台20及び心押台22においてロータリエンコーダが使用されてよい。主軸台20及び心押台22の各々は、サーボモータ及びラックドライブを使用してZ軸に沿って個々に移動されてよい。
【0010】
[0018] 研削ホイールアセンブリ24は、研削ホイールレール30に載ったベース36を含むことができる。スピンドルアセンブリ26は、研削ホイールレール30上をz軸に沿って移動可能となるようにベース36によって支持されていてよく、スピンドルアセンブリ26に連結された研削ホイール14と、ベース36とスピンドルアセンブリ26との間にある1つ又は複数の送り込みレール40と、リニアサーボモータと、光学スケールと、ワークピースセンタリングゲージ12とを含む。スピンドルアセンブリ26は、スピンドルシャフトを旋回して最終的にはスピンドルシャフトに連結された研削ホイール14を回転させるスピンドル駆動モータを含むことができる。研削ホイール14は、クランクシャフト16に接触し、かつスピンドルシャフト回転軸(α)から外側に面する半径方向表面44を有することができる。スピンドル駆動モータは、スピンドルシャフトと同心であってよく、それにより、スピンドル駆動モータ46のロータがスピンドルシャフトと連結され、ステータがロータと同心となる。前方軸受及び後方軸受が、スピンドルシャフトの両端に位置付けられ、動作中に支持を提供することができる。軸受は、静圧軸受として実装され得る。スピンドルシャフト48及び研削ホイール14の角度位置、速度、又は加速度を決定するために、スピンドルシャフト48の遠位端にロータリエンコーダ58が取り付けられていてよい。送り込みレール40は、X軸に沿って延在し、研削ホイールレール30に対して垂直に位置付けられていてよい。
【0011】
[0019] スピンドルアセンブリ26は、送り込みレール40上をX軸に沿ってクランクシャフト16に近づいたりクランクシャフト16から遠ざかったりするように摺動することができる。リニアモータは、研削ホイールアセンブリ24のX軸に沿った位置を特定するエンコーダを使用して、研削ホイールアセンブリ24を送り込みレール40上でX軸に沿って移動させることができる。
【0012】
[0020] クランクシャフト16の形状歪みを防止するように支持するために、1つ又は複数のワークレストアセンブリ70がクランクシャフト16の下に配置されてよい。上述のように、主軸台20と心押台22との間に保持される、長さがより長い(例えば、>1.5m)クランクシャフトは、重力、温度、又は他の環境要因の影響に起因して、形状変化するか又は撓む可能性がある。ワークレストアセンブリ70は、撓み又は形状歪みを防止するためにクランクシャフト16の下に位置付けられてよい。ワークレストアセンブリ70は、クランクシャフト16の下の所望の地点のXZ平面に位置付けられてよく、クランクシャフト16に係合してクランクシャフト16を規定の高さに配置するために、ワークピース中心線の実際の決定に基づいて制御されるサーボモータを使用して、XY平面において高さが調整可能であってよい。このようにして、ワークレストアセンブリ70は、3軸に沿って調整可能であってよい。ワークレストアセンブリ70は、クランクシャフト16の外面に係合するように互いに近づくか又は互いから遠ざかるように移動させることができる調整可能なアームを含むことができる。アームは、クランクシャフト16の異なる直径及び形状に適応するように調整可能である。ワークレストアセンブリ70は、クランクシャフト16のクランクピンに係合するように位置付けられてよい。例えば、ワークレストアセンブリ70は、X方向及びZ方向に延在する機械ベッド28上のレールに沿って摺動することができる。いくつかの実装形態では、レールは、逆蟻溝形断面形状を有することができる。すなわち、機械ベッド28は、ワークレストアセンブリ70上に含まれるほぞを受容する細長いほぞ穴スロットを含むことができる。ワークレストアセンブリ70は、スロット内を機械ベッド28の表面に沿って摺動することができる。
【0013】
[0021] 図5図9を参照すると、研削機械10によって担持され得るワークピースセンタリングゲージ12の実装形態が示されている。この実装形態では、ワークピースセンタリングゲージ12は、第1のピボット58と、第1のピボット58と同軸の第1のエンコーダ60と、第2のピボット62と、第2のピボット62と同軸の第2のエンコーダ64とを含む。ワークピースセンタリングゲージ12は、リンク66に接続された第1のピボット58において研削ホイールアセンブリ24に取り付けられていてよい。リンク66は、研削機械10から離れるほうに延在する細長い部材であってよく、リンク66の遠位端において第2のピボット62で測定フォーク68に取り付けられている。測定フォーク68は、クランクシャフト16の外面に解放可能に係合する2つの対向する平面を有するV字形状端部を含むことができる。
【0014】
[0022] 測定フォーク68は、ワークピース直径、及び任意選択的にワークピース表面形状を測定する表面フィーラ100を含むことができる。表面フィーラ100は、測定フォーク68によって摺動可能に受容されるピストン102を含むことができる。ピストン102は、ばね又は他の付勢部材によって、測定フォーク68から離れるほうにクランクシャフト16に向かって付勢されていてよい。ピストン102は、測定フォーク68に対するピストン102の直線移動を測定するトランスデューサと動作可能に係合していてよい。測定フォーク68が移動して、主軸受などのクランクシャフト16の表面に係合するとき、ピストン102は、ワークピース表面に係合し、平面がクランクシャフト16に接触するまでばねの力に打ち勝って測定フォーク68に対して直線的に摺動する。トランスデューサは、ピストン102がクランクシャフト16に接触した時点から、平面がワークピース表面に接触してピストン102が測定フォーク68に対する移動を停止するまでの、測定フォーク68に対するピストン102の直線移動の量を、コンピュータプロセッサ74に通信することができる。表面フィーラ100は、主軸受などの所与の地点におけるクランクシャフト16の直径の実際の測定値を研削機械10に提供することができる。ピストン102及び測定フォーク68がワークピース表面と係合している間に、この時点でクランクシャフト16を回転させることも可能である。測定フォーク68に対するピストン102の移動は、クランクシャフト16の表面形状を決定するために監視され得る。
【0015】
[0023] リンク66及び測定フォーク68の移動は、リニアピストンなどの様々な機構を使用して達成することができる。例えば、リンクピストン70が、研削ホイールアセンブリ24及びリンク66に枢動可能に取り付けられていてよい。リンクピストン70の長さが伸長すると、リンク66の角度位置が、第1のピボット58を中心として研削ホイールアセンブリ24に対して変化することができる。第1のエンコーダ60は、第1のピボット58に対するリンク66の角度位置を検出することができる。「ピストン」という用語は、ボールねじ又は油圧ピストンなどの任意のリニアアクチュエータとして広く解釈することができるが、リンク66及び測定フォーク68を移動させるための他の機械的機構が可能である。例えば、第1のピボット58及び第2のピボット62は、リンク66及び測定フォーク68を研削ホイールアセンブリ24に対して移動させるためにステッパモータを使用することができる。フォーク制限ロッド72が、研削ホイールアセンブリ24及び測定フォーク68に枢動可能に取り付けられていてよい。測定フォーク68がクランクシャフト16に向かって移動されるときに、第2のピボット62に対する測定フォーク68の角度位置を制限することができる。第2のエンコーダ64は、第2のピボット62に対する測定フォーク68の角度位置を検出することができる。
【0016】
[0024] リンク66及び測定フォーク68が、ピボット58、62を中心として移動されてクランクシャフト16の外面76と係合し、クランクシャフト16の直径が測定された後に、ワークピースセンタリングゲージ12は、第1のエンコーダ60及び第2のエンコーダ64を使用して、ピボット58、62における及びそれら間の相対角度を測定することができる。第1のエンコーダ60又は第2のエンコーダ64を実装するために、いくつかの異なるタイプのエンコーダを使用することができる。ワークピースセンタリングゲージ12は、マスタ直径をワークピース中心線におけるワークピースホルダ18上に据えることによって較正されてよい。測定フォーク68は、第1のエンコーダ60が角度を測定し、第2のエンコーダ64が角度を測定する間に、マスタ直径の外面に係合して既知のデータ点を提供することができる。表面フィーラ100がマスタ直径に接触したときの表面フィーラ100からのデータが、ゲージ12によって、測定された角度と組み合わされて、マスタ直径の直径が決定されてよい。測定フォーク68がマスタ直径と係合している間に第1のエンコーダ60及び第2のエンコーダ64によって決定された角度は、ゲージ12をワーク中心線に対して較正することができる。マスタ直径の計算された直径又は中心線が既知の直径又は中心線と一致しない場合、ゲージ12は、将来の測定値が高精度になるように調整されてよい。1つの実装形態では、ハイデンハインタイプECN413エンコーダを使用することができる。測定された角度は、クランクシャフト16の実際の中心を決定するために、リンク66及び測定フォーク68の既知の長さ、並びに測定フォーク68の寸法と共に使用されてよい。他の実装形態では、2つよりも多いピボット及び2つよりも多いエンコーダを使用することが可能である。
【0017】
[0025] クランクシャフト16の実際の中心は、図8に示す以下の変数、及び以下で詳述する式を使用して計算することができる。
【0018】
[0026] これらの計算の定数は、以下の通りである。
P(X,Y) - 測定位置におけるX軸を有する第1のピボット点
- PからP’へのリンクの長さ
21 - 仮想の上部サブアームの長さ
22 - L21からゲージV字交点までの仮想の第2のサブアームの長さ
V - 測定フォークのV字の挟角
XI(ξ) - 90度になるように選択されたL21とL22との間の角度
【0019】
[0027] 表面フィーラが測定フォーク68の中心に位置しない場合があっても、これらの計算は、様々な直径を有するワークピースの中心がV字の中心によって画定される線を通るという事実に基づく。
【0020】
[0028] 2つのエンコーダ及び表面フィーラによって提供される変数は、以下の通りである。
ガンマ1(γ1) - X軸(水平)から第1のアームまでの角度
ガンマ4(γ4) - 第1のアームからL21までの角度
C - ワーク半径
L - ワーク中心からゲージV字交点までの寸法
OP - P’からワーク中心Oまでの距離
ガンマ3(γ3) - 第1のアームとP’からワーク中心までの斜辺(LOP)との間の挟角
【0021】
[0029] クランクシャフト16などのワークピースの中心は、一連の3つの極座標から直交座標への変換として導出することができる。
L=C/Sin(V/2)
OP=SQRT(L21^2+(L22+L)^2)
γ3=γ4-Atan((L22+L)/L21))
P=X1,Y1
P’=X1-L*Cos(γ1),Y1+L*Sin(γ1)であって、X2,Y2として定義される
O=X2+LOP*Cos(-γ1-γ3),Y2-Sin Cos(-γ1-γ3)
【0022】
[0030] 第1のピボット58、第1のエンコーダ60、第2のピボット62、及び第2のエンコーダ64、リンク66の既知の長さ(l)、測定フォーク68の既知の寸法、及びクランクシャフト16の測定された直径をどのように使用してクランクシャフト中心線(O)のずれを決定することができるかの例を以下に示す。クランクシャフト16はZ軸に沿って延在することができ、クランクシャフト16の中心(O)には、(0,0)の理論的ロケーションが与えられていてよく、これは中心がX軸においてもY軸においてもZ軸からオフセットされていないことを示す。クランクシャフト16の中心線のこの理論的ロケーションが与えられると、ワークピースセンタリングゲージ12は、クランクシャフト16の外面76に沿ったロケーションに接触するように移動され得る。リンクピストン70及びフォーク制限ロッド72は、フォーク68がクランクシャフト16の外面に接触するように、リンク66及び測定フォーク68を下降させることができる。1つの例では、いくつかの理論的計算値が決定されていてよい。例えば、第1のピボット58と第2のピボット62との間の距離は350mmであってよく、第2のピボット62とクランクシャフト16の理論的中心(O)との間の理論的距離は291.9634mmであってよい。測定フォーク68がクランクシャフト表面に接触するロケーションにおけるクランクシャフト16の直径は、181.275mmであると指定されていてよい。第1のエンコーダ60を使用する第1のピボット58における角度(a)は、180度であってよく、第2のエンコーダ64における第2のピボット62の理論的角度(b)は、(座標平面上で測定されるように)270度であってよい。測定フォーク68の接触点から第2のピボット62までの理論的距離は、206.4493mmであってよい。
【0023】
[0031] 上記の値が与えられると、クランクシャフト16の中心線(O)から第1のピボット58までの距離を決定することができる。この例では、555.4516566mmであってよい。第1のピボット58、第2のピボット62、及びクランクシャフト16の中心線の間には、三角形の関係が存在し得る。第1のピボット58における三角形の角度(a’)は49.62084375度と計算されてよく、第2のピボット62における三角形の角度(b’)は90.98928877度と計算されてよい。第1のピボット58及び第2のピボット62に対するクランクシャフト16の中心線における角度(c’)は、39.38986749度と計算されてよい。
【0024】
[0032] 理論値は、較正標準として使用され、リンク66及び測定フォーク68の既知の寸法が与えられると、第1のエンコーダ60、第2のエンコーダ64、及び表面フィーラ100を用いて測定された実際の角度測定値から導出された値と比較されてよい。この例では、第1のエンコーダ60は、179.9869221度の角度(a)を測定でき、第2のエンコーダ64は、角度(b)を270.98928877度と測定することができる。これらの角度は、180度及び270度という理論的角度とは異なる。第1のエンコーダ60及び第2のエンコーダ64によって記録された角度を使用して、クランクシャフト16の中心(c)のロケーションのずれが、垂直(Y)方向に0.0033mm、水平(X)方向に-0.0039mmとして計算されてよい。これは、これらの計算をどのように実行することができるかの1つの例であり、他の方法が可能である。
【0025】
[0033] コンピュータプロセッサ74は、上記で特定されたいくつかの構成要素に入力を提供し、それらからフィードバックを受信することができる。例えば、研削ホイールレール30に沿った機械ベッド28の移動、送り込みレール40に沿った研削ホイールアセンブリ24の移動、スピンドルシャフト48の動作、及び/又は主軸台20及び心押台22の電気モータを制御するサーボモータ、並びに第1のエンコーダ60及び第2のエンコーダ64はすべて、コンピュータプロセッサ74から、命令されたモータ速度及び方向などの入力信号を受信し、またコンピュータプロセッサ74に、実際の角度位置、角度シャフト速度、及び/又は角度方向などの出力信号を提供することができる。ワークピースセンタリングゲージ12は、第1のエンコーダ60又は第2のエンコーダ64における位置を示す信号の形態の出力をコンピュータプロセッサ74に提供することができる。コンピュータプロセッサ74は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、ホストプロセッサ、コントローラ、及び特定用途向け集積回路(ASIC)を含む、電子命令を処理することが可能な任意のタイプのデバイスであってよい。それは、記載された方法を実行するためだけに使用される専用プロセッサであってもよいし、又は研削機械10によって実行される他の機能と共有されていてもよい。コンピュータプロセッサ74は、コンピュータ可読メモリに記憶されたソフトウェア又はファームウェアプログラムなどの様々なタイプのデジタル記憶命令を実行する。しかしながら、これらの要素の少なくとも一部がプリント回路基板上で共に実装され得る他の実装形態が可能であることを理解されたい。
【0026】
[0034] 上記は、本発明の1つ又は複数の実施形態の説明であることを理解されたい。本発明は、本明細書に開示された特定の実施形態(単数又は複数)に限定されるものではなく、むしろ、以下の特許請求の範囲によってのみ定義される。更に、上記の説明に含まれる記述は、特定の実施形態に関し、用語又は語句が上記で明示的に定義されている場合を除いて、特許請求の範囲で使用される用語の定義又は本発明の範囲に対する限定として解釈されるべきではない。様々な他の実施形態並びに開示された実施形態(単数又は複数)の様々な変更形態及び修正形態が、当業者には明らかになる。そのような他の実施形態、変更形態、及び修正形態のすべてが、添付の特許請求の範囲内に入ることを意図している。
【0027】
[0035] 本明細書及び特許請求の範囲で使用されるとき、「例えば(e.g.)」、「例えば(for example)」、「例えば(for instance)」、「など(such as)」、及び「など(like)」という用語、並びに「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」という動詞及びそれらの他の動詞形態は、1つ又は複数の構成要素又は他の項目のリストと併せて使用されるとき、オープンエンドとして各々解釈されるべきであり、リストが他の追加の構成要素又は項目を除外するものと考えられるべきでないことを意味する。他の用語は、異なる解釈を必要とするコンテキストで使用されていない限り、それらの最も広い妥当な意味を使用して解釈されるべきである。
図1
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【国際調査報告】