(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】白金族金属触媒組成物
(51)【国際特許分類】
B01J 23/63 20060101AFI20241031BHJP
B01J 37/02 20060101ALI20241031BHJP
B01J 37/08 20060101ALI20241031BHJP
B01J 35/57 20240101ALI20241031BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20241031BHJP
F01N 3/28 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B01J23/63 A
B01J37/02 101D
B01J37/08 ZAB
B01J37/02 101C
B01J35/57 L
B01J37/02 301D
B01D53/94 280
B01D53/94 245
B01D53/94 222
F01N3/28 Z
F01N3/28 Q
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024525951
(86)(22)【出願日】2022-10-20
(85)【翻訳文提出日】2024-05-20
(86)【国際出願番号】 EP2022079236
(87)【国際公開番号】W WO2023078688
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】524161944
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ セントラル フロリダ リサーチ ファウンデーション,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リウ、フドン
(72)【発明者】
【氏名】シィエ、シャオファ
(72)【発明者】
【氏名】リー、ユェジン
【テーマコード(参考)】
3G091
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
3G091AB01
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4G169FC08
(57)【要約】
本発明は、a)白金と、b)少なくとも1つの複合体とを含む触媒組成物を提供し、白金は、複合体上に支持され、複合体は、複合体の総重量に基づいて、5.0~50重量%の量のセリア(CeO2として計算される)、複合体の総重量に基づいて、10~80重量%の量のアルミナ(Al2O3として計算される)、及び複合体の総重量に基づいて、80重量%の量のマグネシア(MgOとして計算される)を含む。本発明はまた、触媒組成物の調製のためのプロセスを提供する。本発明はさらに、触媒物品及びその作製を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)白金と、
b)少なくとも1つの複合体と、
を含む、触媒組成物であって、
白金は、前記複合体に支持されており、
前記複合体は、
i.前記複合体の総重量に基づいて、5.0~50重量%の量のセリア(CeO
2として計算される)と、
ii.前記複合体の総重量に基づいて、10~80重量%の量のアルミナ(Al
2O
3として計算される)と、
iii.前記複合体の総重量に基づいて、10~80重量%の量のマグネシア(MgOとして計算される)と、
を含む、触媒組成物。
【請求項2】
前記セリアが、5.0nm~100nmの範囲の平均粒径を有するナノ粒子の形態である、請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項3】
マグネシア(MgOとして計算される)とアルミナ(Al
2O
3として計算される)との重量比が1:4~4:1である、請求項1又は2に記載の触媒組成物。
【請求項4】
マグネシア(MgOとして計算される)とアルミナ(Al
2O
3として計算される)との重量比が7:3である、請求項1~3のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項5】
前記複合体上に支持された白金の総量が、前記複合体の総重量に対して0.1~10重量%の範囲である、請求項1~4のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項6】
前記複合体が、ランタナ、チタニア、ハフニア、カルシア、ストロンチア、バリア、ジルコニア、又はイットリウム、プラセオジム、ネオジム、鉄の酸化物、又はそれらの任意の組合せから選択されるドーパントを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項7】
前記複合体中のセリア(CeO
2として計算される)が、前記複合体の総重量に基づいて、20~40重量%の量で存在する、請求項1~6のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項8】
前記複合体中のアルミナ(Al
2O
3として計算される)が、前記複合体の総重量に基づいて、12~32重量%の量で存在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項9】
前記複合体中のマングネシア(MgOとして計算される)が、前記複合体の総重量に基づいて、35~65重量%の量で存在する、請求項1~8のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項10】
前記複合体中のセリア(CeO
2として計算される)とアルミナ(Al
2O
3として計算される)との重量比が0.6~3.3の範囲である、請求項1~9のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項11】
複合体の量が、前記触媒組成物の総重量の80~100重量%である、請求項1~10のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の触媒組成物の調製のためのプロセスであって、前記プロセスが、マグネシア及びアルミナを混合して、マグネシア及びアルミナを含む第1の複合体を得ることと、前記第1の複合体上にセリアを含浸させて、第2の複合体を得ることと、前記第2の複合体上に白金を含浸させ、その後、か焼して、前記触媒組成物を得ることと、を含む、プロセス。
【請求項13】
前記セリアが、10nm~80nmの範囲の平均粒径を有するコロイド状セリアである、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
請求項1~11のいずれか一項に記載の触媒組成物の調製のためのプロセスであって、前記プロセスが、
-マグネシア及びアルミナを混合して、マグネシア及びアルミナを含む複合体を得ることと、
-前記複合体上にセリア及び白金を共含浸させ、その後、か焼して前記触媒組成物を得ることと、
を含む、プロセス。
【請求項15】
請求項1~11のいずれか一項に記載の触媒組成物が基材上に堆積される、触媒物品。
【請求項16】
前記触媒物品が単層触媒物品であり、請求項1~11のいずれか一項に記載の触媒組成物が前記基材上に単層として堆積される、請求項15に記載の触媒物品。
【請求項17】
前記触媒物品が、
a)第1の層と、
b)第2の層と、
c)基材と、
を含む二層物品であり、
前記第1の層は、前記基材の少なくとも一部の上に堆積され、前記第2の層は、前記第1の層の少なくとも一部の上、前記基材の少なくとも一部の上、又はその両方の上に堆積され、
前記第1の層が、請求項1~10のいずれか一項に記載の触媒組成物と、任意選択でパラジウムとを含み、
前記第2の層はロジウムを含む、
請求項15に記載の触媒物品。
【請求項18】
前記触媒物品が、
a)第1の層と、
b)第2の層と、
c)基材と、
を含む二層物品であり、
前記第1の層は、前記基材の少なくとも一部の上に堆積され、前記第2の層は、前記第1の層の少なくとも一部の上、前記基材の少なくとも一部の上、又はその両方の上に堆積され、
前記第1の層はロジウムを含み、
前記第2の層が、請求項1~10のいずれか一項に記載の触媒組成物と、任意選択でパラジウムとを含む、
請求項15に記載の触媒物品。
【請求項19】
前記触媒物品が、
a)第1の層と、
b)第2の層と、
c)基材と、
を含む二層物品であり、
前記第1の層は、前記基材の少なくとも一部の上に堆積され、前記第2の層は、前記第1の層の少なくとも一部の上、前記基材の少なくとも一部の上、又はその両方の上に堆積され、
前記第1の層が、請求項1~11のいずれか一項に記載の触媒組成物とパラジウムとを含み、
前記第2の層が、ロジウムと、請求項1~11のいずれか一項に記載の触媒組成物とを含む、
請求項15に記載の触媒物品。
【請求項20】
前記触媒物品がゾーン構造を有し、前記ゾーン構造が第1のゾーン及び第2のゾーンを含み、前記第1のゾーン、前記第2のゾーン、又はその両方が請求項1~11のいずれか一項に記載の触媒組成物を含む、請求項15又は16に記載の触媒物品。
【請求項21】
前記触媒物品が、第1の層及び第2の層を含む二層物品であり、前記第1の層、前記第2の層、又はその両方がゾーン構造を有し、前記ゾーン構造が第1のゾーン及び第2のゾーンを含み、前記第1のゾーン、前記第2のゾーン、又はその両方が、請求項1~11のいずれか一項に記載の触媒組成物を含む、請求項17~19のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項22】
前記基材が、セラミック基材、金属基材、セラミック発泡体基材、又は織物繊維基材から選択される、請求項15~21のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項23】
請求項15又は16に記載の触媒物品の調製のためのプロセスであって、前記プロセスが、
-請求項1~11のいずれか一項に記載の触媒組成物を含む第1のスラリーを調製することと、
-前記第1のスラリーを前記基材上に堆積させ、その後、400~700℃の範囲の温度でか焼することと、
を含む、プロセス。
【請求項24】
請求項17に記載の触媒物品の調製のためのプロセスであって、前記プロセスが、
-請求項1~11のいずれか一項に記載の触媒組成物と、任意選択でパラジウムとを含む第1のスラリーを調製することと、
-ロジウムを含む第2のスラリーを調製することと、
-前記第1のスラリーを前記基材上に堆積させて第1の層を得、その後、400~700℃の範囲の温度でか焼することと、
-前記第1の層上に前記第2のスラリーを堆積させて第2の層を得、その後、400~700℃の範囲の温度でか焼することと、
を含む、プロセス。
【請求項25】
請求項18に記載の触媒物品の調製のためのプロセスであって、前記プロセスが、
-請求項1~11のいずれか一項に記載の触媒組成物と、任意選択でパラジウムとを含む第1のスラリーを調製することと、
-ロジウムを含む第2のスラリーを調製することと、
-前記第2のスラリーを前記基材上に堆積させて第1の層を得、その後、400~700℃の範囲の温度でか焼することと、
-前記第1の層上に前記第1のスラリーを堆積させて第2の層を得、その後、400~700℃の範囲の温度でか焼することと、
を含む、プロセス。
【請求項26】
請求項19に記載の触媒物品の調製のためのプロセスであって、前記プロセスが、
-請求項1~11のいずれか一項に記載の触媒組成物とパラジウムとを含む第1のスラリーを調製することと、
-ロジウムと請求項1~11のいずれか一項に記載の触媒組成物とを含む第2のスラリーを調製することと、
-前記第1のスラリーを前記基材上に堆積させて第1の層を得、その後、400~700℃の範囲の温度でか焼することと、
-前記第1の層上に前記第2のスラリーを堆積させて第2の層を得、その後、400~700℃の範囲の温度でか焼することと、
を含む、プロセス。
【請求項27】
請求項15~22のいずれか一項に記載の触媒物品を含む、内燃エンジン用の排気ガス処理システム。
【請求項28】
炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物及び微粒子を含むガス状排気流を処理する方法であって、前記排気流を請求項15~22のいずれか一項に記載の触媒物品又は請求項27に記載の排気ガス処理システムと接触させることを含む、方法。
【請求項28】
ガス状排気流中の炭化水素、一酸化炭素、及び窒素酸化物のレベルを低下させる方法であって、前記ガス状排気流を請求項15~22のいずれか一項に記載の触媒物品又は請求項27に記載の排気ガス処理システムと接触させて、前記排気ガス中の炭化水素、一酸化炭素、及び窒素酸化物のレベルを低下させることを含む、方法。
【請求項29】
炭化水素、一酸化炭素、及び窒素酸化物を含むガス状排気流を浄化するための、請求項15~22のいずれか一項に記載の触媒物品又は請求項27に記載の排気ガス処理システムの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願で特許請求される発明は、排気ガス中に含まれる夾雑物を低減するための排気ガスの処理に有用な触媒組成物に関する。特に、本願で特許請求される発明は、白金族金属系触媒組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
白金(Pt)は、高温水熱エージング条件下で焼結する傾向があり、したがって、900~1050℃におけるエージングを必要とする従来の三元変換(TWC)配合物においてPtを使用することは困難である。従来の耐火性アルミナ上に堆積した白金は、十分に確立されたオスワルド(Oswald)熟成機構を介してサブミクロンの大きさに成長することができる。したがって、適切な支持体材料を使用して白金を安定化させることに関するさらなる研究が必要である。アルミナ上にロードされた場合の白金焼結の問題は、支持体としてセリアを使用することによって解決され得る。白金は、強いPt-CeO2相互作用に起因してセリア表面上でしばしば部分的に又は完全に酸化された単層を形成し得ることが見出されている。しかしながら、バルクセリア自体は、高温エージング時に焼結を受ける可能性がある。したがって、最近では、TWC触媒のための白金支持体としてのセリア-アルミナ複合体が提案されており、この場合、白金はセリア-アルミナ複合体上に選択的に堆積される。しかしながら、950℃超のエージング温度における高温水熱安定性を触媒に提供し、それによって触媒性能を改善することができる改善された支持体材料が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、白金と、少なくとも1つの複合体とを含む触媒組成物を提供し、白金は、複合体上に支持され、複合体は、複合体の総重量に基づいて、5.0~50重量%の量のセリア(CeO2として計算される)、複合体の総重量に基づいて、10~80重量%の量のアルミナ(Al2O3として計算される)、及び複合体の総重量に基づいて、10~80重量%の量のマグネシア(MgOとして計算される)を含む。
【0004】
本発明はまた、触媒組成物の調製のためのプロセスを提供する。本発明はさらに、触媒物品及びその作製を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本発明の実施形態の理解を提供するために、添付図面を参照するが、これらの図面は必ずしも縮尺通りに描かれておらず、参照番号は本発明の例示的な実施形態の構成要素を指す。図面は単なる例示であり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。本願で特許請求される発明の上記及び他の特徴、その性質、並びに様々な利点は、添付図面と併せて以下の詳細な説明を考慮すると、より明らかになるであろう。
【
図1A】エージングされた試料1~6についてのCO、NO及びHC変換率を示す。
【
図1B】エージングされた試料1~6についてのCO、NO及びHC変換率を示す。
【
図1C】エージングされた試料1~6についてのCO、NO及びHC変換率を示す。
【
図2A】エージングされた試料5、8及び9についてのCO、NO及びHC変換率を示す。
【
図2B】エージングされた試料5、8及び9についてのCO、NO及びHC変換率を示す。
【
図2C】エージングされた試料5、8及び9についてのCO、NO及びHC変換率を示す。
【
図3A】エージングされた試料1、2、5、7及び10についてのCO、NO及びHC変換率を示す。
【
図3B】エージングされた試料1、2、5、7及び10についてのCO、NO及びHC変換率を示す。
【
図3C】エージングされた試料1、2、5、7及び10についてのCO、NO及びHC変換率を示す。
【
図4A】活性化前後のエージングされた試料5、7及び10についてのCO、NO及びHC変換率を示す。
【
図4B】活性化前後のエージングされた試料5、7及び10についてのCO、NO及びHC変換率を示す。
【
図4C】活性化前後のエージングされた試料5、7及び10についてのCO、NO及びHC変換率を示す。
【
図5A】エージングされた試料11、13、14、16、17及び18についてのCO、NO及びHC変換率を示す。
【
図5B】エージングされた試料11、13、14、16、17及び18についてのCO、NO及びHC変換率を示す。
【
図5C】エージングされた試料11、13、14、16、17及び18についてのCO、NO及びHC変換率を示す。
【
図6A】エージングされた試料12、15、17及び19についてのCO、NO及びHC変換率を示す。
【
図6B】エージングされた試料12、15、17及び19についてのCO、NO及びHC変換率を示す。
【
図6C】エージングされた試料12、15、17及び19についてのCO、NO及びHC変換率を示す。
【
図7A】本願で特許請求される発明の一実施形態による触媒組成物を含み得るハニカム型基材担体の斜視図である。
【
図7B】
図7Aに示される複数のガス流路の拡大図を示す、
図7Aを拡大し、
図7Aの基材担体の端面に対して平行な平面に沿った部分断面図である。
【
図8】
図7Aのハニカム型基材がウォールフローフィルタ基材モノリスを表す、
図7Aを拡大した断面の切断図である。
【
図9】新鮮なMg30及びMg70支持体並びにエージングされたMg30及びMg70支持体のX線回折パターンを示す。
【
図10】Mg30-550及びMg70-550、並びにMg30-550-エージング及びMg70-550-エージングの試料のX線回折パターンを示す。
【
図11A】新鮮なPt触媒(A)及びエージングされたPt触媒(B)のX線回折パターンを示す。
【
図11B】新鮮なPt触媒(A)及びエージングされたPt触媒(B)のX線回折パターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
ここで、本願で特許請求される発明について、以下により完全に説明する。本願で特許請求される発明は、多くの異なる形態で具現化され得、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、これらの実施形態は、この本願で特許請求される発明が詳細かつ完全なものとなり、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。本明細書中のいかなる用語も、開示される材料及び方法の実施に不可欠な任意の請求されていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0007】
本明細書に記載される全ての方法は、本明細書において別段の指示がない限り又は文脈によって明確に否定されない限り、任意の好適な順序で実施することができる。本明細書で提供される任意の及び全ての例又は例示的な用語(例えば、「など」)の使用は、材料及び方法をより深く説明することを単に意図するものであり、別段の主張がない限り、範囲に制限を課すものではない。
【0008】
定義:
用語「a」、「an」、「the」、及び本明細書で論じられる材料及び方法を説明する文脈における(特に、以下の特許請求の範囲の文脈における)同様の指示対象の使用は、本明細書で別段の指示がない限り又は文脈によって明確に否定されない限り、単数形及び複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。
【0009】
本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において別段の指示がない限り、その範囲内の各個別の値に個々に言及する省略法としての役割を果たすことを単に意図するものであり、各個別の値は、本明細書において個々に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0010】
本発明の文脈において、「第1の層」という用語は、「ボトム層」、又は「ボトムコート」と互換的に使用され、一方、「第2の層」という用語は、「トップ層」、又は「トップコート」と互換的に使用される。第1の層は基材の少なくとも一部に堆積し、第2の層は第1の層の少なくとも一部に堆積する。
【0011】
「三元変換触媒」という用語は、a)窒素酸化物の窒素及び酸素への還元、b)一酸化炭素の二酸化炭素への酸化、及びc)未燃焼炭化水素の二酸化炭素及び水への酸化、を同時に進める触媒を指す。
【0012】
「NOx」という用語は、NO及び/又はNO2などの窒素酸化物化合物を指す。
【0013】
本明細書で使用される場合、「ウォッシュコート」という用語は、基材の材料に塗布された触媒材料又は他の材料の薄い接着性コーティングという、当技術分野におけるその通常の意味を有する。一般に、ウォッシュコートは、液体ビヒクル中に特定の固形分含有量(例えば、15~60重量%)の粒子を含有するスラリーを調製することによって形成され、次いで、これを基材上にコーティングし、乾燥させてウォッシュコート層を提供する。
【0014】
触媒の水熱安定性は、高温エージング後に十分な触媒機能を保持することとして機能的に定義され得る。具体的には、この文脈において、水熱安定性は、10%の水蒸気を用いて950℃~1050℃の範囲の温度で約5時間エージング処理した後に、触媒が、より低い及び/又は同等のNOx及び/又は炭化水素ライトオフ温度を有するべきであることを意味する。
【0015】
本明細書で使用される場合、「流」という用語は、固体又は液体の粒子状物質を含有し得る流動ガスの任意の組合せを広く指す。
【0016】
本明細書で使用される場合、「上流」及び「下流」という用語は、エンジンから排気管に向かうエンジン排気ガス流の流動による相対的な方向を指し、エンジンは上流位置にあり、排気管並びにフィルタ及び触媒などの任意の汚染対策物品はエンジンの下流にある。
【0017】
本発明は、高温水熱エージング条件下での白金焼結問題に対処することに焦点を当てている。本発明によって提案される解決策は、白金分散を安定化させ、それによってTWC触媒中の白金を効率的に使用することである。
【0018】
触媒組成物:
本発明は、第1の態様において、
a)白金と、
b)少なくとも1つの複合体と、
を含む触媒組成物を含む触媒組成物を提供し、
白金は、複合体に支持されており、
複合体は、
i)複合体の総重量に基づいて、5.0~50重量%の量のセリア(CeO2として計算される)と、
ii)複合体の総重量に基づいて、10~80重量%の量のアルミナ(Al2O3として計算される)と、
iii)複合体の総重量に基づいて、10~80重量%の量のマグネシア(MgOとして計算される)と、
を含む。
【0019】
好ましくは、セリア(CeO2として計算される);アルミナ(Al2O3として計算される);及びマグネシア(MgOとして計算される)の総量は、複合体の総重量に基づいて、80~100重量%である。
【0020】
好ましくは、複合体の量は、触媒組成物の総重量の80~100重量%である。
【0021】
白金:
好ましくは、複合体上に支持された白金の総量は、複合体の総重量に対して0.1~10重量%の範囲である。より好ましくは、複合体上に支持された白金の総量は、複合体の総重量に対して0.1~5.0重量%の範囲である。さらにより好ましくは、複合体上に支持された白金の総量は、複合体の総重量に対して0.1~3.0重量%の範囲である。
【0022】
支持体材料:
触媒材料又は触媒組成物又は触媒ウォッシュコートにおける「支持体」とは、沈殿、会合、分散、含浸、又は他の好適な方法によって、金属(例えば、PGM)、安定剤、助触媒、バインダーなどを受容する材料を指す。
【0023】
複合体
白金を支持するために使用される支持体材料は、セリア、アルミナ、及びマグネシアを含む複合体である。
【0024】
複合体という用語は、酸化物の混合物を指すことができる。異なる金属酸化物は、別個の金属酸化物として、それらの界面を介して相互作用しながらそれぞれその別個の化学的及び物理的状態で、固溶体(複合酸化物とも呼ばれる)の形態で、又は両方の種、別個の金属酸化物及び固溶体を含む混合物として、混合物中に存在することができる。1つの好ましい実施形態では、XRD結果は、触媒組成物が混合CeO2、MgO、Al2O3及びMgAl2O4相を有することを示す。1つの好ましい実施形態では、複合体は、バルク混合物であり得るか、又は表面上に存在する1つ以上の個々の酸化物を有し得る。一例は、その表面上にCeO2を堆積させることによるMg/Al酸化物の表面改質である。
【0025】
固溶体(又は複合金属酸化物)という用語は、1つの格子構造中に酸素アニオン及び少なくとも2つの異なる金属カチオンを含む混合金属酸化物を指す。固溶体の一例はスピネルであり、Al3+及びMg2+が1つの格子構造に含まれている。
【0026】
好ましくは、複合体は、ランタナ、チタニア、ハフニア、カルシア、ストロンチア、バリア、ジルコニア、又はイットリウム、プラセオジム、ネオジム、鉄の酸化物、又はそれらの任意の組合せから選択されるドーパントを含む。
【0027】
アルミナ:
「アルミナ」という用語は、安定化又は非安定化酸化アルミニウムを指す。安定化酸化アルミニウム及び非安定化酸化アルミニウムは、異なる相修飾で存在することができる。
【0028】
好ましくは、安定化された酸化アルミニウムは、Al2O3と、希土類金属酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、二酸化ケイ素又は上記の任意の組合せから選択される1つ以上のドーパントとを含む。好ましいドーパントは、酸化ランタン(La2O3)、酸化セリウム(CeO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化バリウム(BaO)、酸化ネオジム(Nd2O3)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化ランタンと酸化ジルコニウムの組合せ、酸化バリウムと酸化ランタンの組合せ、酸化バリウムと酸化ランタンと酸化ネオジムの組合せ、又は酸化セリウムと酸化ジルコニウムの組合せである。ドーパントは、酸化アルミニウムに異なる特性を付与することができる。ドーパントは、酸化アルミニウムの望ましくない相転移を遅らせることができ、表面積を安定化させることができ、欠陥部位を導入することができ、及び/又は酸化アルミニウム表面の酸性度を変化させることができる。ドーパント金属は、カチオン形態でAl2O3の結晶構造に組み込まれて複合酸化物を形成してもよく、Al2O3の表面に酸化物形態で堆積されてもよく、又はマイクロスケールでドーパント及びAl2O3の両方の混合物のブレンドとして酸化物形態で存在してもよい。
【0029】
例示的な安定化及び非安定化アルミナとしては、大細孔ベーマイト、ガンマ-アルミナ、又はデルタ/シータアルミナを挙げることができる。有用な市販のアルミナには、高嵩密度ガンマアルミナ、低又は中嵩密度大孔ガンマアルミナ、又は低嵩密度大孔ベーマイト及びガンマアルミナなどの活性アルミナが含まれる。アルミナ材料は一般に、得られる触媒に耐久性を与えると考えられている。「ガンマアルミナ」又は「活性アルミナ」とも呼ばれる高表面積アルミナ支持体は、典型的には、60平方メートル/グラム(「m2/g」)を超える、しばしば最大約300m2/g以上の新鮮な材料のBET表面積を示す。好ましくは、アルミナのBET表面積は、約100~約150m2/gの範囲である。活性アルミナは、通常、アルミナのガンマ及びデルタ相の混合物であるが、かなりの量のエータ、カッパ、及びシータアルミナ相を含有していてもよい。好ましくは、複合体中のアルミナ(Al2O3として計算される)は、10~80重量%の量で存在する。より好ましくは、複合体中のアルミナ(Al2O3として計算される)は、複合体の総重量に基づいて、12~32重量%の量で存在する。
【0030】
セリア:
用語「セリア」は、蛍石構造を有する酸化セリウムを指す。酸化セリウムは、好ましくはナノ粒子及び/又は酸化セリウム微結晶として存在する。セリアは、触媒調製のために典型的に使用される方法によって、アルミナ含有支持体の表面上にドープされ得る。インシピエントウェットネス技術を用いたセリウム前駆体の支持体材料への含浸は、ほとんどの場合に使用される調製方法であり、ここでは硝酸セリウムなどのセリウム塩溶液が支持体材料に適用される。乾燥及びか焼後、セリウム種は結晶性酸化セリウム粒子に変わる。別のセリウム前駆体は、典型的には水性懸濁液としてのコロイド状セリア分散液である。コロイド状セリアは商業的供給源から購入することができ、典型的にはコロイド懸濁液中のセリアの平均粒径は5.0~100nmの間である。最終触媒上のセリアの平均粒径は、X線回折(XRD)分光法によって決定することができる。
【0031】
コロイド懸濁液は、セリウム塩溶液と同様の方法で支持体材料に適用することができる。コロイド状セリア懸濁液は特定の平均粒径となるため、か焼工程後の触媒上の最終的なセリア径はより予測可能であり、より良好に制御することができる。支持体上へのセリアドーピング及び白金堆積は、連続的に(例えば、最初にセリアで、次に白金)又は一工程で(すなわち、共含浸)のいずれかで行うことができる。好ましくは、複合体中に存在するセリアは、ナノ粒子の形態で存在する。より好ましくは、複合体中に存在するセリアは、5.0nm~100nmの範囲の粒径を有する。最終触媒上のセリアの平均粒径は、X線回折(XRD)分光法によって決定することができる。
【0032】
好ましい実施形態では、複合体中のセリアは、アルミナ、マグネシア、又はアルミナ及びマグネシアの両方に少なくとも部分的に支持されている。複合体中のセリアの量(CeO2として計算される)は、複合体の総重量に基づいて、5.0~50重量%である。好ましくは、複合体中のセリアの量(CeO2として計算される)は、複合体の総重量に基づいて、20~40重量%である。
【0033】
マグネシア:
マグネシアという用語は、酸化マグネシウムを指す。複合体中のマグネシアは、マグネシウム及びアルミニウムの混合塩溶液の共沈によって作製されたマグネシア及びアルミナのバルク混合物であり得るか、又はアルミナの表面に存在する。高いマグネシア/アルミナ比(例えば50:50)を有する支持体については、バルク混合が唯一の可能性である。マグネシア/アルミナ混合物支持体は、商業的に都合よく入手することができる。典型的には、XRDによって測定される混合物について2つの別個の結晶相(酸化マグネシウム及び酸化アルミニウム)が存在する。マグネシア/アルミナ混合物が高温(>800℃)に曝露されると、第3の相であるアルミン酸マグネシウム(MgAl2O4)を形成することができ、これはスピネル構造であり、XRDによって容易に同定することができる。複合体中のマグネシアの量(MgOとして計算される)は、複合体の総重量に基づいて、10~80重量%である。好ましくは、複合体中のマグネシアの量(MgOとして計算される)は、複合体の総重量に基づいて、35~65重量%である。
【0034】
複合体中の酸化物の量
複合体中のセリアの量(CeO2として計算される)は、複合体の総重量に基づいて、5.0~50重量%である。好ましくは、複合体中のセリアの量(CeO2として計算される)は、複合体の総重量に基づいて、20~40重量%である。より好ましくは、セリアの量(CeO2として計算される)は、複合体の総重量に基づいて、25~35重量%である。
【0035】
本発明によれば、複合体中のアルミナの量(Al2O3として計算される)は、複合体の総重量に基づいて、10~80重量%である。好ましくは、複合体中のアルミナの量(Al2O3として計算される)は、複合体の総重量に基づいて、12~32重量%である。
【0036】
本発明によれば、複合体中のマグネシアの量(MgOとして計算される)は、複合体の総重量に基づいて10~80重量%である。好ましくは、複合体中のマグネシアの量(MgOとして計算される)は、複合体の総重量に基づいて、35~65重量%である。
【0037】
複合体において、マグネシア(MgOとして計算される)とアルミナ(Al2O3として計算される)との重量比は、好ましくは1:4~4:1である。より好ましくは、マグネシア(MgOとして計算される)とアルミナ(Al2O3として計算される)との重量比は、7:3である。
【0038】
複合体において、セリア(CeO2として計算される)とアルミナ(Al2O3として計算される)との重量比は、0.6~3.3の範囲であることが好ましい。
【0039】
複合体の量は、触媒組成物の総重量の80~100重量%である。
【0040】
触媒組成物の調製:
本願で特許請求される発明の別の態様によれば、上記の触媒組成物の調製のためのプロセスも提供される。プロセスは、マグネシア及びアルミナを混合して、マグネシア及びアルミナを含む第1の複合体を得ることを含む。次の工程では、セリアを第1の複合体上に含浸させて第2の複合体を得る。最後に、白金を第2の複合体上に含浸させ、その後、か焼して触媒組成物を得る。触媒組成物の調製に利用されるセリアは、蛍石構造を有する酸化セリウムナノ粒子又は酸化セリウム微結晶である。好ましくは、使用されるセリアは、10nm~80nmの範囲の平均粒径を有するコロイド状セリアである。あるいは、触媒組成物の調製のためのプロセスは、マグネシア及びアルミナを混合してマグネシア及びアルミナを含む複合体を得、その後、複合体上にセリア及び白金を共含浸させ、か焼して触媒組成物を得ることを含む。
【0041】
触媒物品
本願で特許請求される発明のさらに別の態様によれば、本明細書で上に記載の触媒組成物が基材上に堆積される触媒物品が提供される。
【0042】
触媒組成物は、a)白金と、b)少なくとも1つの複合体とを含み、白金は、複合体上に支持され、複合体は、複合体の総重量に基づいて、5~50重量%の量のセリア(CeO2として計算される)、複合体の総重量に基づいて、10~80重量%の量のアルミナ(Al2O3として計算される)、及び複合体の総重量に基づいて、10~80重量%の量のマグネシア(MgOとして計算される)を含む。複合体は、好ましくは、ランタナ、チタニア、ハフニア、カルシア、ストロンチア、バリア、ジルコニア、又はイットリウム、プラセオジム、ネオジム、鉄の酸化物、又はそれらの任意の組合せから選択されるドーパントを含む。
【0043】
複合体上に支持された白金の総量は、複合体の総重量に対して0.1~10重量%の範囲である。好ましくは、複合体上に支持された白金の量は、複合体の総重量に対して0.1~5.0重量%の範囲である。
【0044】
好ましくは、複合体中のセリアは、5.0nm~100nmの範囲の平均粒径を有するナノ粒子の形態である。
【0045】
好ましくは、複合体中のセリアの量(CeO2として計算される)は、複合体の総重量に基づいて、20~40重量%である。
【0046】
好ましくは、複合体中のアルミナの量(Al2O3として計算される)は、複合体の総重量に基づいて、12~32重量%である。好ましくは、複合体中のマグネシアの量(MgOとして計算される)は、複合体の総重量に基づいて、35~65重量%である。
【0047】
複合体において、マグネシア(MgOとして計算される)とアルミナ(Al2O3として計算される)との重量比は、好ましくは1:4~4:1である。より好ましくは、複合体において、マグネシア(MgOとして計算される)とアルミナ(Al2O3として計算される)との重量比は7:3である。
【0048】
セリア(CeO2として計算される)とアルミナ(Al2O3として計算される)との重量比は、0.6~3.3の範囲である。
【0049】
好ましい一実施形態では、触媒物品は単層触媒物品である。すなわち、本明細書で上に記載の触媒組成物は、単層又は単一のウォッシュコートとして基材上に堆積される。好ましくは、ウォッシュコートは、基材の表面の90~100%を覆う。より好ましくは、ウォッシュコートは、基材の表面の95~100%を覆い、さらにより好ましくは、ウォッシュコートは、基材のアクセス可能な表面全体を覆う。「アクセス可能な表面」という用語は、含浸技術のような触媒調製の分野で使用される従来のコーティング技術で覆うことができる基材の表面を指す。
【0050】
別の好ましい実施形態では、触媒物品は、第1の層と、第2の層と、基材と、を含む二層物品である。
【0051】
第1の層:
第1の層(第1のウォッシュコート)は、基材の少なくとも一部の上に堆積される。好ましくは、第1のウォッシュコートは、基材の表面の90~100%を覆う。より好ましくは、第1のウォッシュコートは、基材の表面の95~100%を覆い、さらにより好ましくは、第1のウォッシュコートは、基材のアクセス可能な表面全体を覆う。
【0052】
第1の層は、本願で特許請求される発明による触媒組成物と、任意選択でパラジウムとを含む。好ましくは、白金の負荷は、5.0~200gm/ft3である。好ましくは、複合体の負荷は、0.5~4gm/in3である。好ましくは、パラジウムの負荷は、5.0~200gm/ft3である。
【0053】
第2の層:
第2の層(第2のウォッシュコート)は、第1の層の少なくとも一部、基材の少なくとも一部、又はその両方の上に堆積される。好ましくは、第2のウォッシュコートのコートは、第1の層の表面の90~100%を覆う。より好ましくは、第2のウォッシュコートは、第1の層の表面の95~100%を覆い、さらにより好ましくは、第2のウォッシュコートは、第1の層の接触可能な表面全体を覆う。
【0054】
第2の層はロジウムを含む。好ましくは、ロジウムの負荷は、1.0~40gm/ft3である。
【0055】
あるいは、第1の層はロジウムを含むことができ、第2の層は、本願で特許請求される発明による触媒組成物と、任意選択でパラジウムとを含む。
【0056】
さらに代替的には、第1の層は、本願で特許請求される発明による触媒組成物と、任意選択でパラジウムとを含み、第2の層は、ロジウムと本願で特許請求される発明による触媒組成物とを含む。
【0057】
ゾーン構造:
単層又は二層のいずれかである触媒物品は、好ましくはゾーン構造を有する。ゾーン構造は、第1のゾーン及び第2のゾーンを含む。第1のゾーン、第2のゾーン、又はその両方は、本願で特許請求される発明による触媒組成物を含む。
【0058】
好ましくは、二層物品は、第1の層及び第2の層を含み、第1の層、第2の層、又はその両方がゾーン構造を有し、ゾーン構造が第1のゾーン及び第2のゾーンを含み、第1のゾーン、第2のゾーン、又はその両方が、本願で特許請求される発明による触媒組成物を含む。
【0059】
本発明の文脈において、「第1のゾーン」という用語は、「入口ゾーン」又は「前方ゾーン」と互換的に使用され、「第2のゾーン」という用語は、「出口ゾーン」又は「後方ゾーン」と互換的に使用される。「第1のゾーン」及び「第2のゾーン」という用語はまた、それぞれ流動方向における触媒物品の相対位置、排気ガス処理システム内に配置されたときの触媒物品の相対位置を説明する。第1のゾーンは、上流に配置されるが、第2のゾーンは下流に配置される。第1のゾーンは、基材の入口から基材の少なくとも一部を覆うが、第2のゾーンは、基材の出口から基材の少なくとも一部を覆う。基材の入口は、エンジンからのエンジン排気ガス流の流れを受け入れる第1の端部であるが、基材の出口は、処理された排気ガス流がそこから出る第2の端部である。
【0060】
好ましくは、第1のゾーン及び第2のゾーンは合わせて基材の長さの50~100%を覆う。より好ましくは、第1及び第2のゾーンは合わせて基材の長さの90~100%を覆い、さらにより好ましくは、第1及び第2のゾーンは合わせて基材の全長を覆う。
【0061】
好ましくは、第1のゾーンは入口から基材の全長の10~90%を覆い、第2のゾーンは出口から基材の全長の90~10%を覆うが、第1のゾーン及び第2のゾーンは合わせて基材の長さの20~100%を覆う。より好ましくは、第1のゾーンは入口から基材の全長の20~80%を覆い、第2のゾーンは出口から基材の全長の80~20%を覆うが、第1のゾーン及び第2のゾーンは合わせて基材の長さの40~100%を覆う。さらにより好ましくは、第1のゾーンは入口から基材の全長の30~70%を覆い、第2のゾーンは出口から基材の全長の70~30%を覆うが、第1のゾーン及び第2のゾーンは合わせて基材の長さの60~100%を覆う。さらに最も好ましくは、第1のゾーンは入口から基材の全長の40~50%を覆い、第2のゾーンは出口から基材の全長の50~60%を覆うが、第1のゾーン及び第2のゾーンは合わせて基材の長さの90~100%を覆う。
【0062】
基材:
本願で特許請求される発明の触媒物品の基材は、自動車用触媒を調製するために典型的に使用される任意の材料で構成されていてよい。好ましい実施形態では、基材は、セラミック基材、金属基材、セラミック発泡体基材、又は織物繊維基材である。好ましくは、基材は、セラミック又は金属モノリスハニカム構造である。
【0063】
基材は、本明細書で上述した触媒組成物を含むウォッシュコートが適用及び接着され、それによって触媒組成物の担体として作用する複数の壁面を提供する。
【0064】
好ましい金属基材としては、チタン及びステンレス鋼などの耐熱性金属及び金属合金、並びに鉄が実質的又は主要な成分である他の合金が挙げられる。そのような合金は、1つ以上のニッケル、クロム、及び/又はアルミニウムを含有していてよく、これらの金属の総量は、有利には、少なくとも15重量%の合金を含み得る。例えば、10~25重量%のクロム、3~8重量%のアルミニウム、及び最大20重量%のニッケルである。合金は、マンガン、銅、バナジウム、チタンなどの1つ以上の金属を少量又は微量含有していてもよい。基材の表面上に酸化物層を形成して、合金の耐食性を改善し、金属表面へのウォッシュコート層の接着を促進するために、金属基材の表面を、例えば1000℃以上の高温で酸化してもよい。
【0065】
基材を構築するために使用される好ましいセラミック材料としては、任意の好適な耐火性材料、例えば、コージライト、ムライト、コージライト-アルミナ、窒化ケイ素、ジルコンムライト、リシア輝石、アルミナ-シリカマグネシア、ケイ酸ジルコン、シリマナイト、ケイ酸マグネシウム、ジルコン、ペタライト、アルミナ、アルミノシリケートなどを挙げることができる。
【0066】
流路が流体の流れに対して開いているように基材の入口面から出口面まで延在する複数の微細な平行ガス流路を有するモノリスフロースルー基材などの任意の好適な基材を使用してよい。入口から出口まで本質的に直線の通路である流路は、流路を通って流れるガスが触媒材料と接触するように、触媒材料がウォッシュコートとしてコーティングされている壁によって画定される。モノリス基材の流路は、台形、長方形、正方形、正弦曲線、六角形、楕円形、円形などの任意の好適な断面形状の薄壁チャネルである。このような構造体は、断面1平方インチ当たり約60~約1200個又はそれを超えるガス入口開口部(すなわち、「セル」)(cpsi)、より一般的には約300~900cpsiを有する。フロースルー基材の壁厚は様々であり得るが、典型的な範囲は、0.002~0.1インチである。代表的な市販のフロースルー基材は、400cpsi及び6ミルの壁厚、又は600cpsi及び4ミルの壁厚を有するコージライト基材である。しかし、本発明は、特定の基材の種類、材料、又は形状に限定されないことが理解されるであろう。代替的な実施形態において、基材は、ウォールフロー基材であってもよく、各流路は、基材本体の一端において非多孔質プラグで遮断され、流路は、交互に対向する端面で遮断される。これは、ガスがウォールフロー基材の多孔質壁を通って流れて、出口に到達することを必要とする。そのようなモノリス基材は、最大約700cpsi又はそれ以上、例えば約100~400cpsi、より典型的には約200~約300cpsiを含有することができる。セルの断面形状は、上述したように様々であり得る。ウォールフロー基材は、典型的には、0.008~0.012インチの壁厚を有する。代表的な市販のウォールフロー基材は、多孔質コージェライトから構成され、その例は、300cpsi及び12mil(1mil=0.001インチ)の壁厚、又は10milの壁厚を有する300cpsi、又は8milの壁厚を有する300cpsi、及び40~70%の壁空隙率を有する。チタン酸アルミニウム、炭化ケイ素、及び窒化ケイ素などの他のセラミック材料も、ウォールフローフィルタ基材として使用される。しかし、本発明は、特定の基材の種類、材料、又は形状に限定されないことが理解されるであろう。基材がウォールフロー基材である場合、触媒組成物は、壁の表面上に配置されることに加えて、多孔質壁の細孔構造内に浸透することができる(すなわち、細孔開口部を部分的又は完全に塞ぐ)ことに留意されたい。一実施形態において、基材は、フロースルーセラミックハニカム構造、ウォールフローセラミックハニカム構造、又は金属ハニカム構造を有する。
【0067】
図7A及び
図7Bは、本明細書に記載のウォッシュコート組成物でコーティングされたフロースルー基材の形態の例示的な基材2を示す。
図7Aを参照すると、例示的な基材2は、円筒形状を有し、円筒外面4と、上流端面6と、端面6と同一である対応する下流端面8とを有する。基材2には、複数の微細で平行なガス流路10がその中に形成されている。
図7Bから分かるように、流路10は壁12によって形成され、基材2を通って上流端面6から下流端面8まで延在し、流路10は、ガス流路10を介して基材2を長手方向に通る流体、例えばガス流が流れることができるように閉塞していない。
図7Bでより容易に分かるように、壁12は、ガス流路10が実質的に正多角形の形状を有するように寸法決めされ、構成される。図示の通り、ウォッシュコート組成物は、所望であれば、複数の別個の層で適用することができる。図示されている実施形態では、ウォッシュコートは、基材部材の壁12に接着している別個の第1のウォッシュコート層14と、第1のウォッシュコート層14上にコーティングされている第2の別個のウォッシュコート層16とからなる。一実施形態では、本願で請求される本発明はまた、2層以上(例えば、3層又は4層)のウォッシュコート層でも実施され、図示されている2層実施形態には限定されない。
【0068】
図8は、本明細書に記載のウォッシュコート組成物でコーティングされたウォールフローフィルタ基材の形態の例示的な基材2を示す。
図8から分かるように、例示的な基材2は複数の通路52を有する。通路は、フィルタ基材の内壁53によって管状に囲まれている。基材は、入口端54及び出口端56を有する。交互の通路は、入口端において入口プラグ58で塞がれ、出口端において出口プラグ60で塞がれて、入口54及び出口56において対向する市松模様を形成する。ガス流62は、塞がれていないチャネル入口64を通って入り、出口プラグ60によって止められ、チャネル壁53(多孔質である)を通って出口側66に拡散する。ガスは、入口プラグ58のために壁の入口側に戻ることができない。本発明で使用される多孔質ウォールフローフィルタは、上記要素の壁がその上に1つ以上の触媒材料を有するか、又はその中に1つ以上の触媒材料を含有するという点で触媒される。触媒材料は、要素壁の入口側のみ、出口側のみ、入口側及び出口側の両方に存在してもよく、又は壁自体が触媒材料の全部又は一部からなっていてもよい。本発明は、要素の入口壁及び/又は出口壁上に触媒材料の1つ以上の層を使用することを含む。
【0069】
触媒物品の調製:
本願で特許請求される発明の別の態様によれば、本願で特許請求される発明による触媒物品の調製のためのプロセスも提供される。プロセスは、本願で特許請求される発明による触媒組成物を含む第1のスラリーを調製することと、基材上に第1のスラリーを堆積させ、その後、400~700℃の範囲の温度でか焼することと、を含む。得られた触媒物品は単層である。
【0070】
好ましくは、二層触媒物品は、本願で特許請求される発明による触媒組成物と、任意選択でパラジウムとを含む第1のスラリーを調製することと、ロジウムを含む第2のスラリーを調製することと、基材上に第1のスラリーを堆積させて、第1の層を得、その後、400~700℃の範囲の温度でか焼することと、第1の層上に第2のスラリーを堆積させて、第2の層を得、その後、400~700℃の範囲の温度でか焼することと、を含むプロセスによって調製される。
【0071】
好ましくは、二層触媒物品は、本願で特許請求される発明による触媒組成物とパラジウムとを含む第1のスラリーを調製することと、ロジウムと本願で特許請求される発明による触媒組成物とを含む第2のスラリーを調製することと、基材上に第1のスラリーを堆積させて、第1の層を得、その後、400~700℃の範囲の温度でか焼することと、第1の層上に第2のスラリーを堆積させて、第2の層を得、その後、400~700℃の範囲の温度でか焼することと、を含むプロセスによって調製される。
【0072】
好ましくは、二層触媒物品は、本願で特許請求される発明による触媒組成物と、任意選択でパラジウムとを含む第1のスラリーを調製することと、ロジウムを含む第2のスラリーを調製することと、基材上に第2のスラリーを堆積させて、第1の層を得、その後、400~700℃の範囲の温度でか焼することと、第1の層上に第1のスラリーを堆積させて、第2の層を得、その後、400~700℃の範囲の温度でか焼することと、を含むプロセスによって調製される。
【0073】
触媒物品の調製は、パラジウム、白金及び/又はロジウム前駆体溶液などの活性金属溶液を微粒子形態の支持体材料に含浸させることを含む。本明細書で使用される場合、「含浸された」又は「含浸」は、支持体材料の多孔質構造内への触媒材料の浸透を指す。含浸又はスラリーの調製を行うために使用される技術としては、インシピエントウェットネス技術(A)、共沈技術(B)、及び共含浸技術(C)が挙げられる。
【0074】
不均一材料、すなわち触媒の合成には、一般に、キャピラリ含浸又はドライ含浸とも呼ばれるインシピエントウェットネス含浸技術が使用される。典型的には、金属前駆体を水溶液又は有機溶液に溶解させ、次いで、金属含有溶液を、添加した溶液の容積と同じ細孔容積を含有する触媒支持体に添加する。毛管作用により、溶液が支持体の細孔に引き込まれる。支持体細孔容積を超えて添加された溶液は、溶液輸送を毛管作用プロセスからはるかに遅い拡散プロセスへと変化させる。触媒を乾燥させ、か焼して溶液内の揮発性成分を除去し、触媒支持体の表面上に金属を堆積させる。含浸された材料の濃度プロファイルは、含浸及び乾燥中の細孔内の物質移動条件に依存する。
【0075】
支持体粒子は、典型的には、実質的に全ての溶液を吸収して湿った固形物を形成するのに十分な程度乾燥している。ロジウムが活性金属である場合、塩化ロジウム、硝酸ロジウム(例えば、Rh(NO)3及びその塩)、酢酸ロジウム、又はそれらの組合せ;パラジウムが活性金属である場合、硝酸パラジウム、パラジウムテトラアミン、酢酸パラジウム、又はそれらの組合せ;並びに白金が活性金属である場合、硝酸白金、硝酸テトラアミン白金、酢酸白金、又はそれらの組合せなどの水溶性化合物又は活性金属の錯体の水溶液が典型的に利用される。支持体粒子を活性金属溶液で処理した後、高温(例えば、100~150℃)で一定時間(例えば、1~3時間)粒子を熱処理するなどして粒子を乾燥させ、次いで、か焼して活性金属をより触媒的に活性な形態に変換する。例示的なか焼プロセスは、空気中約400~550℃の温度で10分~3時間熱処理することを含む。上記のプロセスは、所望のレベルの活性金属含浸を達成するために必要に応じて繰り返してもよい。
【0076】
基材コーティング:
上記の触媒組成物は、典型的には、上記のような触媒粒子の形態で調製される。ハニカム型基材などの触媒基材をコーティングするために、これらの触媒粒子を水と混合してスラリーを形成する。触媒粒子に加えて、スラリーは、任意選択で、アルミナ、シリカ、酢酸ジルコニウム、ジルコニア、もしくは水酸化ジルコニウムの形態のバインダー、会合性増粘剤、及び/又は界面活性剤(アニオン性、カチオン性、非イオン性、又は両性界面活性剤を含む)を含有してもよい。他の例示的なバインダーとしては、ベーマイト、ガンマ-アルミナ、又はデルタ/シータアルミナ、並びにシリカゾルが挙げられる。存在する場合、バインダーは、典型的には、総ウォッシュコート負荷の約1.0~5.0重量%の量で使用される。それに応じてpHを調整するために、スラリーへの酸性種又は塩基性種の添加が行われる。例えば、いくつかの実施形態において、スラリーのpHは、水酸化アンモニウム、硝酸水溶液、又は酢酸の添加によって調整される。スラリーの典型的なpH範囲は、約3.0~12である。
【0077】
スラリーを粉砕して、粒径を小さくし、粒子の混合を促進することができる。粉砕は、ボールミル、連続ミル、又は他の同様の装置で達成され、スラリーの固形分含有量は、例えば、約20~60重量%、より具体的には約20~40重量%であり得る。一実施形態では、粉砕後スラリーは、約3.0~約40マイクロメートル、好ましくは10~約30マイクロメートル、より好ましくは約10~約15マイクロメートルのD90粒径を特徴とする。D90は、専用の粒径分析器を使用して求められる。この例で使用される装置は、レーザー回折を使用して小容量スラリー中の粒径を測定する。典型的にはマイクロメートル単位のD90は、粒子数の90%がその値未満の直径を有することを意味する。
【0078】
スラリーは、当技術分野で公知の任意のウォッシュコート技術を用いて触媒基材上にコーティングされる。一実施形態では、触媒基材は、スラリー中に1回以上浸漬されるか、さもなければスラリーでコーティングされる。その後、コーティングされた基材を高温(例えば、100~150℃)で一定期間(例えば、10分~3.0時間)乾燥させ、次いで、例えば、400~700℃で、典型的には約10分~約3時間加熱することによってか焼する。乾燥及びか焼の後、最終ウォッシュコートコーティング層は、本質的に溶媒を含まないとみなされる。か焼後、上述のウォッシュコート技術によって得られた触媒負荷は、基材の被覆重量と非被覆重量との差を計算することによって求めることができる。当業者には明らかなように、触媒負荷は、スラリーレオロジーを変化させることによって変更することができる。加えて、ウォッシュコートを生成するためのコーティング/乾燥/か焼プロセスは、所望の負荷レベル又は厚さまでコーティングを構築するために必要に応じて繰り返してもよく、これは、1つを超えるウォッシュコートを適用してもよいことを意味する。
【0079】
排出物処理システム:
本発明の別の態様においては、内燃エンジン用の排気ガス処理システムであって、本明細書で上述した触媒物品を含む、システム、も提供される。システムは、本願で特許請求される発明による触媒物品と、追加の白金族金属系三元変換(TWC)触媒物品とを含み得る。本発明の触媒物品は、密結合位置に配置してよい。密結合触媒は、できる限り早く反応温度に達することができるようにするためにエンジンの近くに配置される。一般に、密結合触媒は、エンジンの3フィート以内、より具体的には1フィート以内、さらにより具体的にはエンジンから6インチ未満に配置される。密結合触媒は、排気ガスマニホールドに直接取り付けられることが多い。密結合触媒は、エンジンに近接しているため、高温で安定である必要がある。
【0080】
本発明の触媒物品はまた、排気ガス排出物を処理するための1つ以上の追加の構成要素を含む統合排気システムの一部として使用することもできる。
【0081】
例えば、排出処理システムとしても知られている排気システムは、密結合TWC触媒、床下触媒、触媒化スートフィルタ(catalysed soot filter、CSF)構成要素、及び/又は選択的接触還元(selective catalytic reduction、SCR)触媒物品をさらに含んでいてもよい。構成要素の前述のリストは、単なる例示であり、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0082】
本発明の別の態様では、炭化水素、一酸化炭素、及び窒素酸化物を含むガス状排気流を処理する方法であって、当該排気流を本発明による触媒物品又は本発明による排気ガス処理システムと接触させることを含む、方法、も提供される。
【0083】
本発明はまた、ガス状排気流中の炭化水素、一酸化炭素、及び窒素酸化物のレベルを低下させる方法であって、ガス状排気流を本発明による触媒物品又は本発明による排気ガス処理システムと接触させて、排気ガス中の炭化水素、一酸化炭素、及び窒素酸化物のレベルを低下させることを含む、方法を提供する。
【0084】
本発明の別の態様では、炭化水素、一酸化炭素、及び窒素酸化物を含むガス状排気流を浄化するための、本願で特許請求される発明による触媒物品又は排気ガス処理システムの使用も提供される。
【0085】
本発明を以下の実施形態によってさらに説明する。各実施形態の特徴は、適切かつ実用的である場合、他の実施形態のいずれかと組み合わせることができる。
【0086】
実施形態1:
a)白金と、b)少なくとも1つの複合体と、を含む触媒組成物であって、白金は、複合体上に支持され、複合体は、複合体の総重量に基づいて、5.0~50重量%の量のセリア(CeO2として計算される)、複合体の総重量に基づいて、10~80重量%の量のアルミナ(Al2O3として計算される)、及び複合体の総重量に基づいて、10~80重量%の量のマグネシア(MgOとして計算される)を含む、触媒組成物。
【0087】
実施形態2:
セリアが、5.0nm~100nmの範囲の平均粒径を有するナノ粒子の形態である、実施形態1に記載の触媒組成物。
【0088】
実施形態3:
マグネシア(MgOとして計算される)とアルミナ(Al2O3として計算される)との重量比が1:4~4:1である、実施形態1~2のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【0089】
実施形態4:
マグネシア(MgOとして計算される)とアルミナ(Al2O3として計算される)との重量比が7:3である、実施形態1~3のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【0090】
実施形態5:
複合体上に支持された白金の総量が、複合体の総重量に対して0.1~10重量%の範囲である、実施形態1~4のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【0091】
実施形態6:
複合体が、ランタナ、チタニア、ハフニア、カルシア、ストロンチア、バリア、ジルコニア、又はイットリウム、プラセオジム、ネオジム、鉄の酸化物、又はそれらの任意の組合せから選択されるドーパントを含む、実施形態1~5のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【0092】
実施形態7:
セリア(CeO2として計算される)が、複合体の総重量に基づいて、20~40重量%の量である、実施形態1~6のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【0093】
実施形態8:
アルミナ(Al2O3として計算される)が、複合体の総重量に基づいて、12~32重量%の量である、実施形態1~7のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【0094】
実施形態9:
マングネシア(MgOとして計算される)が、複合体の総重量に基づいて、35~65重量%の量である、実施形態1~8のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【0095】
実施形態10:
セリア(CeO2として計算される)とアルミナ(Al2O3として計算される)との重量比が0.6~3.3の範囲である、実施形態1~9のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【0096】
実施形態11:
複合体の量が、触媒組成物の総重量の80~100重量%である、実施形態1~10のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【0097】
実施形態12:
セリア(CeO2として計算される);アルミナ(Al2O3として計算される);及びマグネシア(MgOとして計算される)の総量は、複合体の総重量に基づいて、80~100重量%である、実施形態1~11のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【0098】
実施形態13:
基材上に堆積した実施形態1~12のいずれか一項に記載の触媒組成物を含む触媒物品。
【0099】
実施形態14:
触媒物品が単層触媒物品である、実施形態13に記載の触媒物品。
【0100】
実施形態15:
触媒物品が、第1の層と、第2の層と、基材と、を含む二相物品であり、第1の層が、基材の少なくとも一部に堆積され、第2の層が、第1の層の少なくとも一部、基材の少なくとも一部、又はその両方に堆積され、第1の層が、実施形態1~12のいずれか一項に記載の触媒組成物と、任意選択でパラジウムとを含み、第2の層がロジウムを含む、実施形態13に記載の触媒物品。
【0101】
実施形態16:
触媒物品が、第1の層と、第2の層と、基材と、を含む二層物品であり、第1の層が、基材の少なくとも一部に堆積され、第2の層が、第1の層の少なくとも一部、基材の少なくとも一部、又はその両方に堆積され、第1の層がロジウムを含み、第2の層が、実施形態1~12のいずれか一項に記載の触媒組成物と、任意選択でパラジウムとを含む、実施形態13に記載の触媒物品。
【0102】
実施形態17:
触媒物品が、第1の層と、第2の層と、基材と、を含む、二層物品であり、第1の層が、基材の少なくとも一部に堆積され、第2の層が、第1の層の少なくとも一部、基材の少なくとも一部、又はその両方に堆積され、第1の層が、請求項1~12のいずれか一項に記載の触媒組成物とパラジウムとを含み、第2の層が、ロジウムと実施形態1~12のいずれか一項に記載の触媒組成物とを含む、実施形態13に記載の触媒物品。
【0103】
実施形態18:
触媒物品がゾーン構造を有し、ゾーン構造が第1のゾーン及び第2のゾーンを含み、第1のゾーン、第2のゾーン、又はその両方が実施形態1~12のいずれか一項に記載の触媒組成物を含む、実施形態13~14のいずれか一項に記載の触媒物品。
【0104】
実施形態19:
触媒物品が、第1の層及び第2の層を含む二層物品であり、第1の層、第2の層、又はその両方がゾーン構造を有し、ゾーン構造が第1のゾーン及び第2のゾーンを含み、第1のゾーン、第2のゾーン、又はその両方が、実施形態1~12のいずれか一項に記載の触媒組成物を含む、実施形態15~17のいずれか一項に記載の触媒物品。
【0105】
実施形態20:
基材が、セラミック基材、金属基材、セラミック発泡体基材、ポリマー発泡体基材、又は織物繊維基材から選択される、実施形態13~19のいずれか一項に記載の触媒物品。
【0106】
本願で特許請求される発明の態様は、以下の実施例によってより十分に説明され、これらの実施例は、本発明の特定の態様を説明するために記載されており、それらを限定するとして解釈されるべきではない。
【0107】
実施例1:触媒組成物
表1は、触媒試料及びそれらの組成情報を列挙する。
【0108】
以下の5つの支持体材料を、種々の触媒を製造するために使用した。
1. Al2O3は、MgOを含まないγ-アルミナである。
2. Mg20は、約20重量%のMgO及び約80重量%のAl2O3を含有する支持体材料である。
3. Mg30は、約30重量%のMgO及び約70重量%のAl2O3を含有する支持体材料である。
4. Mg70は、約70重量%のMgO及び約30重量%のAl2O3を含有する支持体材料である。
5. MgOは、Al2O3を含まない100%MgOである。
【0109】
【表1】
*支持体量は100%にするための適量である。
【0110】
試料調製:
試料1、2、11、13、14、16及び18は、インシピエントウェットネス含浸技術を用いて硝酸白金溶液を支持体(Al2O3、Mg20、Mg30、Mg70又はMgO)上に含浸させることによって調製した。含浸した試料を空気中550℃で2時間か焼した。
【0111】
試料3~6は、(第1の)コロイド状CeO2懸濁液(約20nmのCeO2粒子の平均直径を有する)及び(第2の)硝酸白金溶液をMg70支持体に順次含浸することによって調製した。第1の含浸後、得られた材料を120℃で15分間乾燥させた。第2の含浸後、試料を空気中550℃で2時間か焼した。
【0112】
試料7は、(第1の)硝酸Ce溶液及び(第2の)硝酸白金溶液をMg70支持体に順次含浸させることによって調製した。第1の含浸後、得られた材料を120℃で15分間乾燥させた。第2の含浸後、試料を空気中550℃で2時間か焼した。
【0113】
試料8は、(第1の)コロイド状CeO2懸濁液(約20nmのCeO2粒子の平均直径を有する)及び(第2の)硝酸白金溶液をMg70支持体に順次含浸することによって調製した。第1の含浸後、得られた材料を空気中550℃で2時間か焼した。2回目の含浸後、試料を再び空気中550℃で2時間か焼した。
【0114】
試料9は、(第1の)硝酸白金溶液及び(第2の)コロイド状CeO2懸濁液(約20nmのCeO2粒子の平均直径を有する)をMg70支持体に順次含浸することによって調製した。第1の含浸後、得られた材料を120℃で15分間乾燥させた。2回目の含浸後、試料を再び空気中550℃で2時間か焼した。
【0115】
試料10は、(第1の)コロイド状CeO2懸濁液(約80nmのCeO2粒子の平均直径を有する)及び(第2の)硝酸白金溶液をMg70支持体に順次含浸することによって調製した。第1の含浸後、得られた材料を120℃で15分間乾燥させた。第2の含浸後、試料を空気中550℃で2時間か焼した。
【0116】
試料12、15、17、19は、硝酸白金及び硝酸セリウム混合溶液を支持体(Al2O3、Mg30、Mg70又はMgO)上に共含浸させることによって調製した。含浸した試料を空気中550℃で2時間か焼した。
【0117】
触媒エージング条件:
全ての触媒を、活性評価の前に、10%H2Oを含む空気中、950℃で5時間エージングした。
【0118】
触媒評価条件:
2種類の試験実行(連続温度ランプ及び一定温度)を各試料について行った。第1の実行では、10℃/分の温度ランプ速度で100℃~500℃まで連続的に温度ランプにより、500℃で30分間保持して触媒を試験した。第2のランでは、25℃の温度工程で125℃~500℃まで定常状態試験を行い、各温度での保持時間は15分であった。両方の試験は、1.5%のCO、0.5%のH2、667ppmのC3H6、333ppmのC3H8、1500ppmのNO、14%のCO2、10%のH2O、1.4%のO2を含み、残りがArである同じ供給ガスを使用した。この供給ガスは、化学量論的条件が等しく、すなわち、λ=1である。全ての試験の1時間あたりの重量空間速度は400,000mL/(gcat.h)に保った。出口ガス組成は、赤外分光法(IR)及び/又は質量分光法(MS)によって測定した。
【0119】
結果:
第2の実行データを活性比較のために使用した。結果を
図1~
図6に示す。
【0120】
図1に示すように、CeO
2の負荷を増加させると、TWC活性がある点まで増加する。HC変換率は、CeO
2負荷が26~34重量%であるときに最も高い。CeO
2負荷を51%までさらに増加させると、活性は最大値未満のレベルになるが、17%のCeO
2を有する触媒又はCeを含まない触媒よりも依然として高い。NO
x変換については、最適なCeO
2負荷は34%であることが分かる。
【0121】
図2は、調製方法の関数としてのTWC活性を比較する。調製方法は、HC、NO
x及びCO変換率に複雑な影響を及ぼす。含浸工程の間のか焼は、CO、NO
x及びHCについて最も低い変換率をもたらす。断続的なか焼を行わない場合、最初にCe含浸を行い、次にPt含浸を行うと、HC及びNO
xに対してより高い活性が得られるが、COに対しては得られない。一方、含浸の逆の順序は、HC及びCOに対してより良好な活性を有するが、NO
xに対してはそうではない触媒をもたらした。
【0122】
図3は、TWC活性に対するCeO
2前駆体(硝酸Ce対コロイド状CeO
2)及び粒径(コロイド状CeO
2)の効果を示す。試料5が最も活性な触媒であることが分かり、試料10がそれに続く。硝酸Ceを用いて調製した触媒である試料7は、コロイド状CeO
2を用いて作製した触媒よりも活性が低く、試料2よりもさらに劣っている。
【0123】
図4は、試料5、7及び10についての活性化効果を示す。試料の活性化は、Ar中10%のH
2を用いて250℃で1時間の還元処理によって行った。活性化処理は、これらの試料に対して、CO、NO
x及びHC変換について様々な促進効果を有する。最も顕著な活性化効果は、エージングされた試料7で見られた。活性化後、最も活性な触媒は試料5である。
【0124】
図5は、Mg70上に支持されたPt触媒(試料16)が、Al
2O
3、Mg20、Mg30又はMgO支持Pt触媒よりもHC及びNOに対してより活性であることを示す。
【0125】
図6は、試料17(1Pt-20Ce/Mg70)が、試料12又は15(Al
2O
3又はMg30支持触媒)よりも、NO及びHC変換に対してより活性であることを示す。MgO支持触媒(試料19)は、HC変換において試料17に匹敵する活性を有するが、NO変換に対しては活性が低い。
【0126】
試料触媒を比表面積及び平均結晶子サイズについても評価した。結果を表2に示す。
【0127】
【表2】
a0.05<P/P
0<0.3の圧力間隔での吸着等温線に基づくBET法を使用して計算される。
bCeO
2(111)ピークのFWHMを使用してScherrerの式に従ってXRD結果によって決定される。
【0128】
表2は、試料5、7及び10の比表面積、並びに新鮮な試料及びエージングされた試料の両方についてXRDによって測定された平均CeO2結晶子サイズを示す。新鮮な触媒の平均CeO2結晶子サイズは、試料10>試料5>試料7の順で減少する。各触媒について、エージングはCeO2結晶子サイズを2~5倍増加させる。
【0129】
エージング前後の試料12、15及び17の平均CeO2結晶子サイズを表3に示す。
【0130】
【表3】
aCeO
2(111)ピークのFWHMを使用してScherrerの式に従ってXRD結果によって決定される。
【0131】
新鮮な試料については、CeO2結晶子サイズは、試料12>試料15>試料17の順に従う。すなわち、CeO2サイズは、支持体上のMgO含有量と共に減少する。エージング後、CeO2サイズは、全ての試料で有意に増加し、CeO2結晶子サイズの順位は、試料17>試料12>試料15となる。
【0132】
新鮮な及びエージングされたMg30及びMg70支持体のX線回折パターンを
図9に示す。空気中10%のH
2Oを用いて950℃で5時間エージングを行った。
【0133】
図9は、i)新鮮なMg30試料が層状複水酸化物(LDH)相とγ-アルミナ相との混合物であることを示す。両方の相は明確ではなく、ii)エージングされたMg30試料はMgAl
2O
4スピネル相とMgO相との混合物であり、エージングされたMg30中にアルミナ相は存在せず、iii)新鮮なMg70試料は明確なLDH相を有し、iv)エージングされたMg70試料はMgAl
2O
4相とMgO相との混合物である。エージングされたMg70中にアルミナ相は存在しない。
【0134】
Mg30-550及びMg70-550、並びにMg30-550-エージング及びMg70-550-エージングの試料のX線回折パターンを
図10に示す。Mg30-550及びMg70-550材料を空気中550℃で2時間か焼した。Mg30-550-エージング及びMg70-550-エージングを、空気中10%H
2Oを用いて950℃で5時間行った。
【0135】
図10は、i)Mg30-550試料がMgO相及びg-Al
2O
3相の混合物であり、ii)Mg70-550試料が優勢なMgO相及び少量のg-Al
2O
3相を有し、iii)Mg30-550-エージングの試料がMgAl
2O
4相及び微量のMgO相からなり、iv)Mg70-550-エージングがMgAl
2O
3相及びMgO相からなり、並びにv)いずれのエージングされた試料にもアルミナ相が存在しないことを示す。
【0136】
図11は、新鮮なPt触媒(A)及びエージングされたPt触媒(B)のX線回折パターンを示す。
【0137】
新鮮な試料について、以下の観察結果が見出された。
-1Pt-20Ce/Mg30試料は、CeO2相及びMgAl2O4相を含有し、g-Al2O3相は検出されなかった。
-1Pt-20Ce/Mg70試料は、CeO2相及びMgO相を含有し、g-Al2O3相は検出されなかった。
-1Pt-20Ce/Al2O3試料は、CeO2相及びg-Al2O3相を含有する。
-全ての新鮮な試料において、結晶性Ptは検出されなかった。
【0138】
エージングされた試料について、以下の観察結果が見出された。
-1Pt-20Ce/Mg30-エージングの試料は、CeO2相及びMgAl2O4相を含有し、Al2O3相を含有しない。Ptが検出された。
-1Pt-20Ce/Mg70-エージングの試料は、CeO2相、MgO相及びMgAl2O4相を含有し、Al2O3相を含有しない。Ptが検出された。
-1Pt-20Ce/Al2O3-エージングの試料は、CeO2相及びg-Al2O3相を含有する。Ptが検出された。
-Pt回折ピーク(2θ=約40°)強度は、1Pt20Ce/Al2O3-エージングの試料上で最も高いことが見出され、これは、3つのエージングされた試料の中で最も大きい平均Pt結晶子サイズを示す。
【0139】
本明細書に開示される実施形態について、特定の実施形態を参照して説明してきたが、これらの実施形態は、本願で特許請求される発明の原理及び用途の単なる例示であることを理解されたい。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本願で特許請求される発明の方法及び装置に対して様々な改変及び変更を行うことができることが当業者には明らかであろう。したがって、本願で特許請求される発明は、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内にある改変及び変更を含むことが意図されており、上述の実施形態は、限定ではなく例示の目的で提示されている。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)白金と、
b)少なくとも1つの複合体と、
を含む、触媒組成物であって、
白金は、前記複合体に支持されており、
前記複合体は、
i.前記複合体の総重量に基づいて、20~40重量%の量のセリア(CeO
2として計算される)と、
ii.前記複合体の総重量に基づいて、10~80重量%の量のアルミナ(Al
2O
3として計算される)と、
iii.前記複合体の総重量に基づいて、10~80重量%の量のマグネシア(MgOとして計算される)と、
を含む、触媒組成物。
【請求項2】
前記セリアが、5.0nm~100nmの範囲の平均粒径を有するナノ粒子の形態である、請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項3】
マグネシア(MgOとして計算される)とアルミナ(Al
2O
3として計算される)との重量比が1:4~4:1である、請求項1又は2に記載の触媒組成物。
【請求項4】
マグネシア(MgOとして計算される)とアルミナ(Al
2O
3として計算される)との重量比が7:3である、請求項1~3のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項5】
前記複合体上に支持された白金の総量が、前記複合体の総重量に対して0.1~10重量%の範囲である、請求項1~4のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項6】
前記複合体が、ランタナ、チタニア、ハフニア、カルシア、ストロンチア、バリア、ジルコニア、又はイットリウム、プラセオジム、ネオジム、鉄の酸化物、又はそれらの任意の組合せから選択されるドーパントを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項7】
前記複合体中のアルミナ(Al
2O
3として計算される)が、前記複合体の総重量に基づいて、12~32重量%の量で存在する、請求項1~6のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項8】
前記複合体中のマングネシア(MgOとして計算される)が、前記複合体の総重量に基づいて、35~65重量%の量で存在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項9】
前記複合体中のセリア(CeO
2として計算される)とアルミナ(Al
2O
3として計算される)との重量比が0.6~3.3の範囲である、請求項1~8のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項10】
複合体の量が、前記触媒組成物の総重量の80~100重量%である、請求項1~9のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の触媒組成物の調製のためのプロセスであって、前記プロセスが、マグネシア及びアルミナを混合して、マグネシア及びアルミナを含む第1の複合体を得ることと、前記第1の複合体上にセリアを含浸させて、第2の複合体を得ることと、前記第2の複合体上に白金を含浸させ、その後、か焼して、前記触媒組成物を得ることと、を含む、プロセス。
【請求項12】
前記セリアが、10nm~80nmの範囲の平均粒径を有するコロイド状セリアである、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか一項に記載の触媒組成物の調製のためのプロセスであって、前記プロセスが、
-マグネシア及びアルミナを混合して、マグネシア及びアルミナを含む複合体を得ることと、
-前記複合体上にセリア及び白金を共含浸させ、その後、か焼して前記触媒組成物を得ることと、
を含む、プロセス。
【請求項14】
請求項1~10のいずれか一項に記載の触媒組成物が基材上に堆積される、触媒物品。
【請求項15】
前記触媒物品が単層触媒物品であり、請求項1~10のいずれか一項に記載の触媒組成物が前記基材上に単層として堆積される、請求項14に記載の触媒物品。
【請求項16】
前記触媒物品が、
a)第1の層と、
b)第2の層と、
c)基材と、
を含む二層物品であり、
前記第1の層は、前記基材の少なくとも一部の上に堆積され、前記第2の層は、前記第1の層の少なくとも一部の上、前記基材の少なくとも一部の上、又はその両方の上に堆積され、
前記第1の層が、請求項1~9のいずれか一項に記載の触媒組成物と、任意選択でパラジウムとを含み、
前記第2の層はロジウムを含む、
請求項14に記載の触媒物品。
【請求項17】
前記触媒物品が、
a)第1の層と、
b)第2の層と、
c)基材と、
を含む二層物品であり、
前記第1の層は、前記基材の少なくとも一部の上に堆積され、前記第2の層は、前記第1の層の少なくとも一部の上、前記基材の少なくとも一部の上、又はその両方の上に堆積され、
前記第1の層はロジウムを含み、
前記第2の層が、請求項1~9のいずれか一項に記載の触媒組成物と、任意選択でパラジウムとを含む、
請求項14に記載の触媒物品。
【請求項18】
前記触媒物品が、
a)第1の層と、
b)第2の層と、
c)基材と、
を含む二層物品であり、
前記第1の層は、前記基材の少なくとも一部の上に堆積され、前記第2の層は、前記第1の層の少なくとも一部の上、前記基材の少なくとも一部の上、又はその両方の上に堆積され、
前記第1の層が、請求項1~10のいずれか一項に記載の触媒組成物とパラジウムとを含み、
前記第2の層が、ロジウムと、請求項1~10のいずれか一項に記載の触媒組成物とを含む、
請求項14に記載の触媒物品。
【請求項19】
前記触媒物品がゾーン構造を有し、前記ゾーン構造が第1のゾーン及び第2のゾーンを含み、前記第1のゾーン、前記第2のゾーン、又はその両方が請求項1~10のいずれか一項に記載の触媒組成物を含む、請求項14又は15に記載の触媒物品。
【請求項20】
前記触媒物品が、第1の層及び第2の層を含む二層物品であり、前記第1の層、前記第2の層、又はその両方がゾーン構造を有し、前記ゾーン構造が第1のゾーン及び第2のゾーンを含み、前記第1のゾーン、前記第2のゾーン、又はその両方が、請求項1~10のいずれか一項に記載の触媒組成物を含む、請求項16~18のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項21】
前記基材が、セラミック基材、金属基材、セラミック発泡体基材、又は織物繊維基材から選択される、請求項14~20のいずれか一項に記載の触媒物品。
【請求項22】
請求項14又は15に記載の触媒物品の調製のためのプロセスであって、前記プロセスが、
-請求項1~10のいずれか一項に記載の触媒組成物を含む第1のスラリーを調製することと、
-前記第1のスラリーを前記基材上に堆積させ、その後、400~700℃の範囲の温度でか焼することと、
を含む、プロセス。
【請求項23】
請求項16に記載の触媒物品の調製のためのプロセスであって、前記プロセスが、
-請求項1~10のいずれか一項に記載の触媒組成物と、任意選択でパラジウムとを含む第1のスラリーを調製し、ロジウムを含む第2のスラリーを調製することと、
-前記第1のスラリーを前記基材上に堆積させて第1の層を得、その後、400~700℃の範囲の温度でか焼することと、
-前記第1の層上に前記第2のスラリーを堆積させて第2の層を得、その後、400~700℃の範囲の温度でか焼することと、
を含む、プロセス。
【請求項24】
請求項17に記載の触媒物品の調製のためのプロセスであって、前記プロセスが、
-請求項1~10のいずれか一項に記載の触媒組成物と、任意選択でパラジウムとを含む第1のスラリーを調製することと、ロジウムを含む第2のスラリーを調製することと、
-前記第2のスラリーを前記基材上に堆積させて第1の層を得、その後、400~700℃の範囲の温度でか焼することと、
-前記第1の層上に前記第1のスラリーを堆積させて第2の層を得、その後、400~700℃の範囲の温度でか焼することと、
を含む、プロセス。
【請求項25】
請求項18に記載の触媒物品の調製のためのプロセスであって、前記プロセスが、
-請求項1~10のいずれか一項に記載の触媒組成物とパラジウムとを含む第1のスラリーを調製することと、
-ロジウムと請求項1~10のいずれか一項に記載の触媒組成物とを含む第2のスラリーを調製することと、
前記第1のスラリーを前記基材上に堆積させて第1の層を得、その後、400~700℃の範囲の温度でか焼することと、
-前記第1の層上に前記第2のスラリーを堆積させて第2の層を得、その後、400~700℃の範囲の温度でか焼することと、
を含む、プロセス。
【請求項26】
請求項14~21のいずれか一項に記載の触媒物品を含む、内燃エンジン用の排気ガス処理システム。
【請求項27】
炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物及び微粒子を含むガス状排気流を処理する方法であって、前記排気流を請求項14~21のいずれか一項に記載の触媒物品又は請求項26に記載の排気ガス処理システムと接触させることを含む、方法。
【請求項28】
ガス状排気流中の炭化水素、一酸化炭素、及び窒素酸化物のレベルを低下させる方法であって、前記ガス状排気流を請求項14~21のいずれか一項に記載の触媒物品又は請求項27に記載の排気ガス処理システムと接触させて、前記排気ガス中の炭化水素、一酸化炭素、及び窒素酸化物のレベルを低下させることを含む、方法。
【請求項29】
炭化水素、一酸化炭素、及び窒素酸化物を含むガス状排気流を浄化するための、請求項14~21のいずれか一項に記載の触媒物品又は請求項26に記載の排気ガス処理システムの使用。
【国際調査報告】