(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】カーボンブラック及び膨張黒鉛を含む組成物、並びにそれを含む成形物品及び基材コーティング、体積抵抗率を低下させ、熱伝導性に加えて電磁障害遮蔽を提供するためのそれらの使用及び方法
(51)【国際特許分類】
C01B 32/21 20170101AFI20241031BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20241031BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20241031BHJP
C09C 1/48 20060101ALI20241031BHJP
C09C 1/46 20060101ALI20241031BHJP
H05K 9/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
C01B32/21
C08L101/00
C08K3/04
C09C1/48
C09C1/46
H05K9/00 X
H05K9/00 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525983
(86)(22)【出願日】2022-10-27
(85)【翻訳文提出日】2024-05-01
(86)【国際出願番号】 EP2022080085
(87)【国際公開番号】W WO2023078773
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319006807
【氏名又は名称】イメルテック ソシエテ パル アクシオン サンプリフィエ
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100179925
【氏名又は名称】上出 真紀
(72)【発明者】
【氏名】クレパン-ルブロン ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】エレット アンナ
【テーマコード(参考)】
4G146
4J002
4J037
5E321
【Fターム(参考)】
4G146AA02
4G146AB01
4G146AC07A
4G146AC07B
4G146AC08A
4G146AC08B
4G146AC20B
4G146AC23B
4G146AC26B
4G146AD20
4G146AD21
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4G146AD37
4G146BA02
4G146BA03
4G146BA13
4G146BC02
4G146BC32B
4J002AA011
4J002AA021
4J002AC031
4J002BB031
4J002BB121
4J002BC031
4J002BG061
4J002BG101
4J002CB001
4J002CD001
4J002CF001
4J002CF211
4J002CG001
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4J002CL001
4J002CN031
4J002CP031
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4J002FD116
4J002FD117
4J002GH00
4J037AA02
4J037CC12
4J037CC27
4J037DD05
4J037FF11
5E321BB32
5E321BB33
5E321BB34
5E321BB60
5E321CC30
5E321GG05
5E321GG11
5E321GH03
(57)【要約】
本発明は、カーボンブラック及び膨張黒鉛を含む組成物、並びに組成物を含む成形物品及び基材用のコーティングを対象とする。本発明はまた、電気抵抗率を低下させ、熱伝導性に加えて電磁障害遮蔽を提供するためのそれらの使用及び方法に関する。本発明の組成物は、例えば、メルトフローレートとして測定される流動性又は粘度のようなレオロジー特性、又は機械的性質、例えば耐衝撃性、引張強度若しくは破断時の伸びを損なうことなく、高い電気伝導性、EMI遮蔽性能並びに熱伝導性を可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(c)組成物の総質量に対して3~40、好ましくは5~35、より好ましくは10~30、さらにより好ましくは12~26、最も好ましくは13~18質量%の量のカーボンブラック;及び
(d)組成物の総質量に対して3~50、好ましくは3~40、より好ましくは3~35、さらにより好ましくは3~30、なおより好ましくは3.5~20、特により好ましくは4~18、特になおより好ましくは5~17、最も好ましくは7~15質量%の量の膨張黒鉛を含む組成物。
【請求項2】
カーボンブラック及び膨張黒鉛の組み合わせた量が、組成物の総質量に対して10~50、好ましくは17~45、より好ましくは19~40、さらにより好ましくは20~35、なおより好ましくは22~34、特により好ましくは24~31、最も好ましくは25~30質量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物の総質量に対するカーボンブラック対膨張黒鉛の質量%比が、0.1~9、好ましくは0.33~9、より好ましくは0.4~9、さらにより好ましくは0.4~7、なおより好ましくは0.4~5、特により好ましくは0.4~3、特になおより好ましくは0.4~2、最も好ましくは0.6~1.7の範囲にある、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
カーボンブラックが、
- 950m
2・g
-1未満、好ましくは850m
2・g
-1未満、より好ましくは700m
2・g
-1未満、さらにより好ましくは600m
2・g
-1未満、最も好ましくは500m
2・g
-1未満の、特に40~800、好ましくは50~800、より好ましくは30~100、さらにより好ましくは50~80、最も好ましくは60~70m
2・g
-1の範囲の、ASTM D-3037に従って測定される窒素下のBET比表面積、
及び、任意に、
- 10~60、好ましくは15~55、より好ましくは20~40、さらにより好ましくは25~35nmの、ASTM D-3849-14aに従って測定される一次粒径;及び/又は
- 400ml・g
-1未満、好ましくは390ml・g
-1未満、より好ましくは380ml・g
-1未満、さらにより好ましくは370ml・g
-1未満、最も好ましくは350ml・g
-1未満の、特に100~330、好ましくは150~230、より好ましくは170~210、さらにより好ましくは180~200、最も好ましくは185~195ml・g
-1の範囲の、ASTM D-2414に従って測定される場合の吸油数OANの1つ又は複数によって特徴づけられる、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
膨張黒鉛が、
- 5~1000、好ましくは20~800、より好ましくは30~700、さらにより好ましくは50~600、なおより好ましくは70~500、特により好ましくは80~250、最も好ましくは85~150μmの、ISO13220に従って測定される場合の粒径分布D
90;及び/又は
- 0.01~1.00、好ましくは0.02~0.9、より好ましくは0.05~0.7、さらにより好ましくは0.1~0.55、なおより好ましくは0.13~0.50、特により好ましくは0.16~0.45、最も好ましくは0.16~0.25g・cm
-3の、ASTM D-7481に従って測定される場合のかさ密度の1つ又は複数によって特徴づけられる、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
(a)カーボンブラック;及び
(b)膨張黒鉛を含み、
カーボンブラックは、
- 950m
2・g
-1未満、好ましくは850m
2・g
-1未満、より好ましくは700m
2・g
-1未満、さらにより好ましくは600m
2・g
-1未満、最も好ましくは500m
2・g
-1未満の、特に40~800、好ましくは50~800、より好ましくは30~100、さらにより好ましくは50~80、最も好ましくは60~70m
2・g
-1の範囲の、ASTM D-3037に従って測定される窒素下のBET比表面積;
及び、任意に、以下:
- 10~60、好ましくは15~55、より好ましくは20~40、さらにより好ましくは25~35nmの、ASTM D-3849-14aに従って測定される一次粒径;及び/又は
- 400ml・g
-1未満、好ましくは390ml・g
-1未満、より好ましくは380ml・g
-1未満、さらにより好ましくは370ml・g
-1未満、最も好ましくは350ml・g
-1未満の、特に100~330、好ましくは150~230、より好ましくは170~210、さらにより好ましくは180~200、最も好ましくは185~195ml・g
-1の範囲の、ASTM D-2414に従って測定される場合の吸油数OAN;の1つ又は複数によって特徴づけられ、
及び/又は
膨張黒鉛は、以下:
- 5~1000、好ましくは20~800、より好ましくは30~700、さらにより好ましくは50~600、なおより好ましくは70~500、特により好ましくは80~250、最も好ましくは85~150μmの、ISO13220に従って測定される場合の粒径分布D
90;及び/又は
- 0.01~1.00、好ましくは0.02~0.9、より好ましくは0.05~0.7、さらにより好ましくは0.1~0.55、なおより好ましくは0.13~0.50、特により好ましくは0.16~0.45、最も好ましくは0.16~0.25g・cm
-3の、ASTM D-7481規格に従って測定される場合のかさ密度、の1つ又は複数によって特徴づけられる、組成物。
【請求項7】
組成物の総質量に対して3~40、好ましくは5~35、より好ましくは10~30、さらにより好ましくは12~26、最も好ましくは13~18質量%の量のカーボンブラックを含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
組成物の総質量に対して3~50、好ましくは3~40、より好ましくは3~35、さらにより好ましくは3~30、なおより好ましくは3.5~20、特により好ましくは4~18、特になおより好ましくは5~17、最も好ましくは7~15質量%の量の膨張黒鉛を含む、請求項6又は7に記載の組成物。
【請求項9】
組成物の総質量に対して10~50、好ましくは17~45、より好ましくは19~40、さらにより好ましくは20~35、なおより好ましくは22~34、特により好ましくは24~31、最も好ましくは25~30質量%の組み合わせた量のカーボンブラック及び膨張黒鉛を含む、請求項6~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
組成物の総質量に対するカーボンブラック対黒鉛の質量%比が、0.1~9、好ましくは0.33~9、より好ましくは0.4~9、さらにより好ましくは0.4~7、なおより好ましくは0.4~5、特により好ましくは0.4~3、特になおより好ましくは0.4~2、最も好ましくは0.6~1.7の範囲にある、請求項6~9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
カーボンブラック及び膨張黒鉛を含む組成物であって、組成物の総質量に対するカーボンブラック対黒鉛の質量%比が、0.1~9、好ましくは0.33~9、より好ましくは0.4~9、さらにより好ましくは0.4~7、なおより好ましくは0.4~5、特により好ましくは0.4~3、特になおより好ましくは0.4~2、最も好ましくは0.6~1.7の範囲にあり、
カーボンブラックは、950m
2・g
-1未満、好ましくは850m
2・g
-1未満、より好ましくは700m
2・g
-1未満、さらにより好ましくは600m
2・g
-1未満、最も好ましくは500m
2・g
-1未満の、特に40~800、好ましくは50~800、より好ましくは30~100、さらにより好ましくは50~80、最も好ましくは60~70m
2・g
-1の範囲の、ASTM D-3037に従って測定される窒素下のBET比表面積;
及び、任意に、
- 10~60、好ましくは15~55、より好ましくは20~40、さらにより好ましくは25~35nmのASTM D-3849-14aに従って測定される一次粒径;及び/又は
- 400ml・g
-1未満、好ましくは390ml・g
-1未満、より好ましくは380ml・g
-1未満、さらにより好ましくは370ml・g
-1未満、最も好ましくは350ml・g
-1未満の、特に100~330、好ましくは150~230、より好ましくは170~210、さらにより好ましくは180~200、最も好ましくは185~195ml・g
-1の範囲の、ASTM D-2414に従って測定される場合の吸油数OANの1つ又は複数によって特徴づけられ、
及び/又は、
膨張黒鉛は、
- 5~1000、好ましくは20~800、より好ましくは30~700、さらにより好ましくは50~600、なおより好ましくは70~500、特により好ましくは80~250、最も好ましくは85~150μmの、ISO13220に従って測定される場合の粒径分布D
90;及び/又は
- 0.01~1.00、好ましくは0.02~0.9、より好ましくは0.05~0.7、さらにより好ましくは0.1~0.55、なおより好ましくは0.13~0.50、特により好ましくは0.16~0.45、最も好ましくは0.16~0.25g・cm
-3の、ASTM D-7481に従って測定される場合のかさ密度の1つ又は複数によって特徴づけられる、組成物。
【請求項12】
組成物の総質量に対して3~40、好ましくは5~35、より好ましくは10~30、さらにより好ましくは12~26、最も好ましくは13~18質量%の量のカーボンブラックを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
組成物の総質量に対して3~50、好ましくは3~40、より好ましくは3~35、さらにより好ましくは3~30、なおより好ましくは3.5~20、特により好ましくは4~18、特になおより好ましくは5~17、最も好ましくは7~15質量%の量の膨張黒鉛を含む、請求項11又は12に記載の組成物。
【請求項14】
組成物の総質量に対して10~50、好ましくは17~45、より好ましくは19~40、さらにより好ましくは20~35、なおより好ましくは22~34、最も好ましくは25~30質量%の組み合わせた量のカーボンブラック及び膨張黒鉛を含む、請求項11~13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
金属粉末、金属薄片、ガラス繊維、シリコン繊維、炭素伝導性添加剤、天然黒鉛、人造黒鉛、表面改質黒鉛、黒鉛ナノプレートレット、多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、炭素ナノ構造体、金属コーティング黒鉛、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される炭素ベース充填剤からなる群から選択される1種又は複数の充填剤を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
ポリマー、好ましくは、ポリオレフィン、好ましくは、ポリエチレン、プロピレン及びそれらの組み合わせから選択されるポリオレフィンからなる群から選択されるポリマーを含み、より好ましくは、ポリオレフィンは、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリメチルメタクリラート(PMMA)、ポリアセタール、ポリカルボナート、ポリビニル、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリアクリラート、エポキシポリマー、ポリエステル、ポリカルボナート、ポリケトン、ポリスルホン、不飽和ポリエステル、ポリウレタン、ポリシクロペンタジエン、シリコーン、ゴム、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、コーティング用結合剤及びそれらの組み合わせである、請求項1~15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載の組成物を含む複合材料の成形物品。
【請求項18】
請求項1~16のいずれか1項に記載の組成物を含むコーティングを用いてコートされた基材。
【請求項19】
ポリオレフィン、好ましくは、ポリエチレン、プロピレン及びそれらの組み合わせから選択されるポリオレフィンからなる群から選択されるポリマーを含み、より好ましくは、ポリオレフィンは、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリメチルメタクリラート(PMMA)、ポリアセタール、ポリカルボナート、ポリビニル、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリアクリラート、エポキシポリマー、ポリエステル、ポリカルボナート、ポリケトン、ポリスルホン、不飽和ポリエステル、ポリウレタン、ポリシクロペンタジエン、シリコーン、ゴム、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、コーティング用結合剤及びそれらの組み合わせである、請求項17に記載の成形物品、又は請求項18に記載の基材コーティング。
【請求項20】
カーボンブラック及び膨張黒鉛がポリマー中に分散された、請求項19に記載の成形物品又はコートされた基材。
【請求項21】
- 10~1000MHzの周波数でASTM D-4935、又は論文E. Hariya and U. Massahiro, “Instruments for Measuring Shielding Effectiveness”, EMC 1984 Tokyoに詳述されるようにそれから派生する方法に従って測定される、少なくとも20dB、好ましくは少なくとも30dB、より好ましくは少なくとも40dBである電磁障害(EMI)遮蔽;
- 1000オーム・cm未満、好ましくは100オーム・cm未満、より好ましくは10オーム・cm未満、最も好ましくは1オーム・cm未満である、ASTM D-4496に従って測定される体積抵抗率;及び/又は
- 0.5W・m
-1K
-1を超え、好ましくは0.7W・m
-1K
-1を超え、より好ましくは0.9W・m
-1K
-1を超え、特により好ましくは1.1W・m
-1K
-1を超え、さらにより好ましくは1.3W・m
-1K
-1を超え、なおより好ましくは1.5W・m
-1K
-1を超え、特になおより好ましくは1.7W・m
-1K
-1を超え、なおより好ましくは2.0W・m
-1K
-1を超え、なおより好ましくは2.5W・m
-1K
-1を超え、さらにより好ましくは3.0W・m
-1K
-1を超え、特にさらにより好ましくは4.0W・m
-1K
-1を超え、特になおより好ましくは5.0W・m
-1K
-1を超え、なおより好ましくは6.0W・m
-1K
-1を超え、最も好ましくは7.0W・m
-1K
-1を超える、ASTM E1461に従って測定される面内熱伝導率の1つ又は複数を提供する、請求項1~16のいずれか1項に記載の組成物、又は請求項17若しくは請求項19若しくは20のいずれかに記載の成形物品、又は請求項18~20のいずれか1項に記載のコートされた基材の使用。
【請求項22】
請求項1~16のいずれか1項に記載の組成物を使用するポリマー状組成物、又は請求項17若しくは請求項19若しくは20のいずれか1項に記載の成形物品、又は請求項18~20のいずれか1項に記載のコートされた基材において、少なくとも20dB、好ましくは少なくとも30dB、より好ましくは少なくとも40dBである、10MHz~1000MHzの周波数でASTM D-4935に従って測定される電磁障害(EMI)遮蔽を提供する方法。
【請求項23】
請求項1~16のいずれか1項に記載の組成物、又は請求項17若しくは請求項19若しくは20のいずれか1項に記載の成形物品、又は請求項18~20のいずれか1項に記載のコートされた基材を使用するポリマー状組成物において、1000オーム・cm未満、好ましくは100オーム・cm未満、より好ましくは10オーム・cm未満、最も好ましくは1オーム・cm未満である、規格試験法ASTM D-4496に従って測定される場合の体積抵抗率を提供する方法。
【請求項24】
請求項1~16のいずれか1項に記載の組成物、又は請求項17若しくは請求項19若しくは20のいずれか1項に記載の成形物品、又は請求項18~20のいずれか1項に記載のコートされた基材を使用するポリマー状組成物において、0.5W・m
-1K
-1を超え、好ましくは0.7W・m
-1K
-1を超え、より好ましくは0.9W・m
-1K
-1を超え、特により好ましくは1.1W・m
-1K
-1を超え、さらにより好ましくは1.3W・m
-1K
-1を超え、なおより好ましくは1.5W・m
-1K
-1を超え、特になおより好ましくは1.7W・m
-1K
-1を超え、なおより好ましくは2.0W・m
-1K
-1を超え、なおより好ましくは2.5W・m
-1K
-1を超え、さらにより好ましくは3.0W・m
-1K
-1を超え、特にさらにより好ましくは4.0W・m
-1K
-1を超え、特になおより好ましくは5.0W・m
-1K
-1を超え、なおより好ましくは6.0W・m
-1K
-1を超え、最も好ましくは7.0W・m
-1K
-1を超える、ASTM E1461に従って測定される面内熱伝導率を提供する方法。
【請求項25】
カーボンブラック、膨張黒鉛又は他の伝導性充填剤若しくは添加剤を含まない基準材料、特に請求項1~16のいずれか1項に記載の組成物と比較する場合、少なくとも10dB、好ましくは少なくとも20dB、より好ましくは少なくとも25dB、さらにより好ましくは少なくとも30dB、なおより好ましくは少なくとも35dB、特により好ましくは少なくとも40dB、最も好ましくは少なくとも45dB、特に10~80dB、好ましくは15~70dB、より好ましくは18~60dB、特により好ましくは20~55dB、さらにより好ましくは25~50dB、特にさらにより好ましくは27~50dB、なおより好ましくは30~50dB、特になおより好ましくは31~45dB、最も好ましくは35~42dB改善される、請求項21又は22に記載の電磁障害(EMI)遮蔽を提供する使用又は方法。
【請求項26】
カーボンブラック、膨張黒鉛又は他の伝導性充填剤若しくは添加剤を含まない基準材料、特に請求項1~16のいずれか1項に記載の組成物と比較する場合、1.3~10
9、好ましくは1.5~10
8、より好ましくは2~10
7、特に好ましくは2~10
6、さらにより好ましくは2~10
5、特にさらにより好ましくは3~10
5、なおより好ましくは3~10
4、特になおより好ましくは5~10
4、さらにより好ましくは7~10
4、なおより好ましくは7~10
3、特にさらにより好ましくは10~10
3、特になおより好ましくは15~10
3、さらにより好ましくは50~10
3、最も好ましくは10
2~10
3の係数だけ低減される、請求項21又は23に記載の体積抵抗率を提供する使用又は方法。
【請求項27】
カーボンブラック、膨張黒鉛又は他の伝導性充填剤若しくは添加剤を含まない基準材料又は、特に請求項1~16のいずれか1項に記載の組成物と比較する場合、2、好ましくは3、より好ましくは4、特に好ましくは5、さらにより好ましくは6、特にさらにより好ましくは7、なおより好ましくは8、特になおより好ましくは9、なおより好ましくは10、さらにより好ましくは12、特になおより好ましくは14、特にさらにより好ましくは16、なおより好ましくは18、さらにより好ましくは20、特になおより好ましくは25、特になおより好ましくは30、さらにより好ましくは40、最も好ましくは50の係数だけ熱伝導率が増加する、請求項21又は24に記載の熱伝導率を提供する使用又は方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンブラック及び膨張黒鉛を含む組成物、並びに組成物を含む成形物品及び基材コーティングを対象とする。本発明はまた、電気抵抗率を低下させ、熱伝導性に加えて電磁障害遮蔽を提供するためのそれらの使用及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
当技術分野において、充填剤又は添加剤の使用によって、ポリマー組成物、及び上記ポリマー組成物を含む又はそれから製造された製品の物理的及び化学的性質を微調整することは周知である。例えば、炭素、シリコン及び金属に基づく充填剤は、電気抵抗率を低下させ、熱伝導性に加えて電磁障害遮蔽を提供するために使用されてきた。
電気抵抗率、ρは、また時には電気抵抗率又は比電気抵抗とも称され、SI単位オーム・m又はオーム・cm(それぞれΩ・m又はΩ・cm)で表現される電流に対する材料の抵抗の程度と関係する材料特性である。体積抵抗率は通常、ASTM D-991、ASTM D-4496、ISO3915、又はISO1853規格試験法に従って求められる。低い抵抗率の材料は容易に電流を伝導する材料である。
熱伝導率は、SI単位W・m-1*K-1又はW・cm-1*K-1で表現される熱を伝導する材料の能力を定量化する材料特性である。高い熱伝導性を有する材料は、熱の伝導で非常に効率的である。材料の熱伝導率は一般に、ASTM E1461又はISO22007による規格試験によって求められる。
【0003】
電磁障害(EMI)は、外部の供給源が電磁誘導、静電結合又は伝導によって電気的回路に影響を与える場合、生じる物理的現象である。EMIは、電気回路の性能を乱すか又は完全に劣化さえする。
EMIは、多数の電子素子が例えば、医療、軍事、航空宇宙又は自動車の用途に使用される場合、大問題になる。例として、1つの側に電子機器、及び他の側に無線通信のための電磁波の使用が増えることにより望まれないクロストークのリスクが増している。
EMIの電気回路への否定的な影響を低減するか又は完全に除去さえするために、EMI遮蔽とも称される電磁遮蔽が使用される。電磁遮蔽は通常、電気デバイスのまわりに置かれた電気伝導性又は磁気囲いによって達成され、それらの環境から電気デバイスを隔離する。EMI遮蔽の一般的な手法は、伝導性添加剤又は金属ベース遮蔽材料(例えば金属コーティング)を備えたプラスチックから製造されたハウジングを使用することである。また、複合材料はEMI遮蔽用途として公知である。
【0004】
材料のEMI遮蔽性能又はEMI遮蔽効率(EMI SE)は一般に、ある周波数で電磁波のデシベル(dB)の減衰として表現される。EMI SE、例えばASTM D-4935又はIEE299による規格試験又はそれから派生する方法によって求めることができる。
材料のEMI遮蔽性能は、材料の電気抵抗率、又はその逆数である電気伝導率を含むいくつかの因子に依存する。当技術分野において、複合材料の電気伝導率及びEMI遮蔽は、複合材料の電気抵抗率の低減によって、例えば伝導性添加剤又は充填剤の添加によって達成される。当技術分野において公知である典型的な伝導性添加剤又は充填剤は、金属ベース、シリコンベース又は炭素ベース、例えば金属粉末、金属薄片、又は金属繊維、ガラス繊維、シリコン繊維、天然黒鉛、人造黒鉛、表面改質黒鉛、黒鉛ナノプレートレット、多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、炭素ナノ構造体、又は金属コートされた黒鉛である。形態、粒径、モルフォロジー及びアスペクト比などの伝導性添加剤の特性は、材料の伝導率に影響を与える。
【0005】
この文脈において、炭素ベース伝導性充填剤としてカーボンブラック又は膨張黒鉛を使用することも知られている。
カーボンブラックの構造は、小さな黒鉛又は乱層構造領域を含有する六角形に配置された炭素原子の同心的に配置された連続層でできた一次粒子からなる。数十ナノメートルの平均直径を有するほぼ球形の形状の一次粒子は、共有結合の剛直な凝集体を形成する連続的な炭素層によって融合している。これらの凝集体は、最大数百ナノメートルのサイズを有する、鎖、繊維又は房状に配置された一次粒子の三次元的な分岐構造を示す。導電性カーボンブラックの特徴的な特色は大きいサイズの集合構造である。
カーボンブラックは、電気伝導性さらにEMI遮蔽を提供するためにポリマー又は配合組成物中に添加剤として広く使用される。例として、中国特許出願公開第105885226号は、電磁障害遮蔽を提供するカーボンブラックを含むネットワークケーブル絶縁材料に関する。
【0006】
黒鉛は炭素の最も一般的な同素体であり、良好な電気的、熱的及び潤滑特性によって特徴づけられる。黒鉛粉末は、ポリマー複合体の伝導性及び摩擦性を改善するのに適切な充填剤である。用語「黒鉛炭素」は、天然及び人造黒鉛のような異なるレベルの結晶化度を有する様々なタイプの炭素粉末を含む。鉱床からの天然黒鉛は3つの主要な形態:片状黒鉛、塊又は鱗状黒鉛、及び非晶質黒鉛で生じる。人造黒鉛は、天然又は石油の炭素前駆体から非晶質炭素を高次構造秩序の炭素に変換する高温プロセスで製造される。
【0007】
膨張黒鉛は黒鉛の剥離した形態である(Herold et al. 1994;Herold A, Petitjean D, Furdin G, Klatt M (1994) Exfoliation of graphite intercalation compounds:classification and discussion of the processes from new experimental data relative to graphite acid compounds. Mater Sci Forum 152-153:281-287 (Soft chemistry routes to new materials)。製造プロセスは、酸化剤の存在下で強酸を用いる黒鉛薄片の処理によって形成された黒鉛層間化合物の熱間剥離に基づく。工業プロセスにおいて使用される最も顕著な黒鉛層間化合物は、濃硫酸、並びに酸化剤として過酸化水素、アンモニウムペルオキシジスルファート、及び硝酸又はクロム酸と黒鉛薄片を反応させることにより調製される黒鉛硫酸、Cm+HSO4n H2SO4である。これらの化学的条件の下で、黒鉛は酸化され、同時に、硫酸陰イオン及び硫酸分子が黒鉛層間に挿入される。すべての黒鉛中間層が必ずしもゲスト種によって占められるとは限らないが、しかし、異なる段階の層間化合物が存在する。達成することができる段階は化学的条件に依存するが、しかし、通常、実際の組成は変動する可能性があり、これらの黒鉛塩に典型的な非化学量論を生じる。使用することができる他の試薬は、硝酸、塩素酸及び酢酸中の硝酸である。結果として得られる黒鉛塩は濾過、洗浄及び乾燥によって単離される。黒鉛塩の膨張は300℃を超える温度で生じる。工業規模で、このプロセスは熱衝撃によって行われ、材料は700℃を超える温度に短時間に晒され、黒鉛層間のゲスト陰イオン及び酸性分子の、黒鉛層を剥離するガス状生成物への分解を引き起こす。代替として、マイクロ波放射を剥離プロセスのために使用することができる。膨張後、粉末は粗い「虫のような」形状の粒で構成される。通常、膨張黒鉛は、極端に低いかさ密度によりこの形態では使用することができず、それは、微粒子サイズに粉砕されるか、又は黒鉛箔若しくは黒鉛「紙」に圧縮される。膨張黒鉛の粉砕から結果として得られる黒鉛粒子は、低い装填率で伝導性添加剤として非常に異方性(高アスペクト比)で、極めて効果的である。特に粒状の膨張黒鉛材料は、工業用供給混合設備を使用するポリマーへの組み入れに利点を示している(国際公開第2012/020099号)。剥離黒鉛の最大の産業用途は、ポリマーに含浸させた黒鉛箔からの封止及びガスケットである。
【0008】
膨張黒鉛は電気伝導性、熱伝導性を提供し、潤滑性能に正の影響を有すると知られている。有利には、標準的な黒鉛と比較して膨張黒鉛は、より少ない装填量で使用されてもよく、それでもなお同じ恩恵を達成することができる。膨張黒鉛は長年、ポリマー複合体中での使用も知られている(参照、例えば、米国特許第1,137,373号及び米国特許第1,191,383号、並びに米国特許第4,946,892号及び米国特許第5,582,781号)。
【0009】
米国特許第4,530,949号は、ガラス繊維と組み合わせて膨張黒鉛を含む有機熱硬化性樹脂成形組成物から調製される電気又は電子機器用のハウジングに関する。成形品は、0.5オーム・cm以下の抵抗率、及び50~1000MHzの周波数で32~64dBの実測減衰を提供する。しかし、不都合なことに、米国特許第4,530,949号の実施例1~3による組成物は、ガラス繊維と組み合わせた膨張黒鉛を含有し、軽量用途には向いていない。また、当技術分野において熱硬化性樹脂は一般に、熱可塑性樹脂と比較してカーボンブラック及び膨張黒鉛のように伝導性充填剤の低パーコレーション閾値を可能にすることが公知である。言いかえれば、熱硬化性樹脂において、電気伝導率は、熱可塑性樹脂と比較して、より低い伝導性充填剤装填率で達成することができる。また、カーボンブラック及び膨張黒鉛の混合物を含む熱硬化性樹脂は一般に、高い充填剤装填率で加工するのが難しいと知られている。
米国特許第4,704,231号には、0.5オーム・cm以下の複合体の電気抵抗率を提供する、ポリマーマトリクス中に低密度剥離黒鉛薄片を含む複合体が記載されている。しかしながら、不都合なことに、低密度剥離黒鉛薄片は、加工性が不十分になるので、熱可塑性樹脂中に高い装填率で使用することができない。
米国特許出願公開第2006/0148965号は、とりわけポリマー複合体の使用のための膨張黒鉛を対象とする。しかし、米国特許出願公開第2006/0148965号の複合体は不都合なことに、10オーム・cmを超える抵抗率を提供し、それを下回る抵抗率は提供しない。また、最大30質量%のカーボンブラックを含む複合体は、100オーム・cm以上の抵抗率を提供すると報告されている。したがって、米国特許出願公開第2006/0148965号の複合体は、効果的な伝導率は可能でなく、したがって効果的なEMI遮蔽は可能でない。
【0010】
また、ポリマー状マトリクス中の、炭素ベース添加剤、例えばカーボンナノチューブ及びカーボンブラック又はグラフェン若しくはグラフェン状、又は黒鉛のブレンドは、改善された伝導率及びまた時にはより良好な機械特性を提供すると知られている。しかし、カーボンナノチューブ及びカーボンブラック又はグラフェン若しくはグラフェン状又は黒鉛のような伝導性充填剤を使用することの不都合は、通常、良好な電気及び/又は熱伝導性を提供するのに高い装填率が必要とされることである。しかしながら、カーボンナノチューブ及びカーボンブラック又はグラフェン若しくはグラフェン状又は黒鉛のような伝導性充填剤の高い装填率は、例えば、高粘度により不十分な加工性をもたらす。
【0011】
なおその上に、配合組成物中の膨張黒鉛と組み合わせたカーボンブラックの使用は、当技術分野において公知である。例えば、韓国特許出願公開第2018/0022398号は、熱伝導性炭素質材料を含む、熱を散逸させるポリマー複合材料、例えばポリマー中に一様に分散したカーボンナノチューブ(CNT)、グラフェンナノ板(GNP)、膨張黒鉛(EG)を有する加温パッドに関する。加温パッドはまた、電磁障害遮蔽を提供すると記載されているが、しかし、定量されていない。なおその上に、カーボンナノチューブは、不都合なことにしばしばポリマー中の分散性が低く、結果として、高いパーコレーション閾値をもたらす。また、通常、カーボンナノチューブが健康上の害をもたらすと知られているので、それらを避けようとする。さらに、韓国特許出願公開第2018/0022398号による複合材料には、3種の伝導性添加剤の組み合わせが必要とされ、資源的にもコスト的にも効率的でないという現実に悩まされる。
【0012】
別の実施例として、米国特許第11,024,849号には、とりわけ膨張黒鉛、カーボンブラック又はそれらの組み合わせのような電気伝導性炭素質材料を含有するポリマー発泡体を含む高速充電可能なリチウムイオン及びリチウム金属バッテリーが記載されている。しかしながら、米国特許第11,024,849号は、電磁障害遮蔽又は熱伝導率に関して情報を提供していない。
Leao et al., Journal of Polymers and the Environment, 2020, 28, pp. 2021-2100, https://doi.org/10.1007/s10924-020-01753-4による記事は、カーボンブラック、膨張黒鉛及びそれらの混合物を含む伝導性ポリフッ化ビニリデン(rPVDF)複合体の電磁障害遮蔽実効性を扱っている。特に、Leaoらは、1.5の比のカーボンブラックと膨張黒鉛の組み合わせ(3質量%のカーボンブラック:2質量%の膨張黒鉛)を5質量%含有する複合体が、12.3GHzの周波数でおよそ-15dBに相応するおよそ97%の電磁波の減衰をもたらすと記載している。rPVDF複合体はまた許容できる加工性を提供すると記載されている。しかしながら、不都合なことに、Leaoらによる複合体は、-15dBを上回る減衰を提供せず、電磁障害遮蔽の改善を必要とする。
【0013】
(本発明の目的)
複合材料の電気伝導率及びEMI遮蔽性能並びに熱伝導率の改善は、原理的には伝導性添加剤(伝導性充填剤)の含有率を上げることにより達成することができる。しかし、高い充填剤装填率が複合材料のレオロジー及び機械的性質、例えば粘度、引張強度又は破断時の伸びに負の影響を与えるので、この手法は限定的である。したがって高すぎる充填剤装填率で、組成物の加工性は低下する。例えば、例を挙げると、組成物の総質量に対して50質量%を超える高い充填剤装填率で、押出は困難になり、射出成形はしばしば不可能にさえなる。また、それから製造して得られる組成物又は物品の質量が増すので、高すぎる充填剤装填率は不利である。
本発明は、上に記載される先行技術の欠点を解決することを目的とする。この背景に対して、本発明は、一方で伝導率、EMI遮蔽効率及び熱伝導率を、他方では使用される伝導性添加剤の量、すなわち伝導性充填剤装填率を最適化することを目標とする。特に、複合体中の伝導性充填剤装填率を低減すること、並びに複合体の伝導率、EMI遮蔽効率及び熱伝導率を維持するかさらに改善することが望まれる。なおその上に、例えば、メルトフローレートとして測定される流動性又は粘度のようなレオロジー特性、又は機械的性質、例えば耐衝撃性、引張強度若しくは破断時の伸びを損なうことなく、高い電気伝導性、EMI遮蔽性能並びに熱伝導性を可能にする入手可能な組成物を有することが望ましい。また、高い電気伝導性、EMI遮蔽性能並びに熱伝導性を有する軽量材料を可能にする入手可能な組成物を有することが望ましい。
【発明の概要】
【0014】
これらの目的の1つ又は複数又はすべてを達成するために、本発明は、請求項1又は請求項6又は請求項11に記載の、カーボンブラック及び膨張黒鉛を含む組成物を提供する。
さらに本発明はまた、特許請求の範囲に記載の組成物を含む、請求項17に記載の成形物品、又は請求項18に記載のコートされた基材を提供する。
なおその上に、本発明は、EMI遮蔽、体積抵抗性及び/又は熱伝導性を提供するために、本発明の特許請求の範囲に記載の組成物又は成形物品又は基材コーティングの使用を対象とする(請求項19~24を参照のこと)。
本発明の組成物、成形物品、コートされた基材、使用及び方法の有利な実施形態は、それぞれの従属請求項の主題である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】カーボンブラックと膨張黒鉛充填剤の異なる組み合わせ及び比を有するポリプロピレン複合体について、230℃及び5kgでのメルトフローレート測定の結果を示す図である。
【
図2A】カーボンブラック(Ensaco(登録商標)250G)並びに膨張黒鉛(Timrex(登録商標)C-THERM(商標)011)及び人造黒鉛(Timrex(登録商標)KS44)の異なる装填率を有するポリアミド複合体について、240℃及び5kgでのメルトフローレート測定の結果を示す図である。
【
図2B】カーボンブラック(Ensaco(登録商標)250G)及び膨張黒鉛(Timrex(登録商標)C-THERM(商標)011)並びにそれらの組み合わせの異なる装填率を有するポリアミド複合体について、240℃及び12.5kgでのメルトフローレート測定の結果を示す図である。
【
図3】伝導性添加剤充填剤ブレンド中の膨張黒鉛又は人造黒鉛の分率に対し、組成物の総質量に対して30質量%の総充填剤量でカーボンブラック(Ensaco(登録商標)250G)及び膨張黒鉛(Timrex(登録商標)C-THERM(商標)011)又は人造黒鉛(Timrex(登録商標)SFG44)のブレンドを含む伝導性充填剤を含む組成物から調製されたポリプロピレン試料について測定された体積抵抗率(オーム・cm)のプロットを示す図である。
【
図4】組成物の総質量に対する質量%の添加剤合計含有率に対して異なる伝導性充填剤を含むポリアミド試料について測定された体積抵抗率(オーム・cm)のプロットを示す図である。
【
図5A】以下の組成物を有するポリプロピレン複合体に依存する補正EMI遮蔽効率を遮蔽効率が低下する順に示す図である:(i)15質量%のカーボンブラック(Ensaco(登録商標)250G)/15質量%の膨張黒鉛(Timrex(登録商標)C-THERM(商標)011)を含む試料PP-5.3、(ii)10質量%のカーボンブラック(Ensaco(登録商標)250G)/10質量%の膨張黒鉛(Timrex(登録商標)C-THERM(商標)011)/10質量%の炭素繊維(Tenax A HT P802 3mm)を含む試料PP-5.10、(iii)15質量%のカーボンブラック(Ensaco(登録商標)250G)/15質量%の炭素繊維(Tenax A HT P802 3mm)を含む試料PP-5.9、(iv)15質量%のカーボンブラック(Ensaco(登録商標)250G)/15質量%の膨張黒鉛(Timrex(登録商標)C-THERM(商標)301)を含む試料PP-5.6、(v)15質量%のカーボンブラック(Ensaco(登録商標)250G)/15質量%の膨張黒鉛(Timrex(登録商標)C-THERM(商標)MAX HD)を含む試料PP-5.7、(vi)7.5質量%のカーボンブラック(Ensaco(登録商標)350G)/15質量%の膨張黒鉛(Timrex(登録商標)C-THERM(商標)011)を含む試料PP-5.8、及び(vii)伝導性添加剤を含まないニートなポリプロピレン。
【
図5B】(i)15質量%のカーボンブラック(Ensaco(登録商標)250G)/15質量%の膨張黒鉛(Timrex(登録商標)C-THERM(商標)011)を含む試料PP-5.3、(ii)30質量%のカーボンブラック(Ensaco(登録商標)250G)を含む試料PP-5.1、(iii)30質量%の膨張黒鉛(Timrex(登録商標)C-THERM(商標)011)を含む試料PP-5.5及び(iv)伝導性添加剤を含まないニートなポリプロピレンを含む対照試料を含む、選択されたポリプロピレン組成物について補正EMI遮蔽効率対未補正EMI遮蔽効率をEMI遮蔽効率が低下する順に示す図である。
【
図6A】変動量のカーボンブラック(Ensaco(登録商標)250G)及び膨張黒鉛(Timrex(登録商標)C-THERM(商標)011)のブレンドを含むポリプロピレン複合体の熱伝導率を示す図である。
【
図6B】異なる量の様々な充填剤を含むポリアミド複合体の熱伝導率を示す図である。
【
図7A】変動量のカーボンブラック(Ensaco(登録商標)250G)及び膨張黒鉛(Timrex(登録商標)C-THERM(商標)011)又はカーボンブラック(Ensaco(登録商標)250G)及び人造黒鉛(Timrex(登録商標)SFG44)のブレンドを含むポリプロピレン複合体について引張モジュラスを示す図である。
【
図7B】異なる量の様々な充填剤を含むポリアミド複合体について引張モジュラスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(定義)
本発明の文脈において、用語「電気抵抗率」は、また時には電気抵抗率ρ、体積抵抗率又は比電気抵抗とも称され、SI単位オーム・m又はオーム・cm(それぞれΩ・m又はΩ・cm)で表現される電流に対する材料の抵抗の程度と関係する材料特性である。体積抵抗率は通常、ASTM D-4496規格試験法に従って求められる。低い抵抗率の材料は容易に電流を伝導する材料である。
本発明の文脈において、用語「熱伝導率」は、SI単位W・m-1*K-1又はW・cm-1*K-1で表現される熱を伝導する材料の能力を定量化する材料特性を指す。高い熱伝導率を有する材料は、熱の伝導で非常に効率的である。材料の熱伝導率は一般に、ASTM E1461又はISO22007による規格試験によって求められる。熱伝導率は面内及び膜厚モードで測定することができる。
【0017】
本発明の文脈において、用語「電磁障害(EMI)」は、外部の供給源が電磁誘導、静電結合又は伝導によって電気的回路に影響を与える場合に生じる物理的現象である。EMIは、電気回路の性能を乱すか又は完全に劣化さえする。同様に、本発明の文脈において、用語「電磁障害遮蔽」は、電気回路へのEMIの負の影響を低減するか完全に除去さえする材料の能力を指す。この点に関して、本発明の文脈において、用語「EMI遮蔽効率(EMI SE)」は、一般にある周波数で電磁波のデシベル(dB)の減衰として表現される、材料のEMI遮蔽性能を指す。EMI SEは、例えばASTM D-4935による規格試験によって特定の周波数範囲又はそれから派生する方法で求められる。本発明の文脈において、EMI SEは、10~1000MHzの周波数でASTM D-4935、又は論文E. Hariya and U. Massahiro, “Instruments for Measuring Shielding Effectiveness”, EMC 1984 Tokyoに詳述されているようにそれから派生する方法に従って測定される。
本発明の文脈において、用語「伝導性添加剤」及び「伝導性充填剤」は、交換可能に使用され、ポリマー例えば配合組成物、ポリマー結合剤又は樹脂に添加されて、ポリマーに熱及び/又は電気伝導性を提供する材料を指す。伝導性添加剤又は伝導性充填剤は、当業者に知られており、例えば粉末、繊維又は薄片などの様々な形態の炭素質、金属ベース又はハイブリッド材料であってもよい。
【0018】
(本発明の態様)
第1の態様において、本発明は、カーボンブラック及び膨張黒鉛を含む組成物を提供する。本発明の組成物は以下の1つ又は複数によって特徴づけられる。
本発明の組成物は、組成物の総質量に対して3~40、好ましくは5~35、より好ましくは10~30、さらにより好ましくは12~26、最も好ましくは13~18質量%の量のカーボンブラックを含む。
本発明の組成物は、組成物の総質量に対して3~50、好ましくは3~40、より好ましくは3~35、さらにより好ましくは3~30、なおより好ましくは3.5~20、特により好ましくは4~18、特になおより好ましくは5~17、最も好ましくは7~15質量%の量の膨張黒鉛を含む。
組成物は、組成物の総質量に対して10~50、好ましくは17~45、より好ましくは19~40、さらにより好ましくは20~35、なおより好ましくは22~34、特により好ましくは24~31、最も好ましくは25~30質量%の組み合わせた量のカーボンブラック及び膨張黒鉛を含む。
本発明の組成物の総質量に対するカーボンブラック対膨張黒鉛の質量%比は、0.1~9、好ましくは0.33~9、より好ましくは0.4~9、さらにより好ましくは0.4~7、なおより好ましくは0.4~5、特により好ましくは0.4~3、特になおより好ましくは0.4~2、最も好ましくは0.6~1.7の範囲にある。
【0019】
本発明の組成物は、950m2・g-1未満、好ましくは850m2・g-1未満、より好ましくは700m2・g-1未満、さらにより好ましくは600m2・g-1未満、最も好ましくは500m2・g-1未満の、特に40~800、好ましくは50~800、より好ましくは30~100、さらにより好ましくは50~80、最も好ましくは60~70m2・g-1の範囲の、ASTM D3037に従って測定される窒素下のBET比表面積、及び、任意に、10~60、好ましくは15~55、より好ましくは20~40、さらにより好ましくは25~35nmの、ASTM D3849-14aに従って測定される一次粒径;及び/又は、400ml・g-1未満、好ましくは390ml・g-1未満、より好ましくは380ml・g-1未満、さらにより好ましくは370ml・g-1未満、最も好ましくは350ml・g-1未満の、特に100~330、好ましくは150~230、より好ましくは170~210、さらにより好ましくは180~200、最も好ましくは185~195ml・g-1の範囲の、ASTM D-2414に従って測定される場合の吸油数OANの1つ又は複数によって特徴づけられるカーボンブラックを含む。
【0020】
本発明の組成物は、5~1000、好ましくは20~800、より好ましくは30~700、さらにより好ましくは50~600、なおより好ましくは70~500、特により好ましくは80~250、最も好ましくは85~150μmのISO13220に従って測定される場合の粒径分布D90、及び/又は、0.01~1.00、好ましくは0.02~0.9、より好ましくは0.05~0.7、さらにより好ましくは0.1~0.55、なおより好ましくは0.13~0.50、特により好ましくは0.16~0.45、最も好ましくは0.16~0.25g・cm-3の、ASTM D-7481に従って測定される場合のかさ密度の1つ又は複数によって特徴づけられる膨張黒鉛を含む。
【0021】
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、(a)組成物の総質量に対して3~40、好ましくは5~35、より好ましくは10~30、さらにより好ましくは12~26、最も好ましくは13~18質量%の量のカーボンブラック;及び(b)組成物の総質量に対して3~50、好ましくは3~40、より好ましくは3~35、さらにより好ましくは3~30、なおより好ましくは3.5~20、特により好ましくは4~18、特になおより好ましくは5~17、最も好ましくは7~15質量%の量の膨張黒鉛を含む。
【0022】
別の好ましい実施形態において、本発明の組成物は(a)カーボンブラック;及び(b)膨張黒鉛を含み、カーボンブラックは、950m2・g-1未満、好ましくは850m2・g-1未満、より好ましくは700m2・g-1未満、さらにより好ましくは600m2・g-1未満、最も好ましくは500m2・g-1未満の、特に40~800、好ましくは50~800、より好ましくは30~100、さらにより好ましくは50~80、最も好ましくは60~70m2・g-1の範囲の、ASTM D3037に従って測定される窒素下のBET比表面積及び、任意に、10~60、好ましくは15~55、より好ましくは20~40、さらにより好ましくは25~35nmのASTM D3849-14aに従って測定される一次粒径;及び/又は、400ml・g-1未満、好ましくは390ml・g-1未満、より好ましくは380ml・g-1未満、さらにより好ましくは370ml・g-1未満、最も好ましくは350ml・g-1未満の、特に100~330、好ましくは150~230、より好ましくは170~210、さらにより好ましくは180~200、最も好ましくは185~195ml・g-1の範囲のASTM D-2414に従って測定される場合の吸油数OANの1つ又は複数によって特徴づけられ、及び/又は、膨張黒鉛は、5~1000、好ましくは20~800、より好ましくは30~700、さらにより好ましくは50~600、なおより好ましくは70~500、特により好ましくは80~250、最も好ましくは85~150μmの、ISO13220に従って測定される場合の粒径分布D90、及び/又は、0.01~1.00、好ましくは0.02~0.9、より好ましくは0.05~0.7、さらにより好ましくは0.1~0.55、なおより好ましくは0.13~0.50、特により好ましくは0.16~0.45、最も好ましくは0.16~0.25g・cm-3の、ASTM D-7481に従って測定される場合のかさ密度の1つ又は複数によって特徴づけられる。
【0023】
なお別の好ましい実施形態において、本発明の組成物はカーボンブラック及び膨張黒鉛を含み、組成物の総質量に対するカーボンブラック対黒鉛の質量%比は、0.1~9、好ましくは0.33~9、より好ましくは0.4~9、さらにより好ましくは0.4~7なおより好ましくは0.4~5、特により好ましくは0.4~3、特になおより好ましくは0.4~2、最も好ましくは0.6~1.7の範囲にあり、カーボンブラックは、950m2・g-1未満、好ましくは850m2・g-1未満、より好ましくは700m2・g-1未満、さらにより好ましくは600m2・g-1未満、最も好ましくは500m2・g-1未満の、特に40~800、好ましくは50~800、より好ましくは30~100、さらにより好ましくは50~80、最も好ましくは60~70m2・g-1の範囲の、ASTM D-3037に従って測定される窒素下のBET比表面積;及び任意に、10~60、好ましくは15~55、より好ましくは20~40、さらにより好ましくは25~35nmの、ASTM D-3849-14aに従って測定される一次粒径;及び/又は、400ml・g-1未満、好ましくは390ml・g-1未満、より好ましくは380ml・g-1未満、さらにより好ましくは370ml・g-1未満、最も好ましくは350ml・g-1未満の、特に100~330、好ましくは150~230、より好ましくは170~210、さらにより好ましくは180~200、最も好ましくは185~195ml・g-1の範囲の、ASTM D-2414に従って測定される場合の吸油数OANの1つ又は複数によって特徴づけられ、及び/又は膨張黒鉛は、5~1000、好ましくは20~800、より好ましくは30~700、さらにより好ましくは50~600、なおより好ましくは70~500、特により好ましくは80~250、最も好ましくは85~150μmの、ISO13220に従って測定される場合の粒径分布D90、及び/又は、0.01~1.00、好ましくは0.02~0.9、より好ましくは0.05~0.7、さらにより好ましくは0.1~0.55、なおより好ましくは0.13~0.50、特により好ましくは0.16~0.45、最も好ましくは0.16~0.25g・cm-3の、ASTM D-7481に従って測定される場合のかさ密度の1つ又は複数によって特徴づけられる。
【0024】
他の好ましい実施形態において、本発明による組成物は、金属粉末、金属薄片、ガラス繊維、シリコン繊維、炭素伝導性添加剤、天然黒鉛、人造黒鉛、表面改質黒鉛、黒鉛ナノプレートレット、多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、炭素ナノ構造体、金属コーティング黒鉛、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される炭素ベース充填剤からなる群から選択される1種又は複数の充填剤を含むことも提供される。そのような充填剤は、組成物の化学的及び物理的性質を最適化し微調整するために使用されてもよい。
【0025】
他の好ましい実施形態において、組成物はポリマー、好ましくは、ポリオレフィン、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン及びそれらの組み合わせから選択されるポリオレフィンからなる群から選択されるポリマーを含み、より好ましくは、ポリオレフィンは、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリメチルメタクリラート(PMMA)、ポリアセタール、ポリカルボナート、ポリビニル、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリアクリラート、エポキシポリマー、ポリエステル、ポリカルボナート、ポリケトン、ポリスルホン、不飽和ポリエステル、ポリウレタン、ポリシクロペンタジエン、シリコーン、ゴム、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、コーティング用結合剤及びそれらの組み合わせであることも提供される。このようにして、本発明の組成物を広範囲のポリマーに適用することができる。
【0026】
第2の態様において、本発明は、上に記載される本発明による組成物を含む複合材料の成形物品を提供する。
第3の態様において、本発明は、本発明の組成物を含むコーティングを用いてコートされた基材を提供する。
本発明の基材のための成形物品又はコーティングは、ポリオレフィン、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン及びそれらの組み合わせから選択されるポリオレフィンからなる群から選択されるポリマーを含んでもよく、より好ましくは、ポリオレフィンは、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリメチルメタクリラート(PMMA)、ポリアセタール、ポリカルボナート、ポリビニル、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリアクリラート、エポキシポリマー、ポリエステル、ポリカルボナート、ポリケトン、ポリスルホン、不飽和ポリエステル、ポリウレタン、ポリシクロペンタジエン、シリコーン、ゴム、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、コーティング用結合剤及びそれらの組み合わせである。
本発明の成形物品又は基材用コーティングの好ましい実施形態において、カーボンブラック及び膨張黒鉛はポリマー中で分散される。これによって、ポリマー中の伝導性添加剤の等しい分布を与え、EMI遮蔽効率又は熱伝導率のような特定の良好な効果を提供する。
【0027】
第4の態様において、本発明は、10~1000MHzの周波数でASTM D-4935、又は論文E. Hariya and U. Massahiro, “Instruments for Measuring Shielding Effectiveness”, EMC 1984 Tokyoに詳述されるようにそれから派生する方法に従って測定される、少なくとも20dB、好ましくは少なくとも30dB、より好ましくは少なくとも40dBである電磁障害(EMI)遮蔽;1000オーム・cm未満、好ましくは100オーム・cm未満、より好ましくは10オーム・cm未満、最も好ましくは1オーム・cm未満である、ASTM D-4496に従って測定される体積抵抗率;及び/又は、0.5W・m-1K-1を超え、好ましくは0.7W・m-1K-1を超え、より好ましくは0.9W・m-1K-1を超え、特により好ましくは1.1W・m-1K-1を超え、さらにより好ましくは1.3W・m-1K-1を超え、なおより好ましくは1.5W・m-1K-1を超え、特になおより好ましくは1.7W・m-1K-1を超え、なおより好ましくは2.0W・m-1K-1を超え、なおより好ましくは2.5W・m-1K-1を超え、さらにより好ましくは3.0W・m-1K-1を超え、特にさらにより好ましくは4.0W・m-1K-1を超え、特になおより好ましくは5.0W・m-1K-1を超え、なおより好ましくは6.0W・m-1K-1を超え、最も好ましくは7.0W・m-1K-1を超える、ASTM E1461に従って測定される面内熱伝導率の1つ又は複数を提供するための、上に記載される本発明による組成物、成形物品又はコートされた基材の使用を提供する。
【0028】
第5の態様において、本発明は、上に記載される本発明による組成物、成形物品又はコートされた基材を使用するポリマー状組成物において、10MHz~1000MHzの周波数で規格試験法ASTM D-4935、又は論文E. Hariya and U. Massahiro, “Instruments for Measuring Shielding Effectiveness”, EMC 1984 Tokyoに詳述されているようにそれから派生する方法に従って測定される、EMI遮蔽が少なくとも20dB、好ましくは少なくとも30dB、より好ましくは少なくとも40dBである電磁障害(EMI)遮蔽を提供する方法を提供する。
【0029】
第6の態様において、本発明は、上に記載される本発明による組成物、成形物品、又はコートされた基材を使用するポリマー状組成物において、1000オーム・cm未満、好ましくは100オーム・cm未満、より好ましくは10オーム・cm未満、最も好ましくは1オーム・cm未満である、規格試験法ASTM D-4496に従って測定される場合の体積抵抗率を提供する方法を提供する。
第7の態様において、本発明は、上に記載される本発明による組成物、成形物品又はコートされた基材を使用するポリマー状組成物において、0.5W・m-1K-1を超え、好ましくは0.7W・m-1K-1を超え、より好ましくは0.9W・m-1K-1を超え、特により好ましくは1.1W・m-1K-1を超え、さらにより好ましくは1.3W・m-1K-1を超え、なおより好ましくは1.5W・m-1K-1を超え、特になおより好ましくは1.7W・m-1K-1を超え、なおより好ましくは2.0W・m-1K-1を超え、なおより好ましくは2.5W・m-1K-1を超え、さらにより好ましくは3.0W・m-1K-1を超え、特にさらにより好ましくは4.0W・m-1K-1を超え、特になおより好ましくは5.0W・m-1K-1を超え、なおより好ましくは6.0W・m-1K-1を超え、最も好ましくは7.0W・m-1K-1を超える、ASTM E1461に従って測定される面内熱伝導率を提供する方法を提供する。
【0030】
さらに好ましい実施形態において、本発明の電磁障害(EMI)遮蔽を提供する使用又は方法は、カーボンブラック、膨張黒鉛又は他の伝導性充填剤若しくは添加剤を含まない基準材料、特に上に記載される本発明による組成物と比較する場合、少なくとも10dB、好ましくは少なくとも20dB、より好ましくは少なくとも25dB、さらにより好ましくは少なくとも30dB、なおより好ましくは少なくとも35dB、特により好ましくは少なくとも40dB、最も好ましくは少なくとも45dB、特に10~80dB、好ましくは15~70dB、より好ましくは18~60dB、特により好ましくは20~55dB、さらにより好ましくは25~50dB、特にさらにより好ましくは27~50dB、なおより好ましくは30~50dB、特になおより好ましくは31~45dB、最も好ましくは35~42dB、EMI遮蔽を改善する。
【0031】
さらに好ましい実施形態において、本発明の体積抵抗率を提供する使用又は方法は、カーボンブラック、膨張黒鉛又は他の伝導性充填剤若しくは添加剤を含まない基準材料、特に上に記載される本発明による組成物と比較する場合、1.3~109、好ましくは1.5~108、より好ましくは2~107、特に好ましくは2~106、さらにより好ましくは2~105、特にさらにより好ましくは3~105、なおより好ましくは3~104、特になおより好ましくは5~104、さらにより好ましくは7~104、なおより好ましくは7~103、特にさらにより好ましくは10~103、特になおより好ましくは15~103、さらにより好ましくは50~103、最も好ましくは102~103の係数だけ体積抵抗率を低減する。
【0032】
さらに好ましい実施形態において、本発明の面内熱伝導性を与える使用又は方法は、カーボンブラック、膨張黒鉛又は他の伝導性充填剤若しくは添加剤を含まない基準材料、特に上に記載される本発明による組成物と比較する場合、2、好ましくは3、より好ましくは4、特に好ましくは5、さらにより好ましくは6、特にさらにより好ましくは7、なおより好ましくは8、特になおより好ましくは9、なおより好ましくは10、さらにより好ましくは12、特になおより好ましくは14、特にさらにより好ましくは16、なおより好ましくは18、さらにより好ましくは20、特になおより好ましくは25、特になおより好ましくは30、さらにより好ましくは40、最も好ましくは50の係数だけ面内熱伝導率を増加させる。
【0033】
要約すると、上に記載される本発明の主題は、有利には、レオロジー及び機械的性質を損なうことなく、伝導性添加剤の量及び電気伝導率、EMI遮蔽効率及び面内熱伝導率などの組成物の望ましい性質の両方を最適化することを可能にする。
上記の説明において含有される全物質は、例証であり、限定する意味ではないと解釈されるべきであることが意図される。したがって、上に記載された組成物、使用及び方法において特定の変更が、本発明の範囲から外れることなく行われてもよい。
本発明は、本発明を限定することなく、組成物の調製及びそれらの対応する性質を例証する以下の実施例によってさらに説明される。
【実施例】
【0034】
(使用した材料)
ポリマー:
- 「PP412 MN40」として市販されているポリプロピレン;
- 「Technyl C246」として市販されているポリアミド。
【0035】
添加剤:
- 導電性カーボンブラック、Imerys社から「Ensaco(登録商標)250G」として市販されている、190mL/100gの吸油数(OAN)、及び65m2/gの窒素下のBET比表面積によって特徴づけられる;
- Extra-Conductive Carbon Black、Imerys社から「Ensaco(登録商標)350G」として市販されている、320mL/100gのOAN、及び770m2/gの窒素下のBET比表面積によって特徴づけられる;
- 膨張黒鉛(高アスペクト比黒鉛)、Imerys社から「Timrex(登録商標)C-THERM(商標)011」として市販されている、D90=90μmの粒径分布によって特徴づけられる;
- 膨張黒鉛(高アスペクト比黒鉛)、Imerys社から「Timrex(登録商標)C-THERM(商標)301」として市販されている、D90=30μmの粒径分布によって特徴づけられる;
- 膨張黒鉛(高アスペクト比黒鉛)、Imerys社から「Timrex(登録商標)C-THERM(商標)MAX HD」として市販されている、D90が400μmを超える粒径分布によって特徴づけられる;
- 人造黒鉛(低アスペクト比primary synthetic graphite)、Imerys社から「Timrex(登録商標)SFG44」として市販されている、約5m2/gのBET比表面積及びD90=50μmの粒径分布によって特徴づけられる;
- 人造黒鉛(低アスペクト比primary synthetic graphite)、Imerys社から「Timrex(登録商標)KS44」として市販されている、約9m2/gの窒素下のBET比表面積及びD90=46μmの粒径分布によって特徴づけられる。
- 炭素繊維、帝人株式会社から「Tenax A HT P802 3mm」として市販されている、7μmの繊維直径及び8mmのペレット長さによって特徴づけられる。
【0036】
使用した方法及び設備:
メルトフローレート(MFR)は、標準ISO1133に従ってメルトフロー試験器、CEASTによって5kg及び230℃で測定する。MFR測定に使用した他の条件を示す。
【0037】
日東精工アナリテック株式会社製のLoresta GX装置を使用し、標準ASTM D4496に従って4点ASPプローブを使用して体積抵抗率を測定する。
EMI遮蔽は、2.3~2.4mm厚の圧縮した小板(150×150mm2サイズ)で、ASTM D-4935から派生する「TEM-tセル」法に従って10MHz~1GHzの範囲の周波数で試験した(詳細は、論文E. Hariya and U. Massahiro, “Instruments for Measuring Shielding Effectiveness”, EMC 1984 Tokyoに見いだされる)。25dBを超える減衰を有する全試料について、等価回路から派生するものとして空のTEM-tセルの理論値に対応する補正係数を適用した。
標準ASTM E1461に従ってNetzsch社製のレーザーフラッシュLFA447を使用して23℃の温度で熱伝導率を測定する。測定は、小板充填段階中の材料フローに関して面内及び膜厚方向の両方で行う。
【0038】
ISO527に従ってInstron Dynamometer5966を用いて引張特性を測定する。
試験した配合物:
A)ポリプロピレン(PP)を含む組成物
A-1)CB及びEGのブレンドを含むPP組成物
カーボンブラック(OAN=190mL/g及び65m2/gの窒素下のBET比表面積を有するImerys社製のEnsaco(登録商標)250G)と、膨張黒鉛(D90=90μmを有するImerys社製のTimrex(登録商標)C-THERM(商標)011)との異なるブレンドを含む組成物の総質量に対して30質量%の最終装填率の伝導性添加剤を用いて、表1.1に列挙されたポリプロピレン組成物を調製した。
【0039】
【0040】
A-2)伝導性充填剤のさらなるブレンドを含むPP組成物
比較試験のために、異なる種類のカーボンブラック(OAN=190mL/g及び65m2/gの窒素下のBET比表面積を有するImerys社製のEnsaco(登録商標)250G又はOAN=320mL/100g及び770m2/gの窒素下のBET比表面積を有するImerys社製のEnsaco(登録商標)350G)と、異なる種類の膨張黒鉛(D90=90μmを有するImerys社製のTimrex(登録商標)C-THERM(商標)011又はD90=30μmを有するImerys社製のTimrex(登録商標)C-THERM(商標)301又は400μmを超えるD90を有するImerys社製のTimrex(登録商標)C-THERM(商標)MAX HD;参照:試料PP-10~PP-12)、任意にさらなる伝導性添加剤として炭素繊維(7μmの繊維直径及び8mmのペレット長さを有する帝人株式会社製のTenax A HT P802 3mm)(試料PP-13~PP-14)との異なるブレンドを含む、組成物の総質量に対して30質量%の最終装填率の伝導性添加剤を有する配合物(除外として試料PP-12のみ組成物の総質量に対して22.5質量%を有する)を調製した。表1.2参照。
【0041】
【0042】
A-3)CBと人造黒鉛のブレンドを含むPP組成物
比較試験のために、カーボンブラック(OAN=190mL/g及び65m2/gの窒素下のBET比表面積を有するImerys社製のEnsaco(登録商標)250G)と人造黒鉛(約5g/m2のBET比表面積及びD90=50μmの粒径分布によって特徴づけられるImerys社製の“Timrex(登録商標)SFG44 Primary Synthetic Graphite”)の異なるブレンドを含む、組成物の総質量に対して30質量%の最終装填率の伝導性添加剤を有する配合物を調製した。表1.3参照。
【0043】
【0044】
B)ポリアミド(PA)を含む組成物
伝導性添加剤の異なる最終装填率を用いて及び異なる単一成分添加剤、又はカーボンブラック(OAN=190mL/g及び65m2/gの窒素下のBET比表面積を有するImerys社製のEnsaco(登録商標)250G)と膨張黒鉛(D90=90μmを有するImerys社製のTimrex(登録商標)C-THERM(商標)011)とのブレンドを用いて、表2に列挙されたポリアミド組成物を調製した。比較試験のために、人造黒鉛(約9m2/gの窒素下のBET比表面積及びD90=46μmを有するImerys社製の“Timrex(登録商標)KS44“)を含む配合物を調製した。
【0045】
【0046】
(実施例1:複合体の調製)
上に記載の試料PP-1からPP-17及びPA-1からPA-13を、少なくともいくつかの以下の実施例において複合体として使用し、以下の実施例において、溶融押出によって、2台のサイドフィーダーを装備したL/D比48を有する二軸スクリュー押出機、Leistritz ZSE 27mmを使用して複合体を調製する。ポリマー溶融温度を240℃に設定し、スクリュー速度を200rpmに固定し、合計アウトプットを15kg/時間とする。メインフィーダーにポリプロピレン、Sabic社製、PP412 MN40を添加する。重力式フィーダーによって供給された1台又は2台のサイドフィーダーを使用して、ポリマー溶融物に伝導性添加剤を添加する。ダイを介して複合体を押出し、水バッチによって冷却し、回転切断刃を使用して粒状にする。
【0047】
(実施例2:試験片(小板)の調製)
Billion Proxima 50Tを使用する射出成形によって体積抵抗率、機械試験及び熱伝導率用の試料を調製する。
LabTech press LPS20を使用して、EMI遮蔽試験用の試料を圧縮する。150×150×2.4mm2の小板を調製する。
【0048】
(実施例3:粘度(MFI)の測定)
本発明の発明者らは、本発明による、カーボンブラックと膨張黒鉛のブレンドが有利に許容できる流動学的性質を提供することを見いだした。
【0049】
(3.1.ポリプロピレン組成物の粘度(MFI)データ)
【表5】
【0050】
表3.1及び
図1において提示されたデータから、伝導性添加剤中のカーボンブラック量の増加とともに粘度は上昇し(伝導性添加剤中のカーボンブラックの量が多いほどMFIは低く)、逆もまた同様に、膨張黒鉛量の増加とともに粘度は低下する(伝導性添加剤中の膨張黒鉛量が多いほどMFIは高い)ことを導き出すことができる。
【0051】
また、異なるタイプの膨張黒鉛を含む1のCB:EG比を有する試料PP-3.3、PP-3.6及びPP-3.7から、D90=90μmを有するImerys社製の膨張黒鉛Timrex(登録商標)C-THERM(商標)011は、Ensaco(登録商標)250Gカーボンブラックとのブレンド中に最低のMFI(最高粘度)を提供することを導き出すことができる。
さらに、炭素繊維を含む伝導性添加剤ブレンドは、炭素繊維を含まないブレンドより低い粘度(より高いMFI)を提供する。
【0052】
(3.2.ポリアミド組成物の粘度(MFI)データ)
【表6】
【0053】
本発明の本発明者らは、10質量%を超えるカーボンブラック(Ensaco(登録商標)250G)を含むポリアミド組成物は、非常に粘性が高く、したがって、より低いカーボンブラック装填率又は膨張黒鉛若しくは人造黒鉛などのカーボンブラック以外の充填剤を含むポリアミド組成物と比較して、扱うことがより困難であることを見いだした。この背景理由に抗して、試料PA-3.12~PA-3.15及び試料PA-3.18の粘度の測定の(MFIとして求める)ためにそれぞれ10及び12.5kgという、より大きい試料荷重が必要であった。
【0054】
また、本発明の本発明者らは、30質量%のカーボンブラック(Ensaco(登録商標)250G)を含む試料PA-3.15は、射出成型することができず、15質量%のカーボンブラック(Ensaco(登録商標)250G)及び15質量%の膨張黒鉛(Timrex(登録商標)C-THERM(商標)011)を含むポリアミド組成物は、もはや押出すことができないことを見いだした。
上の表3.2において提示されたデータによると、対応する充填剤装填率で、10質量%以上の膨張黒鉛を含む試料は、同じ装填率で排他的にカーボンブラックを含む試料と比較して、より低い粘度(より高いMFI)を示す。
【0055】
(実施例4:体積抵抗率の測定)
本発明の本発明者らは、本発明によるカーボンブラックと膨張黒鉛のブレンドが、有利に優れた伝導率を提供することを見いだした。
【0056】
(4.1.ポリプロピレン組成物の体積抵抗率データ)
伝導性添加剤としてのカーボンブラックと膨張黒鉛のブレンドを、組成物の総質量に対して30質量%の添加剤装填率で含むポリプロピレン組成物の体積抵抗率を測定した(試料PP-4.1~PP-4.9)。比較試験のために、伝導性添加剤としてのカーボンブラックと人造黒鉛のブレンドを、組成物の総質量に対して30質量%の添加剤装填率で含むポリプロピレン組成物の体積抵抗率を測定した(試料PP-4.10~PP-4.12)。表4.1参照。
【0057】
【0058】
表4.1及び
図3から、試料PP-4.5(CB:EG=1)、PP-4.3(CB:EG=3)、PP-4.2(CB:EG=6.9)及びPP-4.4(CB:EG=1.65)は9.23*E-1オーム・cm、6.68*E-1オーム・cm、6.0*E-1オーム・cm及び6.67*E-1オーム・cmの最低の体積抵抗率をそれぞれ与えることを導き出すことができる。また、上の表4.1から導き出すことができるように、等しい30質量%の添加剤装填率及びカーボンブラック対黒鉛の1の比で、カーボンブラックと膨張黒鉛のブレンドを含む試料は、カーボンブラックと人造黒鉛のブレンドを含む試料と比較して、有意に低い体積抵抗率を与える。例えばカーボンブラック対黒鉛の1の比で膨張黒鉛を含む、試料PP-4.5、PP-4.10及びPP-4.11は、9.23*E-1オーム・cm、1.37*E0オーム・cm及び2.13*E0オーム・cmの体積抵抗率をそれぞれ与え、人造黒鉛を含む試料PP-4.15について測定した2.8*E0オーム・cmの体積抵抗率と比較して、有意に低い。
【0059】
特に、表4.1及び
図3から、カーボンブラックと膨張黒鉛のブレンドを含む伝導性添加剤は、単一伝導性添加剤の充填剤、すなわち排他的カーボンブラック又は排他的膨張黒鉛と比較して、より低い体積抵抗率を与えることを導き出すことができる。この結果は、カーボンブラック及び膨張黒鉛の体積抵抗率への相乗効果を示唆する。
(4.2.ポリアミド組成物の体積抵抗率データ)
【0060】
【0061】
表4.2及び
図4から導き出すことができるように、単一伝導性添加剤を含むポリアミド試料について、体積抵抗率は、添加剤量の増加とともに低下する。この効果は、人造黒鉛を含む試料と比較して、カーボンブラック及び/又は膨張黒鉛を含む試料についてより顕著である。最も重要なことには、本発明の本発明者らは驚いたことに、特にカーボンブラック対膨張黒鉛の1の比を含むカーボンブラックと膨張黒鉛のブレンドは、25質量%の充填剤合計装填率、部分的な量の12.5質量%のカーボンブラック(Ensaco(登録商標)250G)及び12.5質量%の膨張黒鉛(Timrex(登録商標)C-THERM(商標)011)それぞれで、単一伝導性添加剤を含む対応するポリアミド組成物と比較して4桁低い体積抵抗率を与えることを見いだした。この結果は、カーボンブラック及び膨張黒鉛の体積抵抗率への相乗効果を示唆する。
【0062】
(実施例5:ポリプロピレン組成物のEMI遮蔽効率の測定)
本発明の本発明者らは、本発明によるカーボンブラックと膨張黒鉛のブレンドが有利には優れたEMI遮蔽を与えることを見いだした。
ポリプロピレン組成物について10MHz~1000MHzの周波数でEMI遮蔽データが得られた。dBでの補正EMI遮蔽効率(減衰)として選択したデータポイントは以下の表5に再現されている。
図5Aは補正したプロットであり、
図5Bは、表5に示していない、補正及び未補正のEMI遮蔽効率(減衰)、対、より多くのデータポイントを考慮した周波数のプロットである。
【0063】
【0064】
表5並びに
図5A及び
図5Bから導き出すことができるように、試験するポリプロピレン複合体の補正EMI遮蔽効率は、以下の順序で減少する:(i)15質量%のカーボンブラック(Ensaco(登録商標)250G)/15質量%の膨張黒鉛(Timrex(登録商標)C-THERM(商標)011)を含む試料PP-5.3、(ii)10質量%のカーボンブラック(Ensaco(登録商標)250G)/10質量%の膨張黒鉛(Timrex(登録商標)C-THERM(商標)011)/10質量%の炭素繊維(Tenax A HT P802 3mm)を含む試料PP-5.10、(iii)15質量%のカーボンブラック(Ensaco(登録商標)250G)/15質量%の炭素繊維(Tenax A HT P802 3mm)を含む試料PP-5.9、(iv)15質量%のカーボンブラック(Ensaco(登録商標)250G)/15質量%の膨張黒鉛(Timrex(登録商標)C-THERM(商標)301)を含む試料PP-5.6、(v)15質量%のカーボンブラック(Ensaco(登録商標)250G)/15質量%の膨張黒鉛(Timrex(登録商標)C-THERM(商標)MAX HD)を含む試料PP-5.7、(vi)7.5質量%のカーボンブラック(Ensaco(登録商標)350G)/15質量%の膨張黒鉛(Timrex(登録商標)C-THERM(商標)011)を含む試料PP-5.8、(vii)伝導性添加剤を含まないニートなポリプロピレンを含む対照試料。
【0065】
また、15質量%のカーボンブラック(Ensaco(登録商標)250G)/15質量%の膨張黒鉛(Timrex(登録商標)C-THERM(商標)011)を含む試料PP-5.3は、約20~約1000MHzの周波数領域で約40~45dBの減衰を示す。本発明者らは、驚いたことに、この組成物は炭素繊維を含む組成物よりさらに優れていることを見いだし、本発明による組成物の並外れたEMI遮蔽性能を強調した。
【0066】
(実施例6:熱伝導率の測定)
本発明の本発明者らは、本発明によるカーボンブラックと膨張黒鉛のブレンドが、有利には、以下のような良好な熱伝導率を提供することを見いだした。
【0067】
(6.1.ポリプロピレン組成物の熱伝導率データ)
【表10】
【0068】
表6.1及び
図6Aから導き出すことができるように、カーボンブラックと膨張黒鉛のブレンドを含むポリプロピレン組成物について、膜厚並びに面内伝導率の両方が、膨張黒鉛の量の増加とともに増加する(試料PP-6.1~PP-6.5)。
【0069】
30質量%の等しい添加剤装填率及びカーボンブラック対膨張黒鉛の1の比(すなわち試料PP-6.3、PP-6.6及びPP-6.7)で、膨張黒鉛成分としてのD90=90μmを有するImerys社製のTimrex(登録商標)C-THERM(商標)011を含む試料PP-6.3は、最も高い熱伝導率を与える。
また、炭素繊維の使用は、炭素繊維を含まない本発明による試料と比較して劣った熱伝導率をもたらす。
【0070】
(6.2.ポリアミド組成物の熱伝導率データ)
【表11】
【0071】
表6.2及び
図6Bから導き出すことができるように、等しい充填剤装填率で膨張黒鉛を含むポリアミド試料の面内及び膜厚熱伝導率の両方が、人造黒鉛又はカーボンブラックを含むポリアミド試料の熱伝導率より高い。
また、12.5質量%のカーボンブラック(Ensaco(登録商標)250G)と12.5質量%の膨張黒鉛(Timrex(登録商標)C-THERM(商標)011)のブレンドを含む試料PA-6.13は、30質量%の人造黒鉛を含む試料PA-6.12と同様の面内熱伝導率を与える。
【0072】
(実施例7:機械的性質の測定:引張強度)
本発明の本発明者らは、本発明によるカーボンブラックと膨張黒鉛のブレンドは、有利に良好な引張強度を与えることを見いだした。
【0073】
(7.1.ポリプロピレン組成物の引張強度データ)
【表12】
【0074】
本発明の本発明者らは、驚いたことに、カーボンブラック及び膨張黒鉛の本発明による組成物が、カーボンブラックと人造黒鉛のブレンドと比較する場合、優れた引張特性を与えることを見いだした。表7.1及び
図7Aから導き出すことができるように、ポリプロピレン組成物中の膨張黒鉛の量が増加すると、より大きな弾性モジュラス(ヤングモジュラス)を与える。程度はより小さいが、この効果は人造黒鉛を含む組成物についても観察される。また、30質量%の等しい充填剤量及びカーボンブラック対膨張黒鉛及び人造黒鉛の等しい比でそれぞれ、カーボンブラックと膨張黒鉛のブレンドは有利により大きな弾性モジュラス(ヤングモジュラス)を与える。
(7.2.ポリアミド組成物の引張強度データ)
【0075】
【0076】
(引用文書)
・国際公開第2012/020099号
・米国特許第1,137,373号
・米国特許第1,191,383号
・米国特許第4,946,982号
・米国特許第5,582,781号
・米国特許第4,530,949号
・米国特許第4,704,231号
・米国特許出願公開第2006/0148965号
・米国特許出願公開第2018/0022398号
・米国特許第11,024,849号
・Leao et al. Journal of Polymers and the Environment, 2020, 28, pp. 2021-2100, https://doi.org/10.1007/s10924-020-01753-4
【0077】
(実施形態のリスト)
本発明の第1の実施形態は、
(a)組成物の総質量に対して3~40、又は5~35、又は10~30、又は12~26、又は13~18質量%の量のカーボンブラック;及び
(b)組成物の総質量に対して3~50、又は3~40、又は3~35、又は3~30、又は3.5~20、又は4~18、又は5~17、又は7~15質量%の量の膨張黒鉛を含む組成物に関する。
本発明の第2の実施形態は、カーボンブラック及び膨張黒鉛の組み合わせた量が、組成物の総質量に対して10~50、又は17~45、又は19~40、又は20~35、又は22~34、又は24~31、又は25~30質量%である、第1の実施形態による組成物に関する。
本発明の第3の実施形態は、組成物の総質量に対するカーボンブラック対膨張黒鉛の質量%比が、0.1~9、又は0.33~9、又は0.4~9、又は0.4~7、又は0.4~5、又は0.4~3、又は0.4~2、又は0.6~1.7の範囲にある、第1又は第2の実施形態のいずれかに記載の組成物に関する。
【0078】
本発明の第4の実施形態は、第1~第3の実施形態のいずれか1項に記載の組成物に関し、カーボンブラックは、
- 950m2・g-1未満、又は850m2・g-1未満、又は700m2・g-1未満、又は600m2・g-1未満、又は500m2・g-1未満、特に40~800、又は50~800、又は30~100、又は50~80、又は60~70m2・g-1の範囲のASTM D-3037に従って測定される窒素下のBET比表面積、
及び、任意に、
- 10~60、好ましくは15~55、より好ましくは20~40、さらにより好ましくは25~35nmの、ASTM D-3849-14aに従って測定される一次粒径;
及び/又は
- 400ml・g-1未満、又は390ml・g-1未満、又は380ml・g-1、又は370ml・g-1未満、又は350ml・g-1未満の、特に100~330、又は150~230、又は170~210、又は180~200、又は185~195ml・g-1の範囲のASTM D-2414-01に従って測定される場合の吸油数OANの1つ又は複数によって特徴づけられる。
【0079】
本発明の第5の実施形態は、第1~第4の実施形態のいずれか1項に記載の組成物に関し、膨張黒鉛は、
- 5~1000、又は20~800、又は30~700、又は50~600、又は70~500、又は80~250、又は85~150μmの、ISO13220に従って測定される場合の粒径分布D90;
及び/又は
- 0.01~1.00、又は0.02~0.9、又は0.05~0.7、さらに又は0.1~0.55、又は0.13~0.50、又は0.16~0.45、又は0.16~0.25g・cm-3の、ASTM D-7481に従って測定される場合のかさ密度の1つ又は複数によって特徴づけられる。
【0080】
本発明の第6の実施形態は、
(a)カーボンブラック;及び
(b)膨張黒鉛を含み、
カーボンブラックは、
- 950m2・g-1未満、又は850m2・g-1未満、又は700m2・g-1未満、又は600m2・g-1未満、又は500m2・g-1未満の、特に40~800、又は50~800、又は30~100、又は50~80、又は60~70m2・g-1の範囲の、ASTM D-3037に従って測定される窒素下のBET比表面積;
及び、任意に、以下:
- 10~60、又は15~55、又は20~40、又は25~35nmのASTM D-3849-14aに従って測定される一次粒径;及び/又は
- 400ml・g-1未満、又は390ml・g-1未満、又は380ml・g-1未満、又は370ml・g-1未満、又は350ml・g-1未満の、特に100~330、又は150~230、又は170~210、又は180~200、又は185~195ml・g-1の範囲の、ASTM D-2414に従って測定される場合の吸油数OAN;の1つ又は複数によって特徴づけられ、
及び/又は
膨張黒鉛は、以下:
- 5~1000、又は20~800、又は30~700、又は50~600、又は70~500、又は80~250、又は85~150μmの、ISO13220に従って測定される場合の粒径分布D90;
及び/又は
- 0.01~1.00、又は0.02~0.9、又は0.05~0.7、又は0.1~0.55、又は0.13~0.50、又は0.16~0.45、又は0.16~0.25g・cm-3の、ASTM D-7481に従って測定される場合のかさ密度、の1つ又は複数によって特徴づけられる、組成物に関する。
【0081】
本発明の第7の実施形態は、組成物の総質量に対して3~40、又は5~35、又は10~30、又は12~26、又は13~18質量%の量のカーボンブラックを含む、第6の実施形態による組成物に関する。
本発明の第8の実施形態は、組成物の総質量に対して3~50、又は3~40、又は3~35、又は3~30、又は3.5~20、又は4~18、又は5~17、又は、7~15質量%の量の膨張黒鉛を含む、第6又は第7の実施形態のいずれかに記載の組成物に関する。
【0082】
本発明の第9の実施形態は、組成物の総質量に対して10~50、又は17~45、又は19~40、又は20~35、又は22~34、又は24~31、又は25~30質量%の組み合わせた量のカーボンブラック及び膨張黒鉛を含む、第6~第8の実施形態のいずれか1項に記載の組成物に関する。
本発明の第10の実施形態は、組成物の総質量に対するカーボンブラック対黒鉛の質量%比が、0.1~9、又は0.33~9、又は0.4~9、又は0.4~7、又は0.4~5、又は0.4~3、又は0.4~2、又は0.6~1.7の範囲にある、第6~第9の実施形態のいずれか1項に記載の組成物に関する。
【0083】
本発明の第11の実施形態は、カーボンブラック及び膨張黒鉛を含む組成物に関し、組成物の総質量に対するカーボンブラック対黒鉛の質量%比が、0.1~9、又は0.33~9、又は0.4~9、又は0.4~7、又は0.4~5、又は0.4~3、又は0.4~2、又は0.6~1.7の範囲にあり、
カーボンブラックは、950m2・g-1未満、又は850m2・g-1未満、又は700m2・g-1未満、又は600m2・g-1未満、又は500m2・g-1未満の、特に40~800、又は50~800、又は30~100、又は50~80、又は60~70m2・g-1の範囲のASTM D-3037に従って測定される窒素下のBET比表面積;
及び、任意に、
- 10~60、又は15~55、又は20~40、又は25~35nmのASTM D-3849-14aに従って測定される一次粒径;
及び/又は
- 400ml・g-1未満、又は390ml・g-1未満、又は380ml・g-1未満、又は370ml・g-1未満、又は350ml・g-1未満の、特に100~330、又は150~230、又は170~210、又は180~200、又は185~195ml・g-1の範囲のASTM D-2414に従って測定される場合の吸油数OANの1つ又は複数によって特徴づけられ、
及び/又は
膨張黒鉛は、
- 5~1000、又は20~800、又は30~700、又は50~600、又は70~500、又は80~250、又は85~150μmの、ISO13220に従って測定される場合の粒径分布D90;
及び/又は
- 0.01~1.00、又は0.02~0.9、又は0.05~0.7、又は0.1~0.55、又は0.13~0.50、又は0.16~0.45、又は0.16~0.25g・cm-3の、ASTM D-3037に従って測定される場合のかさ密度の1つ又は複数によって特徴づけられる。
【0084】
本発明の第12の実施形態は、組成物の総質量に対して3~40、又は5~35、又は10~30、又は12~26の、又は13~18質量%の量のカーボンブラックを含む、第11の実施形態に記載の組成物に関する。
本発明の第13の実施形態は、組成物の総質量に対して3~50、又は3~40、又は3~35、又は3~30、又は3.5~20、又は4~18、又は5~17、又は7~15質量%の量の膨張黒鉛を含む、第11又は第12の実施形態のいずれかに記載の組成物に関する。
本発明の第14の実施形態は、組成物の総質量に対して10~50、又は17~45、又は19~40、又は20~35、又は22~34、又は25~30質量%の組み合わせた量のカーボンブラック及び膨張黒鉛を含む、第11~第13の実施形態のいずれか1項に記載の組成物に関する。
本発明の第15の実施形態は、金属粉末、金属薄片、ガラス繊維、シリコン繊維、炭素伝導性添加剤、天然黒鉛、人造黒鉛、表面改質黒鉛、黒鉛ナノプレートレット、多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、炭素ナノ構造体、金属コーティング黒鉛、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される炭素ベース充填剤からなる群から選択される1種又は複数のさらなる充填剤を含む、第1~第14の実施形態のいずれか1項に記載の組成物に関する。
【0085】
本発明の第16の実施形態は、ポリマー、好ましくは、ポリオレフィン、好ましくは、ポリエチレン、プロピレン及びそれらの組み合わせから選択されるポリオレフィンからなる群から選択されるポリマーを含み、より好ましくは、ポリオレフィンは、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリメチルメタクリラート(PMMA)、ポリアセタール、ポリカルボナート、ポリビニル、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリアクリラート、エポキシポリマー、ポリエステル、ポリカルボナート、ポリケトン、ポリスルホン、不飽和ポリエステル、ポリウレタン、ポリシクロペンタジエン、シリコーン、ゴム、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、コーティング用結合剤及びそれらの組み合わせである、第1~第15の実施形態のいずれか1項に記載の組成物に関する。
本発明の第17の実施形態は、第1~第16の実施形態のいずれか1項に記載の組成物を含む複合材料の成形物品に関する。
本発明の第18の実施形態は、第1~第16の実施形態のいずれか1項に記載の組成物を含むコーティングを用いてコートされた基材に関する。
【0086】
本発明の第19の実施形態は、ポリオレフィン、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン及びそれらの組み合わせから選択されるポリオレフィンからなる群から選択されるポリマーを含み、より好ましくは、ポリオレフィンは、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリメチルメタクリラート(PMMA)、ポリアセタール、ポリカルボナート、ポリビニル、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリアクリラート、エポキシポリマー、ポリエステル、ポリカルボナート、ポリケトン、ポリスルホン、不飽和ポリエステル、ポリウレタン、ポリシクロペンタジエン、シリコーン、ゴム、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、コーティング用結合剤及びそれらの組み合わせである、第17の実施形態による成形物品又は第18の実施形態によるコートされた基材に関する。
本発明の第20の実施形態は、カーボンブラック及び膨張黒鉛がポリマー中に分散された、第19の実施形態に記載の成形物品又はコートされた基材に関する。
【0087】
本発明の第21の実施形態は、
- 10~1000MHzの周波数でASTM D-4935、又は論文E. Hariya and U. Massahiro, “Instruments for Measuring Shielding Effectiveness”, EMC 1984 Tokyoに詳述されるようにそれから派生する方法に従って測定される、少なくとも20dB、又は少なくとも30dB、又は少なくとも40dBである電磁障害(EMI)遮蔽;
- 1000オーム・cm未満、又は100オーム・cm未満、又は10オーム・cm未満、又は1オーム・cm未満である、ASTM D-4496に従って測定される体積抵抗率;及び/又は
- 0.5Wm-1K-1を超え、又は0.7Wm-1K-1を超え、又は0.9Wm-1K-1を超え、又は1.1Wm-1K-1を超え、又は1.3Wm-1K-1を超え、又は1.5Wm-1K-1を超え、又は1.7Wm-1K-1を超え、又は2.0Wm-1K-1を超え、又は2.5Wm-1K-1を超え、又は3.0Wm-1K-1を超え、又は4.0Wm-1K-1を超え、又は5.0Wm-1K-1を超え、又は6.0Wm-1K-1を超え、又は7.0Wm-1K-1を超える、ASTM E1461に従って測定される面内熱伝導率の1つ又は複数を提供する、第1~第16の実施形態のいずれか1項に記載の組成物、又は第17若しくは第19~第20の実施形態のいずれか1項に記載の成形物品、第18~第20の実施形態のいずれか1項に記載のコートされた基材の使用に関する。
【0088】
本発明の第22の実施形態は、第1~第16の実施形態のいずれか1項に記載の組成物を使用するポリマー状組成物、又は、第17若しくは第19若しくは第20の実施形態のいずれか1項に記載の成形物品、又は第18~第20の実施形態のいずれか1項に記載のコートされた基材において、10MHz~1000MHzの周波数でASTM D-4935、又は論文E. Hariya and U. Massahiro, “Instruments for Measuring Shielding Effectiveness”, EMC 1984 Tokyoに詳述されるようにそれから派生する方法に従って測定される、少なくとも20dB、又は少なくとも30dB、又は少なくとも40dBである電磁障害(EMI)遮蔽を提供する方法に関する。
本発明の第23の実施形態は、第1~第16の実施形態のいずれか1項に記載の組成物を使用するポリマー状組成物、又は、第17若しくは第19若しくは第20の実施形態のいずれか1項に記載の成形物品又は、第18~第20の実施形態のいずれか1項に記載のコートされた基材において、規格試験法ASTM D-4496に従って測定される場合の、1000オーム・cm未満、又は100オーム・cm未満、又は10オーム・cm未満、又は1オーム・cm未満である体積抵抗率を提供する方法に関する。
【0089】
本発明の第24の実施形態は、第1~第16の実施形態のいずれか1項に記載の組成物を使用するポリマー状組成物、又は、第17若しくは第19若しくは第20の実施形態のいずれか1項に記載の成形物品、又は第18~第20の実施形態のいずれか1項に記載のコートされた基材において、ASTM E1461に従って測定される,0.5Wm-1K-1を超え、又は0.7Wm-1K-1を超え、又は0.9Wm-1K-1を超え、又は1.1Wm-1K-1を超え、又は1.3Wm-1K-1を超え、又は1.5Wm-1K-1を超え、又は1.7Wm-1K-1を超え、又は2.0Wm-1K-1を超え、又は2.5Wm-1K-1を超え、又は3.0Wm-1K-1を超え、又は4.0Wm-1K-1を超え、又は5.0Wm-1K-1を超え、又は6.0Wm-1K-1を超え、又は7.0Wm-1K-1を超える、面内熱伝導率を提供する方法に関する。
【0090】
本発明の第25の実施形態は、カーボンブラック、膨張黒鉛又は他の伝導性充填剤若しくは添加剤を含まない基準材料、特に第1~第16の実施形態のいずれか1項に記載の組成物と比較する場合、少なくとも10dB、又は少なくとも20dB、によって、又は少なくとも25dB、又は少なくとも30dB、又は少なくとも35dB、又は少なくとも40dB、又は少なくとも45dB、特に10~80dB、又は15~70dB、又は18~60dB、又は20~55dB、又は25~50dB、又は27~50dB、又は30~50dB、又は31~45dB、又は35~42dB改善される、第21又は第22の実施形態のいずれかに記載の電磁障害(EMI)遮蔽を提供する使用又は方法に関する。
【0091】
本発明の第26の実施形態は、カーボンブラック、膨張黒鉛又は他の伝導性充填剤若しくは添加剤を含まない基準材料、特に第1~第16の実施形態のいずれか1項に記載の組成物と比較する場合、1.3~109、又は1.5~108、又は2~107、又は2~106、又は2~105、又は3~105、又は3~104、又は5~104、又は7~104、又は7~103、又は10~103、又は15~103、又は50~103、又は102~103の係数だけ低減される、第21又は第23の実施形態のいずれかに記載の体積抵抗率を提供する使用又は方法に関する。
本発明の第27の実施形態は、カーボンブラック、膨張黒鉛又は他の伝導性充填剤若しくは添加剤を含まない基準材料、特に第1~第16の実施形態のいずれか1項に記載の組成物と比較した場合、2、又は3、又は4、又は5、又は6、又は7、又は8、又は9、又は10、又は12、又は14、又は16、又は18、又は20、又は25、又は30、又は40、又は50の係数だけ増加する、第21又は第24の実施形態のいずれか1項に記載の面内熱伝導率を提供する使用又は方法に関する。
【国際調査報告】