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特表2024-541272ウェルプレート装置及びその充填方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】ウェルプレート装置及びその充填方法
(51)【国際特許分類】
   B01L 3/00 20060101AFI20241031BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20241031BHJP
   C12M 1/32 20060101ALI20241031BHJP
   G01N 1/00 20060101ALN20241031BHJP
【FI】
B01L3/00
C12M1/00 Z
C12M1/32
G01N1/00 101H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525984
(86)(22)【出願日】2022-11-09
(85)【翻訳文提出日】2024-05-01
(86)【国際出願番号】 US2022049381
(87)【国際公開番号】W WO2023086372
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】63/277,363
(32)【優先日】2021-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】399117121
【氏名又は名称】アジレント・テクノロジーズ・インク
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】デラルチプレーテ,ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】チャドウィック,ケリー
【テーマコード(参考)】
2G052
4B029
4G057
【Fターム(参考)】
2G052AA33
2G052AD29
2G052AD49
2G052DA06
2G052GA12
4B029AA08
4B029BB01
4B029CC01
4B029GA03
4B029GB04
4B029GB05
4B029HA02
4B029HA05
4G057AB06
4G057AB31
4G057AB34
(57)【要約】
生物学的サンプルを保持して試験するためのかなりの数の個別のウェルを含むウェルプレートが開示される。各ウェル内の恒常性状態を維持するために、ウェルプレートはウェルの外周を取り囲む堀を含む。堀付きウェルプレートは、流体がこぼれることなく流体が効率的に充填されるように設計される。堀は、流体が充填されると、個々のウェル内で温度勾配や異なる蒸発速度が発生するのを防ぐ。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周を有するウェル領域と、
前記ウェル領域の外周を取り囲み、かつ、該外周に隣接する堀であって、液体を保持する前記堀と、
前記堀内に配置される複数の流体安定化バリアと、
を備えるウェルプレートであって、
前記ウェル領域は、複数の行及び複数の列を含む格子状パターンを成して配置される複数のウェルを備え、前記格子状パターンは、複数の内部ウェルを取り囲む複数の外周ウェルを含み、前記外周ウェルが前記ウェル領域の外周を画定し、
前記堀は、第2のエンドチャネルの反対側にある第1のエンドチャネルと、第2のサイドチャネルの反対側にある第1のサイドチャネルとを含み、
少なくとも1つの流体安定化バリアが、前記第1のエンドチャネル内、前記第2のエンドチャネル内、前記第1のサイドチャネル内、及び前記第2のサイドチャネル内に配置される、ウェルプレート。
【請求項2】
前記堀は、前記ウェル領域の外周にわたって連続し、かつ、前記流体安定化バリアによって複数の区画室に分割される、請求項1に記載のウェルプレート。
【請求項3】
1つの流体安定化バリアが前記第1のエンドチャネルの中央領域に配置され、1つの流体安定化バリアが前記第2のエンドチャネルの中央領域に配置され、1つの流体安定化バリアが前記第1のサイドチャネルの中央領域に配置され、1つの流体安定化バリアが前記第2のサイドチャネルの中央領域に配置される、請求項1又は請求項2に記載のウェルプレート。
【請求項4】
前記ウェルプレートは4つの流体安定化バリアを含む、請求項1~請求項3のいずれか1つに記載のウェルプレート。
【請求項5】
前記ウェルプレートは約24個~約1536個のウェルを含む、請求項1~請求項4のいずれか1つに記載のウェルプレート。
【請求項6】
前記第1及び第2のサイドチャネルが前記第1及び第2のエンドチャネルよりも狭い、請求項1~請求項5のいずれか1つに記載のウェルプレート。
【請求項7】
前記第1のエンドチャネル、前記第2のエンドチャネル、前記第1のサイドチャネル、及び前記第2のサイドチャネルは全て、流体容積が10%を超えて異ならないように実質的に等しい流体容積を有する、請求項1~請求項6のいずれか1つに記載のウェルプレート。
【請求項8】
前記堀は、高さを有して対向する複数のチャネル壁によって形成され、前記流体安定化バリアは、前記チャネル壁の上端よりも下方で終端する、請求項1~請求項7のいずれか1つに記載のウェルプレート。
【請求項9】
前記流体安定化バリアの上端は、前記チャネル壁の上端から約0.1mm~約2mm、例えば約0.3mm~約1.3mmの距離を隔てて終端する、請求項8に記載のウェルプレート。
【請求項10】
前記ウェル領域は上端面を有し、前記チャネル壁の上端は前記ウェル領域の上端面と同一平面上にある、請求項8又は請求項9に記載のウェルプレート。
【請求項11】
前記チャネル壁のうちの1つは、前記ウェル領域の外周を形成すると共に、前記外周ウェルの一部を形成する、請求項8~請求項10のいずれか1つに記載のウェルプレート。
【請求項12】
前記堀は深さを有し、前記ウェルは深さを有し、前記堀の深さは前記ウェルの深さよりも小さい、請求項1~請求項11のいずれか1つに記載のウェルプレート。
【請求項13】
前記堀の深さは、前記ウェルの深さの約1%~約200%、例えば、前記ウェルの深さの約30%~約70%、例えば、前記ウェルの深さの約70%~約150%である、請求項12に記載のウェルプレート。
【請求項14】
前記堀は下端部を含み、少なくとも1つのフローディレクタが前記堀の前記下端部に沿って配置される、請求項1~請求項13のいずれか1つに記載のウェルプレート。
【請求項15】
各サイドチャネルがフローディレクタを含み、各フローディレクタは、前記第1のエンドチャネル内へと部分的に延びる第1の端部と、前記第2のエンドチャネル内へと部分的に延びる第2の端部とを含む、請求項14に記載のウェルプレート。
【請求項16】
前記少なくとも1つのフローディレクタは、約0.1mm~約5mmの高さを有する隆起部を備える、請求項14又は請求項15に記載のウェルプレート。
【請求項17】
前記第1のサイドチャネルは前記第1のエンドチャネル及び前記第2のエンドチャネルと流体連通し、前記第2のサイドチャネルは前記第1のエンドチャネル及び前記第2のエンドチャネルと流体連通する、請求項1~請求項16のいずれか1つに記載のウェルプレート。
【請求項18】
流体を堀付きウェルプレートに加える方法であって、
マルチチャネルピペットから前記堀付きウェルプレート内に所定用量の流体を分注することを含み、
前記堀付きウェルプレートは、外周を有するウェル領域と、該ウェル領域の外周を取り囲み、かつ、該外周に隣接する堀と、を備え、
前記ウェル領域は、複数の行及び複数の列を含む格子状パターンを成して配置される複数のウェルを備え、前記格子状パターンは、複数の内部ウェルを取り囲む複数の外周ウェルを含み、前記外周ウェルが前記ウェル領域の外周を画定し、
前記堀は、第2のエンドチャネルの反対側にある第1のエンドチャネルと、第2のサイドチャネルの反対側にある第1のサイドチャネルとを含み、
前記堀付きウェルプレートの各行が同じ個数のウェルを含み、前記第1及び第2のエンドチャネルは、前記行と平行であると共に、前記第1及び第2のサイドチャネルと流体連通し、
前記マルチチャネルピペットは、1つの行内の各ウェルに対する個別の流体分注チップを含み、
所定用量の流体が、行ごとに又は列ごとに各流体分注チップから同時に、前記マルチチャネルピペットから前記堀付きウェルプレートに分注され、これは、前記堀に流体を充填するために前記第1のエンドチャネル及び前記第2のエンドチャネルに所定用量の流体を分注することを含む、方法。
【請求項19】
前記堀付きウェルプレートは、前記堀内に配置される複数の流体安定化バリアを含み、少なくとも1つの流体安定化バリアが前記第1のサイドチャネル内に配置され、少なくとも1つの流体安定化バリアが前記第2のサイドチャネル内に配置され、
前記堀は、前記ウェル領域の外周にわたって連続し、かつ、前記流体安定化バリアによって少なくとも2つの区画室に分割され、
前記区画室は、所定用量の流体を前記第1のエンドチャネルに分注すると共に所定用量の流体を前記第2のエンドチャネルに分注することによって全ての区画室に流体が充填されるように配置される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記堀はL字型の区画室を複数含み、各L字型の区画室は、少なくとも部分的に前記エンドチャネルのうちの1つに沿って延在し、かつ、部分的に前記サイドチャネルのうちの1つに沿って延在する、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェルプレート装置及びその充填方法に関する。
【0002】
[関連出願]
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年11月9日に出願された米国仮特許出願第63/277,363号に基づくと共にその優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
細胞分析を行なう場合、一般に、細胞は、1回の実験で複数の条件及び再現をテストする目的でマルチウェルマイクロプレートに配置される。マイクロプレートは、対応する数の細胞サンプルを同時に試験するために個々のウェルの複数の行及び/又は列を含むことができる。マイクロプレートアレイは、マイクロプレートの境界に又は縁部に沿って配置される幾つかのウェルを含む。例えば、ウェルの最初の行、ウェルの最初の列、ウェルの最後の行又はウェルの最後の列がマイクロプレートの境界を形成する。境界ウェル及び非境界ウェルは、異なる条件を受ける可能性がある。例えば、ウェルプレートの外周の外側にある境界ウェルに含まれる細胞サンプルがマイクロプレートの外周上にないウェルに含まれる細胞サンプルとは異なる成長及び挙動を示す、一般に「エッジ効果」として知られる現象がある。そのようなアッセイは、例えば、典型的には哺乳類の体温(例えば、37℃)で行なわれ、そのため、液体が境界ウェルからより多く蒸発し、それにより、境界ウェルが外部環境により晒される。この境界ウェルでの蒸発速度の増加により、蒸発冷却に起因して境界ウェルの温度が低下する。その結果、エッジ効果は、境界ウェルと非境界ウェルとの間に流体容積の差を生み出すだけでなく、温度差や液体中の溶質濃度の違いをもたらす可能性もある。これらの違いがデータ不整合の一因となり得る。
【0004】
生細胞アッセイは、アッセイの動的な性質と、代謝活性のある生きた細胞のそれらが測定される環境条件に対する感受性とに起因して、エッジ効果に対して特に敏感である。細胞サンプルがインキュベータ内で加温されている場合、これらの違いが更に悪化する可能性がある。
【0005】
エッジ効果は、境界ウェル内及び非境界ウェル内に異なる条件を作り出すことに加えて、他の有害な欠点を有する可能性もある。例えば、境界ウェルに含まれる細胞サンプルは、境界ウェルに沿って生み出される温度勾配に応じてウェル側壁に向かって集まる傾向がある。ウェル内の位置に影響されやすい光学アッセイ技術と組み合わせると、結果として、測定、撮像、又はモニタリングアッセイにおけるウェル間のばらつき(変動)が増加する可能性がある。
【0006】
エッジ効果によって引き起こされる問題は非常に重大であるため、アッセイを実行するときにマイクロプレートの外周にウェルを配置しないことがある程度一般的である。しかしながら、境界ウェルを配置しないと検査能力が犠牲になり、より多くの検査サイクルを完了する必要があるため、時間と労力の非効率につながる。
【0007】
マイクロプレートアッセイにおいてエッジ効果により引き起こされる問題に対処するために、「生物学的サンプルの分析のための単一カラムマイクロプレートシステム及びキャリア」と題された米国特許第10,118,177号は、ウェル内の恒常性状態を維持するように設計される堀区画室によって両側が取り囲まれるウェルの列を開示する。‘177特許は参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
‘177特許は当技術分野において大きな進歩をもたらしたが、更なる改良が依然として必要である。特に、大型のウェルプレートで一般的に直面されるエッジ効果現象に対抗するように設計される、行及び列を成して配置される大量のウェルを含むウェルプレート形態が必要である。これに関して、本開示は、改良されたウェルプレート形態及び方法を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一般に、本開示は、外周ウェル内でエッジ効果現象が発生するのを防止するのに特に適した堀付きウェルプレートを対象とする。本開示はまた、効率的な態様で流体をウェル及びウェルを取り囲む堀区画室に移送する方法にも関する。
【0010】
例えば、一実施形態において、本開示は、外周を有するウェル領域を備えるウェルプレートを対象とする。ウェル領域は、複数の行及び複数の列を含む格子状パターンを成して配置される複数のウェルを備える。例えば、格子状パターンは、約24個~約1536個のウェル、例えば約64個~約384個のウェルを含むことができる。格子状パターンは、複数の内部ウェルを取り囲む複数の外周ウェルを含む。複数の外周ウェルはウェル領域の外周を画定(規定)する。本開示によれば、ウェルプレートは、液体を保持するための、ウェル領域の外周を取り囲んで該外周に隣接する堀(モート:moat)を更に含む。堀は、第2のエンドチャネルの反対側(向かい側)の第1のエンドチャネルと、第2のサイドチャネルの反対側(向かい側)の第1のサイドチャネルとを含む。例えば、一態様において、堀はウェル領域の外周にわたって(外周の周りで)連続することができる。ウェルプレートは、堀内に配置された複数の流体安定化バリア(流体安定化壁)を更に含む。少なくとも1つの流体安定化バリアが、第1のエンドチャネル内、第2のエンドチャネル内、第1のサイドチャネル内、及び第2のサイドチャネル内に配置される。
【0011】
一実施形態では、1つの流体安定化バリアが第1のエンドチャネルの中央領域に配置され、1つの流体安定化バリアが第2のエンドチャネルの中央領域に配置され、1つの流体安定化バリアが第1のサイドチャネルの中央領域に配置され、1つの流体安定化バリアが第2のサイドチャネルの中央領域に配置される。一態様において、ウェルプレートは、前述のように4つの流体安定化バリアを含むことができる。しかしながら、他の態様では、より多くの流体安定化バリアがウェルプレートに含まれていてもよい。
【0012】
一態様では、第1及び第2のサイドチャネルが第1及び第2のエンドチャネルよりも狭くなり得る。しかしながら、第1及び第2のエンドチャネルは、第1及び第2のサイドチャネルよりも短い長さを有してもよい。各サイドチャネル及び各エンドチャネルは、実質的に同様の容積を有することができる。例えば、第1のエンドチャネル、第2のエンドチャネル、第1のサイドチャネル、及び第2のサイドチャネルは、流体容積が10%を超えて異ならないように、実質的に等しい流体容積を有することができる。或いは、これらエンドチャネルは実質的に等しい容積(例えば、10%を超えて異ならない)を有し、これらサイドチャネルは実質的に等しい容積(例えば、10%を超えて異ならない)を有することができるが、これらエンドチャネル及びサイドチャネルは、10%を超えて、例えば15%を超えて、例えば20%を超えて、及び約100%未満だけ相違する異なる容積を有することができる。
【0013】
堀は、高さを有して対向する複数のチャネル壁によって形成され得る。流体安定化バリアは、移動中に堀内の流体が跳ね飛んだり又は堀区画室からこぼれたりするのを防ぐことがわかっているチャネル壁の上端よりも下方で終端することができる。例えば、流体安定化バリアの上端は、チャネル壁の上端から約0.1mm~約2mm、例えば約0.7mm~約1.3mmの距離を隔てて終端することができる。チャネル壁の上端はウェル領域の上端面と同一平面上にあり得る。ウェル領域の上端面は、ウェルを形成するために使用される壁の上端によって画定され得る。チャネル壁は、ウェル領域の外周を形成できると共に、外周ウェルの一部を形成することができる。
【0014】
堀は、ウェルの深さよりも深い又は浅い深さを有することができる。例えば、堀は、ウェルの流体深さの約1%~約200%の深さを有することができる。一態様において、堀は、ウェルの深さよりも浅い深さを有することができる。例えば、堀の流体深さは、ウェルの流体深さの約30%~約70%となり得る。或いは、堀は、ウェルの深さと同じかそれよりも深い深さを有することができる。例えば、堀の流体深さは、ウェルの流体深さの約70%~約150%とすることができる。
【0015】
堀区画室は、外周ウェル内及び非外周ウェル内の恒常性状態を促進するように設計されるだけでなく、移動中に流体が堀区画室からこぼれるのを防ぐようにも設計される。更に、堀区画室は、充填中に堀区画室内の流体の流れを促進するように設計されるフローディレクタ(換言すれば流れ誘導部又は導流部)を含むこともできる。例えば、一態様では、各サイドチャネルがフローディレクタを含むことができる。フローディレクタは、第1のエンドチャネル内へと部分的に延びる第1の端部と、第2のエンドチャネル内へと部分的に延びる第2の端部とを含むことができる。一態様において、フローディレクタは、約0.1mm~約5mmの高さを有する隆起部(リッジ部)を備える。一実施形態において、第1のサイドチャネルは、第1のエンドチャネル及び第2のエンドチャネルと流体連通することができる。同様に、第2のサイドチャネルも、第1のエンドチャネル及び第2のエンドチャネルと流体連通することができる。
【0016】
また、本開示は、流体を堀付きウェルプレートに加える方法も対象とする。この方法は、マルチチャネルピペットから堀付きウェルプレートに所定用量(ある用量)の流体を分注することを含む。堀付きウェルプレートは、前述の通りであり、外周を有するウェル領域を備えることができ、ウェル領域では、複数のウェルが、複数の行及び複数の列を含む格子状パターンを成して配置される。格子状パターンは、複数の内部ウェルを取り囲む複数の外周ウェルを含む。ウェルプレートは、ウェル領域の外周を取り囲んで該外周に隣接する堀を更に含むと共に、第2のエンドチャネルの反対側にある第1のエンドチャネルと、第2のサイドチャネルの反対側にある第1のサイドチャネルとを含む。ウェルプレートの各行は同じ個数のウェルを含む。第1及び第2のエンドチャネルは、ウェルの行と平行であると共に、第1及び第2のサイドチャネルと流体連通している。マルチチャネルピペットは、1つの行内の各ウェルに対する個別の流体分注チップを含む。
【0017】
この方法によれば、所定用量の流体は、行ごとに各流体分注チップから同時に、マルチチャネルピペットからウェルプレート内に分注され、これは、流体を堀に充填するために所定用量の流体を第1のエンドチャネルと第2のエンドチャネルとに分注することを含む。或いは、所定用量の流体は、列ごとに各流体分注チップから同時に、マルチチャネルピペットからウェルプレートに分注されてもよく、これは、流体を堀に充填するために所定用量の流体を第1のエンドチャネルと第2のエンドチャネルとに分注することを含む。
【0018】
一実施形態において、ウェルプレートは、堀内に配置された複数の流体安定化バリアを含み、少なくとも1つの流体安定化バリアが第1のサイドチャネル内に配置され、少なくとも1つの流体安定化バリアが第2のサイドチャネル内に配置される。堀は、ウェル領域の外周にわたって(外周の周りで)連続しており、流体安定化バリアによって少なくとも2つの区画室に分割される。区画室は、所定用量の流体を第1のエンドチャネルに分注すると共に所定用量の流体を第2のエンドチャネルに分注することによって全ての区画室に流体が充填されるように配置される。例えば、堀はL字型の区画室を複数含むことができる。各L字型の区画室は、少なくとも部分的にエンドチャネルのうちの1つに沿って延在し、部分的にサイドチャネルのうちの1つに沿って延在することができる。一実施形態において、マルチチャネルピペットによってウェルプレート上のウェルの各行又は各列に分注される流体の量は、堀に充填するために各エンドチャネルに分注される流体の量に等しい。
【0019】
以下、本開示の他の特徴及び態様について更に詳しく説明する。
【0020】
本開示の完全かつ実現可能な開示は、添付図面への参照を含めて、明細書の残りの部分でより具体的に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示に係る堀付きウェルプレートの一実施形態の斜視図である。
図2図1に示される堀付きウェルプレートの上面図である。
図3図1に示される堀付きウェルプレートの断面図である。
図4図1に示される堀付きウェルプレートの底面図である。
図5】流体安定化バリアの高さを示す、図1に示される堀付きウェルプレートの一部の拡大図である。
図6】本開示に係る堀付きウェルプレートの他の実施形態の断面図である。
図7図1に示される堀付きウェルプレートと嵌合するようになっているカートリッジの斜視図である。
図8図1に示される堀付きウェルプレートと嵌合するカバーの斜視図である。
図9】本開示のウェルプレートに流体を分注するために使用され得るマルチチャネルピペットの一実施形態の斜視図である。
図10】以下の実施例で得られた結果の一部のグラフ表示である。
図11】以下の実施例で得られた結果の一部のグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書及び図面における参照文字の繰り返しの使用は、本発明の同一又は類似の特徴又は要素を表すことを意図している。
【0023】
当業者であればわかるように、本考察は例示的な実施形態のみを説明するものであり、本開示のより広範な態様を限定しようとするものではない。
【0024】
細胞材料をウェルプレートに播種する場合には、ウェルプレートの外周に配置されるウェル内の細胞が内部ウェルに収容される細胞材料とは異なる成長及び挙動を示すエッジ効果として一般に知られる現象が存在する。最も注目すべきことに、外周ウェルは内部ウェルとは異なる環境に晒されるため、温度差が生じ、外周ウェルからの流体の蒸発が大きくなる。エッジ効果は、細胞播種、細胞プレート培養、アッセイの実行などの様々な分析ステップに悪影響を与える可能性がある。特に、接着細胞を伴う細胞ベースのアッセイや、ラベルフリー及び細胞外フラックス測定が行なわれる生細胞アッセイを含む、異なるタイプのバイオベースのアッセイが悪影響を受ける可能性がある。
【0025】
本開示は、一般に、外周ウェルが内部ウェルと実質的に同じ環境に晒されるように、エッジ効果現象に対抗するべく構成される、複数の行及び列のウェルを含むウェルプレート形態に関する。より具体的には、本開示のウェルプレートは、ウェルプレートの外周ウェルに隣接して配置される複数の区画室に分割され得る堀を含む。流体又は媒体が堀に分注されると、堀内に収容される流体が空気を加湿し、それにより、熱と湿度の緩衝又は状態が生み出され、蒸発速度が低下し、外周ウェル内に収容される流体又は細胞材料と内部ウェル内に収容されてもよい流体又は細胞材料との間で発生し得る温度勾配が最小限に抑えられる。本開示の堀付きウェルプレートは、ウェルプレートに収容される細胞材料に関して調製する際、培養する際、又は細胞ベースの測定を行なう際に、多くの利益及び利点を提供する。例えば、本開示の堀付きウェルプレートは、測定を行なうために使用されるセンサの培養/加湿期間を延長することができる。堀付きウェルプレートはアッセイ持続時間を延ばすこともできる。更に、堀付きウェルプレートはより高い細胞増殖品質をもたらすことができる。
【0026】
本開示の堀付きウェルプレート形態は、ウェルプレート蓋、カバー、センサカートリッジ、細胞測定/監視機器、及び他のデバイスと適合する。特に有利なことに、ウェルに流体を充填するのに使用されるのと同じ手順又はプロセスを使用して堀を流体で容易に満たすことができるように、堀がウェルプレート上に設計及び配置される。この点において、堀付きウェルプレートは、堀又は堀区画室を流体で満たすだけでなくウェルを所望量の流体でも満たす、等しい吸引量と分注量のマルチチャネルピペットを使用するのに特によく適している。
【0027】
以下でより詳細に説明するように、本開示の堀付きウェルプレートは、ウェルプレートの使用及び取り扱いを更に改善する様々な異なる特徴を含むこともできる。例えば、複数の流体安定化バリアを使用して堀を複数の区画室に分離(分割)することができる。流体安定化バリアは、流体で満たされるときのウェルプレートの取り扱い中又は移動中の跳ね飛びやこぼれを防ぐことができる。また、流体安定化バリアは、流体が蓋又はカバーに接触してウィッキング(wicking)及び流体張力に起因する流出を引き起こすのを防ぐために、堀に収容される流体のメニスカス高さに寄与する(関係する)高さを有することもできる。一実施形態において、堀は、流体が堀内に分注されるときに堀内での流体の分注を迅速かつより均一にするのを促すために(支援するために)、堀の底面に配置され得る少なくとも1つのフローディレクタを含むこともできる。
【0028】
任意の適切な流体を本開示のウェル内及び堀内で受けることができる。例えば、流体は、低粘度から高粘度までの任意の粘度を有することができる。実際、本開示の形態は、寒天などのより粘度の高い液体を扱うのに特によく適している。
【0029】
図1図5を参照すると、本開示に従って作製されたウェルプレート10の一実施形態が示される。ウェルプレート10は、複数のウェル14を備えるウェル領域12を有する。図1に示される実施形態において、複数のウェル14は、複数の行のウェル(ウェル行)と複数の列のウェル(ウェル列)とを含む格子状パターンを成して配置される。ウェルプレート10は、複数の内部ウェル18を取り囲む複数の外周ウェル16を含む。複数の外周ウェル16は、ウェル領域12の外周20を画定する。
【0030】
図1に示される実施形態において、ウェルプレート10は、ウェルプレート10が96個の個別のウェル14を含むように12行のウェルと8列のウェルとを含む。図示の実施形態において、ウェル14は全て実質的に同じ寸法及び流体容積を有する。
【0031】
本開示のウェルプレート形態は、かなりの数(多数)のウェルを含むウェルプレート上で恒常性状態を維持するのに特によく適している。この点に関して、本開示に従って作製されたウェルプレートは、一般に、複数の外周ウェルによって取り囲まれた複数の内部ウェルが存在するように、少なくとも3行のウェルと少なくとも3列のウェルとを含む。例えば、本開示に従って作製されたウェルプレートは、一般に、約20個のウェルから約2,000個のウェルを含むことができ、その間の全ての増分を含み得る。例えば、本開示に従って作製されたウェルプレートは、一般に、約20個を超えるウェル、例えば約40個を超えるウェル、例えば約60個を超えるウェル、例えば約80個を超えるウェル、及び一般に約1,600個未満のウェル、例えば、約1,000個未満のウェル、例えば約700個未満のウェル、例えば約500個未満のウェル、例えば約300個未満のウェルを含むことができる。一態様において、ウェルプレートは、ウェルの列の数(列数)、ウェルの行の数(行数)を調整する、及び/又は、各列中のウェルの個数及び各行中のウェルの個数を調整することによって、約64個のウェルから約192個のウェルを含むことができる。
【0032】
本開示は、多くのウェルを有するウェルプレート形態に特によく適しているが、他の実施形態では、ウェルプレートは、単一のストリップのウェルを含むことができ、1個~1000個の数のウェルを有することができ、その間の1ウェル数ごとの増分の全てを含み得る。
【0033】
また、複数のウェル14は、図1に示すようにウェルプレート10上に格子状パターンで配置されるが、他の幾何学的形状も可能であることも理解すべきである。例えば、ウェルプレート10は、複数のウェルが同心円状に配置される円形の形状を有することもできる。以下に更に詳細に説明するように、図1に示すようなウェルの格子状パターンは、マルチチャネルピペットと共に使用するのに特によく適しており、細胞材料のウェル内への注入を容易にするだけでなく、分析試験に必要な流体の注入も容易にすることができる。
【0034】
本開示によれば、図1図5に示すようなウェルプレート10は、ウェル領域12の外周20を取り囲む堀(換言すれば溝又は凹部)22を更に含む。堀22は、流体を保持するように設計され、また、外周ウェル16と内部ウェル18との間に温度勾配が形成されるのを防ぐバッファー(緩衝体)として機能するように設計される。例えば、堀22を流体で満たすことにより、外周ウェル16からの流体の蒸発速度を低減し、かつ、ウェルプレート10に収容されるサンプルにわたる温度勾配の発生を最小限に抑える熱及び湿度シールドが形成される。
【0035】
図1図5に示される実施形態では、堀22がウェル領域12の外周20にわたって(外周20の周りで)連続している。しかしながら、他の実施形態において、堀は、不連続であり、異なる堀セクションに分割されてもよい。図示の実施形態において、堀22は、第2のエンドチャネル26の反対側の第1のエンドチャネル24を含み、これらエンドチャネル24及び26は、ウェルの複数の行に対して平行である。堀22は、第2のサイドチャネル30の反対側の第1のサイドチャネル28を更に含み、これらサイドチャネル28及び30は、ウェルの複数の行に対して垂直であると共にウェルの複数の列に対して平行である。エンドチャネル24及び26、ならびにサイドチャネル28及び30の流体容積は、ウェルプレート10上の複数のウェル14内に温度勾配又は湿度差が形成されるのを防ぐのに十分でなければならない。図1図5に示される実施形態において、エンドチャネル24及び26は、サイドチャネル28及び30よりも幅が広い。このようにして、エンドチャネル24及び26は、一般に、サイドチャネル28及び30と同じ流体容積を有することができる。例えば、一実施形態において、エンドチャネル24及び26の容積は、サイドチャネル28及び30の容積の約10%以内、例えば約7%以内、例えば約5%以内、例えば約3%以内、例えば約1%以内である。エンドチャネル24及び26の容積をサイドチャネル28及び30と同様にすることにより、これらチャネルを流体で充填することが容易となり得る。
【0036】
しかしながら、或いは、エンドチャネル24及び26はほぼ同じ流体容積を有し、サイドチャネル28及び30はほぼ同じ流体容積を有し得るが、エンドチャネルとサイドチャネルとは異なる容積を有し得る。
【0037】
図1図2、及び図5に示されるように、堀22は1つ又は複数の流体安定化バリア32を含むこともできる。流体安定化バリア32は、堀22を複数の区画室(コンパートメント)に分割する。流体安定化バリア32は、ウェルプレート10の移動中に堀22内に収容される流体が跳ね飛んだりこぼれたりするのを防ぐように設計される。図示の実施形態において、ウェルプレート10は、堀22を4つの均等なL字型区画室に分割する4つの流体安定化バリア32を含む。図1及び図2に示すように、4つのL字型区画室はそれぞれエンドチャネル及びサイドチャネルに沿って延びる。これらL字型区画室は同じ容積にすることができる。より具体的には、流体安定化バリア32を各エンドチャネル24及び26の中央領域内及び各サイドチャネル28及び30の中央領域内に配置することは、流体充填状態においてウェルプレート10を取り扱う又は移動させる際に流体がこぼれるのを十分に防げることがわかった。しかしながら、ウェルプレート10は、特定の用途に応じてより多くの又はより少ない流体安定化バリア32を含むことができることを理解すべきである。例えば、ウェルプレートが大きくなると、より多くの流体安定化バリアとより多くの区画室の形成が必要になる場合がある。例えば、別の実施形態において、サイドチャネル28及び30は、約2個~約8個の流体安定化バリア、例えば約2個~約4個の流体安定化バリアを含むことができる。一方、エンドチャネル24及び26は、約2個~約6個の流体安定化バリア、例えば約2個~約4個の流体安定化バリアを含むことができる。
【0038】
図5を参照すると、2つの流体安定化バリア32がより詳細に示される。図示のように、堀22は、対向する複数のチャネル壁によって形成される。より詳細には、堀22は、内壁34と外壁36との間に形成される。内壁34は、外周ウェル16の外壁としても機能する。図5に示される実施形態において、外壁36の高さと内壁34の高さは等しい。更に、外壁36の高さも、複数のウェル14の上端によって画定されるウェル領域12の上端面と同一平面上にある。本開示によれば、特に図5に示されるように、流体安定化バリア32は、チャネル壁36及び34の上端よりも下方で終端する高さを有することができる。例えば、流体安定化バリア32の上端は、チャネル壁の上端から約0.1mm~約3mmの距離を隔てて終端することができる。より詳細には、流体安定化バリア32は、チャネル壁34及び36の高さよりも少なくとも約0.1mm、例えば少なくとも約0.3mm、例えば少なくとも約1mm、例えば少なくとも約1.1mm低い高さを有することができる。流体安定化バリア32とチャネル壁34及び36との間の高さの差は、一般に、約2mm未満、例えば、約1.7mm未満、例えば、約1.5mm未満、例えば、約1.3mm未満である。流体安定化バリア32の高さをチャネル壁34及び36の高さよりも低くすることにより、様々な利点及び利益が提供され得る。例えば、流体安定化バリア32の高さを使用して、堀22内に収容される流体のメニスカスの寸法及び高さを制御できることがわかった。流体安定化バリア32の高さがチャネル壁34及び36よりも低いことにより、ウェルプレート10を扱ったり移動したりする際に流体がこぼれることが防止される。
【0039】
多くの用途において、ウェルプレート10は、図8に示すようにカバー50の下方に置かれる。カバー50は、例えば培養期間中、ウェルプレート10を覆うように配置される。カバー50は、ウェル14からの流体の蒸発を防止することができる。カバー50は、ウェルプレート10を覆うように配置されるときに、ウェルプレート10としっかりと嵌合するようにチャネル壁34及び36と接触するべく設計され得る。しかしながら、堀22内に収容される流体は、ウィッキング、液体の分子間力、及び/又は毛細管作用に起因して、堀から隣接する表面及び他の機器上へとこぼれる可能性がある。しかしながら、流体安定化バリア32がチャネル壁34及び36よりも低い高さを有するようにウェルプレート10を構築することによって、堀22内に収容される流体のメニスカス及び堀内の液体の高さが制御され、従って、液体とカバー50との間の接触が防止される。従って、本開示によれば、流体安定化バリア32の高さは、堀22内に収容される流体のメニスカスの高さを制御するために使用され、これにより、カバー50がウェルプレート10上に配置されるときに流体が堀22の壁34及び36を越えてこぼれるのを防止する。
【0040】
図3及び図4を参照すると、図3は、図1に示すウェルプレート10の断面図を示す。図4は、ウェルプレート10の底面図である。図3に示されるように、複数のウェル14のそれぞれは、任意選択的に、上端部と下端部とを有する。図示の実施形態において、上端部は正方形の形状を有し、下端部は先細りの(テーパ状の)円筒形状を有する。下端部は、1つ又は複数の流体に含まれる細胞サンプルを受け入れるのに、また、様々な分析試験を実施するためのセンサを受け入れるのに特によく適している。各ウェル14には座面が含まれていてもよく、この座面は、測定を行なうためにウェル14に挿入されるセンサのためのポジティブストッパとして機能する。座面は、センサのためのポジティブストッパとして機能するだけでなく、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,276,351号で説明されているように試験のより一貫性と優れた均一性をもたらす、局所的に減少した容積の媒体の作成を容易にすることもできる。
【0041】
図3には、堀22の断面図も示される。特に、図3は、第1のサイドチャネル28及び第2のサイドチャネル30を示す。図示のように、サイドチャネル28及び30に沿った堀22は、ウェル14よりも狭い(幅狭である)。特に、サイドチャネル28及び30は、各ウェル14の幅の約60%未満、例えば約50%未満、例えば約40%未満、一般に約10%を超える、例えば約20%を超える幅を有する。エンドチャネル24及び26は、各ウェル14の幅の一般に約60%を超える、例えば約70%を超える、例えば約80%を超える、一般に約100%未満、例えば約95%未満の幅を有することができる。しかしながら、図1図5に示されるウェルプレート10は単に一実施形態を表しているに過ぎない。他の実施形態では、堀22は、個々のウェルのそれぞれよりも広くなり得る。
【0042】
図3に示されるように、堀22は、一般に、ウェルプレート14の深さよりもはるかに浅い。例えば、堀22の深さは、ウェル14の深さの約30%~約70%とすることができる。例えば、堀22の深さは、ウェル14の深さよりも少なくとも約65%小さく、例えば少なくとも約60%小さく、例えば少なくとも約55%小さく、例えば少なくとも約50%小さくすることができる。堀22の深さは、一般にウェル14の深さの約35%よりも大きく、例えば約40%よりも大きい。
【0043】
ウェル14の容積に対する堀22の上記の関係は、流体で満たされたときに、外周ウェル16と内部ウェル18との間の温度勾配及び蒸発速度の差を防ぐのに十分なバリアを形成することがわかっている。
【0044】
しかしながら、他の実施形態において、堀の深さは、ウェルの深さの約1%~約200%のどこかであることを理解すべきである。一実施形態において、堀22は、ウェルプレート14の深さよりわずかに浅い、又はウェルよりも深い。例えば、堀22の深さは、ウェル14の深さの約70%~約150%とすることができる。例えば、堀22の深さは、ウェル14の深さよりも少なくとも約80%大きく、例えば少なくとも約90%大きく、例えば少なくとも約100%大きく、例えば少なくとも約110%大きくすることができる。
【0045】
図6を参照すると、本開示に従って作製されたウェルプレート10の別の実施形態が示される。同様の要素を示すために同様の参照番号が使用されている。図示のように、ウェルプレート10は、複数の外周ウェル16及び複数の内部ウェル18を含む、複数のウェル14の格子状パターンを含む。複数のウェル14は堀22によって取り囲まれる。堀22は、第1のエンドチャネル24、第2のエンドチャネル(図示せず)、第1のサイドチャネル28、及び第2のサイドチャネル30を含む。堀内には、流体のこぼれを防止して流体メニスカスの高さを制御する複数の流体安定化バリアが含まれる。
【0046】
図6に示される実施形態において、堀22は、1つ又は複数のフローディレクタ40を更に含む。図示のように、フローディレクタ40は、堀22の下端部(底部)に沿って配置される。図示の実施形態において、フローディレクタ40は、垂直高さ(鉛直高さ)を伴う隆起部(リッジ部)を有する隆起状構造(リッジ状構造)である。
【0047】
フローディレクタ40は、流体による堀22の充填を容易にするように(援助するように)設計される。より詳細には、フローディレクタ40は、堀22に入る流体の表面張力を破壊する。このようにして、堀22内に分注される流体は、均一に流れて、堀22が流体で満たされるときに均一な高さプロファイルをもたらす。このようにして、フローディレクタ40は、液体が堀内に分注されるときに流体がこぼれるのを防ぐ。
【0048】
図6に示される実施形態において、フローディレクタ40は、第1のサイドチャネル28及び第2のサイドチャネル30の全長に沿って配置される。図示のように、フローディレクタ40は、図6に示される第1のエンドチャネル24などの複数のエンドチャネル内へと部分的に延びる湾曲した端部を更に含む。フローディレクタ40の湾曲した端部は、エンドチャネル24及び26からサイドチャネル28及び30への流体の流れを促進する。図6に示される実施形態において、フローディレクタ40は、堀22がエンドチャネルに対して狭い(幅狭である)サイドチャネル28及び30内に配置される。更に、以下でより詳細に説明するように、一実施形態では、流体がエンドチャネル24及び26に分注された後にサイドチャネル28及び30に流入する。フローディレクタ40は、エンドチャネルからサイドチャネルへの流体の流れを非常に促進することができる。
【0049】
前述したように、一実施形態において、フローディレクタ40は、堀22の下端部から延びる高さを有する隆起部を有する。隆起部は、一般に、約0.1mmを超える高さ、例えば約0.3mmを超える高さ、例えば約1mmを超える高さ、例えば約1.2mmを超える高さ、例えば約1.5mmを超える高さ、例えば約1.7mmを超える高さ、例えば約2mmを超える高さ、例えば約2.2mmを超える高さを有することができる。隆起部の高さは、一般に、約5mm未満、例えば約4mm未満、例えば約3mm未満である。
【0050】
本開示に従って作製されるウェルプレートは、任意の適切な材料から形成することができる。一実施形態において、例えば、ウェルプレートは、成形ポリマー組成物から形成することができる。ウェルプレートを形成するために使用されるポリマーは、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、環状オレフィンコポリマー、又はそれらの組み合わせ、又は任意の他の適切な材料であり得る。ウェル及び堀は、不透明、半透明、又は透明な材料から構築できる。一実施形態では、ウェルの下部を透明な材料から作製することができ、ウェルの上部を不透明(例えば、暗色に着色)して、ウェル間の光学的相互汚染を低減することができる。他の実施形態では、特に発光測定を行なう場合、ウェルの色を白色にすることができる。一実施形態では、コーティング剤をウェルプレートの少なくとも1つのウェル上に堆積(付着)させることができる。適切なコーティング剤の例としては、ポリマーコーティング剤が挙げられるが、これに限定されない。例えば、ポリマーコーティング剤は、ポロキサマー(例えば、Pluronic(登録商標)F-127又はPluronic(登録商標)P-188)、又は2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンポリマー又はMPCポリマー(例えば、AMSBIOが提供しているLipidure(登録商標))であり得る。適切なコーティング剤の他の例としては、STEMCELL Technologiesが提供しているRinseAidと、faCellitateが提供しているBioFLOAT(登録商標)とが挙げられる。他の実施形態において、ウェルプレートは、マイクロプレートリーダー、マルチモード及び吸光度リーダー、及び画像化システムに適している。
【0051】
特に大きな進歩を遂げたデバイスの1つが、Agilent Technologiesが製造及び販売するSEAHORSE分析プラットフォームである。例えば、SEAHORSE分析プラットフォームは、ミトコンドリア機能と細胞の生体エネルギーの定量的な測定を行なうことができる。例えば、この機器は、細胞ベースのアッセイの細胞外培地における酸素濃度及びpHを測定できる。SEAHORSE分析プラットフォームの様々な態様については、米国特許第7,276,351号、米国特許第7,638,321号、米国特許第8,697,431号、米国特許第9,170,253号、米国特許公開第2014/0170671号、米国特許公開第2015/0343439号、米国特許公開第2016/0077083号、及び米国特許公開第2016/0096173号に記載され、これらの特許の全てが参照により本明細書に組み込まれる。本開示の装置及び方法は、様々な利点及び利益を提供するために、前述のデバイスに組み込むことができる。本開示のシステム及びプロセスは、マルチモード及び吸光度リーダーを含むマイクロプレートリーダーに組み込むこともできる。例えば、本開示の検出システムは、全てがAgilent Technologiesから入手できる、SYNERGYハイブリッドマルチモードリーダー、CYTATIONハイブリッドマルチモードリーダー、LOGPHASE微生物リーダー、EPOCHマイクロプレート分光光度計、ELx808吸光度リーダー、及び800TS吸光度リーダーを含む様々な典型的なデバイスに組み込むことができる。ポリマー材料に加えて、ウェルをガラスから形成することもできる。一実施形態では、ウェルをガラスから形成することができ、一方、堀を成形ポリマー材料から形成することができる。
【0052】
図に示されるウェルプレート10は、多数の異なる試験及びアッセイを行なうために、あらゆる異なる種類の分析機器と組み合わせて使用することができる。ウェルプレート10は、堀22の存在に起因して、生存細胞サンプルなどの細胞サンプルを受け取って1つ又は複数の流体中の恒常性環境にサンプルを維持するのに特によく適している。また、ウェルプレート10は、試験前又は試験中に細胞材料を培養するようによく設計されている。
【0053】
例えば、ウェルプレート10は、二次元付着細胞、二次元浮遊細胞を含むあらゆる異なる種類の浮遊細胞、三次元生体サンプルなどを試験するために使用することができる。ウェルプレートは、単離されたミトコンドリア、スフェロイド、オルガノイドなどのアッセイを実行できるように適切に設計される。ウェルプレート10と併せて使用され得る用途としては、細胞又は生体材料の同定及び検証、臨床前安全性毒物学、T細胞適合性アッセイ、細胞代謝試験、化合物スクリーニング、及び細胞シグナル伝達試験が挙げられる。ウェルプレートは、がん研究のための生物学的物質の分析に使用でき、創薬及び開発に使用でき、あらゆる種類の免疫学検査の実行に使用でき、心臓血管研究にも使用できる。ウェルプレート10は、幹細胞の分析及び試験にも使用することができる。更に、ウェルプレート10は免疫腫瘍学検査にも使用することができる。
【0054】
本開示の堀付きウェルプレートの使用から利益を得ることができる様々な機器としては、細胞代謝分析システム、マイクロ流体システム、マイクロプレートリーダー、マルチモード及び吸光度リーダー、ならびに蛍光寿命画像化顕微鏡システムなどの画像化システムが挙げられる。特に大きな進歩を遂げたデバイスの1つが、Agilent Technologiesが製造及び販売するSEAHORSE分析プラットフォームである。SEAHORSE分析プラットフォームは、例えば、ミトコンドリア機能と細胞の生体エネルギーの定量的な測定を行なうことができる。例えば、この機器は、細胞ベースのアッセイの細胞外培地における酸素濃度及びpHを測定できる。SEAHORSE分析プラットフォームの様々な態様については、米国特許第7,276,351号、米国特許第7,638,321号、米国特許第8,697,431号、米国特許第9,170,253号、米国特許公開第2014/0170671号、米国特許公開第2015/0343439号、米国特許公開第2016/0077083号、及び米国特許公開第2016/0096173号に記載され、これらの特許の全てが参照により本明細書に組み込まれる。本開示のウェルプレートは、より一貫した均一な分析試験を提供するために、前述のデバイスに組み込むことができる。
【0055】
一実施形態において、本開示の堀付きウェルプレートは、分析試験を行なう際にカートリッジと組み合わされる。例えば、カートリッジは、各ウェル14に流体を供給するために使用することができるだけでなく、その後にウェルに挿入されるセンサ用のガイドを含むこともできる。例えば、図7を参照すると、ウェルプレート10と併せて使用され得るカートリッジ200の一実施形態が示される。
【0056】
カートリッジ200は、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、又は他の適切な材料などの成形プラスチックから作られたカートリッジフレームを含む、ほぼ平坦な面205を有する。平坦面205は、マルチウェルマイクロプレート10に画定された複数のウェルのそれぞれの開口の個数に対応する、すなわち、開口の個数と見当を合わせる又は一致する複数の領域210を有する。図示の実施形態では、これらの各領域210内で、平坦面は、試験化合物リザーバとして機能する第1、第2、第3、及び第4のポート230と、スリーブ215に通じる中心開口とを有する。各ポートは、試験流体を保持して要求に応じてその下方のそれぞれのウェルに放出するようになっている。ポート230は、4つのポートのグループが各ウェル上にわたって配置されると共に4つのポートのいずれか1つからの試験流体がそれぞれのウェルに送達され得るように寸法付けられて配置される。他の実施形態において、各領域内のポートの個数は、4つ未満であってもよく、4つを超えてもよい。ポート230及びスリーブ215は、横方向の動きに適応することによってマイクロプレート内に収まることができるように、マルチウェルマイクロプレート10に対して柔軟に取り付けられ得る。柔軟領域を含むカートリッジの構造により、その製造公差を緩和でき、カートリッジをわずかに異なる寸法のマイクロプレートと共に使用することが可能になる。柔軟性は、例えば、エラストマーポリマー(弾性重合体)を使用して平面要素205を形成することによって達成され、それは、フレーム200と各領域のスリーブ及びポートとの間の相対移動を可能にする。
【0057】
ポート230のそれぞれは、円筒形、円錐形、又は立方体の形状を有し、上端の平坦面205で開放し、典型的には底面内の中心にある小さな穴、すなわち毛管開口を除いて下端で閉じられる。毛管開口は、正圧差力、負圧差力、或いは遠心力などの外力が存在しない場合に、例えば表面張力によってポート内に試験流体を保持するようになっている。各ポートは、試験化合物を通さないポリマー材料から、又は他の適切な固体材料、例えばアルミニウムから製造され得る。マルチウェルマイクロプレート10と共に使用するように構成された場合、各ポートにより収容される液体の容積は、500μlからわずか2μlまでの範囲であり得るが、この範囲外の容積を利用することもできる。
【0058】
カートリッジ200の各領域には、1つ又は複数のポート230の間に、それに関連して、対応するウェル内に配置されるようになっている水中センサスリーブ215又はバリアが配置される。センサスリーブ215は、ウェル内の培地に挿入するために、その下面255に配置された1つ又は複数のセンサ250を有し得る。この目的のためのセンサの一例は、シリコーンゴムなどの酸素透過性物質に埋め込まれた、酸素消光蛍光体などの蛍光指示薬である。蛍光体は、ウェル内の成分の存在及び/又は濃度に依存する蛍光特性を有する。電気化学センサ、クラーク電極などの他の種類の既知のセンサを使用することもできる。センサスリーブ215は、センサを受け入れるようになっている開口及び内容積を有することができる。
【0059】
カートリッジ200は、独立した移動を可能にするために、センサスリーブに取り付けられてもよく、取り付けずにスリーブの近位に配置されてもよい。カートリッジ200は、単一のユニットに組み立てられて同様のセンサスリーブのアレイと関連付けられる化合物貯蔵ポート及び送達ポートのアレイを含むことができる。
【0060】
カートリッジ200は、マルチウェルマイクロプレート10と嵌合するようなサイズ及び形状である。従って、マイクロプレートが96個のウェルを有する実施形態では、カートリッジは96個のスリーブを有する。
【0061】
カートリッジ200と組み合わせたウェルプレート10は、前述のようにミトコンドリア機能及び細胞生体エネルギーの定量的測定を行なうことができるシステムを含む、様々な異なる分析システムに挿入するのによく適している。
【0062】
本開示の堀付きウェルプレートの使用中、各ウェルには、一般に、様々な流体と併せて試験するための生体サンプルが装填される。本開示に従って作製されたウェルプレート10は、ウェル14及び堀22に流体を効率的かつ同時に充填できるように独自に設計される。例えば、図2を参照すると、一方側が第1のエンドチャネル24によって、反対側が第2のエンドチャネル26によって境界付けられる複数のウェル14の複数の行を示す、ウェルプレート10の上面図が示される。流体をウェルプレート10内に分注するために、一実施形態では、マルチチャネルピペットが使用され得る。例えば、図9は、マルチチャネルピペット60の斜視図を示す。マルチチャネルピペット60は、複数の流体分注チップ(fluid dispensing tips)62を含む。図示のように、マルチチャネルピペット60は、ウェルプレート10上のウェルの1つの行内のウェル14の個数と一致する8つの流体分注チップ62を含むことができる。マルチチャネルピペット60は、グリップ要素64及び作動ボタン66を含むことができる。マルチチャネルピペット60は、流体分注チップ62によって分注される量を調整するための調整要素68を含むこともできる。図示しないが、マルチチャネルピペット60は、各分注チップ62を通じて制御されて計量された量の流体を分注するように設計される複数のシリンダ/ピストン配置を含むことができる。
【0063】
流体分注チップ62は、図2に示すように、ウェル14の中心間の距離に実質的に等しい距離だけ離間することができる。このように、マルチチャネルピペット60は、行ごとの方式(例えば、8用量)、或いは列ごとの方式(例えば、12用量)でウェルプレート10に流体を分注するために使用することができる。特に、等量の流体を各行又は各列に沿って各ウェルに分注することができる。このように、マルチチャネルピペット60は、ウェルプレート10上の全てのウェル14を行ごとに充填するために、8つの異なる流体用量を同時に12回の異なる回数分注するために使用することができる。或いは、マルチチャネルピペット60は、ウェルプレート10上の全てのウェル14を列ごとに充填するために、12個の異なる流体用量を同時に8回の異なる回数分注するために使用することができる。
【0064】
本開示によれば、ウェル14を行ごとに充填する同じプロセス中に、同じマルチチャネルピペット60を使用してウェルプレート10上の堀22を充填することもできる。例えば、ピペット60は、最初に8用量の流体を第1のエンドチャネル24に分注することができる。その後、ピペット60は、ウェルプレート10内のウェルの各行を充填することができる。ウェル14が充填された後、ピペット60は、8用量の流体を第2のエンドチャネル26に分注することができる。図2に示すように、堀22は、流体安定化バリア32によって4つのL字型区画室に分割される。一実施形態において、これらL字型区画室のうちの2つは、ウェルの1つの行と実質的に同様の容積を有することができる。従って、8用量の流体容積を第1のエンドチャネル24に分注することによって、堀22の半分が流体で満たされることになる。堀22の区画室の容積をウェル14の1つの行の容積と一致させることによって、ウェルと併せて堀に流体を充填することが、大幅に簡素化され、より少ない労力で非常に効率的に実行可能であり、流体のこぼれをもたらす可能性が低くなる。
【0065】
列ごとにウェル14を充填する場合、ウェル14を充填する同じプロセス中に、同じマルチチャネルピペット60を使用してウェルプレート10上の堀22を充填することもできる。例えば、ピペット60は、最初に、12用量の流体を第1のエンドチャネル24に分注できる。その後、ピペット60は、ウェルプレート10内のウェルの各列を満たすことができる。ウェル14が満たされた後、ピペット60は、次いで、12用量の流体を第2のエンドチャネル26に分注することができる。この実施形態において、L字型区画室のうちの2つは、ウェルの1つの列と実質的に同様の容積を有することができる。従って、12用量の流体容積を第1のエンドチャネル24内に分注することによって、堀22の半分が流体で満たされることになる。
【0066】
本開示は、以下の実施例を参照することでより良く理解され得る。
【0067】
[実施例1]
【0068】
本開示に従って作製された堀のエッジ効果への影響を評価するために、XFアッセイを実行した。96個のアッセイウェルを含むウェルプレートを図1に示すように構築した。試験中、バックグラウンド補正のために4隅のウェルはブランクのままにした。残りの32個の外周ウェルを内部の60個のウェルと比較した。
【0069】
4つの異なる細胞株を試験した。試験した細胞株には、マウス筋芽細胞株のサブクローンである筋芽細胞株であるC2C12が含まれていた。肺がん細胞株である細胞株A549も試験された。試験した残りの2つの細胞株には、肝細胞がんのある肝臓組織に由来するHepG2と乳がん細胞株であるMCF-7細胞株が含まれていた。実施したアッセイには、1分あたりの酸素の酸素消費速度(OCR:oxygen consumption rate)pmol(pmol/min)及び1分あたりのプロトンのプロトン流出速度(PER:proton efflux rate)pmol(pmol/min)が含まれていた。
【0070】
本開示に従って作製したウェルプレートを、Seahorse BioscienceによりXF96ウェルプレートの名称で販売されている市販のウェルプレートと比較した。結果が図10及び図11に示される。提示されたデータは、細胞が基礎代謝性能で呼吸しているときの、内側ウェルの平均と外側ウェルの平均のパーセント差を示している。これは、エッジ効果を定量化するために使用されるパラメータである。
【0071】
図10及び図11に示されるように、本開示に従って作製したウェルプレートは、特にHepG2細胞株及びMCF-7細胞株について、エッジ効果を減少させ、これは、プレートへの付着が遅く、市販のXF96ウェルプレートにおけるより顕著なエッジ効果を頻繁に示す2つの細胞株に対応する。
【0072】
細胞プレート蒸発試験も行なった。本開示に従って作製した細胞プレートは、水で満たされ、37℃で6時間のXFアッセイを受けて、ユーザ体験をシミュレートした。アッセイウェルにはそれぞれ200マイクロリットルの水が充填され、堀にはセクションごとに1,000マイクロリットルの水が充填された。アッセイの完了後、プレートリーダーで水の吸光度を測定することにより、各ウェルの容積を測定した。吸光度は各ウェルの液柱の高さに比例し、これは容積に換算できる。試験は異なる6回実施し、結果を平均した。ウェル間の容積の平均差はわずか1.6%であることが判明した。
【0073】
[実施例2]
【0074】
堀付きウェルプレートは、外周ウェルにおける蒸発を低減し、培養中の細胞播種エッジ効果を最小限に抑えるように設計された。これにより、同様の性能を達成してフルプレート一貫性を高めながら、堀プレートの外周ウェルの使用が可能になる。幾つかの実験例において、ユーザはインキュベータ内で長い細胞培養時間を必要とする。この間、蒸発が発生して外周ウェルでの細胞の増殖に影響を与える場合がある。他の実験では、細胞発現を来すのに時間がかかる可能性があるため、ユーザは長時間のアッセイを実行する必要がある。この場合、アッセイの例は拡張XFアッセイであり、代謝表現型が示されるまでに長時間かかる場合がある。これらの延長(拡張)されたアッセイ中に、蒸発により外周ウェル及び内側ウェルでの細胞機能の測定差が生じる場合がある。拡張測定プロトコルでの蒸発を減らすと、測定の一貫性が促進される。場合によっては、性能に違いが生じる可能性があるため、ユーザが外周ウェルにサンプルを入れることを避ける場合がある。堀付きプレートは、この課題に対処し、より高いスループット及び性能の向上を可能にする。
【0075】
重量による堀付き及びストックウェルプレートの蒸発の調査:
【0076】
方法:ウェルの容積は重量によって特定され得る。単一のウェル容量がスケールで吸引/分注され、アッセイ後に単一のチャネルピペッタを使用して重量が測定される。この方法論のエラーを判断するための前提条件試験も実行した。
【0077】
アッセイ1:サンプル温度37℃、継続時間6時間、1時間あたり10回の測定(1回の測定=3分間混合/3分間測定)。
【0078】
アッセイ2:サンプル温度37℃、継続時間6時間、1時間あたり4回の測定(1回の測定=3分間混合/9分間待機/3分間測定)。
【0079】
プロトコル:この実験のために以下のプロトコルを使用した。
【0080】
37℃の非CO2インキュベータ内でユーティリティウェルプレート内のカートリッジを一晩加湿する。
【0081】
カートリッジのキャリブレーション中に、堀ウェルプレートを準備する。
【0082】
ウェルに関して:8チャネルピペッタを使用して200μl/ウェルを加える。
【0083】
堀に関して:8チャネルピペッタを140μlに設定する;それぞれの(2)堀仕切りごとに(2)分注で堀を満たす(2,240μl/仕切り、又は、プレート全体に関して総堀容量4,480)。
【0084】
キャリブレーションが完了した後、ユーティリティウェルプレートを取り外し、堀ウェルプレートを取り付け、アッセイを継続する。
【0085】
アッセイが完了した後、堀ウェルプレートを取り外し、重量測定を行なって1ウェルあたりの蒸発量を特定する。
【0086】
注記:吸引/分注誤差は、1ウェルあたり少なくとも4μlであることが判明した。蒸発したパーセントは、196μlの開始容量で計算した。試作した堀プレートによる流体の吸収は不明であり、誤差が考慮されていない。
【0087】
[表1]3分間の混合と3分間の測定を全体にわたって繰り返すことを含む標準XFプロトコルを使用して、6時間のXFアッセイ中の蒸発量を評価するアッセイ1方法を使用する実験。これは、1時間あたり約10回の測定をもたらす。合計3つの試験が実行された。
【0088】
【表1】
【0089】
表1に含まれるデータは、標準プロトコル中であっても、堀付きウェルプレート内の外周ウェルの蒸発が減少したことを示している。
【0090】
[表2]3分間の混合、9分間の待機、及び3分間の測定を含む拡張XFプロトコルを使用して、6時間のXFアッセイ中の蒸発量を評価するアッセイ2方法を使用する実験。これは、1時間あたり約4回の測定期間をもたらす。
【0091】
【表2】
【0092】
表2のデータは、拡張XFプロトコルを使用した場合、外周ウェルに関して堀付きプレートの蒸発が約10%以下であることを示している。これにより、細胞ベースのアッセイ又は実験中の外周ウェルサンプルの性能が向上すると期待される。
【0093】
プレートリーダーによる堀付きウェルプレートの蒸発の調査:
【0094】
方法:堀付き96ウェルプレートを、1ウェルあたり200μL、1堀セクションあたり1000μLの水で満たした。プレートをXF Pro Analyzerにおいて37℃で6時間アッセイに晒した。アッセイプロトコルは、1時間あたり4回の測定サイクルを含むように変更した。アッセイが完了したら、各ウェル内の水の量をプレートリーダーを使用して測定した。この方法では、水の吸光度は各ウェル内の液柱の高さに比例し、それは容積に換算することができる。6回の反復の平均を以下に示す。
【0095】
[表3]3分間の混合、9分間の待機、及び3分間の測定を含む拡張XFプロトコルを使用して、6時間のXFアッセイ中の蒸発量を評価する実験。合計6回の反復試験が実行され、結果が平均された。
【0096】
【表3】
【0097】
[実験の概要]
【0098】
実験1及び2のデータセットは、拡張測定プロトコルを使用した6時間のXFアッセイで、外周ウェルで見られる蒸発を約10%以下に改善できることを示している。実験1では、標準XFプロトコルを使用した6時間のアッセイ中、ストックウェルプレートと比較して、堀付きウェルプレートが優れた性能を発揮することもわかる。これは、外周ウェルを使用して同等の性能を達成し、アッセイのスループットを向上させることができるため、ユーザにとって有利である。
【0099】
本発明に対するこれら及び他の修正及び変形は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載される本発明の思想及び範囲から逸脱することなく、当業者によって実施され得る。更に、様々な実施形態の態様は全体的又は部分的に交換できることを理解されたい。更に、当業者であればわかるように、前述の説明は、単なる例であり、添付の特許請求の範囲に更に記載される本発明を限定することを意図したものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-09-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周を有するウェル領域と、
前記ウェル領域の外周を取り囲み、かつ、該外周に隣接する堀であって、液体を保持する前記堀と、
前記堀内に配置される複数の流体安定化バリアと、
を備えるウェルプレートであって、
前記ウェル領域は、複数の行及び複数の列を含む格子状パターンを成して配置される複数のウェルを備え、前記格子状パターンは、複数の内部ウェルを取り囲む複数の外周ウェルを含み、前記外周ウェルが前記ウェル領域の外周を画定し、
前記堀は、第2のエンドチャネルの反対側にある第1のエンドチャネルと、第2のサイドチャネルの反対側にある第1のサイドチャネルとを含み、
少なくとも1つの流体安定化バリアが、前記第1のエンドチャネル内、前記第2のエンドチャネル内、前記第1のサイドチャネル内、及び前記第2のサイドチャネル内に配置される、ウェルプレート。
【請求項2】
前記堀は、前記ウェル領域の外周にわたって連続し、かつ、前記流体安定化バリアによって複数の区画室に分割される、請求項1に記載のウェルプレート。
【請求項3】
1つの流体安定化バリアが前記第1のエンドチャネルの中央領域に配置され、1つの流体安定化バリアが前記第2のエンドチャネルの中央領域に配置され、1つの流体安定化バリアが前記第1のサイドチャネルの中央領域に配置され、1つの流体安定化バリアが前記第2のサイドチャネルの中央領域に配置される、請求項1に記載のウェルプレート。
【請求項4】
前記ウェルプレートは4つの流体安定化バリアを含む、請求項1に記載のウェルプレート。
【請求項5】
前記ウェルプレートは約24個~約1536個のウェルを含む、請求項1に記載のウェルプレート。
【請求項6】
前記第1及び第2のサイドチャネルが前記第1及び第2のエンドチャネルよりも狭い、請求項1に記載のウェルプレート。
【請求項7】
前記第1のエンドチャネル、前記第2のエンドチャネル、前記第1のサイドチャネル、及び前記第2のサイドチャネルは全て、流体容積が10%を超えて異ならないように実質的に等しい流体容積を有する、請求項1に記載のウェルプレート。
【請求項8】
前記堀は、高さを有して対向する複数のチャネル壁によって形成され、前記流体安定化バリアは、前記チャネル壁の上端よりも下方で終端する、請求項1に記載のウェルプレート。
【請求項9】
前記流体安定化バリアの上端は、前記チャネル壁の上端から約0.1mm~約2mm、例えば約0.3mm~約1.3mmの距離を隔てて終端する、請求項8に記載のウェルプレート。
【請求項10】
前記ウェル領域は上端面を有し、前記チャネル壁の上端は前記ウェル領域の上端面と同一平面上にある、請求項8に記載のウェルプレート。
【請求項11】
前記チャネル壁のうちの1つは、前記ウェル領域の外周を形成すると共に、前記外周ウェルの一部を形成する、請求項8に記載のウェルプレート。
【請求項12】
前記堀は深さを有し、前記ウェルは深さを有し、前記堀の深さは前記ウェルの深さよりも小さい、請求項1に記載のウェルプレート。
【請求項13】
前記堀の深さは、前記ウェルの深さの約1%~約200%、例えば、前記ウェルの深さの約30%~約70%、例えば、前記ウェルの深さの約70%~約150%である、請求項12に記載のウェルプレート。
【請求項14】
前記堀は下端部を含み、少なくとも1つのフローディレクタが前記堀の前記下端部に沿って配置される、請求項1に記載のウェルプレート。
【請求項15】
各サイドチャネルがフローディレクタを含み、各フローディレクタは、前記第1のエンドチャネル内へと部分的に延びる第1の端部と、前記第2のエンドチャネル内へと部分的に延びる第2の端部とを含む、請求項14に記載のウェルプレート。
【請求項16】
前記少なくとも1つのフローディレクタは、約0.1mm~約5mmの高さを有する隆起部を備える、請求項14に記載のウェルプレート。
【請求項17】
前記第1のサイドチャネルは前記第1のエンドチャネル及び前記第2のエンドチャネルと流体連通し、前記第2のサイドチャネルは前記第1のエンドチャネル及び前記第2のエンドチャネルと流体連通する、請求項1に記載のウェルプレート。
【請求項18】
流体を堀付きウェルプレートに加える方法であって、
マルチチャネルピペットから前記堀付きウェルプレート内に所定用量の流体を分注することを含み、
前記堀付きウェルプレートは、外周を有するウェル領域と、該ウェル領域の外周を取り囲み、かつ、該外周に隣接する堀と、を備え、
前記ウェル領域は、複数の行及び複数の列を含む格子状パターンを成して配置される複数のウェルを備え、前記格子状パターンは、複数の内部ウェルを取り囲む複数の外周ウェルを含み、前記外周ウェルが前記ウェル領域の外周を画定し、
前記堀は、第2のエンドチャネルの反対側にある第1のエンドチャネルと、第2のサイドチャネルの反対側にある第1のサイドチャネルとを含み、
前記堀付きウェルプレートの各行が同じ個数のウェルを含み、前記第1及び第2のエンドチャネルは、前記行と平行であると共に、前記第1及び第2のサイドチャネルと流体連通し、
前記マルチチャネルピペットは、1つの行内の各ウェルに対する個別の流体分注チップを含み、
所定用量の流体が、行ごとに又は列ごとに各流体分注チップから同時に、前記マルチチャネルピペットから前記堀付きウェルプレートに分注され、これは、前記堀に流体を充填するために前記第1のエンドチャネル及び前記第2のエンドチャネルに所定用量の流体を分注することを含む、方法。
【請求項19】
前記堀付きウェルプレートは、前記堀内に配置される複数の流体安定化バリアを含み、少なくとも1つの流体安定化バリアが前記第1のサイドチャネル内に配置され、少なくとも1つの流体安定化バリアが前記第2のサイドチャネル内に配置され、
前記堀は、前記ウェル領域の外周にわたって連続し、かつ、前記流体安定化バリアによって少なくとも2つの区画室に分割され、
前記区画室は、所定用量の流体を前記第1のエンドチャネルに分注すると共に所定用量の流体を前記第2のエンドチャネルに分注することによって全ての区画室に流体が充填されるように配置される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記堀はL字型の区画室を複数含み、各L字型の区画室は、少なくとも部分的に前記エンドチャネルのうちの1つに沿って延在し、かつ、部分的に前記サイドチャネルのうちの1つに沿って延在する、請求項19に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0099
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0099】
本発明に対するこれら及び他の修正及び変形は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載される本発明の思想及び範囲から逸脱することなく、当業者によって実施され得る。更に、様々な実施形態の態様は全体的又は部分的に交換できることを理解されたい。更に、当業者であればわかるように、前述の説明は、単なる例であり、添付の特許請求の範囲に更に記載される本発明を限定することを意図したものではない。
尚、出願当初の請求項は以下の通りであった。
[請求項1]
外周を有するウェル領域と、
前記ウェル領域の外周を取り囲み、かつ、該外周に隣接する堀であって、液体を保持する前記堀と、
前記堀内に配置される複数の流体安定化バリアと、
を備えるウェルプレートであって、
前記ウェル領域は、複数の行及び複数の列を含む格子状パターンを成して配置される複数のウェルを備え、前記格子状パターンは、複数の内部ウェルを取り囲む複数の外周ウェルを含み、前記外周ウェルが前記ウェル領域の外周を画定し、
前記堀は、第2のエンドチャネルの反対側にある第1のエンドチャネルと、第2のサイドチャネルの反対側にある第1のサイドチャネルとを含み、
少なくとも1つの流体安定化バリアが、前記第1のエンドチャネル内、前記第2のエンドチャネル内、前記第1のサイドチャネル内、及び前記第2のサイドチャネル内に配置される、ウェルプレート。
[請求項2]
前記堀は、前記ウェル領域の外周にわたって連続し、かつ、前記流体安定化バリアによって複数の区画室に分割される、請求項1に記載のウェルプレート。
[請求項3]
1つの流体安定化バリアが前記第1のエンドチャネルの中央領域に配置され、1つの流体安定化バリアが前記第2のエンドチャネルの中央領域に配置され、1つの流体安定化バリアが前記第1のサイドチャネルの中央領域に配置され、1つの流体安定化バリアが前記第2のサイドチャネルの中央領域に配置される、請求項1又は請求項2に記載のウェルプレート。
[請求項4]
前記ウェルプレートは4つの流体安定化バリアを含む、請求項1~請求項3のいずれか1つに記載のウェルプレート。
[請求項5]
前記ウェルプレートは約24個~約1536個のウェルを含む、請求項1~請求項4のいずれか1つに記載のウェルプレート。
[請求項6]
前記第1及び第2のサイドチャネルが前記第1及び第2のエンドチャネルよりも狭い、請求項1~請求項5のいずれか1つに記載のウェルプレート。
[請求項7]
前記第1のエンドチャネル、前記第2のエンドチャネル、前記第1のサイドチャネル、及び前記第2のサイドチャネルは全て、流体容積が10%を超えて異ならないように実質的に等しい流体容積を有する、請求項1~請求項6のいずれか1つに記載のウェルプレート。
[請求項8]
前記堀は、高さを有して対向する複数のチャネル壁によって形成され、前記流体安定化バリアは、前記チャネル壁の上端よりも下方で終端する、請求項1~請求項7のいずれか1つに記載のウェルプレート。
[請求項9]
前記流体安定化バリアの上端は、前記チャネル壁の上端から約0.1mm~約2mm、例えば約0.3mm~約1.3mmの距離を隔てて終端する、請求項8に記載のウェルプレート。
[請求項10]
前記ウェル領域は上端面を有し、前記チャネル壁の上端は前記ウェル領域の上端面と同一平面上にある、請求項8又は請求項9に記載のウェルプレート。
[請求項11]
前記チャネル壁のうちの1つは、前記ウェル領域の外周を形成すると共に、前記外周ウェルの一部を形成する、請求項8~請求項10のいずれか1つに記載のウェルプレート。
[請求項12]
前記堀は深さを有し、前記ウェルは深さを有し、前記堀の深さは前記ウェルの深さよりも小さい、請求項1~請求項11のいずれか1つに記載のウェルプレート。
[請求項13]
前記堀の深さは、前記ウェルの深さの約1%~約200%、例えば、前記ウェルの深さの約30%~約70%、例えば、前記ウェルの深さの約70%~約150%である、請求項12に記載のウェルプレート。
[請求項14]
前記堀は下端部を含み、少なくとも1つのフローディレクタが前記堀の前記下端部に沿って配置される、請求項1~請求項13のいずれか1つに記載のウェルプレート。
[請求項15]
各サイドチャネルがフローディレクタを含み、各フローディレクタは、前記第1のエンドチャネル内へと部分的に延びる第1の端部と、前記第2のエンドチャネル内へと部分的に延びる第2の端部とを含む、請求項14に記載のウェルプレート。
[請求項16]
前記少なくとも1つのフローディレクタは、約0.1mm~約5mmの高さを有する隆起部を備える、請求項14又は請求項15に記載のウェルプレート。
[請求項17]
前記第1のサイドチャネルは前記第1のエンドチャネル及び前記第2のエンドチャネルと流体連通し、前記第2のサイドチャネルは前記第1のエンドチャネル及び前記第2のエンドチャネルと流体連通する、請求項1~請求項16のいずれか1つに記載のウェルプレート。
[請求項18]
流体を堀付きウェルプレートに加える方法であって、
マルチチャネルピペットから前記堀付きウェルプレート内に所定用量の流体を分注することを含み、
前記堀付きウェルプレートは、外周を有するウェル領域と、該ウェル領域の外周を取り囲み、かつ、該外周に隣接する堀と、を備え、
前記ウェル領域は、複数の行及び複数の列を含む格子状パターンを成して配置される複数のウェルを備え、前記格子状パターンは、複数の内部ウェルを取り囲む複数の外周ウェルを含み、前記外周ウェルが前記ウェル領域の外周を画定し、
前記堀は、第2のエンドチャネルの反対側にある第1のエンドチャネルと、第2のサイドチャネルの反対側にある第1のサイドチャネルとを含み、
前記堀付きウェルプレートの各行が同じ個数のウェルを含み、前記第1及び第2のエンドチャネルは、前記行と平行であると共に、前記第1及び第2のサイドチャネルと流体連通し、
前記マルチチャネルピペットは、1つの行内の各ウェルに対する個別の流体分注チップを含み、
所定用量の流体が、行ごとに又は列ごとに各流体分注チップから同時に、前記マルチチャネルピペットから前記堀付きウェルプレートに分注され、これは、前記堀に流体を充填するために前記第1のエンドチャネル及び前記第2のエンドチャネルに所定用量の流体を分注することを含む、方法。
[請求項19]
前記堀付きウェルプレートは、前記堀内に配置される複数の流体安定化バリアを含み、少なくとも1つの流体安定化バリアが前記第1のサイドチャネル内に配置され、少なくとも1つの流体安定化バリアが前記第2のサイドチャネル内に配置され、
前記堀は、前記ウェル領域の外周にわたって連続し、かつ、前記流体安定化バリアによって少なくとも2つの区画室に分割され、
前記区画室は、所定用量の流体を前記第1のエンドチャネルに分注すると共に所定用量の流体を前記第2のエンドチャネルに分注することによって全ての区画室に流体が充填されるように配置される、請求項18に記載の方法。
[請求項20]
前記堀はL字型の区画室を複数含み、各L字型の区画室は、少なくとも部分的に前記エンドチャネルのうちの1つに沿って延在し、かつ、部分的に前記サイドチャネルのうちの1つに沿って延在する、請求項19に記載の方法。
【国際調査報告】