IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシーの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】キレート剤を含むグリコール組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 7/50 20060101AFI20241031BHJP
   C11D 7/26 20060101ALI20241031BHJP
   C11D 7/32 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
C11D7/50
C11D7/26
C11D7/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526547
(86)(22)【出願日】2022-11-11
(85)【翻訳文提出日】2024-05-22
(86)【国際出願番号】 US2022049664
(87)【国際公開番号】W WO2023086546
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】63/278,116
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(72)【発明者】
【氏名】ウォルフル-グプタ、キャロライン
(72)【発明者】
【氏名】ダガル、ラジャット
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003DA02
4H003DA05
4H003EB04
4H003EB16
4H003EB36
4H003ED28
(57)【要約】
グリコール組成物は、グリコール組成物の総重量に基づいて50.000重量%~99.999重量%のグリコールと、グリコール組成物の総重量に基づいて0.001重量%~5.000重量%のキレート剤と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリコール組成物であって、
前記グリコール組成物の総重量に基づいて、50.000重量%~99.999重量%のグリコールと、
前記グリコール組成物の総重量に基づいて、0.001重量%~5.000重量%のキレート剤と、を含む、グリコール組成物。
【請求項2】
前記グリコールが、前記グリコール組成物の前記総重量に基づいて、80.000重量%~99.999重量%である、請求項1に記載のグリコール組成物。
【請求項3】
前記グリコールが、ゲル浸透クロマトグラフィによって測定するとき、400g/mol~10,000,000g/molの重量平均分子量を有するポリアルキレンオキシドである、請求項1に記載のグリコール組成物。
【請求項4】
前記グリコールが、ゲル浸透クロマトグラフィによって測定するとき、2,000g/mol~5,000g/molの重量平均分子量を有するポリアルキレンオキシドである、請求項3に記載のグリコール組成物。
【請求項5】
前記グリコールが、ポリエチレングリコールである、請求項1に記載のグリコール組成物。
【請求項6】
前記キレート剤が、前記グリコール組成物の前記総重量に基づいて、0.001重量%~0.1重量%である、請求項1に記載のグリコール組成物。
【請求項7】
前記キレート剤が、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載のグリコール組成物。
【請求項8】
前記キレート剤が、エチレンジアミン四酢酸を含む、請求項7に記載のグリコール組成物。
【請求項9】
前記グリコール組成物が、抗酸化剤を含まない、請求項1に記載のグリコール組成物。
【請求項10】
配合物であって、
水と、
前記配合物の総重量に基づいて、0.1重量%~99重量%の請求項1~9のいずれか一項に記載のグリコール組成物と、を含む、配合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、グリコール組成物、より具体的には、キレート剤を含むグリコール組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アルキルエーテルに基づくグリコールは、様々な形態で提供される。例えば、グリコールは、低分子量溶媒である場合があり、又はアルキルエーテルの重合部分(例えば、ポリエチレングリコール又はプロピレングリコール)を含む場合がある。保管中に、グリコールは酸化し、及び/又はホルムアルデヒドなどの不純物を生成する1つ以上の反応を受ける場合がある。特定のグリコール用途について、米国食品医薬品局(「FDA」)は、グリコールの保管寿命の間のホルムアルデヒド形成の最大閾値を規定している。したがって、貯蔵中のホルムアルデヒド形成を最小限に抑えることが重要である。
【0003】
保管中の分解及びホルムアルデヒド形成を防止するために、1種以上の抗酸化剤をグリコール中に含めてもよい。異なる抗酸化剤は、異なる作用様式を有する。ビタミンCなどの抗酸化剤は、一重項酸素の不活性化及び分子酸素の排除による酸素スカベンジャーとして作用する。トコフェロールなどの他の抗酸化剤は、フリーラジカルへの水素供与及びその後のラジカルとトコフェロールラジカルとの間の複合体の形成によって抗酸化活性を有する。選択される抗酸化剤にかかわらず、抗酸化剤によるアプローチは、グリコールを分解してホルムアルデヒド形成をもたらし得る酸素又はラジカルの排除に焦点を当てている。グリコール産業においては、ある種の酸化防止剤から他の酸化防止剤へと移行する一般的な傾向がある。これは、不純物の形成を防止するための新しい材料又は方法を利用し、開発する機会を提供する。
【0004】
グリコールは、種々の用途で使用される。例えば、米国特許第8,034,756(B2)号(「’756特許」)は、低温使用又は保管に適したキレート組成物を開示している。’756特許のキレート組成物は、30重量%~80重量%のキレート成分と、20重量%~70重量%のグリコールエーテルであり得る極性溶媒と、を含む。’756特許のキレート化合物は、金属スケール除去のために使用される。グリコール使用の別の例は、米国特許出願公開第20170015946(A1)号(「’946公開」)に見出される。’946公報は、界面活性剤、グリコールエーテル溶媒、及び硬質表面からの疎水性汚れの除去を改善するキレート剤を有する洗浄組成物を開示している。’946公報は、グリコールエーテル溶媒が典型的には組成物の10重量%未満、より好ましくは1重量%~7重量%のレベルで存在することを説明している。’946公報は、キレート剤が含まれるのは、硬水が泡形成を減少させる脂肪酸の不溶性塩の形成をもたらし得るからと説明している。
【0005】
上記を考慮すると、ホルムアルデヒド形成に抵抗するための主要な機構としてキレート剤を利用するグリコール組成物を発見することは驚くべきことである。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、ホルムアルデヒド形成に抵抗する主要な機構としてキレート剤を利用するグリコール組成物を提供する。
【0007】
本開示の発明者らは、驚くべきことに、グリコール組成物中にキレート剤を含めることにより、加速試験条件下でホルムアルデヒド形成を低減できることを発見した。理論に束縛されるものではないが、グリコール中にキレート剤を含有させることにより、そうしなければホルムアルデヒドを生成するグリコールの酸化及び分解を触媒し得る遊離金属イオンが捕捉されると考えられる。グリコール組成物が、キレート剤のみを利用し、抗酸化剤を利用しないことによって、75%を超えるホルムアルデヒドの低減を示し得ることは更に驚くべきことである。
【0008】
本開示は、グリコール組成物の形成に特に好適である。
【0009】
本開示の第1の特徴では、グリコール組成物は、グリコール組成物の総重量に基づいて50.000重量%~99.999重量%のグリコールと、グリコール組成物の総重量に基づいて0.001重量%~5.000重量%のキレート剤と、を含む。
【0010】
本開示の第2の特徴では、グリコールは、グリコール組成物の総重量に基づいて、80.000重量%~99.999重量%である。
【0011】
本開示の第3の特徴では、グリコールは、ゲル浸透クロマトグラフィによって測定するとき、400g/mol~10,000,000g/molの重量平均分子量を有するポリアルキレンオキシドである。
【0012】
本開示の第4の特徴では、グリコールは、ゲル浸透クロマトグラフィによって測定するとき、2,000g/mol~5,000g/molの重量平均分子量を有するポリアルキレンオキシドである。
【0013】
本開示の第5の特徴では、グリコールは、ポリエチレングリコールである。
【0014】
本開示の第6の特徴では、グリコールは、グリコール組成物の総重量に基づいて、0.001重量%~0.1重量%である。
【0015】
本開示の第7の特徴では、キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む。
【0016】
本開示の第8の特徴では、キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸を含む。
【0017】
本開示の第9の特徴では、グリコール組成物は、抗酸化剤を含まない。
【0018】
本開示の第10の特徴では、配合物は、水と、配合物の総重量に基づいて0.1重量%~99重量%の請求項1~9のいずれか一項に記載のグリコール組成物を含む。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書で使用される場合、「及び/又は」という用語は、2つ以上の項目の列挙で使用される場合、列挙された項目のうちのいずれか1つをそれ自体で用いることができるか、又は列挙された項目のうちの2つ以上の任意の組み合わせを用いることができることを意味する。例えば、組成物が成分A、B、及び/又はCを含有するものとして説明されている場合、組成物は、Aを単独で、Bを単独で、Cを単独で、A及びBを組み合わせて、A及びCを組み合わせて、B及びCを組み合わせて、又はA、B、及びCを組み合わせて、含有することができる。
【0020】
別途記載のない限り、全ての範囲は、終点を含む。
【0021】
本明細書で使用される場合、重量パーセント(「重量%」)という用語は、別途明記しない限り、成分がポリマー組成物の総重量に占める重量のパーセンテージを示す。
【0022】
本明細書で使用される場合、Chemical Abstract Services登録番号(「CAS#」)は、本文書の優先日の時点でChemical Abstract Serviceによって化学化合物に最後に割り当てられた固有の数字識別子を指す。
【0023】
グリコール組成物
本開示は、概して、グリコール組成物に関する。グリコール組成物は、グリコールと、キレート剤と、を含む。いくつかの例において、グリコール組成物は抗酸化剤を含まない。本明細書で使用される場合、「含まない(free of)」という用語は、コーティング組成物が、含まないとされる材料を0.001重量%以下含むことを意味すると定義される。更に他の例において、グリコール組成物は、1つ以上の抗酸化剤を含んでもよい。
【0024】
グリコール
上記で強調したように、グリコール組成物は、1つ以上のグリコールを含む。本明細書で使用される場合、グリコールは、2つ以上のヒドロキシル基を含む化学物質として定義される。グリコールは、ジプロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールイソプロピルエーテル、トリプロピレングリコールイソプロピルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル、トリプロピレングリコールn-プロピルエーテル、プロピレングリコールt-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールt-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールt-ブチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールn-ペンチルエーテル、プロピレングリコールn-ヘキシルエーテル、ブチレングリコールメチルエーテル、ジブチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールn-ブチルエーテル、エチレングリコールn-ペンチルエーテル、エチレングリコールn-ヘキシルエーテル、エチレングリコールn-ヘプチルエーテル、エチレングリコール2-エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールn-ヘキシルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールイソプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールn-プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールn-ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールn-ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールイソブチルエーテル、トリプロピレングリコールイソブチルエーテル、エチレングリコールt-ブチルエーテル、エチレングリコールイソブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールイソブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、及びジエチレングリコールn-ブチルエーテルアセテート、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される低分子量化合物であってもよい。
【0025】
追加的に又は代替的に、グリコールは、重合ポリアルキレンオキシドを含む高分子量化合物であってもよい。ポリアルキレンオキシドは、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、及びポリブチレンオキシドのうちの1つ以上であってもよい。このような例では、グリコールは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレンオキシド、及びこれらの組み合わせであってもよい。ポリアルキレンオキシドは、ゲル浸透クロマトグラフィによって測定するとき、400グラム/モル(「g/mol」)~10,000,000g/molの重量平均分子量を有し得る。例えば、ポリアルキレンオキシドは、ゲル浸透クロマトグラフィによって測定するとき、400g/mol以上、又は500g/mol以上、又は1,000g/mol以上、又は1,500g/mol以上、又は2,000g/mol以上、又は2,500g/mol以上、又は3,000g/mol以上、又は3,500g/mol以上、又は4,000g/mol以上、又は4,500g/mol以上、又は5,000g/mol以上、又は5,500g/mol以上、又は6,000g/mol以上、又は6,500g/mol以上、又は7,000g/mol以上、又は7,500g/mol以上、又は8,000g/mol以上、又は8,500g/mol以上、又は9,000g/mol以上、又は9,500g/mol以上、又は10,000g/mol以上、又は10,500g/mol以上、又は11,000g/mol以上、又は11,500g/mol以上、又は12,000g/mol以上、又は12,500g/mol以上、又は13,000g/mol以上、又は13,500g/mol以上、又は14,000g/mol以上、又は14,500g/mol以上、又は15,000g/mol以上、又は20,000g/mol以上、又は40,000g/mol以上、又は60,000g/mol以上、又は80,000g/mol以上、又は100,000g/mol以上、又は500,000g/mol以上、又は1,000,000g/mol以上、又は5,000,000g/mol以上、一方で同時に、10,000,000g/mol以下、又は5,000,000g/mol以下、又は1,000,000g/mol以下、又は500,000g/mol以下、又は100,000g/mol以下、又は50,000g/mol以下、又は25,000g/mol以下、又は20,000g/mol以下、又は15,000g/mol以下、又は14,500g/mol以下、又は14,000g/mol以下、又は13,500g/mol以下、又は13,000g/mol以下、又は12,500g/mol以下、又は12,000g/mol以下、又は11,500g/mol以下、又は11,000g/mol以下、又は10,500g/mol以下、又は10,000g/mol以下、又は9,500g/mol以下、又は9,000g/mol以下、又は8,500g/mol以下、又は8,000g/mol以下、又は7,500g/mol以下、又は7,000g/mol以下、又は6,500g/mol以下、又は6,000g/mol以下、又は5,500g/mol以下、又は5,000g/mol以下、又は4,500g/mol以下、又は4,000g/mol以下、又は3,500g/mol以下、又は3,000g/mol以下、又は2,500g/mol以下、又は2,000g/mol以下、又は1,500g/mol以下、又は1,000g/mol以下、500g/mol以下の重量平均分子量を有し得る。
【0026】
グリコール組成物は、グリコール組成物の総重量に基づいて、50.000重量%~99.999重量%のグリコールを含む。例えば、グリコール組成物は、グリコール組成物の総重量に基づいて、50.000重量%以上、又は55.000重量%以上、又は60.000重量%以上、又は65.000重量%以上、又は70.000重量%以上、又は75.000重量%以上、又は80.000重量%以上、又は85.000重量%以上、又は90.000重量%以上、又は95.000重量%以上、又は99.000重量%以上、又は99.070重量%以上、一方で同時に、99.999重量%以下、又は95.000重量%以下、又は90.000重量%以下、又は85.000重量%以下、又は80.000重量%以下、又は75.000重量%以下、又は70.000重量%以下、又は65.000重量%以下、又は60.000重量%以下、又は55.000重量%以下のグリコールを含み得る。
【0027】
キレート剤
本明細書で使用するとき、キレート剤は、金属イオンと配位共有結合を形成してキレートを形成する化合物である。キレートは、少なくとも1つの複素環が各環の一部として金属原子と共に形成されるように、中心金属原子が、配位子と呼ばれる少なくとも1つの他の分子又はイオン中の2つ以上の他の原子に結合している配位化合物である。グリコール組成物に使用することができる例示的なキレート剤としては、エチレンジアミン四酢(「EDTA」)酸、クエン酸、クエン酸カルシウム、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二アンモニウム、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム四水和物、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム四水和物、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物、エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム二水和物、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム、ジエチレン-トリアミン五酢酸五ナトリウム、n-(ヒドロキシエチル)-エチレンジアミン三酢酸三ナトリウム、n-(ヒドロキシエチル)-エチレンジアミン三酢酸鉄二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0028】
グリコール組成物は、グリコール組成物の総重量に基づいて、0.001重量%~5.000重量%のキレート剤を含む。例えば、グリコール組成物は、グリコール組成物の総重量に基づいて、0.001重量%以上、又は0.010重量%以上、又は0.050重量%以上、又は0.100重量%以上、又は1.000重量%以上、2.000重量%以上、3.000重量%以上、4.000重量%以上、一方で同時に、5.000重量%以下、又は4.000重量%以下、又は3.000重量%以下、又は2.000重量%以下、又は1.000重量%以下、又は0.100重量%以下、又は0.010重量%以下のキレート剤を含み得る。
【0029】
配合物
グリコール組成物は、1つ以上の配合物中で使用され得る。配合物は、グリコール組成物を含む洗浄組成物、化粧品組成物、工業用組成物、医薬品、パーソナルケア材料、食品添加物又は他の材料であってもよい。配合物は、配合物の総重量に基づいて、0.1重量%~99重量%のグリコール組成物を含む。例えば、配合物は、配合物の総重量に基づいて、0.1重量%以上、又は1重量%以上、又は5重量%以上、又は10重量%以上、又は20重量%以上、又は30重量%以上、又は40重量%以上、又は50重量%以上、又は60重量%以上、又は70重量%以上、又は80重量%以上、又は90重量%以上、一方で同時に、99重量%以下、又は90重量%以下、又は80重量%以下、又は70重量%以下、又は60重量%以下、又は50重量%以下、又は40重量%以下、又は30重量%以下、又は20重量%以下、又は10重量%以下、又は1重量%以下のグリコール組成物を含み得る。
【実施例
【0030】
材料
以下の材料を、実施例において使用した。
【0031】
PEGは、ゲル浸透クロマトグラフィにより測定するとき、重量平均分子量が3,350g/molのポリエチレンオキシドグリコールである。ポリエチレングリコールは、The Dow Chemical Company、Midland、Michiganから市販されている。
【0032】
キレート剤1は、6381-92-6のCAS番号を有する純粋なEDTA二ナトリウム二水和物であり、The Dow Chemical Company, Midland Michiganから市販されている。
【0033】
キレート剤2は、23411-34-9のCAS番号を有するEDTA二水和物の二ナトリウム塩の純粋なカルシウムキレートである。
【0034】
試料の調製
PEGを粉末材料として受け取り、ガラスバイアル中で、表1に特定された量の特定されたキレート剤と混ぜ合わせた。
【0035】
【表1】
【0036】
混合後、完全に溶融するまでバイアルを70℃のオーブンに入れた。溶融後、配合物をオーバーヘッドミキサーにて330回転/分で20分間混合し、65℃に維持した。混合後、配合物をオーブンに移し、分析まで65℃で10日間及び20日間静置した。
【0037】
試験方法
DNPH試薬調製:約0.1グラム(「g」)の2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(「DNPH」)又は0.2gのDNPHを50ミリリットル(「mL」)のメスフラスコに添加した。20~30mLのアセトニトリル(「ACN」)を添加し、フラスコを旋回させてDNPHの一部を溶解させた。3mLの濃塩酸をフラスコに加え、全ての固体が溶解するまで内容物を超音波処理した。フラスコをACNでメスアップし、褐色瓶に保存した。
【0038】
較正:ホルムアルデヒド-DNPH及びアセトアルデヒド-DNPHの、市販の予め誘導体化されたストック溶液を、MilliporeSigmaから得た。較正作業溶液は、遊離アルデヒド当量としてストック溶液の連続希釈によって重量測定して調製した。一点較正を使用し、0.99百万分率(「ppm」)のホルムアルデヒド及び7.7ppmのアセトアルデヒドの公称濃度で定量した。
【0039】
試験試料調製:試験する試料を溶融材料として受け取った。試料を均質化するために、試料を75℃のオーブンに入れた。試料は完全に液化するのに45~80分かかり、その時点で試料を数回旋回/反転させて均質化した。試料が直ちに誘導体化されたか否かにかかわらず、試料の液化後すぐに試料を秤量して、熱暴露を可能な限り最小化した。キャップ付き20mLバイアルの質量を記録し、バイアルの風袋を量り、評価した各試料に対して約0.5gの試料を添加した。試料の重量を記録した。2mLのACNをバイアルに加え、続いて2mLのDNPH試薬を加えた。誘導体化試料を室温で15分間反応させ、次いで6mLのACNを添加し、バイアル(キャップ付き)の最終質量を記録した。長期間(すなわち、約2~3時間超)試薬溶液中に残されたPEGはアルデヒド及び偽陽性アーチファクトを生成するので、試料を誘導体化の1時間以内に分析した。表2は、試料を試験するための、クォータナリポンプ、サーモスタット付きカラムコンパートメント、及びダイオードアレイ検出器を備えたAgilent 1260液体クロマトグラフで使用した条件を提供する。
【0040】
【表2】
【0041】
結果
表3は、試験の結果を提供する。
【0042】
【表3】
【0043】
ここで表3を参照すると、CE1は、熱老化の結果としてのPEG中のホルムアルデヒド生成のベースラインを規定する。IE1及びIE2は、異なるキレート剤の添加が、比較例と比較して75%を超えてホルムアルデヒド形成を低減できることを実証する。上記で説明したように、このような結果は、キレート剤が固有の抗酸化能を有していないにもかかわらず、キレート剤がホルムアルデヒドの形成を劇的に減少させることができるという点で驚くべきことである。更に驚くべきことに、ホルムアルデヒド形成を防止するために伝統的に使用されている抗酸化剤が全くないにもかかわらず、キレート剤は単独で、75%を超えてホルムアルデヒド形成を減少させることができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリコール組成物であって、
前記グリコール組成物の総重量に基づいて、50.000重量%~99.999重量%のグリコールと、
前記グリコール組成物の総重量に基づいて、0.001重量%~5.000重量%のキレート剤であって、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸、クエン酸カリウム、及びクエン酸ナトリウムからなる群から選択される1種以上を含むキレート剤と、を含む、グリコール組成物。
【請求項2】
前記グリコールが、前記グリコール組成物の前記総重量に基づいて、80.000重量%~99.999重量%である、請求項1に記載のグリコール組成物。
【請求項3】
前記グリコールが、ゲル浸透クロマトグラフィによって測定するとき、400g/mol~10,000,000g/molの重量平均分子量を有するポリアルキレンオキシドである、請求項1に記載のグリコール組成物。
【請求項4】
前記グリコールが、ゲル浸透クロマトグラフィによって測定するとき、2,000g/mol~5,000g/molの重量平均分子量を有するポリアルキレンオキシドである、請求項3に記載のグリコール組成物。
【請求項5】
前記グリコールが、ポリエチレングリコールである、請求項1に記載のグリコール組成物。
【請求項6】
前記キレート剤が、前記グリコール組成物の前記総重量に基づいて、0.001重量%~0.1重量%である、請求項1に記載のグリコール組成物。
【請求項7】
前記キレート剤が、エチレンジアミン四酢酸を含む、請求項1に記載のグリコール組成物。
【請求項8】
前記グリコール組成物が、抗酸化剤を含まない、請求項1に記載のグリコール組成物。
【請求項9】
配合物であって、
水と、
前記配合物の総重量に基づいて、0.1重量%~99重量%の請求項1~9のいずれか一項に記載のグリコール組成物と、を含む、配合物。
【請求項10】
方法であって、
グリコール組成物に0.001重量%~5.000重量%のキレート剤を添加することを含み、
前記キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸、クエン酸カリウム及びクエン酸ナトリウムからなる群から選択される1種以上を含み、
前記キレート剤は、前記キレート剤を含まないグリコール組成物と比較して、ホルムアルデヒドの形成を少なくとも75%減少させる、方法。
【国際調査報告】