(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】3D印刷された器官及び組織のための三重周期極小曲面
(51)【国際特許分類】
C12M 3/00 20060101AFI20241031BHJP
C12M 3/06 20060101ALI20241031BHJP
A61F 2/02 20060101ALI20241031BHJP
C12N 5/07 20100101ALN20241031BHJP
【FI】
C12M3/00
C12M3/06
A61F2/02
C12N5/07
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526629
(86)(22)【出願日】2022-11-07
(85)【翻訳文提出日】2024-07-01
(86)【国際出願番号】 US2022049127
(87)【国際公開番号】W WO2023081462
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516346377
【氏名又は名称】ラング バイオテクノロジー ピービーシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100227592
【氏名又は名称】孔 詩麒
(72)【発明者】
【氏名】グレッグ ハースト
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
4C097
【Fターム(参考)】
4B029AA01
4B029AA27
4B029BB11
4B029CC02
4B029CC10
4B029GB09
4B029GB10
4B065AA93X
4B065AC20
4B065CA60
4C097AA01
4C097AA30
4C097BB01
4C097CC01
4C097DD15
4C097MM01
(57)【要約】
装置が三重周期極小曲面を含むことができる。装置は、三重周期極小曲面から形成された3Dスキャフォールドを含むことができる。装置は、3Dスキャフォールドによって形成された1つ又は2つ以上のチャネルを含むことができる。ガス交換ユニットを形成する方法が、三重周期極小曲面から形成された3Dスキャフォールドを印刷することを含むことができる。3Dスキャフォールドは、流体を導くように形成された血管網を含むことができる。3Dスキャフォールドは、ガスを保持するように形成された1つ又は2つ以上のチャネルを含むことができる。血管網は3Dスキャフォールドの壁の内部に埋め込むことができる。1つ又は2つ以上のチャネルを3Dスキャフォールドの壁の間に位置決めすることができる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三重周期極小曲面と、
前記三重周期極小曲面から形成された3Dスキャフォールドと、
前記3Dスキャフォールドによって形成された1つ又は2つ以上のチャネルと
を含む、装置。
【請求項2】
3Dスキャフォールド内部に埋め込まれた血管網
をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記血管網の厚さが5μm~500μmである、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記血管網と前記三重周期極小曲面とが、1μm~400μmの界面距離だけ分離されている、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
ガス交換チップ
をさらに含み、
前記3Dスキャフォールドが、生物学的材料を播種されたガス交換スキャフォールドを含み、そして
前記生物学的材料を播種されたガス交換スキャフォールドが、ガス交換チップ内部に配置されている、
請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記1つ又は2つ以上のチャネルが気道を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記三重周期極小曲面がジャイロイドを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記三重周期極小曲面がBatwingを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記三重周期極小曲面がFischer Sを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記3Dスキャフォールドの厚さが15μm~700μmである、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記3Dスキャフォールドが、3D印刷されたスキャフォールドを含み、そして
前記3D印刷されたスキャフォールドが、膵臓、腎臓、肺、肝臓、及び骨のうちの少なくとも1つをモデル化する、
請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記3Dスキャフォールドが細胞バイオリアクタを含み、前記細胞バイオリアクタが、ガス、流体、小分子、サイトカイン、又は成長因子のうちの少なくとも1つを透過させることができる、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記三重周期極小曲面が、3D印刷されたスキャフォールドのための、内部機械的支持構造又は外部機械的支持構造のうちの少なくとも一方である、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
ガス交換ユニットを形成する方法であって、
三重周期極小曲面から形成された3Dスキャフォールドを印刷することを含み、前記3Dスキャフォールドが、
流体を導くように形成された血管網と、
ガスを保持するように形成された1つ又は2つ以上のチャネルと、
を含み、
前記血管網が前記3Dスキャフォールドの壁の内部に埋め込まれ、そして
前記1つ又は2つ以上のチャネルが前記3Dスキャフォールドの壁の間に位置決めされる、
ガス交換ユニットを形成する方法。
【請求項15】
前記3Dスキャフォールドをガス交換チップ内へ配置する
ことをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記三重周期極小曲面がジャイロイドを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記三重周期極小曲面がBatwingを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記三重周期極小曲面がFischer Sを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記血管網の厚さが5μm~500μmである、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記血管網と前記三重周期極小曲面とが、1μm~400μmの界面距離だけ分離されている、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2021年11月8日付けで出願された米国仮出願第63/276,914号明細書の優先権を主張する。前記明細書の内容全体は、参照することにより本明細書中に援用される。
【0002】
本出願は、3D印刷された構造に関する。
【背景技術】
【0003】
3D印刷された構造は、生物学的構造の構造及び/又は機能を模倣することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示のシステム及び方法は、3D印刷された構造を含む。3D印刷された構造は、生理学的に適切な速度でガス交換(例えばO2)を達成することができる。
【0005】
本開示の少なくとも1つの態様は、装置に関する。装置は、三重周期極小曲面から形成された3Dスキャフォールドを含むことができる。装置は、3Dスキャフォールドによって形成された1つ又は2つ以上のチャネルを含むことができる。
【0006】
いくつかの実施態様では、装置は、3Dスキャフォールド内部に埋め込まれた血管網を含む。いくつかの実施態様では、前記血管網の厚さが5μm~500μmである。いくつかの実施態様では、前記血管網と前記三重周期極小曲面とが、1μm~400μmの界面距離だけ分離されている。いくつかの実施態様では、装置はガス交換チップを含む。前記3Dスキャフォールドが、生物学的材料を播種されたガス交換スキャフォールドを含むことができる。前記生物学的材料を播種されたガス交換スキャフォールドは、ガス交換チップ内部に配置することができる。
【0007】
いくつかの実施態様では、前記1つ又は2つ以上のチャネルが気道を含む。前記三重周期極小曲面はジャイロイドを含むことができる。前記三重周期極小曲面はBatwingを含むことができる。前記三重周期極小曲面はFischer S(Fischer S)を含むことができる。前記3Dスキャフォールドの厚さは15μm~700μmであり得る。いくつかの実施態様では、前記3Dスキャフォールドが、3D印刷されたスキャフォールドを含み、そして前記3D印刷されたスキャフォールドは、膵臓、腎臓、肺、肝臓、及び骨のうちの少なくとも1つの構造又は機能を少なくとも部分的に複製する。前記3Dスキャフォールドは細胞バイオリアクタを含み、前記細胞バイオリアクタが、ガス、流体、小分子、サイトカイン、又は成長因子のうちの少なくとも1つを透過させることができる。いくつかの実施態様では、前記三重周期極小曲面が、3D印刷されたスキャフォールドのための、内部機械的支持構造又は外部機械的支持構造のうちの少なくとも一方であり得る。
【0008】
本開示の別の態様は、ガス交換ユニットを形成する方法に関する。方法は、三重周期極小曲面から形成された3Dスキャフォールドを印刷することを含むことができる。前記3Dスキャフォールドは、流体を導くように形成された血管網を含むことができる。前記3Dスキャフォールドは、ガスを保持するように形成された1つ又は2つ以上のチャネルを含むことができる。前記血管網は、3Dスキャフォールドの壁の内部に埋め込むことができる。前記1つ又は2つ以上のチャネルは、前記3Dスキャフォールドの壁の間に位置決めすることができる。
【0009】
いくつかの実施態様では、方法は、前記3Dスキャフォールドをガス交換チップ内へ配置することを含むことができる。前記三重周期極小曲面はジャイロイドを含むことができる。前記三重周期極小曲面はBatwingを含むことができる。前記三重周期極小曲面はFischer Sを含むことができる。前記血管網の厚さは5μm~500μmであり得る。前記血管網と前記三重周期極小曲面とは、1μm~400μmの界面距離だけ分離することができる。
【0010】
当業者には明らかなように、概要は例示的にすぎず、いかなる形においても制限的であるようには意図されない。専ら請求項によって定義された、本明細書中に記載されたデバイス及び/又はプロセスの他の態様、発明の特徴、及び利点が、添付の図面と併せて本明細書中に示された詳細な説明において明らかになる。
【0011】
本明細書中に記載された主題の1つ又は2つ以上の説明の詳細は、添付の図面及び下記説明において示される。主題の他の特徴、態様、及び利点は、明細書、図面、及び請求項から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】
図1Aは、一実施態様に基づくジャイロイドを示す概略図である。
【
図1B】
図1Bは、一実施態様に基づくBatwingを示す概略図である。
【
図1C】
図1Cは、一実施態様に基づくFischer Sを示す概略図である。
【
図2】
図2は、一実施態様に基づく3x3x3アレイのジャイロイドユニットセルを示す概略図である。
【
図3】
図3は、一実施態様に基づく壁付きFischer Sユニットを示す概略図である。
【
図4】
図4は、一実施態様に基づく極小曲面の特性を示す表である。
【
図5A】
図5Aは、一実施態様に基づく、ジャイロイドから形成されたスキャフォールド内に埋め込まれた血管網を示す概略図である。
【
図5B】
図5Bは、一実施態様に基づく、透明な壁を備えたジャイロイドから形成されたスキャフォールド内に埋め込まれた血管網を示す概略図である。
【
図5C】
図5Cは、一実施態様に基づく、Batwingから形成されたスキャフォールド内に埋め込まれた血管網を示す概略図である。
【
図5D】
図5Dは、一実施態様に基づく、透明な壁を備えたBatwingから形成されたスキャフォールド内に埋め込まれた血管網を示す概略図である。
【
図5E】
図5Eは、一実施態様に基づく、Fischer Sから形成されたスキャフォールド内に埋め込まれた血管網を示す概略図である。
【
図5F】
図5Fは、一実施態様に基づく、透明な壁を備えたFischer Sから形成されたスキャフォールド内に埋め込まれた血管網を示す概略図である。
【
図6】
図6は、一実施態様に基づく、Fischer S壁及び血管系を備えた3Dチップを示す概略図である。
【
図7A】
図7Aは、一実施態様に基づく、
図6に示されたFischer S壁を示す上面図である。
【
図7B】
図7Bは、一実施態様に基づく、
図6に示された血管系を示す上面図である。
【
図8】
図8は、一実施態様に基づく
図6に示された3Dチップを、平面A-Aに沿って示す断面図である。
【
図9】
図9は、一実施態様に基づく
図6に示された3Dチップを、平面B-Bに沿って示す断面図である。
【
図10】
図10は、一実施態様に基づく、1つ又は2つ以上の気道に対する距離を示す3Dチップモデルを示す概略図である。
【
図11】
図11は、一実施態様に基づく巨大Fischer 3Dチップのモデルを示す概略図である。
【
図12】
図12は、一実施態様に基づく巨大Fischer 3Dチップを示す概略図である。
【
図13】
図13は、一実施態様に基づくFischerブロック3Dチップのモデルを示す概略図である。
【
図14】
図14は、一実施態様に基づくFischerブロック3Dチップを示す概略図である。
【
図15】
図15は、一実施態様に基づく巨大Fischer 3Dチップ及びFischerブロック3Dチップに関するガス交換データを示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
種々の図面における同様の符号及び指定は、同様のエレメントを示す。
【0014】
本開示のシステム及び方法は、生物学的な構造又は機能に相応する3D印刷されたスキャフォールドを生成するために用いることができる。例えば、3D印刷されたスキャフォールドは、膵臓、腎臓、肺、肝臓、骨、又は同様の反復構造ユニットから成る任意の器官の構造又は機能に相応し得る。3D印刷されたスキャフォールドは、相応の自然発生する生物学的な構造又は機能と、構造又は機能が同一である必要は必ずしもない。いくつかの実施態様では、3D印刷されたスキャフォールドは、相応する生物学的な構造又は機能のモデルに基づくことができ、そして3D印刷されたスキャフォールドは、相応する器官の反復する構造ユニット又は機能ユニットを含むことができる。いくつかの実施態様では、人間の肺及び腎臓に相応する、3D印刷されたスキャフォールドを含む。本開示のシステム及び方法は、ガス及び流体を透過させ得る細胞バイオリアクタとして役立つスキャフォールドを印刷するために用いることができる。加えて、本開示のシステム及び方法は、3D印刷される物体の印刷プロセス中に、支持構造として用いることもできる。
【0015】
極小曲面は、局所的に面積を最小化する曲面を含むことができる(例えば小さな片が、その片の境界を跨ぐ曲面に関して可能な限り小さな面積を有する)。石鹸膜は極小曲面の例である。極小曲面はゼロ平均曲率を有することができる(例えば各点における主曲率の和がゼロである)。極小曲面は結晶構造(例えば3つの次元において反復する)を有し、且つ/又は三重周期的であり得る。
【0016】
図1A~1Cは、いくつかの模範的な三重周期極小曲面(TPMS)を示している。
図1Aは、ジャイロイド(例えばジャイロイド曲面)の概略図を示している。TPMSの一例はジャイロイドを含むことができる。
図1Bは、Batwing(例えばBatwing曲面)の概略図を示している。TPMSの別の例はBatwingを含むことができる。
図1Cは、Fischer S(例えばFischer S曲面)の概略図を示している。TPMSはFischer Sを含むこともできる。三重周期極小曲面の他の例は、SchwarzのP曲面、Batwing曲面、SchwarzのD曲面、Schoenのジャイロイド曲面、相補的D曲面、Neoviusの曲面、N14曲面、N26曲面、N38曲面、相補的P曲面、スターフィッシュ(starfish)曲面、ディスフェノイド(disphenoid)曲面、p3a曲面、ハイブリッド曲面、SchwarzのH曲面、SchoenのRII曲面、SchoenのRIII曲面、SchoenのI-6曲面、SchoenのI-8曲面、SchoenのI-9曲面、SchwarzのCLP曲面、SchoenのF-RD曲面、Schoenのハイブリッド-1[P,F-RD]曲面、SchoenのGW曲面、SchoenのI-WP曲面、SchoenのS’-S”曲面、SchoenのS’-S”|P曲面、SchoenのH’-T曲面、SchoenのH”-R曲面、SchoenのT’-R’曲面、SchoenのH’-T|H”-R曲面、SchoenのT’-R’|H’-T曲面、SchoenのH”-R|T’-R’曲面、SchoenのO,C-TO曲面、SchoenのF-RD(r)曲面、SchoenのI-WP(r)曲面、Schoenの、Genus 19のManta曲面、Schoenの、Genus 35のManta曲面、Schoenの、Genus 51のManta曲面、トリプレイン(triplane)曲面、ヘクスプレイン(hexplane)曲面、Fisher-Koch S曲面、Fisher-Koch C(S)曲面、Fisher-Koch Y曲面、及びFisher-Koch C(Y)曲面を含む。TPMSのこれらの具体例を含むいかなるTPMSも、本開示に基づく3D印刷されたスキャフォールドのために、単独または組み合わせで使用することができる。
【0017】
図2は、3x3x3アレイのジャイロイドユニットセルを示す概略図である。TPMSは3つすべての方位において周期的であり得る。TPMSは、
図2に示されているように、シームレスなタイル状であり得る。3x3x3アレイのジャイロイドユニットセルは、27のジャイロイドユニットセルを含むことができる。
【0018】
図3は、壁付きFischer Sユニットを示す概略図である。壁付きFischer Sユニットは厚さ305(例えば規定された厚さ)を含むことができる。壁付きFischer Sユニットは、曲面310(例えば壁、組織など)を含むことができる。TPMSは曲面であり、したがって零ボリュームを有する。ボリューム(例えば3Dユニット、3Dスキャフォールド、3D印刷された構造など)を作成するためには、曲面法線に沿って押し出すことにより、曲面(例えばシート)を規定の厚さを有する壁にすることができる。3D印刷された構造は、生物学的構造の構造及び/又は機能を模倣することができる。3D印刷された構造は、生物学的プロセスをモデル化するために使用することができる。壁(例えば厚さを有する壁)は組織をモデル化することができる。壁間のチャネルは気道をモデル化することができる。壁内部に血管系を有する場合、3Dスキャフォールドはガス交換ユニット(例えば模造肺胞)と考えることができる。組織厚及び気道チャネルのサイズはカスタマイズすることができる。組織厚は選択することができる。気道チャネルが所期(例えばターゲット)サイズを有するまで、ユニットセルをスケールアップすることができる。フィックの拡散法則によれば、壁が薄ければ薄いほど、より良好なガス交換を可能にすることができる。
【0019】
TPMS上の点はいずれも鞍点を含むことができる(例えば、その点が極大であり、垂直な断面が極小である、断面が存在する)。TPMS上のいずれの点も鞍点を含み得るので、モデルのいかなる所与の配向に関しても局所的な最小値はない。3D印刷プロセス中、モデルの配向がどのようなものであろうと、印刷できないモデル断面は存在しなくなる。
【0020】
図4は、極小曲面の特性を示す表である。フィックの拡散法則によれば、気道と血管系との間の界面面積が大きいほど、より良好なガス交換を可能にし得る。TPMSにおいて見出される迷路状の気道チャネルは、単位ボリューム当たり大きい曲面面積を提供することができる。薄壁付きジャイロイドの1mm
3ユニットセルの場合、曲面面積は5.89mm
2(平方mm)であり得る。薄壁付きBatwingの1mm
3(立方mm)ユニットセルの場合、曲面面積は8.98mm
2であり得る。薄壁付きFischer Sの1mm
3ユニットセルの場合、曲面面積は10.5mm
2であり得る。TPMS(例えばTPMSに基づく3Dスキャフォールド)は、ハイドロゲル中で印刷することができる。例えば、TPMSはハイドロゲル中で3D印刷することができる。TPMSは、印刷プロセス(例えば3D印刷プロセス)及び/又は通気プロセス中に被る力(例えば圧縮力、弾性力、剪断力など)に耐えることができる。TPMS群は、機械的剛性を準等方的に呈することができる。ジャイロイド、Batwing、及びFischer Sの弾性率値は、Hashin-Shtrikman(HS)境界に近似し得る(例えばHS境界の5%、10%、15%、又は20%以内)。ジャイロイド、Batwing、及びFischer Sの弾性率値は、HS境界の1/3であり得る。
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
透過率は、ダルシーの法則における比例定数の部分であり得る。ダルシーの法則は、多孔質媒体に加えられた圧力勾配に、流量及び流体物理特性(例えば粘度)を関連させる。より良好なガス交換のために、高い透過率を望むことができる。それというのも、透過率は媒体全体にわたる流れの広がりに関連するからである。
図4は、所与の長さスケールにおける種々のTPMSに関する透過率を示す。Batwingユニットセルの透過率は、
【数1】
である。ジャイロイドユニットセルの透過率は、
【数2】
である。Fischer Sのユニットセルの透過率は、
【数3】
である。
【0025】
ガス交換は、バリア界面を横切る2つの媒体間で発生し得る。壁付きTPMS(例えば3Dスキャフォールド)の場合、組織壁は両側に空気チャネルを有することができ、このように壁内部に血管系を埋め込むことにより、壁と空気との間にバリア界面を与えることができる。血液は、ガス交換が発生し得る2つの分離した空気チャネルを有することができる。高曲面面積のTPMSは、高密度な血管網が形成されるのを可能にすることができる。このような血管網は、血管系の直径が小さくなるのに伴ってより高密度になり得る。このことはガス交換のために重要であり得る。それというのも、フィックの法則は、拡散のための面積がより大きくなるほど、ガス交換量を増大させるからである。
【0026】
図5A~5Fは、ジャイロイド、Batwing、及びFischer Sから形成されたスキャフォールド510内に埋め込まれた高密度血管網(例えば血管系505)の例を示している。
図5Aは、ジャイロイド(例えばジャイロイドスキャフォールド、壁付きジャイロイドなど)から形成されたスキャフォールド510内に埋め込まれた血管網(例えば血管系505、血管網など)を示す概略図である。血管系505は、スキャフォールド510の壁内部に埋め込むことができる。
図5Bは、透明な壁を備えたジャイロイドから形成されたスキャフォールド510内に埋め込まれた血管網(例えば血管系505)を示す概略図である。透明な壁は、血管系の高密度な網を明らかにすることができる。
【0027】
図5Cは、Batwing曲面(例えばBatwingスキャフォールド、壁付きBatwingなど)から形成されたスキャフォールド510内に埋め込まれた血管網(例えば血管系505)を示す概略図である。血管系505は、スキャフォールド510の壁内部に埋め込むことができる。
図5Dは、透明な壁を備えたBatwingから形成されたスキャフォールド510内に埋め込まれた血管網(例えば血管系505)を示す概略図である。透明な壁は、血管系の高密度な網を明らかにすることができる。
【0028】
図5Eは、Fischer S曲面(例えばFischer Sスキャフォールド、壁付きFischer Sなど)から形成されたスキャフォールド510内に埋め込まれた血管網(例えば血管系505)を示す概略図である。血管系505は、スキャフォールド510の壁内部に埋め込むことができる。
図5Fは、透明な壁を備えたFischer Sから形成されたスキャフォールド510内に埋め込まれた血管網(例えば血管系505)を示す概略図である。透明な壁は、血管系の高密度な網を明らかにすることができる。
【0029】
図6は、Fischer S壁及び血管系を備えた3Dチップ600を示す概略図である。3Dチップ600は、TPMSに基づく壁を含むことができる。3Dチップ600(例えばガス交換チップ、装置)は、壁(例えば組織)によって取り囲まれた1つ又は2つ以上の気道605(例えば気道、空気チャネルなど)を含むことができる。3Dチップ600は、壁内部に埋め込まれた血管系505を含むことができる。Fischer S TPMSは、カプセル形状に適合するようにタイル状に形成されている。1つ又は2つ以上の気道605は、二叉入口によって供給を行うことができる。3Dチップ600は気道入口615を含むことができる。3Dチップ600は1つ又は2つ以上の気道入口を含むことができる。3Dチップ600は気道出口620を含むことができる。3Dチップ600は1つ又は2つ以上の気道出口を含むことができる。TPMSは膨張及び/又は収縮させることができる。3Dチップ600は血管系入口625を含むことができる。3Dチップ600は1つ又は2つ以上の血管系入口を含むことができる。3Dチップ600は血管系出口630を含むことができる。3Dチップ600は1つ又は2つ以上の血管系出口を含むことができる。血管系505は、入口(例えば二叉入口、三叉入口、四叉入口、五叉入口、六叉入口など)から供給を行うことができる。血管系は六叉出口(例えば二叉出口、三叉出口、四叉出口、五叉出口、六叉出口など)を通って出ることができる。3Dチップ600はハイドロゲル610(例えばハイドロゲルマトリックス、マトリックスなど)を含むことができる。3Dチップ600は、2D又はプレーナ構造とは異なり、3D構造であり得る。3D構造は、単位ボリューム当たりより大きい曲面面積を提供することができる。曲面面積がより大きいと2D又はプレーナ構造を凌ぐ改善されたガス交換をもたらすことができる。3Dチップ600は幅及び高さを有することができる。3Dチップ600の幅と3Dチップ600の高さとは、同じ規模であり得る。これとは異なり、2D又はプレーナ構造は、高さよりも実質的に大きい幅を有することができる。例えば、2D又はプレーナ構造は、高さよりも一桁又は二桁以上大きい幅を有することができる。
【0030】
TPMSは、3D印刷されたスキャフォールドのための、内部機械的支持構造又は外部機械的支持構造のうちの少なくとも一方を含み得る。例えば、TPMSに基づく支持構造は、3D印刷されたスキャフォールドのための機械的支持体として役立つことができる。支持構造はパーツの変形を防止し、印刷床に対してパーツを位置固定し、且つ/又はパーツが、印刷済みの部分の主本体に付着するのを保証することができる。
【0031】
3Dチップ600は、三重周期極小曲面を含むことができる。3Dチップは、三重周期極小曲面から形成されたスキャフォールド510(例えば3Dスキャフォールド、3D印刷されたスキャフォールドなど)を含むことができる。三重周期極小曲面はジャイロイドを含むことができる。三重周期極小曲面はBatwingを含むことができる。三重周期極小曲面はFischer Sを含むことができる。3Dスキャフォールドは、1つ又は2つ以上の気道605を含むことができる。3Dスキャフォールドは、3Dスキャフォールドによって形成された1つ又は2つ以上のチャネルを含むことができる。前記1つ又は2つ以上のチャネルは1つ又は2つ以上の軌道605を含むことができる。血管網は3Dスキャフォールド内部に埋め込むことができる。例えば、血管系505はスキャフォールド510の壁によって取り囲むことができる。3D印刷されたスキャフォールドは、器官、オルガノイド、又は器官の断片をモデル化することができる。例えば、3D印刷されたスキャフォールドは腎臓、心臓、肝臓、肺、脾臓、脳、血管、胆嚢、胃、膵臓、膀胱、骨、骨格の骨、軟骨、皮膚、毛包、腸、筋肉、喉頭、咽頭、又は同様の反復構造ユニットから成る任意の器官の構造をモデル化することができる。3Dスキャフォールドは細胞バイオリアクタを含み、細胞バイオリアクタは、ガス、流体、小分子、サイトカイン、又は成長因子のうちの少なくとも1つを透過させることができる。
【0032】
装置はガス交換チップ(例えば3Dチップ600)を含むことができる。ガス交換チップはガス(例えばO2)を交換することができる。3Dスキャフォールドは、生物学的材料(例えば島細胞、上皮細胞、骨芽細胞、破骨細胞、骨細胞など)を播種されたガス交換スキャフォールド(例えば3Dスキャフォールド)を含むことができる。生物学的材料を播種されたガス交換スキャフォールドは、ガス交換チップ内部に配置することができる。
【0033】
図7Aは、
図6に示されたFischer S壁(例えば組織)を示す上面図である。空気チャネルは壁の間に位置することができる。例えば、空気チャネルは壁によって形成することができる。血管系505は壁内部に埋め込むことができる。
図7Bは、
図6に示された血管系505を示す上面図である。血管系505は壁(例えばFischer S壁)内に配置することができる。血管系505は、血管系入口625を含むことができる。血管系505は、血管系出口630を含むことができる。
【0034】
図8は、
図6に示された3Dチップ600を、平面A-Aに沿って示す断面図である。3Dチップ600の幅825は7.2mmであり、高さ830は6mmである。3Dチップ600はカプセル800(例えば3Dスキャフォールド、ガス交換スキャフォールドなど)を含むことができる。3Dスキャフォールドの厚さは、15μm~700μm(例えば15μm、50μm、75μm、100μm、125μm、150μm、175μm、200μm、225μm、250μm、275μm、300μm、325μm、350μm、375μm、400μm、500μm、525μm、550μm、575μm、600μm、625μm、650μm、675μm、700μm(この値を含む))であり得る。カプセル800の直径(例えばカプセル直径)は5mmであり得る。カプセル800及び3Dチップ600の縁部からの距離は500μm~1.1mmであり得る。カプセル800は、ハイドロゲル610内に埋め込むことができる。カプセル800は厚さ305(例えば壁厚)を含むことができる。壁厚はTPMS壁の厚さを含むことができる。壁厚は例えば600μmであり得る。カプセル800は気道厚805を含むことができる。気道厚805は、1つ又は2つ以上の気道チャネルの厚さ(例えばサイズ)を含むことができる。気道厚805は、例えば600μmであり得る。カプセル800は気道接合部厚810を含むことができる。気道接合部厚810は、気道がフォーク状に且つ/又は二叉路状に分岐する1つ又は2つ以上の気道チャネルの厚さ(例えばサイズ)を含むことができる。気道接合部厚810は例えば1.15mmであり得る。
【0035】
カプセル800は血管系直径815を含むことができる。血管系直径815(例えば血管網の厚さ)は、TPMS壁内の血管系の直径を含むことができる。血管系直径815は例えば200μmであり得る。血管網の厚さは、5μm~500μm(例えば5μm、10μm、20μm、50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm(この値を含む))であり得る。カプセル800は、界面距離820を含むことができる。界面距離820は、血管系から1つ又は2つ以上の気道605までの距離を含むことができる。界面距離820は例えば200μmであり得る。血管網と三重周期極小曲面とは、界面距離820だけ分離することができる。界面距離820は、1μm~400μm(例えば1μm、5μm、10μm、25μm、50μm、100μm、200μm、300μm、400μm(この値を含む))であり得る。カプセル800は幅と高さとを有することができる。カプセル800の幅とカプセル800の高さとは同じ規模であり得る。
【0036】
図9は、
図6に示された3Dチップ600を、平面B-Bに沿って示す断面図である。3Dチップ600は幅が7.2mmであり、長さ905が28mmであり得る。チップ600はカプセル800を含むことができる。カプセル800はハイドロゲル610内に埋め込むことができる。カプセル800の長さ(例えばカプセル長)は15mmであり得る。界面距離L及び直径Dの血管系505に関して、血管系505上の点から1つ又は2つ以上の気道605までの距離は、LとL+D/2との間であり得る。カプセル800は気道入口615を含むことができる。カプセル800は気道出口620を含むことができる。カプセル800は血管系入口625を含むことができる。カプセル800は血管系出口630を含むことができる。
【0037】
図10は、1つ又は2つ以上の気道605に対する距離を示す3Dチップモデルを示す概略図である。血管系505上の点から1つ又は2つ以上の気道605までの距離は、200μm~300μm(例えば200μm、205μm、210μm、215μm、220μm、225μm、230μm、235μm、240μm、245μm、250μm、255μm、260μm、265μm、270μm、275μm、280μm、285μm、290μm、295μm、300μm(この値を含む))であり得る。
【0038】
図11は、巨大(giant)Fischer 3Dチップ(例えば巨大Fischer)のモデル(例えばコンピュータレンダー、コンピュータでレンダリングされた画像など)を示す概略図である。モデルは血管系505を含むことができる。モデルは1つ又は2つ以上の気道605を含むことができる。カプセル800は、ハイドロゲル610内に埋め込むことができる。血管系505及び1つ又は2つ以上の気道605は、ハイドロゲル610内に埋め込むことができる。カプセル800は気道入口615を含むことができる。カプセル800は気道出口620(図示せず)を含むことができる。カプセル800は血管系入口625を含むことができる。カプセル800は血管系出口630を含むことができる。
【0039】
図12は、巨大Fischer 3Dチップを示す概略図である。巨大Fischer 3Dチップは、ガス交換(例えば通気され血液で灌流された)後の状態で示されている。カプセル800は、ハイドロゲル610内に埋め込むことができる。血管系505及び1つ又は2つ以上の気道605は、ハイドロゲル610内に埋め込むことができる。カプセル800は気道入口615を含むことができる。カプセル800は気道出口620を含むことができる。カプセル800は血管系入口625を含むことができる。カプセル800は血管系出口630を含むことができる。
【0040】
図13は、Fischerブロック3Dチップ(例えばFischerブロック)のモデル(例えばコンピュータレンダー、コンピュータでレンダリングされた画像など)を示す概略図である。モデルは血管系505を含むことができる。モデルは1つ又は2つ以上の気道605を含むことができる。カプセル800は、ハイドロゲル610内に埋め込むことができる。血管系505及び1つ又は2つ以上の気道605は、ハイドロゲル610内に埋め込むことができる。カプセル800は気道入口615を含むことができる。例えば、カプセル800は2つの気道入口を含むことができる。カプセル800は気道出口620を含むことができる。カプセル800は血管系入口625を含むことができる。カプセル800は血管系出口630を含むことができる。
【0041】
図14は、Fischerブロック3Dチップを示す概略図である。Fischer 3Dチップは、ガス交換(例えば通気され血液で灌流された)後の状態で示されている。カプセル800は、ハイドロゲル610内に埋め込むことができる。血管系505及び1つ又は2つ以上の気道605は、ハイドロゲル610内に埋め込むことができる。カプセル800は気道入口615を含むことができる。例えば、カプセル800は2つの気道入口を含むことができる。カプセル800は気道出口620を含むことができる。カプセル800は血管系入口625を含むことができる。カプセル800は血管系出口630を含むことができる。
【0042】
図15は、巨大Fischer 3Dチップ及びFischerブロック3Dチップに関するガス交換データを示す表である。巨大Fischer 3Dチップの血管直径は400μmであり得る。巨大Fischer 3Dチップの界面直径は300μmであり得る。巨大Fischer 3Dチップの組織ボリュームは、693.8mm
3であり得る。巨大Fischer 3Dチップの血流量は200μL/minであり得る。巨大Fischer 3Dチップのデルタ酸素含有率は、1.6mL O
2/dl血液量であり得る。巨大Fischer 3Dチップの酸素移動率は、0.0046mL O
2/dl組織量であり得る。
【0043】
巨大Fischer 3Dチップの血管直径は400μmであり得る。巨大Fischer 3Dチップの界面直径は300μmであり得る。巨大Fischer 3Dチップの組織ボリュームは、693.8mm3であり得る。巨大Fischer 3Dチップの血流量は400μL/minであり得る。巨大Fischer 3Dチップのデルタ酸素含有率は、1.2mL O2/dl血液量であり得る。巨大Fischer 3Dチップの酸素移動率は、0.0069mL O2/dl組織量であり得る。
【0044】
Fischerブロック3Dチップの血管直径は、400μmであり得る。Fischerブロック3Dチップの界面直径は、300μmであり得る。Fischerブロック3Dチップの組織ボリュームは、1830.34mm3であり得る。Fischerブロック3Dチップの血流量は、100μL/minであり得る。Fischerブロック3Dチップのデルタ酸素含有率は、2.5mL O2/dl血液量であり得る。Fischerブロック3Dチップの酸素移動率は、0.0014mL O2/dl組織量であり得る。
【0045】
Fischerブロック3Dチップの血管直径は、400μmであり得る。Fischerブロック3Dチップの界面直径は、300μmであり得る。Fischerブロック3Dチップの組織ボリュームは、1830.34mm3であり得る。Fischerブロック3Dチップの血流量は、200μL/minであり得る。Fischerブロック3Dチップのデルタ酸素含有率は、1.7mL O2/dl血液量であり得る。Fischerブロック3Dチップの酸素移動率は、0.0018mL O2/dl組織量であり得る。
【0046】
ガス交換ユニットを形成する方法が、三重周期極小曲面から形成された3Dスキャフォールドを印刷することを含み得る。3Dスキャフォールドは、三重周期極小曲面から形成することができる。三重周期極小曲面は、ジャイロイド、Batwing、又はFischer Sのうちの少なくとも1つを含むことができる。三重周期極小曲面は、3D印刷されたスキャフォールドのための、内部機械的支持構造又は外部機械的支持構造のうちの少なくとも一方であり得る。
【0047】
TPMSの一例はFischer Sを含むことができる。三重周期極小曲面の他の例は、SchwarzのP曲面、Batwing曲面、SchwarzのD曲面、Schoenのジャイロイド曲面、相補的D曲面、Neoviusの曲面、N14曲面、N26曲面、N38曲面、相補的P曲面、スターフィッシュ(starfish)曲面、ディスフェノイド(disphenoid)曲面、p3a曲面、ハイブリッド曲面、SchwarzのH曲面、SchoenのRII曲面、SchoenのRIII曲面、SchoenのI-6曲面、SchoenのI-8曲面、SchoenのI-9曲面、SchwarzのCLP曲面、SchoenのF-RD曲面、Schoenのハイブリッド-1[P,F-RD]曲面、SchoenのGW曲面、SchoenのI-WP曲面、SchoenのS’-S”曲面、SchoenのS’-S”|P曲面、SchoenのH’-T曲面、SchoenのH”-R曲面、SchoenのT’-R’曲面、SchoenのH’-T|H”-R曲面、SchoenのT’-R’|H’-T曲面、SchoenのH”-R|T’-R’曲面、SchoenのO,C-TO曲面、SchoenのF-RD(r)曲面、SchoenのI-WP(r)曲面、Schoenの、Genus 19のManta曲面、Schoenの、Genus 35のManta曲面、Schoenの、Genus 51のManta曲面、トリプレイン(triplane)曲面、ヘクスプレイン(hexplane)曲面、Fisher-Koch S曲面、Fisher-Koch C(S)曲面、Fisher-Koch Y曲面、及びFisher-Koch C(Y)曲面を含む。
【0048】
3Dスキャフォールドは、血管網(例えば血管系、血管網など)を含むことができる。血管網は流体を導くことができる。血管網の厚さは、5μm~500μm(例えば5μm、10μm、20μm、50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm(この値を含む))であり得る。血管網と三重周期極小曲面とは、界面距離だけ分離することができる。界面距離は、1μm~400μm(例えば1μm、5μm、10μm、25μm、50μm、100μm、200μm、300μm、400μm(この値を含む))であり得る。
【0049】
3Dスキャフォールドは1つ又は2つ以上のチャネル(例えば気道チャネル、気道など)を含むことができる。1つ又は2つ以上のチャネルは、ガス(例えばO2)を保持することができる。1つ又は2つ以上のチャネルは、3Dスキャフォールドによって形成することができる。血管網は、3Dスキャフォールドの壁の内部に埋め込むことができる。1つ又は2つ以上のチャネルは、3Dスキャフォールドの壁の間に位置決めすることができる。
【0050】
方法は、3Dスキャフォールドをガス交換チップ内へ(例えばチップ内に、チップ上に、チップ上へ、など)配置することを含み得る。例えば、方法は、ガス交換チップのマトリックス内へ、3Dスキャフォールドを配置することを含み得る。3Dスキャフォールドは、生物学的材料を播種されたガス交換スキャフォールドを含むことができる。生物学的材料を播種されたガス交換スキャフォールドは、ガス交換チップ内部に配置することができる。
【0051】
単数形で言及された本明細書中のシステム及び方法の実施形又はエレメント又は行為のいかなる言及も、複数のこれらのエレメントを含む実施形を含むことができ、そして任意の実施形又はエレメント又は行為に複数形で言及するときには、このような言及はいずれもただ1つのエレメントを含む実施形を含むことができる。単数形又は複数形での言及は、目下開示されているシステム又は方法、これらのコンポーネント、行為、又はエレメントを単数形態又は複数形態に限定しようとするものではない。任意の行為又はエレメントが任意の情報、行為、又はエレメントに基づいて言及されるときには、これらの言及は、行為又はエレメントが任意の情報、行為、又はエレメントに少なくとも部分的に基づいている実施形を含み得る。
【0052】
本明細書中に用いられる「ほぼ(approximately)」、「約(about)」、「実質的に(substantially)」、及び同様の用語は、本開示の主題が関連する分野における当業者による共通の且つ許容される語法と調和した広い意味を有するものとする。本開示を検討した当業者には明らかなように、これらの用語は、説明され請求項に記載されたある特定の特徴の記述を可能にし、この場合これらの特徴の範囲を提供された正確な数値範囲に制約しないように意図されている。したがって、これらの用語は、説明され請求項に記載された主題の取るに足らない又は重要ではない改変又は変更が、添付の請求項に示された開示の範囲内に含まれるものと考えられることを示すものとして解釈されるべきである。
【0053】
なお、種々の実施態様を記述するために本明細書中に使用される「模範的(exemplary)」という用語、及びこれらの変化形は、このような実施態様が、考えられ得る実施態様の考えられ得る例、表現、又は説明であることを示すように意図される(そしてこのような用語は、このような実施態様が必然的に並外れた又は最上級の例であることを暗示しようとするものではない)。
【0054】
本明細書中に使用される「カップリングされる(coupled)」という用語及びその変化形は、2つの部材が直接又は間接に互いに接合されることを意味する。このような接合は定置(例えば永久的又は固定的)であるか、又は運動可能(例えば取り外し可能又は解離可能)であってよい。このような接合は、互いに直接にカップリングされた2つの部材によって達成されてよく、この場合、2つの部材は、別個の介在部材と、互いにカップリングされた任意のさらなる中間部材とを使用して互いにカップリングされるか、又は2つの部材は、2つの部材の一方と、単一の統一的な本体として一体的に形成された介在部材とを使用して互いにカップリングされる。「カップリングされる(coupled)」という用語及びその変化形が、さらなる用語によって修飾される(例えば「直接にカップリングされる(directly coupled)」)場合には、上記「カップリングされる」の一般的定義が、前記さらなる用語の平易な言語の意味によって修飾され(例えば「直接にカップリングされる(directly coupled)」は、任意の別個の介在部材なしで2つの部材が接合されることを意味する)は、上記「カップリングされる」の一般的定義よりも狭い定義となる。このようなカップリングは、機械的、電気的、又は流体的であってよい。
【0055】
本明細書中に開示された任意の実施形は、任意の他の実施形と組み合わせてよく、そして「実施形(an implementation)」、「いくつかの実施形(implementations)」、「代わりの実施形(an alternate implementation)」、「種々の実施形(some implementations)」、「一実施形(one implementation)」、又はこれに類するものは、必ずしも互いに排他的ではなく、そして実施形との関連において記載された具体的な特徴、構造、又は特性が少なくとも1つの実施形に含まれ得ることを示すように意図される。本明細書中に使用されるような用語は、必ずしもすべてが同じ実施形を参照するとは限らない。いかなる実施形も、本明細書中に開示された態様及び実施形と一致する形で、包括的又は排他的に、任意の他の実施形と組み合わされてよい。
【0056】
「又は(or)」に言及するときには、これは包括的なものと解釈してよく、「又は」を使用して記述されるいかなる用語も、記述された用語のただ1つ、2つ以上、及びすべてのうちのいずれかを示し得る。用語の接続リストの少なくとも1つに言及するときには、これは包括的ORと解釈されてよく、これにより記述された用語のただ1つ、2つ以上、及びすべてのうちのいずれかを示し得る。例えば、「A及びBのうちの少なくとも一方」に言及するときには、これは「A」のみ、「B」のみ、並びに「A」及び「B」の両方を含むことができる。「A」及び「B」以外のエレメントを含むこともできる。
【0057】
エレメントの位置(例えば「上(top)」、「下(bottom)」、「上方(above)」、「下方(below)」に本明細書中で言及するときには、これは、図面における種々のエレメントの配向を記述するために使用されるにすぎない。なお、種々のエレメントの配向は、他の模範的実施態様に基づき異なっていてよく、またこのような変更形は本開示により包含されるものとする。
【0058】
図面及び明細書は、方法工程の特定の順序を示してはいるものの、このような工程の順序は、特に上で断りのない限り、示され記述されたものとは異なってよい。また、特に上で断りのない限り、2つ又は3つ以上の工程は同時に、又は部分的に同時に実施されてよい。このような変更は、例えば選択されたソフトウェア及びハードウェアシステムに、また設計者の選択に依存してよい。すべてのこのような変更形は、開示の範囲内に含まれる。同様に、記載の方法のソフトウェアの実行は、種々の接続工程、処理工程、比較工程、及び決定工程を達成するために、ルールに基づく論理及び他の論理を用いた標準的なプログラミング技術によって達成することもできる。
【0059】
図面、詳細な説明、又は請求項における技術的特徴に符号が続いている場合、これらの符号は、図面の理解しやすさを高めるために含まれている。したがって、符号も符号が存在しないことも、請求要素の範囲に制限的な影響を及ぼすことはない。
【0060】
本明細書中に記載されたシステム及び方法は、これらの特性を逸脱することなしに、他の特定の形態において具体化されてよい。前記実施形は、記載されたシステム及び方法を制限するのではなく例示するものである。本明細書中に記載されたシステム及び方法の範囲はこのように、前記記述内容ではなく、添付の請求項によって示され、請求項の意味及び等価の範囲内に来る変更は請求項に包含される。
【国際調査報告】