(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】ロボット用のマーキングシステム
(51)【国際特許分類】
B05B 15/33 20180101AFI20241031BHJP
B05B 12/00 20180101ALI20241031BHJP
B05B 13/04 20060101ALI20241031BHJP
E04F 21/08 20060101ALI20241031BHJP
B25J 13/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B05B15/33
B05B12/00 A
B05B13/04
E04F21/08 M
B25J13/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526765
(86)(22)【出願日】2022-11-09
(85)【翻訳文提出日】2024-05-07
(86)【国際出願番号】 EP2022081252
(87)【国際公開番号】W WO2023088745
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Hilti Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Feldkircherstrasse 100, 9494 Schaan, Liechtenstein
(74)【代理人】
【識別番号】100123342
【氏名又は名称】中村 承平
(72)【発明者】
【氏名】サッシャ ルーキッチ
(72)【発明者】
【氏名】ハファード ハルフォーセン
(72)【発明者】
【氏名】インクフェ ヤコブセン
【テーマコード(参考)】
3C707
4D073
4F035
【Fターム(参考)】
3C707AS13
3C707AS21
3C707DS01
3C707GS01
4D073AA01
4D073BB03
4D073CA01
4D073CA07
4D073CA11
4D073CB02
4D073CB20
4D073CB21
4D073CB24
4F035AA03
4F035BC02
4F035BC06
4F035CD06
4F035CD08
4F035CD12
(57)【要約】
本発明は、ロボット2用のマーキングシステム1であって、マーキング用の塗料11を貯蔵するように構成された塗料容器12と、塗料をスプレー又はプリントするためのヘッド10と、塗料をヘッドに送達するためのホース13であって、ヘッド10に接続されている第1の端部131及び塗料容器12に挿入されている第2の端部132を備える前記ホース13と、塗料11を塗料容器12からホース13内に抽出するための負圧装置14とを備え、塗料容器12内にガイド装置3が受け入れられ、前記ガイド装置3はホースの前記第2の端部132を塗料容器の向きに関係なく塗料11と接触した状態に保つように構成されている、ロボット2用のマーキングシステム1に関する。このようなガイド装置を使用すると、ロボット2用のマーキングシステム1は、塗料容器12が移動及び/又は回転した場合でも良好に機能することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マーキング用の塗料(11)を貯蔵するように構成された塗料容器(12)と、前記塗料をスプレー又はプリントするためのヘッド(10)と、前記塗料を前記ヘッドに送達するためのホース(13)であって、前記ヘッド(10)に接続されている第1の端部(131)及び前記塗料容器(12)に挿入されている第2の端部(132)を備える前記ホース(13)と、前記塗料(11)を前記塗料容器(12)から前記ホース(13)内に抽出するための負圧装置(14)とを備える、ロボット(2)用のマーキングシステム(1)であって、前記塗料容器(12)内にガイド装置(3)が受け入れられ、前記ガイド装置(3)は、前記ホースの前記第2の端部(132)を前記塗料容器の向きにかかわらず前記塗料(11)と接触した状態に保つように構成されている、ロボット(2)用のマーキングシステム(1)。
【請求項2】
前記ガイド装置(3)が、前記ホース(13)の前記第2の端部(132)に取り付けられ、重力によって前記ホース(13)の前記第2の端部(132)を移動させる、請求項1に記載のマーキングシステム(1)。
【請求項3】
前記ガイド装置(3)が重量体であり、前記ガイド装置(3)の重量は、前記塗料容器(12)内に貯蔵されている前記塗料(11)の最大浮力よりも大きい、請求項2に記載のマーキングシステム(1)。
【請求項4】
前記ホース(13)の前記第2の端部(132)が前記重量体の貫通孔に挿入されている、請求項3に記載のマーキングシステム(1)。
【請求項5】
前記マーキングシステム(1)が、前記ロボット(2)のエンドエフェクタであるように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のマーキングシステム(1)。
【請求項6】
前記ロボット(2)が、移動可能及び/又は回転可能なツールアーム(20)を備える、請求項5に記載のマーキングシステム(1)。
【請求項7】
前記マーキングシステム(1)が、前記ロボット(2)の前記ツールアーム(20)に取り付けられる、及び/又は前記ツールアーム(20)から解放されるように構成されている、請求項6に記載のマーキングシステム(1)。
【請求項8】
前記塗料容器(12)が円筒形又は角胴形である、請求項1に記載のマーキングシステム(1)。
【請求項9】
前記ホース(13)が、硬質で屈曲不可能な材料で形成された直線部分(133)と、軟質で屈曲可能な材料で形成された屈曲部分(134)とを含み、前記直線部分(133)は回転可能なコネクタ(135)を用いて前記屈曲部分(134)に接続されている、請求項1~8のいずれか一項に記載のマーキングシステム(1)。
【請求項10】
前記直線部分(133)の長さが前記屈曲部分(134)の長さと実質的に等しい、請求項9に記載のマーキングシステム(1)。
【請求項11】
前記ホース(13)が軟質及び屈曲可能な材料で形成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載のマーキングシステム(1)。
【請求項12】
前記塗料容器(12)が、上面(120)と、対向する底面(121)と、前記上面(120)と前記底面(121)とを接続する少なくとも1つの側面(122)と、前記上面(120)及び前記底面(121)に実質的に垂直な中心軸(123)とを含み、前記ホース(13)は前記塗料容器(12)の前記中心軸(123)に対して離れた位置に配置されている、請求項1~11のいずれか一項に記載のマーキングシステム(1)。
【請求項13】
前記ホース(13)が、前記塗装容器(12)の前記側面(122)の近くに配置されている、請求項12に記載のマーキングシステム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマーキングシステムに関する。本発明は、ツール用の、特に建設分野で使用されるロボット用のマーキングシステムにも関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートへのマーキングシステム及びプリントは一般的なツールである。一般的に、マーキングシステムには、プリントヘッドと塗料容器とが含まれる。塗料容器は静止しているが、プリントヘッドが移動するか、又は対象物がプリントヘッドの前で移動する。
【0003】
この種のマーキングシステムの問題は、建設ロボットによる使用である。なぜなら、塗料容器は静止して配置される必要がある一方、プリントヘッドはロボットアームに取り付けられているためである。通常、このような容器は、流動性塗料が容器から流れ出ることができるように直立する必要がある。塗料が流れる経路が長くなると、ロボットアームの操作に問題が生じる。それに加えて、ロボットの場合、ツールチェンジャーを実装する必要がある。例えば、ロボットのエンドエフェクタを、例えばボール盤からプリント装置に、或いはその逆に交換することがある。塗料容器が可動プラットフォームに取り付けられている場合は、ホースなどを(移動する)プリント装置に接続するか又は取り外す必要があり、非常に複雑になる。更に、ホース内の塗料が乾燥してしまう可能性があり、事態は更に複雑になる。
【0004】
しかしながら、塗料容器がロボットアームに取り付けられている場合、塗料を天井、壁、又は床のいずれにプリントするか又はスプレーするかによって、塗料容器が移動し、向きを変える、或いは逆さまになることさえあり得る。塗料容器の移動又は回転に起因して、塗料は重力に従って動き、塗料容器内のホースが下部位置にない場合は塗料が流れ出ない。したがって、通常の塗料容器は、ロボット上で移動又は回転する場合には機能しないであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、塗料容器の向きに関わらず塗料が塗料容器から流れ出ることができる、ロボット用マーキングシステムを提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、塗料の急速な乾燥と塗料詰まりの発生を回避する、流動性塗料のための簡単なインタフェースを備えたロボット用マーキングシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、塗料を貯蔵するように構成された塗料容器と、塗料をスプレー又はプリントするためのヘッドと、塗料をヘッドに送達するためのホースであって、ヘッドに接続されている第1の端部及び容器に挿入されている第2の端部を備える前記ホースと、塗料を塗料容器からホース内に抽出するための負圧装置と、を備え、塗料容器内にガイド装置が受け入れられ、前記ガイド装置はホースの第2の端部を塗料容器の向きに関係なく塗料と接触した状態に保つように構成されている、ロボット用のマーキングシステムを提供する。このようなガイド装置を使用すると、ロボット用マーキングシステムは、塗料容器が移動又は回転した場合でも良好に機能することができる。
【0008】
本発明によるマーキングシステムの有利な構成では、前記ガイド装置がホースの第2の端部に取り付けられ、重力によってホースの第2の端部を移動させる。重力に従って、ホースの第2の端部に取り付けられたガイド装置がホースの第2の端部を塗料容器内の塗料の水平レベルより下に案内するが、これは、塗料も重力によって容器の下部位置に流れるからである。
【0009】
本発明によるマーキングシステムの別の有利な構成では、前記ガイド装置が重量体(mass)であり、ホースがホースに挿入されており、前記重量体の重量が塗料容器内に貯蔵されている塗料の最大浮力よりも大きい。このようなガイド装置は、重力を利用してホースの第2の端部を常に塗料に接触した状態に保つための簡単で効果的な解決策である。
【0010】
本発明によるマーキングシステムの更に別の有利な構成では、マーキングシステムがロボットのエンドエフェクタとなるように構成される。これにより、ホース内に塗料が入らないという問題なしに、空間内の任意の位置にマーキングできるロボットエンドエフェクタツールとしてマーキングシステムを構成できる。もう1つの利点は、塗料容器とヘッドのスプレーノズルの間の距離が短いため、スプレーの開始がより速くなり、詰まりの可能性がより低くなり、メンテナンスがより良くなることである。
【0011】
ロボットは、移動可能及び/又は回転可能なツールアームを備えることが好ましい。マーキングシステムは、ロボットのツールアームに取り付けられる、及び/又はロボットのツールアームから取り外されるように構成される。この構成によると、ロボットはツール交換を実行できる。マーキングシステムは、ツール交換システムを備えたロボットによって取り外す及び/又は持ち上げることができる。
【0012】
塗料容器は円筒形又は角胴形であることが好ましい。このような正円筒形又は角胴形の塗料容器は、塗料が塗料容器からスムーズに流出するのに役立ち、また、正円筒形又は角胴形の容器は製造及び塗料容器へのホースの設置も容易である。
【0013】
本発明によるディスペンサの更に別の有利な構成では、ホースが、硬質で屈曲不可能な材料で形成された直線部分と、軟質で屈曲可能な材料で形成された屈曲部分とを含み、前記直線部分が前記屈曲部分に回転可能なコネクタで接続されている。これにより、ロボットのアームの動きに伴って容器が移動するか又は回転する際に、塗料が塗料容器内のより下部の位置に向かって流れるとともに、軟質の屈曲可能な部分が塗料容器内の下部位置に向かって屈曲することにもなる。
【0014】
直線部分の長さは、屈曲部分の長さと実質的に等しいことが好ましい。これにより、ホースの第2の端部は、容器の内部の任意の平面又は隅に到達でき、直立位置にある場合は容器の円筒形又は角胴形の上壁にも到達できる。例えば、容器が180度回転されて、軟質で屈曲可能な部分が直線部分の接続部から容器の上壁に向かって屈曲する。
【0015】
或いは、前記ホースは、軟質で屈曲可能な材料で形成される。ホースの全長は軟質で屈曲可能な素材で形成されている。これにより、直線部分が不要となり、ホースは屈曲可能となる。軟質で屈曲可能な材料は、塗料容器のサイズに適合するものとする。ホースの材質は、円弧の屈曲を許容しつつ、ホースの挟み込みを防止するものであることが好ましい。
【0016】
前記塗料容器は、上面と、対向する底面と、上面と底面とを接続する少なくとも1つの側面と、上面及び底面に実質的に垂直な中心軸とを含むことが好ましい。前記ホースは、塗料容器の中心軸からオフセットして(離れた位置に)配置される。より好ましくは、前記ホースは、塗装容器の側面の近くに配置される。これにより、容器内のホースを常に塗料容器内で下部位置に向かって屈曲させることができるようになる。
【0017】
本発明の更なる特徴及び利点は、以下、図面を参照して、一例としての実施例によって更に詳細に説明される。
【0018】
図面において、類似の参照数字が様々な図にわたって類似の部品を示すために使用されている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】ロボットに取り付けられているマーキングシステムの一実施例を示す図である。
【
図2】ロボット用のマーキングシステムの一実施例の概略図である。
【
図3】90度回転されたマーキングシステムの一実施例の概略図である。
【
図4】180度回転されたマーキングシステムの一実施例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に示すように、マーキングシステム1はロボット2用である。例えば、ロボット2は、建設現場で使用され、建設プロジェクトの生産性を高めるのに役立つロボットである。この革新的な建設ロボットは、設置作業を引き受けることができるとともに、作業員がデータを通じてプロジェクトの進行状況とステータスを追跡できるようにする。デジタル図面を使用して、ロボットはマークを付けて穴をあけ、建設作業員を頭上での穴あけという骨の折れる作業から解放し、建設ロボットの操作に集中できるようにする。ロボット2は、ロボットを構成する部分として移動又は回転して様々な機能を実行できるツールアーム20を含む。エンドエフェクタは、ロボットアームの端部に取り付けられるツール、装置、又はプロセスサブシステムである。エンドエフェクタは、ロボットが動作する作業環境と相互作用するように特別に設計されている。ツールとそのプログラミングは、ロボットが実行しているプロジェクトによって異なる。例えば、ロボット2は、ロボットアーム20の端部に接続された塗装エンドエフェクタツールを用いて、天井、壁、又は床などのコンクリート上にマーキングを行うことができる。製造で使用されるロボットに取り付けられた一般的なエンドエフェクタは、通常、単一のエンドエフェクタで1つの反復タスクのみを実行するが、ツールチェンジャーを追加することで、ロボット2は別のエンドエフェクタに交換して他のタスクを実行できる。
【0021】
図1~
図4を参照すると、本発明によるロボット2用マーキングシステム1は、ロボットアーム20の先端に取り付けられる一種のエンドエフェクタである。マーキングシステム1は、塗料11をプリント又はスプレーするためのヘッド10、塗料をヘッド10に送達するためのホース13、流動性塗料11を貯蔵するための塗料容器12、及び流体としての塗料が容器からヘッドへ流れ出し、その後、マークされる点又は場所にヘッドからスプレー又は注入されるのを助ける、負圧装置14を備える。塗料11は、コンクリート又は他の表面にマーキングするために使用できる一種のカラー流体である。例えば、塗料11は、インク、顔料、油性塗料、着色剤等のいずれであってもよい。
【0022】
当技術分野でよく知られているように、負圧装置14は、塗装容器12内の空気圧を利用するための装置である。例えば、負圧装置14は、
図2に示すように、ホース13に平行な第2のパイプとして形成することができる(
図1、3、及び
図4には示されていない)。常圧よりも高い空気圧が第2のパイプを介して塗料容器11に導入され、塗料11は、その結果、より高い空気圧によってホース13を通って容器12から流出する。
【0023】
ホース13は2つの対向する端部を有する。第1の端部131はヘッド10に接続され、第1の端部と対向する第2の端部132は塗料容器12に挿入される。ホース13は、塗料容器12内の塗料11又はカラー流体をヘッド10に送達する流路として機能する。前述したように、負圧装置14は空気圧を利用するために使用され、その結果、容器12内の塗料11が容器12からホース13を通ってヘッド10に流出することができる。
【0024】
本発明の一実施例によれば、マーキングシステム1はロボット2のエンドエフェクタである。マーキングシステム1は、ツールアーム20の端部と接続及び/又は切断されるように構成されている。これにより、容器を一体部分として備えたマーキングエンドエフェクタツールの作成が可能になる。好ましくは、マーキングシステム1は、ロボットと相互作用するためのハードウェアを更に備える。例えば、塗料が流れるホース13と圧力用の負圧装置14は両方ともハードウェアに接続されており、ハードウェアはロボットに接続されている。ハードウェアによって塗料容器に圧力がかかり、そのため塗料が移動することができる。更に、塗料容器12及びヘッド10は両方ともエンドエフェクタの一部であるため、ホース13は長い経路を必要としない。これにより、マーキングシステムはロボット2の別個の装置となり、ホース内に塗料が入らないという問題なく空間内の任意の位置にマーキングすることができ、ホース13内の塗料11が乾燥する危険性を低減する。
【0025】
マーキングシステム1は、ツール交換システムを備えたロボットによって持ち上げて、停止することができる。例えば、作業装置を、例えばボール盤からマーキングシステムに、又はその逆に交換することができ、可動マーキングシステムにホース11などを接続する又は取り外す必要がなく、ロボット2の作業効率及び適用性が大幅に向上する。更に、このようなマーキングシステムはロボットアームの操作と競合しない。塗料容器内に収容され、ホース11の第2の端部132に取り付けられたガイド装置3が備えられる。前記ガイド装置は、塗料容器12の向きに関係なく、ホース11の第2の端部132を塗料11と接触した状態に保つように構成されている。ガイド装置3は、重力によってホース11の第2の端部132を移動させることが好ましい。塗料11は流体として容器内に貯蔵されているため、容器12を回転させるか又は移動させると、重力により塗料11は容器12内の下部位置に向かって流れる。ホース13の第2の端部132もガイド装置によって動かされるので、ホース13の第2の端部132は常に流動性塗料と接触した状態を保っている。
【0026】
本発明の好ましい実施例によれば、ガイド装置3は重量体(mass)であり、前記ガイド装置3の重量は、塗料容器内に貯蔵されている塗料の最大浮力よりも大きい。重力に従って、ホースの第2の端部に取り付けられた重量体がホースの第2の端部を塗料容器内の塗料の水平レベルより下に案内するが、これは、塗料も重力によって容器の下部位置に流れるからである。この重量体の重量は、塗料内に貯蔵されている塗装の最大浮力よりも大きいため、たとえ塗料が容器に満たされている場合でも、この重量体は依然としてホース12の第2の端部132を流動性塗料の底部まで案内することができる。この重量体は、塗料容器のサイズ/形状、及び流動性塗料の密度、並びに軟質で屈曲可能なホースの材質に基づいて適合される。いずれにしろ、このようなガイド装置は、重力を利用してホースの第2の端部が常に塗料と接触していることを確実にするための簡単で効果的な解決策をもたらし、更に、この解決策は容器内の塗料をまったく無駄にせず、マーキングシステムが常に正常に動作できることを確実にする。
【0027】
ホース13は、軟質で屈曲可能な材料で形成されている。好ましくは、ホースの全長は、軟質で屈曲可能な材料で形成される。これにより、容器内のホースを常に容器の内側の下部位置に向かって屈曲させることができる。
【0028】
塗料容器12は円筒形又は角胴形であることが好ましい。このような正円筒形又は角胴形の塗料容器12は、塗料が塗料容器からスムーズに流出するのに役立ち、更に、容器の規則的な形状は、製造及び塗料容器へのホースの設置も容易である。
【0029】
塗料容器12は、上面120、上面と対向する底面121、上面120と底面121との間に延びる少なくとも1つの側面122、上面及び底面に対して実質的に垂直な中心軸123を含むことがより好ましい。1つの好ましい実施例によれば、ホース13は、塗料容器の中心軸123に対してオフセットして(離れた位置に)配置される。前記ホースは、塗装容器12の側面122の近くに配置されることがより好ましい。このように構成することにより、塗料容器内でホースを屈曲させるためのより多くのスペースが確保されて、軟質のホースが挟まれる可能性を回避する。
【0030】
本発明の更に別の好ましい実施例によれば、ホース13は、硬質で屈曲不可能な材料で形成された直線部分133と、軟質で屈曲可能な材料で形成された屈曲部分134とを備え、前記直線部分121は前記屈曲部分に回転可能なコネクタ135を用いて接続されている。コネクタ135は、円弧状に曲げることができる。これにより、ロボットのアームの動きに伴って容器が移動又は回転した際に、塗料が塗料容器内の下部位置に向かって流れるとともに、軟質の屈曲部分135が塗料容器内の下部位置に向かって屈曲することにもなる。
【0031】
直線部分133の長さは、屈曲部分の長さと実質的に等しいことがより好ましい。重力に従って、屈曲部分134はコネクタ135の周りに屈曲する。直線部分133と屈曲部分134は同じ長さを有するので、ホース13の第2の端部132は、容器の内部の任意の平面又は隅に到達でき、直立位置にある場合は容器の円筒形又は角胴形の上面にも到達できる。例えば、容器が180度回転されて、軟質で屈曲可能な部分が回転可能なコネクタ135から容器の上面120に向かって屈曲する。
【0032】
ホースの材料は塗料11に応じて選定する必要がある。理想的には、ホースを形成するための材料は、ホースの上部が常に塗料容器の底部にあるようにする必要がある。したがって、屈曲可能な部分は、塗料容器内のホースの一部又はホース全体とすることができる。ホースの材料で重要なのは、曲げてもホースが挟まれず流体がブロックされないことである。ホースは容器のサイズに合わせて軟質の屈曲可能な材料で作られている。ホースの材料により円弧状の屈曲は可能であるが、塗料のブロックを引き起こす可能性のある、急激な曲げや挟み込み、更には積み重ねを妨げる。ガイド装置の重量及び/又は材料は、ホースに使用される材料に基づいて適合するものとする。
【0033】
本発明によるロボット2用のマーキングシステム1は、軟質のホースとホースの端にあるガイド装置3を備える特別な移動可能な塗料容器を提供する。軟質で屈曲可能なホースの端部にこのようなガイド装置を設けると、重力に従って、塗料容器の向きに関係なく、ホースの端部が常に塗料と接触する。更に、マーキングシステムは、ツール交換システムを備えたロボットによって取り外し及びピックアップできるロボットエンドエフェクタツールとして設計されている。これにより、塗料容器を一体化したロボットのマーキングエンドエフェクタを作成することが可能となり、ホース内に塗料が入らないという問題がないようにして空間内の任意の位置にマーキングが可能となる。
【0034】
本発明を説明するために選択された実施例のみが選択されているが、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の技術的範囲から逸脱することなく、本明細書において様々な変更及び修正を行うことができることは、この開示から当業者には明らかであろう。したがって、本発明による実施例の前述の説明は、例示のみを目的として提供されたものであり、添付の特許請求の範囲及びその等価物によって定義される本発明の技術的範囲を限定することを目的としたものではない。
【国際調査報告】