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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】生分解性物品
(51)【国際特許分類】
   B32B 23/06 20060101AFI20241031BHJP
   C08J 7/04 20200101ALI20241031BHJP
   B65D 1/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B32B23/06
C08J7/04 Z CEP
B65D1/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526986
(86)(22)【出願日】2022-11-04
(85)【翻訳文提出日】2024-05-14
(86)【国際出願番号】 EP2022080848
(87)【国際公開番号】W WO2023079092
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】2116031.2
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523366971
【氏名又は名称】フタムラ・ケミカル・ユーケイ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】コックロフト,マーティン リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ワトソン,ハンナ
(72)【発明者】
【氏名】スィートマン,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】カウトン、ルーシー
【テーマコード(参考)】
3E033
4F006
4F100
【Fターム(参考)】
3E033AA10
3E033BA10
3E033BA30
3E033BB08
3E033CA20
4F006AA02
4F006AB02
4F006BA05
4F006CA07
4F100AJ04C
4F100AJ11A
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100BA32
4F100CB00D
4F100DC21C
4F100DG10B
4F100EH46
4F100EJ08
4F100HB00E
4F100JC00
4F100JD04
4F100JN01
(57)【要約】
本発明は、一方の面が天然ワックス組成物でコーティングされ、反対側の面で紙ベースの基材を含む支持層に積層されるセルロースフィルムを含む生分解性物品を提供する。
【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面が天然ワックス組成物でコーティングされ、反対側の面で紙ベースの基材を含む支持層に積層されたセルロースフィルムを含む生分解性物品。
【請求項2】
前記セルロースフィルムと支持層との間に接着剤を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記接着剤が堆肥化可能な接着剤である、請求項2に記載の物品。
【請求項4】
前記支持層に積層されていない前記セルロースフィルムの部分が存在し、透明な窓を作り出す、請求項1~3のいずれか一項に記載の物品。
【請求項5】
前記天然ワックス組成物が植物性ワックスを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の物品。
【請求項6】
前記天然ワックス組成物が、2種以上のワックスのブレンドを含み、及び/又は前記天然ワックス組成物コーティングが、セルロースフィルムの表面でワックスフィルムの形態にある、請求項1~5のいずれか一項に記載の物品。
【請求項7】
前記天然ワックス組成物が、キャンデリラワックス及びカルナウバワックスのうちの1種以上を含む、請求項5又は請求項6に記載の物品。
【請求項8】
前記ワックス組成物が、さらに1種以上の添加剤、場合により、アンチブロック;粘度調整剤;ワックス以外の天然樹脂;無機充填剤;増粘剤及び多糖類添加剤のうちの1以上を含み、場合により、前記ワックス組成物が、少なくとも50重量%、好ましくは60重量%の天然ワックスを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の物品。
【請求項9】
化学修飾又は合成されたポリマーを含まない、請求項1~8のいずれか一項に記載の物品。
【請求項10】
前記セルロースフィルムが、前記天然ワックス組成物と反対側の面に印刷されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の物品。
【請求項11】
前記支持層が印刷されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の物品。
【請求項12】
前記支持層が成形されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の物品。
【請求項13】
前記支持層が、実質的に平坦な形状を有する、請求項12に記載の物品。
【請求項14】
皿、トレイ、又はボールである、請求項1~13のいずれか一項に記載の物品。
【請求項15】
幅よりも実質的に小さい深さを有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の物品。
【請求項16】
食品接触用である、請求項1~15のいずれか一項に記載の物品。
【請求項17】
6ヶ月未満で少なくとも90%の生分解を受ける(実験室試験方法EN14855)、請求項1~16のいずれか一項に記載の物品。
【請求項18】
前記コーティングされたセルロースフィルムが、50g/24時間/m未満、又は40g/24時間/m未満、又は30g/24時間/m未満、又は20g/24時間/m未満、又は15g/24時間/m未満、又は10g/24時間/m未満の水蒸気透過率(25±0.5℃/75±2%RHで測定)を有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の物品。
【請求項19】
前記コーティングされたセルロースフィルムが、200g/24時間/m未満、又は190g/24時間/m未満、又は180g/24時間/m未満の水蒸気透過率(38±0.5℃/90±2%RHで測定)を有する、請求項1~18のいずれか一項に記載の物品。
【請求項20】
天然ワックスを含むワックス組成物でコーティングされたセルロースフィルム。
【請求項21】
生分解性物品を製造する方法であって、紙ベースの基材を含む支持層にセルロースフィルムを積層すること、及び前記セルロースフィルムを、前記支持層に隣接するフィルムの反対側の面に天然ワックス組成物でコーティングする工程をさらに含む方法。
【請求項22】
前記セルロースフィルムが、前記支持層に積層する前にワックス組成物でコーティングされる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記セルロースフィルムが、前記支持層に積層した後に、ワックス組成物でコーティングされる、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記天然ワックス組成物が、前記セルロースフィルム上にスプレーコーティングされる、請求項21~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記天然ワックス組成物を硬化させて、前記セルロースフィルムの表面にワックスフィルムを作製する工程をさらに含む、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワックスコーティングセルロースフィルム、及び好ましくは、紙ベースの基材も含む生分解性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
紙ベースの基材は、セルロース繊維を機械的又は化学的に処理することによって生成された材料として定義されるため、紙、カード及びボール紙などの材料をその範囲に含む。紙ベースの基材は、紙皿などの使い捨て製品に一般的に使用される。これらの製品は通常、必要な耐湿性及び食品接触性を提供するために、プラスチック及び/又は合成樹脂でコーティングされている。しかし、これらの化学修飾又は合成されたコーティング材料は、EU指令番号2019/904(使い捨てプラスチック指令)に概説されているように、生分解性であっても、持続可能性と環境への影響に関して問題がある。したがって、これらの化学修飾又は合成されたコーティング材料の使用削減に向けた社会的動因がある。
【0003】
セルロースフィルムを生分解性積層構造に使用することは公知である。例えば、欧州特許第3266608号は、加工デンプン層にセルロースフィルムを積層した2層構造、並びに紙層と加工デンプン層との間にセルロースフィルムを積層した3層構造を開示している。しかし、使用されるデンプン層は化学修飾されており、セルロースフィルム上のコーティングは化学合成樹脂を含む。
【0004】
欧州特許第2829396号は、ボール紙から作られた第1のキャリア層、食品に準拠した油脂から作られた少なくとも1つの第2のバリア層、保存される食品に面する側での耐水性及び耐熱性材料、並びに第1のキャリア層と第2のバリア層とを接続する接着剤を含む積層品から形成された、食品を保存する容器に関する。第1のキャリア層、接着剤及び第2のバリア層は、食品に安全であり、バリア層は、少なくとも保存される食品に面する側又は反対側に第1の蒸気バリアコーティングを備える水和セルロースフィルムを含む。蒸気バリアコーティングは、生分解性ではないポリ塩化ビニリデン成分を含む生体高分子コーティングであることが好ましい。
【0005】
WO2012/081041号は、少なくとも1つの再生セルロース層が、水の浸透に対するバリア機能を有する材料の少なくとも1層と水性接着剤によって結合した紙基材に関する。水の浸透に対するバリアは、ワックス形態のパラフィン混合物であることが好ましい。
【0006】
米国特許第4543282号は、セルロースを含み、その内面にコーティングを有する食品ケーシングに関する。コーティングは、水溶性セルロースエーテル、デンプンエーテル又はそれらの組み合わせから選択される第1の成分と、ワックスを含む第2の成分とを含む均質な混合物を含む。
【0007】
米国特許第6558719号は、外表面に水蒸気不透過層を有し、内面に少なくとも2成分からなるコーティングを有するセルロースベースの食品外皮に関する。このコーティングは、架橋ポリアミノアミド/エピクロルヒドリン樹脂及びワックスを含む。
【0008】
米国特許第1983875号は、再生セルロースの防湿シート又はフィルムの少なくとも1つのプライ又は積層を含む積層材料に関する。
【0009】
そのため、当技術分野においては、好ましくは、必要な耐湿性及び食品接触特性を有する化学修飾又は合成された成分を実質的に又は完全に含まない完全生分解性物品に対するニーズがなおも存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、一方の面が天然ワックス組成物でコーティングされ、反対側の面で紙ベースの基材を含む支持層に積層されるセルロースフィルムを含む生分解性物品が提供される。
【0011】
本発明の発明者らは、物品の層(すなわち、基材、セルロースフィルム、及びワックス組成物)が生分解性で堆肥化可能であり、並びに化学修飾又は合成された成分を含まず、必要な耐湿性、耐熱性及び食品接触特性も有する構造を特定した。これは、食品接触に適しており、セルロースフィルムの疎水性を増加させる天然ワックス組成物を使用して達成される。
【0012】
ワックスは、コーティング材料としての使用に関しては当技術分野で公知であるが、一般的に使用されるのはパラフィンワックスである。しかし、パラフィンワックスは生分解性ではない。そのため、本発明は、代わりに天然ワックス組成物、すなわち、植物又は動物に由来する天然ワックスを含有する組成物を利用する。これらのワックスは、生分解性で、堆肥化可能であり、必要な食品接触特性及び耐湿特性を提供する。
【0013】
さらに、本発明者らは、驚くべきことに、本発明の生分解性物品が、化学修飾又は合成されたコーティング材料でコーティングされた物品と少なくとも同等の耐湿性、耐熱性及び食品接触性を有するが、持続可能性及び環境への影響に関する関連する問題がないことを見出した。
【0014】
本明細書における「生分解性」という用語は、物理的、生物学的に分解することが可能であり、最終的に二酸化炭素(CO)、バイオマス及び水に分解され、堆肥化及び嫌気性消化によって回収可能である材料を指す。材料は、6ヶ月未満で少なくとも90%の生分解を受ける場合に、「生分解性」と定義され得る(実験室試験方法EN14855)。
【0015】
セルロースフィルムを、任意の適切な技術を用いて支持層に積層してもよい。セルロースフィルムを、支持層の1つの面に積層してもよく、又は支持層の2以上、又は全ての面に積層してもよい。
【0016】
セルロースフィルムと支持層との間には、接着層が存在してもよい。換言すれば、セルロースフィルムを、接着剤を用いて支持層に接着してもよい。好ましくは、接着剤は堆肥化可能な接着剤である。接着剤は、溶剤系、水系又は無溶剤であってもよい。
【0017】
或いは、セルロースフィルムを、接着剤を用いずに、支持層に熱により積層してもよい。
【0018】
セルロースフィルムの一部が支持層に積層されていなくてもよく、この部分が物品に窓を形成してもよい。窓部は、支持層に積層されたセルロースフィルムの部分によって少なくとも部分的に囲まれていてもよい。窓部は、ワックスコーティングセルロースフィルムのみを含有してもよく、透明又は部分的に透明であってもよい。そのため、セルロースフィルムは、必要な水蒸気バリア特性を提供しながら、物品に窓部を作り出すことができる。
【0019】
ワックス組成物は、好ましくは、食品に接触することを意図した物品の表面にあり、それによって必要な耐熱性及び耐湿性を提供する。そのため、ワックス組成物は、物品の一番外側の表面に存在し得る。或いは、フィルムが包装体を形成する場合には、ワックス組成物は包装体の内側にあってもよい。
【0020】
ワックス組成物は、単一ワックス、又は2種以上のワックスのブレンドを含んでもよい。ワックスのブレンドの使用は、改善された耐熱性及び耐湿性を提供することが見出されている。
【0021】
ワックス組成物が2種類のワックスのブレンドを含む実施形態では、2種類のワックスの重量比は、約10:1~約1:10、又は約5:1~約1:5、又は約3:1~約1:3、又は約2:1~約1:2、又は約1:1である。
【0022】
ワックス組成物中のワックスの全てが、天然ワックス、すなわち、植物由来又は動物由来のワックスであってもよい。ワックス組成物は、蜜蝋を含んでもよい。ワックス組成物は、1種以上の植物性ワックスを含むか、又はそれからなってもよい。
【0023】
ワックス組成物は、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、大豆ワックス、麻ワックス、ホホバワックス、オウリキュリー(ouricury)ワックス及び米ぬかワックスのうちの1種以上を含んでもよい。好ましくは、ワックス組成物は、キャンデリラワックス及びカルナウバワックスの1種以上を含む。
【0024】
ワックス組成物中のワックスのうちの1以上、又は全てが、少なくとも60℃、又は少なくとも65℃、又は少なくとも70℃、又は少なくとも75℃の融点を有し、それによって、コーティングに必要な耐熱性を提供し得る。1種以上のワックスは、例えば、75℃以上又は80℃以上の比較的高い融点を有し得る。これにより、物品を加熱食品と組み合わせて使用できるように耐熱性が増加する。
【0025】
いくつかの実施形態では、ワックス組成物は、石油系ワックスを含まない。換言すれば、ワックス組成物は、パラフィンワックスなどの石油系ワックスを含まなくてもよい。
【0026】
1種以上のワックスに加えて、ワックス組成物は、1種以上の添加剤を含んでもよい。ワックス組成物は、少なくとも50重量%のワックス、好ましくは、少なくとも60重量%のワックスを含んでもよい。
【0027】
本発明者らは、都合のよいことに、ワックス組成物中に存在する天然ワックスの量及び種類を変更して、得られたフィルムの特性及び性能を調整することができることを見出した。例えば、存在する天然ワックスの重量での量及び種類を調節して、フィルムの光沢、フィルムの光学特性、フィルムのバリア特性及び/又はフィルムの耐熱性を調整することができる。さらに、ワックスのブレンドを使用して、含まれるワックスのバリア特性及び融解温度に応じて、物品の水分バリア及び耐熱性を微調整することができる。
【0028】
添加剤は、アンチブロック;粘度調整剤;ワックス以外の天然樹脂;無機充填剤;増粘剤;及び多糖類添加剤のうちの1以上を含み得る。
【0029】
好ましくは、いずれの添加剤も、化学修飾又は合成されたポリマーではない。そのため、該物品は、化学修飾又は合成されたポリマーを欠くことが好ましい。
【0030】
アンチブロックは、任意の適切な材料から選択され得るが、好ましくは、非晶質シリカ及び粘度のうちの1以上から選択される。
【0031】
粘度調整剤は、任意の適切な材料から選択され得る。本発明の発明者らは、ワックス組成物の粘度を増加させるために粘度調整剤を使用することで、セルロースフィルムの従来のコーティング技術が使用可能になることを見出した。
【0032】
ワックス以外の天然樹脂は、任意の適切な材料から選択され得るが、好ましくはロジン、より好ましくは松脂である。本発明の発明者らは、驚くべきことに、ワックス組成物にワックス以外の天然樹脂を使用することが、コーティングの敷設の改善及び高光沢仕上げ(紙皿用途に特に好ましい)の表面外観を提供することを見出した。「天然樹脂」という用語は、顕著な化学修飾を伴わない植物源又は動物源由来の任意の樹脂を指す。
【0033】
いくつかの実施形態では、ワックス以外の天然樹脂は、ダンマル、レスピン、及びシェラックのうちの1以上であってもよい。
【0034】
ワックス対天然樹脂(ワックス以外)の重量比は、約1:1~約4:1、好ましくは、約1:1~約3:1であってもよい。
【0035】
無機充填剤は、例えば、石英;カーボンナノチューブ;グラフェン;及び粘土のうちの1種以上を含む任意の適切な材料から選択され得る。無機充填剤は、セルロースフィルム内への吸水を防止するために有利に役立ち得る。
【0036】
多糖類添加剤は、キサンタンガム;アルギン酸;アルギン酸ナトリウム;グアーガム;及びデンプンのうちの1種以上から選択され得る。多糖類添加剤は、粘度調整剤として作用し得る。
【0037】
セルロースフィルムは、セルロースを含んでもよい。セルロースフィルムは、再生セルロースを含んでもよい。セルロースフィルムは、ヒドロキシプロピルセルロース又はカルボキシメチルセルロースなどのセルロースの誘導体を含み得る。セルロースフィルム中のセルロース系材料は、農業廃棄物又は木材パルプを含む、セルロースを含有する任意の材料に由来し得る。農業廃棄物は、オート麦の殻、トマトの葉、籾殻、ジュート、わら、小麦、ススキ、麻、草、亜麻、又は食用作物廃棄物から選択され得る。他の適切な農業廃棄物源は、ヤシ繊維、茶殻、籾殻繊維、ナツメヤシ、オウギヤシ、葉茎又はショウガを含み得る。
【0038】
セルロースフィルムは、10~100ミクロン、好ましくは15~80ミクロン、より好ましくは20~30ミクロンの厚さを有し得る。セルロースフィルムは、透明であることが好ましい。
【0039】
ワックス組成物は、約0.1gsm~約6gsm、好ましくは、約0.3gsm~約5gsmのコーティング重量でセルロースフィルム上にコーティングされ得る。
【0040】
天然ワックス組成物は、セルロースフィルムの表面のワックスフィルムの形態であってもよい。「ワックスフィルム」という用語は、ワックス組成物が連続した均一なフィルムの形態であることを理解すべきである。
【0041】
これは、セルロースフィルム上にコーティングされた後に、ワックス組成物を硬化させることによって達成され得る。組成物の硬化は、熱によって達成され得る。硬化温度は、ワックス組成物の融解温度より上であり得る。温度は、約50~120℃、又は約60~100℃又は約70~90℃であり得る。ワックスのブレンドを使用する場合には、温度は、ワックスの一方又は両方の融点より上であり得る。理論に縛られることなく、これにより、堆積したワックス液滴がセルロースフィルム表面で融解し、次いで、冷却すると、連続したワックスフィルムが作製され得る。ワックスフィルムの形態では、天然ワックスは、パラフィンワックスと同等の水蒸気バリア特性を提供できる。
【0042】
該物品は、印刷物を含んでもよい。いくつかの実施形態では、セルロースフィルムは、ワックス組成物の反対側の面に印刷される。さらに又はあるいは、支持層が印刷される。これは、有利には、該物品が、コーティングされたセルロースフィルムによって保護されるが、それを通して眼に見えるパターンを有することができることを意味する。
【0043】
紙ベースの基材は、例えば、紙、ボール紙、又はカードを含む任意の適切な材料から選択され得る。紙ベースの基材は不透明であってもよい。
【0044】
支持層は、可撓性シートであってもよい。可撓性シートは、バッグに成形されていてもよい。バッグは、ワックスコーティングセルロースフィルムから形成された窓を含んでもよい。
【0045】
或いは、支持層を成形してもよい。「成形」とは、支持層が、定義された3次元形状(フィルムなど)を持たない柔軟な層であること、又は2次元形状のみの構造(カードのシートなど)であることと比較して、外力の適用を必要とせずに、独立して3次元形状(紙皿の形状など)を維持することを意味する。そのため、物品もまた、成形され得る。
【0046】
三次元形状は、鋳造などの任意の従来の技術を使用して形成され得る。
【0047】
支持層は、実質的に平坦な形状を有してもよい。「実質的に平坦」とは、支持層の大部分が連続した平坦な面であり得ることを意味する。好ましくは、支持層の全てが連続した平坦面ではない。そのため、好ましくは、平坦な面に隣接する支持層の一部は、平坦面と同一の平面内に広がっていない。本発明者らは、実質的に平坦な形状を有することが、セルロースフィルムが支持層から剥がれるのを有利に防ぐことを見出した。
【0048】
平坦面に隣接する支持層のどの部分の角度も、平坦面に対して90°以上、好ましくは120°以上、最も好ましくは140°以上であり得る。平坦面に隣接する部分は、物品の周囲に広がる縁であってもよい。該物品は、幅よりも実質的に小さい深さを有してもよい。言い換えれば、該物品は、(深い形状とは対照的に)浅い形状を有してもよい。これも、セルロースフィルムが支持層から剥がれるのを防ぐのに役立ち得る。
【0049】
支持層は、100~800ミクロン、好ましくは、200~700ミクロンの厚さを有し得る。支持層は、50~500gsm、好ましくは、100~400gsmの重量を有し得る。これにより、物品が食品などの品を保持するのに十分な構造的完全性を有することが確実になる。
【0050】
該物品は、皿、トレイ、又はボールであってもよい。物品は、紙の皿、紙のトレイ、又は紙のボールであってもよい。皿とボールは、一般的に外観が円形又は楕円形であり得る。トレイの外観は、一般的に、正方形、長方形、円形又は楕円形であり得る。
【0051】
該物品は、紙ストローなどのストロー、又は紙のカップなどのカップであってもよい。該物品は、EU指令番号2019/904に言及された任意の物品であり得る。
【0052】
該物品は、好ましくは食品接触に適している。したがって、該物品は、食品と接触することを意図した材料及び物品に関する2004年10月27日のEU規則第1935/2004号に準拠し得る。特に、該物品は、前述のEU規則第1935/2004号の第3条に準拠し得る。該物品はまた、前述のEU規則第1935/2004号の第5条に提供されている「材料と物品のグループに関する特定措置」、及び/又は第6条に提供されている「国内特定措置」に準拠し得る。
【0053】
コーティングされたセルロースフィルムは、食品との接触を意図した再生セルロースフィルムで作られた材料及び物品に関する2007年6月29日のEU指令番号2007/42に準拠し得る。
【0054】
ワックス及び存在する場合の添加剤は、食品との接触を意図したプラスチック材料と物品に関する2011年1月14日のEU規則番号10/2011に記載されている成分のみを含み得る。もちろん、ワックス及び存在する場合の添加剤は、生分解性である。
【0055】
生分解性物品は、堆肥化可能であることが好ましい。換言すると、生分解性物品は、堆肥化可能な物品であり得る。堆肥化可能な物品は、EN13432に準拠し得る。誤解を避けるために、「堆肥化可能」は、「生分解性」並びに分解及び低レベルの重金属を含む他の要件も必要とするため、「生分解性」よりも厳密な要件であることを理解する必要がある。
【0056】
物品は、特定のプラスチック製品の環境への影響の低減に関する2019年6月5日のEU指令番号2019/904に準拠し得る。
【0057】
コーティングされたセルロースフィルムは、50g/24時間/m未満、又は40g/24時間/m未満、又は30g/24時間/m未満、又は20g/24時間/m未満、又は15g/24時間/m未満、又は10g/24時間/m未満の水蒸気透過率(25℃/75%RHで測定)を有し得る。
【0058】
コーティングされたセルロースフィルムは、200g/24時間/m未満、又は190g/24時間/m未満、又は180g/24時間/m未満の水蒸気透過率(38℃/90%RHで測定)を有し得る。
【0059】
物品には、実質的に又は完全に、プラスチック、特に化石燃料プラスチックが存在しなくてもよい。化石燃料プラスチックは、石油又は天然ガスに由来するプラスチックである。化石燃料プラスチックは、「非天然プラスチック」とも呼ばれ得る。物品には、ポリエチレン及び/又はポリプロピレンが存在しなくてもよい。物品には、ポリ塩化ビニリデン又はポリ二塩化ビニリデン(PVDC)が存在しなくてもよい。
【0060】
物品には、実質的に又は完全に、化学修飾又は合成されたポリマーが存在しなくてもよい。本明細書における「存在しない」という用語は、1重量%未満、又は0.1重量%未満、又は0重量%の量で存在することを指す。
【0061】
第2の態様によれば、天然ワックスを含むワックス組成物でコーティングされたセルロースフィルムが提供される。ワックス組成物は、ワックス以外の天然樹脂をさらに含んでもよい。
【0062】
セルロースフィルム及びワックス組成物は、本発明の第1の態様に関連して、上記で論じた特徴のいずれかを有し得る。
【0063】
第2の態様によるコーティングされたセルロースフィルムは、種々の用途を有する。コーティングされたセルロースフィルムは、基材に積層され、必要に応じて接着してもよい。基材は、紙ベース基材であっても、又は非紙ベース基材であってもよい。基材は、可撓性であっても、又は成形されていてもよい。したがって、基材へのこの積層は、本発明の第1の態様に従って物品を作製することができる。
【0064】
基材は不透明であってもよく、セルロースフィルムは透明であってもよい。基材は、セルロースフィルムの全体を覆っていなくてもよい。そのため、基材に接着していないセルロースフィルムの領域は、得られた物品において透明又は少なくとも部分的に透明な窓を形成し得る。窓部は、コーティングされたセルロースフィルムのみから形成されてもよい。
【0065】
コーティングされたセルロースフィルムは、いかなる支持層又は基材にも接着することなく、それ自体を包装材料として使用してもよい。非限定的な例として、コーティングされたセルロースフィルムを、果物及び野菜の包装として使用してもよい。驚くべきことに、本発明のワックスコーティングセルロースフィルムは、化学合成又は修飾されたポリマーを一切含まないが、良好な水蒸気バリア及び光学特性を有することが見出された。コーティングされたセルロースフィルムを、それ自体に、又は別のフィルムに密封して、包装材料を作製してもよい。
【0066】
コーティングされたセルロースフィルムを、包装材料品の少なくとも一部に使用してもよい。コーティングされたセルロースフィルムを、トレイ又は箱などの他の従来の包装材料と組み合わせて使用することができる。
【0067】
第3の態様によれば、生分解性物品を製造する方法であって、紙ベースの基材を含む支持層にセルロースフィルムを積層すること、及び支持層に隣接するフィルムの反対側の面にセルロースフィルムを天然ワックス組成物でコーティングする工程をさらに含む方法が提供される。
【0068】
いくつかの実施形態では、セルロースフィルムは、支持層に積層する前に天然ワックス組成物でコーティングされる。いくつかの実施形態では、セルロースフィルムは、支持層に積層した後、天然ワックス組成物でコーティングされる。
【0069】
天然ワックス組成物は、任意の適切な技術を使用してセルロースフィルム上にコーティングされ得る。いくつかの実施形態では、天然ワックス組成物は、セルロースフィルム上にスプレーコーティングされる。
【0070】
本方法は、天然ワックス組成物を硬化させて、セルロースフィルムの表面にワックスフィルムを作製する工程をさらに含んでもよい。これは、組成物をセルロースフィルムの表面に適用した後に、組成物を、ワックス組成物の温度よりも高い温度まで加熱することを伴い得る。温度は、約50~120℃、又は約60~100℃又は約70~90℃であり得る。ワックスのブレンドを使用する場合には、温度は、ワックスの一方又は両方の融点より上であり得る。
【0071】
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様に関連して、上記で論じた特徴のいずれかを有してもよい。
【0072】
本発明を、これから以下の実施例及び図を参照して、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1図1は、本発明の実施形態による物品の割面を例示する。
図2図2は、本発明の実施形態による印刷物品の割面を例示する。
図3図3は、本発明の実施形態による紙皿の断面を例示する。
図4図4は、その表面にワックスフィルムを有する本発明の実施形態によるセルロースフィルムの平面図写真(左)、及びワックスがフィルムの形態ではない同じセルロースフィルム(右)を例示する。
図5図5は、その表面にワックスフィルムを有する本発明の実施形態によるセルロースフィルムの平面図写真(右)、及びワックスがフィルムの形態ではない同じセルロースフィルム(左)を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0074】
図1は、本発明の実施形態による物品を示す。物品は、一方の面がワックス組成物2でコーティングされているセルロースフィルム1を含む。反対側の面には、セルロースフィルム1が、接着層4を使用して紙基材3に積層されている。
【0075】
図2は、本発明の実施形態による印刷された物品を示す。物品は、一方の面がワックス組成物2でコーティングされているセルロースフィルム1を有する。反対側の面には、セルロースフィルム1が、接着層4を使用して紙基材3に積層されている。セルロースフィルム1と紙基材3との間には、印刷層5がある。印刷層5は、セルロースフィルム1が接着層4を使用して紙基材3に積層される前に、セルロースフィルム1(ワックス組成物2と反対側の面)に適用される。
【0076】
代替実施形態では、セルロースフィルム1を、接着層4を使用して紙基材3に積層する前に、印刷層5を紙基材3に適用してもよい。この配置では、図2の接着層4と印刷層5の順序は逆である。
【0077】
図3は、本発明の実施形態による紙皿6を示す。紙皿6は、ワックス組成物をコーティングしたセルロースフィルム(図示せず)が積層された成形紙ベース基材から形成される。紙皿6は、その深さdよりも実質的に大きい幅wを有する。皿の平坦面と皿の平坦面に隣接する縁との間の角度aは、90°より大きい。そのため、紙皿6は、「深い」皿とは対照的に、「浅い」皿として説明することができる。
【0078】
図4及び図5は、本発明による、天然ワックスを含むワックス組成物でコーティングされたセルロースフィルムの実施形態を示す。フィルム40、50の2つは、ワックス組成物がセルロースフィルムの表面にワックスフィルムを形成するように加熱されている。他の2つのフィルム41、51は、このようには処理されていない。
【0079】
これらの写真ではっきりとわかるように、硬化したワックスフィルムは、硬化していないワックス組成物よりも高い光沢及び低いヘイズを有する。
【0080】
測定方法
水蒸気透過率(WVP)
WVPは、24時間の間に1平方メートルのフィルムを通過するグラム単位の水蒸気の重量として定義される。WVPを測定するために、底が約0.8cmの深さまで覆われるように、十分な量のシリカゲルをカップに入れた。次に、直径約10cmの円形のフィルムサンプルを切断した。カップの表面のパラフィンワックスの薄い層を拭き取った。円形のサンプルを、その端が表面に接触するように配置して、しわにならないように押し下げた。フィルムのコーティング面をカップの外側に向かって配置した。次いで、カップを所望の温度及び相対湿度(RH)でオーブンに入れた。24時間後、カップを取り出し、直ちに秤量した。カップをオーブンに入れ直し、一定の増加が得られるまで(通常は72時間後)24時間ごとに秤量した。
【0081】
45°の光沢
光沢を、45°で、ASTM D2457に準拠して測定した。
【0082】
広角ヘイズ(%)
広角ヘイズを、2.5°で、ASTM D1003に準拠して測定した。
【0083】
ブロック試験(g)
コーティング後、8片のフィルムを切り取り(6インチ×2インチ)、最も長い長さは機械方向であった。フィルム片をペアに分け、隣接するペアの間に紙片(2インチ×2インチ)を配置し、それぞれが紙で区切られたフィルムペアのスタックを形成した。
【0084】
次いで、サンプルを2インチ×2インチのガラス板の上に四角に配置し、さらにガラス板を各サンプルの上に置いた。サンプルをサーモスタット制御のオーブンに入れ、各ガラス板の上に1.25kgの重りを置いた。サンプルを38℃で1時間放置した。1時間後、サンプルをオーブンから取り出し、少なくとも15分間冷却してから、さらに測定した。
【0085】
冷却後、フィルムペアのフィルムの端を、両面テープを使用して上皿に結合し、フィルムペアのもう一方のフィルムの端を、各フィルムペアの最初の端に沿って、両面テープを使用して底皿に結合する。同じことを、第2の端が第1の端と反対側にあるフィルムペアの第2の端に沿って行う。次いで、皿をフィルムの面に垂直な方向に引き離し、2つのフィルムを互いに分離するために必要な重量を測定した(g単位で)。測定された4つのサンプルの平均をとった。
【0086】
コーティングされたセルロースフィルムの例
各コーティングが、表1に概説されているように異なるワックス組成物を含む、いくつかのコーティングされたセルロースフィルムを作製した。各例において、フィルムは再生セルロースフィルムである。
【0087】
表1
【表1】
【0088】
各フィルムについて、温帯及び熱帯での水蒸気透過率を上記の方法に従って測定した。温帯での水蒸気透過率を25±0.5℃及び75±2%RHで測定し、熱帯での水蒸気透過率を38±0.5℃及び90±2%RHで測定した。加えて、疎水性表面特性を目視で観察し、45°の光沢及び広角ヘイズを測定した。結果は表2に見出され得る。
【0089】
表2
【表2】
【0090】
見られるように、全てのフィルムが水をはじきやすい表面をもたらし、良好な耐湿性を有することを示す。
【0091】
最高の水蒸気透過率は、ワックスのブレンドを含む例、すなわち、1gsm超のコーティング重量でキャンデリラワックスとカルナウバワックスの両方を含有するもので見られた。
【0092】
同等の市販フィルムは、NatureFlex(商標)22 DNEであり、これも一方の面のみがコーティングされている。これは、25℃及び75%RHで25g/m/24時間の水蒸気透過率を提供する。そのため、上記に示したコーティング及び特にワックスのブレンドを含むコーティングは、従来の化学修飾又は合成されたコーティングと同等であるが、改善されていない水蒸気バリア特性を示す。
【0093】
さらに、特に例4は、非常に良好な表面外観を呈し、例7は、例3と比較して改善された表面外観を呈した。この改善された表面外観は、より低い広角ヘイズによって例証される。これは、コーティング中の松脂の存在に起因し得る。
【0094】
最高の水蒸気透過率は、コーティング重量が1gsmを超える例でも見られた。例えば、例7は、例9と比較して改善された水蒸気透過率を呈し、例4は、例10と比較して改善された水蒸気透過率を呈した。
【0095】
さらに、コーティング重量のより低い例は、コーティング重量のより高い例と比較して改善された表面外観を呈した。例えば、より低い広角ヘイズによって例示されるように、例10は、例4と比較して改善された表面外観を呈し、例8は、例5と比較して改善された表面外観を呈する。
【0096】
さらに、ワックス組成物中に存在するワックスの量が、得られたフィルムの特性に影響を与えることがわかる。
【0097】
例えば、ワックスの割合を増加させた例は、改善されたバリア特性を提供した。例8及び例12はいずれも、ワックス:樹脂比が2:1であり、ワックス:樹脂比が1:1である例10と比較して改善されたバリア特性を呈した。これは、優れた水蒸気バリア特性を有するワックス、特に、キャンデリラワックスの結果である。
【0098】
ワックスの光学特性もフィルムの特性に影響を及ぼし得る。例えば、カルナウバワックスは、キャンデリラワックスほど優れた光学特性及びバリア特性を有していない。このことは、どちらもワックス:松脂の比率が2:1である例8と例9を比較することでわかる。例9は、カルナウバワックスの存在により、例8よりもはるかに優れた水蒸気透過率を有する。
【0099】
したがって、存在するワックスの量及び種類を調整して、物品の水分バリアと熱バリア特性のバランスをとることができる。
【0100】
市販のNatureflex(商標)フィルムは、5~6の広角ヘイズを有する。そのため、本発明のコーティングは、化学修飾又は合成されたポリマーを使用して作製されたフィルムと同等の光学特性を有する。
【0101】
カルナウバワックスはキャンデリラワックスほど疎水性でなく、同じレベルの水分バリアを生成しないが、融点がより高いため(キャンデリラの71℃に対して81℃)、ワックスの融点も重要である。そのため、このワックスは、コーティングの耐熱性を改善することができる。さらに、ダンマル樹脂の融点は100℃を超えている。したがって、ワックスのブレンドは、物品の水分バリアと熱バリア特性のバランスをとることができる。
【0102】
ブロック試験を例8~15で行い、上記の方法に従って測定した。結果は表3で見出され得る。
【0103】
表3
【表3】
【0104】
見られるように、例8~15のフィルムはいずれもいかなるブロッキングも示さず、フィルムが互いに良好に接着していないことを実証する。
【0105】
表1~表3にまとめた結果は、ワックス組成物でコーティングし、その表面にワックスフィルムを形成するために熱硬化させたセルロースフィルムで測定したものである。表5及び6は、熱硬化フィルムとワックス組成物が熱処理されていないフィルムの特性を比較している。上記の方法に従ってフィルムを測定した。
【0106】
例8~15の最終コーティング重量を表1に概説する。
【0107】
表4
【表4】
【0108】
表5
【表5】
【0109】
温帯条件及び熱帯条件の両方で、非熱硬化膜では水蒸気透過率が顕著に増加したため、最高の水蒸気透過率は熱硬化フィルムで見られた。
【0110】
表6
【表6】
【0111】
見られるように、熱硬化フィルムは、非熱硬化フィルムと比較して、より低い広角ヘイズ及び45°光沢の増加によって例示されるように、改善された表面外観を提供する。
【0112】
理論に縛られることなく、セルロースフィルムを天然ワックス組成物でコーティングすると、ワックス組成物の液滴はフィルムの表面に均一なコーティングを提供しないと考えられている。その結果、これらの液滴は、光の回折及び/又は屈折の結果としてはっきりしない外観を作り出し、フィルム全体を通る水蒸気透過率を増加させるようにも作用する。
【0113】
対照的に、フィルムを熱硬化させると、セルロースフィルム上の個々のワックス液滴が融解し、連続したワックスフィルムを作製する。このワックスフィルムは、比較的均一で透明であると理解される。したがって、これにより、広角ヘイズ及び水蒸気透過率が有意に減少する。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】