(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】濃縮ミネラル溶液の加圧カートリッジ
(51)【国際特許分類】
C02F 1/68 20230101AFI20241031BHJP
B01F 23/70 20220101ALI20241031BHJP
B01F 23/236 20220101ALI20241031BHJP
B01F 23/45 20220101ALI20241031BHJP
B01F 23/232 20220101ALI20241031BHJP
B01F 35/71 20220101ALI20241031BHJP
B01F 101/14 20220101ALN20241031BHJP
【FI】
C02F1/68 520C
C02F1/68 510B
C02F1/68 520D
C02F1/68 520B
C02F1/68 520L
C02F1/68 530A
C02F1/68 530C
C02F1/68 540D
C02F1/68 540C
B01F23/70
B01F23/236
B01F23/45
C02F1/68 540A
B01F23/232
B01F35/71
B01F101:14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527090
(86)(22)【出願日】2022-11-04
(85)【翻訳文提出日】2024-07-01
(86)【国際出願番号】 EP2022080797
(87)【国際公開番号】W WO2023079068
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524169043
【氏名又は名称】フラミンゴ・ホールディング・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】FLAMINGO HOLDING S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トブ,フィリップ
【テーマコード(参考)】
4G035
4G037
【Fターム(参考)】
4G035AB05
4G035AB37
4G035AE13
4G037AA01
4G037AA02
4G037EA01
(57)【要約】
本発明は、濃縮ミネラル溶液からのミネラル水の製造の分野に関する。ミネラルの濃縮溶液が、CO2を含む推進剤ガス(4)の圧力下の加圧カートリッジにて提供される。これは、経時的な溶液の安定性を保証し、便利な消耗品である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CO2を含む推進剤ガス(4)の圧力下でミネラルの濃縮溶液(3)を含んでいる加圧カートリッジ(2)。
【請求項2】
前記ミネラルの濃縮溶液は、少なくとも難溶性塩を、過飽和濃度で、飽和濃度で、あるいは飽和濃度の付近で含む、請求項1に記載の加圧カートリッジ。
【請求項3】
前記難溶性塩は、重炭酸ミネラル種である、請求項2に記載の加圧カートリッジ。
【請求項4】
前記カートリッジ内の前記圧力は、35psi~100psiの間に含まれる、請求項1~3のいずれか一項に記載の加圧カートリッジ。
【請求項5】
前記ミネラルの濃縮溶液は、少なくとも、溶存カルシウムおよび/またはマグネシウム塩、好ましくは重炭酸塩を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の加圧カートリッジ。
【請求項6】
前記推進剤ガスは、CO
2からなる、請求項1~5のいずれか一項に記載の加圧カートリッジ。
【請求項7】
前記ミネラルの濃縮溶液は、硫酸マグネシウム(MgSO
4)、重炭酸マグネシウム(Mg(HCO
3)
2)、硝酸マグネシウム(MgNO
3)、硝酸カルシウム(Ca(NO
3)
2)、重炭酸カルシウム(Ca(HCO
3)
2)、塩化ナトリウム(NaCl)、重炭酸ナトリウム(NaHCO
3)、および重炭酸カリウム(KHCO
3)からなるリストのうちの少なくとも1つの塩を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の加圧カートリッジ。
【請求項8】
無塩水を製造するための、先行する請求項のいずれか一項に記載の加圧カートリッジ。
【請求項9】
無塩水を製造するための方法であって、
請求項1~7のいずれか一項に記載の少なくとも1つのカートリッジ(2)からの所定の量の前記濃縮溶液(3)および前記推進剤(4)が、ミネラル化すべき水へと注入される方法。
【請求項10】
前記ミネラル化すべき水は、500mg/L未満の乾燥ミネラル残留物を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ミネラル化すべき水の量あたりの注入される濃縮溶液および推進剤の前記所定の量は、1:100~1:1000の間に含まれる、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記所定の量の濃縮溶液および推進剤の注入の前または後に、前記水を固体ミネラルの存在下に置くことをさらに含む、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記所定の量の濃縮溶液および推進剤は、ミネラル化すべき水の流れに注入される、無塩水のオンライン製造のための請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記所定の量の濃縮溶液および推進剤は、ミネラル化すべき水のリザーバに注入される、無塩水の製造のための請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記所定の量の濃縮溶液および推進剤は、ミネラル化すべき水に泡の多い流れとして注入される、請求項9~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濃縮ミネラル溶液からの無塩水(塩気のない水)の製造の分野に関する(これは、ここでは、香味料、砂糖、またはスイートナ/甘味料の添加とは異なる)。本開示の目的のために、無塩水(または、塩気のない水)は、所定の官能的品質および組成を有する水を得る目的でミネラル化された水を指す。ミネラル化に先立ち、例えば脱塩された海水のように、水から特定の種、とくにはミネラルを、部分的または完全に除去することができる。塩水を無塩水にするプロセスは、米国特許第3093975号明細書(Zarchin Alexander)で使用された。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2019/020221号が、水道水から無塩水を瞬時に製造するための方法および関連の装置を開示している。ミネラル化は、ランダムなミネラル化ではなく、ブランド品のミネラル水のような所定の量のミネラルを有する水を提供することを目的としている。この方法は、
-水道水の不純物を除去して精製水を得ることと、
-ミネラルの選択的除去によって精製水を少なくとも部分的に脱ミネラル化することと、
-脱ミネラル化された水を、ミネラル化を所定の含有量および所定の官能的品質へと再調整するために、不足している少なくとも1つのミネラル元素を含む所定の量の濃縮溶液を注入することによって再ミネラル化することと、
-再ミネラル化された水を集めることと
を含む。
【0003】
これらの工程は、インラインで実行され、水は連続的に流れ、水が流れなくなるまで(ユーザからの要求が止まるまで)、濃縮溶液が定期的に注入される。
【0004】
再ミネラル化のために、リザーバに蓄えられた濃縮溶液を水の流れに供給するために、ポンプまたはマイクロフィード弁などの流体マイクロフィード装置が開示されている。濃縮ミネラル溶液のポンプおよびリザーバの使用をやはり含む他の同様のシステムが、市場に存在する。しかしながら、ポンプに結合したそのようなリザーバを使用して濃縮溶液を水流へと供給することには、いくつかの欠点が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
第1の問題は、とりわけ溶液がいわゆる「難溶性塩」を含有する場合のリザーバにおける溶液の不安定性である。溶液中のミネラルの沈殿につながりかねない溶存CO2の損失を回避するために、このような溶液を、密閉容器にて低温で貯蔵することが推奨される。実際に、濃縮溶液は過飽和であることが多い。ミネラルの高い濃度は、大量のCO2が濃縮溶液中に溶解して、可溶化を確実にする平衡を維持することで達成される。しかしながら、溶液が一部のCO2を失うと、溶液中の炭酸塩の平衡が移動し、ミネラルの平衡全体が不安定化する。
【0006】
この問題は、ポンプの動作の最中にさらに現れる。ポンプを設置するために、カートリッジと水流との間の管の長さはゼロではない。ポンプは濃縮溶液に沿ってCO2を運び、これが管におけるミネラルの沈殿をもたらすことで、水流中の濃縮溶液の入口を偏らせ、あるいは塞ぐ可能性がある。これは、所定のミネラル含有量への水の再ミネラル化に、大きな誤差をもたらす。この問題は、濃縮溶液が、水の炭酸化を可能にするバッチ状の水飽和器に注入される場合にも現れる可能性がある。
【0007】
したがって、本出願の出願人は、濃縮溶液の安定性および再ミネラル化すべき水へのこの溶液の投入の信頼性という上記の問題に対し、解決策を開発する必要があると判断した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による解決策
この目的のために、本発明は、CO2を含む推進剤ガスの圧力下でミネラルの濃縮溶液を含む加圧カートリッジを提案する。
【0009】
好ましくは、ミネラルの濃縮溶液は、過飽和濃度、飽和濃度、または飽和濃度の付近の少なくとも1つの重炭酸ミネラル種を含む。
【0010】
加圧カートリッジは、固体を含まず、とくには固体の形態のミネラルを含まない。
推進剤ガスは、推進剤でありかつ塩の沈殿を防止するという二重の機能を有するCO2を含む。濃縮溶液中のミネラルの溶解度は、溶液中に溶解したCO2の量にきわめて影響され、水和CO2は水と反応し、重炭酸塩、炭酸塩、およびH+イオンにさらに分解する。CO2濃度の変化が少ないと、ミネラル、とりわけ(過)飽和ミネラルの沈殿につながり、溶液の有効濃度に影響する可能性がある。溶液を上回る圧力下でのCO2の存在は、溶液内のCO2の濃度が常に平衡にあることを保証する。カートリッジから溶液を取り出すとき、CO2の圧力はわずかしか変化せず、これが、ミネラルの飽和溶液内のCO2の安定した濃度を保証する。
【0011】
ここで、カートリッジは、少なくとも何らかのガスを圧力下で収容するために適した任意の容器を指す。カートリッジは、フロースルー形式のカートリッジではなく、例えばエアロゾルまたはサイフォン式のような流出カートリッジであり、すなわちミネラル化すべき水は、本発明のカートリッジを通って流れることができないが、カートリッジは、内容物を、流入する流体によって置き換えられることなく、カートリッジから流出させることを可能にする出口を備えて構成される。
【0012】
好ましくは、カートリッジは、エアロゾルカートリッジである。
さらに、多くの他の推進剤と比較して、CO2は有毒ではなく、人間が使用するための水を調製するためのミネラルの飽和溶液を有害に汚染することがない。その容器内での圧力は、温度の影響を受けにくく、液化ガスが推進剤として使用されるときの蒸発によって引き起こされる冷却効果を有さない。したがって、水溶液がカートリッジを出るときに凍結する危険性が回避される。
【0013】
上述のように、本発明において、CO2は単に推進機能を有するだけではない。それは、カートリッジがほぼ空になる場合でも、溶液中の(過)飽和重炭酸塩を維持し、カートリッジの繰り返しの使用における放出濃度の再現性および永続性を保証するために不可欠な安定性の役割を果たす。これは、本発明の本質である高濃度の溶解重炭酸塩と圧力下の気体二酸化炭素との組み合わせである。多くの用途において、CO2は、カートリッジの液体含有物を劣化させると考えられる低すぎるpHをもたらすので、推進剤として適さないことに留意されたい。これは、とくには、香味料または糖の溶液カートリッジに当てはまる。
【0014】
好都合には、推進剤ガス中のCO2の比は、ミネラルの濃縮溶液のpHに依存する。
特定の実施形態において、推進剤ガスは、CO2からなる。
【0015】
カートリッジ内の圧力(推進剤ガスの圧力)は、好ましくは、カートリッジの全液体含有物の適切な霧化のために、35psi~100psiの間、好ましくは50psi~90psiの間、好ましくは60~85psiの間、さらに好ましくは70psi~80psiの間に含まれる。
【0016】
本発明の加圧カートリッジは、無塩水のためのものであり、すなわち、自身が含有するミネラルの濃縮溶液の一部を、飲用水を製造するために水(水道水、脱ミネラル化水、・・・)へと導入するためのものである。甘くされた(sweetened)という用語は、ここでは、糖、甘味料、またはスイートナの添加を指すのではなく、ミネラルの添加を指す。製造される無塩水は、好ましくは所定のミネラル組成を有する。これは、気体、溶媒、またはミネラルにかかわらず、有毒な元素がカートリッジに導入されないことを意味する。とくに、カートリッジの内容物は、正確かつ制御されたカルシウムおよび/またはマグネシウム含有量を有する飲用水を製造するためのものである。
【0017】
好ましくは、ミネラルの濃縮溶液は、消費者に高く評価されている天然ミネラル水に通常存在するミネラルを含む。これらの種類の天然ミネラル水は、カルサイトおよびドロマイトなどの比較的不溶性のミネラル(難溶性塩)が長期間にわたってゆっくりと溶解する地層で自然に形成される。これらの天然岩の風化が、天然水に重炭酸塩、水酸化物、塩化物、および/または硫酸塩をもたらす。好ましくは、ミネラルの濃縮溶液は、少なくとも難溶性塩を含む。難溶性塩は、水のミネラル化の分野において周知である。それらは、通常は、1mol/Lよりもはるかに低いモル溶解度を有する塩と定義される。それらは重炭酸塩であってよい。それらは、例えば、カルシウム塩および/またはマグネシウム塩である。それらは、例えばカルサイトおよびドロマイト中に見出すことができる。
【0018】
好ましくは、ミネラルの濃縮溶液は、重炭酸カルシウムおよび/または重炭酸マグネシウムを含む。
【0019】
好ましくは、ミネラルの濃縮溶液は、(難溶性塩の)少なくとも1つの重炭酸ミネラル種を、過飽和濃度または飽和濃度の付近、すなわち、例えば飽和濃度よりも10%低い濃度で含む。
【0020】
飽和溶液または過飽和溶液は、とくに不安定であり、沈殿する傾向が強い。とくには、開放雰囲気と接触するとすぐに、溶解したCO2が気化することにより、平衡が破壊され、溶解した重炭酸塩が再び沈殿する。これにより、ミネラルの溶液の溶解濃度の変化およびカートリッジ出口の閉塞の両方によって、カートリッジから注入されるミネラルの量の精度が変化する。
【0021】
このため、カートリッジの二相含有物の安定性を保証するために、CO2の圧力を(過)飽和溶液より高く維持することが重要である。
【0022】
例えば、ミネラルの濃縮溶液は、0~110000ppmの間のマグネシウム、好ましくは1000~100000ppmの間、好ましくは2000~65000ppmの間、さらに好ましくは3500~55000ppmの間、さらに好ましくは10000~40000ppmの間のマグネシウムを含有することができる。
【0023】
ミネラルの濃縮溶液は、0~350000ppmの間のカルシウム、好ましくは5000~175000ppmの間、好ましくは10000~80000ppmの間、さらに好ましくは20000~55000ppmの間、さらに好ましくは30000~40000ppmの間を含有することができる。
【0024】
カルシウムおよびマグネシウム
好ましくは、ミネラルの濃縮溶液は、硫酸マグネシウム(MgSO4)、炭酸マグネシウム(MgCO
3)、硝酸マグネシウム(MgNO3)、硝酸カルシウム(Ca(NO3)2)、炭酸カルシウム(CaCO3)、塩化ナトリウム(NaCl)、重炭酸ナトリウム(NaHCO3)、重炭酸カリウム(KHCO3)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、および水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)からなるリストのうちの少なくとも1つの塩を含む(上記のリストは前記塩の固体の形態に言及)。
【0025】
カートリッジ内で、一部の二酸化炭素はミネラルの濃縮溶液に溶解し、水と反応して炭酸、重炭酸塩、炭酸塩、およびH+を形成する。
【0026】
好ましくは、濃縮溶液のpHは、1~8の間、好ましくは2~7.8の間、さらに好ましくは3~7.5の間に含まれ、いくつかの実施形態では7未満でさえある。
【0027】
ミネラルの濃縮溶液は、カートリッジ内で液相である。好ましくは、この液相は、カートリッジの体積の最大90%、好ましくはカートリッジの体積の最大85%、またはカートリッジの体積の最大80%を占める。
【0028】
さらに、本発明は、無塩水を製造するための方法であって、本発明による少なくとも1つのカートリッジからの所定の量の濃縮溶液および推進剤が、ミネラル化すべき水へと注入される方法に関する。
【0029】
本発明の方法は、既知の所定のミネラル組成を有する無塩水をもたらす。実際に、ミネラルに関連する健康上の利点の他に、水のミネラル組成物は、感覚刺激特性に関連し、本発明の目的は、特定の官能的品質、口当たり、および/または風味を有する特定のミネラル水を製造することである。
【0030】
ミネラルの溶液および推進剤の両方を水中に注入してミネラル化し、ミネラル種が溶液中に留まることを確実にする。この注入は、カートリッジ内の圧力に大きな影響を及ぼさず、カートリッジ内の濃縮ミネラル溶液の安定性を確保する。
【0031】
本発明の方法は、ミネラル水のオンライン製造のためのものであってよい。その場合、所定の量の濃縮溶液を、ミネラル化すべき水の流れに注入する。
【0032】
ミネラル水のオンライン製造は、製造中に水が連続的に流れるプロセスを指す。プロセスに進入する水が、流入水である一方で、プロセス中に生成される水は、ミネラル水である。例えば、水道水を、流れている間に連続的にミネラル化してミネラル水をもたらすことができ、水道水の流入が停止すると、製造プロセスは停止する。これは、即時性の概念を意味し、すなわち流入水が、溶解を達成するための期間の間、リザーバにおいて貯蔵およびミネラルと混合されることがない。水は、管(容積が限られていることから、リザーバと見なされるべきではない)内を流れる。
【0033】
製造のための源水は、水道水、天然ミネラル水、あるいは精製および/または脱ミネラル化の予備プロセスを経た任意の他の供給源からの水であってよい。
【0034】
さらに、本発明の方法は、或る量の水、例えばリザーバ内に存在する水を、一度にミネラル化するためのものであってもよい。
【0035】
カートリッジは、噴霧ボトルであってよく、オンラインで流れる水であっても、動いていない水であっても、ミネラル化すべき水へと所定の量の濃縮溶液を届けることを可能にする。
【0036】
プロセスにおいてミネラル化すべき水のミネラル含有量は、好ましくは既知であり、これにより、ミネラル化後の水または製造された水のミネラル含有量を知ることができる。好ましくは、ミネラル化すべき水は、500mg/L未満、好ましくは100mg/L未満の乾燥ミネラル残留物を有する。
【0037】
好ましくは、流水の量あたりに注入されるミネラルの濃縮溶液の所定の量は、1:100~1:1000の間、好ましくは1:125~1:800、さらに好ましくは1:150~1:500の間に含まれる。
【0038】
いくつかの実施形態において、本発明による無塩水の製造のための方法は、無塩水の家庭での製造のためのものである。これは、例えば1日当たり最大10Lまたは100L、あるいは例えばレストランに適した任意の量など、1日に製造できる水の量が制限されることを意味する。この目的のために、オンライン製造の場合、本方法は、
-オペレータがミネラル水の製造をトリガするステップ、および
充分に回収したときに、
-オペレータがミネラル水のオンライン生産を停止させるステップ
をさらに含むことができる。
【0039】
他の実施形態において、本発明の方法は、無塩飲料水の工業的製造のためのものであり、すなわち商業目的のためにさらにパッケージすることができ、あるいは他の液体および食品の製造に使用することができる大量の無塩水の製造のためのものである。実際に、ソーダまたはビールのような特定の飲用可能な調製品は、一定の風味を保つために、単一の種類の水から製造されなければならない。一定の組成を有する水を異なる場所で製造できることにより、製造をいくつかの場所に分散させ、輸送の遅延、コスト、および環境への影響を抑えることが可能になる。
【0040】
本発明のカートリッジを使用してミネラル水を製造することで、製造プロセス内で、一定の量のミネラルが時間に沿って注入されることが確実になる。これは、実際に、濃縮溶液のリザーバから製造の流れに向かって通過するミネラル含有量の偏差の可能性につながる濃縮溶液の安定性の問題を回避する。
【0041】
本発明による無塩水の製造のための方法は、所定の量の濃縮ミネラル溶液の注入の前または後に、水を固体ミネラルの存在下に置くことをさらに含むことができる。これらの固体ミネラルは、例えば微粉の形態であり、注入され、あるいは水流が通過するカートリッジ内に位置する合成粉末および/またはアラゴナイト、ミネラルカラムであってよい。「ミネラルカラム」という用語は、ネットワークを形成し、このネットワークを水が通過するときに部分的に溶解する固体塩を含むフィルタまたはカートリッジを説明するために使用される。好都合には、ミネラルカラムは、水への溶解度が低く、1つ以上の濃縮溶液中に充分な量で溶解させることが困難な元素を含む。これらの溶解度の低い元素は、一般に、炭酸塩の形態のカルシウムおよびマグネシウムである。カラムは、例えば、混合カルシウムおよびマグネシウム炭酸塩であるドロマイト、または主に炭酸カルシウムを含むカルサイトを含有することができる。
【0042】
ミネラル粉末は、好ましくは、かなりの流動性を特徴とし、液体溶液に使用されるやり方にきわめて類似したやり方で体積を測定することができる数ミクロン、例えば5~200ミクロンの間の直径を有する粒子で作られたきわめて微細な粉末である。
【0043】
アラゴナイトは、高温および高圧において安定な炭酸カルシウムの多形相であり、周囲条件下の2つの他の安定な多形は、カルサイトおよびバテライトである。海洋ウーライトアラゴナイト(marine oolitic aragonite)が、とりわけバハマおよびフロリダにおいて見られる。
【0044】
「合成粉末」という用語は、粒子に特定の寸法および特性を与える特定の条件での沈殿によって得られた特定のミネラル塩、例えば炭酸カルシウムなどを説明するために使用される。例えば、
による論文(2007;on calcium carbonates:from fundamental research to application.Croatica Chemica Acta,80(3-4),467-484)が、炭酸カルシウムの多形相を得ることを可能にする技術を検討している。この論文は、とくには、結晶形態(カルサイト、バテライト)または水和形態よりも安定性が低いが、より高い溶解速度を有し、本発明による方法の実施に好都合に使用することができる非晶質炭酸カルシウムの形成を記載する。アラゴナイトは、合成プロセスによって得ることもできる。例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、または水酸化マグネシウムの合成粉末、あるいはこれらの混合物を、好ましくは少なくとも部分的に非晶質の形態で使用することができる。
【0045】
したがって、合成粉末は、工業的な再ミネラル化システムにおいて見られるような微粉化または粉砕粉末ではなく、少なくとも部分的に非晶質のミネラル塩の粉末である。
【0046】
いくつかの場合、ミネラル化される水のpHが、製造すべき無塩水のpHとはきわめて異なり、再ミネラル化後の水のpHを調整しなければならない。例えば、流入する水における濃縮溶液、および必要に応じてミネラルカラムの元素の希釈を最適化するために、濃縮ミネラル溶液の注入の前または注入と同時に、水のpHを調整することができる。
【0047】
pH調整は、酸性化または塩基性化によるものであってよい。酸性化は、例えば、再ミネラル化に先立ち、多量の酸性溶液の注入または二酸化炭素の注入によって達成することができる。塩基化は、例えば、多量の塩基性溶液を添加することによって達成することができる。
【0048】
好都合には、本発明の加圧カートリッジからの気体の二酸化炭素は、ミネラル化すべき水にミネラルの濃縮溶液と共に注入され、水のpHを低下させ、カートリッジからの排出後の溶存重炭酸塩および気体CO2の二相平衡を維持する。この原理は、気泡流として知られており、液体マトリックス連続体内に微細に分散した小さな気泡の分散を特徴とする。
【0049】
これにより、再ミネラル化された水における固体の出現が回避され、正確な投入量が保証される。
【0050】
例えば混合排出のために両方の相(気体および液体)をサンプリングするように構成されたSalvalco(登録商標)によるECO-Valveなど、そのような気泡流を排出するように設計された弁が存在する。
【0051】
本発明は、添付の図面を参照して、本発明のいくつかの実施形態についての以下の説明を検討することで、よりよく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図3】本発明による方法を機能させるための器具の概略図である。
【
図4】本発明による方法を機能させるための器具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1を参照すると、カートリッジ2は、カートリッジの体積の約80%を占めるミネラルの濃縮溶液3と、カートリッジの残りの体積における75psiの圧力下のガス4とを含む。エキスパンダを備えたカートリッジヘッド5が、カートリッジの上部に配置され、必要なとき(開放時)にカートリッジの外部との連絡を保証する。
【0054】
カートリッジは、標準的なエアロゾルボトル用の材料など、高圧の含有に耐えることができる任意の適切な材料で製作され、例えば金属材料などで製作される。
【0055】
ガス4は、ここでは圧縮ガスとしての純粋なCO2である。
説明の目的で、ミネラルの濃縮溶液3は、ここでは、例えば、以下の実施例1に記載のカルシウムおよびマグネシウムを含む溶液である。しかしながら、濃縮溶液は、多数のさらなるミネラル種を含有することができる。
【0056】
図2を参照すると、無塩水のオンライン製造のための本発明の方法によれば、
図1のカートリッジ1からの所定の量の濃縮溶液が、ミネラル化すべき水の流れに注入される。
【0057】
第1のステップAにおいて、消費者は、所定の組成の無塩水についての要求を示すことにより、製造プロセスを開始させる。例えば、ここでは、弁または蛇口を開き、脱ミネラル化済みの水道水を決定された流量で製造ユニット内のパイプを通って流す。
【0058】
次いで、ステップBにおいて、水道水は、カートリッジ1から所定の量の濃縮溶液を注入することによってミネラル化される。ヘッド5のエキスパンダを、例えば、所定の量をカートリッジ1から出して脱ミネラル化水へと流入させることを可能にする期間にわたってヘッドを開くドライバに結合させることができる。
【0059】
製造される水について期待されるミネラル含有量に応じて、異なるミネラル組成を有するミネラルの濃縮溶液を収容するいくつかのカートリッジを、直列に使用することができ、かつ/または或る量の合成粉末またはアラゴナイトを、ミネラル化のために流水に順次に添加することができる。
【0060】
水を、1つまたはいくつかのミネラルカラムに流すこともでき、この通過は、再ミネラル化の工程を完了させる目的で、カラムの固体ミネラルの溶解を引き起こす。
【0061】
ステップCにおいて、消費者は、例えば個人消費の目的、またはカラフを満たすために、必要なミネラル化水(無塩水)を取り出す。消費者が必要量の水を取り出したとき、ミネラル水製造方法は終了し、すなわち、入り口弁において水道水の供給が停止される。これは、製造プロセスの最中に水の蓄積が存在しないことを意味する。すべてのステップは「インライン」で行われ、すなわち、水は連続的に循環している。したがって、再ミネラル化は、即時でなければならない。
【0062】
特定の場合には、pH調整の目的で、気体の形態の二酸化炭素を、ステップAとステップCとの間において回路に注入することができる。このステップは、カートリッジに加えて固体のミネラルが使用される場合に、ミネラルの溶解を促進するために必要であるかもしれず、あるいは、製造すべきミネラル水のpHが比較的酸性であり、炭酸イオンを濃縮ミネラル溶液中の溶解種のみでは運ぶことができない場合に、ミネラル化すべき水を実質的に酸性にするために必要であるかもしれない。
【0063】
流入する水が、例えば水道水である場合、ミネラルを注入する前に、水道水の不純物を除去して精製水を得ることができる。精製ステップの具体的な技術は、水道水の品質に依存する。精製ステップの目的は、懸濁元素、残留塩素、および重金属などの他の成分を除去することである。
【0064】
また、流入する水を、精製ステップにおいて除去されなかった望ましくない成分を除去するために、ミネラルの部分的な除去または完全な除去によって脱ミネラル化することができる。これらの成分は、主に1価および2価のイオンである。脱ミネラル化ステップは、ミネラルの全体を除去する傾向にある逆浸透技術、または選択的な脱ミネラル化を可能にするイオン交換樹脂を実装することができる。技術の選択は、水道水および製造すべきミネラル水の組成に基づいて行われる。再ミネラル化の前にミネラルを除去することにより、製造されるミネラル水の最終ミネラル含有量をより良好に制御することが可能になる。
【0065】
製造すべきミネラル水が発泡水である場合、ガス化ステップを、再ミネラル化の後に導入することができる。
【実施例1】
【0066】
実施例1:Evian水と実質的に同様のミネラル水を製造するためのミネラルの濃縮溶液を含むカートリッジの調製。
【0067】
表1にEvianという登録商標で販売されている水の組成を詳しく示す。
【0068】
【0069】
ミネラル元素は、純粋なイオン形態では入手できないため、塩またはアニオン-カチオン対を正確に選択することが重要である。
【0070】
表2に一般的なミネラル塩の最大溶解度を詳しく示す。
【0071】
【0072】
カートリッジ内で、濃縮溶液は二酸化炭素の高圧下にあり、したがって大量の溶解二酸化炭素を含む。したがって、炭酸カルシウムおよび炭酸マグネシウムを直接溶解させる代わりに、水酸化カルシウムおよび水酸化マグネシウムを溶解させることが選択され、これらは、二酸化炭素の高圧下に置かれたときに重炭酸塩にさらに変換される。
【0073】
4つの濃縮溶液を、エビアン(登録商標)の濃度に達するように設計した:1つは、1:150の比で希釈される重炭酸カルシウムをもたらすものであり、1つは、1:387の比で希釈される重炭酸カルシウムをもたらすものであり、1つは、1:150の比で希釈される重炭酸マグネシウムをもたらすものであり、1つは、1:387の比で希釈される重炭酸マグネシウムをもたらすものである。
【0074】
重炭酸塩および水酸化物の当量の目標濃度を、表3に要約する。溶液を、所望の粉末量を二酸化炭素バブリング下で蒸留水に順次添加し、所望の体積にすることによって調製した。
【0075】
【0076】
溶液は、例えば、エビアン(登録商標)水の組成を再現するために、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムおよび/または水酸化カリウム、塩化ナトリウム、硝酸カルシウム、硫酸マグネシウム、などのようないくつかのいわゆる「可溶性塩」をさらに含有することができる。
【0077】
表4に開示されるミネラル組成を有するGerolsteiner(登録商標)という登録商標で販売されている水と同様の水を得ることも可能である。
【0078】
【0079】
この水は、はるかに高いマグネシウムおよびカルシウム含有量を有する。この種の水を得るための濃縮溶液は、典型的には、本発明のカートリッジ内ではるかに良好に保存され、はるかに良好な安定性を有する。
【0080】
カートリッジ内の二酸化炭素の圧力により、カートリッジがほぼ空になる場合でも、溶液内の二酸化炭素レベルは安定なままであり、カートリッジの全貯蔵寿命にわたってミネラル種の溶解度を保証する。これは、カートリッジの交換の必要性に伴うメンテナンスを抑えるために、より大きな容積のカートリッジを製造する可能性を切り開く。
【0081】
濃縮溶液を流水へと注入してミネラル化を行うと、最終的なpHは、予想されるpHよりも低くなる可能性がある。これは、カートリッジ内の濃縮溶液の二酸化炭素の飽和に起因する。したがって、例えば、CO2を除去するために空気を水中にバブリングすること、または膜接触器を使用することによって、pHを補正することが必要な場合がある。
【0082】
本方法のステップを説明したので、次に、本発明のカートリッジを使用するシステムの一例を提示する。
【0083】
図3を参照すると、器具100は、回路102の入力を水道管に接続するための接続ポート101を備える。回路102は、粒状の活性炭のカートリッジ103、逆浸透ユニット104、再ミネラル化ユニット105を通過する。ここでは、脱ミネラル化ユニットと再ミネラル化ユニット105との間にポンプ6が挿入されている。再ミネラル化ユニットの出力において、回路102は、2つのサブ回路2aおよび2bに分割される前に冷却ユニット11を通過する。サブ回路2aは冷水の出口弁13に通じ、回路2bは、炭酸/発泡冷水の出口弁14に到達する前に、弁19によって二酸化炭素シリンダ8に接続されたガス化ユニット15を通過する。
【0084】
再ミネラル化ユニット5において、回路は、第1の静的ミキサ18aを通過し、第1の静的ミキサ18aの入力には、第1の濃縮ミネラル溶液をCO2の圧力下で含む加圧カートリッジ1が接続される。次いで、回路は、第2の静的ミキサ18bを通過し、第2の静的ミキサ18bの入力には、第2の濃縮ミネラル溶液を含む第2のカートリッジ17が接続される。カートリッジと静的ミキサとの間の接続は、そこを通過する水の流量に応じて、計量された微量の濃縮溶液を或る割合の推進剤ガスとの組み合わせにおいて送出するための制御弁または流体マイクロフィード装置などの任意の適切な接続であってよい。濃縮溶液の送出の頻度および送出量は、再ミネラル化される水の循環流量に基づいて予め決定される。
【0085】
図4を参照すると、本発明のカートリッジが家庭用器具において使用される場合、器具のすべての要素は、ケーシング20に収容されてよく、ケーシング20は、その表面、好ましくはケーシングの後部の接続ポート1(図示せず)と、ケーシングの前部の制御パネル21とを備え、制御パネル21に、冷却された静水または低温の静水のための制御ボタン22と、低温の発泡水のための制御ボタン23とが配置されている。ケーシングの前部は、プラットフォーム25を形成する補強材を備える。カートリッジ2は、典型的には、ケーシング20内に囲まれる。
【0086】
ユーザまたは消費者は、器具のプラットフォーム25上にグラスを置き、自身の選択に応じてボタン22~24のうちの1つを押すことによって水の製造を開始することができる。この場合は電磁弁である接続ポート1が開き、水道水を回路へと導く。
【0087】
水道水は、最初に粒状の活性炭のカートリッジ103を通り、そこで残留塩素および鉛などの他の汚染物質の除去によって浄化される。水道水に懸濁している可能性があるすべての粒子を除去するために、ミクロンフィルタ(図示せず)が、このカートリッジに組み合わせられている。
【0088】
次いで、このようにして精製された水は、水のミネラルの99.5%を除去することを可能にする1つまたはいくつかの逆浸透カートリッジを備えるユニット104を通過する。脱ミネラル化ユニット104の下流に配置されたポンプ6が、水を流し、逆浸透カートリッジが機能するために必要な圧力差を生成する。
【0089】
その後に、脱ミネラル化後の水は、再ミネラル化ユニット5に進入する。濃縮ミネラル溶液を含むカートリッジは、水の流れが回路に現れるとすぐに、すなわち入口弁1が開くとすぐに作動する。したがって、マイクロフィード装置が、濃縮ミネラル溶液の流れ/ストリームを、カートリッジに収容された特定の量の推進剤と共に、連続的に、あるいは規則的な間隔で送出される微小体積の形態で、回路102に注入する。濃縮溶液と共に送出される推進剤の量は、当業者に一般的に知られているように、マイクロフィードシステムに依存する。マイクロフィード装置は、好ましくは、毎秒数マイクロリットルの範囲の流量を高い精度で管理できるように選択される。濃縮溶液および推進剤は、この場合にはらせん状インサートであり、塩の沈澱を引き起こすことなく再ミネラル化された水を均質化するための充分な乱流を回路102内に生じさせる静的ミキサ18aおよび18bのレベルにおいて、脱ミネラル化水と混合される。
【0090】
再ミネラル化の後に、消費者の最初の選択に応じて、水は出口弁13または14の一方に送られる。
【0091】
ユーザが低温の静水を得るためにボタン22を押した場合、弁13が開かれる。水の流れは、水の5℃~10℃への冷却を可能にするアルミニウム熱電モジュールを通過する。次いで、冷却された水は、サブ回路2aを辿り、弁13を通って出る。
【0092】
ユーザがボタン23を押した場合、弁14が開かれる。上述のように、水は最初に冷却され、次いでカーボネータ15を通過し、そこで高圧の気体の二酸化炭素が注入される。二酸化炭素の流れは、弁19によって制御され、連続的に、あるいは規則的な間隔のパルスによって注入される。二酸化炭素は、弁14を通ってサブ回路2bを出る前に、冷却された無塩水に溶解する。
【0093】
弁13および14に対応する出力部は、好ましくは、プラットフォーム25の上部に位置し、単一の開口部を形成するように合流するか、あるいは並置されるパイプである。それらの開口部は、製造された水が消費者によってプラットフォーム上に配置されたグラスへと落下するように、垂直下方に配置される。
【0094】
製造は即時であり、指令ボタンのうちの1つが押されると同時に、入口弁1ならびに出口弁13または14のうちの一方の開放が生じる。
【0095】
図5を参照すると、器具500は、器具100について説明した再ミネラル化ユニットとはわずかに異なる再ミネラル化ユニット50を備えることができる。ここで、回路102は、静的ミキサ180を通過し、静的ミキサ180の入力には、濃縮ミネラル溶液を推進剤ガスの圧力下で含むカートリッジ2が接続される。濃縮ミネラル溶液は、この場合には、流入する水にすべてのミネラル元素を供給するわけではない。次いで、回路は、例えば粉末またはボールの形態のドロマイトで構成されてよい塩カラム26を通過する。マグネシウム、カルシウム、および炭酸塩は、水の流れの通過によって溶解する。これはハイブリッドシステムである。
【0096】
器具の種々の要素は、好ましくは、回路の全体積を最小化し、デッドスペースを回避するように配置される。実際、これらのデッドスペースは藻類または細菌の発生を助長し、これは望ましくない。
【0097】
器具の種々の要素を、同じ目的を果たし、同じ結果を達成する任意の他の要素またはシステムによって置き換えることができる。
【0098】
脱ミネラル化工程を、例えば、イオン交換樹脂カートリッジで達成することもできる。一般にゼオライトおよび鎖上のイオン基を特徴とするポリマーを有するイオン交換樹脂は、例えばナトリウムカチオンなどの或る種類のイオンで、例えばカルシウムカチオンなどの別の種類のイオンを置換することを可能にする。使用される樹脂または樹脂の混合物に応じて、1つまたはいくつかの種類のイオンを置換することができ、したがって選択的な脱ミネラル化が可能になる。
【0099】
再ミネラル化を、カートリッジ内のCO2を含有する推進剤ガスの圧力下で提供される単一の濃縮ミネラル溶液または2つの濃縮ミネラル溶液によって説明した。しかしながら、場合によっては、例えば飽和のために、添加されるべきすべての元素を充分に濃縮されたやり方で溶解させることが不可能であることも起こり得る。この場合、添加されるべきミネラル元素は、同じ組成または異なる組成を有するさらに濃縮溶液、ならびに/あるいは合成微粉末および/またはアラゴナイトに分離される。
【0100】
あるいは、濃縮溶液が1つだけしか必要とされない場合、第2のカートリッジにもこの溶液を充てんし、第1のカートリッジが空の場合に使用することにより、濃縮溶液に関する器具の容量を倍増させることができる。
【0101】
本発明のカートリッジは、典型的には、多数回の再充てんおよび再使用が可能な再使用可能容器であってよい。
【0102】
水道水のミネラル化の複雑なシステムを、上記で例示した。しかしながら、本発明の加圧カートリッジは、発泡水および/または特定の風味の水を製造するための既知の家庭用装置など、任意の他のミネラル化装置において使用可能である。この場合、再ミネラル化される水は、例えば、再充てん可能なリザーバに用意される。
【0103】
特定の投入機構でカートリッジをそのまま使用することも可能である。その場合、ミネラル水の製造は「オンライン」ではなく、より静的である。ユーザは、カートリッジを使用して、例えば1Lボトルなどの特定の容積のボトルに或る量のミネラル濃縮溶液および推進剤を注入することができる。カートリッジを、例えば、スプレーヘッドが押されたときに所与の量の濃縮ミネラル溶液を送出するように構成されたスプレーとして提供することができる。任意の他の適切な構成も可能である。
【国際調査報告】