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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】緩み止めスプリングナット
(51)【国際特許分類】
   F16B 39/18 20060101AFI20241031BHJP
   F16B 39/20 20060101ALI20241031BHJP
   F16B 37/08 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
F16B39/18
F16B39/20 A
F16B37/08 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527108
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-05-28
(86)【国際出願番号】 KR2022010708
(87)【国際公開番号】W WO2023136411
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】10-2022-0006833
(32)【優先日】2022-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524169353
【氏名又は名称】ムン サンヨル
(74)【代理人】
【識別番号】110003801
【氏名又は名称】KEY弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ムン サンヨル
(57)【要約】
本発明は、ボルト(10)に締結されたナット(20)の下部に締結され、ナット(20)の緩みを防止する緩み止めスプリングナットに関するもので、前記ボルト(10)の雄ネジに沿って数回巻回され、下端部と上端部には半径方向外側に互いに異なる方向に下部係止環(123)と上部係止環(121)がそれぞれ突出形成されるスプリング雌ネジ(120)と;前記スプリング雌ネジ(120)が収容される函体形状を有し、底板(111)に前記ボルト(10)が挿入されるボルト挿入穴(111a)が貫通形成され、側面に沿って内側に向かって一定の間隔で陥没形成された複数の押し顎(114)を備えた外部ケーシング(110)を含み、前記スプリング雌ネジ(120)は、前記押し顎(114)が前記下部係止環(123)と前記上部係止環(121)の間に配置されるように前記外部ケーシング(110)内部に収容され、前記ナット(20)が前記ボルト(10)に締結された状態で、前記外部ケーシング(110)が前記ボルト(10)に締結される方向に標準工具によって回転力が作用すれば、前記押し顎(114)が前記上部係止環(121)を接触加圧して前記スプリング雌ネジ(120)の外径が拡張され、前記外部ケーシング(110)とスプリング雌ネジ(120)が一緒に回転し、前記ボルト(10)に沿って締結されることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルト(10)に締結されたナット(20)の下部に結合されてナット(20)の緩みを防止する緩み止めスプリングナットにおいて、
前記ボルト(10)の雄ネジに沿って数回巻回され、下端部と上端部には半径方向外側に互いに異なる方向に下部係止環(123)と上部係止環(121)がそれぞれ突出形成されるスプリング雌ネジ(120)と;
前記スプリング雌ネジ(120)が収容される函体形状を有し、底板(111)に前記ボルト(10)が挿入されるボルト挿入穴(111a)が貫通形成され、側面に沿って内側に向かって一定の間隔で陥没形成された複数の押し顎(114)が備えられた外部ケーシング(110)を含み、
前記スプリング雌ネジ(120)は、前記押し顎(114)が前記下部係止環(123)と前記上部係止環(121)の間に配置されるように前記外部ケーシング(110)内部に収容され、
前記ナット(20)が前記ボルト(10)に締結された状態で、前記外部ケーシング(110)が前記ボルト(10)に締結される方向に標準工具によって回転力が作用すると、前記押し顎(114)が前記上部係止環(121)を接触加圧して前記スプリング雌ネジ(120)の外径が拡張され、前記外部ケーシング(110)とスプリング雌ネジ(120)が一緒に回転し、前記ボルト(10)に沿って締結されることを特徴とする緩み止めスプリングナット。
【請求項2】
前記外部ケーシング(110)は、標準工具が適用されるように断面が多角形で形成される側面(113)と、前記側面(113)の上端から内側に向かって折りたたまれ、前記スプリング雌ネジ(120)を覆う複数の覆い羽根(115)を含み、
前記複数の押し顎(114)は、前記多角形の各辺の板面から内側に向かって前記スプリング雌ネジ(120)が前記外部ケーシング(110)の中心に整列され、前記スプリング雌ネジ(120)が前記ボルト(10)の雄ネジにネジ結合できる深さで陥没形成されることを特徴とする請求項1に記載の緩み止めスプリングナット。
【請求項3】
前記外部ケーシング(110)が前記ナット(20)の下部で前記ボルト(10)に結合された状態で前記ボルト(10)または前記ナット(20)が緩む方向に外力が作用すると、前記外部ケーシング(110)が固定された状態で前記上部係止環(121)が前記押し顎(114)に接触して外径が縮小し、前記ボルトまたは前記ナット(20)が緩むのを防止することを特徴とする請求項2に記載の緩み止めスプリングナット。
【請求項4】
ボルト(10)に締結されたナット(20)の下部に結合され、ナット(20)の緩みを防止する緩み止めスプリングナットにおいて、
前記ボルト(10)の雄ネジに沿って数回巻回され、下端部と上端部には半径方向外側に互いに異なる方向に下部係止環(123)と上部係止環(121)がそれぞれ突出形成されるスプリング雌ネジ(120)と;
前記スプリング雌ネジ(120)が収容される函体形状を有し、底板(111)に前記ボルト(10)の外径より大きい外径を有するハブ挿入穴(111a-1)が貫通形成され、側面に沿って内側に向かって一定の間隔で陥没形成された複数の短い押し顎(114-1)を有するラチェット外部ケーシング(110a)と;
前記ラチェット外部ケーシング(110a)の内部に収容されて前記スプリング雌ネジ(120)を収容し、側面に沿って前記短い押し顎(114-1)に対応するように内側に陥没形成された複数の押され顎(132)が備えられた内部ケーシング(130)を含み、
前記スプリング雌ネジ(120)は、前記押され顎(132)が前記下部係止環(123)と前記上部係止環(121)の間に配置されるように前記内部ケーシング(130)の内部に収容され、
前記ナット(20)が前記ボルト(10)に締結された状態で、前記ラチェット外部ケーシング(110a)が前記ナット(20)の下部に締結される方向に標準工具によって回転力が作用すると、前記短い押し顎(114-1)が前記押され顎(132)を加圧し、前記押され顎(132)が前記上部係止環(121)を接触加圧し、前記スプリング雌ネジ(120)の外径が拡張され、前記ボルト(10)に沿って締結されることを特徴とする緩み止めスプリングナット。
【請求項5】
前記内部ケーシング(130)は、
前記複数の押され顎(132)が形成された内部ケーシング壁(131)と;
前記内部ケーシング(130)の壁の下部に一定の面積が水平に形成され、前記底板(111)に重畳配置されるベアリング底板(133)と;
前記ベアリング底板(133)から下部に段差ができるように一定の面積が形成され、前記ハブ挿入穴(111a-1)を通じて外部に突出形成され、前記ボルト(10)が挿入される内部ボルト挿入穴(133c)が形成された突出ハブ(133a)を含み、
前記押され顎(132)は、前記スプリング雌ネジ(120)が内部ケーシング(130)の中心に整列され、前記スプリング雌ネジ(120)が前記ボルト(10)の雄ネジにネジ結合できる深さで陥没形成されることを特徴とする請求項4に記載の緩み止めスプリングナット。
【請求項6】
前記突出ハブ(133a)が前記ボルト(10)に締結されたナット(20)の下部に接触した状態で、標準工具が前記ラチェット外部ケーシング(110a)に前記ナット(20)が締結される方向に回転力を加えると、前記短い押し顎(114-1)が前記押され顎(132)を越え、前記突出ハブ(133a)を中心に前記ラチェット外部ケーシング(110a)が前記内部ケーシング(130)の外部を空回りすることを特徴とする請求項5に記載の緩み止めスプリングナット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩み止めスプリングナットに関するもので、より詳しくはボルトに締結されたナットの下部に標準工具によって締結され、ナットの緩みを防止する緩み止めスプリングナットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ボルトとナットは、自動車の付属品の組立、電子部品の組立、家具の組立、および建設現場における構造物の組立など多様な分野で2つの物体を締結によって結合させる。ところで、このようなボルトとナットの結合は、車両の走行などによる振動や外部衝撃などによって緩み、事故が発生する問題があった。
【0003】
特に、最近になって自動車や一般産業機械などに電子装置の装着が拡大し、高電流、高電圧が必要になったが、もし電源連結部のボルトとナットの結合が緩むと、スパークの発生による火災や電子装置の電源切れなどによって事故が発生しうる問題がある。
【0004】
このようなナットの緩みを防止するために、ボルトの雄ネジに対応するように巻回形成された緩み止め雌ネジスプリングが使われる。緩み止め雌ネジスプリングは、ボルトの雄ネジが右ネジの場合、雄ネジに挿入される形状で備えられる。
【0005】
緩み止め雌ネジスプリングは、ボルトの雄ネジに沿って進入してネジが締結され、ボルトが緩もうとするときに外径が縮小し、雄ネジに摩擦力を与えてボルトの緩みを防止する。
【0006】
ところで、このような緩み止め雌ネジスプリングは、ボルトの雄ネジに対応する外径を備えるように一定回数巻回されたスプリング形態なので、産業現場で標準工具を用いてボルトに締結できない限界がある。
【0007】
このため、作業者が手でボルトを締結したり、ナットの内部に挿入された形態で設計しなければならない煩わしさがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国登録特許第10-1907342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上述した問題を解決するためのもので、従来の雌ネジスプリングの緩み止め機能は維持しながら、標準工具を用いて速くボルトに締結できる緩み止めスプリングナットを提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、標準工具を用いてボルトに締結されたナットの下部に締結したとき、空回りさせて工具の適応性を向上させることができる緩み止めスプリングナットを提供することである。
【0011】
本発明の前記の目的といくつかの長所は、この技術分野に精通した者によって本発明の望ましい実施例からさらに明確になるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、ボルト(10)に締結されたナット(20)の下部に結合され、ナット(20)の緩みを防止する緩み止めスプリングナットによって達成できる。本発明の緩み止めスプリングナットは、前記ボルト(10)の雄ネジに沿って数回巻回され、下端部と上端部には半径方向外側に互いに異なる方向に下部係止環(123)と上部係止環(121)がそれぞれ突出形成されるスプリング雌ネジ(120)と;前記スプリング雌ネジ(120)が収容される函体形状を有し、底板(111)に前記ボルト(10)が挿入されるボルト挿入穴(111a)が貫通形成され、側面に沿って内側に向かって一定の間隔で陥没形成された複数の押し顎(114)を備えた外部ケーシング(110)を含み、前記スプリング雌ネジ(120)は、前記押し顎(114)が前記下部係止環(123)と前記上部係止環(121)の間に配置されるように前記外部ケーシング(110)内部に収容され、前記ナット(20)が前記ボルト(10)に締結された状態で、前記外部ケーシング(110)が前記ボルト(10)に締結される方向に標準工具によって回転力が作用すれば、前記押し顎(114)が前記上部係止環(121)を接触加圧して前記スプリング雌ネジ(120)の外径が拡張され、前記外部ケーシング(110)とスプリング雌ネジ(120)が一緒に回転し、前記ボルト(10)に沿って締結されることを特徴とする。
【0013】
一実施例によれば、前記外部ケーシング(110)は、標準工具が適用されるように断面が多角形の形態で形成される側面(113)と、前記側面(113)の上端から内側に向かって折りたたまれて前記スプリング雌ネジ(120)を覆う複数の覆い羽根(115)を含み、前記複数の押し顎(114)は、前記多角形の各辺の板面から内側に向かって前記スプリング雌ネジ(120)が前記外部ケーシング(110)の中心に整列され、前記スプリングネジ(129)が前記ボルト(10)の雄ネジにネジ結合できる深さで陥没形成されることができる。
【0014】
一実施例によれば、前記外部ケーシング(110)が前記ナット(20)の下部で前記ボルト(10)に結合された状態で前記ボルト(10)または前記ナット(20)が緩む方向に外力が作用すれば、前記外部ケーシング(110)が固定された状態で前記上部係止環(121)が前記押し顎(114)に接触し、外径が縮小され、前記ボルトまたは前記ナット(20)の緩みを防止することができる。
【0015】
一方、本発明の目的は、ボルト(10)に締結されたナット(20)の下部に結合され、ナット(20)の緩みを防止する緩み止めスプリングナットによって達成できる。本発明の緩み止めスプリングナットは、前記ボルト(10)の雄ネジに沿って数回巻回され、下端部と上端部には半径方向外側に互いに異なる方向に下部係止環(123)と上部係止環(121)がそれぞれ突出形成されるスプリング雌ネジ(120)と;前記スプリング雌ネジ(120)が収容される函体形状を有し、底板(111)に前記ボルト(10)の外径より大きい外径を有するハブ挿入穴(111a-1)が貫通形成され、側面に沿って内側に向かって一定の間隔で陥没形成された複数の短い押し顎(114-1)を有するラチェット外部ケーシング(110a)と;前記ラチェット外部ケーシング(110a)の内部に収容されて前記スプリング雌ネジ(120)を収容し、側面に沿って前記短い押し顎(114-1)に対応するように内側に陥没形成された複数の押され顎(132)が備えられた内部ケーシング(130)を含み、前記スプリング雌ネジ(120)は、前記押され顎(132)が前記下部係止環(123)と前記上部係止環(121)の間に配置されるように前記内部ケーシング(130)内部に収容され、前記ナット(20)が前記ボルト(10)に締結された状態で前記ラチェット外部ケーシング(110a)が前記ナット(20)の下部に締結される方向に標準工具により回転力が作用すると、前記押され顎(132)が前記上部係止環(121)を接触加圧し、前記スプリング雌ネジ(120)の外径が拡張され、前記ボルト(10)に沿って締結されることを特徴とする。
【0016】
一実施例によれば、前記内部ケーシング(130)は、前記複数の押され顎(132)が形成された内部ケーシング壁(131)と;前記内部ケーシング(130)の壁の下部に一定の面積が水平に形成され、前記底板(111)に重畳配置されるベアリング底板(133)と;前記ベアリング底板(133)から下部に段差ができるように一定の面積が形成され、前記ハブ挿入穴(111a-1)を通じて外部に突出形成され、前記ボルト(10)が挿入される内部ボルト挿入穴(133c)が形成された突出ハブ(133a)を含み、前記押され顎(132)は、前記スプリング雌ネジ(120)が内部ケーシング(130)の中心に整列されて前記スプリング雌ネジ(120)が前記ボルト(10)の雄ネジにネジ結合できる深さで陥没形成されることができる。
【0017】
一実施例によれば、前記突出ハブ(133a)が前記ボルト(10)に締結されたナット(20)の下部と接触した状態で、標準工具が前記ラチェット外部ケーシング(110a)に前記ナット(20)が締結される方向に回転力を加えると、前記短い押し顎(114-1)が前記押され顎(132)を越え、前記突出ハブ(133a)を中心に前記ラチェット外部ケーシング(110a)が内部ケーシング(130)の外部を空回りする。
【発明の効果】
【0018】
本発明による緩み止めスプリングナットは、ボルトの緩み止めに使われるスプリング雌ネジを標準工具によって操作できる外部ケーシングの内部に収容し、内壁面に形成された押し顎がスプリング雌ネジの上部係止環と下部係止環を加圧してボルトに締結されたり緩められたりする。
【0019】
これにより、スプリング雌ネジの緩み止め機能を維持しながら、標準工具を用いてボルトに速く締結できる長所がある。
【0020】
また、本発明の緩み止めスプリングナットは、内部ケーシングを追加し、押し顎によって押される押され顎を備え、ナットの下部に緩み止めスプリングナットの締結が完了すると外部ケーシングが空回りするラチェット機能を追加した。これにより、標準工具による工具適応性を向上させ、より速い施工が可能な長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の望ましい実施例による緩み止めスプリングナットがボルトにナットと一緒に締結された状態を示した斜視図である。
図2】本発明の望ましい実施例による緩み止めスプリングナットの構成を示した斜視図である。
図3】本発明の望ましい実施例による緩み止めスプリングナットの構成を分解して示した分解斜視図である。
図4】本発明の望ましい実施例による緩み止めスプリングナットがボルトにナットと一緒に締結された状態の断面構成を示した側断面図である。
図5】本発明の望ましい実施例による緩み止めスプリングナットの動作過程を示した平断面例図である。
図6】本発明の望ましい実施例による緩み止めスプリングナットの多様な変形例を示した例図である。
図7】本発明の他の実施例による緩み止めスプリングナットの構成を分解して示した分解斜視図である。
図8】本発明の他の実施例による緩み止めスプリングナットがボルトにナットと一緒に締結された状態の断面構成を示した側断面図である。
図9】本発明の他の実施例による緩み止めスプリングナットの動作過程を示した平断面例図である。
図10】本発明の他の実施例による緩み止めスプリングナットの動作過程を示した平断面例図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明を十分に理解するために、本発明の望ましい実施例を添付図面を参照して説明する。本発明の実施例は、様々な形態に変形することができ、本発明の範囲が以下で詳しく説明する実施例に限定されるものと解釈されてはならない。本実施例は、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状などは、より明確な説明を強調するために誇張されて表現されることがある。各図面において同一の部材は同一の参照符号で示した場合があることに留意しなければならない。本発明の要旨を不必要に不明瞭にし得ると判断される公知の機能および構成に関する詳細な記述は省略する。
【0023】
図1は、本発明の望ましい実施例による緩み止めスプリングナット100がナット20と一緒にボルト10に締結された状態を示した斜視図であり、図2は緩み止めスプリングナット100の構成を示した斜視図であり、図3は緩み止めスプリングナット100の構成を分解して示した分解斜視図であり、図4図1の断面構成を示した断面図であり、図5は緩み止めスプリングナット100の動作過程を示した平断面例図である。
【0024】
図1に示すように、本発明の緩み止めスプリングナット100は、ボルト10に締結されたナット20の下部に密着するようにボルト10に締結され、ボルト10の回転を防止してボルト10とナット20の緩みを防止し、ボルト10とナット20の締結状態が長時間安定して維持されるようにする。
【0025】
緩み止めスプリングナット100は、図2に示すように、函体形状の外部ケーシング110と、外部ケーシング110の内部に収容されるスプリング雌ネジ120を含む。
【0026】
外部ケーシング110は、スプリング雌ネジ120を収容した状態で、標準工具によって外周が正逆回転加圧され、スプリング雌ネジ120がボルト10に締結されたり緩められたりする。外部ケーシング110がスプリング雌ネジ120を収容しているので、作業者は標準工具を用いて外部ケーシング110だけ一般のナットと同じように正逆操作すれば良いので、工具適応性が向上して速く緩み止めスプリングナット100をボルト10に締結できる長所がある。
【0027】
スプリング雌ネジ120は、外部ケーシング110の回転操作によってボルト10の雄ネジ13にネジ結合し、ボルト10の緩みが防止されるようにする。スプリング雌ネジ120は、ボルト10の雌ネジに対応する内径Rを持つように数回巻回されて形成される。
【0028】
本発明の望ましい実施例のスプリング雌ネジ120は、2回巻回された形態で備えられたが、これは一実施例に過ぎず、場合によっては1回巻回されたり、3回以上巻回されたりすることがある。
【0029】
スプリング雌ネジ120の上部と下部には、半径方向外側に突出した上部係止環121と下部係止環123がそれぞれ備えられる。上部係止環121と下部係止環123は互いに反対方向に折曲形成される。
【0030】
外部ケーシング110は、図3に示すように、底板111と、底板111の外周に垂直に形成された側面113と、側面113の上部に折りたためるように結合された複数の覆い羽根115を含む。
【0031】
ここで、外部ケーシング110は、標準工具、一例としてスパナやレンチ、電動ドライバー、ナットランナーなどを用いて回転操作できるように断面が多角形で形成されることが望ましい。これにより、外部ケーシング110は、図6の(a)に示されたように三角形、図6の(b)に示された四角形、(c)に示された六角形、(d)~(e)に示された標準工具によって把持できる角が形成された多様な形態で備えられることができる。
【0032】
底板111は、多角形で形成され、板面にボルト10が挿入されるボルト挿入穴111aがボルト10の外径に対応するように貫通形成される。
【0033】
覆い羽根115は、側面113の上部に多角形の辺の数に対応する数で備えられ、折りたたみ線115aを中心に折りたたまれ、スプリング雌ネジ120が収容された外部ケーシング110の上部を覆ってスプリング雌ネジ120の位置を固定する。
【0034】
図5に示すように、覆い羽根115は、スプリング雌ネジ120の上部に密着するように備えられ、スプリング雌ネジ120が外部ケーシング110の内部で上下に遊動しないように位置を固定する。
【0035】
隣接する覆い羽根115の間には、角領域に切開孔115bが形成され、覆い羽根115が折りたたみ線115aを中心に折りたたまれるとき、互いに干渉が発生しないようにする。
【0036】
各覆い羽根115の面積は、図1に示すように、複数が互いに折りたたまれたとき、内部にボルト挿入穴111aに対応する空間が形成されるように備えられる。
【0037】
側面113は、多角形になるように備えられ、内部にスプリング雌ネジ120が収容できる高さで備えられる。側面113を形成する多角形の各辺の中心領域には、内側に押し顎114が陥没形成される。押し顎114の陥没の深さhは、図4の(a)と(b)に示すように、複数の押し顎114がスプリング雌ネジ120の外周を加圧してスプリング雌ネジ120が外部ケーシング110の中心に整列されるようにする深さで形成される。
【0038】
押し顎114の陥没の深さは、スプリング雌ネジ120の外径と外部ケーシング110の幅を考慮して設計される。
【0039】
押し顎114は、標準工具によって外部ケーシング110が回転操作されるとき、スプリング雌ネジ120の上部係止環121または下部係止環123を押して外部ケーシング110と一緒にスプリング雌ネジ120が回転し、ボルト10を締めたり緩めたりする。
【0040】
押し顎114は、図4の(a)に示されたように、断面が三角形に折り曲げられて形成される。複数の押し顎114のうち一つは、上部係止環121と下部係止環123の間に位置する。
【0041】
上部係止環121と下部係止環123の間に配置された押し顎114の左側傾斜面114bと右側傾斜面114aは、外部ケーシング110の回転方向によって上部係止環121または下部係止環123を押す。
【0042】
一例として、図4の(a)は、ボルト10は右ねじであり、スプリング雌ネジ120はボルト10の雄ネジにねじ結合する形態の場合、ボルト10に緩み止めスプリングナット100が締結される過程を示した例図である。
【0043】
ボルト10が締結対象Aに挿入された後、ボルト10の下部にナット20が締結される。ナット20の下部に突出したボルト10に、作業者は標準工具を用いて緩み止めスプリングナット100を締結する。
【0044】
図示されたように、標準工具が側面113を把持して外部ケーシング110を時計回りに回転させると、押し顎114の左側傾斜面114bが回転し、上部係止環121を加圧する。左側傾斜面114bが上部係止環121を加圧する圧力Pによって上部係止環121は時計方向に曲がって広がる。
【0045】
これにより、スプリング雌ネジ120の内径R’が点線で表示されたように、初期外径Rより大きくなって広がる。これにより、スプリング雌ネジ120がボルト10の雄ネジ13と穴の間の傾斜面の接触部分に対する摩擦力が減り、雄ネジ13に乗って移動して図5に示されたようにナット20の下部に締結されることができる。
【0046】
このように緩み止めスプリングナット100がナット20と密着するようにボルト10に締結されれば、スプリング雌ネジ120は初期内径Rを維持し、ボルト10の雄ネジ13に結合された状態を維持する。
【0047】
ここで、振動や衝撃によってボルト10またはナット20が緩む方向に外力が作用すれば、ボルト10に結合されたスプリング雌ネジ120も一緒に緩む方向に回転しようとする。このとき、外部ケーシング110は固定された状態であるため、図4の(a)に示されたようにスプリング雌ネジ120が反時計回りに回転し、上部係止環121が押し顎114の左側傾斜面114bを加圧する。
【0048】
押し顎114を加圧する上部係止環121の力が標準工具が加える回転トルクより小さいので、スプリング雌ネジ120は、上部係止環121が下部係止環123と向かい合う方向に移動して内径が狭まり、ボルト10の雄ネジと穴の間に接触する面積に加える摩擦力が増大する。これにより、ボルト10またはナット20の緩みが防止される。
【0049】
一方、図4の(b)に示すように、標準工具を用いてボルト10やナット20の締結を解除するために外部ケーシング110に反時計回りに力を加える場合、押し顎114の右側傾斜面114aが下部係止環123を加圧し、スプリング雌ネジ120の内径R’が拡張され、ボルト10から緩み止めスプリングナット100が容易に外れることができる。
【0050】
図7は、本発明の他の実施例による緩み止めスプリングナット100aの構成を分解して示した分解斜視図であり、図8は他の実施例の緩み止めスプリングナット100aが、ナット20が締結されたボルト10に締結された状態を示した片側断面図である。
【0051】
図示されたように、他の実施例による緩み止めスプリングナット100aは、ラチェット外部ケーシング110aと、ラチェット外部ケーシング110aの内部に収容され、スプリング雌ネジ120を収容する内部ケーシング130を含む。
【0052】
他の実施例による緩み止めスプリングナット100aは、望ましい実施例の緩み止めスプリングナット100と比較すると、内部ケーシング130をさらに含み、ナット20の下部に緩み止めスプリングナット100aが充電ドライバーまたはナットランナーなどの電動工具を用いて締結され、締め付けトルクの限界値に達すると、ラチェット外部ケーシング110aが空回りして工具適応性をさらに向上させる長所がある。
【0053】
他の実施例によるスプリング雌ネジ120は、望ましい実施例と同じ構成なので、詳しい説明は省略する。
【0054】
ラチェット外部ケーシング110aは、望ましい実施例の外部ケーシング110と同じ構造だが、側面113に形成された短い押し顎114-1が押し顎114に比べて陥没の深さが浅く形成される。そして、望ましい実施例の緩み止めスプリングナット100は、底板111に形成されたボルト挿入穴111aが、ボルト10が外径に対応するように形成されているが、他の実施例の緩み止めスプリングナット100aの底板111に形成されたハブ挿入穴111a-1は、ボルト挿入穴111aより広い直径R1を持つように形成される。
【0055】
内部ケーシング130は、外部ケーシング110の内部に収容され、スプリング雌ネジ120を収容する。内部ケーシング130は、上部が開放された函体形態で形成され、内部ケーシング壁131とベアリング底板133を有する。
【0056】
内部ケーシング壁131は、スプリング雌ネジ120を収容できる範囲で円形または多角形など多様な形態で形成することができる。内部ケーシング壁131の板面には、ラチェット外部ケーシング110aの短い押し顎114-1に対応する個数と位置で内側に陥没形成された複数の押され顎132が備えられる。
【0057】
複数の押され顎132は、図9の(a)に示されたようにスプリング雌ネジ120の外周に向かって突出形成され、スプリング雌ネジ120がラチェット外部ケーシング110aと内部ケーシング130の中心に整列するように支持する。
【0058】
押され顎132は、標準工具によってラチェット外部ケーシング110aが正逆回転する際、図4の(a)と(b)に示されたように、短い押し顎114-1によって加圧され、スプリング雌ネジ120の上部係止環121または下部係止環123を加圧する。これにより、上部係止環121と下部係止環123が広がり、スプリング雌ネジ120の外径R’が初期外径Rに比べて拡張され、ボルト10の締結または緩みが容易になるようにする。
【0059】
ベアリング底板133は、ラチェット外部ケーシング110aの底板111に重なるように配置される。ベアリング底板133の面積は、底板111に重なる面積で形成される。
【0060】
ベアリング底板133の内部には、底板111のハブ挿入穴111a-1を通じて外部に露出する突出ハブ133aが段差を形成する。突出ハブ133aは、図8に拡大図示されたように、ベアリング底板133から段差133bだけ段差が形成され、ハブ挿入穴111a-1を通じて外部に一定の厚さd1で突出形成される。
【0061】
このとき、ベアリング底板133と底板111の間にも、一定間隔d2の遊びが形成され、ハブ挿入穴111a-1と突出ハブ133aの間にも一定間隔Wの遊びが形成される。
【0062】
ハブ挿入穴111a-1の外径R1は、ベアリング底板133の内径R1と同一に形成され、突出ハブ133aに形成された内部ボルト挿入穴133cの直径はボルト10の外径に対応するように形成される。
【0063】
突出ハブ133aと段差133bとの間の角aと内部ケーシング壁131とベアリング底板133との間の角bは、曲面形態で形成される。このようなベアリング底板133と突出ハブ133aの形状は、緩み止めスプリングナット100aがナット20の下部に締結された後、ラチェット外部ケーシング110aが突出ハブ133aとベアリング底板133を中心に摩擦力を最小化して空回りさせるためである。
【0064】
ここで、図8に拡大図示されたように、短い押し顎114-1の陥没の深さh1は、押され顎132の陥没の深さh2より低く形成される。特に、短い押し顎114-1は、ナット20の下部に緩み止めスプリングナット100aが締結され、突出ハブ133aがナット20の下面に接触した状態(工具で緩み止めスプリングナットを回転させて締め付けるとき、締め付けトルクの限界値に到達した後)で工具による締結方向の回転力が継続して作用すれば、押され顎132を越えて移動し得る深さで形成される。
【0065】
本発明の他の実施例の緩み止めスプリングナット100aをボルト10に締結する場合、図9の(a)に示されたように工具によって時計方向にラチェット外部ケーシング110aが回転しながら、短い押し顎114-1が内部ケーシング130の押され顎132を押し、押され顎132は上部係止環121を加圧する。これにより、スプリング雌ネジ120を広げて外径を拡張させ、ボルト10との摩擦力を減らしてボルト10に締結することができる。
【0066】
図8に示すように、緩み止めスプリングナット100aがナット20の下部に締結され、突出ハブ133aがナット20の下面に接すると、軸力が増加し、突出ハブ133aとナット20の下面に作用する摩擦力が増加し、内部ケーシング130はこれ以上回転せずに固定される。
【0067】
このように内部ケーシング130が固定された状態で工具の回転力が継続して作用すれば、図10に示すように、短い押し顎114-1が押され顎132を越えてラチェット外部ケーシング110aが内部ケーシング130の外部で空回りする。
【0068】
このとき、図8に示すように、突出ハブ133aはナット20の下面に接して接触力を加えながら内部ケーシング130の位置は固定され、ラチェット外部ケーシング110aは突出ハブ133aとハブ挿入穴111a-1との間の離隔間隔Wとベアリング底板133と底板111との間の間隔d2を有するので、短い押し顎114-1が押され顎132を越えて空回りするラチェット機能を遂行する。
【0069】
このようなラチェット機能により、作業者はより速く緩み止めスプリングナット100aをボルト10に締結できる長所がある。
【0070】
一方、ボルト10に締結された本発明の緩み止めスプリングナット100aをボルト10から緩める場合、図9の(b)に示されたように反時計回りに工具による回転力が加えられると、短い押し顎114-1が押され顎132を押し、押され顎132が下部係止環123を加圧してスプリング雌ネジ120の外径を拡張させてボルト10から緩むようにする。
【0071】
以上で見たように、本発明による緩み止めスプリングナットは、ボルトの緩み止めに使われるスプリング雌ネジを標準工具によって操作される外部ケーシングの内部に収容し、内壁面に形成された押し顎がスプリング雌ネジの上部係止環と下部係止環を加圧してボルトに締結されたり緩められたりする。
【0072】
これにより、スプリング雌ネジの緩み止め機能を維持しながら、標準工具を用いてボルトに速く締結できる長所がある。
【0073】
また、本発明の緩み止めスプリングナットは、内部ケーシングを追加し、押し顎によって押される押され顎を備え、ナットの下部に緩み止めスプリングナットが締結されると外部ケーシングが空回りするラチェット機能を追加した。これにより、標準工具による工具適応性を向上させ、より速い施工が可能な長所がある。
【0074】
以上で説明された本発明の緩み止めスプリングナットの実施例は、例示的なものに過ぎず、本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者であれば、これから多様な変形および均等な他の実施例が可能であるという点がよく分かるだろう。したがって、本発明は、前記の詳細な説明で言及される形態だけに限定されるものではないことをよく理解できるだろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、添付された特許請求の範囲の技術的思想によって定められなければならない。また、本発明は、添付された請求範囲によって定義される本発明の精神とその範囲内にあるすべての変形物と均等物および代替物を含むものと理解されなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0075】
自動車の付属品の組立、電子部品の組立、家具の組立、および建設現場における構造物の組立など2つの物体を締結して結合させる一般産業機械分野など様々な分野で使われる。
【符号の説明】
【0076】
10 ボルト
11 ボルト頭
13 ネジ山
20 ナット
100 緩み止めスプリングナット
110 外部ケーシング
110a ラチェット外部ケーシング
111 底板
111a ボルト挿入穴
111a-1 ハブ挿入穴
113 側面
114 押し顎
114-1 短い押し顎
114a 右側傾斜面
114b 左側傾斜面
115 覆い羽根
115a 折りたたみ線
115b 切開孔
120 スプリング雌ネジ
121 上部係止環
123 下部係止環
130 内部ケーシング
131 内部ケーシング壁
132 押され顎
133 ベアリング底板
133a 突出ハブ
133b 段差
133c 内部ボルト挿入穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】