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特表2024-541328電気輸送車両の一団の電気消費量を削減するための方法とシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】電気輸送車両の一団の電気消費量を削減するための方法とシステム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/14 20060101AFI20241031BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H02J3/14
H02J13/00 311T
H02J13/00 301A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527446
(86)(22)【出願日】2022-11-08
(85)【翻訳文提出日】2024-06-18
(86)【国際出願番号】 EP2022081148
(87)【国際公開番号】W WO2023083818
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】2111937
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512011200
【氏名又は名称】フェブレ トランスポール トゥール
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ オーバン
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5G064AC09
5G064CB21
5G064DA03
5G066KA01
5G066KA12
5G066KB03
(57)【要約】
発明は、所定の時間の長さの間に、電気ネットワークにより電気を供給される電気輸送車両の一団(420)の電気消費量を削減するための方法に関し、一団(420)は少なくとも1台の動作中のアクティブ電気輸送車両(420a、420b)を備え、各電気輸送車両(420a、420b、420c、420d)は、電気輸送車両の内部の温度を修正するように設計されている空調システム(460)を備え、方法は、所定の時間の長さの間に、基準周波数と、電気ネットワークにより供給される電圧の周波数との間の差を取得することと、前記少なくとも1台のアクティブ車両(420a、420b)の空調システム(460)の電気消費量を前記差の関数として修正することを備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の時間の長さの間に、電気ネットワークにより電気を供給される電気輸送車両の一団(420)の電気消費量を削減するための方法であって、前記一団(420)は少なくとも1台の動作中のアクティブ電気輸送車両(420a、420b)を備え、各電気輸送車両(420a、420b、420c、420d)は、前記電気輸送車両の内部の温度を修正するように設計されている空調システム(460)を備え、前記方法は、前記所定の時間の長さの間に、
基準周波数と、前記電気ネットワークにより供給される電圧の周波数との間の差を取得することと、
前記少なくとも1台のアクティブ車両(420a、420b)の前記空調システム(460)の前記電気消費量を前記差の関数として修正することを備え、
前記空調システム(460)の前記電気消費量を修正することは、前記所定の時間の長さの間に、前記空調システム(460)の前記消費量を修正するためのコマンドを送ることを備え、前記修正コマンドは、
第1時間の長さの間に、前記少なくとも1台のアクティブ車両(420a、420b)の前記空調システム(460)への電力供給を修正するための第1補正値を送ることと、および/または、
第2時間の長さの間に、前記アクティブ車両(420a、420b)の前記内部の前記温度を修正するための第2補正値を送ることを備え、
前記第2時間の長さは前記第1時間の長さよりも長く、
前記第1および/または第2補正値は、前記取得された差に基づいて決定されることを特徴とする削減方法。
【請求項2】
前記第1時間の長さは30秒未満であり、
前記第2時間の長さは30秒よりも長く、30分以内であることを特徴とする請求項1に記載の削減方法。
【請求項3】
基準周波数と、前記電気ネットワークにより供給される電圧の周波数との間の前記差を取得することは、
前記一団(420)における前記車両に対する供給電圧のタイプを決定することと、
前記車両に対する前記供給電圧が直流電圧である場合、前記電気ネットワークにより供給される前記電圧の前記周波数を前記供給電圧の高調波から推定するために前記高調波を決定することと、
前記車両に対する前記供給電圧が交流電圧である場合、前記電気ネットワークにより供給される前記電圧の前記周波数を前記供給電圧の周波数から推定するために前記周波数を測定することを備えていることを特徴とする請求項1または2の何れか1項に記載の削減方法。
【請求項4】
基準周波数と、前記電気ネットワークにより供給される電圧の周波数との間の前記差を取得することは、
前記電気ネットワークにより供給される前記電圧の前記周波数を受信することを備えていることを特徴とする請求項1または2の何れか1項に記載の削減方法。
【請求項5】
前記基準周波数は[48Hz~52Hz]の範囲に含まれていることを特徴とする請求項1から4の1項に記載の削減方法。
【請求項6】
前記所定の時間の長さの間に、
前記空調システム(460)の前記消費量が定期的に送られることを特徴とする請求項1から5の1項に記載の削減方法。
【請求項7】
削減のための地理的領域を画定する地理的情報を受信することと、
前記削減のための地理的領域に関連して前記アクティブ車両(420a、420b)の位置を決定することを備え、
前記所定の時間の長さの間に、前記方法はまた、前記アクティブ車両が前記削減のための地理的領域に位置しているときは、前記取得および修正ステップも備えていることを特徴とする請求項1から6の1項に記載の削減方法。
【請求項8】
電気ネットワークにより電気を供給される電気輸送車両の一団の電気消費量を削減するためのシステムであって、前記システムは、前記電気ネットワークにより供給される電圧の周波数を取得するための少なくとも1つ装置(310)を備え、
前記一団(420)における前記電気輸送車両(420a、420b、420c、420d)は、
前記電気輸送車両(420a、420b、420c、420d)の内部の温度を修正するように設計されている空調システム(325、460)と、
前記空調システム(325、460)を制御し、前記取得装置(310)から信号を受信するように構成されている制御ユニット(315、440)を備え、
前記制御ユニット(315、440)は、
前記取得装置(310)により、基準周波数と、前記電気ネットワークにより供給される電圧の周波数との間の差を取得し、
前記少なくとも1台のアクティブ車両(420a、420b)の前記空調システム(325、460)の前記消費量を前記差の関数として修正するように構成されていることを特徴とする削減システム。
【請求項9】
前記一団における前記車両はそれぞれ、前記電気ネットワークにより供給される前記電圧の前記周波数を測定するための装置(415)を備えていることを特徴とする請求項8に記載の削減システム。
【請求項10】
前記周波数を測定するための前記装置(410)は、前記一団(420)における前記車両(420a、420b、420c、420d)に対する供給電圧のタイプを決定するように構成されており、前記周波数を測定するための前記装置は、
前記電気ネットワークにより供給される前記電圧の前記周波数を前記直流供給電圧の高調波から推測するために前記高調波を決定するように構成されている第1サブモジュールと、
前記電気ネットワークにより供給される前記電圧の前記周波数を前記交流供給電圧の前記周波数から推測するために前記周波数を測定するように構成されている第2サブモジュールを備えていることを特徴とする請求項9に記載の削減システム。
【請求項11】
前記電気輸送車両はまた、温度制御システム(455)および温度センサ(425)への接続のための手段を含んでいるエネルギー管理モジュール(445)も備え、
前記制御システム(455)は空調システムと関連付けられており、内部の前記温度を、前記内部の温度に対応する、前記温度センサ(425)により測定される温度の関数として、設定された温度に維持するように構成されており、
前記エネルギー管理モジュール(445)はまた、前記温度センサにより測定された前記温度を所定の値だけシフトするように設計されている温度シフト手段も含み、
前記制御ユニット(315、440)は、前記測定された温度をシフトするために、前記第2補正値を前記温度シフト手段に送るように構成されていることを特徴とする請求項8から10の1項に記載の削減システム。
【請求項12】
前記車両はまた、
前記制御ユニット(315、440)により作動されるように構成され、前記空調システム(325、460)への前記電力供給を修正するように設計されているソリッドステートリレー(345)も備え、
前記制御ユニット(315、440)は、前記空調システム(325、460)への前記電力供給を修正するために、前記ソリッドステートリレー(345)に第1補正値を送るように構成されていることを特徴とする請求項8から11の1項に記載の削減システム。
【請求項13】
前記車両はまた、
前記空調システムを前記電力供給ネットワーク(340)に接続する接触子(342)を備え、前記接触子(342)は、前記空調システム(325、460)への、前記電気ネットワークからの前記電力供給を調節するコイルを備え、
前記制御ユニット(315、440)は、前記コイルにより、前記空調システム(325、460)への前記電力供給を修正するために、前記接触子(342)に第1補正値を送るように構成されていることを特徴とする請求項8から11の1項に記載の削減システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気輸送車両の一団の電気消費量を削減するための方法に関する。本発明はまた、そのような方法を実行するように設計および構成されているシステムにも関する。
【0002】
発明は特に、電気ネットワークにより(電気を)供給される鉄道(軌条)輸送車両の一団、例えば、列車、地下鉄、路面電車、トロリーバスなどに適用できる。
【背景技術】
【0003】
エネルギー生産センターにより生産される電気エネルギーは、理想的にはすべての電気消費者により消費される電気エネルギーと等しくあるべきである。
【0004】
この目的を達成するために特に、輸送セクタ、製鉄工場などのような主要電気消費者に対して、エネルギー消費量予測が、例えば毎日行われる。予測に基づいて、予期される消費量に関連する消費量の偏移の管理と共に、エネルギー生産センターによる電気エネルギーの生産が、電気ネットワーク管理会社により計画される。
【0005】
このように、電気の供給と需要の間のバランスを取る責任のある電気ネットワーク管理会社は、電気消費量が電気生産量と一致していない状況を特定する。例えば管理会社は、
追加的生産ユニットの不要な開始という結果になる、消費量が電気生産量を超えるときの1つ以上のピーク時間、または、電気消費量が電気生産量をわずかに上回る状況を特定でき、
電気生産量の最適化という観点からは容認できない、電気消費量が電気生産量よりわずかに少ない状況を特定できる。
【0006】
特定された状況に従って、管理会社は削減戦略を確立する。この戦略は、例えば電気生産量と消費量との間のバランスを回復するために、数秒から30分の範囲の1つ以上の時間の長さにおいて電気消費量を一時的に減少または増大させることを含んでいる。
【0007】
この戦略は、電気エネルギーを電気ネットワークに注入できる、および/または、ネットワークから電気エネルギーをオフロードできる、つまり、ネットワークから電気エネルギーを引き出すことができる、バランスを取るための予備エネルギー(以降、バランシングリザーブと記述する)に依拠している。
【0008】
これらのバランシングリザーブは、電気エネルギー生産者、電気エネルギー消費者、または、ネットワークに電気エネルギーを注入、または、ネットワークから電気エネルギーを引き出すことができる任意の他の当事者などのような、管理会社と通信するバランスを取る関係者(以降、バランシング関係者と記述する)により供給できる。
【0009】
このように、管理会社により発行された指令を反映する削減命令に応答して、バランシング関係者は、自身の電気消費量を修正するように要請される。
【0010】
現在では乗客輸送、そして特に鉄道輸送は、フランスにおいては最大の電気消費者の1つである。鉄道車両などのような乗客輸送車両においては、空調システムは、車両の牽引システムに次いで、電気エネルギーを最も多く消費する装置である。
【0011】
発明の目的は、電気ネットワークにより供給される電気の消費量における変動に関連する、電気ネットワークにより供給されるエネルギーの消費量における変動に従って、一団の電気消費量、特には空調システムの電気消費量を正確に変えることにより、電気輸送車両の一団をバランシング関係者として使用することを可能にする技術的ソリューションを提案することである。
【発明の概要】
【0012】
この点に関して本発明は、所定の時間の長さの間に、電気ネットワークにより電気を供給される電気輸送車両の一団の電気消費量を削減するための方法に関し、一団は、動作している少なくとも1台のアクティブ電気輸送車両を備え、各電気輸送車両は、電気輸送車両の内部の温度を修正するように設計されている空調システムを備えており、方法は、所定の時間の長さの間に、
基準周波数と、電気ネットワークにより供給される電圧の周波数との間の差を取得することと、
前記少なくとも1台のアクティブ車両の空調システムの電気消費量を、前記差の関数として修正することを備えている。
【0013】
そのような方法は、車両の一団に電気を供給する電気ネットワークの周波数を測定することにより、電気消費量における増減が実際に検出されたときに、ネットワークにより供給されるエネルギーと、ネットワークから消費されるエネルギーとの間のバランスを維持するために、電気輸送車両の一団の電気消費量をそれぞれ減少または増大させることを可能にする。
【0014】
そのためそのような方法は、車両の一団の電気消費量の一次削減を可能にする。
【0015】
加えて、空調システムの電気消費量を修正することは、所定の時間の長さの間に、空調システムの消費量を修正するためのコマンドを送ることを備え、修正コマンドは、
第1時間の長さの間に、前記少なくとも1台のアクティブ車両の空調システムへの電力供給を修正するための第1補正値を送ることと、および/または、
第2時間の長さの間に、アクティブ車両の内部の温度を修正するための第2補正値を送ることを備え、
第2時間の長さは第1時間の長さよりも長く、
第1および/または第2補正値は、取得された差に基づいて決定される。
【0016】
そのため方法は、空調システムの電気消費量に対するデュアルアクション(2通りの動作)を可能にする。
【0017】
いわゆるクイックアクションは、空調システムへの電力供給を調節することにより、空調システムの消費量を短時間で減少または増大させる。これは、電気ネットワークにより供給される電力を迅速に増大または減少させることを可能にする。
【0018】
いわゆるスローアクションは、車両の内部が保たれている温度を特に修正することにより第2時間の間に、空調システムの消費量を減少または増大させることにより空調システムの消費量を、より長い時間の長さにわたって減少させる。
【0019】
第1時間の長さは30秒未満であってよい。第2時間の長さは、30秒よりも長く且つ30分以内であってよい。
【0020】
基準周波数と、電気ネットワークにより供給される電圧の周波数との間の差を取得することは、
一団における車両に対する供給電圧のタイプを決定することと、
車両に対する供給電圧が直流電圧の場合、電気ネットワークにより供給される電圧の周波数を供給電圧の高調波から推測するために高調波を決定することと、
車両に対する供給電圧が交流電圧の場合、電気ネットワークにより供給される電圧の周波数を供給電圧の周波数から推測するために周波数を測定することを備えることができる。
【0021】
基準周波数と、電気ネットワークにより供給される電圧の周波数との間の差を取得することは、
電気ネットワークにより供給される電圧の周波数を受信することを備えることができる。
【0022】
そのためそのような方法は、電気車両電力供給ネットワークにより供給される電圧の性質が何であれ、削減を可能にするように設計されている。このように、電圧が直流電圧または交流電圧であっても、方法は、電気供給ネットワークにより一団における車両に供給される供給電圧の性質が何であれ、電気ネットワークの周波数を決定するように設計されている。
【0023】
基準周波数は、[48Hz~52Hz]の範囲に含めることができる。
【0024】
方法はまた、所定の時間の長さの間に、
空調システムの消費量を定期的に送ることも備えることができる。
【0025】
そのような方法は、削減要求が所定の時間の長さの間に正しく実行されたことを確認することを可能にする。これは、空調システムの消費量における減少または増加を、例えばリアルタイムで管理会社に送ることを可能にする。
【0026】
方法はまた、
削減のための地理的領域を画定する地理的情報を受信することと、
削減のための地理的領域に関連して、車両の位置を決定することも備えることができ、
所定の時間の長さの間に、方法はまた、車両が削減のための地理的領域に位置しているときは、取得および修正ステップも備えている。
【0027】
発明はまた、電気ネットワークにより電気を供給される電気輸送車両の一団の電気消費量を削減するためのシステムにも関し、システムは、電気ネットワークにより供給される電圧の周波数を取得するための少なくとも1つの装置を備えており、
一団における電気輸送車両は、
電気輸送車両の内部の温度を修正するように設計されている空調システムと、
空調システムを制御し、取得装置から信号を受信するように構成されている制御ユニットを備え、
制御ユニットは、
取得装置により、基準周波数と、電気ネットワークにより供給される電圧の周波数との間の差を取得し、
前記少なくとも1台のアクティブ車両の空調システムの消費量を、前記差の関数として修正するように構成されている。
【0028】
そのようなシステムは特に、電気輸送車両の一団による一次消費量削減のために使用できる。実際、電気ネットワークにより供給される電圧と、電気ネットワークにより消費される電圧との間の不釣り合いの状況を検出することにより、システムは、一団における種々のアクティブ電気輸送車両の空調システムの消費量を調節できる。
【0029】
一団における車両はそれぞれ、電気ネットワークによる供給される電圧の周波数を測定するための装置を備えることができる。
【0030】
そのためこれは、迅速な一次消費量削減を可能にし、リモートサーバとのデータの交換を要求しない。
【0031】
周波数を測定するための装置は、一団における車両に対する供給電圧のタイプを決定するように構成でき、周波数を測定するための装置は、
電気ネットワークにより供給される電圧の周波数を直流供給電圧の高調波から推測するために高調波を決定するように構成されている第1サブモジュールと、
電気ネットワークにより供給される電圧の周波数を交流供給電圧の周波数から推測するために周波数を測定するように構成されている第2サブモジュールを備えている。
【0032】
電気輸送車両はまた、温度制御システムおよび温度センサへの接続のための手段を含んでいるエネルギー管理モジュールも備え、
制御システムは空調システムと関連付けられており、内部温度に対応する温度センサにより測定された温度の関数として、内部の温度を設定された温度に維持するように構成されており、
前記エネルギー管理モジュールはまた、温度センサにより測定された前記温度を所定の値だけシフトするように設計されている温度シフト手段も含み、
制御ユニットは、測定された温度をシフトするために、温度シフト手段に第2補正値を送るように構成されている。
【0033】
そのような削減システムは、方法が既存の車両と互換性を有することを可能にし、エネルギー管理モジュールは特に、温度センサを誘発することにより、空調システムの消費量を変えるために使用できる。従ってこれは、車両の種々のタイプとインタフェースを取ることができるエネルギー管理モジュールが、削減要求の確認に続いて空調システムのエネルギー消費量を減少させるために使用されるようにソリューションを一般化する。
【0034】
削減システムにおいては、車両はまた、
制御ユニットにより作動されるように構成され、空調システムへの電力供給を修正するように設計されているソリッドステートリレーと、
空調システムへの電力供給を修正するために、ソリッドステートリレーに第1補正値を送るように構成されている制御ユニットも備えることができる。
【0035】
削減システムにおいては、車両はまた、
空調システムを電力供給ネットワークに接続する接触子であって、電気ネットワークから空調システムへの電力供給を調節するコイルを備えている接触子と、
コイルにより、空調システムへの電力供給を修正するために、接触子に第1補正値を送るように構成されている制御ユニットも備えることができる。
【0036】
発明の他の特有な特徴と利点はまた、下記の記述から明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
1つの例としての実施形態に係わる発明は、付随する図面を参照して、例として与えられ、決して制限的ではない下記の詳細な記述を読むことでより良好に理解され、その利点はより明白になるであろう。
【0038】
図1図1は、削減動作の、例としての時間を追っての表である。
図2図2は、削減方法を示している。
図3図3は、電気輸送車両の一団の消費量を削減するためのシステムを示しており、システムは、図2を参照して記述される方法を実行するように設計されている。
図4図4は、管理会社からの削減要求に応答して削減するための、図2において示されているシステムを備えている、削減要求の実行を管理するためのシステムを示している。
図5A-5B】図5A図5Bはそれぞれ、図3において示されているシステムに含まれている、電気ネットワークにより供給される電圧の周波数を測定するためのモジュールのサブモジュールの2つの実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0039】
前述の図において示されている同一要素は、同一参照番号を有している。
【0040】
図1は、所与の電気ネットワークにおける電気生産量と電気消費量との間のバランスを回復するための削減行動の、例としての時間を追っての表を示している。
【0041】
この例においては、電気生産量と消費量との間のバランスは、電気生産器が故障し、この中断に続いて、生産された電力における減少という結果になるときに回復される。バランスは特に、例えば、消費量のピークの間のような他の状況において回復できる。
【0042】
このため図1は、電気生産量と消費量との間のバランスが回復されたときの、時間の経過におけるネットワークの生産された電力と周波数を示している。
【0043】
故障している電気生産器が、電気ネットワークにより与えられる電力における減少ΔPを引き起こすときの時点t1において、削減機構が誘発される。与えられる電力における減少は、電気ネットワークにより生産される電力を、値Pnomから値Pminに下げる。
【0044】
削減機構の目的は、生産者、消費者、またはネットワークに電気エネルギーを注入でき、またはネットワークから電気エネルギーを引き出すことができる任意の他の当事者などのようなバランシング関係者により、電力における減少ΔPから回復することである。そのためバランスを取る者は、管理会社からの命令に従ってバランシングリザーブを提供し、電気ネットワークにより提供される電力が回復されることを可能にする。
【0045】
バランシングを取る者の電気注入または削減リザーブは、所定の仕様に従って、一次、二次、または三次リザーブとして分類される。一次および二次リザーブは、ネットワークにより供給される電力における減少または増加を補償するために、ネットワークから利用可能な電力を規制するために使用される。三次リザーブは、管理会社からの要求に応答して、電気ネットワークから利用可能な電力を調節するために使用される。特に、クラスの1つに分類されるために、注入または削減リザーブは、注入または削減の速度に関する特定の条件を満たさなければならない。
【0046】
例えば、フランスにおける注入の場合、リザーブは下記の条件を満たさなければならない。
-一次リザーブに対しては、電力不足検出の30秒以内に、消失電力の少なくとも幾らかを回復すること、
-二次リザーブに対しては、電力不足検出に続く最大15分にわたる、消失電力に対する一次リザーブの動作の後に消失電力を完全に回復すること、
-三次リザーブに対しては、電力不足検出に続く、一次および二次リザーブの動作の後に消失電力に永久的に取って代わること。
【0047】
削減の場合、一次、二次、および三次リザーブの動作の後に、追加電力を削減するために時間条件が適用される。
【0048】
もちろん、一次、二次、および三次リザーブが消失電力を回復する時間スケールは、地理的領域に依存して変化し得る。
【0049】
このように図1において示されているように、削減機構の第1フェーズの間、つまり時点t1とt2の間において、第1リザーブを提供するバランシング関係者は、削減機構が誘発されてから数秒以内に、例えば、30秒以内に電力における減少ΔPを部分的に補償する電力を提供するために自身の消費量を減少させる。このように時点t2において、電気ネットワークの電力は、電気生成器の故障の前のPnom直下のレベルに回復される。
【0050】
第2フェーズの間、つまり時点t2とt4との間において、二次リザーブを供給するバランシング関係者は、一次リザーブにより供給された電力における減少を考慮して、時点t3において電気ネットワークにより供給される電力を、電気生成器の故障前と同じレベルPnomに回復するために電力を徐々に供給するために動作を引き継ぐ。
【0051】
時点t4からの第3フェーズの間、三次リザーブを供給するバランシング関係者は、二次リザーブにより供給された電力における減少に従って、電気ネットワークにより供給される電力を、電気生成器の故障前と同じレベルPnomに維持するために電力を徐々に供給するために行動を引き継ぐ。
【0052】
電気ネットワークにより供給される周波数と電圧の時間傾向において分かるように、生成される電力における減少は、供給される電圧の周波数における変動により特徴付けられる。
【0053】
実際、公称動作状態においては、消費される電力と、電気ネットワークにより分配される生成電力のバランスが取れているときは、電気ネットワークにより供給される電圧の周波数は実質的に安定し、基準周波数に実質的に等しい。供給される電圧の基準周波数の値は、電気ネットワークの地理的位置に依存する。例えばヨーロッパにおいては、ネットワークにより供給される電圧の周波数は、基準周波数を値のこの範囲内で選択できるように48と52Hzの間で変動し得る。例えば、基準周波数は50Hzに等しくてよい。
【0054】
このように、生成される電力における減少は、図1において示されているように、電気ネットワークにより供給される電圧の周波数における減少という結果になる。
【0055】
一般的に言えば、生成される電力、つまり、電気ネットワークにより供給される電力と、消費される電力と間に不釣り合いがあると、これは、電気ネットワークにより供給される周波数と電圧における変動という結果になる。このように、生成される電力が消費される電力よりも大きいときは、電気ネットワークにより供給される電圧の周波数は増大し、逆もまた同じである。
【0056】
上述したように、電気輸送車両により消費されるエネルギーの大きな部分は、空調システムに電力を供給するために使用される。発明の目的は、電気車両の一団をバランシング関係者に変えるために、電気輸送車両の電気消費量を修正するための方法とシステムを提供することである。
【0057】
図2は、電気ネットワークにより電気を供給される電気輸送車両の一団の一次または二次リザーブとして、電気消費量を削減するための方法のフローチャートを示している。
【0058】
削減は、バランシング関係者により消費される電力における変動である。上述したように、この変動は消費量における増加または減少である。
【0059】
方法は、少なくとも1台のアクティブ車両を備えている電気輸送車両の一団に対して実行される。
【0060】
アクティブ車両とは、空調システムが作動している動作中の車両のことである。アクティブ車両とは、単に電力を供給され、または運行のために準備される車両ではなく、空調システムが使用されている使用中の車両のことである。
【0061】
記述の残りの部分においては、車両の内部を加熱または冷却するように構成されている空調システム、つまり、車両の内部の温度を修正するように設計されている空調システムに言及する。空調システムはまた、加熱、換気、および空調(HVAC)システムと称することもできる。
【0062】
もちろん記述はまた、幾つかの内部を加熱または冷却するように構成されている空調システムにも適用可能である。
【0063】
空調システムは、内部を加熱するための設置された設備、および内部を冷却するための設置された設備を含むことができ、または内部を加熱または冷却するための単一の設置された設備を含むことができる。
【0064】
方法200は第1ステップ210を備え、第1ステップ210においては、基準周波数と、電気ネットワークにより供給される電圧の周波数との間の差が取得される。
【0065】
このため、電気ネットワークにより供給される電圧の周波数が取得される。電気ネットワークにより供給される電圧の周波数は、測定値により取得できる。代替的に、電気ネットワークにより供給される電圧の周波数は、電気ネットワークにより供給される電圧の周波数を受信することにより取得できる。測定値は、例えば、リモート装置により送ることができる。
【0066】
方法200の第2ステップ215は、前記少なくとも1台のアクティブ車両の空調システムの消費量を、前記差の関数として修正するためのコマンドを送ることを含んでいる。
【0067】
図1を参照して示されているように、消費される電力と、電気ネットワークにより供給される生成電力との間の不釣り合いは、電気ネットワークにより供給される電圧の周波数における変動により特定できる。
【0068】
このように第2ステップは、基準周波数に関連して電気ネットワークにより供給される電圧の周波数における変動を検出することを含んでいる。
【0069】
この検出は特に、消費される電力と、電気ネットワークにより供給される生成電力との間に実際に不釣り合いがあることを確認するために使用できる。
【0070】
図1において示されているように、基準周波数未満の周波数における減少は、消費される電力が、電気ネットワークにより供給される生成電力よりも大きい不釣り合いを反映している。
【0071】
従って、基準周波数を超える周波数における増加は、消費される電力が、電気ネットワークにより供給される生成電力よりも小さい不釣り合いを反映している。
【0072】
同様に不釣り合いは、基準周波数と、電気ネットワークにより供給される電圧の周波数との間の差の符号に従って特定され、例えば、符号は特に、消費される電力が、電気ネットワークにより供給される生成電力未満かどうかを示し、また逆も同じである。
【0073】
差の値に従って、アクティブ輸送車両の空調システムの電気消費量は修正される。
【0074】
このように、コマンドは一団におけるアクティブ車両の空調システムに送られる。これは、空調システムの消費量を修正するためのコマンドであり、空調システムに供給される電力を調節するために特に使用される。
【0075】
空調システムの消費量を修正するためのそのようなコマンドは、空調システムの消費量を線形的且つ永続的に増大または減少させるために特に使用される。
【0076】
修正コマンドは継続的に送られ、修正コマンドの振幅は、決定された差の関数として変動する。
【0077】
そのため、空調システムの消費量を修正するためのコマンドは、所定の時間範囲において空調システムにより消費される電力を調節するために使用される。
【0078】
空調システムの消費量を修正するためのコマンドは、第1および/または第2補正値を備えることができる。
【0079】
第1補正値は、第1時間の長さの間に前記少なくとも1台のアクティブ車両の空調システムへの電力供給を修正するための値である。この値は例えば、ソリッドステートリレーにより、空調システムへの電力供給を調節することを可能にする、例えば、デューティサイクルであってよい。
【0080】
第2補正値は、第2時間の長さの間にアクティブ車両の内部の温度を修正するための値である。この値は例えば、空調システムが内部を加熱しなければならない目標温度であってよい。例えば、空調システムが内部を冷却するように構成されているときは、内部を冷却しなければならない目標温度における増加は、空調システムの電気消費量を減少させることを可能にする。同様に、空調システムが加熱のために構成されているときは、内部を加熱しなければならない目標温度における減少は、空調システムの電気消費量を減少させることを可能にする。
【0081】
補正値を適用することによる結果は、第1時間の長さにおいて空調システムへの電力供給を調節することであり、第2時間の長さにおいて空調システムへの電力供給を減少させることであり、第2時間の長さは第1時間の長さよりも長い、
【0082】
第1補正値の動作は、空調システムへの電力供給が、補正値が短時間の間に送られるとすぐに調節されるので、いわゆる「クイック」動作である。第1補正値の動作は数秒であってよく、例えば1秒以内であってよい。
【0083】
第2補正値の動作は、内部の目標温度を修正することにより空調システムの消費量における減少が、より長い時間において消費量を修正することを可能にするので、いわゆる「スロー」動作である。第2補正値の動作は、30秒と30分の間に含めることができる。
【0084】
第1および第2補正値は、基準周波数と、電気ネットワークにより供給される電圧の周波数との間の差に基づいて決定される。
【0085】
例えば第1および第2補正値は、基準周波数と、電気ネットワークにより供給される電圧の周波数との間で取得される差の値に比例することができる。この場合、削減は一次削減と呼ぶことができる。
【0086】
代替的に、第1および第2補正値は、基準周波数と、電気ネットワークにより供給される電圧の周波数との間の差の値と、この差の時間積分の合計に比例することができる。この場合、削減は二次削減と呼ぶことができる。
【0087】
第1および第2補正値は、KW/Hzで表すことができる。
【0088】
空調システムの消費量における効果的削減を有効にするために、プロセスは、空調システムの消費量を監視することを備えることができる。例えば、削減が実行される間の所定の時間の長さの間に、方法は、空調システムにより消費される電力を定期的に送ることを備えることができる。この電力は例えば、空調システムの消費量の監視を可能にするために、管理会社または仲介者にリアルタイムで送ることができる。空調システムの消費量は定期的に送ることができる。
【0089】
図2を参照して記述された方法に従って使用される、例としての削減システム300が図3において示されている。
【0090】
削減システム300の示されている例は、電気輸送車両の一団における1台以上の車両におけるオンボードシステムである。
【0091】
この例において削減システム300は、電気ネットワーク305により供給される電圧の周波数を取得するための装置310を備えている。
【0092】
電気車両は、サブステーションのセットおよび電気供給ネットワークにより、電気ネットワークにより電力を供給される。
【0093】
供給サブステーションおよび電気供給ネットワークは、電気ネットワークにより電気を供給される。各サブステーションは、所定の地理的領域において電気車両に電力を供給するように構成されている。
【0094】
車両に対する供給電圧は、交流または直流の何れかであってよい。
【0095】
交流電圧の場合、供給電圧の周波数は、電気ネットワークにより供給される電圧の周波数に等しい。交流電圧の振幅は、1,500Vと25,000Vの間に含めることができる。
【0096】
直流電圧の場合、直流電圧は、電気ネットワークにより供給される交流電圧を整流およびフィルタリング処理することによりサブステーションレベルで取得される。直流電圧の振幅は、600Vと5,000Vの間に含めることができ、例えば、1,500Vであってよい。
【0097】
車両は、電力供給ネットワークがオーバヘッドラインであるときはパンタグラフにより電力を供給することができる。代替的に車両は、電力供給ネットワークが第三軌条のときはコレクタシュー(集電装置)により電力を供給することができる。
【0098】
取得装置310は、電気輸送車両の一団に電気を供給する電気ネットワークにより供給される電圧の周波数を定期的または継続的に測定するように設計されている測定モジュールを備えることができる。測定モジュールは、接触点において電気ネットワーク305により供給される電圧の周波数を測定するように配置できる。
【0099】
この接触点は、車両のパンタグラフ上またはコレクタシュー上に位置させることができる。
【0100】
接触点はまた、供給サブステーションまたは電力供給ネットワークの任意の点に位置させることもできる。
【0101】
サブステーションにより供給される電気供給電圧が直流または交流電圧の何れであってもよいとすると、測定モジュールは少なくとも2つのサブモジュールを備えることができる。
-電気車両に供給される交流電圧の周波数、つまり、電気ネットワークにより供給される電圧の周波数を測定するように構成されている第1サブモジュールと、
-電気ネットワークにより供給される電圧の周波数を直流供給電圧の高調波から推測するために高調波を決定するように構成されている第2サブモジュール。これらの例は図5Aと5Bにおいて更に詳細に示されている。
【0102】
例えば、測定モジュールは、第三軌条またはオーバヘッドラインにより供給される電圧を、コレクタシューまたはパンタグラフそれぞれにおいて測定するために各車両に配置できる。
【0103】
例えば測定モジュールは、電圧および周波数を測定できるサブステーションまたは、電力供給ネットワークの任意の他の点において配置できる。この場合取得装置310は、電気ネットワーク305により供給される電圧の周波数の測定値を送る、および/または受信するように設計されている1つ以上の通信モジュールを備えることができる。
【0104】
言い換えると、サブステーションまたは、電力供給ネットワークの任意の他の点において測定モジュールにより測定される周波数は、通信モジュールにより車両に送られ、車両もまた通信モジュールを備えている。
【0105】
そのような通信モジュールは例えば、データがワイヤレスネットワークを介して送信されることを可能にでき、例えば、WiFi、5G、または4Gネットワークと互換性のある無線モジュールであってよい。
【0106】
削減システム300は、削減システム300が設置されている車両の内部の温度を修正するように設計されている空調システム325を備えている。
【0107】
この空調システムは、車両の内部の温度を上げるまたは下げるように設計され、そのため加熱手段325bとコンプレッサ325aを備えることができる。加熱手段325bは、内部の温度を上げるために空気を加熱するように構成されている。コンプレッサ325aは、空気を冷却して内部の温度を下げるように構成されている。
【0108】
削減システム300はまた、取得装置310から信号を受信し、取得装置310からの信号に従って空調システム325を制御するように構成されている制御ユニット315も備えている。
【0109】
制御ユニット315は、取得装置により取得された、電気ネットワークにより供給される電圧の周波数の測定された値に従って削減を作動させるように構成されている。
【0110】
そのため制御ユニット315は、取得装置310により、基準周波数と、電気ネットワークにより供給される電圧の周波数との間の差を取得するように構成されている。
【0111】
同様に制御ユニット315は、前記少なくとも1台のアクティブ車両の空調システムの消費量を、前記差の関数として修正するためのコマンドを送るように構成されている。
【0112】
これを行うために制御ユニット315は、一方ではソリッドステートリレー345に接続され、他方では、エネルギー管理モジュール330に接続されている。
【0113】
ソリッドステートリレー制御モジュール320およびソリッドステートリレー345は、共に高速ソリッドステートリレーであってよく、空調システムへの電力供給340を調節するために使用される。1つの例としての高速ソリッドステートリレー345は、例えばトランジスタであってよい。
【0114】
エネルギー管理モジュール330は、空調システムの電気消費量を減少させるために使用されるモジュールである。
【0115】
エネルギー管理モジュール330は、空調システムにより消費される電力を調節するために、つまり、空調システムにより消費される電力を、電気ネットワークにより供給される電圧の周波数の関数として増大または減少させるために使用できる。例えば、エネルギー管理モジュールは、
-例えば、一団における車両の空調システムに対する電力源を修正することにより動作できる。モジュールは特に、オンボードバッテリにより所定の時間の間に空調システムに電力が供給されることを可能にする。
-例えば目標温度、つまり、内部の実際の温度を修正するために空調システムの動作を修正することにより動作できる。
【0116】
更に、輸送車両において存在する任意の空調システムと関連付けることができる、例としての一般的なエネルギー管理モジュール330が、フランス特許出願FR3 011 912において開示されている。
【0117】
EcoParkとしても知られている、提案されているエネルギー管理モジュール330は、空調システム325と関連付けられている温度制御システム335aおよび温度センサ335bとの接続のための手段を含んでいる。
【0118】
制御システム335aは、内部温度に対応する、温度センサ335bにより測定された温度の関数として、内部の温度を設定された温度に維持するように構成されている。言い換えると、制御システム335aは、車両の内部の目標温度を維持するために、空調システム325を制御するために使用される。
【0119】
エネルギー管理モジュール330はまた、温度シフト手段も含んでいる。これらのシフト手段は、温度センサ335bにより測定される温度を所定の値だけ修正するために使用される。そのためこれらのシフト手段は、温度センサ335bを誘発するために使用される。
【0120】
エネルギー管理モジュール330は、一団における車両が自身の消費量を減少させるとき、および一団における車両が自身の消費量を増大させるときに、第1および第2動作モードに従って構成できる。
【0121】
第1動作モードにおいては、電気消費量を減少させることを目的として、エネルギー管理モジュール330のシフト手段は、空調システム325が加熱のために構成されているときは、温度センサ335bにより測定される温度を上げ、空調システム325が冷却のために構成されているときは、温度センサ335bにより測定される温度を下げるように構成されている。
【0122】
第2動作モードにおいては、エネルギー管理モジュール330のシフト手段は、空調システム325が冷却のために構成されているときは、温度センサ335bにより測定される温度を上げ、空調システム325が加熱のために構成されているときは、温度センサ335bにより測定される温度を下げるように構成されている。
【0123】
このように制御システム335aは、所定の値だけシフトされた、つまり、所定の値だけ上げられた、または下げられた、温度センサ335bにより測定される温度の関数として、内部の温度を設定された温度に維持する。
【0124】
この温度の上げ下げは、設定された温度と、制御システムに対する基準として使用される温度、つまり、温度センサにより測定されるオフセット温度との間の差を常に増幅する。
【0125】
このように制御システム335aは、温度センサ335bにより測定されるオフセット温度が、設定された温度に近い値にまでそれぞれ下がる、または上がるまで内部を加熱または冷却するために空調システムを調節する。
【0126】
その結果として、電気エネルギー消費量は修正される。
【0127】
このように制御ユニット315は、基準周波数と、電気ネットワークにより供給される電圧の周波数との間の差に従って、KW/Hzで表現される、実行すべき削減を決定するように構成されている。そして決定された削減に基づいて、制御ユニット315は、空調システムの消費量を減少させるために、ソリッドステートリレー345の制御モジュール320およびエネルギー管理モジュール330それぞれに提供するための第1および第2補正値を決定するように構成されている。
【0128】
ソリッドステートリレーの制御モジュール320に提供される第1補正値は、空調システム325への電力供給を迅速に修正するために使用される。
【0129】
この第1補正値は、例えば、電力供給ネットワーク(電力供給340)を空調システム325に接続するトランジスタ345に適用されるデューティサイクルρの修正値であってよい。このデューティサイクルは、オンおよびオフに切り替えられるトランジスタ345間の比を表し、空調システム325への電力供給を修正することを可能にし、電力供給をデューティサイクルの値に従って減少または増大させる。
【0130】
特に、空調システム325が車両の内部を加熱するように構成されているときは、ヒータへの電力供給が調節される。空調システム325が車両の内部を冷却するように構成されているときは、コンプレッサへの電力供給が調節される。
【0131】
デューティサイクルを修正すると、使用される値に依存して、空調システム325の消費量を増大または減少させることができる。デューティサイクルが小さいほど、空調システム325電気消費量はより大量に減少される。対照的に、デューティサイクルが大きいほど、空調システム325の電気消費量はより大量に増大される。
【0132】
エネルギー管理モジュールに提供される第2補正値は、空調システムの消費量を修正するために特に使用される。
【0133】
第2補正値は補正された目標温度、または空調システム325に対する電力源に関するコマンドであってよい。
【0134】
例えばEcoParkエネルギー管理モジュールの場合、第2補正値は摂氏で表現される所定の値であってよく、温度センサにより測定される温度を修正するためにシフト手段により使用できる。
【0135】
そのため制御ユニット315は、測定された温度をシフトするために温度シフト手段に第2補正値を送るように構成できる。
【0136】
空調システムにより消費されるエネルギーは、接触子342の動作よりも長い時間、エネルギー管理モジュールの動作により修正される。
【0137】
一団における車両の何台かまたはすべては、記述されているように削減システムを備え付けることができる。
【0138】
代替的に、空調システム325への電力供給は、空調システム325を電力供給ネットワーク340に接続する接触子342により調節できる。
【0139】
この接触子342は、電気機械的制御可能スイッチであってよく、デューティサイクルを使用して制御できる。接触子342は、例えば約3分の周期で定期的に作動できる(接触子340の制御モジュール320により、点線矢印342aで示されている)。
【0140】
空調システムへの電力供給は、制御デューティサイクルを修正することにより、この接触子342により調節できる。
【0141】
空調システムへの電力供給は、例えばコイルの制御を遅延または早めることにより、接触子342のコイルを制御するデューティサイクルを修正することにより調節できる。
【0142】
この場合第1補正値は、空調システムへの電力供給が接触子342により調節されることを可能にするデューティサイクルであってよい。
【0143】
図4は、図3において示されているような、例としての削減システムが使用される環境400を示している。
【0144】
電気輸送車両の一団420が示されている。一団420における車両にはそれぞれ削減システム425が備え付けられている。明確性のために、削減システム425の1つのみが示されている。
【0145】
車両のこの一団420においては、車両420aおよび420bのみがアクティブであり、従ってそれらのみが削減を実行できる。
【0146】
車両420dは運行のために準備され、アクティブではないので、削減システム425による削減を実行できない。同じことは、アクティブでない車両420cについても同様である。
【0147】
一団420における車両は、供給サブステーション410により電力を供給される。電気ネットワークの周波数を測定するためのモジュール415は通信モジュール430に接続されており、このサブステーション410において配置されている。
【0148】
通信モジュール430は、測定モジュール415により測定される周波数を、一団420における車両に設置されている削減システム425の通信モジュール435に送信するように設計されている。
【0149】
通信モジュール435はまた、図において示されているように、サーバ415とデータを交換するようにも設計することができる。
【0150】
削減システム425はまた制御ユニット440を含んでおり、制御ユニット440は受信した周波数測定値に従って空調システム460の消費量を、温度センサ425と空調システムを制御するためのシステム455と関連付けられているエネルギー管理モジュールにより、および高速ソリッドステートリレーにより修正する。
【0151】
そして制御ユニット440は、アクティブ車両のそれぞれに対して補正値を決定し、所与の時間の長さにおいて、車両の消費量(kW)を変えることを可能にする。
【0152】
1つの実施形態においては、各アクティブ車両が、空調システム460の電気消費量の測定値をサーバ415に規則的に送ることが考えられる。このように、サーバはこれらの測定値を管理会社405に送信するように構成でき、そして管理会社405は、車両の一団420により実行される一次削減の量を決めることができる。
【0153】
代替的に、第1および第2補正値は、地理的情報470に関連して定義することができる。
【0154】
消費量のピークと底は、特に地理的領域において観測できる。この場合、影響を受ける地理的領域における電気消費量を減少させることは、他の多少距離の離れた地理的領域における電気消費量を減少させることよりも賢明である。
【0155】
管理会社405は、バランシング関係者が自身の電気消費量を修正しなくてはならない地理的位置に関する情報を提供できる。
【0156】
例えば管理会社405は、そのような地理的表示をリアルタイムで提供できる。代替的に、管理会社はこの地理的情報を、例えば天気予報および予期される電力消費量に基づいて前日に前もって提供できる。
【0157】
地理的情報は、サーバ415および/または管理会社405において存在している通信モジュール(示されていない)により提供できる。そしてサーバはこのデータを、一団420における車両に送り、一団420における車両はこのデータを、通信モジュール(例えば、通信モジュール435と同じであってよく、または、他の別個の通信モジュールであってよい)により受信する。
【0158】
例えば補正値を決定するときは、管理会社により提供される地理的領域の半径10km以内に位置するアクティブ車両のみが一次削減を実行する。
【0159】
一団における車両は例えば、制御ユニット440に接続されているGPSチップなどのような車両ジオロケーション(地理的位置特定)モジュールを備えることができる。提供される地理的情報は例えば、GPS座標のセットであってよく、地理的領域を画定する。
【0160】
このように制御ユニット440は、車両の位置を、削減のための地理的領域を画定する提供された地理的情報と比較するように構成できる。制御ユニット440が車両は地理的領域にあると決定すると、この位置での削減を最大にするために補正値が決定される。または、車両が管理会社により提供される地理的領域の外にあるときは、より低い、またはゼロの補正値が決定され、そして車両は、つまり、より小さな規模の、またはゼロ削減の一次および/または二次削減を実行する。
【0161】
図5Aと5Bは、図3において示されているシステムに備えられている電気ネットワークにより供給される電圧の周波数を決定するように設計されている測定モジュールの、例としてのサブモジュールを示している。
【0162】
前述したように、例えばパンタグラフまたは第三軌条により電気輸送車両に供給される電圧は、交流または直流電圧であってよい。
【0163】
電気輸送車両に供給される供給電圧が交流電圧の場合、供給される交流電圧の周波数を取得するための周波数計、または任意の他の既知の回路などのような既知の手段により周波数が測定される。
【0164】
電気輸送車両に供給される供給電圧が直流電圧の場合、つまり、電気ネットワークにより供給される交流電圧の整流およびフィルタリング処理の結果である直流電圧の場合、整流される前の、電気ネットワークにより供給される交流電圧の周波数が回復される。
【0165】
実際、電気ネットワークにより供給される交流電圧が、例えばサブステーションにおいて整流およびフィルタリング処理されると、出力において取得される直流電圧は、整流とリンクされている周波数を含んでおり、この周波数は、ネットワークにより供給される交流電圧の周波数に比例する。
【0166】
例えば、ネットワークにより供給される、周波数50Hzの3相交流電圧の場合、3相整流器の出力においては、整流器の出力における周波数は、電気ネットワークにより供給される交流電圧の周波数の6倍、または300Hzである。そのため、この例においては、直流出力電圧は300Hzの周波数における整流高調波を備えている。電圧を平滑化するために、バンドパスフィルタが整流器に直列に接続される。結果として、直流出力電圧の低い振幅のみが残り、それが整流高調波を備えている。
【0167】
図5Aと5Bにおいて示されているサブモジュールは、一団における電気車両に対する供給電圧が直流電圧であるときに、電気ネットワークにより供給される電圧の周波数を決定するように設計されているサブモジュールである。
【0168】
示されている回路は、直流供給電圧、つまり、決定された整流高調波の周波数が、電気ネットワークにより供給される交流電圧の周波数を決定するために使用されることを可能にする。
【0169】
サブモジュールは、電圧および周波数センサ500aと処理モジュール500bを備えている。
【0170】
センサ500aは高電圧線505に直接接続され、出力において、整流高調波を備えている直流出力電圧の一部を抽出するために使用される。
【0171】
例としてのセンサ500aの構造が図5Aにおいて示されている。
【0172】
センサ500aはキャパシタ510を備え、キャパシタ510は好ましくは、高電圧、例えば15kVに適切なY型安全キャパシタであってよい。
【0173】
キャパシタ510には、回路を過電圧から保護するためにダブル過渡電圧抑制ダイオード515が続く。
【0174】
演算増幅器に基づく回路520との組み合わせにおいて、キャパシタは出力Vsにおいて整流高調波を備えている電圧の一部を特に抽出し、そしてそれを取得するために使用できる。
【0175】
このように、高電圧電気ネットワーク505により供給される電圧の周波数は、この回路の出力(Vs)における整流高調波を探すことにより読み取ることができる。
【0176】
このように、使用される整流器のタイプ、例えば、3相または6相または12相の整流器かどうかを知っていれば、電気ネットワークにより供給される交流電圧の周波数を求めるために整流高調波を使用することができる。
【0177】
代替的に、供給電圧の周波数を解析することにより、使用される整流器のタイプを推測することができる。例えば、供給電圧が600Hzの周波数を含むのみで、300Hzの周波数を含まない場合、6相整流器が使用されていると推測できる。
【0178】
このため、センサ500aと直列に接続されているデジタル回路500bが使用される。
【0179】
センサ500aの出力において取得される電圧Vsは、信号から高周波数を除去するためにローパスフィルタ530によりフィルタリング処理される。1,000Hzを超えるすべての周波数は好ましくは信号から除去される。
【0180】
サンプリングモジュール545は、信号をデジタル化するためにその信号のサンプリングを行う。サンプリングは約10kHzのサンプリング周波数で実行できる。
【0181】
そして、サンプリングモジュール545の出力におけるデジタル信号に含まれている高調波周波数はモジュール550により決定される。これを実行するために、モジュール550は、サンプリングモジュール545の出力における信号を構成している高調波を決定するために、デジタル高速フーリエ変換(FFT)を実行できる。
【0182】
そして、モジュール550を使用して決定される高調波に従って、電気ネットワークの周波数がモジュール555を使用して抽出される。このモジュール555は、決定された高調波の主要周波数を決定するために、例えば、位相同期ループ(PLL)を使用できる。
【0183】
そして基準周波数550との差565は、図5Bにおいて示されているように計算できる。
【0184】
そのような回路、特に500aセンサにおける利点は、それがフォールトトレランスのデュアルレベルを提供することである。
【0185】
実際、キャパシタ515において故障が起こると、回路はオープン回路として動作する。同様に、ダブルダイオード515において故障が起こると、回路は短絡回路として動作する。
【0186】
ある数の詳細な、例としての実施形態を通して記述されてきたが、提案されている装置と方法は種々の代替例、修正例、および改良例を含み、それらはこの技術における技量を有する者には明白となり、これらの種々の代替例、修正例、および改良例は、下記の請求項の範囲で定義されるように、発明の範囲内であると理解される。
【0187】
加えて、上記の種々の態様と特徴は一緒に、または別個に実現でき、または互いに置換でき、態様と特徴の種々の組み合わせおよびより小さな組み合わせのすべては発明の範囲内である。
【0188】
更に、上記のあるシステムと装置は、好適な実施形態に対して記述されたモジュールと機能のすべてを含まないことも可能である。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
【国際調査報告】