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特表2024-541331有効な針の長さ調整を備えた血管アクセスデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】有効な針の長さ調整を備えた血管アクセスデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/46 20060101AFI20241031BHJP
   A61M 5/178 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
A61M5/46
A61M5/178 500
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527478
(86)(22)【出願日】2021-11-11
(85)【翻訳文提出日】2024-07-10
(86)【国際出願番号】 US2021058898
(87)【国際公開番号】W WO2023086088
(87)【国際公開日】2023-05-19
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サジャイエシュ ヴィジャヤチャンドラン
(72)【発明者】
【氏名】スデーヴ グス
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA10
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066EE14
4C066FF05
4C066LL15
(57)【要約】
針の長さ調整機能を有し、針の全長でストッパーのバイアルを貫通し、針の全長より短い所望の針の長さで患者の皮膚を貫通する、血管アクセスデバイスに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管アクセスデバイスであって、
近位端および遠位端を有する円筒形のベースと、
フランジであって、前記フランジから遠位に延びる2つのプロングを含み、前記2つのプロングは、前記フランジから所定長さだけ延びる遠位端を有し、前記2つのプロングは、互いに距離Dpを置いて配置され、前記距離Dpは、前記2つのプロングがゴムストッパーを通過することができるように、バイアルのゴムストッパーの幅Wvよりも大きい、前記フランジと、
前記フランジから遠位に延びる遠位突起であって、前記遠位突起は、遠位面と、前記ベースの前記近位端から前記遠位突起の前記遠位面に延びる開口部と、を有する前記遠位突起と、
前記開口部を通って延在する針カニューレであって、前記針カニューレが前記遠位突起の前記遠位面から距離Dcだけ延在する、前記針カニューレと、
を含み、
前記2つのプロングは、前記遠位突起の前記遠位面から距離Dnだけ延在する、
血管アクセスデバイス。
【請求項2】
前記円筒形のベースの前記近位端は、注射器のバレルの遠位端に取り外し可能に取り付けられるか、または一体化される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記針カニューレは、前記バレルの前記遠位端に取り付けられ、前記注射器の前記バレルの前記遠位端から前記開口部を通って延びる、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記2つのプロングが、前記フランジに対して実質的に直角であり、前記フランジとU字形を形成する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記距離Dcは、前記バイアルの前記ゴムストッパーを貫通するのに十分である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記距離Dcが6mmであり、前記バイアルがインスリンバイアルである、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記針カニューレは、前記ゴムストッパーに対して90度から45度の範囲を有する角度で前記インスリンバイアルを貫通するのに十分である、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記プロングは、前記針カニューレが前記距離Dnだけにして患者の皮膚に完全に入ることを制限するのに有効である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記針カニューレの前記距離Dcは6mmであり、前記距離Dnは2mmであり、前記2つのプロングが前記遠位端の前記遠位面の平坦面に接触することを制限する場合、前記カニューレは、4mmのみを前記平坦面に挿入することができる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記フランジは、前記フランジを前記ベースの前記遠位端に位置するピボットに接続するための前記フランジの接続点によって前記ベースに接続される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記ベースおよび前記フランジは、前記フランジのピボットおよび前記ベースの前記遠位端の接続点によって一緒にスナップフィットする別個の構成要素である、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記ピボットおよび接続点は、0度から75度の動きの角度範囲を有する、請求項10に記載のデバイス。
【請求項13】
前記ベースおよび前記フランジは、一体構造であり、リビングヒンジによって接続されて、前記ベースに対する前記フランジの前記ベースの動きの範囲を提供する、請求項10に記載のデバイス。
【請求項14】
血管アクセスデバイスであって、
近位端および遠位端を有する円筒形のベースであって、前記遠位端は、細長い先端およびそこから延びるカラーを有し、前記カラーは、前記細長い先端を取り囲み、前記細長い先端は、前記ベースの前記近位端から前記細長い先端まで延びる開口部を有し、前記カラーは、前記細長い先端から距離を置いて配置され、前記カラーと前記細長い先端との間にチャネルが形成され、前記チャネルは、遠位面を有する、前記円筒形のベースと、
近位端および遠位端、ならびに近位部分および遠位部分を有する圧縮可能な発泡体先端であって、前記遠位部分は、接触面を形成する前記近位部分の直径よりも大きい直径を有し、前記圧縮可能な発泡体先端は、前記ベースに挿入および固定され、前記ベースの前記遠位面は、前記圧縮可能な発泡体先端の前記接触面に当接し、前記圧縮可能な発泡体先端の前記遠位部分は、初期の非圧縮状態の初期非圧縮長さLuから最終の圧縮状態の最終圧縮長さLcまで圧縮可能である、前記圧縮可能な発泡体先端と、
前記開口部を通って延びる針カニューレであって、前記針カニューレは、前記非圧縮状態で前記遠位部分から距離Dc’だけ延びる前記針カニューレと、
を含み、
前記針カニューレは、前記圧縮可能な発泡体先端を前記最終の圧縮状態に圧縮すると、前記距離Dc’に加えて長さLだけさらに延びる、
血管アクセスデバイス。
【請求項15】
前記円筒形のベースの前記近位端は、注射器のバレルの遠位端に取り外し可能に取り付けられるか、または一体化される、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記針カニューレは、前記バレルの前記遠位端に取り付けられ、前記注射器の前記バレルの前記遠位端から前記開口部を通って延びる、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記細長い先端およびカラーが同じ長さに延在し、前記遠位面を共有する、請求項14に記載のデバイス。
【請求項18】
前記ベースは、前記ベースの前記遠位端の下に、かつ前記チャネル内に少なくとも部分的に接着剤チャネルをさらに含み、前記接着剤チャネルは、前記チャネルに対して横方向にある、請求項14に記載のデバイス。
【請求項19】
前記圧縮可能な発泡体先端の前記近位端は、前記接着剤チャネルに挿入され、前記圧縮可能な発泡体先端の前記近位端は、前記接着剤チャネルと実質的に等しい幅を有し、前記ベースの前記細長い先端と前記圧縮可能な発泡体先端の前記近位部分との間に空洞が形成される、請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記圧縮可能な発泡体先端は、前記針カニューレが距離Dc’および長さLを組み合わせた長さでゴムストッパーの上面に挿入されるように、前記ゴムストッパーの前記上面に対して圧縮力を加えることによって圧縮される、請求項14に記載のデバイス。
【請求項21】
前記距離Dc’が4mmである、請求項14に記載のデバイス。
【請求項22】
前記距離Dc’および長さLの結合された長さが6mmである、請求項20に記載のデバイス。
【請求項23】
血管アクセスデバイスであって、
近位端および遠位端を有する円筒形のベースであって、前記遠位端は、遠位端形状を含み、前記ベースは、前記ベースを通って延びる開口部を含み、前記遠位端形状は、傾斜面および前記傾斜面に対して遠位に配置された遠位平坦面を有し、前記傾斜面は、前記ベースに対して角度θで傾斜し、前記遠位平坦面は、前記開口部から距離Dnに配置される、前記円筒形のベースと、
前記開口部を通って延びる針カニューレであって、前記針カニューレは、前記開口部で前記傾斜面から距離Dcだけ延びる、前記針カニューレと、
を含む、
血管アクセスデバイス。
【請求項24】
前記遠位平坦面は、横方向の延長部を含む、請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
前記距離Dcは6mmであり、前記距離Dnは2mmであり、前記針カニューレは4mmの有効長を有する、請求項23に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、針の長さを調節可能な血管アクセスデバイスに関し、特に、本開示は、インスリンバイアルと患者の皮膚の両方を貫通するための針の長さ調節機能を有するインスリン注射器に関する。
【背景技術】
【0002】
注射器は、バイアル(vial)から薬剤を引き出し、患者の皮膚に薬剤を注射するために当技術分野で一般的に使用される。注射器用の針カニューレには、用途、患者の皮膚への挿入深さ、および他の要因に応じて、さまざまな針ゲージおよび針の長さがある。バイアルから薬剤を引き出すときは、より厚い針ゲージを使用することができる。注射器は、バレルの遠位端に固定された一体型の取り外し不可能な針カニューレを有することができ、または取り外し可能で交換可能な針ハブに取り付けることができる無針コネクタを有することができる。
【0003】
当技術分野で一般的なインスリン注射器は、6mmの標準的な針カニューレの長さを有する。インスリン注射器の針カニューレは、注射器に取り外し不可能に取り付けることができるか、またはインスリン注射器の無針コネクタに針ハブを介して取り付けることができる。6mmの針カニューレは、標準的なインスリンバイアルのストッパーを任意の角度で貫通し、インスリンの吸引のためにバイアル内のインスリンに到達することができるため、6mmの針カニューレの長さが使用される。
【0004】
インスリンは、患者の体内のインスリンの迅速かつ均一な分散を確実にするために、皮膚の下の皮下層に一般的に注射される。6mmの長さを有する針カニューレは、皮下層を通ってその下の筋肉層に入ることができ、これは望ましくない。このような発生を回避するために、インスリンショットを投与する開業医は、一般的に、6mm針カニューレが筋肉層に貫通するのを回避するために、インスリンショット/注射を行う部位を摘ままなければならない。この方法は、患者の不快感、針刺し傷害、および一貫性のない結果につながる可能性のある面倒なプロセスになる可能性がある。代替として、交換可能な針ハブは、最初に6mmの針カニューレを使用してバイアルから薬剤を引き出し、その後、より短い針の長さを使用して薬剤を投与するために使用することができる。この代替案は、さらなる廃棄物をもたらす。
【0005】
したがって、バイアルから薬剤を適切に引き出し、その後、薬剤を皮膚の下の皮下層に投与することができる使い捨ての針血管アクセスデバイスを提供する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
本開示の第1の態様は、円筒形のベース、フランジ、および針カニューレを有する血管アクセスデバイスに関する。円筒形のベースは、近位端および遠位端を有する。フランジは、フランジから遠位に延びる2つのプロング(prongs)を含み、2つのプロングは、フランジから所定長さを延びる遠位端を有し、2つのプロングは、互いに距離Dpを置いて配置され、距離Dpは、2つのプロングがゴム製のストッパーを通過することができるように、バイアルのゴム製ストッパーの幅Wvよりも大きい。血管アクセスデバイスは、フランジから遠位に延びる遠位突起(distal protrusion)をさらに備え、遠位突起は、遠位面(distal surface)と、ベースの近位端から遠位突起の遠位面に延びる開口部と、を有する。針カニューレは、開口部を通って延在し、遠位突起の遠位面から距離Dcだけ延在する。2つのプロング(prongs)は、遠位突起の遠位面から距離Dnだけ延ばす。
【0007】
いくつかの実施形態では、円筒形のベースの近位端は、注射器のバレルの遠位端に取り外し可能に取り付けられるか、または一体化される。いくつかの実施形態では、針カニューレは、注射器のバレルの遠位端から開口部を通って延びるバレルの遠位端に固定される。
【0008】
いくつかの実施形態では、2つのプロングは、フランジに対して実質的に直角であり、フランジと共にU字形を形成する。
【0009】
いくつかの実施形態では、距離Dcは、バイアルのゴムストッパーを貫通するのに十分である。いくつかの実施形態では、距離Dcは6mmであり、バイアルはインスリンバイアルである。いくつかの実施形態では、針カニューレは、ゴムストッパーに対して90度から45度の範囲を有する角度でインスリンバイアルを貫通するのに十分である。
【0010】
いくつかの実施形態では、プロングは、針カニューレが患者の皮膚に完全に入るのを距離Dnだけに制限するのに有効である。いくつかの実施形態では、針カニューレの距離Dcは6mmであり、距離Dnは2mmであり、2つのプロングが遠位端の遠位面を平面に接触させることを制限する場合、カニューレは、4mmのみを平面に挿入することができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、フランジは、フランジをベースの遠位端に位置するピボットに接続するためのフランジの接続点によってベースに接続される。いくつかの実施形態では、ベースおよびフランジは、フランジのピボットおよびベースの遠位端の接続点によって一緒にスナップフィットする別個の構成要素である。いくつかの実施形態では、ピボットおよび接続点は、0度から75度の動きの角度範囲を有する。いくつかの実施形態では、ベースおよびフランジは、一体構造であり、リビングヒンジによって接続されて、ベースに対するフランジのベースの動きの範囲を提供する。
【0012】
本開示の第2の態様は、円筒形のベース、圧縮可能な発泡体先端(foam tip)、および針カニューレを有する血管アクセスデバイスに関する。円筒形のベースは、近位端および遠位端を有し、遠位端は、細長い先端およびそこから延びるカラーを有し、カラーは、細長い先端を取り囲み、細長い先端は、ベースの近位端から細長い先端まで延びる開口部を有し、カラーは、細長い先端から距離を置いて配置され、カラーと細長い先端との間にチャネルが形成され、チャネルは、遠位面を有する。圧縮可能な発泡体先端は、近位端および遠位端、ならびに近位部分および遠位部分を有し、遠位部分は、接触面を形成する近位部分の直径よりも大きい直径を有し、圧縮可能な発泡体先端は、ベースに挿入および固定され、ベースの遠位面は、圧縮可能な発泡体先端の接触面に当接し、圧縮可能な発泡体先端の遠位部分は、初期には非圧縮状態の初期非圧縮長さLuから最終には圧縮状態の最終圧縮長さLcまで圧縮可能である。針カニューレは、開口部を通って延在し、非圧縮状態で遠位部分から距離Dc’を延在する。圧縮可能な発泡体先端を最終的な圧縮状態に圧縮すると、針カニューレは、距離Dc’に加えて長さLだけさらに延在する。
【0013】
いくつかの実施形態では、円筒形のベースの近位端は、注射器のバレルの遠位端に取り外し可能に取り付けられるか、または一体化される。いくつかの実施形態では、針カニューレは、バレルの遠位端に固定されて、注射器のバレルの遠位端の開口部を通って延びる。いくつかの実施形態では、細長い先端およびカラーは、同じ長さに延在し、遠位面を共有する。いくつかの実施形態では、ベースは、ベースの遠位端の下に、チャネル内に少なくとも部分的に接着剤チャネルをさらに含み、接着剤チャネルはチャネルの側方(lateral)にある。いくつかの実施形態では、圧縮可能な発泡体先端の近位端は、接着剤チャネルに挿入され、圧縮可能な発泡体先端の近位端は、接着剤チャネルと実質的に等しい幅を有し、ベースの細長い先端部と圧縮可能な発泡体先端の近位部分との間に空洞が形成される。
【0014】
いくつかの実施形態では、圧縮可能な発泡体先端は、針カニューレが距離Dc’および長さLを組み合わせた長さでゴムストッパーの上面に挿入させるように、ゴムストッパーの上面に対して圧縮力を加えることによって圧縮される。
【0015】
いくつかの実施形態では、距離Dc’は4mmであり、距離Dc’と長さLとの組み合わせ長さは6mmである。
【0016】
本開示の第3の態様は、近位端および遠位端を有する円筒形のベースを有する血管アクセスデバイスを対象とし、遠位端は、遠位端形状を含み、ベースは、ベースを通って延びる開口部を含み、遠位端形状は、傾斜面および傾斜面の遠位に位置する遠位平坦面を有し、傾斜面は、ベースに対して角度θで傾斜し、遠位平坦面は、開口部から距離Dnに位置し、針カニューレは、開口部を通って延び、針カニューレは、開口部において距離Dcだけ傾斜面から延びる。
【0017】
いくつかの実施形態では、遠位平坦面は、側方延長部を含む。いくつかの実施形態では、距離Dcは6mmであり、距離Dnは2mmであり、針カニューレは4mmの有効長を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、注射器に取り付けられた血管アクセスデバイスの側面図を示す。
図2A図2Aは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、バイアルを貫通する血管アクセスデバイスの断面図を示す。
図2B図2Bは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、バイアルを貫通する血管アクセスデバイスの断面図を示す。
図3A図3Aは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、バイアルを貫通する血管アクセスデバイスの断面図を示す。
図3B図3Bは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、バイアルを貫通する血管アクセスデバイスの断面図を示す。
図4図4は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、患者の皮膚を貫通する血管アクセスデバイスの断面図を示す。
図5図5は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、注射器に取り付けられた血管アクセスデバイスの側面図を示す。
図6図6は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、注射器に取り付けられた血管アクセスデバイスの詳細な斜視図を示す。
図7図7は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、血管アクセスの詳細な側面図を示す。
図8図8は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、バイアルを貫通する血管アクセスデバイスの断面図を示す。
図9図9は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、バイアルを貫通する血管アクセスデバイスの断面図を示す。
図10図10は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、患者の皮膚を貫通する血管アクセスデバイスの断面図を示す。
図11図11は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、注射器に取り付けられた血管アクセスデバイスの斜視図を示す。
図12図12は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、注射器に取り付けられた血管アクセスデバイスの分解側面図を示す。
図13A図13Aは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、血管アクセスデバイスの詳細な側面図を示す。
図13B図13Bは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、血管アクセスデバイスの詳細な断面図を示す。
図14A図14Aは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、血管アクセスデバイスのベースの斜視図を示す。
図14B図14Bは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、血管アクセスデバイスのベースの断面図を示す。
図15A図15Aは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、血管アクセスデバイスの発泡体先端の斜視図を示す。
図15B図15Bは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、血管アクセスデバイスの発泡体先端の断面図を示す。
図16図16は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、初期の非圧縮状態にある血管アクセスデバイスの発泡体先端を示す。
図17図17は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、最終的な圧縮状態にある血管アクセスデバイスの発泡体先端を示す。
図18図18は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、最終的な圧縮状態にある血管アクセスデバイスの発泡体先端を示す。
図19図19は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、初期の非圧縮状態にある血管アクセスデバイスの発泡体先端を示す。
図20A図20Aは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、バイアルから薬剤を引き出し、患者の皮膚に薬剤を投与する方法のステップを示す。
図20B図20Bは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、バイアルから薬剤を引き出し、患者の皮膚に薬剤を投与する方法のステップを示す。
図20C図20Cは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、バイアルから薬剤を引き出し、患者の皮膚に薬剤を投与する方法のステップを示す。
図20D図20Dは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、バイアルから薬剤を引き出し、患者の皮膚に薬剤を投与する方法のステップを示す。
図21図21は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、注射器に取り付けられた血管アクセスデバイスの側面図を示す。
図22図22は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、注射器に取り付けられた血管アクセスデバイスの詳細図を示す。
図23図23は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、バイアルを貫通する血管アクセスデバイスの断面図を示す。
図24図24は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、バイアルを貫通する血管アクセスデバイスの断面図を示す。
図25図25は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、患者の皮膚を貫通する血管アクセスデバイスの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示のいくつかの例示的な実施形態を説明する前に、本開示は、以下の説明に示される構成またはプロセス工程の詳細に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態であることができ、様々な方法で実施または実行することができる。
【0020】
以下の説明の目的のために、用語「近位」、「遠位」、「長手方向」、およびそれらの誘導体は、図面で示されているように、本開示に関連するものとする。しかしながら、本開示は、それとは反対に明示的に特定されない限り、代替的な変形を前提としてもよいことは理解されよう。また、添付の図面に示され、および以下の明細書に記載される具体的なデバイスおよびプロセスは、本開示の単なる例示的な実施形態であることも理解されるべきである。そのため、本明細書に開示される実施形態に関連する具体的な寸法、および他の物理的な特徴は、限定的であるとしてみなされるべきではない。
【0021】
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、および「the」の使用は、単数形および複数形を含む。
【0022】
本明細書で使用する場合、「ルアーコネクタ」という用語は、注射器、カテーテル、ハブ付き針、IVチューブなどを互いに取り付ける標準的な方法である接続カラーを指す。ルアーコネクタは、単純な圧力/ねじりフィット/摩擦フィットで固定するためにわずかに先細りになった1つ以上のインターロックチューブで構成されている。ルアーコネクタは、オプションでねじ山の外側の周縁を追加することができ、より安全性を高めることができる。ルアーコネクタは、血管アクセスデバイス(VAD)にある端部にインターロックして接続できる。ルアーコネクタは、遠位端、近位端、不規則な形状の外壁、注射器のバレルのチャンバからVADのハブへの流体連通のためのプロファイルされた中央通路から構成される。また、ルアーコネクタは、VADのハブに、取り外し可能に取り付ける遠位端チャンネルと、注射器のバレルに取り外し可能に取り付ける近位端チャンネルと、を有する。本明細書で使用される場合、「ルアーコネクタ」という用語は、雄ルアーコネクタまたは雌ルアーコネクタを指す。
【0023】
本明細書では、「医療機器」という用語は、ねじ式またはインターロック式の接続部を有する一般的な医療機器を指し、接続部は対応する嵌合要素を有する。限定するものではないが、例として、注射器は、カテーテルやIVラインなどの不要なコネクタなどの二次医療機器と解放可能にインターロックするねじ接続部を有する。ねじ接続部は、二次医療機器に取り付けるためのねじ手段を有する突出した壁によって囲まれた流体経路を画定する管腔を含む場合がある。
【0024】
関連技術分野の当業者によって容易に理解されるように、「ねじ」、「テーパ」、「タブ」、「壁」、「近位」、「側面」、「遠位」などの説明的な用語は、理解を容易にするために本明細書全体にわたって使用されるが、本開示の実施形態の様々な態様を実施するために、組み合わせてまたは個別に使用することができる任意の構成要素を限定することは意図されない。
【0025】
本開示の実施形態は、針の全長でストッパーのバイアルを貫通し、針の全長未満である所望の針の長さで患者の皮膚を貫通するための針の長さ調整機能を有する血管アクセスデバイスに関する。本明細書に記載の血管アクセスデバイスは、注射器バレルに一体化することができ、または注射器バレルの不要なコネクタに取り付けることができる。本明細書に記載の血管アクセスデバイスは、バイアルから薬剤を引き出しまたは注射し、患者の皮膚に注射するためのあらゆる医療デバイスに不可欠であり得る。いくつかの実施形態では、血管アクセスデバイスは、インスリン注射器に一体的であるか、または取り外し可能に接続可能である。
【0026】
インスリン投与では、針カニューレの長さは6mmが一般的であるが、そのような長さが標準的なインスリンバイアルのストッパーを任意の角度で貫通し、インスリンの吸引のためにバイアル内のインスリンに到達することができるためである。バイアルから薬剤を引き出すために使用されるのと同じ針カニューレは、その後、患者の皮膚に薬剤を注射するために使用される。インスリン投与の場合、インスリン薬剤は、患者の体内のインスリンの迅速かつ均一な分散を確実にするために、皮膚の下の皮下層に投与される。しかしながら、6mmのカニューレの長さは、皮下層を通ってその下の筋肉層に入ることをもたらし、これは望ましくない。別の言い方をすれば、注射した場合、筋肉層は垂直であり、皮下層の下にある。本開示の実施形態は、針カニューレ(例として、限定されないが、6mmの針カニューレ)が、任意の角度でバイアルに完全に挿入されることを可能にするが、所望の皮膚深さ(例として、限定されないが、皮膚の下の皮下層)で患者の皮膚に部分的にのみ挿入されることを可能にする受動的特徴を有する。
【0027】
図1~4は、固定長の針カニューレを所望の皮膚深さで患者の皮膚に部分的に挿入するための固定フランジを有する血管アクセスデバイス100の実施形態を示す。図5~10は、固定長の針カニューレを所望の皮膚深さで患者の皮膚に部分的に挿入するための回転アーム(swivel-arm)フランジを有する血管アクセスデバイス200の実施形態を示す。図11~20Dは、固定長の針カニューレを所望の皮膚深さで患者の皮膚に部分的に挿入するための押し下げ可能(depressible)な発泡体先端を有する血管アクセスデバイス300の実施形態を示す。図21~25は、固定長の針カニューレを所望の皮膚深さで患者の皮膚に部分的に挿入するためのカム形状を有する血管アクセスデバイス400の実施形態を示す。
【0028】
図全体(図1図25)にわたって、従来のバイアル40が図示される。バイアル40は、薬剤を貯蔵するための空洞を有する円筒形本体42を有する。円筒形本体42は、閉鎖ベースおよび閉鎖ベースの反対側のネック44を有する。ネック44は、ゴムストッパー50が挿入された開口部46を有し、シール状態を形成する。いくつかの実施形態では、ネック44は、フランジ48をさらに備える。いくつかの実施形態では、ゴムストッパー50は、台形形状を有する。いくつかの実施形態では、ゴムストッパー50は、フランジ48の幅に実質的に等しい幅を有する。図に示されるように、針カニューレは、ゴムストッパー50の上面52を貫通して、バイアル40から薬剤を引き抜く。図3Bに最もよく示されるように、バイアル40のゴムストッパー50は、幅Wvである.
【0029】
図面(図1図25)全体を通して、従来の注射器70が示されている。注射器70は、遠位端76を有するバレル72を含む。注射器は、バレル72から部分的に引き抜くことができ、流体または薬剤がバレル72に引き込まれることができるように、バレル72内に内部負圧を引き起こすプランジャーロッド74をさらに含む。同様に、プランジャーロッド74は、バレル72内に押し込まれることができ、流体または薬剤がバレル72から排出されることができるように内部正圧の蓄積を引き起こす。いくつかの実施形態では、遠位端76は、以下でさらに詳細に説明されるように、血管アクセスデバイス(100、200、300、400)のうちの1つ以上に一体化されている。いくつかの実施形態では、遠位端76は、以下でさらに詳細に説明されるように、血管アクセスデバイス(100、200、300、400)のうちの1つ以上に取り外し可能に取り付け可能である。いくつかの実施形態では、遠位端76は、無針接続によって血管アクセスデバイス(100、200、300、400)のうちの1つ以上に取り外し可能に取り付け可能である。
【0030】
図面(図4図10、および図25)全体を通して、患者の皮膚20の断面が示される。最外層は、表皮層22である。表皮層22の下には真皮層24があり、真皮層24の下には皮下層26がある。インスリンは、患者の体内のインスリンの迅速かつ均一な分散を確実にするために、皮膚の下の皮下層26に一般的に注射される。6mmの長さを有する針カニューレは、皮下層26を通って筋肉層(図示せず)に入ることができ、これは望ましくない。
【0031】
図1~4に示されるように、血管アクセスデバイス100は、注射器の遠位端76に取り外し可能に取り付けられるか、または一体化される近位端112と、遠位端114と、を有する円筒形のベース110を備える。開口部142は、針カニューレ80を収容するように構成された円筒形のベース110を通って延びる。
【0032】
遠位端114は、ベース110に対して実質的に直角で遠位端114から外向きに延びるフランジ120をさらに備え、ベース110と一体である。フランジ120は、フランジ120から遠位に延在する2つのプロング130をさらに備え、2つのプロング130は、フランジ120から長さを延在する遠位端132を有する。2つのプロング130は、フランジ120に対して実質的に直角であり、フランジ120と共にU字形を形成する。いくつかの実施形態では、フランジ120は円盤状の形状を有し、いくつかの実施形態では、フランジは三角形の形状を有する。フランジ120が円盤状の形状を有する実施形態では、2つのプロングは、円盤状のフランジ120を取り囲む均一なカラーであり得る。いくつかの実施形態では、リブ122は、フランジ120と2つのプロング130のそれぞれとの間に延在する。リブ122は、フランジ120およびプロング130に追加の構造的剛性を提供するように構成される。
【0033】
血管アクセスデバイス100は、フランジ120から遠位に延びる遠位突起140をさらに備え、遠位突起140は、遠位面144を有する。いくつかの実施形態では、遠位突起140は、円筒形の本体を有し、ベース110と同じ幅を有する。いくつかの実施形態では、図3Bに最もよく示されるように、ベース110および遠位突起140は、共通の中心軸Cを共有する。図2Aに最もよく示されるように、ベース110および遠位突起140は、針カニューレ80を受け入れるために、ベース110および遠位突起140を通って延びる開口部142を共有する。いくつかの実施形態では、針カニューレ80は、バレル72の遠位端76に固定される(図12および13Bに最もよく示されるように)。血管アクセスデバイス100がバレルの遠位端76に接続されると、針カニューレ80は、バレル72の遠位端76から血管アクセスデバイス100の遠位突起140の遠位面144を通って延びる。いくつかの実施形態では、針カニューレ80は、血管アクセスデバイス100の遠位突起140の遠位面144から距離Dcだけ延在する。いくつかの実施形態では、距離Dcは、バイアル40のゴムストッパー50を貫通するのに十分である。図2A図2B図3Aおよび図3Bに最もよく示されるように、いくつかの実施形態では、距離Dcは、バイアル40のゴムストッパー50に対して90度から45度の範囲を有する角度でバイアル40のゴムストッパー50を貫通するのに十分である。いくつかの実施形態では、距離Dcは6mmであり、これにより、針カニューレ80は、バイアル40が共通または標準的なインスリンバイアルである場合に、バイアルのゴムストッパー50に対して90度から45度の範囲を有する角度でバイアル40のゴムストッパー50を貫通することができる。
【0034】
図3Bに最もよく示されるように、2つのプロング130は、互いに距離Dpで離間される。距離Dpは、2つのプロング130がバイアル40のゴムストッパー50を通過できるように、バイアル40のゴムストッパー50の幅Wv(断面)よりも大きい。2つのプロング130がバイアル40のゴムストッパー50の上を通過可能であるため、針カニューレ80は、突起140の遠位面144がゴムストッパー50の上面52に隣接(当接)してバイアル40から薬剤を引き出すまで、バイアル40のゴムストッパー50に完全に挿入することができる。
【0035】
図2Bは、針カニューレ80および血管アクセスデバイス100が45度の角度で挿入され得、前記角度で針カニューレ80がバイアル40のネック44と流体連通していることを示す。図3Bは、針カニューレ80および針カニューレ80の後の血管アクセスデバイス100の動きの範囲を示す。特に、針カニューレ80および血管アクセスデバイス100は、ゴムストッパー50の上面52に対して45度から135度の範囲でゴムストッパー50の上面52にアクセスすることができる。ゴムストッパー50の上面52に対して45度から135度の全範囲について、針カニューレ80は、バイアル40のネック44と流体連通している。
【0036】
図3Bは、ゴムストッパー50の上面52に対して90度の角度でゴムストッパー50の上面52に挿入された針カニューレ80および血管アクセスデバイス100を示す。図3Bでは、突起140の遠位面144は、ゴムストッパー50の上面52に完全に接触し、したがって、針カニューレ80の全距離Dcは、ゴムストッパー50の上面52を通して挿入される。
【0037】
図4は、患者の皮膚20の皮下層26に部分的に挿入された針カニューレ80および血管アクセスデバイス100を示す。図4に示されるように、フランジ120および2つのプロング130のU字形は、表皮層22が突起140の遠位面144に接触することを防止するため、フランジ120および2つのプロング130のU字形が針カニューレ80の患者の皮膚20への完全な挿入を防止する。したがって、フランジ120および2つのプロング130は、血管アクセスデバイス100が患者の皮膚20などの平坦な表面に対して前進するにつれて、針カニューレ80の距離Dcを効果的に制限する。
【0038】
図4に示されるように、2つのプロング130は、突起140の遠位面144を超えて距離Dnだけ延びる距離Dfを有する。したがって、2つのプロング130は、針カニューレ80が患者の皮膚20に完全に入る距離Dcを距離Dnだけに制限するのに有効である。針カニューレ80の距離Dcが6mmであるいくつかの実施形態では、距離Dn(2つのプロング130が突起140の遠位面144を超えて延びる距離)は2mmであり、4mmの有効な針カニューレ長さDn’を保証する。そのような構成では、図4に示されるように、針カニューレ80は、患者の皮膚20に4mmのみ挿入することができ、したがって、皮下層26にのみ挿入される。別の言い方をすれば、2つのプロング130は、針カニューレの患者の皮膚20へのさらなる挿入を防止するためのハードストップとして構成される。さらに、フランジ120および2つのプロング130は、薬剤を投与しながら(針カニューレを患者の皮膚20に挿入しながら)針カニューレ80の垂直性を保証する。
【0039】
血管アクセスデバイス100の使用方法は、血管アクセスデバイス100のベース110の近位端112を注射器70の遠位端76に取り付けるステップと、突起140の遠位面144がバイアル40のゴムストッパー50の上面52に当接するまで、針カニューレ80をゴムストッパー50の上面52に挿入するステップと、注射器70のバレル72からプランジャーロッド74を少なくとも部分的に引き抜くことによってバイアル40から薬剤を引き出すステップと、2つのプロング130が患者の皮膚20の表皮層22に当接するまで、針カニューレ80を患者の皮膚20に挿入するステップと、プランジャーロッド74を注射器70のバレル72に少なくとも部分的に前進させることによって、薬剤を患者の皮膚20に注入するステップと、を含む。
【0040】
図5~10に示されるように、1つまたは複数の実施形態による血管アクセスデバイス200は、注射器の遠位端76に取り外し可能に取り付けられるか、または一体化される近位端212と、遠位端214と、を有する円筒形のベース210を備える。遠位端214は、遠位端214から外向きに延びるフランジ220をさらに備える。フランジ220のそれぞれは、フランジ220から遠位に延びるプロング230をさらに備える。各プロング230は、フランジ220から一定長さを延びる遠位端232を有する。いくつかの実施形態では、遠位端232は、平坦な表面である。いくつかの実施形態では、各プロング230は、フランジ220に対して実質的に直角であり、フランジ220と共にU字形を形成する。いくつかの実施形態では、各プロング230は、フランジ220に対して鋭角であり、フランジ220と共にU字形を形成する。
【0041】
図6に最もよく示されるように、フランジ220は、フランジ220の間の本体222によって接続される。いくつかの実施形態では、本体222は、ベース210の遠位端214の一部を受け入れるための空洞224をさらに備える。いくつかの実施形態では、本体222は、ベース210の遠位端214に位置するピボット216に接続するための接続点226をさらに備える。いくつかの実施形態では、ピボット216は、接続点226が接続する一対のタブである。いくつかの実施形態では、接続点226は、ベース210のピボット216の一対のタブを受け入れるための本体222内の開口部である。いくつかの実施形態では、フランジ220のベース210および本体222は、ピボット216および接続点226によって一緒にスナップフィットされる2つの別個の構成要素である。いくつかの実施形態では、ベース210および本体222は、ベース210に対するフランジ220の本体222の動きの範囲を提供するためのリビングヒンジを備えた一体構造である。ピボット216-接続点226およびリビングヒンジの両方は、0度から75度のθとして図6に示される動きの角度範囲を有する。
【0042】
血管アクセスデバイス200は、フランジ220から遠位に延びる遠位突起240をさらに備え、遠位突起240は、遠位面244を有する。いくつかの実施形態では、遠位突起240は、円筒形の本体を有し、ベース210と同じ幅を有する。いくつかの実施形態では、遠位突起240は、少なくとも図6に示されるように、遠位突起240が空洞224を超えて延びることができるように、フランジ220の空洞224の幅よりも狭い幅を有する。
【0043】
図10に最もよく示されるように、針カニューレ80は、血管アクセスデバイス100の遠位突起240の遠位面244から距離Dcだけ延在する。いくつかの実施形態では、距離Dcは、バイアル40のゴムストッパー50を貫通するのに十分である。図8~10に最もよく示されるように、いくつかの実施形態では、距離Dcは、ピボット216を中心に回転するフランジ220の回転により、バイアル40のゴムストッパー50に対して90度から45度の範囲を有する角度でバイアル40のゴムストッパー50を貫通するのに十分である。いくつかの実施形態では、距離Dcは6mmであり、これにより、針カニューレ80は、バイアル40が共通または標準的なインスリンバイアルである場合に、バイアル40のゴムストッパー50に対して90度から45度の範囲を有する角度でバイアル40のゴムストッパー50を貫通することができる。
【0044】
図9に最もよく示されるように、2つのプロング230は、互いに距離Dpで配置される。距離Dpは、プロング230がバイアル40のゴムストッパー50を通過できるように、バイアル40のゴムストッパー50の幅Wvよりも大きい。プロング230がバイアル40のゴムストッパー50の上を通過可能であるため、針カニューレ80は、突起240の遠位面244がゴムストッパー50の上面52に隣接してバイアル40から薬剤を引き出すまで、バイアル40のゴムストッパー50に完全に挿入することができる。
【0045】
図8および図9は、針カニューレ80および血管アクセスデバイス200が45度の角度で挿入され得、前記角度で針カニューレ80がバイアル40のネック44と流体連通していることを示す。図9は、針カニューレ80および針カニューレ80の後の血管アクセスデバイス200の動きの範囲を示す。特に、針カニューレ80および血管アクセスデバイス200は、ゴムストッパー50の上面52に対して45度から135度の範囲でゴムストッパー50の上面52にアクセスすることができる。ゴムストッパー50の上面52に対して45度から135度の全範囲について、針カニューレ80は、バイアル40のネック44と流体連通している。図9では、突起240の遠位面244は、ゴムストッパー50の上面52に完全に接触し、したがって、針カニューレ80の全距離Dcは、ゴムストッパー50の上面52を通して挿入される。
【0046】
図10は、患者の皮膚20の皮下層26に部分的に挿入された針カニューレ80および血管アクセスデバイス200を示す。図10に示されるように、フランジ220のU字形は、表皮層22が突起240の遠位面244に接触することを防止するため、針カニューレ80の患者の皮膚20への完全な挿入を防止する。したがって、フランジ220およびプロング230は、針カニューレ80の距離Dcを効果的に制限する。
【0047】
図10に示されるように、プロング230は、突起240の遠位面244を超えて距離Dnを延びる距離Dfを有する。したがって、プロング230は、針カニューレ80が患者の皮膚20に完全に入る距離Dcを距離Dnだけに制限するのに有効である。針カニューレ80の距離Dcが6mmであるいくつかの実施形態では、距離Dn(プロング230が突起240の遠位面244を超えて延びる距離)は2mmであり、4mmの有効な針カニューレ長さDn’を保証する。そのような構成では、図10に示されるように、針カニューレ80は、患者の皮膚20に4mmのみ挿入することができ、したがって、皮下層26にのみ挿入される。別の言い方をすれば、プロング230は、針カニューレ80の患者の皮膚20へのさらなる挿入を防止するためのハードストップとして構成される。さらに、フランジ220およびプロング230は、薬剤を投与しながら(針カニューレを患者の皮膚20に挿入しながら)針カニューレ80の垂直性を保証する。
【0048】
いくつかの実施形態では、図6および10に示されるように、血管アクセスデバイス200は、ベース210を取り囲み、ベース210に対して近位および遠位の両方で前進可能なスライド260をさらに備える。スライド260は、フランジ220の空洞224よりも大きい幅を有する遠位端262を含む。スライド260を遠位方向に前進させると、スライド260の遠位端262がフランジ220に当接し、フランジ220が遠位端262およびベース210に垂直になる。図6は、フランジ220が自由に枢動(pivot)することができるスライド260の格納位置を示し、図10は、スライド260の遠位端262がフランジ220に完全に当接したスライド260の完全に前進した位置を示す。
【0049】
スライド260を有しない実施形態では、フランジ220は、針カニューレ80およびベース110に垂直になるように受動的に調整される。特に、フランジ220が挿入中に針カニューレ80およびベース110に垂直でない場合、他のプロング230より遠位のプロング230は(鋭角のために)最初に患者の皮膚に接触し、他のプロング230が患者の皮膚に接触するまでフランジ220の回転をもたらす。別の言い方をすれば、フランジ220が皮膚に対して直角でない場合、血管アクセスデバイス200の挿入は、前方プロング230が患者の皮膚と接触するときにフランジ220全体を調整するので、フランジ220が直角になる。
【0050】
血管アクセスデバイス200の使用方法は、血管アクセスデバイス200のベース210の近位端212を注射器70の遠位端76に取り付けるステップと、突起240の遠位面244がバイアル40のゴムストッパー50の上面52に当接するまで、針カニューレ80をゴムストッパー50の上面52に挿入するステップと、注射器70のバレル72からプランジャーロッド74を少なくとも部分的に引き抜くことによってバイアル40から薬剤を引き出すステップと、プロング230が患者の皮膚20の表皮層22に当接するまで、針カニューレ80を患者の皮膚20に挿入するステップと、プランジャーロッド74を注射器70のバレル72に少なくとも部分的に前進させることによって、薬剤を患者の皮膚20に注入するステップと、を含む。
【0051】
図11~21Bに示されるように、1つまたは複数の実施形態による血管アクセスデバイス300は、円筒形のベース310および圧縮可能な発泡体先端350を備える。図11は、注射器70上の血管アクセスデバイス300の組み立て図を示し、図12は、血管アクセスデバイスの分解図を示す。図11および12に示されるように、いくつかの実施形態では、血管アクセスデバイスは、滅菌キャップ390をさらに含む。
【0052】
図13Aから図15Bに示されるように、ベース310は、近位端312および遠位端314を含む円筒形状を有する。近位端312は、注射器70の遠位端76を受け入れるための空洞313を備える。遠位端314から細長い先端316が遠位方向に延びる。細長い先端316は、針カニューレ80を受け入れるために(図13Bおよび14Bに最もよく示されるように)、細長い先端およびベース310を通って延びる開口部318を含む。ベース310は、遠位端314から延びるカラー320をさらに備え、カラー320は、細長い先端316および開口部318を取り囲む。図14Aおよび図14Bに示されるように、チャネル322がカラー320と細長い先端316との間に形成されるように、カラー320は、細長い先端316から距離を置いて配置される。いくつかの実施形態では、細長い先端316およびカラー320は、同じ長さに延在し、共通の遠位面326を共有する。いくつかの実施形態では、ベースは、ベースの遠位端314の下にあり、チャネル322内に部分的に延びる接着剤チャネル324をさらに備える。以下でさらに詳細に説明するように、接着剤チャネル324は、圧縮可能な発泡体先端350をベース310に取り外し不可能に固定するための医療グレードの接着剤で充填することができる。
【0053】
圧縮可能な発泡体先端350は、実質的に円筒形状を有する。圧縮可能な発泡体先端350は、遠位部分352および近位部分354を有し、遠位部分352は、近位部分354の直径よりも大きい直径を有する。圧縮可能な発泡体先端350は、近位端356、遠位端358、および接触面360を有する。接触面360は、遠位部分352が近位部分354の直径よりも大きい直径を有するため、遠位部分352の近位リッジ(proximal ridge)によって形成される。圧縮可能な発泡体先端350は中空であり、そこを通って延びる開口部362を有する。いくつかの実施形態では、遠位端358は丸みを帯びている。
【0054】
図13Bに最もよく示されるように、接着剤チャネル324は、チャネル322に対して横方向である。圧縮可能な発泡体先端350は、ベース310の遠位面326が圧縮可能な発泡体先端350の接触面360に隣接し、圧縮可能な発泡体先端350の近位端356が接着剤チャネル324に完全に挿入されるまで、ベース310に挿入および固定される。図示されるように、圧縮可能な発泡体先端350の近位端356は、接着剤チャネル324と実質的に等しい幅を有する。接着剤チャネル324がチャネル322に対して横方向であるため、空洞364は、ベース310の細長い先端316と圧縮可能な発泡体先端350の近位部分354との間に形成される。空洞364は、滅菌キャップ390を受け入れることができる。
【0055】
図16および17に最もよく示されるように、圧縮可能な発泡体先端350の遠位部分352は、初期の非圧縮状態の初期非圧縮長さLuから最終の圧縮状態の最終圧縮長さLcまで圧縮可能である。遠位部分352は、遠位端358を表面に押し付けることによって、長さLを非圧縮長さLuから圧縮長さLcに圧縮する。別の言い方をすれば、圧縮可能な発泡体先端350の遠位部分352を表面に押し下げると、遠位部分352が最初の非圧縮長さLuから最終的な圧縮長さLcまで長さLだけ圧縮される。圧縮可能な発泡体先端350の遠位部分352を解放すると、遠位部分352が最終的な非圧縮長さLuに戻る。したがって、圧縮可能な発泡体先端350の遠位部分352は、初期の非圧縮長さLu、最終的な圧縮長さLc、最終的な非圧縮長さLuを有する。
【0056】
図16および17に最もよく示されるように、針カニューレ80は、初期の非圧縮状態および最終の非圧縮状態で距離Dc’だけ延在する。圧縮可能な発泡体先端350を最終的な圧縮状態に圧縮すると、針カニューレ80は、距離Dc’に加えて長さLだけさらに延びる。図18、および20B、20Cに示されるように、圧縮可能な発泡体先端350は、針カニューレ80が距離Dc’および長さLの組み合わせた長さでゴムストッパー50の上面52に挿入されるように、ゴムストッパー50の上面52に対して圧縮力を加えることによって圧縮される。図19および20Dに示されるように、圧縮可能な発泡体先端350は、圧縮可能な発泡体先端350が変形せず、距離Dc’のみが患者の皮膚20内に前進されるように、圧縮力よりも小さい力によって患者の皮膚20に対して注射器70を前進させることによって、患者の皮膚20に当接することができる。図16および17に戻って参照すると、距離Dc’が4mmであり、長さLが2mmであるいくつかの実施形態では、最終的な圧縮状態における有効な針の長さは6mm(長さDc’および長さの組み合わせた長さ)である。そのような構成では、図16、19、20Dに示されるように、針カニューレ80は、患者の皮膚20に4mmのみ挿入することができ、したがって、皮下層26にのみ挿入される。
【0057】
図20Aから図20Dに示されるように、血管アクセスデバイス300の使用方法は、血管アクセスデバイス300のベース310の近位端312を注射器70の遠位端76に取り付けるステップと、図20Bに示されるように、圧縮可能な発泡体先端350の遠位部分352の遠位端358が上面52に当接するまで、針カニューレ80をゴムストッパー50の上面52に挿入するステップと、を含み、さらに、その遠位部分352を圧縮力によってバイアル40のゴムストッパー50の上面52に対してさらに圧縮するステップと、注射器70のバレル72からプランジャーロッド74を少なくとも部分的に引き抜くことによってバイアル40から薬剤を引き出すステップと、圧縮可能な発泡体先端350の遠位部分352の遠位端358が、図20Dに示されるように、バイアル40のゴムストッパー50の上面52に当接するまで針カニューレ80を患者の皮膚20に挿入するステップと、注射器70のバレル72内にプランジャーロッド74を少なくとも部分的に前進させることによって、患者の皮膚20に薬剤を注射するステップと、を含む。
【0058】
図22図25に示されるように、1つまたは複数の実施形態による血管アクセスデバイス400は、有効な針カニューレの長さを制限するように構成された遠位端形状450を有する円筒形のベース410を備える。ベース410は、針カニューレ80を受け入れるためにベース410を通って延びる開口部418を含む。図11および12に示されるように、いくつかの実施形態では、血管アクセスデバイスは、滅菌キャップ490をさらに含む。
【0059】
ベース410は、近位端412および遠位端414を含む円筒形状を有し、遠位端は、有効な針カニューレの長さを制限するように構成された遠位端形状450を有する。図25に最もよく示されるように、遠位端形状450は、傾斜面452と、傾斜面452の遠位に位置する遠位平坦面454と、を備える。傾斜面452は、ベース410に対して角度θで傾斜している。いくつかの実施形態では、角度θは45度である。いくつかの実施形態では、角度θは、30度から60度である。いくつかの実施形態では、遠位平坦面454は、側方延長部456を含む。
【0060】
図23および24に最もよく示されるように、傾斜面452は、針カニューレ80がゴムストッパー50の上面52に対して角度θまたは直角のいずれかで前進することを可能にするように構成される。
【0061】
図25に最もよく示されるように、針カニューレ80は、開口部418で傾斜面452から距離Dcに延在し、遠位平坦面454は、開口部418から距離Dnに位置する。血管アクセスデバイス400が患者の皮膚20に挿入されるとき、遠位平坦面454は、針カニューレが完全に挿入されるのを防ぐことができる。特に、血管アクセスデバイス400が、図25に示されるように、遠位平坦面454が表皮層22に当接するまで挿入される場合である。距離Dcが6mmであるいくつかの実施形態では、距離Dnは2mmであり、したがって、針カニューレ80は4mmのみ挿入することができる。いくつかの実施形態では、針カニューレ80は、バイアル40が共通または標準的なインスリンバイアルである場合に、バイアル40のゴムストッパー50に対して90度からバイアル40のゴムストッパー50に対して45度の範囲を有する角度でバイアル40のゴムストッパー50を貫通することができるように、距離Dcは6mmである。
【0062】
本開示は、その特定の例示的な実施形態を参照して示され、説明されてきたが、本開示の実施形態の精神および範囲から逸脱することなく、形態および詳細の様々な変更がその中でなされ得ることが、当業者には理解されるであろう。また、消毒キャップの内側および/または外側ハウジングは、単発成形することができ、または、他の適切なプロセスによって作製することができる。さらに、上述し、図面に示した本開示の実施形態の例示的な実施の特徴または要素は、本開示の実施形態の精神および範囲から逸脱することなく当業者が容易に理解できるように、個別にまたは任意の組み合わせで実施することができる。
【0063】
さらに、添付の図面は、本開示の特定の例示的な実施形態の非限定的な例をさらに説明し、それに関連する技術の説明を助けるものである。上記の図面などで示される特定のまたは相対的な寸法または測定は例示であり、発明の関連分野の当業者によって理解されるような発明の設計または方法の範囲または内容を限定することを意図したものではない。
【0064】
本明細書全体における「一実施形態」、「ある特定の実施形態」、「1つまたは複数の実施形態」または「ある実施形態」に対する言及は、実施形態に関連して記載されている特定の特色、構造、材料、または特徴が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。すなわち、「1つまたは複数の実施形態において」、「特定の実施形態において」、「1つの実施形態において」または「実施形態において」のような語句の、本明細書全体の様々な場所における出現は、必ずしも、本開示の同一の実施形態を指しているとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、材料、または特色は、1つまたは複数の実施形態において任意の適当な様式で組み合わされ得る。
【0065】
本開示は特定の実施形態を参照して記載されているが、これらの実施形態は本開示の原理および応用の例示に過ぎないことが理解されるべきである。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正および変形を本開示の方法および装置に対して行うことができることは、当業者にとって明らかであろう。従って、本開示は、添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内である修正および変形を含むことが意図される。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
図20C
図20D
図21
図22
図23
図24
図25
【国際調査報告】