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特表2024-541332シェービングユニットの外部切断部材の回転
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】シェービングユニットの外部切断部材の回転
(51)【国際特許分類】
   B26B 19/14 20060101AFI20241031BHJP
   B26B 19/28 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B26B19/14 N
B26B19/28 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527491
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-05-10
(86)【国際出願番号】 EP2022084245
(87)【国際公開番号】W WO2023110461
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】21214282.2
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】ダークス ヘッザー
【テーマコード(参考)】
3C056
【Fターム(参考)】
3C056ED02
3C056HB04
3C056HB10
(57)【要約】
電気シェーバ用のシェービングユニットにおいて、毛髪切断ユニット30は、中心軸Acを持つハウジング40と、ハウジング40により支持される外部切断部材31と、外部切断部材31により覆われる内部切断部材32とを有する。外部切断部材31は、ハウジング40に対して中心軸Acの周りで回転可能であり、内部切断部材32は、外部切断部材31に対して中心軸Acの周りで回転可能である。毛髪切断ユニット30は、伝達ユニット60を更に有し、これは、ハウジング40に収容され、かつ内部切断部材32に取り付けられる第1の伝達部材61と、外部切断部材31に取り付けられる第2の伝達部材62と、少なくとも1つの中間伝達部材63、64、65とを含む。中間伝達部材を介して、第1の伝達部材61が、第2の伝達部材62に結合される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気シェーバ用のシェービングユニットであって、支持部材と、前記支持部材により支持される少なくとも2つの毛髪切断ユニットとを有し、各毛髪切断ユニットが、
中心軸を持つハウジングと、
前記ハウジングにより支持され、複数の毛髪進入口を持つ環状のシェービング領域を含む外部切断部材であって、前記外部切断部材が、前記ハウジングに対して前記中心軸の周りで回転可能である、外部切断部材と、
前記外部切断部材により覆われ、前記外部切断部材に対して前記中心軸の周りで回転可能であり、結合部材を持つ内部切断部材とを有し、
前記シェービングユニットが、各毛髪切断ユニットに対して、前記外部切断部材に対して前記中心軸の周りで前記内部切断部材を回転させるために、前記内部切断部材の前記結合部材に解放可能に結合される個々の駆動シャフトを有し、
各毛髪切断ユニットは、伝達ユニットを有し、前記伝達ユニットにより、前記外部切断部材が前記ハウジングに対して前記中心軸の周りで回転可能であり、前記伝達ユニットは、前記毛髪切断ユニットのハウジングに収容され、前記伝達ユニットが、
前記中心軸の周りで前記内部切断部材と共に回転可能であるよう前記内部切断部材に取り付けられる第1の伝達部材と、
前記中心軸の周りで前記外部切断部材と共に回転可能であるよう前記外部切断部材に取り付けられる第2の伝達部材と、
少なくとも1つの中間伝達部材とを有し、前記中間伝達部材を介して、前記第1の伝達部材が前記第2の伝達部材に結合され、前記中心軸の周りでの前記内部切断部材の回転が前記中心軸の周りでの前記外部切断部材の回転に変換される、シェービングユニット。
【請求項2】
各毛髪切断ユニットが、少なくとも1つの枢軸の周りで前記支持部材に対して枢動可能であり、
各毛髪切断ユニットの前記内部切断部材の前記結合部材は、前記毛髪切断ユニットが前記少なくとも1つの枢軸の周りで枢動する間、前記毛髪切断ユニットに関連する個々の駆動シャフトとの回転結合を維持する、請求項1に記載のシェービングユニット。
【請求項3】
各個々の駆動シャフトが、結合ヘッドを有し、
各毛髪切断ユニットの前記内部切断部材の前記結合部材は、前記毛髪切断ユニットに関連する個々の駆動シャフトの前記結合ヘッドを収容する空洞を有し、
前記結合ヘッド及び前記空洞の表面は、前記少なくとも1つの枢軸の周りで前記毛髪切断ユニットの枢動中に互いに摺動する、請求項2に記載のシェービングユニット。
【請求項4】
前記伝達ユニットは、前記中心軸の周りでの前記内部切断部材の第1の回転速度での回転を、前記中心軸の周りでの前記外部切断部材の第2の回転速度での回転に変換し、前記第2の回転速度は、前記第1の回転速度よりも低い、請求項1乃至3のいずれかに記載のシェービングユニット。
【請求項5】
前記伝達ユニットが、約20から25の範囲の速度減少率を実現する、請求項4に記載のシェービングユニット。
【請求項6】
前記伝達ユニットが、前記外部切断部材を約40rpm~約120rpmの範囲の回転速度で走行させる、請求項1乃至5のいずれかに記載のシェービングユニット。
【請求項7】
前記伝達ユニットにおいて、
前記第1の伝達部材が、前記中心軸に対して同軸に、前記内部切断部材の結合部材上に配置される第1のギアホイールを有し、
前記第2の伝達部材は、前記外部切断部材の環状フランジ部の内側に配置され、前記中心軸に対して同軸に配置される第2のギアホイールを有し、
前記少なくとも1つの中間伝達部材は、少なくとも1つの中間ギアホイールを有し、前記中間ギアホイールを介して前記第1ギアホイールが前記第2ギアホイールに結合され、各中間ギアホイールは、前記ハウジング上に配置される回転軸受を持つ、請求項1乃至6のいずれかに記載のシェービングユニット。
【請求項8】
前記伝達ユニットが、少なくとも2つの中間ギアホイールを有し、個別の中間ギアホイールの前記回転軸受が、一体化されたハウジング部に含まれる、請求項7に記載のシェービングユニット。
【請求項9】
前記伝達ユニットにおいて、前記少なくとも1つの中間伝達部材が、スタック構成の一対の中間ギアホイールを有する、請求項7又は8に記載のシェービング装置。
【請求項10】
各毛髪切断ユニットの前記ハウジングが、前記毛髪切断ユニットの前記外部切断部材を取り囲む皮膚接触面を有する、請求項1乃至9のいずれかに記載のシェービングユニット。
【請求項11】
電気シェーバであって、
モータを収容する本体と、
請求項1乃至10のいずれかに記載のシェービングユニットとを有し、前記シェービングユニットの前記支持部材が、前記本体に結合される、
【請求項12】
前記シェービングユニットの前記支持部材が、結合部材を有し、前記結合部材により、前記シェービングユニットが前記本体に解放可能に接続され、
前記接続部材は、前記シェービングユニットが前記本体に接続された状態で前記モータに結合される主駆動シャフトを収容し、
前記シェービングユニットは、前記主駆動シャフトの回転を、前記シェービングユニットの各毛髪切断ユニットの個々の駆動シャフトの回転に変換する伝達システムを有する、請求項11に記載の電気シェーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持部材と、この支持部材により支持される少なくとも2つの毛髪切断ユニットとを有する電気シェーバー用シェービングユニットに関し、各毛髪切断ユニットが、
中心軸を持つハウジングと、
上記ハウジングにより支持され、複数の毛髪進入口を持つ環状のシェービング領域を含む外部切断部材であって、外部切断部材が、ハウジングに対して中心軸の周りで回転可能である、外部切断部材と、
外部切断部材に覆われ、外部切断部材に対して中心軸の周りで回転可能であり、結合部材を持つ内部切断部材とを有し、
上記シェービングユニットが、各毛髪切断ユニットごとに、上記外部切断部材に対して上記中心軸の周りで上記内部切断部材を回転させるために、上記内部切断部材の上記結合部材に解放可能に結合される個々の駆動シャフトを有する。
【0002】
更に、本発明は、電気シェーバーに関し、これは、
モータを収容する本体と、
前述のシェービングユニットとを有し、シェービングユニットの支持部材が、本体に結合される。
【背景技術】
【0003】
電気シェーバ及び電気シェーバ用シェービングユニットはよく知られる。電気シェーバは一般に、顔の毛とすることができる体毛を剃るために使用され、主電源及び/又はバッテリーのような電気エネルギー貯蔵装置から電力を供給される。
【0004】
一般に知られるセットアップでは、シェービングユニットは、支持部材と、支持部材により支持される少なくとも2つの毛髪切断ユニットとのアセンブリを有する。従来、毛髪切断ユニットはそれぞれ、非駆動要素としての毛髪進入開口部を備えたシェービング領域を持つ外部切断部材と、駆動要素としての内部切断部材との組合せを有し、少なくとも内部切断部材は、1つ又は複数の切断エッジを持つ。斯かる場合、電気シェーバに組み込まれるシェービングユニットの使用は、シェービングユニットを動作モードにすることを含み、このモードでは、毛髪切断ユニットの内部切断部材が実際に動かされ、毛髪切断ユニットの外部切断部材のシェービング領域が皮膚に面し、これに接触する態様で、シェービングユニットが皮膚上で移動される。その過程で、皮膚から突出する毛は、毛髪切断ユニットのハウジングの空間において捕捉され、その空間において、毛は、毛髪進入開口の位置で外部切断部材に当たるようにされ、内部切断部材の切断エッジと遭遇するときに切断される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
その少なくとも2つの毛髪切断ユニットの各々において、外部切断部材と内部切断部材との上述の組み合わせを有するタイプのシェービングユニットについて、シェービングユニットの周囲の固定部分に対して外部切断部材を回転させることも提案される。これは、少なくとも2つの毛髪切断ユニットの毛髪捕捉能力を向上させることができる。なぜなら、皮膚は、外部切断部材のより多くの開放領域、即ち、より多くの毛髪進入口に遭遇することが可能にされるからである。少なくとも2つの毛髪切断ユニットの良好な毛髪捕捉能力を実現することを目的とした既知の手段は、ユーザの行動、特にシェービングユニットを皮膚の上で円を描くように動かすことを含む行動を刺激することに依存している。しかしながら、ユーザはしばしば、正しい態様で円運動を行わない、又は更には円運動をまったく行わないことが見られる。従って、ユーザに特定の動作をさせようとするのではなく、シェービングユニットを構造的に調整することが望ましく、回転する外部切断部材を持つことは、まさに斯かる調整である。しかしながら、必要とされる追加的な駆動要素の存在は、少なくとも2つの毛髪切断ユニットの増加された大きさをもたらす場合があり、少なくとも2つの毛髪切断ユニットの皮膚輪郭追従性を低下させる場合もある。
【0006】
CH376798Aは、単一の毛髪切断ユニットを持つ電気シェーバを開示する。毛髪切断ユニットは、ボール軸受によりシェーバのメインハウジング上に回転可能に配置される外付けのフォイル型切断部材を持ち、その結果、外部切断部材が毛髪切断ユニットの中心軸の周りで回転可能である。毛髪切断ユニットは更に、モータにより駆動される駆動シャフトに取り付けられる内部切断部材を持ち、その結果、内部切断部材がモータにより中心軸の周りで回転可能である。モータは、駆動シャフトと外部切断部材との間に配置された伝達機構を介して、中心軸の周りで比較的低速で外部切断部材を回転させることができる。伝達機構は、駆動シャフトに取り付けられる第1ギアホイールと、メインハウジングの内面に静止位置で取り付けられる第2のギアホイールと、上記外側切断部材の内面に静止位置で取り付けられる第3のギアホイールと、それぞれが第1、第2及び第3のギアホイールに係合する、直径方向に対向して配置された一対の中間ギアホイールとを有する。
【0007】
本発明の目的は、少なくとも2つの毛髪切断ユニットがそれぞれ回転可能な外部切断部材を有し、しかし、上述の欠点、特に、少なくとも2つの毛髪切断ユニットの増加された大きさ及び低下された皮膚輪郭追従能力の欠点を持たない、シェービングユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、電気シェーバ用のシェービングユニットを提供し、これは、支持部材と、この支持部材により支持される少なくとも2つの毛髪切断ユニットとを有し、各毛髪切断ユニットが、
中心軸を持つハウジングと、
上記ハウジングにより支持され、複数の毛髪進入口を持つ環状のシェービング領域を含む外部切断部材であって、外部切断部材が、ハウジングに対して中心軸の周りで回転可能である、外部切断部材と、
外部切断部材により覆われ、外部切断部材に対して中心軸の周りで回転可能であり、結合部材を持つ内部切断部材とを有し、
上記シェービングユニットが、各毛髪切断ユニットに対して、上記外部切断部材に対して上記中心軸の周りで上記内部切断部材を回転させるために、上記内部切断部材の上記結合部材に解放可能に結合される個々の駆動シャフトを有し、
各毛髪切断ユニットが、伝達ユニットを有し、これを用いて、外部切断部材がハウジングに対して中心軸の周りで回転可能であり、上記伝達ユニットは、上記毛髪切断ユニットのハウジングに収容され、これは、
上記中心軸の周りで上記内部切断部材とともに回転可能であるよう上記内部切断部材に取り付けられる第1の伝達部材と、
上記中心軸の周りで上記外部切断部材とともに回転可能であるよう上記外部切断部材に取り付けられる第2の伝達部材と、
少なくとも1つの中間伝達部材であって、これを介して、上記中心軸の周りでの上記内部切断部材の回転を上記中心軸の周りでの上記外部切断部材の回転に変換するために、上記第1伝達部材が上記第2伝達部材に結合される、少なくとも1つの中間伝達部材とを有する。
【0009】
本発明によるシェービングユニットの上記の規定から、シェービングユニットは、各毛髪切断ユニットについて、個別の毛髪切断ユニットの外部切断部材の回転をもたらすために使用される別個の伝達ユニットを有し、伝達ユニットは、個別の毛髪切断ユニットのハウジングに収容され、第1の伝達部材、第2の伝達部材、及び少なくとも1つの中間伝達部材のアセンブリを有する。第1の伝達部材は、個別の毛髪切断ユニットの内部切断部材に取り付けられ、第2の伝達部材は、個別の毛髪切断ユニットの外部切断部材に取り付けられる。従って、各個別の毛髪切断ユニットにおいて、伝達ユニットは、内部切断部材の移動に基づき外部切断部材の移動をもたらすよう構成される。別の言い方をすれば、各個別の毛髪切断ユニットにおいて、外部切断部材は、動作中、個別の毛髪切断ユニットにおける伝達ユニットを介して内部切断部材により動力を与えられる。これは、内部切断部材の他に外部切断部材を回転させるために、毛髪切断ユニットの外部に別の駆動トレインが必要とされないが、むしろ内部切断部材を駆動するための既存のドライブトレインが拡張されることを意味する。これは、シェービングユニットの寸法を増加させる必要なく、少なくともシェービングユニットの明らかにより大きな外観が得られる程度に至ることなく、所望される回転可能な外部切断部材を持つ可能性を提供する。各個別の毛髪切断ユニットについて、伝達ユニットが毛髪切断ユニットのハウジングに収容されるという事実に基づき、毛髪切断ユニットの任意の皮膚輪郭追従枢動運動が、何ら妨げられないことが達成される。特に、その中に収容される伝達ユニットを含む毛髪切断ユニットのハウジングは、シェービングユニットの支持部材に対して枢動可能に構成され得、これは、シェービングユニットの各毛髪切断ユニットが、毛髪切断ユニットの外部切断部材の回転駆動に影響を与えることなく、シェービングプロセス中に任意の局所的な皮膚の輪郭に個々に追従することを可能にする。
【0010】
シェービングユニットが少なくとも2つの毛髪切断ユニットを有する場合、皮膚の輪郭に追従するオプションを持つことが特に適切である。なぜなら、それがなければ、ユーザは、一定の所定の構造的関係で少なくとも2つの毛髪切断ユニットを皮膚の上で動かすことしかできないからである。シェービングユニットの少なくとも2つの毛髪切断ユニットの各々が、少なくとも1つの枢軸の周りで支持部材に対して枢動可能である場合、各毛髪切断ユニットの内部切断部材の結合部材であって、これにより内部切断部材が毛髪切断ユニットに関連する個々の駆動シャフトに解放可能に結合される結合部材が、少なくとも1つの枢軸の周りで毛髪切断ユニットの枢動の間、個々の駆動シャフトとの回転結合を維持するよう構成されると有利である。こうして、駆動シャフトから伝達ユニットを介して外部切断部材まで延びる駆動トレインにおいて、伝達ユニットは、全体が結合部材と外部切断部材との間に配置され、これは、伝達ユニットが、内部切断部材及び外部切断部材と一体となって、個々の駆動シャフトに対して枢動することを可能にする。例えば、個々の駆動シャフトの各々が結合ヘッドを有するようにしてもよく、この場合、各毛髪切断ユニットの内部切断部材の結合部材が、毛髪切断ユニットに関連する個々の駆動シャフトの結合ヘッドを収容する空洞を有し、結合ヘッド及び空洞の表面は、少なくとも1つの枢軸の周りで毛髪切断ユニットの枢動中に互いに摺動するよう構成され、これは、本発明が、毛髪切断ユニットの枢動運動が可能にされる態様に関して、他のオプションをカバーするという事実を変更するものではない。
【0011】
内部切断部材の回転速度の通常の範囲の観点から、回転する外部切断部材による皮膚刺激の増大を防止するため、本発明によるシェービングユニットにおいて、各毛髪切断ユニットの伝達ユニットが、内部切断部材から外部切断部材に向かう方向において減速するよう構成されると実用的であり、言い換えれば、伝達ユニットは、第1の回転速度での中心軸の周りの内部切断部材の回転を、第2の回転速度での中心軸の周りの外部切断部材の回転に変換するよう構成され、上記第2の回転速度は、上記第1の回転速度よりも低い。例えば、伝達ユニットの速度減少率が、シェービングユニットの通常動作時に、外部切断部材が約40rpm~120rpmの範囲の回転速度で動作するようなものにされ、一方、内部切断部材の回転速度は、約2,000rpm~2,500rpmの範囲の速度と同じくらい高い場合、実用的である。
【0012】
消費者試験から、動作中に約40rpm~120rpmの範囲の速度で外部切断部材が回転される毛髪切断ユニットを含むシェービングユニットが、シェービング動作のため対象の皮膚に使用されると、平均的なユーザは、シェービング動作が快適であると感じることが分かっている。同時に、外部切断部材を回転させることの有利な結果として、特に、シェービングユニットの推奨される円運動を皮膚上で実現することが困難な領域では、毛髪切断ユニットの毛髪捕捉効率は、シェービングユニットをユーザが皮膚上で動かす態様にあまり依存しない。
【0013】
本発明によるシェービング装置の実際的な実施形態では、伝達ユニットは、噛み合うギアホイールの配列を有する。この点で、伝達ユニットでは特に、
上記第1の伝達部材は、上記内部切断部材の上記結合部材上に上記中心軸と同軸に配置される第1ギアホイールを有し、
上記第2伝達部材は、上記外部切断部材の環状フランジ部の内側に上記中心軸と同軸に配置される第2ギアホイールを有し、
少なくとも1つの中間伝達部材は、少なくとも1つの中間ギアホイールを有し、この中間ギアホイールを介して第1ギアホイールが第2ギアホイールに結合され、各中間ギアホイールは、ハウジング上に配置される回転軸受を持つ、ことになる。
【0014】
外部切断部材の環状フランジ部の内側に第2ギアホイールを配置することは、伝達ユニットのコンパクトな設計を実現する多くの可能性を提供する。環状のフランジ部は、通常のカップ状設計の外部切断部材の一部であり、上記フランジ部の寸法及び他の特性は、第2ギアホイールにより好適にフィットするように容易に適合されることができる。
【0015】
本発明の文脈において存在し、伝達ユニットの設計のコンパクト化を可能にする更なる有利なオプションは、1)伝達ユニットが少なくとも2つの中間ギアホイールを有する場合であって、個別の中間ギアホイールの回転軸受を一体的なハウジング部分に含む場合、及び2)スタック構成の一対の中間ギアホイールを有するよう少なくとも1つの中間伝達部材を設計する場合、を含む。
【0016】
ギアホイールの代替の実用的な例は、ベルトドライブである。斯かる場合、第1及び第2の伝達部材は、ベルトドライブのベルトに係合するホイールとして設計されることができ、ベルトは、伝達ユニットの中間伝達部材を構成する。更に、伝達ユニットが摩擦ホイールを有することも可能であり、この場合、毛髪切断ユニットの高荷重の結果としての損傷は、摩擦ホイールのスリップに基づき防止されることができる。
【0017】
各毛髪切断ユニットのハウジングに関しては、既知の実用的なオプションが本発明の文脈でも適用可能であることに留意されたい。即ち、ハウジングが、毛髪切断ユニットの外部切断部材を取り囲む皮膚接触面を有するオプションである。
【0018】
前述したように、本発明はまた、電気シェーバに関し、これは、
モータを収容する本体と、
前述のシェービングユニットとを有し、シェービングユニットの支持部材が、本体に結合される。
【0019】
本発明による電気シェーバの文脈において、シェービングユニットの支持部材が、シェービングユニットが本体に解放可能に接続されるのに用いられる接続部材を有する場合特に実用的である。更に、上記接続部材が、上記シェービングユニットの上記本体への接続状態において上記モータに結合される主駆動シャフトを収容することが可能であり、シェービングユニットが、主駆動シャフトの回転をシェービングユニットの各毛髪切断ユニットの個々の駆動シャフトの回転に変換する伝達システムを有することが可能である。斯かる場合、主駆動シャフトは、その長手方向軸がシェービングユニットのハウジングの中心軸と一致する位置に延びるよう構成されてもよいが、本発明の文脈において、これは必須ではない。
【0020】
本発明の上述した態様及び他の態様は、3つの毛髪切断ユニットを有するシェービングユニットの実用的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかであり、及びこれを参照して説明される。ここで、各毛髪切断ユニットは、ハウジングと、ハウジングに対して回転可能な外部切断部材と、ハウジングに対して回転可能な内部切断部材と、内部切断部材から外部切断部材に回転運動を伝達する伝達ユニットとを有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態によるシェービングユニットと本体とを有する電気シェーバの透視表示を図式的に示す図である。
図2】シェービングユニットの毛髪切断ユニットの断面表示を図式的に示す図である。
図3】毛髪切断ユニットの別の断面表示を図式的に示し、毛髪切断ユニットがシェービングユニットの大きなエンティティにどのよう構成されるかを示す図である。
図4】毛髪切断ユニットの透視底面表示を示す図であり、ハウジング部分が示される図である。
図5】毛髪切断ユニットの透視底面表示を示す図であり、ハウジング部分が省略された図である。
図6】毛髪切断ユニットの伝達ユニットの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明が以下において図を参照してより詳細に説明される。図では、同等又は類似の部分は同じ参照符号で示される。
【0023】
本発明は、電気シェーバ1に使用されるよう構成されたシェービングユニット10に関する。図1を参照すると、シェービングユニット10は、支持部材20と、支持部材20により支持される3つの毛髪切断ユニット30とを有する点に留意されたい。本発明の文脈において、毛髪切断ユニット30の数は自由に選択されることができ、必ずしも3つである必要はなく、その数は少なくとも2つである。
【0024】
図1は、電気シェーバ1においてシェービングユニット10が本体2とどのように組み合わされるかを示し、シェービングユニット10の支持部材20は本体2に結合される。本体2は、任意の適切な設計とすることができ、破線により図式的に示されるだけである。電気シェーバ1は、ハンドヘルド装置であり、シェーバ1により皮膚に対してシェービング動作を行うために、シェーバ1のユーザは、本体2を持ち、シェービングユニット10を皮膚上に配置し、シェービングユニット10を皮膚上で移動させることが想定される。電気シェーバ1は通常の向きで示され、これは、シェービングユニット10が本体2の上に位置する向きである。この方向が、要素の位置関係を示すために本書で使用される用語の基礎となっている。それでもなお、添付の特許請求の範囲におけるシェービングユニット10及び電気シェーバ1の定義は、この向きに限定されないこと、即ち、定義は、任意の可能な向きのシェービングユニット10及びシェーバ1に適用可能であることに留意されたい。
【0025】
シェービングユニット10は、電気シェーバ1の一部を構成し、これにより皮膚から毛を切断する動作が実際に行われることができ、一方、メインハウジング2は、斯かる動作に関与するシェービングユニット10の要素を駆動するモータ3を収容する機能を持つことができる。メインハウジング2は、モータ3に電力を供給する充電式バッテリー4などの手段を更に含むことができる。
【0026】
電気シェーバの分野でそれ自体知られるように、シェービングユニット10及びメインハウジング2が互いに解放可能に接続可能であり、シェービングユニット10の支持部材20が、シェービングユニット10の本体2への接続状態においてモータ3に結合される主駆動シャフト22を収容する接続部材21を有する場合、実用的である。このオプションは図1に示され、そこでは、モータ3の主駆動シャフト22及び出力シャフト5の両方が破線で示される。
【0027】
以下では、シェービングユニット10の毛髪切断ユニット30のセットアップの更なる説明が提供される。図2に示す断面図からわかるように、毛髪切断ユニット30は、中心軸Acを持つハウジング40と、ハウジング40により支持され、ハウジング40の皮膚接触面41により取り囲まれる外部切断部材31と、外部切断部材31により覆われる内部切断部材32とを有する。外部切断部材31は、複数の毛髪進入口を持つ環状のシェービング領域33を有する。明確さのため、毛髪進入口は図にて図示省略されることに留意されたい。内部切断部材32は、外部切断部材31に対して中心軸Acの周りで回転可能である。電気シェーバ1がシェービング動作を実行するように動作され、ハウジング40の皮膚接触面41及び外部切断部材31のシェービング領域33の両方が皮膚に接触するとき、シェービングユニット10が皮膚上を移動される際に、外部切断部材31のシェービング領域33の毛髪進入開口に捕捉される毛が、動作中に外部切断部材31に対して回転運動を行うように駆動される内部切断部材32により切断される。この点に関して、シェービングユニット10は、各毛髪切断ユニット30のための個々の駆動シャフト34を有し、各毛髪切断ユニット30において、個々の駆動シャフト34が、内部切断部材32の結合部材35により内部切断部材32に解放可能に結合される点に留意されたい。シェービングユニット10は、主駆動シャフト22の回転を、シェービングユニット10の各毛髪切断ユニット30の個々の駆動シャフト34の回転に変換する伝達システム50を更に有する。斯かる伝達システム50は、複数のギアホイールを有することができ、例えば、斯かるギアホイールの一つが図3に示されることに留意されたい。
【0028】
シェービングユニット10の特筆すべき点は、外部切断部材31がハウジング40に対して中心軸Acの周りで回転可能であり、
毛髪切断ユニット30は、外部切断部材31のこの特徴が実際に実現されるのに用いられる伝達ユニット60を有する点にある。
図4図5及び図6に最も良く示されるように、伝達ユニット60は、毛髪切断ユニット30のハウジング40内に収容され、これは、
中心軸Acの周りで内部切断部材32と共に回転可能であるよう内部切断部材32に取り付けられる第1の伝達部材61と、
中心軸Acの周りで外部切断部材31と共に回転可能であるよう外部切断部材31に取り付けられる第2の伝達部材62と、
3つの中間伝達部材63、64、65とを有し、この中間伝達部材63、64、65を介して第1伝達部材61が第2伝達部材62に結合され、中心軸Acの周りでの内部切断部材32の回転が中心軸Acの周りでの外部切断部材31の回転に変換される。
【0029】
この構成に基づき、内切断部材32が回転駆動されるとき、全ての伝達部材61,62,63,64,65も回転駆動されることが実現され、その結果、内部切断部材32の回転運動が外部切断部材31の回転運動をもたらす。
【0030】
本発明の文脈において、中間伝達部材63、64、65の数は自由に選択されることができ、必ずしも3つである必要はなく、その数は少なくとも1つである。本実施形態では、中間伝達部材63,64,65は、内部切断部材32の下方に配置される。更に、本実施形態では、第1伝達部材61は、内部切断部材32の結合部材35に中心軸Acと同軸上に配置される第1ギアホイールを有し、第2伝達部材62は、外部切断部材31の環状フランジ部36の内側に中心軸Acと同軸上に配置される第2ギアホイールを有し、中間伝達部材63、64、65は、中間ギアホイールを有し、これを介して、第1ギアホイールが第2ギアホイールに結合される。特に、本実施形態では、各中間伝達部材63,64,65は、スタック構成の一対のギアホイールを有する。図4で最もよくわかるように、個別の中間伝達部材63、64、65の回転軸受42、43、44は、一体型ハウジング部分45に含まれ、伝達部材63、64、65は、回転軸受42、43、44上に回転可能に配置されることによりハウジング部45に取り付けられ、一方、中心軸Ac方向における伝達部材63、64、65の位置は固定される。
【0031】
動作中、外部切断部材31が内部切断部材32よりもかなり低い速度で回転され、その結果、高い快適性で効果的な毛髪切断処理を実現することができれば実用的である。斯かる観点から、伝達ユニット60は、内部切断部材32から外部切断部材31に向かう方向において回転速度を低下させるよう設計されていれば実用的である。例えば、外部切断部材31の100rpmの回転速度を内部切断部材32の回転速度の通常値に設定するために、速度減少率が約20~25の範囲にあるようにすることができる。
【0032】
本実施形態では、毛髪切断ユニット30による皮膚輪郭追従を実現するために、各毛髪切断ユニット30は、支持部材20に枢動可能に配置される。内部切断部材32の結合部材35は、支持部材20に対する毛髪切断ユニット30の可能な各枢動位置において、内部切断部材32の個々の駆動シャフト34に対する回転結合を維持するよう構成される。そのために、結合部材35は、個々の駆動シャフト34の結合ヘッド38を収容する空洞37を有し、結合ヘッド38及び空洞37の互いに対する形状及び寸法は、支持部材20に対する毛髪切断ユニット30の枢動中に、結合ヘッド38及び空洞37の表面が互いの上を摺動するよう選択される。内切断部材31、外切断部材32、及びハウジング40それぞれにおける配置に基づき、伝達ユニット60の個別の伝達部材61、62、63、64、65は、枢動の間、毛髪切断ユニット30の他の任意の要素を邪魔せず、その結果、ハウジング40に対する外部切断部材31の回転の機能が、毛髪切断ユニット30の皮膚輪郭追従能力を損なわせない。更に、当該技術分野で知られるように、個々の駆動シャフト34から離れる軸方向に結合部材35を移動させることにより、個々の駆動シャフト34の結合ヘッド38が結合部材35の空洞37から移動されることができるという点で、結合部材35は、内部切断部材31と個々の駆動シャフト34との間に解放可能な結合を提供する。
【0033】
本発明の範囲は、前述した例に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲で規定される本発明の範囲から逸脱することなく、そのいくつかの修正及び変更が可能であることは、当業者には明らかであろう。本発明は、特許請求の範囲又はその均等物の範囲内にある限り、斯かる修正及び変更をすべて含むものと解釈されることが意図される。本発明が図及び説明において詳細に図示及び説明されてきたが、斯かる図示及び説明は説明的又は例示的なものに過ぎず、限定的なものではない。本発明は、開示された実施形態に限定されるものではない。図面は概略的であり、そこでは、本発明を理解するために必要でない詳細は省略される場合があり、必ずしも縮尺通りではない。
【0034】
開示された実施形態への変形は、図、説明、及び添付の請求項の検討から、請求項に記載された発明を実施する当業者により理解及び実施されることができる。特許請求の範囲において、「有する」という語は、他のステップ又は要素を除外するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は、複数性を除外するものではない。特許請求の範囲における任意の参照符号は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0035】
特定の実施形態のために、又はこれに関連して議論される要素及び側面は、他の態様が明示されていない限り、他の実施形態の要素及び側面と適切に組み合わせられることができる。従って、ある手段が相互に異なる従属請求項に記載されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。
【0036】
本書で使用される「有する」及び「含む」という用語は、当業者であれば「からなる」という用語をカバーするものとして理解されるだろう。従って、「有する」又は「含む」という用語は、ある実施形態では「からなる」を意味するが、別の実施形態では「少なくとも規定された種と、オプションの1つ又は複数の他の種とを含む/持つ/備える」を意味する場合がある。
【0037】
本発明の注目すべき側面は以下に要約されることができる。電気シェーバ1用のシェービングユニット10において、シェービングユニット10の毛髪切断ユニット30が、中心軸Acを持つハウジング40と、ハウジング40により支持される外部切断部材31と、外部切断部材31により覆われる内部切断部材32とを有する。外部切断部材31は、ハウジング40に対して中心軸Acの周りで回転可能であり、内部切断部材32は、外部切断部材31に対して中心軸Acの周りで回転可能である。毛髪切断ユニット30は、伝達ユニット60を更に有し、これは、ハウジング40に収容され、かつ内部切断部材32に取り付けられる第1の伝達部材61と、外部切断部材31に取り付けられる第2の伝達部材62と、少なくとも1つの中間伝達部材63、64、65とを含む。中間伝達部材を介して、第1伝達部材61は、第2伝達部材62に結合され、中心軸Acの周りでの内部切断部材32の回転が中心軸Acの周りでの外部切断部材31の回転に変換される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】