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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】熱振動システム
(51)【国際特許分類】
   F28D 15/02 20060101AFI20241031BHJP
   F25B 1/047 20060101ALI20241031BHJP
   F28F 5/06 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
F28D15/02 101D
F25B1/047 Z
F28F5/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024527513
(86)(22)【出願日】2022-11-10
(85)【翻訳文提出日】2024-05-20
(86)【国際出願番号】 IL2022051202
(87)【国際公開番号】W WO2023084520
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】2116171.6
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524173785
【氏名又は名称】エクセンシー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】エリヤフ,ニツァン
(57)【要約】
サイクルストリームの液体分画と蒸気分画との間に強制振動熱伝達を作り出すことにより、その相転移エンベロープ内で動作するサイクル液体-蒸気流体の蒸気および液体分画を調節するための方法およびシステム。液体ストリームセグメントは、膨張冷却されて、蒸気ストリームセグメントと熱連通するようにされる。膨張冷却された液体との接触は、分子間力が、凝縮を駆動して、膨張冷却されたストリームセグメントの温度よりも高い凝縮温度で凝縮熱を放出するのを可能にする。結果として生じる温度勾配は、膨張冷却されたセグメントが一定体積で維持されて、サイクル液体-蒸気流体内で振動熱サイクルを形成するために、凝縮熱を捕捉し、再度、強制的に凝縮される蒸気ストリームセグメント中に等積気化するのを可能にする。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイクル液体-蒸気ストリーム内での熱管理の方法であって、
凝縮物を第1の温度および第1の圧力で生成するために前記サイクル液体-蒸気ストリームの蒸気から凝縮熱を等圧放出することと、
同時に、前記液体-蒸気ストリームの凝縮物を、前記第1の温度より低い第2の温度および前記第1の圧力より低い第2の圧力を有する凝縮物に冷却することであって、前記冷却は断熱冷却または等エンタルピー冷却として実現されることと、
前記凝縮物を熱で等積気化させることと
を含む、方法。
【請求項2】
前記冷却が膨張冷却として実現される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記熱は前記凝縮熱である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
外部熱機関を前記凝縮熱で駆動することと、前記凝縮物を前記外部熱機関に対するヒートシンクとして使用することとをさらに含む、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
蒸留ユニットのボイラーを前記凝縮熱で加熱することと、前記膨張冷却された凝縮物を、蒸留物を形成する凝縮において生成された熱で等積加熱することとをさらに含む、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記膨張冷却された凝縮物において冷却空間から、または周囲環境から外部熱を受け取ることをさらに含み、前記外部熱は前記膨張冷却された凝縮物の気化を補う、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記凝縮熱の一部を加熱空間または周囲環境に排出することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記混合された振動-仕事ストリームの一部から仕事を抽出することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
凝縮物の前記冷却は、定容ポンプ内へのフラッシュ膨張として実現される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記等積気化させることは、前記定容ポンプ内で実現される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記熱は、前記サイクル液体-蒸気ストリームの1つ以上の非循環ストリームセグメント内で捕捉された前記凝縮熱である、請求項9または請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記熱は、外部熱源から捕捉された熱を含む、請求項9または請求項10に記載の方法。
【請求項13】
サイクル液体-蒸気ストリーム内の熱容量を管理するための熱発振器であって、
凝縮物を第1の温度および第1の圧力で形成するために前記サイクル液体-蒸気流体ストリームの蒸気成分から凝縮熱を放出するように動作する、複数の等圧熱伝導性冷却チャネルを有する凝縮器と、
前記凝縮物を、前記第1の温度より低い第2の温度および前記第1の圧力より低い第2の圧力まで断熱的または等エンタルピー的に冷却するように構成された凝縮物膨張装置と、
熱によって加熱された複数の定容加熱チャンバを有する等積加熱器ポンプであって、前記ポンプ内での搬送中に前記凝縮物を蒸気に気化する、等積加熱器ポンプと
を含む、熱発振器。
【請求項14】
前記凝縮物膨張装置は膨張弁として実現される、請求項13に記載の熱発振器。
【請求項15】
前記等積加熱器ポンプは、二重反転インターリーブ式スクリューの2軸スクリュードライブを含む、請求項13または請求項14に記載の熱発振器。
【請求項16】
前記凝縮物膨張装置は前記等積加熱器ポンプとして実現される、請求項13に記載の熱発振器。
【請求項17】
前記等積加熱器ポンプと熱連通した仕事抽出装置をさらに含む、請求項13に記載の熱発振器。
【請求項18】
前記加熱器ポンプは、外部熱交換器と熱連通した定容ポンプとして実現される、請求項13に記載の熱発振器。
【請求項19】
蒸留ユニットのボイラーを前記凝縮熱で加熱することと、前記膨張冷却された凝縮物を、蒸留物を形成する凝縮において生成された熱で等積加熱することとをさらに含む、請求項13~請求項16のいずれか1項に記載の熱発振器。
【請求項20】
前記熱は、外部熱源から捕捉された熱である、請求項13~請求項16のいずれか1項に記載の熱発振器。
【請求項21】
前記加熱器ポンプ熱は、前記サイクル液体-蒸気流体ストリームの1つ以上の非循環ストリームセグメントから凝縮熱を受け取る、請求項13~請求項16のいずれか1項に記載の熱発振器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、熱振動システムの分野に関し、詳細には、サイクル液体-蒸気ストリームにおける熱振動に関する。
【背景技術】
【0002】
技術者および科学者は、太陽で熱せられた環境の環境熱エネルギーは無尽蔵の無料の熱エネルギーを含むことに数百年間、気付いている。残念ながら、自然環境をその高温熱源として利用する閉サイクル凝縮熱機関を通して、この自然熱エネルギーを利用し、それを高出力密度で有用な機械仕事に変換する全ての商業的および実用的な以前の試みは、失敗している。
【0003】
気化の潜熱を吸収して、膨張装置によって生成する仕事から放出された蒸気を再液化するための周囲温度を下回る自然のヒートシンクはないので、閉サイクルの、凝縮熱機関は、周囲温度以上で作動する。従って、閉サイクル凝縮熱機関は、高温熱が高価で環境的に有害な燃料燃焼を通して維持される、周囲温度以上で動作する必要がある。高温の「高品質」熱の使用およびより低温の「より低品質」熱の排除の必要性は、仕事抽出効率を低下させる。
【0004】
大抵の雑貨屋で見られる、おもちゃの「水飲み鳥」、米国特許第2402463A号は、周囲環境をその高温熱源として使用して、水を蒸発させることにより低温ヒートシンクを生成する閉サイクル凝縮熱機関である。
【0005】
1966年8月にRand Corporationによって発行された、「A Simple Heat Engine of Possible Utility in Primitive Environments」、Rand Corporation Publication No.P-3367というタイトルの技術報告書において、Richard Murrowは、ナイル川からの水をポンプで汲み上げるためにこの機関のより大規模なバージョンを構築することを提案した。基本的な水飲み鳥機関の拡大モデルが7フィート(2.13メートル)の高さで構築されて、かなりの量の自然熱エネルギーを周囲環境から抽出し、それを機械仕事に直接変換することができた。Richard Murrowによる「The Research Frontier-Where is Science Taking Us」Saturday Review,Vol.50,Jun.3,1967,pp.51-55で考察されているとおり、機関は無尽蔵の自然熱エネルギーを抽出し、それを無尽蔵の機械仕事に変換することが可能であろう。
【0006】
明らかに、環境の自然熱エネルギーを周囲温度で機械仕事に変換するかかる機関は、エネルギーの一定入力に依存するので、「永久運動機関」ではない。これらの機関は、自然熱エネルギーを環境から周囲温度で抽出し、その一部を、周囲温度を下回る人工的な低温ヒートシンクを作成することによって機械仕事に変換することが本当に可能であることを示す。
【0007】
これらの環境で動作する機関の欠点は、それらは極めて低い出力密度しか有していないので、実用的ではないことである。
【0008】
従って、周囲環境熱を捕捉して、仕事抽出のために十分な出力密度を効率的に提供できるシステムに対する必要性がある。
【発明の概要】
【0009】
本発明の教示によれば、サイクル液体-蒸気ストリーム内での熱管理の方法が提供され、本方法は、凝縮物を第1の温度および第1の圧力で生成するためにサイクル液体-蒸気ストリームの蒸気から凝縮熱を等圧放出すること、同時に、液体-蒸気ストリームの凝縮物を第1の温度より低い第2の温度および第1の圧力より低い第2の圧力を有する凝縮物に冷却することであって、冷却は断熱冷却または等エンタルピー冷却として実現されること、ならびに凝縮物を熱で等積気化させることを含む。
【0010】
本発明の更なる特徴によれば、冷却は膨張冷却として実現される。
【0011】
本発明の更なる特徴によれば、熱は凝縮熱である。
【0012】
本発明の更なる特徴によれば、外部熱機関を凝縮熱で駆動すること、および凝縮物を外部熱機関に対するヒートシンクとして使用することも提供される。
【0013】
本発明の更なる特徴によれば、蒸留ユニットのボイラーを凝縮熱で加熱すること、および膨張冷却された凝縮物を、蒸留物を形成する凝縮において生成された熱で等積加熱することも提供される。
【0014】
本発明の更なる特徴によれば、膨張冷却された凝縮物において冷却空間から、または周囲環境から外部熱を受け取ることも提供され、外部熱は膨張冷却された凝縮物の気化を補う。
【0015】
本発明の更なる特徴によれば、凝縮熱の一部を加熱空間または周囲環境に排出することも提供される。
【0016】
本発明の更なる特徴によれば、混合された振動-仕事ストリームの一部から仕事を抽出することも提供される。
【0017】
本発明の更なる特徴によれば、凝縮物の冷却が、定容ポンプ内へのフラッシュ膨張として実現される。
【0018】
本発明の更なる特徴によれば、等積気化させることは、定容ポンプ内で実現される。
【0019】
本発明の更なる特徴によれば、熱は、サイクル液体-蒸気ストリームの1つ以上の非循環ストリームセグメント内で捕捉された凝縮熱である。
【0020】
本発明の更なる特徴によれば、熱は、外部熱源から捕捉された熱を含む。
【0021】
本発明の教示に従い、サイクル液体-蒸気ストリーム内の熱容量を管理するための熱発振器も提供され、本発振器は、凝縮物を第1の温度および第1の圧力で形成するためにサイクル液体-蒸気流体ストリームの蒸気成分からの凝縮熱を放出するように動作する複数の等圧熱伝導性冷却チャネルを有する凝縮器、凝縮物を第1の温度より低い第2の温度および第1の圧力より低い第2の圧力まで断熱的または等エンタルピー的に冷却するように構成された凝縮物膨張装置、ならびに熱によって加熱された複数の定容加熱チャンバを有する等積加熱器ポンプであって、ポンプ内での搬送中に凝縮物を蒸気に気化させる加熱器ポンプ、を含む。
【0022】
本発明の更なる特徴によれば、凝縮物膨張装置は膨張弁として実現される。
【0023】
本発明の更なる特徴によれば、等積加熱器ポンプは、二重反転インターリーブ式スクリューの2軸スクリュードライブを含む。
【0024】
本発明の更なる特徴によれば、凝縮物膨張装置は等積加熱器ポンプとして実現される。
【0025】
本発明の更なる特徴によれば、等積加熱器ポンプと熱連通した仕事抽出装置も提供される。
【0026】
本発明の更なる特徴によれば、加熱器ポンプは、外部熱交換器と熱連通した定容ポンプとして実現される。
【0027】
本発明の更なる特徴によれば、蒸留ユニットのボイラーを凝縮熱で加熱すること、および膨張冷却された凝縮物を、蒸留物を形成する凝縮において生成された熱で等積加熱することも提供される。
【0028】
本発明の更なる特徴によれば、熱は、外部熱源から捕捉された熱である。
【0029】
本発明の更なる特徴によれば、加熱器ポンプ熱は、サイクル液体-蒸気流体ストリームの1つ以上の非循環ストリームセグメントから凝縮熱を受け取る。
【0030】
本発明の教示によれば、サイクル液体-蒸気ストリーム内での熱管理の方法が提供され、本方法は、凝縮物を第1の温度および第1の圧力で生成するためにサイクル液体-蒸気ストリームの蒸気から凝縮熱を等圧放出すること、同時に、液体-蒸気ストリームの凝縮物を第1の温度より低い第2の温度および第1の圧力より低い第2の圧力を有する膨張冷却された凝縮物に膨張冷却すること、ならびに膨張冷却された凝縮物を凝縮熱で等積気化させることを含む。
【0031】
本発明の更なる特徴によれば、膨張冷却中の仕事抽出も提供される。
【0032】
本発明の更なる特徴によれば、膨張冷却された凝縮物を、等積気化の前に、凝縮熱で等圧加熱することも提要される。
【0033】
本発明の更なる特徴によれば、膨張冷却された凝縮物の等積気化が完了すると、圧縮仕事を、等積気化された膨張冷却凝縮物に適用することも提供される。
【0034】
本発明の更なる特徴によれば、外部熱機関を凝縮熱で駆動すること、および膨張冷却された凝縮物を外部熱機関に対するヒートシンクとして使用することも提供される。
【0035】
本発明の更なる特徴によれば、蒸留ユニットのボイラーを凝縮熱で加熱すること、および膨張冷却された凝縮物を、蒸留物を形成する凝縮において生成された熱で等積加熱することも提供される。
【0036】
本発明の更なる特徴によれば、膨張冷却された凝縮物において冷却空間から、または周囲環境から外部熱を受け取ることも提供され、外部熱は膨張冷却された凝縮物の気化を補う。
【0037】
本発明の更なる特徴によれば、凝縮熱の一部を加熱空間または周囲環境に排出することも提供される。
【0038】
本発明の更なる特徴によれば、仕事液体-蒸気ストリームを膨張冷却された凝縮物と等積混合して混合された振動-仕事ストリームを形成することも提供される。
【0039】
本発明の更なる特徴によれば、混合された振動-仕事ストリームの一部から仕事を抽出することも提供される。
【0040】
本発明の更なる特徴によれば、膨張冷却された凝縮物において周囲環境から外部熱を受け取ることも提供される。
【0041】
本発明の更なる特徴によれば、膨張冷却された凝縮物において冷却空間または廃熱排出から外部熱を受け取ることも提供される。
【0042】
本発明の更なる特徴によれば、加熱空間を凝縮熱の一部で加熱することも提供される。
【0043】
本発明の教示に従い、サイクル液体-蒸気ストリーム内の熱容量を管理するための熱発振器も提供され、本発振器は、凝縮物を第1の温度および第1の圧力で形成するためにサイクル液体-蒸気流体ストリームの蒸気成分から凝縮熱を放出するように動作する複数の等圧熱伝導性冷却チャネルを有する凝縮器、凝縮物を、第1の温度より低い第2の温度および第1の圧力より低い第2の圧力の膨張冷却された凝縮物に膨張冷却するように構成された凝縮物膨張装置、ならびに複数の一定容積、凝縮器からの凝縮熱によって加熱された加熱チェンバを有する等積加熱器ポンプであって、搬送中に膨張冷却された凝縮物を蒸気に気化する加熱器ポンプ、を含む。
【0044】
本発明の更なる特徴によれば、凝縮物膨張装置は膨張弁として実現される。
【0045】
本発明の更なる特徴によれば、等積加熱器ポンプは、二重反転インターリーブ式スクリューの2軸スクリュードライブを含む。
【0046】
本発明の更なる特徴によれば、等積加熱器ポンプは、加熱チェンバを形成する複数の格納式羽根を含み、羽根は、加熱チェンバ体積が表面幾何形状に従った羽根格納の程度によって定義されるように、羽根回転中、表面幾何形状に従うようにバイアスされる。
【0047】
本発明の更なる特徴によれば、凝縮物膨張装置は、等積加熱器ポンプ内で実現される。
【0048】
本発明の更なる特徴によれば、等積加熱器ポンプは熱交換器を含む。
【0049】
本発明の更なる特徴によれば、等積加熱器ポンプと熱連通した仕事抽出装置も提供される。
【0050】
本発明の更なる特徴によれば、熱連通は、定積チェンバの1つ以上の各々内において、膨張冷却された凝縮物と作業サイクルの作業流体との等積混合を通して実現される。
【0051】
本発明の教示に従い、サイクル液体-蒸気ストリーム内の熱容量を管理するための熱発振器も提供され、本発振器は、凝縮物を第1の温度および第1の圧力で形成するためにサイクル液体-蒸気流体ストリームの蒸気成分を等圧凝縮するための凝縮器手段、凝縮物を、第1の温度より低い第2の温度および第1の圧力より低い第2の圧力の膨張冷却された凝縮物に膨張冷却するための凝縮物膨張装置、ならびに搬送中に膨張冷却された凝縮物を蒸気に気化するための等積加熱器ポンプを含む。
【0052】
本発明の更なる特徴によれば、サイクル液体-蒸気ストリームから仕事を抽出するための仕事抽出手段も提供され、仕事抽出手段は、等積加熱器ポンプと熱連通している。
【発明の効果】
【0053】
本発明の教示に従い、埋め込み熱交換チャネルおよび多孔内表面を有する加熱シェルを含む、等積加熱器/ボイラーポンプも提供され、多孔内表面は、加熱チェンバ内に配置された流体を、加熱シェルを通して搬送中に、加熱チャネル内に配置された熱源によって等積気化させるために、流体と、熱交換チャネルと熱連通した複数の駆動された定容加熱チェンバとの間の非接触を保ちながら、熱伝達を促進する。
【0054】
発明と見なされる主題は、本明細書の終結部分で具体的に指摘されて明瞭にクレームされている。本発明は、添付の図面を考慮して最も良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】単純ランキンサイクルを、一般的な冷却剤に対する圧力-エンタルピー(PH)相図上に示す。
図2】一実施形態に従った、定容蒸発サイクルを示す。
図3A図1のランキンサイクルを、比較のために図2の定容サイクル上に重ね合わせて示す。
図3B】非効果的なサイクルを示す。
図3C】非効果的なヒートポンプサイクルを示す。
図3D】一実施形態に従った、非効果的なヒートポンプサイクルの効果的なヒートポンプへの仕事入力修正を示す。
図4A】一実施形態に従った、強制熱振動サイクルをp-h図上に示す。
図4B】一実施形態に従った、図4Aの熱振動サイクルを実現するスクリュー-加熱器ポンプの断面側面図を伴う、熱発振器の略図である。
図4C】一実施形態に従った、図4Bのスクリュー-加熱器ポンプの概略断面端面図である。
図5A】一実施形態に従った、強制熱振動サイクルにおける処理ステップおよび熱伝達段階を示す流れ図である。
図5B】一実施形態に従った、出入りする熱伝達および振動サイクルに熱的に結合された外部熱機関からの仕事出力を示す、強制熱振動サイクルをp-h図上に示す。
図6A】一実施形態に従った、結合された熱振動および仕事サイクルをp-h図上に示す。
図6B】一実施形態に従った、強制熱発振器-熱機関システムの略図を、図6Aの結合された振動および仕事サイクルを実現するスクリュー-加熱器ポンプの断面側面図と共に示す。
図7】一実施形態に従った、処理ステップの各々における結合された強制振動サイクルと仕事サイクルのやり取りを示す流れ図である。
図8】駆動された発振器を、図6Aの結合された振動および仕事サイクルを実現する羽根-加熱器ポンプの断面側面図と共に示す。
図9A】変形実施形態に従った、結合された振動および仕事サイクルを示す。
図9B】第3の実施形態に従った、ディスクベースの発振器仕事抽出システムの分解、部分斜視図である。
図9C図9Aの一体的に結合された振動および仕事サイクルを実現する図9Bのディスクベースの発振器仕事抽出システムの主要な構成要素間のストリームの流れを示す。
図9D図9Bのディスクベースの発振器仕事抽出システムのディスク凝縮器の概略上面図である。
図9E図9Bのディスクベースの発振器仕事抽出システムの羽根組立体の概略、斜視上面図である。
図9F図9F図9H。一実施形態に従った、流体排出段階および2つの吸入段階における等積垂直羽根加熱器ポンプの概略断面側面図を示す。
図10】一実施形態に従った、等積加熱が1.0未満の乾き度まで実施されている、結合された振動および仕事サイクルを示す。
図11A】変形実施形態に従った、フラッシュ膨張を採用している、結合された振動および仕事サイクルを示す。
図11B図11B図11D。フラッシュ実施形態に従った、流体排出段階および2つの吸入段階における等積羽根加熱器ポンプの概略断面側面図を示す。
図12A】一実施形態に従った、等積フラッシュおよび非循環等積加熱を採用する、結合された熱発振器および仕事抽出器のP-H図である。
図12B図12AのP-H図の一部の拡大図である。
図13】一実施形態に従った、等積フラッシュおよび非循環等積加熱を採用している、結合された熱発振器および仕事抽出器の概略図である。
図14図13の結合された熱発振器および仕事抽出器によって採用された処理ステップの流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
明瞭にするために、図面内に示されている要素は、原寸に比例して描かれていない可能性があり、参照番号は対応するか、または類似した要素を示すために異なる図面内で繰り返され得ることが理解されるであろう。
【0057】
以下の詳細な説明では、本発明の理解を容易にするために特定の詳細が記載されているが、当業者により、本発明はこれらの特定の詳細なしで実施され得ることが理解されるはずである。
【0058】
開示されるのは、固体-蒸気系、固体-気体系、固体-液体系、液体-液体系、気体-気体系、イオン系、およびサイクル蒸気-液体系などの、様々なエネルギーシステム内での熱管理のための方法およびシステムである。範囲を縮小することなく、本説明はサイクル液体-蒸気系に重点を置く。
【0059】
具体的には、熱エネルギーはサイクル液体-蒸気ストリーム内で異なる流体状態間で振動する。第1のストリームセグメントは、第2のストリームセグメントに対して高温で供給される。第1のストリームセグメントは比較的高温であるが、温度は依然として、蒸気を凝縮させて凝縮熱を等圧条件において第1のストリームセグメントの高温で放出する、分子間力を蒸気分子が被るためには十分に低い。この高温熱は、以前に、その高温より低い温度まで膨張冷却された第2のセグメントの等積蒸発を駆動するために使用できる。第2のストリームセグメントは、等積蒸発を通して実質的に第1の温度における第1のストリームセグメントにされる。この時点で、第1のストリームセグメントの蒸気から以前に放出された凝縮熱が、第2のストリームセグメントの蒸発を通して捕捉されている。ストリームセグメント間での放熱および捕捉のこの反復プロセスは、強制熱振動サイクルを形成し、そのサイクル内で、サイクル液体-蒸気混合物の液体ストリームセグメントと蒸気ストリームセグメントとの間の最初の定常状態は、膨張冷却およびそれに続く気化によって継続的に定常状態を外れることを強制される。膨張冷却された液体は、蒸気セグメントと熱連通して、蒸気を等圧凝縮し、放出された凝縮熱は膨張冷却された液体を等積蒸発させる。熱損失は、振動サイクル動作をその元の高温で維持するための外部源からの追加の熱入力および連続的な等積処理を達成するための追加のポンプ注入仕事を必要とすることが理解されるべきである。ある実施形態では、第1のストリームセグメントの高温は、環境の周囲温度で、低温は周囲以下であり、さらに説明されるように、熱力学の第2法則に従い、第1のストリームセグメントから第2のストリームセグメントへの自発的な熱の流れを可能にする。
【0060】
仕事抽出装置と結合される場合、第2のサイクルが、冷却された第2のストリームセグメントと等積混合する作業サイクルとして採用されて、さらに対処されるように、混合された振動ストリームセグメントおよび作業ストリームとして等積加熱される。
【0061】
熱振動ストリームは好都合に、作業サイクルと結合または混合される場合、仕事抽出の効率を高める。高められた効率は、振動サイクルからの排熱の否定の結果であり、それに応じて、サイクル流体内にエネルギー量を保持する。さらに、振動サイクルは、凝縮を達成するために分子間力を利用する温度で動作し、それにより相当な外部圧縮仕事に対する必要性をなくす。著しい熱入力の削減および相当な外部供給される圧縮仕事の否定は運用コストを減少させる。
【0062】
その上、結合された振動および仕事サイクルは、周囲温度における仕事抽出を可能にし、それにより、燃料コストをさらに節約して汚染を減らす。「高」および「低」は、システムの相対的な動作パラメータを指し、前述のとおり、凝縮は上限で生じて、等積気化は下限で生じることが理解されるべきである。
【0063】
別の実施形態では、熱振動は、凝縮熱が環境中に排除されて等積混合を駆動する熱が環境から捕捉される周囲環境を用いて実現される。排除される凝縮熱の量、および同様に、環境熱入力の量は、動作条件に従って別々に構成可能である。
【0064】
図1は、単純ランキンサイクルを圧力-エンタルピー(PH)相図上に、当技術分野で周知のように、一般的な冷却剤に対する等エントロピー、等温、および等比体積線と共に示す。
【0065】
図示のように、作業流体を状態1から加熱すると、状態2における完全気化まで一定の圧力でエンタルピーが増大する。結果として生じる作業流体は、タービンまたは他の仕事抽出手段内で状態2における高温、高圧流体から状態3まで膨張する。熱は、状態4における完全凝縮まで、周囲環境などのヒートシンク内に排出されて、次いで実質的に一定のエンタルピーおよびエントロピーで状態1に戻るまでポンプで送り込まれる。ポンプ注入は、一般に高度に非圧縮性液体として流体に適用されるので、ポンプ注入と関連付けられる仕事の量はごくわずかであり、それにより効率ηを、有効仕事Woutの、状態点1から2/(Qinl+Qin2)までに与えられた熱エネルギーに対する比とする;
η1=Wout/(Qinl+Qin2)(式1)
【0066】
図2は、流体の一定体積が点3′から点2へ至るまで加熱されて、仕事が、タービンまたは他の仕事抽出手段内で膨張を通して、2から3へ至るまで抽出される、定容蒸発サイクルを示す。膨張した作業流体が低温槽との接触を通して点3から3′へ凝縮されて点3′に戻る。それに応じて、このサイクルの効率は、少ない熱入力で同じ仕事量Woutを生成するので、図1の正規ランキンサイクルよりも大きい。
【0067】
図3Aは、比較のために、図1のランキンサイクルを、図2の定容サイクルの上に重ね合わせて示す。ランキンサイクルの網掛け領域は、熱入力Qinlが、生成された仕事量Woutに何の効果もないという意味で、「無駄な努力」を強調する。
【0068】
図3Bは、図1の標準ランキンサイクルで実現されるような、熱が高温で与えられて低温で排除される完全に非効果的なサイクルを示す。図のように、減圧および冷却が一定体積線3′~2に沿って生じ、従って、仕事はRdVの積分であるので、仕事を生成しない。
【0069】
図3Cは、流体が一定エンタルピーで1から4へ減圧され、次いで低温で4から3′へ加熱されて、次いで更に、外部熱Qin2で一定体積の線に沿って3′から2へ加熱される、サイクルを示す。この時点で、熱Qout1が、2から1へ高温で排除されて、サイクルが完了する。本質的に、冷蔵庫やエアコンのようなヒートポンプにおいて見られるように、熱は、低温で吸収されて、高温で排除される。しかし、点2において最も熱い温度でサイクルを完了するために、熱が、等圧凝縮で排出された熱の温度よりも高い温度で液体を等積蒸発させるために供給されて熱伝達を確実にする必要があり、それによりサイクルを非効果的にする。
【0070】
図3Dは、図3Cに示されたものとは対照的に効果的なヒートポンプを示す。図3Cおよび図3Dのサイクルは、実質的に類似している。しかし、図3Dのサイクルは、図3Cのサイクルで採用された追加の熱の代わりに、サイクルを閉じるために点2と2′との間に、追加の仕事Winを入力することによってサイクルが完結されるので、効率において重大な飛躍を具現化する。このサイクルは、サイクルを完結するために高温熱に依存しないので、それは効率的なヒートポンプとして機能できる。図のように、外部熱Qinが冷却空間、廃熱排出、環境から取り出されて、凝縮中に排出された振動熱Qoscを補い、3′と2との間で膨張冷却された凝縮物を加熱する。外部熱Qinの方が熱い用途では、それは等積気化に寄与できることが理解されるべきである。さらに、振動熱管理システムはある実施形態では、凝縮熱の一部を加熱空間への熱出力として外に出す。振動熱管理システムは好都合に、冷却、加熱のいずれか、または冷却および加熱の両方を提供するヒートポンプとして機能するように構成可能であることが理解されるべきである。冷却空間の例は、冷蔵、冷凍、または空調のために熱が抽出される空間である。加熱空間の例は、蒸気ボイラーである。実施において、等積加熱器ポンプのうちの説明される3つの実施形態のいずれかが採用できる。ある実施形態では、振動熱管理システムは、複数の連続的に結合されたユニットとして実現されて、それにより、入力熱と出力熱との間の温度勾配を増大させる。かかる連続配置では、上流ユニットで排出された凝縮熱が下流ユニットの膨張冷却された凝縮物を等積気化させるために使用される。ある他の実施形態では、本システムは、説明されるように、仕事抽出装置を有する仕事サイクルにさらに結合される。
【0071】
振動サイクルにおける熱伝達は、圧縮のための著しい仕事備給なしで、圧力および温度を高めることを可能にする。ポンプ仕事を与えることだけを必要とし、それ故に、同じ温度範囲で作動するヒートポンプのそれよりも著しく高効率である。
【0072】
図4Aは、熱力学の第二法則に従い、熱が高温で排除され、低温で吸収されて、低温加熱および気化を駆動する強制熱振動サイクルを示す。放熱は、潜熱エネルギーが、結果として生じる蒸気内に放出される、高温凝縮およびその凝縮物の同時膨張冷却を通して実現される。気化は残りの凝縮物において温度降下を引き起こす。凝縮熱はサイクルの最高温度Thighで排除されるので、ストリームセグメント間の温度勾配が作り出され、それにより、前述のとおり、低温処理を駆動するための高温凝縮熱を可能にする。
【0073】
具体的には、図4AのP-H図上の熱振動サイクルに示されるとおり、熱は、サイクル流体ストリームの2つのストリームセグメントIとIIとの間で振動する。ストリームセグメントIは、ある実施形態では、状態6で周囲温度に近い高温および圧力として始まる。周囲温度は、例えば、摂氏15度~25の間の範囲である。ストリームセグメントIは、状態6から8へ一定温度および圧力の凝縮ならびに幾分の追加冷却を経る。
【0074】
第1のストリームセグメントIの凝縮中、ストリームセグメントIIAは、状態8における冷却された液体から状態5における液体-蒸気混合物へ膨張する。膨張は、前述のとおり、ストリームセグメントIIAの温度降下を生じ、それにより、凝縮しているストリームセグメントIとストリームセグメントIIBおよびIICとの間で熱伝達を引き起こす温度勾配を作り出す。凝縮および冷却熱QoscがストリームセグメントIIBにより状態5から5′まで等圧捕捉されて、加熱され、次いで、5′から等積気化し、状態6においてセグメントIの元々の温度および圧力に近づく。状態6におけるストリームセグメントIの開始状態に対する近接度合いは、当技術分野で周知のように、システム損失の関数である。熱振動サイクルは好都合に、サイクル6-8-5-5′内で熱を保存し、それにより、後に説明されるように、仕事抽出装置に結合される場合に仕事を抽出するために必要な熱入力、またはヒートポンプ、脱塩もしくは蒸留システム、もしくは他の熱装置に熱的に結合される場合に仕事入力を削減する。ストリームセグメントIIAの膨張は、ある実施形態では等エンタルピー的に実現されて、別の実施形態では、膨張は等エントロピー的または断熱的に実現される。発振器は好都合に、蒸気分率および液体分率の調節を可能にし、その結果、質量流量および膨張度を変更することにより結合されたシステムにおいて温度勾配を安定させて確立できる。
【0075】
図4Bは、図4Aのサイクルを実現する熱発振器9の実施形態を示す。図のように、熱発振器9は、2軸スクリュー13、スクリュー13を駆動するための始動モーター15、凝縮および冷却中に一定圧力を維持するために2軸スクリュー13の流体出力と流体連結した蒸気貯蔵器17、交換機シェル11に埋め込まれた熱交換チャネル12からの凝縮物出力と流体連結した液体貯蔵器17A、およびストリームセグメントIIAの等エンタルピーまたは等エントロピー膨張のいずれかのための膨張弁14を備えた等積熱交換器ポンプ10を含む。
【0076】
図4Cは、一実施形態に従った、等積熱交換器ポンプ10のデュアルスクリュードライブ13の断面端面図を示す。図のように、2軸スクリュードライブ13は、流体をスクリュー長に沿って押すように適合される、左巻きヘリシティの1つおよび右巻きヘリシティの他方の、二重反転インターリーブ式スクリューのセットである。流体は、スクリュー13内に形成された定積チェンバ16の間で押されて、ストリームIICと交換機ハウジング11との間の高い度合いの熱的接触も提供する。図のように、交換機ハウジング11は、埋め込みチャネル12および多孔内表面19を有して、チャネル12を通してポンプで送られている間に凝縮/蒸発および冷却中のセグメントストリームIと、定積チェンバ16内で2軸スクリュー13により熱交換器11を通して駆動された膨張冷却後ストリームセグメントIICとの間の熱交換を最大限にする。
【0077】
動作中、発振器9は、2つの異なる熱力学的状態における1つの流体ストリームのストリームセグメントIおよびストリームセグメントIIBから開始する。セグメントストリームIは、状態6に示されるように高温、高圧蒸気から始まり、セグメントストリームIIAは、状態8に示されるように、高温、高圧凝縮物から始まる。
【0078】
セグメントIが交換器チャネル12内で冷却されると、セグメントIIAは膨張弁14を通して急速膨張する。膨張はセグメントIIAを、冷却された二相セグメントIIBに変換する。サイクル流体ストリームのセグメントIとセグメントIIBおよびIICとの間の結果として生じる温度差は、セグメントIの冷却中に放出される凝縮熱を、熱連通したストリームセグメントIIBおよびIICにより、両方のストリームが等積熱交換器10を通過するとき捕捉させる。具体的には、セグメントIはチャネル12を通してポンプで送られている間に冷却され、他方、セグメントIICは、駆動されたスクリュードライブ13の定積チェンバ16内で搬送されている間に凝縮熱を捕捉する。セグメントIICが進むにつれて、それは追加の熱を捕捉して気化し、定積チェンバ16内で追加の熱捕捉の影響下で、温度および圧力が上昇し続ける。温度および圧力が開始点6に達すると、セグメントIICは、セグメントIになり、チャネル12内で冷却されるか、または将来の冷却のために貯蔵器17内に貯蔵される。凝縮物は、膨張弁14を通して膨張冷却されるか、または将来の膨張のために凝縮物貯蔵器17A内に貯蔵される。
【0079】
サイクル流体ストリームの2つの異なるストリームセグメント間の反復的な熱伝達は、サイクルストリーム全体内で熱振動を作り出す。サイクル流体ストリーム内の結果として生じる熱エネルギーの貯蔵は好都合に、後に説明されるように、流体ストリームから仕事を抽出するために必要な熱入力を減らす。
【0080】
図5Aは、一実施形態に従い、図4AのP-H図のサイクルを考慮して、熱発振器9の処理ステップの各々におけるサイクル流体ストリームの2つのセグメントIおよびIIの相互作用の流れ図を示す。
【0081】
図のように、サイクル流体ストリームは、2つの同期されたサイクルストリームセグメント、セグメントIおよびセグメントIIとして扱われる。前述のとおり、各ストリームセグメントは異なる熱力学的状態で始まり、1つのストリームセグメントにより凝縮熱として放出される高温熱が、他のセグメントによって捕捉され、逆の場合も同じであることを確実にするために同期される。ストリームセグメント間の各反復する熱伝達は、当技術分野で周知のように、熱を受け取っているセグメントが、熱が放出されているストリームの温度よりも低い温度であることを必要とする。具体的には、高い温度および圧力のストリームセグメントIは、ステップAで状態6から8へ等圧凝縮される(ある構成ではその後に冷却が続く)。並行して、ストリームセグメントIIは、ステップEで状態8から5へ急速膨張して、関連冷却は、セグメントIからの熱伝達がステップFで状態5から5′へセグメントIIを等圧加熱するのを可能にし、次いで、ステップGでセグメントIIを等積気化させる。セグメントIを続けて、それは、ステップBで膨張を通して状態8から5へ冷却され、そのことは、ステップHでセグメントIIの等圧凝縮からの熱を受け取るために必要な温度降下も引き起こす。ステップCでセグメントIを等圧加熱し、次いで、ステップDでセグメントIIを等積気化させた後、サイクルはステップAに進み、セグメントIIに対してステップEでの等圧凝縮および同時膨張を伴う。ステップCにおけるセグメントIの等圧加熱およびステップFにおけるセグメントIIの類似した等圧加熱は任意選択であり、ある実施形態では、等圧加熱がない場合、ステップDおよびGで等積加熱が採用されることが理解されるべきである。
【0082】
図5Bは、有機ランキンサイクル機関、蒸気機関、スターリングエンジン、または他のタイプの熱機関などの外部熱機関Gnに熱的に結合された強制熱振動サイクルを示す。例えば、図4Bのシステムによって実現される、振動サイクルは、機関Gnに対する熱源およびヒートシンクの両方として機能する。図のように、状態6~6の等圧凝縮中に放出された高温凝縮熱Q1oscは、熱振動サイクルの等積セグメント5′~5″で捕捉されて、状態6~8の等圧凝縮中に放出されたQ2oscは、仕事出力Wengineのために機関Gnを駆動する熱源である。排除された低温機関熱Qengineは、熱力学の第二法則に従い、振動サイクル内で状態5~5′まで膨張冷却された凝縮物を等圧加熱する。振動サイクル内の排除された低温機関熱Qengineの捕捉および活用は、低温熱が典型的には廃熱と考えられて、その次のサイクル中に機関仕事機能に寄与しない、熱機関効率に大きな前進をもたらす。図のように、排除された低温機関熱Qengineの捕捉は好都合に、振動サイクルの適切な機能および結果として生じる仕事出力Wengineを維持するために次のサイクル内で供給する必要がある外部熱の量を減らす。変形実施形態は、図3Dおよび図9Aに示されるように圧縮仕事を適用して、温度勾配を増大させて等積加熱のための凝縮熱の伝達を促進する。
【0083】
図6Aは、一実施形態に従い、結合された振動および仕事サイクルをP-H図上に示す。図のように、流体ストリームセグメントI、II、およびVの振動サイクルは、点6-8-5-5′-5″-6を循環し、仕事の流体ストリームは、状態点5′-5″-6-7-5′を循環する。状態点5における膨張冷却の後、ストリームセグメントIIは、点7における仕事抽出後の作業ストリームIVと等積混合して、状態5′-5″-6の等積加熱のために5′の平均エンタルピーの単一ストリームVになる。5′~5″の等積加熱は、セグメントIの凝縮から放出された捕捉された凝縮熱からの加熱を強調し、他方、5″~6の加熱は、外部熱源から供給された熱Qinからの加熱を強調する。仕事抽出Woutは、振動ストリームセグメント6のストリームセグメントIの開始熱力学的状態を達成するために、混合された振動-仕事ストリームVの等積加熱を完了するための外部的に供給された熱Qinを必要とする。等積加熱の後、ストリームセグメントVは、構成オプションに従い、振動サイクル内での凝縮のためのストリームセグメントIおよび仕事サイクル内での仕事抽出のためのストリームVIに分割される。
【0084】
図6Bは、一体的に結合された熱発振器およびタービン、または図6Aのサイクルを全体として実現する他の仕事抽出装置20から形成された熱振動仕事抽出器の一実施形態を示す。図4Bに示されるシステムに加えて、振動仕事抽出器9Aは、高エネルギーストリームVの分画を膨張することにより仕事Woutを出力するために動作する膨張器20および図6Aの5″~6のサイクルに示されるように等積加熱中に外部熱を供給するために動作する熱交換器18を含む。
【0085】
動作中、ストリームセグメントIは、等積加熱器ポンプ10のチャネル12を通した搬送中に凝縮する。同時に、振動ストリームセグメントIIの凝縮物は、前述のとおり、熱流を駆動するために凝縮しているストリームIの温度よりも著しく低い温度まで、膨張弁14を通してほぼ瞬間的に膨張する。ストリームセグメントIIは、状態5′において作業ストリームIVと等積混合して、点5におけるストリームIIおよび点7におけるIVの結合された質量の加重平均エンタルピーを有する混合ストリームVを形成する。点5′における混合ストリームVは、ある実施形態では、チャネル12内の凝縮物ストリームIよりも25~30℃低い温度を有する。前述のとおり、強制温度勾配は好都合に、流体サイクルの異なるセグメント間で熱振動を可能にする。ある他の実施形態では、温度勾配は20~25℃または30~35℃の間の範囲であり、さらに別の実施形態では、温度勾配は15~20℃の間の範囲である。連続的に結合された加熱器ポンプを採用する実施形態では、温度勾配は、各追加の加熱器ポンプの数に比例して増大する。混合された振動-仕事ストリームVは、スクリュー13の定積チェンバ16内で等積加熱器ポンプ10を通して駆動されて、多孔内表面19の拡張接触表面と接触すると、凝縮熱によって気化される。表面多孔性は交換器壁をトラバース(traverse)せず、凝縮および気化ストリームの相互混合はないことが理解されるべきである。外部熱交換器18は、外部熱Qinを交換器チャネル12を通して混合ストリームVに供給して、今や、主に、または完全に蒸気である、発振器ストリームセグメントIの温度および圧力を、状態6における開始温度および圧力まで押し上げる。熱Qinは、環境熱、燃焼熱、電熱、太陽熱、または他の熱供給技術のような様々な熱源のいずれかを通して供給される。
【0086】
等積加熱の完了後、ストリームは、構成パラメータに従い制御弁(図示せず)を通して2つの分画に分割されて、1つの分画は振動サイクルのストリームセグメントIになり、他方、第2の分画は、仕事抽出のために状態6から7へ膨張する仕事サイクルストリームIVになる。振動ストリームセグメントIIおよび作業ストリームIVの両方は、等積サイクルVに再結合されて、説明のとおり等積加熱を繰り返す。
【0087】
熱発振器の熱機関システムへの結合は、プロセス効率W/Qinにおいて大きな改善をもたらし、それにより有用な仕事を抽出するための外部熱入力を減らす。
【0088】
以下は、各々1.0kg/サイクルの膨張器流mおよび発振器流mの等比の質量流ならびに混合されたポンプ体積流量360m/時を所与として、図6Aの一体的に結合されたサイクルに対するシミュレーション結果である。
【表1】

【0089】
図7は、一実施形態に従った、図6Bの、熱振動仕事抽出器9Aの処理ステップの各々中の、発振器と作業ストリームとの間のやり取りを示す流れ図を示す。
【0090】
図のように、熱振動サイクル内で、前述のとおり、凝縮物がステップIで膨張冷却される。同時に、仕事抽出サイクル内で、仕事が、ステップKで混合された振動-仕事ストリームIVの分画から抽出される。ステップJで、振動サイクルの膨張冷却された凝縮物および作業サイクルの膨張した作業流体がステップJで等積混合されて、次いで、ステップLで混合ストリームVとして等積加熱される。等積混合および等積気化は、流体ストリーム上の集中的な機械仕事を防いで、任意のプロセスと関連付けられた熱損失を除き、明確な熱排出を好都合に除外して、全ての熱容量をサイクル流体内に保存する。等積混合が状態5′で生じて、5および7の平均状態を、凝縮熱が放出された温度よりも低い温度で有する混合ストリームVを形成し、それにより、前述のとおり、凝縮熱の捕捉を可能にする。混合すると、振動および仕事サイクルは図6Aに示されるように重なる。混合ストリームVは、前述のとおり、等積気化されて、状態5′~5″から6まで放出された凝縮熱および外部熱でさらに加熱される。
【0091】
図8は、図6Aのサイクルを実現するために羽根ベースの等積加熱器10Bを採用している振動仕事抽出器9Aの第2の実施形態を示す。
【0092】
図のように、システム9Bは、図6Bに示されているシステムに類似しており、等積加熱器ポンプ10B、蒸気貯蔵器17、液体貯蔵器17A、および膨張弁14、および加熱器18を含む。しかし、羽根ベースの等積加熱器ポンプ10Bは、ハウジング21内に取り付けられた偏心ローター22を有する改変された羽根ポンプとして実現される。複数の伸縮式羽根23がローター22A上に取り付けられて、ハウジング壁21の内壁との接触を維持するために偏向される。回転中、羽根23は、内壁表面幾何形状に従って伸び縮みする。羽根23が伸びると、羽根23の間のチェンバ体積が増大し、逆に、羽根23が収縮すると、チェンバ体積は減少する。図のように、等積ハウジング壁21は、沸騰および二相等積加熱からの熱伝達および乱流のための表面積を増やすために、高度多孔質表面19を含む。羽根加熱器10Bは、前述のとおり、凝縮および冷却中のストリームセグメントIの搬送のための埋め込まれたチャネル12も含む。
【0093】
動作は一般に、前述のとおり、スクリュー駆動実施形態の状況で実現される。混合された振動-仕事ストリームVが、ローターの回転中に、増大するチェンバサイズに従い、マルチ供給として羽根加熱器10Bに送り込まれる。ローターの回転中、混合ストリームVは、チャネル12を通した搬送中にストリームセグメントIによって放出された凝縮熱および加熱器18によって供給された任意の追加の外部熱Qinで、多孔質表面19と接触している間に気化および加熱される。ローター回転がさらに進むと、必要な等積加熱を確実にするために機械的圧縮の前に、羽根23が収縮し始めてチェンバ16aの体積が減少して、気化したストリームセグメントVを排除する。それに応じて、気化したストリームは、チェンバサイズに従い複数の出口を通って羽根加熱器10Bを出て、等積加熱を確実にする。加熱後、高温および高圧のストリームが、タービン20または仕事Woutを状態7に抽出するための同等の膨張器内で膨張され、次いで、前述のとおり、弁膨張されたストリームセグメントIIと等積に再結合されてサイクルを繰り返す。ある変形実施形態では、加熱器ポンプ出口ポートは、出口弁を用いて調節されて、流体に対する機械的圧縮が振動サイクルの完結を可能にする。
【0094】
変形実施形態では、凝縮物の膨張は、タービンまたは類似の仕事抽出装置を通して実現されて、発振器-機関システム10Bから追加の仕事を好都合に抽出する。
【0095】
変形実施形態は、例えば、プログレッシブキャビティポンプ、ピストンポンプ、ローブポンプ、および/またはギアポンプなどの、様々な形式の定積加熱器定容ポンプを採用する。ある実施形態では、等積気化は、気化中にポンピングがない場合に、閾値圧力に応答して蒸気を放出するように動作する弁付き加熱チェンバなどの、他の手段を通して実現されて、気化中に弁に対する蒸気への圧縮仕事を最小限にすることが理解されるべきである。
【0096】
図9Aは、結合された振動および仕事抽出サイクルの変形実施形態を示す。図のように、mおよびmの混合ストリームが、状態6への等積加熱を完了するために、外部Qinに加えて、Qosc1およびQosc2として示されている2つの凝縮熱から気化される。図のように、点6において、mおよびmの混合ストリームは、3つのストリーム分画に分割されて、1つのストリーム分画は状態8へ凝縮され、第2のストリーム分画は、状態6′へ外部適用仕事Winを通して圧縮されて、第3のストリーム分画は、状態7へ仕事抽出のために膨張される。状態6′に圧縮されたストリーム分画は、状態6から8への凝縮よりも高い温度で状態8′へ凝縮されて、その結果、mおよびmの混合ストリームの等積加熱のために、より大きな温度勾配を提供する。mの質量を有する膨張された仕事ストリームは、8および8′から状態5への質量mの膨張冷却された振動セグメントと等積混合される。状態5′における等積混合は、混合ストリームをHmixの平均エンタルピーにする。
【0097】
図9Bは、第3の実施形態に従った、ディスクベースの発振器仕事抽出ユニットの主要な構成要素をそれらのハウジング内に配置した分解、部分斜視図である。本ユニットは、仕事抽出装置20に全て結合されて配備される場合に垂直に積み重ねられる、凝縮器30および垂直羽根-加熱器ポンプ25を含む。凝縮器30は、高温作業流体が冷却チャネルを通過中に冷えるので、熱伝達を促進するために追加の表面積を提供する、次第に狭くなる円周チャネルの1つ以上のセットを含む。垂直羽根加熱器25は、配備において凝縮器30と熱連通した熱伝達ディスク25Cを含む。加熱板25Cは、銅、窒化アルミニウムなどの高熱伝導性材料、およびかかる機能を提供する他の材料から構築されて、表面積ならびに結果として生じる熱伝達および蒸発を増大させるために多孔質表面を有する。ディスク25Cは、さらに説明されるように、回転中にウェッジ表面幾何形状に従って羽根を開閉するように構成されたウェッジも取り付けられる。垂直羽根加熱器25は、軸25Bによって駆動される羽根板25A内に摺動自在に取り付けられた複数の放射状羽根も含む。軸回転中、羽根はディスク25Cの表面に従い、ディスクウェッジの輪郭に従って上下する。回転中の羽根の上昇および下降は、弁機能を提供して、動作中に羽根加熱器への流体注入および排除を可能にする。流体流との同期は、さらに説明される。
【0098】
図9Cは、図9Aの熱振動および仕事抽出サイクルを実現する図9Bのディスクベースの熱的振動仕事抽出システムの主要な構成要素間のストリームの流れを示す。
【0099】
図のように、この実施形態は、2つの凝縮ディスク30iおよび30ii、2つの垂直羽根熱交換器ポンプ25iおよび25ii、膨張器20、膨張弁14iおよび14ii、ならびに外部熱源18に連結された熱交換器を含む。羽根組立体だけが示されており、図9Bに示されている加熱板25Cは、液体および蒸気貯蔵器と一緒に、全て明確にするために、省略されている。2つの凝縮器30iおよび30ii内で放出された熱は、そのそれぞれの凝縮器上に取り付けられた各熱交換ディスク25Cを通して伝導されることが理解されるべきである。ある実施形態では、羽根25iiは、2つ以上のセットで実現されて、他の変形実施形態では、複数の調整された羽根加熱器ポンプも採用されることがさらに理解されるべきである。
【0100】
動作中、最大限の高温および高圧の流体が、凝縮器30iおよび30iiの第1の吸入口31Aへ(状態6′において)供給され、流体は、図9Dに示されるように次第に狭くなる凝縮器チャネルの第1のセットを通って進む。凝縮の後、各凝縮器からの凝縮物は、8′の状態から5へ各それぞれの膨張弁14iを通して膨張される。同時に、高温および高圧の流体が第2の凝縮器吸入口31A2へ(状態6)供給されて、流体は、8の状態から5へ膨張弁14iiを通して膨張される。補助加熱も外部熱交換器から供給されて、補助熱ストリームが冷えて、熱が加熱板25Cへ伝達される凝縮器30iおよび30iiの各々内で冷却される。加熱板25Cを通して伝達された凝縮熱は、さらに説明されるように、2つの垂直羽根加熱器25iおよび25iiの各々内で振動ストリームの第2のストリームセグメントによって捕捉される。同時に、仕事が、状態7から6へ膨張器20内で抽出される。次いで、ストリームは、2つのストリームに分割されて、膨張されたストリームの各々は、垂直羽根加熱器25iおよび25iiの各々内の膨張冷却された、振動ストリームセグメントの各々と等積混合される。図9Aに示されるように、混合された振動および仕事ストリームの等積加熱は、2つの凝縮器30iおよび30iiの各々から放出された凝縮熱から、および高温ガスもしくは液体などの熱伝達材料として実現された外部熱源と、または周囲空気、太陽熱ヒーター、もしくは燃焼室などの熱源と直接、熱連通した熱交換器18によって供給された補助熱からも、加熱される。
【0101】
凝縮器30iおよび30iiの外表面は、熱損失を最小限にして熱伝達を最大限にするために、加熱板25Cと熱接触した表面を除いて断熱されていることが理解されるべきである。
【0102】
図9Dは、一実施形態に従った、ディスク凝縮器30の概略上面図である。図のように、凝縮器30は、複数の冷却チャネルセット31および32ならびに断熱セグメント34を含む。図のように、冷却チャネルセット31は、高温注入口31A、31A2および、縮幅チャネル分岐と連通したチャネル31Bを含んで、蒸気-液体サイクル流体が、チャネル31Bを通って搬送されて凝縮物として排出口31Cを通って出るときに、その凝縮および冷却のための熱伝達面積を最大限にする。凝縮器30は、例えば、点5″から6への図9Aのサイクルを完了するために外部生成された熱を作業流体に取り込むための外部的に加熱されたストリームを凝縮または冷却するための専用チャンネルセット32も含む。ここでも、高温加熱ストリームが注入口32Aを通して注入されて、チャネル32Bを通して排出口32Cまで搬送され、それにより、チャネル32Bの壁および、組み立てられた場合の図9Bの熱交換板25Cへの熱伝達を可能にする。全てのチャネル壁は、銅、アルミニウム、窒化アルミニウムなどの高熱伝導性材料、かかる高熱伝導性を提供する他の材料から構築される。それに対して、セクション34は、ある実施形態では、各々異なる高さの、2つのセクション、33および33Aを含む、非導電性セクションである。凝縮器セグメント34は、図9F図9Hに最も明瞭にみられる非熱伝導性加熱ウェッジ25Dと位置合わせされると考える。
【0103】
ある実施形態では、冷却チャネルは分岐なしで実現されて、チャネルは次第に幅が狭くなることが理解されるべきである。その上、ある実施形態では、追加の冷却セットが、全て冷却要件に従って、採用される。
【0104】
図9Eは、一実施形態に従った、垂直羽根加熱器ポンプ25の羽根組立体25Aのその円筒状羽根ハウジングのない、部分斜視図である。図のように、羽根組立体25Aは、膨張冷却された振動流体を仕事抽出後の膨張後作業流体と一緒に等積混合および加熱するための定積チェンバを画定する複数の放射状羽根27を含む。図のように、一実施形態では、膨張冷却された振動流体5が注入口29を通して加熱器に供給されて、羽根ブレード27が時計回りの方向に回転すると、膨張後作業流体7が注入口30を通って入る。加熱後、羽根回転中に、等積気化を駆動する凝縮熱に加えられた外部仕事入力に応じて、流体は、最大高温流体6′または高温流体6のいずれかとして、排出口28を通って押し出される。ある実施形態に従い、仕事が、図9Cに示されるような弁、弁26の弁抵抗に打ち勝つ形で生成される。他の実施形態では、仕事は圧縮器を用いて入力されることが理解されるべきである。
【0105】
図9F図9Hは、回転の様々な段階で加熱板25Cと熱連通した羽根組立体25Aを示す垂直羽根加熱器ポンプ25の概略断面側面図である。
【0106】
具体的には、回転中、羽根27は、加熱板25Cおよびプレートウェッジ25Dの表面幾何形状に従う。羽根27の間の体積は、振動および作業流体の混合ストリームが、加熱板25Cを通して伝導された凝縮熱から等積気化される、一定容積を画定する。振動および作業流体は、加熱板25Cおよび加熱ウェッジ25Dの上面の輪郭に従う垂直に摺動可能な羽根27によって画定された容量可変チェンバ内に振動流体および作業流体を別々に送り込むことによって等積混合される。図9Gに示されるようにプレートの回転中に、羽根27が、ウェッジ傾斜25Eによってそのスロット27A内に押し込まれるにつれて、チェンバ体積が次第にゼロ体積まで減少すると、高温の混合流体が、出口ポート28から押し出される。
【0107】
図9Gに示されるように、チェンバ分離が、羽根板25Aに隣接したウェッジによって維持される。羽根27はさらに、第1の吸入口ポート29に進み、膨張冷却された振動流体5の、膨張冷却された凝縮物の体積に対応する減少された体積内への吸入を可能にする凹部25Eに従って、膨張冷却された振動流体が圧縮も膨張もされない等積吸入を確実にする。
【0108】
図9Hで、注入口29を通して送り込まれた膨張冷却された振動ストリーム5および注入口30を通して送り込まれた膨張後仕事ストリーム7が等積混合されるように、羽根27がウェッジ25Dの下向き傾斜25Fに従うにつれて更に伸びると、羽根27は、より大きな吸入口30に更に進む。
【0109】
図10は、図9Aの結合された熱振動および仕事抽出サイクルの異なる形式を示す。図のように、振動および仕事サイクルは、mおよびmの混合された振動-仕事ストリームが、1.0よりもかなり低い乾き度まで等積加熱されて振動サイクルが相転移エンベロープ内に留まることを確実にすることを除いて、図9Aのものに類似しており、mは振動サイクルの質量流で、mは仕事サイクルであり、分率(a)は、膨張後ストリーム7~5′および5~5′の膨張冷却された振動ストリームセグメントmの比エンタルピー比を定義する。例えば、m=(a)mおよび混合ストリームは、m+mまたは(a+l)mの質量を有する。点8における乾き度(q)は0で、点6におけるqは1.0であり、点5″において、qは、0.05<q≦1.0の範囲内で、点6″における分率(b)乾き度は、0.00<b≦0.5の範囲内で全質量の分率を定義する。それぞれのフローストリームでは、質量は、例えば、次のとおりである:
・5″-6″-8′:0.Zm=b(m+m)=b((a+l)m(kg)
・5″-6:q(l-b)(m+m)=q(l-b)(a+l)m(kg)
・5″-8:0.Xm=(l-q)(1-b)(m+m)=(1-q)(l-b)(a+l)m(kg)
・7-5′:m(kg)
・6-8″:0.Ym=(l-q)(l-b)(m+m)-m=0.Ym(l-q)(l-b)(a+l)m-m(kg)
式中、「X」、「Y」、および「Z」は各それぞれの指定されたストリーム内のmの分率である。
【0110】
実施態様では、ストリームは、転移エンベロープ内の点5″において2つの部分に分割される。一部分の液体と蒸気が、分離器を用いて相互から分離される。分離された蒸気は、点6に搬送されて、そこでそれは、膨張前に再度分割される。仕事部分が膨張されて、非膨張部分は点8″に凝縮される。分割点5″における残りの非分離ストリームは、外部的に供給された仕事から状態6″に圧縮されて、状態8′に凝縮される。2つの凝縮の各々から放出される凝縮熱は、混合点5′~5′″から、さらに5′″から5″″へ、等積加熱するために使用され、外部熱Qinが、点5″への等積加熱を完了するために供給される。仕事Winが、混合ストリームの分画を点6′にさらに圧縮するために供給される。1.0の値よりも低い乾き度に等積気化することは好都合に、偶発等積過熱を防ぐ。過熱された蒸気分子の高い運動エネルギーは、凝縮を引き起こす分子間結合を阻止するので、過熱は熱の排除を必要とする。凝縮物内のこの分子間結合は好都合に、準周囲ヒートシンクへの膨張冷却において後に放出される熱エネルギーの貯蔵を可能にする。
【0111】
シミュレーション結果
次は、360m/時の結合されたポンプ体積流量を所与として、仕事出力レベルを、作業流体R717を採用している図10の完全に結合されたサイクルに対する質量流量の関数として示す、シミュレーション結果である。ThighおよびPhighは、最も熱い凝縮セグメント6″~8′を指し、TmidおよびPmidは、冷たい凝縮セグメントおよび6~8″を指す。「H」はエンタルピーおよび指定された状態を指す。

【表2】

【表3】
【0112】
図11Aは、凝縮物が、膨張弁の代わりに、フラッシュ膨張を使用して膨張冷却される、図9Aの、結合された熱振動および仕事サイクルの変形を示す。
【0113】
図のように、点8および8′における凝縮物が状態5にフラッシュ冷却され、同時に5′で膨張後作業流体と混合される。作業流体の点7′への過熱およびそれに続く点5′での混合は、実際には、それらは、前述のとおり、膨張弁14iおよび14iiを除いて、図9Cに示されたシステム内で同時に達成される状態であるが、関連する熱力学的状態を示すために描かれている。
【0114】
図11B図11Dは、図11Aに示されたフラッシュ蒸発を通した等積混合を実現する回転の様々な段階における図9F図9Hの垂直羽根加熱器ポンプ25の変形実施形態の概略断面側面図である。この変形実施形態は、同様に上向きおよび下向きの傾斜ならびに羽根板25Aに完全に隣接した頂点を有する加熱板ウェッジ45を使用する。仕事抽出後の膨張後作業流体が、注入口40を通して送り込まれて、羽根が前進している間、液状凝縮物がポート注入口41を通して低圧加熱器環境に送り込まれ、それによりフラッシュ蒸発を引き起こして、膨張後仕事流体と混合する。等積加熱は、羽根が加熱板25Cの周りを回転するときに実現され、羽根27がプレートウェッジ45の上向き傾斜を辿るにつれてチェンバ体積が減ると、高温および高圧の混合流体が出口ポート28から押し出される。
【0115】
図12A図12Bは、仕事抽出サイクルに一体的に結合された強制熱振動サイクルの変形実施形態を示す。他の実施形態で説明のとおり、熱は高温で排除され、低温で吸収されて、低温加熱および気化を駆動する。放熱が、第1のストリームセグメント内で高温凝縮を通して、同時に、潜熱エネルギーが結果として生じる蒸気中に放出される第2のストリームセグメント内で凝縮物のフラッシュ冷却を通して、実現される。処理ステップの説明は、図14に示される流れ図の文脈で提示される。ストリームが接触または分割すると、ほぼ瞬間的に生じる多数の処理ステップがあることが理解されるべきである。かかるストリームは、破線または点線のいずれかで提示される。さらに、ある線は、明瞭にするためだけに、それらのパラメータを特徴付けるP-H図内のそれらの実際の位置からシフトされた位置に示されていることが理解されるべきである。例えば、破線54~56および54~55は、下方にシフトされており、実際には、51~56に及ぶIと同じ高さに配置されるべきである。同様に、51″~57″に及ぶIは、上方にシフトされており、実際には、Iと同じ高さに配置されるべきである。さらに、圧縮線56~57は、右方向にシフトされており、実際には、一定エントロピー線に従うべきである。
【0116】
図12Bは、図12Aに示されたP-H図の一部の拡大図である。より近接した拡大図は、図14の文脈でさらに説明されるように、ポンプ定容ポンプの出口弁69Cに対する仕事を通して達成された56と57との間の圧縮を示す。同様に、より明瞭に見えるのは、Iと融合した後に、ストリームIから分かれるストリームセグメントIの循環であり、外部蒸発器67によって51′-51″-57″-57の間を、超低圧力ポンプ(VLP)76によって搬送されている。
【0117】
図13は、図12Aに示されたサイクルを全体として実現する、仕事抽出装置63に一体的に結合された定容ポンプ61の変形実施形態から形成された熱振動仕事抽出器60の変形実施形態の概略図である。定容ポンプ61は、回転中に、内側ハウジング表面幾何形状の輪郭に従うように動作する格納式羽根64を有するモーター駆動ローター62を含む。羽根間隔は、入力および出力体積を画定して、ポンプを通した流体搬送中、流体は、出口65Aより前に、圧縮されない。ポンプハウジング66は、吸入口ポート69および69aを有しており、1つは混合された熱振動ストリームI+Iの入力用、および第2は、混合ストリームIcombを形成するための作業ストリームIの入力用である。ハウジング61aは、2つの出口ポート69Bおよび69Cも含み、1つは非弁付きで、他方は弁付きである。2つのポートは、2つの出口ストリーム、I+Iおよびlに入る、等積混合されて加熱される流体に効率的に分割する。ストリームI+Iは、非弁付きポート69Bを通って自由に放出され、他方、Iは、それが弁付きポート69Cを通って放出されるときに圧縮される。さらに、ある実施形態では、定容ポンプ61は、一実施形態に従い、ポンプ壁61a内に埋め込まれた加熱チェンバ66″を含む。加熱チェンバ66″は、ポンプ空洞78と連通したチャンバ注入口ポート65aおよび加熱後ポンプ空洞79と連通したチャンバ出口ポート65bを有する。さらに、ポンプ壁61aは、一実施形態に従い、加熱チェンバ66″と熱連通した埋め込みポンプ熱交換器66および66′を有する。ポンプ熱交換器66は、熱振動ストリームIから熱を受け取り、交換器66′は、より熱い熱振動ストリームI+Iから熱を受け取る。両方の熱は、熱交換器66および66′から、加熱チェンバ66″内に永久的に配置された質量mの非循環静的ストリームIに伝達される。そこで、Iは、例えば、羽根64が反時計方向に回転するときに、加熱器注入口ポート65Aを通って接触すると、混合ストリームIcombの液化-蒸気混合物と混ざる。ポンプ熱交換器66′は、断熱材要素77を備え、熱振動ストリームIから受け取った熱を遮断して、より冷たい振動ストリームIを加熱し、それによりチェンバ66″を加熱するための熱伝達を最大限にする。
【0118】
非循環体積Iの熱伝導剤としての使用は好都合に、サイクルストリームが過熱するのを防ぎ、それによりP-Hエンベロープ内の液体-蒸気混合物の分子間力が、凝縮を促進するために利用できることを確実にする。さらに、加熱前に、ポンプの定積チェンバ内でフラッシュ膨張を通して達成された膨張が好都合に、膨張弁を通した事前の膨張冷却に対する必要性をなくす。膨張の減少は好都合に、仕事抽出のために追加の膨張能力を保持する。
【0119】
別の実施形態では、両方の加熱チェンバ66″ならびに熱交換器66および66′は、それぞれ、等積および等圧ポンプチェンバ78および79内に配置された混合ストリームIcombとの熱連通を維持しながら、ポンプ壁61aの外側の外部熱交換器として実現されることが理解されるべきである。記述どおり、ストリームI+Iは、非弁付き出口ポート69Bから自由に出る。システム60は、ストリームI+Iを作業ストリームIおよび熱振動ストリームIに分割するように動作するスプリッタ71を含む。システム60は、膨張器または、仕事抽出のために作業ストリームIを膨張させるように動作する他の仕事抽出装置を有する。システム60は、熱振動ストリームIを熱交換器66に方向付けるように構成され、熱交換器66で、熱が加熱チェンバ66″に伝達されてストリームコンバイナ68に循環し、そこでそれは熱振動ストリームIと混ざる。
【0120】
説明のとおり、ストリームIは、弁付き出口ポート69Cを通ってポンプ61から出て、そこで圧縮される。システム60は、Iを熱交換器66′に方向付けるように動作し、熱交換器66′で熱は加熱チェンバ66″にも伝達され、次いでストリームIをストリームコンバイナ68に循環させ、そこでそれは熱振動ストリームIと混ざり、ポート69で定容ポンプ空洞78に流れ込み、再度Iと混ざる。図のように、熱交換器66′内での熱伝達の前に、IはサイクルIと合流する。ストリームIは、加熱器67で外部熱源から熱を受け取り、次いで、I+Iは66′内で集合的熱負荷を排出する。その後、ストリームIは、ストリームIから分かれて、超低圧ポンプ(VLP)67によって駆動されると再循環する。このように、外部熱が好都合に、運用ニーズに従ってシステム60に供給される。全ての実施形態は、運用上のニーズに従い、外部熱源からの熱を追加する選択肢を有することが理解されるべきである。
【0121】
ある状況下で、Iは、システム運用に伝導されない熱容量を有しており、システム60は、ストリームIをバイパスループ内に方向付けるように構成可能であり、そこでそれは、さらに説明されるように、冷却器74により、熱をより冷たい周囲に排出することによって冷却される。ストリームIは次いで、弁72および75に従い、加熱器66′に方向付けられる。
【0122】
液体貯蔵器70ならびに蒸気貯蔵器70Aおよび70Bは、当技術分野で周知のように、必要な液体圧および蒸気圧を供給することによって始動を促進するか、または他の運用の厄介な問題を克服するために採用される。
【0123】
さらに別の実施形態では、第1の定容ポンプから自由に出ている振動熱ストリームI+Iが、ストリームIと一緒に第2のポンプに送り込まれて、そこで、ストリームが非循環ストリームIとの接触を通して等積混合および加熱されるように、2つ以上の定容ポンプが直列に結合される。加熱後、熱ストリームIが、弁付きポンプ出口を通って圧縮されて、第2のポンプ内に配置されたポンプ熱交換器に方向付けられ、そこでそれは、非循環ストリームIs2ストリームを加熱して、第2のポンプ内でストリームI+Iと再度混ざるように向けられる。連続内の第2のポンプは、作業ストリームを分割し、それは、自由に出て、膨張器または他の仕事抽出装置を通って膨張されて、ストリームIのスプリットオフ(split off)と等積混合するために第1のポンプに向けられる。第1のポンプでは、2つのストリームが、別の非循環ストリームセグメントIs1と接触すると、等積混合および加熱される。非循環ストリームセグメントIs1は、第2のポンプから出ると、作業ストリームからのストリームスプリットオフによって加熱される。連続定容ポンプ方式および関連した二重等積加熱方式は、より大規模な混合、加熱、および圧縮能力のために、好都合により高い効率をもたらす。
【0124】
図14は、一実施形態に従った、図12Aおよび図12BのP-H図、ならびに図13のシステムを考慮して、処理ステップを示す流れ図である。
【0125】
この説明のために、処理は、連続モードで説明されて、ステップIでポンプ出口69Bおよび弁付きポート69Cから出る、熱力学的状態56および57における2つの熱振動ストリームセグメントIおよびIのポンプ出力から始まる。集合的な質量mおよびそれらそれぞれの分画質量を有する2つの熱振動ストリームセグメントIおよびIは、Iに対して(0.x)mであり、Iに対して(1.0-0.x)mである。仕事抽出セグメントIは、振動ストリームセグメントIから分割され、スプリッタ71を通してP-H図上の点56において示されるように分割される。
【0126】
ステップJで、仕事抽出セグメントIから膨張器63または他の仕事抽出装置を通して仕事が抽出される。仕事抽出に続き、ステップKでストリームセグメントIの一定体積がポート69Aを通して定容ポンプ61に向けられる。同時に、熱振動ストリームセグメントIおよびIの処理が、次のように進められる。
【0127】
ステップLで、ストリームセグメントIは、ポンプ熱交換器66を通して状態51に、等圧凝縮されて、ポンプ熱交換器66で、それはポンプ加熱チェンバ66″内に配置された作業流体を加熱するために使用される凝縮熱QOSC-Aを放出する。
【0128】
ステップMで、熱振動ストリームセグメントIは、羽根64によって状態57に断熱して圧縮されて、作業流体を弁69Cを通して駆動し、それにより、ストリーム温度を上げて、熱交換器66′内で放出される場合に凝縮熱の伝達を容易にする。ストリームセグメントIが過剰な熱を含んでいる状況または、熱が適切なシステム機能のために排除される必要がある状況では、出口弁69Cは、ポンプ61から出ると、セグメントIをさらに圧縮して、それが周囲温度を上回るようにストリーム温度を上げるように調整される。次いで、セグメントIは、冷却器74によって熱Qoutがより冷たい周囲に放出され、それにより、ストリームセグメントIを57″の状態にするバイパスループに方向付けられる。図のように、流れ方向は、弁72および75の弁構成を通して実現される。過剰な熱の排除後、ストリームセグメントIは交換器66′に進む。ステップOで、熱振動セグメントI+Iは、熱交換器66′において等圧凝縮または凝縮されて状態51′に冷却される。ストリームセグメントIは、さらに説明される。放出された凝縮熱QOSC-Bは、後で説明されるように、混合ストリームセグメントを等積加熱するために使用される。
【0129】
ステップNで、自己完結型サイクルストリームが、蒸発器67において外部熱Qinを使用して、状態51′から状態57″へ等圧蒸発される。Iは、明瞭にする目的だけのためにIの上に示されているが、実際には、状態57′および57″は同一であることが理解されるべきである。気化されたストリームIは、ストリームセグメントIと混合して、ステップOで、熱交換器66′において状態51′に等圧凝縮されて冷却される。凝縮後、Iは、低圧ポンプ76を通して蒸発器67に再循環され、他方、ストリームセグメントIは、以前に等圧凝縮されたストリームIと混ざる。
【0130】
ステップPで、P-H図の点58において示されるように、膨張された仕事ストリームIから以前に分割された仕事ストリームIの一部が、説明のとおり、両方の熱振動ストリームI+Iと混合されて、混合ストリームIcombを形成する。図12Aおよび図12BのP-H図内に点線または破線で示されているプロセスは、ストリームが接触するか、または分割すると生じる、ほぼ瞬間的なプロセスを示すことが理解されるべきである。mの混合熱振動ストリームおよび質量mの仕事ストリーム体積は、P-H図内の点52において、定容ポンプ空洞78へ入ると、等積混合および/または等エンタルピー的に混合する。ステップQで、ステップTで混合ストリームから以前に分割されて、加熱チェンバ66″内に永久的に配置された質量mの静的ストリームIは、熱振動熱QOSC-AおよびQOSC-B+入力熱Qinを受け取る。
【0131】
ステップRで、ポンプ羽根64が回転して、混合ストリームIcombを、ポンプ加熱チェンバ66″内に配置された質量mを有する非循環、静的体積Iとポート65Aを通して接触させて、状態53への等積混合を可能にする。ステップSで、ストリームIから以前に放出された凝縮熱QOSC-AおよびQOSC-Bは、ストリームI+Iからの入力熱Qinと一緒に混合ストリームIcombおよび静的体積Iを第1の温度および圧力まで等積加熱および/または蒸発させる。全ての凝縮熱および入力熱は、加熱チェンバ66″内に配置された静的体積Iとの混合を通して混合ストリームIcombに伝達される。
【0132】
ステップTで、質量mの非循環静的ストリームIは、前述されて、P-H図の点54に示されるように、混合ストリームIcombから分割される。羽根64は、ストリームを加熱チェンバ体積66″内に搬送する。
【0133】
変形実施形態および用途
【0134】
振動熱管理システムおよび熱的振動仕事抽出器の説明された実施形態は、変形実施形態および用途に従って動作するように構成可能である。
【0135】
熱的振動仕事抽出器のある変形実施形態では、追加の熱または仕事が、元の高温および高圧への等積加熱を完了するために入力される。
【0136】
熱的振動仕事抽出器の一変形実施形態は、不活性ガスと混合された作業流体を採用する。等積加熱器ポンプ内での混合物の非不活性画分の凝縮後、凝縮物からの不活性ガスは分離器を通過し、膨張器を駆動するために使用される。凝縮物は、液体蒸気混合物へ膨張冷却されて、前述のとおり等積加熱される。
【0137】
熱的振動仕事抽出器のある変形実施形態は、前述のように結合された作業サイクルに加えて膨張された不活性ガスを持つ振動サイクルから仕事を好都合に引き出すために、膨張弁の代わりに膨張冷却凝縮物への膨張器を採用する。
【0138】
熱的振動仕事抽出器のある変形実施形態では、混合ストリームは、振動サイクルの凝縮蒸気、ならびに外部熱源および、その最も熱い温度において混合ストリームの温度よりも高い温度を有する熱排出源から復熱装置を通して回収された熱から過熱された仕事サイクルに分割される。
【0139】
発振器-機関システムのある実施形態は、混合された振動-仕事ストリームを進行段階において一連の凝縮から放出された凝縮熱を用いて、等積気化するように動作する等積加熱器ポンプの連続配置として実現される。
【0140】
具体的には、第1の乾き度を有する混合された振動-仕事ストリームが第1の凝縮から放出された熱で等積加熱され、次いで、第1の乾き度よりも高い第2の乾き度に等圧冷却されて、別の凝縮において放出された凝縮熱で等積に再加熱される。より高い乾き度への等圧冷却およびその後の等積加熱が、連続配置での加熱器ポンプの数に従って繰り返される。外部熱が、所望の温度および圧力への等積加熱を完了するために追加される。混合された振動-仕事ストリームは次いで、仕事抽出のための仕事分画および振動サイクル内での凝縮のための分画に分割される。前述の3つの等積加熱器ポンプのいずれかが連続配置において採用できることが理解されるべきである。
【0141】
連続加熱器ポンプ配置の別の変形実施形態は、複数の混合された振動-仕事ストリームを形成するために、膨張冷却された凝縮物および仕事後-膨張作業流体の複数の混合段階を採用する。混合された振動-仕事ストリームの各々は、単一の凝縮において放出された熱から等積気化される。
【0142】
具体的には、第1の混合の後、第1の乾き度を有する結果として生じる第1の振動-仕事ストリームが、単一の凝縮において放出された凝縮熱の一部から等積気化される。第1の振動-仕事ストリームは、等圧冷却されて、膨張冷却された凝縮物と混合されて第2の振動-仕事ストリームを形成する。結果として生じる第2の振動-仕事ストリームも、単一の凝縮において放出された凝縮熱の一部から等積気化される。所望の温度および圧力までの等積加熱を完了するために外部熱が追加される。混合された振動-仕事ストリームは次いで、仕事抽出のための仕事分画および振動サイクル内での凝縮のための分画に分割される。前述の3つの等積加熱器ポンプのいずれかが、前述のように、連続配置において採用できることが理解されるべきである。
【0143】
ある冷却用途では、振動熱管理システムは、空調、冷蔵、または冷凍を冷却空間に提供し、そこから熱が伝えられて、振動サイクル内で膨張冷却された凝縮物の等圧熱交換器および/または等積加熱器ポンプ内で等圧および/または等積加熱において凝縮熱を補うために使用される。
【0144】
ある加熱用途では、振動熱管理システムは、脱塩または蒸留ユニットのボイラーに熱的に結合されている。振動サイクル中に放出された凝縮熱は、脱塩または蒸留を駆動し、蒸留物の製造で放出される凝縮熱は、振動サイクル内での等積加熱のために等積加熱器ポンプに向け直される。
【0145】
熱伝達用途では、振動熱管理システムは、前述の加熱および冷却機能の両方を、説明のとおり冷却装置およびボイラーへの結合を通して提供するように動作する。
【0146】
別の用途では、振動熱管理システムは、外部熱機関に結合されるか、または前述のように仕事抽出装置と一体的に結合されて、冷却および/または加熱に加えて、仕事を提供する。
【0147】
全ての説明された実施形態は、熱損失を被ることが理解されるべきである。これらの熱損失は分かりやすくするために示されていない。同様に、余分を排除するための余分な熱の排除の提供が全ての実施形態に含まれる。ある実施形態は、同じく分かりやすくするために、これらの提供を示していない。さらに、始動およびトラブルシューティング手順で使用される制御装置が全ての実施形態に含まれ、いくつかの実施形態では、それらは、同じく分かりやすくするために、示されていない。
【0148】
本発明のある特徴が本発明で例示されて説明されているが、修正、置換、変更、および同等物は、当業者に知られているように、本発明の範囲内に含まれる。それ故に、添付のクレームは、かかる全ての修正および変更を本発明の真の精神に含まれるとしてカバーすることを意図することが理解される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図9H
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図13
図14
【国際調査報告】