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特表2024-541337AlGaN/GaNパワーHEMTデバイス及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】AlGaN/GaNパワーHEMTデバイス及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/337 20060101AFI20241031BHJP
   H01L 21/338 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H01L29/80 V
H01L29/80 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527536
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-05-10
(86)【国際出願番号】 CN2022136274
(87)【国際公開番号】W WO2023098887
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】202111460267.5
(32)【優先日】2021-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521394015
【氏名又は名称】華潤微電子(重慶)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゼン ホンアン
【テーマコード(参考)】
5F102
【Fターム(参考)】
5F102FA01
5F102GB04
5F102GC08
5F102GD10
5F102GJ04
5F102GL04
5F102GM04
5F102GQ01
5F102GR12
5F102HC01
(57)【要約】
本発明は、AlGaN/GaNパワーHEMTデバイス及びその製造方法を提供する。当該デバイスは、n型GaN基板、第1p型GaN層、AlGaN層、正孔注入型PN接合層及びゲート構造を含み、ゲート構造は、正孔注入型PN接合層とAlGaN層と第1p型GaN層とを貫通してn型GaN基板中にとどまり、ゲート金属アルミニウム層とゲート酸化シリコン層とを含み、正孔注入型PN接合層は、水平方向に沿って分布する第2p型GaN層及び第2n型GaN層を含み、第2n型GaN層は、ゲート構造に近い側に位置する。従来のU型GaN MOSトランジスタに比べて、本発明の提供するAlGaN/GaNパワーHEMTデバイスは、新しい構造設計を導入し、チャネル構造を縦方向に設計したため、トレンチゲート構造の近傍の電界分布を変化させ、電界集中現象を緩和し、さらにHEMTデバイスのブレークダウン電圧及び耐電圧を向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスであって、
n型GaN基板と、
前記n型GaN基板の上方に形成された第1p型GaN層と、
前記第1p型GaN層の上方に形成されたAlGaN層と、
前記AlGaN層の上方に形成された正孔注入型PN接合層と、
前記正孔注入型PN接合層と前記AlGaN層と前記第1p型GaN層とを貫通して前記n型GaN基板中にとどまるゲート構造とを含み、
前記ゲート構造は、ゲート金属アルミニウム層と、前記ゲート金属アルミニウム層の側壁及び下方に形成させたゲート酸化シリコン層とを含み、前記正孔注入型PN接合層は、水平方向に沿って分布する第2p型GaN層及び第2n型GaN層を含み、前記第2n型GaN層は、前記ゲート構造に近い側に位置する、ことを特徴とするAlGaN/GaNパワーHEMTデバイス。
【請求項2】
前記n型GaN基板の厚さ範囲は、5~10μmであり、前記n型GaN基板のドーピング濃度範囲は、1×1015~5×1015cm―3であり、前記第1p型GaN層の厚さ範囲は、0.5~1.5μmであり、前記第1p型GaN層のドーピング濃度範囲は、1×1016~1×1017cm―3であり、前記AlGaN層の厚さ範囲は、0.05~0.15μmであり、前記AlGaN層のドーピング濃度範囲は、2×1018~5×1018cm―3であり、前記正孔注入型PN接合層の厚さ範囲は、0.5~1.5μmであり、前記第2p型GaN層のドーピング濃度範囲は、1×1017~1×1018cm―3であり、前記第2n型GaN層のドーピング濃度範囲は、1×1018~1×1019cm―3であり、前記ゲート金属アルミニウム層の厚さ範囲は、0.5~5μmであり、前記ゲート酸化シリコン層の厚さ範囲は、0.5~5μmである、ことを特徴とする請求項1に記載のAlGaN/GaNパワーHEMTデバイス。
【請求項3】
前記n型GaN基板の厚さは、8μmであり、前記n型GaN基板のドーピング濃度は、2×1015cm―3であり、前記第1p型GaN層の厚さは、1μmであり、前記第1p型GaN層のドーピング濃度は、5×1016cm―3であり、前記AlGaN層の厚さは、0.1μmであり、前記AlGaN層のドーピング濃度は、2×1018cm―3であり、前記正孔注入型PN接合層の厚さは、1μmであり、前記第2p型GaN層と前記第2n型GaN層との厚さは、いずれも1μmであり、前記第2p型GaN層のドーピング濃度は、4×1017cm―3であり、前記第2n型GaN層のドーピング濃度は、2×1018cm―3であり、前記ゲート金属アルミニウム層の厚さは、2.2μmであり、前記ゲート酸化シリコン層の厚さは、2.3μmである、ことを特徴とする請求項2に記載のAlGaN/GaNパワーHEMTデバイス。
【請求項4】
前記n型GaN基板の下方に形成された第1n型GaN層をさらに含み、前記第1n型GaN層は、前記AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスのドレイン電極として引き出される、ことを特徴とする請求項1に記載のAlGaN/GaNパワーHEMTデバイス。
【請求項5】
前記第1n型GaN層の厚さ範囲は、0.5~1.5μmであり、前記第1n型GaN層のドーピング濃度範囲は、1×1018~5×1018cm―3である、ことを特徴とする請求項4に記載のAlGaN/GaNパワーHEMTデバイス。
【請求項6】
前記第1n型GaN層の厚さは、1μmであり、前記第1n型GaN層のドーピング濃度は、2×1018cm―3である、ことを特徴とする請求項5に記載のAlGaN/GaNパワーHEMTデバイス。
【請求項7】
前記正孔注入型PN接合層の上方に形成されたソース金属層をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載のAlGaN/GaNパワーHEMTデバイス。
【請求項8】
前記ソース金属層の厚さ範囲は、0.05~0.15μmである、ことを特徴とする請求項7に記載のAlGaN/GaNパワーHEMTデバイス。
【請求項9】
前記ソース金属層は、金属金層を含み、前記金属金層は、前記AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスのソース電極として引き出され、前記AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスは、前記正孔注入型PN接合層の上方に形成された金属アルミニウム層をさらに含み、前記金属アルミニウム層と前記金属金層は、水平方向に沿って分布し、且つ前記金属アルミニウム層は、前記ゲート構造に近い側に位置する、ことを特徴とする請求項7に記載のAlGaN/GaNパワーHEMTデバイス。
【請求項10】
前記金属アルミニウム層及び前記金属金層の厚さは、いずれも0.1μmである、ことを特徴とする請求項9に記載のAlGaN/GaNパワーHEMTデバイス。
【請求項11】
前記金属アルミニウム層と前記金属金層との境界位置は、前記第2n型GaN層の上方に位置する、ことを特徴とする請求項9に記載のAlGaN/GaNパワーHEMTデバイス。
【請求項12】
AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスの製造方法であって、
n型GaN基板を提供するステップと、
前記n型GaN基板の上方に下から上へ順に第1p型GaN層、AlGaN層及び正孔注入型PN接合層を形成するステップと、
前記正孔注入型PN接合層と前記AlGaN層と前記第1p型GaN層とを貫通して前記n型GaN基板中にとどまるゲート構造を形成するステップとを含み、
前記ゲート構造は、ゲート金属アルミニウム層と、前記ゲート金属アルミニウム層の側壁及び下方に形成されたゲート酸化シリコン層とを含み、前記正孔注入型PN接合層は、水平方向に分布する第2p型GaN層及び第2n型GaN層を含み、前記第2n型GaN層は前記ゲート構造に近い側に位置する、ことを特徴とするAlGaN/GaNパワーHEMTデバイスの製造方法。
【請求項13】
前記n型GaN基板の下方に第1n型GaN層を形成するステップをさらに含み、前記第1n型GaN層は、前記AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスのドレイン電極として引き出される、ことを特徴とする請求項12に記載のAlGaN/GaNパワーHEMTデバイスの製造方法。
【請求項14】
前記正孔注入型PN接合層の上方にソース金属層を形成するステップをさらに含み、前記ソース金属層は、金属金層を含み、前記金属金層は、前記AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスのソース電極として引き出され、前記AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスの製造方法は、前記正孔注入型PN接合層の上方に金属アルミニウム層を形成するステップをさらに含み、前記金属アルミニウム層と前記金属金層は、水平方向に沿って分布し、且つ前記金属アルミニウム層は、前記ゲート構造に近い側に位置する、ことを特徴とする請求項12に記載のAlGaN/GaNパワーHEMTデバイスの製造方法。
【請求項15】
前記金属アルミニウム層と前記金属金層との境界位置は、前記第2n型GaN層の上方に位置する、ことを特徴とする請求項14に記載のAlGaN/GaNパワーHEMTデバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスの技術分野に関し、特にAlGaN/GaNパワーHEMTデバイス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本願は、2021年12月2日に中国特許局に提出した、出願番号202111460267.5、発明の名称が「AlGaN/GaNパワーHEMTデバイス及びその製造方法」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は引用により本願に組み込まれる。
【0003】
パワー半導体デバイスは、直流変換器、周波数コンバータ、整流器及びインバータ等の電力変換器に広く応用され、優れた電力制御性能を有し、電力システム、太陽光発電システム及びハイブリッド機関車等の分野で代替できない役割を果たす。
【0004】
現在、パワー半導体デバイスは、シリコン系ダイオード、パワーMOSFETトランジスタ及びIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)等のデバイス構造を採用することが多い。Si材料を採用したパワー半導体デバイスがその理論的な限界に達するにつれて、従来のパワー半導体デバイスの世代の更新が遅くなりつつある。現在の研究レベルでは、Si系デバイスは、さらに、コンバータの高周波化、高パワー密度及び小型化を実現することは困難である。
【0005】
窒化ガリウム(GaN)を代表とするワイドバンドギャップ半導体材料は、臨界降伏電界が高く、飽和電子速度が高く、電子密度が高く、電子移動度が高く、熱伝導率が高いなどの特徴を有し、高周波、高圧、高温及び大電力に適用される高い耐放射線レベルを有する半導体材料である。GaNデバイスは、次世代のレーダー及び通信システムにおいて最も重要な半導体デバイスであり、新世代の半導体照明における主要なデバイスでもある。HEMT(高電子移動度トランジスタ)は、ヘテロ接合電界効果トランジスタである。GaN HEMTは、AlGaN/GaNヘテロ接合によりGaNデバイス特有の2次元電子ガス(2DEG)濃度を形成し、高電流密度と高電子飽和ドリフト速度を実現できるため、高周波スイッチとして好適である。
【0006】
しかし、従来のGaNデバイスは、ブレークダウン電圧及び耐電圧保障等の性能上に依然として大きな向上の余地を有する。例えば、従来のU型GaN MOSトランジスタは、トレンチ底部領域に電界集中現象が存在するため、デバイスのブレークダウン電圧の向上を制限している。チャネル構造を如何に最適化し、トレンチゲート構造付近の電界分布を変化させ、電界集中現象を緩和するかは、GaNデバイスのブレークダウン特性を最適化するために早急に解決すべき問題である。
【0007】
従って、上記問題を解決するために、新しいAlGaN/GaNパワーHEMTデバイス及びその製造方法を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上の従来技術の欠点に鑑み、本発明は、従来のU型GaN MOSトランジスタはトレンチの底部領域に電界集中現象が存在してデバイスブレークダウン電圧の向上を制限するなどの問題を解決するAlGaN/GaNパワーHEMTデバイス及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的及びその他の関連目的を実現するために、本発明は、AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスを提供する。当該AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスは、n型GaN基板と、前記n型GaN基板の上方に形成された第1p型GaN層と、前記第1p型GaN層の上方に形成されたAlGaN層と、前記AlGaN層の上方に形成された正孔注入型PN接合層と、前記正孔注入型PN接合層と前記AlGaN層と前記第1p型GaN層とを貫通して前記n型GaN基板中にとどまるゲート構造とを含み、前記ゲート構造は、ゲート金属アルミニウム層と、前記ゲート金属アルミニウム層の側壁及び下方に形成させたゲート酸化シリコン層とを含み、前記正孔注入型PN接合層は、水平方向に沿って分布する第2p型GaN層及び第2n型GaN層を含み、前記第2n型GaN層は、前記ゲート構造に近い側に位置する。
【0010】
本発明の1つの選択可能な技術案として、前記n型GaN基板の厚さ範囲は、5~10μmである。
【0011】
本発明の1つの選択可能な技術案として、前記n型GaN基板のドーピング濃度範囲は、1×1015~5×1015cm―3である。
【0012】
本発明の1つの選択可能な技術案として、第1p型GaN層の厚さ範囲は、0.5~1.5μmである。
【0013】
本発明の1つの選択可能な技術案として、前記第1p型GaN層のドーピング濃度範囲は、1×1016~1×1017cm―3である。
【0014】
本発明の1つの選択可能な技術案として、前記AlGaN層の厚さ範囲は、0.05~0.15μmである。
【0015】
本発明の1つの選択可能な技術案として、前記AlGaN層のドーピング濃度範囲は、2×1018~5×1018cm―3である。
【0016】
本発明の1つの選択可能な技術案として、前記正孔注入型PN接合層の厚さ範囲は、0.5~1.5μmである。
【0017】
本発明の1つの選択可能な技術案として、前記第2p型GaN層のドーピング濃度範囲は、1×1017~1×1018cm―3である。
【0018】
本発明の1つの選択可能な技術案として、前記第2n型GaN層のドーピング濃度範囲は、1×1018~1×1019cm―3である。
【0019】
本発明の1つの選択可能な技術案として、前記ゲート金属アルミニウム層の厚さ範囲は、0.5~5μmである。
【0020】
本発明の1つの選択可能な技術案として、前記ゲート酸化シリコン層の厚さ範囲は、0.5~5μmである。
【0021】
本発明の1つの選択可能な技術案として、前記AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスは、前記n型GaN基板の下方に形成された第1n型GaN層をさらに含み、前記第1n型GaN層は、前記AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスのドレイン電極として引き出される。
【0022】
本発明の1つの選択可能な技術案として、前記第1n型GaN層の厚さ範囲は、0.5~1.5μmであり、前記第1n型GaN層のドーピング濃度範囲は、1×1018~5×1018cm―3である。
【0023】
本発明の1つの選択可能な技術案として、前記AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスは、前記正孔注入型PN接合層の上方に形成されたソース金属層をさらに含む。
本発明の1つの選択可能な技術案として、前記ソース金属層の厚さ範囲は、0.05~0.15μmである。
【0024】
本発明の1つの選択可能な技術案として、前記ソース金属層は、金属金層を含み、前記金属金層は、前記AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスのソース電極として引き出される。
【0025】
本発明の1つの選択可能な技術案として、前記AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスは、前記正孔注入型PN接合層の上方に形成された金属アルミニウム層をさらに含み、前記金属アルミニウム層と前記金属金層は、水平方向に沿って分布し、且つ前記金属アルミニウム層は、前記ゲート構造に近い側に位置する。
【0026】
本発明の1つの選択可能な技術案として、前記金属アルミニウム層の厚さ範囲は、0.05~0.15μmである。
【0027】
本発明の1つの選択可能な技術案として、前記金属アルミニウム層と前記金属金層との境界位置は、前記第2n型GaN層の上方に位置する。
【0028】
本発明は、さらにAlGaN/GaNパワーHEMTデバイスの製造方法を提供する。当該製造方法は、n型GaN基板を提供するステップと、前記n型GaN基板の上方に下から上へ順に第1p型GaN層、AlGaN層及び正孔注入型PN接合層を形成するステップと、前記正孔注入型PN接合層と前記AlGaN層と前記第1p型GaN層とを貫通して前記n型GaN基板中にとどまるゲート構造を形成するステップとを含み、前記ゲート構造は、ゲート金属アルミニウム層と、前記ゲート金属アルミニウム層の側壁及び下方に形成されたゲート酸化シリコン層とを含み、前記正孔注入型PN接合層は、水平方向に分布する第2p型GaN層及び第2n型GaN層を含み、前記第2n型GaN層は前記ゲート構造に近い側に位置する。
【0029】
本発明の1つの選択可能な技術案として、前記AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスの製造方法は、前記n型GaN基板の下方に第1n型GaN層を形成するステップをさらに含み、前記第1n型GaN層は、前記AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスのドレイン電極として引き出される。
【0030】
本発明の1つの選択可能な技術案として、前記AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスの製造方法は、前記正孔注入型PN接合層の上方にソース金属層を形成するステップをさらに含む。
【0031】
本発明の1つの選択可能な技術案として、前記ソース金属層は、金属金層を含み、前記金属金層は、前記AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスのソース電極として引き出される。
【0032】
本発明の1つの選択可能な技術案として、前記AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスの製造方法は、前記正孔注入型PN接合層の上方に金属アルミニウム層を形成するステップをさらに含む。
【0033】
本発明の1つの選択可能な技術案として、前記金属アルミニウム層と前記金属金層は、水平方向に沿って分布し、且つ前記金属アルミニウム層は、前記ゲート構造に近い側に位置する。
【0034】
本発明の1つの選択可能な技術案として、前記金属アルミニウム層と前記金属金層との境界位置は、前記第2n型GaN層の上方に位置する。
【発明の効果】
【0035】
上述したように、本発明の提供するAlGaN/GaNパワーHEMTデバイス及びその製造方法は、以下の有益な効果を有する。
従来のU型GaN MOSトランジスタに比べて、本発明の提供するAlGaN/GaNパワーHEMTデバイスは、新しい構造設計を導入し、チャネル構造を縦方向に設計することにより、トレンチゲート構造の近傍の電界分布を変化させ、電界集中現象を効果的に緩和し、さらにHEMTデバイスのブレークダウン電圧及び耐電圧を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の実施例1において提供されるAlGaN/GaNパワーHEMTデバイスの構造模式図である。
図2】本発明の実施例1において提供されるAlGaN/GaNパワーHEMTデバイスのブレークダウン電圧特性曲線図である。
図3】本発明の実施例1において提供されるAlGaN/GaNパワーHEMTデバイスの転送特性曲線図である。
図4】本発明の実施例1において提供されるAlGaN/GaNパワーHEMTデバイスの出力特性曲線図である。
図5】本発明の実施例2において提供されるn型GaN基板の模式図である。
図6】本発明の実施例2においてn型GaN基板の上方に下から上へ順に第1p型GaN層、AlGaN層及び正孔注入型PN接合層を形成する模式図である。
図7】本発明の実施例2においてゲート構造を形成する模式図である。
図8】本発明の実施例2においてソース金属層及び金属アルミニウム層を形成する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の実施形態を特定の具体例によって以下に説明するが、当業者であれば本明細書に開示された内容から本発明の他の利点及び効果を容易に理解することができるであろう。本発明はまた別の異なる具体的な実施形態によって実施又は応用することができ,本明細書における各細部は異なる視点及び応用に基づいてもよく、本発明の精神から逸脱することなく様々な修飾又は変更を行うことができる。
【0038】
図1乃至図8を参照する。なお、本実施例に提供される図面は概略的な形態で本発明の基本的な考え方を説明するためのものであり、図面には本発明に関連する部品のみを表示するが実際の実施時の部品数、形状及び寸法に基づいて描画するのではなく、実際に実施する時に各部品の形態、数及び比率は任意に変更してもよく、且つその部品レイアウト形態はより複雑であってもよい。
【0039】
実施例1
図1乃至図4を参照すると、本実施例は、AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスを提供し、当該AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスは、n型GaN基板109と、前記n型GaN基板109の上方に形成された第1p型GaN層108と、前記第1p型GaN層108の上方に形成されたAlGaN層107と、前記AlGaN層107の上方に形成された正孔注入型PN接合層と、前記正孔注入型PN接合層と前記AlGaN層107と前記第1p型GaN層108とを貫通して前記n型GaN基板109中にとどまるゲート構造とを含み、前記ゲート構造は、ゲート金属アルミニウム層102と、前記ゲート金属アルミニウム層102の側壁及び下方に形成されたゲート酸化シリコン層101とを含み、前記正孔注入型PN接合層は、水平方向に沿って分布する第2p型GaN層105及び第2n型GaN層106を含み、前記第2n型GaN層106は、前記ゲート構造に近い側に位置し、前記ゲート金属アルミニウム層102は、ゲート電極Gとして引き出される。
【0040】
従来のU型GaN MOSトランジスタに比べて、本発明の提供するAlGaN/GaNパワーHEMTデバイスは、新しい構造設計を導入し、チャネル構造を縦方向に設計し、トレンチゲート構造の近傍の電界分布を変化させ、電界集中現象を効果的に緩和することにより、HEMTデバイスのブレークダウン電圧及び耐電圧を向上させる。
【0041】
例として、前記n型GaN基板109の厚さ範囲は、5~10μm(端点値を含み、本明細書では、数値範囲について記載される際、特に断らない限り、いずれも端点値を含む)であり、そのドーピング濃度範囲は、1×1015~5×1015cm―3である。
【0042】
例として、前記第1p型GaN層108の厚さ範囲は、0.5~1.5μmであり、そのドーピング濃度範囲は、1×1016~1×1017cm―3である。
【0043】
例として、前記AlGaN層107の厚さ範囲は、0.05~0.15μmであり、そのドーピング濃度範囲は、2×1018~5×1018cm―3である。
【0044】
例として、前記正孔注入型PN接合層の厚さ範囲は、0.5~1.5μmであり、前記第2p型GaN層105のドーピング濃度範囲は、1×1017~1×1018cm―3であり、前記第2n型GaN層106のドーピング濃度範囲は、1×1018~1×1019cm―3である。
【0045】
例として、前記ゲート金属アルミニウム層102の厚さ範囲は、0.5~5μmであり、前記ゲート酸化シリコン層101の厚さ範囲は、0.5~5μmである。
【0046】
例として、図1に示すように、前記AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスは、前記n型GaN基板の下方に形成された第1n型GaN層110をさらに含み、前記第1n型GaN層110は、前記AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスのドレイン電極Dとして引き出される。
【0047】
例として、図1に示すように、前記第1n型GaN層110の厚さ範囲は、0.5~1.5μmであり、そのドーピング濃度範囲は、1×1018~5×1018cm―3である。
【0048】
例として、図1に示すように、前記AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスは、前記正孔注入型PN接合層の上方に形成されたソース金属層をさらに含む。1つの好ましい例では、前記ソース金属層の厚さ範囲は、0.05~0.15μmである。
【0049】
例として、図1に示すように、前記ソース金属層は、金属金層104を含み、前記金属金層104は、前記AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスのソース電極Sとして引き出される。例として、図1に示すように、前記AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスは、前記正孔注入型PN接合層の上方に形成された金属アルミニウム層103をさらに含み、前記金属アルミニウム層103と金属金層104は、水平方向に沿って分布し、且つ前記金属アルミニウム層103は、前記ゲート構造に近い側に位置する。1つの好ましい例では、前記金属アルミニウム層103と前記金属金層104との境界位置は、前記第2n型GaN層106の上方に位置する。
【0050】
例として、本実施例では、前記n型GaN基板109の厚さは、8μmであり、そのドーピング濃度は、2×1015cm―3である。好ましくは、前記第1p型GaN層108の厚さは、1μmであり、そのドーピング濃度は、5×1016cm―3である。前記AlGaN層107の厚さは、0.1μmであり、そのドーピング濃度は、2×1018cm―3である。前記正孔注入型PN接合層の厚さは、1μmであり、即ち、前記第2p型GaN層105と前記第2n型GaN層106との厚さは、いずれも1μmであり、前記第2p型GaN層105のドーピング濃度は、4×1017cm―3であり、前記第2n型GaN層106のドーピング濃度は、2×1018cm―3である。前記ゲート金属アルミニウム層102の厚さは、2.2μmであり、前記ゲート酸化シリコン層101の厚さは、2.3μmである。前記第1n型GaN層110の厚さは、1μmであり、そのドーピング濃度は、2×1018cm―3である。前記ソース金属層の厚さは、0.1μmであり、即ち、前記金属金層104の厚さは、0.1μmである。前記金属アルミニウム層103の厚さは、0.1μmである。
【0051】
本実施例の提供するAlGaN/GaNパワーHEMTデバイスは、補強型のGaNトランジスタであり、その最大耐電圧は、860Vに達することができる。図1に示すように、前記AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスは、垂直構造を有し、具体的には、前記第1n型GaN層110を基材として採用し、前記n型GaN基板109を遷移層及びドリフト領域として採用し、その厚さは、8μmであり、そして前記n型GaN基板109上に前記第1p型GaN層108及び前記AlGaN層107をエピタキシャル成長させ、形成されたA1GaN/GaNヘテロ接合は、導電性の二次元電子ガス(2DEG)を生じることができるため、電子の遷移率を向上させ、デバイスのブレークダウン電圧を効果的に高め、さらにデバイスの出力パワーを向上させる。前記正孔注入型PN接合層は、水平方向に沿って分布する第2p型GaN層105及び第2n型GaN層106を含み、両者は、共に正孔注入型のPN接合を形成する。前記ゲート構造は、トレンチゲートであり、ゲート金属アルミニウム層102と、前記ゲート金属アルミニウム層102の側壁及び下方に形成されたゲート酸化シリコン層101とを含み、当該トレンチゲートのトレンチ幅は、2μmであり、トレンチ厚さは、2.3μmである。
【0052】
従来のU型GaN MOSトランジスタは、トレンチ底部領域に電界集中現象が存在することによってデバイスのブレークダウン電圧の向上を制限するが、本実施例におけるAlGaN/GaNパワーHEMTデバイスのチャネル構造は、縦方向の構造であり、厚いドリフト領域に対して構造設計を行い、且つ二次元電子ガスを用い、さらにドリフト領域を最適化し、トレンチゲート構造の近傍の電界分布を変化させ、電界集中現象を緩和し、さらにU型のAlGaN/GaNパワーHEMTデバイスのブレークダウン特性を改善し、デバイスの性能指数を向上させる。
【0053】
図2は、本実施例の提供するAlGaN/GaNパワーHEMTデバイスのブレークダウン電圧特性曲線図を示す。AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスは、パワーデバイスの1種として、オフ状態で高電圧に耐える能力を有する必要がある。この能力は、ブレークダウン電圧によって評価することができる。AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスについて、通常、デバイスのリーク電流が50mA/cmよりも高い場合に対応するドレイン電極電圧をブレークダウン電圧と呼ぶ。図2に示すように、本実施例では、AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスのブレークダウン電圧値は、860Vに達し、これは、従来のU型GaN MOSトランジスタの400Vであるブレークダウン電圧を遥かに超える。なお、ブレークダウン電圧値が860Vである場合、デバイスは、損傷されず、耐電圧曲線は、繰り返し可能である。
【0054】
図3は、本実施例において提供されるAlGaN/GaNパワーHEMTデバイスの転送特性曲線図である。デバイスの転送特性は、固定されたドレイン電極電圧VDSで、ドレイン電極電流IDとゲート電極電圧VGSとの関係を示し、デバイスの増幅能力を反映することができる。図3は、本実施例におけるAlGaN/GaNパワーHEMTデバイスの線形座標での転送曲線であり、ドレイン電極電圧VDS=1Vである。図3における転送特性曲線から、閾値電圧VTH、飽和電流、オンオフ比ION/IOFF及びサブスレッショルドスイングSなどの重要なパラメータを得ることができ、閾値電圧VTHは、7.5Vであり、飽和電流は、0.1/0.05/0.01Aである。これからわかるように、上記各パラメータも、従来のU型GaN MOSトランジスタよりも優れる。
【0055】
図4は、本実施例に提供されるAlGaN/GaNパワーHEMTデバイスの出力特性曲線図を示す。出力特性曲線は、ドレイン電極のボルタンメトリー特性、即ちドレイン電極電流IDとドレイン電極電圧VDSとの変化関係として理解することができる。図4に示すように、線形領域、非線形領域、飽和領域に分けられ、ゲート電極電圧を変換することにより、一連の出力曲線を得ることができ、さらにデバイスのオン抵抗RON等のパラメータを抽出する。図4において、GaN_1、GaN_2、GaN_3は、異なるゲート電極電圧(8/9/10V)を変換して得た異なる飽和電流 (0.1/0.05/0.01A) での出力曲線である。
【0056】
本実施例の提供するAlGaN/GaNパワーHEMTデバイスのゲートソース電圧は、可変範囲と最大オン抵抗が小さいことを許容し、低熱抵抗を形成するため、高温環境に適する。ゲートソース電圧が0である場合、トランジスタが逆導通すると、AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスのソースドレイン電極の順方向電圧降下は、シリコン系MOSFETトランジスタよりも大きい。LCC共振コンバータの応用において、AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスは、シリコン系MOSFETトランジスタに比べて損失が小さい。
【0057】
実施例2
図5乃至図8を参照すると、本実施例がAlGaN/GaNパワーHEMTデバイスの製造方法を提供し、当該製造方法は、以下のステップを含む。
1)n型GaN基板109を提供する。
2)前記n型GaN基板109の上方に下から上へ順に第1p型GaN層108、AlGaN層107及び正孔注入型PN接合層111を形成する。
3)前記正孔注入型PN接合層111と前記AlGaN層107と前記第1p型GaN層108とを貫通して前記n型GaN基板109中にとどまるゲート構造112を形成し、前記ゲート構造112は、ゲート金属アルミニウム層102と、前記ゲート金属アルミニウム層102の側壁及び下方に形成されたゲート酸化シリコン層101とを含み、前記正孔注入型PN接合層111は、水平方向に沿って分布する第2p型GaN層105及び第2n型GaN層106を含み、前記第2n型GaN層106は、前記ゲート構造112に近い側に位置する。
【0058】
ステップ1)では、図5に示すように、n型GaN基板109を提供する。好ましい例では、前記n型GaN基板109の下方に、さらい第1n型GaN層110が形成され、前記第1n型GaN層110は、前記AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスのドレイン電極Dとして引き出される。前記第1n型GaN層110は、前記n型GaN基板109に比べてより高いドーピング濃度を有する。前記n型GaN基板109と前記第1n型GaN層110は、エピタキシャル基板上に順にエピタキシャル成長させることにより得ることができる。
【0059】
ステップ2)では、図6に示すように、前記n型GaN基板109の上方に下から上へ順に第1p型GaN層108、AlGaN層107及び正孔注入型PN接合層111を形成する。前記正孔注入型PN接合層111は、水平方向に分布する第2p型GaN層105及び第2n型GaN層106を含み、前記第2n型GaN層106は、後で形成されるゲート構造112に近い側に位置する。前記第1p型GaN層108、前記AlGaN層107及び前記正孔注入型PN接合層111を形成する方法は、必要な材料層をエピタキシャル成長させ、そして、拡散又はイオン注入により、必要なドーピング濃度を得ることを含む。第2p型GaN層105と第2n型GaN層106は、フォトリソグラフィによりその境界線を画定することができ、p型GaN層又はn型GaN層をイオン注入することにより逆のドープタイプのGaN層を得ることができる。
【0060】
ステップ3)では、図7に示すように、前記正孔注入型PN接合層111と前記AlGaN層107と前記第1p型GaN層108とを貫通して前記n型GaN基板109中にとどまるゲート構造112を形成し、前記ゲート構造112は、ゲート金属アルミニウム層102と、前記ゲート金属アルミニウム層102の側壁及び下方に形成されたゲート酸化シリコン層101とを含む。
【0061】
例として、図8に示すように、前記AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスの製造方法は、さらに前記正孔注入型PN接合層111の上方にソース金属層113を形成するステップを含む。好ましい例では、前記ソース金属層113は、金属金層104であり、前記金属金層104は、前記AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスのソース電極Sとして引き出される。例として、図8に示すように、前記AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスの製造方法は、さらに前記正孔注入型PN接合層111の上方に金属アルミニウム層103を形成するステップを含み、前記金属金層104と前記金属アルミニウム層103は、水平方向に沿って分布し、且つ前記金属アルミニウム層103は、前記ゲート構造112に近い側に位置する。前記金属アルミニウム層103と前記金属金層104との境界位置は、前記第2n型GaN層106の上方に位置する。前記ソース金属層113を形成するプロセスは、PVDプロセスを含むが、これに限定されない。
【0062】
好ましい例では、本実施例では、前記n型GaN基板109の厚さは、8μmであり、そのドーピング濃度は、2×1015cm―3である。好ましくは、前記第1p型GaN層108の厚さは、1μmであり、そのドーピング濃度は、5×1016cm―3である。前記AlGaN層107の厚さは、0.1μmであり、そのドーピング濃度は、2×1018cm―3である。前記正孔注入型PN接合層111の厚さは、1μmであり、即ち、前記第2p型GaN層105と前記第2n型GaN層106との厚さは、いずれも1μmであり、前記第2p型GaN層105のドーピング濃度は、4×1017cm―3であり、前記第2n型GaN層106のドーピング濃度は、2×1018cm―3である。前記ゲート金属アルミニウム層102の厚さは、2.2μmであり、前記ゲート酸化シリコン層101の厚さは、2.3μmである。前記第1n型GaN層110の厚さは、1μmであり、そのドーピング濃度は、2×1018cm―3である。前記ソース金属層113の厚さは、0.1μmであり、即ち、前記金属金層104の厚さは、0.1μmである。前記金属アルミニウム層103の厚さは、0.1μmである。上記設計が採用されたAlGaN/GaNパワーHEMTデバイスは、ドリフト領域を最適化し、トレンチゲート構造の近傍の電界分布を変化させ、電界集中現象を緩和し、さらに、デバイスブレークダウン特性を改善し、デバイス性能指数を向上させる。
【0063】
以上のように、本発明は、AlGaN/GaNパワーHEMTデバイス及びその製造方法を提供する。前記AlGaN/GaNパワーHEMTデバイスは、n型GaN基板と、前記n型GaN基板の上方に形成された第1p型GaN層と、前記第1p型GaN層の上方に形成されたAlGaN層と、前記AlGaN層の上方に形成された正孔注入型PN接合層と、前記正孔注入型PN接合層と前記AlGaN層と前記第1p型GaN層とを貫通して前記n型GaN基板中にとどまるゲート構造とを含み、前記ゲート構造は、ゲート金属アルミニウム層と、前記ゲート金属アルミニウム層の側壁及び下方に形成されたゲート酸化シリコン層とを含み、前記正孔注入型PN接合層は、水平方向に沿って分布する第2p型GaN層及び第2n型GaN層を含み、前記第2n型GaN層は、前記ゲート構造に近い側に位置する。従来のU型GaN MOSトランジスタに比べて、本発明の提供するAlGaN/GaNパワーHEMTデバイスは、新型の構造設計を導入し、チャネル構造を縦方向に設計するため、トレンチゲート構造の近傍の電界分布を変化させ、電界集中現象を改善し、さらにHEMTデバイスのブレークダウン電圧及び耐電圧を向上させる。
【0064】
上記実施例は本発明の原理及びその効果を例示的に説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではない。当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、上述の実施形態を改変または変更することができる。従って、当分野において当業者が本発明に開示された精神及び技術的思想から逸脱することなく完成された等価修飾又は変更は、依然として本発明の特許請求の範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0065】
101 ゲート酸化シリコン層、102 ゲート金属アルミニウム層、103 金属アルミニウム層、104 金属金層、105 第2p型GaN層、106 第2n型GaN層、107 AlGaN層、108 第1p型GaN層、109 n型GaN基板、110 第1n型GaN層、111 正孔注入型PN接合層、112 ゲート構造、113 ソース金属層、G ゲート電極、S ソース電極、D ドレイン電極。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】