IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サーモライフ インターナショナル, エルエルシーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】血中酸素飽和度を増大させる方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 33/00 20060101AFI20241031BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 31/194 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 19/04 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 11/14 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 27/00 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 1/08 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 1/12 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 33/06 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 33/30 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 31/522 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 31/045 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 38/08 20190101ALI20241031BHJP
   A61K 31/221 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 31/4178 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 33/34 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 33/26 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
A61K33/00
A61P43/00 121
A61K31/194
A61P7/00
A61P31/14
A61P11/00
A61P35/00
A61P7/06
A61P11/06
A61P9/00
A61P29/00
A61P19/04
A61P1/00
A61P31/04
A61P11/14
A61P11/02
A61P27/00
A61P1/08
A61P1/12
A61P3/02
A61P15/00
A61P25/20
A61P9/12
A61P25/24
A61P13/12
A61K33/06
A61K33/30
A61K9/48
A61K45/00
A61K31/522
A61K31/045
A61K38/08
A61K31/221
A61K31/4178
A61K33/34
A61K33/26
A61K9/20
A61K9/14
A61K9/16
A61P17/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527543
(86)(22)【出願日】2021-11-12
(85)【翻訳文提出日】2024-05-10
(86)【国際出願番号】 US2021059267
(87)【国際公開番号】W WO2022104157
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】63/232,852
(32)【優先日】2021-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/148,517
(32)【優先日】2021-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/113,114
(32)【優先日】2020-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】316009027
【氏名又は名称】サーモライフ インターナショナル, エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】THERMOLIFE INTERNATIONAL,LLC
【住所又は居所原語表記】1220 E Hill St, Signal Hill, CA 90755 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】クレイマー, ロナルド ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ニコライディス, アレクサンドロス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA30
4C076AA31
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC01
4C076CC04
4C076CC09
4C076CC10
4C076CC11
4C076CC14
4C076CC15
4C076CC16
4C076CC17
4C076CC18
4C076CC21
4C076CC27
4C076CC32
4C076CC35
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA22
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA16
4C084BA23
4C084DB41
4C084MA02
4C084MA34
4C084MA35
4C084MA36
4C084MA37
4C084MA41
4C084MA43
4C084MA52
4C084NA14
4C084ZA07
4C084ZA08
4C084ZA12
4C084ZA14
4C084ZA21
4C084ZA32
4C084ZA34
4C084ZA36
4C084ZA42
4C084ZA51
4C084ZA59
4C084ZA62
4C084ZA66
4C084ZA71
4C084ZA73
4C084ZA81
4C084ZA89
4C084ZA94
4C084ZA96
4C084ZB11
4C084ZB33
4C084ZB35
4C084ZC21
4C084ZC41
4C084ZC51
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC38
4C086CB07
4C086GA02
4C086GA07
4C086HA01
4C086HA02
4C086HA03
4C086HA04
4C086HA11
4C086HA15
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA34
4C086MA35
4C086MA36
4C086MA37
4C086MA41
4C086MA43
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA07
4C086ZA08
4C086ZA12
4C086ZA14
4C086ZA21
4C086ZA32
4C086ZA34
4C086ZA36
4C086ZA42
4C086ZA51
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA71
4C086ZA73
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA94
4C086ZA96
4C086ZB11
4C086ZB26
4C086ZB33
4C086ZB35
4C086ZC21
4C086ZC41
4C086ZC51
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA03
4C206DA36
4C206FA42
4C206MA02
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA54
4C206MA55
4C206MA56
4C206MA57
4C206MA61
4C206MA63
4C206MA72
4C206NA14
4C206ZA07
4C206ZA08
4C206ZA12
4C206ZA14
4C206ZA21
4C206ZA32
4C206ZA34
4C206ZA36
4C206ZA42
4C206ZA51
4C206ZA59
4C206ZA62
4C206ZA66
4C206ZA81
4C206ZA89
4C206ZA94
4C206ZA96
4C206ZB11
4C206ZB26
4C206ZB33
4C206ZB35
4C206ZC21
4C206ZC41
4C206ZC51
4C206ZC75
(57)【要約】
本開示は、被験者の酸素飽和度(SpO2)の増加を必要とする被験者の酸素飽和度(SpO2)を増加する組成物および方法、ならびにSpO2レベルの低下(95%未満)に関連する症状および状態を緩和、治療または治癒する組成物および方法に向けられている。前記組成物は、好ましくは固体であり、硝酸アニオン源、元素金属(非荷電)、および必要に応じて酸を含む。前記組成物は、好ましくは経口投与される。一般に、本開示は、有効量の元素金属を被験体に投与することと、有効量の硝酸アニオン(NO3-)源を被験体に投与することと、を含む呼吸器疾患を処置する方法に向けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む方法:
以下からなる群から選択される少なくとも1つの元素金属を、ヒト被験体に経口投与する工程:元素マグネシウム、元素カルシウム、元素リチウム、元素亜鉛、元素ナトリウム、元素カリウム、元素ベリリウム、元素ルビジウム、元素セシウム、元素アルミニウム、元素ガリウム、元素インジウム、元素スズ、元素ビスマス、元素スカンジウム、元素チタン、元素バナジウム、元素クロム、元素マンガン、元素コバルト、元素マンガン、元素スカンジウム、元素チタンからなる群から選択される少なくとも1種の元素金属を、ヒト被験者に経口投与すること、ニッケル、元素状銅、元素状亜鉛、元素状イットリウム、元素状ジルコニウム、元素状ニオブ、元素状モリブデン、元素状テクネチウム、元素状ルテニウム、元素状ロジウム、元素状パラジウム、元素状銀、元素カドミウム、元素ランタン、元素ハフニウム、元素タンタル、元素タングステン、元素レニウム、元素オスミウム、元素イリジウム、元素白金、元素金、元素マンガン;そして
硝酸塩(NO ) 、亜硝酸塩(NO )、またはその両方を経口投与する。
【請求項2】
ヒト被験体に薬学的に有効な量の酸を経口投与することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ヒト被験体に硝酸塩および/または亜硝酸塩を投与し、ヒト被験体に酸としてクエン酸を投与する、2記載の方法。
【請求項4】
ヒト被験体に硝酸カリウムおよび/または亜硝酸カリウムを投与する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ヒト被験者が、約95%未満または約92%未満の血中酸素飽和度レベル(SpO2レベル)を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ヒト対象への少なくとも1種の元素金属と硝酸塩および/または硝酸塩の経口投与が、最初の経口投与から1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、12時間、24時間、36時間、48時間、72時間、または96時間以内に繰り返される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ヒト被験体のSpO2レベルが約95%または約92%を下回ったときに、ヒト被験体に少なくとも1つの元素金属を経口投与する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ヒト被験体のSpO2レベルが、少なくとも1種の元素金属と硝酸塩および/または亜硝酸塩の投与後約5分~約2.5時間以内に少なくとも約1%上昇する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
ヒト被験体のSpO2が、少なくとも1種の元素金属と硝酸塩および/または亜硝酸塩の投与後、 約5分~約2.5時間以内に少なくとも約94%まで上昇する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
ヒト被験体のSpO2が、少なくとも1種の元素金属および硝酸塩および/または亜硝酸塩の投与後約5分~約2.5時間以内に少なくとも約95%まで上昇する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
ヒト被験体がコロナウイルス疾患(COVID-19)に罹患している、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
ヒト被験体が、SARS-CoV-2感染からの回復後に低酸素症を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
ヒト被験体が、以下からなる群より選択される状態を有する、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法:SARS-Cov-2感染、コロナウイルス疾患(COVID-19)後の低酸素症、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、ARDS後の低酸素症、肺炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、中皮腫、貧血、喘息、肺塞栓症、肺虚脱、先天性心疾患、肺水腫、高山病、間質性肺疾患、低呼吸数、肺炎、肺線維症、睡眠時無呼吸、胃腸感染、ヘリオバクター・ピロリ感染、呼吸器感染。
【請求項14】
ヒト被験体がウイルス性呼吸器感染症を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ヒト被験体が低酸素状態である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ヒト被験体が、以下からなる群より選択される少なくとも1つの症状を示す、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法:組織損傷、筋肉痛、体の痛み、疲労、咽頭痛、息切れ、呼吸困難、胸痛、肺炎、咳嗽、発熱、無嗅覚、味覚異常、副鼻腔充血、鼻水、血中酸素飽和度の低下、頭痛、胃腸障害、悪心、嘔吐、下痢、疲労感、運動不能、労働不能、性行為不能、燃え尽き、虚脱、疲労困憊、のぼせ、倦怠感、衰弱、疲労感、身体的・精神的活動後の症状の悪化、思考力・集中力の低下、咳、胃痛、心臓の鼓動が速い、関節痛、針が刺すような感覚、睡眠障害、起立時のめまい、発疹、気分の変化、気分障害、月経周期の変化、高血圧、うつ病、心拍数の増加、心不全、急性呼吸不全。
【請求項17】
組織損傷が脳、心臓、肺および/または腎臓である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1種の元素金属と硝酸塩および/または亜硝酸塩の投与により、ヒト被験体の少なくとも1つの症状が緩和される、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
ヒト被験体が、少なくとも1種の元素金属および硝酸塩を含む組成物を経口投与され、該組成物が、約1mg~約2000mgの少なくとも1種の元素金属および約30mg~約4000mgの硝酸塩を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
組成物が元素マグネシウムおよび/または元素亜鉛を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
以下を含む組成物をヒト被験体に経口投与する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法:
約1200mgの硝酸カリウム;
元素マグネシウム約200mg;および
約50mgの元素状亜鉛。
【請求項22】
組成物が約1000mgのクエン酸をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
組成物が1つまたは複数のカプセルで提供される、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
カプセルが0以下のサイズを有する、請求項24に記載の方法。
【請求項25】
元素金属マグネシウムが60~200のメッシュサイズを有し、元素金属亜鉛が325以下のメッシュサイズを有する、請求項21~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
ヒト被験体に亜硝酸塩を投与し、亜硝酸塩の投与量を約5mg~約300mg、約10mg~約200mg、または約30mg~約100mgとする、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
亜硝酸塩の経口投与が、ヒト被験体にメトヘモグロビン血症を発症させない、請求項1~18および26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
ヒト被験体に少なくとも1つの胃酸分泌促進剤を経口投与することをさらに含む、請求項1~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも1つの胃酸分泌促進剤が、カフェイン、テオフィリン、テオブロミン、エタノール溶液、ペンタガストリン、およびコリン作動性薬剤からなる群より選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
エタノール溶液が2%~14%のエタノールを有する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
コリン作動性薬剤がアセチルコリンおよびピロカルピンから選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
ヒト被験体が、少なくとも1種の元素金属と硝酸塩および/または亜硝酸塩とを含む組成物を投与され、組成物が徐放性製剤である、請求項1~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
以下を含む、ヒトが摂取するための組成物:
メッシュサイズが35以上の少なくとも1種の元素金属であって、該元素金属は、元素マグネシウム、元素カルシウム、元素亜鉛、元素銅、および元素鉄からなる群より選択される、元素金属;ならびに
硝酸塩(NO )、亜硝酸塩(NO )、またはその両方。
【請求項34】
元素金属のメッシュサイズが40以上である、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
硝酸塩および亜硝酸塩が無機塩である、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
以下を含む、請求項33に記載の組成物:
約1mg~約800mgの元素金属;および
約30mg~約2000mgの硝酸塩および/または亜硝酸塩。
【請求項37】
少なくとも1種の元素金属が、60~200メッシュサイズの元素マグネシウムである、請求項33~36のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項38】
組成物が、カプセル剤、カシェ剤、錠剤、粉末剤、顆粒剤、ペレット剤、ビーズ剤、粒子剤、トローチ剤、およびパスティーユ剤から選択される剤形である、請求項33~37のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項39】
元素金属が硝酸塩および/または亜硝酸塩と共に包装されている、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
酸をさらに含む、請求項33~39のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項41】
組成物が、約50mg~約20,000mgの量の酸を含む、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
酸が、元素金属および硝酸塩および/または亜硝酸塩とは別に包装される、請求項38~41のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項43】
元素金属、硝酸塩、硝酸塩および酸が固体形態である、請求項33~42のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項44】
胃酸分泌促進剤をさらに含む、請求項33~39のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項45】
胃酸分泌促進剤が胃pHを低下させるのに十分な量である、請求項44に記載の組成物。
【請求項46】
元素金属ならびに硝酸塩および/または亜硝酸塩が徐放性製剤である、請求項33~45のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連アプリケーションとの相互参照
本出願は、2020年11月12日に出願された米国仮特許出願第63/113,114号、2021年2月11日に出願された米国仮特許出願第63/148,517号、および2021年8月13日に出願された米国仮特許出願第63/232,852号の優先権を主張するものであり、これらの各出願の内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、一般に、Covid-19感染症などの呼吸器感染症またはその他の原因のいずれかによって引き起こされるSpO2レベルの異常な低下(例えば、95%未満)に罹患している患者を効果的かつ安全に治療するための経口投与用組成物および関連する使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は、感染症や外傷によって肺が損傷されたときに発症する。ARDSが発症すると、肺の最も細い血管から肺胞に水分が漏れ始め、肺が小さく硬くなります。患者は呼吸がしにくくなり、血液中の酸素量が低下する。体内の酸素が不足すると(低酸素血症)、脳や他の組織に障害が起こり、臓器不全に至る。ARDSの患者さんには、閉鎖された気道を開いて血液中に酸素を取り込み、呼吸しやすくするための助けが必要です。このような理由から人工呼吸器と余分な酸素が使用され、傷害が回復するまで維持される。
【0004】
ARDS生存者の最大25%が、ARDS診断後6ヵ月以内に拘束性肺疾患の生理学的証拠を発症する。より重篤で長期にわたる疾患およびARDSの肺原因は、線維症への進行の危険因子であると考えられている。線維化肺疾患は、ARDSによる呼吸不全の長期化の合併症である可能性がある。ARDS生存者における肺機能検査での異常は通常、時間の経過とともに消失する。しかし、患者の25%まではARDS診断後6ヵ月経過しても拘束性異常が持続し、その多くは画像異常も残存している。これらの所見は線維化と一致する可能性がある。実際、より重症で長期にわたる疾患およびARDSの肺の原因は、線維症への進行の危険因子であると考えられている。
【0005】
コロナウイルス病2019(COVID-19)は伝染性の呼吸器・血管疾患である。具体的には、新型コロナウイルスSARS-CoV-2によって引き起こされる重症急性呼吸器症候群である。一般的な症状としては、発熱、咳、倦怠感、息切れや呼吸困難、胸痛、嗅覚・味覚障害などがあります。COVID-19のもう一つの一般的な症状は血中酸素飽和度の低下で、多くの患者は酸素飽和度が通常の95%~100%の範囲より低い値を示す。重症患者は酸素飽和度が50%以下になり、肺からの酸素供給が低下することで死に至ることもある。
【0006】
ほとんどの人はCOVID-19で軽度の症状を示すが、サイトカインストーム、多臓器不全、敗血症性ショック、血栓によって誘発される可能性のあるARDSを発症する人もいる。ARDSを発症したCOVID-19患者は通常、血中酸素飽和度(SpO2)値を測定することで診断されるが、この値は通常、正常値の95%~100%を下回っている。病院環境では、患者の動脈酸素飽和度(SaO2)を測定することもでき、これは血液サンプルから患者の血液中の酸素ガス量を直接測定する。SaO2の正常値も通常95%~100%である。医療専門家は、SpO2とSaO2の両方を利用して、被験者が低酸素症に苦しんでいるかどうかを判断することができる。臓器(特に肺と心臓)への長期的なダメージが観察されており、急性期から回復したものの、その後数ヵ月にわたってさまざまな影響(重度の疲労、記憶喪失、その他の認知の問題、微熱、筋力低下、息苦しさ、その他の症状を含む)を経験し続ける患者が相当数いることが懸念されている。ARDSを発症したCOVID-19患者の多くはSARS-CoV-2感染から生還するが、その多くは、疲労、 疲労感、運動不能、労働不能、性行為不能、燃え尽き症候群、虚脱、疲労困憊、虚脱感、倦怠感または疲労感、身体的または精神的活動後の症状の悪化(労作後倦怠感としても知られる)などの症状が持続し、肺の障害が長期にわたって続く、思考力や集中力の低下(「ブレインフォグ」と呼ばれることもある)、咳、胸や胃の痛み、頭痛、心臓の鼓動が速い、またはドキドキする(動悸とも表現される)、関節痛、筋肉痛、針が刺さったような感覚(知覚異常)、下痢、睡眠障害、発熱、起立時のめまい(ふらつき)、発疹、気分の変化、嗅覚や味覚の変化(無嗅覚症)、月経周期の変化 。これらの症状はSARS-CoV-2感染後数ヵ月間続くことがある。
【0007】
COVID-19で重症になった人の中には、COVID-19の発病後、症状が数週間から数ヵ月続くなど、より長期にわたって多臓器への影響や自己免疫疾患を経験する人がいる。多臓器への影響は、心臓、肺、腎臓、皮膚、脳の機能など、すべてではないにしても多くの身体系に影響を及ぼす可能性があります。自己免疫疾患は、免疫系が誤って体内の健康な細胞を攻撃し、体の患部に炎症(腫れ)や組織損傷を引き起こすことで起こります。
【0008】
まれではあるが、SARS-CoV-2感染中または感染直後に多系統炎症症候群(MIS)を発症する人(主に小児)がいる。MISは身体の様々な部位が炎症を起こす症状です。多臓器への影響やその他の症状が続くと、MISはCOVID感染後の状態につながる可能性があります。このような症状や診断は数ヵ月間残ることがある。
【0009】
コロナウイルスによる過去の流行は、SARSとMERSの生存者の30%に持続的なX線異常が、15%に持続的な肺の生理的制限がみられたという点で有益である。線維化の危険因子は高齢とICU入室であった。中国の研究では、COVID-19生存者では退院時にX線所見が持続し、肺機能に異常があることが報告されている。COVID-19以前の研究では、ARDS後の線維化は進行しないことが示唆されている。特発性肺線維症(IPF)のような間質性肺疾患でみられる進行ではなく、ARDS後の線維症患者は安定した肺機能障害を示す。同様に、ADS後の線維症に関する研究では、IPFでみられるような急性増悪を報告したものはない。COVID-19のARDSにおける抗線維化薬の研究が提案されつつある。
【0010】
これまでのところ、長期にわたる肺障害に苦しむCOVID-19患者の管理、治療、治癒を成功させる解決策は存在しない。 ワクチン接種に抵抗性や免疫を示すCOVID-19の新しい変異型が開発され、支配的な拡散変異型がより多くの地域に広がっているため、予防、治療、治癒薬、補充製剤の必要性はかつてないほど高まっている。
【0011】
呼吸困難により酸素飽和度が正常値より低くなり(SpO2が95%以下)、喘息発作が重症化すると死に至ることもある。喘息は気道の腫脹を引き起こす。その結果、鼻や口から肺へ空気を運ぶ気道が狭くなる。アレルゲンや刺激物が肺に入ると、喘息の症状が誘発される。喘息発作の症状には、呼吸困難、喘鳴、咳、胸のつかえなどがある。
【0012】
現在、これまで以上に多くのアメリカ人が喘息と診断されており、2020年には約2500万人のアメリカ人が喘息と診断される。これはアメリカ人の約13人に1人に相当し、成人の8%、小児の7%を含む。18歳以上の米国成人の約2,000万人が喘息である。成人では、喘息は男性よりも女性に多い。また、喘息は子どもの慢性疾患のトップでもある。2020年現在、喘息を持つ18歳未満の子どもは約510万人いる。小児では、喘息は女児よりも男児に多い。2019年には、喘息を持つ18歳以下の子どもの44.3%が、過去1年間に1回以上の喘息発作があったと報告している。喘息を持つ5歳以下の子どもの約47.2%がエピソードを有していた。5歳から17歳の子どもたちの間では、喘息は学校を休む原因のトップクラスである。2013年には1,380万日以上の欠席があった。
【0013】
毎日平均10人のアメリカ人が喘息で亡くなっている。2019年には3,524人が喘息で死亡した。これらの死亡の多くは、適切な治療とケアによって回避可能である。大人が喘息で死亡する確率は子供の5倍である。女性は男性よりも喘息で死亡する可能性が高く、男児は女児よりも喘息で死亡する可能性が高い。
【0014】
人種や民族性も、喘息に関連する身体的・社会経済的転帰に影響を及ぼす。実際、喘息の頻度、発病、死亡は、貧困、都市の空気の質、室内アレルゲン、十分な患者教育がなされていないこと、貧弱な医療と大きな関係がある。喘息の罹患率と喘息エピソードの有病率は、アメリカ黒人の間で最も高い。喘息で救急外来を受診する確率は、白人アメリカ人の5倍である。また、喘息が原因で死亡する確率は、白人アメリカ人の約3倍である。子供では、黒人の子供は白人の子供の3倍喘息にかかりやすい。性別を考慮すると、黒人女性が喘息による死亡率が最も高い。2019年、黒人女性が喘息で死亡する確率は白人男性の3倍であった。
【0015】
喘息は、この国で最も一般的で費用のかかる病気のひとつである。2016年、喘息は980万件の診察にかかった。2018年には、喘息は178,530人の入院患者の退院と160万人の救急外来受診を占めた。2008年から2013年までの喘息の年間経済コストは819億ドル以上であり、医療費、仕事や学校の欠席による損失30億ドル以上、喘息関連死亡による290億ドル以上、医療費503億ドル以上であった。喘息の1人当たりの年間医療費増分は3,266ドル(2015年米ドル換算)であった。
【0016】
喘息は適切な予防によって管理することができ、発作が起きれば気管支拡張剤の吸入で治療できるが、喘息を完治させる方法はない。残念ながら、吸入薬は喘息に伴う胸の不快感を解消するものではなく、ステロイド吸入薬にも気管支拡張薬吸入薬にも多くの副作用がある。 喘息を管理するために吸入器を使用するその他の欠点としては、入手が困難であること、一日に何度も服用する必要があること、フライトの安全上の理由から旅行時に手荷物として持ち込めないことなどが挙げられる。そのため、喘息発作の症状を改善する別の方法が必要とされている。
【0017】
酸素飽和度を低下させる可能性のあるその他の病気には、 慢性閉塞性肺疾患(COPD)、中皮腫、貧血、喘息、肺の血栓(肺塞栓症)、肺虚脱、先天性心疾患、肺水腫(肺水腫)などがある、高山病、間質性肺疾患、呼吸数を低下させる薬剤(一部の麻薬や麻酔薬など)、二酸化窒素ガスなどの毒性物質による肺の炎症、肺の瘢痕化(肺線維症)、睡眠時無呼吸症候群 、肺炎。COVID-19後の患者が経験する慢性低酸素症(数週間から数ヵ月にわたってSpO2が95%未満になることを特徴とする)は、他の疾患や状態と同様に、他の多くの疾患を引き起こす可能性がある。例えば、慢性低酸素症は血圧を上昇させることが知られている(Calbet, 「Chronic hypoxia increases blood pressure and noradrenaline spillover in healthy humans」, J Physiol:379-386).慢性的な低酸素症によって引き起こされるその他の症状には、うつ病やその他の気分障害、疲労、頭痛、錯乱、高血圧(高血圧症)、肺高血圧症、心拍数増加(頻脈)、心不全、急性呼吸不全、二次性多血症(赤血球数の異常な増加)などがあるが、これらに限定されるものではない。したがって、低酸素症を治療すれば、これらの症状のいずれかを予防、治療、治癒できる可能性がある。
【0018】
低酸素症に苦しむ患者を治療する効果的で安全な方法、できれば入院患者や在宅環境で、管理しやすい費用で、複雑な装置や特殊なもの(ペルオ(経口摂取)投与治療など)を必要としない方法が、COVID-19の時代には切実に欠けており、切実に必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
概要
一般に、本開示は、有効量の元素金属を被験体に投与することと、有効量の硝酸アニオン(NO3-)源を被験体に投与することと、を含む呼吸器疾患を処置する方法に向けられている。いくつかの局面において、対象は、元素金属および硝酸アニオン(NO3-)の供給源を含む組成物を投与される。いくつかの態様において、亜硝酸イオン(NO2-)の量が、硝酸イオンと組み合わせて、あるいは亜硝酸イオンの代わりに投与される。 元素金属は、アルカリ土類金属、アルカリ金属、または遷移金属である。いくつかの実施形態において、元素金属は、元素マグネシウム、元素カルシウム、元素リチウム、元素亜鉛、または元素鉄である。好ましい実施形態において、元素金属は、金属(非荷電)マグネシウムおよび/または亜鉛である。いくつかの態様において、硝酸アニオンの供給源は硝酸の塩、例えば硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、または硝酸マグネシウムである。さらに他の態様では、硝酸アニオンの供給源は植物性硝酸塩供給源である。亜硝酸アニオンの供給源も処方中に添加される場合、それは亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウムなどの様々な亜硝酸塩の形態であってもよく、あるいは硝酸還元細菌によって亜硝酸塩に還元された発酵植物硝酸塩からであってもよい。硝酸の希薄溶液もまた利用され得るが、その腐食作用および硝酸の化学的不適合性および硝酸溶液が二酸化窒素ガスを発生させる能力のような他の非実用的な懸念のために、好ましくない。特定の実施態様において、組成物は酸をさらに含む。
【0020】
いくつかの実施態様において、および本開示の例示的な目的のために、本方法は、少なくとも1つの元素金属をヒト被験体に経口投与すること;および硝酸塩(NO )、亜硝酸塩(NO )、またはその両方をヒト被験体に経口投与することを含む。元素金属は、以下からなる群から選択される:元素マグネシウム、元素カルシウム、元素リチウム、元素亜鉛、元素ナトリウム、元素カリウム、元素ベリリウム、元素ルビジウム、元素セシウム、元素アルミニウム、元素ガリウム、元素インジウム、元素スズ、元素ビスマス、元素スカンジウム、元素チタン、元素バナジウム、元素クロム、元素マンガン、元素コバルト、元素マンガン、元素スカンジウム、元素チタン、ニッケル、元素状銅、元素状亜鉛、元素状イットリウム、元素状ジルコニウム、元素状ニオブ、元素状モリブデン、元素状テクネチウム、元素状ルテニウム、元素状ロジウム、元素状パラジウム、元素状銀、元素カドミウム、元素ランタン、元素ハフニウム、元素タンタル、元素タングステン、元素レニウム、元素オスミウム、元素イリジウム、元素白金、元素金、元素マンガン。
【0021】
特定の実施態様には、以下のうちの1つまたは複数、あるいはすべてを含めることができる。
【0022】
さらに、ヒト被験体に薬学的に有効な量の酸を経口投与する。
【0023】
硝酸塩および/または亜硝酸塩を投与し、酸としてクエン酸を投与する。 硝酸カリウムおよび/または亜硝酸カリウムを投与する。
【0024】
ヒト対象は、約95%未満または約92%未満の血中酸素飽和度レベル(SpO2レベル)を有する。 ヒト対象への少なくとも1種の元素金属と硝酸塩および/または硝酸塩の経口投与は、最初の経口投与から1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、12時間、24時間、36時間、48時間、72時間、または96時間以内に繰り返される。 ヒト被験体のSpO2レベルが約95%または約92%を下回ったときに、ヒト被験体に少なくとも1つの元素金属を経口投与する。
【0025】
ヒト被験体のSpO2レベルは、少なくとも1種の元素金属と硝酸塩および/または亜硝酸塩の投与後、約5分~約2.5時間以内に少なくとも約1%上昇する。
【0026】
ヒト被験体のSpO2は、少なくとも1種の元素金属と硝酸塩および/または亜硝酸塩の投与後、約5分~約2.5時間以内に少なくとも約94%まで上昇する。
【0027】
ヒト被験体のSpO2は、少なくとも1種の元素金属と硝酸塩および/または亜硝酸塩の投与後、約5分~約2.5時間以内に少なくとも約95%まで上昇する。
【0028】
被験者はコロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患している。
【0029】
SARS-CoV-2感染からの回復後の低酸素症。
【0030】
ヒト被験体は、以下からなる群より選択される状態を有する:SARS-Cov-2感染、コロナウイルス疾患(COVID-19)後の低酸素症、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、ARDS後の低酸素症、肺炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、中皮腫、貧血、喘息、肺塞栓症、肺虚脱、先天性心欠陥または疾患、肺水腫、高山病、間質性肺疾患、低呼吸数、肺炎、肺線維症、睡眠時無呼吸、胃腸感染、ヘリオバクター・ピロリ感染、および呼吸器感染。 ヒト被験体がウイルス性呼吸器感染症である。被験者が低酸素症である。
【0031】
ヒト被験体は、以下からなる群より選択される少なくとも1つの症状を示す:組織損傷、筋肉痛、体の痛み、疲労、咽頭痛、息切れ、呼吸困難、胸痛、肺炎、咳、発熱、無酸症、味覚異常、副鼻腔充血、鼻水、血中酸素飽和度の低下、頭痛、胃腸障害、吐き気、嘔吐、下痢、疲労感、運動不能、労働不能、性行為不能、燃え尽き症候群、虚脱、疲労困憊、のぼせ倦怠感、衰弱、疲労感、身体的・精神的活動後の症状の悪化、思考力・集中力の低下、咳、胃痛、心臓の鼓動が速い、またはドキドキする、関節痛、ピンと針が刺すような感覚、睡眠障害、起立時のめまい、発疹、気分の変化、気分障害、月経周期の変化、高血圧、うつ病、心拍数の増加、心不全、急性呼吸不全。 組織損傷が脳、心臓、肺および/または腎臓である場合。少なくとも1つの元素金属と硝酸塩および/または亜硝酸塩の投与が、ヒト被験体における少なくとも1つの症状を緩和する。
【0032】
ヒト被験体は、少なくとも1つの元素金属および硝酸塩を含む組成物を経口投与され、組成物は、少なくとも1つの元素金属約1mg~約2000mgおよび硝酸塩約30mg~約4000mgを含む。 ここで、組成物は元素マグネシウムおよび/または元素亜鉛を含む。
【0033】
ヒト被験者には、約1200mgの硝酸カリウム;約200mgの元素マグネシウム;および約50mgの元素亜鉛を含む組成物が経口投与される。 組成物が、約1000mgのクエン酸をさらに含む。組成物が1つまたは複数のカプセルで提供される。カプセルが0以下のサイズを有する。元素金属マグネシウムが60~200のメッシュサイズを有し、元素金属亜鉛が325以下のメッシュサイズを有する。
【0034】
ヒト被験者には亜硝酸塩が投与され、その投与量は約5mg~約300mg、約10mg~約200mg、または約30mg~約100mgである。
【0035】
亜硝酸塩を経口投与してもメトヘモグロビン血症は発症しない。
【0036】
さらに、ヒト被験体に少なくとも1つの胃酸分泌促進剤を経口投与すること。ここで、少なくとも1つの胃酸分泌促進剤が、カフェイン、テオフィリン、テオブロミン、エタノール溶液、ペンタガストリン、およびコリン作動性薬剤からなる群より選択される。ここで、エタノール溶液が、2%~14%のエタノールを有する。 ここで、コリン作動性薬剤が、アセチルコリンおよびピロカルピンから選択される。
【0037】
ヒト被験者には、少なくとも1種の元素金属と硝酸塩および/または亜硝酸塩を含む組成物が投与され、組成物は徐放性製剤である。
【0038】
いくつかの実施態様において、および本開示の例示的な目的のために、ヒトが消費するための組成物は、以下を含む:35メッシュサイズ以上の少なくとも1つの元素金属であって、元素金属は、元素マグネシウム、元素カルシウム、元素亜鉛、元素銅、および元素鉄からなる群から選択される、元素金属;ならびに硝酸塩(NO )、亜硝酸塩(NO )、またはその両方。
【0039】
特定の実施態様には、以下のうちの1つまたは複数、あるいはすべてを含めることができる。
【0040】
元素金属のメッシュサイズは40以上。
【0041】
硝酸塩と亜硝酸塩は無機塩である。
【0042】
組成物は、約1mg~約800mgの元素金属;および約30mg~約2000mgの硝酸塩および/または亜硝酸塩を含む。
【0043】
少なくとも一つの元素金属は、60から200の間のメッシュサイズの元素マグネシウムである。
【0044】
組成物は、カプセル、キャッシェ、錠剤、粉末、顆粒、ペレット、ビーズ、粒子、トローチ、パスティーユから選択される剤形である。元素金属は、硝酸塩および/または亜硝酸塩とともに包装される。
【0045】
組成物は、酸をさらに含む。組成物が、約50mg~約20,000mgの量の酸を含む。酸が、元素金属および硝酸塩および/または亜硝酸塩とは別に包装されている。
【0046】
ここで、元素金属、硝酸塩、硝酸塩および酸は固体状である。
【0047】
組成物は、胃酸分泌促進剤をさらに含む。ここで、胃酸分泌促進剤は、胃pHを低下させるのに十分な量である。
【0048】
元素金属と硝酸塩および/または亜硝酸塩は徐放性製剤である。
図面の簡単な説明
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1図1は、実験でテストされた3つの異なる形態の元素マグネシウムを示している。
【0050】
図2-1】図2Aは、マグネシウム粉末の500倍の拡大画像である。 図2Bは、マグネシウム粉末と酸性化した水(100mlの水に1000mgのクエン酸)の10秒間の反応を500倍の倍率で示したものである。
図2-2】同上。
【0051】
図3-1】図3Aは、マグネシウム顆粒を500倍に拡大した画像である。 図3Bは、マグネシウム顆粒をマイクロメーターで500倍に拡大した像である(各刻み目=0.1mm)。 図3Cは、マグネシウム顆粒と酸性水(100mlの水に1000mgのクエン酸)の10秒後の反応を500倍の倍率で示したものである。
図3-2】同上。
【0052】
図4-1】図4A~4Cは、マグネシウム粉塵(図4A)、マグネシウム粉末(図4B)、およびマグネシウム顆粒(図4C)の500倍拡大図を、マイクロメーター定規(各刻み目は0.1mm)を介して比較したものである。
図4-2】同上。
【0053】
図5-1】図5Aは500倍のマグネシウム粉塵。 図5Bは、マグネシウム粉塵を500倍に拡大し、マイクロメーターで測定したものである(各圧痕=0.1mm)。 図5Cは、マグネシウム粉塵と酸性水(100mlの水に1000mgのクエン酸)を10秒間反応させた状態を500倍の倍率で示したものである。
図5-2】同上。
【0054】
図6図6Aは、試験中の酸素飽和度の個々の変化を示す。各線は異なる患者を表す。 図6Bは、試験中の患者の平均血中酸素飽和度を示す。エラーバーは標準誤差を示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
詳細
本開示の詳細な態様および応用については、以下の技術の詳細な説明において説明する。特に断らない限り、本明細書および特許請求の範囲に記載される語句は、適用される技術分野における通常の知識を有する者にとって、平易な、通常の、慣用的な意味を与えられることが意図される。
【0056】
以下の説明では、説明のために、本開示の様々な態様を十分に理解できるように、多数の具体的な詳細を記載する。しかしながら、関連技術分野の当業者には、本明細書に開示された技術の実施は、これらの具体的な詳細がなくても実施され得ることが理解されるであろう。開示された技術が適用され得る多くの異なる代替的な構成、装置および技術が存在することに留意すべきである。本明細書に開示される技術の全範囲は、以下に記載される実施例に限定されない。
【0057】
単数形 「a」、「an」、「the」は、文脈から明らかにそうでないと判断される場合を除き、複数形の参照語を含む。したがって、例えば、「あるステップ」への言及は、そのようなステップの1つ以上への言及を含む。
【0058】
本明細書では、「約」という用語は、与えられた値の5%以下の偏差、例えば与えられた値の3%、2%、1%、0.
【0059】
本明細書において互換的に使用される「予防」、「予防する」、および/または「予防する」は、呼吸器疾患または疾病の進行を遅らせる、中断する、阻止する、制御する、停止する、症状または合併症を緩和する、または逆転させる、すべてのプロセスを指すことを意図している。
【0060】
本明細書において互換的に使用される場合、「治療」および/または「処置」および/または「処置」は、呼吸器疾患または疾病の進行を遅らせる、中断する、阻止する、制御する、停止する、症状または合併症を緩和する、または逆転させる、すべてのプロセスを指すことが意図される。
【0061】
本明細書で使用される場合、「許容可能な」という用語は、最も広い意味で使用される表現であり、食品医薬品局(FDA)の基準、米国薬局方(USP)の基準、食品グレードの材料に関する米国農務省(USDA)の基準、栄養補助食品業界で一般的に受け入れられている基準、業界基準、植物学的基準、または任意の認められた組織によって確立された基準を満たす組成物の成分を表すことができる。これらの規格は、食用性、毒性、薬理学的効果、または組成物の実施に使用される化学物質、組成物、または調製物の他の側面など、組成物の成分の側面の許容範囲を規定することができる。
【0062】
本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は、成分または構成成分の混合物、ならびに異なる成分または構成成分を含むカプセルまたは錠剤の組み合わせの両方を指す。従って、特定の実施形態において、組成物は、一緒に包装され、一緒に服用されることを意図される別々のカプセル、錠剤または他の剤形を包含する。 例えば、硝酸塩/亜硝酸塩成分および元素金属成分は、別々のカプセル、錠剤などに含まれ得る。
【0063】
本明細書で使用する場合、「元素金属」という用語は、金属元素の中性-荷電状態、言い換えれば、塩形態または荷電形態ではない元素形態の金属を指す(非限定的な例示的塩形態および荷電形態には、金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、塩化物、乳酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、グリシン酸塩、およびグルコン酸塩が含まれる)。このように、本明細書で使用する場合、元素金属と同じ金属の塩は異なる成分である。明確には、本明細書で使用する場合、元素金属(すなわち、電荷を帯びていない金属形態)と、同じ金属のイオン(電荷を帯びた)形態(塩、酸化物、水酸化物など)は、異なる成分である。組成物が元素金属からなるという記述は、金属塩の存在では満たすことができず、その逆も同様である。例えば、クエン酸マグネシウムからなる組成物は、クエン酸マグネシウムがある程度の量の元素マグネシウムを提供するという記述にもかかわらず、元素マグネシウムからなる組成物ではない。本明細書に記載の元素金属には、元素マグネシウム、元素カルシウム、元素リチウム、元素亜鉛、元素ナトリウム、元素カリウム、元素ベリリウム、元素ルビジウム、元素セシウム、元素アルミニウム、元素ガリウム、元素インジウム、元素スズ、元素ビスマス、元素スカンジウム、元素チタン、元素バナジウム、元素クロム、元素マンガン、元素コバルト、元素マンガン、元素スカンジウムが含まれる、元素チタン、元素ニッケル、元素銅、元素亜鉛、元素イットリウム、元素ジルコニウム、元素ニオブ、元素モリブデン、元素テクネチウム、元素ルテニウム、元素ロジウム、元素パラジウム、元素銀、元素カドミウム、元素ランタン、元素ハフニウム、元素タンタル、元素タングステン、元素レニウム、元素オスミウム、元素イリジウム、元素白金、元素金、元素マンガン、元素鉄。呼吸器疾患の治療のための好ましい組成物では、元素状金属は、元素状金属マグネシウムおよび元素状金属亜鉛の群から選択される。
【0064】
いくつかの態様において、本開示は、呼吸器疾患を有する被験体に硝酸アニオン源(NO )および元素金属を経口投与すると、呼吸器疾患に関連する症状を軽減または緩和できるという発見に関する。驚くべきことに、COVID-19と診断された被験者に硝酸アニオン源(NO )と元素状金属を投与すると、胸痛、発熱、筋肉痛、咳、呼吸困難、息切れなどの症状が緩和されることが発見された。ある実施態様では、被験者に硝酸カリウム(KNO )、元素マグネシウム、元素亜鉛からなるカプセルを投与したところ、血中酸素飽和度が低下(90~92%)した。カプセルを摂取してから30分以内に、被験者は息切れ、胸痛、呼吸困難が非常に楽になったと報告した。血中酸素飽和度も30分以内に97%まで上昇した。血中酸素飽和度に対する効果は、カプセルを摂取してから4時間後には減少したが、2回目のカプセルの投与により、被験者の酸素飽和度レベルは正常値(97%と100%の間)に回復した。いくつかの実施形態では、硝酸陰イオン源と元素金属を呼吸器疾患の被験者に投与することにより、呼吸器疾患からの回復を早めることができる。
【0065】
硝酸塩単独を409mgと479mgの用量で利用した以前の実験では、酸素飽和度の上昇が得られなかったことから、これらの結果は非常に驚くべきものであった(Rosettiら、「Dietary nitrate supplementation increases acute mountain sickness severity and sense of effort during hypoxic exercise」、J Appl Physiol (1985), 2017, 123(4):983-992, Barlowら, 「The effect of a dietary nitrate supplementation in a single shot of beetroot juice on static and dynamic apnea performance」 J Sport Nutr Exerc Metab, 2018, 28(5):497-501).また、元素金属と硝酸アニオンの供給源の組み合わせは、一酸化窒素ガスを瞬時に発生させるだけでなく、一酸化窒素の肺排泄を増加させることも発見された。この組み合わせの投与は、数分以内にレッグプレスの重量と疲労困憊するまでの時間を増加させる効果があった。また、この組み合わせをテストした被験者は、身体活動中に息がしやすくなったと感じたと報告している。このように、元素金属と硝酸アニオンの供給源を組み合わせて投与することで、酸素飽和度の低下、呼吸困難、胸痛、息切れに悩む被験者を救済することができる。
【0066】
本開示は、一酸化窒素(NO)を生成するために使用される元素金属のメッシュサイズが、溶液中で酸と硝酸アニオンを組み合わせたときに、生成され、NO療法を必要とする被験者に投与されるNOの治療効果に影響を及ぼすという発見に関する。
【0067】
メッシュ」という用語は研磨粒子の大きさを表す。粒子のメッシュサイズ(または等級)が報告される場合、そのメッシュサイズまたは等級の粒子の平均または平均直径が報告される。粒子のメッシュサイズに関して2つの数字が使用されている場合、これはそのグレードの製品に含まれるすべての粒子がそのメッシュサイズの範囲内にあることを示します(メッシュサイズ80~100など)。
【0068】
米国メッシュサイズ(または米国ふるいサイズ)は、スクリーンの1平方インチにある開口部の数として定義されます。例えば、サイズ36メッシュのスクリーンには36個の開口部があり、サイズ150メッシュのスクリーンには150個の開口部があります。スクリーンの大きさ(1平方インチ)は一定であるため、メッシュ番号が高いほどスクリーンの開口部が小さくなり、より小さな粒子を指すことになる。一般に、米国のメッシュ・サイズは、サイズ325メッシュ(1平方インチに325の開口部)までのスクリーンを使って測定される。製品のメッシュサイズは、マイナス(-)またはプラス(+)の記号で表記されることもあります。これらの記号は、粒子がすべてメッシュサイズより小さい(-)か、すべてメッシュサイズより大きい(+)ことを示しています。例えば、-100メッシュと表示された製品には、100メッシュのスクリーンを通過した粒子のみが含まれます。100メッシュの等級は、100メッシュのスクリーンを通過しなかった粒子を含む。製品の等級がダッシュまたはスラッシュで表記されている場合は、その製品が2つのメッシュサイズ内に粒子を含んでいることを示します。例えば、30/70または30-70等級は、30メッシュより小さく70メッシュより大きい粒子のみを含んでいます。
【0069】
表1はメッシュの換算表で、さまざまなメッシュ・サイズのおおよそのサイズをインチとミクロンで表しています。これらの数値は一般に正確なものとして認められているが、特定のスクリーンを作るために使用されるワイヤーの太さによって、1平方インチの開口部の数が変わるため、概算値である。325メッシュ以下のほとんどの等級は、スクリーンを使用して製造されていないため、ミクロン・サイズで表示されています。
【表1】
【0070】
少なくとも1種の元素金属と硝酸アニオン(NO3-)または亜硝酸アニオン(NO2-)の供給源からなる組成物の投与後に経験される副作用(胃腸障害、吐き気、嘔吐、胸焼けなど)の量を制限しながら、メッシュサイズが35より大きく325以下の元素金属が最も治療効果をもたらすことが驚くべきことに発見された。金属と、硝酸イオンまたは亜硝酸イオンおよび酸との反応性に応じて、異なるメッシュサイズが好ましい場合があるが、一般に、マグネシウムおよび亜鉛の場合、40~325のメッシュサイズがより優れた治療効果をもたらし、マグネシウムの最適なメッシュサイズは60~200(一般にマグネシウム金属粉末と呼ばれるもの)であり、亜鉛の最適なメッシュサイズは325以上(一般に亜鉛ダストと呼ばれるもの)である。いくつかの態様において、元素金属と硝酸塩および/または亜硝酸塩の組成物の投与は、メッシュサイズ35以上の少なくとも1つの元素金属を被験体に経口投与することと、硝酸塩および/または亜硝酸アニオンの供給源を被験体に経口投与することとを含む。いくつかの他の態様において、組成物の投与は、メッシュサイズ35以上の少なくとも1つの元素金属を被験体に経口投与することと、硝酸塩および/または亜硝酸アニオンの供給源および酸(クエン酸など)を被験体に経口投与することとを含み、酸は好ましくは別個の投与形態(カプセル、粉末または錠剤のような)である。 元素金属と硝酸塩または亜硝酸アニオンの組成物、または元素金属と硝酸塩および/または亜硝酸アニオンと酸(クエン酸など)の組成物の投与は、覚醒度、エネルギーレベルを改善し、頭痛/片頭痛を治し、筋力および持久力の増加によって示される運動能力を増加させた、また、元素金属のメッシュサイズが40~325でない組成物の投与よりも、投与後短期間で呼吸器疾患の症状(例えば、息切れ、呼吸障害、胸痛、肺の炎症および/または酸素飽和度の低下)を軽減した。被験者はまた、元素金属と硝酸イオンもしくは亜硝酸アニオンとの組成物、または元素金属と硝酸イオンもしくは亜硝酸アニオンと酸(クエン酸など)との組成物であって、元素金属のメッシュサイズが40~200の間である組成物を投与された場合に、呼吸器症状のより大きな緩和を経験した。いくつかの実施形態において、組成物の摂取に関連する胃腸の副作用(例えば、胃腸障害、下痢、吐き気、胸焼けおよび嘔吐)は、組成物が35を超えるメッシュサイズの元素金属を含む場合に低減した。
【0071】
いくつかの実施態様では、硝酸塩/亜硝酸塩成分(単数または複数)と元素金属成分(単数または複数)は、経口剤形として別々のカプセル、錠剤などに入っている。
【0072】
本発明者らが発見した、副作用の発生を防ぐことができる他の方法には、以下のようなものがある:
-カプセルを十分な量の水、好ましくは冷水(室温以下)で、少なくとも500mlの量で摂取する;
-絶食状態(胃の中に食べ物がない状態、通常少なくとも8時間食べ物の摂取を控える)でカプセルを摂取することを避ける。
-製剤摂取後に極度の不快感がある場合は、牛乳または他の中性~アルカリ性製品を摂取すること。
【0073】
実施例に示されるように、ヒトの胃で安全に達成可能な酸性条件下では、粒状マグネシウムは反応が遅すぎて、評価可能/観察可能な治療効果を達成するにはNOをほとんど生成しない。NOガスが身体に対して系統的な効果を有し得るか、または肺に到達し得るメカニズムは知られていないが、胃におけるNOガス産生の減少が、摂取された製剤の治療効果の減少または欠如と相関することが本発明者らによって観察された。また、低メッシュの粒状マグネシウムが胃を出て浪費される前に十分に反応できない可能性も懸念される。これを証明するために、本発明者らは、模擬胃酸液(100mlの0.1N塩酸水溶液)中に200mgの粒状(メッシュサイズ35)元素金属マグネシウムと1000mgのクエン酸を添加した。正常な胃排出条件下では、摂取した化合物/食事の2時間後の胃内存在率は60%未満、4時間後の胃内存在率は10%未満である(Banks KP, Syed K, Parekh M, et al.[2020年12月22日更新)。In:StatPearls [Internet] Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2021 Jan-.Available from: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK531503/)。 4時間後でも、ビーカーの底に元素金属マグネシウムの顆粒を発見することができた。一方、マグネシウムの粉塵は、硝酸塩および酸との反応が速すぎて、NO(それ自体で100ppm以上の有毒性)が生成され、それも急速に酸化して、非常に有毒で致死的なNO になる可能性がある。 マグネシウムの粉塵を使った実験では、非常に多くのNOとNO が生成され、生成されたガスが両方のガスセンサーを1分以内にチャンバー内の最大毒性レベルまで押し上げた(NO 250 ppm、NO 100 ppm )。また、溶液は急速に熱を帯び(100mlの溶液は周囲温度30℃から80℃以上に達した)、胃の上皮などの組織に損傷や火傷を引き起こした。このように、マグネシウムの粉塵は人間にとって毒性があり、治療用としては不適切である。一方、マグネシウム粉末(メッシュサイズ60~200)は、1時間以上持続的にNOを生成し、NO生成ゼロで最高濃度39.8ppmのNOを達成した 。これは、これまで治療薬では考えられなかった新しい科学的ブレークスルーである。 亜鉛はマグネシウムよりも反応性が低いため、粉塵のメッシュサイズ(325メッシュ)で使用され、4時間以上持続的にNOを産生することができる(これは、開示された治療用組成物を投与する間に推奨される時間の1つである)。
【0074】
したがって、本明細書に開示されるのは、35を超えるメッシュサイズの元素金属と、硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオンの供給源とを含む組成物である。いくつかの態様において、元素金属のメッシュサイズも200未満である。例えば、特定の実施態様において、組成物は、40と200との間のメッシュサイズを有する元素金属と、硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオンの供給源とを含む。いくつかの実施態様において、硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオンの供給源は、硝酸塩または亜硝酸塩、例えば硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、アミノ酸硝酸塩、亜硝酸カリウム、亜硝酸アミノ酸または硝酸ナトリウムである。他の実施態様において、硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオンの供給源は、植物性供給源、例えば、ビートルート抽出物またはアマランサス抽出物である。
【0075】
本明細書に開示されるのは、有効量の元素金属を被験体に投与し、有効量の硝酸アニオン源を被験体に投与することを含む、呼吸器疾患を治療するための方法である。いくつかの実施態様において、対象は、元素金属および硝酸アニオン源を含む組成物を投与される。いくつかの実施態様において、対象には酸も投与される。酸は、請求される組成物の摂取時の胃のpHが酸性のままであることを確実にするために投与される。いくつかの実施態様において、酸は、元素金属および硝酸アニオンの供給源とは別の組成物で投与される。従って、いくつかの実施態様において、対象は、元素金属および硝酸アニオンの供給源を含む第1の組成物および酸を含む第2の組成物を投与される。従って、対象は、元素金属および硝酸アニオン源を含む剤形(例えば、カプセル、錠剤、または錠剤)と、酸を含む別の剤形(例えば、カプセル、錠剤、または錠剤のような固体形態または液体形態)とを含む治療レジームを投与される。他の実施態様では、元素金属、硝酸アニオン源、および酸は、これら3つの構成要素からなる剤形(例えば、カプセルまたは錠剤)で投与される。特定の実施形態では、硝酸アニオンの供給源を投与する代わりに、亜硝酸アニオンの供給源が投与される。他の実施形態では、被験体は、硝酸アニオンの供給源と亜硝酸アニオンの供給源の両方を投与される。
【0076】
特定の実施態様において、対象は、息切れ、呼吸障害、胸痛、肺の炎症、および酸素飽和度の低下からなる群から選択される少なくとも1つの症状を示す。いくつかの態様において、対象は呼吸器感染症を有する。 いくつかの態様において、対象は、ウイルス感染および/または細菌感染を有する。例えば、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、肺炎球菌、インフルエンザ菌b型(Hib)、および/またはニューモシスティス・ジロヴェシによる感染症である。いくつかの実施態様において、対象は、コロナウイルス、例えば、299EおよびNL63から選択されるアルファコロナウイルス、またはOC43、HKU1、MERS-CoV、SARS-CoV、またはSARS-CoV-2から選択されるベータコロナウイルスによって引き起こされる肺炎または重症急性呼吸器症候群と診断される。いくつかの態様において、有効量の元素金属および有効量の硝酸アニオン源を投与することは、被験体における息切れ、呼吸障害、胸痛、肺の炎症および/または酸素飽和度の低下の症状を軽減する。特定の実施態様において、元素金属および硝酸アニオンの供給源は、被験体に4時間ごとに投与される。いくつかの態様において、反復投与は、症状の少なくとも1つが消失するまで、例えば、少なくとも2日間または4日間継続する。
【0077】
他の局面では、対象はアスペルギルス症のような呼吸器真菌感染症を有する。いくつかの態様において、対象は、原虫呼吸器感染症および実質への直接的損傷(例えば、トキソプラズマ症);血行性播種による全身性炎症反応(例えば、マラリア);および隣接病変との連続性(例えば、アメーバ症)などの症状を有する。いくつかの態様において、対象は、二酸化窒素などの毒性物質による肺の炎症を有する。いくつかの態様において、対象者は、原因不明の肺の炎症およびその後の呼吸障害を有することがある。
【0078】
特定の実施態様において、対象は、息切れ、呼吸障害、胸痛、肺の炎症、および酸素飽和度の低下からなる群から選択される少なくとも1つの症状を示す。いくつかの態様において、対象は呼吸器感染症を有する。例えば、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、肺炎球菌、インフルエンザ菌b型(Hib)、および/またはニューモシスティス・ジロヴェシによる感染症である。いくつかの実施態様において、対象は、コロナウイルス、例えば299EおよびNL63から選択されるアルファコロナウイルス、またはOC43、HKU1、MERS-CoV、SARS-CoV、またはSARS-CoV-2から選択されるベータコロナウイルスによって引き起こされる重症急性呼吸器症候群と診断される。いくつかの態様において、有効量の元素金属および有効量の硝酸イオン源または亜硝酸アニオンを投与することは、被験体における息切れ、呼吸障害、胸痛、肺の炎症および/または酸素飽和度の低下の症状を軽減する。特定の実施態様において、元素金属および硝酸イオン源または亜硝酸アニオンは、被験体に4時間ごとに投与される。 しかしながら、投与の頻度は、用量の効力に依存する。例えば、投与頻度および/または投与量は、疾患および症状の重症度の進行に応じて、または監督する医療専門家の指示に従って変更することができる。例えば、COVID-19の早期発症で症状が軽い(SpO2が93~94の間)患者は、半量または4~8時間ごとの投与が必要かもしれない。重度のCOVID-19症例で、肺の損傷が広範囲に進行している場合(SpO2が85以下)には、2倍の投与量、または2時間ごと、あるいはそれ以上の投与が必要になることがある。いくつかの態様において、反復投与は、症状の少なくとも1つが消失するまで、例えば、少なくとも2日間または4日間またはそれ以上継続する。
【0079】
また、被験体において血中酸素飽和度を増加させる方法;被験体において咳を軽減させる方法;被験体において片頭痛および頭痛の痛みを軽減させる方法;被験体において胃腸障害(例えば、下痢、吐き気および/または嘔吐、ヘリコバクター・ピロリ感染、潰瘍、または過敏性腸症候群)を軽減させる方法;被験体において発熱を軽減させる方法が開示される;被験者の息切れまたは呼吸困難を軽減する;被験者の筋肉痛および身体痛を軽減する;被験者の嗅覚および味覚の喪失を軽減する;被験者の咽頭痛を軽減する;被験者の鼻づまりまたは鼻水を軽減する;被験者の疲労を軽減する;被験者の胸痛を軽減する;および被験者の血中酸素濃度低下による臓器障害を軽減する。
【0080】
元素金属は、アルカリ土類金属、アルカリ金属、または遷移金属である。元素金属は反応性であるため、自然界には存在しない。むしろ、塩や酸化物のような様々な金属化合物の混合物を含む鉱石として存在する。そのため、元素金属を製造するには、物理化学的方法を利用した複雑な抽出と精製が必要である。 一部の実施形態では、元素状金属は、元素状マグネシウム、元素状カルシウム、元素状リチウム、元素状亜鉛、元素状ナトリウム、元素状カリウム、元素状ベリリウム、元素状ルビジウム、元素状セシウム、元素状アルミニウム、元素状ガリウム、元素状インジウム、元素状スズ、元素状ビスマス、元素状スカンジウム、元素状チタン、元素状バナジウム、元素状クロム、元素状マンガン、元素状コバルト、元素状マンガン、元素状スカンジウムである、元素チタン、元素ニッケル、元素銅、元素亜鉛、元素イットリウム、元素ジルコニウム、元素ニオブ、元素モリブデン、元素テクネチウム、元素ルテニウム、元素ロジウム、元素パラジウム、元素銀、元素カドミウム、元素ランタン、元素ハフニウム、元素タンタル、元素タングステン、元素レニウム、元素オスミウム、元素イリジウム、元素白金、元素金、元素マンガンまたは元素鉄。いくつかの実施形態において、元素金属は、元素マグネシウム、元素カルシウム、元素リチウム、元素亜鉛、および元素鉄からなる群より選択される。いくつかの実施形態において、対象は、元素金属の組み合わせを投与される。したがって、いくつかの態様において、被験体に投与される組成物は、複数の元素金属を含む。元素金属は、例えば粉末や顆粒など、硝酸塩および酸と結合する前に金属が帯電していないままの任意の形態であってよい。
【0081】
いくつかの態様において、硝酸アニオン(NO )は、アミノ酸もしくはアミノ酸またはアミノ酸誘導体の硝酸塩(例えば、硝酸クレアチン、硝酸アルギニン、硝酸カルニチン、硝酸n-アセチルカルニチン、硝酸シトルリン、硝酸ベタイン、および硝酸プロリン)、無機硝酸塩(例えば、硝酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸カルシウムおよび硝酸リチウム、またはそれらの混合塩、共結晶製剤および水和物)、または天然硝酸塩源。天然硝酸塩源の場合、硝酸塩は植物性硝酸塩源などの天然源から濃縮および/または単離されたものである。天然硝酸塩源の例としては、ビートジュース、ビートジュースパウダー、濃縮ビートジュースパウダー、セロリパウダー、ホウレンソウおよび赤ホウレンソウエキス、アマランサスエキスが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施態様において、天然硝酸塩源の硝酸塩含量は、十分な量の硝酸塩を提供するように標準化される。いくつかの態様において、組成物は1種以上の硝酸アニオン源を含む。
【0082】
いくつかの態様において、亜硝酸アニオン(NO )は、アミノ酸またはアミノ酸誘導体の亜硝酸塩(例えば、亜硝酸クレアチン、亜硝酸アルギニン、亜硝酸カルニチン、亜硝酸n-アセチルカルニチン、亜硝酸シトルリン、亜硝酸ベタイン、および亜硝酸プロリン)、無機亜硝酸塩(例えば、亜硝酸マグネシウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸カルシウムおよび亜硝酸リチウム、またはそれらの混合塩、共結晶製剤および水和物)、または天然亜硝酸塩源。天然亜硝酸塩源の場合、亜硝酸塩は、植物性亜硝酸塩源などの天然源から濃縮および/または単離されたものである。
【0083】
いくつかの実施形態において、元素金属および硝酸アニオンおよび/または亜硝酸アニオンは、NOを持続的に放出するための系に含まれる。例えば、システムは、時間放出システム(拡散システム、溶解システム、浸透システム、およびイオン交換樹脂、または任意の他の効果的な時間放出システムなど)、浮遊システム、生体接着システム、または酸もしくは酸溶液への曝露が制御されるマトリックスシステムであってもよい。他の実施態様では、持続的なNOガス放出を可能にするために、金属と硝酸塩または亜硝酸塩を連続的に酸溶液中に放出するために、機械的または電子的方法を利用することができる。
【0084】
いくつかの実施態様において、この方法は、NOガスが生成されるように溶媒に溶解する前に、硝酸イオンまたは亜硝酸イオンおよび/または元素金属と混合された粉末状の酸を提供することからなる。粉末状の酸は、例えば、クエン酸、リンゴ酸、またはフマル酸であり得る。好ましい実施形態では、使用される溶媒は、安全で、毒性がなく、容易に入手可能であることから、水である。しかし、アンモニア、エタノール、酢酸などのような他のプロトン性溶媒および/または極性溶媒を利用することもできる。水または溶媒は純粋である必要はなく、他の化合物、例えばアロマ、香り、他の薬などを溶解させることができる。いくつかの実施形態では、酸は強酸と弱塩基との塩であり、水または他の極性プロトン性溶媒に溶解すると酸性溶液が形成される。したがって、酸は、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、またはクレアチン硝酸塩であり得る。特定の実施態様において、硝酸塩または亜硝酸アニオンが、弱塩基(クレアチンまたはプロリンなど)と形成された硝酸塩または亜硝酸塩塩として提供される場合、硝酸塩または亜硝酸塩塩は、酸および硝酸塩または亜硝酸アニオンの両方の供給源として機能し得る。
【0085】
処方の成分を添加する通常の順序は、まず酸溶液を作り、次に元素金属と硝酸塩または亜硝酸塩を同時に添加することであるが、バリエーションがあり得ることが理解されよう。例えば、硝酸塩または亜硝酸塩陰イオンと元素状金属を酸性溶液中で結合させるステップは、硝酸塩または亜硝酸塩、粉末酸、および元素状金属を水中で同時に添加することからなってもよいし、硝酸塩の水溶液を調製してから酸および元素状金属を添加することからなってもよい。開示された方法の重要な特徴は、元素状金属を硝酸塩と結合させる前に酸と完全に反応させてはならないことである。そうしないと、元素状金属と酸は元素状金属の塩を形成し、NOガスを生成しない。従って、酸溶液中に元素マグネシウムを添加した場合、反応が完了した後(マグネシウムが塩の形で液中に溶解することによって示される)、硝酸イオンまたは亜硝酸アニオンを添加しても一酸化窒素ガスは発生しない。
【0086】
メトヘモグロビン血症は、SpO レベルの低下によってモニターできる状態であり、従来の吸入NO療法に伴う副作用である(Raut and Maheshwari, 「Inhaled nitric oxide, methemoglobinemia, and route of delivery.」.Saudi J Anaesth. 2017, 11(3):364)。驚くべきことに、本明細書に記載の方法に従ってNOガスを投与しても、メトヘモグロビン血症の発症には至らないことが判明した。開示された方法によってメトヘモグロビン血症が発症しなかったメカニズムについては未だ研究中であるが、酸性溶液中で硝酸イオンまたは亜硝酸アニオンと元素金属が反応して生成した水素ガスによる保護作用が疑われる。本発明者らは、メトヘモグロビン血症の予防と治療が本発明の成果であり、塩基と反応して水素を生成できる元素金属がさらに存在すると考えていることに留意すべきである。例えば、アルミニウム:2Al + 2NaOH + 2H2O → 2NaAlO2 + 3H。本発明の目的のために、1つのビーカーで亜硝酸塩または硝酸塩と酸との反応によりNOガスを発生させ、別のビーカー、例えばアルミニウムで塩基と接触して水素を発生する金属との反応によりH ガスを発生させることができる。
【0087】
この発明の実験および開発段階において、発明者の一人は、25ppmを超えるNOレベル(BW BWS-N-Yイエローハウジング、ソロ一酸化窒素(NO)ガス検知器で測定)に何度もさらされたが、悪影響は見られなかった。実際、SpO オキシメーターで測定した発明者の酸素化レベルは、常に97~100の範囲であった。従って、本明細書には、硝酸塩、亜硝酸塩、またはNOの暴露によるメトヘモグロビン血症の発症を予防する方法も開示されており、この方法は、硝酸塩源、亜硝酸塩源、またはNO源に暴露された被験者に水素を投与することを含んでいる。
【0088】
いくつかの実施形態において、投与される元素金属の量および硝酸イオン源または亜硝酸アニオンの量は、それぞれ約1mg~約2000mgおよび約4mg~約4000mgの間である。特定の実施形態において、対象には、約1~約900mgの元素マグネシウムと、約5~約2000mgの硝酸イオンまたは亜硝酸アニオン、約30mg~約4000mgの硝酸イオンまたは亜硝酸アニオン、または約50mg~約4000mgの硝酸イオンまたは亜硝酸アニオンを提供する硝酸イオン源または亜硝酸アニオン源が投与される。いくつかの態様において、硝酸イオンまたは亜硝酸アニオンの供給源は、約30mg~約2000mgの硝酸イオンまたは亜硝酸アニオン、約50mg~約2000mgの硝酸イオンまたは亜硝酸アニオン、約5mg~約1000mgの硝酸イオンまたは亜硝酸アニオン、約30mg~約1000mgの硝酸イオンまたは亜硝酸アニオン、約50mg~約1000mgの硝酸イオンまたは亜硝酸アニオンを提供する、約5mg~約600mgの硝酸イオンまたは亜硝酸イオン、約30mg~約600mgの硝酸イオンまたは亜硝酸イオン、約50mg~約600mgの硝酸イオンまたは亜硝酸イオン、約5mg~約500mgの硝酸イオンまたは亜硝酸イオン、約30mg~約500mgの硝酸イオンまたは亜硝酸イオン、または約50mg~約500mgの硝酸イオンまたは亜硝酸イオン。
【0089】
いくつかの態様において、被験体に投与される硝酸イオン源または亜硝酸イオン源と元素金属とのモル比は、少なくとも2:1である。元素金属および硝酸イオン源または亜硝酸アニオンの用量は、被験体の体重、年齢、および健康状態に応じて調整することができる。いくつかの実施形態において、組成物中の元素金属の量は、1mg~800mgの間、または5mg~400mgの間である。いくつかの実施形態において、硝酸イオンまたは亜硝酸アニオンの供給源の量は、30mgと2000mgの間、または50mgと600mgの間である。ある実施形態では、組成物は、100mgの元素金属および250mgの硝酸マグネシウム六水和物(60.5mgの硝酸アニオンおよび23.6mgのMgに相当する)を含む。
【0090】
酸は、元素金属および硝酸イオンまたは亜硝酸アニオンの供給源とともに投与され、特許請求された組成物の摂取時の胃のpHが酸性のままであることを保証する。酸成分は、ヒトの摂取に適した酸であれば何でもよく、非限定的な例としては、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、酒石酸、または胃酸誘導性 分泌促進剤 。ある態様では、酸は固体形態、例えば粉末である。したがって、いくつかの実施形態において、組成物中の酸の量は、50mg以上20000mg以下、50mg以上2000mg以下、50mg以上1000mg以下、100mg以上20000mg以下、100mg以上2000mg以下、100mg以上1000mg以下である、200mgと20000mgの間、200mgと2000mgの間、200mgと1000mgの間、300mgと20000mgの間、300mgと2000mgの間、300mgと1000mgの間、500mgと20000mgの間、500mgと2000mgの間、または500mgと1000mgの間。いくつかの態様において、組成物の酸成分は食酢である。いくつかの実施態様において、開示された組成物は酸を含まないが、組成物は酸または胃酸誘導分泌促進剤とともに投与される。例えば、組成物は、pHが2~6の酸性溶液、例えば、希釈した酢またはクエン酸の溶液と共投与される。ある態様では、酸性溶液は希釈酢酸、硝酸、硫酸などである。
【0091】
被験体が元素金属と硝酸イオン源または亜硝酸アニオン源とを含む組成物を投与される場合、組成物は有効量の硝酸イオン源または亜硝酸アニオン源と有効量の元素金属とを含む。元素金属の有効量は、有益な効果を提供する上で硝酸イオンまたは亜硝酸アニオンの有効性を高める。従って、いくつかの実施形態において、硝酸塩源または亜硝酸アニオンの有効量は、酸素飽和度が低い被験体において酸素飽和度を回復させるのに十分な量である。
【0092】
特定の実施形態において、組成物は、1~約900mgの元素マグネシウム、および約5~約2000mgの硝酸塩もしくは亜硝酸塩アニオン、約30mg~約4000mgの硝酸塩もしくは亜硝酸塩アニオン、または約50mg~約4000mgの硝酸塩もしくは亜硝酸塩アニオンを提供する硝酸塩 または亜硝酸塩 アニオンの供給源を含む。いくつかの態様において、硝酸イオンまたは亜硝酸アニオンの供給源は、約30mg~約2000mgの硝酸イオンまたは亜硝酸アニオン、約50mg~約2000mgの硝酸イオンまたは亜硝酸アニオン、約5mg~約1000mgの硝酸イオンまたは亜硝酸アニオン、約30mg~約1000mgの硝酸イオンまたは亜硝酸アニオン、約50mg~約1000mgの硝酸イオンまたは亜硝酸アニオンを提供する、約5mg~約600mgの硝酸イオンまたは亜硝酸イオン、約30mg~約600mgの硝酸イオンまたは亜硝酸イオン、約50mg~約600mgの硝酸イオンまたは亜硝酸イオン、約5mg~約500mgの硝酸イオンまたは亜硝酸イオン、約30mg~約500mgの硝酸イオンまたは亜硝酸イオン、または約50mg~約500mgの硝酸イオンまたは亜硝酸イオン。
【0093】
いくつかの態様において、組成物中の硝酸イオン源または亜硝酸イオン源と元素金属とのモル比は、少なくとも2:1である。元素金属および硝酸塩源 または亜硝酸塩 陰イオンの用量は、被験者の体重、年齢、および健康状態に応じて調整することができる。典型的には、正常血圧の対象者は、高血圧の対象者よりも元素金属および硝酸イオンまたは亜硝酸イオンの必要量が少なく、低血圧の対象者は、正常血圧の対象者よりも元素金属および硝酸イオンまたは亜硝酸イオンの必要量がさらに少なくなる。いくつかの実施形態において、組成物中の元素金属の量は、1mgと800mgとの間、または5mgと400mgとの間である。いくつかの実施形態において、硝酸イオンまたは亜硝酸アニオンの供給源の量は、30mgと2000mgの間、または50mgと600mgの間である。ある実施形態では、組成物は、100mgの金属元素と250mgの硝酸マグネシウム六水和物(60.5mgの硝酸アニオン(NO )と23.6mgのMgに相当する)とを含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、組成物中の元素金属は、例えば、酸化マグネシウム、セルロースポリマー、アルギン酸塩(アルギン酸カルシウムなど)、または水酸化アルミニウムなど、水には溶けにくいが胃の酸性環境には溶ける適切な材料で覆われるか、またはマイクロカプセル化される。
【0095】
特定の実施形態において、硝酸プロリンまたは亜硝酸塩は、組成物中の硝酸イオンまたは亜硝酸アニオンの供給源である。いくつかの実施形態において、硝酸マグネシウムまたは亜硝酸塩は、組成物中の硝酸イオンまたは亜硝酸アニオンの供給源である。そのような実施形態において、硝酸マグネシウムまたは亜硝酸マグネシウムは、無水であっても水和されていてもよい。硝酸マグネシウムまたは亜硝酸マグネシウムの水和の程度は、マグネシウムまたは亜硝酸マグネシウム1分子あたり1~6分子の水である。特定の実施形態において、硝酸マグネシウム六水和物は、組成物中の硝酸の塩である。
【0096】
いくつかの実施形態において、開示される組成物は酸をさらに含む。酸成分は、例えば、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、または酒石酸など、ヒトの消費に適した任意の酸であり得る。ある態様では、酸は固体状、例えば粉末である。したがって、いくつかの実施形態における組成物中の酸の量は、50mgと20000mgの間、50mgと2000mgの間、50mgと1000mgの間、100mgと20000mgの間、100mgと2000mgの間、100mgと1000mgの間、200mgと20000mgの間、100mgと2000mgの間、100mgと1000mgの間である、200mgと20000mgの間、200mgと2000mgの間、200mgと1000mgの間、300mgと20000mgの間、300mgと2000mgの間、300mgと1000mgの間、500mgと20000mgの間、500mgと2000mgの間、または500mgと1000mgの間。いくつかの態様において、組成物の酸成分は食酢である。いくつかの実施態様において、開示された組成物は酸を含まないが、組成物は酸とともに投与される。例えば、組成物は、pHが2~6の酸性溶液、例えば、希釈した食酢またはクエン酸の溶液と共投与される。いくつかの態様において、酸性溶液は希釈酢酸、硝酸、硫酸などである。胃潰瘍やGERDの患者など、健康上の理由で酸性物質を摂取できない患者のためのいくつかの実施形態では、酸成分を、 カフェイン、苦味化合物、エタノール(好ましくは2~14%の濃度)のような胃酸分泌促進剤(胃での胃酸の排泄を刺激する化合物)、あるいはペンタガストリンやアセチルコリン、ピロカルピンのようなコリン作動性薬剤のような医薬剤で置き換えることができる 。
【0097】
開示される組成物は、カプセル、錠剤、錠剤、液体、液体懸濁液、蒸気、粉末、顆粒、粉砕物、またはそれらの組み合わせの形態であってもよい。好ましい実施形態において、開示される組成物は固体形態である。いくつかの実施形態において、元素金属および硝酸イオンまたは亜硝酸アニオンの供給源、ならびにいくつかの態様において酸は、カプセルまたは錠剤に組み合わされる。他の実施形態では、酸は、元素金属および硝酸イオンまたは亜硝酸イオンの供給源とは別の錠剤またはカプセルに入っている。硝酸イオン源または亜硝酸イオン源および元素状金属を共投与することによる活性の増強は、例えば硝酸イオン源または亜硝酸イオン源および元素状金属の別々のカプセルの共投与を介して、被験者が異なる時間に硝酸イオン源 または亜硝酸イオン源 および元素状金属を別々に摂取しても低下しない。従って、いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、硝酸塩または亜硝酸アニオンの供給源からなるカプセルと、元素状金属からなるカプセルとを含む。組成物が酸をさらに含む実施形態では、組成物は、酸を含むカプセルをさらに含む。
【0098】
注目すべきは、開示された組成物の粉末形態は、摂取前に水中で全成分を完全に反応させて結合させると、その効力を失うということである。従って、組成物の粉末形態の投与は、直ちに投与する前に水への暴露を最小限にするように注意すべきである。例えば、被験者は、粉末状組成物を水に溶かして混合物を飲むのではなく、粉末状組成物を摂取した後、水で洗い流すべきである。また、重曹を混ぜた水のようなアルカリ性混合物(pH7以上)中に組成物を加えると、摂取前に少なくとも10分間は効果を保持できる。
【0099】
COVID-19および他の呼吸器疾患および心臓血管疾患の治療に利用される好ましい実施態様では、製剤は、1200mgのKNO FCCグレード、200mgの元素金属マグネシウム粉末(メッシュサイズ60-200)、50mgの元素金属亜鉛粉末(メッシュサイズ約325)、および1000mgの食品グレードの無水クエン酸からなる別のUSサイズ000のゼラチンカプセルからなる。別の好ましい実施態様では、上記の処方は代わりに、600mgのKNO FCCグレード、100mgの元素状金属マグネシウム粉末(メッシュサイズ60-200)、25mgの元素状金属亜鉛ダスト(メッシュサイズ約325)、および各500mgの食品グレードの無水クエン酸からなる2(2)カプセルを含む2(2)個のUSサイズ0カプセルに含まれる。場合によっては、小さいサイズのカプセルを投与することで、G.I.不快感、吐き気、嘔吐など、一部の患者が経験した副作用の一部を防ぐことができる。被験者は、例えば、2(2)000カプセル(すなわち、1200mg KNO +200mg元素金属マグネシウム + 50mg元素亜鉛カプセルを含む1カプセル、本明細書では「SpO2max」と呼ぶ)およびクエン酸(CA)を含む2番目のカプセルを摂取することができる。ただし、被験者が胃に不快感を感じている場合は、 2(2)サイズ0カプセル 、代わりに半分の量で2倍の頻度で飲み込むことができる。
【0100】
呼吸器疾患を治療する方法の1つの実施態様において、対象は、100mg~250mgの元素金属、250mgの硝酸マグネシウム六水和物(60.5mgの硝酸アニオン(NO )および23.6mgのMg を提供する)、および600mgの無水クエン酸からなる1カプセルを経口投与される。別の実施態様では、被験者に1~2gのアマランサス(10~90%の硝酸塩を提供)、50~1000mgのビタミンC、50~1000mgの酸化マグネシウム、10~1000mgのL-システイン、50~1000mgのテアニン、5~100mgの元素状亜鉛、0.5~30mgの葉酸/5-MTHF、および1~500mcgのモリブデン酸カリウムを含む組成物を経口投与する。
【0101】
他の実施態様では、被験体は3つのカプセルを投与され、カプセルのうちの2つはそれぞれ硝酸イオンまたは亜硝酸アニオン源および元素金属を含み、残りのカプセルは酸を含む。例えば、硝酸イオン源または亜硝酸イオン源および元素金属からなるカプセルは、硝酸プロリンまたは亜硝酸プロリンおよび元素マグネシウムを含み、酸からなるカプセルはクエン酸を含む。特定の実施形態では、組成物は、各々が250~750mgの硝酸プロリンおよび5~200mgの元素マグネシウムを含む2つのカプセルと、250~1250mgのクエン酸を含む1つのカプセルとからなる。別の例として、組成物は、組み合わせると、1~2gのアマランサス(10~90%の硝酸塩を提供)、50~1000mgのビタミンC、50~1000mgの酸化マグネシウム、10~1000mgのL-システイン、50~1000mgのテアニン、5~100mgの元素状亜鉛、0.5~30mgの葉酸/5-MTHF、および1~500mcgのモリブデン酸カリウムを提供する複数のカプセルからなる。好ましい実施態様では、ビタミンCは他の成分とは別のカプセルに入っている。
【0102】
いくつかの態様において、組成物は、錠剤に湿気が入るのを防ぐための適切な薬学的に許容されるコーティングおよび/または添加剤をさらに含む。薬学的に許容されるコーティングの非限定的な例としては、ワックス、ポリマー、固体脂肪酸などが挙げられる。添加剤の非限定的な例としては、担体、賦形剤、結合剤、着色剤、香味剤、保存剤、緩衝剤、希釈剤、およびそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの態様において、添加剤は、薬学的に許容される添加剤または許容される食品添加剤である。
【0103】
組成物の好ましい形態はカプセルであるが、本発明の組成物および/または製剤は、カプセル、カシェット、錠剤、タブレット、粉末、顆粒、ペレット、ビーズ、粒子、トローチ、ロゼンジ、パスティーユ、溶液、エリキシル、シロップ、チンキ、懸濁液、乳剤、洗口液、スプレー、滴下、軟膏、クリームなどのいずれかの形態を含む任意の形態で投与することができる、ロゼンジ、パスティーユ、溶液、エリキシル、シロップ、チンキ、懸濁液、乳剤、洗口剤、スプレー、滴下剤、軟膏、クリーム、ゲル、ペースト、経皮パッチ、座薬、ペッサリー、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、およびそれらの組み合わせが挙げられる。本発明の組成物および/または製剤はまた、許容可能な添加剤(例えば、可溶化剤、酵素阻害剤、抗凝固剤、消泡剤、酸化防止剤、着色剤、清涼剤、凍結保護剤、水素結合剤、香味剤、可塑剤、保存剤、甘味剤、増粘剤、およびそれらの組み合わせのうちの1つ)および/または許容可能な担体(例えば。例えば、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、希釈剤、伸展剤、溶媒、懸濁化剤、溶解補助剤、等温化剤、緩衝剤、鎮静剤、両親媒性脂質送達系、およびそれらの組み合わせのうちの1つ)。
【0104】
経口摂取が本明細書に記載の組成物の好ましい投与方法であるが、即時放出錠剤またはカプセル剤(賦形剤が唾液または胃液と接触するとほぼ直ちに崩壊する)を含む、本明細書に記載の方法および組成物を利用した他の投与経路および形態も可能である、遅延放出錠剤またはカプセルなど)、徐放性製剤(製剤の1つまたは複数の構成成分が長期間にわたって胃管で放出される)、舌下錠剤、カテーテルまたは栄養チューブを介した構成成分のG.I.管への直接投与、頬からの投与などがある。
【0105】
特定の実施態様において、本明細書に開示される組成物および方法は、呼吸器疾患の1つ以上の症状を予防、治療、または緩和するために使用される。 このような呼吸器疾患の非限定的な例としては、肺高血圧症、肺癌、COVID-19、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、喘息、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎、間質性肺疾患、肺線維症、急性下気道感染症、肺水腫、気管支炎、気管気管支炎、急性肺損傷(ALI)、肺サルコイドーシス、気管支拡張症アスベスト症、ベリリウム症、珪肺症、炭疽、組織球症X、肺炎、喫煙者肺、閉塞性細気管支炎、結核および肺線維症による肺瘢痕、じん肺、外傷性肺損傷、および全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、強皮症、多発性筋炎および皮膚筋炎を含む結合組織疾患の肺感染症および肺症状。
【0106】
特定の実施態様において、本明細書に開示される組成物および方法は、低酸素症を引き起こす疾患、例えば、高山病、貧血、肺の血栓(肺塞栓症)、先天性心臓欠陥または疾患、呼吸数を低下させる薬物(一部の麻薬および麻酔薬など)、二酸化窒素ガスなどの毒性剤による肺の炎症、肺の瘢痕化(肺線維症)および睡眠時無呼吸症候群の1つまたは複数の症状を予防、治療または緩和するために使用される。
【実施例
【0107】

本開示は、限定的に解釈されるべきではない以下の実施例によってさらに説明される。図と同様に、本出願を通じて引用された全ての参考文献、特許、および公開特許出願の内容は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。

例1:元素マグネシウムと硝酸塩の経口投与によるCOVID-19症状の緩和
【0108】
2000年10月21日、男性32歳の被験者に胸痛、発熱、筋肉痛、咳、息切れ、酸素飽和度の低下(様々な測定で90-92%の間)などのCOVID-19症状が現れ始めた。被験者には4時間ごとに2カプセルを空腹時に投与した。1カプセルは1200mgの硝酸カリウム(KNO )、200mgの元素マグネシウム、50mgの元素亜鉛からなり、もう1カプセルは1000mgのクエン酸からなる(これらのカプセルの内容物には結合剤充填剤や賦形剤は含まれておらず、上記の成分のみが含まれていた)。
【0109】
最初の投与から30分以内に、被験者は息切れ、胸痛、呼吸困難が非常に楽になったと報告した。酸素飽和度も92%から97%に上昇した。被験者の酸素飽和度は2日間断続的に追跡された(表2)。被験者の酸素飽和度は4時間以内に低下し始めたが、2つのカプセル(元素金属と硝酸塩のカプセルとクエン酸のカプセル)をもう1回服用すると、SpO2は96%~100%の正常範囲に戻った。前述の2つのカプセルを4時間おきに飲み始めて4日目には、被験者は息切れ、胸の痛み、呼吸困難などの症状がなくなったことを報告した。実際、彼は仕事に復帰できるほど体調が良かったが、地域の安全プロトコルのため隔離されたままであった。4時間おきに2カプセルを摂取して2日目には、被験者の酸素飽和度は正常値を下回っていなかった。その後、この被験者はCovid-19感染症の陽性反応を示した。
【表2】
例2:成人COVID-19患者5人を対象とした試験で治療効果が実証される
【0110】
FSPE Applied Bioenergetics Lab(University of Novi Sad, Lovcenska 16, Novi Sad 21000, Serbia)が実施したオープンラベルのケースシリーズ試験では、硝酸カリウム1200mg、マグネシウム元素200mg、亜鉛元素50mgを1カプセルに含有し、クエン酸1000mgを別のカプセルに含有する組成物が、COVID-19患者の血中酸素飽和度(SpO )および患者報告アウトカムに及ぼす影響を評価した。
【0111】
呼吸困難とSpO <95%を有するCOVID-19の成人患者5名(男性3名、女性2名、37.0±4.4歳)が本研究に参加した。参加者は、48時間のモニタリング期間中、4時間ごとに組成物を投与された。試験期間中、酸素飽和度レベル改善のための他の治療は行われなかった。SpO 、患者報告アウトカムは、ベースライン(介入前)および試験期間中各4時間の時点で評価された。
【0112】
SpO は、すべての参加者において、組成物の投与後直ちに改善した(1~7%の増加、平均増加3.6±2.7ポイント;95%信頼区間0.3~7.0)。SpO は、モニタリング期間を通じてベースライン値を上回り、48時間の間、すべての患者および各時点で閾値(> 92%)を超える値が持続した(図6Aおよび図6B参照)。血中酸素飽和度が閾値である92%を下回ると、患者に医療援助を求めるよう勧告される。このように、患者を閾値以上に保つことで、医療システムにおけるストレスを軽減することができる。
【0113】
介入による副作用を報告した患者はいなかった。血中酸素飽和度の改善に加えて、1人の患者(女性、39歳)は咳、呼吸困難、胸痛の軽減を報告した。もう1人の患者(男性、38歳)は、下痢の軽減を報告した。3人目の患者(女性、35歳)は、疲労と頭痛の軽減を報告した。

例3:元素マグネシウムとクエン酸の反応の副産物として水素ガスが生成される
【0114】
水素ガスが元素金属と酸の結合による副産物であることを確認するため、クエン酸で飽和させた100mlの水を入れたバイアル瓶に、小さじ1杯の元素マグネシウム粉末を加えた。バイアル瓶の上の空気は可燃性であった。

例4:元素マグネシウムと硝酸塩が呼吸器系疾患の症状を緩和する
【0115】
呼吸器疾患でSpO が92%未満の被験者5名(男性、34~52歳)に、硝酸カリウム1200mg、マグネシウム元素200mg、亜鉛元素50mgを1カプセルに含有する組成物を、クエン酸1000mgを含有する別のカプセルと共投与した。血中酸素飽和度は、組成物摂取後15~80分の間に測定された。呼吸器疾患に関連する症状も、組成物の摂取前と摂取後に記録した。表3に結果をまとめた。
【表3-1】
【表3-2】
実施例5:元素マグネシウムおよび硝酸カリウムの経口投与により、肺からのNO呼気が生じる
【0116】
硝酸カリウム1000mg(KNO )と元素マグネシウム200mgを1カプセルに入れ、クエン酸1gを別のカプセルに入れた組成物を2人の被験者に摂取させ、周囲の一酸化窒素と肺から排泄された一酸化窒素をNiox Vero装置で測定した。測定によると、この組成物を摂取すると、瞬時に一酸化窒素ガスが発生し、一酸化窒素の肺排泄が増加した。

例6:元素マグネシウムおよび硝酸塩の経口投与は、血中酸素濃度を改善し、COVID-19後の肺損傷および慢性低酸素症の症状を緩和する。
【0117】
男性(40歳、ブラジル人)は、1月25日にCOVID-19と診断された。彼は、疲労、倦怠感、運動不能、仕事不能、性生活不能、燃え尽き、虚脱、疲労困憊、虚脱感、倦怠感、衰弱、などの症状を示した。最終的にCOVID-19が陰性であった後も症状は持続し、感染後数ヵ月間、パルスオキシメーターで測定した被験者のSpO2値(血液中の酸素の割合)は95%以下であった。被験者は最終的に急性呼吸窮迫症候群(ARDS)と診断された。
【0118】
6月10日、対象者は1200mgのKNO 、200mgの元素マグネシウム(メッシュサイズ60-200)、50mgの元素亜鉛粉(メッシュサイズ325)を含むカプセル1個と、1000mgのクエン酸を含むカプセル2個を摂取した。2つのカプセルを摂取する前、パルスオキシメーターで測定したSpO2値は91であった。2つのカプセルを摂取した50分後、パルスオキシメーターで測定したSpO2値は97であった。この被験者は5日間、4時間ごとにこの組成物を摂取した。彼は、COVID-19に関連する症状がすべて軽減したと報告し、その効果は治療期間中持続した。
【0119】
最初の5日間の投与プロトコールが終了した時点で、被験者は、持続するCOVID-19の症状を管理するために、毎朝1回、本組成物を摂取し続けた。記載された組成物のたった1回の維持投与でも、パルスオキシメーターで測定された被験者のSpO2レベルは再び95%を下回ることはなく、当初のCOVID-19感染による長引く症状はすべて緩和された。

例7:酸溶液中で硝酸カリウムと混合すると、元素マグネシウムダストはNOおよびNO ガスを急速に発生させる。
【0120】
容量100 mlのガラス製ビーカーに、200 mgの元素マグネシウム粉 末(メッシュサイズ325以上、図5A~5C参照)、1200 mgのKNO 、および1000 mgのクエン酸を入れ、100 mlの蒸留水と混合した。 ビーカーを密閉ガス室(Bel-Art Secador Polystyrene Mini Desiccator Cabinet、0.31 ft )に入れ、発生したガス分をプローブで測定した。 H センサーは急速に上昇し始め、測定可能な最大容量に達したためオフになった。 表4は、NOおよびNO センサーの結果をまとめたものである。
【表4】
【0121】
結果は驚くべきものであり、予想外のものであった。 実験開始後60秒で、NOセンサーは250ppm、NO センサーは100ppmで測定可能な最大容量に達していた。 これらの驚くべき結果は、マグネシウムのメッシュサイズが、ここに開示した組成物、発見、発明の安全な使用にとって非常に重要な要素であることを示している。 粒子径が非常に小さいと、反応があまりにも速く起こり、NOおよびNO ガスの両方が、人間にとって極めて危険で有毒な非治療濃度に急速に達する。
【0122】
労働安全衛生局(OSHA)によると、NO は2ppmで喘息患者の症状を誘発し、5ppmで肺に損傷を与え始め、家庭やオフィスにおけるNO の許容暴露限界は5ppm(9mg/m )を超えないこととしている。しかし、0.1ppmという低レベルのNO は、喘息患者のような脆弱な人々に呼吸器系の不快感を引き起こすことが示されている。100 ppmのNO は、約1時間暴露すると人間を死に至らしめる。 NOは、低濃度では治療効果があり安全であるが、100ppm以上の濃度は完全な毒性でもある。本明細書に開示された発明により、副作用がほとんどない、あるいは全くない、安全で効果的なNOガスの治療的送達方法が初めて可能になった。

例8:酸溶液中で硝酸カリウムと混合すると、元素状亜鉛がNOガスを発生する。
【0123】
実施例7に記載した実験と同様の実験を、元素状亜鉛粉末を用いて行った。 元素状亜鉛は、元素状マグネシウムよりも反応性が低いことが証明された。 亜鉛粉末はクエン酸水溶液中で硝酸カリウムと反応し、マグネシウムで観察されたものより少ない量のNOと水素を4時間以上生成した。

例9:元素マグネシウムと硝酸塩は、血液中の酸素濃度を改善し、呼吸器疾患に伴う咳と衰弱を軽減するが、同量の硝酸塩のみでは効果がない。
【0124】
58歳の男性が脱力感、咳、血中酸素飽和度(SpO )93%を示した。被験者に硝酸カリウム1200mgのみを含むカプセルを与えた。15分後、被験者のSpO は93%のままであった。硝酸カリウムカプセルの投与後4時間まで、被験者のSpO は上昇の兆候を示さず、他の症状も減衰しなかった。最初のカプセルの投与から4時間後、被験者には硝酸カリウム1200mg、マグネシウム元素200mg、亜鉛元素50mgを含むカプセルと、クエン酸1000mgを含む別のカプセルからなる組成物が投与された。この組成物の投与15分後、被験者のSpO( )は97%に上昇し、4時間95%以上を維持した。被験者はまた、咳が減少し、脱力感がなくなったと報告した。

実施例10:マグネシウムは亜硝酸ナトリウム中毒によるメトヘモグロビン血症を予防する
【0125】
亜硝酸ナトリウムは、ヘモグロビンを酸化して酸素を運搬できないメトヘモグロビンにすることができ、この作用は長期のNOガス療法によって誘発されるメトヘモグロビン血症と同様である。その毒性のため、治療薬としての利用は青酸中毒の解毒剤に限られている。計算上の最低致死量は2.6gであるが(片上ら、「亜硝酸ナトリウム中毒による重症メトヘモグロビン血症」、Case Reports in Emergency Medicine、2016年、論文ID 9013816、3ページ)、心血管障害のある老年者では70mg程度など、もっと低用量で重症メトヘモグロビン血症になった例が報告されている。シアン中毒の治療のために成人に600mgを投与したところ、メトヘモグロビン濃度が58%になった(van Heijstら、「シアン中毒における治療上の問題点」、Journal of Toxicology:Clinical Toxicology, 1987, 25(5):383-398).中等度から重度の中毒は、チアノーゼ(皮膚の青色化)、錯乱、意識喪失、痙攣、心拍異常、死亡を伴う。メトヘモグロビン血症は、元素金属と硝酸塩および/または亜硝酸塩の組合せを摂取したり、酸性溶液中で組合せによって生成されたガスを吸入したりした被験者に観察された症例がないことから、水素ガスおよび/または亜鉛イオンもしくはマグネシウムイオンへの曝露がメトヘモグロビン血症の発症を防ぐことができるという仮説が立てられた。メトヘモグロビン血症は、時間のかかる血液検査によって直接モニターすることもできるし、SpO2測定によって間接的にモニターすることもできる。なぜなら、メトヘモグロビンはO を運搬することができないため、メトヘモグロビン濃度が高くなると酸素飽和度が低くなるからである。
【0126】
一晩絶食した発明者の一人が、メトヘモグロビン血症を誘発する目的で、310mgのNaNO( )を含むカプセル1個と1000mgのクエン酸を含むカプセル1個を摂取し、もう一人の発明者が被験発明者の状態を監視した。最初の15分後、被験者発明者は、胃腸障害、めまい、脳霧、錯乱、呼吸困難、片頭痛、異常な動悸、ピーク240パルス/分の頻脈、および実験開始約25分での最低測定値91の低SpO2レベルを含む望ましくない副作用を経験し始めた。表5は、実験期間中の被検者である発明者のSpO2レベルと心拍数(HR)をまとめたものである。SpO2レベルと心拍数の測定値は記録され、以下の表で見ることができる。
【表5-1】
【表5-2】
【0127】
48時間の洗浄期間の後、被験者である発明者は、1000mgの元素状マグネシウム粉末を含むカプセルを3個ずつ用意し、1000mgのクエン酸を含むカプセルを3個ずつ用意した。元素マグネシウム粉末は酸と激しく反応し、非常に発熱する。したがって、このような大量の元素状マグネシウムの摂取が安全かどうか、あるいは耐えられるかどうか、亜硝酸塩の毒性量との反応が耐えられるかどうかさえ不明であった。ともあれ、被験者の発明者は、310mgの亜硝酸ナトリウムと1000mgの元素状マグネシウムを含むカプセルと、各カプセルにそれぞれ1000mgのクエン酸を含むカプセル2個(酸の一部は元素状マグネシウムによって消費されるため、クエン酸の量は最初の実験の初期用量と比較して2倍にした)を共同摂取した。30分後と60分後に、被験者である発明者は、さらに1000mgの元素状マグネシウムと1000mgのクエン酸をカプセルの形で摂取した。発明者は、最初の実験のような好ましくない副作用を経験しなかった。唯一の副作用はふらつきであったが、このふらつきは過去の実験で何度も経験しており、低血圧に伴うものであることが容易にわかった。被験者発明者のSpO2レベルは、最初の実験と比較して上昇したままであり、閾値レベルである95%を下回ることはなかった。表6は、2回目の実験期間中の被検者発明者のSpO2レベルと心拍数(HR)をまとめたものである。
【表6】
【0128】
被験者の発明者は、実験から90分後にはすっかり元気になった。被験者のSpO2レベルは95%~97%の領域であった。このように、元素マグネシウムの投与は、亜硝酸ナトリウムの摂取によって誘発されるメトヘモグロビン血症の発症を予防した。

実施例11:マグネシウム元素と硝酸塩が喘息を効果的に治療する
【0129】
喘息と診断された女性被験者(71歳、黒人アメリカ人)に、予防吸入器を使用する代わりに、1200mgのKNO3、200mgの元素マグネシウム(メッシュサイズ60-200)、50mgの元素亜鉛を含むカプセル1個と、1000mgのクエン酸を含むカプセル2個を、朝、コップ1杯の冷水とともに投与した。この被験者は、喘息治療のためにさまざまな吸入器を試したが、結果はまちまちであったが、カプセルを経口投与したところ、喘息の症状がすぐに緩和された。また、喘息患者の改善の兆候である痰の量が増え、呼吸が楽になった。この治療を受けている間、被験者は胸の不快感など従来の喘息治療に関連する副作用を含め、何の副作用も報告しなかった。

実施例12:水素ガスによるNO誘発メトヘモグロビン血症の予防
【0130】
より安価で、効果的で、安全なNO療法源となるNOの製造方法を開発する過程で、本発明者の一人は、偶然にも慢性的および急性的にNOガスにさらされた。多量の周囲NO(周囲NO>80ppm)に暴露したある日、彼はメトヘモグロビン血症の症状を経験し始め、SpO2が85%、めまい、肺の痛みおよび脱力感によって示されるように、肺の炎症があった。症状発現以来、発明者は、元素状マグネシウムとクエン酸をコップ1杯の水で反応させて生成したH ガスを吸入した。また、2000mgの元素マグネシウム粉末を水と一緒に摂取し、胃の中の塩酸と反応してH ガスを発生させた。他の実験では、発明者は、NOガスの吸入によって引き起こされる軽度のメトヘモグロビン血症が、H (SpO2が正常に戻ることに代表される)ガスを投与することによって回復することを発見した。
【0131】
彼の容態とSpO2は一日中悪化し、その日の夜遅く、彼はSpO2が45%という記録で病院の緊急治療室に入院した。病院は、X線とCATスキャンにより、発明者がNO誘発性肺炎を発症したことを確認した。診断の結果、メトヘモグロビン濃度を測定するために、発明者から血液サンプルが採取された。医療スタッフが驚いたことに、発明者のSpO2が45%であったにもかかわらず、メトヘモグロビンは検出されなかった。通常のメトヘモグロビン分画は約1%である。また、メトヘモグロビン濃度が3~15%のときに見られる青い皮膚(チアノーゼ)も、転院中は一度も見られなかった。したがって、本発明者にはメトヘモグロビン治療(例えば、メチレンブルーの静脈内投与)は行われなかった。
【0132】
このように、水素の吸入と摂取(元素金属、この場合はマグネシウムの形で)は、NO誘発性メトヘモグロビン血症を治療および/または緩和した。大気中のH 濃度は530ppb程度であり、これではNOガス吸入療法を受けている患者に保護効果をもたらすことはできないので、前記保護効果を得るためには、それより多い量、少なくとも10ppm、好ましくは100ppm以上が必要である。しかし、肺での水分形成を避けるために、その量は2000ppm以下、好ましくは1500ppm以下に抑えるべきである。

例13:酸溶液中で元素マグネシウムと硝酸カリウムを反応させて一酸化窒素を生成する
【0133】
1000mlのビーカーに、5gのクエン酸を100mlの温水に溶かして酸溶液を作った。元素マグネシウム(200mg)と硝酸カリウム(1000mg)を同時に酸溶液に加えた。環境中のNO濃度を測定できるFeNO by Niox装置を使用し、酸溶液にマグネシウム元素と硝酸カリウムを添加してNOガスが発生するかどうかを検査した。実験前の室内のNO濃度は0であったが、酸溶液にマグネシウム元素と硝酸カリウムを添加した直後、機械は200ppbのNOを記録した。200ppbは機械の検出限界であるため、もっと多くのNOが発生した可能性がある。

実施例14:硝酸カリウムからの一酸化窒素の生成には元素マグネシウムまたは元素亜鉛が必要である。
【0134】
100mlの0.1M塩酸を入れたフラスコをBel-Art Secador Polystyrene Mini Desiccator Cabinet (0.31 cu. ft.)に入れた。1200mgのKNO 、200mgの元素マグネシウム、50mgの元素亜鉛を含む1つのカプセルの中身と、1000mgのクエン酸を含む2つ目のカプセルの中身をフラスコに加えた。NOセンサーをデシケーター・キャビネットに入れた。10分間で、NOレベルは0ppmから6.4ppmまで上昇した。したがって、理論的には、平均的な胃の大きさが1リットルであることから、2つのカプセルを摂取した胃の中のNOの量は56ppmとなる。
【0135】
注目すべきは、小さじ1杯のKNO( )を50mlの25%塩酸に添加しても、測定可能な量のNOガスは発生しなかったことである。

実施例12:元素マグネシウムの大きさは、投与された組成物の効果、安全性、および副作用プロファイルに影響する。
【0136】
元素金属のメッシュサイズが、摂取時に被験者が経験するであろう利益および/または副作用に影響するかどうかを決定するために、元素金属のメッシュサイズが異なる組成物の複数の反復を調製し、被験者で試験した。 表7に試験した配合を示す。
【表7】
【0137】
さまざまな製剤が、呼吸器疾患の緩和においてさまざまな効果を示した。 場合によっては、被験者は胃腸障害、下痢、吐き気、嘔吐などの副作用を経験した。 副作用は、他の製剤よりもマグネシウム粉剤の方がはるかに多かった。

実施例13:様々な形態の元素マグネシウムは、硝酸カリウムを用いてH 、NO、およびNO ガスを発生させることができる。
【0138】
200mgの元素マグネシウム(図1)の3つの形態(およびサイズ)を使用し、1200mgのKNO および1000mgのクエン酸粉末と混合した後、100mlの水を加えて発生するH 、NO、およびNO ガスの発生を比較した。 室温で100 mlの蒸留水を加えた直後、マグネシウムの入ったビーカーをベルアート社製セカドールポリスチレンミニデシケーターキャビネット(0.31 ft )に入れた。 マグネシウム粉末、粒状マグネシウム、マグネシウムビーズを用いた実験の開始時、H 、NO、NO のセンサーはすべてゼロであった。
【0139】
マグネシウム粉末(60~200メッシュサイズ)、1200mgのKNO および1000mgのクエン酸粉末(図2Aおよび2B参照)を入れたビーカーに水を加えてから約90秒後、NOガスの濃度は12.8ppm、NO ガスは0ppm、H ガスは142ppmであった。 実験を続けると、NOガスとH ガスの濃度は上昇し続けた。粉末に水を加えてから2分後、NOガスの濃度は39.2ppm、H ガスは435ppm、NO ガスは0ppmであった。 このNOとNO の比率は驚くべきものである。 NO がゼロでNOガスが40ppm近くに達するのは、以前には考えられなかったことである。 粉末に水を加えてから5分後、NOガスは49ppmに達したが、NO ガスは3.0ppmに増加した。 水素ガスは1000ppm以上に増加した(センサーの最大検出範囲)。
【0140】
粒状マグネシウム(~35メッシュサイズ)と1200mg KNO および1000mgクエン酸粉末を用いた実験(図3A、3B、および3Cを参照)では、水添加1分後のNOガス、H ガス、およびNO ガスの濃度は、それぞれ3.8ppm、66ppm、および0ppmであった。 水添加5分後のセンサーの測定値は、NOガスが11.4ppm、H ガスが186ppm、NO ガスが0ppmであった。このように、粒状マグネシウムを使用した場合、マグネシウム粉末を使用した場合と比較して、同じ時間枠でNOとH ガスの発生量が大幅に減少し、NOの発生量は4倍近く減少した。
【0141】
マグネシウムビーズ(直径約5mm)と1200mgのKNO 、1000mgのクエン酸粉末を用いた実験(図1参照)では、実験開始1分20秒では、NOガスもNO ガスも発生しなかった。 水を加えてから5分後のセンサーの測定値は、NOガスは16.2ppm、NO ガスは0ppm、水素は337ppmであった。
【0142】
我々の実験によれば、開示された方法と組成物を用いてH ガスをNOガスと共生成することにより、NO ガスの生成が減少するか、あるいはなくなることさえある。

実施例14:マグネシウムと硝酸塩によるヘリコバクター・ピロリ除菌効果
【0143】
ヘリコバクター・ピロリ菌はグラム陰性、微好気性、らせん状の細菌で、通常胃と小腸上部に存在する。ピロリ菌の有病率は、発展途上国では85~95%、先進国では30~50%である。活動性感染の症状には、通常空腹時に悪化するG.I.痛、吐き気、食欲不振、頻繁なげっぷ、腹部膨満感、意図しない体重減少、胃潰瘍、胃出血、過敏性腸症候群などがある。ピロリ菌は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支拡張症、喘息、肺がん、結核など、多くの呼吸器疾患と関連している。ピロリ菌感染と慢性肺疾患の共通の特徴は、慢性炎症と免疫反応の亢進である。ピロリ菌の除菌は困難であり、抗生物質投与によるG.I.副作用を避けるために、PPI阻害剤(オメプラゾールなど)と抗生物質(通常、アモキシシリンとクラリスロマイシン)の併用投与を長期間行う必要がある。ある50歳の女性はピロリ菌陽性と診断され、前述のすべての症状を示した。彼女は過去に、アモキシシリン(1000mgを1日2回)、クラリスロマイシン(500mgを1日2回)、オメプラゾール(20mgを1日2回)の組み合わせを30日間処方されたが、治療中止後もピロリ菌陽性であった。彼女は、亜硝酸ナトリウム10mg、硝酸カリウム1000mg、元素金属マグネシウム200mgを含むカプセル1個と、クエン酸500mgと没食子酸500mgを含む別のカプセル1個からなる治療薬を本発明者から処方された。彼女は、前述のカプセルの組み合わせを1日2回、10日間摂取するよう勧められた。2日目から症状は緩和された。10日後にピロリ菌の検査をしたところ、陰性であった。それ以来、慢性的な胃腸と痛みを経験した多くの被験者が、1200mg KNO -200mg元素Mg-50mg元素Znを含む1カプセル+1000mgクエン酸を含む1カプセルを1日2回摂取する特定の処方を受け、感染前にあった胃腸の痛みがなくなったと報告している。

実施例15:水素ガスによる製剤の製造
【0144】
また、本発明者らは、高濃度の水素は水の生成をもたらし、長時間吸入した場合、被験者の肺に水が蓄積し、肺からの酸素吸収を妨げる可能性があることに気づいた。これは、本発明者がNOによるメトヘモグロビン血症と闘うためにH ガスを長時間吸入したときにSpO2が低下したことの説明となる。 周囲温度30℃で、大気中の湿度と製剤から得られるH 濃度を比較する一連の実験において、発明者は、H 濃度が約40ppm上昇するごとに、相対湿度が1%上昇することに気づいた(空気中に存在する水蒸気の量を、同じ温度で飽和に必要な量の百分率で表したもの)。H 濃度が上昇するにつれて相対湿度が上昇する結果を以下の表8に示す。
【表8-1】
【表8-2】
【0145】
センサーの限界は1000ppmに達したが、これらの実験と、どの被験者にも肺に水がある(浮腫)という症状がなかったことから、1000ppmのH 濃度は安全であることがわかる。この組成物から発生したガスを吸入した被験者には、肺に顕著なH Oの形成は見られず、1500ppmまでのH 濃度も安全であると推測される。

例16:過去の報告書から見た結果の意義
【0146】
硝酸ナトリウム(Larsen FJ, et al.2007 Sep;191(1):59-66)やビーツジュース(Bailey SJ, et al.2009 Oct;107(4):1144-55)は、運動中の酸素消費量を減少させることができたが、硝酸塩を豊富に含むビーツジュースの補給は、低酸素状態(ARDS患者の場合など、通常の血中酸素飽和度よりも低い状態)における酸素飽和度レベル(SpO2)を上昇させることができず、SpO2を改善することができず、実際に低酸素運動中の高山病重症度と努力感を増加させた(Rossetti GMK, et al. J Appl Physiol (1985).2017 Oct 1;123(4):983-992)。さらに、COVID-19および他の呼吸器疾患および循環器疾患を治療するために本発明者らによって製剤に利用された硝酸塩の形態のような硝酸カリウム(KNO3)の補充は、プラセボに対して低酸素条件下で血中酸素飽和度の低下(約3%低下、有意な量)をもたらした(Schiffer TA, et al.2013 Jan 15;185(2):339-48)。このように、Lundberg博士、Weitzberg博士らは、硝酸塩が低酸素状態でのSpO2を増加させるという仮説を立てたが、KNO3の補充は実際にはSpO2レベルを低下させ、他の研究では硝酸塩(ビートジュースに含まれるような)はSpO2に影響を及ぼさなかった。
【0147】
NOガス療法の欠点としてよく知られているのは、ヘモグロビンの鉄が酸化して酸素を運搬できなくなるメトヘモグロビン血症(Weinberger B, et al.メトヘモグロビン血症は、パルスオキシメーター(SpO2)で測定できる被験者の酸素飽和度の低下によって診断できる。その他のメトヘモグロビン血症の症状としては、皮膚の変色(青白い、灰色、青色など)や血液の色の変化などがある。 驚くべきことに、本明細書に開示された製剤を摂取した被験者のいずれも、メトヘモグロビン血症(これはSpO2レベルの低下をもたらすが、すべての被験者がSpO2レベルの上昇を経験した)を経験せず、皮膚の色調の異常な変化も認められなかった。このように、驚くべきことに、本処方を終日投与しても、メトヘモグロビン血症は生じなかった。

実施例17:マグネシウム元素と硝酸塩が間質性肺疾患と関連する慢性低酸素症を効果的に治療する
【0148】
77歳の女性が、呼吸困難と慢性低酸素症(SpO2が95%以下)を伴う間質性肺疾患を患っていた。また、慢性的な激しい咳発作も経験していた。膀胱炎のため、クエン酸は尿路の炎症を悪化させることが報告されているため、製剤のクエン酸カプセルの摂取を控えるよう助言された。
【0149】
元素金属と硝酸塩の製剤(600mg KNO 、100mg元素金属マグネシウム、25mg元素金属亜鉛、サイズ0のゼラチンカプセル)を半量投与し、空腹時に十分な水で飲み込んだ。SpO2値は94%であった。25分後、SpO2は98%に上昇したが、脈拍は80から69に低下し、心臓から組織への酸素と血液の運搬がより効率的になったことを示した。10日間、彼女は上記の製剤を1日に複数回服用し続けたが、その結果、SpO2値は持続的に上昇し、脈拍数は減少して正常範囲にとどまった。この被験者はまた、呼吸困難からの大きな解放と、治療による咳発作の消失も報告した。被験者の血圧は、医療グレードのFDA承認装置を用いて、各投与後にモニターされた。この治療の開始により、被験者の血圧は低下し、治療期間中も低下したままであった。また、副作用もなかった。
【0150】
すべての見出しは読者の便宜を図るためのものであり、特に断りのない限り、見出しに続く本文の意味を限定するために用いてはならない。
【0151】
別段の定義がない限り、本明細書におけるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における通常の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。 本発明の実施または試験には、本明細書に記載したものと類似または同等の任意の方法および材料を使用することができるが、好ましい方法および材料を本明細書に記載する。 引用されたすべての刊行物、特許、および特許公報は、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0152】
本明細書で論じる刊行物は、本出願の出願日前の開示のためにのみ提供される。 本明細書のいかなる内容も、本発明が先行発明によりかかる刊行物に先行する権利がないことを認めるものとして解釈されるものではない。
【0153】
本発明をその特定の実施形態に関連して説明してきたが、本発明はさらなる改変が可能であり、本出願は、一般的に、本発明の原理に従い、本発明が属する技術分野において公知または慣用の範囲内であり、本明細書で前述した本質的な特徴に適用され、添付の特許請求の範囲に以下のように記載され得るような本開示からの逸脱を含む、本発明のあらゆる変形、使用、または適応を対象とすることを意図していることが理解されるであろう。
図1
図2-1】
図2-2】
図3-1】
図3-2】
図4-1】
図4-2】
図5-1】
図5-2】
図6
【誤訳訂正書】
【提出日】2024-06-21
【誤訳訂正1】
【訂正対象書類名】特許請求の範囲
【訂正対象項目名】全文
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
元素マグネシウム、元素カルシウム、元素リチウム、元素亜鉛、元素ナトリウム、元素カリウム、元素ベリリウム、元素ルビジウム、元素セシウム、元素アルミニウム、元素ガリウム、元素インジウム、元素スズ、元素ビスマス、元素スカンジウム、元素チタン、元素バナジウム、元素クロム、元素マンガン、元素コバルト、元素マンガン、元素スカンジウム、元素チタン、ニッケル、元素銅、元素亜鉛、元素イットリウム、元素ジルコニウム、元素ニオブ、元素モリブデン、元素テクネチウム、元素ルテニウム、元素ロジウム、元素パラジウム、元素銀、元素カドミウム、元素ランタン、元素ハフニウム、元素タンタル、元素タングステン、元素レニウム、元素オスミウム、元素イリジウム、元素白金、元素金、および元素マンガンからなる群より選択される少なくとも1種の元素金属を、ヒト被験体に経口投与する工程;ならびに
硝酸イオン(NO )、亜硝酸イオン(NO )、または両方を前記ヒト被験体に経口投与する工程、
を包含する方法。
【請求項2】
薬学的に有効な量の酸を前記ヒト被験体に経口投与する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ヒト被験体は、硝酸塩および/または亜硝酸塩を投与され、前記ヒト被験体は、前記酸としてクエン酸を投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ヒト被験体は、硝酸カリウムおよび/または亜硝酸カリウムを投与される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ヒト被験体は、約95%未満または約92%未満の血中酸素飽和度レベル(SpO2レベル)を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1種の元素金属ならびに前記硝酸イオンおよび/または前記亜硝酸イオンの前記ヒト被験体への経口投与は、最初の経口投与の1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、12時間、24時間、36時間、48時間、72時間、または96時間以内に反復される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ヒト被験体は、前記ヒト被験体のSpO2レベルが約95%または約92%未満に低下した場合に、前記少なくとも1種の元素金属を経口投与される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ヒト被験体のSpO2レベルは、前記少なくとも1種の元素金属ならびに前記硝酸イオンおよび/または前記亜硝酸イオンの投与後の約5分~約2.5時間以内に少なくとも約1%増大する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記ヒト被験体のSpO2は、前記少なくとも1種の元素金属ならびに前記硝酸イオンおよび/または前記亜硝酸イオンの投与後の約5分~約2.5時間以内に少なくとも約94%へと増大する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記ヒト被験体のSpO2は、前記少なくとも1種の元素金属ならびに前記硝酸イオンおよび/または亜硝酸イオンの投与後の約5分~約2.5時間以内に少なくとも約95%へと増大する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記ヒト被験体は、コロナウイルス疾患(COVID-19)を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記ヒト被験体は、SARS-CoV-2感染症からの回復後に低酸素症を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記ヒト被験体は、SARS-Cov-2感染症、コロナウイルス疾患(COVID-19)後の低酸素症、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、ARDS後低酸素症、肺炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、中皮腫、貧血、喘息、肺塞栓症、肺虚脱、先天性心欠損もしくは心疾患、肺浮腫、高山病、間質性肺疾患、低呼吸数、肺炎症、肺線維症、睡眠時無呼吸、消化器感染症、Heliobacter pylori感染症、および呼吸器感染症からなる群より選択される状態を有する、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記ヒト被験体は、ウイルス呼吸器感染症を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ヒト被験体は、低酸素症である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ヒト被験体は、組織損傷、筋痛、身体痛、倦怠感、咽頭痛、息切れ、呼吸困難、胸痛、肺炎症、咳、発熱、嗅覚消失、味覚障害、副鼻腔鬱血、鼻汁、血中酸素飽和度の減少、頭痛、消化管障害、悪心、嘔吐、下痢、疲労、運動ができない、働くことができない、性行為を行うことができない、バーンアウト、衰弱、疲労困憊、心身消耗、だるさ、虚脱、疲れ、倦怠感、肉体的もしくは精神的活動後の症状の増悪、思考もしくは集中することが困難、咳、胃痛、鼓動が速いもしくは動悸が激しい、関節痛、ピリピリ感、睡眠の問題、起立性眩暈、発疹、気分変動、気分障害、月経周期の変化、高血圧症、うつ病、心拍数の増大、心不全、および急性呼吸不全からなる群より選択される少なくとも1つの症状を示す、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記組織損傷は、脳、心臓、肺および/または腎臓にある、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1種の元素金属ならびに前記硝酸イオンおよび/または亜硝酸イオンの投与は、前記ヒト被験体において前記少なくとも1つの症状を緩和する、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記ヒト被験体は、前記少なくとも1種の元素金属および前記硝酸イオンを含む組成物を経口投与され、前記組成物は、約1mg~約2000mgの前記少なくとも1種の元素金属および約30mg~約4000mgの前記硝酸イオンを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
組成物は、元素マグネシウムおよび/または元素亜鉛を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ヒト被験体は、
約1200mg 硝酸カリウム;
約200mg 元素マグネシウム;および
約50mg 元素亜鉛、
を含む組成物を経口投与される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記組成物は、約1000mg クエン酸をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記組成物は、1錠もしくはこれより多くのカプセル剤において提供される、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
カプセル剤は、0もしくはこれより小さいサイズを有する、請求項24に記載の方法。
【請求項25】
前記元素金属マグネシウムは、60~200のメッシュサイズを有し、前記元素金属亜鉛は、325もしくはこれより低いメッシュサイズを有する、請求項21~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記ヒト被験体は、前記亜硝酸イオンを投与され、投与される亜硝酸イオンの量は、約5mg~約300mg、約10mg~約200mg、または約30mgおよび約100mgである、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記亜硝酸イオンの経口投与は、前記ヒト被験体にメトヘモグロビン血症を発生させない、請求項1~18および26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記ヒト被験体に少なくとも1種の胃酸分泌促進物質を経口投与する工程をさらに包含する、請求項1~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも1種の胃酸分泌促進物質は、カフェイン、テオフィリン、テオブロミン、エタノール溶液、ペンタガストリン、およびコリン作動薬からなる群より選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記エタノール溶液は、2%~14% エタノールを有する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記コリン作動薬は、アセチルコリンおよびピロカルピンから選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記ヒト被験体は、前記少なくとも1種の元素金属ならびに前記硝酸イオンおよび/または前記亜硝酸イオンを含む組成物を投与され、組成物は、徐放性製剤にある、請求項1~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
ヒト消費のための組成物であって、
35に等しいかもしくはこれより大きいメッシュサイズにある少なくとも1種の元素金属であって、ここで前記元素金属は、元素マグネシウム、元素カルシウム、元素亜鉛、元素銅、および元素鉄からなる群より選択される少なくとも1種の元素金属;ならびに
硝酸イオン(NO )、亜硝酸イオン(NO )、または両方、
を含む組成物。
【請求項34】
前記元素金属のメッシュサイズは、40またはこれより大きい、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
前記硝酸イオンおよび前記亜硝酸イオンは、無機塩である、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
前記組成物は、
約1mg~約800mgの前記元素金属;ならびに
約30mg~約2000mgの前記硝酸イオンおよび/または前記亜硝酸イオン
を含む、請求項33に記載の組成物。
【請求項37】
前記少なくとも1種の元素金属は、60~200の間のメッシュサイズにある元素マグネシウムである、請求項33~36のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項38】
前記組成物は、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、散剤、粒剤、ペレット、ビーズ、粒子、口内錠、および芳香錠から選択される投与形態にある、請求項33~37のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項39】
前記元素金属は、前記硝酸イオンおよび/または前記亜硝酸イオンとともにパッケージされる、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
酸をさらに含む、請求項33~39のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項41】
前記組成物は、約50mg~約20,000mgの量において前記酸を含む、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
前記酸は、前記元素金属ならびに前記硝酸イオンおよび/または前記亜硝酸イオンから分離してパッケージされる、請求項38~41のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項43】
前記元素金属、前記硝酸イオン、前記硝酸イオン、および前記酸は、固体形態にある、請求項33~42のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項44】
胃酸分泌促進物質をさらに含む、請求項33~39のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項45】
前記胃酸分泌促進物質は、胃のpHを減少させるために十分な量にある、請求項44に記載の組成物。
【請求項46】
前記元素金属ならびに前記硝酸イオンおよび/または亜硝酸イオンは、徐放性製剤中にある、請求項33~45のいずれか1項に記載の組成物。
【誤訳訂正2】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】全文
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年11月12日出願の米国仮特許出願第63/113,114号;2021年2月11日出願の米国仮特許出願第63/148,517号;および2021年8月13日出願の米国仮特許出願第63/232,852号(これらの各々の内容は、それらの全体において本明細書に参考として援用される)の優先権を主張する。
【0002】
技術分野
本発明は、一般に、経口投与のための組成物および呼吸器感染症(例えば、Covid-19感染症)または他の原因のいずれかによって引き起こされる異常に低いSpO2レベル(例えば、<95%)を被っている患者の有効かつ安全な処置のための関連する使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は、肺が重篤に傷害された場合に起こり、これは感染症または外傷に由来し得る。ARDSの発症時に、肺における最小血管からの流体は、肺胞へと漏出し始め、これによって、肺がより小さくかつ固くなる。患者は、肺が呼吸することがより辛くなることがわかり、血中の酸素量が低下する。いったん身体の酸素が不足すると(低酸素血症)、脳および他の組織への損傷は、臓器不全をもたらす。ARDS患者は、閉じた気腔を開き、血液へと酸素を取り込み、呼吸しやすくするために助けを必要とする。これらの理由から、人工呼吸器および余分な酸素が使用され、傷害が解消するまで維持される。
【0004】
ARDS生存者のうちの25%までが、ARDS診断の6ヶ月以内で拘束性肺疾患の生理学的証拠を発生させる。より重篤な長期化した病気およびARDSの肺の原因は、線維症への進行のリスク因子であると考えられる。線維性肺疾患は、ARDSに由来する長期化した呼吸不全の合併症であり得る。ARDS生存者における肺機能試験での異常は、通常は時間とともに消失する。しかし、患者のうちの25%までが、ARDS診断の6ヶ月後に持続性の拘束性異常を有し、多くはまた、残留画像化異常を有する。これらの所見は、線維症と一致し得る。実際に、より重篤な長期化した病気およびARDSの肺の原因は、線維症への進行のリスク因子であると考えられる。
【0005】
コロナウイルス疾患2019(COVID-19)は、連続する呼吸器および血管の疾患である。具体的には、それは、新規コロナウイルスSARS-CoV-2によって引き起こされる重篤な急性呼吸器症候群である。一般的な症状としては、発熱、咳、倦怠感、息切れもしくは呼吸困難、胸痛ならびに嗅覚および味覚の喪失が挙げられる。COVID-19の別の一般的症状は、低い血中酸素飽和度であり、多くの患者は、正常な95%~100%範囲より低い酸素飽和度を示す。決定的なことには、病気の患者は、50%を下回る酸素飽和度レベルを示し、肺からの酸素化が低いことから死に至り得る。
【0006】
大部分の人々は、COVID-19に伴う軽度の症状を有する一方で、一部の人々は、ARDS(おそらくは、サイトカインストームによって誘発される)、多臓器不全、敗血症性ショック、および血餅を発生させる。ARDSを発生させるCOVID-19患者は、代表的には、彼らの血中酸素飽和度(SpO2)レベルを測定することによって診断され、これは、代表的には95%~100%という正常レベルを下回る。病院環境では、患者の動脈酸素飽和度(SaO2)がまた、測定され得、これは、血液サンプルから、患者の血液中の酸素ガスの量を直接測定する。SaO2の正常レベルはまた、代表的には、95%~100%である。医療専門家は、SpO2およびSaO2の両方を使用して、被験体が低酸素症を被っているか否かを決定し得る。臓器(特に、肺および心臓)へのより長期間の損傷が観察されており、疾患の急性相から回復した患者のかなりの数について懸念が存在するが、後の数カ月間、ある範囲の影響(重篤な倦怠感、記憶喪失および他の認知的な問題、低グレードの発熱、筋力低下、息切れ(breathlessness)、および他の症状が挙げられる)を経験し続ける。ARDSを発生させる多くのCOVID-19患者は、彼らのSARS-CoV-2感染から生き残るが、彼らのうちの多くは、持続性の症状(例えば、倦怠感、疲労、運動できない、働くことができない、性行為を行うことができない、バーンアウト、衰弱、疲労困憊、心身消耗、だるさ、虚脱、疲れもしくは倦怠感、肉体的もしくは精神的活動後の症状の増悪(労作後倦怠感としても公知)、思考もしくは集中することが困難(ときおり、「ブレインフォッグ(brain fog)」ともいわれる)、咳、胸痛もしくは胃痛、頭痛、鼓動が速いもしくは動悸が激しい(心悸亢進とも記載される)、関節痛、筋痛、ピリピリ感(知覚異常)、下痢、睡眠の問題、発熱、起立性眩暈(立ちくらみ)、発疹、気分変動、嗅覚および味覚の変化(嗅覚消失)、ならびに月経周期の変化)を伴う長期間の肺損傷を有する。これらの症状は、SARS-CoV-2感染後数カ月間にわたって持続し得る。
【0007】
COVID-19に伴う重篤な病気を有した一部の人々は、より長期間にわたって、COVID-19の病気後数週間または数カ月間持続する症状を伴う多臓器の影響または自己免疫状態を経験する。多臓器の影響は、全てではないにしても、多くの身体システム(心臓、肺、腎臓、皮膚、および脳機能が挙げられる)に影響を及ぼし得る。自己免疫状態は、ヒトの免疫系がヒトの身体における健常細胞を誤って攻撃する場合に起こり、影響を及ぼされた身体部位において炎症(腫脹)または組織損傷を引き起こす。
【0008】
希ではあるが、一部の人々(大抵は小児)は、SARS-CoV-2感染中または直後に多系統炎症性症候群(MIS)を発生させる。MISは、種々の身体部分が炎症状態になり得る状態である。MISは、個体が多臓器の影響または他の症状を経験し続ける場合にCOVID後状態をもたらし得る。これらの症状および診断は、数ヶ月残り得る。
【0009】
コロナウイルスによって引き起こされた過去の流行は、SARSおよびMERS生存者のうちの30%が持続性の放射線学的異常を有し、15%が彼らの肺において持続性の生理学的拘束を有したという点において教訓的である。線維症のリスク因子は、高齢およびICU入室であった。中国の研究によれば、退院時のCOVID-19生存者における持続性の放射線学的所見および異常な肺機能が報告されている。COVID-19前の研究は、ARDS後線維症は進行しないことを示唆する。ARDS後線維症を有する患者は、間質性肺疾患(例えば、特発性肺線維症(IPF))において認められる進行ではなく、肺機能における安定した障害を明らかに示す。同様に、ARDS後線維症の研究によれば、IPFにおいて認められるもののような急性の増悪は報告されていない。COVID-19 ARDSにおいて抗線維症薬を試験する提唱が出現しつつある。
【0010】
今までのところ、長期間持続する肺損傷を被っているCOVID-19患者の成功裡の管理、処置、または治癒のための解決策は存在しない。ワクチン接種に対して抵抗または免疫を示す新たなCOVID-19バリアントが発生し、支配的に拡がっているバリアントがより多くの地域へと拡がっていることから、防止、処置、治癒薬または補助製剤の必要性がこれまでより大きくなっている。
【0011】
呼吸窮迫(これは、正常より低い酸素飽和度(すなわち、95%未満のSpO2)をもたらす)はまた、喘息を有する人々において重篤な発作中に起こり得、これは、死に至り得る。喘息は、気道の腫脹を引き起こす。これは、鼻および口から肺へと空気を運ぶ気道の狭窄を生じる。アレルゲンまたは刺激物が肺に入ると、喘息症状が誘発される。喘息発作の症状としては、呼吸困難、喘鳴、咳、および胸が締め付けられることが挙げられる。
【0012】
今日、これまでより多くの米国人が、喘息と診断されている(2020年においておよそ2500万人の米国人)。これは、米国人13人に約1人に等しく、成人の8%および小児の7%を含む。約2000万人の18歳以上の米国の成人が、喘息を有する。成人では、喘息は男性より女性においてより一般的である。喘息はまた、小児の慢性疾患の1位である。2020年当時、喘息を有する18歳未満の小児は約510万人である。小児では、喘息は、女児より男児においてより一般的である。2019年では、喘息を有する18歳以下の小児のうちの44.3%が、過去1年間で1回またはより多くの喘息発作があったと報告した。喘息を有する5歳未満の小児のうちの約47.2%は、エピソード(episode)を有した。5~17歳の小児の間では、喘息は、学校に出席しなかった原因の上位のうちの1つである。2013年では、1380万人を超える学校の欠席を占めた。
【0013】
平均すると、毎日10人の米国人が喘息で死亡している。2019年には、3,524人の人々が喘息で死亡した。これらの死亡のうちの多くは、適切な処置およびケアがあれば回避可能である。成人が喘息で死亡する可能性は、小児の5倍高い。女性が喘息で死亡する可能性は男性より高く、男児は女児より高い。
【0014】
人種および民族性はまた、喘息に関連する身体的および社会経済的転帰に影響を及ぼす。実際に、喘息の頻度、病気、および死亡は、貧困、都市の空気の質、室内アレルゲン、十分でない患者教育、および不十分なヘルスケアと高度に関連している。喘息率および喘息エピソードの有病率は、黒人系米国人の中で最も高い。黒人系米国人は、喘息に起因して救急救命部門を受診する可能性が白人系米国人より5倍高い。黒人系米国人はまた、喘息で死亡する可能性が白人系米国人よりほぼ3倍高い。小児の中では、黒人系の小児は、白人系の小児と比較して、喘息を有する可能性が3倍である。性別が要因として考えられる場合、黒人系の女性は、喘息に起因する死亡者数の割合が最も高い。2019年では、黒人系の女性は、白人系の男性より喘息で死亡する可能性が3倍高かった。
【0015】
喘息は、この国の最も一般的かつコストのかかる疾患のうちの1つである。2016年では、喘息は、980万件の診察室訪問を占めた。2018年では、喘息は、178,530人の病院入院患者のケアからの退院および160万人の救急救命部門の受診を占めた。2008年から2013年まで、喘息の年間経済的コストは、819億ドルより高かった(医療コスト、ならびに就労および就学の喪失を含む:就労および就学できなかったことに起因する喪失は>30億ドル;喘息関連の死亡者数に起因するものは>290億ドル;および医療コストにおけるものは>503億ドル)。喘息の年間1人あたりの医療コスト増分は、3,266ドルであった(2015年の米国ドル換算)。
【0016】
喘息は、適切な防止があれば管理され得、発作は、気管支拡張薬の吸入薬があれば処置され得るが、喘息は治癒しない。不運なことに、吸入薬は、喘息と関連する胸部の不快感を解消せず、ステロイドおよび気管支拡張薬の吸入薬はともに、多くの副作用がある。喘息を管理するために吸入薬を使用することの他の欠点としては、入手しがたいこと、1日を通して多くの用量が必要であること、および旅行する場合に空路の安全上の理由から、それらを荷物として持ち込めないことが挙げられる。従って、喘息発作症状を治す代替の方法の必要性がある。
【0017】
低い酸素飽和度をもたらし得る他の疾患としては、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、中皮腫、貧血、喘息、肺中の血餅(肺塞栓症)、肺虚脱、先天性心欠損もしくは心疾患、肺中の流体(肺浮腫)、高山病、間質性肺疾患、呼吸数を低下させる薬物療法(例えば、ある種の麻薬および麻酔薬)、毒性因子(例えば、二酸化窒素ガス)による肺炎症、肺における瘢痕化(肺線維症)、睡眠時無呼吸、および肺炎が挙げられる。過去のCOVID-19患者、ならびに他の疾患および状態によっても経験される慢性的な低酸素症(数週間から数カ月間の期間にわたる95%未満のSpO2の発生によって特徴づけられる)は、多くの他の疾患をもたらし得る。例えば、慢性的な低酸素症は、血圧を増大されることが公知である(Calbet, 「Chronic hypoxia increases blood pressure and noradrenaline spillover in healthy humans」, J Physiol. 2003, 551(Pt 1): 379-386)を参照のこと)。慢性的な低酸素症によって引き起こされる他の状態としては、うつ病および他の気分障害、倦怠感、頭痛、錯乱、高血圧(高血圧症)、肺高血圧症、心拍数の増大(頻脈)、心不全、急性呼吸不全、および続発性赤血球増加症(赤血球数の異常な増大)が挙げられるが、これらに限定されない。従って、低酸素症の処置は、それらの状態のうちのいずれかを防止、処置、または治癒し得る。
低酸素症を被っている患者を、好ましくは入院患者または在宅環境において、および管理可能なコストで、複雑な装置または特別なもの(例えば、経口投与(経口摂取)処置)の必要性なしに処置する効果的で、安全な方法が、COVID-19時代には甚だしく欠けており、切迫して必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】Calbet, 「Chronic hypoxia increases blood pressure and noradrenaline spillover in healthy humans」, J Physiol. 2003, 551(Pt 1): 379-386
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
要旨
一般に、本開示は、呼吸器の病気を処置する方法であって、上記方法は、上記被験体に有効量の元素金属を投与する工程および上記被験体に有効量の硝酸アニオン(NO )源を投与する工程を包含する方法に関する。いくつかの局面において、上記被験体は、元素金属および硝酸アニオン(NO )源を含む組成物を投与される。いくつかの局面において、亜硝酸イオン(NO )のある量が、上記硝酸イオンと組み合わせて、またはさらには亜硝酸イオンの代わりに投与される。上記元素金属は、アルカリ土類金属、アルカリ金属、または遷移金属である。いくつかの実施形態において、上記元素金属は、元素マグネシウム、元素カルシウム、元素リチウム、元素亜鉛、または元素鉄である。好ましい実施形態において、上記元素金属は、金属(非荷電)マグネシウムおよび/または亜鉛である。いくつかの局面において、上記硝酸アニオン源は、硝酸の塩、例えば、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、または硝酸マグネシウムである。さらに他の局面において、上記硝酸アニオン源は、植物由来の硝酸イオン源である。亜硝酸アニオン源がまた、製法の中に加えられる場合、それは、種々の亜硝酸塩の形態(例えば、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウムなど)にあり得るか、またはさらには硝酸イオン還元細菌によって亜硝酸イオンへと還元された発酵された植物の硝酸イオンに由来し得る。硝酸の希釈液もまた利用され得るが、それらの腐食作用、ならびに硝酸の化学的不適合性および硝酸溶液が二酸化窒素ガスを生じる能力のような他の非実用的な懸念に起因して好ましくない。ある特定の実行において、上記組成物は、酸をさらに含む。
【0020】
いくつかの実行において、および本開示を例示する目的で、上記方法は、ヒト被験体に少なくとも1種の元素金属を経口投与する工程;および上記ヒト被験体に硝酸イオン(NO )、亜硝酸イオン(NO )、または両方を経口投与する工程を包含する。上記元素金属は、元素マグネシウム、元素カルシウム、元素リチウム、元素亜鉛、元素ナトリウム、元素カリウム、元素ベリリウム、元素ルビジウム、元素セシウム、元素アルミニウム、元素ガリウム、元素インジウム、元素スズ、元素ビスマス、元素スカンジウム、元素チタン、元素バナジウム、元素クロム、元素マンガン、元素コバルト、元素マンガン、元素スカンジウム、元素チタン、ニッケル、元素銅、元素亜鉛、元素イットリウム、元素ジルコニウム、元素ニオブ、元素モリブデン、元素テクネチウム、元素ルテニウム、元素ロジウム、元素パラジウム、元素銀、元素カドミウム、元素ランタン、元素ハフニウム、元素タンタル、元素タングステン、元素レニウム、元素オスミウム、元素イリジウム、元素白金、元素金、および元素マンガンからなる群より選択される。
【0021】
特定の実行は、以下のうちの1もしくはこれより多くのものまたは全てを含み得る。
【0022】
さらに、上記ヒト被験体に薬学的に有効な量の酸を経口投与する工程。
【0023】
上記ヒト被験体は、硝酸塩および/または亜硝酸塩を投与され、上記ヒト被験体は、上記酸としてクエン酸を投与される。上記ヒト被験体は、硝酸カリウムおよび/または亜硝酸カリウムを投与される。
【0024】
上記ヒト被験体は、約95%未満または約92%未満の血中酸素飽和度レベル(SpO2レベル)を有する。上記ヒト被験体への上記少なくとも1種の元素金属ならびに上記硝酸イオンおよび/または上記硝酸イオンの経口投与は、最初の経口投与の1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、12時間、24時間、36時間、48時間、72時間、または96時間以内に反復される。上記ヒト被験体は、上記ヒト被験体のSpO2レベルが約95%または約92%を下回って低下した場合に、上記少なくとも1種の元素金属を経口投与される。
【0025】
上記ヒト被験体のSpO2レベルは、上記少なくとも1種の元素金属ならびに上記硝酸イオンおよび/または上記亜硝酸イオンの投与後約5分~約2.5時間以内に少なくとも約1%増大する。
【0026】
上記ヒト被験体のSpO2は、上記少なくとも1種の元素金属ならびに上記硝酸イオンおよび/または上記亜硝酸イオンの投与後の約5分~約2.5時間以内に少なくとも約94%へと増大する。
【0027】
上記ヒト被験体のSpO2は、上記少なくとも1種の元素金属ならびに上記硝酸イオンおよび/または上記亜硝酸イオンの投与後の約5分~約2.5時間以内に少なくとも約95%へと増大する。
【0028】
上記ヒト被験体は、コロナウイルス疾患(COVID-19)を有する。
【0029】
上記ヒト被験体は、SARS-CoV-2感染症からの回復後に低酸素症を有する。
【0030】
上記ヒト被験体は、SARS-Cov-2感染症、コロナウイルス疾患(COVID-19)後の低酸素症、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、ARDS後低酸素症、肺炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、中皮腫、貧血、喘息、肺塞栓症、肺虚脱、先天性心欠損もしくは心疾患、肺浮腫、高山病、間質性肺疾患、低呼吸数、肺炎症、肺線維症、睡眠時無呼吸、消化器感染症、Heliobacter pylori感染症、および呼吸器感染症からなる群より選択される状態を有する。ここで上記ヒト被験体は、ウイルス呼吸器感染症を有する。ここで上記ヒト被験体は、低酸素症である。
【0031】
上記ヒト被験体は、組織損傷、筋痛、身体痛、倦怠感、咽頭痛、息切れ、呼吸困難、胸痛、肺炎症、咳、発熱、嗅覚消失、味覚障害、副鼻腔鬱血、鼻汁、血中酸素飽和度の減少、頭痛、消化管障害、悪心、嘔吐、下痢、疲労、運動できない、働くことができない、性行為を行うことができない、バーンアウト、衰弱、疲労困憊、心身消耗、だるさ、虚脱、疲れ、倦怠感、肉体的もしくは精神的活動後の症状の増悪、思考もしくは集中することが困難、咳、胃痛、鼓動が速いもしくは動悸が激しい、関節痛、ピリピリ感、睡眠の問題、起立性眩暈、発疹、気分変動、気分障害、月経周期の変化、高血圧症、うつ病、心拍数の増大、心不全、および急性呼吸不全からなる群より選択される少なくとも1つの症状を示す。ここで上記組織損傷は、脳、心臓、肺および/または腎臓にある。ここで上記少なくとも1種の元素金属ならびに上記硝酸イオンおよび/または亜硝酸イオンの投与は、上記ヒト被験体において上記少なくとも1つの症状を緩和する。
【0032】
上記ヒト被験体は、上記少なくとも1種の元素金属および上記硝酸イオンを含む組成物を経口投与され、上記組成物は、約1mg~約2000mgの上記少なくとも1種の元素金属および約30mg~約4000mgの上記硝酸イオンを含む。ここで上記組成物は、元素マグネシウムおよび/または元素亜鉛を含む。
【0033】
上記ヒト被験体は、約1200mg 硝酸カリウム;約200mg 元素マグネシウム;および約50mg 元素亜鉛を含む組成物を経口投与される。ここで上記組成物は、約1000mg クエン酸をさらに含む。ここで上記組成物は、1もしくはこれより多くのカプセル剤において提供される。ここでカプセル剤は、0またはこれより小さいサイズを有する。ここで上記元素金属マグネシウムは、60~200のメッシュサイズを有し、上記元素金属亜鉛は、325もしくはこれより低いメッシュサイズを有する。
【0034】
上記ヒト被験体は、上記亜硝酸イオンを投与され、投与される亜硝酸イオンの量は、約5mg~約300mg、約10mg~約200mg、または約30mgおよび約100mgである。
【0035】
上記亜硝酸イオンの経口投与は、上記ヒト被験体にメトヘモグロビン血症を発生させない。
【0036】
さらに、上記ヒト被験体に少なくとも1種の胃酸分泌促進物質を経口投与する工程。ここで上記少なくとも1種の胃酸分泌促進物質は、カフェイン、テオフィリン、テオブロミン、エタノール溶液、ペンタガストリン、およびコリン作動薬からなる群より選択される。ここで上記エタノール溶液は、2%~14%エタノールを有する。ここで上記コリン作動薬は、アセチルコリンおよびピロカルピンから選択される。
【0037】
上記ヒト被験体は、上記少なくとも1種の元素金属ならびに上記硝酸イオンおよび/または上記亜硝酸イオンを含む組成物を投与され、組成物は、徐放性製剤にある。
【0038】
いくつかの実行において、および本開示を例示する目的で、ヒト消費のための組成物は、35に等しいかもしくはこれより大きいメッシュサイズにある少なくとも1種の元素金属であって、ここで上記元素金属は、元素マグネシウム、元素カルシウム、元素亜鉛、元素銅、および元素鉄からなる群より選択される少なくとも1種の元素金属;ならびに硝酸イオン(NO )、亜硝酸イオン(NO )、または両方を含む。
【0039】
特定の実行は、以下のウチの1もしくはこれより多くのものまたは全てを含み得る。
【0040】
上記元素金属のメッシュサイズは、40またはこれより大きい。
【0041】
上記硝酸イオンおよび上記亜硝酸イオンは、無機塩である。
【0042】
上記組成物は、約1mg~約800mgの上記元素金属;ならびに約30mg~約2000mgの上記硝酸イオンおよび/または上記亜硝酸イオンを含む。
【0043】
上記少なくとも1種の元素金属は、60~200の間のメッシュサイズにある元素マグネシウムである。
【0044】
上記組成物は、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、散剤、粒剤、ペレット、ビーズ、粒子、口内錠、および芳香錠から選択される投与形態にある。上記元素金属は、上記硝酸イオンおよび/または上記亜硝酸イオンとともにパッケージされる。
【0045】
上記組成物は、酸をさらに含む。ここで上記組成物は、約50mg~約20,000mgの量において上記酸を含む。ここで上記酸は、上記元素金属ならびに上記硝酸イオンおよび/または上記亜硝酸イオンから分離してパッケージされる。
【0046】
ここで上記元素金属、上記硝酸イオン、上記硝酸イオン、および上記酸は、固体形態にある。
【0047】
上記組成物は、胃酸分泌促進物質をさらに含む。ここで上記胃酸分泌促進物質は、胃のpHを減少させるために十分な量にある。
【0048】
上記元素金属ならびに上記硝酸イオンおよび/または亜硝酸イオンは、徐放性製剤中にある。
図面の簡単な説明
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1図1は、実験において試験した元素マグネシウムの3つの異なる形態を示す。
【0050】
図2-1】 図2Aは、マグネシウム散剤の500×倍率の画像を示す。図2Bは、 10秒間、酸性化した水(100ml 水中に1000mg クエン酸)とのマグネシウム散剤反応の500×倍率の画像を示す。
図2-2】 同上。
【0051】
図3-1】 図3Aは、マグネシウム粒剤の500×倍率の画像を示す。図3Bは、 マイクロメーターを用いた、マグネシウム粒剤の500×倍率の画像を示す(各刻み目=0.1mm)。図3Cは、10秒間後、マグネシウム粒剤と酸性化した水(100ml 水中に1000mg クエン酸)との反応の500×倍率の画像を示す。
図3-2】 同上。
【0052】
図4-1】 図4A~4Cは、マイクロメーターの定規を介するマグネシウムダスト 図4A)、マグネシウム散剤(図4B)、およびマグネシウム粒剤(図4C)の500×倍率の像の比較を示す(各刻み目は0.1mmである)。
図4-2】 同上。
【0053】
図5-1】 図5Aは、500×倍率でのマグネシウムダストを示す。図5Bは、マ イクロメーターを用いた500×倍率でのマグネシウムダストを示す(各刻み目=0.1mm)。図5Cは、10秒、酸性化した水(100ml 水中に1000mg クエン酸)と反応した500×倍率のマグネシウムダストを示す。
図5-2】 同上。
【0054】
図6図6Aは、治験中の酸素飽和度における個々の変化を示す。各線は、異なる 患者を表す。図6Bは、治験中の上記患者の平均血中酸素飽和度を示す。エラーバーは、標準誤差を記す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
詳細な説明
本開示の詳細な局面および適用は、以下の本技術の詳細な説明において以下に記載される。具体的に注記されなければ、本明細書および特許請求の範囲における文言および語句は、適用可能な分野の当業者にとってそれらの普通の、通常の、および習慣的な意味を与えられることが意図される。
【0056】
以下の説明の中で、および説明目的で、多くの具体的な詳細が、本開示の種々の局面の完全な理解を提供するために示される。しかし、本明細書で開示される技術の実行がこれらの具体的詳細なしに実施され得ることは、関連分野の当業者によって理解される。本開示の技術が適用され得る多くの異なる、および代替の構成、デバイスおよび技術が存在することは、注記されるべきである。本明細書で開示される技術の完全な範囲は、以下に記載される例に限定されない。
【0057】
単数形「a(1つの、ある)」、「an(1つの、ある)」および「上記、この、その(the)」は、文脈が別段明らかに規定しなければ、複数形への言及を含む。従って、例えば、「1つの工程(a step)」への言及は、このような工程の1またはこれより多くのものへの言及を含む。
【0058】
本明細書で使用される場合、用語「約」とは、所定の値の5%以下の偏差、例えば、所定の値の3%、2%、1%、0.5%、または0.1%の偏差に言及する。
【0059】
本明細書で言及される場合、「防止(prevention)」、「防止する(prevent)」、および/または「防止する(preventing)」は、本明細書で交換可能に使用され、呼吸器の病気または疾患の進行を遅らせる、中断する、停止させる、制御する、停止させる、症状もしくは合併症を緩和する、または逆行させることであり得る全てのプロセスに言及することが意図される。
【0060】
本明細書で交換可能に使用される場合、「処置(treatment)」および/または「処置する(treating)」および/または「処置する(treat)」は、呼吸器の病気または疾患の進行を遅らせる、中断する、停止させる、制御する、停止させる、症状もしくは合併症を緩和する、または逆行させることであり得る全てのプロセスに言及することが意図される。
【0061】
本明細書で使用される場合、用語「受容可能な」とは、その最も広い意味において使用される語句であり、食品グレードの物質に関する食品医薬品局(FDA)標準、米国薬局方(USP)標準、米国農務省(USDA)標準、栄養補助食品産業の一般に受容されている標準、産業標準、植物由来の標準、または任意の認識されている組織体によって確立された標準を満たす組成物の成分を記載し得る。これらの標準は、組成物の実行において使用される化学物質、組成物、または調製物の食用に適すること、毒性、薬理学的効果、または任意の他の局面のような、組成物の成分の局面の受容可能な範囲を線引きし得る。
【0062】
本明細書で使用される場合、用語「組成物」とは、成分または構成要素の混合物、ならびに異なる成分または構成要素を含むカプセル剤または錠剤の組み合わせの両方に言及する。よって、ある特定の実施形態において、組成物は、一緒にパッケージされかつ一緒に摂取されることが意味される、別個のカプセル剤、錠剤または他の投与形態を包含する。例えば、上記硝酸イオン/亜硝酸イオン構成要素および上記元素金属構成要素は、別個のカプセル剤、錠剤などの中にあり得る。
【0063】
本明細書で使用される場合、用語「元素金属」とは、金属元素の中性に荷電された状態、言い換えると、その元素形態にありかつ塩形態または荷電された形態にない金属に言及する(非限定的な例示的塩形態および荷電された形態としては、上記金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、塩化物、乳酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、グリシン酸塩、およびグルコン酸塩が挙げられる)。よって、本明細書で使用される場合、元素金属および上記金属の塩は、異なる構成要素である。明らかにするために、本明細書で使用される場合、元素金属(すなわち、それらの非荷電の金属形態)および上記金属のイオン性(荷電された)形態(例えば、塩、酸化物および水酸化物)は、異なる構成要素である。組成物が元素金属を含むという記載は、金属塩の存在によって満たされ得ず、その逆もまた然りである。例えば、クエン酸マグネシウムからなる組成物は、クエン酸マグネシウムがある量の元素マグネシウムを提供するという何らかの説明にもかかわらず、元素マグネシウムを含む組成物ではない。本明細書で記載される元素金属としては、元素マグネシウム、元素カルシウム、元素リチウム、元素亜鉛、元素ナトリウム、元素カリウム、元素ベリリウム、元素ルビジウム、元素セシウム、元素アルミニウム、元素ガリウム、元素インジウム、元素スズ、元素ビスマス、元素スカンジウム、元素チタン、元素バナジウム、元素クロム、元素マンガン、元素コバルト、元素マンガン、元素スカンジウム、元素チタン、ニッケル、元素銅、元素亜鉛、元素イットリウム、元素ジルコニウム、元素ニオブ、元素モリブデン、元素テクネチウム、元素ルテニウム、元素ロジウム、元素パラジウム、元素銀、元素カドミウム、元素ランタン、元素ハフニウム、元素タンタル、元素タングステン、元素レニウム、元素オスミウム、元素イリジウム、元素白金、元素金、元素マンガン、および元素鉄が挙げられる。呼吸器の病気の処置のために好ましい組成物において、上記元素金属は、元素金属マグネシウムおよび元素金属亜鉛の群から選択される。
【0064】
いくつかの局面において、本開示は、硝酸アニオン(NO )源および元素金属を呼吸器の病気を有する被験体に経口投与すると、呼吸器の病気と関連する症状が低減または緩和され得るという発見に関する。COVID-19と診断された被験体への硝酸アニオン(NO )源および元素金属の投与が、胸痛、発熱、筋痛、咳、呼吸困難および息切れという上記被験体の症状を緩和することを驚くべきことに発見した。1つの実行において、上記被験体は、低い血中酸素飽和度(90~92%の間)を経験している間に、硝酸カリウム(KNO )、元素マグネシウム、および元素亜鉛を含むカプセル剤を投与された。上記カプセル剤を摂取して30分以内に、上記被験体は、息切れ、胸痛、および呼吸困難が大きく軽減されたことを報告した。上記血中酸素飽和度レベルも、30分以内に97%へと上昇した。血中酸素飽和度に対する効果は、上記カプセルを摂取して4時間後に低減したが、第2のカプセル剤の投与は、上記被験体の酸素飽和度レベルを正常(97%~100%の間)へと回復させた。いくつかの実施形態において、呼吸器の病気を有する被験体への硝酸アニオン源および元素金属の投与は、呼吸器の病気からの回復を加速し得る。
【0065】
これらの結果は、409mg用量および479mg用量で硝酸イオン単独を利用する以前の実験が酸素飽和度においていかなる増大をも生じなかったことから、非常に驚くべきことであった(Rosettiら, 「Dietary nitrate supplementation increases acute mountain sickness severity and sense of effort during hypoxic exercise”, J Appl Physiol (1985), 2017, 123(4): 983-992, Barlowら, 「The effect of a dietary nitrate supplementation in the form of a single shot of beetroot juice on static and dynamic apnea performance」 J Sport Nutr Exerc Metab, 2018, 28(5): 497-501)。元素金属および硝酸アニオン源の組み合わせが、一酸化窒素ガスを即座に生成し得、一酸化窒素の肺排泄を増大させ得ることも発見された。この組み合わせの投与は、数分以内に、レッグプレスの重量および疲労困憊するまでの時間を増大させるのに有効であった。上記組み合わせを試験した被験体はまた、彼らが身体活動中に呼吸しやすくなったと感じたことを報告した。従って、元素金属および硝酸アニオン源の組み合わせを投与すると、低い酸素飽和度レベル、呼吸困難、胸痛、および息切れを被っている被験体に軽減が提供される。
【0066】
本開示は、一酸化窒素(NO)を生成するために使用される元素金属のメッシュサイズが、溶液中で酸および硝酸アニオンを組み合わせた場合に、生成されるNOの治療上の有効性に影響を及ぼし、NO治療の必要性のある被験体に投与されるという発見に関する。
【0067】
用語「メッシュ」は、研磨粒子のサイズを記載する。粒子のメッシュサイズ(またはグレード)が報告される場合、それは、そのメッシュサイズまたはグレードにある粒子の平均直径または平均直径(mean or average diameter)を報告する。2つの数字が粒子のメッシュサイズへの言及において使用される場合、これは、製品のそのグレードにある粒子の全てがそのメッシュサイズ範囲内にあることを示す(すなわち、メッシュサイズ80-100)。
【0068】
米国メッシュサイズ(または米国シーブサイズ)は、スクリーンの1平方インチ単位の開口部の数として定義される。例えば、サイズ36メッシュスクリーンは、36個の開口部を有する一方で、サイズ150メッシュスクリーンは、150個の開口部を有する。スクリーンのサイズ(1平方インチ)は一定であるので、メッシュの数字が大きいほど、より小さなスクリーン開口部を意味し、従って、より小さな粒子に言及する。一般に、米国メッシュサイズは、サイズ325メッシュ(1平方インチ単位で325個の開口部)までのスクリーンを使用して測定される。ときおり、製品のメッシュサイズは、マイナス(-)またはプラス(+)のいずれかの記号とともに注記される。これらの記号は、その粒子がそのメッシュサイズより全て小さい(-)かまたは全て大きい(+)かのいずれかであることを示す。例えば、-100メッシュと特定された製品は、100メッシュスクリーンを通過した粒子のみを含む。+100グレードは、100メッシュスクリーンを通過しなかった粒子を含む。製品のグレードがダッシュまたはスラッシュとともに注記される場合、その製品は、その2つのメッシュサイズ内に含まれる粒子を有することを示す。例えば、30/70または30-70グレードは、30メッシュより小さくかつ70メッシュより大きい粒子を有するのみである。
【0069】
表1は、メッシュ変換チャートを示す。これは、種々のメッシュサイズに関してインチおよびミクロン単位でおよそのサイズを示す。これらの値は、正確であるとして概して受容されているが、近似値である。なぜなら特定のスクリーンを作製するために使用されるワイヤの厚みは、1平方インチ単位での開口部の数を変動させるからである。325メッシュを下回る大部分のグレードは、これらのサイズがスクリーンを使用して製造されていないことからミクロンサイズによって示される。
表1. メッシュ変換チャート
【表1】
【0070】
35より大きくかつこれに等しいかまたは325メッシュサイズ未満のメッシュサイズの元素金属は、少なくとも1種の元素金属および硝酸アニオン(NO )または亜硝酸アニオン(NO )源を含む組成物の投与後に、経験した副作用(例えば、消化管障害、悪心、嘔吐、胸やけ)の量を制限しながら最も治療効果を生じることが、驚くべきことに発見された。上記金属およびそれと上記硝酸イオンまたは亜硝酸イオンおよび酸との反応性に依存して、異なるメッシュサイズが好ましい場合もあるが、一般に、40-325のメッシュサイズは、マグネシウムおよび亜鉛の場合によりよい治療効果を生じ、マグネシウムの最適メッシュサイズは60-200(マグネシウム金属散剤と一般に称されるもの)であり、亜鉛の最適メッシュサイズは、325またはこれより大きい(亜鉛ダストと一般に称されるもの)。いくつかの局面において、元素金属ならびに硝酸イオンおよび/または亜硝酸イオンの組成物の投与は、上記被験体にメッシュサイズ35またはこれより大きい少なくとも1種の元素金属を経口投与する工程、および上記被験体に硝酸アニオンおよび/または亜硝酸アニオン源を経口投与する工程を包含する。いくつかの他の局面において、上記組成物の投与は、上記被験体にメッシュサイズ35またはこれより大きい少なくとも1種の元素金属を経口投与する工程、ならびに上記被験体に硝酸アニオンおよび/または亜硝酸アニオン源ならびに酸(例えば、クエン酸)を経口投与する工程であって、上記酸は、好ましくは,別個の投与形態(カプセル剤、散剤または錠剤のような)にある工程を包含する。元素金属および硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオンの組成物、あるいは元素金属ならびに硝酸アニオンおよび/または亜硝酸アニオンならびに酸(例えば、クエン酸)の組成物の投与は、注意力、エネルギーレベルを改善し、頭痛/片頭痛を治癒し、筋力および持久力の増大によって示されるとおりの運動能力を増大させ、上記元素金属のメッシュサイズが40~325の間にない組成物の投与より、投与後により短期間で呼吸器の病気(例えば、息切れ、呼吸の問題、胸痛、肺炎症および/または酸素飽和度の減少)の症状を低減した。被験体はまた、元素金属および硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオンの組成物、あるいは元素金属および硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオンおよび酸(例えば、クエン酸)の組成物を投与した場合に、呼吸器症状がより大きく軽減されたことを経験した。この場合、上記元素金属のメッシュサイズは40~200の間である。いくつかの実施形態において、上記組成物の摂取と関連する消化器副作用(例えば、消化管障害、下痢、悪心、胸やけおよび嘔吐)は、上記組成物が35より大きいメッシュサイズを有する元素金属を含む場合に低減した。
【0071】
いくつかの実行において、上記硝酸イオン/亜硝酸イオン構成要素および上記元素金属構成要素は、経口投与形態として別個のカプセル剤、錠剤などにある。
【0072】
副作用の発生を防止し得る本発明者らが発見した他の方法としては、以下が挙げられる:
- 上記カプセル剤を十分量の水(好ましくは冷たい(室温を下回る))とともに、少なくとも500mlの量において摂取すること;
- 上記カプセル剤を胃が絶食状態(胃の中に食べ物が存在しない、通常は、少なくとも8時間、食べ物の摂取を控えることによって達成される)で摂取することを回避すること;および
- 製剤の摂取後に極めて不快な場合には、牛乳または他の中性からアルカリ性の製品の消費。
【0073】
実施例において示されるように、ヒトの胃の中で安全に達成可能な酸性条件下では、粒状のマグネシウムは、あまりにもゆっくりと反応し、非常に少量しかNOを生成しないので、認識可能な/観察可能な治療効果を達成できない。NOガスが身体に対して体系的な効果を有し得るか、または肺に達し得る機序は公知でないが、胃の中で低減されたNOガス生成は、摂取した製剤の治療効果の低減または治療効果がないことと相関することが、本発明者らによって観察された。低メッシュ粒状マグネシウムが胃を出て浪費される前に十分に反応できない可能性があるという懸念もある。これを証明するために、本発明者らは、200mgの粒状(メッシュサイズ35)元素金属マグネシウムを、模擬胃酸液(100mlの、水中0.1N HCl)中、200mgの元素金属粒状マグネシウムおよび1000mgのクエン酸とともに添加した。通常の胃を空にする条件では、摂取した化合物/食事のうちの60%未満が、2時間で胃の中に存在し、4時間では10%未満が存在した(Banks KP, Syed K, Parekh Mら, Gastric Emptying Scan. [Updated 2020 Dec 22]. In: StatPearls [Internet] Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2021 Jan-. Available from: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK531503/)。さらに4時間後には、元素金属マグネシウムの粒剤は、ビーカーの底に点々としているのが見つけられた。他方で、マグネシウムダストは、あまりに迅速に上記製剤の硝酸イオンおよび酸と反応し、あまりに多くのNOを作り出し(それ自体、100+ ppmで毒性)、それはまた急速に酸化して、非常に毒性でありかつ潜在的に致死的なNO になる。マグネシウムダストでの実験は、非常に多くのNOおよびNO を作り出したので、発生したガスが両方のガスセンサーを1分未満でチャンバー中の最大毒性レベル(250ppm NOおよび100ppm NO )にまで押し上げた。その溶液はまた、急速に熱を増し(その100ml 溶液は、30℃の周囲温度から80℃超に達した)、これは、胃上皮のような組織に損傷および熱傷を引き起こしたと思われる。従って、上記マグネシウムダストは、いかなるヒトに対しても完全に毒性であり、これらの量での治療的使用は不適切だったと思われる。他方で、マグネシウム散剤(メッシュサイズ60-200)は、NOを1時間超にわたって持続して生成し、NO の生成ゼロで、39.8ppm NOという最大濃度を達成した。これは、治療剤では前代未聞の新規な科学的大発見である。亜鉛は、マグネシウムより反応しづらく、ダストのメッシュサイズ(325メッシュ)で使用され、NOを4時間超にわたって持続して生成し得る(これは、本開示の治療用組成物の推奨される投与間の間隔のうちの1つである)。
【0074】
よって、35より大きいメッシュサイズを有する元素金属および硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン源を含む組成物が、本明細書で開示される。いくつかの局面において、上記元素金属のメッシュサイズはまた、200未満である。例えば、特定の実施形態において、上記組成物は、40~200の間のメッシュサイズを有する元素金属および上記硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン源を含む。いくつかの実行において、上記硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン源は、硝酸塩または亜硝酸塩(例えば、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、アミノ酸硝酸塩、亜硝酸カリウム、アミノ酸亜硝酸塩または硝酸ナトリウム)である。他の実行において、上記硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン源は、植物由来の源、例えば、ビートの根の抽出物またはアマランサス抽出物である。
【0075】
上記被験体に有効量の元素金属を投与する工程、および上記被験体に有効量の硝酸アニオン源を投与する工程を包含する呼吸器の病気を処置するための方法が、本明細書で開示される。いくつかの実行において、上記被験体は、元素金属および硝酸アニオン源を含む組成物を投与される。いくつかの実施形態において、上記被験体はまた、酸を投与される。上記酸は、請求項に記載される組成物の摂取時に胃のpHが酸性のままであることを確実にするために投与される。いくつかの実行において、上記酸は、上記元素金属および上記硝酸アニオン源とは別個の組成物中で投与される。従って、いくつかの実行において、上記被験体は、上記元素金属および上記硝酸アニオン源を含む第1の組成物ならびに上記酸を含む第2の組成物を投与される。よって、上記被験体は、上記元素金属および上記硝酸アニオン源を含む投与形態(例えば、カプセル剤、錠剤、または丸剤)ならびに上記酸を含む別の投与形態(例えば、カプセル剤、錠剤、または丸剤のような固体形態、あるいは液体形態において)を含む治療レジメンを投与される。他の実行において、上記元素金属、上記硝酸アニオン源、および上記酸は、これら3つの構成要素を含む投与形態(例えば、カプセル剤または錠剤)において投与される。ある特定の実施形態において、硝酸アニオン源を投与する代わりに、亜硝酸アニオン源が投与される。他の実施形態において、上記被験体は、硝酸アニオン源および亜硝酸アニオン源の両方を投与される。
【0076】
ある特定の実行において、上記被験体は、息切れ、呼吸の問題、胸痛、肺炎症、および酸素飽和度の減少からなる群より選択される少なくとも1つの症状を示す。いくつかの局面において、上記被験体は、呼吸器感染症を有する。いくらかの場合には、上記被験体は、ウイルス感染症および/または細菌感染症を有する。例えば、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、RSウイルス、Streptococcus pneumoniae、Haemophilus influenzae b型(Hib)、および/またはPneumocystis jiroveciによる感染症。いくつかの実行において、上記被験体は、コロナウイルス(例えば、299EおよびNL63から選択されるアルファコロナウイルスまたはOC43、HKU1、MERS-CoV、SARS-CoV、もしくはSARS-CoV-2から選択されるベータコロナウイルス)によって引き起こされる肺炎または重症急性呼吸器症候群と診断される。いくつかの局面において、有効量の元素金属および有効量の硝酸アニオン源の投与は、上記被験体において息切れ、呼吸の問題、胸痛、肺炎症および/または酸素飽和度の減少の症状を低減する。ある特定の実行において、上記元素金属および上記硝酸アニオン源は、上記被験体に4時間ごとに投与される。いくつかの局面において、投与の反復は、上記症状のうちの少なくとも1つがなくなるまで、例えば、少なくとも2日間または4日間継続する。
【0077】
他の局面において、上記被験体は、アスペルギルス症のような呼吸器の真菌感染症を有する。いくつかの局面において、上記被験体は、原性動物の呼吸器感染症および症状(例えば、実質組織への直接的損傷(例えば、トキソプラズマ症);血行性播種による全身の炎症応答を介するもの(例えば、マラリア);および隣接する病変との接触(例えば、アメーバ症))を有する。いくつかの局面において、上記被験体は、毒性因子(例えば、二酸化窒素)に起因する肺への炎症を有する。いくつかの局面において、上記被験体は、肺の炎症およびその後の未知の原因の呼吸の問題を有し得る。
【0078】
ある特定の実行において、上記被験体は、息切れ、呼吸の問題、胸痛、肺炎症、および酸素飽和度の減少からなる群より選択される少なくとも症状を示す。いくつかの局面において、上記被験体は、呼吸器感染症を有する。例えば、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、RSウイルス、Streptococcus pneumoniae、Haemophilus influenzae b型(Hib)、および/またはPneumocystis jiroveciによる感染症。いくつかの実行において、上記被験体は、コロナウイルス、例えば、299EおよびNL63から選択されるアルファコロナウイルスまたはOC43、HKU1、MERS-CoV、SARS-CoV、もしくはSARS-CoV-2から選択されるベータコロナウイルスによって引き起こされる重症急性呼吸器症候群と診断される。いくつかの局面において、有効量の元素金属および有効量の硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン源の投与は、上記被験体において息切れ、呼吸の問題、胸痛、肺炎症および/または酸素飽和度の減少の症状を低減する。ある特定の実行において、上記元素金属および硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン源は、上記被験体に4時間ごとに投与される。投与頻度は、その用量の効力に依存するが、例えば、用量の頻度および/または量は、疾患および症状の重篤度の進行に応じて、または監督している医療専門家によって指示されるように変更され得る。例えば、早期発症COVID-19および軽度症状(93~94の間のSpO2)を有する患者は、投与量の半量を要求し得るか、または4時間ごともしくは8時間ごとに投与され得る。広範囲にわたる肺損傷(85を下回るSpO2)へと進行してしまった重篤なCOVID-19症例は、2倍の投与量を要求し得るか、または2時間ごとの、またはさらにより多くの投与を要求し得る。いくつかの局面において、投与の反復は、上記症状のうちの少なくとも1つがなくなるまで、例えば、少なくとも2日間もしくは4日間、またはより長く継続する。
【0079】
被験体において血中酸素飽和度レベルを増大させる;被験体において咳を低減する;被験体において片頭痛および頭痛を低減する;被験体において消化管障害(例えば、下痢、悪心および/または嘔吐、Helicobacter pylori感染症、潰瘍、または過敏性腸症候群)を低減する;被験体において発熱を低減する;被験体において息切れもしくは呼吸困難を低減する;被験体において筋痛および身体痛を低減する;被験体において嗅覚および味覚の喪失を低減する;被験体において咽頭痛を低減する;被験体において鬱血または鼻汁を低減する;被験体において倦怠感を低減する;被験体において胸痛を低減する;ならびに被験体において低い血中酸素レベルによって引き起こされる臓器損傷を低減する方法がまた、開示される。
【0080】
上記元素金属は、アルカリ土類金属、アルカリ金属、または遷移金属である。元素金属は反応性であることから、それらは、天然では見出されない。むしろ、それらは、種々の金属化合物(例えば、塩および酸化物)の混合物を含む鉱石として存在する。よって、元素金属を生成するためには、物理化学的方法を利用する複雑な抽出および生成が必要とされる。いくつかの実施形態において、上記元素金属は、元素マグネシウム、元素カルシウム、元素リチウム、元素亜鉛、元素ナトリウム、元素カリウム、元素ベリリウム、元素ルビジウム、元素セシウム、元素アルミニウム、元素ガリウム、元素インジウム、元素スズ、元素ビスマス、元素スカンジウム、元素チタン、元素バナジウム、元素クロム、元素マンガン、元素コバルト、元素マンガン、元素スカンジウム、元素チタン、ニッケル、元素銅、元素亜鉛、元素イットリウム、元素ジルコニウム、元素ニオブ、元素モリブデン、元素テクネチウム、元素ルテニウム、元素ロジウム、元素パラジウム、元素銀、元素カドミウム、元素ランタン、元素ハフニウム、元素タンタル、元素タングステン、元素レニウム、元素オスミウム、元素イリジウム、元素白金、元素金、元素マンガンまたは元素鉄である。いくつかの実施形態において、上記元素金属は、元素マグネシウム、元素カルシウム、元素リチウム、元素亜鉛、および元素鉄からなる群より選択される。いくつかの実施形態において、上記被験体は、元素金属の組み合わせを投与される。従って、いくつかの局面において、上記被験体に投与される上記組成物は、1より多くの元素金属を含む。元素金属は、任意の形態、例えば、散剤もしくは粒剤、または上記金属が上記硝酸イオンおよび上記酸と合わせる前に非荷電のままである任意の他の形態にあり得る。
【0081】
いくつかの局面において、上記硝酸アニオン(NO )は、アミノ酸の硝酸塩またはアミノ酸またはアミノ酸誘導体(例えば、硝酸クレアチン、硝酸アルギニン、硝酸カルニチン、硝酸n-アセチルカルニチン、硝酸シトルリン、硝酸ベタイン、および硝酸プロリン)、無機硝酸塩(例えば、硝酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸カルシウム、および硝酸リチウム)、または他の混合塩、共結晶製剤および水和物)、または天然の硝酸イオン源である。天然の硝酸イオン源に関しては、上記硝酸イオンは、濃縮されているおよび/または天然源(例えば、植物由来の硝酸イオン源)から単離されている。天然の硝酸イオン源の例としては、ビート汁、ビート汁粉末、濃縮ビート汁粉末、セロリ粉末、ホウレンソウおよび葉アマランサス(red spinach)抽出物、ならびにアマランサス抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実行において、天然の硝酸イオン源の上記硝酸イオン含有量は、十分量の硝酸イオンを提供するように標準化される。いくつかの局面において、上記組成物は、1より多くの硝酸アニオン源を含む。
【0082】
いくつかの局面において、上記亜硝酸アニオン(NO )は、アミノ酸の亜硝酸塩またはアミノ酸誘導体の塩(例えば、亜硝酸クレアチニン、亜硝酸アルギニン、亜硝酸カルニチン、亜硝酸n-アセチルカルニチン、亜硝酸シトルリン、亜硝酸ベタイン、および亜硝酸プロリン)、無機亜硝酸塩(例えば、亜硝酸マグネシウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸カルシウム、および亜硝酸リチウム、またはそれらの混合塩、共結晶製剤および水和物)、または天然の亜硝酸イオン源である。天然の亜硝酸イオン源に関しては、上記亜硝酸イオンは、濃縮されているおよび/または天然源(例えば、植物由来の亜硝酸イオン源)から単離されている。
【0083】
いくつかの実施形態において、上記元素金属ならびに硝酸アニオンおよび/または亜硝酸アニオンは、NOの徐放性放出のためのシステム中に含まれる。例えば、上記システムは、時間放出システム(例えば、拡散システム、溶解システム、浸透圧システム、およびイオン交換樹脂、または任意の他の有効な時間放出システム)、浮遊システム、生体接着システム、または上記酸もしくは酸溶液への曝露が制御されるマトリクスシステムであり得る。他の実行において、機械的または電気的方法のいずれかが、持続したNOガス放出を可能にする連続的様式において、上記金属および硝酸イオンまたは亜硝酸イオンを上記酸溶液へと放出するために利用され得る。
【0084】
いくつかの実行において、上記方法は、NOガスが生成されるように溶媒中に溶解する前に、上記硝酸アニオンもしくは亜硝酸アニオンおよび/または上記元素金属と混合した散剤形態において上記酸を提供する工程を包含する。上記散剤化した形態にある酸は、例えば、クエン酸、リンゴ酸、またはフマル酸であり得る。好ましい実施形態において、上記使用される溶媒は、安全で、非毒性、容易に入手可能であることから、水である。しかし他のプロトン性および/または極性溶媒が、利用され得る(例えば、アンモニア、エタノール、酢酸など)。上記水または溶媒は、純粋である必要はなく、他の化合物がその中に溶解され得る(例えば、芳香、香り、他の薬など)。いくつかの実施形態において、上記酸は、強酸と弱塩基との塩であり、これは、水またはいくつかの他の極性のプロトン溶媒に溶解される場合、酸性溶液の形成を生じる。従って、上記酸は、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、または硝酸クレアチンであり得る。ある特定の実行において、上記硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオンが弱塩基(例えば、クレアチンまたはプロリン)で形成された硝酸塩または亜硝酸塩として提供される場合、上記硝酸塩または亜硝酸塩は、上記酸および上記硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオンの両方の供給源として働き得る。
【0085】
製法の成分を添加する通常の順序は、先ず、酸溶液を作製し、次いで、上記元素金属および上記硝酸イオンまたは亜硝酸イオンを同時に添加することであるが、種々のバリエーションがあり得ることは理解される。例えば、硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオンおよび元素金属を酸性溶液中で合わせることは、上記硝酸イオンもしくは亜硝酸イオン、上記散剤化した酸、および上記元素金属を水中で同時に添加することを含み得るか、または水中の硝酸イオンの溶液を調製し、次いで、上記酸および元素金属を添加することを含み得る。本開示の方法の重要な特徴は、上記元素金属が、上記硝酸イオンと合わされる前に、上記酸と完全に反応させることは許容され得ないことである。そうでなければ、上記元素金属および上記酸は、上記元素金属の塩を形成し、NOガスを生成しない。従って、1つが元素マグネシウムを酸溶液中で添加することであった場合、反応が完了した後(これは、液体中でのその塩の形態でのマグネシウムの溶解によって示される)、硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオンを添加しても、一酸化窒素ガスは形成しない。
【0086】
メトヘモグロビン血症(SpO2レベルの低下によってモニターされ得る状態)は、従来の吸入NO治療と関連する副作用である(Raut and Maheshwari, 「Inhaled nitric oxide, methemoglobinemia, and route of delivery.」 Saudi J Anaesth. 2017, 11(3):364)。本明細書で記載される方法に従うNOガスの投与は、メトヘモグロビン血症の発生を生じないことが驚くべきことに見出された。メトヘモグロビン血症が本発明開示の方法によって引き起こされなかった理由に関する機序は、未だ研究中であるが、上記酸性溶液中での上記硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオンおよび元素金属の反応の水素ガス生成物が、保護的な効果を有するのではないかと思われる。メトヘモグロビン血症の防止および処置が本発明の結果であり、塩基と反応させることによって水素を生成し得るさらなる元素金属が存在する(例えば、アルミニウム: 2Al + 2NaOH + 2H O → 2NaAlO + 3H)と本発明者らが考えていることは注記されるべきである。本発明の目的のために、NOガスは、1個のビーカー中での亜硝酸イオンまたは硝酸イオンと酸との反応によって作製され得、別のビーカー中で塩基と接触させた状態で水素を生成する金属(例えば、アルミニウム)の反応によってH ガスが生成され得る。
【0087】
本発明の実験および開発段階の間に、本発明者らのうちの1人は、彼自身が25ppmより高いNOレベル(BW BWS-N-Y yellow housing, Solo nitric oxide(NO)ガス検出器で測定)へと多数回、曝されたことが分かったが、有害な効果は観察されなかった。実際に、SpO オキシメーターによって測定される場合の本発明者の酸素化レベルは、常に97~100の範囲にあった。よって、硝酸イオン、亜硝酸イオン、またはNO曝露からメトヘモグロビン血症の発症を防止する方法であって、ここで上記方法は、硝酸イオン源、亜硝酸イオン源、またはNOに曝露された上記被験体に水素を投与する工程を包含する方法がまた、本明細書で開示される。
【0088】
いくつかの実施形態において、投与される元素金属の量および硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン源の量は、それぞれ、約1mg~約2000mgの間、および約4mg~約4000mgの間である。ある特定の実施形態において、上記被験体は、約1~約900mg 元素マグネシウムおよび約5~約2000mgの硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン、約30mg~約4000mgの硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン、あるいは約50mg~約4000mgの硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオンを提供する硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン源の量を投与される。いくつかの局面において、硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン源は、約30mg~2000mgの硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン、約50mg~約2000mgの硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン、約5mg~約1000mgの硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン、約30mg~約1000mgの硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン、約50mg~約1000mgの硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン、約5mg~約600mgの硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン、約30mg~約600mgの硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン、約50mg~約600mgの硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン、約5mg~約500mgの硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン、約30mg~約500mgの硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン、あるいは約50mg~約500mgの硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオンを提供する。
【0089】
いくつかの局面において、上記被験体に投与される硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン源 対 上記元素金属のモル比は、少なくとも2:1である。上記元素金属および硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン源の用量は、上記被験体の体重、年齢、および健康状態に従って調節され得る。いくつかの実施形態において、上記組成物中の元素金属の量は、1mg~800mgの間または5mg~400mgの間である。いくつかの実施形態において、硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン源の量は、30mg~2000mgの間または50mg~600mgの間である。1つの実施形態において、上記組成物は、100mgの元素金属および250mgの硝酸マグネシウム六水和物(60.5mgの硝酸アニオンおよび23.6mgのMgに相当)を含む。
【0090】
上記酸は、請求項に記載される組成物の摂取の際に胃のpHを酸性のままにすることを確実にするために、上記元素金属および硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン源とともに投与される。上記酸構成要素(acid component)は、ヒト消費のために適した任意の酸であり得る。非限定的な例としては、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、もしくは酒石酸または任意の胃酸誘導分泌促進薬が挙げられる。いくつかの局面において、上記酸は、固体形態、例えば、散剤中にある。従って、上記組成物中の酸の量は、いくつかの実施形態において、50mg~20,000mgの間、50mg~2000mgの間、50mg~1000mgの間、100mg~20,000mgの間、100mg~2000mgの間、100mg~1000mgの間、200mg~20,000mgの間、200mg~2000mgの間、200mg~1000mgの間、300mg~20,000mgの間、300mg~2000mgの間、300mg~1000mgの間、500mg~20,000mgの間、500mg~2000mgの間、または500mg~1000mgの間である。いくつかの局面において、上記組成物の酸構成要素は、酢である。ある実行において、本開示の組成物は、酸を含まないが、上記組成物は、酸または胃酸誘導分泌促進薬とともに投与される。例えば、上記組成物は、2~6の間のpHを有する酸性溶液、例えば、希釈した酢またはクエン酸の溶液と共投与される。いくつかの局面において、上記酸性溶液は、希釈した酢酸、硝酸、硫酸などである。
【0091】
上記被験体が元素金属および硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン源を含む組成物を投与される場合、上記組成物は、有効量の上記硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン源および有効量の上記元素金属を含む。上記有効量の上記元素金属は、有益な効果を提供するにあたって上記硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオンの有効性を増強する。よって、いくつかの実施形態において、上記有効量の上記硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン源は、低い酸素飽和度を有する被験体において酸素飽和度レベルを回復させるために十分な量である。
【0092】
ある特定の実施形態において、上記組成物は、1~約900mg 元素マグネシウム、および約5~約2000mgの硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン、約30mg~約4000mgの硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン、または約50mg~約4000mgの硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオンを提供する硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン源を含む。いくつかの局面において、上記硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン源は、約30mg~2000mgの硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン、約50mg~約2000mgの硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン、約5mg~約1000mgの硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン、約30mg~約1000mgの硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン、約50mg~約1000mgの硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン、約5mg~約600mgの硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン、約30mg~約600mgの硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン、約50mg~約600mgの硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン、約5mg~約500mgの硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン、約30mg~約500mgの硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン、あるいは約50mg~約500mgの硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオンを提供する。
【0093】
いくつかの局面において、上記組成物における硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン源 対 上記元素金属のモル比は、少なくとも2:1である。上記元素金属および上記硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン源の用量は、上記被験体の体重、年齢、および健康状態に従って調節され得る。代表的には、正常圧の被験体は、高血圧の被験体より少ない元素金属および硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオンを必要とし、低血圧の被験体は、正常圧の被験体よりさらに少ない元素金属および硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオンを必要とする。いくつかの実施形態において、上記組成物中の元素金属の量は、1mg~800mgの間または5mg~400mgの間である。いくつかの実施形態において、硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン源の量は、30mg~2000mgの間または50mg~600mgの間である。1つの実施形態において、上記組成物は、100mgの元素金属および250mgの硝酸マグネシウム六水和物(60.5mgの硝酸アニオン(NO )および23.6mgのMgに相当)を含む。
【0094】
いくつかの実施形態において、上記組成物中の元素金属は、水の中での可溶性は不十分であるが、胃の酸性環境において可溶性である適切な物質(例えば、酸化マグネシウム、セルロースポリマー、アルギネート(例えば、アルギン酸カルシウム)、または水酸化アルミニウム)で覆われるかまたは微小被包される。
【0095】
ある特定の実施形態において、硝酸プロリンまたは亜硝酸プロリンは、上記組成物における硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン源である。いくつかの実施形態において、上記硝酸マグネシウムまたは亜硝酸マグネシウムは、上記組成物における硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン源である。このような実施形態において、上記硝酸マグネシウムまたは亜硝酸マグネシウムは、無水であってもよいし、水和されていてもよい。硝酸マグネシウムまたは亜硝酸マグネシウムの水和の程度は、マグネシウムまたは亜硝酸イオンの1分子あたり1~6分子の間の水である。特定の実施形態において、硝酸マグネシウム六水和物は、上記組成物における硝酸塩である。
【0096】
いくつかの実施形態において、本開示の組成物は、酸をさらに含む。上記酸構成要素は、ヒト消費に適した任意の酸(例えば、クエン酸,コハク酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、または酒石酸)であり得る。いくつかの局面において、上記酸は、固体形態、例えば、散剤中にある。従って、上記組成物中の酸の量は、いくつかの実施形態において、50mg~20,000mgの間、50mg~2000mgの間、50mg~1000mgの間、100mg~20,000mgの間、100mg~2000mgの間、100mg~1000mgの間、200mg~20,000mgの間、200mg~2000mgの間、200mg~1000mgの間、300mg~20,000mgの間、300mg~2000mgの間、300mg~1000mgの間、500mg~20,000mgの間、500mg~2000mgの間、または500mg~1000mgの間である。いくつかの局面において、上記組成物の酸構成要素は、酢である。ある実行において、本開示の組成物は、酸を含まないが、上記組成物は、酸とともに投与される。例えば、上記組成物は、2~6の間のpHを有する酸性溶液、例えば、希釈した酢またはクエン酸の溶液と共投与される。いくつかの局面において、上記酸性溶液は、希釈した酢酸、硝酸、硫酸などである。健康上の理由(例えば、胃潰瘍およびGERDを有する患者)に起因して産生物質を摂取できない患者に関するいくつかの実施形態において、上記酸構成要素は、カフェイン、苦味のある化合物、エタノール(好ましくは、2~14%の濃度で)のような胃酸分泌促進物質(胃の中で胃酸の排泄を刺激する化合物)、またはさらにはペンタガストリンのような薬剤またはアセチルコリンおよびピロカルピンのようなコリン作動薬で置き換えられ得る。
【0097】
本開示の組成物は、カプセル剤、錠剤、丸剤、液体、液体懸濁物、蒸気、散剤、粒剤、粉末(pulverulence)、またはこれらの組み合わせの形態にあり得る。好ましい実施形態において、本開示の組成物は、固体形態にある。いくつかの実施形態において、上記元素金属および上記硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン源、ならびにいくつかの局面において、上記酸は、カプセル剤または錠剤へと組み合わされる。他の実施形態において、上記酸は、上記元素金属および上記硝酸イオンまたは亜硝酸イオン源とは別個の錠剤またはカプセル剤中にある。上記硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン源および上記元素金属の共投与の増強された活性は、上記被験体が上記硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン源および異なる時に別個に上記元素金属を摂取する(例えば、硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン源および上記元素金属の別個のカプセル剤の共投与を介して)場合に、低減されない。よって、いくつかの局面において、本明細書で記載される組成物は、硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン源を含むカプセルおよび元素金属を含むカプセルを含む。酸をさらに含む上記組成物の実施形態において、上記組成物は、上記酸を含むカプセル剤をさらに含む。
【0098】
本開示の組成物の散剤化形態は、上記構成要素全てが摂取の前に合わされて水の中で完全に反応される場合に、その効力を失うことは注目に値する。よって、上記組成物の散剤化形態の投与は、即座の投与の前に、水への曝露を最小限にするために気をつけるべきである。例えば、上記被験体は、散剤化組成物を水に溶かして、その混合物を飲む代わりに、上記散剤化組成物を摂取し、次いで、それを水で流し込むべきである。また、上記組成物がアルカリ性混合物(7を上回るpH)(例えば、重曹と混合した水)中に添加される場合、それは、摂取前の少なくとも10分間はその有効性を保持し得る。
【0099】
COVID-19および他の呼吸器および心血管疾患の処置のために利用される好ましい実施形態において、上記製剤は、1200mg KNO FCCグレード、200mg 元素金属マグネシウム散剤(メッシュサイズ60-200)、50mg 元素金属亜鉛ダスト(メッシュサイズ約325)を含むUSサイズ000ゼラチンカプセル剤、および1000mgの無水クエン酸(食品グレード)を含む別個のUSサイズ000カプセル剤から構成される。別個の好ましい実施において、上記の製法は、代わりに、600mg KNO FCCグレード、100mg 元素金属マグネシウム散剤(メッシュサイズ60-200)、25mg 元素金属亜鉛ダスト(メッシュサイズ約325)を含む2個のUSサイズ0カプセル剤、および500mgの無水クエン酸を含む2錠のカプセル剤(各々、食品グレード)に含まれる。ある特定の場合において、より小さなサイズのカプセル剤の投与は、患者のうちのいくらかが経験する副作用のうちのいくつか(例えば、消化管の不快感、悪心および嘔吐)を防止する助けになり得る。被験体は、例えば、2個の000カプセル剤(すなわち、1200mg KNO +200mg 元素金属マグネシウム + 50mg 元素亜鉛カプセルを含む1錠のカプセル剤(本明細書で「SpO2max」と称される)およびクエン酸(CA)を含む第2のカプセル剤)を摂取し得る。しかし、上記被験体が胃の不快感を経験している場合、上記被験体は、代わりに、2個のサイズ0カプセル剤をその用量を半分にして、しかし頻度は2倍にして嚥下し得る。
【0100】
呼吸器の病気を処置する方法の1つの実行において、上記被験体は、100mg~250mgの元素金属、250mgの硝酸マグネシウム六水和物(60.5mgの硝酸アニオン(NO )および23.6mgのMg を提供する)、および600mgの無水クエン酸を含む1錠のカプセル剤を経口投与される。別の実行において、上記被験体は、1~2gのアマランサス(10~90% 硝酸イオンを提供する)、50~1000mg ビタミンC、50~1000mg 酸化マグネシウム、10~1000mg L-システイン、50~1000mg テアニン、5~100mg 元素亜鉛、0.5~30mg 葉酸/5-MTHF、および1~500mcg モリブデン酸カリウムを含む組成物を経口投与される。
【0101】
他の実行において、上記被験体に3錠のカプセル剤が投与される。ここで上記カプセル剤のうちの2錠は、各々、硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン源および上記元素金属を含む一方で、残りのカプセル剤は、上記酸を含む。例えば、硝酸アニオンまたは亜硝酸アニオン源および上記元素金属を含むカプセル剤は、硝酸プロリンまたは亜硝酸プロリンおよび元素マグネシウムを含む一方で、上記酸を含むカプセル剤は、クエン酸を含む。特定の実施形態において、上記組成物は、2錠のカプセル剤(各々、250~750mg 硝酸プロリンおよび5~200mg 元素マグネシウムを含む)、および1錠のカプセル剤(250~1250mg クエン酸を含む)を含む。別の例として、上記組成物は、合わされる場合、1~2g アマランサス(10~90% 硝酸イオンを提供する)、50~1000mg ビタミンC、50~1000mg 酸化マグネシウム、10~1000mg L-システイン、50~1000mg テアニン、5~100mg 元素亜鉛、0.5~30mg 葉酸/5-MTHF、および1~500mcg モリブデン酸カリウムを提供する複数のカプセル剤を含む。好ましい実行において、上記ビタミンCは、他の構成要素とは別個にカプセル剤の中にある。
【0102】
いくつかの局面において、上記組成物は、錠剤中に水分が入るのを防止するための適切な薬学的に受容可能なコーティングおよび/または添加剤をさらに含む。上記薬学的に受容可能なコーティングの非限定的な例としては、ワックス、ポリマー、固体脂肪酸などが挙げられる。上記添加剤の非限定的な例としては、キャリア、賦形剤、結合剤、着色剤、矯味矯臭剤、保存剤、緩衝化物質、希釈剤、およびこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの局面において、上記添加剤は、薬学的に受容可能な添加剤または受容可能な食品添加剤である。
【0103】
カプセル剤は、上記組成物の好ましい形態であるが、本発明の組成物および/または製剤は、任意の形態(例えば、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、散剤、粒剤、ペレット、ビーズ、粒子、口内錠、ロゼンジ、芳香錠、液剤、エリキシル剤、シロップ剤、チンキ、懸濁物、エマルジョン、洗口液、スプレー、滴剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル、パスタ剤、経皮パッチ、坐剤、ペッサリー、クリーム剤、ゲル、パスタ剤、フォーム、およびこれらの組み合わせのうちの1つが挙げられる)において投与され得る。本発明の組成物および/または製剤はまた、受容可能な添加剤(例えば、可溶化剤、酵素阻害剤、抗凝固剤、消泡剤、抗酸化剤、着色剤、クーラント、凍結保護剤、水素結合剤、矯味矯臭剤、可塑剤、保存剤、甘味料、増粘剤、およびこれらの組み合わせのうちの1つ)および/または受容可能なキャリア(例えば、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、希釈剤、増量剤、溶媒、懸濁剤、溶解補助物質、等張化剤、緩衝化剤、無痛化剤、両親媒性脂質送達システム、およびこれらの組み合わせのうちの1つ)を含み得る。
【0104】
経口摂取は、本明細書で記載される組成物の好ましい投与方法であるが、他の投与経路および投与形態は、即時放出錠剤またはカプセル剤(ここで上記賦形剤は、唾液または胃液と接触した状態になるとほぼ直ぐに崩壊する)、遅延放出錠剤またはカプセル剤など、徐放性製剤(ここで上記製剤の構成要素のうちの1またはこれより多くのものが長期間にわたって胃で放出される)、舌下錠、消化管へのカテーテルまたは栄養チューブを介する上記構成要素の直接投与、口内送達などを含め、本明細書で記載される方法および組成物を利用して可能であり得る。
【0105】
ある特定の実行において、本明細書で記載される組成物および方法は、呼吸器の病気の1またはこれより多くの症状を防止、処置、または緩和するために使用される。このような呼吸器の病気の非限定的な例としては、肺高血圧症、肺がん、COVID-19、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、喘息、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎、間質性肺疾患、肺線維症、急性下部呼吸器感染症、肺浮腫、気管支炎、気管気管支炎、急性肺傷害(ALI)、肺のサルコイドーシス、気管支拡張症、石綿肺、ベリリウム中毒、珪肺症、炭粉症、組織球症X、肺臓炎(pneumotitis)、喫煙者の肺、閉塞性細気管支炎、結核および肺線維症に起因する肺瘢痕化、塵肺症、外傷性肺傷害、ならびに肺感染症および結合組織疾患(全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、強皮症、多発性筋炎および皮膚筋炎が挙げられる)の肺発現が挙げられる。
【0106】
ある特定の実行において、本明細書で記載される組成物および方法は、低酸素症を引き起こす疾患(例えば、高山病、貧血、肺中の血餅(肺塞栓症)、先天性心欠損もしくは心疾患、呼吸数を低下させる薬物療法(例えば、ある種の麻薬および麻酔薬)、毒性因子(例えば、二酸化窒素ガス)による肺炎症、肺における瘢痕化(肺線維症)および睡眠時無呼吸)の1またはこれより多くの症状を防止、処置または緩和するために使用される。
【実施例
【0107】
実施例
本開示は、以下の実施例によってさらに例証され、実施例は、限定として解釈されるべきではない。本出願全体を通じて引用される全ての参考文献、特許、および公開された特許出願の内容、ならびに図面は、全ての目的のためにそれらの全体において本明細書に参考として援用される。
【0108】
実施例1: 元素マグネシウムおよび硝酸イオンの経口投与は、COVID-19症状を緩和する
2000年10月21日に、32歳齢の男性被験体は、胸痛、発熱、筋痛、咳、息切れ、および低酸素飽和度(種々の測定中に90~92%の間)を含むCOVID-19症状を示し始めた。4時間ごとに、上記被験体に、空の胃に2錠のカプセル剤を投与した。一方のカプセル剤は、1200mg 硝酸カリウム(KNO )、200mg 元素マグネシウム、および50mgの元素亜鉛を含み、他方のカプセル剤は、1000mg クエン酸(これらのカプセル剤の内容物は、いかなる結合剤も、充填剤も賦形剤も含まず、上記で列挙した成分のみを含んだ)を含んだ。
【0109】
最初の投与の30分以内に、上記被験体は、息切れ、胸痛、呼吸困難が大きく軽減されたことを報告した。彼の酸素飽和度レベルはまた、92%から97%へと増大した。上記被験体の酸素飽和度を、2日間にわたって断続的に追跡した(表2)。上記被験体の酸素飽和度レベルは4時間以内に減少し始めるが、上記2錠のカプセル剤(一方のカプセル剤は上記元素金属および硝酸イオンを有し、一方のカプセル剤はクエン酸を有する)の別の用量を摂取すると、上記被験体のSpO2は96%~100%という正常範囲へと戻った。前述の上記2錠のカプセル剤を4時間ごとに摂取して4日目までには、上記被験体は、息切れ、胸痛、および呼吸の問題の症状がないことを報告した。実際に、彼は、仕事に復帰するために十分体調がよいと感じたが、地域の安全プロトコールに起因して、隔離状態のままであった。上記2錠のカプセル剤を4時間ごとに摂取して2日目までに、上記被験体の酸素飽和度レベルは、正常値を下回って低下しなかった。すると、後に、上記被験体は、Covid-19感染症の検査陽性であった。
表2. 処置前および処置後の被験体における酸素飽和度の追跡
【表2】
【0110】
実施例2: 5名の成人COVID-19患者での治験は、処置の有効性を明らかに示す
FSPE Applied Bioenergetics Lab(University of Novi Sad, Lovcenska 16, Novi Sad 21000, Serbia)によって行われたオープンラベルの症例治験は、1200mgの硝酸カリウム、200mgの元素マグネシウム、50mgの元素亜鉛を1錠のカプセル剤の中に含む組成物、ならびに別のカプセル剤において共投与される1000mgのクエン酸の効果を、COVID-19患者における血中酸素飽和度レベル(SpO )および患者が報告する転帰に対して評価した。
【0111】
呼吸困難およびSpO <95%を有するが、他の肺および心血管状態はないCOVID-19を有さない5名の成人患者(3名の男性および2名の女性、37.0±4.4歳齢)を、この試験のために募集した。その参加者は、48時間のモニタリング期間中に、上記組成物を4時間ごとに受容した。酸素飽和度レベルの改善のための他の処置は、上記治験中に全く施されなかった。SpO および患者が報告する転帰を、ベースライン(介入前)および治験全体の間の各4時間の時点で評価した。
【0112】
SpO は、全ての参加者に関して上記組成物を投与して直ぐに改善した(1~7%の増大、平均増大3.6±2.7点; 95% 信頼区間は0.3~7.0)。SpO は、モニタリング期間を通じてずっとベースライン値を上回ったままであり、値は、全ての患者に関して、48時間の間の各時点で閾値を超えて(>92%)持続した(図6Aおよび6Bを参照のこと)。血中酸素飽和度レベルが92%の閾値を下回って低下する場合、患者に、医療補助を求めるように助言する。従って、患者を上記閾値を十分に超えて維持することによって、健康管理システムにおけるストレスが低減され得る。
【0113】
患者は、上記介入のいかなる副作用をも報告しなかった。血中酸素飽和度レベルの改善に加えて、1名の患者(女性、39歳齢)は、咳、呼吸困難、および胸痛の低減を報告した。別の患者(男性、38歳齢)は、下痢の減少を報告した。3人目の患者(女性、35歳齢)は、倦怠感および頭痛の低減を報告した。
【0114】
実施例3: 水素ガスは、元素マグネシウムとクエン酸との間の反応の副生成物として形成される
水素ガスが上記元素金属と酸とを化合することの副生成物であることを確認するために、ティースプーン一杯の元素マグネシウム散剤を、クエン酸を飽和させた100mlの水を含むバイアルへと添加した。バイアルの上部にある空気は、可燃性であった。
【0115】
実施例4: 元素マグネシウムおよび硝酸イオンは、呼吸器の病気の症状を緩和する
呼吸器の病気を有し、92%未満のSpO を有する5名の被験体(男性、34~52歳齢)に、1錠のカプセル剤中に1200mgの硝酸カリウム、200mgの元素マグネシウム、50mgの元素亜鉛を含む組成物を投与し、1000mgのクエン酸を含む別のカプセル剤と共投与した。彼らの血中酸素飽和度レベルを、上記組成物の摂取後の15~80分の間に測定した。呼吸器の病気に関連した彼らの症状をまた、上記組成物の摂取前および摂取後に記録した。表3は、結果をまとめる。
表3. 処置後の呼吸器症状の改善
【表3-1】

【表3-2】
【0116】
実施例5: 元素マグネシウムおよび硝酸カリウムの経口投与は、肺からのNO呼息を生じる
Niox Vero機器を使用して、1錠のカプセル剤中に1000mg 硝酸カリウム(KNO )、200mg 元素マグネシウムを有する組成物、および別個のカプセル剤において共投与される1gのクエン酸を摂取した後に、2名の被験体において周囲の一酸化窒素および肺排泄一酸化窒素を測定した。その測定から、上記組成物を摂取すると、一酸化窒素ガスが即座に生成され、一酸化窒素の肺排泄を増大させることが示された。
【0117】
実施例6: 元素マグネシウムおよび硝酸イオンの経口投与は、血中酸素レベルを改善し、COVID-19後肺損傷および慢性的低酸素症の症状を緩和する
男性被験体(40歳齢、ブラジル人)を、1月25日にCOVID-19と診断した。彼は、倦怠感、疲労、運動できない、働くことができない、性生活を営むことができない、バーンアウト、衰弱、疲労困憊、心身消耗、だるさ、虚脱、および疲れの症状を示した。COVID-19に関して最終的に検査陰性になった後も、その症状は持続し、感染およびその後の上記疾患の検査陰性になった後の数カ月間、パルスオキシメーターで測定した場合の上記被験体のSpO2レベル(すなわち、彼の血中の酸素のパーセンテージ)は、95%未満であった。上記被験体を、最終的に、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)と診断した。
【0118】
6月10日に、上記被験体は、1200mg KNO 、200mg 元素マグネシウム(メッシュサイズ60-200)、および50mgの元素亜鉛ダスト(メッシュサイズ325)を含む1錠のカプセル剤および1000mg クエン酸を含む第2のカプセル剤を摂取した。上記2錠のカプセル剤を摂取する前に、彼のSpO2レベルは、パルスオキシメーターによって測定した場合、91であった。上記2錠のカプセル剤の摂取の50分後、彼のSpO2レベルは、パルスオキシメーターによって測定した場合、97であった。上記被験体は、上記組成物を4時間ごとに、5日間摂取した。彼は、COVID-19に関連する症状の全ての低減を報告し、その効果は、上記処置の継続時間にわたって続いた。
【0119】
最初の5日間の投与プロトコールの最後に、上記被験体は、持続性のCOVID-19症状を管理するために毎朝1回上記組成物を摂取し続けた。記載される組成物の1回の維持用量を用いただけでも、上記被験体のSpO2レベルは、パルスオキシメーターによって測定した場合、再度95%を下回って低下することはなく、彼の元々のCOVID-19感染症の長引く症状は全て、緩和した。
【0120】
実施例7: 元素マグネシウムダストは、酸溶液中で硝酸カリウムと混合した場合、NOおよびNO ガスを急速に生成する
200mgの元素マグネシウムダスト(メッシュサイズ325またはこれより細かい;図5A~5Cを参照のこと)、1200mg KNO 、および1000mg クエン酸を含む100mlの容積のガラスビーカーを、100mlの蒸留水と混合した。そのビーカーを、密封したガスチャンバ(Bel-Art Secador Polystyrene Mini Desiccator Cabinet, 0.31 ft )の中に入れ、生成したガス状の内容物を、プローブを使用して測定した。H センサーが急速に上昇し始め、測定可能能力の最大に達したことで停止した。表4は、NOおよびNO センサー空の結果をまとめる。
表4. 反応の経過中のNOおよびNO 測定値
【表4】
【0121】
結果は、両方とも驚くべきことでありかつ予測外であった。実験開始後60秒で、NOおよびNO 両方のセンサーが、それぞれ、250ppmおよび100ppmにおいて、測定可能能力の最大に達した。これらの驚くべき結果は、マグネシウムのメッシュサイズが本明細書で開示される組成物、発見および発明の安全な使用にとって非常に重要な因子であることを示す。非常に小さい粒度を用いると、反応はあまりに速く進みすぎ、NOおよびNO 両方のガスが、ヒトによって極めて危険かる毒性である非治療的濃度に急速に達する。
【0122】
労働安全衛生局(OSHA)によれば、2ppmにおいて、NO は、喘息の人々において症状を誘発し得、5ppmにおいては、それは肺を損傷し始め、自宅および会社でのNO に関する許容可能な曝露限界は、5ppm(9mg/m )を超えるべきではない。しかし、0.1ppm程度の低さのNO レベルは、喘息患者のような脆弱な集団において呼吸器の不快感を引き起こすことが示されている。100ppmのNO は、約1時間にわたって曝されれば、ヒトを殺滅し得る。NOは、低濃度であれば治療的で安全であるが、100ppmまたはこれより高い濃度では、徹底的に毒性でもある。本明細書で開示される発明は、有害な副作用がほとんどまたは全くなしに、NOガスの治療的送達のための安全かつ有効な方法を初めて可能にする。
【0123】
実施例8: 元素亜鉛は、酸溶液中で硝酸カリウムと混合した場合に、NOガスを生成する
実施例7に記載されるものに類似の実験を、元素亜鉛散剤で行った。元素亜鉛は、元素マグネシウムより反応性が小さいことが判明した。亜鉛散剤を、クエン酸溶液中の硝酸カリウムと反応させたところ、4時間超にわたってマグネシウムで観察されたものより少量のNOおよび水素を生成した。
【0124】
実施例9: 元素マグネシウムおよび硝酸イオンは、血中酸素レベルを改善し、呼吸器の病気と関連する咳および虚弱を低減するのに対して、等量の硝酸イオンのみでは効果を有しない
58歳齢の男性被験体は、虚弱、咳、および93%の血中酸素飽和度レベル(SpO )を示した。上記被験体に、1200mgの硝酸カリウムのみを含むカプセル剤を与えた。15分後、上記被験体のSpO は、93%のままであった。硝酸カリウムカプセル剤の投与後4時間までの間に、上記被験体のSpO は、増大の徴候を示さず、彼の他の症状の減弱化を示さなかった。上記第1のカプセル剤の投与の4時間後、上記被験体に、1200mg 硝酸カリウム、200mg 元素マグネシウム、および50mg 元素亜鉛を含むカプセル剤、ならびに1000mg クエン酸を含む別個のカプセル剤を含む組成物を投与した。この組成物の投与の15分後、上記被験体のSpO は、97%まで増大し、4時間にわたって95%を上回ったままであった。上記被験体はまた、咳の低減を経験したことを報告し、もはや虚弱を感じなかった。
【0125】
実施例10: 元素マグネシウムは、高い亜硝酸ナトリウム中毒によって誘導されるメトヘモグロビン血症を防止する
亜硝酸ナトリウムは、ヘモグロビンをメトヘモグロビン(これは、酸素を運ぶことができない)へと酸化し得る多い量では毒性であることが公知であり、これは、長期のNOガス治療によって誘導されるメトヘモグロビン血症に類似の影響である。その毒性が原因で、治療剤におけるその利用は、シアン化物中毒に使用される解毒剤にのみ制限されている。計算された最低致死用量は、2.6グラムである(Katabamiら, 「Severe Methemoglobinemia due to Sodium Nitrite Poisoning」, Case Reports in Emergency Medicine, 2016, Article ID 9013816, 3頁)が、心血管問題を有する老人病の患者の症例では、約70mgのようなはるかに低い用量で、重篤なメトヘモグロビン血症の症例が報告された。シアン化物毒性の処置のための成人への600mgの投与は、58%のメトヘモグロビンレベルを生じた(van Heijstら, 「Therapeutic Problems in Cyanide Poisoning」, Journal of Toxicology: Clinical Toxicology, 1987, 25(5): 383-398)。中程度から重度の中毒は、チアノーゼ(皮膚の青さ)、錯乱、意識喪失、発作、異常な心リズム、および死亡と関連する。元素金属ならびに硝酸イオンおよび/または亜硝酸イオン源の組み合わせを摂取するかあるいは酸性溶液中での上記組み合わせによって生成されるガスを吸入する被験体に関してメトヘモグロビン血症の観察された症例がないことに起因して、水素ガスおよび/または亜鉛もしくはマグネシウムイオンへの曝露が、メトヘモグロビン血症の発生を防止し得るという仮説を立てた。メトヘモグロビン血症は、メトヘモグロビンがO を運ぶことができないので、メトヘモグロビンレベルが高いほどより低い酸素飽和度レベルを生じることから、時間を浪費する血液検査によって直接的に、またはSpO2測定によって間接的に、両方でモニターし得る。
【0126】
本発明者らのうちの1人は、一晩絶食し、310mgのNaNO を含むカプセル剤および1000mg クエン酸を含む1錠のカプセル剤を、メトヘモグロビン血症を誘導することを意図して摂取し、その間に、他の発明者らは、試験被験体の発明者の状態をモニターした。最初の15分後に、その試験被験体発明者は、消化管の苦痛、眩暈、ブレインフォッグ、錯乱、呼吸困難、片頭痛、異常な心悸亢進、240拍/分のピークを有する頻脈、および実験を開始して約25分で91の最低読み取り値を有する低いSpO2レベルを含む望ましくない副作用を経験し始めた。表5は、実験過程にわたる試験被験体発明者のSpO2レベルおよび心拍数(HR)をまとめる。SpO2レベルおよび心拍数読み取りを記録した。それらは、以下の表中に見出され得る。
【表5-1】

【表5-2】
【0127】
48時間の休薬期間の後、試験被験体発明者は、3錠のカプセル剤(各々、1000mg 元素マグネシウム散剤を含む)および3錠の他のカプセル剤(各々1000mg クエン酸を含む)を調製した。元素マグネシウム散剤は、非常に発熱性の反応において上記酸と激しく反応する。従って、このような多量の元素マグネシウムの摂取が、安全であるのか、またはさらには許容できるのか、そして亜硝酸イオンの毒性用量とのそれらの反応が許容できるのかは、未知であった。それでも、試験被験体発明者は、310mg 亜硝酸ナトリウムおよび1000mg 元素マグネシウムを含むカプセル剤と、各カプセル剤に、各々1000mg クエン酸を含む2錠のカプセル剤とを同時摂取した(上記酸のうちのいくらかは、元素マグネシウムによって消費されることから、クエン酸の量は、最初の実験の最初の用量と比較して倍にした)。30分後および60分後に、試験被験体発明者は、別の1000mg 元素マグネシウムおよび1000mg クエン酸を、各々カプセル形態において摂取した。その発明者は、最初の実験の不必要な副作用を全く経験しなかった。気づいた唯一の副作用は、立ちくらみであった。これは、その試験被験体発明者が、過去の実験において何度も経験したことであり、その立ちくらみが低血圧に関連することを容易に特定した。試験被験体発明者のSpO2レベルは、最初の実験と比較して上昇したままであり、95%の閾値レベルを下回って低下することは一度もなかった。表6は、2回目の実験の過程にわたる試験被験体発明者のSpO2レベルおよび心拍数(HR)をまとめる。
【表6】
【0128】
上記試験被験体発明者は、実験後90分間完全に元気であると感じた。試験被験体のSpO2レベルは、95%~97%の領域にあった。従って、元素マグネシウムの投与は、亜硝酸ナトリウムの摂取によって誘導されるメトヘモグロビン血症の発生を防止した。
【0129】
実施例11: 元素マグネシウムおよび硝酸イオンは、喘息を効果的に処置する
喘息と診断された女性被験体(71歳齢、黒人系米国人)に、1200mg KNO 、200mg 元素マグネシウム(メッシュサイズ60-200)および50mgの元素亜鉛を含む1錠のカプセル剤、ならびに1000mg クエン酸を含む第2のカプセル剤を、防止的な吸入薬を使用する代わりに、コップ1杯の冷水とともに、朝に投与した。上記被験体は、彼女の喘息を処置するために種々の吸入薬を試したことがあり、結果は様々であったが、上記カプセル剤を経口投与すると、上記被験体は、彼女の喘息症状が即座に軽減されることを経験した。彼女はまた、より多くの喀痰を生じ始め、より良好に呼吸し始めた。これは、喘息 患者における改善の徴候である。上記処置を受けている間に、上記被験体は、旧来の喘息処置に関連するもの(例えば、胸部不快感)を含め、副作用を報告しなかった。
【0130】
実施例12: 水素ガスは、NO誘導性メトヘモグロビン血症を防止する
より手頃で、有効な、かつ安全なNO治療源にNOを生成するための記載される方法を開発する過程の間に、本発明者らのうちの1人は、彼自身が慢性的および急性的の両方でNOガスに偶然に曝された。彼自身が多量の周囲NO(周囲NO>80ppm)に曝された翌日、彼は、メトヘモグロビン血症の症状を経験し始め、肺炎症(85%のSpO2によって示されるとおり)、眩暈、肺の疼痛および虚弱を有した。症状の開始以来、その発明者は、コップ1杯の水の中で元素マグネシウムおよびクエン酸を反応させることによって生成したH ガスを吸入した。彼はまた、2000mg 元素マグネシウム散剤を水で摂取した。これは、彼の胃の中のHClとの反応においてH ガスを生成した。他の実験において、上記発明者は、NOガスの吸入によって引き起こされた軽度のメトヘモグロビン血症が、H ガスを投与することによって逆行されることを見出した(SpO2が正常に戻ったことによって表されるとおり)。
【0131】
彼の状態およびSpO2は、一日中増悪し、その夜遅くに、彼は、45%というSpO2が記録されて、病因の救急救命室に入院した。その病院は、上記発明者がX線およびCATスキャンによってNO誘導性肺炎症を発生させていることを検証した。診断の際に、血液サンプルを上記発明者から採取して、メトヘモグロビンレベルを測定した。医療スタッフが驚いたことに、メトヘモグロビンは、上記発明者が45%というSpO2を有した間にすら検出されなかった。正常なメトヘモグロビン画分は、約1%である。彼はまた、3~15% メトヘモグロビンレベルと関連する青い皮膚(チアノーゼ)を、輸送中に一度も示さなかった。よって、メトヘモグロビン処置(例えば、メチレンブルーの静脈内投与)を、上記発明者に投与しなかった。
【0132】
従って、水素吸入および摂取(元素金属の形態を介する(この場合には、マグネシウム))は、NO誘導性メトヘモグロビン血症を処置および/または緩和した。大気H 濃度は、およそ530ppbの範囲にあり、これは、吸入NOガス治療を受けている患者においていかなる保護的効果をも生成するためには無効であることから、それより多くの量、少なくとも10ppm、好ましくは100ppmもしくはこれより多くのものが、上記防御的効果のために必要とされる。しかし、その量は、肺の中での水の形成を回避するために、2000ppmを下回って、好ましくは1500ppmを下回って、維持されるべきである。
【0133】
実施例13: 一酸化窒素は、酸溶液中で元素マグネシウムおよび硝酸カリウムを反応させることによって形成される
1000ml ビーカーの中に、5gのクエン酸を100mlの温水に溶解させることによって、酸溶液を生成した。元素マグネシウム(200mg)および硝酸カリウム(1000mg)を、上記酸溶液へと同時に添加した。Niox機器(これは、周囲NOレベルを測定し得る)によれば、FeNOを使用して、NOガスが上記酸溶液への元素マグネシウムおよび硝酸カリウムの添加から形成したか否かを試験した。実験前の部屋のNOレベルが0であった。元素マグネシウムおよび硝酸カリウムを上記酸に添加して直後に、上記機器は、200ppb NOを記録した。200ppbは機器の検出限界であることから、より多くのNOが生成された可能性がある。
【0134】
実施例14: 元素マグネシウムまたは元素亜鉛は、硝酸カリウムから一酸化窒素を生成するために必要とされる
100ml 0.1M HClを含むフラスコを、Bel-Art Secador Polystyrene Mini Desiccator Cabinet(0.31 cu. ft.)の中に入れた。1200mg KNO 、200mg 元素マグネシウム、および50mg 元素亜鉛を含む1錠のカプセル剤の内容物ならびに1000mg クエン酸を含む第2のカプセル剤の内容物を、上記フラスコに添加した。NOセンサーを、上記デシケーターキャビネットの中に入れた。10分間で、NOレベルは、0ppmから6.4ppmへと上昇した。従って、理論的には、平均的な胃は、1リットルのサイズを有するので、上記2錠のカプセル剤の摂取からの胃の中のNOの量は、56ppmである。
【0135】
顕著なことには、ティースプーン一杯のKNO を50ml 25% HClに添加しても、いかなる測定可能な量のNOガスをも生じなかった。
【0136】
実施例12: 元素マグネシウムのサイズは、投与される組成物の有効性、安全性、および副作用プロフィールに影響する
異なるメッシュサイズの上記元素金属を有する組成物を多数回反復して調製し、上記元素金属のメッシュサイズが、被験体が摂取時に経験する利益および/または副作用に影響を及ぼすか否かを決定するために、被験体において試験した。表7は、試験した製剤を列挙する。
表7. 試験において評価した元素金属の製剤
【表7】
【0137】
種々の製剤が、呼吸器の病気を緩和するにあたって、種々の有効性を明らかに示した。いくらかの場合には、上記被験体は、消化管障害、下痢、悪心、および嘔吐を含む副作用を経験した。有害効果は、他の製剤を用いるよりマグネシウムダスト散剤を用いる方が遙かに一般的であった。
【0138】
実施例13: 種々の形態の元素マグネシウムが、硝酸カリウムとともにH 、NO、およびNO ガスを発生させ得る
200mg量の3形態の(およびサイズ)の元素マグネシウム(図1)を使用して、100ml 水を添加した際の1200mg KNO および1000mg クエン酸散剤を混合後に生成したH 、NO、およびNO ガスの生成を比較した。室温で100ml 蒸留水を添加した直後に、マグネシウムを含むビーカーを、Bel-Art Secador Polystyrene Mini Desiccator Cabinet(0.31 ft )の中に入れた。マグネシウム散剤、粒状マグネシウム、およびマグネシウムビーズでの実験の開始時に、H 、NO、およびNO のセンサーは全てゼロであった。
【0139】
マグネシウム散剤(60-200メッシュサイズ)および1200mg KNO および1000mg クエン酸散剤を有するビーカーに水を添加した約90秒後に(図2Aおよび2Bを参照のこと)、NOガスの濃度は12.8ppmであり、NO ガスは0ppmであり、H ガスは142ppmであった。実験を継続するにつれて、NOおよびH ガスの濃度は上昇し続けた。水を上記散剤に添加した後2分で、NOガスの濃度は39.2ppmであり、H ガスは435であり、NO ガスは0ppmであった。NO 対 NO のこの比は、驚くべきことである。NO がゼロでNOガスがほぼ40ppmに達することは、前代未聞であった。上記散剤に水を添加した後5分で、NOガスは49ppmに達した一方で、NO ガスは3.0ppmに増大した。水素ガスは1000ppm超(上記センサーの最大の検出可能範囲)に増大した。
【0140】
粒状マグネシウム(約35メッシュサイズ)および1200mg KNO および1000mg クエン酸散剤での実験(see 図3A、3Bおよび3Cを参照のこと)では、水を添加した後1分でのNOガス、H ガス、およびNO ガスの濃度は、それぞれ、3.8ppm、66ppm、および0ppmであった。水の添加後5分では、上記センサー読み取り値は、NOガスに関しては11.4 ppm、H ガスに関しては186ppm、およびNO ガスに関しては0ppmであった。従って、粒状マグネシウムを使用すると、マグネシウム散剤と比較した場合に、同じ時間枠の中でNOおよびH のガスの発生ははるかに少なく、NOの発生はおよそ4倍少なかった。
【0141】
マグネシウムビーズ(約5mm直径)および1200mg KNO および1000mg クエン酸散剤での実験(図1を参照のこと)では、実験に入って1分20秒では、NOガスもNO ガスも生成されなかった。水を添加した後5分で、NOガスのセンサー読み取り値は16.2ppmであり、NO ガスに関しては0ppmであり、水素に関しては337ppmであった。
【0142】
本発明者らの実験は、本開示の方法および組成物でのH ガスとNOガスとの同時生成が、NO ガスの生成を低減またはさらには排除することを示す。
【0143】
実施例14: 元素マグネシウムおよび硝酸イオン製法は、Helicobacter pyloriを効果的に根絶する
Helicobacter pyloriは、通常、胃および上部小腸で見出されるグラム陰性の微好気性の渦を巻いた(らせん状の)細菌である。H.pylori有病率は、途上国では85%~95%の間の範囲におよび、先進国では30~50%の間の範囲に及ぶ。活動的な感染の症状としては、消化管痛(これは、通常、胃が空の時に増悪する)、悪心、食欲不振、頻繁なおくび、腹部膨満および故意でない体重減少、胃潰瘍、胃出血、ならびに過敏性腸症候群が挙げられる。H.pyloriは、多くの呼吸器障害と関連しており、その障害としては、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支拡張症、喘息、肺がんおよび結核が挙げられる。H.pylori感染症および慢性肺疾患の共通する特徴は、慢性炎症および免疫応答の増大である。H.pyloriの根絶は困難であり、抗生物質(代表的には、アモキシシリンおよびクラリスロマイシン)をPPIインヒビター(例えば、オメプラゾール)と一緒に組み合わせて長期間投与して、抗生物質投与からの消化管副作用を回避することを必要とする。50歳齢の女性が、H.pylori陽性と診断され、前述の症状全てを示した。彼女は、過去に、アモキシシリン(1日あたり1000mgを2回)、クラリスロマイシン(1日あたり500mgを2回)およびオメプラゾール(1日あたり20mgを2回)の組み合わせを30日間レジメンで処方されていたが、上記治療の中止後にもH.pyloriはなお検査陽性であった。彼女には、発明者が、10mg 亜硝酸ナトリウム、1000mg 硝酸カリウムおよび200mg 元素金属マグネシウム 200mgを有する1錠のカプセル剤ならびに500mg クエン酸および500mg 没食子酸を含むもう1錠の別個のカプセル剤から構成される処置を処方した。彼女に、前述のカプセル剤の組み合わせを、1日あたり2回、10日間にわたって摂取するように助言した。2日目から、彼女は症状の軽減を報告した。その10日後に、彼女はH.pyloriに関して検査したところ、陰性であることが見出された。それ以来、慢性的な消化管痛を経験した多くの被験体が、1200mg KNO -200mg 元素Mg-50mg 元素Znを含む1錠のカプセル剤 + 1000mg クエン酸を含む1錠のカプセル剤の特定の製剤を1日あたり2回摂取する特定の製剤を受容したところ、それらの感染前に存在した消化管痛の排除が報告された。
【0144】
実施例15: 水素ガスが製剤を生成した
本発明者らは、水素が、高濃度では、水の形成を生じ得、これは、長期間吸収した場合、被験体の肺に水が蓄積することを生じ、肺からの酸素吸収を妨げ得ることに気づいたということはまた、注記されるべきである。それは、本発明者がNOからのメトヘモグロビン血症に対抗するために、長期間H ガスを吸入した場合に、彼が被ったSpO2の説明になると思われる。大気中の湿度と、30℃の周囲温度において製剤から獲得したH 濃度とを比較する一連の実験において、本発明者は、H 濃度が約40ppm増大するごとに、相対湿度が1%増大することに気づいた(空気中に存在する水蒸気の量は、同じ温度での飽和に必要とされる量のパーセンテージとして表される)。H 濃度が増大するにつれて相対湿度が増大するという結果は、以下の表8に示される。
表8. 閉鎖したシステム中での大気の湿度に対する水素ガスの影響
【表8-1】

【表8-2】
【0145】
センサーの限界に、1000ppmで達した一方で、これらの実験、ならびに上記被験体のうちのいずれにおいても肺の中に水が存在する(浮腫)という症状がいずれもなかったことから、1000ppmのH 濃度が安全であることが示される。1500ppmまでのH 濃度がまた、上記組成物から生成されるガスを吸入する被験体の肺に顕著なH O形成がなく安全であると想定される。
【0146】
実施例16: 以前の報告に鑑みた結果の有意性
硝酸イオン補充は、硝酸ナトリウムの形態(Larsen FJら, Acta Physiol (Oxf). 2007 Sep;191(1):59-66)またはビート根ジュース(Bailey SJら, J Appl Physiol (1985). 2009 Oct;107(4):1144-55)の形態においては、運動中の酸素消費を低減し得ることが示されたが、硝酸イオンが豊富なビート根ジュースの補充は、低酸素状態(ARDS患者の場合のように、正常な血中酸素飽和度より低い)における酸素飽和度レベル(SpO2)を上昇できず、SpO2を改善できず、高山病重篤度および低酸素の運動中に努力感を実際に増大させた(Rossetti GMKら, J Appl Physiol (1985). 2017 Oct 1;123(4):983-992)。さらに、COVID-19ならびに他の呼吸器および循環器系の疾患を処置するために本発明者らによる製剤中で利用される硝酸イオンの形態のような硝酸カリウム(KNO3)の補充は、プラシーボに対して低酸素条件において血中酸素飽和度の低下(約3%未満、有意な量)をもたらした(Schiffer TAら, Respir Physiol Neurobiol. 2013 Jan 15;185(2):339-48)。従って、硝酸イオンが低酸素症においてSpO2を増大させるというLundberg博士、Weitzberg博士、および彼らの同僚の仮説にもかかわらず、KNO 補充は、実際には、SpO2レベルを減少させ、他の試験では、硝酸イオン(例えば、ビート根ジュースに存在するもと)は、SpO2に対して効果を有しなかった。
【0147】
NOガス治療の周知の欠点は、メトヘモグロビン血症の発生である(Weinberger Bら, Toxicol Sci. 2001 Jan;59(1):5-16)。これは、ヘモグロビンが酸素を運ぶことができなくなるヘモグロビンの鉄の酸化である。メトヘモグロビン血症は、上記被験体の酸素飽和度も低下によって診断され得、これは、パルスオキシメーター(SpO2)で測定され得る。他のメトヘモグロビン血症症状としては、皮膚の変色(例えば、青白い、灰色、青色)および血液の色の変化が挙げられる。驚くべきことに、本明細書で開示される製剤を摂取した上記被験体のうちのいずれも、メトヘモグロビン血症を経験せず(メトヘモグロビン血症はSpO2レベルの減少を生じたのに対して、上記被験体は全て、SpO2レベルの増大を経験した)、皮膚の色調のいかなる異常な変化をも注記されなかった。従って、驚くべきことに、製法を終日投与しても、メトヘモグロビン血症を生じなかった。
【0148】
実施例17: 元素マグネシウムおよび硝酸イオンは、間質性肺疾患および関連する慢性的な低酸素症を効果的に処置する
77歳齢の女性被験体は、呼吸困難および慢性的な低酸素症(95%未満のSpO2)を伴う間質性肺疾患に罹患した。彼女はまた、慢性の重篤な咳発作を経験した。膀胱炎が原因で、クエン酸が尿路の炎症を増悪させることが報告されていることから、彼女に上記製剤のうちのクエン酸カプセル剤の摂取しないように助言した。
【0149】
彼女に、上記元素金属および硝酸イオン製剤(600mg KNO 、100mg 元素金属マグネシウム、25mg 元素金属亜鉛は、サイズ0 ゼラチンカプセル剤である)の半用量を投与し、彼女はこれを胃が空の時に十分な水で嚥下した。彼女のSpO2レベルは、94%であった。25分後、彼女のSpO2は、98%へと上昇した一方で、彼女の脈拍は、80から69へと低下した。これは、心臓から組織への酸素および血液のより効率的な輸送を示す。10日間のクールを経て、彼女は、上記の製剤を1日に多数回摂取し続けたところ、SpO2レベルの持続した増大を生じ、脈拍数のその後の減少に伴って正常範囲に留まった。上記被験体はまた、呼吸困難が大きく軽減され、処置により咳発作がなくなったことを報告した。上記被験体の血圧は、医療グレードのFDA承認のデバイスを使用して各投与後にモニターした。この処置の開始に伴って、上記被験体の血圧は低減し、彼女の処置クールを通じて低減したままであった。上記患者は、負の副作用を経験しなかった。
【0150】
全ての見出しは、読み手の便宜のためであり、見出しに続く本文の意味を限定する(そのように特定されなければ)ために使用されるべきではない。
【0151】
別段定義されなければ、本明細書中の全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で記載されるものに類似かまたは等しい任意の方法および材料が、本発明の実施または試験において使用され得るが、その好ましい方法および材料が、本明細書に記載される。飲用される全ての刊行物、特許、および特許公報は、全ての目的のためにそれらの全体において本明細書に参考として援用される。
【0152】
本明細書で考察される刊行物は、本出願の出願日より前のそれらの開示に関してのみ提供される。本明細書中のいずれも、本発明が先行発明によってこのような刊行物に先行する権利がないという自認として解釈されるべきではない。
【0153】
While 本発明は、その具体的な実施形態に関連して記載されてきたが、さらなる改変が可能であり、本出願が本発明の任意のバリエーション、使用、または適応を、一般に本発明の原理に従って、かつ本開示からのこのような逸脱を本発明が属する分野の範囲内の公知のまたは慣行の範囲内として、および本明細書中上記で示される本質的な特徴に適用され得るとして、および添付の特許請求の範囲に入るとして含められ、網羅することが意図されることは、理解される。
【誤訳訂正3】
【訂正対象書類名】図面
【訂正対象項目名】全図
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
図1
図2-1】
図2-2】
図3-1】
図3-2】
図4-1】
図4-2】
図5-1】
図5-2】
図6
【国際調査報告】