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特表2024-541339衝撃波電極アセンブリ、バルーンカテーテル装置及び医療機器
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  • 特表-衝撃波電極アセンブリ、バルーンカテーテル装置及び医療機器 図1A
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  • 特表-衝撃波電極アセンブリ、バルーンカテーテル装置及び医療機器 図8A
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  • 特表-衝撃波電極アセンブリ、バルーンカテーテル装置及び医療機器 図9B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】衝撃波電極アセンブリ、バルーンカテーテル装置及び医療機器
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/22 20060101AFI20241031BHJP
   A61B 17/3207 20060101ALI20241031BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20241031BHJP
【FI】
A61B17/22
A61B17/3207
A61M25/10 550
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527564
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-07-09
(86)【国際出願番号】 CN2022129425
(87)【国際公開番号】W WO2023083084
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】202111323375.8
(32)【優先日】2021-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524174771
【氏名又は名称】上海藍帆博元医療科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI BLUESAIL BOYUAN MEDICAL TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room B208, Building 2, No. 1077, Zhangheng Road, Pudong New Area, Shanghai 200131 China
(74)【代理人】
【識別番号】100134636
【弁理士】
【氏名又は名称】金高 寿裕
(74)【代理人】
【識別番号】100114904
【弁理士】
【氏名又は名称】小磯 貴子
(72)【発明者】
【氏名】徐 鵬飛
(72)【発明者】
【氏名】崔 玉虎
(72)【発明者】
【氏名】闕 志文
(72)【発明者】
【氏名】王 成
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160EE21
4C160MM36
4C267AA07
4C267BB02
4C267BB12
4C267BB28
4C267BB42
4C267CC09
4C267DD01
4C267HH08
(57)【要約】
本開示は、内部電極、外部電極、及び内部電極と外部電極との間に位置する絶縁層を含む衝撃波電極アセンブリを提案する。内部電極の表面には、突起ピンが設けられている。絶縁層には第1の孔が設けられ、外部電極には第2の孔が設けられている。第2の孔の直径が第1の孔の直径よりも大きい。突起ピン、第1の孔、及び第2の孔は、同軸配置されている。突起ピンは延在して第1の孔を通って第2の孔の中に延在する。本開示はまた、バルーンカテーテル装置及び医療機器を提案する。本開示は、電極の閾値パルス電圧を改善することにより、高強度の衝撃波を効果的に発生させることができ、それにより、血管内の石灰化病巣を破砕し、閉塞性疾患に対する治療効果を効果的に改善することが可能になる。
【選択図】図8A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部電極、外部電極、及び前記内部電極と前記外部電極との間に位置する絶縁層を含み、
前記内部電極の表面に突起ピンが設けられており、
前記絶縁層に第1の孔が設けられており、
前記外部電極に第2の孔が設けられており、
前記第2の孔の直径が前記第1の孔の直径よりも大きく、
前記突起ピン、前記第1の孔、及び前記第2の孔は、前記突起ピンが延在して前記第1の孔を通って前記第2の孔の中に延在するように設けられていることを特徴とする、衝撃波電極アセンブリ。
【請求項2】
前記内部電極はシート構造であり、前記絶縁層と前記外部電極は環状であり、前記外部電極と前記絶縁層は同軸配置され、前記外部電極は前記絶縁層の外部にスリーブされ、前記突出ピン、前記第1の孔及び前記第2の孔は同軸配置されることを特徴とする、請求項1に記載の衝撃波電極アセンブリ。
【請求項3】
前記第1の孔は、前記突起ピンを前記第1の孔内に固定するように、前記突起ピンの最大径方向寸法に等しい径方向寸法を有することを特徴とする、請求項1に記載の衝撃波電極アセンブリ。
【請求項4】
前記第2の孔内に延在する前記前記突起ピンの高さは、前記外部電極の厚さの1/3~2/3であることを特徴とする、請求項1に記載の衝撃波電極アセンブリ。
【請求項5】
前記突起ピンは、円柱形、円錐台形、または円錐形であることを特徴とする、請求項1に記載の衝撃波電極アセンブリ。
【請求項6】
前記内部電極の厚さと前記外部電極の厚さとの比は1:1~5:1の範囲にあることを特徴とする、請求項1に記載の衝撃波電極アセンブリ。
【請求項7】
前記絶縁層の厚さと前記内部電極の厚さとの比は1:1~1:2の範囲にあることを特徴とする、請求項1に記載の衝撃波電極アセンブリ。
【請求項8】
前記第1の孔の直径と前記第2の孔の直径との比は1:2~1:5の範囲にあることを特徴とする、請求項1に記載の衝撃波電極アセンブリ。
【請求項9】
バルーン、内管、外管、及び請求項1~8のいずれか1項に記載の衝撃波電極アセンブリを含み、前記内管の遠位端が前記バルーンを貫通するように延在して、前記バルーンの遠位端に接続され、前記衝撃波電極アセンブリが前記内管の外面に配置され、前記外管が前記内管の外部にスリーブされ、且つ前記バルーンの近位端に接続されていることを特徴とするバルーンカテーテル装置。
【請求項10】
前記バルーンカテーテル装置の軸方向に延在する導線をさらに含み、前記導線が、前記内部電極に接続される第1の導線と、前記外部電極に接続される第2の導線とを含むことを特徴とする、請求項9に記載のバルーンカテーテル装置。
【請求項11】
前記内管の軸方向に沿って間隔を置いて配置された複数の前記衝撃波電極アセンブリを含むことを特徴とする、請求項9に記載のバルーンカテーテル装置。
【請求項12】
複数の前記衝撃波電極アセンブリは直列に接続されていることを特徴とする、請求項11に記載のバルーンカテーテル装置。
【請求項13】
複数の前記衝撃波電極アセンブリは、前記内管の同じ周方向に配置されるか、または周方向に傾斜して配置されることを特徴とする、請求項11に記載のバルーンカテーテル装置。
【請求項14】
高電圧発生器と、請求項9~13のいずれか1項に記載のバルーンカテーテル装置とを含み、前記バルーンカテーテル装置の前記導線の近位端が前記高電圧発生器に接続され、前記高電圧発生器は、パルス電圧が500V~10kV、パルス電圧幅が200ns~20μs、パルス電流が50A~400A、パルス電流幅が10ns~2μsであることを特徴とする医療機器。
【請求項15】
各前記衝撃波電極アセンブリから発生する衝撃波の音圧が2Mpa~20Mpaであり、放電周波数が0.1Hz~10Hzであることを特徴とする、請求項14に記載の医療機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
あらゆる目的のために、本願は、2021年11月9日に出願された中国特許出願第202111323375.8号の優先権を主張し、ここでは、上記中国特許出願に開示された全ての内容が本願の一部として組み込まれる。
【0002】
本開示は電極アセンブリに関し、特に衝撃波電極アセンブリ、バルーンカテーテル装置及び医療機器に関する。
【背景技術】
【0003】
アテローム性動脈硬化症は、プラークの蓄積によって引き起こされる動脈の狭窄と硬化という病気である。当該プラークは繊維組織、脂肪、及びカルシウムからなる。蓄積した石灰化プラークは正常な血液の流れを妨げて、体への酸素と栄養素の供給の減少を引き起こす。その結果、脳や、心臓、四肢など身体の重要な部位に血液を供給する動脈に関わる疾患が生じる。
【0004】
従来の血管形成術では、バルーンカテーテルを用いて病巣(例えば石灰化病巣)を物理的に拡張させ、血管を再開通させることが一般的である。しかし、バルーンによる拡張の際に、血管の動脈外膜が破れやすい。そこで、液中放電効果(Electrohydraulic Effect)といった方法は、病変部の血管壁に付着した石灰化病巣の構造を破壊するために用いられる。すなわち、血管形成術用バルーンに電極を設置し、高電圧発生器と連動させることにより、動脈壁における石灰化病巣の手術に使用することができる。このような手術では、バルーンカテーテルをガイドワイヤに沿って閉塞部位に進め、そして導電性流体でバルーンに加圧して、バルーンを血管に密着させる。一連の高電圧パルスを高電圧発生器によってバルーンの電極に印加することにより、各パルスが電極を通過して導電性流体中に微細な気泡を発生させ、これらの気泡が成長して瞬間的に破裂すると、衝撃波が発生する。衝撃波はバルーンの壁を通って閉塞部位に達して石灰化プラークを破裂させる。石灰化プラークが破裂すると、バルーンはさらに膨らんで、血管を浚うことができる。パルスの繰り返しにより、石灰化病巣の構造を破壊し、周囲の軟部組織を損傷することなく血管の狭窄した部分を拡張させることができ、従来の血管形成術におけるバルーンの拡張による血管壁への損傷という問題を避けることができる。しかし、電極は、回路内の導電性流体の絶縁破壊電圧になって衝撃波を発生させるために、通常、比較的に高いパルス電圧を必要とする。このような比較的に高いパルス電圧により、高電圧発生器の内部回路の設計に対する要求も高くなる。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、衝撃波電極アセンブリ、バルーンカテーテル装置及び医療機器を提供し、例えば、衝撃波電極アセンブリのパルス電圧に対する要求を低くし、血管内の石灰化病巣を破砕する高強度の衝撃波を効果的に発生させ、閉塞性疾患の治療効果を向上させることができる。
【0006】
本開示は、内部電極、外部電極、及び内部電極と外部電極との間に位置する絶縁層を含み、内部電極の表面に突起ピンが設けられており、絶縁層に第1の孔が設けられており、外部電極に第2の孔が設けられており、第2の孔の直径が第1の孔の直径よりも大きく、突起ピン、第1の孔、及び第2の孔は、突起ピンが延在して第1の孔を通って第2の孔の中に延在するように設けられている衝撃波電極アセンブリを提案する。
【0007】
本開示の実施例によれば、内部電極の表面に設けられた突起ピンは、外部電極との間に円環状のギャップを形成させるように延在して第1の孔を通って第2の孔に延在し、このギャップにより、外部電極と内部電極との間に放電回路が形成される。衝撃波電極アセンブリは液体に入られ、適切なパルス電圧が与えられると、充填された液体の絶縁破壊電圧になることができ、電気スパークを生じさせ、衝撃波を発生させることができる。通常の衝撃波電極アセンブリでは、衝撃波を発生させるために、通常、回路内の導電性流体を絶縁破壊するように比較的高いパルス電圧が必要とされる。このような比較的高いパルス電圧に対しては、高電圧発生器の内部回路設計に対する要求が高くなる。本開示の実施例によれば、突起ピンの構造を有する衝撃波電極アセンブリの設計により、衝撃波電極アセンブリのパルス電圧に対する要求を低くすることができ、すなわち、この衝撃波電極アセンブリは、より低いパルス電圧で衝撃波を発生させることができ、衝撃波電極アセンブリを使用する際の安全性が向上する。また、同じパルス電圧を与えた場合、突起ピンの構造を有する衝撃波電極アセンブリは、通常の衝撃波電極アセンブリよりも高い電気エネルギー密度を示すため、より高いエネルギーの衝撃波を発生させることができる。これは、病変部の血管壁に付着した石灰化病巣構造を破壊し、閉塞病変に対する治療効果を向上させることに有利である。
【0008】
実施例の一例において、内部電極はシート構造であり、絶縁層と外部電極は環状であり、外部電極と絶縁層は同軸配置され、外部電極は絶縁層の外部にスリーブされ、突出ピン、第1の孔及び第2の孔は同軸配置される。
【0009】
一例において、第1の孔は、突起ピンを第1の孔内に固定するように、突起ピンの最大径方向寸法に等しい径方向寸法を有する。
【0010】
一例において、第2の孔内に延在する突起ピンの高さは、外部電極の厚さの1/3~2/3である。この高さ位置における衝撃波電極アセンブリは最大の電気エネルギー密度を持つため、最高の効果を発揮することが可能になる。
【0011】
一例において、突起ピンは、円柱形、円錐台形、または円錐形である。電極の放電モードとエネルギーを変えるためには、実際の使用要求に応じて突起ピンの相応な形状を選択すればよい。
【0012】
一例において、内部電極の厚さと外部電極の厚さとの比は、1:1~5:1の範囲にある。一例において、絶縁層の厚さと内部電極の厚さとの比は、1:1~1:2の範囲にある。絶縁層が前記範囲より薄いと、内部電極と外部電極との距離が近すぎて、絶縁破壊電圧を超えやすいため導通することが容易になり、絶縁層が前記範囲より厚いと、内部電極と外部電極との距離が遠すぎて、効果的な絶縁破壊が起こりにくい。絶縁層の厚さは絶縁材料の比誘電率に関係し、比誘電率が高いほど絶縁特性がよく、同じ条件下では、薄い絶縁層を使用しても要求を満たすことができる。
【0013】
一例において、第1の孔の直径と第2の孔の直径との比は、1:2~1:5の範囲にある。第1の孔の直径と第2の孔の直径との比を調整することで、絶縁層に対する外部電極の周方向での回転による両電極の直接接触をある程度避けることができる。
【0014】
また、本開示は、バルーン、内管、外管、及び本開示の衝撃波電極アセンブリの実施例のいずれか一例による衝撃波電極アセンブリを含み、内管の遠位端がボールを貫通するように延在して、バルーンの遠位端に接続され、衝撃波電極アセンブリが内管の外面に配置され、外管が内管の外部にスリーブされるとともに、バルーンの近位端に接続されているバルーンカテーテル装置を提案する。
【0015】
本開示の実施例によれば、前述した衝撃波電極アセンブリを血管形成用バルーンカテーテル装置内に配置することにより、衝撃波を効果的に発生させて血管内の石灰化病巣を破砕し、閉塞病変の治療効果を向上させることに有利である。
【0016】
一例において、バルーンカテーテル装置は、バルーンカテーテル装置の軸方向に沿って延在する導線をさらに含み、導線は、内部電極に接続される第1の導線と、外部電極に接続される第2の導線とを含む。一例において、バルーンカテーテル装置は、内管の軸方向に沿って間隔を置いて配置された複数の衝撃波電極アセンブリを含む。複数の衝撃波電極アセンブリを使用することにより、バルーンカテーテル装置は、複数の石灰化病巣を同時に処置する能力を有するようになり、手術時間を節約し、効率を向上させることができる。
【0017】
一例において、複数の衝撃波電極アセンブリは直列に接続されている。一例において、複数の衝撃波電極アセンブリは、内管の同じ周方向に配置されるか、または周方向に傾斜して配置される。衝撃波電極アセンブリ同士の相対的な配列方向を調整することにより、バルーン全体によって発生する衝撃波の強度と分布が改善される。
【0018】
また、本開示は、高電圧発生器と、本開示のバルーンカテーテル装置の実施例のいずれか一例によるバルーンカテーテル装置とを含み、バルーンカテーテル装置の導線の近位端が高電圧発生器に接続され、高電圧発生器は、パルス電圧が500V~10kV、パルス電圧幅が200ns~20μs、パルス電流が50A~400A、パルス電流幅が10ns~2μsである医療機器を提案する。
【0019】
一例において、各衝撃波電極アセンブリから発生する衝撃波の音圧が2Mpa~20Mpaであり、放電周波数が0.1Hz~10Hzである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本開示の実施例の技術的解決策をより明瞭に説明するために、以下、実施例の図面を簡単に説明するが、明らかに、以下に説明される図面は、本開示の一部の実施例のみに係り、本開示を制限するものではない。
図1A】本開示の一部の実施例に係る衝撃波電極アセンブリの断面の概略図である。
図1B】本開示の一部の実施例に係る衝撃波電極アセンブリの断面の概略図である。
図1C】本開示の一部の実施例に係る衝撃波電極アセンブリの断面の概略図である。
図2】本開示の実施例の一例に係る衝撃波電極アセンブリの立体概略図である。
図3図2の衝撃波電極アセンブリの爆発図である。
図4】本開示の実施例の一例に係る衝撃波電極アセンブリと通常の衝撃波電極アセンブリの閾値電圧を比較する図である。
図5】本開示の実施例の一例に係る衝撃波電極アセンブリと通常の衝撃波電極アセンブリの異なるパルス電圧における電気エネルギー密度曲線のグラフである。
図6】突起ピンの高さ位置と電極の電気エネルギー密度との関係図である。
図7】本開示の実施例の一例に係るバルーンカテーテル装置の概略図である。
図8A】本開示の一部の実施例に係るバルーンカテーテル装置の断面の概略図である。
図8B】本開示の一部の実施例に係るバルーンカテーテル装置の断面の概略図である。
図8C】本開示の一部の実施例に係るバルーンカテーテル装置の断面の概略図である。
図9A】本開示の一部の実施例に係る、複数の衝撃波電極アセンブリを備えるバルーンカテーテル装置の概略図である。
図9B】本開示の一部の実施例に係る、複数の衝撃波電極アセンブリを備えるバルーンカテーテル装置の概略図である。
図9C】本開示の一部の実施例に係る、複数の衝撃波電極アセンブリを備えるバルーンカテーテル装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本開示の実施例の図面を参照しながら、本開示の実施例の技術的解決策を明瞭且つ完全に説明する。明らかに、説明される実施例は、本開示の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。当業者が本開示の実施例に基づき、創造的な努力をしない前提で得られる他の全ての実施例はいずれも本開示の保護範囲に属するものである。
【0022】
他に定義がない限り、本開示で使用される技術用語や科学用語などの全ての用語は、本開示の属する技術分野における当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。また、理解されるべきことは、一般的な辞書に定義されているような用語は、関連する技術の文脈における意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本開示の実施例によって明示的にそのように定義されていない限り、理想化された、または極端に形式化された意味で解釈されるべきではない。
【0023】
本開示の実施例で使用される「第1」、「第2」などの用語は、いかなる順序、量、または重要さを示すものではなく、異なる構成要素を区別するためにのみ使用される。「一つ」や「一」または「当該」のような語句は、数量を制限するものではなく、少なくとも一つが存在することを示す。そして、「含む」または「包含する」などの語句は、他の構成要素または対象を除外することなく、この語句より先に記載された構成要素または対象が、この語句の後に列挙される構成要素または対象及びその等価物を包含することを意味する。「接続」または「連結」などの語句は、物理的または機械的な接続に限られるものではなく、直接的または間接的であるかを問わず、電気的または通信的な接続を含んでもよい。本発明でいう「径方向寸法」とは、部品または物体の断面における最も遠い2点間の距離をいい、例えば断面が円形である場合、この径方向寸法は即ち直径である。また、本発明でいう「厚さ」とは、対象物の上下で対向する両面の間の距離をいう。説明すべきことは、本発明でいう「内部電極の厚さ」とは、突起ピンの高さを含まない、内部電極の上下で対向する両面の間の距離をいう。
【0024】
従来の血管形成術では、バルーンカテーテルを用いて病巣(例えば石灰化病巣)を物理的に拡張させ、血管を再開通させることが一般的である。しかし、バルーンの拡張する際、血管の動脈外膜が破れやすい。
【0025】
そこで、本開示の発明者らは、一部の従来の技術的解決策において、血管形成術用バルーンに電極を設置し、電極が高電圧発生器と連動し、動脈壁における石灰化病巣の治療に使用することができることを見出した。このような手術では、バルーンカテーテルをガイドワイヤに沿って血管の閉塞部位に進め、導電性流体でバルーンに加圧して、バルーンを血管に密着させる。一連の高電圧パルスを高電圧発生器によってバルーンの電極に印加することにより、各パルスが電極を通過して導電性流体中に微細な気泡を発生させ、これらの気泡が成長して瞬間的に破裂すると、衝撃波が発生する。衝撃波はバルーンの壁を通って血管の閉塞部位に達して石灰化プラークを破裂させる。石灰化プラークが破裂すると、バルーンはさらに膨らんで、血管を浚うことができる。
【0026】
電極構成の設計は、衝撃波の発生にとって極めて重要であり、衝撃波の発生を容易にするためには、気泡の形成を可能にするだけでなく、気泡の移動を妨げないようにする必要がある。また、本開示の発明者らは次のことを見出した。即ち、他の先行技術の解決策において異なる電極の構成が開示されており、比較的よく使用されているのはリング-プレート型の構造であり、この構造は、通常、内部電極、絶縁層及び外部電極を含み、内部電極と外部電極はリング構造を有し、且つ同軸配置されており、絶縁層は内部電極と外部電極との間に配置される。高電圧パルスが電極を通過すると、内部電極、外部電極及び導電性流体は、衝撃波を発生させるための回路を構成する。しかし、このような電極構成では、回路内の導電性流体を絶縁破壊して衝撃波を発生させるために、通常、比較的に高いパルス電圧が必要とされる。このような高いパルス電圧に対しては、高電圧発生器の内部回路の設計に対する要求が高くなる。
【0027】
そこで、本開示の実施例が提供する衝撃波電極アセンブリ、バルーンカテーテル装置により、前述した技術的課題が解決され、具体的には以下の説明を参照する。
【0028】
本開示は、内部電極、外部電極、及び内部電極と外部電極との間に位置する絶縁層を含む衝撃波電極アセンブリを提案する。内部電極の表面には突起ピンが設けられており、絶縁層には第1の孔が設けられており、外部電極には第2の孔が設けられており、第2の孔の直径が第1の孔の直径よりも大きく、突起ピン、第1の孔、及び第2の孔は、突起ピンが延在して第1の孔を通って第2の孔の中に延在するように設けられている。
【0029】
本開示の実施例によれば、内部電極の表面に設けられた突起ピンは、外部電極との間に円環状のギャップを形成させるように延在して第1の孔を通って第2の孔に延在し、このギャップにより、外部電極と内部電極との間に放電回路が形成される。衝撃波電極アセンブリは液体に入れられ、適切なパルス電圧が与えられると、充填された液体を絶縁破壊電圧になり、電気スパークを生じさせ、衝撃波を発生させることができる。通常の衝撃波電極アセンブリでは、衝撃波を発生させるために、通常、比較的高いパルス電圧が必要とされる。本開示の実施例によれば、突起ピンの構造を有する衝撃波電極アセンブリの設計により、衝撃波電極アセンブリのパルス電圧に対する要求が低くなり、すなわち、この衝撃波電極アセンブリは、より低いパルス電圧で衝撃波を発生させることができ、衝撃波電極アセンブリを使用する際の安全性を向上させる。また、同じパルス電圧を与えた場合、突起ピンの構造を有する衝撃波電極アセンブリは、通常の衝撃波電極アセンブリよりも高い電気エネルギー密度を示すため、より高いエネルギーの衝撃波を発生させることができる。これは、病変部の血管壁に付着した石灰化病巣構造を破壊し、閉塞病変に対する治療効果を向上させることに有利である。
【0030】
以下、図面を参照して本開示の実施例及びその例示を詳細に説明する。
【0031】
図1A図1Cは、本開示の一部の実施例に係る衝撃波電極アセンブリの断面の概略図である。図2は、本開示の実施例の一例に係る衝撃波電極アセンブリの立体概略図である。図3は、図2の衝撃波電極アセンブリの爆発図である。
【0032】
図1A図1Cに示すように、衝撃波電極アセンブリ100は、内部電極110、外部電極130、及び内部電極110と外部電極130との間に位置する絶縁層120を含む。内部電極110の表面には突起ピン112が設けられており、絶縁層120には第1の孔122が設けられており、外部電極130には第2の孔132が設けられており、第2の孔132の直径が第1の孔122の直径よりも大きい。突起ピン112は、延在して第1の孔122を通って第2の孔132の中に延在する。これによって、内部電極110と外部電極130の間に一つの放電回路を構成する。
【0033】
実施例の一例において、図2図3に示すように、内部電極110はシート構造であり、外部電極130と絶縁層120は環状である。外部電極130と絶縁層120は同軸配置され、外部電極130は絶縁層120の外部にスリーブされる。外部電極130の内径と絶縁層120の外径とは一致しており、このため、相対的な移動が発生する可能性が低くなる。
【0034】
一例において、内部電極の厚さと外部電極の厚さとの比は、1:1~5:1の範囲にある。一例において、絶縁層の厚さと内部電極の厚さとの比は、1:1~1:2の範囲にある。本開示の実施例によれば、絶縁層は主に内部電極と外部電極との間のバリアとして機能し、前記範囲より薄いと、内部電極と外部電極との距離が近すぎて、絶縁破壊電圧を超えやすいため導通することが容易になり、前記範囲より厚いと、内部電極と外部電極との距離が遠すぎて、効果的な絶縁破壊が起こりにくい。よって、本開示の実施例は、例えば、内部電極:絶縁層:外部電極の厚さの比は、1:1:1であってもよい。また、絶縁層の厚さは絶縁材料の比誘電率に関係し、比誘電率が高いほど絶縁特性が良くなり、同じ条件下では、比較的薄い絶縁層を使用すれば要求を満たすことができる。例えば、誘電率が高いポリアミドの場合、内部電極:絶縁層:外部電極の厚さの比を2:1:2とすることができる。従って、実際の状況に応じて、誘電率の異なる絶縁材料を用いて絶縁層を構成することができ、それ故に、内部電極:絶縁層:外部電極の厚さの比も適宜変更できる。外部電極及び内部電極の材料は、ステンレス鋼、銅、銀などの導電性金属であってもよい。絶縁層の材料は、ポリイミド、PTFE、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリマーのような非導電性絶縁体である。
【0035】
本開示の実施例において、外部電極130の長さが長すぎると、バルーンカテーテルの通過性に影響を及ぼすことがある。したがって、外部電極130の長さは、必要に応じて適宜調整すればよく、本開示はこれに対して制限をしない。本開示の実施例によれば、絶縁層120上により確実に固定するように、外部電極130の長さを、絶縁層120の長さよりも小さくする。
【0036】
本開示の実施例において、外部電極130の構造は、例えば、外形が楕円形、卵形、矩形、三角形、不定形等の幾何学的形状を有する構造であってもよい。衝撃波電極アセンブリ100の実際の使用において、外部電極130は絶縁層120の上にスリーブされ、内部電極110と放電回路を構成する必要がある。
【0037】
一例において、突起ピン112、第1の孔122、及び第2の孔132は、均一な放電を図るために、外部電極と突起ピンとの間に均一な円環形ギャップが形成されるように同軸配置されてもよい。一例において、第1の孔122の直径と第2の孔132の直径との比は、1:2~1:5の範囲にある。一方では、絶縁層に対する外部電極の軸方向での回転による2つの電極同士の直接接触を避けることができ、すなわち、内部電極と外部電極が放電回路を構成することを確保することができ、他方では、十分な放電効果を確保することができ、すなわち、内部電極と外部電極に印加される電圧が媒質の絶縁破壊電圧を超えるという前提で、内部電極と外部電極との間の距離が大きくなるほど、電極間に蓄積されるエネルギーが大きくなり、発生する衝撃波の強度が大きくなる。したがって、実際の設計に要求される衝撃波強度の応じて適切な直径比を選択すればよい。
【0038】
本開示の実施例によれば、内部電極110と絶縁層120とを接続するように突起ピン112を第1の孔122に固定することを可能にするために、第1の孔122の径方向の寸法は、突起ピン112の最大径方向の寸法に等しい。第1の孔122は、内部電極110の突起ピン112の位置を固定する役割を果たし、内部電極110の突起ピン112の外面が第1の孔122の壁から離隔している場合、内部電極110の突起ピン112が外部電極130の第2の孔132と同軸に整列されない傾向があり、実際の放電効果が影響される。さらに、突起ピン112は外部電極130の第2の孔132に対して相対的に摺動し、衝撃波電極アセンブリ100の信頼性が影響される。
【0039】
一例において、内部電極110の突起ピン112の構造は、円柱形(図1Aに示すよう)、円錐台形(図1Bに示すよう)、または円錐形(図1Cに示すよう)であってもよく、他の構造であってもよく、好ましくは円柱状である。突起ピン112の形状は、電極の放電モードとエネルギーに影響を与え、円柱状の突起では、衝撃波破壊の閾値電圧を下げると同時に、高い電気エネルギー密度を示すことができる。本開示はこれに対して限定をせず、実際の状況に応じて適宜決定すればよい。実際の使用において、内部電極110と外部電極130との間のギャップ距離は、必要に応じて適宜調整すればよい。第1の孔と第2の孔の寸法が決定された場合、内部電極110の突起ピン112の形状を変えることにより前述したギャップ距離を調整し、さらに電極の放電モード及びエネルギーを変えることができる。別の実施例において、絶縁層の第1の孔の壁は、円錐台状または円錐状の構造の突起ピンの外面とのマッチングを確保するように、一定の角度を持つ傾斜面であってもよい。それによって、突起ピンを絶縁層120により確実に固定することができ、衝撃波電極アセンブリ100の実際の動作中に、突起ピン112が絶縁層120の第1の孔122に対して相対的に移動しないことを確保することができる。
【0040】
本開示の実施例によれば、内部電極110の表面には突起ピン112が設けられ、且つ突起ピン112は、外部電極130との間に円環状のギャップを形成させるように延在して第1の孔122を通って第2の孔132に延在し、このギャップにより、外部電極130と内部電極110との間に放電回路が形成される。衝撃波電極アセンブリ100は液体に入れられ、適切なパルス電圧が与えられると、充填された液体を絶縁破壊させ、電気スパークを生じさせ、衝撃波を発生させることができる。この衝撃波は、バルーン内の液体によって伝播されて、バルーン壁と石灰化した部分に衝撃を与える。パルスの繰り返しにより、周囲の軟部組織を損傷することなく、石灰化病巣の構造を破壊し、血管の狭窄した部分を拡張させることができ、従来の血管形成術におけるバルーンの拡張による血管壁への損傷の問題を避けることができる。通常の衝撃波電極アセンブリでは、衝撃波を得るために、通常、回路内の導電性流体を絶縁破壊するように比較的高いパルス電圧が必要とされる。比較的高いパルス電圧に対しては、高電圧発生器の内部回路設計に対する要求が高くなる。
【0041】
図4は本開示の実施例に係る衝撃波電極アセンブリと通常の衝撃波電極アセンブリの閾値電圧を比較する図である。図面から分かるように、衝撃波電極アセンブリの電圧が2.5KVを超えてこそ、当該電極アセンブリには衝撃波が発生し始め、すなわち、通常の衝撃波電極アセンブリの閾値電圧は2.5KVであると決定される。一方、本開示の実施例の衝撃波電極アセンブリは、その電圧が1.33KVを超えると衝撃波が発生し始めることが分かった。通常の衝撃波電極アセンブリと比べると、本開示の実施例の衝撃波電極アセンブリの閾値電圧は小さく、1.33KVに過ぎない。したがって、以下のことことが結論付けられる。即ち、本開示の実施例の内部電極110の表面に設けられた突出ピン112は延在して第1の孔122を通って、第2の孔132に延在することにより、外部電極130と突起ピン112との間に円環状のギャップが形成され、このギャップにより、外部電極130と内部電極110との間に放電回路が形成される。このような突起ピンの構造を有する衝撃波電極アセンブリの設計により、衝撃波電極アセンブリのパルス電圧に対する要求が低くなり、換言すれば、本開示の実施例に係る衝撃波電極アセンブリは、より低いパルス電圧で衝撃波を発生させることができ、衝撃波電極アセンブリを使用する際の安全性が向上する。
【0042】
図5は、本開示の実施例の一例に係る衝撃波電極アセンブリと通常の衝撃波電極アセンブリの異なるパルス電圧における電気エネルギー密度曲線のグラフである。図面から分かるように、パルス電圧が1KV~3KVの範囲にある場合、2つの衝撃波電極アセンブリに同じパルス電圧を印加すると、本開示の実施例に係る衝撃波電極アセンブリの電気エネルギー密度は、通常の衝撃波電極アセンブリの電気エネルギー密度よりも高く、両者の電気エネルギー密度の差は、パルス電圧が高くなるにつれて大きくなる。すなわち、同じパルス電圧を与えた場合、突起ピンの構造を有する衝撃波電極アセンブリは、通常の衝撃波電極アセンブリよりも高い電気エネルギー密度を示し、その故、より高いエネルギーの衝撃波を発生させることができる。これにより、病変部の血管壁に付着した石灰化病巣構造の破壊が促進され、閉塞病変に対する治療効果が向上する。
【0043】
一例において、第2の孔132内に延在する突起ピン112の高さは、外部部電極130の厚さの1/3~2/3である。本開示の衝撃波電極アセンブリによれば、放電位置が内部電極110の突出ピン112と第2の孔132との間のギャップであるため、突出ピン112の高さは放電モードとエネルギーに影響を与え、適切な高さは電極の作用・効果を最大化することができる。図6は、突起ピンの高さ位置と電極の電気エネルギー密度との関係図である。図6に示すように、横座標において、「0」は、突起ピン112の高さ位置が内部電極110の表面上にあることを表し、この時、突起ピン112の高さは0である。「微小突起」は、突起ピン112の高さ位置が絶縁層120の表面上にあることを表し、この時、突起ピン112の高さは絶縁層の厚さと等しい。言い換えれば、0から微小突起までの距離は、内部電極110と外部電極130との間に位置する環状絶縁層120の厚さを意味する。そして、「1/3H」、「2/3H」、及び「H」は、それぞれ、突出ピン112の高さ位置が外部電極130の1/3厚さの位置、2/3厚さの位置、及び外表面の位置にあることを表す。図面から分かるように、突起ピン112の高さが高くなるにつれて、その高さ位置の変化により、電極の電気エネルギー密度は、まず増加し、その後減少する傾向を示す。そして、この傾向は、高電圧試験条件でも低電圧試験条件でも基本的に同じである。さらに、データ点をフィッティングすると、得られたフィッティング曲線は、電気エネルギー密度の最高点が横座標範囲の1/3~2/3の間に位置すること、すなわち、第2の孔132内に延在する突起ピン112の高さが外部電極130の厚さの1/3~2/3であることを示し、この条件では、衝撃波電極アセンブリ100の電気エネルギー密度が最も大きくなり、衝撃波電極アセンブリ100がその最高の作用・効果を発揮できるようになる。
【0044】
図7は本開示の実施例の一例に係るバルーンカテーテル装置の概略図である。図7に示すように、バルーンカテーテル装置310は、内管320、バルーン330、外管350、及び衝撃波電極アセンブリ200を含む。衝撃波電極アセンブリ200は、内部電極210、外部電極230、及び内部電極210と外部電極230との間に位置する絶縁層220を含む。内部電極210の表面には突起ピン212が設けられており、絶縁層220には第1の孔222が設けられており、外部電極230には第2の孔232が設けられている。衝撃波電極アセンブリの詳細は前文に説明されたため、ここでは贅言しない。内管320の遠位端はボール330を貫通するように延在して、バルーン330の遠位端に接続され、衝撃波電極アセンブリ200は内管320の外面に配置され、外管が350は内管320の外部にスリーブされ、且つバルーン330の近位端に接続されている。一例において、バルーンカテーテル装置310は、バルーンカテーテル装置310の軸方向に延在する導線340をさらに含み、導線340は、内部電極210に接続される第1の導線340Aと、外部電極230に接続される第2の導線340Bとを含む(図9Aを参照)。二本の導線は、バルーンカテーテル装置310の軸方向に沿って延在し、接続導線M(未図示)を介して高電圧発生器(未図示)に接続され、電流は、第1の導線340Aを介して内部電極210に伝達され、内部電極210は、充填された導電性流体を介して外部電極230と回路を構成し、高電圧パルスは導電性流体を絶縁破壊させ、第1の孔222の軸方向に衝撃波を発生させる。その後、電流は外部電極230に伝達され、第2の導線340Bに沿って高電圧発生器に戻る。
【0045】
本開示の実施例によれば、内部電極210の表面には突起ピン212が設けられており、外部電極230と内部電極210の突起ピン212との間には放電回路が形成されている。衝撃波電極アセンブリ200は液体に入れられ、適切なパルス電圧が与えられると、充填された液体の絶縁破壊電圧になり、電気スパークを生じさせ、衝撃波を発生させることができる。この衝撃波は、バルーン内の液体によって伝播されて、バルーン壁と石灰化した部分に衝撃を与える。パルスの繰り返しにより、周囲の軟部組織を損傷することなく、石灰化病巣の構造を破壊し、血管の狭窄した部分を拡張させることができ、従来の血管形成術におけるバルーンの拡張による血管壁への損傷の問題を避けることができる。本開示の実施例に係る衝撃波電極アセンブリは、より低いパルス電圧で衝撃波を発生させることができ、衝撃波電極アセンブリを使用する際の安全性が向上する。また、同じパルス電圧を与えた場合、突起ピンの構造を有する衝撃波電極アセンブリは、通常の衝撃波電極アセンブリよりも高い電気エネルギー密度を示すため、より高いエネルギーの衝撃波を発生させることができる。本開示の実施例に係る衝撃波電極アセンブリは、病変部の血管壁に付着した石灰化病巣構造をより効果的に破壊し、閉塞病変に対する治療効果を向上させることができる。
【0046】
図8Aは、本開示の一部の実施例に係るバルーンカテーテル装置の断面の概略図である。以下、内部電極210、絶縁層220、及び外部電極230の組立工程に合わせてバルーンカテーテル装置における衝撃波電極アセンブリの構成部品の位置関係を説明する。図3図7及び図8Aを参照すると、衝撃波電極アセンブリをバルーンカテーテル装置に取り付けるためには、まず、内部電極210を内管320の表面に配置し、次に、第1の孔222を有する絶縁層220を内管320に被せ、第1の孔222と突出ピン212とを合わせるように絶縁層220を移動させ、押圧して突出ピン212を第1の孔222に固定し、それによって内部電極210を固定し、さらに接着剤で外部電極230を絶縁層220に固定することができる。実施例の一例において、外部電極230は複数の第2の孔232を含み、絶縁層220は複数の第1の孔222を含み、バルーンカテーテル装置は複数の内部電極210を含む。なお、内部電極210、第1の孔222、及び第2の孔232の数は同じである。このため、バルーンカテーテル装置は複数の衝撃波電極アセンブリを有することが可能になる。実際の手術において、処置すべき石灰化病巣が複数存在する場合があるので、複数の衝撃波電極アセンブリを有する構造を用いることにより、バルーンカテーテル装置に複数の放電領域を構築して、バルーンカテーテル装置が複数の石灰化病巣を同時に処置する能力を向上させるとともに、内管の周方向空間における衝撃波をより均一に分布させ、石灰化病巣に対する処置を容易にすることができる。図8A図8Cは、1個、2個または3個の衝撃波電極アセンブリを設置したバルーンカテーテル装置の断面の概略図である。なお、内管320の周方向における衝撃波電極アセンブリの分布は、治療対象となる石灰化病巣の実際の位置や分布に応じて適宜調整することができ、本開示はこれに対して制限をしない。
【0047】
一例において、バルーンカテーテル装置310は、内管320の軸方向に沿って間隔を置いて配置された複数の衝撃波電極アセンブリ200を含む。治療対象となる石灰化病巣が複数存在し、一定の距離を離れる場合、バルーンカテーテル装置に単一の衝撃波電極アセンブリ200を用いると、バルーンカテーテル装置を異なる石灰化病巣の位置まで搬送して石灰化病巣を1つずつ処置する必要があり、操作が不便である。そこで、上記の事情に対応して、内管の軸線方向に沿って間隔を置いて配置された複数の衝撃波電極アセンブリ200を有するバルーンカテーテル装置を用いることができる。図9Aは、2つの衝撃波電極アセンブリ200を有するバルーンカテーテル装置の概略図である。なお、内管320の軸方向における異なる衝撃波電極アセンブリ200の分布は、処置されるべき石灰化病巣の実際の位置分布に応じて適宜調整することができ、本開示はこれに対して制限をしない。
【0048】
一例において、複数の衝撃波電極アセンブリは直列に接続されている。バルーンカテーテル装置内には、互いに直列に接続されている複数の衝撃波電極アセンブリ200を配置し、各衝撃波電極アセンブリ200の第1の孔の軸方向に衝撃波を発生させることができる。バルーンの内部は、流体貫通キャビティにより導電性流体で満たされることができる。衝撃波電極アセンブリ200は、内管320の外面に一定の間隔で設けられ、複数の導線を接続することにより電流を伝達する。二つの衝撃波電極アセンブリの直列接続は図9Aに示されており、第1の導線340Aは、衝撃波電極アセンブリ200Aの内部電極の突起ピンに接続され、導電性流体を介して衝撃波電極アセンブリ200Aの外部電極と回路を構成し、衝撃波電極アセンブリ200Aの第1の孔の軸方向には第1の衝撃波が発生する。第2の導体340Bは、衝撃波電極アセンブリ200Aの外部電極と衝撃波電極アセンブリ200Bの内部電極とを接続し、衝撃波電極アセンブリ200Bの内部電極は、導電性流体を介して衝撃波電極アセンブリ200Bの外部電極と回路を構成し、衝撃波電極アセンブリ200Bの第1の孔の軸方向には第2の衝撃波が発生する。衝撃波電極アセンブリ200Bの外部電極に接続された第3の導線340Cは、バルーンカテーテル装置310に沿って軸方向に延び、接続導線Mに接続されている。近似する接続方式を用いると、複数の衝撃波電極アセンブリをバルーン内部に配置し、衝撃波電極アセンブリ200の第1の孔の軸方向に衝撃波を発生させることができる。通常の衝撃波電極アセンブリを使用する場合と比べ、本開示の実施例に係るバルーンカテーテル装置の衝撃波電極アセンブリは、通常の衝撃波電極アセンブリよりも小さい閾値電圧で衝撃波を発生させることができ、衝撃波電極アセンブリのパルス電圧に対する要求を低くすることができ、バルーンカテーテル装置の使用の安全性を向上させることができる。また、同じパルス電圧の場合、突出ピンの構造を有する衝撃波電極アセンブリでは、より高強度の衝撃波を発生させることができる。
【0049】
一例において、複数の衝撃波電極アセンブリ200は、内管200の同一周方向に配置されているか、または周方向に傾斜して配置されている。衝撃波は、外部電極230と突起ピン212との間のギャップで発生する。複数の衝撃波電極アセンブリ200を設置したバルーンカテーテル装置では、衝撃波電極アセンブリ200間の相対的な配列方向が、バルーン全体に発生する衝撃波の強度や分布に影響を与える。複数の衝撃波電極アセンブリ200は、手術中に処置すべき石灰化病巣の位置に応じて、内管320の同一周方向上に配置されてもよいし、周方向に傾斜して配置されてもよく、本開示はこれに対して制限をしない。
【0050】
図9Bは、3つの衝撃波電極アセンブリ200が内管320に沿って周方向に90度の間隔をあけて配置されたバルーンカテーテル装置、すなわち、内管の中心軸に垂直な投影面内で3つの衝撃波電極アセンブリの投影が重ならないバルーンカテーテル装置の概略図である。図9Cは、3つの衝撃波電極アセンブリ200が周方向に同一方向に向かって、軸方向に一定距離だけ離間して配列されたバルーンカテーテル装置、すなわち、内管の中心軸に垂直な投影面内で3つの衝撃波電極アセンブリの投影が重なるバルーンカテーテル装置の概略図である。本開示の実施例において、複数の衝撃波電極アセンブリを用いることにより、バルーンカテーテル装置は、複数の石灰化病巣を同時に治療できるようになり、さらに、処置すべき複数の石灰化病巣の位置に応じて、複数の衝撃波電極アセンブリ200を、周方向に沿って同一方向に配列したり、一定の角度の間隔をあけて順に配列したりするように配列することにより、閉塞病変の治療効果を改善し、手術の時間を短縮し、効率を向上させることができる。
【0051】
前述した通り、本発明者は、高電圧発生器と、バルーンカテーテル装置310とを含み、バルーンカテーテル装置310の導線340の近位端が高電圧発生器に接続された医療機器をさらに提供する。バルーンカテーテル装置310内の衝撃波電極アセンブリ200が順調に稼働することを確保するためには、高電圧発生器は以下のパラメータ要件を満たす必要がある。すなわち、高電圧発生器は、パルス電圧が500V~10kVであり、パルス電圧幅が200ns~20μsであり、パルス電流が50A~400Aであり、パルス電流幅が10ns~2μsである。一例において、各衝撃波電極アセンブリによって発生した衝撃波は、音圧が2Mpa~20Mpaであり、放電周波数が0.1Hz~10Hzである。衝撃波電極アセンブリによって発生した衝撃波は、バルーン内の液体によって伝播されて、バルーン壁と石灰化した部分に衝撃を与える。パルスの繰り返しにより、周囲の軟部組織を損傷することなく、石灰化病巣の構造を破壊し、血管の狭窄した部分を拡張させることができ、従来の血管形成術におけるバルーンの拡張による血管壁への損傷の問題を避けることができる。よって、本開示の実施例に係る医療機器は、病変部の血管壁に付着した石灰化病巣の構造をより効果的に破壊し、閉塞病変に対する治療効果を向上させることができる。
【0052】
本開示の衝撃波電極アセンブリは、より低い閾値パルス電圧を有し、より低いパルス電圧で放電を実現することができ、それにより衝撃波電極アセンブリのパルス電圧に対する要求が低くなる。本開示の衝撃波電極アセンブリは、通常の衝撃波電極アセンブリと比べると、同じパルス電圧でより高い電気エネルギー密度を示し、それにより、より高いエネルギーの衝撃波を発生させることができる。
【0053】
また、次のことを説明すべきである。
【0054】
(1)本開示の実施例の添付図面は、本開示の実施例に係る構造のみに関するものであり、他の構造は、通常の設計を参照すればよい。
【0055】
(2)本開示の実施例および実施例における特徴は、矛盾がない限り、互いに組み合わされて新たな実施例を得ることができる。
【0056】
以上は、本開示の具体的な実施形態に過ぎず、本開示の保護範囲はこれに限定されるものではなく、本開示の保護範囲は、記載された特許請求の範囲の保護範囲に準じるものとする。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
【手続補正書】
【提出日】2024-10-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部電極、外部電極、及び前記内部電極と前記外部電極との間に位置する絶縁層を含み

前記内部電極の表面に突起ピンが設けられており、
前記絶縁層に第1の孔が設けられており、
前記外部電極に第2の孔が設けられており、
前記第2の孔の直径が前記第1の孔の直径よりも大きく、
前記突起ピン、前記第1の孔、及び前記第2の孔は、前記突起ピンが延在して前記第1
の孔を通って前記第2の孔の中に延在するように設けられていることを特徴とする、衝撃
波電極アセンブリ。
【請求項2】
前記内部電極はシート構造であり、前記絶縁層と前記外部電極は環状であり、前記外部
電極と前記絶縁層は同軸配置され、前記外部電極は前記絶縁層の外部にスリーブされ、前
記突出ピン、前記第1の孔及び前記第2の孔は同軸配置されることを特徴とする、請求項
1に記載の衝撃波電極アセンブリ。
【請求項3】
前記第1の孔は、前記突起ピンを前記第1の孔内に固定するように、前記突起ピンの最
大径方向寸法に等しい径方向寸法を有することを特徴とする、請求項1に記載の衝撃波電
極アセンブリ。
【請求項4】
前記第2の孔内に延在する前記前記突起ピンの高さは、前記外部電極の厚さの1/3~
2/3であることを特徴とする、請求項1に記載の衝撃波電極アセンブリ。
【請求項5】
前記突起ピンは、円柱形、円錐台形、または円錐形であることを特徴とする、請求項1
に記載の衝撃波電極アセンブリ。
【請求項6】
前記内部電極の厚さと前記外部電極の厚さとの比は1:1~5:1の範囲にあることを
特徴とする、請求項1に記載の衝撃波電極アセンブリ。
【請求項7】
前記絶縁層の厚さと前記内部電極の厚さとの比は1:1~1:2の範囲にあることを特
徴とする、請求項1に記載の衝撃波電極アセンブリ。
【請求項8】
前記第1の孔の直径と前記第2の孔の直径との比は1:2~1:5の範囲にあることを
特徴とする、請求項1に記載の衝撃波電極アセンブリ。
【請求項9】
バルーン、内管、外管、及び請求項1~8のいずれか1項に記載の衝撃波電極アセンブ
リを含み、前記内管の遠位端が前記バルーンを貫通するように延在して、前記バルーンの
遠位端に接続され、前記衝撃波電極アセンブリが前記内管の外面に配置され、前記外管が
前記内管の外部にスリーブされ、且つ前記バルーンの近位端に接続されていることを特徴
とするバルーンカテーテル装置。
【請求項10】
前記バルーンカテーテル装置の軸方向に延在する導線をさらに含み、前記導線が、前記
内部電極に接続される第1の導線と、前記外部電極に接続される第2の導線とを含むこと
を特徴とする、請求項9に記載のバルーンカテーテル装置。
【請求項11】
前記内管の軸方向に沿って間隔を置いて配置された複数の前記衝撃波電極アセンブリを
含むことを特徴とする、請求項9に記載のバルーンカテーテル装置。
【請求項12】
複数の前記衝撃波電極アセンブリは直列に接続されていることを特徴とする、請求項1
1に記載のバルーンカテーテル装置。
【請求項13】
複数の前記衝撃波電極アセンブリは、前記内管の同じ周方向に配置されるか、または周
方向に傾斜して配置されることを特徴とする、請求項11に記載のバルーンカテーテル装
置。
【請求項14】
高電圧発生器と、請求項9に記載のバルーンカテーテル装置とを含み、前記バルーンカ
テーテル装置の前記導線の近位端が前記高電圧発生器に接続され、前記高電圧発生器は、
パルス電圧が500V~10kV、パルス電圧幅が200ns~20μs、パルス電流が
50A~400A、パルス電流幅が10ns~2μsであることを特徴とする医療機器。
【請求項15】
各前記衝撃波電極アセンブリから発生する衝撃波の音圧が2Mpa~20Mpaであり
、放電周波数が0.1Hz~10Hzであることを特徴とする、請求項14に記載の医療
機器。
【国際調査報告】