(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】流量計外部磁界定量化装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01F 1/84 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
G01F1/84
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527640
(86)(22)【出願日】2021-11-12
(85)【翻訳文提出日】2024-05-30
(86)【国際出願番号】 US2021059129
(87)【国際公開番号】W WO2023086099
(87)【国際公開日】2023-05-19
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500205770
【氏名又は名称】マイクロ モーション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュミット, マルクス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】マカナリー, クレイグ ビー.
【テーマコード(参考)】
2F035
【Fターム(参考)】
2F035BE00
2F035JA02
(57)【要約】
コリオリ流量計(5)が提供され、このコリオリ流量計(5)は、ドライバ(104)を有する流れ導管(103A、103B)と、それに接続されたピックオフセンサ(105、105’)を備える。メータ電子機器(20)は、ドライバ(104)を駆動して第1の曲げモードで流れ導管(103A、103B)を振動させ、ピックオフセンサ(105、105’)から信号を受け取るように構成されている。メータ電子機器(20)は、外部磁界の存在を示すように構成されている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流れ導管(103A、103B)と、
前記流れ導管(103Aおよび103B)に接続されたドライバ(104)及びピックオフセンサ(105、105’)と、
前記ドライバ(104)を駆動して前記流れ導管(103A、103B)を第1の曲げモードで振動させ、前記ピックオフセンサ(105、105’)から信号を受け取るように構成されたメータ電子機器(20)と、
を備え、
前記メータ電子機器(20)が、磁界が検出された場合に外部磁界の存在を示すように構成されている、コリオリ流量計(5)。
【請求項2】
前記外部磁界の存在が、前記ピックオフセンサ(105、105’)のうちの少なくとも一つによって提供される前記信号において電圧のステップ変化が検出されたときに示される、請求項1に記載のコリオリ流量計(5)。
【請求項3】
前記外部磁界の存在が、前記ピックオフセンサ(105、105’)のうちの少なくとも一つによって提供される前記信号において電圧のスパイクが検出されたときに示される、請求項1に記載のコリオリ流量計(5)。
【請求項4】
前記外部磁界の存在が、前記ドライバ(104)によって供給される前記信号において電圧のスパイクが検出されたときに示される、請求項1に記載のコリオリ流量計(5)。
【請求項5】
前記外部磁界の存在が、ΔTのステップ変化が検出されたときに示される、請求項1に記載のコリオリ流量計(5)。
【請求項6】
各ピックオフセンサ(105、105’)の位相が、第3の独立した信号に対して測定される、請求項1に記載のコリオリ流量計(5)。
【請求項7】
前記第3の独立した信号が、前記第1の曲げモード以外の駆動モードを表す駆動信号を含む、請求項6に記載のコリオリ流量計(5)。
【請求項8】
前記外部磁界の存在が、ゼロ流量が、オープンループドライバ信号i
drive2とピックオフ電圧V
LPO2及びV
RPO2との間の測定された非対称性と比較されるときに示され、ここでV
LPO2、及びV
RPO2は、第2の曲げモード周波数におけるピックオフ電圧である、請求項7に記載のコリオリ流量計(5)。
【請求項9】
前記外部磁界の存在が検出されると、外部磁界の影響を相殺するために、干渉補正係数が計算されて測定された流量に適用される、請求項1に記載のコリオリ流量計(5)。
【請求項10】
前記外部磁界の存在が検出されると警報が発せられる、請求項1に記載のコリオリ流量計(5)。
【請求項11】
コリオリ流量計を操作するための方法であって、
前記流量計の流れ導管を通して流動材料を流すステップと、
前記流れ導管に接続されたドライバを駆動して第1の曲げモードで前記流れ導管を振動させるステップと、
前記流れ導管に接続されたピックオフセンサからの信号の受信するステップと、
磁界が検出された場合に外部磁界の存在を示すステップと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記外部磁界の存在が、前記ピックオフセンサのうちの少なくとも一つによって提供される信号において電圧のスパイク及びステップ変化のうちの少なくとも一つが検出されたときに示される、請求項11に記載のコリオリ流量計を操作するための方法。
【請求項13】
前記外部磁界の存在が、ΔTのステップ変化が検出されたときに示される、請求項11に記載のコリオリ流量計を操作するための方法。
【請求項14】
各ピックオフセンサの位相が、前記第1の曲げモード以外の駆動モードを表す駆動信号を含む第3の独立した信号に対して測定される、請求項11に記載のコリオリ流量計を操作するための方法。
【請求項15】
前記外部磁界の存在が、ゼロ流量がオープンループドライバ信号i
drive2と、ピックオフ電圧V
LPO2及びV
RPO2との間の測定された非対称性と比較されるときに示され、ここでV
LPO2及びV
RPO2が、第2の曲げモード周波数におけるピックオフ電圧である、請求項14に記載のコリオリ流量計を操作するための方法。
【請求項16】
前記外部磁界の存在が検出されると、外部磁界の影響を相殺するために、干渉補正係数が計算され測定された流量に適用される、請求項11に記載のコリオリ流量計を操作するための方法。
【請求項17】
前記外部磁界の存在が検出されると警報が発せられる、請求項11に記載のコリオリ流量計を操作するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下に説明する実施形態は振動センサに関し、より詳細には、外部磁界を検出できる流量計及び関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば振動式濃度計やコリオリ流量計などの振動センサは一般に知られており、流量計内の導管を流れる材料に関する質量流量やその他の情報を測定するために使用される。例示的なコリオリ流量計が、米国特許第4,109,524号、米国特許第4,491,025号、及び再発行特許第31,450号に開示されている。これらの流量計は、直線または曲線構成の一つまたは複数の導管を有する、メータアセンブリを有する。コリオリ質量流量計における各導管構成は、例えば、単純な曲げ、ねじり、または結合タイプなどの一連の固有振動モードを有することができる。各導管は、好みのモードで振動するように駆動することができる。流量計を通る流れがないとき、導管に加えられる駆動力は、導管に沿ったすべての点を、同一の位相で、またはゼロ流量で測定される時間遅延である小さな「ゼロオフセット」で振動させる。
【0003】
材料が導管を通って流れ始めると、コリオリ力が、導管に沿った各点に異なる位相を持たせる。例えば、流量計の入口端の位相は、中心に配置されたドライバの位置の位相より遅れ、出口の位相は、中心に配置されたドライバの位置の位相より進む。導管上のピックオフは、導管の動きを表す正弦波信号を生成する。ピックオフから出力された信号は、ΔTとして知られるピックオフ間の時間遅延を決定するために処理される。二つ以上のピックオフ間の時間遅延は、導管を通って流れる材料の質量流量に比例する。
【0004】
ドライバに接続されたメータ電子機器は、ドライバを動作させるため、及びピックオフから受信された信号からプロセス材料の質量流量及び/又は他の特性を決定するために、駆動信号を生成する。ドライバは、多くの周知の構成の一つを備えることができるが、磁石及び対向する駆動コイルは、流量計産業で大きな成功を収めている。交流電流が、所望の導管振幅及び周波数で導管を振動させるために、駆動コイルに流される。また、ピックオフを、このドライバ装置と非常に似た磁石及びコイルの装置として設けることも、当技術分野で知られている。
【0005】
強力な外部磁石がピックオフの近くに配置されると、いくつかの影響が観測される。第1に、ピックオフ電圧が、急激に低下または増加する。第2に、ピックオフ間の位相シフトが、急激に低下または増加する。磁石が取り外されると、センサ電圧及び位相シフトは正常に戻る。必要とされているのは、外部磁界を検出し、流量計の測定値に対するそれらの影響を予測するための装置及び方法である。
【発明の概要】
【0006】
コリオリ流量計が提供される。一実施形態では、コリオリ流量計は、流れ導管と、流れ導管に接続されたドライバ及びピックオフセンサとを備える。メータ電子機器は、ドライバを駆動して第1の曲げモードで流れ導管を振動させ、ピックオフセンサから信号を受け取るように構成されている。メータ電子機器は、磁界が検出された場合に外部磁界の存在を示すように構成されている。
【0007】
コリオリ流量計を操作する方法が提供される。一実施形態によれば、本方法は、流量計の流れ導管を通して流動材料を流すステップと、流れ導管に接続されたドライバを駆動して第1の曲げモードで流れ導管を振動させるステップとを含む。流れ導管に接続されたピックオフセンサからの信号が受信される。磁界が検出された場合に、外部磁界の存在が示される。
【0008】
[態様]
一態様によると、流れ導管と、流れ導管に接続されたドライバ及びピックオフセンサとを備える、コリオリ流量計が提供される。メータ電子機器は、ドライバを駆動して第1の曲げモードで流れ導管を振動させ、ピックオフセンサから信号を受け取るように構成されている。メータ電子機器は、磁界が検出された場合に外部磁界の存在を示すように構成されている。
【0009】
好ましくは、外部磁界の存在は、前記ピックオフセンサのうちの少なくとも一つによって提供される信号において電圧のステップ変化が検出されたときに示される。
【0010】
好ましくは、外部磁界の存在は、前記ピックオフセンサのうちの少なくとも一つによって提供される信号において電圧のスパイクが検出されたときに示される。
【0011】
好ましくは、外部磁界の存在は、ドライバによって供給される信号において電圧のスパイクが検出されたときに示される。
【0012】
好ましくは、外部磁界の存在は、ΔTのステップ変化が検出されたときに示される。
【0013】
好ましくは、各ピックオフセンサの位相は、第3の独立した信号に対して測定される。
【0014】
好ましくは、第3の独立信号は、第1の曲げモード以外の駆動モードを表す駆動信号を含む。
【0015】
好ましくは、外部磁界の存在は、ゼロ流量が、オープンループドライバ信号idrive2とピックオフ電圧VLPO2及びVRPO2との間の測定された非対称性と比較されるときに示され、ここでVLPO2、及びVRPO2は、第2の曲げモード周波数におけるピックオフ電圧である。
【0016】
好ましくは、外部磁界の存在が検出されると、外部磁界の効果を相殺するために干渉補正係数が計算されて測定された流量に適用される。
【0017】
好ましくは、外部磁界の存在が検出されると警報が発せられる。
【0018】
一態様によると、コリオリ流量計を操作させるための方法は、流量計の流れ導管を通して流動材料を流すステップと、流れ導管に接続されたドライバを駆動して第1の曲げモードで流れ導管を振動させるステップとを含む。流れ導管に接続されたピックオフセンサからの信号が受信される。磁界が検出された場合に、外部磁界の存在が示される。
【0019】
好ましくは、外部磁界の存在は、前記ピックオフセンサのうちの少なくとも一つによって提供される信号において、電圧のスパイク及びステップ変化のうちの少なくとも一つが検出されるときに示される。
【0020】
好ましくは、外部磁界の存在は、ΔTのステップ変化が検出されたときに示される。
【0021】
好ましくは、各ピックオフセンサの位相は、第1の曲げモード以外の駆動モードを表す駆動信号を含む第3の独立信号に対して測定される。
【0022】
好ましくは、外部磁界の存在は、ゼロ流量が、オープンループドライバ信号idrive2とピックオフ電圧VLPO2及びVRPO2との間の測定された非対称性と比較されるときに示され、ここでVLPO2及びVRPO2は、第2の曲げモード周波数におけるピックオフ電圧である。
【0023】
好ましくは、外部磁界の存在が検出されると、外部磁界の効果を相殺するために、干渉補正係数が計算され測定された流量に適用される。
【0024】
好ましくは、外部磁界の存在が検出されると警報が発せられる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
すべての図面において、同じ参照番号は同じ要素を表す。
【
図2】
図2は、一実施形態に係るメータ電子機器を示す。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る流量計センサのピックオフ電圧に対する磁界の影響を示す。
【
図4】
図4は、一実施形態に係る流量測定に対する磁界の影響を示す。
【
図5】
図5は、駆動電流とピックオフセンサ電圧との関係を示す図である。
【
図6】
図6は、デュアルU字管コリオリセンサの第1の曲げモードを示す。
【
図7】
図7は、流体の流れの結果としてのデュアルU字管コリオリセンサのねじれモードを示す。
【
図8】
図8は、デュアルU字管コリオリセンサの第2の曲げモードを示す。
【
図9】
図9は、流量計の第2の曲げモードのフェーザ図を示し、特に、流れに伴うV
LP02及びV
RP02の対称シフトを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1-9及び以下の説明は、センサアセンブリ、ブレースバー、ドライバ、及びピックオフセンサの最良の実施形態をどのように作成し使用するかを当業者に教示するための特定の例を示す。本発明の原理を教示する目的で、一部の従来の態様が簡略化又は省略されている。当業者は、本明細書の範囲内に入るこれらの例からの変形を理解するであろう。当業者であれば、以下に説明する特徴を様々な方法で組み合わせて、実施形態の複数の変形を形成できることを理解するであろう。その結果、以下に説明する実施形態は、以下に説明する具体例に限定されるものではなく、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定される。
【0027】
図1は、一実施形態に係る流量計5を示す。流量計5は、センサアセンブリ10及びメータ電子機器20を含む。メータ電子機器20は、リード線100を介してセンサアセンブリ10に接続され、密度、質量流量、体積流量、合計質量流量、温度、または他の測定値うちの一つまたは複数の測定値もしくは情報を通信パス26を通して提供するように構成される。流量計5は、コリオリ質量流量計または他の振動流量計を備えていてもよい。流量計5は、ドライバ、ピックオフセンサ、流れ導管の数、または振動の動作モードによらず、任意の方式の流量計5を含むことができることが、当業者には明らかであろう。
【0028】
センサアセンブリ10は、一対のフランジ101及び101’、マニホールド102及び102’、ドライバ104、ピックオフセンサ105及び105’、並びに流れ導管103A及び103Bを含む。ドライバ104とピックオフセンサ105及び105’とは、流れ導管103A及び103Bに接続されている。
【0029】
フランジ101及び101’は、マニホールド102及び102’に取り付けられている。マニホールド102及び102’は、いくつかの実施形態では、スペーサ106の両端に取り付けることができる。スペーサ106は、マニホールド102と102’との間の間隔を維持する。センサアセンブリ10が、測定されているプロセス流体を運ぶパイプライン(図示せず)に挿入されると、プロセス流体は、フランジ101を通ってセンサアセンブリ10に入り、入口マニホールド102を通過し、そこでプロセス流体の全量が流れ導管103A及び103Bに入るように導かれ、流れ導管103A及び103Bを通って出口マニホールド102’に戻るように流れ、フランジ101’を通ってセンサアセンブリ10から出る。
【0030】
プロセス流体は液体を含むことができる。プロセス流体はガスを含むことができる。プロセス流体は、例えば限定するものではないが、混入ガス及び/または混入固体を含む液体などの、多相流体を含むことができる。流れ導管103A及び103Bは、それぞれ曲げ軸W-W及びW’-W’周りに実質的に同じ質量分布、慣性モーメント及び弾性率を有するように選択され入口マニホールド102及び出口マニホールド102’に適宜取り付けられる。流れ導管103A及び103Bは、マニホールド102及び102’から本質的に平行に外側に延びている。
【0031】
流れ導管103A及び103Bは、それぞれの曲げ軸W及びW’の周りで反対方向に、流量計5のいわゆる第1の位相外れ曲げモードで、ドライバ104によって駆動される。ドライバ104は、流れ導管103Aに取り付けられた磁石及び流れ導管103Bに取り付けられた対向コイルなど、多くのよく知られた構成の一つを備えることができる。交流が対向コイルに流されて、両方の導管に振動が起こる。適切な駆動信号が、メータ電子機器20によってリード線110を介してドライバ104に印加される。他のドライバデバイスが考えられ、本明細書及び特許請求の範囲の範囲内に含まれる。
【0032】
メータ電子機器20は、リード線111及び111’上のセンサ信号をそれぞれ受け取る。メータ電子機器20は、ドライバ104に流れ導管103A、103Bを振動させる駆動信号を、リード線110上に生成する。他のセンサデバイスが考えられ、本明細書及び特許請求の範囲の範囲内に含まれる。
【0033】
メータ電子機器20は、特に、流量を計算するために、ピックオフセンサ105及び105’からの左右の速度信号を処理する。通信パス26は、メータ電子機器20がオペレータまたは他の電子システムとインターフェースすることを可能にする入力及び出力手段を提供する。
図1の説明は、単に流量計の動作の一例として提供されており、本発明の教示を限定することを意図するものではない。いくつかの実施形態では、一つまたは複数のドライバ及びピックオフを有する単一管及び複数管流量計が考えられる。
【0034】
一実施形態に係るメータ電子機器20は、流れ導管103A及び103Bを振動させるように構成される。振動は、ドライバ104によって起こされる。メータ電子機器20はさらに、結果として生じる振動信号をピックオフセンサ105及び105’から受信する。振動信号は、流れ導管103A及び103Bの振動応答を含む。メータ電子機器20は振動応答を処理し、応答周波数及び/又は位相差を決定する。メータ電子機器20は、振動応答を処理し、プロセス流体の質量流量及び/または密度を含む一つまたは複数の流量測定値を決定する。他の振動応答特性及び/または流量測定が考えられ、本明細書及び特許請求の範囲の範囲内に含まれる。
【0035】
一実施形態では、流れ導管103A及び103Bは、図示されるように、実質的にオメガ形状の流れ導管を備える。これに代えて、他の実施形態では、流量計は、実質的に直線の流れ導管、U字形導管、デルタ形導管などを備えることができる。追加の流量計の形状及び/または構成を使用することができ、これらは本明細書及び特許請求の範囲の範囲内に含まれる。
【0036】
図2は、一実施形態に係る流量計5のメータ電子機器20のブロック図である。動作中、流量計5は、質量流量、体積流量、個々の流量成分の質量及び体積流量、並びに、例えば、体積流量及び質量流量の両方を含む総流量の測定値又は平均値のうちの一つ以上を含む、出力可能な様々な測定値を提供する。
【0037】
流量計5は振動応答を生成する。振動応答は、メータ電子機器20によって受信され、処理されて、一つ以上の流体測定値を生成する。値は、モニター、記録、保存、合計、及び/または出力することができる。
【0038】
メータ電子機器20は、インターフェース201、インターフェース201と通信する処理システム203、及び処理システム203と通信する記憶システム204を含む。これらの構成要素は別個のブロックとして示されているが、メータ電子機器20は、統合された構成要素及び/又は別個の構成要素の様々な組合せから構成することができることを理解すべきである。
【0039】
インターフェース201は、流量計5のセンサアセンブリ10と通信するように構成されている。インターフェース201は、リード100(
図1参照)に結合し、例えば、ドライバ104、ピックオフセンサ105及び105’、並びに温度センサ(図示せず)と信号を交換するように構成することができる。インターフェース201は、通信パス26を介して外部装置などと通信するようにさらに構成されてもよい。
【0040】
処理システム203は、任意の種類の処理システムを含むことができる。処理システム203は、流量計5を動作させるために、記憶されたルーチンを読み出して実行するように構成される。記憶システム204は、流量計ルーチン205、磁界検出ルーチン209、及び代替曲げモードルーチン211を含むルーチンを記憶することができる。他の測定/処理ルーチンが考えられ、本明細書及び特許請求の範囲の範囲内に含まれる。記憶システム204は、測定値、受信値、動作値、及び他の情報を記憶することができる。いくつかの実施形態では、記憶システムは、質量流量(m’)221、密度(ρ)225、粘度(μ)223、温度(T)224、駆動ゲイン306、トランスデューサ電圧303、及び当技術分野で知られている任意の他の変数を記憶する。
【0041】
流量計ルーチン205は、流体の定量化値及び流量測定値を生成及び格納することができる。これらの値は、実質的に瞬間的な測定値を含むことができ、又は合計値もしくは累積値を含むこともできる。例えば、流量計ルーチン205は質量流量の測定値を生成し、これらを、例えば、記憶システム204の質量流量221ストレージに格納することができる。流量計ルーチン205は、例えば、密度225の測定値を生成し、これらを密度225ストレージに格納することができる。質量流量221及び密度225の値は、前述のように、及び当技術分野で知られているように、振動応答から決定される。質量流量及び他の測定値は、実質的に瞬間的な値を含むことができ、サンプル値を含むことができ、ある時間間隔にわたる平均値を含むことができ、またはある時間間隔にわたる累積値を含むことができる。時間間隔は、特定の流体状態、例えば、液体のみの流体状態、または代わりに、液体及び混入ガスを含む流体状態が検出される時間のブロックに対応するように、選択することができる。加えて、他の質量流量及び関連する定量化値が考えられ、これらは、本明細書及び特許請求の範囲の範囲内に含まれる。
【0042】
図3を参照すると、メータ電子機器20をモニターすることによって、ピックオフセンサ105及び105’に磁石及びコイルが使用されるとき、電磁源または永久磁石にかかわらず、外部磁界が、センサアセンブリ10の読み取りに影響を及ぼすことが分かる。比較的急峻で対称的なステップ変化が存在することは明らかである。
【0043】
図3において括弧♯1によって示される領域は、流量計の出力に最も近い位置に配置されたピックオフセンサ105’の近くに、磁石が配置されていることを表す。そこに磁石が配置されると、流量計の出力(
図3においてPO
OUTとラベル付けされている)に最も近い位置にあるピックオフセンサ105’によって提供される信号に、電圧の比較的急峻でかつ対称的なステップ変化が検出される。
【0044】
図3において括弧♯2によって示される領域は、流量計の入力に最も近い位置に配置されたピックオフセンサ105の近くに、磁石が配置されていることを表す。そこに磁石が配置されると、流量計の出力(
図3においてPO
OUTとラベル付けされている)に最も近い位置にあるピックオフセンサ105’によって提供される信号に、電圧の比較的急峻でかつ対称的なステップ変化がまた検出される。電圧スパイクがまた、流量計の入力(
図3においてPO
INとラベル付けされている)に最も近い位置にあるピックオフセンサ105によって提供される信号において検出される。また、電圧スパイクは、ドライバ104によって供給される信号にも検出される。
【0045】
図3において括弧♯3によって示される領域は、ドライバ104の近傍に磁石が配置されていることを表す。ドライバ104によって供給される信号に、検出可能で比較的急峻でかつ対称的な電圧のステップ変化が検出されている。
【0046】
図4を参照すると、外部磁石が流量計5のΔT読み取り値に影響を及ぼすことが分かる。ドライバ104が流れ導管103A、103Bを刺激して固有共振周波数で反対方向に振動させると、流れ導管103A、103Bが振動し、各ピックオフセンサ105、105’から生成される電圧が正弦波を生成する。これは、一方の導管のもう一方に対する動きを示している。二つの正弦波間の時間遅延はΔTと呼ばれ、これは質量流量に正比例する。流れ導管103A、103Bのいずれかの位相が影響を受けると、ΔTが変化する。流量によって、一方のピックオフセンサの位相に正の変化が生じ、他方のピックオフセンサの位相に等しい負の変化が生じることになる。
【0047】
図4において括弧♯1によって示される領域は、流量計の出力に最も近い位置に配置されるピックオフセンサ105’の近くに、磁石が配置されていることを表す。磁石がそこに配置されると、ΔTの比較的急峻で対称的な階段状の減少が検出される。
【0048】
図4において括弧♯2によって示される領域は、流量計の入力に最も近い位置に配置されたピックオフセンサ105の近くに、磁石が配置されていることを表す。磁石がそこに配置されると、ΔTの比較的急峻で対称的な階段状の増加が検出される。
【0049】
図4において括弧♯3によって示される領域は、ドライバ104の近傍に磁石が配置されていることを表す。磁石がそこに配置されると、ΔTの比較的急峻で対称的な階段状の減少が検出される。
【0050】
上述のように、流れ導管103A、103Bのいずれかの位相が影響を受けると、ΔTは変化するが、さらに、各ピックオフセンサ105、105’の位相が第3の独立した信号に対して測定される場合、ΔTが質量流量から導かれたものか否かを決定することができる。例えば、駆動電流は、この第3の信号にとって良い選択のように見えるかもしれないが、残念ながら、
図5に示されているように、駆動電流は、二つのピックオフセンサ電圧とは独立ではない。
【0051】
図5は、典型例のメータ電子機器における、駆動電流、ピックオフセンサ105’電圧(V
RPO)、ピックオフセンサ105電圧(V
LPO)、及びΔT間の関係を示す例示的なフェーザ図を示す。この例において、駆動電流は、ピックオフセンサ105の電圧から生成される。破線は、流体の流れとその結果として生じる電圧(V
RPOFlowing)を表す。メータ電子機器20は、スケーリングされた位相変化ΔΦ
RP0とΔTとを区別することができないことは明らかであろう。流体が管を通って流れるとき、駆動電流(i
drive)は、ピックオフセンサ105電圧(V
LPO)から0°位相シフトされたままであり、測定されたΔTは、もっぱらピックオフセンサ105’位相(Φ
RPO)からもたらされている。
【0052】
駆動電流を独立した信号として使用することはできないため、一実施形態では、第3の信号が駆動電流に追加される。一実施形態では、流れ導管103A、103Bの第2の曲げモードである。別の実施形態では、他の周波数/曲げモードが利用されてもよい。
【0053】
図6は、一例として、デュアルU字管コリオリセンサの第1の曲げモードを示す。流動流体は、
図7に示される周波数における第2の曲げモードの非共振応答を励起する、コリオリ力を引き起こす。
図8は、
図7に示されるのと同じ例示的な流体の流れの結果としての、デュアルU字管の第2の曲げモードを示す。
【0054】
追加の駆動信号を加えることにより、センサは第1及び第2の曲げモードの両方を励起することができる。これらの励起信号はVLPOであり、これは第1の曲げモード周波数におけるLPO電圧を表し、VLPO2は第2の曲げモード周波数におけるLPO電圧を表し、以下同様である。
【0055】
これらの二つの信号を独立させるために、一実施形態では、第2の信号idrive2がオープンループ方式で生成される。これは、VLPO2またはVRPO2をスケーリング及び位相シフトすることによって生成されるのではなく、そうでないと通常の駆動センサよりも多くの情報は提供されない。一実施形態では、idrive2は、idriveの周波数及び振幅に対するスケーリング係数を用いて、ただし任意の位相で生成される。これにより、idriveに位相ロックされていない信号が提供される。これらの信号は、代替曲げモードルーチン211によって生成することができる。
【0056】
一実施形態では、idrive2、VLPO2、及びVRPO2は、他のすべての信号から独立している。したがって、idrive2、VLPO2、及びVRPO2の位相差は、すべて測定可能である。したがって、位相変化が対称(流れで予想されるとおり)であるか、または非対称(外部磁石を示す)であるかを確認することができる。
【0057】
一実施形態では、外部磁石の影響が定量化され、補正される。質量流量は、なお第1の曲げモードを使用して計算することができ、一方で第2の曲げモードは、通常動作中の外部磁石のチェックとして簡単に使用できる。
【0058】
ゼロ流量では、i
drive2は、V
LPO2とV
RPO2の両方に対して位相が90°ずれているのが理想である。流量が増加するにつれて、V
LPO2及びV
RPO2の位相は、
図9に示されるように、それぞれ、i
drive2から離れてそれぞれV
LPO2(FLOWING)及びV
RPO2(FLOWING)に対称的にシフトする。
【0059】
したがって、一実施形態では、ピックオフ間の非対称性を計算することができる。一実施形態では、計算には以下の式が採用される。
ΦL,i2=VLPO2とidrive2との間の位相 (1)
ΦR,i2=VRPO2とidrive2との間の位相 (2)
a=非対称性=1-((ΦL,i2)/(ΦR,i2)) (3)
【0060】
この方法論に基づくと、非対称性は、すべての流動及び非流動条件においてゼロとなるはずである。これは、一つのピックオフ信号が他のピックオフ信号と異なる動作をする場合にのみ変化する。これは、磁気的な干渉が存在していることを示す。ゼロ流量と測定された非対称性とを比較することによって、磁気干渉の影響を相殺する干渉補正係数が計算され、測定流量に適用することができる。磁気干渉が検出された場合、一実施形態では、メータ電子機器によってフラグが記録される。一実施形態では、磁気干渉が検出された場合、警報が発せられる。警報は、可聴及び/または可視なものであってもよい。一実施形態では、警報は、サーバ、コンピュータ、電話、メータ電子機器、または他の電子装置などの遠隔装置に配信される通知を含む。
【0061】
上記の実施形態の詳細な説明は、本説明の範囲内にあると本発明者らによって考えられるすべての実施形態の網羅的な説明ではない。実際、当業者であれば、上記の実施形態の特定の要素を様々に組み合わせたり排除したりしてさらなる実施形態を作成することができ、そのようなさらなる実施形態は、本明細書の範囲及び教示に含まれることを認識するであろう。また、当業者には、本明細書の範囲及び教示の範囲内で、上記の実施形態を全体的または部分的に組み合わせて追加の実施形態を作成できることも明らかであろう。
【0062】
したがって、特定の実施形態が例示の目的で本明細書に記載されているが、当業者が認識するように、本明細書の範囲内で様々な等価な修正が可能である。本明細書で提供される教示は、上記で説明され添付の図面に示される実施形態だけではなく、他のセンサ、センサブラケット、及び導管に適用することができる。したがって、上述の実施形態の範囲は、以下の特許請求の範囲から決定されるべきである。
【国際調査報告】