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特表2024-541349ワイヤーボンディングシステム上の超音波特性を較正する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】ワイヤーボンディングシステム上の超音波特性を較正する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
H01L21/60 301D
H01L21/60 301A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527725
(86)(22)【出願日】2022-11-15
(85)【翻訳文提出日】2024-06-27
(86)【国際出願番号】 US2022049991
(87)【国際公開番号】W WO2023091429
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/280,107
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506395943
【氏名又は名称】クリック アンド ソッファ インダストリーズ、インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ブルナー、ジョン、ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】チン、ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】シャー、アーシシ
(72)【発明者】
【氏名】シュ、フイ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、チョン、ホ
【テーマコード(参考)】
5F044
【Fターム(参考)】
5F044AA14
5F044BB01
5F044BB06
5F044BB09
(57)【要約】
【要約】
【解決手段】 ワイヤーボンディングシステム上の超音波特性を較正する方法が提供される。この方法は、(a)ワイヤーボンドを形成するための基準超音波特性を決定する工程と、(b)非粘着性ワイヤーボンド状 態を生じさせる基準非粘着性超音波特性を決定する工程と、(c)較正されるワイヤーボンディングシステム上で、非粘着性ワイヤーボンド状態を生じさせる較正非粘着性超音波特性を決定する工程と、(d)前記基準非粘着性超音波特性および前記較正非粘着性超音波特性を使用して、前記較正されるワイヤーボンディングシステムの較正係数を決定する工程とを含む。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤーボンディングシステム上の超音波特性を較正する方法であって、
(a)ワイヤーボンドを形成するための基準超音波特性を決定する工程と、
(b)非粘着性ワイヤーボンド状態を生じさせる基準非粘着性超音波特性を決定する工程と、
(c)較正されるワイヤーボンディングシステム上で、非粘着性ワイヤーボンド状態を生じさせる較正非粘着性超音波特性を決定する工程と、
(d)前記基準非粘着性超音波特性および前記較正非粘着性超音波特性を使用して、前記較正されるワイヤーボンディングシステムの較正係数を決定する工程と
を有する、方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記工程(a)は、特定用途向けの部材を使用して、基準ワイヤーボンディングシステム上の基準超音波特性を決定する工程を含む、方法。
【請求項3】
請求項2記載の方法において、前記特定用途向けの部材は、ワイヤー、ワイヤーボンディングツール、および被加工物のうちの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、前記工程(a)は、特定用途向けのワイヤーボンディングプログラムを使用して、基準ワイヤーボンディングシステム上の基準超音波特性を決定する工程を含む、方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、前記工程(a)は、特定用途向けのワイヤーボンディングパラメータを使用して、基準ワイヤーボンディングシステム上の基準超音波特性を決定する工程を含む、方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、前記基準超音波特性は、前記ワイヤーボンドを形成するために、ワイヤーボンディングシステム上の超音波トランスデューサに印加されるように構成された電流値である、方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、前記工程(b)は、ワイヤーボンディング動作中に前記非粘着性ワイヤーボンド状態が生じるまで、適用超音波特性を段階的に調整することによって前記基準非粘着性超音波特性を決定する工程を含む、方法。
【請求項8】
請求項7記載の方法において、前記適用超音波特性で試験されたワイヤーボンドのうち所定の割合のワイヤーボンドがそれぞれのボンディング位置に付着しない場合、前記工程(b)における前記非粘着性ワイヤーボンド状態が発生するものである、方法。
【請求項9】
請求項1記載の方法において、前記工程(c)は、ワイヤーボンディング動作中に前記非粘着性ワイヤーボンド状態が生じるまで、適用超音波特性を段階的に調整することによって前記較正非粘着性超音波特性を決定する工程を含む、方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法において、前記適用超音波特性で試験されたワイヤーボンドのうち所定の割合のワイヤーボンドがそれぞれのボンディング位置に付着しない場合、前記工程(c)における前記非粘着性ワイヤーボンド状態が発生するものである、方法。
【請求項11】
請求項1記載の方法において、前記工程(d)は、前記基準非粘着性超音波特性と前記較正非粘着性超音波特性との差を決定する工程を含む、方法。
【請求項12】
請求項1記載の方法において、さらに、
(e)前記較正係数を使用して前記較正されるワイヤーボンディングシステムの超音波特性設定値を決定する工程を有する、方法。
【請求項13】
ワイヤーボンディングシステム上の超音波特性を較正する方法であって、
(a)ワイヤーボンドを形成するための基準超音波特性を決定する工程と、
(b)許容範囲外のワイヤーボンド状態を生じさせる基準許容範囲外超音波特性を決定する工程と、
(c)較正されるワイヤーボンディングシステム上で、許容範囲外のワイヤーボンド状態を生じさせる較正許容範囲外超音波特性を決定する工程と、
(d)前記基準許容範囲外超音波特性および前記較正許容範囲外超音波特性を使用して、前記較正されるワイヤーボンディングシステムの較正係数を決定する工程と
を有する、方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法において、前記工程(a)は、特定用途向けの部材を使用して、基準ワイヤーボンディングシステム上の基準超音波特性を決定する工程を含む、方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法において、前記特定用途向けの部材は、ワイヤーの種類、ワイヤーボンディングツールの種類、および被加工物のうちの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項16】
請求項13記載の方法において、前記工程(a)は、特定用途向けのワイヤーボンディングプログラムを使用して、基準ワイヤーボンディングシステム上の基準超音波特性を決定する工程を含む、方法。
【請求項17】
請求項13記載の方法において、前記工程(a)は、特定用途向けのワイヤーボンディングパラメータを使用して、基準ワイヤーボンディングシステム上の基準超音波特性を決定する工程を含む、方法。
【請求項18】
請求項13記載の方法において、前記基準超音波特性は、前記ワイヤーボンドを形成するために、ワイヤーボンディングシステム上の超音波トランスデューサに印加されるように構成された電流値である、方法。
【請求項19】
請求項13記載の方法において、前記工程(b)は、ワイヤーボンディング動作中に前記許容範囲外のワイヤーボンド状態が生じるまで、適用超音波特性を段階的に調整することによって前記基準許容範囲外超音波特性を決定する工程を含む、方法。
【請求項20】
請求項19記載の方法において、前記適用超音波特性で試験されたワイヤーボンドのうち所定の割合のワイヤーボンドが所定の基準に基づいて許容範囲外である場合、前記工程(b)における前記許容範囲外のワイヤーボンド状態が発生するものである、方法。
【請求項21】
請求項13記載の方法において、前記工程(c)は、ワイヤーボンディング動作中に前記許容範囲外のワイヤーボンド状態が生じるまで、適用超音波特性を段階的に減少させることによって前記較正許容範囲外超音波特性を決定する工程を含む、方法。
【請求項22】
請求項21記載の方法において、前記適用超音波特性で試験されたワイヤーボンドのうち所定の割合のワイヤーボンドが所定の基準に基づいて許容範囲外である場合、前記工程(c)における前記許容範囲外のワイヤーボンド状態が発生するものである、方法。
【請求項23】
請求項13記載の方法において、前記工程(d)は、前記基準許容範囲外超音波特性と前記較正許容範囲外超音波特性との差を決定する工程を含む、方法。
【請求項24】
請求項13記載の方法において、前記許容範囲外のワイヤーボンド状態は、非粘着性ワイヤーボンド状態である、方法。
【請求項25】
請求項13記載の方法において、前記許容範囲外のワイヤーボンド状態は、低剪断強度のワイヤーボンド状態である、方法。
【請求項26】
請求項13記載の方法において、前記許容範囲外のワイヤーボンド状態は、低引張強度のワイヤーボンド状態である、方法。
【請求項27】
請求項13記載の方法において、前記許容範囲外のワイヤーボンド状態は、許容範囲外のレベルのワイヤーボンドの変形である、方法。
【請求項28】
請求項13記載の方法において、さらに、
(e)前記較正係数を使用して前記較正されるワイヤーボンディングシステムの超音波特性設定値を決定する工程を有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年11月16日付で出願した米国特許仮出願第63/280,107号に対して利益を主張するものであり、その内容がこの参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ワイヤーボンディング動作に関し、特に、ワイヤーボンディングシステム上の超音波特性を較正する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体アセンブリにおいて、ワイヤーボンディングは、半導体パッケージ内の電気的相互接続を提供するための工程として引き続き広く使用されている。ワイヤーボンディング処理に関連して様々な処理パラメータが利用されている。例えば、超音波エネルギー(および関連する処理パラメータ)は、ワイヤーを被加工物にボンディングするために頻繁に使用される。
【0004】
ワイヤーボンディング工程は、同じパラメータを使用しても再現できないことが頻繁にある。例えば、所定のワイヤーボンディングシステムは、別のワイヤーボンディングシステムとは異なる場合がある。そのため、所定のワイヤーボンディングシステムで使用した処理パラメータ(例えば、ワイヤーボンディングパラメータ)と同じパラメータを使用した場合に、別のワイヤーボンディングシステムで同じ性能(例えば、同じ品質のワイヤーボンディング)が得られるとは限らない。
【0005】
さらに、同じワイヤーボンディングシステムで同じ処理パラメータ(例えば、ワイヤーボンディングパラメータ)を使用しても、同じ性能が得られるとは限らない。例えば、ワイヤーボンディングシステムに変化が生じた場合(例えば、新しいワイヤーボンディングツール、新しいワイヤースプール、システムの老朽化や状態による変化など)、同じパラメータを使用しても性能(例えば、ワイヤーボンディングの品質など)が変化することがある。
【0006】
したがって、したがって、ワイヤーボンディングシステムの超音波特性を較正する改善された方法を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の例示的な1実施形態によれば、ワイヤーボンディングシステム上の超音波特性を較正する方法が提供される。この方法は、(a)ワイヤーボンドを形成するための基準超音波特性を決定する工程と、(b)非粘着性ワイヤーボンド状態を生じさせる基準非粘着性超音波特性を決定する工程と、(c)較正されるワイヤーボンディングシステム上で、非粘着性ワイヤーボンド状態を生じさせる較正非粘着性超音波特性を決定する工程と、(d)前記基準非粘着性超音波特性および前記較正非粘着性超音波特性を使用して、前記較正されるワイヤーボンディングシステムの較正係数を決定する工程とを含む。
【0008】
本発明の例示的な1実施形態によれば、ワイヤーボンディングシステム上の超音波特性を較正する方法が提供される。この方法は、(a)ワイヤーボンドを形成するための基準超音波特性を決定する工程と、(b)許容範囲外のワイヤーボンド状態を生じさせる基準許容範囲外超音波特性を決定する工程と、(c)較正されるワイヤーボンディングシステム上で、許容範囲外のワイヤーボンド状態を生じさせる較正許容範囲外超音波特性を決定する工程と、(d)前記基準許容範囲外超音波特性および前記較正許容範囲外超音波特性を使用して、前記較正されるワイヤーボンディングシステムの較正係数を決定する工程とを含む。
【0009】
本発明の方法はまた、(例えば、ワイヤーボンディングシステムのインテリジェンスの一部としての)装置、または、コンピュータ可読媒体(例えば、ワイヤーボンディングシステムに関連して使用されるワイヤーボンディングプログラムを含むコンピュータ可読媒体)上のコンピュータプログラム命令として実施することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明は、以下の詳細な説明を添付の図面とともに一読することにより最も良く理解される。一般的な慣行に従い、図面の種々の構成要素は原寸に比例したものではない。むしろ、種々の構成要素の寸法は、明確化のため、任意に拡大または縮小されている。本図には以下の図面が含まれる。
図1A図1A図1Dは、本発明の例示的な実施形態に従った基準超音波特性によるワイヤーボンディング試験を示す一連のブロック図である。
図1B図1A図1Dは、本発明の例示的な実施形態に従った基準超音波特性によるワイヤーボンディング試験を示す一連のブロック図である。
図1C図1A図1Dは、本発明の例示的な実施形態に従った基準超音波特性によるワイヤーボンディング試験を示す一連のブロック図である。
図1D図1A図1Dは、本発明の例示的な実施形態に従った基準超音波特性によるワイヤーボンディング試験を示す一連のブロック図である。
図2A図2A図2Dは、本発明の例示的な実施形態に従った修正超音波特性によるワイヤーボンディング試験を示す一連のブロック図である。
図2B図2A図2Dは、本発明の例示的な実施形態に従った修正超音波特性によるワイヤーボンディング試験を示す一連のブロック図である。
図2C図2A図2Dは、本発明の例示的な実施形態に従った修正超音波特性によるワイヤーボンディング試験を示す一連のブロック図である。
図2D図2A図2Dは、本発明の例示的な実施形態に従った修正超音波特性によるワイヤーボンディング試験を示す一連のブロック図である。
図3A図3A図3Dは、本発明の例示的な実施形態に従った、別の修正超音波特性によるワイヤーボンディング試験を示す一連のブロック図である。
図3B図3A図3Dは、本発明の例示的な実施形態に従った、別の修正超音波特性によるワイヤーボンディング試験を示す一連のブロック図である。
図3C図3A図3Dは、本発明の例示的な実施形態に従った、別の修正超音波特性によるワイヤーボンディング試験を示す一連のブロック図である。
図3D図3A図3Dは、本発明の例示的な実施形態に従った、別の修正超音波特性によるワイヤーボンディング試験を示す一連のブロック図である。
図4図4図5は、本発明のさらに別の例示的な実施形態に従った、ワイヤーボンディングシステムにおける超音波特性を較正する方法を示すフロー図である。
図5図4図5は、本発明のさらに別の例示的な実施形態に従った、ワイヤーボンディングシステムにおける超音波特性を較正する方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書で使用する場合、「超音波特性」という用語は、ワイヤーボンディングシステム(例えば、ワイヤーボンディング装置)上の超音波トランスデューサの超音波出力を調整することを目的とする任意の変数(例えば、変数値、変数の割合など)を指すことを意図している。例えば、このような特性は、電気的特性(例えば、電流、電圧、電力など)であってもよい。具体例において、超音波特性は、ワイヤーボンドを形成するためにワイヤーボンディングシステム上の超音波トランスデューサに印加されるように構成された電流値(または電流の割合)である。
【0012】
当業者であれば理解するように、ワイヤーボンディングシステムで使用される特定の超音波特性(例えば、電流、電力など)は、所定の値(例えば、ミリアンペアまたはmAの特定の値など)、または所定の割合(例えば、基準値の割合などの所定の値の割合)等で表現することができる。このような超音波特性を表現するその他の方法も考えられる。
【0013】
本発明の例示的な態様は、ワイヤーボンディングシステム上の超音波特性を調整するための較正方法に関し、これにより、ワイヤーボンディングシステム(例えば、ワイヤーボンディング装置)の移植性(portability)が提供される。すなわち、装置の移植性に関連する課題(例えば、所定の装置が別の装置と異なる、所定の装置において生産中に条件が変化するなど)を克服するために、ワイヤーボンディングシステム上の機能により、「ボンダー上」での較正(例えば、超音波特性などの1若しくはそれ以上のボンディングパラメータのリアルタイムの調整)が提供される。
【0014】
本発明の態様によれば、複数の超音波特性(例えば、超音波トランスデューサに印加される電流の複数の値および/または割合)で基準応答データが収集され、ワイヤーボンドを形成するための基準超音波特性(例えば、ワイヤーループにおいて所望のボールボンドを形成するために、超音波トランスデューサに印加される電流レベル)が生成される。この基準応答データは、例えば、1若しくはそれ以上のワイヤーボンディングシステムから、または単一の基準ワイヤーボンディングシステムから収集することができる。(例えば、メモリに格納されている)基準応答データを使用して、基準超音波特性が生成される。この基準超音波特性は、「黄金(golden)」値(例えば、ワイヤーボンディングを形成するために、ワイヤーボンディングシステム上の超音波トランスデューサに印加されるように構成された電流設定値などの超音波特性設定値)として(例えば、ワイヤーボンディングシステムに含まれるコンピュータ、ワイヤーボンディングシステムからアクセス可能な外部コンピュータなど)に格納される。特定の例では、基準超音波特性は、特定の用途向けのボンディングプログラムに格納されてもよい。基準超音波特性が決定された後、基準許容範囲外超音波特性(reference unacceptable ultrasonic characteristic)および較正許容範囲外超音波特性(calibration unacceptable ultrasonic characteristic)が決定される。
【0015】
例えば、基準許容範囲外超音波特性が決定される。ここで、基準許容範囲外超音波特性とは、許容範囲外のワイヤーボンド状態(例えば、非粘着性ワイヤーボンド状態(a non-stick wire bond condition)、低剪断強度のワイヤーボンド状態(a low shear strength wire bond condition)、低引張強度のワイヤーボンド状態(a low pull strength wire bond condition)、および許容範囲外のレベルのワイヤーボンドの変形)を生じさせる特性である。例えば、このような基準許容範囲外超音波特性を決定するために、ワイヤーボンディング動作中に、適用される超音波特性(例えば、基準超音波特性またはその他の値から開始される超音波特性)は、許容範囲外のワイヤーボンド状態が生じるまで段階的に調整(例えば、減少、増加、減少および増加の双方)され、次に、許容範囲外の状態が生じた際に基準許容範囲外超音波特性が決定される。例えば、段階的調整値は、超音波特性(例えば、超音波電流レベル)の値および/または割合であってもよい。基準許容範囲外超音波特性は、基準超音波特性とともにコンピュータ(例えば、特定の用途向けのボンディングプログラムの一部として、ワイヤーボンディングシステムのローカルコンピュータ、ワイヤーボンディングシステムによってアクセス可能なリモートコンピュータになど)に格納されてもよい。
【0016】
次に、例えば、較正は、較正されるワイヤーボンディングシステムための設定値(例えば、別のワイヤーボンディングシステムで使用されている超音波特性の値など)を決定する工程に進む。第1に、較正されるワイヤーボンディングシステムにおいて、較正許容範囲外超音波特性が決定される。この較正許容範囲外超音波特性により、許容範囲外のワイヤーボンディングの状態が生じる。較正許容範囲外超音波特性を決定するために、許容範囲外のボンディング状態が発生するまで、超音波特性(例えば、基準超音波特性またはその他の値から開始される超音波特性)が、追加のワイヤーボンドに対して(例えば、5%増加、5%減少、1単位増加など)段階的に調整される。許容範囲外のボンディング状態が発生した場合、対応する超音波特性は較正許容範囲外超音波特性であると認識される。第2に、基準許容範囲外超音波特性および較正許容範囲外超音波特性を使用して、較正されるワイヤーボンディングシステムの較正係数が決定される。較正係数は、基準許容範囲外超音波特性と較正許容範囲外超音波特性との差を求めることによって決定することができる
次に、較正係数を使用して較正されるワイヤーボンディングシステムのための新しい設定値が計算される。例えば、較正係数は、基準超音波特性に(例えば、乗数として)適用することができる。
【0017】
この新しい設定値は、較正されるワイヤーボンディングシステムに適用される実際の超音波特性とみなすことができる。但し、較正されるワイヤーボンディングシステム上で超音波特性を較正する工程は、新たなワイヤーボンディングの適用時、および/または特定のトリガーに続いて繰り返されてもよい。すなわち、トリガーの発生時にワイヤーボンディングシステム上で較正が行われてもよい。トリガーの例は、ワイヤーボンディングシステムの起動時(例えば、処理プログラムが装置に最初にロードされたとき)、ワイヤーボンディングシステム上のワイヤースプールの交換時、ワイヤーボンディングシステム上のワイヤーボンディングツールの交換時、操作者の要求時、所定期間の経過時、ワイヤーボンディングシステム上の所定数のワイヤーボンディングの経過時、等を含む。
【0018】
所定のトリガーが発生した際に、当該ワイヤーボンディングシステムおよび/または当該ワイヤーボンディングシステム上で特定の用途向けの設定値を決定するために較正が実行される。
【0019】
次に一例を説明する。ユーザーは、特定のワイヤーボンディング用途があると仮定する。この用途は特定の要件を有する。例えば、特定のワイヤー、特定のワイヤーボンディングツール、特定の被加工物、特定のワイヤーボンディングプログラム、特定のワイヤーボンディングパラメータセットなどである。このような用途固有の要件を使用することにより、(例えば、トランスデューサに印加される電流値、トランスデューサに印加される電圧値、トランスデューサに印加される電力値などの)所望の超音波特性が決定される。ここで、所望の超音波特性(例えば、基準超音波特性、UCREF)は、100mAの電流であると仮定する。
【0020】
図1A図1D図2A図2D、および図3A図3Dの各々は、許容範囲外のワイヤーボンド状態が生じるまで、適用される超音波特性が段階的に調整される(例えば、減少される)一連の試験を表す。適用される超音波特性は、基準超音波特性の増分であってもよい。本実施例では、基準超音波特性は100mAの電流である。図1A図1Dでは、基準超音波特性は、所望のワイヤーボンドを実現するために適用される。図2A図2Dでは、基準超音波特性の増分が適用され、適格なワイヤーボンドが得られる。図3A図3Dでは、基準超音波特性の別の増分が適用され、許容範囲外のワイヤーボンド(例えば、非粘着性ワイヤーボンド状態)が生じる。本実施例は、3つの試験点(すなわち、図1A図1D図2A図2D、および図3A図3D)のみを有する単純な例であるが、当然ながら、(基準超音波特性の多くの異なる増分による)より多くの試験点を利用することができる。
【0021】
図1A図1D図2A図2D、および図3A図3Dに示すように、)適用される超音波特性を段階的に調整する工程は、(i)基準非粘着性超音波特性(reference non-stick ultrasonic characteristic)、および/または(ii)較正許容範囲外超音波特性を決定するために使用することができる。基準非粘着性超音波特性は、基準ワイヤーボンディングシステム(または複数のワイヤーボンディングシステム)上で決定されてもよい。このような基準ワイヤーボンディングシステムは、基準ワイヤーボンディングシステム100として図1A図1D図2A図2D、および図3A図3Dに示されている。較正許容範囲外超音波特性は、較正されるワイヤーボンディングシステム(本明細書では、「実際の」、「所与の」または「対象」ワイヤーボンディングシステムという場合もある)上で決定される。このような較正対象のワイヤーボンディングシステムは、図1A図1D図2A図2D、および図3A図3Dに、基準ワイヤーボンディングシステム100'として示す。
【0022】
図1A図1Dは、基準超音波特性(例えば、設定値100mA)を使用したフリーエアボールボンディングを示す。図1Aは、支持構造102と、ボンドヘッドアセンブリ110とを含む基準ワイヤーボンディングシステム100を示す。支持構造102は、基板104bに取り付けられたダイ104aを含む被加工物104を支持する。ダイ104aは、第1のボンディング位置104a1を含む。ボンドヘッドアセンブリ110は、ワイヤーボンディングツール108を保持するトランスデューサ110aを含む。ワイヤーボンディングツール108は加工端部108aを含む。ワイヤー106は、ワイヤーボンディングツール108に挿通され、加工端部108aにおいてフリーエアボール106aを含む。トランスデューサ110aは、データを格納し、トランスデューサ110aの運動(および動作)を制御するように構成されたコンピュータ112に電気的に接続されている。
【0023】
コンピュータ112は、検出システム114に電気的に接続されており、この検出システムは、ワイヤーのボンディング部分がそれぞれのボンディング位置(例えば、ボンドパッド、リード、接触子、トレースなど)に適切に取り付けられているかどうかを検出することができる。例えば、Kulicke and Soffa Industries,Inc.社によって販売されているワイヤーボンディング装置では、適切なワイヤーボンドが形成されたことを確認するために、このような検出システムに関連して「BITS(Bond Integrity Test System)」工程(すなわち、ボンド完全性試験システム)が頻繁に利用されている。上記工程の例示的な詳細は、国際公開第2009/002345号に開示されており、その全体がこの参照により本明細書に組み込まれる。検出システム114は、電気的導通検査を行うことにより、ワイヤーのボンディング部分がボンディング位置に適切に取り付けられているかどうかを検出することができる。しかしながら、(例えば、ワイヤーの一部がボンディング位置に適切に取り付けられているかどうかを検出するための光学検査システムなど)その他のタイプの検出システムが利用可能であることが理解される。
【0024】
図1Bは、ワイヤーボンディングシステム100におけるボンディング工程の開始時を示す。図1Bにおいて、ボンドヘッドアセンブリ110は、フリーエアボール106aがダイ104aの第1のボンディング位置104a1に接触するまで下方に移動している。図1Cにおいて、フリーエアボール106aは、基準超音波特性(例えば、100mA)を使用して第1のボンディング位置104a1に超音波ボンディングされ、ボンディングされたボール106a'となっている。図1Dにおいて、ボンドヘッドアセンブリ110は、ボンディングされたボール106a'から離れる方向に移動している。検出システム114は、ボンディングされたボール106a'が第1のボンディング位置104a1に適切にボンディングされていることを確認(例えば、非粘着性ワイヤーボンド状態が存在するかどうかを決定、低剪断強度のワイヤーボンド状態が存在するかどうかを決定、低引張強度のワイヤーボンド状態が存在するかどうかを決定、および/または許容範囲外のレベルのワイヤーボンドの変形が存在するかどうかを決定)するために使用される。図1Dでは、基準超音波特性を使用して、所望のボールボンドが形成されている。
【0025】
上述したように、図2A図2D、および図3A図3Dは、基準超音波特性の複数の調整レベル(例えば、増分)(例えば、1%の段階的な減少、5%の段階的な減少、1%の段階的な増加、5%の段階的な増加など)でボンディング工程を繰り返すことを表す。すなわち、許容範囲外のワイヤーボンド状態が形成されるまで、(例えば、所定値および/または割合だけ減少、所定値および/または割合だけ増加など)超音波特性が反復的に調整される。図2A図2Dに示す実施例では、図2Dにおいて、基準超音波特性の1つの調整レベルで許容範囲内のボールボンドが形成されている。
【0026】
この工程は、許容範囲外のワイヤーボンド状態が発生するまで繰り返される。図3A図3Dは、そのような許容範囲外のワイヤーボンド状態(例えば、非粘着性ワイヤーボンド状態の存在)の発生を示す。基準ワイヤーボンディングシステム100において、この状態が20%の減少で発生すると仮定する(すなわち、80mAの電流を印加することで許容範囲外のワイヤーボンド状態に達する)。しかしながら、基準許容範囲外超音波特性は、別の方法で表現されてもよい。例えば、基準許容範囲外超音波特性は、基準超音波特性に対する割合(すなわち、0.8UCREF)として表すことができる。
【0027】
較正されるワイヤーボンディングシステム(例えば、ワイヤーボンディングシステム100')上で、この許容範囲外のワイヤーボンド状態が25%の減少で発生すると仮定する(すなわち、75mAの電流を印加することで許容範囲外のワイヤーボンド状態に達する)。このように、較正許容範囲外超音波特性は、超音波特性(例えば、75mA)の値として表すことができる。しかしながら、較正許容範囲外超音波特性は、別の方法で表現されてもよい。例えば、較正許容範囲外超音波特性は、基準超音波特性に対する割合(すなわち、0.75UCREF)として表すことができる。
【0028】
これらの工程は、正確な基準許容範囲外超音波特性および/または正確な較正許容範囲外超音波特性を決定するために、複数のサイクルに亘って繰り返される場合があることが理解される。すなわち、基準許容範囲外超音波特性および/または較正許容範囲外超音波特性が決定される前に、較正時に一定の割合の許容範囲外のワイヤーボンド状態が発生する可能性がある(例えば、所与の調整された超音波特性において、一定の割合の許容範囲外のワイヤーボンド状態が発生するなど)。
【0029】
例えば、較正許容範囲外超音波特性を決定する際には、許容範囲外の結果を決定する前に、反復工程が実行され、当該工程では、一定の割合で許容範囲外のワイヤーボンド状態が発生する必要がある。例えば、適用される超音波特性の各値で20のワイヤーボンドが検査されると仮定する。この場合、許容範囲外の結果を決定する前に、3つの許容範囲外のワイヤーボンド状態(20中、3つ)が必要になる場合がある。当然ながら、これは単なる例である。許容範囲外の結果が75mAの電流レベルで発生したと仮定する。
【0030】
基準許容範囲外超音波特性および較正許容範囲外超音波特性が決定された後、較正係数が決定される。この較正係数は、較正されるワイヤーボンディングシステムの超音波特性設定値を決定するために使用される。較正係数は、基準許容範囲外超音波特性と較正許容範囲外超音波特性との差と考えることができる。較正係数は割合として提供されてもよい。上記の実施例では、基準許容範囲外超音波特性は、0.8UCREF、また、較正許容範囲外超音波特性は、0.75UCREFと考えることができる。この場合、較正係数は5%(0.05UCREF)である。
【0031】
較正されるワイヤーボンディングシステムの超音波特性設定値を決定するために、較正係数を使用することができる。上記の実施例では、基準超音波特性は100mAの電流である。較正されるワイヤーボンディングシステムにおいて、較正係数が5%である場合、当該ワイヤーボンディングシステムの超音波特性設定値は、基準超音波特性を5%減少させることによって決定することができる。したがって、超音波特性設定値は95mAと考えることができる。
【0032】
図4~5は、ワイヤーボンディングシステム上で超音波特性を較正する方法を示すフロー図である。当業者であれば理解するように、フロー図に含まれる特定の工程は省略されてもよく、また、特定の追加工程が追加されてもよく、さらに、工程の順序は図示する順序から変更されてもよく、これらはすべて本発明の範囲内である。
【0033】
図4を参照すると、工程400において、ワイヤーボンドを形成するための基準超音波特性(例えば、ワイヤーボンディングシステム上の超音波トランスデューサに印加されるように構成された電流値)が決定される。例えば、工程400は、特定用途向けの部材を使用して、基準ワイヤーボンディングシステム(または複数の基準ワイヤーボンディングシステム)上で基準超音波特性を決定する工程を含むことができる。特定用途向けの部材の例には、(i)ワイヤー、(ii)ワイヤーボンディングツール、および(iii)被加工物のうちの少なくとも1つが含まれる。例えば、工程400は、特定用途向けのワイヤーボンディングプログラムを使用して、基準ワイヤーボンディングシステム(複数可)上で基準超音波特性を決定する工程を含むことができる。例えば、工程400は、特定用途向けのワイヤーボンディングパラメータを使用して、基準ワイヤーボンディングシステム(複数可)上で基準超音波特性を決定する工程を含むことができる。
【0034】
工程402において、非粘着性ワイヤーボンド状態を生じさせる基準非粘着性超音波特性が(例えば、基準ワイヤーボンディングシステム上で)決定される。例えば、工程402は、ワイヤーボンディング動作中に非粘着性ワイヤーボンド状態が生じるまで、適用する超音波特性を段階的に調整(例えば、減少)することによって、基準非粘着性超音波特性を決定する工程を含む。基準非粘着性超音波特性は、非粘着性ワイヤーボンド状態を生じさせる適用超音波特性であると考えることができる。例えば、工程402に関して、前記適用超音波特性で試験されたワイヤーボンドのうち所定の割合のワイヤーボンドがそれぞれのボンディング位置に付着しない場合、非粘着性ワイヤーボンド状態が発生している可能性がある。図2A図2D、および図3A図3Dは、許容範囲内のワイヤーボンド(図2D)、および非粘着性ワイヤーボンド(図3D)を生じさせる段階的な調整を示す。基準非粘着性超音波特性は、例えば、(非粘着性ワイヤーボンドの発生を示す)図3Dに対応する基準超音波特性の値(または割合)を使用して決定することができる。
【0035】
工程404において、較正されるワイヤーボンディングシステムの較正非粘着性超音波特性(calibration non-stick ultrasonic characteristic)が決定される。較正非粘着性超音波特性は、非粘着性ワイヤーボンド状態を生じさせる。例えば、工程404は、ワイヤーボンディング動作中に非粘着性ワイヤーボンド状態が生じるまで、適用する超音波特性を段階的に調整することによって、較正非粘着性超音波特性を決定する工程を含む。較正非粘着性超音波特性は、非粘着性ワイヤーボンド状態を生じさせる適用超音波特性であると考えることができる。例えば、工程404に関して、前記適用超音波特性で試験されたワイヤーボンドのうち所定の割合ワイヤーボンドがそれぞれのボンディング位置に付着しない場合、非粘着性ワイヤーボンド状態が発生している可能性がある。上述したように、図2A図2D、および図3A図3Dは、許容範囲内のワイヤーボンド(図2D)、および非粘着性ワイヤーボンド(図3D)を生じさせる段階的な調整を示す。較正非粘着性超音波特性は、例えば、(非粘着性ワイヤーボンドの発生を示す)図3Dに対応する基準超音波特性の値(または割合)を使用して決定することができる。
【0036】
工程406において、基準非粘着性超音波特性および較正非粘着性超音波特性を使用して、較正されるワイヤーボンディングシステムの較正係数が決定される。例えば、工程406は、基準非粘着性超音波特性と較正非粘着性超音波特性との差を決定する工程を含むことができる。
【0037】
図5を参照すると、工程500において、ワイヤーボンドを形成するための基準超音波特性(例えば、ワイヤーボンディングシステム上の超音波トランスデューサに印加されるように構成された電流値)が決定される。例えば、工程500は、特定用途向けの部材を使用して、基準ワイヤーボンディングシステム(または複数の基準ワイヤーボンディングシステム)上で基準超音波特性を決定する工程を含むことができる。特定用途向けの部材の例には、(i)ワイヤー、(ii)ワイヤーボンディングツール、および(iii)被加工物のうちの少なくとも1つが含まれる。例えば、工程400は、特定用途向けのワイヤーボンディングプログラムを使用して、基準ワイヤーボンディングシステム(複数可)上で基準超音波特性を決定する工程を含むことができる。例えば、工程500は、特定用途向けのワイヤーボンディングパラメータを使用して、基準ワイヤーボンディングシステム(複数可)上で基準超音波特性を決定する工程を含むことができる。例えば、工程500は、特定用途向けのワイヤーボンディングパラメータを使用して、基準ワイヤーボンディングシステム(複数可)上で基準超音波特性を決定する工程を含むことができる。
【0038】
工程502において、許容範囲外のワイヤーボンド状態を生じさせる基準許容範囲外超音波特性が(例えば、基準ワイヤーボンディングシステム上で)決定される。許容範囲外のワイヤーボンド状態の例には、(i)非粘着性ワイヤーボンド状態、(ii)低剪断強度のワイヤーボンド状態、(iii)低引張強度のワイヤーボンド状態、および(iv)許容範囲外のレベルのワイヤーボンドの変形のうちの1若しくは以上が含まれる。例えば、工程502は、ワイヤーボンディング動作中に許容範囲外のワイヤーボンド状態が生じるまで、適用する超音波特性を段階的に調整(例えば、減少)することによって、基準許容範囲外超音波特性を決定する工程を含む。基準非粘着性超音波特性は、許容範囲外のワイヤーボンド状態を生じさせる適用超音波特性であると考えることができる。例えば、工程502に関して、前記適用超音波特性で試験されたワイヤーボンドのうち所定の割合のワイヤーボンドが所定の基準に基づいて許容範囲外である場合、許容範囲外のワイヤーボンド状態が発生している可能性がある。図2A図2D、および図3A図3Dは、許容範囲内のワイヤーボンド(図2D)、および許容範囲外のワイヤーボンド(図3D)を生じさせる段階的な調整を示す。基準許容範囲外超音波特性は、例えば、(許容範囲外のワイヤーボンドの発生を示す)図3Dに対応する基準超音波特性の値(または割合)を使用して決定することができる。
【0039】
工程504において、較正されるワイヤーボンディングシステムの較正許容範囲外超音波特性が決定される。較正許容範囲外超音波特性は、許容範囲外のワイヤーボンド状態を生じさせる。例えば、工程504は、ワイヤーボンディング動作中に許容範囲外のワイヤーボンド状態が生じるまで、適用する超音波特性を段階的に調整(例えば、減少、増加、減少および増加)することによって、較正許容範囲外超音波特性を決定する工程を含む。較正許容範囲外超音波特性は、許容範囲外のワイヤーボンド状態を生じさせる適用超音波特性であると考えることができる。例えば、工程504に関して、前記適用超音波特性で試験されたワイヤーボンドのうち所定の割合のワイヤーボンドが所定の基準に基づいて許容範囲外である場合、許容範囲外のワイヤーボンド状態が発生している可能性がある。上述したように、図2A図2D、および図3A図3Dは、許容範囲内のワイヤーボンド(図2D)、および許容範囲外のワイヤーボンド(図3D)を生じさせる段階的な調整を示す。較正許容範囲外超音波特性は、例えば、(許容範囲外のワイヤーボンドの発生を示す)図3Dに対応する基準超音波特性の値(または割合)を使用して決定することができる。
【0040】
工程506において、基準許容範囲外超音波特性および較正許容範囲外超音波特性を使用して、較正されるワイヤーボンディングシステムの較正係数が決定される。例えば、工程506は、基準許容範囲外超音波特性と較正許容範囲外超音波特性との差を決定する工程を含むことができる。
【0041】
図4および図5の方法は、較正係数を使用して較正されるワイヤーボンディングシステムの超音波特性設定値を決定する工程、および超音波特性設定値を使用してワイヤーボンド(例えば、ワイヤーループの第1のボンド、バンプ、垂直ワイヤーのボールボンドなど)を形成する工程などの追加工程を含むようにさらに拡張することができる。
【0042】
本明細書に記載した較正により、ボンダー外部の計測装置を使用することなく、装置間の移植性の問題、および材料のばらつき(例えば、ワイヤー、ワイヤボンディングツールー、被加工物保持部、被加工物のばらつき)の問題が解決される。このような新規の較正は、ワイヤーボンディング用途で使用される、(例えば、キャピラリーなどの)特定のワイヤーボンディングツール、ワイヤー、被加工物保持部、(例えば、ダイ、基板などの)被加工物を考慮して使用することができる。
【0043】
本発明について、主にワイヤーループの第1のボンド(例えば、ボールボンド)に関連して図示および説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の教示は、ワイヤーループの第2のボンド、ステッチボンド、ボンディングボール、バンプ、垂直ワイヤーのボールボンドなどを含む、ワイヤーの任意のボンディング部分に適用することができる。
【0044】
本発明を本明細書において特定の実施形態と関連して図示および説明したが、本発明は示された詳細に限定されることを意図するものではない。むしろ、特許請求の範囲および均等物の範囲内で、本発明から逸脱することなく、詳細において種々の変更が可能である。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
【国際調査報告】