IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オムニシーク, インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-541350がん精巣抗原負荷を分析及び利用するための方法及びシステム
<>
  • 特表-がん精巣抗原負荷を分析及び利用するための方法及びシステム 図1
  • 特表-がん精巣抗原負荷を分析及び利用するための方法及びシステム 図2
  • 特表-がん精巣抗原負荷を分析及び利用するための方法及びシステム 図3
  • 特表-がん精巣抗原負荷を分析及び利用するための方法及びシステム 図4
  • 特表-がん精巣抗原負荷を分析及び利用するための方法及びシステム 図5
  • 特表-がん精巣抗原負荷を分析及び利用するための方法及びシステム 図6
  • 特表-がん精巣抗原負荷を分析及び利用するための方法及びシステム 図7
  • 特表-がん精巣抗原負荷を分析及び利用するための方法及びシステム 図8
  • 特表-がん精巣抗原負荷を分析及び利用するための方法及びシステム 図9
  • 特表-がん精巣抗原負荷を分析及び利用するための方法及びシステム 図10
  • 特表-がん精巣抗原負荷を分析及び利用するための方法及びシステム 図11
  • 特表-がん精巣抗原負荷を分析及び利用するための方法及びシステム 図12
  • 特表-がん精巣抗原負荷を分析及び利用するための方法及びシステム 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】がん精巣抗原負荷を分析及び利用するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6869 20180101AFI20241031BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
C12Q1/6869 Z
A61K39/395 U
A61P35/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527746
(86)(22)【出願日】2022-11-14
(85)【翻訳文提出日】2024-05-10
(86)【国際出願番号】 US2022049867
(87)【国際公開番号】W WO2023086652
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】63/263,913
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524176720
【氏名又は名称】オムニシーク, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】パブラ, サラブジョット
(72)【発明者】
【氏名】シーガー, ロバート ジョン ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ローイ, エリック
(72)【発明者】
【氏名】ガオ, シュアン
(72)【発明者】
【氏名】コンロイ, ジェフリー エム.
【テーマコード(参考)】
4B063
4C085
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA05
4B063QA13
4B063QA19
4B063QQ02
4B063QQ52
4B063QR68
4B063QS10
4B063QS14
4B063QS39
4C085AA14
4C085BB11
4C085CC23
(57)【要約】
本開示は、がん精巣抗原負荷(「CTAB」)を特徴付けるため、CTAB分析を使用してがん生存アウトカムを予測するため、並びにCTAB分析を使用してがんを推奨及び/又は治療するための方法及びシステムに関する。特に、態様は、腫瘍を形成する組織におけるがん精巣抗原(CTA)遺伝子マーカのパネルの発現を測定することと、CTA遺伝子マーカの測定された発現に基づいて、CTABを判定することと、判定されたCTABに基づいて、免疫チェックポイント遮断療法に対する腫瘍の応答を予測することであって、判定されたCTABが、CTABが≧171であるときに、免疫チェックポイント遮断療法に対する腫瘍の予測された好ましい応答に関連付けられる、予測することと、免疫チェックポイント遮断療法に対する腫瘍の予測された応答に基づいて、腫瘍の免疫チェックポイント遮断療法を判定することと、判定された免疫チェックポイント遮断療法を患者に施すことと、を対象とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫チェックポイント遮断療法に対する患者の腫瘍の応答を特徴付けるための方法であって、
(a)前記腫瘍から組織を得るステップと、
(b)前記組織におけるがん精巣抗原(CTA)遺伝子マーカのパネルの発現を測定するステップと、
(c)前記CTA遺伝子マーカの前記測定された発現に基づいて、がん精巣抗原負荷(CTAB)を判定するステップと、
(d)前記判定されたCTABに基づいて、免疫チェックポイント遮断療法に対する前記腫瘍の応答を予測するステップであって、
前記判定されたCTABが、前記CTABが≧171であるときに、免疫チェックポイント遮断療法に対する前記腫瘍の予測される好ましい応答に関連付けられる、予測するステップと、
(e)免疫チェックポイント遮断療法に対する前記腫瘍の前記予測される応答に基づいて、前記腫瘍に対する免疫チェックポイント遮断療法を判定するステップと、
(f)前記判定された免疫チェックポイント遮断療法を前記患者に施すステップと、を含む、方法。
【請求項2】
がん精巣抗原(CTA)遺伝子のパネルを使用して、腫瘍のがん精巣抗原負荷(CTAB)を特徴付けるための診断試験であって、
(a)前記腫瘍から組織を得るステップと、
(b)前記組織における前記CTA遺伝子マーカのパネルの発現を測定するステップと、
(c)CTA遺伝子マーカの前記測定された発現に基づいて、前記CTABを判定するステップと、
(d)前記腫瘍を、CTABが≧171であるときに高CTABとして、CTABが<170であるときに低CTABとして特徴付けるステップと、
(e)前記腫瘍が高CTABであるときの免疫チェックポイント遮断療法に対する前記腫瘍の好ましい応答、及び前記腫瘍が低CTABであるときの免疫チェックポイント遮断療法に対する前記腫瘍のあまり好ましくない応答を予測するステップと、を含む、診断試験。
【請求項3】
前記CTA遺伝子マーカの前記発現が、RNA-seqによって測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記腫瘍が、非小細胞肺がん(NSCLC)である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記CTA遺伝子マーカのパネルが、
XAGE1B、SSX2、MLANA、MAGEC2、MAGEA12、MAGEA10、MAGEA4、MAGEA3、MAGEA1、GAGE13、GAGE12J、GAGE10、GAGE2C、CTAG2、CTAG1B、及びBAGEを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記免疫チェックポイント遮断療法が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、イピリムマブ、アテゾリズマブ、及びデュルバルマブのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
システムであって、
1つ以上のデータプロセッサと、
命令を格納する非一時的コンピュータ可読媒体と、を備え、前記命令が、前記1つ以上のデータプロセッサ上で実行されると、前記1つ以上のデータプロセッサに、
(a)腫瘍を形成する組織におけるがん精巣抗原(CTA)遺伝子マーカのパネルの発現を測定することと、
(b)前記CTA遺伝子マーカの前記測定された発現に基づいて、がん精巣抗原負荷(CTAB)を判定することと、
(c)前記判定されたCTABに基づいて、免疫チェックポイント遮断療法に対する前記腫瘍の応答を予測することであって、前記判定されたCTABが、CTABが≧171であるときに、免疫チェックポイント遮断療法に対する前記腫瘍の予測される好ましい応答と関連付けられる、予測することと、
(d)免疫チェックポイント遮断療法に対する前記腫瘍の前記予測される応答に基づいて、前記腫瘍に対する免疫チェックポイント遮断療法を判定することと、を実行させる、システム。
【請求項8】
前記CTA遺伝子マーカの前記発現が、RNA-seqによって測定される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記腫瘍が、非小細胞肺がん(NSCLC)である、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記CTA遺伝子マーカのパネルが、
XAGE1B、SSX2、MLANA、MAGEC2、MAGEA12、MAGEA10、MAGEA4、MAGEA3、MAGEA1、GAGE13、GAGE12J、GAGE10、GAGE2C、CTAG2、CTAG1B、及びBAGEを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記免疫チェックポイント遮断療法が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、イピリムマブ、アテゾリズマブ、及びデュルバルマブのうちの1つ以上を含む、請求項7に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、がん精巣抗原負荷(「CTAB」)を特徴付けるため、CTAB分析を使用してがん生存アウトカムを予測するため、並びにCTAB分析を使用してがんを推奨及び/又は治療するための方法及びシステムを対象とする。
【背景技術】
【0002】
がん精巣抗原(CTA)は、正常な遺伝子調節下で高度に組織制限された発現を有し、ほぼ男性生殖細胞においてのみ発現する。悪性腫瘍などの正常な遺伝子調節が中断されると、CTAは、多様な体細胞組織において発現され得る。がん細胞中で発現されるとき、CTAは、高度に免疫原性であり、多様な悪性腫瘍においてがん特異的免疫応答を誘発する能力を有する。その結果として、CTAは、天然T細胞応答、免疫細胞ベースの療法、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)又は免疫チェックポイント遮断(ICB)、及びがんワクチンの主要標的となっている。
【0003】
ICIは、乳房がん、大腸がん、及び非小細胞肺がん(NSCLC)などの肺がんを含む、様々ながんにおける有効な治療法として出現している。NSCLCは、脳転移の約50%を占めている。単剤ICI又は化学療法と組み合わせた臨床的有用性は、十分に確立されているが、ICIベースの免疫療法は、患者1人当たり100,00~250,000米ドルの費用がかかると推定されている。その結果として、ICI治療に対する患者の応答をより良好に予測することができるバイオマーカの開発の必要性が満たされていないままである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、ICI治療に対する患者の応答を特徴付けるための方法に関する。多くの腫瘍タイプにおいて複数のCTA遺伝子の共発現が生じ、標的化RNA-seqアプローチを使用して確実に検出することができる。がん精巣抗原負荷(CTAB)を計算するためのこの共発現パターンの利用は、小さいNSCLCコホートにおいて全生存(OS)と関連する腫瘍タイプシグネチャを明らかにする。これらの免疫原性抗原は、腫瘍細胞を天然又は免疫療法増強細胞ベースの免疫応答に曝露し、それ故、CTABは、ICIに対する治療応答の予測マーカである。
【0005】
様々な実施形態において、免疫チェックポイント遮断療法に対する患者の腫瘍の応答を特徴付けるための方法が提供される。この方法は、(a)腫瘍から組織を得ることと、(b)組織におけるがん精巣抗原(CTA)遺伝子マーカのパネルの発現を測定することと、(c)CTA遺伝子マーカの測定された発現に基づいて、がん精巣抗原負荷(CTAB)を判定することと、(d)判定されたCTABに基づいて、免疫チェックポイント遮断療法に対する腫瘍の応答を予測するステップであって、判定されたCTABが、CTABが≧171であるときに、免疫チェックポイント遮断療法に対する腫瘍の予測される好ましい応答に関連付けられる、予測することと、(e)免疫チェックポイント遮断療法に対する腫瘍の予測される応答に基づいて、腫瘍に対する免疫チェックポイント遮断療法を判定することと、(f)判定された免疫チェックポイント遮断療法を患者に施すことと、を含む。
【0006】
様々な実施形態では、CTA遺伝子のパネルを使用して、腫瘍のCTABを特徴付けるための診断試験が提供される。診断試験は、(a)腫瘍から組織を得るステップと、(b)組織におけるがん精巣抗原(CTA)遺伝子マーカのパネルの発現を測定するステップと、(c)CTA遺伝子マーカの測定された発現に基づいて、CTABを判定するステップと、(d)腫瘍を、CTABが≧171であるときに高CTABとして、CTABが<170であるときに低CTABとして特徴付けるステップと、(e)腫瘍が高CTABであるときの免疫チェックポイント遮断療法に対する腫瘍の好ましい応答、及び腫瘍が低CTABであるときの免疫チェックポイント遮断療法に対する腫瘍のあまり好ましくない応答を予測するステップと、を含む。
【0007】
様々な実施形態において、(a)腫瘍を形成する組織におけるがん精巣抗原(CTA)遺伝子マーカのパネルの発現を測定することと、(b)CTA遺伝子マーカの測定された発現に基づいて、がん精巣抗原負荷(CTAB)を判定することと、(c)判定されたCTABに基づいて、免疫チェックポイント遮断療法に対する腫瘍の応答を予測することであって、判定されたCTABが、CTABが≧171であるときに、免疫チェックポイント遮断療法に対する腫瘍の予測される好ましい応答と関連付けられる、予測することと、(d)免疫チェックポイント遮断療法に対する腫瘍の予測される応答に基づいて、腫瘍に対する免疫チェックポイント遮断療法を判定することと、を含む、方法が提供される。
【0008】
いくつかの実施形態では、CTA遺伝子マーカの発現は、RNA-seqによって測定される。
【0009】
いくつかの実施形態では、腫瘍は、非小細胞肺がん(NSCLC)である。
【0010】
いくつかの実施形態では、CTA遺伝子マーカのパネルは、XAGE1B、SSX2、MLANA、MAGEC2、MAGEA12、MAGEA10、MAGEA4、MAGEA3、MAGEA1、GAGE13、GAGE12J、GAGE10、GAGE2C、CTAG2、CTAG1B、及びBAGEを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント遮断療法は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、イピリムマブ、アテゾリズマブ、及びデュルバルマブのうちの1つ以上を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、1つ以上のデータプロセッサと、命令を格納する非一時的コンピュータ可読媒体と、を備え、命令が、1つ以上のデータプロセッサ上で実行されると、1つ以上のデータプロセッサに、本明細書に開示される1つ以上の方法又はプロセッサの一部又は全てを実行させる、システムが提供される。
【0013】
いくつかの実施形態では、非一時的な機械可読媒体に有形的に具現化され、1つ以上のデータプロセッサに本明細書に開示される1つ以上の方法の一部又は全てを実行させるように構成されている命令を含むコンピュータプログラム製品が提供される。
【0014】
採用された用語及び表現は、説明の用語として使用されたものであり、限定を意味するものではなく、そのような用語及び表現の使用には、図示及び説明された特徴又はその一部分の等価物を排除する意図はないが、特許請求された発明の範囲内で様々な修正が可能であることが認識される。それ故、本発明は、実施形態及び任意選択的な特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に開示される概念の修正及び変形は、当業者によって用いられ得、そのような修正及び変形は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内であるとみなされることを理解されたい。
【0015】
本発明は、以下の非限定的な図面を考慮してより良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】様々な実施形態による、39種類のがんにまたがる臨床的に試験されたFFPE腫瘍からの5,450個のサンプルの表現を示す。
図2】様々な実施形態による、ディスカバリーコホートにおける生の絶対リードカウント値からの100万分の1の遺伝子発現正規化リード(nRPM)の計算を示すフローチャートを示す。
図3】様々な実施形態による、陽性(nRPM≧20)又は陰性(nRPM<20)として分類される17のCTAについての全ての腫瘍にわたる遺伝子発現を示す。
図4】様々な実施形態による、A)ディスカバリー、B)TCGA、及びC)後ろ向きコホートにおけるCTAB分布を示す。
図5】様々な実施形態による、A)ディスカバリー、B)TCGA、及びC)後ろ向きコホートにおけるがんタイプCTAB分布を示す
図6】様々な実施形態による、A)TCGA、及びB)後ろ向きコホートにおけるCTAB、年齢、及び性別の影響に関するCoxPH回帰分析を示す。
図7】様々な実施形態による、A)TCGA及びB)後ろ向きコホートについて、CTAB陽性(≧171)群及び陰性(<171)群を比較したカプランマイヤー生存分析を示す。
図8】様々な実施形態による、DCの5450個の腫瘍全体にわたる15個のがん精巣抗原の共発現パターンを示す。ペアワイズピアソン相関値は、右側の影付きバーによって示されるように、各グリッド正方形に示され、相関値に従って着色される。正方形を通る黒い「X」は、有意ではない(p>0.05)相関を示し、チャート対角線の周りの黒い正方形は、共表現CTAのクラスタを示す。
図9】様々な実施形態による、5450-サンプルDCに表される39のヒストロジーの各々におけるがん精巣抗原負荷(CTAB)の分布を詳細に示すヴァイオリンプロットを示す。
図10】PCA及び階層クラスタリング結果を示す。A)最初の2つの主成分に対する5つの構成バイオマーカの影響を詳細に示す固有ベクトルプロット、B)110人の患者のNSCLC検証コホートの4つの表現型への分類、及びC)様々な実施形態による検証コホート内の4つの表現型の分布。
図11】以下によって層別化されたNSCLC検証コホート(n=110)のカプランマイヤー生存分析を示す。A)PD-L1 IHC状態、B)TMB状態、C)細胞増殖、D)腫瘍免疫原性シグネチャ(TIGS)、E)CTAB、及びF)様々な実施形態による表現型。
図12】様々な実施形態による、生存予測因子としての表現型、5つの構成要素バイオマーカ、並びに性別及び人種のCoxPH生存分析を示す。
図13】様々な実施形態による、腫瘍優性、増殖性、炎症性、及びチェックポイントの4つの表現型に細分化された110のNSCLC患者検証コホートの疾患制御率(DCR)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付の図では、同様の構成要素及び/又は特徴は、同じ参照ラベルを有することができる。更に、同じタイプの様々な構成要素は、同様の構成要素間を区別するダッシュ及び第2のラベルによって参照ラベルに続くことによって区別することができる。本明細書で第1の参照ラベルのみが使用される場合、本明細書は、第2の参照ラベルに関係なく、同じ第1の参照ラベルを有する類似の構成要素のいずれか1つに適用可能である。
【0018】
以下の説明は、好ましい例示的な実施形態のみを提供し、本開示の範囲、適用可能性又は構成を限定することを意図するものではない。むしろ、好ましい例示的な実施形態の以下の説明は、様々な実施形態を実装するための可能な説明を当業者に提供するであろう。添付の特許請求の範囲に記載された趣旨及び範囲から逸脱することなく、要素の機能及び配置に様々な変更が行われ得ることを理解されたい。
【0019】
具体的な詳細が、実施形態の完全な理解を提供するために、以下の説明に示される。しかしながら、実施形態は、これらの具体的な詳細を伴わずに実施され得ることが理解される。例えば、回路、システム、ネットワーク、プロセス、及び他の構成要素は、不必要な詳細で実施形態を不明瞭にしないために、ブロック図形の構成要素として示され得る。他の場合において、実施形態を不明瞭にすることを回避するために、周知の回路、プロセス、アルゴリズム、構造、及び技法が、不必要な詳細を伴わずに示され得る。
【0020】
また、個々の実施形態は、フローチャート、フロー図、データフロー図、構造図、又はブロック図として描写されるプロセスとして説明され得ることに留意されたい。フローチャート又は図は、動作を逐次的なプロセスとして説明し得るが、多くの動作は並列的又は同時並行的に実行し得る。加えて、動作の順序は、並べ替えられ得る。プロセスは、その動作が完了すると終了するが、図に含まれていない追加のステップを有する可能性がある。プロセスは、方法、機能、手順、サブルーチン、サブプログラムなどに対応し得る。プロセスが関数に対応するとき、その終了は、呼び出し関数又はメイン関数への関数の戻りに対応し得る。
【0021】
CTABを特徴付けるための技法
本発明は、複数の組織型にまたがる腫瘍を有する患者、特にNSCLCにおけるICI応答及び生存を予測するための方法及びシステムに向けられている。
【0022】
一実施形態において、低CTAB及び高CTABのカットオフを開発するために、汎がんディスカバリーコホート(DC)が研究された。39の組織型を表す5450個のFFPE腫瘍について、標準治療の包括的ゲノム及び免疫プロファイリングを実行し、395の免疫遺伝子及び500を超える腫瘍関連遺伝子の発現レベルを査定した。サンプルの試験対象患者基準は、RNA-seqの臨床QCパラメータに基づいていた。図1に示されるように、DCは主に、肺がん(40.4%)、次いで、大腸がん(10.6%)、乳がん(8.64%)、卵巣がん(4.73%)からなり、他のがんタイプの割合はそれほど大きくない。標的化RNA-seqを、5450個のFFPE腫瘍に対して行った。DCの遺伝子発現データから、細胞増殖(CP)、腫瘍免疫原性シグネチャ(TIGS)、及びがん精巣抗原負荷(CTAB)の3つの遺伝子発現シグネチャを計算した。各腫瘍のPD-L1状態をIHCにより査定し、腫瘍変異負荷(TMB)を計算した。
【0023】
第2の実施形態では、The Cancer Genome Atlas(TCGA)からのコホートを使用して、CTAB分布に基づく分類子を検証し、非ICB治療集団とした。TCGAは、32の腫瘍タイプにわたる19923個の腫瘍を含んでいた。続いて、第3の実施形態では、最近隣法を使用して、110人のNSCLC患者、並びに黒色腫及び腎細胞がん患者を含む、ICI治療を受けた242人の患者の後ろ向き検証コホート(RC)を分類した。
【0024】
アンプリコンベースのNGSアプローチを使用して、17のCTAの発現レベルを汎がん参照集団に対してランク付けした。生の絶対リードカウントから遺伝子発現正規化リードを計算し、遺伝子発現(GEX)ランクを計算するための方法を図2に示す。図3に示されるように、測定したCTAは、XAGE1B、SSX2、MLANA、MAGEC2、MAGEA12、MAGEA10、MAGEA4、MAGEA3、MAGEA1、GAGE13、GAGE12J、GAGE10、GAGE2C、CTAG2、CTAG1B、及びBAGEである。陽性CTA発現の有病率は、研究した5450個の腫瘍にわたって3%(GAGE13)~31.5%(XAGE1B)の範囲であった。DC内の5450個の腫瘍全体にわたるCTAの15の共発現パターンを図8に示す。CTAの共発現は、いくつかの組織型にわたって観察され、MAGEA及びGAGEファミリー内で最も高いレベルの共発現が観察された。
【0025】
CTABを、17のCTA遺伝子発現ランクの合計として、各サンプル、コホート、及び腫瘍タイプについて計算した。各コホートCTAB組成物の結果を、以下の表1に示す。図4に示されるように、3つのコホートは各々、RCのDC ad 256について171の間のCTAB値を中心とした重複した単一ピークの左寄りのCTAB分布曲線を実証した。171のDC中央値CTABを使用して、3つのコホート全てを高CTAB群及び低CTAB群に分類した。
【表1】
【0026】
図5及び図9に示されるように、腫瘍タイプ別にグループ化し、中央値CTABで順序付けを行ったとき、3つのコホート内の腫瘍タイプのCTAB分布は、同等であった。CTAB値は、0~1700の範囲であり、腎臓がんは、全体的に最も低い平均CTAB(110)及び最も高い黒色腫(550)を実証した。NSCLCのCTABの平均は、283であった。
【0027】
図6に示されるように、CoxPH回帰モデルを使用してTCGA及びICB治療コホートに対してOS分析を行い、ハザード比(HR)を判定した。CoxPH回帰分析は、ICB治療RC及び非ICB治療TCGAの両方におけるCTAB閾値分類子とOSとの間の関連性を明らかにした。しかしながら、この関連性の方向は2つのコホート間で異なっており、高CTABサンプルは、ICB治療RCにおいてより良い生存(HR=0.936、p=0.076)及び非ICB治療TCGAにおいてより悪い生存(HR:1.007、p=0.084)を有する。
【0028】
TCGA及びRCカプランマイヤーのCTAB陽性群(≧171)と陰性群(<171)とを比較したカプランマイヤー生存分析では、図7に示されるように、TCGAでのCTAB陽性と生存悪化との間に強い関連(p<0.000)が明らかとなった。この関連性は、RCには存在しなかった(p=0.64)が、陽性CTAB状態では、生存が良好になる傾向がみられた。この差異は、CTAを標的とする免疫療法の進歩により、免疫療法前のTCGAで観察された生存不利益がほとんど排除されたことを示唆している。
【0029】
CTAB分布は、DC及びTCGAにわたって、並びに広範囲の腫瘍タイプにわたって維持され、有効かつ組織学的に不可知論的な分類子としてCTABがサポートされる。更に、ICB治療及び非ICB治療コホートを評価するとき、CTABは、OSを予測する能力を実証し、CTA特異的自然免疫反応をサポートするICBの有用性が提示された。
【0030】
DCを、腫瘍免疫微小環境の包括的なゲノム及び免疫プロファイリングによって更に評価した。個別及び組み合わせのバイオマーカ査定には、PD-L1 IHC、TMB、腫瘍炎症(TIGS)、細胞増殖(CP)及びがん精巣抗原負荷(CTAB)が含まれていた。DCから、分子バイオマーカ及び免疫バイオマーカの組み合わせを同定し、応答と相関させるために、ペムブロリズマブ+化学療法又はペムブロリズマブ単独で治療した110人の転移性NSCLC患者のRCのサブコホートに適用した。客観的奏効率(ORR)の比較は、カイ二乗検定を使用して行った。カプランマイヤー分析を行って、OS及び1年OSの差を試験した。
【0031】
実施例1.242サンプルサブコホートのうちのICB治療を受けたNSCLC患者の110サンプルでは、高CTABは低CTABに比べてOSが良好であった(HR:0.55、p=0.07)。更に、腫瘍炎症及び細胞増殖バイオマーカと組み合わせたときに、高CTABを有する炎症性が高いが増殖性が低い腫瘍は、OSが改善した(HR:0.27、p=0.05)。242サンプルRC全体について、より高い応答(HR=1.84、p=0.05)との有意な関連性が検出された。
【0032】
【表2】
【0033】
図10に示されるように、DCの分析から、基礎となる腫瘍免疫生物学を説明する4つの異なるバイオマーカ併用群、すなわち、腫瘍優性(CTAB、TMB、CP高)、増殖性(CP高)、炎症性(TIGS高)、並びにチェックポイント(PDL1、TIGS及びTMB高)が明らかになった。これらのバイオマーカ群をRCに適用したところ、ICIレジメンに対する反応性に群間で有意差が実証された(p=0.04)。単剤ペンブロリズマブで治療した増殖群(35.1%、79/225、中央値PD-L1=20%TPS)の患者は、ペンブロリズマブ+化学療法(27%、14/52、p=0.005)と比較して有意により高いORR(59%、16/27)、有意に改善した1年OS(p=0.03)、及びより良好なOS(p=0.14)の傾向を示した。重要なことに、炎症群(16%、36/225、中央値PD-L1=1%TPS)の患者は、ペムブロリズマブ+化学療法(ORR26.1%、6/23)が、ペムブロリズマブ(ORR31%、4/13、p=0.76)、又はOS(p=0.37)及び1年OS(p=0.57)と比較して、ORRと関連付けられないことを示唆していた。その結果として、増殖性表現型を有するPD-L1低値NSCLC患者は、単剤ペムブロリズマブが有益である場合がある一方で、炎症性表現型を有するPD-L1低値症例は、単剤及び併用ペムブロリズマブの両方が有益であり得る。
【0034】
これらの群とICI治療効果との関連性は、過剰発現分析によって判定され、図11及び図12に示されるように、全生存は、カプランマイヤー分析及びCoxPH分析によって査定された。カプランマイヤー生存分析は、これらの群と全生存との間に有意な関係があることを示唆し[p=0.035]、増殖群及びチェックポイント群は、腫瘍優性群及び炎症群よりも生存が延びていることを実証している。表現型の層別化は、いかなる構成バイオマーカによる層別化よりも中央値生存の増加が大きいことを実証した。CoxPH分析は、チェックポイント群がICI治療について有意に低下したハザード比[HR=0.10、p=0.038]を有することを示していた。全てのカプランマイヤー及びCoxPH分析では、このチェックポイント群は、生存予測因子として、その構成バイオマーカのいずれよりも優れていた。
【0035】
更に、図13に示されるように、RCを4つの群に分類することによって、ICI応答との有意な関連性が見出され、以下の結果、すなわち、腫瘍優性[DCR=0.200]、増殖性[DCR=0.273]、炎症性[DCR=0.154]、及びチェックポイント[DCR=0.417]が得られた。チェックポイント群は、疾患制御の割合が最も高かった[p=0.0313]。
【0036】
包括的な腫瘍プロファイリングと、新たなバイオマーカと、を組み合わせた統合アプローチにより、複数の組織型におけるICI応答と生存とがより良好に予測される。結果として得られた群間で相違する結果が得られたのは、腫瘍と免疫の異なる相互作用様式の結果である可能性が高い。
【0037】
追加の考慮事項
具体的な詳細は、実施形態の完全な理解を提供するために、上記の説明に示される。しかしながら、実施形態は、これらの具体的な詳細を伴わずに実施することができることが理解される。例えば、回路は、不必要な詳細で実施形態を不明瞭にしないために、ブロック図に示すことができる。他の場合において、実施形態を不明瞭にすることを回避するために、周知の回路、プロセス、アルゴリズム、構造、及び技法が、不必要な詳細を伴わずに示すことができる。
【0038】
上記の技法、ブロック、ステップ、及び手段の実装は、様々な方法で行うことができる。例えば、これらの技法、ブロック、ステップ、及び手段は、ハードウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせで実装することができる。ハードウェア実装の場合、処理ユニットは、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理デバイス(DSPD)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、上で説明される機能を実行するように設計された他の電子ユニット、及び/又はそれらの組み合わせ内に実装することができる。
【0039】
また、実施形態は、フローチャート、フロー図、データフロー図、構造図、又はブロック図として描写されるプロセスとして説明することができることに留意されたい。フローチャートは、動作を逐次的なプロセスとして説明し得るが、多くの動作は、並列的又は同時並行的に実行することができる。加えて、動作の順序は、並べ替えることができる。プロセスは、その動作が完了すると終了するが、図に含まれていない追加のステップを有する可能性がある。プロセスは、方法、機能、手順、サブルーチン、サブプログラムなどに対応することができる。プロセスが関数に対応するとき、その終了は、呼び出し関数又はメイン関数への関数の戻りに対応する。
【0040】
更に、実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、スクリプト言語、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語、及び/又はそれらの任意の組み合わせによって実装することができる。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、スクリプト言語、及び/又はマイクロコードに実装されたとき、必要なタスクを実行するためのプログラムコード又はコードセグメントは、記憶媒体などの機械可読媒体に格納することができる。コードセグメント又は機械実行可能命令は、手順、関数、サブプログラム、プログラム、ルーチン、サブルーチン、モジュール、ソフトウェアパッケージ、スクリプト、クラス、又は命令、データ構造、及び/若しくはプログラム文の任意の組み合わせを表すことができる。コードセグメントは、情報、データ、引数、パラメータ、及び/又はメモリコンテンツを受け渡す及び/又は受信することによって、別のコードセグメント又はハードウェア回路に結合することができる。情報、引数、パラメータ、データなどは、メモリ共有、メッセージの受け渡し、チケットの受け渡し、ネットワーク送信などを含む任意の好適な手段を介して受け渡し、転送、又は送信することができる。
【0041】
ファームウェア及び/又はソフトウェアの実装では、方法論は、本明細書において説明される機能を実行するモジュール(例えば、手順、関数など)で実装することができる。命令を有形的に具現化する任意の機械可読媒体を、本明細書において説明される方法論を実装する際に使用することができる。例えば、ソフトウェアコードをメモリに記憶させることができる。メモリは、プロセッサ内又はプロセッサの外部に実装することができる。本明細書で使用される場合、「メモリ」という用語は、長期、短期、揮発性、不揮発性、又は他の記憶媒体の任意のタイプを指し、いかなる特定のタイプのメモリ、若しくはメモリの数、又はメモリが記憶される媒体のタイプにも限定されるものではない。
【0042】
更に、本明細書に開示されるように、「記憶媒体」、「記憶」又は「メモリ」という用語は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気RAM、コアメモリ、磁気ディスク記憶媒体、光学記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、及び/又は情報を記憶するための他の機械可読媒体を含む、データを記憶するための1つ以上のメモリを表すことができる。「機械可読媒体」という用語は、限定されないが、ポータブル又は固定記憶デバイス、光学記憶デバイス、無線チャネル、並びに/又は命令及び/若しくはデータを包含若しくは搬送することができる様々な他の記憶可能媒体を含む。
【0043】
本開示の原理を、具体的な装置及び方法と関連して説明してきたが、この説明は、例としてのみなされたものであり、本開示の範囲を限定するものではないことを明確に理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2024-05-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
がん精巣抗原負荷(CTAB)を、免疫チェックポイント遮断療法に対する患者の腫瘍の応答を特徴付けるための指標として取得する方法であって
)前記腫瘍から得られた組織におけるがん精巣抗原(CTA)遺伝子マーカのパネルの発現を測定するステップと、
)前記CTA遺伝子マーカの前記測定された発現に基づいて、前記CTABを判定するステップと、を含み、
前記判定されたCTABが、前記CTABが≧171であるときに、免疫チェックポイント遮断療法に対する前記腫瘍の予測される好ましい応答に関連付けられ、
記予測される応答に基づいて、前記腫瘍に対する免疫チェックポイント遮断療法が、前記患者に施されることが示される、方法。
【請求項2】
がん精巣抗原(CTA)遺伝子のパネルの発現を、腫瘍のがん精巣抗原負荷(CTAB)を特徴付けるために取得する方法であって
)前記腫瘍から得られた組織における前記CTA遺伝子マーカのパネルの発現を測定するステップと、
)CTA遺伝子マーカの前記測定された発現に基づいて、前記CTABを判定するステップと、を含み、
記腫瘍、CTABが≧171であるときに高CTABとして、CTABが<170であるときに低CTABとして特徴付けられ
記腫瘍が高CTABであるとき免疫チェックポイント遮断療法に対する前記腫瘍の応答が、好ましい応答であると示され、前記腫瘍が低CTABであるとき免疫チェックポイント遮断療法に対する前記腫瘍の応答が、あまり好ましくない応答であると示される、方法
【請求項3】
前記CTA遺伝子マーカの前記発現が、RNA-seqによって測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記腫瘍が、非小細胞肺がん(NSCLC)である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記CTA遺伝子マーカのパネルが、
XAGE1B、SSX2、MLANA、MAGEC2、MAGEA12、MAGEA10、MAGEA4、MAGEA3、MAGEA1、GAGE13、GAGE12J、GAGE10、GAGE2C、CTAG2、CTAG1B、及びBAGEを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記免疫チェックポイント遮断療法が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、イピリムマブ、アテゾリズマブ、及びデュルバルマブのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
システムであって、
1つ以上のデータプロセッサと、
命令を格納する非一時的コンピュータ可読媒体と、を備え、前記命令が、前記1つ以上のデータプロセッサ上で実行されると、前記1つ以上のデータプロセッサに、
(a)腫瘍を形成する組織におけるがん精巣抗原(CTA)遺伝子マーカのパネルの発現を測定することと、
(b)前記CTA遺伝子マーカの前記測定された発現に基づいて、がん精巣抗原負荷(CTAB)を判定することと、
(c)前記判定されたCTABに基づいて、免疫チェックポイント遮断療法に対する前記腫瘍の応答を予測することであって、前記判定されたCTABが、CTABが≧171であるときに、免疫チェックポイント遮断療法に対する前記腫瘍の予測される好ましい応答と関連付けられる、予測することと、
(d)免疫チェックポイント遮断療法に対する前記腫瘍の前記予測される応答に基づいて、前記腫瘍に対する免疫チェックポイント遮断療法を判定することと、を実行させる、システム。
【請求項8】
前記CTA遺伝子マーカの前記発現が、RNA-seqによって測定される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記腫瘍が、非小細胞肺がん(NSCLC)である、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記CTA遺伝子マーカのパネルが、
XAGE1B、SSX2、MLANA、MAGEC2、MAGEA12、MAGEA10、MAGEA4、MAGEA3、MAGEA1、GAGE13、GAGE12J、GAGE10、GAGE2C、CTAG2、CTAG1B、及びBAGEを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記免疫チェックポイント遮断療法が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、イピリムマブ、アテゾリズマブ、及びデュルバルマブのうちの1つ以上を含む、請求項7に記載のシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
本開示の原理を、具体的な装置及び方法と関連して説明してきたが、この説明は、例としてのみなされたものであり、本開示の範囲を限定するものではないことを明確に理解されたい。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
免疫チェックポイント遮断療法に対する患者の腫瘍の応答を特徴付けるための方法であって、
(a)前記腫瘍から組織を得るステップと、
(b)前記組織におけるがん精巣抗原(CTA)遺伝子マーカのパネルの発現を測定するステップと、
(c)前記CTA遺伝子マーカの前記測定された発現に基づいて、がん精巣抗原負荷(CTAB)を判定するステップと、
(d)前記判定されたCTABに基づいて、免疫チェックポイント遮断療法に対する前記腫瘍の応答を予測するステップであって、
前記判定されたCTABが、前記CTABが≧171であるときに、免疫チェックポイント遮断療法に対する前記腫瘍の予測される好ましい応答に関連付けられる、予測するステップと、
(e)免疫チェックポイント遮断療法に対する前記腫瘍の前記予測される応答に基づいて、前記腫瘍に対する免疫チェックポイント遮断療法を判定するステップと、
(f)前記判定された免疫チェックポイント遮断療法を前記患者に施すステップと、を含む、方法。
(項目2)
がん精巣抗原(CTA)遺伝子のパネルを使用して、腫瘍のがん精巣抗原負荷(CTAB)を特徴付けるための診断試験であって、
(a)前記腫瘍から組織を得るステップと、
(b)前記組織における前記CTA遺伝子マーカのパネルの発現を測定するステップと、
(c)CTA遺伝子マーカの前記測定された発現に基づいて、前記CTABを判定するステップと、
(d)前記腫瘍を、CTABが≧171であるときに高CTABとして、CTABが<170であるときに低CTABとして特徴付けるステップと、
(e)前記腫瘍が高CTABであるときの免疫チェックポイント遮断療法に対する前記腫瘍の好ましい応答、及び前記腫瘍が低CTABであるときの免疫チェックポイント遮断療法に対する前記腫瘍のあまり好ましくない応答を予測するステップと、を含む、診断試験。
(項目3)
前記CTA遺伝子マーカの前記発現が、RNA-seqによって測定される、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記腫瘍が、非小細胞肺がん(NSCLC)である、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記CTA遺伝子マーカのパネルが、
XAGE1B、SSX2、MLANA、MAGEC2、MAGEA12、MAGEA10、MAGEA4、MAGEA3、MAGEA1、GAGE13、GAGE12J、GAGE10、GAGE2C、CTAG2、CTAG1B、及びBAGEを含む、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記免疫チェックポイント遮断療法が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、イピリムマブ、アテゾリズマブ、及びデュルバルマブのうちの1つ以上を含む、項目1に記載の方法。
(項目7)
システムであって、
1つ以上のデータプロセッサと、
命令を格納する非一時的コンピュータ可読媒体と、を備え、前記命令が、前記1つ以上のデータプロセッサ上で実行されると、前記1つ以上のデータプロセッサに、
(a)腫瘍を形成する組織におけるがん精巣抗原(CTA)遺伝子マーカのパネルの発現を測定することと、
(b)前記CTA遺伝子マーカの前記測定された発現に基づいて、がん精巣抗原負荷(CTAB)を判定することと、
(c)前記判定されたCTABに基づいて、免疫チェックポイント遮断療法に対する前記腫瘍の応答を予測することであって、前記判定されたCTABが、CTABが≧171であるときに、免疫チェックポイント遮断療法に対する前記腫瘍の予測される好ましい応答と関連付けられる、予測することと、
(d)免疫チェックポイント遮断療法に対する前記腫瘍の前記予測される応答に基づいて、前記腫瘍に対する免疫チェックポイント遮断療法を判定することと、を実行させる、システム。
(項目8)
前記CTA遺伝子マーカの前記発現が、RNA-seqによって測定される、項目7に記載のシステム。
(項目9)
前記腫瘍が、非小細胞肺がん(NSCLC)である、項目7に記載のシステム。
(項目10)
前記CTA遺伝子マーカのパネルが、
XAGE1B、SSX2、MLANA、MAGEC2、MAGEA12、MAGEA10、MAGEA4、MAGEA3、MAGEA1、GAGE13、GAGE12J、GAGE10、GAGE2C、CTAG2、CTAG1B、及びBAGEを含む、項目7に記載のシステム。
(項目11)
前記免疫チェックポイント遮断療法が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、イピリムマブ、アテゾリズマブ、及びデュルバルマブのうちの1つ以上を含む、項目7に記載のシステム。
【国際調査報告】