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特表2024-541354スケートボードまたは他のエクストリームスポーツに使用するボードおよびそのようなボードの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】スケートボードまたは他のエクストリームスポーツに使用するボードおよびそのようなボードの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A63C 17/01 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
A63C17/01
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527778
(86)(22)【出願日】2022-11-08
(85)【翻訳文提出日】2024-07-08
(86)【国際出願番号】 EP2022081133
(87)【国際公開番号】W WO2023083810
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】2116164.1
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524177680
【氏名又は名称】カプセル・スケートボーズ・リミテッド
【住所又は居所原語表記】CAPSULE SKATEBOARDS LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】フィリミス,パナヨティス
(72)【発明者】
【氏名】ハラランブス,アンドレアス
(57)【要約】
スケートボードまたは他のエクストリームスポーツに使用するボード(1)の製造方法である。ボードの柔軟性、ボードの跳ね上がり性、衝撃吸収性および/または強度を含むボード(1)のカスタマイズ可能な性能パラメータが決定される。ボード(1)の特性を調整するためのカスタマイズ可能な性能パラメータを実現するために、本方法は、(i)コア(301)と、(ii)上部構造体、下部構造体および周囲構造体を形成するプラスチックおよび/またはプラスチック複合材料の複数の層(111、112、113)と、(iii)コアと上部構造体および/または下部構造体との間の境界面と、を選択することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スケートボードまたは他のエクストリームスポーツで使用するボードの製造方法であって、前記ボードは、
第1端部と第2端部との間の長さに沿って且つ前記長さに対して垂直な幅にわたって延びる上面および下面と、前記上面と前記下面との間の厚さと、
コアと、前記コアの下に位置しており前記下面を形成する下部構造体と、前記コアの上に位置しており前記上面を形成する上部構造体と、前記コアの周囲であり且つ前記上部構造体と前記下部構造体との間の周囲構造体と
を備えており、
前記方法は、
ボードの柔軟性、ボードの跳ね上がり性、衝撃吸収性、および/または強度を含む、前記ボードのカスタマイズ可能な性能パラメータを決定すること、
前記ボードの特性を調整するための前記カスタマイズ可能な性能パラメータを実現するために、(i)前記コアと、(ii)前記上部構造体と、前記下部構造と、前記周囲構造体とを形成するプラスチックおよび/またはプラスチック複合材料の複数の層と、(iii)前記コアと前記上部構造体および/または前記下部構造体との間の境界面と、を選択すること、
前記選択されたコアと複数の層とを、前記選択された境界面の上および/または周囲に互いに配置すること、
前記複数の層を前記複数の層の融点付近まで、および/または融点よりわずかに上まで加熱し、前記複数の層を冷却させ、それにより前記複数の層が融合して再凝固し、その中に前記コアが包み込まれるモノリシック構造体を形成することによって、前記下部構造体と、前記上部構造と、前記周囲構造体とを形成すること
を備える、方法。
【請求項2】
前記配置のステップの間に、前記複数の層は、前記コアが、前記周囲構造体を形成する前記複数の層の少なくとも1つの層の中空空間内に位置し、前記上部構造体を形成する前記複数の層の少なくとも1つの層によって上が覆われ、前記下部構造を形成する前記複数の層の少なくとも1つの層によって下が覆われる、サンドイッチ構造体として一緒に積み重ねられる、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記形成のステップは、
前記サンドイッチ構造体をプレス型に配置すること、
前記サンドイッチ構造体を80℃から100℃の間の範囲の温度に予熱すること、
150℃から160℃の範囲になるように温度を上昇させながら、10barから20barの範囲の圧力を5分から10分間、前記サンドイッチ構造体に適用すること、
前記サンドイッチ構造体が前記プレス型内にある間に、前記サンドイッチ構造体を60℃まで冷却させること、
前記サンドイッチ構造体を前記プレス型から取り外すこと、
前記サンドイッチ構造体を室温まで冷却させること
によって前記モノリシック構造体を形成することを備える、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、
前記下部構造体のために前記複数の層の少なくとも1つをカットすること、
前記コアを収容する中空空間を有する前記周囲構造体のために前記複数の層の少なくとも1つをカットすること、
前記上部構造体のために前記複数の層の少なくとも1つをカットすること
の少なくとも1つを備える、
請求項1~3の何れか1つに記載の方法。
【請求項5】
前記形成のステップの間に、
前記複数の層は、前記モノリシック構造体が作られるように、加熱され加圧されて、融合して溶融し、
圧力は、10bar以上20bar以下の範囲で適用される、および/または前記圧力は、オートクレーブ環境内で適用される、
請求項1~4の何れか1つに記載の方法。
【請求項6】
プラスチックおよび/またはプラスチック複合材料の前記複数の層は、マトリックスとしてのポリプロピレン(PP)コポリマーと補強材としての延伸PPホモポリマーとを含むPPおよび/またはPP複合材を有する、
請求項1~5の何れか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記上部構造体と前記下部構造体とは、前記コアの上および下で同じまたは異なる厚さを有しており、および/または、
前記上部構造体と前記下部構造体とを形成する前記複数の層の厚さおよび/または数は、前記カスタマイズ可能な性能パラメータを所定のボード重量で実現するように選択される、
請求項1~6の何れか1つに記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、複数のコア層から前記コアを形成することを備える、
請求項1~7の何れか1つに記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、
前記複数のコア層を、材料のシート等から具体的な形状にカットすること、
前記複数の層を一緒に積み重ねること、
任意に加熱および加圧によって、任意に180℃から240℃の間の範囲の温度に加熱することによって、前記複数のコア層を融合させて単一のコア本体を冷却時に形成すること
の少なくとも1つによって前記コアを形成することを備える、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記コア層の各々は、厚さが0.05mm以上3mm以下であり、前記コア層は、融合前に一緒に積み重ねられることを特徴とする、
請求項8または請求項9に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つのコア層は、炭素繊維強化プラスチックおよび/または高強度複合材料を有しており、
前記コアは、中空の中央領域を有する本質的にリング形状の本体を有しており、および/または、
前記コアの上コア面および/または下コア面は、粗く、波打っており、前記コアにおいて複数のスロットまたはカットを有する、および/または不均一な断面領域を有する、
ことを特徴とする、請求項1~10の何れか1つに記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、前記下面において保護層で覆われた印刷されたグラフィック層を有する前記下部構造体を形成することをさらに備える、
請求項1~11の何れか1つに記載の方法。
【請求項13】
前記コアは、プラスチック材料のマトリックス内に複数の個別の補強ストリップを有する、
請求項1~12の何れか1つに記載の方法。
【請求項14】
前記周囲構造体は、前記コアと同じ高さで前記コアを囲むプラスチックマトリックスを有しており、軽量材料のポケットを有する、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記軽量材料のポケットは、バルサ材を有する、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記方法は、
ユーザの体重と、前記カスタマイズ可能な性能パラメータの選択と、前記選択されたカスタマイズ可能な性能パラメータの優先順位とを含む入力を受け取るためのユーザインターフェースを提供すること、
前記ユーザインターフェースを介したユーザ入力の受け取りに基づいて、前記ボードの前記カスタマイズ可能な性能パラメータを決定すること
を備える、
請求項1~15の何れか1つに記載の方法。
【請求項17】
前記選択のステップは、アルゴリズムを実行する少なくとも1つのプロセッサを含むコンピュータシステムによって実施されており、前記ユーザ入力に基づいて、前記アルゴリズムは、有限数の標準化されたボードの中からそのユーザに最適なボードの選択を行い、および/または(i)前記コアの構成、(ii)前記上部構造体、前記周囲構造体および/または前記下部構造体の各々を形成する前記層の数および/または構成、および/または(iii)前記境界面を選択する、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
請求項1~17の何れか1つに記載の方法にしたがって形成されるボード。
【請求項19】
スケートボードまたは他のエクストリームスポーツに使用するボードであって、前記ボードは、
第1端部と第2端部との間の長さに沿って且つ前記長さに対して垂直な幅にわたって延びる上面および下面と、前記上面と前記下面との間の厚さと、
コアと、前記コアの下に位置しており前記下面を形成する下部マトリックス構造体と、前記コアの上に位置しており前記上面を形成する上部マトリックス構造体と、前記コアの周囲であり且つ前記上部マトリックス構造体と前記下部マトリックス構造との間の周囲マトリックス構造体と
を備えており、
前記下部マトリックス構造体と、前記上部マトリックス構造体と、前記周囲マトリックス構造体とは、モノリシックなプラスチックまたはプラスチック複合マトリックス構造体として一緒に融合されたプラスチックまたはプラスチック複合材料の複数の層を有しており、前記コアは、前記モノリシック構造体内に包まれており、
前記ボードの特性は、前記コアの特性と、前記上部マトリックス構造体の特性と、前記下部マトリックス構造体の特性と、前記周囲マトリックス構造体の特性との組み合わせによって定められており、
前記上部マトリックス構造体、前記下部マトリックス構造体、および/または前記周囲マトリックス構造体は、軽量材料のポケットを有しており、前記軽量材料の密度は、400kg/m3未満である、ボード。
【請求項20】
前記コアは、プラスチック材料のマトリックス内の複数の個々の補強ストリップを有することをさらに特徴とする、
請求項19に記載のボード。
【請求項21】
前記第1端部と前記第2端部との間の前記ボードの縦方向に沿った可変剛性があることを特徴としており、前記可変剛性は、前記補強層または前記補強構造のバリエーションによって実現される、
請求項20に記載のボード。
【請求項22】
スケートボードまたは他のエクストリームスポーツに使用するボードであって、前記ボードは、
第1端部と第2端部との間の長さに沿って且つ前記長さに対して垂直な幅にわたって延びる上面および下面と、前記上面と前記下面との間の前記ボードの本体の厚さと、
前記上面と前記下面との間に延びておりモノリシック構造体として一緒に融合される複数の層であって、プラスチック本体が、マトリックスとしてのポリプロピレン(PP)コポリマーと補強材としての延伸PPホモポリマーとを含むPP複合材を有する、前記複数の層と
を備える、ボード。
【請求項23】
前記複数の層のうちの少なくとも1つの層内には、軽量材料のポケットが含まれており、前記軽量材料は、バルサ材を有しており、
前記ポリプロピレン(PP)複合材は、前記ボードの体積の少なくとも75%にわたって延びている、
請求項21に記載のボード。
【請求項24】
前記ボードは、コアと、前記コアの下に位置しており前記下面を形成する下部構造体と、前記コアの上に位置しており前記上面を形成する上部構造体と、前記コアの周囲であり且つ前記上部構造体と前記下部構造体との間の周囲構造体とをさらに備えており、
前記下部マトリックス構造体と、前記上部マトリックス構造体と、前記周囲マトリックス構造体とは、モノリシック構造体として一緒に融合される複数の層を有しており、前記コアは、前記モノリシック構造体内に包まれており、
前記下部マトリックス構造体と、前記上部マトリックス構造体と、前記周囲マトリックス構造体とは、PP複合材を有する、
請求項21または請求項22に記載のボード。
【請求項25】
前記第1端部と前記第2端部との間の前記ボードの縦方向に沿った可変剛性があることを特徴としており、前記可変剛性は、前記補強層または前記補強構造のバリエーションによって実現される、
請求項22に記載のボード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボードの特定の特性がスポーツの性能と安全性にとって重要となり得るスケートボードのようなスポーツ用のボードに関するものであり、特に、本発明は、中央補強要素を備えるスケートボードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
スケートボードは従来、デッキ(ライダーが立つボード)、トラック(車輪をデッキに取り付ける構造)、および車輪の3つの主要部品を有する。元来、デッキは、木製だったが、後にアルミニウム、グラスファイバー、プラスチック製も使われるようになった。デッキの後部は、上方に曲げられてキックテールを形成しており、現代のデザインでは前部(「ノーズ」)も同様である。トラックには、車軸と、ハンガー(車軸を格納する)と、衝撃を吸収し、ステアリングのための柔軟性を提供するクッションとが含まれる。
【0003】
ボードは、第1端部と第2端部との間の縦方向の長さと、第1縁部と第2縁部との間の横方向に沿って測定される幅と、底部と頂部との間で測定される高さとが測定される。ほとんどのスケートボードは、長さが約80cmで、幅が約23cmである。スケートボードのバリエーションの1つにロングボードがあり、長さは96cmから152cmまで延び得る。
【0004】
従来のスケートボードの使用中、ユーザは、片足または両足をボードに乗せ、足は一般にボードの実質的な横方向に向けられる。アクロバティックな行為が行われるため、スケートボードは、いわゆるエクストリームスポーツの1つとみなされることが多い。スポーツとしてのスケートボードは、階段、レール、棚、その他の障害物を有する実際の、またはシミュレートされた都市環境で行われるトリックを特徴とする。ジャンプして再び地面に着地するアクロバティックな行為もよく行われる。ボードは使用中、特にユーザがジャンプをした後に地面に着地するときに相当な力を受ける。力には、いくつかの方向における衝撃または連続的な力がある。また、ボードはねじれの力を受け得る。力は多くの場合、衝撃の形態である。
【0005】
ボードの重要な特性は、ボードの柔軟性、ボードの跳ね上がり性、強度、およびボードの重量を含む。
【0006】
ボードは従来、コアと、コアの上下にある補強材とを有する。
【0007】
コアの下にある補強材は、通常の使用状況下でボードが滑るまたは転がっている際に地面に最も近い補強材である。コアの上にある補強材は、通常の使用状況下でボードが転がっている際に地面から最も遠い補強材である。従来、ボードは、サンドイッチ構造体を有する。
【0008】
アクロバティックな演技は、より軽いボードでは容易であり、軽量化のための努力がなされている。しかし、軽量化する一方で、強度があり、ユーザの経験、体重、技術にマッチする柔軟性と跳ね上がり性とを有するボードも重要である。デッキの構造は、これらの特性の実現において重要である。同時に、ボードのカスタマイズの可能性は、ユーザの技術および体重にしたがって望ましいフィーリングをユーザに提供するために重要である。
【0009】
先行技術に記載されているボードは、コアと、サンドイッチ構造体におけるボードの上下の補強材とを使用している。例えば、EP2000180B1は、表面に沿って延びるコアを有し、天然繊維または合成繊維の上部補強層と下部補強層とを有する、ボードを教示している。当該構造はサンドイッチ構造である。同様に、CN100534556Cには、他のサンドイッチ構造が開示されており、コアと上下の層とが接着剤で保持されている。すべてのサンドイッチ構造は、層間剥離のリスクに潜在的に悩まされる。また、軽量、高強度、柔軟性の組合せを実現することも困難である。
【0010】
層間剥離のリスクに悩まされることなく、軽量でありながら強度、持ち上がり性、ボードの柔軟性の最適な組み合わせを提供し得るボード構造が必要とされている。このようなカスタムボードの経済的な製造を可能とする一方で、ボードの特性の組み合わせをカスタマイズする必要性がさらにある。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、軽量、高強度、柔軟性の優れた組み合わせを提供する一方で、高い耐久性も有するボードを提供する。
【0012】
ボードのコアは、隣の層の材料よりも高密度の材料を有し得る。コアは、隣の層の材料よりも高いヤング率を有する材料を有し得る。コアは、隣の層よりも高い曲げ剛性を有し得る。
【0013】
したがって、本発明は、特許請求の範囲に係る、ボードの製造方法とボードとを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
次に、本発明の好ましい実施形態の例を、添付図面を参照して説明する。
【0015】
図1a】典型的なボードデッキの等角図を示す。
図1b】典型的なボードデッキの側面図を示す。
図1c】典型的なボードデッキの上面図を示す。
図2a】本発明のボードデッキの処理後の断面を示す。
図2b】本発明のボードデッキの処理後の断面を示す。
図3】本発明のボードデッキの処理前の断面である。
図4a】本発明のボードデッキの処理前の3次元分解図であり、コアの上下にある多数の材料層を示している。
図4b】本発明のボードデッキの処理前の3次元分解図であり、代替の配置におけるコアの上下にある多数の材料層を示している。
図5a】本発明のボードデッキの処理前の立体図であり、複数の層が外側から見られる。
図5b】本発明のボードデッキの処理前の断面図であり、コアの上下にある多数の材料層を示している。
図5c】本発明のボードデッキの処理前の断面図であり、コアの上下にある多数の材料層を示している。
図6a】コアとコアを取り囲む材料とを示す部分分解図である。
図6b】コアと周囲の層とを示す漸進的な切断図である。
図6c】コアと周囲の層とを示す分解図である。
図7a】中空の中央領域を有するコアの代替形状の三次元図である。
図7b】本発明のボードデッキを示す三次元断面図であり、処理前の状態において中空の中央領域を有するコアを有する。
図7c】本発明のボードデッキを示す三次元断面図であり、処理後の状態において中空の中央領域を有するコアを有する。
図8】本発明の処理前のボードデッキの三次元分解図であり、コアの上下にある複数の層を示している。
図9】本発明のボードデッキの断面図であり、スロットまたはカットの存在によって特徴付けられるボードの処理後の図を示している。
図10】本発明のボードデッキの断面の概略図であり、連続繊維強化熱可塑性プラスチックの少なくとも2つの層の使用によって特徴付けられるボードを伴う処理前の図を示している。
図11a】本発明のボードデッキの断面の概略図であり、熱可塑性プラスチックマトリックスが軽量材料のポケットで埋め込まれている実施形態を示す。
図11b】本発明のボードデッキの断面の概略図であり、熱可塑性プラスチックマトリックスが軽量材料のポケットで埋め込まれている実施形態を示す。
図11c】本発明のボードデッキの断面の概略図であり、熱可塑性プラスチックマトリックスが軽量材料のポケットで埋め込まれている実施形態を示す。
図12a】本発明のボードデッキの断面を示す概略図であり、コアが、ボードデッキの長さに沿って連続的に延びる複数の補強材料のストリップを有する実施形態を示す。
図12b】本発明のボードデッキの断面を示す概略図であり、コアが、ボードデッキの長さに沿って連続的に延びる複数の補強材料のストリップを有する実施形態を示す。
図13】本発明のボードデッキの上面図の概略図であり、コアが、ボードデッキの長さに沿って連続的に延びていない複数の補強材料のストリップを有する実施形態を示す。
図14】本発明のボードデッキの上面図の概略図であり、コアが、ボードデッキの長さに沿って連続的に延びていない複数の補強材料のストリップを有する一方で、プラスチックマトリックスが軽量材料のポケットを含む実施形態を示す。
図15a】本発明のボードデッキの断面図の概略図であり、コアが中空構造を有する実施形態を示しており、軽量材料のポケットがコアの中央中空領域内のプラスチックマトリックスに存在する。
図15b】本発明のボードデッキの上面図の概略図であり、コアが中空構造を有する実施形態を示しており、軽量材料のポケットがコアの中央中空領域内のプラスチックマトリックスに存在する。
図16a】本発明のボードデッキの上断面図の概略図であり、コアが連続的な縦構造を有する実施形態を示しており、軽量材料のポケットが2つの縦側面の各々におけるプラスチックマトリックスに存在する。
図16b】本発明のボードデッキの側断面図の概略図であり、コアが連続的な縦構造を有する実施形態を示しており、軽量材料のポケットが2つの縦側面の各々におけるプラスチックマトリックスに存在する。
図17a】コア材料がなく、プラスチックマトリックス材料の層の融合前のボードの断面の概略図である。
図17b】コア材料がなく、プラスチックマトリックス材料の層の融合後のボードの断面の概略図である。
図18】縦方向に沿って剛性が変化するボードの概略図である。
図19】ボードのカスタマイズのためにユーザの好みを取り込むことが可能なインターフェイスの例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、エクストリームスポーツにおけるスケートボードまたはロングボードとして使用するボードデッキであって、第1端部と第2端部との間の縦方向に沿って測定される長さと、第1縁部と第2縁部との間の横方向に沿って測定される幅と、底部と頂部との間で測定される厚さとを有するボードデッキを参照する。ボードは、ボードの柔軟性と、ボードの跳ね上がり性と、強度とを含むカスタマイズ可能な性能パラメータを有しており、経済的な製造中にカスタマイズされ得る。ボードデッキは、表面に沿って延びるコアと、コアの下に位置する下部構造体と、コアの上に位置する上部構造体と、コアの周囲の周囲構造体とを有しており、前記下部構造体、上部構造体および周囲構造体は、プラスチックまたはプラスチック複合材料を有する。ボードデッキは、前記下部構造体、上部構造体、および周辺構造体がプラスチックまたはプラスチック複合材料の複数の層を有しており、複数の層が、モノリシック構造体を形成するために融合して再凝固するように、製造中に融点以上に加熱され、その後冷却される、ことを特徴とする。したがって、コアは、モノリシックなプラスチックまたはプラスチック複合構造体によって包まれ、ボードの特性は、コアと、上部構造体と、下部構造体と、周囲構造体との組合せ、およびコアと上面および/または下面との間の境界面の特性、によって定められる。層の数およびコアの構造などの製造パラメータを調整することで、ボードの特性を調整できる。
【0017】
プラスチック材料は、マトリックスとしてのポリプロピレン(PP)コポリマーと、補強材としての延伸PPホモポリマーとを含むPP複合材を有する。
【0018】
図1aから図1cは、典型的なボードデッキ(1)の等角図、側面図、および上面図を示す。ボードデッキは、上方に折り曲げてキックテール(2a)を形成するデッキの後部と、前部の「ノーズ」(2b)とを有する。デッキの中央におけるコアには、主要な構造支持体(300)が設けられている。荷重は、第1端部と第2端部との間の縦方向の長さLと、第1縁部と第2縁部との間の横方向に沿って測定された幅Wと、底面と頂面との間で測定された高さHとを有する。
【0019】
図2aと図2bとは、本発明のボードデッキの処理後の断面を示す。ボード(1)は、本質的にモノリシックな支持構造体(100)に囲まれたコア(301)を有する。コア(301)と周囲の支持構造体(100)との間の境界面(401)は、異なる接着度合いを有し得る。周囲の構造体は、融合されている。この発明の重要な特徴は、コアがプラスチック材料で囲まれていることである。これは、コアの縁が露出しておらず、外側からは見えないことを意味する。
【0020】
一実施形態において、コアは、ハニカム構造を有しており、ハニカムの上部と下部の膜がポリプロピレンベースの熱可塑性プラスチックの生地で構成されており、その厚さが0.05mmから3mmの間、最も好ましくは1mmから2mmの間であることを特徴とし得る。ハニカムの前記膜の材料は、例えば、プラスチックマトリックス(PP、ポリエステル)に同クラスの繊維を加えた「自己強化」熱可塑性プラスチック複合材であり得る。
【0021】
図3は、本発明のボードデッキの処理前の断面である。複数のプラスチック材料の層(101)は、コア(301)を囲んでいる。製造中、プラスチック材料は、シート状で入手可能であり、具体的な形状にカットされ、コアの下、コアの周囲、およびコアの上において、一緒に積み重ねられてコアを完全に包む。その後、サンドイッチ構造体は、型に配置され、一緒に溶融して融合するように、約160℃で加熱される。その後、室温まで冷却され、コアを囲むモノリシックなプラスチック構造体へと凝固する。
【0022】
図4aは、本発明のボードデッキの処理前の3次元分解図であり、コアの上下にある多数の材料層を示している。プラスチックまたはプラスチック複合材料のシートは、各層にとって適切な形状にカットされ、層は、一緒に積み重ねられる。まず、コアの下の層(113)が積み重ねられ、次にコアが、下の層(113)の上に配置され、中間層(112)の積み重ねによって「周りに服を着せられる」、または囲まれる。最後に、上の層(111)は、コアがプラスチックおよび/またはプラスチック複合材の層によって完全に囲まれるように、配置される。上の層(111)と底の層(113)の数は、強度、柔軟性、および跳ね上がり性といった要求される機械的特性を果たすための必要な厚さにしたがって配置される。中間層の数は、中間層(112)の積み重ねの合計厚さがコアの厚さと等しくなるように配置される。
【0023】
図4bは、本発明のボードデッキの処理前の三次元分解図であり、代替の配置におけるコアの上下にある材料層を示している。この配置において、底の層(113)の数は、より多く、その結果、層が一緒に融合してモノリシック構造体になったときにより厚い底部をもたらす。
【0024】
プラスチック材料の層の厚さは、0.05mmから3mmの範囲であり、好ましくは0.05mmから1mmである。好ましい実施形態では、プラスチック材料は、ポリプロピレン(PP)である。好ましくは、プラスチック材料は、マトリックスとしてのランダムPPコポリマーと補強材としての延伸PPホモポリマーとを含むPP複合材を有する。
【0025】
図5aは、本発明のボードデッキの処理前の立体図であり、複数の層(110)が外側から見られる。これは、層が加熱されて一緒に融合する前の図である。
【0026】
図5bは、本発明のボードデッキの処理前の断面図であり、コアの上下にある材料層を示している。この図は、プラスチック材料の底の層(113a)とプラスチック材料の上の層(111a)の数がほぼ同じであることを示している。図5cにおいて、もう1つの別の代替配置が示されている。この実施形態では、コアの上の材料層(111b)の数は、コアの下の層(113b)の数より多い。
【0027】
図6aは、コアと、コアを取り囲む材料である中間層(120)とを示す部分分解図である。中間層(120)は、コアがプラスチック材料で囲まれるように、コア(301)を収容する切り抜き領域(140)を有する。
【0028】
図6bは、コアと周囲の層とを示す漸進的な切断図である。コア(301)は、底の層(131)上に位置しており、複数の中間層(121、122)に囲まれている。そして、上の層(116、115)は、コアと中間層の上に配置される。図6cは、コアと周囲の層とを示す分解図である。
【0029】
図4a、図4b、図6a、図6bにおいて、コアは、矩形のブロックとして示されている。いくつかの実施形態において、コアは、本質的に直角プリズムであってもよく、他の実施形態において、コアは、異なる形状であってもよい。コアは細長くてもよい。コアは、ボード(1)の長さの少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも80%、または少なくとも85%に沿って延びてもよい。コアは、ボード(1)の幅の少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、または少なくとも60%に沿って延びてもよい。
【0030】
図7aは、コアの代替形状の三次元図である。この実施形態において、リング形状のコア(304)は、中空の中央領域(305)を有する。リング形状のコア(304)は、他の任意のコア形状と同様にプラスチック材料で囲まれており、中空の中央領域(305)は、プラスチックまたはプラスチック複合材料の層で満たされている。
【0031】
図7bと図7cとは、本発明のボードデッキを示す3次元断面図であり、処理前および処理後の状態において、中空の中央領域を有するコアを有する。図7bに示されるように、処理前の状態において、プラスチックおよび/またはプラスチック複合材料の層は、明瞭であり、サンドイッチ構造体を形成している。図7cに示されるように、処理後の状態において、プラスチック材料の層は、一緒に融合してモノリシック構造体を形成する。
【0032】
図8は、本発明の処理前のボードデッキの3次元分解図であり、コアの上下にある複数の層を示している。この実施形態は、プラスチック材料の層(125)で満たされた中空の中央領域(305)を有するリング形状のコア(304)を示している。コアの上の層(123)の数とコアの下の層(126)の数とは、所望の全体的な厚さと、ボードの強度、柔軟性、跳ね上がり性の所望の組み合わせとを作り出すように選択され得る。
【0033】
また、コアが不均一な断面領域を有し得ることも可能である。
【0034】
コアの上下にあるプラスチック材料の層とは別に、強度、柔軟性、跳ね上がり性といったボードの特性は、コアの形状、厚み、材料特性、その他の特性によっても決まる。例えば、コアは、コア本体の上面または下面にスロットまたはカットを有してもよい。
【0035】
図9は、本発明のボードデッキの断面図であり、スロットまたはカットの存在によって特徴付けられるボードの処理後の図である。これらのスロットまたはカットは、ボードの挙動がユーザの望む正確な挙動に微調整され得るように、コアの制御された異方的な柔軟性をもたらし得る。概して、スロットまたはカットの幅および/または深さは、比較的小さい。プラスチック材料の融合中、これらのスロットまたはカットは、プラスチック材料によって満たされる。スロットの存在は、1)コアの柔軟性が増し、望まれるならば異方性において柔軟性が増すこと、2)コアとプラスチック材料との間の接着が増すこと、の二重の効果を有する。
【0036】
コアは、高強度複合材料の複数の層を有しており、当該層は、加熱され、プレスされて単一の本体を形成する。コアの各層の厚さは、0.05mmから3mmの間である。コアの材料は概して、炭素繊維強化プラスチックを有する。炭素繊維は、ボードの長さ方向と幅方向との両方に沿った配向を有する。炭素繊維のキッティングパターンが異なると、異なる機械的特性が生み出されることが知られている。いくつかの実施形態では異方性が望まれるが、他の実施形態では異方性は望まれず、異方性を最小にするように結び目パターンが配置される。コアは概して、別個に製造される。
【0037】
図10は、本発明のボードデッキの断面の概略図であり、連続繊維強化熱可塑性プラスチックの少なくとも2つの層の使用によって特徴付けられるボードの処理前の図を示している。図10に示されるように、コアのように機能する構造体は、強固な材料の少なくとも2つの薄い層(309a、309b)を使用することによって形成され得、これらの層は、プラスチック材料の層(118)によって分離されている。事実上、このサンドイッチ構造体(310)は、プラスチック層の処理および融合時に、強固なコアとして機能する。その利点は、残りの層が積み重ねられていくのとまったく同じ工程と順序で、コアが効率的に作られることである。これによって時間と材料費とが節約されると同時に、同じ剛性と強度でより薄くて軽いボードを作ることが可能となる。強固な材料の層は、好ましくは厚さ0.05mmから3mmの間、最も好ましくは1mmから2mmの間のポリプロピレンベースの熱可塑性プラスチックの生地を材料とする。層309a、309bの材料は、例えば、プラスチックマトリックス(PP、ポリエステル)に同クラスの繊維を加えた「自己強化」熱可塑性複合材であり得る。それは、軽くて硬く、非常に頑丈である。
【0038】
図11aから図11cは、本発明のボードデッキの断面の概略図であり、熱可塑性プラスチックマトリックスが軽量材料のポケットで埋め込まれている実施形態を示す。ボードの重要な性能特性は、重量である。軽量化のため、高いストレスを受けない領域は、軽量材料で満たされている。用語「軽量材料」によって、具体的には、コア(301)を囲むプラスチック材料のマトリックス(101)の密度よりも小さい密度を有する材料を意味する。一の好ましい実施形態において、この軽量材料は、バルサ材である。バルサ材の密度は典型的に、160kg/m3であり、プラスチック材の密度800kg/m3の5分の1である。10barから20barの圧力に耐えられ、ボードサンドイッチ構造体の処理中における160℃までの温度に耐えられる、幅広い他の材料が使用されてもよい。軽量材料のポケット(151)は、コア(301)の上下のマトリックス領域に沿って分布している。これらのポケットの分布は概して均等であるが、これは必ずしも必要ではない。これらの図において、軽量材料のポケット(151)は、正方形として図示されている。これは示唆に過ぎず、これらのポケットの形状は、実際には任意とすることができる。これらのポケット(151)は、図11aから図11cに示されているように、コアの上下の両方に配置され得、また、軽量材料のポケットがコア(301)の上のみまたは下のみに配置され得ることも可能である。他の実施形態(図示せず)において、軽量材料のポケットの大きさは、すべてのポケットで同じではない。
【0039】
図12aと図12bとは、本発明のボードデッキの断面の概略図であり、コア(301)が、ボードデッキの長さに沿って連続的に延びる複数の個別の補強材料のストリップ(311、312、313)を有する実施形態を示す。図12aは、ボードデッキの主軸に沿った縦方向において示されている補強材料のストリップを示す上面図である。図12bは、ボードデッキの厚さに沿った補強スリップ(314、315、316)の位置を概略的に示す断面X-Xを示している。図12aおよび図12bに示されるこの構成において、9本の補強ストリップがある。したがって、ボードデッキの要素としてのコアは、プラスチック材料のマトリックス内にある複数の個別の補強ストリップを有する。
【0040】
図13は、本発明のボードデッキの上面図の概略図であり、コアが、ボードデッキの長さに沿って連続的に延びていない複数の補強材料のストリップを有する実施形態を示す。この実施形態において、補強ストリップは、ボードデッキの全長に沿って連続的に延びておらず、組になって延びている。図13において、3組(317a、317b;318a、318b;319a、319b)が示されている。
【0041】
図14は、本発明のボードデッキの上面図の概略図であり、コアが、ボードデッキの長さに沿って連続的に延びていない複数の補強材料のストリップ(317a、317b;318a、318b;319a、319b)を有する一方で、プラスチックマトリックス(101)が軽量材料のポケット(151)を含む実施形態を示す。
【0042】
図15aは、本発明のボードデッキの断面図の概略図であり、コアが中空構造を有する実施形態を示しており、軽量材料のポケットがコアの中央中空領域内のプラスチックマトリックスに存在する。コアの構造(305)は、図7aで説明されたものと同様である。コアの中空領域(305)は、マトリックスのプラスチック材料で満たされており、この材料内には軽量材料のポケット(151)がある。これらの軽量材料のポケットは、マトリックスのプラスチック材料(152)によって囲まれている。好ましい実施形態において、軽量材料はバルサ材である。
【0043】
図15bは、本発明のボードデッキの上面図の概略図であり、コアが中空構造を有する実施形態を示しており、軽量材料のポケット(151)がコアの中央中空領域(305)内のプラスチックマトリックス(152)に存在する。
【0044】
図16aは、本発明のボードデッキの上面断面図の概略図であり、コア(301)が連続的な縦構造を有する実施形態を示しており、軽量材料のポケット(151)が2つの縦側面の各々におけるプラスチックマトリックス(101)に存在する。コアの縦側面の各々における領域は、より低い値のストレスを受けており、そこに軽量材料のポケットを配置することは、ボード全体の軽量化に寄与するにもかかわらず、ボードの強度を大きく低下させることにならない。
【0045】
図16bは、本発明のボードデッキの側断面図の概略図であり、コア(301)が連続的な縦構造を有する実施形態を示しており、軽量材料(151)のポケットが2つの縦側面の各々におけるプラスチックマトリックス(101)に存在する。この図から、軽量材料のポケット(151)がコア(301)と同じ高さにあることがわかる。
【0046】
図17aと図17bとは、コア材料がなく、プラスチックマトリックス材料の層の融合前後のボードの断面の概略図である。図17aに示される層(119)をまず、一緒に積み重ね、次に融点をちょうど超える付近まで加熱して加圧し、融合を生じさせ、図17bに示されるモノリシック構造体(103)を形成する。プラスチック材料は、マトリックスとしてのポリプロピレン(PP)コポリマーと補強材としての延伸PPホモポリマーとを含むPP複合材を有する。
【0047】
図18は、縦方向に沿って剛性が変化するボードの概略図である。可変剛性は、さまざまな状況において望ましくあり得る。例えば、縦方向に沿った硬い側端部と硬くない中央領域とは、より良い跳ね上がり特性を提供し得、ユーザが、跳ね上がり挙動に関する限りにおいて、より良い応答性得ることが可能となり得る。また、剛性の低い領域または高い領域を利用することによって、ボードの挙動の他の特性は、ユーザの好みに対して最適化され、カスタマイズされ得る。可変剛性は、製造中に補強層または補強ストリップの厚さおよび/または密度を調整することによって、またはより広範に補強構造の特性を調整することによって得られることができる。図18に示される一実施形態において、縦方向に沿ったボードの端部のより高い剛性は、補強ストリップ(321、322)の密度がより高く実現されるように、ボードの全長に沿った補強ストリップ(321)と比較して端部領域における追加の補強ストリップ(322)を有することによって、実現される。
【0048】
好ましい実施形態において、コアの製造は、
コア材料の層を所望の形状にカットすること、
所望の数の層を積み重ねること、
層を加熱し、圧力をかけて融合構造体を形成すること、
構造体を冷却させて凝固させること
のステップを有する。
【0049】
概して、コア材料の溶融温度が180℃以上であるのに対し、プラスチック材料の溶融温度は、180℃以下、好ましくは170℃以下である。コアは、複数の層を有しており、それらは具体的な形状にカットされ、一緒に積み重ねられ、180℃から240℃の間の温度に加熱され、一緒に接着または融合するためにプレスされ、それによりコアは、冷却時に単一の中実体となる。
【0050】
一実施形態において、コアの上面および/または下面は、粗いおよび/または波打っている。これは、コアとプラスチック材料との間の改良された接着を提供する。
【0051】
好ましい実施形態において、コアとプラスチック材料のプレーヤーとは、コアが室温まで完全に冷却される前に、一緒に型に配置され加熱されて、プラスチック材料の層が融合する。したがって、安定した固形状になって安全に取り扱えるようにコアが100℃以下に冷却されると、コアは、プラスチック材料の層と一緒に第2の型に配置される。この第2の型において、材料は、プラスチック材料が溶けて融合し、モノリシック構造体を作るように、約160℃まで一緒に加熱される。コアの融点以下であるこの温度では、コアは、固体のままでその形状を維持している。
【0052】
温度と圧力の選択は、コアと周囲のプラスチックとの間の異なる接着の度合いが実現されるように、選択される。コアと周囲のプラスチック材料との間の接着の度合いは、ボードの特性、特にボードの柔軟性と跳ね上がり性に影響を与え得る変数の1つである。
【0053】
ボードはさらに、印刷されたグラフィック層と、外面の保護層とを有する。
【0054】
本明細書に開示される一の好ましいボードの製造方法は、単一本体としてのコアを準備すること、ここで前記コアは加熱および加圧の適用によって一緒に融合された複数の層を有しており、複数の下部構造体の層をカットすること、コアの形状を収容する中空空間を作るための形状に複数の周囲構造体をカットすること、前記周囲構造体の層を前記下部構造体の層の上に配置すること、前記コアを周囲構造体の前記中空空間内に配置すること、複数の前記上部構造体の層をカットすること、前記コアと前記周囲構造体の層との上に前記上部構造体の前記層を配置してサンドウィッチアセンブリを形成すること、前記サンドイッチ構造体をプレス型に配置して前記サンドイッチ構造体を80℃から100℃の間の温度に予熱すること、温度を150℃から160℃に上昇させながらサンドイッチ構造体に10barから20barの圧力を5分から10分間適用すること、前記サンドイッチ構造体がプレス型内にある間に60℃までサンドイッチ構造体を冷却させること、前記サンドイッチ構造体を前記プレス型から取り出して室温まで冷却させること、を備える。
【0055】
ボードのカスタマイズは、以下のパラメータをベースとし得る。
a)ユーザの体重
b)衝撃吸収
c)跳ね上がり性
d)強度
【0056】
図19は、ボードのカスタマイズのためにユーザの好みを取り込むことが可能なインターフェイスの例である。
【0057】
ユーザの体重は、kgs単位で実際の数字として入力される。性能パラメータとしての衝撃吸収、跳ね上がり性、強度について、ユーザは、相対値を入力できる。ユーザはまた、3つの性能パラメータの中で優先順位を割り当てることができる。例えば、あるユーザは、第1優先として跳ね上がり性、第2優先として衝撃吸収を指定してもよい。
【0058】
ユーザの好みに基づいて、アルゴリズムは、標準化された有限数のボードの中から、そのユーザに最適なボードを選択する。例えば、生産効率のために、5つの標準化されたボードがあり得る。ユーザの選択に基づいて、アルゴリズムは、5つの標準ボードのうちどれが最適な条件に最も近いかを決定する。
【0059】
ボードの構造レベルにおいて、カスタマイズは、コアの構造、コアの上の層の数、コアの下の層の数によって実現される。
【0060】
本開示は、以下の節にしたがって提供する。
A1.スケートボードまたは他のエクストリームスポーツで使用するボードであって、ボードは、第1端部と第2端部との間の縦方向に沿って測定される長さと、第1縁部と第2縁部との間の横方向に沿って測定される幅と、底部と頂部との間で測定される厚さとを有しており、ボードの柔軟性と、ボードの跳ね上がり性と、強度とを含む製造中にカスタマイズ可能な性能パラメータを有しており、ボードは、表面に沿って延びるコアを含んでおり、ボードは、コアの下に位置する下部構造体と、コアの上に位置する上部構造体と、コアの周囲の周囲構造体とを含んでおり、前記下部構造体、上部構造体、および周囲構造体は、プラスチックまたはプラスチック複合材料を有しており、前記下部構造体、上部構造体、および周囲構造体は、プラスチックまたはプラスチック複合材料の複数の層を有しており、製造中に、当該プラスチックまたはプラスチック複合材料が融点付近および/または融点よりわずかに上まで加熱され、冷却されることにより、前記複数の層は、前記コアがモノリシックなプラスチックまたはプラスチック複合構造体によって包まれるように、融合して再凝固し、モノリシック構造体を形成することを特徴としており、ボードの特性は、コアの特性と、上部構造体の特性と、下部構造体の特性と、周囲構造体の特性との組合せ、およびコアと上面および/または下面との間の境界面、によって定められており、前記特性の調整は、ボードの調整可能な特性を提供する、ボード。
A2.プラスチック材料は、モノリシック構造体が作られるように、一緒に積み重ねられ、加熱され加圧されて、融合して溶融する層に配置されている、
節A1に記載のボード。
A3.10barから20barの圧力は、オートクレーブ環境内で適用される、
節A1または節A2に記載のボード。
A4.プラスチック材料は、ポリプロピレン(PP)を有しており、好ましくは、プラスチック材料は、マトリックスとしてのPPコポリマーと補強材としての延伸PPホモポリマーとを含むPP複合材を有する、
節A1~A3の何れかに記載のボード。
A5.コアの上下に等しい厚さのプラスチック材料がある、
節A1~A4の何れかに記載のボード。
A6.コアの上下のプラスチック材料の厚さは等しくなく、コアの下のプラスチック材料の層の数に対するコアの上のプラスチック材料の層の数は、所定のボードの重量に対するボードの柔軟性、強度、および跳ね上がり性の所望の特性をもたらすように配置されている、
節A1~A5の何れかに記載のボード。
A7.前記コアは、加熱され加圧されて単一の本体を形成する高強度複合材料の複数の層を有することを特徴とする、
節A1~A6の何れかに記載のボード。
A8.コア材料の各層の厚さは、0.05mmから3mmの間であり、前記層は、加熱されて融合する前に一緒に積み重ねられることを特徴とする、
節A1~A7の何れかに記載のボード。
A9.前記コアの前記層は、炭素繊維強化プラスチックを有することを特徴とする、
節A1~A8の何れかに記載のボード。
A10.コアは、中空の中央領域を有する本質的にリング形状の本体を有することを特徴とする、
節A1~A9の何れかに記載のボード。
A11.コアは、複数の層を有しており、当該層は、具体的な形状にカットされ、一緒に積み重ねられ、180℃から240℃の間の温度に加熱され、加圧されて一緒に接着または融合され、それによりコアが冷却時に単一の中実体となることを特徴とする、
節A1~A10の何れかに記載のボード。
A12.コアは、粗いおよび/または波打っている表面の上面および/または下面を有することを特徴とする、
節A1~A11の何れかに記載のボード。
A13.コアは、コアの上面または下面に複数のスロットまたはカットを有することを特徴とする、
節A1~A12の何れかに記載のボード。
A14.コアは、不均一な断面領域を有することを特徴とする、
節A1~A13の何れかに記載のボード。
A15.下部構造体は、印刷されたグラフィック層と、外面における保護層とをさらに有する、
節A1~A14の何れかに記載のボード。
A16.コアは、プラスチック材料のマトリックス内に複数の個別の補強ストリップを有する、
節A1~A15の何れかに記載のボード。
A17.コアを囲んでおり、コアと同じ高さにおけるプラスチックマトリックスは、軽量材料のポケットを有する、
節A1~A16の何れかに記載のボード。
A18.前記軽量材料のポケットは、バルサ材を有する、
節A1~A17の何れかに記載のボード。
A19.節A1~A18の何れかに記載のボードは、製造方法を有しており、当該製造方法は、単一本体としてのコアを準備すること、ここで前記コアは加熱および加圧の適用によって一緒に融合された複数の層を有しており、複数の下部構造体をカットすること、コアの形状を収容する中空空間を作るための形状に複数の周囲構造体の層をカットすること、前記周囲構造体の前記層を前記下部構造体の層の上に配置すること、前記コアを周囲構造体の前記中空空間内に配置すること、複数の前記上部構造体の層をカットすること、前記コアと前記周囲構造体の層との上に前記上部構造体の前記層を配置してサンドウィッチアセンブリを形成すること、前記サンドイッチ構造体をプレス型に配置して前記サンドイッチ構造体を80℃から100℃の間の温度に予熱すること、温度を150℃から160℃に上昇させながらサンドイッチ構造体に10barから20barの圧力を5分から10分間適用すること、前記サンドイッチ構造体がプレス型内にある間にサンドイッチ構造体を60℃まで冷却させること、前記サンドイッチ構造体を前記プレス型から取り出して室温まで冷却させること、を備える。
A20.前記ボードは、ユーザがインターフェイスで重量と、跳ね上がり性、衝撃吸収、および強度を含む性能パラメータとを入力し、少なくとも跳ね上がり性、衝撃吸収、および強度の特性の中で優先順位を定めることを可能とすることによってカスタマイズされており、ユーザの入力に基づいて、アルゴリズムは、標準化された有限数のボードの中からそのユーザに最適なボードの選択を行っており、前記カスタマイズは、コアの構造、コアの上の層の数、およびコアの下の層の数の適切な選択によって実現されることを特徴とする、
節A1~A19の何れかに記載のボード。
A21.スケートボードまたは他のエクストリームスポーツで使用するためのボードであって、ボードは、第1端部と第2端部との間の縦方向に沿って測定される長さと、第1縁部と第2縁部との間の横方向に沿って測定される幅と、底部と頂部との間で測定される厚さとを有しており、前記ボードは、表面に沿って延びるコアを有しており、ボードは、コアの下に位置する下部構造体と、コアの上に位置する上部構造体と、コアの周囲の周囲構造体とを有しており、前記下部構造体、上部構造体、および周囲構造体は、プラスチックまたはプラスチック複合材料を有しており、前記下部構造体、上部構造体、および周囲構造体は、プラスチックまたはプラスチック複合材料の複数の層を有しており、製造中に、当該プラスチックまたはプラスチック複合材料が融点付近および/または融点よりわずかに上まで加熱され、冷却されることにより、前記複数の層は、前記コアがモノリシックなプラスチックまたはプラスチック複合マトリックス構造体によって包まれるように、融合して再凝固し、モノリシック構造体を形成することを特徴としており、ボードの特性は、コアの特性と、上部マトリックス構造体の特性と、下部マトリックス構造体の特性と、周囲マトリックス構造体の特性との組合せによって定められており、前記上部マトリックス構造体および/または前記下部マトリックス構造体および/または前記周囲構造体は、軽量材料のポケットを有しており、前記軽量材料の密度は、400kg/m3未満であることを特徴とする、ボード。
A22.前記コアは、プラスチック材料のマトリックス内に複数の個別の補強ストリップを有することをさらに特徴とする、
節A1~A21の何れかに記載のボード。
A23.スケートボードまたは他のエクストリームスポーツに使用するボードであって、ボードは、第1端部と第2端部との間の縦方向に沿って測定される長さと、第1縁部と第2縁部との間の横方向に沿って測定される幅と、底部と頂部との間で測定される厚さとを有しており、プラスチック材料で構成されており、プラスチック材料は、モノリシック構造体が作られるように、一緒に積み重ねられ、加熱され加圧されて、融合して溶融する層に配置されていることを特徴としており、プラスチック材料は、マトリックスとしてのポリプロピレン(PP)コポリマーと補強材としての延伸PPホモポリマーとを含むPP複合材を有する、ボード。
A24.前記ボードは、一緒に積み重ねられ、融合されてモノリシック構造体を形成する層の数によってカスタマイズされる、
節A1~A23の何れかに記載のボード。
A25.前記ボードは、ユーザがインターフェイスで重量と、跳ね上がり性、衝撃吸収、および強度を含む性能パラメータとを入力し、少なくとも跳ね上がり性、衝撃吸収、および強度の特性の中での優先順位を定めることを可能とすることによってカスタマイズされており、ユーザの入力に基づいて、アルゴリズムは、標準化された有限数のボードの中からそのユーザに最適なボードの選択を行っており、前記カスタマイズは、層の数の適切な選択によって実現されることを特徴とする、
節A1~A24の何れかに記載のボード。
A26.プラスチック材料の層内には、軽量材料のポケットが挿入されており、前記軽量材料は、バルサ材を有する、
節A1~A25の何れかに記載のボード。
A27.スケートボードまたは他のエクストリームスポーツで使用するボードであって、ボードは、第1端部と第2端部との間の縦方向に沿って測定される長さと、第1縁部と第2縁部との間の横方向に沿って測定される幅と、底部と頂部との間で測定される厚さとを有しており、ボードは、表面に沿って延びるコアを含んでおり、ボードは、コアの下に位置する下部構造体と、コアの上に位置する上部構造体と、コアの周囲の周囲構造体とを含んでおり、前記下部構造体、上部構造体、および周囲構造体は、プラスチックまたはプラスチック複合材料を有しており、前記下部構造体、上部構造体、および周囲構造体は、プラスチックまたはプラスチック複合材料の複数の層を有しており、製造中に、当該プラスチックまたはプラスチック複合材料が融点付近および/または融点よりわずかに上まで加熱され、冷却されることにより、前記複数の層は、前記コアがモノリシックなプラスチックまたはプラスチック複合構造体によって包まれるように、融合して再凝固し、モノリシック構造体を形成することを特徴としており、ボードの特性は、コアの特性と、上部構造体の特性と、下部構造体の特性と、周囲構造体の特性との組み合わせによって定められており、プラスチック材料は、ポリプロピレン(PP)を有しており、好ましくは、プラスチック材料は、マトリックスとしてのPPコポリマーと補強材としての延伸PPホモポリマーとを含むPP複合材を有することを特徴とする、ボード。
A28.第1端部と第2端部との間のボードの縦方向に沿った可変剛性があり、前記可変剛性は、補強層または補強構造のバリエーションによって実現されることを特徴とする、
節A1~A26の何れかに記載のボード。
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図7c
図8
図9
図10
図11a
図11b
図11c
図12a
図12b
図13
図14
図15a
図15b
図16a
図16b
図17a
図17b
図18
図19
【国際調査報告】