(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】ハードディスクドライブの不均一なディスクシュラウドクリアランス
(51)【国際特許分類】
G11B 33/12 20060101AFI20241031BHJP
G11B 25/04 20060101ALI20241031BHJP
G11B 21/21 20060101ALI20241031BHJP
G11B 33/14 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
G11B33/12 313C
G11B25/04 101W
G11B21/21 D
G11B33/14 501B
G11B33/14 501L
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527804
(86)(22)【出願日】2023-03-28
(85)【翻訳文提出日】2024-05-13
(86)【国際出願番号】 US2023016510
(87)【国際公開番号】W WO2023192234
(87)【国際公開日】2023-10-05
(32)【優先日】2022-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504056130
【氏名又は名称】ウェスタン デジタル テクノロジーズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン、アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】廣野 好之
(72)【発明者】
【氏名】荒井 優一
(57)【要約】
ハードディスクドライブエンクロージャベースが、上部から床部まで延在する不均一なディスクシュラウド表面を含み、シュラウド表面が、シュラウド表面の円周に沿って第1の半径及びクリアランスを有する第1の部分と、より小さい第2の半径及びクリアランスを有する第2の部分とを含む。シュラウド表面の第2の部分が、駆動フォームファクタが特に制約となる複数の場所に、ベース部分の内側空洞の周囲にガスケット封止を適用するための十分な封止ランド面の必要性を考慮して、配置され得る。ディスクシュラウドクリアランスを可能な限り広げることにより、ディスク縁部にかかる剪断応力を低減することができ、それによって、特にディスクフラッタが問題とならないヘリウム充填ドライブの場合に、風損抗力及び関連するディスクスピンドルモータの電力消費を低減することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードディスクドライブ(HDD)であって、
スピンドル上に回転可能に装着されたディスク媒体と、
前記ディスク媒体に対して読み取り及び書き込みするように構成された読み書きトランスデューサを収容するヘッドスライダと、
前記ヘッドスライダを移動させて前記記録ディスク媒体の部分にアクセスするように構成されたアクチュエータと、
前記ディスク媒体、前記ヘッドスライダ、及び前記アクチュエータを収容するエンクロージャベースと、を備え、前記ベースが、前記ディスク媒体の一部に円周方向に近接する内部ディスクシュラウド構造体を含み、前記ディスクシュラウドが、
前記ディスク媒体の平面内において、前記ディスク媒体の外縁部との間に第1のクリアランスを有する第1の部分と、
前記ディスク媒体の前記平面内において、前記ディスク媒体の前記外縁部とは異なる第2のクリアランスを有する第2の部分と、を含む、ハードディスクドライブ(HDD)。
【請求項2】
前記第2の部分が、前記ディスクシュラウドに沿った複数の特定の位置に配置される、請求項1に記載のHDD。
【請求項3】
前記第2の部分が、前記ベースの0°位置、90°位置、及び180°位置に配置され、前記アクチュエータのアームが270°位置付近にある、請求項2に記載のHDD。
【請求項4】
前記ディスク媒体が、複数のディスク媒体のディスクスタックの一部であり、
前記第2のクリアランスが、前記第1のクリアランスよりも小さく、
前記第2のクリアランスが、前記ディスクスタックの高さに沿って実質的に一定である、請求項1に記載のHDD。
【請求項5】
前記第2のクリアランスが、前記第1のクリアランスよりも小さく、
前記第2の部分が、前記ディスクシュラウドがベース側壁構造体と一体化される前記ディスクシュラウドに沿った複数の場所に配置され、
前記ベース側壁構造体が、第1の厚さを有する上部リブ部分と、前記上部リブに当接して前記上部リブから内側に突出し、前記第1の厚さよりも大きい第2の厚さを有する封止座部構造体と、前記封止座部の下にあり、前記第1の厚さよりも大きく前記第2の厚さよりも小さい第3の厚さを有する下部側壁部分と、を備える、請求項1に記載のHDD。
【請求項6】
前記ベース側壁の前記下部側壁部分の前記第3の厚さが、前記ベースの床部まで下方に延在して実質的に一定である、請求項5に記載のHDD。
【請求項7】
前記ベースに結合された第1のカバーと、
前記第1のカバーと前記ベースとの間の境界面を封止するように構成されたガスケット封止と、を更に備え、
前記ガスケット封止が、前記封止座部に着座する、請求項5に記載のHDD。
【請求項8】
前記ベース側壁構造体が、前記上部リブ部分と前記封止座部との間にオフセットステップ表面を更に備え、
前記第1のカバーが、前記ステップ表面を覆って実質的に前記上部リブ部分まで延在している、請求項7に記載のHDD。
【請求項9】
前記封止座部の前記第2の厚さが、1.1~2.1ミリメートルからなる範囲内にあり、
前記下部側壁部分の前記第3の厚さと前記封止座部の前記第2の厚さとの間の差が、0.4~1.4ミリメートルからなる範囲内にある、請求項5に記載のHDD。
【請求項10】
ハードディスクドライブのためのエンクロージャベース部分であって、前記ベースが、
上部から床部まで延在する内部円形シュラウド表面を備え、前記シュラウド表面が、
前記シュラウド表面の前記円周に沿って第1の半径を有する第1の部分と、
前記シュラウド表面の前記円周に沿って異なる第2の半径を有する第2の部分と、を備える、エンクロージャベース部分。
【請求項11】
前記第2の部分が無限の曲率半径を有する、請求項10に記載のエンクロージャベース部分。
【請求項12】
前記第2の部分が、前記第1の部分の第1の曲率半径とは異なる有限の第2の曲率半径を有する、請求項10に記載のエンクロージャベース部分。
【請求項13】
前記シュラウド表面の前記第2の部分が、前記シュラウド表面に沿った複数の位置に配置される、請求項10に記載のエンクロージャベース部分。
【請求項14】
前記第2の部分が、前記ベースの0°位置、90°位置、及び180°位置に配置される、請求項13に記載のエンクロージャベース部分。
【請求項15】
前記第2の半径が、前記第1の半径よりも小さく、
前記第2の半径が、前記上部から前記床部まで実質的に一定である、請求項10に記載のエンクロージャベース部分。
【請求項16】
前記第2の半径が、前記第1の半径よりも小さく、
前記第2の部分が、前記シュラウド表面がベース側壁構造体と一体化される前記シュラウド表面に沿った複数の場所に配置され、
前記ベース側壁構造体が、第1の厚さを有する上部リブ部分と、前記上部リブに当接し、前記上部リブから内側に突出し、前記第1の厚さよりも大きい第2の厚さを有する封止着座構造体と、前記封止着座構造体の下にあり、前記第1の厚さよりも大きい第3の厚さを有する下部側壁部分と、を備える、請求項10に記載のエンクロージャベース部分。
【請求項17】
前記第3の厚さが、前記第2の厚さよりも小さい、請求項16に記載のエンクロージャベース部分。
【請求項18】
前記ベース側壁の前記下部側壁部分の前記第3の厚さが、前記床部まで下方に延在して実質的に一定である、請求項16に記載のエンクロージャベース部分。
【請求項19】
前記ベース側壁構造体が、前記上部リブ部分と前記封止着座構造体との間にオフセットステップ表面を更に備え、前記オフセットステップ表面が、前記ベースと結合するために、前記ステップ表面を覆って実質的に前記上部リブ部分まで延在するようにカバーを着座させるように構成されている、請求項16に記載のエンクロージャベース部分。
【請求項20】
空気より軽いガス充填ハードディスクドライブ(HDD)であって、
スピンドル上に回転可能に装着された複数のディスク媒体と、
前記ディスク媒体のうちの少なくとも1つに対して読み取り及び書き込みを行うように構成された、読み書きトランスデューサを収容するヘッドスライダと、
前記ヘッドスライダを移動させて前記ディスク媒体の部分にアクセスするための手段と、
前記ディスク媒体、前記ヘッドスライダ、及び前記移動させるための手段を収容するための手段と、を備え、前記ディスク媒体の一部分に円周方向に近接する内部ディスクシュラウド構造体を含み、前記ディスクシュラウドが、
前記ディスク媒体の外縁部に対して第1の間隙を有する第1の部分と、
前記ディスクシュラウド構造体の前記円周に沿った複数の位置において、前記ディスク媒体の前記外縁部に対して異なる第2の間隙を有する第2の部分と、を含み、
前記第2の間隙が、前記第1の間隙よりも小さく、前記第2の間隙が、前記複数のディスク媒体の高さに沿って実質的に一定である、HDD。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年04月01日に出願された「HARD DISK DRIVE NON-UNIFORM DISK SHROUD CLEARANCE」と題する米国非仮出願第17/712,023号の全内容の利益を主張し、あらゆる目的のために、参照により本明細書に組み込む。
【0002】
(発明の分野)
本発明の実施形態は、概してハードディスクドライブに関し、特に、記録ディスクと周囲のシュラウド構造体との間の不均一なクリアランスへの手法に関し得る。
【背景技術】
【0003】
ハードディスクドライブ(hard disk drive、HDD)は、保護エンクロージャ内に収容され、磁気表面を有する1つ以上の円形ディスク上にデジタル符号化データを記憶する、不揮発性記憶デバイスである。HDDが動作中のとき、各磁気記録ディスクは、スピンドルシステムによって急速に回転される。データは、アクチュエータによってディスクの特定の場所の上に位置付けられたスライダに収容された読み取り-書き込みヘッド(又は「トランスデューサ」)を使用して磁気記録ディスクから読み取られ、磁気記録ディスクに書き込まれる。読み取り-書き込みヘッドは、磁場を使用して、磁気記録ディスクの表面にデータを書き込み、この表面からデータを読み取る。書き込みヘッドは、書き込みヘッドのコイルを通って流れる電流を使用して磁場を生成することによって機能する。異なるパターンの正及び負の電流を伴って、書き込みヘッドに電気パルスが送られる。書き込みヘッドのコイル内の電流は、ヘッドと磁気記録ディスクとの間の間隙にわたる局所的な磁場を生成し、この記録媒体上の小領域を順番に磁化する。
【0004】
記録ディスクは動作中にHDD内で回転するので、ガス流が生成される。実際、読み取り-書き込みヘッドが収容される空気軸受スライダ(又は一般にガス軸受スライダ)は、目的通りに機能するためにディスク上を飛行するために、そのようなガス流に依存する。しかしながら、HDD内で生成されるそのようなガス流は、ディスクスタックに衝突するか又はディスクスタックと相互作用するときに、有害な動作上の影響を有する可能性がある。したがって、HDD内のガス流を管理することは、進行中の設計課題と考えられる。
【0005】
本セクションに説明され得るいずれの手法も、追求され得る手法であるが、必ずしも以前に考案又は追求されている手法ではない。したがって、別段の指示がない限り、本セクションに記載された手法のいずれも、それらが本セクションに含まれることによって単に先行技術として適格であると仮定されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
実施形態は、添付図面の図において、限定としてではなく、例として示されており、同様の参照番号は類似の要素を指す。
【
図1】実施形態によるハードディスクドライブを示す平面図である。
【
図2】均一なディスクシュラウドを有する例示的なハードディスクドライブベースプレートを示す斜視図である。
【
図3A】一実施形態による、不均一なディスクシュラウドを有するハードディスクドライブベースプレートを示す斜視図である。
【
図3B】一実施形態による、ディスクスタックが設置された
図3Aのハードディスクドライブベースプレートを示す平面図である。
【
図4A】第1の実施形態による、ハードディスクドライブベースプレート封止側壁を示す側断面図である。
【
図4B】第2の実施形態による、ハードディスクドライブベースプレート封止側壁を示す側断面図である。
【
図4C】第3の実施形態による、ハードディスクドライブベースプレート封止側壁を示す側断面図である。
【
図4D】第4の実施形態による、ハードディスクドライブベースプレート封止側壁を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
一般的に、記録ディスクと周囲のシュラウド構造体との間の不均一なクリアランスに対する手法が説明される。以下の明細書では、説明を目的として、本明細書に記載された本発明の実施形態の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、本明細書に記載された本発明の実施形態は、これらの具体的な詳細なしで実施され得ることは明らかであろう。他の例では、本明細書に説明された本発明の実施形態を不必要に不明瞭にすることを回避するために、周知の構造及びデバイスがブロック図の形態で表され得る。
【0008】
導入
用語
本明細書における「実施形態」、「一実施形態」などへの言及は、記載されている特定の特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味することが意図される。しかしながら、そのような語句の実例は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すとは限らない。
【0009】
「実質的に」という用語は、大部分又はほぼ構造化された、構成された、寸法決めされたなどの特徴を記載していることが理解されるであろうが、その製造公差などは、実際には、構造、構成、寸法などが、常には又は必ずしも正確に述べられない状況を結果として生じ得る。例えば、「実質的に垂直な」として構造を記載するとすれば、側壁は全ての実用上の目的で垂直であるが、正確に90度ではない場合があるように、その用語にはその明白な意味が割り当てられる。
【0010】
「最適な」、「最適化する」、「最小の」、「最小化する」、「最大の」、「最大化する」などの用語は、それと関連付けられた特定の値を有しない場合があるが、そのような用語が本明細書で使用される場合、当業者であれば、そのような用語が、本開示の全体と一致する有益な方向に、値、パラメータ、メトリックなどに影響を及ぼすことを含むと理解することが意図される。例えば、何かの値を「最小」として記載することは、値が実際に理論上の最小値(例えば、ゼロ)に等しいことを必要としないが、対応する目標が理論上の最小値に向かって有益な方向に値を移動させることになるという点で、実際的な意味で理解されるべきである。
【0011】
「気密」という用語は、ガスの漏出又は透過経路を名目上有しない(又は無視できる)ように設計された封止配置を記述すると理解されるであろう。なお、「気密の」、「無視できる漏出」、「漏出なし」などの用語が本明細書で使用され得るが、そのようなシステムは、多くの場合、それでも一定の量の透過性を有し、したがって、絶対に漏出がないわけではないことに留意されたい。
【0012】
コンテキスト
ハードディスクドライブ(HDD)内で記録ディスクを回転させることによって生成されるガス流は、ディスクスタックに衝突するか又はディスクスタックと相互作用するときに、有害な動作上の影響を有する可能性があることを想起されたい。内部ガス流のそのような影響の1つは、ディスクスタックを回転させるスピンドルモータに関連する電力消費を含む。駆動装置内で空気の代わりにヘリウムを使用すること、及び/又はモータRPM(毎分回転数)を低下させることは、風損抗力による電力消費を低下させるための既知の手法である。しかしながら、スピンドルモータの電力消費を低下することに関して、より多くを達成することができる。
【0013】
ディスクシュラウドは、ヘッドスタックアセンブリ(HSA)がディスク上で動作するための空間を作るために、シュラウドが特定の範囲、典型的には完全な360°未満の弧にわたってディスクの円周を実質的に取り囲むように、内部空間内でディスクスタックに近接して配置された構造面(複数可)を指す。シュラウドとディスクとの間のクリアランスは、典型的には、ディスクの周囲にわたって連続的かつ一定(すなわち、均一)であり、典型的には、特に空気ベースの製品の場合、ディスクフラッタを低減するために可能な限り狭く保たれる。そのような狭いクリアランスは、スピンドルモータがより多くの電力を使用することを必要とするより多くの風損抗力を生成する。しかしながら、ヘリウムベース(又は他の空気よりも軽いガス)のドライブでは、ディスクフラッタのリスクはほとんどないが、クリアランスは、典型的には、空気ドライブから持ち越される伝統のために依然として非常に狭く保たれる。
【0014】
図2は、ハードディスクドライブ(HDD)ベースプレートを示す斜視図である。エンクロージャベースプレート200(以下、「ベース200」)は、シュラウド全体の周りに均一な半径(及び均一な曲率半径、すなわち、所与の点で曲線に接触する円の半径)、したがって対応する記録ディスク(複数可)との均一又は一定の間隙(「クリアランス」とも呼ばれる)を有する、本明細書で「均一な」ディスクシュラウドと呼ばれるものを有する例示的な構成を表す。ベース200は環状表面202を備え、その上に記録ディスクのスタック(ここでは図示せず)があり、(例えば、
図1の記録媒体120を参照)は、スピンドルモータ224(例えば、
図1のスピンドル124も参照)上に設置され、均一ディスクシュラウド204(又は単に「シュラウド204」)は、環状表面202、したがって、特定の範囲のディスクスタックの円周又は周囲を取り囲む。典型的には、ガスケット封止(例えば、FIPG又は「定位置形成ガスケット」)が、内側空洞領域の周囲及び近位でベース200を覆って設置される。また、
図2には、本明細書において3時(又は0°)、12時(又は90°)、及び9時(又は180°)の位置と呼ばれる環状表面202及びシュラウド204の周りの位置が示されており、シュラウド204が存在しない(アクチュエータが動作する)領域は、6時(又は270°)の位置を含む。
【0015】
不均一なディスクシュラウドクリアランス
一実施形態によれば、ディスクシュラウドクリアランスを広げることは、ディスクリム(又は「縁部」)に及ぼされる剪断応力を低減するために実施され、それによって、風損トルク及び抗力並びに電力消費を低減する。一般に、シュラウドクリアランスが広いほど、曲線が平らになるまで(例えば、約3mmの間隙で)風損抗力が低下される。しかしながら、ヘリウム駆動装置の典型的な設計は、例えば0.25mm未満程度の一定のシュラウドクリアランスを利用する。その理由は、主に、駆動フォームファクタが特に制約される3時、9時、及び12時の位置におけるベースプレートの厚さ制限を押し上げる大きなディスク直径(例えば、いくつかの現在の製品では97mm)と、ベース部分の内側空洞の周囲にガスケット封止を適用するための封止ランド(又は「座部」)表面の必要性とによる。したがって、シュラウドクリアランスを広げることに対する制限は、主に、又は単に、3時、9時、12時の位置における壁厚制約及び封止ランド問題に起因するので、一実施形態によれば、より広いシュラウドクリアランスが、ディスク縁部の周囲に沿った他の場所で利用可能であり得る。
【0016】
図3Aは、不均一なディスクシュラウドを有するハードディスクドライブベースプレートを示す斜視図であり、
図3Bは、ディスクスタックが設置された
図3Aのハードディスクドライブベースプレートを示す平面図であり、両方とも実施形態によるものである。記録ディスク、アクチュエータアームアセンブリ、ヘッドスライダなどのハードディスクドライブ(HDD)の内部構成要素を収容するように構成されたエンクロージャベース300(又は単に「ベース300」又は「ベースプレート」)は、内部不均一なディスクシュラウド構造体、ディスクシュラウド304を備える。ディスクシュラウド304は、本明細書では円形シュラウド表面とも呼ばれるが、その理由は、他の箇所で説明するように、代替的な用語は、シュラウドが特定の範囲の弧に対してディスクの円周を実質的に取り囲むように、内部空間内でディスクスタックに近接して配置された構造面(複数可)を指すからである。
図2のベース200とは対照的に、ここでは、ベース300は、不均一で一定でない半径を有し、したがって、ディスクスタックの対応する記録ディスク(複数可)320の外縁部又はリムとの間に不均一又は一定でない間隙を有するという点で、本明細書では「不均一」ディスクシュラウドと呼ばれる。
【0017】
不均一であるため、ディスクシュラウド304は、ディスク媒体320の外縁部に対して第1のクリアランス305a(又は「間隙」)を有する第1の部分304aと、ディスク媒体320の外縁部に対して異なる第2のクリアランス305bを有する第2の部分304bとを備える。別の言い方をすれば、ベース300は、シュラウド304表面の円周に沿って第1の半径raを有する第1の部分304aと、シュラウド304表面の円周に沿って異なる第2の半径rbを有する第2の部分304bとを備える円形ディスクシュラウド304表面を備える。例えば、単一のディスク媒体320のみが存在する場合、ディスクシュラウド304の第1及び第2の部分304a、304bに対応する第1及び第2のクリアランス305a、305bは、ディスク媒体320の平面、すなわち、ディスク媒体320の縁部とディスクシュラウド304との間の距離に関連する。
【0018】
一実施形態によれば、図示されるように、第2の部分304bは、ディスクシュラウド304に沿った複数の特定の位置又は場所に配置される。すなわち、第2の部分は、3時(又は0°)、12時(又は90°)、及び9時(又は180°)の位置に配置されてもよく(参照のために、アクチュエータが動作する
図3A~
図3Bの下部において、シュラウド304がない領域は、6時又は270°の位置を含む(例えば
図2を参照))、ここで、駆動フォームファクタは、所与のフォームファクタに対して、そのような場所におけるベース側壁のための限定された空間を考慮して、ベース300の主空洞の周囲の周りのガスケット封止306のための座部又はランドの必要性のために、特に制約を受ける。第2の部分304b及び第2のクリアランス(複数可)305bの位置(複数可)は、実装ごとに異なってもよいが、ディスク媒体320(「ディスクスタック」)がベース300の外側境界、したがって一般に対応するハードディスクドライブの外側境界に最も近い場所に、より小さいクリアランス(複数可)が位置する可能性がある。
【0019】
ディスクシュラウド304の第1の部分304a及び第2の部分304b、並びにそのような部分間の移行部が実装される方法は、実装ごとに異なり得る。例えば、一実施形態によれば、第2の部分(複数可)304bは、
図3A~3Bに示すように、ディスクシュラウド304の円周の特定の範囲にわたって実質的に平坦な表面(例えば、上から見て直線として)を構成し得る。曲率半径に関して別の言い方をすれば、第2の部分304bの曲率半径は無限大である。例えば、一実施形態によれば、第2の部分(複数可)304bは、ディスクシュラウド304の円周の特定の範囲にわたって(例えば、上から見て弧として)曲線表面を構成し得る。この場合、第2の部分304bは、第1の部分304aの第1の曲率半径とは異なる有限の第2の曲率半径を有し、すなわち、異なる部分304a、304bは、異なって湾曲され得る。更に、一実施形態によれば、第1及び第2の部分304a、304bの各々は、実質的に同じ曲率半径を共有することができるが、そのような曲率半径の異なる有効中心点を有し、したがって、依然として異なる半径を有する。いずれにしても、ディスクシュラウド304の第2の部分304bの第2の半径r
bは、ディスクシュラウド304の第1の部分304aの第1の半径r
aより小さく、第2の半径r
bは、ディスクシュラウド304の上部からディスクシュラウド304の床部まで実質的に一定である。したがって、ディスクスタックの場合、ディスクスタック内のディスク媒体320の外縁部とディスクシュラウド304の第2の部分304bとの間の間隙又はクリアランスは、ディスクスタックの有効高さに沿って実質的に一定である。
【0020】
制約された場所でのシュラウドクリアランスの拡張
図3A~
図3Bに戻って参照すると、容易に可能な場合、例えばディスクシュラウド304の第1の部分(複数可)304aにおいてクリアランス305aを広げる目的は、ディスク縁部に及ぼされる剪断応力を低減し、それによって風損トルク並びに抗力及び電力消費を低減することであることを想起されたい。これは、特に、ヘリウム又は他の空気より軽いガスが充填されたハードディスクドライブに適用可能であり、ディスクフラッタ及び関連する「最小クリアランス」設計目標は、妥協の問題ではない。しかしながら、ディスクシュラウド304の第2の部分(複数可)304bにおいてクリアランス305bを広げることは、ディスク縁部に及ぼされる剪断応力を更に低減し、それによって関連するディスクスピンドルモータの電力消費を更に低減しようと試みるために、駆動フォームファクタ、側壁厚さ、及び封止着座に関連する制約を考慮して検討される。
【0021】
図4Aは、第1の実施形態による、ハードディスクドライブベースプレート封止側壁を示す側断面図である。ベース側壁構造体400は、直径97mm(ミリメートル)の記録ディスク(複数可)を使用するハードディスクドライブ(HDD)用のディスクシュラウド/表面を含み、ディスクシュラウドクリアランスを広げるためにベース鋳造の追加の処理が行われない側壁構成の例を表す。ベース側壁構造体400は、第1の厚さを有する上部リブ401部分と、上部リブ401に当接してそこから内側に突出し、第1の厚さよりも大きい第2の厚さを有する封止座部402又はランド構造と、封止座部402の下にあり、第1の厚さよりも大きい第3の厚さを有する下部側壁403部分とを備える。ここで、非限定的な例として、97mmのディスク媒体及び97.45mmのディスクシュラウド直径では、各ディスク媒体408と下部側壁403との間に0.225mmのクリアランスがある。第1のカバー405は、第1のカバー405とベース側壁構造体400との間の境界面を封止する(例えば、半気密に)ために、封止座部402上に着座されるガスケット封止406(例えば、FIPG封止)の上に示され、第2のカバー407は、第1のカバー405の上のベース側壁構造体400に結合され、気密封止される(例えば、溶接される)。
【0022】
図4Bは、第2の実施形態による、ハードディスクドライブベースプレート封止側壁を示す側断面図である。ここで、ベース側壁構造体410は、やはり直径97mmの記録ディスク(複数可)を使用するハードディスクドライブ(HDD)用のディスクシュラウド/表面を含む側壁構成を示し、ベース鋳造物のアンダーカット機械加工による追加の処理が、3時、9時、12時の位置などでディスクシュラウドクリアランスを広げるために行われる。ベース側壁構造体410は、第1の厚さを有する上部リブ411部分と、上部リブ411に当接してそこから内側に突出し、第1の厚さよりも大きい第2の厚さを有する封止座部412構造と、封止座部412の下にあり、第1の厚さよりも大きく第2の厚さよりも小さい第3の厚さを有する下部側壁413部分とを備える。一実施形態によれば、下部側壁413の第3の厚さは、実質的に一定であり、ディスクシュラウドの床部まで下方に延在している。分析により、意図された目的のための封止座部412の第2の厚さの適切な寸法は、1.1mm~2.1mmの範囲内であり、意図された目的のための下部側壁413の第3の厚さと封止座部412の第2の厚さとの間の適切な差(例えば、「アンダーカット」寸法)は、0.4mm~1.4mmの範囲内であることが示された。ここで、97mmのディスク媒体及び下部側壁413における98.35mmのディスクシュラウド直径では、非限定的な例として、ディスク媒体418と下部側壁413との間に0.675mmの最大クリアランスが存在する(
図4Aのベース側壁構造体400に対して0.45mmの追加が得られる)。しかしながら、アンダーカット機械加工は比較的困難であると考えられ、ベースプレート鋳造抜き勾配(複数可)を単に補償するために、
図4Aの典型的なベースライン機械加工よりも限界精度及び増加した機械加工時間を伴う。第1のカバー415は、第1のカバー415とベース側壁構造体410との間の境界面を封止する(例えば、半気密に)ために、封止座部412上に着座されるガスケット封止416(例えば、FIPG封止)の上に示され、第2のカバー417は、第1のカバー415の上のベース側壁構造体410に結合され、気密封止される(例えば、溶接される)。
【0023】
図4Cは、第3の実施形態による、ハードディスクドライブベースプレート封止側壁を示す側断面図である。ここで、ベース側壁構造体420は、やはり直径97mmの記録ディスク(複数可)を使用するハードディスクドライブ(HDD)用のディスクシュラウド/表面を含む側壁構成を示し、ベース鋳造物の機械加工による追加の処理が、3時、9時、12時の位置などでディスクシュラウドクリアランスを広げるために行われる。ベース側壁構造体420は、第1の厚さを有する上部リブ421部分と、上部リブ421に当接してそこから内側に突出し、第1の厚さよりも大きい第2の厚さを有する封止座部422構造と、封止座部422の下にあり、第1の厚さよりも大きい第3の厚さを有する下部側壁423部分とを備える。一実施形態によれば、下部側壁423の第3の厚さは、実質的に一定であり、ディスクシュラウドの床部まで下方に延在している。ここで、非限定的な例として、97mmのディスク媒体で、下部側壁423におけるディスクシュラウド直径が98.35mmである場合、各ディスク媒体428と下部側壁423との間にやはり0.675mmのクリアランスが存在する(
図4Aのベース側壁構造体400よりも0.45mm追加が得られる)。第1のカバー425は、第1のカバー425とベース側壁構造体420との間の境界面を封止する(例えば、半気密に)ために、封止座部422上に着座されるガスケット封止426(例えば、FIPG封止)の上に示され、第2のカバー427は、第1のカバー425の上のベース側壁構造体420に結合され、気密封止される(例えば、溶接される)。
【0024】
ここで、上部リブ421は、
図4Bの上部リブ411よりも多く機械加工され、したがって、上部リブ421は、上部リブ411よりも薄い。ベース側壁構造体420は、上部リブ部分421と封止座部422との間にオフセットステップ(又は段付き)表面424を更に備え、それによって、第1のカバー425は、上部リブ421に接触するか、又は実質的に接触するように、ステップ表面424を覆って延在するように拡張されることができ、ガスケット封止426は、ステップ表面424の内側の封止座部422上に着座される。しかしながら、封止座部422の封止面が減少するので、第1のカバー425の封止が懸念される場合があり、より薄い上部リブ421に第2のカバー427をレーザ溶接することも、より薄い上部リブ421に起因して懸念される場合がある。更に、より薄い側壁部分に起因して、ねじれに対するベース剛性が低下する可能性がある。しかし、有利には、ベース側壁構造体420は、98mmディスク構成を支持するように構成される。
【0025】
図4Dは、第4の実施形態による、ハードディスクドライブベースプレート封止側壁を示す側断面図である。ここで、ベース側壁構造体430は、やはり直径97mmの記録ディスク(複数可)を使用するハードディスクドライブ(HDD)用のディスクシュラウド/表面を含む側壁構成を示し、ベース鋳造物の機械加工による追加の処理が、3時、9時、12時の位置などでディスクシュラウドクリアランスを広げるために行われる。ベース側壁構造体430は、第1の厚さを有する上部リブ431部分と、上部リブ431に当接してそこから内側に突出し、第1の厚さよりも大きい第2の厚さを有する封止座部432構造と、封止座部432の下にあり、第1の厚さよりも大きい第3の厚さを有する下部側壁433部分とを備える。一実施形態によれば、下部側壁433の第3の厚さは、実質的に一定であり、ディスクシュラウドの床部まで下方に延在している。ここで、97mmのディスク媒体及び下部側壁433における97.83mmのディスクシュラウド直径では、非限定的な例として、各ディスク媒体438と下部側壁433との間に0.415mmのクリアランスがある(
図4Aのベース側壁構造体400に対して0.19mmの追加が得られる)。第1のカバー435は、第1のカバー435とベース側壁構造体430との間の境界面を封止する(例えば、半気密に)ために、封止座部432上に着座されるガスケット封止436(例えば、FIPG封止)の上に示され、第2のカバー437は、第1のカバー435の上のベース側壁構造体430に結合され、気密封止される(例えば、溶接される)。
【0026】
ここで再び、上部リブ431は、
図4Bの上部リブ411よりも多く機械加工され、したがって上部リブ431は上部リブ411よりも薄い。ベース側壁構造体430は、上部リブ部分431と封止座部432との間にオフセットステップ(又は段付き)表面434を更に備え、それによって、第1のカバー435は、上部リブ431に合致するか、又は合致することに実質的に近づくように拡張されることができ、ガスケット封止436は、ステップ表面434の内側の封止座部432上に着座される。ベース側壁構造体430は、
図4Cの封止座部422よりも大きい封止座部432(例えば、
図4Aの封止座部402と同じ)を提供し、したがって、第1のカバー435の封止はあまり重要ではないが、より薄い上部リブ431への第2のカバー437のレーザ溶接についての懸念が残る場合がある。
【0027】
例解的な動作コンテキストの物理的説明
実施形態は、ハードディスクドライブ(HDD)などのデジタルデータ記憶デバイス(digital data storage device、DSD)のコンテキストで使用され得る。したがって、実施形態によれば、従来のHDD100を示す平面図は、従来のHDDが典型的にどのように動作するかを記載するのを助長するために
図1に示されている。
【0028】
図1は、磁気読み取り-書き込みヘッド110aを含むスライダ110bを含むHDD100の構成要素の機能的配置を示す。まとめて、スライダ110b及びヘッド110aはヘッドスライダと称され得る。HDD100は、ヘッドスライダを含む少なくとも1つのヘッドジンバルアセンブリ(head gimbal assembly、HGA)110と、典型的にはフレクシャを介してヘッドスライダに装着されたリードサスペンション110cと、リードサスペンション110cに装着されたロードビーム110dとを含む。HDD100はまた、スピンドル124上に回転可能に取り付けられた少なくとも1つの記録媒体120と、媒体120を回転させるためにスピンドル124に取り付けられた駆動モータ(不可視)と、を含む。トランスデューサとも称され得る読み取り-書き込みヘッド110aは、HDD100の媒体120に記憶された情報をそれぞれ書き込み及び読み取るための書き込み要素及び読み取り要素を含む。媒体120又は複数のディスク媒体は、ディスククランプ128でスピンドル124に固定されてもよい。
【0029】
HDD100は、HGA110に装着されたアーム132と、キャリッジ134と、キャリッジ134に装着されたボイスコイル140を含む電機子136及びボイスコイル磁石(図示せず)を含むステータ144を含むボイスコイルモータ(voice coil motor、VCM)とを更に含む。VCMの電機子136は、キャリッジ134に取り付けられており、アーム132及びHGA110を移動させ、媒体120の部分にアクセスするように構成されており、全てまとめて、介在するピボット軸受アセンブリ152で枢動シャフト148上に装着されている。複数のディスクを有するHDDの場合、キャリッジ134は、キャリッジに櫛の外観を与える連動したアームアレイを搬送するようにキャリッジが配置されているため、「Eブロック」又は櫛と称され得る。
【0030】
ヘッドスライダが結合されたフレクシャと、フレクシャが結合されたアクチュエータアーム(例えば、アーム132)及び/又はロードビームと、アクチュエータアームが結合されたアクチュエータ(例えば、VCM)と、を含む、ヘッドジンバルアセンブリ(例えば、HGA110)を備えるアセンブリは、ヘッドスタックアセンブリ(HSA)と総称され得る。ただし、HSAは、記載されたものよりも多い又は少ない構成要素を含んでもよい。例えば、HSAは、電気相互接続部品を更に含むアセンブリを指し得る。一般に、HSAは、読み取り動作及び書き込み動作のために、ヘッドスライダを媒体120の部分にアクセスするように移動させるように構成されたアセンブリである。
【0031】
図1を更に参照すると、ヘッド110aへの書き込み信号及びヘッド110aからの読み取り信号を含む電気信号(例えば、VCMのボイスコイル140への電流)は、可撓性ケーブルアセンブリ(flexible cable assembly、FCA)156(又は「フレックスケーブル」、又は「フレキシブルプリント回路」(flexible printed circuit、FPC))によって送信される。フレックスケーブル156とヘッド110aとの間の相互接続は、読み取り信号用のオンボード前置増幅器、並びに他の読み取りチャネル及び書き込みチャネル電子部品を有し得る、アーム電子機器(arm-electronics、AE)モジュール160を含んでもよい。AEモジュール160は、図示のようにキャリッジ134に取り付けられてもよい。フレックスケーブル156は、いくつかの構成では、HDD筐体168によって提供された電気フィードスルーを通して電気通信を提供する電気コネクタブロック164に結合されてもよい。HDDハウジング168(若しくは「エンクロージャベース」、又は「ベースプレート」若しくは単に「ベース」)は、HDDカバーとともに、HDD100の情報記憶構成要素のための半封止された(又は、いくつかの構成では気密封止された)保護エンクロージャを提供する。
【0032】
デジタル信号プロセッサ(digital-signal processor、DSP)を含むディスクコントローラ及びサーボ電子機器を含む他の電子部品は、駆動モータ、VCMのボイスコイル140及びHGA110のヘッド110aに、電気信号を提供する。駆動モータに提供される電気信号は、駆動モータがスピンドル124にトルクを提供しながら回転することを可能にし、次いでトルクはスピンドル124に添設された媒体120に伝達される。その結果、媒体120は、方向172に回転する。回転媒体120は、スライダ110bが、情報が記録された薄い磁気記録層と接触することなく媒体120の表面の上方に浮上するように、スライダ110bの空気軸受表面(ABS)が乗る空気軸受として作用する空気のクッションを形成する。同様に、非限定的な例としてのヘリウムなどの空気より軽いガスが利用されるHDDにおいて、回転する媒体120は、スライダ110bがその上に乗るガス又は流体軸受として作用する、ガスのクッションを生成する。
【0033】
VCMのボイスコイル140に提供される電気信号は、HGA110のヘッド110aが、情報が記録されるトラック176にアクセスすることを可能にする。こうして、弧180を通るVCMスイングの電機子136は、HGA110のヘッド110aが媒体120上の様々なトラックにアクセスすることを可能にする。情報は、セクタ184などの媒体120上のセクタに配置された複数の半径方向に入れ子になったトラック内の媒体120上に記憶される。それに対応して、各トラックは、セクタ化されたトラック部分188などの複数のセクタ化されたトラック部分(又は「トラックセクタ」)から構成されている。各セクタ化されたトラック部分188は、記録された情報と、エラー訂正符号情報、及びトラック176を識別する情報であるABCDサーボバースト信号パターンなどのサーボバースト信号パターンを含むヘッダと、を含んでもよい。トラック176にアクセスする際、HGA110のヘッド110aの読み取り要素はサーボバースト信号パターンを読み取り、サーボバースト信号パターンは、サーボ電子機器に位置誤差信号(position-error-signal、PES)を提供し、サーボ電子機器は、VCMのボイスコイル140に提供される電気信号を制御することによって、ヘッド110aがトラック176に追従することを可能にする。トラック176を見つけ、特定のセクタ化されたトラック部分188を識別すると、ヘッド110aは、トラック176から情報を読み取るか、又は、外部エージェント、例えば、コンピュータシステムのマイクロプロセッサからディスクコントローラによって受信された命令に応じて、トラック176に情報を書き込む。
【0034】
HDDの電子アーキテクチャは、ハードディスクコントローラ(hard disk controller、「HDC」)、インターフェースコントローラ、アーム電子モジュール、データチャネル、モータドライバ、サーボプロセッサ、バッファメモリなどの、HDDの動作のための自体のそれぞれの機能を実行するための、多数の電子部品を含む。そのような部品のうちの2つ以上は、「チップ上のシステム」(system on a chip、「SOC」)と称される単一の集積回路基板上で組み合わされてもよい。そのような電子部品の、全てではないがいくつかは、典型的には、HDD筐体168などのHDDの底部側に結合されたプリント基板上に配置される。
【0035】
図1を参照して示され及び記載されたHDD100などの、本明細書におけるハードディスクドライブへの言及は、「ハイブリッドドライブ」と称されることがある情報記憶デバイスを包含してもよい。ハイブリッドドライブとは、一般に、電気的に消去可能でプログラム可能であるフラッシュ又は他のソリッドステート(例えば、集積回路)メモリなどの不揮発性メモリを使用するソリッドステートデバイス(solid-state storage device、SSD)と組み合わされた従来のHDD(例えば、HDD100を参照)の、両方の機能を有する記憶デバイスを指す。異なるタイプの記憶媒体の動作、管理、及び制御は、通常異なるため、ハイブリッドドライブのソリッドステート部分は、それ自体の対応するコントローラ機能を含んでもよく、コントローラ機能は、HDD機能とともに単一のコントローラに統合され得る。ハイブリッドドライブは、非限定的な例として、頻繁にアクセスされるデータを記憶する、I/O集約データなどを記憶するなどのために、ソリッドステートメモリをキャッシュメモリとして使用するなどによって、ソリッドステート部分をいくつかの方式で動作させて利用するように設計及び構成されてもよい。更に、ハイブリッドドライブは、ホスト接続のための1つ又は複数のインターフェースのいずれかで、単一のエンクロージャの2つの記憶デバイス、すなわち従来のHDD及びSSDとして本質的に設計及び構成されてもよい。
【0036】
拡張物及び代替物
前述の説明において、本発明の実施形態は、実装形態ごとに変わり得る多数の具体的な詳細を参照して記載されてきた。したがって、実施形態のより広い趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更を行うことができる。こうして、本発明であり、本出願人らが本発明であることを意図するものの唯一及び排他的な指示物は、本出願に由来する特許請求の範囲のセットであり、そのような特許請求の範囲が由来し、任意の後続の補正を含む、特定の形態をなす。そのような特許請求の範囲に包含される用語について本明細書に明示的に記載される定義は、特許請求の範囲で使用されるような用語の意味を支配するものとする。それゆえ、特許請求項に明示的に記載されていない限定、要素、特性、特徴、利点又は属性は、決してそのような特許請求項の範囲を限定すべきでない。これにより、本明細書及び図面は、制限的な意味ではなく例示的とみなされるものである。
【0037】
加えて、本明細書では、特定のプロセス工程が特定の順序で記載されてもよく、アルファベット及び英数字符号を使用して、特定の工程を識別することができる。本明細書において特記されない限り、実施形態は、そのような工程を実施する任意の特定の順序に必ずしも限定されない。特に、符号は単に工程の簡便な識別に使用され、そのような工程を実施する特定の順序を指定又は必要とすることは意図されていない。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードディスクドライブ(HDD)であって、
スピンドル上に回転可能に装着された
記録ディスク媒体と、
前記ディスク媒体に対して読み取り及び書き込みするように構成された読み書きトランスデューサを収容するヘッドスライダと、
前記ヘッドスライダを移動させて前
記ディスク媒体の部分にアクセスするように構成されたアクチュエータと、
前記ディスク媒体、前記ヘッドスライダ、及び前記アクチュエータを収容するエンクロージャベースと、を備え、前記
エンクロージャベースが、前記ディスク媒体の一部に円周方向に近接する内部ディスクシュラウド構造体を含み、前記
内部ディスクシュラウド
構造体が、
前記ディスク媒体の平面内において、前記ディスク媒体の外縁部との間に第1のクリアランスを有する第1の部分と、
前記ディスク媒体の前記平面内において、前記ディスク媒体の前記外縁部とは異なる第2のクリアランスを有する第2の部分と、を含
み、
前記第2のクリアランスが、前記第1のクリアランスよりも小さく、
前記第2の部分が、前記内部ディスクシュラウド構造体がベース側壁構造体と一体化される前記内部ディスクシュラウド構造体に沿った複数の場所に配置され、
前記ベース側壁構造体が、第1の厚さを有する上部リブ部分と、前記上部リブ部分に当接して前記上部リブ部分から内側に突出し、前記第1の厚さよりも大きい第2の厚さを有する封止座部構造体と、前記封止座部構造体の下にある下部側壁部分と、を備える、ハードディスクドライブ(HDD)。
【請求項2】
前記第2の部分が、前記
エンクロージャベースの0°位置、90°位置、及び180°位置に配置され、前記アクチュエータのアームが270°位置付近にある、請求項
1に記載のHDD。
【請求項3】
前記ディスク媒体が、複数のディスク媒体のディスクスタックの一部であり
、
前記第2のクリアランスが、前記ディスクスタックの高さに沿って実質的に一定である、請求項1に記載のHDD。
【請求項4】
前記ベース側壁構造体
の前記下部側壁部分が、前記第1の厚さよりも大きく前記第2の厚さよりも小さい第3の厚さを有す
る、請求項1に記載のHDD。
【請求項5】
前記ベース側壁
構造体の前記下部側壁部分
の第3の厚さが、前記
エンクロージャベースの床部まで下方に延在して実質的に一定である、請求項
1に記載のHDD。
【請求項6】
前記
エンクロージャベースに結合された第1のカバーと、
前記第1のカバーと前記
エンクロージャベースとの間の境界面を封止するように構成されたガスケット封止と、を更に備え、
前記ガスケット封止が、前記封止座部
構造体に着座する、請求項
1に記載のHDD。
【請求項7】
前記ベース側壁構造体が、前記上部リブ部分と前記封止座部
構造体との間にオフセットステップ表面を更に備え、
前記第1のカバーが、前記
オフセットステップ表面を覆って実質的に前記上部リブ部分まで延在している、請求項
6に記載のHDD。
【請求項8】
前記封止座部
構造体の前記第2の厚さが、1.1~2.1ミリメートルからなる範囲内にあり、
前記ベース側壁構造体の前記下部側壁部分
の第3の厚さと前記封止座部
構造体の前記第2の厚さとの間の差が、0.4~1.4ミリメートルからなる範囲内にある、請求項
1に記載のHDD。
【請求項9】
ハードディスクドライブのためのエンクロージャベース部分であって、前記
エンクロージャベース
部分が、
上部から床部まで延在する内部円形シュラウド表面を備え、前記
内部円形シュラウド表面が、
前記
内部円形シュラウド表面
の円周に沿って第1の半径を有する第1の部分と、
前記
内部円形シュラウド表面の前記円周に沿って異なる第2の半径を有する第2の部分と、を備え
、
前記第2の半径が、前記第1の半径よりも小さく、
前記第2の部分が、前記内部円形シュラウド表面がベース側壁構造体と一体化される前記内部円形シュラウド表面に沿った複数の場所に配置され、
前記ベース側壁構造体が、第1の厚さを有する上部リブ部分と、前記上部リブ部分に当接し、前記上部リブ部分から内側に突出し、前記第1の厚さよりも大きい第2の厚さを有する封止着座構造体と、前記封止着座構造体の下にある下部側壁部分と、を備える、エンクロージャベース部分。
【請求項10】
前記第2の部分が無限の曲率半径を有する、請求項
9に記載のエンクロージャベース部分。
【請求項11】
前記第2の部分が、前記第1の部分の第1の曲率半径とは異なる有限の第2の曲率半径を有する、請求項
9に記載のエンクロージャベース部分。
【請求項12】
前記第2の部分が、前記
エンクロージャベース
部分の0°位置、90°位置、及び180°位置に配置される、請求項
9に記載のエンクロージャベース部分。
【請求項13】
前記第2の半径が、前記上部から前記床部まで実質的に一定である、請求項
9に記載のエンクロージャベース部分。
【請求項14】
前記下部側壁部分の第3の厚さ
が、前記第1の厚さよりも大きい
、請求項
9に記載のエンクロージャベース部分。
【請求項15】
前記下部側壁部分の第3の厚さが、前記第2の厚さよりも小さい、請求項
9に記載のエンクロージャベース部分。
【請求項16】
前記下部側壁部分
の第3の厚さが、前記床部まで下方に延在して実質的に一定である、請求項
9に記載のエンクロージャベース部分。
【請求項17】
前記ベース側壁構造体が、前記上部リブ部分と前記封止着座構造体との間にオフセットステップ表面を更に備え、前記オフセットステップ表面が、前記
エンクロージャベース
部分と結合するために、前記
オフセットステップ表面を覆って実質的に前記上部リブ部分まで延在するようにカバーを着座させるように構成されている、請求項
9に記載のエンクロージャベース部分。
【請求項18】
空気より軽いガス充填ハードディスクドライブ(HDD)であって、
スピンドル上に回転可能に装着された複数のディスク媒体と、
前記
複数のディスク媒体のうちの少なくとも1つ
のディスク媒体に対して読み取り及び書き込みを行うように構成された、読み書きトランスデューサを収容するヘッドスライダと、
前記ヘッドスライダを移動させて前記ディスク媒体の部分にアクセスするための手段と、
前記ディスク媒体、前記ヘッドスライダ、及び前記移動させるための手段を収容するための手段と、を備え、前記ディスク媒体の一部分に円周方向に近接する内部ディスクシュラウド構造体を含み、前記
内部ディスクシュラウド
構造体が、
前記ディスク媒体の外縁部に対して第1の間隙を有する第1の部分と、
前記
内部ディスクシュラウド構造体
の円周に沿った複数の位置において、前記ディスク媒体の前記外縁部に対して異なる第2の間隙を有する第2の部分と、を含み、
前記第2の間隙が、前記第1の間隙よりも小さく、前記第2の間隙が、前記複数のディスク媒体の高さに沿って実質的に一定であ
り、
前記第2の部分が、前記内部ディスクシュラウド構造体が前記収容するための手段と一体化される前記内部ディスクシュラウド構造体に沿った複数の場所に配置され、
前記収容するための手段の側壁構造体が、第1の厚さを有する上部リブ部分と、前記上部リブ部分に当接し、前記上部リブ部分から内側に突出し、前記第1の厚さよりも大きい第2の厚さを有する封止着座構造体と、前記封止着座構造体の下にある下部側壁部分と、を備える、HDD。
【請求項19】
前記ベース側壁構造体の前記下部側壁部分の第3の厚さは前記第1の厚さよりも大きい、請求項1に記載のHDD。
【国際調査報告】