(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】採血デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 5/153 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
A61B5/153 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527809
(86)(22)【出願日】2022-10-27
(85)【翻訳文提出日】2024-07-08
(86)【国際出願番号】 US2022078778
(87)【国際公開番号】W WO2023086735
(87)【国際公開日】2023-05-19
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513066638
【氏名又は名称】リトラクタブル テクノロジーズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Retractable Technologies, Inc.
【住所又は居所原語表記】511 Lobo Lane Little Elm, TX 75068, U.S.A.
(71)【出願人】
【識別番号】508328486
【氏名又は名称】ショー,トーマス ジェイ.
【氏名又は名称原語表記】SHAW,Thomas J.
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】弁理士法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ショー,トーマス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ジュウ,ニ
(72)【発明者】
【氏名】ラーダス,ベンジャミン ジョン
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038TA06
4C038UJ06
4C038UJ07
(57)【要約】
【解決手段】 医療用の採血デバイスは、長手方向流動チャネル及び針格納チャンバを有する本体と、本体を通る前記流動チャネルを横切る平面内で本体にスライド可能に係合するスライドアセンブリと、前方に突出するノーズと、ノーズに取り付けられた円筒状ハブから互いに逆向きに突出する複数の可撓性羽根状部を有するデバイス安定化部材と、ノーズから前方に突出しており、後方に付勢された静脈穿刺針と、近位端及び遠位端を有する管状針キャップとを有しており、管状針キャップの近位端は、ノーズと円筒状ハブとの間に挿入可能であり、ノーズ及び円筒状ハブによって着脱可能に保持される。協働するように構成されたランプの組と停止面の組とが、スライドアセンブリに対する本体の横方向のスライド移動を制限する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用の採血デバイスにおいて、
本体と、
前記本体と横方向にスライド可能に係合して配置されており、前方に突出するノーズを有するスライドアセンブリと、
前記ノーズに取り付けられた円筒状ハブから互いに逆向きに突出する複数の可撓性羽根状部を有するデバイス安定化部材と、
前記ノーズから前方に突出しており、後方に付勢された静脈穿刺針と、
近位端及び遠位端を有する管状針キャップと、
を備えており、
前記管状針キャップの近位端は、前記ノーズと前記円筒状ハブとの間に挿入可能であり、前記ノーズと前記円筒状ハブとによって着脱可能に保持される、採血デバイス。
【請求項2】
前記管状針キャップは前記ノーズによって支持され、前記円筒状ハブの内向き面との摩擦係合によって着脱可能に保持される、請求項1に記載の採血デバイス。
【請求項3】
前記円筒状ハブは、前記管状針キャップの近位端の周囲に保持力を及ぼすエラストマー部材を含む、請求項2に記載の採血デバイス。
【請求項4】
前記ノーズは外方に突出するボスを更に備えており、前記円筒状ハブは、前記円筒状ハブを前記スライドアセンブリに位置決めして取り付けるために前記ボスを受け入れるように構成された窓を備える、請求項1に記載の採血デバイス。
【請求項5】
前記管状針キャップは、前記ノーズ及び前記円筒状ハブの両方との摩擦係合によって着脱可能に保持される、請求項2に記載の採血デバイス。
【請求項6】
前記本体は、近位端及び遠位端を有しており長手方向に延びる円筒状流動チャネルと、前記円筒状流動チャネルに平行であって、前記円筒状流動チャネルから横方向に離間した針格納チャンバとを備える、請求項1に記載の採血デバイス。
【請求項7】
前記針格納チャンバは、遠位開放端と近位閉端とを有する、請求項6に記載の採血デバイス。
【請求項8】
前記スライドアセンブリの後向き面部分と当接係合して前記円筒状流動チャネルの遠位端の内側に設置された圧縮可能環状流体シールを更に備える、請求項6に記載の採血デバイス。
【請求項9】
前記スライドアセンブリは針格納アセンブリを含む、請求項1に記載の採血デバイス。
【請求項10】
前記針格納アセンブリは、管状針ホルダと、前記管状針ホルダにおける前方に延びる部分を囲む圧縮針後退ばねとを備えており、前記圧縮針後退ばねは、前記ノーズの内側に配置される遠位端と、前記針ホルダの前向き環状肩部に当接する近位端とを有する、請求項9に記載の採血デバイス。
【請求項11】
前記管状針ホルダは、前記本体の流体流動チャネル内に配置された環状流体シールと同軸状に揃えられて、前記環状流体シールに当接する近位端を有する、請求項10に記載の採血デバイス。
【請求項12】
前記円筒状流動チャネルの近位端から後方に突出する可撓性管状部を更に備えており、前記可撓性管状部は、収集された血液のための容器に接続可能な端部取付具との流体連通を提供する、請求項6に記載の採血デバイス。
【請求項13】
前記スライドアセンブリは、上側及び下側ランプの第1の組を備えており、前記本体は、対向するように構成された上側及び下側ランプの第2の組を備えており、前記上側及び下側ランプの第1の組及び前記上側及び下側ランプの第2の組は夫々、針格納を開始するために前記スライドアセンブリに向かう前記本体の相対的なスライド移動を可能にするようにスライド可能に係合する、請求項1に記載の採血デバイス。
【請求項14】
前記スライドアセンブリは、前記上側及び下側ランプの第1の組に隣接する上側及び下側停止面の第1の組を備えており、前記本体は、前記対向するように構成された上側及び下側ランプの第2の組に隣接しており、互いに対向する上側及び下側停止面の第2の組を備えており、前記上側及び下側停止面の第1の組と、前記上側及び下側停止面の第2の組とは互いに当接するように配置されて、針格納前における前記スライドアセンブリからの前記本体の係合解除と、針格納後における前記スライドアセンブリから離れる前記本体の相対的なスライド移動を防止する、請求項13に記載の採血デバイス。
【請求項15】
前記デバイスの本体は、透明な又は十分な透光性を有する医療グレードのポリマー材料から成形されて、前記本体を通って流れる血液が使用者によって見られることを可能にしている、請求項1に記載の採血デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全機構を有する医療用の採血デバイスであって、その安全機構は後方に付勢された静脈穿刺針を含んでおり、当該静脈穿刺針は、針格納チャンバ内に選択的に格納可能であって、使用後における偶発的な針刺しの可能性を低減する。本発明の一実施形態における顕著な特徴は、両端が開いた管状の針キャップであって、当該針キャップは、可撓性羽根状部のハブ部分の内壁と着脱可能に係合する。本発明の1つ又は複数の実施形態における別の顕著な特徴は、スライド部材のノーズから外方に突出する射出成形ボスである。このボスは、可撓性羽根状部のハブに配置された窓と協働的に構成されて且つ係合可能であり、包装及び使用前においてデバイスが組み合わせられている間、羽根状部をスライド部材のノーズに着座させる。本発明の1つ又は複数の実施形態における別の顕著な特徴は、スライドアセンブリ及び本体の協働的に構成された構造に対する改良であり、それらの改良は、針格納前における再配置中に、スライドアセンブリに対する本体の横方向スライド移動を容易にする一方で、スライド部材及び本体が、使用前又は使用後に偶発的に係合解除されることを防止する。
【背景技術】
【0002】
閉口針キャップがバレルのノーズにあるリッジ、リム、又は着座面に着脱可能に係合して、望ましくはデバイスの使用まで所定の位置に留まるような採血セットは、従来作製されてきた。幾つかのデバイスは、凹部又は針格納キャビティに挿入可能な突出ロック部材を更に有する針キャップを備えるように作製されており、前側取付部と本体の間の相対的なスライド移動を規制することで、使用前に意図された目的のためにデバイスを動作不能にする可能性がある針の早過ぎる格納を防止する。本体と横方向に移動可能なスライド部材との間に配置された一体型管状シールを有する従来技術のデバイスは、例えば、米国特許第10646148号に開示されている。
【0003】
先に開示されたデバイスの使用を通して達成できる利益及び利点にもかかわらず、採血時に針が過剰に動いて患者(特に子供)に不快感を与えることがない、安定した採血プラットフォームを提供する可撓性羽根状部アセンブリと、可撓性羽根状部のハブ部における好ましくはエラストマー製の内向き面と係合することで好ましくは所定の場所に固定される針キャップと、針キャップ、可撓性羽根状部、及び後向きに付勢された針を支持するスライド部材であって、後方に延びる流体経路と平行な針格納チャンバを備えた本体と横方向にスライド係合しており、付勢された針を使用後にスライド部材に対して本体を横方向にスライドさせて解放することによって針格納チャンバに針が引き込まれる、スライド部材とを望ましくは具現化する採血セットが必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
望ましくは以下を具体化する採血デバイスが開示されている。採血中に患者(特に子供)に不快感をもたらす過度の針の動きをもたらすことなく、採血のための安定したプラットフォームを提供する可撓性羽根状部アセンブリと、前記可撓性羽根状部のハブ部分における内向きの、好ましくはエラストマー製である表面との係合によって好ましくは所定の位置に保持される針キャップと、後方に延びる流体流路と、平行に離間した針格納チャンバとを備える本体と横方向にスライド係合しており、針キャップ、可撓性羽根状部、及び後方に付勢された針を支持するスライドアセンブリであって、使用後に、本体をスライド部材に対して横方向にスライドさせて、後方に付勢された針を解放することによって、針格納チャンバに針が格納される、スライドアセンブリとを備える。
【0005】
本発明は医療用の採血デバイスであって、後方に付勢された静脈穿刺針を有しており、当該静脈穿刺針は、針格納チャンバ内に選択的に格納可能であって、使用後における偶発的な針刺しの可能性を低減する。本発明の顕著な特徴は、両端が開いた管状針キャップであって、当該針キャップは、可撓性羽根状部のハブ部分の内壁と着脱可能に係合可能である。本発明の別の特徴は、スライド部材のノーズから外方に突出する射出成形ボスである。このボスは、可撓性羽根状部のハブに配置された窓と協働的に構成されて係合可能であり、包装及び使用前においてデバイスが組み合わせられている間、羽根状部をスライド部材のノーズに位置決めして取り付ける。本発明の別の顕著な特徴は、スライド部材及び本体における協働的に構成されたランプと停止面の改良であり、それらランプと停止面は、採血後における針格納前の再配置中にスライド部材に対する本体の横方向のスライド移動を容易にするが、スライド部材と本体が時期尚早に係合解除されることと、再配置中に移動方向が逆転することとを防止する。
【0006】
本発明のデバイスは、主として血管採血を行う際に使用するために想定されているが、添付の図面と共に本明細書を読むことで、本デバイスが他の体液の採取に使用するためにも適用可能であることが当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明のシリンジを、以下の図面に関連して更に記載及び説明する。
【
図1】
図1は、本発明の採血セットの申し分のない実施形態の分解図である。
【
図2】
図2は、組み立てられた
図1のデバイスの上側前方視斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1と同様の上側前方視斜視図であって、2つの針キャップが除かれている。
【
図4】
図4は、
図2のデバイスの平面図であって、採血管の一部が説明のために切り取られている。
【
図8】
図8は、
図7の8-8線に沿って破断した断面図である。
【
図9】
図9は、
図8の断面図において、2つの針キャップが除かれている。
【
図11】
図11は、
図4において、針キャップが取り外され、本体がスライド部材に対して横方向に再配置され、針が引き込まれた状態を示す。
【
図12】
図12は、
図5において、本体がスライド部材に対して横方向に再配置され、針が引き込まれた状態を示す。
【
図13】
図13は、
図7において、針キャップが取り外され、針が引き込まれた状態を示す。
【
図14】
図14は、
図9において、本体がスライド部材に対して横方向に再配置され、針が引き込まれた状態を示す。
【
図15】
図15は、
図10において、本体がスライド部材に対して横方向に再配置され、針が引き込まれた状態を示す。
【
図16】
図16は、針キャップが所定位置にあって、針格納を開始するために本体をスライド部材に対して再位置決めする前における、一部を破断したデバイスの前部の拡大底側斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1~
図7を参照すると、採血デバイス10は、本体12と、スライドアセンブリ14と、デバイス安定化部材16と、端部コネクタ取付具18を有する流体流動管28と、管状針キャップ36とを備える。本体12は、近位端及び遠位端を有する長手方向に延びる流体流動チャネル22と、近位閉端及び遠位開口端を有しており、平行に横方向に離間した針格納チャンバ24とを申し分なく備えている。流体流動チャネル22と同軸状に揃えられた長手方向流路を有する環状流体シール20は、圧縮可能なエラストマー材料から作られているのが望ましく、(
図8~
図9に示されているように)流体流動チャネル22の遠位開口端にある窪みの内側に設置される。本体12は、上方及び下方に突出する構造体42を更に備えており、それら構造体42は、(
図10~
図15に示されているように)スライドアセンブリ14のスライド可能に係合する構造体40と協働するように構成されている。テクスチャ加工されたタッチ面26が設けられるのが望ましく、以下により詳細に記載されるように、採血デバイス10の使用中に、流体流動チャネル22を横切る平面において、スライドアセンブリ14に対する本体12の選択的な側方再配置を容易にする。採血デバイス10の本体12は、透明な又は十分な透光性がある医療グレードのポリマー材料から射出成形されるのが望ましく、本体を通って流れる血液が使用者によって見られることを可能にする。
【0009】
スライドアセンブリ14は、突出構造体40を備える一体成形プラスチック本体を備えることが望ましく、それら突出構造体40は、以下で更に説明するように、スライドアセンブリ14と本体12との間のスライド側方係合を容易にするために、本体12の構造体42にスライド可能に係合するように構成されている。スライドアセンブリ14は、前方に突出するノーズ38、スロット付きカラー46、及びタッチ面44を更に備える。タッチ面44は、好ましくは、互いに逆向きの本体12のタッチ面26と同様にテクスチャ加工されており、以下に更に説明するように、採血後の針格納中にスライドアセンブリ14に対する本体12の選択的な再配置を容易にする。
図1に示すように、スライドアセンブリ14は圧縮コイルばね32を更に備えており、圧縮コイルばね32は、前方に突出するノーズ38の内側に設置されており、採血デバイス10の組立て中においてスライドアセンブリ14を本体12に取り付ける前に針ホルダ30の遠位シャフト部を挿入することを可能にするのに十分な内径を有する。
図1の「分解図」では、前方に突出する針(又はカニューレ)34がノーズ38の背後に示されているが、デバイス10の組立ては、針34の取付け中にばね32を圧縮状態に保持するために、スライドアセンブリ14が本体12に取り付けられた後に、尖っていない針34の近位端をノーズ38及び針ホルダ30に挿入することによって達成されることが好ましい。針ホルダ30に針34を取り付けることにより、針34及び針ホルダ30から環状流体シール20を通り、流体流動チャネル22を通って流体流動管28に入る、同軸状に整列した連続的な流体流路の形成が容易になる。
【0010】
採血デバイス10のデバイス安定化部材16は、これまでに開示され、他の市販又は従来技術の医療用デバイスで使用されているタイプの「羽根状部」とは構造的に異なっており、また、共通の機能を有していないと考えられる。特に
図1及び
図16を参照し、より広くは
図2~
図7を参照すると、デバイス安定化部材16は、可撓性ポリマー材料から作られるのが望ましく、好ましくは、意図された目的の医療用途に適したエラストマー材料から作られる。デバイス安定化部材16は、一体的に形成されるのが望ましいが、成形プラスチック部とエラストマー又はゴム部とを含む複合構造として作製されてもよく、成形プラスチック部とエラストマー又はゴム部とは、成形、共押出、積層、接着、溶接、又は他の方法で接続されて所望の全体構造を形成する。デバイス安定化部材16の主たる要素は、内壁50を有する円筒状ハブ48と、互いに逆向きに突出する2つの可撓性羽根状部52,54とを含んでおり、それら羽根状部は、ノーズ38を通って前方に突出する針34を血管に挿入した後に、身体表面に載置されるか、又は身体表面にテープ留めされるように構成されている。そのように使用及び固定されると、可撓性羽根状部52,54は、針34の先端が、採血デバイス10が使用される患者の静脈の内側に、さもなくば皮膚の下に移動することを防止することに役立つ。羽根状部52,54の下向き面は、望ましくは、円筒状ハブ48の下向き部分とほぼ同じ高さであり、採血デバイス10が使用されている場合にそれら下向き面と下にある皮膚との間の滑りの可能性を低減することを促進することが望まれる場合、
図16に示されるようにテクスチャ加工されてよい。
【0011】
スライドアセンブリ14及びデバイス安定化部材16における好ましい実施形態では、一体成形されたボス66(
図16に示されている)が、スロット付きカラー46を通ってノーズ38から外向きに突出しており、円筒状ハブ48の予め形成された窓68(
図16に示されている)を通るように入れられることで円筒状ハブ48がスライドアセンブリ14に取り付けられて、前方に突出する針34とデバイス10が使用されている患者とに対してスライドアセンブリ14及び本体12を更に安定化させる。ボス66は、スライド部材14及び本体12に対して円筒状ハブ48が回転することを防止し、それによって円筒状ハブ48は、円筒状ハブ48から横方向に突出する可撓性羽根状部と協働する。
【0012】
図1を再度参照すると、医療製品と共に使用されるタイプの多くの市販の取付具のうちの1つの例として、端部コネクタ取付具18が示されている。端部コネクタ取付具18は、デバイス10を介して患者から抜き取られる血液又は他の体液を受け入れることが意図されたポリマー袋又は他の容器に可撓性流体流動管28を取り付けるために使用される。流体流動管28の遠位端は、本体12の流体流動チャネル22に摩擦係合するように挿入されるか、又は他の方法で取り付けられてよく、流体流動管28の近位端は、近位に向いたルアーコネクタ56と流体連通しており、端部コネクタ取付具18の遠位に向いた円筒状開口58と摩擦係合するように挿入されるか、又は他の方法で接続されて採血デバイス10を通る連続流体流路を完成させる。互いに反対向きに横方向に延びる2つの羽根状部60,62が、本体12及びデバイス安定化部材16に対する端部コネクタ取付具18の所望の回転配置を維持することを促進するために提供されることが望ましい。連続的且つ実質的に直線状の流体流路は、針34、スライドアセンブリ14の針ホルダ30、環状流体シール20、本体12の流体流動チャネル22、可撓性流体流動管28、及び端部コネクタ取付具18を通り、望ましくは、以下でより詳細に説明するように、針34の血管挿入時から、本体12がスライドアセンブリ14に対して横方向に再配置されて針格納を開始するまで、開放したままである。
【0013】
図1~
図3、
図8、及び
図9を参照すると、管状針キャップ36は、望ましくは円筒状であって実質的に一定の直径を有しており、医療デバイス用の従来の多くの針キャップとは異なり、近位端と遠位端の両方において開いている。管状針キャップ36の主たる目的は、偶発的な針の突き刺しを防止すること、そして、前方に突出してる針34の先端がデバイスを使用する前に曲がったり、鈍くなったりするのを防止することである。採血デバイス10は製造中に個別に包装されることが望ましいことから、使用前に大気汚染を防止するために遠位端を閉じる必要はない。管状針キャップ36の長さは申し分なくされて、遠位端は針34の遠位先端を十分に越えて延びて、その針先は到達可能ではないことから、医療従事者が使用前に採血デバイス10を開封して取り扱うことで偶発的な針刺しを生じることはない。管状針キャップ36のポリマー材料及び壁厚は、針キャップがデバイス10の使用直前に取り外される前の通常の取り扱い及び保管中に、針34と接触するように偶発的に屈曲しない又は曲がらないように十分に非可撓性であるように選択及び決定されることが望ましい。
【0014】
同様な医療デバイスと共に使用される従来の針キャップとは異なり、管状針キャップ36は、近位端に又はその近くに配設されて、医療デバイスのノーズ又は本体のある部分に摩擦係合して保持するように特別に設計及び成形された1つ又は複数の構造要素と共には成形されない。その代わりに、管状針キャップ36は、滑らかで円筒状の内壁及び外壁を有するように成形又は押出成形され得る。しかしながら、管状針キャップ36の内径及び外径が、管状針キャップ36の近位端を、前方に突出するノーズ38にわたってその周囲に、円筒状ハブ48の外側に延びた遠位端の内側にて設置して、デバイス安定化部材16の円筒状ハブ48の弾性内面によって管状針キャップ36の外面に対して径方向内向きに及ぼされる収縮保持力によってその位置に保持されることを可能にすることを条件とする。採血デバイス10の組立て中、円筒状ハブ48は、2つの目的のために外方に延ばされる又は拡張されることが望ましい。第1の目的は、円筒状ハブ48を貫通する窓68(
図16)が、スライドアセンブリ14の前方に突出するノーズ38の突出ボス66を受け入れて、それにわたってその周囲に設置されることを可能にすることであり、第2の目的は、管状針キャップ36の近位端が、ノーズ38と円筒状ハブ48の遠位端の内側との間に挿入されることを可能にすることである。円筒状ハブ48と管状針キャップ36の近位端とが前方に突出するノーズ38に対して適切に配置された後、円筒状ハブ48は、弛緩・収縮することが可能であって、それらの間の所望の位置関係を維持するのに十分な保持力を、採血デバイス10の使用前に管状針キャップ36がスライドアセンブリ14の前部から手動で取り外されるようなときまで管状針キャップ36の近位端の外面に対して及ぼすことが望ましい。
【0015】
図8は、完全に組み立てられて使用前配置にある採血デバイス10を示している。スライドアセンブリ14は本体12と横方向にスライド係合して配置されており、針34の近位端は針ホルダ30の内側に挿入されており、前方に突出するノーズ38の内側に設置された圧縮ばね32は、針ホルダ30を後方に付勢して環状流体シール20の前向きの遠位面と当接させており、可撓性流体流動管28の遠位端は本体12の流体流動チャネル22の内側に挿入されており、流体流動管28の近位端は端部コネクタ取付具18の内側に挿入されている。
図8に最も良く示されているように、管状針キャップ36が、針34を覆うように、そして前方に突出する管状ノーズ38とデバイス安定化部材16の円筒状ハブ48の前方に延びる部分との間に挿入されて係合する場合はいつでも、管状針キャップ36の外向き面に及ぼされる弾性保持力により、管状針キャップ36が採血デバイス10の使用前に意図的に取り外されるようなときまで、管状針キャップ36がスライドアセンブリ14及び本体12に対して所定の位置に保持されることが望ましい。採血デバイス10が
図8に示すように構成されると、連続的で実質的に直線状に同軸状に揃えられた流体流路が、針34から端部コネクタ取付具18まで通って確立され、端部コネクタ取付具18は、
図9に示すように、管状針キャップ36を取り外すことによってアクセス可能になる。汚染されていない管状針キャップ36は、針34の血管挿入前に管状針キャップ36が採血デバイス10の前部から取り外されると特別な保護手段なしでゴミ箱に廃棄することができる。
【0016】
図10は、
図4の線10-10に沿って破断した断面図であって、管状針キャップ36が依然として取り付けられており、流体流動チャネル22の前向き凹部にある環状流体シール20と揃えられている使用前位置に本体12が配置されている場合における、本体12とスライドアセンブリ14の横方向スライド係合を示す。本体12における傾斜した上側及び下側ランプ42の先頭にある第1の組は、望ましくは、採血デバイス10の組立て中にスライドアセンブリ14の上側及び下側ランプ40を越えてスライドするように構成されており、それらランプ40の対向する肩部は、本体12がスライドアセンブリ14に対して逆方向に移動して採血デバイス10の使用前に偶発的に係合解除することを防止することが望ましい。
図4~
図10及び
図16は全て、針34、環状流体シール20、流体流動管28及び端部コネクタ取付具18の間で同軸状に揃えられた流体流路を有する採血デバイス10を開示している。採血デバイス10はこの姿勢で配置され、管状針キャップ36の選択的除去に続いて針34が患者に挿入され、所望であれば、羽根状部52,54は、血液が流体流動管28を通って採集される際にデバイス10が安定して保持されるようにテープで留められる。本体12及び流体流動管28は、好ましくは透明又は半透明であるので、使用者は、本体12を通って流れる血液を観察して、患者への針34の血管挿入が適切か否かを確認することができる。
【0017】
採血に続いて、本体12は、スライドアセンブリ14のタッチ面26,44に対して手で圧力を加えることによって、
図11~
図15に示すように、流体の流れ方向に対して横方向に、且つスライドアセンブリ14に対して横方向に再配置されることが望ましい。それによって、本体12の第2の組の上側及び下側ランプ42は、スライドアセンブリ14の上側及び下側ランプ40を越えて横方向にスライドし、その後、それらは、対向して互いに接触する肩部によって、再配置後に反転することが防止される。使用者によってタッチ面26,44が互いに向かって押し込まれると、針ホルダ30の近位端は環状流体シール20の遠位端との当接が外れて横方向に移動し、流体シール20が拡大してスライドアセンブリ14の後向き面と対面接触する。この接触は、収集された体液が流体流路22から前方に漏れるのを防止するのに役立つ。同時に、針格納チャンバ24内への直径が大きい開口は、針ホルダ30のより直径が小さい頭部と揃えられて、圧縮ばね32が針ホルダ30及び針34を針格納チャンバ24へと後方に駆動することを可能にする。スライドアセンブリ14の管状ノーズ38、針34、針ホルダ30、伸びた圧縮ばね32、及び針格納チャンバ24は、針ホルダ30が針格納チャンバ24へと後方に駆動された後に、針34の遠位先端が管状ノーズ28の前方に延びていないようなサイズにされて協働的に構成されることが望ましい。それによって、採血デバイス10にて、針格納に続いて前方に突出するノーズ38の内側の針34の遠位端が保護されて、偶発的な針刺しを引き起こされることが防止される。デバイスの更なる使用もまた、伸びたばね32により側方スライド面が橋渡しされ、また、スライド可能に係合したスライドアセンブリ14及び本体12の対向部分の間でランプ40,42の肩部の表面が不可逆的に係合することによって防止される。
【0018】
添付の図面に関連して本明細書を読むことで、当業者には、本明細書に開示された実施形態に対して他の様々な修正及び変更を行うことができることは明らかになり、本発明の範囲は、発明者が法的に権利を与えられている添付の特許請求の範囲の最も広い解釈によってのみ制限される。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用の採血デバイスにおいて、
本体と、
前記本体と横方向にスライド可能に係合して配置されており、前方に突出するノーズを有するスライドアセンブリと、
前記ノーズに取り付けられた円筒状ハブから互いに逆向きに突出する複数の可撓性羽根状部を
備えるデバイス安定化部材と、
前記ノーズから前方に突出しており、後方に付勢された静脈穿刺針と、
近位端及び遠位端を有する管状針キャップと、
を備えており、
前記管状針キャップの近位端は、前記ノーズと前記円筒状ハブとの間に挿入可能であり、前記ノーズと前記円筒状ハブとによって着脱可能に保持される、採血デバイス。
【請求項2】
前記管状針キャップは前記ノーズによって支持され、前記円筒状ハブの内向き面との摩擦係合によって着脱可能に保持される、請求項1に記載の採血デバイス。
【請求項3】
前記円筒状ハブは、前記管状針キャップの近位端の周囲に保持力を及ぼすエラストマー部材を含む、請求項2に記載の採血デバイス。
【請求項4】
前記ノーズは外方に突出するボスを更に備えており、前記円筒状ハブは、前記円筒状ハブを前記スライドアセンブリに位置決めして取り付けるために前記ボスを受け入れるように構成された窓を備える、請求項1に記載の採血デバイス。
【請求項5】
前記管状針キャップは、前記ノーズ及び前記円筒状ハブの両方との摩擦係合によって着脱可能に保持される、請求項2に記載の採血デバイス。
【請求項6】
前記本体は、近位端及び遠位端を有しており長手方向に延びる円筒状流動チャネルと、前記円筒状流動チャネルに平行であって、前記円筒状流動チャネルから横方向に離間した針格納チャンバとを備える、請求項1に記載の採血デバイス。
【請求項7】
前記針格納チャンバは、遠位開放端と近位閉端とを有する、請求項6に記載の採血デバイス。
【請求項8】
前記スライドアセンブリの後向き面部分と当接係合して前記円筒状流動チャネルの遠位端の内側に設置された圧縮可能環状流体シールを更に備える、請求項6に記載の採血デバイス。
【請求項9】
前記スライドアセンブリは針格納アセンブリを含む、請求項1に記載の採血デバイス。
【請求項10】
前記針格納アセンブリは、管状針ホルダと、前記管状針ホルダにおける前方に延びる部分を囲む圧縮針後退ばねとを備えており、前記圧縮針後退ばねは、前記ノーズの内側に配置される遠位端と、前記針ホルダの前向き環状肩部に当接する近位端とを有する、請求項9に記載の採血デバイス。
【請求項11】
前記管状針ホルダは、前記本体の流体流動チャネル内に配置された環状流体シールと同軸状に揃えられて、前記環状流体シールに当接する近位端を有する、請求項10に記載の採血デバイス。
【請求項12】
前記円筒状流動チャネルの近位端から後方に突出する可撓性管状部を更に備えており、前記可撓性管状部は、収集された血液のための容器に接続可能な端部取付具との流体連通を提供する、請求項6に記載の採血デバイス。
【請求項13】
前記スライドアセンブリは、上側及び下側ランプの第1の組を備えており、前記本体は、対向するように構成された上側及び下側ランプの第2の組を備えており、前記上側及び下側ランプの第1の組及び前記上側及び下側ランプの第2の組は夫々、針格納を開始するために前記スライドアセンブリに向かう前記本体の相対的なスライド移動を可能にするようにスライド可能に係合する、請求項1に記載の採血デバイス。
【請求項14】
前記スライドアセンブリは、前記上側及び下側ランプの第1の組に隣接する上側及び下側停止面の第1の組を備えており、前記本体は、前記対向するように構成された上側及び下側ランプの第2の組に隣接しており、互いに対向する上側及び下側停止面の第2の組を備えており、前記上側及び下側停止面の第1の組と、前記上側及び下側停止面の第2の組とは互いに当接するように配置されて、針格納前における前記スライドアセンブリからの前記本体の係合解除と、針格納後における前記スライドアセンブリから離れる前記本体の相対的なスライド移動を防止する、請求項13に記載の採血デバイス。
【請求項15】
前記デバイスの本体は、透明な又は十分な透光性を有する医療グレードのポリマー材料から成形されて、前記本体を通って流れる血液が使用者によって見られることを可能にしている、請求項1に記載の採血デバイス。
【請求項16】
医療用採血デバイスにおいて、
流路と、横方向に離間して配置された針格納チャンバとを含む本体と、
前記本体と横方向にスライド可能に係合して配置されており、前方に突出したノーズを有するスライドアセンブリと、
前記ノーズから前方に突出する静脈穿刺針を備えており、後方に付勢された針ホルダと、
前記ノーズに取り付けられた円筒状ハブから互いに逆向きに突出する複数の可撓性羽根状部を備えるデバイス安定化部材と、
を備える、採血デバイス。
【請求項17】
前記針格納チャンバは、近位閉端と遠位開放端とを有する、請求項16に記載の採血デバイス。
【請求項18】
前記複数の可撓性羽根状部の下向き面は、前記デバイス安定化部材の円筒状ハブの下向き部分と同じ高さにある、請求項16に記載の採血デバイス。
【請求項19】
前記複数の可撓性羽根状部の下向き面は、使用者への前記静脈穿刺針の血管挿入後に前記使用者の身体表面に静止するように構成されている、請求項18に記載の採血デバイス。
【請求項20】
前記スライドアセンブリに対する手圧が、前記流路と揃えられている状態から前記針格納チャンバと揃えられるように前記スライドアセンブリを横方向に再位置決めして、前記針ホルダ及び前記静脈穿刺針を前記針格納チャンバ内に引き込むことを可能にする、請求項16に記載の採血デバイス。
【国際調査報告】