IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルジー ハウスホールド アンド ヘルスケア リミテッドの特許一覧

<>
  • 特表-展延性が改善された化粧料組成物 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】展延性が改善された化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/92 20060101AFI20241031BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20241031BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
A61K8/92
A61K8/37
A61K8/31
A61K8/34
A61K8/891
A61K8/60
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527828
(86)(22)【出願日】2022-11-14
(85)【翻訳文提出日】2024-05-13
(86)【国際出願番号】 KR2022017894
(87)【国際公開番号】W WO2023085886
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】10-2021-0155448
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514112488
【氏名又は名称】エルジー・エイチアンドエイチ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ボ・ソン・クォン
(72)【発明者】
【氏名】ヒョク・ジュン・シン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン-ウン・ベ
(72)【発明者】
【氏名】ヌー・リ・チェ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AA122
4C083AC021
4C083AC022
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC242
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC441
4C083AC442
4C083AC542
4C083AD151
4C083AD391
4C083AD392
4C083BB01
4C083BB11
4C083CC01
4C083CC03
4C083DD23
4C083DD31
4C083EE07
4C083FF05
(57)【要約】
本発明は、ラメラ構造を成す成分、オイル成分及びバター成分を含む化粧料組成物に関するもので、ラメラ構造を成す成分にバター成分を一緒に含むことで滑らかな展延性を有する化粧料組成物を提供することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラメラ構造を成す成分、オイル成分及びバター成分を含むことを特徴とする、化粧料組成物。
【請求項2】
前記オイル成分は、バター成分の全体重量に対して1倍以上及び20倍以下で含まれることを特徴とする、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項3】
前記オイル成分は、バター成分の全体重量に対して3倍以上及び15倍以下で含まれることを特徴とする、請求項2に記載の化粧料組成物。
【請求項4】
前記バター成分は、クプアスバター、ココアバター、ウクーババター、ヒマワリ種子バター、ゴマ種子バター、クルミ種子バター、カメリアバター、ペンタデスマブチラセア種子バター(Pentadesma Butyracea Seed Butter)、ココヤシ種子バター、パームバター、マンゴー種子バター、アボカドバター及びマルーラ種子バターのうち1種以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項5】
前記バター成分は、ココアバター及びウクーババターのうち1種以上であることを特徴とする、請求項4に記載の化粧料組成物。
【請求項6】
前記オイル成分は、エステル系オイル、炭化水素系オイル、植物性オイル及びシリコーンオイルからなる群より選択される1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項7】
ラメラ構造を成す成分とバター成分の重量割合は、1:0.1~1:1.5であることを特徴とする、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項8】
前記ラメラ構造を成す成分は、脂肪アルコール及び界面活性剤を含むことを特徴とする、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項9】
前記ラメラ構造を成す成分は、組成物の総重量に対して0.1~50重量%で含まれることを特徴とする、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項10】
化粧料組成物の降伏応力値は、オイル成分及びバター成分の代わりに、これと同一の重量でオイル成分のみを含む化粧料組成物の降伏応力値に対して100%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項11】
ラメラ構造を成す成分、オイル成分及びバター成分を混合する段階;及び
前記混合物を水相部と混合する段階を含むことを特徴とする、ラメラ構造を成す成分、オイル成分及びバター成分を含む化粧料組成物の製造方法。
【請求項12】
前記ラメラ構造を成す成分、オイル成分及びバター成分を混合する段階は、ラメラ構造を成す成分、オイル成分及びバター成分を混合して50~100度の温度で溶解する段階を含むことを特徴とする、請求項11に記載の化粧料組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、展延性が改善された化粧料組成物に関し、より詳しくは、ラメラ構造を成す成分、オイル成分及びバター成分を含む化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ラメラ構造は、ミセル乳化粒子を取り囲む多重層構造であって、皮膚角質層の細胞間脂質の構造と非常に類似し、このような構造により皮膚の水分蒸発を防ぐか、高い安定性、優れた使用感の長所を有することができる。
【0003】
ラメラ構造は、親水性部分と親油性部分を同時に有している分子が一定に配列して多層を成しており、一般的には、脂肪アルコール、界面活性剤又はワックスを含んでなり得る。化粧品分野では、優れた使用感及び剤型安定性を高めるためにこのようなラメラ構造を活用しているが、ラメラ構造を成す成分の疎水性構造間に強い親和性が存在しているため、これを含む化粧品は硬度が高くなる。それによって、ラメラ構造成分により化粧品の外力に対する降伏応力(yield stress)が高くなり、結果的に、滑らかな展延性が具現されないという問題が発生した。
【0004】
したがって、化粧品分野において多くの長所を有しているラメラ構造を含むと共に滑らかな展延性を具現した化粧料組成物に対する開発の必要性が台頭している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、ラメラ構造を成す成分にバター成分を一緒に含ませることで、バターのバルキー(bulky)な構造により化粧料組成物の降伏応力が低くなり、展延性が改善されたことを確認し、本発明を完成した。
【0006】
これにより、本発明は、展延性が改善された化粧料組成物であって、ラメラ構造を成す成分、オイル成分及びバター成分を含んで滑らかな展延性を有する化粧料組成物を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、ラメラ構造を成す成分、オイル成分及びバター成分を含む化粧料組成物を提供する。
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
バター成分は、オイル成分より分子量が高く構造がバルキー(bulky)であるので、ラメラ構造を成す成分と配合する場合、ラメラ構造の間にバターが添加されることでラメラ構造を成す成分間の間隔が広くなり、疎水性構造間の親和力が減少して化粧品の外力に対する降伏応力(yield stress)が低くなり、滑らかな展延性を有する化粧料組成物を提供することができる。
【0010】
本発明のバター成分は、一般的に高級脂肪酸と高級脂肪アルコールから合成されるエステルワックスとも言い、植物性バター及び動物性バターなど種類に制限なしに使用可能であり、バター成分は、植物性油脂又は動物性油脂を利用して作ったバターであってもよいが、これに制限されない。
【0011】
本発明のバター成分は、該当バター成分が溶ける温度範囲のうち最も低い温度が35度以上のバターであってもよい。
【0012】
前記バター成分は、シアバター、クプアスバター、ココアバター、ウクーババター、ヒマワリ種子バター、ゴマ種子バター、クルミ種子バター、カメリアバター、ペンタデスマブチラセア種子バター(Pentadesma Butyracea Seed Butter)、ココヤシ種子バター、パームバター、マンゴー種子バター、アボカドバター及びマルーラ種子バターのうち1種以上を含むことができる。
【0013】
好ましくは、前記バター成分は、クプアスバター、ココアバター、ウクーババター、ヒマワリ種子バター、ゴマ種子バター、クルミ種子バター、カメリアバター、ペンタデスマブチラセア種子バター(Pentadesma Butyracea Seed Butter)、ココヤシ種子バター、パームバター、マンゴー種子バター、アボカドバター及びマルーラ種子バターのうち1種以上であってもよく、最も好ましくは、ココアバター及びウクーババターのうち1種以上を含んでもよい。
【0014】
前記バター成分は、組成物の総重量に対して0.1~10重量%で含まれ得る。より好ましくは、0.1~8重量%、0.1~7重量%又は0.5~4重量%で含まれ得る。バターを前記範囲を超過して含む場合、ラメラ構造の観察が難しくなり、降伏応力が反対に一層増加し得、前記範囲未満で含む場合、バターによる展延性の改善効果が微々たるものとなり得る。
【0015】
本発明の化粧料組成物は、前記バター成分以外にオイル成分を一緒に含むことができる。
【0016】
前記オイル成分は、バター成分とともにラメラ構造を成す成分と配合することで、ラメラ構造を適切に維持させると共に、柔軟性が高くなって展延性を増加させ得る。
【0017】
前記オイル成分は、その種類が特に限定されるものではなく、化粧料組成物に用いられる通常的なオイルを用いることができ、例えば、エステル系オイル、炭化水素系オイル、植物性オイル及びシリコーンオイルからなる群より選択される1種以上を含むことができるが、これに制限されない。
【0018】
エステル系オイルは、その例として、ペンタエリスリチルテトラエチルヘキサノエート、ペンタエリスリチルテトライソステアレート、ココ-カプリレート/カプレート、セチルエチルヘキサノエート、ヘキシルデシルエチルヘキサノエート、イソノニルイソノナノエート、ジエトキシエチルサクシネート、ジイソステアリルマレート、ネオペンチルグリコールジカプレート、ヘキシルラウレート、トリ-C14-15アルキルシトレート、イソアミルラウレート、ステアリルヘプタノエート、ステアリルカプリレート、トリデシルステアレート、トリデシルトリメリテート、ジペンタエリスルチルヘキサカプリレート/ヘキサカプレート、エチルイソステアレート、ジカプリリルカーボネート、ミリスチルミリステート、ネオペンチルグリコールジエチルヘキサノエート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルミリステート、イソセチルミリステート、オクチルドデシルミリステート又はデシルオリエートからなる群より選択される1種以上を含むことができる。
【0019】
炭化水素系オイルは、その例として、スクワラン、植物性スクワラン、フィトスクワラン、ヘキサデカン、イソヘキサデカン、C9-12アルカン、C13-15アルカン、C15-19アルカン、C15-23アルカン、C13-14イソアルカン、C18-21アルカン、ウンデカン、トリデカン、イソドデカン、オクタデカン、水添ポリデセン又は水添ポリブテンからなる群より選択される1種以上を含むことができる。
【0020】
植物性オイルは、その例として、メドウフォーム種子油、オリーブオイル、マカダミア種子油、アンズ核油、オケラ根油、ホホバ種子油、ローズヒップ油、コメヌカ油、パーム油、コメ胚芽油、椿油、ココナッツオイル、大豆油、チャ種子油、ブラジルナッツ種子油、ザクロ種子油、チャボトケイソウ種子油、アルガニアスピノサ核油、アボカドオイル、ヒマワリ種子油、アサイヤシ果実油、ラベンダーオイル、ワサビノキ種子油、ブドウ種子油、ケシ種子油、ホロムイイチゴ種子油、カレープラント花油、ババス油、アマニ油、プルーン種子油、アマナズナ種子油、スクレロカリアビレア種子油、アンズ核油、ヒマシ油、スウィートアーモンドオイル、ユチャ種子油、シベリアモミ油、綿実油、カラスムギ穀粒油又はクランベアビシニカ種子油からなる群より選択される1種以上を含むことができる。
【0021】
シリコーン系オイルは、その例として、ジメチコン、PCAジメチコン、ジフェニルジメチコン、シクロヘキサシロキサン、シクロペンタシロキサン、フェニルトリメチコン、カプリリルトリメチコン、カプリリルメチコン、ジメチコノール、メチルトリメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、PEG-12ジメチコンからなる群より選択される1種以上を含むことができる。
【0022】
本発明の一実施様態によると、前記オイル成分の含量は、組成物の総重量に対して0.1~20重量%で含まれ得、好ましくは、3~20重量%又は5~15重量%で含まれ得る。オイル成分を前記範囲を超過して過量で使用する場合、乳化安定性が落ちることがある。
【0023】
本発明の一実施様態によると、前記オイル成分は、バター成分の全体重量に対して20倍以下、18倍以下、15倍以下で含まれ得、バター成分の全体重量に対して0.1倍以上、0.5倍以上、1倍以上、2倍以上又は3倍以上で含まれ得る。好ましくは、オイル成分は、バター成分の重量全体に対して3倍以上15倍以下で含まれ得る。オイル成分を前記範囲を超過して含む場合、バターによる展延性改善の効果が微々たるものとなり、オイル成分を前記範囲未満で含む場合、過量のバターによりラメラ構造が形成されにくく、より堅固な構造を形成して展延性が落ちることがあり得る。
【0024】
ラメラ構造は、親水性部分及び親油性部分を全て含む成分により形成されるものであって、前記ラメラ構造を成す成分は、当業界においてラメラ構造を形成できる成分と理解され得るものであれば、制限されない。
【0025】
前記ラメラ構造を成す成分は、界面活性剤、又は界面活性剤及び油溶性成分を含むことができ、界面活性剤と油溶性成分を一緒に含むことでラメラ構造を成す成分は優れた安定性と使用感を有することができる。
【0026】
前記油溶性成分は、好ましくは、脂肪アルコールであってもよい。
【0027】
本発明のラメラ構造を成す成分は、界面活性剤及び脂肪アルコールを全て含むことができる。
【0028】
前記脂肪アルコールは、硬度を形成するとともにオイル相を含む乳化粒子を取り囲んでラメラを形成して、乳化安定、保湿及び展延性向上を目的として使用できる。
【0029】
前記脂肪アルコールは、炭素数8~22のアルコールであってもよく、具体的に、カプリルアルコール、カプリックアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール及びオレイルアルコールからなる群より選択される1種以上であってもよいが、これに限定されない。
【0030】
前記脂肪アルコールは、組成物の総重量に対して0.1~10重量%で含まれ得、好ましくは、0.1~5重量%又は1~4重量%で含まれ得る。
【0031】
前記界面活性剤は、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤など種類に関係なくラメラ構造の形成が可能な界面活性剤であれば、制限なしに使用できる。
【0032】
本発明の一実施様態によると、前記陰イオン界面活性剤としては、ナトリウムココイルイセチオネート、ジナトリウムラウレススルホサクシネート、ナトリウムC14-16オレフィンスルホネート、ナトリウムラウリルスルフェート、ナトリウムラウレススルフェート、アンモニウムラウリルスルフェート、アンモニウムラウレススルフェート、ナトリウムメチルココイルタウレート、ナトリウムラウロイルグルタメート、ナトリウムミリストイルグルタメート、カリウムココイルグリシネート、ナトリウムココイルグリシネート、ナトリウムココイルアラニネート、カリウムココイルグルタメート、ナトリウムラウロイルサルコシネート又はセチルホスフェートからなる群より選択された1種以上のものであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0033】
前記非イオン界面活性剤としては、グリセリルステアレート、ソルビタンセスキイソステアレート、PEG-40水添ヒマシオイル、PEG-60水添ヒマシオイル、PEG-60グリセリルイソステアレート、スクロースステアレート、スクロースジステアレート、スクローストリステアレート、スクロースポリステアレート、PEG-100ステアレート、C12-20アルキルグルコシド、PEG-40ステアレート、セテアレス-6オリベート、ソルビタンオリベート、PEG-150ジステアレート、ソルビタンステアレート、ソルビタンセスキオリエート、ポリソルベート20、ポリソルベート60又はポリグリセリル-10ステアレートからなる群より選択された1種以上のものであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0034】
前記両性界面活性剤としては、ラウラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、ココベタイン、ラウリルベタイン、ジナトリウムココアンホジ酢酸、ナトリウムココアンホジ酢酸、ラウラミドプロピルヒドロキシスルタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、ナトリウムスウィートアーモンドアンホ酢酸、ナトリウムラウロアンホ酢酸及びババスアミドプロピルベタインからなる群より選択された1種以上のものであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0035】
前記界面活性剤は、組成物の総重量に対して0.1~10重量%で含まれ得、好ましくは、0.1~5重量%又2~5重量%で含まれ得る。
【0036】
本発明の一実施様態によると、ラメラ構造を成す成分は、組成物の総重量に対して0.1~50重量%で含まれ得る。好ましくは、0.1~40重量%、1~40重量%、1~30重量%、3~20重量%、3~15重量%又は5~10重量%で含まれ得る。
【0037】
本発明の一実施様態によると、ラメラ構造を成す成分とバター成分の重量割合は、1:0.1~1:1.5であってもよい。好ましくは、1:0.12~1:1.5、1:0.12~1:1.2又は1:0.13~1:1であってもよく、より好ましくは、1:0.13~1:0.5であってもよい。バター成分を前記重量割合よりさらに多量含む場合、ラメラ構造が堅固となって強度が過度に高くなり得、バター成分をより少なく含む場合、バター成分による展延性改善の効果が微々たるものとなり得る。
【0038】
本発明による化粧料組成物の降伏応力(yield stress)は、1.0rad/sの各振動数(angular frequency)、25度の測定温度で回転型レオメーターを利用して測定され得る。
【0039】
前記回転型レオメーターは、TAレオメーターであってもよく、より具体的に、器機のplate条件であるGeometryでDiameter 40.0mm parallel plateを用いるレオメーターであってもよい。本発明で、降伏応力は、回転運動を通じて速度が速くなる条件で振動を増幅させる方法(振動増幅方式(Oscillation amplifying method))で測定でき、より具体的に、120秒間せん断応力(Shear stress)を0.001Paから1000Paに増加させて降伏応力を求めることができる。
【0040】
本発明による化粧料組成物の降伏応力値は、オイル成分及びバター成分の代わりに、それと同一の重量でオイル成分のみを含む化粧料組成物の降伏応力値に対して、100%以下、95%以下、93%以下、90%以下、85%以下、82%以下、80%以下又は79%以下のものであってもよい。
【0041】
また、本発明による化粧料組成物の降伏応力値は、バター成分無含有化粧料組成物の降伏応力値に対して、100%以下、95%以下、93%以下、90%以下、85%以下、82%以下、80%以下又は79%以下であってもよい。前記バター成分無含有化粧料組成物は、本発明による化粧料組成物にバター成分を含まないこと以外は、同一の組成を有することを意味し得る。
【0042】
ここで、降伏応力を測定する方法は、前記記載した通りである。
【0043】
すなわち、本発明の化粧料組成物は、オイル成分のみを含む場合よりオイル成分及びバター成分を混合して含む場合が降伏応力を一層低めることができ、滑らかな展延性が一層改善されたことが分かる。
【0044】
本発明の一実施様態によると、本発明の化粧料組成物は、油相部及び水相部を含むことができる、前記油相部は、本発明によるラメラ構造を成す成分、バター成分及びオイル成分を含むことができ、前記水相部は、本発明によるラメラ構造を成す成分、精製水、保湿剤及び水相増粘剤のうち1種以上を含むことができる。
【0045】
本発明でラメラ構造は、当業界で通常的に用いるホモミキサー又はアジミキサーで形成され得る。
【0046】
本発明の化粧料組成物は、当業界で通常的に製造されるどのような剤型にでも製造されることができ、例えば、ペースト、ゲル、クリーム、ローション、石鹸、クレンジングオイル、乳濁液ファンデーション、ワックスファンデーション、パック、マッサージクリームなどに剤型化され得るが、これに限定されるものではない。より詳しくは、ローション、栄養クリーム、マッサージクリーム、エッセンス、アイクリーム、クレンジングクリーム、クレンジングフォーム、パック剤型に製造され得る。
【0047】
本発明による化粧料組成物に含まれる前記言及された成分それぞれは、好ましくは、各国の政府が規定した「化粧品使用・許可」と係わる規定に明示された最大使用量を超過しない範囲内で本発明の化粧料組成物に含まれ得る。
【0048】
また、本発明は、皮膚展延性が改善された化粧料組成物を提供するためのラメラ構造を成す成分、オイル成分及びバター成分の用途を提供する。
【0049】
また、本発明は、ラメラ構造を成す成分、オイル成分及びバター成分を含む化粧料組成物を提供する段階を含む皮膚展延性を改善させる方法を提供する。前記本発明の化粧料組成物の用途及び方法において、ラメラを成す成分、オイル成分、バター成分は、上述した内容をそのまま適用できる。
【0050】
また、本発明は、ラメラ構造を成す成分、オイル成分及びバター成分を混合する段階;及び前記混合物を水相部と混合する段階を含む、ラメラ構造を成す成分、オイル成分及びバター成分を含む化粧料組成物の製造方法を提供する。
【0051】
本発明の化粧料組成物の製造方法において、ラメラを成す成分、オイル成分、バター成分は、上述した内容をそのまま適用できる。
【0052】
前記混合段階は、ラメラ構造を成す成分、オイル成分及びバター成分を混合して50~100度の温度で溶解する段階を含むことができる。
【0053】
前記混合段階は、ラメラ構造を成す成分、オイル成分及びバター成分以外に油相部成分を追加で混合することができる。
【0054】
前記水相部と混合する段階で、水相部は、精製水、保湿剤及び水相増粘剤のうち1種以上を含むことができる。
【0055】
本発明の化粧料組成物の製造方法で、前記段階以後、pH調節剤を投入して撹拌する段階及び20~40度に冷却する段階を追加で含むことができる。
【発明の効果】
【0056】
本発明による化粧料組成物は、ラメラ構造を成す成分にバター成分を一緒に含むことで、滑らかな皮膚展延性を向上させ得る。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1図1は、バター成分又はオイル成分の添加によるラメラ構造を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下、本発明を下記実験例により詳しく説明する。ただし、下記実験例は、本発明を例示するものに過ぎず、本発明の内容が下記実験例によって制限されるものではない。また、これら実験例は、本発明に対する理解を助けるための目的に過ぎず、どのような意味でも本発明の範囲がこれらによって制限されるものではない。
【0059】
<実施例>
【0060】
製造例1.化粧料組成物の製造
【0061】
脂肪アルコール、エステルワックス、界面活性剤などラメラ構造を成す成分をオイル及びバターと共に溶解工程で油相に投入し、乳化を通じて実施例の化粧料組成物を製造した。
【0062】
比較群として、オイルを単独で含む比較例の化粧料組成物を実施例の化粧料組成物と同一の工程で製造した。
【0063】
具体的に、下記原料1(精製水)に原料2をゆっくり投入した後、30分間Disperで分散した。その後、原料3を投入して75度に加温した後、Homomixer 1500RPMで5分間混合した。原料4~15を混合して75度で完全溶解し、これを原料1~3が混合された混合物に投入した後、2500RPMで5分間混合した。その後、原料16を投入した後に2500RPMで5分間混合し、30度まで冷却して脱泡した。
【0064】
【表1】
【0065】
実験例1.化粧料組成物の降伏応力(Yield stress)の評価
【0066】
前記製造例1で製造された比較例1及び実験例1~3の組成物に対して、TA Rheometer器機を利用して振動増幅方式(Oscillation amplifying method)で降伏応力を測定した。
【0067】
前記振動増幅方式(Oscillation amplifying method)は、TA Rheometerを両方向に交互に回転しつつ漸次的に速度が速くなる条件で振動を増幅させ、ここで降伏応力を測定したものであって、具体的に、TA Rheometerのプレート(Diameter 40.0mm parallel plateを使用)上に該当組成物を塗布した後、平行プレート(parallel plate)のギャップ(gap):1mm、測定温度:25度、測定時間:120秒、角振動数(angular frequency):1.0rad/sの条件をセッティングし、測定時間の間せん断応力(Shear stress)を0.001Paから1000Paに漸進的に増加させて各組成物別の降伏応力値を確認し、その結果を表2に示した。
【0068】
【表2】
【0069】
前記表2から分かるように、ココアバター又はウクーババターを含む実施例1~3の場合、比較例1に比べて降伏応力が低く、バターの含量が低くなるほど降伏応力も低くなった。これにより、ラメラ構造を含む組成物にバターが含有される場合、展延性改善の効果を有し得ることを確認した。
【0070】
実験例2.展延性評価
【0071】
前記比較例1及び実験例2の組成物に対して、展延性改善程度を皮膚パネルテストで評価した。
【0072】
具体的に、比較例1及び実験例2の化粧料組成物それぞれを同量で皮膚に塗り、ローリングしながら相が変わる時点に到逹するとき、展延性を点数(1~5点)でパネル評価(パネルテスト人員:10人)した。パネル評価点数の平均値を計算した。
【0073】
【表3】
【0074】
バターなしにオイルが単独で含有された比較例1よりオイルとココアバターを12.1:1の割合で含有した実験例2の展延性点数が一層高かった。
図1
【国際調査報告】