(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】複数の音響素子を備えるヘッドホン
(51)【国際特許分類】
H04R 1/10 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
H04R1/10 101Z
H04R1/10 103
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024528469
(86)(22)【出願日】2022-11-13
(85)【翻訳文提出日】2024-06-25
(86)【国際出願番号】 IB2022060899
(87)【国際公開番号】W WO2023084469
(87)【国際公開日】2023-05-19
(32)【優先日】2021-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524179352
【氏名又は名称】ヘビーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】グレル,アクセル
【テーマコード(参考)】
5D005
【Fターム(参考)】
5D005BA11
5D005BA12
5D005BD01
(57)【要約】
2つのヘッドホンと2つのヘッドホンのセットとを備えるヘッドホン装置が開示される。ヘッドホンは、第1のセットの指向性音響変換器と、第2のセットの指向性音響変換器とを備える。いくつかの実施形態では、第1のセットおよび第2のセットは、第1のセットによって生成される音波の方向が第2のセットによって生成される音波の方向に対して80°~120°の所定角度にあるように位置決めされる。
【選択図】
図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドホンであって、
第1のセットの指向性音響変換器と、
第2のセットの指向性音響変換器と、
を備える、ヘッドホンであり、
前記第1のセットおよび前記第2のセットは、前記第1のセットによって生成される音波の方向が前記第2のセットによって生成される音波の方向に対して80°~120°の所定角度にあるように位置決めされる、ヘッドホン。
【請求項2】
前記第1のセットは、1つ以上の低周波音響変換器を備え、前記第2のセットは、1つ以上の高周波音響変換器を備える、請求項1に記載のヘッドホン。
【請求項3】
前記第2のセットは、少なくとも2つの指向性音響変換器を備える、請求項1または2に記載のヘッドホン。
【請求項4】
前記第2のセット内の少なくとも前記2つの指向性音響変換器は、前記第1のセットによって生成される音波の方向および前記第2のセットによって生成される音波に対して80°~120°の所定角度を形成する直線に沿って位置決めされる、請求項3に記載のヘッドホン。
【請求項5】
前記第2のセットの指向性音響変換器は、円筒波面のセクタを有する音波を生成するように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載のヘッドホン。
【請求項6】
前記第2のセットの指向性音響変換器は、少なくとも2000Hzの周波数の音波を生成するように構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載のヘッドホン。
【請求項7】
前記第1のセットの指向性音響変換器および第2のセットの指向性音響変換器を保持するためのホルダをさらに備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のヘッドホン。
【請求項8】
前記ホルダは、主バッフルおよび周辺バッフルを有する筐体内に含まれ、前記第2のセットの指向性音響変換器は、前記主バッフルに対して80°~120°の角度で配置される、請求項7に記載のヘッドホン。
【請求項9】
前記第2のセットの指向性音響変換器は、前記周辺バッフルに取り付けられる、請求項8に記載のヘッドホン。
【請求項10】
前記第1のセットの指向性音響変換器は、前記主バッフルに取り付けられる、請求項8~9に記載のヘッドホン。
【請求項11】
前記第1のセットの指向性音響変換器は、2000Hz未満の周波数範囲の音を生成するように構成された低周波音響変換器を備える、請求項1~10のいずれか一項に記載のヘッドホン。
【請求項12】
前記ホルダは、前記ヘッドホンがユーザの頭部上に位置決めされたときに、ユーザの耳珠に近接してユーザの皮膚から最大で5mmの距離に前記第2のセットの指向性音響変換器を保持するように構成される、請求項7~11のいずれか一項に記載のヘッドホン。
【請求項13】
前記周辺バッフルの外面を覆う構造体をさらに備える、請求項8~12のいずれか一項に記載のヘッドホン。
【請求項14】
前記ホルダは、頭部の上に配置されるように構成された円弧部、および耳を覆う形で前記ヘッドホンを装着するように構成されたクリップから選択される、請求項1~13のいずれか一項に記載のヘッドホン。
【請求項15】
ホルダによって接続された、請求項1~14のいずれか一項に記載の2つのヘッドホンを備えるヘッドホン装置。
【請求項16】
2つのクリップホルダを備える、請求項1~15のいずれか一項に記載の2つのヘッドホンを備えるヘッドホンキットであって、第1のクリップホルダは、右ヘッドホンを右耳に取り付けるように構成され、第2のクリップホルダは、左ヘッドホンを左耳に取り付けるように構成される、ヘッドホンキット。
【請求項17】
ヘッドホンであって、
ホルダと、
前記ホルダに取り付けられる音源であって、前記音源から5mm~60mmの位置に円筒波面のセクタを有する音波を生成するように構成された音源と、
を備える、ヘッドホン。
【請求項18】
前記音源は、2つ以上の円形音響変換器を備え、
前記2つ以上の点変換器は、前記2つ以上の変換器によって生成された音波の波面の重ね合わせが前記円筒波面のセクタを形成するように互いに離間される、請求項17に記載のヘッドホン。
【請求項19】
前記音源は、矩形変換器および楕円形変換器のうちの少なくとも一方を含む、請求項17に記載のヘッドホン。
【請求項20】
前記音源は、少なくとも2000Hzの周波数の音波を生成するように構成される、請求項17~19のいずれか一項に記載のヘッドホン。
【請求項21】
前記ホルダは、主バッフルおよび周辺バッフルを備える筐体内に含まれ、前記音源は、前記主バッフルに対して60°~100°の角度で配置される、請求項17~20のいずれか一項に記載のヘッドホン。
【請求項22】
前記音源は、前記周辺バッフルに取り付けられる、請求項5に記載のヘッドホン。
【請求項23】
2000Hz未満の周波数範囲の音を生成するように構成された1つ以上の低周波音響変換器をさらに備える、請求項17~21のいずれか一項に記載のヘッドホン。
【請求項24】
前記1つ以上の低周波音響変換器は、主バッフルに取り付けられる、請求項23に記載のヘッドホン。
【請求項25】
前記ホルダは、前記ヘッドホンがユーザの頭部上に位置決めされたときに、ユーザの耳珠に近接してユーザの皮膚から最大で5mmの距離に前記音源を保持するように構成される、請求項17~24のいずれか一項に記載のヘッドホン。
【請求項26】
前記周辺バッフルの外面を覆う構造体をさらに備える、請求項21~25のいずれか一項に記載のヘッドホン。
【請求項27】
前記ホルダは、頭部の上に配置されるように構成された円弧部、および耳を覆う形で前記ヘッドホンを装着するように構成されたクリップから選択される、請求項17~26のいずれか一項に記載のヘッドホン。
【請求項28】
請求項17~27のいずれか一項に記載の2つのヘッドホンを備えるヘッドホン装置であって、前記ホルダは、両方の円筒形音源によって生成された音波の波面が同じ方向に伝搬するように、前記ホルダの第1の端部に第1のヘッドホンを、前記ホルダの第2の端部に第2のヘッドホンを保持するように構成された円弧部である、ヘッドホン装置。
【請求項29】
2つのクリップホルダを備える、請求項17~27のいずれか一項に記載の2つのヘッドホンを備えるヘッドホンキットであって、両方の円筒形音源によって生成された音波の波面が同じ方向に伝搬するように、第1のクリップホルダは右ヘッドホンを右耳に取り付けるように構成され、第2のクリップホルダは左ヘッドホンを左耳に取り付けるように構成される、ヘッドホンキット。
【請求項30】
ヘッドホンであって、
人間の耳の近傍に配置されるように構成されたホルダと、
前記ホルダに取り付けられた1つ以上の音響変換器であって、人間の耳に位置決めされたときに、耳珠の近くに位置し、前記1つ以上の音響変換器によって生成された音波が後頭部に向かって伝搬するようになっている、1つ以上の音響変換器と、
を備える、ヘッドホン。
【請求項31】
前記伝搬する音波の波面の重ね合わせが円筒波面を形成するように互いに離間された2つ以上の音響変換器を備える、
請求項30に記載のヘッドホン。
【請求項32】
前記1つ以上の音響変換器は、少なくとも2000Hzの周波数の音波を生成するように構成される、請求項30または請求項31に記載のヘッドホン。
【請求項33】
前記ホルダは、主バッフルおよび周辺バッフルを備える筐体内に含まれ、前記音源は、前記主バッフルに対して80°~120°の角度で配置される、請求項30~32のいずれか一項に記載のヘッドホン。
【請求項34】
前記音響変換器は、前記周辺バッフルに取り付けられる、請求項33に記載のヘッドホン。
【請求項35】
2000Hz未満の周波数範囲の音を生成するように構成された1つ以上の低周波音響変換器をさらに備える、請求項33~34に記載のヘッドホン。
【請求項36】
前記1つ以上の低周波音響変換器は、主バッフルに取り付けられる、請求項35に記載のヘッドホン。
【請求項37】
前記周辺バッフルの外面を覆う構造体をさらに備える、請求項33~36のいずれか一項に記載のヘッドホン。
【請求項38】
前記ホルダは、頭部の上に配置されるように構成された円弧部、および耳を覆う形で前記ヘッドホンを装着するように構成されたクリップから選択される、請求項33~37のいずれか一項に記載のヘッドホン。
【請求項39】
請求項30~38のいずれか一項に記載の2つのヘッドホンを備えるヘッドホン装置であって、前記ホルダは、両方の円筒形音源によって生成された音波の波面が同じ方向に伝搬するように、前記ホルダの第1の端部に第1のヘッドホンを、前記ホルダの第2の端部に第2のヘッドホンを保持するように構成された円弧部である、ヘッドホン装置。
【請求項40】
2つのクリップホルダを備える、請求項30~39のいずれか一項に記載の2つのヘッドホンを備えるヘッドホンキットであって、両方の円筒形音源によって生成された音波の波面が同じ方向に伝搬するように、第1のクリップホルダは右ヘッドホンを右耳に取り付けるように構成され、第2のクリップホルダは左ヘッドホンを左耳に取り付けるように構成される、ヘッドホンキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年11月14日に出願された、「複数の音響素子を備えるヘッドホン」という名称の米国仮特許出願第63/279,130号の優先権の利益を主張するものであり、その内容全体は、参照により本願明細書に援用される。
【0002】
本発明は、全般的には、ヘッドホンに関する。より具体的には、本発明は、複数の音響素子を有するヘッドホンに関する。
【背景技術】
【0003】
例えば、対面会話中に、離れた所から発せられた音を聴くとき、コンサートで音楽を聴くとき、またはラウドスピーカによって生成された音楽を聴くとき、音波は、実質的に聴取者の正面に向かって伝搬する。したがって、これらの音波は、聴取者の耳の中の様々な部分と相互作用した後に、聴取者の鼓膜に当たる。人はそれぞれ、固有の耳構造を有し、したがって、同じ音を聴くときに固有の聴取体験を有することになる。
【0004】
ヘッドホンは、ユーザの耳の上の頭部上または頭部の周りに装着される一対の小型ラウドスピーカドライバである。ヘッドホンは、電気信号を対応する音に変換する電気音響変換器を含む。全ての市販のヘッドホンにおいて、変換器は、聴取者の耳の他の部分とほとんど相互作用することなく、鼓膜に向かって直接伝搬する音波を生成する。したがって、全ての聴取者は、同じタイプのヘッドホンを使用するときに、実質的に同じ音を聴くことになる。
【0005】
したがって、離れた所から発せられた音を聴くときにもたらされる固有の聴取体験を聴取者に提供することができるヘッドホンが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本発明のいくつかの態様は、第1のセットの指向性音響変換器と、第2のセットの指向性音響変換器とを備えるヘッドホンを対象とし得る。いくつかの実施形態では、第1のセットおよび第2のセットは、第1のセットによって生成される音波の方向が第2のセットによって生成される音波の方向に対して80°~120°の所定角度にあるように位置決めされる。
【0007】
いくつかの実施形態では、第1のセットは、1つ以上の低周波音響変換器を備え、第2のセットは、1つ以上の高周波音響変換器を備える。いくつかの実施形態では、第2のセットは、少なくとも2つの指向性音響変換器を備える。いくつかの実施形態では、第2のセット内の少なくとも2つの指向性音響変換器は、第1のセットによって生成される音波の方向および第2のセットによって生成される音波に対して80°~120°の所定角度を形成する直線に沿って位置決めされる。
【0008】
いくつかの実施形態では、第2のセットの指向性音響変換器は、円筒波面のセクタを有する音波を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、第2のセットの指向性音響変換器は、少なくとも2000Hzの周波数の音波を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、ヘッドホンは、第1のセットの指向性音響変換器および第2のセットの指向性音響変換器を保持するためのホルダをさらに備える。いくつかの実施形態では、ホルダは、主バッフルおよび周辺バッフルを備える筐体内に含まれ、第2のセットの指向性音響変換器は、主バッフルに対して80°~120°の角度で配置される。いくつかの実施形態では、第2のセットの指向性音響変換器は、周辺バッフルに取り付けられる。いくつかの実施形態では、第1のセットの指向性音響変換器は、主バッフルに取り付けられる。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1のセットの指向性音響変換器は、2000Hz未満の周波数範囲の音を生成するように構成された低周波音響変換器を備える。いくつかの実施形態では、ホルダは、ヘッドホンがユーザの頭部上に位置決めされたときに、ユーザの耳珠に近接してユーザの皮膚から最大で5mmの距離に第2のセットの指向性音響変換器を保持するように構成される。いくつかの実施形態では、ヘッドホンは、周辺バッフルの外面を覆う構造体をさらに備える。いくつかの実施形態では、ホルダは、頭部の上に配置されるように構成された円弧部、および耳を覆う形でヘッドホンを装着するように構成されたクリップから選択される。
【0010】
本発明のいくつかの追加の態様は、ホルダによって接続された、本明細書において上記に開示されている実施形態のいずれか1つに係る2つのヘッドホンを備えるヘッドホン装置を対象とし得る。本発明のいくつかの追加の態様は、2つのクリップホルダを備える、本明細書において上記に開示されている実施形態のいずれか1つに係る2つのヘッドホンを備えるヘッドホンキットであって、第1のクリップホルダは、右ヘッドホンを右耳に取り付けるように構成され、第2のクリップホルダは、左ヘッドホンを左耳に取り付けるように構成される、ヘッドホンキットを対象とし得る。
【0011】
本発明のいくつかの追加の態様は、ホルダと、ホルダに取り付けられ、音源から5mm~60mmの位置に円筒波面のセクタを有する音波を生成するように構成された音源とを備えるヘッドホンを対象とし得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、音源は、2つ以上の円形音響変換器を備え、2つ以上の点変換器は、2つ以上の変換器によって生成された音波の波面の重ね合わせが円筒波面のセクタを形成するように、互いに離間される。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態では、音源は、矩形変換器および楕円形変換器のうちの少なくとも一方を含む。本発明のいくつかの実施形態では、音源は、少なくとも2000Hzの周波数の音波を生成するように構成される。
【0014】
いくつかの実施形態では、ホルダは、主バッフルおよび周辺バッフルを備える筐体内に含まれ、音源は、主バッフルに対して60°~100°の角度で配置される。いくつかの実施形態では、音源は、周辺バッフルに取り付けられる。いくつかの実施形態では、ヘッドホンは、2000Hz未満の周波数範囲の音を生成するように構成された1つ以上の低周波音響変換器をさらに備える。いくつかの実施形態では、1つ以上の低周波音響変換器は、主バッフルに取り付けられる。
【0015】
いくつかの実施形態では、ホルダは、ヘッドホンがユーザの頭部上に位置決めされたときに、ユーザの耳珠に近接してユーザの皮膚から最大で5mmの距離に音源を保持するように構成される。いくつかの実施形態では、ヘッドホンは、周辺バッフルの外面を覆う構造体をさらに備える。いくつかの実施形態では、ホルダは、頭部の上に配置されるように構成された円弧部、および耳を覆う形でヘッドホンを装着するように構成されたクリップから選択される。
【0016】
本発明のいくつかの追加の態様は、人間の耳の近傍に配置されるように構成されたホルダと、ホルダに取り付けられた1つ以上の音響変換器とを備え、そのことにより、人間の耳に位置決めされたときに、1つ以上の音響変換器が耳珠の近くに位置し、1つ以上の音響変換器によって生成された音波が後頭部に向かって伝搬するようになっているヘッドホンを対象とし得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、ヘッドホンは、伝搬する音波の波面の重ね合わせが円筒波面を形成するように互いに離間された2つ以上の音響変換器をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の音響変換器は、少なくとも2000Hzの周波数の音波を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、ホルダは、主バッフルおよび周辺バッフルを備える筐体内に含まれ、音源は、主バッフルに対して80°~120°の角度で配置される。いくつかの実施形態では、音響変換器は、周辺バッフルに取り付けられる。
【0018】
いくつかの実施形態では、ヘッドホンは、2000Hz未満の周波数範囲の音を生成するように構成された1つ以上の低周波音響変換器を備える。いくつかの実施形態では、1つ以上の低周波音響変換器は、主バッフルに取り付けられる。いくつかの実施形態では、ヘッドホンは、周辺バッフルの外面を覆う構造体をさらに備える。いくつかの実施形態では、ホルダは、頭部の上に配置されるように構成された円弧部、および耳を覆う形でヘッドホンを装着するように構成されたクリップから選択される。
【0019】
本発明のいくつかの追加の態様は、開示されている実施形態のいずれか1つに係る2つのヘッドホンを備えるヘッドホン装置を対象とし得、ホルダは、両方の円筒形音源によって生成された音波の波面が同じ方向に伝搬するように、ホルダの第1の端部に第1のヘッドホンを、ホルダの第2の端部に第2のヘッドホンを保持するように構成された円弧部である。本発明のいくつかの追加の態様は、2つのクリップホルダを備える、本明細書で上記に開示されている実施形態のいずれか1つに係る2つのヘッドホンを備えるヘッドホンキットであって、両方の円筒形音源によって生成された音波の波面が同じ方向に伝搬するように、第1のクリップホルダは右ヘッドホンを右耳に取り付けるように構成され、第2のクリップホルダは左ヘッドホンを左耳に取り付けるように構成される、ヘッドホンキットを対象とし得る。
【0020】
本発明とみなされる主題は、本明細書の結論部分において特に指摘され、明確に特許請求される。しかしながら、本発明は、添付図面と併せて解読されたときに、構成および操作方法の両方に関して、その目的、特徴、および利点とともに、以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1A】本発明のいくつかの実施形態に係る、ユーザの頭部に取り付けられたヘッドホンを示す図である。
【
図1B】本発明のいくつかの実施形態に係るヘッドホンを示す図である。
【
図2A】本発明のいくつかの実施形態に係るヘッドホン装置を示す図である。
【
図2B】本発明のいくつかの実施形態に係るヘッドホン装置を示す図である。
【
図2C】本発明のいくつかの実施形態に係るヘッドホンキットを示す図である。
【
図3A】本発明のいくつかの実施形態に係るヘッドホンの非限定的な設計の3次元図である。
【
図3B】本発明のいくつかの実施形態に係るヘッドホンの非限定的な設計の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
説明を簡単かつ明確にするために、図に示されている要素は、必ずしも原寸に比例して描かれていないことが理解されよう。例えば、いくつかの要素の寸法は、明確にするために他の要素に対して誇張されている場合がある。さらに、必要な場合には、参照番号は、対応する要素または類似の要素を示すために複数の図面において繰り返されている場合がある。
【0023】
当業者は、本発明が、その精神または本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化され得ることを認識するであろう。したがって、前述の実施形態は、本明細書に記載する本発明を限定するものではなく、あらゆる点で例示であると見なされるべきである。したがって、本発明の範囲は、前述の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の均等物の意味および範囲内に入る全ての変更は、その中に包含されるものとする。
【0024】
以下の詳細な説明において、本発明を十分に理解することができるように、多くの具体的詳細を説明する。しかしながら、本発明がこれらの具体的詳細なしに実施され得ることは、当業者によって理解されるであろう。他の例では、本発明を不明瞭にしないように、周知の方法、手順、および構成要素は詳細に説明されていない。一実施形態に関して説明されるいくつかの特徴または要素は、他の実施形態に関して説明される特徴または要素と組み合わせられてもよい。明確にするために、同じまたは類似の特徴または要素の説明は繰り返されない場合がある。
【0025】
本発明のいくつかの態様は、例えばコンサートホールに座っているとき、またはラウドスピーカを介して音楽を聴いているときに、離れた所から音を聴いている感覚を聴取者に提供することができるヘッドホンを対象とする。このようなヘッドホンは、各ユーザに対して、鼓膜における特定の周波数応答を提供することを可能にし得る。ヘッドホンは、円筒波面のセクタを有する音波を生成するように構成された(例えば、1つ以上の音響変換器を有する)高周波音源を装備し得る。この音源は、2000Hzを超える周波数を有する音波を生成し得、1つ以上の音響変換器によって生成された音波が後頭部に向かって伝搬するように、ホルダを使用して耳珠の近くに位置決めされ得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、ヘッドホンは、2000Hz未満の音波を生成するように構成された追加の低周波音源をさらに含み得る。低周波音波は、高周波音源によって生成された音波の伝搬方向に対して80°~120°の所定角度で伝搬し得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、高周波音波(すなわち、2000Hz超)は、外耳に到達するまで頭部の表面に沿って延在する比較的薄い円筒形音源によって生成され得、外耳において、高周波音波は自然な音場において前方から来る音波として典型的な個々の共鳴および反射を生じさせる。いくつかの実施形態では、低周波音源(すなわち、2000Hz未満)は、耳甲介の上方に配置された変換器によって生成され得る。当業者には理解されるように、2000Hz未満の周波数における外耳の個々の幾何学的形状の影響は無視できる。低周波変換器は、(高周波変換器と比較して)可聴歪みを回避するために比較的大きな表面を有する必要がある。
【0028】
ここで、本発明のいくつかの実施形態に係るユーザの頭部に取り付けられたヘッドホンを示す
図1A、および本発明のいくつかの実施形態に係るヘッドホンを示す
図1Bについて説明する。
【0029】
ヘッドホン100は、第1のセットの指向性音響変換器10と、第2のセットの指向性音響変換器20とを含み得る。いくつかの実施形態では、セット10(本明細書では第1の音源とも呼ばれる)は、1つ以上の音響変換器12を含み得、セット20(本明細書では第2の音源とも呼ばれる)は、1つ以上の音響変換器22を含み得る。いくつかの実施形態では、第1のセット10および第2のセット20は、第1のセット10によって生成される音波の方向が第2のセット20によって生成される音波の方向に対して80°~120°(例えば、110°)の所定角度にあるように位置決めされる。
【0030】
いくつかの実施形態では、第1のセット10は、1つまたは低周波音響変換器12(例えば、2000Hz未満の周波数の音波を生成するように構成される)を含み得、第2のセット20は、1つまたは高周波音響変換器(例えば、2000Hz超の周波数の音波を生成するように構成される)を含み得る。非限定的な例では、低周波音響変換器12は、20mm~50mmの直径を有し得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、第2のセット20は、少なくとも2つの指向性音響変換器22を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの指向性音響変換器22は、第1のセットによって生成される音波の方向および第2のセットによって生成される音波に対して60°~100°の所定角度βを形成する直線に沿って位置決めされる。
【0032】
いくつかの実施形態では、指向性音響変換器の第1のセット20は、円筒波面のセクタを有する音波を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、セット20内の2つ以上の音響変換器22は、伝搬する音波の波面の重ね合わせが円筒波面のセクタを形成するように互いに離間され得る。非限定的な例では、音響変換器22は、互いに6mmの間隔を置いて配置された6mm~12mmの直径を有する円形変換器であり得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、ヘッドホン100は、ホルダ60をさらに含み得る。ホルダ60は、第1のセット10および第2のセット20を保持するように構成され得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、ヘッドホン100は、
図2Aに示すように、ホルダ60と、少なくとも第2のセット20とを含み得る。いくつかの実施形態では、ホルダ60は、人間の耳5の近傍に配置されるように構成され得、1つ以上の音響変換器22は、人間の耳5上に位置決めされたときに、1つ以上の音響変換器22が耳珠の近くに位置するようにホルダ60に取り付けられ、そのことにより、1つ以上の音響変換器22によって生成される音波が頭部1の後部に向かって伝搬する。いくつかの実施形態では、ホルダ60は、ヘッドホンがユーザの頭部1上に位置決めされたときに、ユーザの耳5の耳珠に近接してユーザの皮膚から最大で5mmの距離に指向性音響変換器22の第2のセット20を保持するように構成される。
【0035】
いくつかの実施形態では、ホルダ60は、主バッフル30および周辺バッフル40を備える筐体内に含まれ得、第2のセットの指向性音響変換器20は、主バッフル30に対して80°~120°(例えば、100°~120°、100°など)の角度で配置される。いくつかの実施形態では、指向性音響変換器22の第2のセット20は、周辺バッフル40に取り付けられる。周辺バッフル40は、主バッフル30を囲む楕円形の壁を含む楕円形状(図示されているように)を有し得る。いくつかの実施形態では、周辺バッフル40は、任意の他の好適な形状を有してもよい。主バッフル30は、周辺バッフル40の壁間に位置するプレート(平坦または非平坦のいずれかであり得る)であり得る。いくつかの実施形態では、指向性音響変換器12の第1のセット10は、図示されているように、主バッフル30に取り付けられる。非限定的な例では、指向性音響変換器12は、耳5とその幾何学的中心で交差する垂直面の20mm~30mm前方に位置し得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、ヘッドホン100は、クッション性を提供し、頭部1にヘッドホン100を装着しやすくするために、周辺バッフルの外面を覆う構造体50をさらに含み得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、ホルダ60によって接続された2つのヘッドホン100は、ヘッドホン装置内に含まれ得、ホルダは、(
図2Aおよび
図2Bに示すように)頭部の上、首の後ろの周り、後頭部の下部の周りなどに配置されるように構成された円弧部であり得る、または円弧を含み得る。いくつかの実施形態では、単一のヘッドホン100は、クリップホルダ(例えば、
図2Cに示されるクリップホルダ65)を含み得る。いくつかの実施形態では、クリップは、耳5を覆う形でヘッドホン100を装着するように構成され得る。いくつかの実施形態では、それぞれクリップホルダを備える2つのヘッドホン100は、ヘッドホンキット内に含まれ得る。いくつかの実施形態では、例えば、
図2Cに関して例示され、説明されるように、第1のクリップホルダは、右ヘッドホンを右耳に取り付けるように構成され、第2のクリップホルダは、左ヘッドホンを左耳に取り付けるように構成される。
【0038】
ここで、本発明のいくつかの実施形態に係るヘッドホン装置200を示す
図2Aおよび
図2Bについて説明する。ヘッドホン装置200は、
図2Aに示す1つ以上のヘッドホン110、または
図2Bに示す1つ以上のヘッドホン100を含み得る。2つのヘッドホン100または2つのヘッドホン110は、図示されているように頭部の上、首の後ろの周り、後頭部の下部の周りなどに配置されるように構成された円弧部のようなホルダ60によって接続され得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、
図2Bの1つ以上のヘッドホン100は、
図1Aおよび
図1Bに示され、本明細書で上述されているヘッドホン100と実質的に同じ要素であり得る、または実質的に同じ要素を含み得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、ヘッドホン装置200は、ホルダ60を含む1つまたは2つのヘッドホン110を含み得る。ヘッドホン110は、音源20Lおよび/または音源20R(例えば、1つ以上の音響変換器22または音響変換器24のセット)を含み得、音源20Lおよび/または音源20Rは、ホルダ60に取り付けられ、音源20Lまたは音源20Rから5mm~60mmの位置に円筒波面のセクタを有する音波を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、音源20Lは、左耳の耳珠の近くで人間の左耳に位置決めされるように構成され得、そのことにより、1つ以上の音響変換器22によって生成された音波が後頭部の左側に向かって伝搬する。いくつかの実施形態では、音源20Rは、右耳の耳珠の近くで人間の右耳に位置決めされるように構成され得、そのことにより、1つ以上の音響変換器24(または
図2Bに示されるように音響変換器22)によって生成された音波が後頭部の右側に向かって伝搬する。
【0041】
いくつかの実施形態では、ホルダ60は、ヘッドホンがユーザの頭部上に位置決めされたときに、ユーザの左耳の耳珠に近接してユーザの皮膚から最大で5mmの距離に音源20Lを保持するように、および/またはヘッドホンがユーザの頭部上に位置決めされたときに、ユーザの右耳の耳珠に近接してユーザの皮膚から最大で5mmの距離に音源20Rを保持するように構成され得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、音源20Lは、本明細書で上述されているように、2つ以上の円形音響変換器22を含み得る。いくつかの実施形態では、2つ以上の円形変換器22は、2つ以上の変換器22によって生成される音波の波面の重ね合わせが円筒波面のセクタを形成するように、互いから離間される。いくつかの実施形態では、音源20Rは、矩形変換器および楕円形変換器のうちの少なくとも一方、例えば、図示されている楕円形変換器24を含む。いくつかの実施形態では、音源20は、少なくとも2000Hzの周波数の音波を生成するように構成される。
【0043】
いくつかの実施形態では、
図1Aおよび
図1Bに関して例示され、上述されているように、ホルダ60は、主バッフルと周辺バッフルとを備える筐体内に含まれ、音源は、主バッフルに対して60°~100°の角度で配置される。したがって、音源20Rまたは音源20Lは、周辺バッフルに取り付けられ得る。
【0044】
ここで、1つ以上のヘッドホン100を含むヘッドホン装置200を示す
図2Bについて説明する。ヘッドホン100は、ヘッドホン110と実質的に同じ要素を含み得、1つ以上の低周波音響変換器、例えば、2000Hz未満の周波数範囲の音を生成するように構成されたセット10内に含まれる音響変換器12をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の低周波音響変換器は、主バッフル(例えば、主バッフル30)に取り付けられる。
【0045】
ここで、2つのヘッドホン100またはヘッドホン110を備えるヘッドホンキット220を示す
図2Cについて説明する。2つのヘッドホン100またはヘッドホン110は、2つのクリップホルダ65を含み得、音源20Rおよび音源20Lの両方によって生成される音波の波面が同じ方向に伝搬するように、第1のクリップホルダは右ヘッドホンを右耳に取り付けるように構成され、第2のクリップホルダは左ヘッドホンを左耳に取り付けるように構成される。
【0046】
ここで、本発明のいくつかの実施形態に係るヘッドホンの非限定的な設計の3次元図および分解図である
図3Aおよび
図3Bについて説明する。
図3Aおよび
図3Bは、ヘッドホン100の非限定的な設計を示しており、
図1Aおよび
図1Bに関して上述したものと実質的に同じ要素を含む。いくつかの実施形態では、ヘッドホン100は、変換器12、22を保護し、覆うためのカバー70をさらに含み得る。カバー70は、変換器12、22からの音波が耳5に向かって伝搬することを可能にする様々なスロットを含み得る。
【0047】
当業者は理解するように、
図3Aおよび
図3Bに示されているヘッドホン100の設計は、一例として挙げられているにすぎず、本発明は、この特定の設計に限定されない。
【0048】
したがって、本発明の実施形態に係るヘッドホンは、ユーザが音(例えば、音楽)を離れた所から聴くときにユーザが有する鼓膜上の特定の周波数応答を模倣する、より「自然な」聴取体験をユーザに提供することができる。
【0049】
明示的に述べられていない限り、本明細書で説明される方法の実施形態は、特定の順序またはシーケンスに限定されない。さらに、本明細書に記載される全ての方式は、例としてのみ意図され、他のまたは異なる方式が使用されてもよい。加えて、説明されている方法の実施形態またはその要素のうちのいくつかは、同じ時点で発生してもよい、または実行されてもよい。
【0050】
本発明の特定の特徴について本明細書で例示および説明したが、当業者は、多くの修正、置換、変更、および均等物を思い付くであろう。したがって、添付の請求項は、本発明の真の趣旨の範囲内にあるこのような修正および変更の全てを網羅することを意図するものであることを理解されたい。
【0051】
様々な実施形態を提示した。これらの実施形態の各々は、当然ながら、提示される他の実施形態からの特徴を含んでもよく、具体的に説明されていない実施形態は、本明細書で説明されている種々の特徴を含んでもよい。
【国際調査報告】