IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケーエムダブリュ・インコーポレーテッドの特許一覧

特表2024-541367発熱素子冷却構造体及びその製造方法
<>
  • 特表-発熱素子冷却構造体及びその製造方法 図1
  • 特表-発熱素子冷却構造体及びその製造方法 図2
  • 特表-発熱素子冷却構造体及びその製造方法 図3
  • 特表-発熱素子冷却構造体及びその製造方法 図4
  • 特表-発熱素子冷却構造体及びその製造方法 図5
  • 特表-発熱素子冷却構造体及びその製造方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】発熱素子冷却構造体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   F28D 15/02 20060101AFI20241031BHJP
   F28D 15/04 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
F28D15/02 101H
F28D15/04 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024528489
(86)(22)【出願日】2022-11-23
(85)【翻訳文提出日】2024-05-14
(86)【国際出願番号】 KR2022018597
(87)【国際公開番号】W WO2023096336
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】10-2021-0163821
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0155784
(32)【優先日】2022-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508112782
【氏名又は名称】ケーエムダブリュ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カン ヒョン リ
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン ソク キム
(72)【発明者】
【氏名】ハン ヒョン チョ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ミン リ
(72)【発明者】
【氏名】ジェ ホ ジャン
(57)【要約】
【解決手段】発熱素子冷却構造体の製造方法は、プレス金型方式を用いて複数【課題】製品の生産性を向上させることができる発熱素子冷却構造体およびその製造方法を提供する。
のコラム部(column unit)を含む上部プレートを製造する過程と、前記プレス金型方式を用いて下部プレートを製造する過程と、レーザを用いて前記上部プレートの内面及び、前記下部プレートの内面のうちの少なくとも1つにウィック部(wick unit)を形成するウィック部形成過程と、前記上部プレート及び前記下部プレートを接合する過程と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレス金型方式を用いて複数のコラム部(column unit)を含む上部プレートを製造する過程と、
前記プレス金型方式を用いて下部プレートを製造する過程と、
レーザを用いて前記上部プレートの内面及び、前記下部プレートの内面のうちの少なくとも1つにウィック部(wick unit)を形成するウィック部形成過程と、
前記上部プレート及び前記下部プレートを接合する過程と、
を含む、発熱素子冷却構造体の製造方法。
【請求項2】
さらに、前記コラム部を前記下部プレートに接合する過程を含む、請求項1に記載の発熱素子冷却構造体の製造方法。
【請求項3】
前記上部プレートを製造する過程は、
前記コラム部が前記上部プレートの外面に凹んで前記上部プレートの内面に突出されるように形成する過程を含む、請求項1に記載の発熱素子冷却構造体の製造方法。
【請求項4】
前記ウィック部形成過程は、
前記上部プレートの内面のうち、前記下部プレートと接合される部分を除く残りの部分に前記ウィック部を形成する過程を含む、請求項1に記載の発熱素子冷却構造体の製造方法。
【請求項5】
前記ウィック部形成過程は、
前記上部プレートの内面のうち、前記コラム部と前記下部プレートとが接合される接合部を除く残りの部分に前記ウィック部を形成する過程を含む、請求項1に記載の発熱素子冷却構造体の製造方法。
【請求項6】
前記ウィック部形成過程は、
前記下部プレートの内面のうち、前記上部プレートと接合される接合面を除く残りの部分に前記ウィック部を形成する過程を含む、請求項1に記載の発熱素子冷却構造体の製造方法。
【請求項7】
さらに、前記発熱素子冷却構造体に冷媒を注入し、前記発熱素子冷却構造体を密閉させる過程を含む、請求項1に記載の発熱素子冷却構造体の製造方法。
【請求項8】
下部プレートと、
前記下部プレートの内面と接合されて内部空間が形成されるように構成される上部プレートと、
前記上部プレートの外面に凹んで前記上部プレートの内面に突出されるように形成されるコラム部と、
前記上部プレートの内面及び、前記下部プレートの内面のうちの少なくとも1つに形成されて前記冷媒を移動させるように構成されるウィック部と、
を含む、発熱素子冷却構造体。
【請求項9】
前記コラム部は、
前記下部プレートの内面に接合される、請求項8に記載の発熱素子冷却構造体。
【請求項10】
前記コラム部は、
前記上部プレートと一体に形成される、請求項8に記載の発熱素子冷却構造体。
【請求項11】
前記ウィック部は、
前記上部プレートと前記下部プレートとが接合される部分を除く前記上部プレートの内面及び、前記下部プレートの内面に形成される、請求項8に記載の発熱素子冷却構造体。
【請求項12】
前記上部プレート及び前記下部プレートはレーザを用いて接合される、請求項8に記載の発熱素子冷却構造体。
【請求項13】
前記下部プレートは、外面が発熱素子に密着されるように配置される、請求項8に記載の発熱素子冷却構造体。
【請求項14】
前記ウィック部は、毛細管現象を利用して前記冷媒を移動させるように構成される、請求項8に記載の発熱素子冷却構造体。
【請求項15】
前記コラム部は、レーザ溶接を用いて前記下部プレートの内面に接合される、請求項9に記載の発熱素子冷却構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発熱素子冷却構造体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この部分に記述されている内容は、単に本開示の背景情報を提供するだけであり、従来技術を構成するものではない。
【0003】
コンピュータ、サーバ、高性能アンテナなどの電子装置は、ICチップ、CPU、及び送受信素子などの電子部品を含む。このような電子装置が作動するにあたり、電子部品(以下、「発熱素子」)から大量の熱が発生する。熱を発生させる発熱素子が冷却されない場合、その性能が著しく低下したり、場合によっては損傷されたりして作動が困難になる。したがって、発熱素子は効果的に冷却される必要がある。
【0004】
最近の電子装置は、スリム化、高集積化、高性能化などによって部品間の間隔が狭くなり、発熱負荷が増加されているのが実情である。したがって、発熱素子の冷却は必須であり、大部分の電子装置には発熱素子を冷却させるための冷却装置が設置されている。
【0005】
周辺の温度差によって冷媒が相変化しながら循環するように備えられたヒートパイプ(heat pipe)タイプ又はベイパーチャンバ(vapor chamber)タイプの冷却装置が多く活用されている。
【0006】
ヒートパイプタイプ又はベイパーチャンバタイプの冷却装置は、中空(又は内部空間)が形成され、熱伝導性材質で備えられたパイプ状(又はパネル)のボディチューブ(又はボディパネル)の内部に多孔性体であるキャピラリーウィック部(capillary wick,毛細管芯部)が焼結(sintering)方式で製造される。
【0007】
キャピラリーウィック部が焼結方式のみで製造される場合、焼結過程及び焼結条件等に制約があるため、製品の生産性が低下される問題がある。
【0008】
また、ヒートパイプタイプ又はベイパーチャンバタイプの冷却装置は、上部プレート及び下部プレートだけでなく、キャピラリー構造物及び柱(pillar)構造物などのいろんな構成をろう付け(brazing)などの方式を用いて接合するため、生産過程が複雑で費用が増加する問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一実施例に係る発熱素子冷却構造体及びその製造方法によると、レーザを用いてキャピラリーウィック部を形成することにより、製品の生産性を向上させることができる。
【0010】
一実施例に係る発熱素子冷却構造体及びその製造方法によると、上部プレート、下部プレート及びコラム部を、レーザを用いて接合することにより、簡単な製造過程を通じて製品の生産性及び経済性を向上させることができる。
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていないまた他の課題は、下の記載から通常の技術者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の一実施例によると、プレス金型方式を用いて複数のコラム部(column unit)を含む上部プレートを製造する過程と、前記プレス金型方式を用いて下部プレートを製造する過程と、レーザを用いて前記上部プレートの内面及び前記下部プレートの内面のうちの少なくとも1つにウィック部(wick unit)を形成するウィック部形成過程と、前記上部プレート及び前記下部プレートを接合する過程と、を含む発熱素子冷却構造体の製造方法を提供する。
【0013】
本開示の他実施例によると、下部プレートと、前記下部プレートの内面と接合されて内部空間が形成されるように構成される上部プレートと、前記上部プレートの外面に凹んで前記上部プレートの内面に突出されるように形成されるコラム部と、前記上部プレートの内面及び、前記下部プレートの内面のうちの少なくとも1つに形成されて前記冷媒を移動させるように構成されるウィック部を含む発熱素子冷却構造体を提供する。
【発明の効果】
【0014】
一実施例によると、発熱素子冷却構造体及びその製造方法は、レーザを用いてキャピラリーウィック部を形成することにより、製品の生産性を向上させる効果がある。
【0015】
一実施例によると、発熱素子冷却構造体及びその製造方法は、上部プレート、下部プレート及びコラム部を、レーザを用いて接合することにより、製造工程を単純化して製品の生産性を向上させ、生産コストを節減する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の一実施例に係る発熱素子冷却構造体の製造方法のフローチャートである。
図2】本開示の一実施例に係る発熱素子冷却構造体の斜視図である。
図3】本開示の一実施例に係る発熱素子冷却構造体の分解斜視図である。
図4】本開示の一実施例に係る発熱素子冷却構造体の断面図である。
図5】本開示の一実施例に係る発熱素子冷却構造体のウィック部にレーザ照射器を用いてライン間隔を示す図である。
図6】本開示の一実施例に係る発熱素子冷却構造体のウィック部のパターン形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の一部の実施例を例示的な図面を通じて詳しく説明する。各図面の構成要素に参照符号を付加するにあたり、同一の構成要素に対しては、たとえ異なる図面上に表示されても、できるだけ同一の符号を有するようにしていることに留意されたい。なお、本開示を説明するにあたり、関連される公知の構成又は機能に関する具体的な説明が本開示の要旨を曖昧にすると判断される場合には、その詳しい説明は省く。
【0018】
本開示に係る実施例の構成要素を説明するにあたり、第1、第2、i)、ii)、a)、b)などの符号を使用する場合がある。このような符号は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものであり、その符号によって該当構成要素の本質又は順番や順序等が限定されない。本明細書である部分がある構成要素を「含む」又は「備える」と言うとき、これは、明示的に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0019】
図1は、本開示の一実施例に係る発熱素子冷却構造体の製造方法のフローチャートである。
【0020】
図2は、本開示の一実施例に係る発熱素子冷却構造体の斜視図である。
【0021】
図3は、本開示の一実施例に係る発熱素子冷却構造体の分解斜視図である。
【0022】
図4は、本開示の一実施例に係る発熱素子冷却構造体の断面図である。
【0023】
図1ないし図4を参照すると、本開示の一実施例に係る発熱素子冷却構造体200の製造方法は、上部プレート(upper plate)210及び下部プレート(lower plate)220を製造する過程を含む(S101)。上部プレート210及び下部プレート220は、プレス金型(press mold)方式を用いて製造する。
【0024】
上部プレート210は、コラム部(column unit)211、内部空間212、及び注入口213を含む。上部プレート210にコラム部211が一体的に形成されるように、プレス金型方式を用いて上部プレート210を製造する。コラム部211は、上部プレート210の外面に凹み、上部プレート210から下部プレート220と接合される方向に突出されるように形成される。上部プレート210は、一定間隔で規則的に配列された複数のコラム部211を含む。ただし、複数のコラム部211の配列がこれに限定されるものではなく、複数のコラム部211は非規則的に配列されてもよい。
【0025】
上部プレート210と下部プレート220の接合時に、上部プレート210と下部プレート220との間に冷媒が充填されるように構成された内部空間212が形成されるように、上部プレート210 は所定の厚さを有するように製造される。
【0026】
発熱素子冷却構造体200の製造方法は、上部プレート210及び/又は下部プレート220の内面にウィック部(wick unit)230を形成する過程を含む(S103)。レーザ照射器を用いて上部プレート210及び/又は下部プレート220の内面にウィック部230を形成する。ウィック部230は、レーザの高集積エネルギーを利用して上部プレート210及び/又は下部プレート220の内面に熱を加えて一定の深さ以上に掻いたり、傷をつけたりする方式で形成される。
【0027】
上部プレート210の内面及び/又は下部プレート220の内面のうち、上部プレート210と下部プレート220が互いに接合される部分を除く残りの部分にウィック部230が形成される。例えば、上部プレート210の内面のうち、下部プレート220と接合されるコラム部211の接合部211a及び接合面215等にはウィック部230を形成しなくてもよい。下部プレート220の内面のうち、コラム部211及び上部プレート210の接合面215と接合される下部プレート220の接合面225にはウィック部230を形成しなくてもよい。
【0028】
発熱素子冷却構造体200の製造方法は、上部プレート210及び下部プレート220を接合する過程を含む(S105)。
【0029】
上部プレート210と下部プレート220は、レーザ溶接(laser weld)を用いて接合される。レーザビームを上部プレート210の上部から上部プレート210に垂直に照射し、レーザビームが上部プレート210は貫通するが下部プレート220は貫通しないように照射する。上部プレート210と下部プレート220をレーザ溶接することにより、内部空間212に充填された冷媒の膨張力にもかかわらず、発熱素子冷却構造体200の引張力及び気密性を維持することができる。
【0030】
発熱素子冷却構造体200の製造方法は、コラム部211及び下部プレート220を接合する過程を含む(S107)。
【0031】
コラム部211と下部プレート220は、レーザ溶接を用いて接合される。上部プレート210の上部で上部プレート210に垂直であり、上部プレート210の外面の凹んだコラム部211を向くようにレーザビームを照射する。レーザビームがコラム部211は貫通するが下部プレート220は貫通しないように照射する。コラム部211と下部プレート220を接合することで、内部空間212に充填された冷媒の膨張によってコラム部211が上部プレート210の外面に凸に突出されることを防止することができる。
【0032】
上部プレート210とコラム部211を下部プレート220に接合した後、内部空間212に冷媒を注入して発熱素子冷却構造体200を密閉する(S109)。発熱素子冷却構造体200の内部に冷媒を充填し、真空ポンプなどを用いて内部圧力を最適化する。その後、別途の設備を用いて注入口213を接合して発熱素子冷却構造体200を密閉することで、気密性を維持することができる。密閉後、必要に応じて注入口213を切断してもよい。
【0033】
本開示の一実施例に係る発熱素子冷却構造体200は、圧縮機による冷媒の相変化誘導を除く概念の放熱方式を適用することができる放熱部品である。圧縮機を用いずに、大気圧状態でただ外部から供給される熱によって相変化を起こしながら熱を伝達することで、電気的に駆動によって発熱される発熱素子を冷却させるように設計され、ベイパーチャンバ(vapor chamber)、ヒートパイプ (heat pipe)及びヒートシンク(heat sink)などに適用される。
【0034】
図2ないし図4を再び参照すると、本開示の一実施例に係る発熱素子冷却構造体200は、上部プレート210及び下部プレート220を含む。上部プレート210は、コラム部211、内部空間212、注入口213、及び接合面215を含む。上部プレート210及び下部プレート220は、内面にウィック部230を含む。
【0035】
内部空間212には冷媒が充填されて流動される。上部プレート210と下部プレート220が接合されるとき、上部プレート210と下部プレート220との間に内部空間212が形成されるように、上部プレート210の内面は高さの異なる接合面215を含む。このとき、上部プレート210と下部プレート220が接合可能となるように、接合面215とコラム部211の高さは同じである。
【0036】
コラム部211は、上部プレート210に一体型で形成される。コラム部211が上部プレート210に一体型で形成されるようにプレス金型方式を用いて上部プレート210を製造する。コラム部211は、上部プレート210の外面に凹んでおり、上部プレート210から下部プレート220と接する方向に突出されるように形成される。上部プレート210は、一定間隔で規則的に配列された複数のコラム部211を含む。ただし、複数のコラム部211の配置がこれに限定されず、複数のコラム部211は非規則的に配列されてもよい。
【0037】
コラム部211は、上部プレート210の内面から柱状に突出されるように形成され、接合部211a及び傾斜部211bを含む。傾斜部211bは、上部プレート210の内面に垂直ではなく所定の角度をなすように形成される。例えば、傾斜部211bと上部プレート210との角度は45度(degree)である。傾斜部211bが上部プレート210の内面に垂直な場合、傾斜部211bにウィック部230を形成することが困難であるためである。すなわち、本開示に係る発熱素子冷却構造体200は、上部プレート210とコラム部211の傾斜部211bが所定の角度をなすように形成され、傾斜部211bにもウィック部230が形成されることで、毛細管現象を増大させて内部に充填された冷媒の移動性を向上させ、結果的に発熱素子の冷却効果を極大化することができる。
【0038】
接合部211aの断面形状は、円形又は多角形である。接合部211a及び傾斜部211bからなるコラム部211の形状は、円錐台及び多角錐台形状である。ただし、コラム部211の形状がこれに限定されず、開示されたコラム部211と同一の機能を遂行できる様々な形状を有し得ることを明らかにしておく。
【0039】
上部プレート210及び/又は下部プレート220の内面には、ウィック部230が形成される。ウィック部230は、レーザの高集積エネルギーを利用して上部プレート210の内面及び/又は下部プレート220の内面に熱を加え、一定の深さ以上に掻いたり傷をつけたりする方式で形成される。ウィック部230は、内部空間212に充填された冷媒を、毛細管現象を利用して流動させるように形成される。
【0040】
下部プレート220の外部に配置された発熱素子から発熱素子冷却構造体200に熱が伝達されると、発熱素子冷却構造体200の内部に充填された冷媒は伝達される熱によって相変化(phase change)する。相変化した冷媒は、表面張力及び/又は毛細管力(capillary force)によってウィック部230を介して上部プレート210方向に移動して熱を伝達し、上部プレート210に伝達された熱は外部へ放出される。
【0041】
ウィック部230は、上部プレート210の内面及び/又は下部プレート220の内面のうち、上部プレート210と下部プレート220とが互いに接合されない部分に形成される。上部プレート210の内面のうち、下部プレート220と接合された部分を除く残りの部分にウィック部230が形成される。上部プレート210の接合面215及びコラム部211の接合部211aにはウィック部230が形成されず、これを除いた上部プレート210の内面及びコラム部211の傾斜部 211bなどにウィック部230が形成される。
【0042】
下部プレート220の内面のうち、上部プレート210と接合される部分を除く残りの部分にウィック部230が形成される。上部プレート210と接合される下部プレート220の接合面225には、ウィック部230が形成されない。下部プレート220のウィック部230間には、複数のコラム部211に対応して当接する複数の接合面225が形成される。複数の接合面225は、複数のコラム部211に対応して一定間隔で規則的に配列される。ただし、複数の接合面225の配列がこれに限定されるものではなく、複数の接合面225は、複数のコラム部211に対応して非規則的に配列されてもよい。
【0043】
図5は、本開示の一実施例に係る発熱素子冷却構造体のウィック部にレーザ照射器を用いてライン間隔を示す図である。
【0044】
図6は、本開示の一実施例に係る発熱素子冷却構造体のウィック部のパターン形状を示す図である。
【0045】
図5及び図6を参照すると、レーザビームが照射されるライン(line)の間隔dは最小0.01mmである。ライン間隔(d)が広がりすぎると、毛細管力が消えて水の道が存在しないため、抗グラビリティ(Anti-Gravity)特性を具現できないからである。上部プレート210(図2等参照)及び下部プレート220(図2等参照)とウィック部230(図2等参照)との間に毛細管力が小さい場合には、発熱素子冷却構造体200内部の温度変化に伴う冷媒の流動を考慮し、熱源を常に低い位置に位置させなければならず、放熱部分は常に高い位置に位置させなければならないという設計上の制限が生じる。したがって、レーザビームによって照射されるライン間隔dは、毛細管力が発生する限度に制限設計することが好ましい。
【0046】
レーザ照射器によって形成されるウィック部230は、クロス(Cross)パターン(図6(a))及びブロック(Block)パターン(図6(b))のうちの1つ以上のパターンに加工される。さらに、図面には図示されていないが、熱源から放熱部分まで連続的に続くように「e」字状を有するパターン形状に加工される。
【0047】
本開示の一実施例による発熱素子冷却構造体200は、レーザ照射器を用いて精密かつ迅速にウィック部230を形成することができる。発熱素子冷却構造体200は、上部プレート210及び/又は下部プレート220を加工旋盤上に固定させ、加工旋盤上にレーザ照射器を設置してレーザビームを照射する。
【0048】
ウィック部230のパターン形状によってレーザ照射器の移動速度及び移動方向を設定する。例えば、適切なマークスピードは300mm/sに設定される。レーザビームのマークスピードが速すぎると、レーザビームの形態で上部プレート210及び/又は下部プレート220に伝達される熱量が少なすぎて所望のパターンのウィック部230を形成することができない。マークスピードが遅すぎると、レーザビームの形態で上部プレート210及び/又は下部プレート220に伝達される熱量が多すぎるため、ウィック部230のサイズが要求されるウィック部230のサイズよりも大きく変形される問題が発生する。
【0049】
レーザビームの発振周波数は20ないし40kHzの範囲内に設定し、レーザビームはパルスモード(pulse mode)で発振される。母材である上部プレート210及び下部プレート220がアルミニウム素材に採択される場合、ウィック部230の形成のためのレーザ照射器のレーザビームの発振周波数は、上述した20ないし40kHzの範囲が最も適切である。
【0050】
以上の説明は、本実施例の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本実施例が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本実施例の本質的な特性から逸脱しない範囲で様々な修正及び変形が可能であろう。したがって、本実施例は、本実施例の技術思想を限定するものではなく説明するためのものであり、このような実施例によって本実施例の技術思想の範囲が限定されるものではない。本実施例の保護範囲は、特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等の範囲内にあるすべての技術思想は、本実施例の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【0051】
[関連出願への相互参照(CROSS-REFERENCE TO RELATED APPLICATIOIN)]
本特許出願は、本明細書にその全体が参考として含まれる、2021年11月24日付にて韓国に特許出願した特許出願番号第10-2021-0163821号及び、2022年11月18日付にて韓国に特許出願した特許出願番号第10-2022-0155784号に対して優先権を主張する。
【符号の説明】
【0052】
200 発熱素子冷却構造体
210 上部プレート
211 コラム部
220 下部プレート
230 ウィック部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】