(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】印刷機のブランケット胴用のコーティング
(51)【国際特許分類】
B41N 10/04 20060101AFI20241031BHJP
B41N 10/06 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B41N10/04
B41N10/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024528588
(86)(22)【出願日】2021-11-12
(85)【翻訳文提出日】2024-05-13
(86)【国際出願番号】 IT2021000051
(87)【国際公開番号】W WO2023084547
(87)【国際公開日】2023-05-19
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524180680
【氏名又は名称】レビ アコバス,ロベルト
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】レビ アコバス,ロベルト
【テーマコード(参考)】
2H114
【Fターム(参考)】
2H114AA04
2H114CA10
2H114DA03
2H114DA46
2H114DA56
2H114DA60
2H114EA02
2H114EA03
(57)【要約】
印刷機のブランケット胴用のコーティングは、ブランケット層(1)と、上記のブランケット層に堅固に接続された第1の面及び上記の胴に接触する第2の面を有するエラストマー層(2)と、を含む多層構造を有し、ブランケット層(1)が、ポリマー材料から作製された少なくとも1つの印刷副層(6)と、少なくとも1つの布副層(3、4、5)とを含み、エラストマー層(2)が、ASTMのD-412規格に従って、4.3MPa~1MPaに含まれる引張応力を、100%伸びにおいて有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷機のブランケット胴(10)用のコーティング(100)であって、ブランケット層(1)と、前記ブランケット層に堅固に接続された第1の面及び前記胴に接着される第2の面を有するエラストマー層(2)と、を含む多層構造を有し、前記ブランケット層(1)は、ポリマー材料から作製された少なくとも1つの印刷副層(6)と、少なくとも1つの布副層(3、4、5)とを含み、前記エラストマー層(2)は、ASTMのD-412規格(ISO527)に従って、4.3MPa~1MPaに含まれる引張応力を、100%の伸びにおいて有することを特徴とする、印刷機のブランケット胴(10)用のコーティング(100)。
【請求項2】
前記エラストマー層(2)が、ASTMのD-412規格(ISO527)に従って、2.5MPa~1MPaに含まれる引張応力を、100%の伸びにおいて有することを特徴とする、請求項1に記載の印刷機のブランケット胴(10)用のコーティング(100)。
【請求項3】
前記エラストマー層(2)が、ASTMのD-2240規格に従って、70ショアA~45ショアAに含まれる硬度を有することを特徴とする、請求項1又は2のいずれか一項に記載の印刷機のブランケット胴(10)用のコーティング(100)。
【請求項4】
前記エラストマー層(2)が、ASTMのD-2240規格に従って、60ショアA~45ショアAに含まれる硬度を有することを特徴とする、請求項3に記載の印刷機のブランケット胴(10)用のコーティング(100)。
【請求項5】
前記エラストマー層(2)が、シリコーンを含むが可塑剤を含まない材料から作製されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の印刷機のブランケット胴(10)用のコーティング(100)。
【請求項6】
前記エラストマー層(2)が、熱可塑性ポリウレタンを少なくとも含む材料から作製されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の印刷機のブランケット胴(10)用のコーティング(100)。
【請求項7】
前記エラストマー層(2)が、芳香族ポリエステル系熱可塑性ポリウレタンを少なくとも含む材料から作製されることを特徴とする、請求項6に記載の印刷機のブランケット胴(10)用のコーティング(100)。
【請求項8】
前記エラストマー層(2)が、1重量%~15重量%に含まれる量で存在する熱可塑性エラストマーを含む添加剤を含む材料から作製されることを特徴とする、請求項6又は7に記載の印刷機のブランケット胴(10)用のコーティング(100)。
【請求項9】
前記熱可塑性エラストマーが、8重量%~12重量%に含まれる量で存在することを特徴とする、請求項8に記載の印刷機のブランケット胴(10)用のコーティング(100)。
【請求項10】
前記エラストマー層が、0.05~1.50mmに含まれる厚さを有し、公差が±0.01mmであることを特徴とする、請求項1~9の一項以上に記載の印刷機のブランケット胴(10)用のコーティング(100)。
【請求項11】
前記エラストマー層(2)が、セルフレベリング能力、及び前記ブランケット層(1)の厚さと組み合わせて、前記多層構造体の所望の全体厚さを維持することを可能にするような厚さを有することを特徴とする、請求項1~10の一項以上に記載の印刷機のブランケット胴(10)用のコーティング(100)。
【請求項12】
前記エラストマー層(2)の前記第2の面が、一方では前記ブランケット胴(10)への完全な接着の維持を保証し、他方では前記ブランケット胴(10)からの容易な取り外しを保証するのに少なくとも十分な、静的及び動的条件下での接着度で、前記ブランケット胴(10)との接着のための追加の接着剤製品の介在を必要とせずに直接接着する能力を有することを特徴とする、請求項11に記載の印刷機のブランケット胴(10)用のコーティング(100)。
【請求項13】
前記エラストマー層(2)が、前記ブランケット胴(10)の凹面(13)と前記ブランケット胴(10)の円筒面(14)との間に鋭角(Δ)が形成される、前記ブランケット胴(10)のギャップ領域(11)の出口(12)において、前記ブランケット胴(10)の前記表面(13,14)に追従する能力を有することを特徴とする、請求項1~12の一項以上に記載の印刷機のブランケット胴(10)用のコーティング(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷機、特に、限定するわけではないが、オフセット又は枚葉紙供給型の印刷機のブランケット胴用のコーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
当業者に知られているように、これらの印刷機では、ゴム引きされた材料のベース層を有するコーティングシート(業界では単に「ブランケット」又は印刷ブランケットと呼ばれる。以下では、ブランケットという用語を使用する)が、金属製でそれ自体の軸線を中心に回転可能な印刷胴に取り付けられ、胴の側面を覆っている。
【0003】
ブランケット層は、その2つの対向する側に、通常はアルミニウム又は鋼から作製される、U字形の断面を有するそれぞれの金属バーを備え、それがブランケットの対応する縁部上に嵌合され、次いでそこに固定され得るようになっている。2つの金属バーは、ブランケットを前述の胴に固定する役割を果たす。従来、ブランケット層は、少なくとも2つの副層、すなわち布副層及びゴム副層を含むが、2つ以上の布副層及び2つ以上のゴム副層も含む、より複雑な構造のブランケット層もこれまでに製造されてきた。布は、例えば、綿布又はPES布であるが、金属(特に、アルミニウム及び鋼の合金)からも作製される。他方、ゴムは、例えば、ニトリル/ブチルタイプのゴムである。
【0004】
オフセット印刷機の各モデルに対して、その製造業者は、ブランケット胴を覆うコーティングの全体厚さを示している。このコーティングの全体厚さは、(いわゆるアンダーブランケットを形成する)アンダーコーティングを、上述のブランケット層(実際のコーティング)に加えて使用することによっても得られる。
【0005】
アンダーブランケットは、厚紙又はポリエステルのシートからなることが多く、接着剤によってブランケット胴に固定されなければならない。
【0006】
枚葉印刷機は、通常、固定バーによって貼り付けられた厚紙のアンダーブランケットを使用する。オフセット機は、ポリエステルのシートを使用し、これは接着剤によって、ブランケット胴上に固定されなければならない。
【0007】
コーティングを取り外して交換するのに必要な操作の複雑さに関連する不都合を避けるために、エラストマー材料の層がアンダーブランケットとして提案されており、それは、セルフレベリング能力、及び、上記のブランケット層の厚さに組み合わされて、コーティングの所望の全体厚さが維持されることを可能にするような厚さとを有している。
【0008】
上述したタイプのエラストマー材料の層は、ブランケット胴との接着のために追加の接着製品の介在を必要としない直接接着能力を有し、その接着度は、上記の胴の静的及び動的条件下で、一方では、ブランケット胴への完全な接着の維持を保証し、他方ではそこからの容易な取り外しを保証するのに、少なくとも十分なものである。
【0009】
しかしながら、既知のタイプのエラストマー材料から作製されたアンダーブランケットでは、コーティングは、特にオフセット印刷機の場合、ブランケット胴にかかる張力の損失を徐々に受け得るということが判明している。
【0010】
張力の損失は、印刷位置合わせ(print registration)の損失と、その結果としての印刷品質の低下として顕在化する。
【0011】
最適な印刷設定に戻すためには、印刷プロセスを停止し、コーティングの張力を調整してから印刷プロセスを再開する必要がある。容易に想像できるように、このような場合には、生産性に関する利点のすべてが失われる。
【0012】
また、既知のタイプのエラストマー材料から作製されたアンダーブランケットでは、ブランケット胴の輪郭に追従しているコーティングが鋭角を形成する、ブランケット胴のギャップの領域に集中して張力が発生し得るということが観察されている。
【0013】
次に、これらの張力は、ブランケットの張力に対する更なる抵抗を引き起こし、その結果、性能を喪失する場合がある。
【0014】
したがって、本発明の課題は、従来技術の前述の技術的な欠点を取り除くことができる、印刷機のブランケット胴用のコーティングを提供することである。
【0015】
特に、本発明の1つの目的は、取り外し及び交換作業を複雑にすることなく、ブランケット胴への完全な接着を保証する、印刷機のブランケット胴用のコーティングを提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は、印刷機のブランケット胴用の長持ちするコーティングを提供することである。
【発明の概要】
【0017】
これらの目的は、印刷機のブランケット胴用のコーティングによって達成されるが、そのコーティングは、ブランケット層と、エラストマー層とを含む多層構造を有し、エラストマー層は、上記のブランケット層に堅固に接続された第1の面と、上記の胴に接着する第2の面とを有し、上記のブランケット層は、少なくとも1つのポリマー印刷副層と、少なくとも1つの布副層とを含み、上記のエラストマー層は、ASTMのD-412規格に従って、4.3MPa~1MPaに含まれる引張応力を、100%伸びにおいて有することを特徴とする。
【0018】
一実施形態において、上記の少なくとも1つの印刷副層は、架橋エラストマーポリマーから作製される。
【0019】
一実施形態では、上記の多層構造は、発泡架橋エラストマーポリマーから作製された、少なくとも1つの圧縮性副層を含む。
【0020】
上記のエラストマー層は、ASTMのD-2240規格(ISO868)に従って、70ショアA~45ショアAに含まれる硬度を有する。
【0021】
好ましくは、上記のエラストマー層は、少なくとも熱可塑性ポリウレタンを含む材料から作製される。
【0022】
エラストマー層は、セルフレベリング能力、及び、上記のブランケット層の厚さと組み合わされてコーティングの所望の全体厚さが維持されることを可能にするような厚さを維持している。
【0023】
エラストマー層は更に、追加の接着剤製品を介在させる必要なく、ブランケット胴に直接接着する改善された能力を有する。エラストマー層の特性は、静的及び動的条件下で、ブランケット胴への、コーティングの完全な接着を維持することと、それが容易に取り外されることの両方を確実にする。
【0024】
コーティングは、ブランケット胴にかかる正しい張力を維持することが完全にできるので、適切な印刷位置合わせを保証し、その結果、印刷品質を保証する。
【0025】
印刷プロセスが、数回の短い中断しか受けないとすると、印刷機の生産性が向上する。
【0026】
実際には、エラストマー層の特性のおかげで、既知のタイプのコーティングの張力の前述の損失に寄与し得る弾性復元力が、低減される。
【0027】
更に、エラストマー層の特性のおかげで、ブランケット胴のギャップの領域において、コーティングの接着力の損失が回避される。
【0028】
更に、エラストマー層は、ブランケットのシートへの洗浄溶液の浸透をかなり低減させる。洗浄溶媒の浸透は、時間の経過とともに、コーティングを構成する層どうしの分離、横方向の膨潤、その結果としての印刷位置合わせの喪失、及び、支持シートへの損傷、その結果としての構造破壊をもたらす場合がある。
【0029】
エラストマー層とブランケット胴の表面との間の密接な接着によって、ブランケット胴は、胴の腐食に対する保護機能を有することになる。
【0030】
エラストマー層は、既知のタイプのプロセスによってブランケット層の内面に適用され、機械の製造業者によって規定された厚さ、またいずれにせよ、ユーザが所望する厚さを得る(したがって、ユーザは、そのユーザの特定のニーズに合わせた厚さのコーティングを有することができる)。エラストマー層をブランケット層に結合するプロセスは、機械的、物理的、及び/又は化学的なタイプのものであってもよく、例えば、フラットヘッド押出成形プロセス、カレンダー加工、スプレッディング、又は別のプロセスによるものであってもよい。
【0031】
エラストマー層は、製造されるのと同時にブランケット層に適用することも可能であるが、製造された後に、ブランケット層に結合することも可能である。
【0032】
0.05mm~1.50mmに含まれる前述のエラストマー層の厚さで、実際に、市場におけるすべての需要をカバーすることが可能であるということを検証することが可能であった。
【0033】
好ましくは、本発明によるコーティングに関して、ブランケット層は、ASTMのD1894規格に従って、静摩擦係数μsが、0.1超であり、動摩擦係数μkが、0.1超である、物理化学的特性を有する。
これらの特性は、エラストマー/鋼表面に関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本発明は、その例示的な実施形態の以下の説明から、より容易に理解されるであろう。
【0035】
この説明では、添付の図面を参照する。
【0036】
【
図1】本発明によるコーティングの一部の断面を、概略的に示す。
【
図2】ブランケット胴に適用されたコーティングを示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図から分かるように、コーティング100は、従来のブランケット層1と、ブランケット層1の内面(ブランケット胴10の方を向いた面)に適用されたエラストマー層2とを含む。図示された具体的な事例において、ブランケット層1は、一連の副層から構成される。
【0038】
ブランケット層1は、特に、少なくとも1つのポリマー印刷副層6と、少なくとも1つの布副層3、4、5とを含む。
【0039】
一実施形態において、ポリマー印刷副層6は、架橋エラストマーポリマーから作製される。
【0040】
更に、多層構造は、発泡架橋エラストマーポリマー9から作製された、少なくとも1つの圧縮性副層を含み得る。
【0041】
図示された場合において、ブランケット層1は、3つの綿繊維ベースの布3、4、5(しかし、既に述べたように、それらはPES繊維若しくは炭素繊維又は金属基材から作製することもできる)と、従来のニトリル/ブチルゴムから形成された外側印刷副層6(ブランケット胴10の表面に対向する、ブランケット層の面を構成する)と、既知の変更可能な配合を有するゴムの、1つ以上の中間副層7、8と、発泡剤の添加によって改質された、ニトリル/ブチルゴムから形成された発泡独立気泡架橋エラストマーポリマーから作製された圧縮性副層9とを含む。
【0042】
ブランケット層1の組成及び構造は、印刷機のタイプに応じて、上に説明したものとは明らかに異なっていてもよい。
【0043】
新聞用のRoland Colorman若しくはUniman機、又は商業印刷用のLithoman機、又はHeidelberg Speedmaster 102枚葉印刷機を使用すると仮定すると、ブランケット層1の厚さは、印刷機モデルに従って、1.70~1.95mmである。
【0044】
特に、1.70mmのVulcan Altoモデルブランケット層1と、上述の特性を有する2~0.20mmのエラストマー層2とを使用する、48ページ用のLithoman機では、1.90mmの全厚を有するコーティングが得られる。
【0045】
有利には、エラストマー層2は、ASTMのD-412規格(ISO527)に従って、4.3MPa~1MPaに含まれる引張応力を、100%の伸びにおいて有する。
【0046】
好ましくは、エラストマー層2は、ASTMのD-412規格(ISO527)に従って、2.5MPa~1MPaに含まれる引張応力を、100%の伸びにおいて有する。
【0047】
更に、エラストマー層2は、ASTMのD-2240規格に従って、70ショアA~45ショアAに含まれる硬度を有する。
【0048】
好ましくは、エラストマー層2は、ASTMのD-2240規格に従って、60ショアA~45ショアAに含まれる硬度を有する。
【0049】
エラストマー層2は、熱可塑性ポリウレタンを少なくとも含む材料から作製される。
【0050】
好ましくは、エラストマー層2は、芳香族ポリエステル系熱可塑性ポリウレタンを少なくとも含む材料から作製される。特に、カプロラクトン変性熱可塑性ポリウレタンの使用が有利であることが判明している。
【0051】
エラストマー層2の材料は、有利には、それにシリコーンを添加して、耐摩耗性及び加工性、特に材料の押出成形への適性を改善することができる。
【0052】
エラストマー層2の材料は可塑剤を含まないので、経時的な製品の劣化のリスクが低減される。
【0053】
エラストマー層2には更に、熱可塑性エラストマーが添加され、1重量%~15重量%に含まれる量で存在する。
【0054】
好ましくは、エラストマー層2に添加される熱可塑性エラストマーは、8重量%~12重量%に含まれる量で存在する。
【0055】
上記の添加剤は、製造プロセスを改善し、表面摩擦を減少させ、それによってブランケット胴の表面上のコーティングの滑り性を改善する。
【0056】
上述したように、エラストマー層2は、0.05~1.50mmに含まれる厚さを有し、公差は±0.01mmである。
【0057】
本発明によれば、コーティングの弾性復元力は、エラストマー層2の弾性伸び及び、副次的にその硬度値の、最初の選択によって規定される、具体的な特徴によって制限されてきた。
【0058】
例として、引張試験を、同じブランケット層と、異なるエラストマー層とからなる2つの標準試料で行った。
【0059】
標準ブランケット層の厚さは1.95±0.02mmである。標準ブランケット層は、Trelleborgによって製造された、Rollin Metroと呼ばれるものである。
【0060】
第1の標準試料のエラストマー層は、ASTMのD-412規格(ISO527)に従って、4.3MPa~1MPaに含まれる引張応力を、100%の伸びにおいて有する。上記のエラストマー層は、ASTMのD-2240規格(ISO868)に従って、70ショアA~45ショアAに含まれる硬度を有する。
【0061】
第2の標準試料のエラストマー層は、ASTMのD-412規格(ISO527)に従って、4.3MPaより大きい引張応力を、100%の伸びにおいて有する。上記のエラストマー層は、ASTMのD-2240規格(ISO868)に従って、70ショアAより大きい硬度を有する。
【0062】
試験は、10.0±0.1cmの長さ、2.5±0.1cmの幅、及び2.80±0.05mmの厚さを有する標準試料を用いて、室温(23℃)で実施した。
【0063】
ブランケット胴上のコーティングの位置決め方向に平行な長辺を、選択した。
【0064】
以下の結果が得られ(3回の試験の平均値)、所与の応力下での%の伸びとして表されている。
【表1】
【0065】
機器試験の結果は、第1の標準試料が第2の標準試料よりも大きな伸びを有することを示す。
【0066】
エラストマー層2の変形性は、ブランケット胴10のギャップ領域11、すなわちコーティング100がブランケット胴10に機械的に固定されている領域に発生する張力に影響を及ぼすということが分かった。
【0067】
上述のギャップ領域における張力を大幅に低減するためには、ASTMのD-2240規格に従って測定して、70~45ショアA、好ましくは60~45ショアAに含まれる硬度を有するエラストマー層2を選択することが、好都合であるということが分かった。
【0068】
ひとたびコーティング100がギャップ領域11の内側に固定されると、コーティング100は、ブランケット胴10の全周にわたってその表面に追従することができる。
【0069】
特に、ブランケット胴10の凹面13とブランケット胴10の円筒面14との間に鋭角Δが形成される、ギャップ領域11の出口12において、コーティング100は、ブランケット胴10の表面13、14の輪郭に追従することができる。
【0070】
エラストマー層2の特徴的な変形性及び低い硬度は、ブランケット胴10へのコーティングの接着性を改善する。
【0071】
接着力の増加は、コーティングとブランケット胴10との間に洗浄製品が浸透するのを防止し、したがって攻撃的な化学薬品に対する保護が改善される。
【0072】
エラストマー層2は、セルフレベリング能力、及び、ブランケット層1の厚さと組み合わされて多層構造体の所望の全体厚さが維持されることを可能にするような厚さを、依然として有している。エラストマー層2の第2の面は、依然として、ブランケット胴との接着のための追加の接着剤製品の介在を必要としない直接接着能力を有し、上記の胴の静的及び動的条件下での接着度は、一方ではブランケット胴への完全な接着の維持を保証し、他方ではブランケット胴からの容易な取り外しを保証するのに少なくとも十分なものである。更に、エラストマー層2の特別な特性のおかげで、コーティング100は、鋭角Δが存在する場合であっても、ブランケット胴10の表面13、14を正確に複製する能力も有する。
【0073】
そのように考案された印刷機用のコーティングには、多くの修正及び変更を加えることが可能であり、それらの修正及び変更はすべて、本発明の概念の範囲にある。また、すべての詳細は技術的に均等な要素によって置き換えられ得る。使用される材料及び寸法は、実際には、必要性及び最新の技術に従って、どのような任意の材料及び寸法でもよい。
【国際調査報告】