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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】超電導ケーブルシステム
(51)【国際特許分類】
   H01B 12/16 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
H01B12/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529123
(86)(22)【出願日】2022-11-18
(85)【翻訳文提出日】2024-05-14
(86)【国際出願番号】 EP2022082449
(87)【国際公開番号】W WO2023089118
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】21209191.2
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524181539
【氏名又は名称】スーパーノード リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ドイル,スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルシェンク,デオン
(72)【発明者】
【氏名】エーシン,マルコス
(72)【発明者】
【氏名】ホッジ,オーエン
【テーマコード(参考)】
5G321
【Fターム(参考)】
5G321BA03
5G321CB07
5G321CB99
(57)【要約】
本発明は、長距離超電導を促進するように設計された超電導ケーブルシステムを提供し、このケーブルシステムは、極低温流体の供給部を含む少なくとも1つの内部クライオスタット、及び内部クライオスタットの長手方向に延在して極低温流体と熱連通する少なくとも1つの超電動体を含み、内部クライオスタットは液晶ポリマーを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの内部クライオスタット、前記少なくとも1つの内部クライオスタットのルーメン内への極低温流体の供給部、及び前記少なくとも1つの内部クライオスタットの長手方向に延在して前記極低温流体と熱連通する少なくとも1つの超電動体を含み、前記少なくとも1つの内部クライオスタットは液晶ポリマーを含む、超電導ケーブルシステム。
【請求項2】
前記液晶ポリマーはサーモトロピック液晶ポリマーを含む、請求項1に記載の超電導ケーブルシステム。
【請求項3】
前記液晶ポリマーは芳香族エステルを含み、前記芳香族エステルは、芳香族ジカルボキシル繰り返し単位、及び/または芳香族ヒドロキシカルボキシル繰り返し単位、及び/または芳香族ジオール類、芳香族アミド類及び/または非芳香族モノマー類に由来する繰り返し単位を含む、請求項1または2に記載の超電導ケーブルシステム。
【請求項4】
前記液晶ポリマーは少なくとも1つのフィラーを含む、先行請求項のいずれかに記載の超電導ケーブルシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのフィラーは、タングステン酸ジルコニウム、チョップドガラス繊維類、チョップドPTFE繊維類、チョップド炭素繊維類、チョップド液晶ポリマー繊維類、カーボンナノファイバ類、アラミドナノファイバ類、ナノチューブ類、窒化ホウ素及びグラフェンナノ粒子類から選択される、先行請求項のいずれかに記載の超電導ケーブルシステム。
【請求項6】
前記1つ以上のフィラーは、前記液晶ポリマーの体積の0.1~40%を構成する、請求項5に記載の超電導ケーブルシステム。
【請求項7】
前記液晶ポリマーは、10e-6/C未満の熱膨張係数を有する、先行請求項のいずれかに記載の超電導ケーブルシステム。
【請求項8】
前記液晶ポリマーは、1x10-12cm.cm/cm/s/bar未満の透過度を有する、先行請求項のいずれかに記載の超電導ケーブルシステム。
【請求項9】
前記液晶ポリマーは、0kV/mm~40kV/mmの間の絶縁耐力を有する、先行請求項のいずれかに記載の超電導ケーブルシステム。
【請求項10】
前記液晶ポリマーは、1%~20%の間の破断時の破損ひずみを有する、先行請求項のいずれかに記載の超電導ケーブルシステム。
【請求項11】
前記液晶ポリマーは、4~90ケルビン度の間の最低使用温度を有する、先行請求項のいずれかに記載の超電導ケーブルシステム。
【請求項12】
前記液晶ポリマーは、0.5W/mk未満の熱伝導度を有する、先行請求項のいずれかに記載の超電導ケーブルシステム。
【請求項13】
前記液晶ポリマーは25MPa超の降伏強度を有する、先行請求項のいずれかに記載の超電導ケーブルシステム。
【請求項14】
前記液晶ポリマーは1~100GPaの間の剛性を有する、先行請求項のいずれかに記載の超電導ケーブルシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの超電動体は、前記少なくとも1つの内部クライオスタットのルーメン内に保定される、先行請求項のいずれかに記載の超電導ケーブルシステム。
【請求項16】
第一内部クライオスタット、及び前記第一内部クライオスタットを取り囲む第二内部クライオスタットを含む、先行請求項のいずれかに記載の超電導ケーブルシステム。
【請求項17】
前記第二内部クライオスタットは液晶ポリマーを含む、先行請求項のいずれかに記載の超電導ケーブルシステム。
【請求項18】
前記第一内部クライオスタット及び/または前記第二内部クライオスタットはスムースボアを含む、先行請求項のいずれかに記載の超電導ケーブルシステム。
【請求項19】
前記少なくとも1つの内部クライオスタットを封入する外部クライオスタットを含む、先行請求項のいずれかに記載の超電導ケーブルシステム。
【請求項20】
少なくとも1つの内部クライオスタット、前記少なくとも1つの内部クライオスタットのルーメン内に極低温流体の供給部を含み、前記少なくとも1つの内部クライオスタットは液晶ポリマーを含む、寒剤コンジット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの液晶ポリマークライオスタットを利用する超電導ケーブルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
高温超電動体(HTS)電源ケーブルの設計における現在の技術水準は、HTS電源ケーブルをホストし、加圧極低温流体を送り、HTS材料を冷却するために、液体窒素ガス(LNG)輸送解決策のような工業上の関連使用から採用される、一般的にはコルゲートチューブ類の金属合金クライオスタットの使用を含む。
【0003】
金属合金は、熱効率的ではなく、電気絶縁体ではない。これは、クライオスタットシステム及びHTS電源ケーブルの設計及び信頼性に課題をもたらす。HTS電源ケーブルシステムの従来の断面は、外部コルゲートチューブ内に同心円状に配置された内部コルゲートチューブを含む。金属合金クライオスタットは、外部からの力学的負荷に力学的に抵抗し、HTS電源ケーブル及び極低温流体を内部コルゲートチューブ内に支持するように設計される。波形の輪郭のチューブ類は熱膨張係数(CTE)を含む金属合金の性能における欠点に応じると、金属合金は長手方向及び半径方向の両方の寸法において収縮する。内部コルゲートチューブのこれらの波形のため、極低温流体の流れに著しい圧力損失が起こり、その結果、極低温流体の再加圧が必要になるまで、HTS電源ケーブルシステムの長手方向の長さが短くなる。
【0004】
金属合金特性により、HTS電源ケーブルは、液体窒素(LN2)を含むポリプロピレンラミネート紙(PPLP)から、またはPPLP&LN2の絶縁耐力及びHTS電源ケーブル電圧に比例する層厚を有する同等のものから、一般的には独立した誘電絶縁体を含む必要がある。代わりに誘電体は、架橋ポリエチレン(XLPE)などの従来の絶縁体を用いて、コルゲートクライオスタットの外部に添加されてもよい。HTS電源ケーブルが独立した誘電絶縁層を有する必要があると、HTS電源ケーブルがより大きい外径を有するため、多くの実施形態では、内部コルゲートチューブが、HTS電源ケーブルをホストするためにより大きい直径を有し、HTS材料を冷却するための目標質量流量を達成するのに十分な極低温流体を含む必要があることが推測される。
【0005】
要約すると、主要な設計の問題及び最新のHTS電源ケーブルシステムに関する非効率性は、以下を含む:
・ケーブルシステム内の限定されたまたは単一の機能層、例えば、導体上の別個の誘電絶縁体、ならびに真空及び極低温流体を封入するための金属クライオスタット;
・コルゲート金属クライオスタットであるため、熱侵入、さらには液体極低温流体における乱流発生が起こることで、さらなる熱発生が起こり、より短い距離にわたって累積した圧力損失が高くなるため、HTS電源ケーブルシステム上により多くの加圧点が必要になり、極低温流体の摩擦係数が高くなり熱発生が起こること;
・多層HTS導体をホストするのに必要なクライオスタットの直径が大きくなるため、輻射熱侵入が大きくなること;
・温度変化に伴い熱収縮率及び熱膨張率が高くなること。
・複雑な製造性及び関連するコスト;
・非コルゲート鋼クライオスタットは信頼性及び関連する可動化に問題があり、設置が複雑になる。
【0006】
現在、動作中の長距離HTS電源ケーブルはない。最長は、現在、12kmで開発中のプロジェクトであり、これは、コルゲート鋼クライオスタットを使用して説明された従来のHTS電源ケーブル配置を使用する。短いHTS電源ケーブルが延びている場合、押出アルミニウムチューブもしくはステンレス鋼内部クライオスタットスムースボアチューブ、またはライニングコルゲートクライオスタットを使用することができる。スムースボアステンレス鋼クライオスタットは、地上粒子加速器またはLNG輸送管にとって最も一般的な技術である。これらは、一般的には、熱収縮に対応するために、転動または膨張装置と共に設置される。
【0007】
代替に、Invar(FeNi36)は、ニッケル-鉄合金であり、極めて低いCTEで知られおり、冷却時の熱膨張に対応する必要なく、スムースボア解決策を可能にする。ステンレス鋼及びアルミニウムのような一般的な金属合金は、熱膨張係数/熱収縮係数の値が大きすぎるため、極低温流体で充填される場合、金属チューブの長手方向の収縮を相殺するために複数のベローズベースの伸縮管継手が必要になる。これらの継手は、システムに破損点及び熱リーク経路をもたらすため、信頼性を低下させる。
【0008】
従来使用されている金属合金及び炭素繊維の複合材料は、導電体及び熱伝導体である。したがって、クライオスタットの全体寸法を増大させる絶縁層が必要とされる。熱水力性能及びコストは悪影響を受ける。
【0009】
全てのスムースボア金属クライオスタットは連続的に製造されることができず、約12メートルの直線セクションに溶接される必要がある。それらは、輸送のためにコイルに巻き付けられることができない。これにより、これらのようなシステムの製造、輸送及び展開のコストが増加する。炭素繊維熱硬化性クライオスタットは、その剛性が高いため、巻き付けられることができない。
【0010】
コルゲート金属クライオスタットは、液体の極低温流体によってさらなる乱流及び摩擦を発生させることにより、さらに熱が発生し、より短い距離にわたって累積した圧力損失が高くなるため、HTS電源ケーブルシステム上により多くの加圧点が必要となる。コルゲートICを備えた長距離SCSは、技術的に実現不可能である。
【0011】
炭素繊維熱硬化性複合材料は、極低温環境を受ける場合、材料内にき裂を生じることが知られている。これらのき裂は、真空チャンバ内への極低温液体の透過性漏れを表し、SCS運転を中断させる可能性がある。
【0012】
従って、現時点では、既存の技術は、長距離SCS展開(すなわち、100km長)が経済的かつ技術的に実現不可能である。
【0013】
従って、本発明の目的は、著しい性能劣化を伴わずに長距離にわたって動作することができる改良された超電導ケーブルシステムを提供することによって、従来技術の上述の欠点を克服することである。
【発明の概要】
【0014】
本発明の第一態様によれば、超電導ケーブルシステムが提供され、少なくとも1つの内部クライオスタット、少なくとも1つの内部クライオスタットのルーメン内への極低温流体の供給部、及び少なくとも1つの内部クライオスタットの長手方向に延在して極低温流体と熱連通する少なくとも1つの超電動体を含み、少なくとも1つの内部クライオスタットは液晶ポリマーを含む。
【0015】
好ましくは、液晶ポリマーはサーモトロピック液晶ポリマーを含む。
【0016】
好ましくは、液晶ポリマーは芳香族エステルを含み、この芳香族エステルは、芳香族ジカルボキシル繰り返し単位、及び/または芳香族ヒドロキシカルボキシル繰り返し単位、及び/または芳香族ジオール類、芳香族アミド類及び/または非芳香族モノマー類に由来する繰り返し単位を含む。
【0017】
好ましくは、液晶ポリマーは少なくとも1つのフィラーを含む。
【0018】
好ましくは、少なくとも1つのフィラーは、タングステン酸ジルコニウム、チョップドガラス繊維類、チョップドPTFE繊維類、チョップド炭素繊維類、チョップド液晶ポリマー繊維類、カーボンナノファイバ類、アラミドナノファイバ類、ナノチューブ類、窒化ホウ素及びグラフェンナノ粒子類から選択される。
【0019】
好ましくは、1つ以上のフィラーは、液晶ポリマーの体積の0.1%~40%を構成する。
【0020】
好ましくは、液晶ポリマーは、10e-6/C未満の熱膨張係数を有する。
【0021】
好ましくは、液晶ポリマーは、室温で窒素ガスを測定した場合、1x10-12cm.cm/cm/s/bar未満の透過度を有する。
【0022】
好ましくは、液晶ポリマーは、0kV/mm~40kV/mmの間の絶縁耐力を有する。
【0023】
好ましくは、液晶ポリマーは、1%~20%の間の破断時の破損ひずみを有する。
【0024】
好ましくは、液晶ポリマーは、4~90ケルビン度の間の最低使用温度を有する。
【0025】
好ましくは、液晶ポリマーは、0.5W/mk未満の熱伝導度を有する。
【0026】
好ましくは、液晶ポリマーは、25MPa超の降伏強度を有する。
【0027】
好ましくは、液晶ポリマーは、1GPa~100GPaの間の剛性を有する。
【0028】
好ましくは、少なくとも1つの超電動体は、少なくとも1つの内部クライオスタットのルーメン内に保定される。
【0029】
好ましくは、ケーブルシステムは、第一内部クライオスタット、及び第一内部クライオスタットを取り囲む第二内部クライオスタットを含む。
【0030】
好ましくは、第二内部クライオスタットは、液晶ポリマーを含む。
【0031】
好ましくは、第一内部クライオスタット及び/または第二内部クライオスタットは、スムースボアを含む。
【0032】
好ましくは、ケーブルシステムは、少なくとも1つの内部クライオスタットを封入する外部クライオスタットを含む。
【0033】
好ましくは、ケーブルシステムは、外部クライオスタットと少なくとも1つの内部クライオスタットとの間に位置決めされたセントラライザを含む。
【0034】
好ましくは、ケーブルシステムは、1層以上の熱及び/または電気絶縁層を含む。
【0035】
好ましくは、1層以上の層は、エアロゲル、ナノ多孔質絶縁体、固体絶縁体、層状複合絶縁体、多層絶縁体、絶縁ブランケット及び真空のうちの1つ以上を含む熱絶縁体を含む。
【0036】
好ましくは、超電動体は多相超電動体を含む。
【0037】
好ましくは、超電動体は、複数の別個の超電導素子を含む。
【0038】
好ましくは、超電導素子は、少なくとも隣接する超電導素子と同軸に配置され、電気絶縁される。
【0039】
好ましくは、超電導素子は、少なくとも1つの内部クライオスタットと同軸の円形アレイに配置される。
【0040】
好ましくは、極低温流体は、液体水素、液体窒素、液体ヘリウム及び/またはその他の任意の適切な寒剤を含む。
【0041】
本発明の第二態様によれば、寒剤コンジットが提供され、少なくとも1つの内部クライオスタット、少なくとも1つの内部クライオスタットのルーメン内に極低温流体の供給部を含み、少なくとも1つの内部クライオスタットは液晶ポリマーを含む。
【0042】
好ましくは、液晶ポリマーはサーモトロピック液晶ポリマーを含む。
【0043】
好ましくは、液晶ポリマーは芳香族エステルを含み、この芳香族エステルは、芳香族ジカルボキシル繰り返し単位、及び/または芳香族ヒドロキシカルボキシル繰り返し単位、及び/または芳香族ジオール類、芳香族アミド類及び/または非芳香族モノマー類に由来する繰り返し単位を含む。
【0044】
好ましくは、液晶ポリマーは、10e-6/C未満の熱膨張係数を有する。
【0045】
好ましくは、液晶ポリマーは、室温で窒素ガスを測定した場合、1x10-12cm.cm/cm/s/bar未満の透過度を有する。
【0046】
好ましくは、液晶ポリマーは、0kV/mm~40kV/mmの間の絶縁耐力を有する。
【0047】
好ましくは、液晶ポリマーは、1%~20%の間の破断時の破損ひずみを有する。
【0048】
好ましくは、液晶ポリマーは、4~90ケルビン度の間の最低使用温度を有する。
【0049】
好ましくは、液晶ポリマーは、0.5W/mk未満の熱伝導度を有する。
【0050】
好ましくは、液晶ポリマーは、25MPa超の降伏強度を有する。
【0051】
好ましくは、液晶ポリマーは、1GPa~100GPaの間の剛性を有する。
【0052】
好ましくは、寒剤コンジットは、第一内部クライオスタット、及び第一内部クライオスタットを取り囲む第二内部クライオスタットを含む。
【0053】
好ましくは、第二内部クライオスタットは、液晶ポリマーを含む。
【0054】
好ましくは、第一内部クライオスタット及び/または第二内部クライオスタットは、スムースボアを含む。
【0055】
本発明は、これより以下の添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】本発明の第一実施形態による、超電導ケーブルシステムの斜視図を示す。
図2】本発明の第二実施形態による、超電導ケーブルシステムの斜視図を示す。
図3】本発明の第三実施形態による、超電導ケーブルシステムの斜視図を示す。
図4】本発明の第四実施形態による、超電導ケーブルシステムの斜視図を示す。
図5】本発明の第五実施形態による、超電導ケーブルシステムの斜視図を示す。
図6】本発明の第六実施形態による、超電導ケーブルシステムの斜視図を示す。
図7】本発明の第七実施形態による、超電導ケーブルシステムの斜視図を示す。
図8】本発明の態様による、寒剤コンジットの斜視図を示す。
図9】本発明による、寒剤コンジットの代替の実施形態の斜視図を示す。
図10】本発明による、寒剤コンジットのさらなる代替の実施形態の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
次に添付図面の図1を参照すると、超電導ケーブルシステムが示され、全体を10として示され、上記に詳述されるような超電導技術のそれらのような用途に関連する問題を回避しながら、または著しく減少させながら、使用のために長距離超電導能力を提供している。
【0058】
ケーブルシステム10は、任意の既知の適切な材料のものであり得る超電動体12を含み、単一のコンポーネントまたは複数のコンポーネント、例えば、超電導リボンのアレイまたは配置などを含み得る。超電動体12は、単極もしくは多極直流(DC)または単相もしくは多相交流(AC)を導電するように構成され得、物理的に同心軸上(例えば、三相系の三軸配置)または隣接軸上(三相系のtri-ad配置)に配置され得る。ACシステムの場合、いわゆる高温超電動体(HTS)またはその他の導電材料または中性線を追加し得、ACまたはDCシステムの場合、本明細書に後述される実施形態に例示されるように、1つ以上の形態の磁気シールド層を追加し得る。
【0059】
超電動体12は、内部円筒形クライオスタット14の中央ルーメン内で長手方向に延在し、この中央ルーメンは、使用中、極低温流体(寒剤)16、例えば、液体水素、窒素、ヘリウムで少なくとも部分的に充填されるが、その他の任意の液体、気相もしくは多相寒剤、または寒剤の組み合わせを利用し得ることが想定される。このように、超電動体12は、超電導に必要とされる、必要な極低温温度を維持するために寒剤16と熱連通する。図示の実施形態では、熱連通を確立するために、超電動体12が寒剤16と直接接触しているが、後の実施形態に示されるように、超電動体と寒剤との間の間接接触でも必要な熱連通を設け得ることも可能である。寒剤16の動作温度は、ケーブルシステム10の動作要件及び/または条件、または追加もしくは代替のパラメータに応じて変動し得、例えば、液体窒素が寒剤16として使用される場合、動作温度は、0bar~25barの間の動作圧力で67°K~77°Kの範囲内であり得る。しかしながら、これらが例示的なパラメータであり、より低いまたはより高い温度及び/または圧力が使用され得ることを理解されたい。超電動体12が、例えば偏心して配置されても、または螺旋状に延在しても、または以下同様であってもよく、それにもかかわらずケーブルシステム10の全長に対して長手方向に延在し得ることも理解されたい。
【0060】
さらにケーブルシステム10は、内部クライオスタット14を取り囲む熱絶縁層18、及び前述のコンポーネントを取り囲み、封入する外部クライオスタット20を含む。内部クライオスタット14と外部クライオスタット20との間に真空アニュラス22が画定され、追加の熱絶縁を与える。真空アニュラス22内で真空引きすると、ケーブルシステム10内の熱対流を低減させ、図示の実施形態では、1~1000Paの間の範囲内であってもよいが、代替の真空レベル、例えば、ハードまたはソフトバキュームが使用されてもよい。内部クライオスタット14の正確な位置を外部クライオスタット20と同心にまたはその他の方法で物理的に維持するために、好ましくは均一な真空アニュラス22を確保するように、真空アニュラス22内にセントラライズ素子24を設け得る。外部クライオスタット20は、ケーブルシステム10に対して環境保護を提供し、熱損失を低減させ、粒子状物質などの混入物の透過を回避し、例えば外部クライオスタット20に著しい圧力をかける水域であり得る周囲環境に対して構造的な格納容器を設ける。外部クライオスタット20は、好ましくは、環境保護のためにスムースボア鋼管またはコルゲート鋼ジャケットを含む多層構造である。代替に、外部クライオスタット20は、1層以上の任意選択の電気絶縁層(図示せず)及び/または例えば金属であってもよい1層の透過障壁層を備えたポリマー管を含んでもよい。セントラライズ素子24は、任意の適切な形状、配置、及び材料のものであってもよく、図示の実施形態では、アニュラス22の周縁部の周囲に延在するために螺旋形状である。最後に、ケーブルシステム10には外部バラスト26が設けられてもよく、ケーブルシステム10を水中、例えば海中用途などで展開して、ケーブルシステム10が海底に沈むことを確保する。
【0061】
内部クライオスタット14の主な機能は、寒剤16を収容することであり、超電動体12と寒剤16との間の熱連通を容易にすることであり、この熱連通は、図1の実施形態の場合、クライオスタット14のルーメン内に超電動体12が配置されるため、寒剤16と直接接触することによって達成される。またクライオスタット14は、加圧された寒剤16に対して構造健全性を提供し、超電動体12からのケーブルシステム10の誘電絶縁体として機能し、熱絶縁体として機能して外部からの熱侵入を最小にし、寒剤18と真空アニュラス22との間の透過性バリアとして機能する必要がある。
【0062】
加えて、ケーブルシステム10のコストを最小にしながら設計及び輸送を容易にするために、内部クライオスタット14は、従来のベローズベースの伸縮管継手の使用を回避し、または低減させ、リールに巻き付けられることができ、長尺、例えば1km以上、好ましくは10km以上で製造されることができるように、低い熱膨張係数(CTE)を有する必要がある。
【0063】
この性能及び製造特性を達成するために、内部クライオスタット14は液晶ポリマー(LCP)から構成される。LCPは、従来のポリマーとは全く異なる。それらは、低い溶融粘度、成形に高速なサイクル時間、非常に低い成形収縮率、優れた力学的特性、耐溶剤性、優れたバリア特性、低い吸水率、低い熱膨張係数、優れた熱安定性、低い燃焼性などを含む特性を有する。従って、例えば高強度及び高弾性率の繊維、精密成形された小型コンポーネント、及び優れたバリア特性を示すフィルムなど、多数の用途が検討されてきた。
【0064】
モノマー液晶と比較して、ポリマー液晶は、同様の挙動を示すことができ、サーモトロピック及びリオトロピックLCPにクラス分類されることができる。ポリエステル、ポリエーテル及びポリアミドを含むいくつかの周知のクラスのポリマーは、液晶相を示すことができる。ポリマー中の異なるメソゲン位置に従って、LCPは、より複雑な構造が可能な、主鎖、側鎖、及び複合型LCPとして定義されることができる。芳香環は、LCPに使用される最も一般的な単位である。
【0065】
主鎖型サーモトロピックLCPは、LCPの最も重要な群である。それらは、ポリマーの主鎖に組み込まれたメソゲン基からなり、可撓性スペーサなしで調製される場合、通常、全芳香族サーモトロピックLCPとして知られている。それらは溶融時にLC相を形成するため、溶融状態中の粘度が比較的低いため、加工が改善される。
【0066】
ポリエステルは、このクラスのポリマーの中で重要な群である。特に好適なLCPは、1つ以上の芳香族エステル繰り返し単位を含む基本構造を有し、これは、置換か無置換6員環アリール基、もしくは代替に置換か無置換5員環か6員環アリール基に溶融した置換か無置換6員環アリール基、または置換か無置換5員環か6員環アリール基に結合した置換か無置換6員環アリール基を含む一般分子構造を有し得る。分子構造は、1つ以上の側基を有し得る。例示的な芳香族エステル繰り返し単位は、芳香族ジカルボキシル繰り返し単位、芳香族ヒドロキシカルボキシル繰り返し単位及びそれらの組み合わせである。芳香族単位は、60mol.%~99.9mol.%の量であってもよい。
【0067】
芳香族ジカルボキシル繰り返し単位は、芳香族ジカルボン酸に由来し得る。好適な芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸、ジフェニルエーテル-4,4′-ジカルボン酸、ビス(4-カルボキシフェニル)エーテル、ビス(4-カルボキシフェニル)ブタン、ビス(4-カルボキシフェニル)エタン、ビス(3-カルボキシフェニル)エーテル、ビス(3-カルボキシフェニル)エタンイソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、4,4′-ジカルボキシビフェニルである。
【0068】
芳香族ヒドロキシカルボキシル繰り返し単位は、芳香族ヒドロキシカルボン酸、例えば、4-ヒドロキシ安息香酸;4-ヒドロキシ-4′-ビフェニルカルボン酸;2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸;2-ヒドロキシ-5-ナフトエ酸;3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸;2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸;4′-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸;3′-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸;4′-ヒドロキシフェニル-3-安息香酸ならびにアルキル、アルコキシ、アリール及びハロゲン置換基に由来し得る。例示的な芳香族ヒドロキシカルボン酸は、4-ヒドロキシ安息香酸及び6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸である。
【0069】
また繰り返し単位は、芳香族ジオール類及びアルキル、アルコキシ、アリール及びハロゲン置換基に由来し得る。例示的な芳香族ジオール類は、4,4’-ビフェノール及びヒドロキノンである。また芳香族アミド類または芳香族アミン類に由来するもののような繰り返し単位も使用され得る。任意の繰り返し単位は、アルキル、アルコキシ、アリール及びハロゲン置換基で様々に置換され得る。
【0070】
LCPは、ジカルボン酸、脂肪族または環状脂肪族ヒドロキシカルボン酸、アミド、アミンまたはジオールのような多数のその他のモノマー系繰り返し単位を含み得る。
【0071】
好適な市販のLCPの例は、Celanese Corporation製のVectra(登録商標)、Polyplastics Co.Ltd.製のLaperos(登録商標)、Solvay製のXydar(登録商標)、Sumitomo Chemical製のSumikausper(商標)、Toray Industries Inc.製のSiveras(商標)、Ueno Fine Chemcials Industry,Ltd.製のUeno LCP(登録商標)、及びKingfa製のVicryst(登録商標)である。LCPの力学特性、化学特性、熱特性、及び/または誘電特性を改質するために、任意選択のフィラーをLCPに添加してもよい。これらのようなフィラーは、例えば、タングステン酸ジルコニウム(ZrW)、ガラス及び/またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及び/または炭素短繊維、窒化ホウ素及びグラフェンナノプレートレットであってよく、フィラーは、内部クライオスタット14の製造に使用される最終LCPの最大20体積%を構成し得る。
【0072】
内部クライオスタット14は、一般的には、内部クライオスタット14の要件を満たし、長距離HTS電源ケーブルの技術経済実現可能性を改善するために、選択されたLCP及び任意選択のフィラー化合物を使用して、スムースボア管内への押出プロセスを介して製造される。内部ルーメンを画定するスムースボアを設けることにより、寒剤16にかかる抗力が最小になるため、ケーブルシステム10の動作長が長くなる。内部クライオスタット14の追加の製造プロセスは、引抜き、テープ敷設、テープまたはフィラメントワインディング、繊維配置、ウェービング、編組、射出成形、熱成形、圧縮成形、ロール成形、溶融混練を含むが、これらに限定されない。
【0073】
中間または内部または外部層(図示せず)、一般的には金属またはその他の複合層は、その技術的性能を改善するために、内部クライオスタット14と優先的に共押出されることができる。内部クライオスタット14を備えたこれらの層を含むその他の製造方法は、限定されるものではないが、噴霧、接着剤による接合、溶接、熱接合、テープ敷設、ラッピングである。
【0074】
内部クライオスタット14にLCPを使用することにより、長手方向及び半径方向に制御可能で優先的/中性のCTEによる内部スムースボアの押出が可能になる。これは、熱膨張装置(図示せず)の要件を回避し、従来のコルゲートクライオスタットと比較してシステムの圧力損失を低減させる。LCPは、低い熱伝導度、高い絶縁耐力及び低い透過度を有するため、最新の代替品と比較して絶縁層の数の減少、及びクライオスタット14、ひいては任意選択のケーブルシステム10全体の全体的な寸法の減少が容易になる。
【0075】
LCPは、優先的に、長尺または連続的な押出、及び安価な製造プロセスによって製造され、スムースボア管に入ることができる。LCPの熱可塑性化合物は、LCPが格納及び輸送のためにリールに巻き付けられることを可能にする特性の組み合わせを有するように調整されることによって、コストが最小になる。
【0076】
LCPの一例であるが非限定的な熱可塑性化合物は、破断時に高い破損ひずみ(>3.5%)、200MPaの強度、及び10GPaの剛性を有するようにフィラーで調整される。この特性の組み合わせにより、このLCPから形成された内部クライオスタット14は、内部クライオスタット14の直径に応じて0.5~9mの最小曲げ半径(MBR)で格納及び輸送のためにリールに巻き付けられることが可能になる。
【0077】
一般に、この任意選択の改質フィラーを含むLCPは、内部クライオスタット14に以下の特性を与えるように選択される:
【表1】
【0078】
ここで図2を参照すると、本発明による第二実施形態の超電導ケーブルシステムが示されており、全体を110として示されている。この第二実施形態では、同様の構成要素には同様の参照番号が与えられており、特に明記しない限り、同様の機能を実行する。
【0079】
ケーブルシステム110は、超電動体112を含み、この超電動体は、内部超電導素子112a、内部素子112aを取り囲み、絶縁層128によってそこから分離された第一同軸超電導素子112b、及び第一同軸超電導素子112bを取り囲み、絶縁層128によってそこから分離された第二同軸超電導素子112cからなる。この配置は、三相AC電流を導電するように選択される。当然のことながら、単極または二軸二極DC導体(図示せず)を代替品として用いることができることが理解されよう。超電動体112は、本明細書に上述されるような液晶ポリマーを含む内部クライオスタット114のルーメン内に同軸に配置され、この内部クライオスタットは寒剤116を収容するため、寒剤内の超電動体112は、それらの間に熱連通を確立するように被包される。熱絶縁層118は、内部クライオスタット114を取り囲み、例えばエアロゲル、ナノ多孔質絶縁体、層状複合絶縁体、多層絶縁体または絶縁ブランケットのうちの1つ以上を含む、任意の適切な形態の層であり得る。
【0080】
外部クライオスタット120は、真空アニュラス122によって、絶縁された内部クライオスタット114を取り囲み、この真空アニュラスは、内部クライオスタット114と外部クライオスタット120との間に画定され、さらなる熱絶縁を与える。内部クライオスタット114の正確な位置を外部クライオスタット120と同心にまたはその他の方法で物理的に維持するために、均一な真空アニュラス領域を確保するように、真空アニュラス122内にセントラライズ素子124を設け得る。
【0081】
図3は、本発明による超電導ケーブルシステムの第三実施形態を示し、全体を210として示す。この第三実施形態では、同様の構成要素には同様の参照番号が与えられており、特に明記しない限り、同様の機能を実行する。
【0082】
ケーブルシステム210は、三相ACを促進するために円形アレイに配置された、第一超電導素子212a、第二超電導素子212b、及び同軸の第三超電導素子212cを含む三心三軸構成の超電動体212を含む。超電動体212は、本明細書に上述されるような液晶ポリマーを含む内部クライオスタット214のルーメン内の長手方向に配置され、この内部クライオスタットは、超電動体212を取り囲む寒剤216を収容し、それらの間に熱連通を確立する。熱絶縁層218は、内部クライオスタット214を取り囲み、本明細書に前述されるような任意の適切な形態の層であり得る。
【0083】
外部クライオスタット220は真空アニュラス222によって、絶縁された内部クライオスタット214を取り囲み、その間に真空アニュラスが画定され、真空アニュラス222内にセントラライズ素子224が設けられ得る。
【0084】
図4は、本発明による超電導ケーブルシステムの第四実施形態を示し、全体を310として示す。この第四実施形態では、同様の構成要素には同様の参照番号が与えられており、特に明記しない限り、同様の機能を実行する。
【0085】
ケーブルシステム310は、チューブ状形態の超電動体312を含み、この超電動体は、第一内部クライオスタット314の外面の周囲の長手方向に位置しており、それと熱連通しており、内部クライオスタット314は、本明細書に前述されるような液晶ポリマーを含む。内部クライオスタット314は寒剤316を収容し、この寒剤と超電動体312は内部クライオスタット314を介して熱連通しており、この内部クライオスタットは、加圧寒剤316を収容し、透過性バリアとして機能する構造健全性をもたらす。
【0086】
さらにケーブルシステム310は第二内部クライオスタット330を含み、この第二内部クライオスタットは、第一内部クライオスタット314を取り囲み、再び適切な組成の液晶ポリマーを含む。しかしながら、第二内部クライオスタット330は、例えば第二内部クライオスタット330が内部加圧を受けず、内部加圧が単に第一内部クライオスタット314内で起こり得る場合、任意の適切な代替の材料から形成され得る。第二内部クライオスタット330は、より低い構造的及び力学的要件に適した設計及び寸法を有してもよく、絶縁では十分な絶縁耐力を与えなくてもよく、超電動体に軽い力学的保護を単に与えるだけでよい。したがって、追加の電気及び/または力学的な層328は、超電動体312と第二内部クライオスタット330との間に設けられてもよい。
【0087】
熱絶縁層318は、第二内部クライオスタット330を外向きに取り囲み、本明細書に前述されるような任意の適切な形態の層であり得る。外部クライオスタット320は真空アニュラス322によって、絶縁された内部クライオスタット314及び330を取り囲み、その間に真空アニュラスが画定され、真空アニュラス322内にセントラライズ素子324が設けられ得る。任意選択のバラスト326は、好ましくは外部クライオスタット320の外面の周囲に設けられてもよい。
【0088】
図5は、本発明による超電導ケーブルシステムの第五実施形態を示し、全体を410として示す。この第五実施形態では、同様の構成要素には同様の参照番号328が与えられており、特に明記しない限り、同様の機能を実行する。
【0089】
ケーブルシステム410は、図4に示されるケーブルシステム310と同様であるが、チューブ状形態の三相同軸超電動体412を含み、この超電動体は、第一内部クライオスタット414の外面の周囲の長手方向に位置しており、それと熱連通しており、内部クライオスタット414は、本明細書に前述されるような液晶ポリマーを含む。超電動体412は、チューブ状内部超電導素子412a、内部素子412aを取り囲み、絶縁層428によってそこから分離された第一チューブ状同軸超電導素子412b、及び第一同軸超電導素子412bを取り囲み、さらなる絶縁層428によってそこから分離された第二チューブ状同軸超電導素子412cからなる。この配置は、三相AC電流を導電するように選択される。
【0090】
内部クライオスタット414は寒剤416を収容し、この寒剤と超電動体412は内部クライオスタット414を介して熱連通している。さらにケーブルシステム410は第二内部クライオスタット430を含み、この第二内部クライオスタットは、第一内部クライオスタット314を取り囲み、再び適切な組成の液晶ポリマーまたはその他の適切な材料を含む。熱絶縁層418は、第二内部クライオスタット430を取り囲み、任意の適切な形態の層であり得る。外部クライオスタット420は真空アニュラス422によって、絶縁された内部クライオスタット414及び430を取り囲み、その間に真空アニュラスが画定され、真空アニュラス422内にセントラライズ素子424が設けられ得る。
【0091】
図6は、本発明による超電導ケーブルシステムの第六実施形態を示し、全体を510として示す。この第六実施形態では、同様の構成要素には同様の参照番号が与えられており、特に明記しない限り、同様の機能を実行する。
【0092】
ケーブルシステム510は、単相超電動体512を含み、この超電動体は、第一内部クライオスタット514の外面の周囲の長手方向に位置しており、それと熱連通しており、内部クライオスタット514は、本明細書に前述されるような液晶ポリマーを含む。当然のことながら、単相超電動体512は、本明細書で前述されるような様々な先の実施形態での多相超電動体と置換されてもよい。内部クライオスタット514は寒剤516を収容し、この寒剤と超電動体512は内部クライオスタット514を介して熱連通している。
【0093】
さらにケーブルシステム510は第二内部クライオスタット530を含み、この第二内部クライオスタットは、第一内部クライオスタット514を取り囲み、再び適切な組成の液晶ポリマー、または第二内部クライオスタット530の動作機能性に応じたその他の材料を含む。第二内部クライオスタット530は、改善された熱性能を与えるために寒剤516の第二供給部を収容する第二ルーメンを画定する。この第二供給部は、第一内部クライオスタット514内に収容されるものと異なる寒剤516を含み得る。電気及び/または力学的層528は、超電動体512と第二内部クライオスタット530との間に設けられ得る。
【0094】
熱絶縁層518は第二内部クライオスタット530を取り囲み、外部クライオスタット520は、真空アニュラス522によって、絶縁された内部クライオスタット514及び530を取り囲み、その間に真空アニュラスが画定され、セントラライズ素子524が組み込まれる。
【0095】
図7は、本発明による超電導ケーブルシステムの第七実施形態を示し、全体を610として示す。この第七実施形態では、同様の構成要素には同様の参照番号が与えられており、特に明記しない限り、同様の機能を実行する。
【0096】
ケーブルシステム610は、適切な形態の単相超電動体612を含み、この超電動体は、寒剤616で充填された第一内部クライオスタット614のルーメン内で長手方向に、好ましくは同軸に延在する。このように、超電動体612は、超電導に必要とされる、必要な極低温温度を維持するために寒剤616と直接熱連通する。当然のことながら、単相超電動体612は、本明細書で前述されるような多相超電動体と置換されてもよい。
【0097】
さらにケーブルシステム610は第二内部クライオスタット630を含み、この第二内部クライオスタットは、第一内部クライオスタット614を取り囲み、再び適切な組成の液晶ポリマーを含む。第二内部クライオスタット630は、改善された熱性能を与えるために寒剤616の第二供給部を収容する第二ルーメンを画定し、この寒剤は、第一内部クライオスタット614内に収容された寒剤616と同じであっても、または異なってもよく、異なる温度に維持されてもよい。熱絶縁層618は第二内部クライオスタット630を取り囲み、外部クライオスタット620は、真空アニュラス622によって、絶縁された内部クライオスタット614及び630を取り囲み、その間に真空アニュラスが画定され、セントラライズ素子624が組み込まれる。
【0098】
図8は、本発明の追加の態様による、全体が710として示される寒剤コンジットの実施形態を示し、この寒剤コンジットは、本明細書に前述されているが、超電動体が存在しておらず、極低温流体(複数可)、例えば限定されないが、液体窒素、液体水素、液体ヘリウムなどを輸送する主目的または複合目的のために、本発明の超電導ケーブルシステムの一般的な設計及び材料特性を利用する。この輸送は、1つ以上の供給経路またはループ、及び任意選択で、例えば図9の実施形態を参照して本明細書に後述されるような、戻り経路またはループを含んでもよい。同様の構成要素には同様の参照番号が与えられており、特に明記しない限り、同様の機能を実行する。
【0099】
寒剤コンジット710は、寒剤716によって充填された内部クライオスタット714を含み、内部クライオスタット714は、本明細書に前述されるような液晶ポリマーを含む。熱絶縁層718は内部クライオスタット714を取り囲み、外部クライオスタット720は、真空アニュラス722によって、絶縁された内部クライオスタット714を取り囲み、その間に真空アニュラスが画定され、セントラライズ素子724が組み込まれる。
【0100】
図9は、本発明による寒剤コンジットの第二実施形態を示し、全体を810として示す。この実施形態では、同様の構成要素には同様の参照番号が与えられており、特に明記しない限り、同様の機能を実行する。
【0101】
寒剤コンジット810は第一内部クライオスタット814を含み、この第一内部クライオスタットは、本明細書に前述されるような液晶ポリマーを含み、寒剤816を収容する。さらに寒剤コンジット810は第二内部クライオスタット830を含み、この第二内部クライオスタットは、第一内部クライオスタット814を取り囲み、再び適切な組成の液晶ポリマーを含む。第二内部クライオスタット830は、寒剤816の第二供給部を収容する第二ルーメンを画定し、この第二供給部は初期冷却層として機能するため、改善された熱性能を与える。この第二供給部は、第一内部クライオスタット814内に収容されるものと異なる寒剤816を含み得る。代替に、第二内部クライオスタット830は、寒剤戻り経路を画定されてもよい。熱絶縁層818は第二内部クライオスタット830を取り囲み、外部クライオスタット820は、真空アニュラス822によって、絶縁された内部クライオスタット814及び830を取り囲み、その間に真空アニュラスが画定され、セントラライズ素子824が組み込まれる。
【0102】
図10は、本発明による寒剤コンジットの代替の実施形態を示し、全体を910として示す。この実施形態では、同様の構成要素には同様の参照番号が与えられており、特に明記しない限り、同様の機能を実行する。
【0103】
寒剤コンジット910は内部クライオスタット914を含み、この内部クライオスタットは、本明細書に前述されるような液晶ポリマーを含み、寒剤916を収容する。内部クライオスタットには、本明細書に前述されるような1層以上の絶縁層(図示せず)が設けられ得、液体寒剤の輸送に使用されることを意図したものである。
【0104】
また、図1図7の実施形態に例示されるような、内部クライオスタットのうちの1つ以上による液体寒剤の超電導及び/または輸送の両方をもたらすための複合能力に本発明の超電導ケーブルシステムが使用され得ることも想定される。そのような輸送は、1つの内部クライオスタットによって画定される寒剤供給経路、及び別の内部クライオスタットによって画定される寒剤戻り経路、または別々の寒剤のための2つの別々の寒剤供給経路を含むことができる。この機能は、ケーブルシステムが動作しており、超電導電気伝送している間、または超電導機能が非アクティブであるため、1つ以上の寒剤を輸送するだけである間に行われ得る。従って、超電導ケーブルシステムに関して上述されている材料、動作パラメータ、及び機能が図8図10に例示された本発明の寒剤コンジット態様に具現化され得ることを理解されたい。
【0105】
従って、超電導ケーブルシステムまたは寒剤コンジット内の液晶ポリマーから形成された少なくとも1つの内部クライオスタットの使用により、用途に最適な構造特性、ならびに現在の潜在的な代替品よりも安価なライフサイクルによって、長距離超電導及び極低温流体輸送の実現が促進される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】