(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル大動脈弁システム
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529197
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 CN2022132631
(87)【国際公開番号】W WO2023088384
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】202111360380.6
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508007949
【氏名又は名称】北京佰仁医療科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100232862
【氏名又は名称】王 雪
(72)【発明者】
【氏名】金 磊
(72)【発明者】
【氏名】潘 湘斌
(72)【発明者】
【氏名】呉 嘉
(72)【発明者】
【氏名】李 麗艶
(72)【発明者】
【氏名】範 志豪
(72)【発明者】
【氏名】呉 康健
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097BB04
4C097CC05
4C097CC14
4C097DD09
4C097DD10
4C097MM09
4C097SB03
(57)【要約】
別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル大動脈弁システムであって、別体の経カテーテル大動脈弁のアンカーステント(10)及び経カテーテル人工生体大動脈弁(20)を含み、経カテーテル大動脈弁のアンカーステント(10)の形態および構造は、患者の画像データに基づいて三次元的に再構成された後の大動脈弁の真の構造にマッチングし、経カテーテル大動脈弁のアンカーステント(10)は、患者の大動脈弁位置への放出、変形、患者の大動脈弁葉組織および弁下組織との位置合わせを行う。経カテーテル人工生体大動脈弁(20)は経カテーテル大動脈弁のアンカーステント(10)内に輸送されて放出され、弁膜のステントは膨張して弁膜を機能状態に拡張し、経カテーテル大動脈弁のアンカーステント(10)を再び変形させて、拡張された経カテーテル人工生体大動脈弁(20)に嵌合して結合させ、同時に経カテーテル大動脈弁のアンカーステント(10)を再び変形させてアンカーさせる。三次元的な再構成に基づいて設計されたシステムは、経カテーテル大動脈弁の個性的な正確なアンカーを実現することができる。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
別体の経カテーテル大動脈弁のアンカーステント、経カテーテル人工生体大動脈弁および輸送アセンブリを含み、
前記経カテーテル人工生体大動脈弁は、弁膜のステントと、弁膜の弁葉と、を含み、
前記輸送アセンブリは、経カテーテル人工生体大動脈弁のアンカーステントの輸送キットおよび経カテーテル人工生体大動脈弁の輸送キットを含み、前記経カテーテル人工生体大動脈弁のアンカーステントの輸送キットは、輸送カテーテル、および経カテーテル人工生体大動脈弁のアンカーステントのローダを含み、前記経カテーテル人工生体大動脈弁の輸送キットは、経カテーテル大動脈弁の輸送機器、ガイドシース、弁膜のグリッパー、およびチャージポンプを含み、
前記経カテーテル大動脈弁のアンカーステントの形態および構造は、患者の画像データに基づいて三次元的に再構成された後の大動脈弁の真の構造にマッチングし、前記経カテーテル大動脈弁のアンカーステントは、患者の大動脈弁位置への放出、変形、患者の大動脈弁の弁葉組織および弁下組織との位置合わせのために輸送され、
前記経カテーテル人工生体大動脈弁は、前記経カテーテル大動脈弁のアンカーステント内に輸送されて放出され、前記経カテーテル人工生体大動脈弁の弁膜のステントは変形して前記経カテーテル人工生体大動脈弁を機能状態に拡張し、前記大動脈弁のアンカーステントを再び変形させて、拡張された経カテーテル人工生体大動脈弁に嵌合させると同時に、前記大動脈弁のアンカーステントは再び変形してアンカーし、
前記大動脈弁のアンカーステントは、輸送カテーテル内に配置された圧縮状態と、カテーテルを介して放出された後の第1のアンカー状態と、経カテーテル人工生体大動脈弁に結合された後の第2のアンカー状態とを有し、前記第1のアンカー状態において、前記経カテーテル大動脈弁のアンカーステントは、前記輸送カテーテルを介して放出された後、患者の大動脈弁の弁葉および対応する流入面の弁下組織に位置合わせして接合され、前記第2のアンカー状態において、前記経カテーテル大動脈弁のアンカーステントは、経カテーテル人工生体大動脈弁によって拡張されて二次変形し、経カテーテル人工生体大動脈弁と結合すると同時に、患者の大動脈弁位置の組織との最終的なアンカー結合を完成し、
前記経カテーテル大動脈弁のアンカーステントの第1のアンカー状態は傘型ステント構造であり、弁葉の流出面と、弁葉の流入面と、両者の間の接続部とを含み、前記弁葉の流出面は、二つまたは三つのアンカーワイヤループであり、患者の弁葉の流出面の画像データに基づいて三次元的に再構成された真の形態にマッチングし、前記経カテーテル大動脈弁のアンカーステントの弁葉の流入面は、前記経カテーテル大動脈弁のアンカーステントの弁葉の流出面の前記ワイヤループに対応するアンカーワイヤループであり、流出面のアンカーワイヤループと患者の大動脈弁の弁葉を挟持する構造を形成することができ、形状は患者の大動脈弁の弁下画像データに基づいて三次元的に再構成された真の形態にマッチングし、前記経カテーテル大動脈弁のアンカーステントの接続部は丸口漏斗状のラティスであり、形成された円周の内径は、経カテーテル人工生体大動脈弁の弁膜のステントの放出後の外径にマッチングし、
前記経カテーテル大動脈弁のアンカーステントの接続部は、第2の状態において、円柱状の内周直径が経カテーテル人工生体大動脈弁の外径にマッチングする
ことを特徴とする別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル大動脈弁システム。
【請求項2】
前記経カテーテル人工生体大動脈弁は、輸送カテーテルを介して前記経カテーテル大動脈弁のアンカーステント内に輸送されて放出され、経カテーテル人工生体大動脈弁の弁膜のステントは変形して経カテーテル人工生体大動脈弁を機能状態に拡張し、前記経カテーテル大動脈弁のアンカーステントを再び変形させて、拡張された経カテーテル大動脈弁に嵌合させると同時に、前記経カテーテル大動脈弁のアンカーステントは再び変形し、それによって前記経カテーテル大動脈弁のアンカーステントは患者の大動脈弁の弁葉および弁下組織と再び結合し、経カテーテル大動脈弁のアンカーステントは患者の大動脈弁の弁葉および対応する流入面の弁下組織と挟持部を形成し、再びアンカーしながら、それに結合された経カテーテル人工生体大動脈弁に対して位置制限を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル大動脈弁システム。
【請求項3】
前記経カテーテル大動脈弁のアンカーステントの弁葉の流出面は、遠心的な流出端であり、経カテーテル大動脈弁のアンカーステントの弁葉の流入面は、近心的な流入端であり、前記流出端のアンカーワイヤループは、経カテーテル大動脈弁のアンカーステントの接続部のラティスが延在してなる類円形の折り返しであり、前記流出端のアンカーワイヤループの形態、サイズおよび折り返し角度は、患者の画像データに基づいて三次元的に再構成された病変のシミュレーションの形態にマッチングし、前記経カテーテル大動脈弁のアンカーステントの流入端のアンカーワイヤループは、流出端のアンカーワイヤループよりも小さい類円形の折り返しまたは一列の菱形ラティス構造であり、前記流入端の類円形の折り返しの形態、サイズおよび折り返しまたは一列の菱形ラティス構造は、患者の画像データに基づいて三次元的に再構成された大動脈弁の流入端の弁葉のベース部のシミュレーションの形態および周径にマッチングし、前記経カテーテル大動脈弁のアンカーステントの接続部は、円錐形状の漏斗状のラティス、または、流入端と流出端とを接続させる三つの支持棒であり、円錐形状の漏斗状の勾配は、患者の画像データに基づいて三次元的に再構成された大動脈弁のシミュレーションの形態にマッチングし、経カテーテル大動脈弁のアンカーステントの接続部の長さは、患者の画像の冠状動脈開口の下縁から大動脈弁の流入端の弁葉の底部までの間の真の測定長度である、
ことを特徴とする請求項1に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル大動脈弁システム。
【請求項4】
前記第1のアンカー状態において、前記経カテーテル大動脈弁のアンカーステントは、輸送カテーテルを介して放出された後、圧縮状態から戻され、経カテーテル大動脈弁のアンカーステントの流出端のアンカーワイヤループは、折り返されて、患者の病変の大動脈弁葉の弁ポケット内に延在し、経カテーテル大動脈弁のアンカーステントの流入端に対応する類円形の比較的小さいアンカーワイヤループは、病変の大動脈弁の流入端の弁葉のベース部に折り返され、両端に対応する前記ワイヤループは、弁葉の内外および上下に位置合わせ挟持を形成し、前記大動脈弁のアンカーステントの接続部のラティスは、放出されて形状を回復し、病変の大動脈弁葉の交差位置で漏斗状を呈し、経カテーテル大動脈弁の弁葉を略正常な開閉状態とし、
前記第2のアンカー状態において、前記第1のアンカー状態では、輸送機器により輸送されて、ストリップ状に把持された経カテーテル人工生体大動脈弁がステント内に進入してバルーンで拡張されて放出され、バルーンの拡張による外力によって、経カテーテル人工生体大動脈弁はストリップ状から円柱状に拡張させた同時に、経カテーテル大動脈弁のアンカーステントは、漏斗状から円柱状に二次変形し、経カテーテル人工生体大動脈弁と緊密に結合し、続いて、経カテーテル大動脈弁のアンカーステントの二次変形も再び患者の病変の大動脈弁葉および大動脈壁に付着された弁葉の根元組織と最終的にアンカーされる、
ことを特徴とする請求項3に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル大動脈弁システム。
【請求項5】
前記経カテーテル大動脈弁のアンカーステントの接続部の流出面および流入面には、いずれにも経カテーテル大動脈弁のステントを挿入するための固定支持棒または経カテーテル大動脈弁のアンカーステントの端末屈曲が設けられ、前記固定支持棒または経カテーテル大動脈弁のアンカーステントの端末屈曲の方向は軸心に沿って屈曲され、前記固定支持棒または経カテーテル大動脈弁のアンカーステントの端末屈曲の方向が軸心に沿って屈曲変形されて、第2の状態が円柱状になる場合、大動脈弁のアンカーステントの接続部の流出面および流入面の両端の固定支持棒または経カテーテル大動脈弁のアンカーステントの端末屈曲の間の距離は、経カテーテル人工生体大動脈弁のステントの高さにマッチングする、
ことを特徴とする請求項1に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル大動脈弁システム。
【請求項6】
前記経カテーテル大動脈弁のアンカーステントの接続部の円錐形状の漏斗状のラティスは、圧縮可能な菱形ラティス、V字型ラティス、および/または、六角形または多角形ラティスからなるユニットラティスであり、前記接続部の円錐形状の漏斗状のラティス部分は両端のアンカーワイヤループに適応的に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル大動脈弁システム。
【請求項7】
前記経カテーテル大動脈弁のアンカーステントの流入端のアンカーワイヤループの円弧の外周縁は、患者の大動脈弁の下底部に緊密に結合される、
ことを特徴とする請求項1に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル大動脈弁システム。
【請求項8】
前記経カテーテル大動脈弁のアンカーステントの表面には、一層の医用高分子薄膜が被覆されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル大動脈弁システム。
【請求項9】
前記経カテーテル大動脈弁のアンカーステントは、レーザー一体切断後の三次元成形構造または別体の接続構造である、
ことを特徴とする請求項1に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル大動脈弁システム。
【請求項10】
前記経カテーテル大動脈弁のアンカーステントは、ニッケルチタン合金材質である、
ことを特徴とする請求項1に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル大動脈弁システム。
【請求項11】
経カテーテル人工生体大動脈弁は、径方向に圧縮されてバルーンによって拡張された後に円柱状を呈するコバルトクロム合金ステント、または径方向に圧縮されて自己膨張して円柱状を呈するニッケルチタン合金ステントと、三つの前記経カテーテル人工生体大動脈弁のステントの内側に設けられた扇形弁葉とを含み、三つの前記扇形弁葉はいずれも遊離縁、弧状底辺および両側に延びる弁葉境界接続部を有し、前記経カテーテル人工生体大動脈弁のステントは、金属ネットチューブである、
ことを特徴とする請求項1に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル大動脈弁システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、人工生体心臓弁膜に関し、特に、別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル大動脈弁システムに関する。
【背景技術】
【0002】
経カテーテル大動脈弁(TARV)の研究開発と臨床応用は20年を経過している。低侵襲で、体外循環を必要とせず、短期、中期の効果が適切であるという利点を有するため、高齢者または伝統的な外科大動脈弁置換ハイリスク患者に対する効果的な治療手段として既に認められている。現在、世界中の65個の国家において、1400カ所の病院で経カテーテル大動脈弁(TAVR)手術が行われ、合計で各種類の経カテーテル大動脈弁が60万個を超える数で植え込まれ(
図1)、毎年40%に増幅され、2021年の全世界TAVR手術は18.2万回に達した。しかしながら、幾つかの重度石灰化の二葉式大動脈弁、上行大動脈拡張、冠動脈閉塞リスクおよび単純大動脈弁逆流(aortic regurgitation、AR)の患者に対して、従来のTAVR製品は、このような患者の救急ニーズを満たすことができず、重度の大動脈弁狭窄症患者である場合、常に各種類の厳重な合併症の発生を伴い、例えば、弁膜の放出後の変形による弁膜の逆流や弁膜の変位ひいては脱落、冠動脈開口梗塞、深刻な弁周の漏れ、洞房結節に対する圧迫と損傷による伝播停止のための再生き用ペースメーカーの再植え込み、および弁膜の過度の拡張による弁輪の破裂さらに死亡がある。これらの合併症の存在により、各種類の複雑な患者をリスクに直面させるだけでなく、術者の技能習得の困難さやより長い時間の経験蓄の積み重ねの試練を大きくし、経カテーテル大動脈弁が放出された後に正確かつ安定的なアンカー効果を確保することができれば、これらの問題は順調に解決できると期待される。
【発明の概要】
【0003】
上記に鑑みて、本出願の経カテーテル大動脈弁システムは、患者の個性的な画像データに基づいて三次元的に再構成された後の大動脈弁の真の病変の解剖学的構造に基づいて、一つの別体式の設計を提供し、経カテーテル大動脈弁のアンカーステントおよび経カテーテル人工生体大動脈弁の二つの部分を含み、まず、一つの特定のステントを経カテーテルして弁葉と挟持し、その後、経カテーテル人工生体大動脈弁をステント内にアプローチして放出することにより、経カテーテル人工生体大動脈弁とアンカーステントとを一体化させ、それにより、正確な所定のアンカーを実現する。
【0004】
本出願は、別体の経カテーテル大動脈弁のアンカーステントと、カテーテルを介する経カテーテル人工生体大動脈弁プロテーゼと、それに対応する輸送システムおよびキットとを含む別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル大動脈弁システムに関する。経カテーテル大動脈弁のアンカーステントの形態および構造の設計は、患者の画像データに基づいて三次元的に再構成された後の病変の大動脈弁の真の構造にマッチングし、カテーテルを介して経カテーテル大動脈弁のアンカーステントを患者の大動脈弁位置に輸送し、大動脈弁のアンカーステントのアンカーワイヤループ、ステントの接続構造および流入面のラティスを順次に放出し、大動脈弁のアンカーステントの各部位と患者の大動脈弁の流出面および流入面とを弁葉ポケット組織と上下に挟持し、病変の大動脈弁の本来の機能を維持し、次のカテーテルを介する経カテーテル人工生体大動脈弁のアンカーステント内へのアプローチのためにチャネルを展開し、即ち大動脈弁のアンカーステントの第1の状態になる。前記経カテーテル人工生体大動脈弁は、圧迫され、ロードされ、輸送機器カテーテルを介して先に経カテーテルした第1の状態の大動脈弁のアンカーステント内に輸送され、バルーン補助による人工生体大動脈弁の拡張(またはニッケルチタン記憶合金ステントの自己膨張)により、経カテーテル人工生体大動脈弁が拡張されるにつれて、大動脈弁のアンカーステントを円柱状の第2アンカー状態に変形させ、経カテーテル人工生体大動脈弁と嵌合して一体化結合を実現し、同時に、第2の状態のアンカーステントの両端のアンカーワイヤループまたはラティスは、大動脈弁葉および弁下組織と緊密に結合して、患者の病変の大動脈弁の病変の全適応症(狭窄または逆流および狭窄合併・逆流)に対する経カテーテル治療を実現する。
【0005】
本出願の技術案および実施過程は以下のとおりである。
【0006】
別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル大動脈弁システムは、別体の経カテーテル大動脈弁のアンカーステント、および経カテーテル人工生体大動脈弁を含む。(1)前記経カテーテル大動脈弁のアンカーステントの形態および構造の設計は、患者の大動脈弁位置のCTおよび超音波画像データに基づいて、専用のソフトウェアをアプローチすることによって三次元的な大動脈弁の真の解剖学的構造および形態を再構成して、経カテーテル大動脈弁のアンカーステントを設計し、レーザー切断、三次元的な成形および熱処理加工と研磨を経て、前記経カテーテル大動脈弁のアンカーステントの第1の状態を作成し、洗浄包装および消毒を行って準備する。(2)ローダによりアンカーステントを輸送機器にロードし、輸送機器によって患者の大動脈弁位置まで輸送して、位置決めし放出し、ステントの変形は、第1のアンカー状態を呈して、患者の大動脈弁葉および弁下組織との位置合わせを行う。(3)前記経カテーテル人工生体大動脈弁が輸送機器にロードされた後、前記経カテーテル大動脈弁のアンカーステント内に輸送されて放出され、バルーンの拡張による外力が経カテーテル人工生体大動脈弁を機能状態に展開すると同時に、前記大動脈弁のアンカーステントがそれに伴って再び変形して拡張された経カテーテル人工生体大動脈弁に嵌合して結合され、前記大動脈弁のアンカーステントが再び第2のアンカー状態に変形し、弁葉組織の結合による最終的な所定のアンカーが達成される。
【0007】
さらに、前記別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル大動脈弁システムは、前記輸送アセンブリは、経カテーテル人工生体大動脈弁のアンカーステントの輸送キットおよび経カテーテル人工生体大動脈弁の輸送キットを含み、前記経カテーテル人工生体大動脈弁のアンカーステントの輸送キットは、輸送カテーテル、および経カテーテル人工生体大動脈弁のアンカーステントのローダを含む。
【0008】
前記大動脈弁のアンカーステントは、カテーテル内に配置された圧縮状態と、カテーテルを介して放出された後の第1のアンカー状態と、経カテーテル人工生体大動脈弁に結合された後の第2のアンカー状態とを有し、前記第1のアンカー状態において、前記大動脈弁のアンカーステントは、前記輸送機器を介して放出された後、患者の大動脈弁葉および対応する流入面の弁下組織に位置合わせして接合され、前記第2のアンカー状態において、前記大動脈弁のアンカーステントは、経カテーテル人工生体大動脈弁が拡張されて二次変形し、経カテーテル人工生体大動脈弁と結合すると同時に、患者の大動脈弁位置の組織との最終的なアンカー結合を完成する。前記三次元的に再構成された真の構造は、デジタル画像モデルまたは3D印刷のシミュレーションの実体モデルである。前記患者の画像データに基づいて三次元的に再構成された大動脈弁の病変を模した解剖学的構造は、患者のCT、超音波および核磁気の総合画像をデジタル変換した後のシミュレーションの三次元画像モデルおよび対応する3D印刷のシミュレーションの実体モデルである。前記大動脈弁のアンカーステントは傘型ステント構造であり、弁葉の流出面と、弁葉の流入面と、両者の間の接続部とを含み、前記弁葉の流出面は、二つまたは三つのアンカーワイヤループであり、患者の弁葉の流出面の画像データに基づいて三次元的に再構成された真の形態にマッチングし、前記アンカーステントの弁葉の流入面は、流出面のワイヤループに対応するアンカーワイヤループであり、流出面のアンカーワイヤループと弁葉を挟持する構造を形成することができ、形状は大動脈弁の弁下画像データに基づいて三次元的に再構成された真の形態にマッチングし、前記アンカーステントの接続部は丸口漏斗状のラティスであり、形成された円周の内径は、経カテーテル人工生体大動脈弁のステントの放出後の外径にマッチングする。前記弁葉の流出面は、遠心的な流出端であり、弁葉の流入面は、近心的な流入端であり、前記流出端のアンカーワイヤループは、ステントの接続部のラティスが延在してなる類円形の折り返しであり、前記流出端のアンカーワイヤループの形態、サイズおよび折り返し角度は、患者の画像データに基づいて三次元的に再構成された病変のシミュレーションの形態にマッチングし、前記ステントの流入端のアンカーワイヤループは、類円形の比較的小さい折り返しまたは一列の菱形ラティス構造であり、前記流入端の類円形の折り返しの形態、サイズおよび折り返しまたは一列の菱形ラティス構造は、患者の画像データに基づいて三次元的に再構成された大動脈弁の流入端の弁葉のベース部のシミュレーションの形態および周径にマッチングし、前記ステントの接続部は、円錐形状の漏斗状のラティス、または、流入端と流出端とを接続させる三つの支持棒であり、前者の勾配は、患者の画像データに基づいて三次元的に再構成された大動脈弁のシミュレーションの形態にマッチングし、長さの測定は、患者の画像の冠状動脈開口の下縁から大動脈弁の流入端の弁葉の底部までの間の真の長さがステントの接続部の長さである。前記第1のアンカー状態において、前記経カテーテル大動脈弁のアンカーステントは、カテーテルを介して放出された後、圧縮状態から戻され、ステントの流出端のアンカーワイヤループは、折り返されて、患者の病変の大動脈弁葉の弁ポケット内に延在し、ステントの流入端に対応する類円形の比較的小さいアンカーワイヤループは、病変の大動脈弁の流入端の弁葉のベース部に折り返され、両端に対応するワイヤループは、弁葉の内外および上下に位置合わせ挟持を形成し、大動脈弁のアンカーステントの接続部のラティスは、放出されて形状を回復し、病変の大動脈弁葉の交差位置で漏斗状を呈し、弁葉を略正常な開閉状態とする。前記第2のアンカー状態において、前記第1のアンカー状態では、カテーテルを介して、ストリップ状に把持された経カテーテル人工生体大動脈弁がステント内に進入してバルーンで拡張されて放出され、バルーンの拡張による外力によって、経カテーテル人工生体大動脈弁はストリップ状から円柱状に拡張させ(機能状態)、同時に、アンカーステントは、漏斗状から円柱状に二次変形し、経カテーテル人工生体大動脈弁と緊密に結合し、続いて、経カテーテル大動脈弁のアンカーステントの二次変形も再び患者の病変の大動脈弁葉および大動脈壁に付着された弁葉の根元組織と最終的にアンカーされる。
【0009】
前記大動脈弁のアンカーステントの接続部の流出面および流入面には、いずれにも経カテーテル人工生体大動脈弁のステントを挿入するための固定支持棒またはステント端末屈曲が設けられ、前記固定支持棒またはステント端末屈曲の方向は軸心に沿って屈曲され、前記固定支持棒またはステント端末屈曲の方向が軸心に沿って屈曲変形されて、第2の状態が円柱状になる場合、大動脈弁のアンカーステントの接続部の流出面および流入面の両端の固定支持棒またはステント端末屈曲の間の距離は、経カテーテル人工生体大動脈弁のステントの高さにマッチングする。前記大動脈弁のアンカーステントの接続部の両端には、経カテーテル人工生体大動脈弁のステントの流出端を入れるための複数の端末求心フックが設けられ、これらの求心フックと前記大動脈弁のアンカーステントの接続部の流入端に、経カテーテル人工生体大動脈弁のステントの流入端を挿入するための複数の固定支持棒またはステント屈曲が設けられて上下に囲み、これにより、経カテーテル人工生体大動脈弁の放出時の変位の発生を防止することができる。前記固定支持棒またはステント屈曲は、3~12個、好ましくは3~6個である。前記大動脈弁のアンカーステントの接続部のラティスは、圧縮可能な菱形ラティス、V字型ラティス、および/または、六角形または多角形ラティスからなるユニットラティスであり、前記ラティス部分は両端のアンカーワイヤループに適応的に接続される。前記大動脈弁のアンカーステントの流入端のアンカーワイヤループの円弧の外周縁は、患者の大動脈弁の下底部に緊密に結合される。前記大動脈弁のアンカーステントの接続部は、第2の状態において、円柱状の内周直径が経カテーテル人工生体大動脈弁の各種の対応する大きさの規格の外径にマッチングする。前記大動脈弁のアンカーステントの表面には、一層の医用高分子薄膜が被覆されている。前記大動脈弁のアンカーステントは、レーザー一体切断後の三次元成形構造または別体の接続構造である。前記アンカーステントは、ニッケルチタン合金材質である。
【0010】
本出願の経カテーテル人工生体大動脈弁は、径方向に圧縮されてバルーンによって拡張された後に円柱状を呈するコバルトクロム合金ステント、または径方向に圧縮されて自己膨張して円柱状を呈するニッケルチタン合金ステントと、三つの前記ステントの内側に設けられた扇形弁葉とを含み、三つの前記扇形弁葉はいずれも遊離縁、弧状底辺および両側に延びる弁葉境界接続部を有し、前記ステントは、金属ネットチューブである。前記弁のステントは、コバルト系合金コバルトまたはクロム合金またはニッケルチタン合金である。前記経カテーテル大動脈弁のアンカーステントは、まず経カテーテル大動脈弁のアンカーステント輸送カテーテルを介して病変の大動脈弁位置に経カテーテルして第1のアンカー状態に放出し、その後、再び経カテーテル人工生体大動脈弁の輸送機器カテーテルを介して経カテーテル人工生体大動脈弁をアンカーステントに送り込み、経カテーテル人工生体大動脈弁が拡開すると同時に、経カテーテル大動脈弁のアンカーステントを第2のアンカー状態に拡張し、最終的にステントの結合部と経カテーテル人工生体大動脈弁との嵌合およびステントの第2の状態への変形を同時に行い、弁周および弁下組織とのさらなる緊密な結合を完成して最終的なアンカーを形成する。前記経カテーテル人工生体大動脈弁の輸送キットは、経カテーテル人工生体大動脈弁の輸送機器、ガイドシース、経カテーテル人工生体大動脈弁のグリッパー、およびチャージポンプを含む。
【0011】
本出願のシステムは、大腿動脈、頸動脈、鎖骨下動脈または心尖アプローチ経路を介してアプローチされ、前記経カテーテル大動脈弁のアンカーステントおよび経カテーテル人工生体大動脈弁は、同一経路を経て前後にアプローチされるか別々の経路を経て前後にアプローチされる。一回の具体的な患者の個性的な事前設定に対する正確なアンカーを実現する経カテーテル人工生体大動脈弁の治療過程を完成する度に、すべての上記の関連データを独立したデータユニットとして大量の個性化データを蓄積し、人工知能によって前記別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル大動脈弁システムの知能化、大規模化および産業化を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、従来技術における各種の一体型大動脈弁の実物図である。
【
図2】
図2A-Cは、本出願の実施例に係る異なる形態のアンカーステントの模式図である。
【
図3】
図3A-Bは、本出願の実施例に係るアンカーステントの流出面および流入面の模式図である。
【
図4】
図4A-Cは、本出願の実施例に係るアンカーステントと大動脈弁の結合を示す図である。
【
図5】
図5A-Bは、本出願の実施例に係るアンカーステントと大動脈弁が結合された後の流出面および流入面模式図である。
【
図6】
図6A-Bは、本出願の実施例に係る経カテーテル大動脈弁のアンカーステントがカテーテルを介して放出された後の第1のアンカー状態の模式図である。
【
図7】
図7A-Bは、本出願の実施例に係る経カテーテル大動脈弁がカテーテルを介してアンカーステントに送入された後の第2のアンカー状態の状態を示す図である。
【
図8】
図8は、本出願の実施例に係る経カテーテル大動脈弁の模式図である。
【
図9】
図9は、本出願の実施例に係る経カテーテル人工生体大動脈弁輸送システムの模式図である。
【
図10】
図10は、本出願の実施例に係る経カテーテル大動脈弁のアンカーステントのロードの模式図である。
【
図11】
図11A-Cは、本出願の実施例に係る大腿動脈路を介する経カテーテル大動脈弁のアンカーステントの回転ロードの模式図である。
【
図12】
図12A-Cは、本出願の実施例に係る大腿動脈路を介する大動脈弁が
図11に示すアンカーステントに入る模式図である。
【
図13】
図13A-Cは、本出願の実施例に係る心尖アプローチを介する経カテーテル大動脈弁のアンカーステントの回転ロードの模式図である。
【
図14】
図14A-Cは、本出願の実施例に係る心尖アプローチを介する経カテーテル大動脈弁が
図13に示すアンカーステントに入る模式図である。
【
図15】
図15A-Dは、本出願の実施例に係る二葉弁患者に対するアンカーステントの模式図である。
【
図16】
図16A-Cは、本出願の実施例に係る異なる病変患者に対するアンカーステントの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施例における別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル大動脈弁システムは、別体の経カテーテル大動脈弁のアンカーステント10と経カテーテル人工生体大動脈弁20とを含み、前記経カテーテル大動脈弁のアンカーステントの形態および構造は、患者の個性的な画像データに基づいて三次元的に再構成された後の大動脈弁の真の構造にマッチングし、前記経カテーテル大動脈弁のアンカーステントは、患者の大動脈弁位置で放出されて変形され、患者の大動脈弁葉および弁下組織と位置を合わせて結合する。前記経カテーテル人工生体大動脈弁は、前記経カテーテル大動脈弁のアンカーステント内に輸送されて放出され、経カテーテル人工生体大動脈弁は、変形し膨張して経カテーテル人工生体大動脈弁を機能状態に拡張し、前記大動脈弁のアンカーステントを再び変形させて、拡張された経カテーテル人工生体大動脈弁と嵌合させ、同時に前記大動脈弁のアンカーステントは再び変形してアンカーする。
【0014】
図2~
図5を参照すると、本実施例の経カテーテル大動脈弁のアンカーステントは、本出願の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル大動脈弁システムの重要な構成要素の一つである。その材質はニッケルチタン合金であり、前記大動脈弁のアンカーステントは傘型ステント構造であり、(1)ステントの流出面のアンカーワイヤループ11と、(2)ステントの流入面のアンカーワイヤループ12またはアンカーラティス14と、(3)ステント接続部13との三つの部分からなる。前記弁葉の流出面は、二つまたは三つの流出面のアンカーワイヤループであり、患者の弁葉の流出面の画像データに基づいて三次元的に再構成された真の形態にマッチングし、前記アンカーステントの弁葉の流入面は、流出面のアンカーワイヤループに対応し、流出面のアンカーワイヤループと弁葉30を挟持する構造を形成することができ、形状は大動脈弁の弁下画像データに基づいて三次元的に再構成された真の形態にマッチングする。前記アンカーステントの接続部は、丸口漏斗状のラティスであり、形成された円周の内径は、経カテーテル大動脈弁のアンカーステントの放出後の外径にマッチングする。前記大動脈弁のアンカーステントの接続部のラティスは、圧縮可能な菱形のラティス、V字状のラティス、および/または、六角形または多角形のラティスからなるユニットラティスであり、前記ラティス部分は両端のアンカーワイヤループに適応的に接続される。流出面のアンカーワイヤループは、患者の弁葉の流出面の画像データに基づいて三次元的に再構成された真の形態および大動脈弁の下の画像データに基づいて三次元的に再構成された真の形態にマッチングするため、上記と同様の設計原則および理念に基づいて、アンカーワイヤループの具体的な形態および構造もわずかに異なり、図面に示すように、より正確な個性化設計および適応を実現し、より良い手術後効果を達成する。
【0015】
前記大動脈弁のアンカーステントの接続部の流出面および流入面には、いずれにも経カテーテル人工生体大動脈弁のアンカーステントの固定支持棒111またはステント端末屈曲112が設けられ(固定支持棒の形式を示す一部拡大模式図である
図4Cを参照)、前記固定支持棒またはステント端末屈曲の方向は軸心に沿って屈曲され、前記固定支持棒またはステント端末屈曲の方向が軸心に沿って屈曲変形され、第2の状態が円柱状である場合、大動脈弁のアンカーステントの接続部の流出面および流入面の両端の固定支持棒またはステント端末屈曲の間の距離は、経カテーテル人工生体大動脈弁のアンカーステントの高さにマッチングする。前記大動脈弁のアンカーステントの接続部の両端には、経カテーテル人工生体大動脈弁のアンカーステントの流出端を挿入するための複数の端末の端末求心フックが設けられ、これらの求心フックと前記大動脈弁のアンカーステントの接続部の流入端に、経カテーテル人工生体大動脈弁のアンカーステントの流入端を挿入するための複数の固定支持棒またはステント屈曲が設けられて上下に囲み、これにより、大動脈弁の放出時の変位の発生を防止することができる。前記固定支持棒またはステント屈曲は、3~12個、好ましくは3~6個である。前記大動脈弁のアンカーステントの流入端のアンカーワイヤループの円弧の外周縁は、患者の大動脈弁の下底部の大動脈壁から1~2mm、好ましくは1.5mm離れている。前記大動脈弁のアンカーステントの接続部は、第2の状態において、円柱状の内周直径が経カテーテル人工生体大動脈弁の様々な対応するサイズ規格の外径と一致する。前記大動脈弁のアンカーステントの表面には、一層の医用高分子薄膜が被覆されている。
【0016】
経カテーテル人工生体大動脈弁は、径方向に圧縮されてバルーンによって拡張された後に円柱状を呈するコバルトクロム合金ステント、または径方向に圧縮されて自己膨張して円柱状を呈するニッケルチタン合金ステントと、三つの前記ステントの内側に設けられた扇形弁葉とを含み、三つの前記扇形弁葉はいずれも遊離縁、弧状底辺および両側に延びる弁葉境界接続部を有し、前記ステントは、金属ネットチューブである。これは、当技術分野で周知の構造と類似する。
【0017】
経カテーテル大動脈弁のアンカーステントの流出面および流入面のアンカーワイヤの数、形態、大きさおよびラジアンは、患者の病変の大動脈弁の術前のCT画像データ、三次元的に再構成された(3mensio)後の真の構造および画像の測定によって得られた各方向の真のスケールにマッチングし、それにより、経カテーテル大動脈弁のアンカーステントの加工図面を作成し、特定のニッケルチタン記憶合金管材の三次元レーザー切断および三次元成形加工によって、最終的に個性的な経カテーテル大動脈弁のアンカーステントを製造する。正常な大動脈弁は、三葉弁構造であるが、先天性欠陥による二尖弁葉奇形の患者もいるし、老年退縮性による弁膜の石灰化および風濡れ性大動脈弁の病変もある。各種類の大動脈弁の病変の形態は、画像データに基づいて三次元的に再構成された後の大動脈弁の真の構造にマッチングする。
【0018】
上記の患者の画像のリアルデータ加工によって大動脈弁のアンカーステントをステントとして製造する圧迫前状態は、ステントが輸送機器カテーテルを介して大動脈弁における病変弁の位置まで輸送された後の第1のアンカー状態でもある(
図6を参照)。経カテーテル大動脈弁のアンカーステントの第2のアンカー状態は、経カテーテル人工生体大動脈弁が輸送機器カテーテルを介してアンカーステント内に輸送され、バルーンによって拡張され、経カテーテル人工生体大動脈弁が拡張され(またはニッケルチタン記憶合金大動脈弁のステントが自己膨張され)、経カテーテル人工生体大動脈弁のアンカーステントが第1のアンカー状態から第2のアンカー状態に変形し、ステントの変形力によって経カテーテル人工生体大動脈弁が放出したバルーン拡張力と結合して一体化し(
図7を参照)、同時に経カテーテル大動脈ステントの第2の状態において弁周および弁下組織40と緊密に結合して、最終的なアンカリングを実現する(
図7B)。それと同時に、アンカーステントの第1のアンカー状態において、その接続構造心房側の固定支持棒は、第2のアンカー状態への変形につれて、ステントの両端の固定支持棒またはステント屈曲は軸心に沿って囲んで軸方向に平行になり、固定支持棒またはステント屈曲端末を合力により経カテーテル人工生体大動脈弁のアンカーステントの両端の支持棒に係止させ、このようなアンカーステントは経カテーテル人工生体大動脈弁の両端に自動に吻合し、経カテーテル人工生体大動脈弁とアンカーステントを正確に結合して一体化し、経カテーテル人工生体大動脈弁の0変位を確保する(
図4を参照)。
【0019】
本出願の内容を要約すると以下のとおりである。(1)別体式の経カテーテル大動脈弁システムは、経カテーテル大動脈弁のアンカーステントおよび経カテーテル大動脈弁の二つの部分と輸送システムおよびシステムキットとからなる。(2)アンカーステントは患者の術前の病変の大動脈弁の画像データに基づいて三次元実構造に変換してアンカーステントの流出面の比較的大きい類円形のアンカーワイヤループと流入面の比較的小さい円形のアンカーワイヤループを設計し、両端の間のステントの接続構造は円錐形状の漏斗状のラティスステント構造である。(3)病変の大動脈弁葉構造を利用して設計されたアンカーワイヤループは、ステントの流出面および流入面のワイヤループを正確に位置決めしてアンカーする。(4)アンカーステントは大腿動脈または心尖を介して大動脈弁位で第1のアンカー状態を放出することができ、次に経カテーテル人工生体大動脈弁のバルーンによって拡張されて放出された変形力により、病変の大動脈弁内でアンカーステントの第2のアンカー状態に変形し、それにより経カテーテル人工生体大動脈弁とアンカーステントが第2のアンカー状態において心内で自動に嵌合して一体化することができると同時に、弁周および弁下組織を締め付けて最終的にアンカーすることを実現する。(5)アンカーステントは第1の状態から第2の状態に変形し、この変形過程は経カテーテル人工生体大動脈弁との自動的な結合を実現し、経カテーテル人工生体大動脈弁の放出操作の自動的な正確さに達することができる。
経カテーテル人工生体大動脈弁および輸送システム並びに実施
【0020】
図9~
図10を参照すると、本願実施例の輸送システムは、輸送カテーテル、経カテーテル大動脈弁のアンカーステントのローダと経カテーテル人工生体大動脈弁のグリッパー、弁放出バルーン、および輸送機器キットを含む。
【0021】
図11~
図12を参照すると、実施形態1において、まず、ロードされたアンカーステントを大腿動脈を介して患者の病変の大動脈弁内に輸送し(
図11A)、アンカーステントの流入面および流出面を順次放出し(
図11B)、即ちアンカーステントの第1の状態になる(
図11C)。
図12A~Cを参照すると、アンカーステントの放出を完了した後、コンジットを撤去し、事前にロードされた経カテーテル人工生体大動脈弁をカテーテルを介してアンカーステント内に輸送し(
図12A)、その後、バルーン補助による経カテーテル人工生体大動脈弁の拡張により、アンカーステントを第2のアンカー状態に変形させ(
図12B)、経カテーテル人工生体大動脈弁との自己正確な結合を実現するとともに、弁下組織との締め付けを行って、最終的なアンカーを完成する(
図12C)。
【0022】
図13~
図14を参照すると、実施形態2において、ロードされたアンカーステントは、心尖穿刺により患者の病変の大動脈弁内に送られ(
図13A)、アンカーステントの流出面(
図13B)および流入面を順次放出し、即ち、アンカーステントの第1の状態になる(
図13C)。アンカーステントの放出を完了した後、事前に経カテーテル人工生体大動脈弁を輸送シース内に把持しておき、心尖穿刺により経カテーテル人工生体大動脈弁をアンカーステント内に送入し(
図14A)、その後、バルーン補助による経カテーテル人工生体大動脈弁の拡張により、アンカーステントを第2のアンカー状態に変形させ(
図14B)、経カテーテル人工生体大動脈弁との自己正確な結合を実現するとともに、弁周および弁下組織との締め付けを行って、最終的なアンカーを完成する(
図14C)。
【0023】
また、二葉弁患者の経カテーテル大動脈弁のアンカーステントである場合、三葉弁患者のアンカーステントと類似し、
図15を参照すると、本実施例のアンカーワイヤループの数は二つである。
【0024】
いくつかの症例において、大動脈弁の位置は非常に限られ、それに応じて、アンカーステントの接続部の構造のラティスもより短く設計されて、周囲の組織との適合性を向上させる。
【0025】
上記の実施例は、本出願により挙げられた仕様の実施例を十分に説明するためのものに過ぎない。本出願の経カテーテル大動脈弁システムは、産業用動物実験によって前述した技術案を既に実施した。
【0026】
本出願の実現可能な意義は以下の通りである。(1)別体式の設計は、経カテーテル人工生体大動脈弁のアンカーと弁葉に対する経カテーテル人工生体大動脈弁のステントの支持を機能的に分離し、人工生体大動脈弁を大動脈弁位置に経カテーテルさせるアンカーをアンカーステントに渡すことにより、患者の具体的な画像データに基づいて三次元的に再構成された真の解剖学的形態とアンカーステントの構造の個性化設計によるより正確なアンカーを実現することができ、段階別にアンカーステントの経カテーテルと人工生体大動脈弁の経カテーテルを行うことにより、複雑な構造および大きすぎる体積によって挟持し難くなって、カテーテルを介する輸送が困難になることを回避することができる。(2)病変弁の解剖学的構造特徴に対するアンカー原理および最終的なアンカー部位の事前設計および測定により、アンカーステントの第2のアンカー状態を事前に設定することができ、患者の個性的な映像学データ、専用ソフトウェアおよび3D印刷は、アンカーステントの各部位の寸法および次元が事前設定された、即ち、第1のアンカー状態の三次元形状の設計および加工を完成し、カテーテルを介して放出された後に正確に位置合わせされ、人工生体大動脈弁の経カテーテルのスムーズな輸送を支持することができる。アンカーステントの第1の状態の勾配構造は、重症の狭窄を適度に大きく開くことができ、また、重度閉鎖不全を抑制することができる。前者は、人工生体大動脈弁の経カテーテルにチャネルを提供するだけでなく、狭窄病変が突然拡大することを回避することもでき、後者は、経カテーテル人工生体大動脈閉鎖不全の大量の還流を軽減し、経カテーテル人工生体大動脈弁への経カテーテルのための空間と時間の提供を保証する。(3)経カテーテル人工生体大動脈弁から放出された外力によりアンカーステントを駆動して第1のアンカー状態から第2の状態に変形させ、このような変形によってアンカーステントが軸心に向かって経カテーテル人工生体大動脈弁と一体に結合して、経カテーテル人工生体大動脈弁の0変位を保証し、流入面のアンカーラティスまたはフックループの構造によってさらに弁下組織と緊密に結合させ、事前に設計された位置合わせアンカーを実現するとともに、弁上構造との挟持が完了して最終的に事前設定のアンカーを完成させる。(4)経カテーテル大動脈弁のアンカーステントの接続部の流入端と流出端に設けられた支持棒の構造は、両端から抱合して大動脈弁と一体になり、経カテーテル人工生体大動脈弁の変位がないことを確保することができる。(5)上記に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル大動脈弁システムは、一回の個性的な所定の大動脈弁を正確に経カテーテルさせる治療過程を完成するごとに、関連データの分析、経カテーテル大動脈弁のアンカーステントの形態設計、加工製造、経カテーテル治療の全過程によって取得された関連データおよび術後の経過データなどに対して、一つの独立したデータユニットとして、大量の個性的な画像データ、アンカーステントの設計および加工製造パラメータ、経カテーテル治療過程および術後結果などの関連データを蓄積し、前記別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル大動脈弁システムを治療に経カテーテルして実施するスマート化、商業化および大規模化を実現する。
【国際調査報告】