IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 北京佰仁医療科技股▲ふん▼有限公司の特許一覧 ▶ 四川大学華西医院の特許一覧

特表2024-541394別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システム
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529218
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 CN2022132578
(87)【国際公開番号】W WO2023088369
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】202111361271.6
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508007949
【氏名又は名称】北京佰仁医療科技股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】512330318
【氏名又は名称】四川大学華西医院
(74)【代理人】
【識別番号】100232862
【弁理士】
【氏名又は名称】王 雪
(72)【発明者】
【氏名】金 磊
(72)【発明者】
【氏名】郭 応強
(72)【発明者】
【氏名】呉 嘉
(72)【発明者】
【氏名】李 麗艶
(72)【発明者】
【氏名】慕 宏
(72)【発明者】
【氏名】呉 康健
(72)【発明者】
【氏名】範 志豪
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097BB04
4C097CC05
4C097CC14
4C097DD09
4C097DD10
4C097MM09
4C097SB03
(57)【要約】
別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システムであって、別体の経カテーテル二尖弁のアンカーステント(10)および経カテーテル人工生体二尖弁(20)を含み、経カテーテル二尖弁のアンカーステント(10)のアンカーステントの形態および構造は、患者の画像データに基づいて三次元的に再構成された後の二尖弁の真の構造にマッチングし、経カテーテル二尖弁のアンカーステント(10)は、まず、患者の二尖弁位置への放出、変形、患者の二尖弁の弁上および弁下の組織との個性的な位置合わせ接合のために輸送され、経カテーテル人工生体二尖弁(20)は、経カテーテル二尖弁のアンカーステント(10)内に輸送されて放出され、経カテーテル人工生体二尖弁(20)は、放出されて変形して機能状態に拡張し、経カテーテル二尖弁のアンカーステント(10)を再び変形させて、拡張された経カテーテル二尖弁(20)と結合させると同時に、経カテーテル二尖弁のアンカーステント(10)の再度の変形によって、経カテーテル二尖弁のアンカーステント(10)と弁下部組織との事前設定の結合を完成してアンカーさせる。該別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システムは、三次元的な再構成に基づいて設計され、経カテーテル二尖弁の個性的な正確なアンカーを実現することができる。
【選択図】図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
別体の経カテーテル二尖弁のアンカーステントおよび経カテーテル人工生体二尖弁を含み、
前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの形態および構造は、患者の画像データに基づいて三次元的に再構成された後の二尖弁の真の構造にマッチングし、前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントは、まず、患者の二尖弁位置への放出、変形、患者の二尖弁の弁上および弁下の組織との個性的な位置合わせ接合のために輸送され、
前記経カテーテル人工生体二尖弁は、前記経カテーテル二尖弁のアンカーステント内に輸送されて放出され、前記経カテーテル人工生体二尖弁は、放出されて変形して機能状態に拡張し、前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントを再び変形させて、拡張された経カテーテル二尖弁と結合させると同時に、前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの再度の変形によって、アンカーステントと弁下部組織との事前設定の結合を完成してアンカーさせる、
ことを特徴とする別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システム。
【請求項2】
前記二尖弁システムは、輸送アセンブリをさらに含み、前記輸送アセンブリは、経カテーテル二尖弁のアンカーステントの輸送キットおよび経カテーテル人工生体二尖弁の輸送キットを含み、前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの輸送キットは、輸送カテーテルと、経カテーテル二尖弁のアンカーステントの輸送機器と、ステントのローダとを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システム。
【請求項3】
前記別体の経カテーテル二尖弁のアンカーステントおよび経カテーテル人工生体二尖弁は、前後にそれぞれアプローチされた後に、体内で再び一体化され、同時に前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントが再び変形して患者の病変の二尖弁および弁下組織との事前設定の結合を完成して、病変の二尖弁を元の位置で代替することを実現する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システム。
【請求項4】
前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントは、カテーテル内に配置された圧縮状態と、カテーテルを介して放出された後の第1のアンカー状態と、経カテーテル二尖弁に結合された後の第2のアンカー状態とを有し、
前記第1のアンカー状態において、前記二尖弁のアンカーステントは、前記カテーテルを介して放出された後に、患者の二尖弁位置の弁上および弁下の組織との個性的な正確な位置合わせ接合および挟持に変形し、
前記第2のアンカー状態において、前記経カテーテル人工生体二尖弁は、カテーテルによって第1の状態における経カテーテル二尖弁のアンカーステント内に送入され、バルーンの拡張による外力によって拡開して二次変形し、拡張された前記経カテーテル人工生体二尖弁と一体に結合されると同時に、アンカーステントと患者の二尖弁位置の組織との事前設定の結合を完了してアンカーする、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システム。
【請求項5】
前記第1のアンカー状態において、前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントは、心房面が大きく心室面が小さい漏斗状に加工され、前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントは、カテーテルを介して送り込まれて放出された後の変形および形状回復によって、患者の動的な病変の二尖弁の弁上および弁下の組織に正確に対応して個性的な位置合わせ接合および挟持を実現し、
前記第2のアンカー態において、前記第1のアンカー状態の経カテーテル二尖弁のアンカーステントと、カテーテルを介してステント内に輸送された経カテーテル人工生体二尖弁は、バルーンによって拡張されて一体化され、経カテーテル二尖弁のアンカーステントの元の漏斗状から円柱状への二次変形による軸心への形状回復によって挟持して、経カテーテル二尖弁と結合すると同時に、患者の二尖弁位置および弁下組織との事前設定の緊密な結合を完成する、
ことを特徴とする請求項4に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システム。
【請求項6】
前記三次元的に再構成された真の構造は、デジタル画像モデルまたは3D印刷のシミュレーションの実体モデルであり、前記三次元的に再構成された真の構造は、CT、超音波および核磁気の統合画像をデジタル化変換した後の仮想シミュレーションの三次元動的画像および対応する3D印刷のシミュレーションの実体モデルである、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システム。
【請求項7】
前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントは、傘型ステント構造であり、心房面と、心室面と、それら両者の間のアンカーステントの接続部とを含み、前記心房面は傘布状であり、患者の心房面の画像データに基づいて三次元的に再構成された真の個性的な形態にマッチングする傘布状、即ち、第1のラティス部分であり、前記心室面は、患者の二尖弁の前後の二つの弁葉の境界位置に正確に事前設定された二つの位置決めフックループを含み、前記アンカーステントの接続部は、丸口漏斗状であり、漏斗の開口径は、患者の二尖弁輪の内径にマッチングし、漏斗の下端には、二尖弁の弁葉の狭窄または/および閉鎖不全の病変の形態および程度にマッチングする第2のラティス部分が開口されている、
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システム。
【請求項8】
前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの接続部の第1のアンカー状態は、カテーテルを介して輸送されて放出された後の個性的な対応患者の真の解剖形態と構造の三次元定形記憶状態であり、前記接続部の心房面から心室面までの定形記憶状態は、弁口から弁下にマッチングする収縮勾配を有し、前記勾配は、5~45度であり、これは患者の病変の弁葉の形態に応じて定まり、前記アンカーステントの接続部は、変形拡張により第1のアンカー状態の丸口漏斗状から円柱状の事前設定の第2のアンカー状態に変形する、
ことを特徴とする請求項7に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システム。
【請求項9】
前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの第1のアンカー状態において、前記位置決めフックループは、カテーテルを介して放出された後、それにマッチングする患者の病変の二尖弁の前後の二つの弁葉の境界位置に正確に挿入し、アンカーステントの心房面と患者の左心房の形態との個性化対応を実現し位置決めして敷設する、
ことを特徴とする請求項8に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システム。
【請求項10】
前記二尖弁のアンカーステントの心室面は、複数のアンカーフックループを有し、接続部から心室面に延びた後に折り返され、患者の病変の二尖弁の弁下画像データに基づいて三次元的に再構成された真の腱索および弁下の組織構造の形態などの数と正確にマッチングする、
ことを特徴とする請求項7に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システム。
【請求項11】
前記アンカーフックループの数、サイズ、形態および折り返しの角度は、患者の病変の二尖弁の弁下画像データに基づいて三次元的に再構成された真の腱索の隙間、二尖弁の弁葉の大きさ、形状、および弁周組織と心室壁との円周間隔に個性的に正確にマッチングする、
ことを特徴とする請求項10に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システム。
【請求項12】
前記二尖弁のアンカーステントの第1のアンカー状態において、前記アンカーフックループは、カテーテルを介して放出された後、患者の腱索と腱索の隙間位置に位置決めされて所定の数で位置を合わせて接合され、前記二尖弁のアンカーステントの第2のアンカー状態において、前記複数のアンカーフックループは、変形によって二尖弁のアンカーステントの心房面と接続部の合力の作用によって挟持部を形成し、前記複数の変形されたアンカーフックループと患者の病変の二尖弁の弁葉および弁下の腱索と弁下の組織は、事前設定の交絡によって緊密に結合されている、
ことを特徴とする請求項10に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システム。
【請求項13】
前記アンカーフックループは、3~9個、好ましくは7個である、
ことを特徴とする請求項10に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システム。
【請求項14】
前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの接続部の心房面の端部には、経カテーテル二尖弁のステントを挿入するための複数の固定支持棒が設けられ、前記固定支持棒は、心房面の軸方向に沿って延びた後、その端部がアンカーステントの軸心に向かって屈曲する、
ことを特徴とする請求項7に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システム。
【請求項15】
前記二尖弁のアンカーステントの接続部には、経カテーテル二尖弁のステントの流出端を挿入するための複数の端末求心フックが設けられ、これらの求心フックと前記二尖弁のアンカーステントの接続部の心房面の端部には、経カテーテル二尖弁のステントの心房端を挿入するための複数の固定支持棒が配置されて上下に囲み、構造的に経カテーテル二尖弁と強固に嵌合して一体化され、経カテーテル二尖弁の放出時の0変位が実現される、
ことを特徴とする請求項14に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システム。
【請求項16】
前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの第1のアンカー状態において、前記固定支持棒は、アンカーステントの接続部と一致する角度を維持し、前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの第2のアンカー状態において、前記複数の固定支持棒は、軸心に向かって囲み、軸方向に平行になり、固定支持棒の端末を、経カテーテル二尖弁の流入端のステントに嵌め、構造的に経カテーテル二尖弁と一体に強固に嵌合され、経カテーテル二尖弁の放出時の0変位が実現される、
ことを特徴とする請求項12に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システム。
【請求項17】
前記固定支持棒は、3~12個であり、好ましくは9個である、
ことを特徴とする請求項14に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システム。
【請求項18】
前記経カテーテル二尖弁のアンカーボルトの第1のラティス部分および第2のラティス部分は、圧縮可能な菱形ラティス、Vラティス、および/または、六角形または多角形ラティスからなるユニットラティスによって形成され、前記第1のラティス部分と第2のラティス部分とは、適応的に接続されている、
ことを特徴とする請求項7に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システム。
【請求項19】
前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの心房面のラティス部分の外周縁と患者の心房壁との間隔は、1~2mmであり、好ましくは1.5mmである、
ことを特徴とする請求項7に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システム。
【請求項20】
前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの第2のラティス部分の内周縁の直径は、経カテーテル式人工生体二尖弁の様々な対応する大きさの規格の外径にマッチングする、
ことを特徴とする請求項7に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システム。
【請求項21】
前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの表面には、一層の医療用高分子薄膜が被覆されている、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システム。
【請求項22】
前記二尖弁のアンカーステントの心房面、心室面およびアンカーステントの接続部は、レーザ一体切断後の三次元成形構造または心房面、心室面およびアンカーステントの接続部の別体加工後の再接続構造である、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システム。
【請求項23】
前記アンカーステントは、形状の回復が可能な形状記憶性能を有する金属材料または非金属材料である、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システム。
【請求項24】
前記アンカーステントは、ニッケルチタン合金材質である、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システム。
【請求項25】
経カテーテル人工生体二尖弁は、径方向に圧縮されてバルーンによって拡張された後に円柱状または不完全な円柱状を呈するコバルトクロム合金ステント、または径方向に圧縮されて自己膨張するニッケルチタン合金ステントと、前記ステントの内側に設けられた三つの扇形弁葉とを含み、いずれか一つの前記扇形弁葉は、いずれも遊離縁と、弧状底辺と、両側に延在する弁葉境界接続部とを有し、前記ステントは、金属ネットチューブまたは三対の弁葉の境界を支持して固定され得る様々な形態で把握可能な弁膜のステントである、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システム。
【請求項26】
前記弁膜のステントは、コバルト系合金コバルトまたはクロム合金またはニッケルチタン合金である、
ことを特徴とする請求項25に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システム。
【請求項27】
前記経カテーテル人工生体二尖弁の輸送キットは、経カテーテル人工生体二尖弁の輸送機器と、ガイドシースと、弁膜のグリッパーと、チャージポンプとを含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システム。
【請求項28】
前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの輸送機器および経カテーテル人工生体二尖弁の輸送機器は、大腿静脈心房中隔、心尖穿刺または左房穿刺を介してアプローチすることができる、
ことを特徴とする請求項27に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システム。
【請求項29】
前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントは、まず、病変の二尖弁位置に対して別体式の正確なアンカーを行って第1のアンカー状態に放出し、その後、カテーテルを介して経カテーテル人工生体二尖弁をアンカーステントに送入し、弁膜が拡開すると同時に、経カテーテル二尖弁のアンカーステントを第2のアンカー状態に拡張し、最終的にステントの結合部と経カテーテル二尖弁とを嵌合させ、ステントの心室面と弁下部構造とのさらなる緊密な結合を完成して最終的なアンカーを形成する、
ことを特徴とする請求項25に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システム。
【請求項30】
一回の具体的な患者の個性的な事前設定に対する正確なアンカーを実現する経カテーテル二尖弁の治療過程を完成する度に、すべての上記の関連データを独立したデータユニットとして大量の個性化のデータを蓄積し、人工知能によって前記別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システムの知能化、大規模化および産業化を実現する、
ことを特徴とする請求項1から29のいずれか一項に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工生体心臓弁膜に関し、特に、別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システムに関する。
【背景技術】
【0002】
「中国の心血管疾患レポート2019」によれば、全国2019年の心臓弁膜疾患の患者の人数は3630万人に達し、そのうち、二尖弁膜疾患の患者は心臓弁膜の外科の最大の群であり、二尖弁逆流(MR)のみが29.2%を占め、MR患者が約1000万人に達し、外科手術を行う必要がある重度の二尖弁逆流患者は約200万に達した。そのうち、40%の患者は、高齢で、心機能が悪く、合併・多臓器機能不全で外科手術に耐えることができず、約80万人の外科手術治療を行うことができない重度の二尖弁逆流患者は、二尖弁の経カテーテル治療に頼るしかない。
【0003】
経カテーテル大動脈弁の臨床応用および製品は、改善に伴い、日々成熟してきた。低侵襲で、体外循環を必要とせず、短期、中期の効果が適切であるという利点を有するため、高齢者または伝統的な外科大動脈弁置換ハイリスク患者に対する効果的な治療手段として既に認められている。しかしながら、二尖弁は、左心の腔内弁膜として、非対称な鞍形二尖弁輪、形態および病変が多様な弁葉構造(例えば二尖弁狭窄または二尖弁閉鎖不全およびその両方を兼ねる)、複雑な弁下組織(腱索および乳頭筋を含む)、隣接する左室流出路および毎回の心周期での弁輪および弁上弁下の大幅な変形に従い、これらの解剖形態および構造の複雑さにより、経カテーテル人工生体二尖弁に対して、経カテーテル大動脈弁のように弁上の形状および/または弁周の径方向に支持するという考え方を応用して経カテーテル二尖弁を設計することはほとんど不可能である。したがって、10年近く経カテーテル二尖弁は、経カテーテル大動脈弁に比べて研究開発がよくなく、製品の構造とアンカー原理との設計理念によって更新する必要がある。
【0004】
文献によって報告されているように、2012年から各種類の経カテーテル二尖弁製品の研究開発は約20種類があり、図1に示すように、そのうちの9種類が人体への植え込みを試しており、図2に示すように、現在4種類の研究開発が停止されている。米国Abbott社、米国Medtronic社および米国Edwards Lifesciences社が最近もそれぞれ開発中の経カテーテル二尖弁製品(図3A-D)を持続的に報告している以外、その他の経カテーテル二尖弁の研究は、臨床研究が非常に少なく、経カテーテル二尖弁の産業発展は、突破が必要なボトルネック期間にある。従来の経カテーテル二尖弁製品および既存の同類製品に公開された特許では、設計理念と構造的特徴において、いずれも使い捨てカテーテルの植え込みおよび一体の弁膜構造であり、そのため二尖弁の個性的な複雑な病変の環境を満たすことは難しい。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、従来のすべての経カテーテル二尖弁製品の設計理念と異なり、別体式の正経カテーテル二尖弁システムの設計を提供する。別体式とは、製品が経カテーテル二尖弁のアンカーステントおよび経カテーテル人工生体二尖弁の二つの部分によって構成され、前者がまずカテーテルを介して二尖弁位置に輸送されて放出され、それに伴って後者がアプローチされて前者と二尖弁位置においてバルーンの拡張による外力の補助によって変形され、病変の弁位置において一体化され、これにより主に病変の弁膜組織自体によるアンカーを実現することを意味する。
【0006】
本発明の経カテーテル二尖弁システムは、従来に公開された全ての経カテーテル二尖弁製品の構造と異なり、一つの経カテーテル二尖弁のアンカーステントおよび一つの経カテーテル人工生体二尖弁の弁膜の二つの部分によって構成され、発明の核心ポイントは、弁膜の経カテーテルによるアンカーと弁膜の弁葉の支持とが二つの独立した構造に分けられ、即ち、別体の二尖弁のアンカーステントが弁膜のアンカーを担当し、経カテーテル人工生体二尖弁が経カテーテル弁中の弁と類似して弁膜のステント内に輸送されて放出され、再び変形してステントに結合されて、人工弁膜の経カテーテルを実現することである。
【0007】
本発明の経カテーテル二尖弁システムは、別体の二尖弁のアンカーステントと別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル人工生体二尖弁の二つの部分の構成を含む。本発明の要旨の一つは、前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの形状および構造が異なる二つのアンカー状態、即ち、カテーテルを介して放出された後の第1のアンカー状態と、経カテーテル二尖弁に結合された後の第2のアンカー状態とを有することである。
【0008】
前記第1のアンカー状態は、患者の個性的な画像データに基づいて三次元的に再構成された二尖弁の真の構造と形態を基に定式化設計され、体外三次元成形加工により定製され、前記カテーテルを介して放出された後の変形は、患者の二尖弁位置の弁上および弁下の組織に正確に位置を合わせて接合することができ、前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの心房面から心室面は漏斗状を呈し、放出された後に変形し形状を回復して患者の動的な病変の二尖弁の弁上および弁下の組織に正確に位置を合わせて、それと相互に挟持する。前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの第1のアンカー状態の加工および定形は、如何に経カテーテル二尖弁のアンカーステントと患者の二尖弁の真の解剖構造との正確なマッチング度合いを実現するかに依存する。前記三次元的に再構成された真の構造は、デジタル画像モデルまたは3D印刷のシミュレーションの実体モデルであり、前記三次元的に再構成された真の構造は、CT、超音波および核磁気の統合画像をデジタル化変換した後の仮想シミュレーションの三次元画像および対応する3D印刷のシミュレーションの実体モデルである。
【0009】
前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの第1のアンカー状態は、上述したように、三次元的に再構成された患者の二尖弁の真の解剖形態であり、具体的な設計加工は、傘型ステント構造、即ち心房面、心室面およびそれら両者の間のアンカーステントの接続部の三つの部分から構成される。前記(1)心房面は、傘布状であり、患者の心房面の画像データに基づいて三次元的に再構成された真の形態に適合する傘布状を有し、第1のラティス部分であり、放出された後に左心房の底部の二尖弁輪の上方部位にちょうど正確に敷設され、前記(2)心室面は、患者の二尖弁の前後の二つの弁葉の境界位置に正確に事前設定された二つの位置決めフックループを含み、前記(3)アンカーステントの接続部は、丸口漏斗状であり、第2のラティス部分である。今まで説明したのは、前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントがカテーテル内で全部放出されてカテーテルから離脱した後のステントの状態である。前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの接続部の第1のアンカー状態は、カテーテルを介して輸送されて放出された後の個性的な対応患者の真の解剖形態と構造の三次元定形記憶状態であり、心房面から心室面への前記接続部の定形記憶状態は、弁口から弁下にマッチングする収縮勾配を有し、前記勾配は、5~45度であり、それは患者の病変の弁葉の形態に応じて定まり、前記アンカーステントの接続部は、変形拡張により第1のアンカー状態の丸口漏斗状から円柱状の事前設定の第2のアンカー状態に変形する。前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの第1のアンカー状態において、前記位置決めフックループは、カテーテルを介して放出された後、それにマッチングする患者の病変の二尖弁の前後の二つの弁葉の境界位置に正確に挿入し、アンカーステントの心房面と患者の左心房の形態との個性化対応を実現し位置決めして敷設する。前記二尖弁のアンカーステントの心室面は、複数のアンカーフックループを有し、接続部から心室面に延びた後に折り返され、患者の病変の二尖弁の弁下画像データに基づいて三次元的に再構成された真の腱索および弁下の組織構造の形態などの数と正確にマッチングする。前記アンカーフックループの数、サイズ、形態および折り返しの角度は、患者の病変の二尖弁の弁下画像データに基づいて三次元的に再構成された真の腱索の隙間、二尖弁の弁葉の大きさ、形状、および弁周組織と心室壁との円周間隔に個性的に正確にマッチングする。
【0010】
前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの第2のアンカー状態とは、前記第1のアンカー状態において、経カテーテル人工生体二尖弁がカテーテルを介して第1の状態での経カテーテル二尖弁のアンカーステント内に送り込まれ、その後、バルーン拡張による外力によってバルーン拡張弁の拡開に伴って二次変形し、元の第1のアンカー状態の円錐状漏斗状から、拡張された前記経カテーテル人工生体二尖弁に一体に結合されて最終的な円柱状に変形すると同時に、経カテーテル二尖弁のアンカーステントの心室面の構造と患者の二尖弁の腱索および乳頭筋との最終的な結合によってアンカーを実現することを意味し、即ち、経カテーテル二尖弁のアンカーステントの第2のアンカー状態を意味する。
【0011】
前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの第2のアンカー状態は、主に患者の個性的な二尖弁の超音波画像に基づいて三次元的に再構成された患者の二尖弁の弁葉の形態、弁葉面の面積の大きさ、二つの弁葉における腱索および乳頭筋の真の解剖学的構造に基づいて、前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの心室面のアンカーフックループの形態、サイズ、屈曲の角度を設計し加工することによって、圧迫状態の経カテーテル人工生体二尖弁を挿入し、加圧ポンプの加圧によって拡張することができ、このような場合、形態と構造が一致するなどの数のアンカーフックループによって、事前設定の最終的なアンカー状態に位置を合わせて変形され、患者の二尖弁位置および弁下組織との最終的な正確な緊密な結合を実現する。
【0012】
前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントは、カテーテル内に配置された圧縮状態であり、カテーテルを介して放出された後に第1のアンカー状態になり、さらに経カテーテル二尖弁と結合して第2のアンカー状態に変換し、前記アンカーステントの接続部によって患者の個性的な画像データに基づいて三次元的に再構成された患者の二尖弁の真の解剖形態に基づいて設けられた複数のアンカーフックループであり、カテーテルを介して放出された後に二尖弁の前弁と後弁との二つの境界に正確に挿入されてアンカーステント全体の位置決めを実現する。前記アンカーフックループは、前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの心房面の形態および患者の左心房の形態を位置決めして心周期での左心房収縮の拡張の幅に適合するだけでなく、前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの心室面のアンカーフックループが患者の病変の二尖弁の弁葉における腱索隙間に対応して挿入されて挟持されることを位置決めし、経カテーテル二尖弁のアンカーステントが第2のアンカー状態に変換する場合、これらのアンカーフックループは、弁下組織との正確な交絡および緊密な事前設定の結合を実現することができる。
【0013】
前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントは、カテーテルを介して放出された後の第1のアンカー状態を有し、その後、経カテーテル二尖弁と結合して第2のアンカー状態に変形し、前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの接続部の心房面の端部には、経カテーテル二尖弁の弁膜のステントを挿入するための複数の固定支持棒が設けられ、前記固定支持棒は、心房面方向に沿って軸方向に延びた後、その端部がアンカーステントの軸心に向かって折り曲げられ、前記二尖弁のアンカーステントの接続部には、経カテーテル二尖弁のステントの流出端を挿入するための複数の端末求心フックが設けられ、これらの求心フックと前記二尖弁のアンカーステントの接続部の心房面の端部には、経カテーテル二尖弁のステントの心房端を挿入するための複数の固定支持棒が配置されて上下に囲み、経カテーテル二尖弁の放出時の心室側への変位を防止することができる。前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの第1のアンカー状態において、前記固定支持棒は、アンカーステントの接続部と一致する角度を維持し、前記二尖弁のアンカーステントの第2のアンカー状態において、前記複数の固定支持棒は、軸心に向かって囲み、軸方向に平行になり、固定支持棒の端末を、経カテーテル二尖弁の流入端のステントに嵌め、経カテーテル二尖弁の弁膜の放出時の0変位を確保する。
【0014】
前記経カテーテル二尖弁のアンカーボルトの第1のラティス部分および第2のラティス部分は、圧縮可能な菱形ラティス、Vラティス、および/または、六角形または多角形ラティスからなるユニットラティスによって形成され、前記第1のラティス部分および第2のラティス部分は、適応的に接続されている。
【0015】
前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの心房面のラティス部分の外周縁と患者の心房壁との間隔は、1~2mmであり、好ましくは1.5mmである。前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの第2のラティス部分の内周縁の直径は、経カテーテル式人工生体二尖弁の様々な対応する大きさの規格の外径にマッチングする。前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの表面には、一層の医療用高分子薄膜が被覆されている。前記二尖弁のアンカーステントの心房面、心室面およびアンカーステントの接続部は、レーザ一体切断後の三次元成形構造または心房面、心室面およびアンカーステントの接続部の別体加工後の再接続構造である。前記アンカーステントは、形状の回復が可能な形状記憶性能を有する金属材料または非金属材料である。前記アンカーステントは、ニッケルチタン合金材質である。経カテーテル人工生体二尖弁は、径方向に圧縮されてバルーンによって拡張された後に円柱状または不完全な円柱状を呈するコバルトクロム合金ステント、または径方向に圧縮されて自己膨張するニッケルチタン合金ステントと、前記ステントの内側に設けられた三つの扇形弁葉とを含み、いずれか一つの前記扇形弁葉は、いずれも遊離縁と、弧状底辺と、両側に延在する弁葉境界接続部とを有し、前記ステントは、金属ネットチューブまたは三対の弁葉の境界を支持して固定され得る様々な形態で把握可能な弁膜のステントである。前記弁膜のステントは、コバルト系合金コバルトまたはクロム合金またはニッケルチタン合金である。前記経カテーテル人工生体二尖弁の輸送キットは、経カテーテル人工生体二尖弁の輸送機器と、ガイドシースと、弁膜のグリッパーと、チャージポンプとを含む。前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの輸送機器および経カテーテル人工生体二尖弁の輸送機器は、大腿静脈心房中隔、心尖穿刺または左房穿刺を介してアプローチすることができる。前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントは、まず、病変の二尖弁位置に対して別体式の正確なアンカーを行って第1のアンカー状態に放出し、その後、カテーテルを介して経カテーテル人工生体二尖弁をアンカーステントに送入し、弁膜が拡開すると同時に、経カテーテル二尖弁のアンカーステントを第2のアンカー状態に拡張し、最終的にステントの結合部と経カテーテル二尖弁とを嵌合させ、ステントの心室面と弁下部構造とのさらなる緊密な結合を完成して最終的なアンカーを形成する。一回の具体的な患者の個性的な事前設定に対する正確なアンカーを実現する経カテーテル二尖弁の治療過程を完成する度に、すべての上記の関連データを独立したデータユニットとして大量の個性化のデータを蓄積し、人工知能によって前記別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システムの知能化、大規模化および産業化を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、2012-2019年の各種類の経カテーテル二尖弁の実物図である。
図2図2は、従来技術において人体に移植された経カテーテル二尖弁の実物図である。
図3図3A-Cは、現在依然として開発中の経カテーテル二尖弁の実物図である。
図4図4A-Dは、本発明の実施例に係る弁上弁下構造がそれぞれ異なる別体式のアンカーステントと経カテーテル人工生体二尖弁との組み合わせ模式図である。
図5図5A-Dは、本発明の実施例に係る弁上弁下構造がそれぞれ異なる別体式のアンカーステントの模式図である。
図6図6は、本発明の実施例に係る別体式のアンカーステントの心房面の模式図である。
図7図7は、本発明の実施例に係る別体式アンカーステントの心室面とアンカーステントの接続部の模式図である。
図8図8A-Cは、本発明の実施例に係る別体式のアンカーステントの固定支持棒および求心屈曲の模式図である。
図9図9A-Cは、本発明の実施例に係る経カテーテル二尖弁のアンカーステントが人体に移植した後の第1のアンカー状態の模式図である。
図10図10A-Cは、本発明の実施例に係る経カテーテル二尖弁のアンカーステントが人体に移植した後の第2アンカー状態の模式図である。
図11図11は、本発明の実施例に係る経カテーテル二尖弁のアンカーステントが人体に移植した後のアンカーフックループと腱索の二次アンカーの模式図である。
図12図12A-Bは、本発明の実施例による圧縮前後の経カテーテル人工生体二尖弁の模式図である。
図13図13は、本発明の実施例に係る輸送システムの模式図である。
図14図14は、本発明の実施例に係る心尖アプローチを介して経カテーテル二尖弁のアンカーステントへアプローチするローディングの模式図である。
図15図15A-Eは、本発明の実施例に係る心尖アプローチを介して経カテーテル二尖弁のアンカーステントへアプローチする過程の模式図である。
図16図16A-Bは、本発明の実施例に係る心尖アプローチを介して経カテーテル二尖弁へアプローチしてアンカーステントに送入する過程の模式図である。
図17図17は、本発明の実施例に係る大腿静脈心房中隔を介して経カテーテル二尖弁のアンカーステントへアプローチするローディングの模式図である。
図18図18A-Dは、本発明の実施例に係る大腿静脈心房中隔を介して経カテーテル二尖弁のアンカーステントへアプローチする過程の模式図である。
図19図19A-Bは、本発明の実施例に係る大腿静脈心房中隔を介して経カテーテル二尖弁へアプローチしてアンカーステントに送り込む過程の模式図である。
図20図20A-Cは、本発明の実施例に係る複合経路を介して経カテーテル二尖弁のアンカーステントへアプローチする過程の模式図である。
図21図21A-Dは、本発明の実施例に係る複合経路を介して経カテーテル二尖弁へアプローチしてアンカーステントに送り込む過程の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の詳細は、図面および上述した本発明の具体的な説明と併せて明らかになるであろう。ただし、ここで述べる本発明の具体的な実施形態は、本発明の目的を解釈するためのものに過ぎず、いかなる方式でも本発明を制限するものではない。本発明の教示下で、当業者は、本発明に基づいて任意の可能な変形を構想することができ、それらはいずれも本発明の範囲に属すると見なされるべきである。
【0018】
本発明は、別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システムに関し、該システムは、別体の経カテーテル二尖弁のアンカーステント10と、経カテーテル人工生体二尖弁20とを含み、前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの形態および構造は、患者の画像データに基づいて三次元的に再構成された後の二尖弁の真の病変の解剖構造にマッチングし、前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントは、まず、カテーテルを介して患者の病変の二尖弁位置への放出、変形、患者の二尖弁の弁上および弁下の組織との位置合わせ接合のために輸送され、前記経カテーテル人工生体二尖弁は、カテーテルを介して前記組織と位置合わせ接合された経カテーテル二尖弁のアンカーステント内に輸送されて放出され、前記経カテーテル人工生体二尖弁は、放出されて変形して機能状態に拡張し、前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントを再び変形させて、拡張された経カテーテル二尖弁と結合させると同時に、前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの再度の変形によって、アンカーステントと病変の二尖弁および弁下組織との再結合を実現して、経カテーテル人工生体二尖弁の最終的なアンカーを実現する。患者毎の真の病変が異なるため、患者の画像データに基づいて三次元的に再構成されて設計された経カテーテル二尖弁のアンカーステントも同じではなく、患者の真の状況に応じて調整され、図4A-Dに示すように、四種類の弁上弁下構造が異なる別体式のアンカーステントと経カテーテル人工生体二尖弁との組み合わせ模式図であるが、大体の構造および構成はいずれも同じ設計思想および理念に基づく。
【0019】
図5図7に示すように、本願に係る経カテーテル二尖弁のアンカーステント10は、心房面が大きく心室面が小さく定型された漏斗状の傘型ステント構造であって、心房面11と、心室面12と、それら両者の間のアンカーステントの接続部13とを含み、前記心房面は、傘布状であって、患者の左心房面の画像データに基づいて三次元的に再構成された真の形態にマッチングする傘布状、即ち、第1のラティス部分であり、前記心室面12は、患者の病変の二尖弁の弁下画像データに基づいて三次元的に再構成された真の形態にマッチングする複数の位置決めフックループ121と、アンカーフックループ122とを含み、前記アンカーステントの接続部13は、心房面から心室面までの間の上が大きく下が小さい丸口漏斗状構造であり、その接続部の長さは、対応する経カテーテル人工生体二尖弁の高さにマッチングし、円柱状に拡張可能な第2のラティス部分123を有する。図5A図5Cに示すように、異なる弁上弁下構造の別体式のアンカーステントの模式図は、全体構造が一致しているが、異なる患者の患者組織にマッチングするため、異なる屈曲度の心房面11、位置決めフックループ121、およびアンカーフックループ122の数、角度、長さなどが設計される。即ち、経カテーテル二尖弁のアンカーステントの心房面の形態および被覆面積の大きさ並びにアンカーステントの心室面およびアンカーフックループの形態、数、長さと角度および構造的関係は、いずれも患者の個体の術前CT画像データに基づいて三次元的に再構成(3mensio)された後の患者の心房(弁上)40および心室(弁下)50の真の構造および三次元超音波画像を参考にして測定した各径制限構造と真のサイズとを対応付けることにより、経カテーテル二尖弁のアンカーステントの加工図面を設計し、特定のニッケルチタン記憶合金管材の三次元レーザ切断および三次元成形加工によって、最終的に個性的な二尖弁のアンカーステントを製造する。
【0020】
図8A図8Cを参照すると、アンカーステントと経カテーテル二尖弁との結合をより強固にするために、前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの接続部の心房面11の端部には、経カテーテル二尖弁のアンカーステントを挿入するための複数の固定支持棒111が設けられ、前記固定支持棒は心房面方向に沿って軸方向に延びた後、その端部がアンカーステントの軸心に向かって屈曲する。或いは、前記二尖弁のアンカーステントの接続部には、経カテーテル二尖弁のアンカーステントの流出端を挿入するための複数の端末求心フック112が設けられる。前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの第1のアンカー状態において、前記固定支持棒111は、アンカーステントの接続部と一致する角度を維持し、前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの第2のアンカー状態において、前記複数の固定支持棒111は、軸心に向かって囲み、軸方向に平行になり、固定支持棒の端末を、経カテーテル二尖弁の流入端のステントに嵌め、経カテーテル二尖弁を固定して心房面への変位を防止する。前記固定支持棒111は、3~12個である。
【0021】
前記経カテーテル二尖弁のアンカーボルトの第1のラティス部分および第2のラティス部分は、圧縮可能な菱形ラティス、Vラティス、および/または、六角形または多角形ラティスからなるユニットラティスによって形成され、第1のラティス部分および第2のラティス部分は、適応的に接続されている。前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの心房面のラティス部分の外周縁と患者の心房壁の間隔は、1~2mmであり、好ましくは1.5mmである。前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの第2のラティス部分の内周縁の直径は、経カテーテル式人工生体二尖弁の様々な対応する大きさの規格の外径にマッチングする。前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントグラフトの表面には、一層の医用高分子薄膜が被覆されている。前記二尖弁のアンカーステントの心房面、心室面およびアンカーステントの接続部は、レーザ一体切断後の三次元成形構造または心房面、心室面およびアンカーステントの接続部の別体加工後の再接続構造である。前記アンカーステントは、形状の回復が可能な形状記憶性能を有する金属材料または非金属材料であり、例えば、ニッケルチタン合金材質である。
【0022】
上記の患者の個性的な画像の真のデータによって、二尖弁のアンカーステントをステントの把持前状態として加工して製造し、即ち、ステントがカテーテルを介して二尖弁における病変の弁口の位置に輸送されて放出された後の第1のアンカー状態であり、図9A図9Cに示される。経カテーテル二尖弁のアンカーステントの第2のアンカー状態において、経カテーテル二尖弁がカテーテルを介してアンカーステント内に輸送され、バルーンの補助によって拡張され、弁膜が拡張され(またはニッケルチタン記憶合金弁膜のステントが自己膨張することによって)二尖弁のアンカーステントが第1のアンカー状態から第2のアンカー状態に変形し、ステントの変形力によって経カテーテル二尖弁のバルーン拡張力と結合して一体となり、図10A-10Cに示される。同時に、弁下の腱索および弁下組織に位置合わせ挿入されたアンカーステントの心室面のアンカーフックループは、経カテーテル二尖弁のバルーン拡張外力の作用下で、アンカーステントの第1のアンカー状態から第2のアンカー状態への変形に伴って、心室面のアンカーフックループは腱索および弁下組織51とさらに緊密に結合して最終的なアンカーを実現し、図11に示される。それと同時に、アンカーステントの第1のアンカー状態において、その接続構造の心房側の固定支持棒またはステント屈曲は、第2のアンカー状態に変形するに伴って、軸心に向かって囲み、軸方向に平行になり、固定支持棒の端末またはステント屈曲と接続部の心室端のステントの引っ掛かり力が経カテーテル二尖弁のステントの両端の支持棒に引っ掛かり、このようなアンカーステントと経カテーテル二尖弁のステントの両端との自動的な引っ掛かり構造は、弁膜とアンカーステントとを正確に結合して一体化し、経カテーテル二尖弁の0変位を確保し、図8A図8Cに示される。
【0023】
本発明の進歩性の核心点は、以下のとおりである。(1)アンカーステントと経カテーテル二尖弁がそれぞれ独立した二つの形態であり、構造が異なるが互いに結合可能な器具であり、それぞれカテーテルを介して二尖弁位置に前後に輸送され、構造設計によってアンカーステントがまず病変の弁膜と接合して挟持され、後に経カテーテル二尖弁とバルーン拡張によって放出され、変形されて一体化される。(2)アンカーステントと病変の弁膜との接合挟持は、患者の術前の個性的な病変の二尖弁の弁上および弁下の構造の動的画像データに基づいて設計および加工されて三次元的に定形される。(3)アンカーステントと病変の弁膜との接合挟持を確保するために、ステントには二つの位置決めフックループが設計され、二尖弁の二つの弁葉の境界を利用して、アンカーステントの心房面の形態と類似性を有する敷設を正確に位置決めし、ステントの弁下のアンカーフックループの構造と二尖弁葉の腱索および乳頭筋とを所定の数で位置を合わせて接合させる。(4)アンカーステントが放出された後の第1のアンカー状態(漏斗状)は、患者の個性的な真の病理解剖構造に基づいて円錐形状の漏斗状に設計され、第2の状態(円柱状)の事前設定の過渡状態であり、その後、経カテーテル二尖弁のバルーン拡張によって放出された変形力によってアンカーステントを円柱状の第2のアンカー状態に変形させ、ニッケルチタン合金を変形させて記憶させる反発力と経カテーテル二尖弁の弁膜のステントの径方向支持力との合力によって、弁上弁下における挟持されたアンカーステントを円柱状の第2のアンカー状態に変形させ、弁下組織をアンカーステントと心室壁との間に再度締め付けて、最終的なアンカーを完成させる。(5)アンカーステントは第1の状態から第2の状態に変形し、この変形過程は、経カテーテル二尖弁との自動的な結合を実現し、経カテーテル二尖弁の放出操作を自動的に正確に実現することができる。
【0024】
本発明に係る経カテーテル人工生体二尖弁は、アンカーステントが結合されているため、弁膜のステント構造は、三つの弁葉の合理的な支持のみにサービスし、径方向に圧縮されてバルーンによって拡張された後に円柱状を呈するコバルトクロム合金アンカーステント、または径方向に圧縮されて自己膨張して円柱状を呈するニッケルチタン合金アンカーステントと、前記ステントの内側に設けられた三つの扇形弁葉とを含み、いずれも遊離縁と、弧状底辺と、両側に延在する弁葉境界接続部とを有し、前記ステントは、金属ネットチューブまたは三つの弁葉の境界を支持して固定され得る様々な形態で把握可能な弁膜のステントである。弁膜のステントは、コバルト系合金コバルトまたはクロム合金またはニッケルチタン合金である。図12A図12Bを参照されたい。
【0025】
本発明の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システムは、輸送アセンブリをさらに含み、前記輸送アセンブリは、輸送アセンブリをさらに含み、前記輸送アセンブリは、経カテーテル二尖弁のアンカーステントの輸送キットと、経カテーテル人工生体二尖弁の輸送キット30とを含み、前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの輸送キットは、輸送カテーテル31と、経カテーテル二尖弁のアンカーステントのローダ32とを含む。前記経カテーテル人工生体二尖弁の輸送キットは、経カテーテル人工生体二尖弁の輸送機器、ガイドシース、弁膜のグリッパーおよびチャージポンプを含む(いずれも従来技術と類似し、図に示されていない)。前記経カテーテル二尖弁のアンカーステントの輸送機器および経カテーテル人工生体二尖弁の輸送機器は、大腿静脈心房中隔、心尖穿刺または左房穿刺経路を介してアプローチすることができる。
【0026】
本発明の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システムを適用して経カテーテル治療を行う場合、心尖アプローチまたは大腿静脈右心房中隔アプローチを介してアプローチするか、または必要に応じて同時に二つの複合経路を介してアプローチすることができる。
【0027】
図14図16は、心尖アプローチ経路である。
【0028】
心尖アプローチ経路は、心外科医によく知られている実施形態である。まず、ロードされたアンカーステントを心尖アプローチを介して患者の病変の二尖弁内に輸送し(図15A)、位置決めフックループを放出し(図15B)、位置決めを完了し(図15C)、アンカーステントの心房面(図15D)、ステントの接続構造および心室面を順次放出し、心室面のアンカーフックループを位置合わせして結合させ(図15E)、アンカーステントの輸送機器を撤去させ、元の経路に沿って事前にロードされた経カテーテル二尖弁をアンカーステントの元の経路に輸送して事前にロードされた経カテーテル二尖弁をアンカーステント内に輸送し(図16A)、その後、バルーンの補助によって経カテーテル二尖弁を拡張させ、アンカーステントを第2のアンカー状態に変形させ、経カテーテル二尖弁との正確な結合を実現し、同時に弁下組織との締結によって最終的なアンカーを完成する(図16B)。
【0029】
図17図19は、大腿静脈を介して右心房から心房中隔をアプローチする。
【0030】
大腿静脈を介する心房中隔アプローチ経路は、内科医によく知られている実施形態である。ロードされたアンカーステントを大腿静脈を介して右心房から心房中隔をアプローチして患者の病変の二尖弁内に輸送し(図18A)、位置決めフックループを放出して位置決めを完成し(図18B)、アンカーステントの心室面(図18C)、ステントの接続構造および心房面を順次放出し、心室面のアンカーフックループを位置合わせして結合させ、即ちアンカーステントの第1のアンカー状態(図18C)であり、アンカーステントの輸送機器を撤去させ、元の経路に沿ってロードされた経カテーテル二尖弁をアンカーステント内に輸送し(図19A)、その後、バルーンの補助によって経カテーテル二尖弁を拡張させ、アンカーステントを第2のアンカー状態に変形させ、経カテーテル二尖弁との正確な結合を実現し、同時に弁下組織との挟持を形成し、最終的なアンカーを完成する(図19B)。
【0031】
本発明の経カテーテル二尖弁システムは、複合アプローチ経路であり、図20を参照する。
【0032】
複合アプローチ方式は、術前の画像解析により、心臓の構造が複雑で、設計された経カテーテルアンカーステントの第1の状態のアンカー結合堅牢性が不確かな症例に適している。ロードされたアンカーステントを心尖アプローチを介して患者の病変の二尖弁内に輸送し、位置決めフックループを放出して位置決めし(図20A)、アンカーステントの心房面と接続部を順次放出し(図20B)、その後、アンカーステントの心室面を放出してアンカーフックループを位置合わせして結合させ、即ちアンカーステントの第1状態(図20C)であり、アンカーステントの輸送機器を撤去せずにアンカーステントを引っ張った後、同時に事前にガイドワイヤが入れられた静脈路、心房中隔を介してロードされた経カテーテル二尖弁をアンカーステント内に輸送し(図21A)、バルーンの補助によって経カテーテル二尖弁を拡張させ、アンカーステントを第2のアンカー状態に変形させ、経カテーテル二尖弁との正確な結合を実現するとともに、弁下組織との挟持を実現し、最終的なアンカーを完成し(図21B)、経カテーテル二尖弁の輸送機器を撤去させ(図21C)、アンカーステントの第2のアンカー状態が設計状態であることを確認し、アンカーが強固になった後にアンカーステントの輸送機器を撤去させる(図21D)。
【0033】
上記の実施例は、本発明により挙げられた仕様の実施例を十分に説明するためのものに過ぎない。
【0034】
本発明の経カテーテル二尖弁システムは、産業用動物実験によって前述した技術案を既に実施しており、当業者によって確認されている。
【0035】
本発明の実現可能な意義は以下の通りである。(1)別体式の設計は、弁膜の弁葉支持と弁膜のアンカーを機能的に分離させ、二尖弁位置での弁膜のアンカーをアンカーステントに渡すことにより、アンカーの個性化設計を実現することができ、同時に経カテーテルアンカーステントと経カテーテル弁膜を段階別に実施することができ、構造が複雑で圧迫した後に体積が大きすぎてカテーテルを介する輸送が難しくなることを防止する。(2)病変の弁膜の解剖学的構造特徴によってアンカー原理および最終アンカー部位の事前設計および測定を行い、アンカーステントの第2のアンカー状態を確定し、患者の個性化映画学データ、専用ソフトウェアおよび3D印刷試験によってアンカーステントを構築して各部位のサイズおよび次元が事前設定の過渡状態、即ち第1のアンカー状態の三次元定形設計と加工を完成し、それをカテーテルを介して放出させた後に正確に位置合わせし、経カテーテル弁膜のスムーズな輸送に支持を提供する。アンカーステントの第1状態の勾配構造は、適度に大きく開くことができ、また、重度閉鎖不全を抑制することができる。前者は、経カテーテル弁膜にチャネルを提供するだけでなく、狭窄病変が突然拡大することを回避することもでき、後者は、弁膜閉鎖不全の大量の還流を軽減し、二尖弁への経カテーテルのための空間と時間の提供を保証する。(3)弁膜から放出された外力によってアンカーステントを駆動して漏斗状の第1のアンカー状態から円柱状の第2の状態に変形させ、このような変形によってアンカーステントが軸心に向かって弁膜をしっかりと把持し、経カテーテル弁膜との嵌合に対して弁膜の0変位を保証し、心室面のアンカーフックループ構造によって弁下組織にさらに緊密に結合させ、事前設計の位置合わせアンカーを完成するとともに、弁上の構造と挟持を形成して最終的なアンカーを実現する。(4)経カテーテル二尖弁のアンカーステントの接続部の流入端と流出端との間に経カテーテルする配置された支持棒構造は両端から経カテーテル二尖弁と一体に抱かれ、弁膜の変位がないことを確保することができる。(5)上記に記載の別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システムは、一回の個性的な所定の二尖弁を正確に経カテーテルさせる治療過程を完成するごとに、関連データの分析、経カテーテル二尖弁のアンカーステントの形態設計、加工製造、経カテーテル治療の全過程によって取得された関連データおよび術後の経過データなどに対して、一つの独立したデータユニットとして、大量の個性的な画像データ、アンカーステントの設計および加工製造パラメータ、経カテーテル治療過程および術後結果などの関連データを蓄積し、前記別体式の正確なアンカーが可能な経カテーテル二尖弁システムを治療に経カテーテルして実施するスマート化、商業化および大規模化を実現する。
図1
図2
図3
図4-1】
図4-2】
図5-1】
図5-2】
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15-1】
図15-2】
図16
図17
図18-1】
図18-2】
図19
図20
図21-1】
図21-2】
【国際調査報告】