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  • 特表-真空可変コンデンサ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】真空可変コンデンサ
(51)【国際特許分類】
   H01G 5/12 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
H01G5/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529260
(86)(22)【出願日】2022-10-03
(85)【翻訳文提出日】2024-06-24
(86)【国際出願番号】 EP2022077428
(87)【国際公開番号】W WO2023094056
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】21210518.3
(32)【優先日】2021-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509337160
【氏名又は名称】コメット アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミルドナー、マーク
(72)【発明者】
【氏名】ファゼル、マルコ
(57)【要約】
本発明は、真空誘電媒体を含有する真空密封式密閉容器2を備える真空可変コンデンサ1に関し、密閉容器2は、第1のプレート3及び第2のプレート4を含み、前記第1のプレート3と前記第2のプレート4とは、電気絶縁要素5によって分離されており、密閉容器2はさらに、密閉容器2の内部で第1のプレート3に取り付けられた固定電極6と、可動プレート7に取り付けられた可動電極8とを含み、可動プレート7は、少なくとも1つの真空ベローズ9によって、密閉容器2の内部で第2のプレート4に取り付けられており、真空コンデンサ1は、真空コンデンサ1の静電容量を変動させるように第1のプレート3に対して相対的に可動プレート7を変位させる、特に並進させるための機械式駆動システム10を有し、機械式駆動システム10は、可動プレート7を駆動するように配置されたボール・スクリュー11を含み、機械式駆動システム10は、真空密封式密閉容器2の外部に、第1のプレート3と可動プレート7との間の最大距離を制限する制限要素14を含み、駆動システムは、ボール・スクリュー11に取り付けられたナット13を含み、ナット13は、第1のプレート3と可動プレート7との間の最大距離を制限するために制限要素14に当接するように構成された第1のショルダ13aを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空誘電媒体を含有する真空密封式密閉容器(2)を備える真空可変コンデンサ(1)であって、前記密閉容器(2)は、第1のプレート(3)及び第2のプレート(4)を含み、前記第1のプレート(3)と前記第2のプレート(4)とは、電気絶縁要素(5)によって分離されており、前記密閉容器(2)はさらに、前記密閉容器(2)の内部で前記第1のプレート(3)に取り付けられた固定電極(6)と、可動プレート(7)に取り付けられた可動電極(8)とを含み、前記可動プレート(7)は、少なくとも1つの真空ベローズ(9)によって、前記密閉容器(2)の内部で前記第2のプレート(4)に取り付けられており、前記真空コンデンサ(1)は、前記真空コンデンサ(1)の静電容量を変動させるように前記第1のプレート(3)に対して相対的に前記可動プレート(7)を変位させる、特に並進させるための機械式駆動システム(10)を有し、前記機械式駆動システム(10)は、前記可動プレート(7)を駆動するように配置されたボール・スクリュー(11)を含み、前記機械式駆動システム(10)は、前記真空密封式密閉容器(2)の外部に、前記第1のプレート(3)と前記可動プレート(7)との間の最大距離を制限する制限要素(14)を含む、前記真空可変コンデンサ(1)において、前記駆動システムが、前記ボール・スクリュー(11)に取り付けられたナット(13)を含み、前記ナット(13)が、前記第1のプレート(3)と前記可動プレート(7)との間の最大距離を制限するために前記制限要素(14)に当接するように構成された第1のショルダ(13a)を含む、ことを特徴とする真空可変コンデンサ(1)。
【請求項2】
前記第1のプレート(3)と前記可動プレート(7)との間の最大距離が、前記制限要素(14)によって調整可能である、請求項1に記載の真空コンデンサ(1)。
【請求項3】
前記ナット(13)が、前記密閉容器(2)の案内要素(16)内に少なくとも部分的に配置されており、前記ナット(13)が、前記第1のプレート(3)と前記可動プレート(7)との間の最小距離を制限するために前記案内要素(16)の縁部(16a)に当接するように構成された第2のショルダ(13b)を含む、請求項1又は2に記載の真空コンデンサ(1)。
【請求項4】
前記ボール・スクリュー(11)を覆うように構成されたキャップ(15)を備える、請求項1から3までのいずれか一項に記載の真空コンデンサ。
【請求項5】
前記制限要素(14)が前記キャップ(15)の内部に少なくとも部分的に配置されている、請求項4に記載の真空コンデンサ。
【請求項6】
前記キャップ(15)は、前記制限要素(14)が少なくとも部分的にねじ込まれるねじ山(15a)を有する、請求項5に記載の真空コンデンサ。
【請求項7】
前記制限要素(14)がねじ付きピンである、請求項6に記載の真空コンデンサ。
【請求項8】
前記第1のプレート(3)と前記可動プレート(7)との間の最大距離が、前記キャップ(15)の外部から調整可能である、請求項4から7までのいずれか一項に記載の真空コンデンサ。
【請求項9】
前記第1のプレート(3)と前記可動プレート(7)との間の最大距離が、前記制限要素(14)を前記キャップ(15)にねじ込むこと及び前記制限要素(14)を反対に緩めることによって調整可能である、請求項6又は8のいずれか一方に記載の真空コンデンサ。
【請求項10】
前記ボール・スクリュー(11)は、トルクが0.5N・m以下で、有利には0.3N・m以下で、特に0.25N・m以下で、前記第1のプレート(3)と前記可動プレート(7)との間の距離を増大させることができるように構成されている、請求項1から9までのいずれか一項に記載の真空コンデンサ。
【請求項11】
前記機械式駆動システム(10)が、駆動モータを前記ボール・スクリュー(11)のねじ付きシャフト(12)に取り付けるための結合要素(17)を有する、請求項1から10までのいずれか一項に記載の真空コンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空コンデンサの分野に関し、特に、真空可変コンデンサの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
真空コンデンサは、高電力用途に適した、典型的には数千ボルトの電圧に、又は、さらに、優れた真空誘電特性のおかげで数万ボルトの電圧に適合した電気コンデンサである。真空コンデンサは、数十アンペアの、又はさらに、導電性部品、すなわち、金属電極と、真空コンデンサを他の回路素子に接続するために用いられる金属カラーの非常に低い損失のおかげで数百アンペアの交流電流(特に無線周波数電流)を流すことができる。
【0003】
真空可変コンデンサは、真空コンデンサのサブグループを構成し、さらに、それらの高電力用途への優れた適性のために知られている。これらの真空可変コンデンサは、真空コンデンサの真空密閉容器の内部に両方の電極が位置付けられており、もう一方の電極に対する電極の位置を調整することによって静電容量値を調整することができる。実際、変更されたのは電極分離ではなく、電極を担持するプレート間の距離を変更することによる電極表面の重複部分である。静電容量値の調整範囲は、チューナビリティと呼ばれており、t=(Cmax-Cmin)/Cmaxによって規定され、ここで、Cmax及びCminは、所与のコンデンサによって達成され得る最大及び最小の静電容量値である。ほとんどの真空可変コンデンサは少なくとも90%のチューナビリティを実現するように設計されており、いくつかは、98%又はさらにそれ以上のチューナビリティを実現することになる。典型的には、ベローズとも呼ばれる拡張可能な接続ジョイントと関連付けられたスクリューとナットとのシステムにより、真空の外側から真空密閉容器の内側の調整可能な電極までの作動をもたらすことができる。例えば、制御ソフトウェアによって制御されるステッパ・モータは、可動電極を正確に位置決めし、その結果、真空可変コンデンサの静電容量の特定且つ正確な値を達成するための作動部向けに使用され得る。真空可変コンデンサの静電容量値を調整するために用いられる前述の要素は、その機械式駆動システムを規定する。
【0004】
高電圧及び電流能力に加えて、真空可変コンデンサのサブグループの特定の品質基準は、それらの駆動システムの性能である。真空可変コンデンサは、高いチューナビリティを有するだけでなく、さらに、駆動システムの長寿命を提供することが有益であり、駆動システムの長寿命は、多くの用途の高い要求を満たすように高速且つ正確な機械的調整を行うために比較的中程度のトルクによって調整可能な駆動システムに与える、故障までのCmaxとCminとの間のサイクル数として規定され得る。
【0005】
真空コンデンサの典型的な応用例には、堆積及びエッチング・プロセスのための、無線周波数(例えば13.56MHzで)電力供給プラズマツールを用いた半導体製造業で使用される電力送達システムがある。真空可変コンデンサの本来の機能は、用途負荷のインピーダンスを、電力送達回路内の無線周波数発生器のインピーダンスに合わせて調整し、整合させることである。プラズマ負荷は、(各処理ステップ、電離ガス状態、残留ガス圧、及び他の因子に応じた)時間変動インピーダンスを有するので、工業規格によって50オームのインピーダンスに対して機能するように最適化された発生器及びRFケーブルのインピーダンスに適合される(「整合される」)必要がある。どのようなインピーダンス不整合でも、半導体製造プロセスは不首尾に終わる可能性があり、場合によってはさらに、発生器と負荷との間のインピーダンス不整合による反射電力のために、発生器の破壊に終わる可能性がある。
【0006】
ここで、元の真空可変コンデンサの駆動システムに戻る。上で述べられたように、中程度又は低いトルクで作動させることができるシステムを提供することが望ましい。今日では、ほとんどの真空可変コンデンサは、通常、調整するために0.4N・mより大きいトルクをもたらすステッパ・モータ又は他のアクチュエータを必要とすることになる。本発明の目標は、駆動システムの精度及び再現性に関して妥協することなく、低減されたトルクによって作動させることができる真空可変コンデンサを提供することである。この目標を達成するため、真空可変コンデンサは、最小静電容量Cminに対応する可動電極の位置での機械的端止めを必要とする。従来技術の真空可変コンデンサは、通常、Cminに対する正確な値を決定するための手段を提供しない。唯一の利用可能な手段は、基本的に、ベローズが完全に圧縮されることである。ベローズは高精度のコンポーネントではないため、ある事例では、この端止めは、例えば、32pFに対応し、他の事例では、(名目上)同じコンポーネントが使用されているにもかかわらず、35pF又は27pFに対応することになる。この問題のため、今日、連続生産の真空可変コンデンサのデータシートは、より小さい静電容量範囲となる、より高いCminを示さなければならない。したがって、チューナビリティがより劣って示されるのは、単にこの不確かさのためである。今述べた実例では、製造者は、ベローズ特性がそのコンポーネントの許容範囲内のいかなる特性であっても、その「安全なCmin」が達成できることになるであろうと経験によって知っているので、例えば40pFの「より安全な」Cmin値を公表するはずである。言い換えれば、実は、データシート内で公表された値に、そのタイプの全ての提供されるコンデンサの顧客が到達することができる。この信頼性は重要であり、製造者は、必要とされるものよりも劣っているチューナビリティ特質を公表することに同意する。
【0007】
コンデンサの可動プレートと固定プレートとの間の最大距離を制限するための制限要素を含む真空可変コンデンサが、米国特許第3040220A号、特許第2964248B1号、米国特許第2002163398A1号、及び米国特許第US2010254066A1号から知られており、しかしながら、提案された制限要素は、上述の問題に対する十分な解決策を提供していない。
【0008】
したがって、本発明の目的は、その最小静電容量値の正確な定義を可能にしつつ、静電容量が低トルクによって調整され得る真空可変コンデンサを提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第3040220A号
【特許文献2】特許第2964248B1号
【特許文献3】米国特許第2002163398A1号
【特許文献4】米国特許第US2010254066A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、知られているシステムの上記の欠点が完全に克服された、又は少なくとも大幅に減らされた新規の真空可変コンデンサを提案することである。
【0011】
本発明の目的は、特に、静電容量値の高精度を保証しながら、静電容量が低トルクで調整され得る真空可変コンデンサを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によると、これらの目的は、特に、独立請求項の要素を通じて達成される。
【0013】
特に、本発明の目的は、真空誘電媒体を含有する真空密封式密閉容器を備える真空可変コンデンサによって達成され、密閉容器は、第1のプレート及び第2のプレートを含み、前記第1のプレートと第2のプレートとは、電気絶縁要素によって分離されており、密閉容器はさらに、密閉容器の内部で第1のプレートに取り付けられた固定電極と、可動プレートに取り付けられた可動電極とを含み、可動プレートは、少なくとも1つの真空ベローズによって、密閉容器の内部で第2のプレートに取り付けられており、真空コンデンサは、真空コンデンサの静電容量を変動させるように第1のプレートに対して相対的に可動プレートを変位させる、特に並進させるための機械式駆動システムを有し、機械式駆動システムは、可動プレートを駆動するように配置されたボール・スクリューを含み、機械式駆動システムは、真空密封式密閉容器の外部に、第1のプレートと可動プレートとの間の最大距離を制限する制限要素を含み、駆動システムは、ボール・スクリューに取り付けられたナットを含み、ナットは、第1のプレートと可動プレートとの間の最大距離を制限するために制限要素に当接するように構成された第1のショルダを含む。
【0014】
ボール・スクリューのおかげで、第1のプレートと可動プレートとの間の距離は、したがって、コンデンサの静電容量は低トルクで変化させることができる。これは特に、静電容量が繰り返し且つ迅速に変化されなければならない場合の用途において有利である。低トルクである場合、移動プレートを駆動するために通常用いられるモータに関する要件を低くすることができ、それにより、より小さくより安価なモータを使用することができる。制限要素により、プレート間の最大距離に対する、したがって、静電容量に関する最小値に対する正確な値を規定することができる。したがって、この値は、プレート間の他の距離に対応する全ての静電容量値に対する基準値として使用することができる。静電容量はプレート間の距離と逆に変動するため、最小静電容量を基準値として使用することは有利である。プレート間の距離に関する絶対誤差は、最大静電容量値におけるより最小静電容量値におけるほうが静電容量に与える影響が少ない。したがって、最小静電容量における精確な基準値は有利である。従来技術の真空可変コンデンサでは、最小静電容量値は、例えばベローズなどの真空密閉容器の内部の要素によって規定される。このことは、この値が、密閉容器が組み立てられ、真空にされる前に規定されなければならず、その後には規定され得ないことを意味する。したがって、最小静電容量に対する基準値を真空密閉容器の外部の制限要素によって規定できることは有利である。実際、静電容量を測定し、この値をこの測定法の関数として規定することができる。さらに、いくつかの従来技術の真空可変コンデンサは、ベローズの最大圧縮率によって最小静電容量を規定する。これは、最小静電容量での正確な基準値につながり得ないため、問題である。
【0015】
上で説明したように、真空コンデンサの典型的な用途は、堆積及びエッチング・プロセスのための、無線周波数(例えば13.56MHzで)電力供給プラズマツールを用いた半導体製造業で使用される電力送達システムを含む。真空可変コンデンサの本来の機能は、用途負荷のインピーダンスを電力送達回路内の無線周波数発生器のインピーダンスに合わせて調整し、整合させることである。プラズマ負荷は、(各処理ステップ、電離ガス状態、残留ガス圧、及び他の因子に応じた)時間変動インピーダンスを有するので、工業規格によって50オームのインピーダンスに対して機能するように最適化された発生器及びRFケーブルのインピーダンスに適合される(「整合される」)必要がある。どのようなインピーダンス不整合でも、半導体製造プロセスは不首尾に終わる可能性があり、場合によってはさらに、負荷のインピーダンス不整合による反射電力のために、発生器の破壊に終わる可能性がある。したがって、最小静電容量での正確な基準値を含む真空可変コンデンサを提供することは最も重要である。
【0016】
最後に、ボール・スクリューに取り付けられた(第1のプレートと可動プレートとの間の最大距離を制限するために制限要素に当接するように構成された第1のショルダを含む)ナットを有する駆動システムを提供することは、最小静電容量値で基準値を規定するための単純且つ費用効果の高い様式を表す。
【0017】
本発明の第1の好ましい実施例では、第1のプレートと可動プレートとの間の最大距離は、制限要素によって調整可能である。これは、コンデンサの特質が時間の経過とともに、又は温度のような外部条件により、変化し得るので、特に有利である。したがって、最大距離を、したがって、最小静電容量での基準値を調整することができる可能性は、従来技術で知られている真空可変コンデンサに勝る利点を表す。
【0018】
本発明のさらに好ましい実施例では、ナットは、密閉容器の案内要素内に少なくとも部分的に配置されており、ナットは、第1のプレートと可動プレートとの間の最小距離を制限するために案内要素の縁部に当接するように構成された第2のショルダを含む。これにより、コンデンサの最大静電容量値を規定することができる。
【0019】
本発明のさらに別の好ましい実施例では、真空可変コンデンサは、ボール・スクリューを覆うように構成されたキャップを備える。これは、性能が長期間にわたって保証されるコンデンサを有するために、駆動システムを、特に、ボール・スクリューを保護するのに有利である。キャップは、有利には、ダスト及び機械的衝撃に対してボール・スクリューを保護するために、ボール・スクリューを完全に覆うように構成され得る。
【0020】
本発明のさらなる好ましい実施例では、制限要素は、少なくとも部分的にキャップの内部に配置される。これにより、制限要素はさらにキャップによって保護されて、最小静電容量値での基準値が、時間の経過とともに一定に保持されることが保証される。
【0021】
本発明のまたさらなる好ましい実施例では、キャップは、制限要素が少なくとも部分的にねじ込まれるねじ山を含む。これは、制限要素を実装する、特に単純且つ費用効果の高い様式を表す。
【0022】
本発明の別の好ましい実施例では、制限要素はねじ付きピンである。ねじ付きピンは容易に提供することができ、ピンの長さは、最小静電容量値を規定するために使用することができる。
【0023】
本発明のさらに別の好ましい実施例では、第1のプレートと可動プレートとの間の最大距離は、キャップの外部から調整可能である。これにより、最小静電容量値を、コンデンサが完全に組み立てられ、さらに動作中であっても、規定し、調整することができる。
【0024】
本発明のさらなる好ましい実施例では、第1のプレートと可動プレートとの間の最大距離は、制限要素をキャップにねじ込む及び制限要素のねじを緩めることによって調整可能である。これは、最小静電容量値を調整することをできるようにする制限要素を提供するために、特に単純且つ費用効果の高い様式を表す。
【0025】
本発明のまたさらなる好ましい実施例では、ボール・スクリューは、トルクが0.5N・m以下で、有利には0.3N・m以下で、特に0.25N・m以下で、第1のプレートと可動プレートとの間の距離を増大させることができるようになどに構成される。これにより、可動プレートを駆動するために用いられるモータの要件を低くさせ、したがって、静電容量値を調整することができる。これにより、より小さくより安価なモータを使用することができる。
【0026】
本発明のまた別の好ましい実施例では、機械式駆動システムは、ボール・スクリューのねじ付きシャフトを駆動モータに取り付けるための結合要素を有する。これにより、モータとともにボール・スクリューを駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施例による真空可変コンデンサの概略断面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、本発明の実施例による真空可変コンデンサ1の概略断面図を示している。
【0029】
真空可変コンデンサ1は、絶縁要素5によって電気的に分離された第1のプレート3及び第2のプレート4を含む真空密封式密閉容器2を備える。密閉容器2の内部には、有利には螺旋若しくは円筒形電極(又は電極を形成する円筒表面のセット)である固定電極6が第1のプレート3に取り付けられている。有利には螺旋若しくは円筒形電極である(又は電極を形成する円筒表面のセットとして)可動電極8を含む可動プレート7が、密閉容器2の内部で、真空ベローズ9によって第1のプレート4に取り付けられている。当業者によく知られているように、これらの静電容量発生電極は、真空誘電体の所与の利用可能なボリュームでの、したがってコンデンサの所与のサイズ又は設置面積でのコンデンサの電圧及び電力能力を最適化するために、絡み合わせられた螺旋又は同心の、均等に間隔を置いて配置された円筒として配置することができる。
【0030】
機械式駆動システム10が、コンデンサの静電容量を変動させるために、第1のプレート3及び固定電極6に対して相対的に、可動プレート7、及び、それとともに、可動電極8を並進させるために設けられている。機械式駆動10は、シャフト12を回転させることによって、可動プレート7と第1のプレート3との間の距離が調整され得るように配置されたねじ付きシャフト12を含むボール・スクリュー11を有する。ボール・スクリューのおかげで、可動プレート7と第1のプレート3との間の距離は、小さなトルクをねじ付きシャフト12に印加することによって修正することができる。有利には、ボール・スクリュー11は、コンデンサの静電容量が、0.5N・m以下、さらに一層有利には0.3N・m以下、特に0.25N・m以下のトルクを印加することによって調整することができるように構成される。
【0031】
図1において見ることができるように、ナット13は、ボール・スクリュー11に取り付けられ、制限要素14に当接するように配置された第1のショルダ13aを示しており、制限要素14は、第1のプレート3と可動プレート7との間の最大距離を制限し、それにより、コンデンサ1の最小静電容量を規定するように設けられている。制限要素14は、ナット13の第1のショルダ13aが制限要素14に当接したとき、第1のプレートと可動プレートとの間の最大距離に、したがって、コンデンサの最小静電容量に到達するように、構成されると理解することが重要である。他の表現では、最小静電容量は、従来技術のコンデンサにおけるように、真空ベローズ9の最大圧縮率によって規定されるのではなく、可動プレートが面する制限要素の端部とナットの第1のショルダとの間の距離によって規定される。
【0032】
図1の実施例では、制限要素14は、機械式駆動システム10、特にボール・スクリュー11を覆うキャップ15に、ねじ付きピンが部分的にねじ込まれる形態を有する。図1から容易に理解することができるように、ねじ付きピン14は、キャップ15の外部から、例えばドライバによって、ねじ締めすること、及びねじを緩めることができる。ねじ付きピン14を、ねじ締めすること及びねじを緩めることによって、第1のプレート3と可動プレート7との間の最大距離、及び、これによる、コンデンサ1の最小静電容量が正確に調整され得る。もちろん、コンデンサ1の最小静電容量はまた、異なる長さの制限要素を選択することによって調整することができる。
【0033】
ナット13は、部分的に案内要素16内に配置され、第1のプレート3と可動プレート7との間の最小距離を制限するために、したがって、コンデンサの最大静電容量を規定するために、案内要素の縁部16aに当接するように配置された第2のショルダ13bを示している。
【0034】
有利には、結合要素17が、ねじ付きシャフト12を駆動モータに取り付けるために設けられている。
【0035】
最後に、前述は、1つの関係する非限定的な実施例を概説したと指摘するものとする。当業者にとっては、開示された非限定的な実施例に対する修正が、その思想及び範囲から逸脱せずに成し遂げられ得ることが明らかであろう。そういうものとして、記述された非限定的な実施例は、より顕著な特徴及び応用例のうちのいくつかを単に例示していると考えられるべきである。他の有益な結果は、非限定的な実施例を異なる様式で適用することによって、又は当業者に知られた様式でそれらを修正することによって、実現され得る。
図1
【国際調査報告】